JP2002161237A - 着色コーティング液組成物およびそれを用いた表面コート物 - Google Patents

着色コーティング液組成物およびそれを用いた表面コート物

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JP2002161237A
JP2002161237A JP2000359378A JP2000359378A JP2002161237A JP 2002161237 A JP2002161237 A JP 2002161237A JP 2000359378 A JP2000359378 A JP 2000359378A JP 2000359378 A JP2000359378 A JP 2000359378A JP 2002161237 A JP2002161237 A JP 2002161237A
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coating liquid
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particles
pigment
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JP2000359378A
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Hideki Konishi
秀樹 小西
Kazuo Sakai
和夫 坂井
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Fuji Pigment Co Ltd
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Fuji Pigment Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ゾルーゲル法によるコーティング液組成物にお
いて、着色剤として金コロイドを使用する場合に、その
濃色化と色調変調を可能にするため、他の顔料を併用し
て着色剤の優れた分散安定性が確保され、均一で透明な
着色コートの可能なコーティング液組成物を見出す。 【解決手段】(a)平均粒径が1〜50nmの範囲内に
ある金粒子、(b)平均粒径が10〜300nmの範囲
内にあるベンガラおよび/またはコバルトブルー粒子、
(c)テトラアルコキシシランおよび/またはその予備
縮合体、および、(d)アルコール系媒体、および
(e)前記顔料粒子を微細なまま安定に媒体中に分散し
うる分散剤を必須成分として含有することを特徴とする
着色コーティング液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、物体上に透明で着
色したガラス質塗膜を形成するための液状組成物、およ
び同液状組成物で表面をコートされた物体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ガラス質の赤色着色において、金コロイ
ドはガラス工芸品等の美麗な着色剤として古くから利用
されている。工芸品に限らずガラスの着色に種々の提案
がある。例えば、特開昭49−116110号は、カラ
ーフィルムの赤色感度補正フィルターガラス用に、金コ
ロイドのガラス中での分散状態や色調および濃度を適正
化するために、ガラス成分を選択し、かつコロイドに酸
化錫や酸化セリウムの併用を選択した出願であり、金コ
ロイドによるガラス自体の溶融着色に工夫をこらしてい
る。
【0003】特開平5−178623号は、テトラアル
コキシシラン等の金属アルコキシド、1種または2種以
上の超微粒子色素、アルコール溶媒、および分散剤とか
らなるガラスゲル薄膜形成用コーティング液組成物と、
それを用いた着色ガラスゲルフィルタやそれを用いた表
示装置を提案している。特開平5−178623号にお
ける超微粒子色素は、金コロイドに限定されないけれど
も、着色薄膜コートにおける色素の均一分散が重要で、
金属アルコキシドがゾル−ゲル反応によりゲル化するま
ではコーティング液組成物中で色素が安定かつ均一に分
散していることが、均一な着色コートを行う上で必須条
件であることを示唆している。
【0004】特開平5−270842号は、金コロイド
液と金属アルコキシドの混合液をゾル−ゲル反応にてガ
ラス化し、金微細粒子の分散したガラスとすることを提
案しているが、ゾル−ゲル反応時の金コロイドの分散安
定化や金コロイド以外に顔料を併用するときの分散安定
化については、何らの記載も示唆もない。
【0005】特開平8−292309号は、金コロイド
や酸化亜鉛を分散させたシリカ等の薄膜を表面にコート
したガラス等の透明基板において、薄膜に屈折率調整剤
を含ませて、薄膜と基板の屈折率を実質同一にすること
で、光の干渉縞を防止した基板、およびゾル−ゲル法に
よるコート方法を提案して、金コロイドの着色薄膜コー
トにおける、薄膜起因の問題点の解消を図っている。
【0006】金コロイドとゾルーゲル法の関与する表面
コート技術に関して、本発明者等の知るところの従来技
術は以上のごとくである。本発明者らは、特開平5−1
78623号の技術を基に金コロイドを含有する赤色系
コーティング液組成物と、それによる透明着色コーティ
ングの実用化を検討した。しかしながら、高価な金コロ
イドを着色剤とすると、コート層の色彩は美麗だが単調
であったり、経済的観点から許容される使用量で色彩が
淡色であるため、用途範囲が狭くて実用性に乏しいこと
から、金コロイドの色調を強化したり、異なる色調をも
可能な着色コーティング液組成物に改良する必要性を認
めた。色調を強化濃色化するために他の赤色顔料を併用
することや、赤色以外の色調を出すために他の色調の顔
料を併用することを試みた。しかし、併用する顔料や分
散剤の種類や組合せによって、着色剤のコーティング液
組成物中での分散安定性に予想外の差違のあることが判
明した。コーティング液組成物を常温で保管中に着色剤
の均一分散が保持できない場合や、保管中の均一分散は
保持されるが熱時反応であるゾルーゲル反応の初期に均
一分散が破れて着色剤の不均一な凝集が起こってコート
層の色斑や厚み斑が生じてしまう場合があること、ある
いはコーティング液組成物の配合比率によってはコート
層に亀裂が生じたり力学物性が劣悪である等、不適当な
場合が多々あることが判明したのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ゾル
ーゲル法によるコーティング液組成物の着色剤として金
コロイドと他の顔料を併用する場合に、着色剤の優れた
分散安定性が確保され、均一で透明な着色コートの可能
なコーティング液組成物を見出すことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】併用する顔料として安定
分散の困難な有機顔料よりも無機顔料を使用することと
し、それと分散剤の種類およびその組合せを選択するこ
とで、上記課題である目的を達成することができ、本発
明に到達した。以下にその詳細を記す。
【0009】本発明における着色剤の1種は、従来から
広く金コロイドと呼ばれる物に属し、平均粒径が1〜5
0nmで赤色を呈する金の超微細粒子であり、水やアル
コール類あるいはそれらの混合液である媒体中に分散状
態で安定に存在する物質である。とくに鮮明で純度の高
い赤色を呈することから、金の平均粒径が5〜15nm
の範囲内ある場合が好適である。本発明において媒体
は、ゾルーゲル反応の主体成分との関係から、低級アル
コール類またはそれと比較的小割合の水とからなる水性
媒体が好ましい。この様な金コロイドは既に公知の方法
により製造される。金コロイド製造時に使用または副生
する酸、アルカリ、塩、あるいは保護コロイド等でゾル
ーゲル反応に悪影響を与える物質が残存している場合
は、これを精製除去して本発明の組成物の配合原料とす
るのが好ましい。金の超微細粒子の配合割合は、ゾルー
ゲル反応完結時のコート層重量の0.01〜75重量%
の範囲内であり、これより過小では金コロイドの美麗さ
が活用できないし着色濃度が不足であり、過大ではコー
ト層の力学性能が劣りかつ経済的に不適当である。これ
らのことから金の超微細粒子の配合割合は、コート層重
量の5〜30重量%の範囲内にあることがとくに好まし
い。
【0010】併用する顔料としては、粒子の比重から安
定分散の困難な有機顔料よりも無機顔料を使用の対象に
して種々検討を重ねた結果、以下に述べる2種の顔料が
分散剤の選択と相俟って本発明の目的を達成することが
可能であることを見出した。すなわち、本発明において
金の超微細粒子に併用する顔料の1種は平均粒径が10
〜300nmの範囲内のベンガラ(ピグメントレッド1
01)の超微細粒子であり、その配合割合はゾルーゲル
反応完結時のコート層重量の0.1〜50重量%の範囲
内である。平均粒径は透明コート層を実現するための要
件である。配合割合が上記より過小では金コロイドの色
調を強化する効果が少ないし、過大では赤色強化効果が
飽和するのみか、黒味を帯びるようになるので不適当で
ある。このような観点から配合割合はコート層重量の1
〜20重量%の範囲内にある場合がとくに好ましい。な
お、使用顔料である金とベンガラおよび/または後述の
コバルトブルーの総合計がコート層重量の80重量%以
下であるようにすることが必要である。ベンガラ以外の
赤色顔料、例えば、モリブデートオレンジ(ピグメント
レッド104)やカドミウムレッド(ピグメントレッド
108)の微細粒子の併用では、本発明の目的に有効な
分散剤の組合せが見当たらないか、金コロイドの美麗さ
が活用できないので不適当である。
【0011】本発明における併用顔料の他の1種は、平
均粒径が10〜300nmの範囲内のコバルトブルー
(ピグメントブルー28、同36)の超微細粒子であ
り、その配合割合はゾルーゲル反応完結時のコート層重
量の0.1〜50重量%の範囲内である。平均粒径は透
明コート層を実現するための要件である。配合割合が上
記より過小では金コロイドの色調変化効果が少ないし、
過大では変化効果が過大で金コロイドの美麗さが活用で
きないので不適当である。このような観点から配合割合
はコート層重量の5〜30重量%の範囲内にある場合が
とくに好ましい。コバルトブルー以外の青色顔料、例え
ば、群青(ピグメントブルー29)や紺青(ピグメント
ブルー27)の微細粒子の併用では本発明の目的に有効
な分散剤の組合せが見当たらないか、美麗で透明な紫系
統の着色コートできないので不適当である。
【0012】本発明において金の超微細粒子と併用する
ベンガラとコバルトブルーは、いずれかの単独または両
者共用でコーティング液組成物に配合される。配合割合
は前記の割合からコート品の所望色調に合うように選択
すればよい。
【0013】本発明におけるコーティング液組成物の主
体成分であり、コート層を形成するためのゾルーゲル反
応の主原料は、テトラアルコキシシランおよび/または
その予備縮合体である。テトラアルコキシシランおよび
その予備縮合体は、当初均一系を構成する媒体中で、熱
時縮合反応によりゾル状態を経由してゲル状態のシリカ
に変化する。ゲルは相変化に伴い媒体を排除し、着色剤
固体を分散状態で内蔵する固体である。ゾルーゲル反応
を攪拌下に行えば、生成したゲルは粉体粒子となるし、
他の固体表面に塗布された状態で無攪拌下に行えば、生
成したゲルは該固体表面を密着して覆うコート層になる
のである。テトラアルコキシシランのアルコキシ基を構
成するアルキル基は炭素数1以上4以下のアルキル基で
ある。炭素数が5以上の場合はゾルーゲル反応の進行が
遅いので、実施可能ではあるが経済的に意味がない。な
お、テトラアルコキシシランおよび/またはその予備縮
合体に、炭素数1以上4以下のアルキル基により成るテ
トラアルコキシチタンまたは同テトラアルコキシジルコ
ニウムであるか、該テトラアルコキシシランまたは該テ
トラアルコキシチタンあるいは該テトラアルコキシジル
コニウムの1個または2個のアルコキシ基を炭素数1以
上18以下のアルキル基で置換した物質、例えば、モノ
メチルトリエトキシシラン、モノオクチルトリエトキシ
シラン、ジメチルトリエトキシシラン、モノエチルトリ
メトキシシラン、モノエチルトリメトキシチタン、モノ
メチルトリブトキシジルコニウム等、を含ませることが
可能である。前2者のチタンまたはジルコニウム化合物
はコート層の硬度を高め、後者のアルキル置換体はコー
ト層の親水性を低めて疎水性を賦与するのに役立つ。コ
ート層の改質効果と良質なコート層の形成速度の兼ね合
いから判断して、アルキル置換基の炭素数は上記が好適
である。これらゲル改質剤の含有量はテトラアルコキシ
シランの20重量%未満が適当である。
【0014】上記コーティング液組成物の主体成分であ
る、テトラアルコキシシランのコーティング液組成物中
の配合量は2.0〜10重量%の範囲が適当である。上
記より過小ではコート層の形成速度が小さくて、また過
大ではコーティング液組成物にゾルーゲル反応触媒を添
加した時のポットライフが短いとか、生成するコート層
に亀裂が発生したり力学的に脆いといった難点が生じた
り、使用方法によっては着色剤がコート層に接触する薬
剤の影響を受けたりすることがあるので不適当である。
このような観点からテトラアルコキシシランのコーティ
ング液組成物中の配合量は4.0〜8.0重量%の範囲
がとくに好適である。
【0015】本発明のコーティング液組成物における媒
体は、アルコール類を主体とする水性媒体である。アル
コールとしては炭素数1〜5の水酸化アルキルの単独ま
たは混合物である。これらは顔料とその分散剤の効力発
揮、ならびにコーティング液組成物の主体成分であるテ
トラアルコキシシラン等の溶解性等々の条件から選択さ
れた。本発明で実施可能なアルコール類はメタノール、
エタノール、プロパノール等、あるいはそれらの混合液
である。とくに好適なのは溶解力の高いイソプロパノー
ルを含有する場合である。さらにゾルーゲル反応の進行
を円滑で加速するための触媒を添加するための媒体、触
媒の種類によってはその効果をより有効ならしめるため
に比較的少量の水を用いることが可能かつ好ましい場合
がある。
【0016】本発明のコーティング液組成物では、常温
保管中やゾルーゲル反応時の着色剤の均一分散を確保す
るために、分散剤を必須成分として配合する。コーティ
ング液組成物は、調製後使用に供されるまでに、輸送時
を含めて容器内で、場合によっては半年にわたって常温
保管される。この間に顔料の凝集や沈降を起こした組成
物では、攪拌や振動等により再度の均一分散を試みても
成功しないのである。コーティング液組成物を、例え
ば、50℃で一週間まで静置して着色剤の分散状態の変
化を観察する促進試験に供すると、概コーティング液組
成物の常温保管時の分散安定性の試験結果に良く対応す
る結果が得られることが確認済みである。このような試
験の結果、通常分散剤として知られる物質のうち、各種
の界面活性剤は期待の効果を発揮しえないし、樹脂系分
散剤でも有効なのは特定の種類に限定されることが判明
した。ゾルーゲル反応の初期においても、着色剤の微細
で均一な分散状態が確保されなければならないが、実際
に試験してみると上記と同じ結論に達した。
【0017】本発明のコーティング液組成物における分
散剤は、ポリビニールアルコール樹脂、ポリビニールブ
チラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂のいずれかに属し、顔料粒子を微細なまま
安定に媒体中に分散しうる物質である。媒体に可溶性の
樹脂は分散剤としての最低条件を満たしているが、例え
ば、ヒドロキシメチルセルロースのように顔料分散に有
効でないとか、エチルセルロースのように分散効果が認
められるものの不十分である場合がある。多くの樹脂を
検討した結果、本発明者らは上記ポリビニールアルコー
ル樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂のいずれかに分散
剤として有効なものがあることを見出して本発明に到達
した。上記樹脂には、分子量やケン化度、ブチラール化
度、あるいは改質のための共重合成分の種類や比率が異
なる等、各種の銘柄が市販されているが、当該分野の技
術者は前項に述べた試験方法にて有効な銘柄を容易にか
つ誤りなく選択することができる。有効な樹脂の具体例
として、ポリビニールアルコール樹脂では日本合成化学
社製のゴーセランL−0301、ポリビニールブチラー
ル樹脂では積水化学社製のエスレックBLS、アクリル
樹脂では大阪有機化学工業社製のアニテックNF−10
00、ポリエステル樹脂では日本合成化学社製のポリエ
スターWR−901、ポリウレタン樹脂ではエフカケミ
カルズ社製のエフカ−4046を挙げることができる。
【0018】分散剤として、試験した多くの界面活性剤
に分散効果が認められなかったが、なかにはリン酸エス
テル系活性剤である第一工業製薬社製のデスコールA−
200のように、分散効果は認められるが、その程度が
不満足なため実用価値に乏しいものであった。同様にチ
タンカップリング剤やアルミニウムカップリング剤にも
分散効果は認められるものがあったが、その程度が不満
足で実用価値に乏しいものであった。
【0019】本発明のコーティング液組成物は上述の必
須成分を配合することにより調製される。液組成物は対
象物質に塗布したのち、ゾルーゲル反応に供され、本発
明が目的とするガラス質で透明な着色コート層になる。
ゾルーゲル反応には、既に公知の各種の有機または無機
の酸、塩基、塩類等から選ばれる触媒が使用可能であ
り、ゾルーゲル反応開始時のコーティング液組成物に添
加すればよい。また、本発明のコーティング液組成物に
は、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリ
コールエーテル類、ブタノールおよびシリコンオイル等
のレベリング剤、防腐剤や消泡剤等各種コーティング組
成物に使用される物質の添加も可能である。さらに、ゾ
ル−ゲル反応用原料としてテトラアルコキシチタンやテ
トラアルコキシジルコニウムやそれらの誘導体等を併用
する場合には コーティング液組成物中でのこれら化合
物の化学的安定性を確保するためにアセチルアセトン等
を添加しても良い。
【0020】本発明におけるゾルーゲル反応の具体的方
法は、特開平5−178623号や作花済夫著「ゾルー
ゲル法の化学」(アグネ承風社発行、1988年初版)
等公知の方法に従って実施可能であり、詳細は後述の実
施例で示される。ゾルーゲル反応により生成したコート
層は、必要な程度まで媒体や触媒等の残存物を洗滌除去
し乾燥すれば実用に供される。その際コート層下地物質
の耐熱性の許す範囲で、例えば、200℃〜500℃の
高温熱処理を行って、コート層の緻密化を図ることが可
能である。これによりコート層の耐摩擦性等各種の耐久
性がより高められる。とくに350℃以上の高温熱処理
ではコート層中に残存していた有機化合物も熱分解によ
り除去されて緻密化と耐久性の向上が顕著なので用途に
よってはとくに好ましい場合である。
【0021】本発明のコーティング液組成物は、着色剤
の分散安定性に優れ、ガラスや陶器等のセラミック、ポ
リカーボネートやポリエチレンテーフタレート等の樹脂
板やフィルム、アルミニウムやスチール等の金属製品、
天然あるいは人工の木工製品等に塗布し、ゾルーゲル反
応により赤をベースとする透明で美麗な均一コート層を
形成することができる。
【0022】以下、本発明について実施例を挙げて説明
する。顔料の粒径分布は日機装株式会社製のレーザード
ップラー/周波数解析式粒度分析計や電子顕微鏡を使用
して測定した。顔料の分散安定性の促進試験は、試作コ
ーティング液組成物を三角フラスコに入れ、密栓して5
0℃の空気恒温槽内に静置、時々観察して顔料の分散状
態を確認する。凝集や沈降が認められなかったら一週間
継続したのち、顔料の分散状態に変化のないことをより
詳細に確認する。なお、分散状態の他に、同種サンプル
の分散剤等による経時変化の有無を、粘度測定でチェッ
クした。
【0023】(実施例1)平均粒径20nmのベンガラ
粉体(ピグメントレッド101)20.0重量部、ポリ
ビニーブチラール(積水化学社製エスレックBLS)を
10.0重量%含有するイソプロパノール溶液40.0
重量部、およびイソプロパノール40.0重量部をビー
ズミルで混練した。この混練物の5.0重量部、平均粒
径10nmの金の超微細粒子を20.0重量%含有する
エチルアルコールの金コロイド液10.0重量部、イソ
プロパノール79.0重量部、およびテトラエトキシシ
ラン6.0重量部を攪拌下に混合してコーティング液組
成物を調製した。液は顔料が微細なまま均一に分散した
赤色透明体であり、顔料の分散安定性促進試験の結果、
分散状態に変化はなかったし、液の粘度も変化しなかっ
た。なお、3ケ月の常温保管でも分散状態や粘度に変化
は認められなかった。
【0024】(参考例1)実施例1と同様に調製したコ
ーティング液組成物を、還流冷却器付き丸底フラスコに
入れ、触媒として水150重量部にジエタノールアミン
50重量部を溶解した液1.0重量部を追加して、40
℃の恒温水槽に浸漬し内部を継続的に攪拌した。5分後
から液の粘度が上昇しゾルの形成が認められたので、徐
々に水槽温度を80℃に高め60分間保った。その間、
顔料粒子を内蔵する透明赤色のシリカ粒子が生成した。
冷却後粒子を濾別洗滌し、熱風乾燥したのち重量を測定
したところ、テトラエトキシシランのシリカへの変換と
顔料粒子と分散剤の粒子内への取り込みが測定誤差範囲
内で完全に行われたことが確認された。
【0025】(実施例2)参考例1の触媒添加液を用い
て、ガラス板、アルミニウム板、ベニヤ板、メラミン樹
脂板、ポリエチレンテレフタレート瓶(ペットボトル)
をディップコートし、40℃の空気恒温槽に10分間、
ついで120℃に昇温して30分間保った。各サンプル
を取り出し、洗滌乾燥した。透明赤色で色斑のない耐擦
傷性のシリカコート層を各サンプル表面に密着して形成
することができた。この場合も、テトラエトキシシラン
のシリカへの変換と顔料粒子と分散剤のコート層内への
取り込みが、測定誤差範囲内で完全に行われたことが確
認された。
【0026】(実施例3)実施例2における加熱後のガ
ラス板とアルミニウム板の一部は、実施例2の方法に追
加して、400℃に30分間保って、同様のコート層を
形成した。本品の外観は実施例2の場合と同等であった
が、耐擦傷性が一段と向上していた。
【0027】(比較例1)実施例1におけるベンガラを
モリブデートオレンジ(ピグメントレッド104)に換
えて実施例1の方法を繰り返し、顔料が微細なまま均一
に分散した液組成物を調製することができた。しかし、
顔料の分散安定性促進試験の結果、顔料の約半量が2日
後に凝集沈降してしまった。
【0028】(比較例2)実施例1における分散剤をエ
チルセルロースに換えて実施例1の方法を繰り返して
が、顔料の安定に分散したコーティング液組成物に相応
しいものは得られなかった。
【0029】(実施例4)平均粒径23nmのコバルト
ブルー粉体(ピグメントブルー28)18.5重量部、
ポリエステル樹脂(日本合成化学社製ポリエスターWR
−901)を10.0重量%含有するイソプロパノール
溶液40.0重量部、およびイソプロパノール41.5
重量部をビーズミルで混練した。この混練物の5.0重
量部、平均粒径10nmの金の超微細粒子を20.0重
量%含有するエチルアルコールの金コロイド液10.0
重量部、イソプロパノール84.0重量部、およびテト
ラエトキシシラン5.0重量部を攪拌下に混合してコー
ティング液組成物を調製した。液は顔料が微細なまま均
一に分散した紫色透明体であり、顔料の分散安定性促進
試験の結果、分散状態に変化はなかったし、液の粘度に
も変化はなかった。なお、3ケ月の常温保管でも分散状
態や粘度に変化は認められなかった。
【0030】(実施例5)実施例4と同様に調製したコ
ーティング液組成物に、触媒として水160重量部にト
リエタノールアミン40重量部を溶解した液1.0重量
部を追加した。この液でガラス板、スチール板をディッ
プコートし、120℃の空気恒温槽内部で30分間加熱
した。ついで各シートを370℃の空気恒温槽内に移
し、20分間加熱し、透明紫色で色斑のない耐擦傷性の
シリカコート層を各シート表面に密着して形成すること
ができた。
【0031】(比較例3)実施例4における分散剤をヒ
ドロキシメチルセルロースに換えて実施例4の方法を繰
り返したが、顔料の安定に分散したコーティング液組成
物は得られなかった。
【0032】(比較例4)コバルトブルー粉体の代わり
に群青粉体(ピグメントブルー29)を用いて実施例4
の方法を繰り返し、顔料が微細なまま均一に分散した液
組成物を調製することができた。しかし、顔料の分散安
定性促進試験の結果、顔料の約1/3量が翌日に凝集沈
降してしまった。
【0033】(実施例6)平均粒径20nmのベンガラ
粉体(ピグメントレッド101)10.0重量部、平均
粒子径23nmのコバルトブルー粉体(ピグメントブル
ー36)10.0重量部、アクリル樹脂(大阪有機化学
工業社製アニテックNF−1000)を10.0重量%
含有するイソプロパノール溶液40.0重量部、および
イソプロパノール40.0重量部をビーズミルで混練し
た。この混練物の6.0重量部、平均粒径10nmの金
の超微細粒子を20.0重量%含有するエチルアルコー
ルの金コロイド液10.0重量部、イソプロパノール7
9.0重量部、およびテトラメトキシシラン5.5重量
部を攪拌下に混合してコーティング液組成物を調製し
た。液は顔料が微細なまま均一に分散した赤紫色の透明
体であり、顔料の分散安定性促進試験の結果、分散状態
に変化はなく、液の粘度も変化しなかった。なお、3ケ
月の常温保管でも分散状態や粘度に変化は認められなか
った。
【0034】(実施例7)実施例6と同様に調製したコ
ーティング液組成物に、触媒として水150重量部にジ
エタノールアミン30重量部を溶解した液1.0重量部
を追加した。この液でガラス板、スチール板、ポリカー
ボネート樹脂板をディップコートし、110℃の空気恒
温槽内部で30分間加熱して、透明赤紫色で色斑のない
耐擦傷性のシリカコート層を各シート表面に密着して形
成することができた。
【0035】(比較例5)実施例6におけるテトラメト
キシシランを20.0重量部に増量して、実施例6の方
法を繰り返し、顔料が微細なまま均一に分散した赤紫色
の透明なコーティング液組成物を調製した。顔料の分散
安定性促進試験の結果分散状態に変化はなく、3ケ月の
常温保管でも分散状態に変化は認められなかった。しか
し、このように調製した液組成物で、実施例7と同様の
試験をしたところ、赤紫色のシリカコート層を各シート
表面に形成することができたが、コート層には細かな亀
裂が認められ、透明性や平滑性に難点があり、耐擦傷性
が劣悪で実用性に欠けるコート層しかできなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明は、ゾルーゲル法によるコーティ
ング液組成物の着色剤として金コロイドと他の顔料を併
用する場合に、顔料と使用する分散剤の種類およびその
組合せを選択することで、着色剤の優れた分散安定性が
確保され、均一で透明な着色コート層を形成可能なコー
ティング液組成物およびコート物を提供可能とした。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)平均粒径が1〜50nmの範囲内に
    ある金粒子、(b)平均粒径が10〜300nmの範囲内
    にあるベンガラおよび/またはコバルトブルー粒子、
    (c)テトラアルコキシシランおよび/またはその予備縮
    合体、および、(d)アルコール系媒体、および、(e)前記
    顔料粒子を微細なまま安定に媒体中に分散しうる分散剤
    を必須成分として含有することを特徴とする着色コーテ
    ィング液組成物。
  2. 【請求項2】 テトラアルコキシシランが、その20重
    量%未満の割合で、炭素数1以上4以下のアルキル基に
    より成るテトラアルコキシチタンまたはテトラアルコキ
    シジルコニウムであるか、該テトラアルコキシシランま
    たは該テトラアルコキシチタンあるいは該テトラアルコ
    キシジルコニウムの1個または2個のアルコキシ基を炭
    素数1以上18以下のアルキル基で置換した物質を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の着色コーティング液
    組成物。
  3. 【請求項3】 分散剤がポリビニールアルコール樹脂、
    ポリビニールブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエス
    テル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれたいずれかの樹
    脂で、媒体に可溶性で顔料を安定に分散しうる樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の着色コー
    ティング液組成物。
  4. 【請求項4】 金粒子の平均粒径が5〜15nm、かつ
    ベンガラ粒子およびコバルトブルー粒子の平均粒径が2
    0〜100nmの範囲内にあることを特徴とする請求項
    1、2または3のいずれかに記載の着色コーティング液
    組成物。
  5. 【請求項5】 顔料の量が、ゾルーゲル反応完結時のコ
    ート層重量を基準に、金粒子が0.01〜75重量%、
    ベンガラ粒子が0.1〜50重量%、コバルトブルー粒
    子が0.1〜50重量%の範囲内にあり、かつ金とベン
    ガラおよび/またはコバルトブルーの総合計がコート層
    重量の80重量%以下であり、テトラアルコキシシラン
    および/またはその予備縮合体のコーティング液組成物
    中の配合量が2.0〜10重量%の範囲内であり、残余
    がアルコール系媒体でることを特徴とする請求項1、
    2、3または4のいずれかに記載の着色コーティング液
    組成物。
  6. 【請求項6】 上記請求項1、2、3、4または5いず
    れかに記載の着色コーティング液組成物のゾルーゲル反
    応物で表面をコートされた表面コート物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003063197A1 (en) * 2002-01-24 2003-07-31 Koninklijke Philips Electronics N.V. Light-transmitting substrate provided with a light-absorbing coating
JP2006273942A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 塗料および塗膜
WO2010145175A1 (zh) * 2009-06-16 2010-12-23 深圳市永丰源实业有限公司 一种着色溶胶-凝胶组合物的制造方法及其应用

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