JP2002161034A - 結晶性カルバペネム化合物を含有する抗菌剤 - Google Patents

結晶性カルバペネム化合物を含有する抗菌剤

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JP2002161034A JP2001274389A JP2001274389A JP2002161034A JP 2002161034 A JP2002161034 A JP 2002161034A JP 2001274389 A JP2001274389 A JP 2001274389A JP 2001274389 A JP2001274389 A JP 2001274389A JP 2002161034 A JP2002161034 A JP 2002161034A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性カルバペネム化合物を有効成分として
含有する抗菌剤を提供する。 【解決手段】式 【化1】 で表わされる化合物若しくはその薬理上許容される塩の
結晶。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた抗菌活性及
び保存安定性を有する1−メチルカルバペネム化合物の
結晶、及び、該結晶を有効成分として含有する医薬、特
に抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−204086号及び特開平
11−071277号公報には、式(I)で表わされる
1−メチルカルバペネム化合物が開示されている。本化
合物(I)は、グラム陰性菌のみならずグラム陽性菌に
も優れた抗菌活性を示し、抗菌剤としての有用性が期待
できる。しかし、特開平11−071277号の実施例
に記載された化合物は凍結乾燥粉末であるため、保存安
定性に乏しく、取り扱いが容易でないなど、医薬、特に
抗菌剤として実用化するには問題点が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで発明者等は、こ
れらの問題点を解決するため種々検討を行なった結果、
化合物(I)を含有する結晶、特に、1/2炭酸塩・1
/2エタノール和物(I−)の結晶、1/2エタノー
ル和物(I−)の結晶、化合物(I)の結晶、及び1
/4エタノール・3/2水和物(I−)の結晶を得る
ことに成功した。これらの結晶は、特開平11−071
277号の実施例に記載された化合物(I)の凍結乾燥
粉末と比較して、保存安定性が著しく改善されており、
医薬、特に抗菌剤として実用的に極めて有用な結晶であ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1) 式(I)
【0005】
【化6】
【0006】で表わされる1−メチルカルバペネム化合
物またはその薬理上許容される塩の結晶; (2) 式(I−)
【0007】
【化7】
【0008】で表わされる1−メチルカルバペネム化合
物の結晶; (3) 式(I−)
【0009】
【化8】
【0010】で表わされる1−メチルカルバペネム化合
物の結晶; (4) 式(I)
【0011】
【化9】
【0012】で表わされる1−メチルカルバペネム化合
物の結晶; (5) 式(I−)
【0013】
【化10】
【0014】で表わされる1−メチルカルバペネム化合
物の結晶; (6) (1)乃至(5)のいずれか1項に記載された
1−メチルカルバペネム化合物の結晶を有効成分として
含有する医薬、特に抗菌剤に関する。
【0015】上記において、式(I)で表わされる1−
メチルカルバペネム化合物は特開平10−204086
号及び特開平11−071277号公報に開示された化
合物であり、グラム陽性菌からグラム陰性菌まで広範囲
の細菌に対して強力な抗菌活性を有する化合物である。
【0016】式(I)で表わされる1−メチルカルバペ
ネム化合物は薬理上許容される塩であってもよい。ここ
で薬理上許容される塩とは、医薬として使用され得る塩
をいう。
【0017】化合物(I)は分子内に塩基性基である3
級アミノ基及びグアニジノ基を有するので、常法に従っ
て酸と処理することにより、相当する薬理上許容し得る
酸付加塩に変えることができる。このような酸付加塩の
例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、
リン酸塩等の無機酸塩;炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、
シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、ク
エン酸塩等の有機酸塩;又はメタンスルホン酸塩、ベン
ゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホ
ン酸塩が挙げられる。
【0018】また、化合物(I)は分子内に酸性基であ
るカルボキシ基を有するので、常法に従って塩基と処理
することにより、相当する薬理上許容し得る塩基付加塩
に変えることができる。このような塩基付加塩の例とし
ては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩
のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム
塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄
塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属
塩;又はアンモニウム塩のようなアンモニウム四級塩を
挙げることができる。
【0019】また、化合物(I)またはその薬理上許容
される塩は、大気中に放置しておくことにより、水分を
吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合があり、
また、他のある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合
もあるが、そのような水和物または溶媒和物も本化合物
(I)およびその薬理上許容される塩に包含される。
【0020】このような塩、水和物及び溶媒和物として
は、好適には、ナトリウム塩、塩酸塩、硫酸塩、炭酸
塩、水和物またはエタノール和物であり、最も好適に
は、炭酸塩、水和物またはエタノール和物である。
【0021】式(I−)で表わされる化合物は、式
(I)で表わされる1−メチルカルバペネム化合物の1
/2炭酸塩・1/2エタノール和物であり、式(I−
)で表わされる化合物は、式(I)で表わされる1−
メチルカルバペネム化合物の1/2エタノール和物であ
り、式(I−)で表わされる化合物は、式(I)で表
わされる1−メチルカルバペネム化合物の1/4エタノ
ール・3/2水和物である。
【0022】本発明の結晶は、その内部構造が三次元的
に構成原子(又はその集団)の規則正しい繰り返しでで
きている固体をいい、そのような規則正しい内部構造を
持たない無定形の固体とは区別される。
【0023】同じ化合物の結晶であっても、結晶化の条
件によって、複数の異なる内部構造及び物理化学的性質
を有する結晶(結晶多形)が生成することがあるが、本
発明の結晶は、これら結晶多形のいずれであってもよ
く、2以上の結晶多形の混合物であっても良い。
【0024】式(I−)で表わされる1−メチルカル
バペネム化合物の結晶は、銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折におい
て、面間隔d= 6.65, 5.68, 4.86, 4.57及び4.03オン
グストロームに主ピークを示す。ここで主ピークは、面
間隔d=4.57オングストロームを示すピークの強度を10
0としたときの相対強度が74以上のピークである。
【0025】式(I−)で表わされる1−メチルカル
バペネム化合物の結晶は、銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折におい
て、面間隔d= 10.57, 7.12, 5.34, 5.23, 4.91及び4.
26オングストロームに主ピークを示す。ここで主ピーク
は、面間隔d=4.91オングストロームを示すピークの強
度を100としたときの相対強度が56以上のピークであ
る。
【0026】式(I)で表わされる1−メチルカルバペ
ネム化合物の結晶は、銅のKα線(波長λ=1.54オング
ストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、
面間隔d= 8.07, 5.08, 4.89, 4.44, 4.39及び4.19オ
ングストロームに主ピークを示す。ここで主ピークは、
面間隔d=5.08オングストロームを示すピークの強度を
100としたときの相対強度が48以上のピークである。
【0027】式(I−)で表わされる1−メチルカル
バペネム化合物の結晶は、銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折におい
て、面間隔d= 7.02, 4.90, 4.64, 4.59及び4.03オン
グストロームに主ピークを示す。ここで主ピークは、面
間隔d=7.02オングストロームを示すピークの強度を10
0としたときの相対強度が65以上のピークである。
【0028】
【発明の実施の形態】式(I)で表わされる1−メチル
カルバペネム化合物は特開平10−204086号及び
特開平11−071277号公報に開示された方法又は
それに準ずる方法に従って製造することができる。
【0029】本発明の結晶は、例えば、化合物(I)ま
たはその薬理上許容される塩を適当な溶媒(良溶媒)に
溶解し、必要に応じて濃縮し、必要に応じて貧溶媒を加
え、必要に応じて冷却する等して、化合物(I)または
その薬理上許容される塩を過飽和状態に導き、結晶を析
出させ、次いで、析出した結晶を単離し、乾燥させるこ
とによって達成される。
【0030】結晶の析出は、反応容器中で自然に開始し
得るが、種結晶の接種、超音波刺激、反応器の表面を擦
る等の機械的刺激を与えることによっても開始又は促進
させることができる。
【0031】化合物(I)の薬理状許容される塩は、好
適には塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩であり、最も好適には炭
酸塩である。薬理上許容される塩は、化合物(I)の溶
液に所望の塩を形成する酸若しくは塩基を必要量加える
ことによって生成させることができる。
【0032】化合物(I)またはその薬理上許容される
塩の溶液を取り扱う場合、化合物(I)の分解を抑える
ため、通常0乃至60℃の温度で取り扱うことが好まし
い。
【0033】結晶化させる為の冷却温度としては0乃至
10℃が好適である。
【0034】化合物(I)またはその薬理上許容される
塩の溶液を濃縮する方法としては、例えば、ロータリー
エバポレータ等を用いて常圧若しくは減圧下で加温しな
がら溶媒を蒸発させて濃縮する方法、逆浸透膜を用いて
濃縮する方法などがある。水溶液の濃縮に使用する逆浸
透膜としては、例えばポリアクリロニトリル系膜、ポリ
ビニルアルコール系膜、ポリアミド系膜、酢酸セルロー
ス系膜等から選択することができる。
【0035】化合物(I)またはその薬理上許容される
塩の良溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、メタノールを挙げることが
できるが、好適には水である。
【0036】化合物(I)またはその薬理上許容される
塩の貧溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノー
ル、ブタノールのような炭素数2乃至4個のアルコール
類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテ
ル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類を挙
げることができるが、好適にはエタノールまたはアセト
ンであり、最も好適にはエタノールである。
【0037】出発原料の化合物(I)は凍結乾燥粉末と
して既に単離したものを用いてもよいが、結晶化により
精製することも可能であるので、化合物(I)を含む合
成反応粗生成物の溶液を使用することもできる。
【0038】過飽和状態は、例えば、化合物(I)の水
溶液を30乃至60℃の加温下に飽和状態まで濃縮し、
0乃至10℃まで、徐々に冷却することによって、或い
は、飽和状態の水溶液にエタノールまたはアセトンのよ
うな貧溶媒を徐々に加え、必要に応じて冷却することに
よって得ることができる。
【0039】本発明の結晶は、好適には、化合物(I)
またはその薬理上許容される塩を含む水溶液を濃縮し、
必要に応じて貧溶媒を加え、必要に応じて冷却すること
によって析出する。
【0040】更に好適には、化合物(I)またはその薬
理上許容される塩を含む水溶液を濃縮し、必要に応じて
エタノールまたはアセトンを加え、必要に応じて冷却す
ることによって析出する。
【0041】最も好適には、化合物(I−)の結晶
は、化合物(I)の水溶液を濃縮し、炭酸ガスで飽和
し、エタノールを加えて冷却することによって析出し;
化合物(I−)の結晶は、化合物(I)の水溶液を濃
縮し、エタノールを加えて冷却する(好ましくは超音波
刺激を加える)ことによって析出し;化合物(I)の結
晶は、化合物(I)の水溶液を濃縮し、冷却することに
よって析出し;化合物(I−)の結晶は、化合物
(I)の水溶液を濃縮し、エタノールを加えて冷却する
ことによって析出する。
【0042】析出した結晶は、例えば、濾過、遠心分
離、または傾斜法によって単離することができる。単離
した結晶は、必要に応じて、適当な溶媒で洗浄してもよ
い。洗浄は、まず結晶化に用いた溶媒で行ない、次いで
エタノール、アセトン、エーテル等の溶媒を用いて行な
うのが好ましい。
【0043】単離した結晶は、通常10乃至50℃の温
度で、好ましくは20乃至30℃の温度で、重量がほぼ
一定になるまで乾燥させる。結晶の乾燥は、必要に応じ
て、シリカゲル、塩化カルシウムのような乾燥剤の存在
下、または、減圧下で行なうこともできる。
【0044】このようにして得られた化合物(I−
)、(I−)、(I)及び(I−)の結晶は、実
用的に取り扱いやすい安定な結晶であり、特開平11−
071277号公報に記載された化合物(I)の凍結乾
燥粉末と比較して、著しく保存安定性の改善が認められ
た。
【0045】本発明の結晶は、グラム陽性菌、グラム陰
性菌及び嫌気性菌に対して、セファロスポリナーゼ生産
菌も含めて、幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌活性を
示す。その抗菌活性を寒天平板希釈法により測定したと
ころ、例えば、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブ
ドウ球菌、肺炎球菌、腸球菌などのグラム陽性菌、大腸
菌、赤痢菌、肺炎桿菌、変形菌、セラチア、エンテロバ
クター、緑膿菌などのグラム陰性菌及びバクテロイデス
フラジリスのような嫌気性菌を包含する広範囲な病原菌
に対して、強力な抗菌活性を示した。更に、慢性胃炎や
消化性潰瘍において高率に検出されるヘリコバクターピ
ロリ菌に対しても強力な抗菌活性を示した。
【0046】本発明の結晶は、適当な溶剤に溶解してマ
ウスに投与したところ、従来の同系薬剤に比べて長い血
中濃度半減期を示し、高い尿中回収率を示した。
【0047】また、本発明の結晶は、黄色ブドウ球菌、
肺炎球菌、大腸菌または緑膿菌によるマウス全身感染に
おいて、皮下投与により優れた感染治療効果を示した。
従って、本発明の結晶は、医薬(特に、抗菌剤)、及
び、その製造原末として有用である。
【0048】本発明の結晶は、医薬(特に抗菌剤)とし
て使用する場合には、それ自体あるいは適宜の薬理学的
に許容される、賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプ
セル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等により経口
的に、注射剤等により非経口的に、又は軟膏剤等により
局所的に投与することができる。
【0049】これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、
白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビットのような糖誘
導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デ
ンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのよ
うなデンプン誘導体;結晶セルロ−ス、低置換度ヒドロ
キシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメ
チルセルロ−スカルシウム、内部架橋カルボキシメチル
セルロ−スナトリウムのようなセルロ−ル誘導体;アラ
ビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合
成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム
のような珪酸塩誘導体;リン酸カルシウムのようなリン
酸塩誘導体;炭酸カルシウムのような炭酸塩誘導体;硫
酸カルシウムのような硫酸塩誘導体等)、結合剤(例え
ば、前記の賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;
マクロゴ−ル等)、崩壊剤(例えば、前記の賦形剤;ク
ロスカルメロ−スナトリウム、カルボキシメチルスタ−
チナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学
修飾された、デンプン、セルロ−ス誘導体等)、滑沢剤
(例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸
金属塩;コロイドシリカ;ビ−ガム;ビーズワックス、
ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコ−ル;フマ
ル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナト
リウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウ
ムのような硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸
塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;前記の賦形
剤におけるデンプン誘導体等)、安定剤(例えば、メチ
ルパラベン、プロピルバラベンのようなパラオキシ安息
香酸エステル類;クロロブタノ−ル、ベンジルアルコ−
ル、フェニルエチルアルコ−ルのようなアルコ−ル類;
塩化ベンザルコニウム;フェノ−ル、クレゾ−ルのよう
なフェノ−ル類;チメロサ−ル;無水酢酸;ソルビン酸
等)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、
酸味料、香料等)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベ−ト
80、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム等)、希
釈剤、製剤用溶剤(例えば、水、エタノ−ル、グリセリ
ン等)、溶解補助剤(非イオン性界面活性剤、アニオン
性界面活性剤等)、局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸
メビバカイン等)等の添加物を用いて周知の方法で製造
される。
【0050】経口的投与に適した剤形としては、例え
ば、錠剤、コーティング剤、カプセル剤、トローチ剤、
散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤等の固体製
剤、或いはシロップ剤等の液体製剤を挙げることができ
る。非経口投与に適した剤形としては、例えば、注射
剤、点滴剤、座剤等を挙げることができる。また、局所
投与に適した剤形としては、例えば、軟膏剤、チンキ
剤、クリーム剤、ゲル剤等を挙げることができる。これ
らの製剤は製剤学の分野でそれ自体公知の方法で調整す
ることができる。
【0051】本発明の結晶性1−メチルカルバペネム化
合物は、特に注射剤または点滴剤の形態で非経口的に投
与するのが好適である。その投与量は、年齢、体重、症
状によって異なるが、通常、成人に対して1日当り下限
10mg(好適には、50mg)、上限6000mg
(好適には、4000mg)を、1乃至4回に分けて投
与することができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例、参考例、試験例、及び製剤例
を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、実施例及
び参考例の核磁気共鳴スペクトルにおいて、重水中での
測定ではテトラメチルシラン、その他の溶媒中の測定で
は3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウムを
内部標準物質として使用した。
【0053】また、化学構造式において次の略記号を使
用した。
【0054】PNB:4−ニトロベンジル基PNZ:4
−ニトロベンジルオキシカルボニル基。
【0055】実施例1(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−(2−グアニジノアセチルアミノ)ピ
ロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジ
ン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシ
エチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3
−カルボン酸・1/2炭酸塩・1/2エタノール
【0056】
【化11】
【0057】(1R,5S,6S)−2−[(2S,4
S)−2−[(3S)−3−[2−[2,3−ビス(4
−ニトロベンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセ
チルアミノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]−1−
メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)−
1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペン
−2−エム−3−カルボン酸 4−ニトロベンジルエス
テル(9.4g)のテトラヒドフラン(235ml)−水
(140ml)溶液に7.5%パラジウム−炭素(53.
1%水含有)(9.4g)を加え、35℃で撹拌しなが
ら水素を2時間吸収させた。触媒を濾別し、濾液をエー
テルで洗浄した後、減圧でエーテルとテトラヒドロフラ
ンを留去した。残留物を逆相カラムクロマトグラフィー
[コスモシール75C18PREP(ナカライテスク
製)]に付し、アセトニトリル−水で溶出した。所望の
化合物を含む画分を合わせて約50mlまで減圧濃縮し、
エタノール(100ml)とドライアイスを加え、氷冷却
下静置した。析出した結晶を濾取、エタノール:水=
2:1、エタノール、エーテルの順で洗浄、乾燥し、無
色結晶の標記化合物(3.15g)を得た。
【0058】融点 228-233℃(分解)。
【0059】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm-1:
3331, 2968, 2875, 2791, 1755, 1669, 1637, 1453, 13
86, 1339, 1312, 1283, 1254. 核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, D2O) δppm: 1.13-1.
24 (4.5H, m), 1.30 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.57-1.72 (1
H, m), 1.93-2.10 (1H, m), 2.15-2.35 (1H, m), 2.27,
2.29 (3H, s×2), 2.68-2.88 (2H, m), 3.09 (1H, d,
J=10.6 Hz), 3.29-3.73 (7H, m), 3.75-3.93 (2H, m),
4.01 (2H, s), 4.12-4.30 (2H, m), 4.38-4.50 (1H,
m). 元素分析(C23H35N7O6S・1/2H2CO3・1/2C2H6Oとして計
算) 計算値:C, 49.73%; H, 6.64%; N, 16.57%; S, 5.42%. 実測値:C, 49.57%; H, 6.86%; N, 16.68%; S, 5.47%. 粉末X線回折パターン: 銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パター
ンを図1に示す。尚、粉末X線回折パターンのたて軸は
回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は
回折角度2θの値で示す。なお、面間隔dは式 2d s
inθ = nλにおいてn=1として算出することができ
る。
【0060】実施例2(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−(2−グアニジノアセチルアミノ)ピ
ロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジ
ン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシ
エチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3
−カルボン酸・1/2エタノール
【0061】
【化12】
【0062】(1R,5S,6S)−2−[(2S,4
S)−2−[(3S)−3−[2−[2,3−ビス(4
−ニトロベンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセ
チルアミノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]−1−
メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)−
1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペン
−2−エム−3−カルボン酸 4−ニトロベンジルエス
テル(10.00g)のテトラヒドフラン(250m
l)−水(150ml)溶液に7.5%パラジウム−炭
素(53.1%水含有)(10.00g)を加え、35
℃で撹拌しながら水素を2時間吸収させた。触媒を濾別
し、濾液をエーテルで洗浄した後、メンブレンフィルタ
ーで濾過してから、約50mlまで減圧濃縮した。残留
物に、エタノール100mlを加え、超音波にて刺激し
結晶を析出させた後、氷冷却下静置した。析出した結晶
を濾取、エタノール:水=2:1、エタノール、エーテ
ルの順で洗浄、乾燥し、無色結晶の標記化合物(3.3
0g)を得た。
【0063】融点 235-250℃(分解)。
【0064】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm-1:
3405, 3344, 3273, 3207, 2969, 2883, 2795, 1760, 1
673, 1644, 1591, 1553, 1452, 1415, 1381, 1370, 134
1, 1311, 1283, 1255. 核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, D2O) δppm: 1.15-1.
25 (4.5H, m), 1.30 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.57-1.72 (1
H, m), 1.93-2.13 (1H, m), 2.15-2.35 (1H, m), 2.27,
2.29 (3H, s×2), 2.68-2.88 (2H, m), 3.08 (1H, d,
J=10.7 Hz), 3.29-3.73 (7H, m), 3.75-3.93 (2H, m),
4.01 (2H, s), 4.16-4.31 (2H, m), 4.37-4.49 (1H,
m). 元素分析(C23H35N7O6S・1/2C2H6Oとして計算) 計算値:C, 51.41%; H, 6.83%; N, 17.49%; S, 5.72%. 実測値:C, 51.13%; H, 6.96%; N, 17.17%; S, 5.72%. 粉末X線回折パターン: 銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パター
ンを図2に示す。尚、粉末X線回折パターンのたて軸は
回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は
回折角度2θの値で示す。なお、面間隔dは式 2d s
inθ = nλにおいてn=1として算出することができ
る。
【0065】実施例3(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−(2−グアニジノアセチルアミノ)ピ
ロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジ
ン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシ
エチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3
−カルボン酸・1/2エタノール
【0066】
【化13】
【0067】(1R,5S,6S)−6−[(1R)−
1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−[(2S,
4S)−1−メチル−2−[(3S)−3−[2−[3
−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)グアニジ
ノ]アセチルアミノ]ピロリジン−1−イルカルボニ
ル]ピロリジン−4−イルチオ]−1−カルバペン−2
−エム−3−カルボン酸 4−ニトロベンジルエステル
(112mg)のテトラヒドフラン(2.2ml)−水
(2.2ml)溶液に7.5%パラジウム−炭素(5
3.1%水含有)(112mg)を加え、35℃で撹拌
しながら水素を2時間吸収させた。触媒を濾別し、濾液
をエーテルで洗浄した後、メンブレンフィルターで濾過
してから、約1mlまで減圧濃縮した。残留物に、エタノ
ール2mlを加え、超音波にて刺激し結晶を析出させた
後、氷冷却下、静置した。析出した結晶を濾取、エタノ
ール:水=2:1、エタノール、エーテルの順で洗浄、
乾燥し、無色粉末結晶の標記化合物(45mg)を得
た。このものは、融点、赤外線吸収スペクトル、核磁気
共鳴スペクトル、元素分析及び粉末X線回折において実
施例2で得られた化合物に一致した。
【0068】実施例4(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−(2−グアニジノアセチルアミノ)ピ
ロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジ
ン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシ
エチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3
−カルボン酸
【0069】
【化14】
【0070】(1) (1R,5S,6S)−2−
[(2S,4S)−2−[(3S)−3−(2−グアニ
ジノアセチルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニ
ル]−1−メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−
[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1
−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸・1/2エタ
ノール(680mg)を水(35ml)に溶解し、メン
ブレンフィルターにて濾過、濾液を約3mlまで減圧濃
縮し0℃で一夜静置した。析出した結晶を濾取、少量の
冷水で洗浄した後、乾燥して無色結晶の標記化合物(2
94mg)を得た。
【0071】融点 235-250℃(分解)。
【0072】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm-1:
3327, 3177, 3068, 2970, 2904, 2880, 2820, 1751, 16
81, 1654, 1629, 1594, 1572, 1536, 1481, 1440, 142
3, 1382, 1336, 1314, 1286, 1264. 核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, D2O) δppm: 1.20 (3
H, dd, J=7.2, 2.2 Hz), 1.30 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.5
7-1.72 (1H, m), 1.93-2.13 (1H, m), 2.15-2.35 (1H,
m), 2.27, 2.29 (3H, s×2), 2.68-2.88 (2H, m), 3.09
(1H, d, J=10.5 Hz), 3.29-3.73 (6H, m), 3.75-3.93
(2H, m), 4.01 (2H, s), 4.16-4.31 (2H, m), 4.37-4.4
9 (1H, m). 元素分析(C23H35N7O6Sとして計算) 計算値:C, 51.38%; H, 6.56%; N, 18.24%; S, 5.96%. 実測値:C, 51.14%; H, 6.85%; N, 18.26%; S, 6.04%. 粉末X線回折パターン: 銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パター
ンを図3に示す。尚、粉末X線回折パターンのたて軸は
回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は
回折角度2θの値で示す。なお、面間隔dは式 2d s
inθ = nλにおいてn=1として算出することができ
る。 (2) 実施例3と同じスケールの同様な反応を行い、
得られた濃縮液(約1ml)に実施例4−(1)で得ら
れた少量の無色結晶を加え、0℃で一夜静置した。析出
した結晶を濾取、少量の冷水で洗浄した後、乾燥して標
記化合物(20mg)を得た。
【0073】実施例5(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−(2−グアニジノアセチルアミノ)ピ
ロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジ
ン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシ
ルエチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−
3−カルボン酸・1/4エタノール・3/2水和物
【0074】
【化15】
【0075】(1R,5S,6S)-6-[(1R)-1-ヒドロ
キシエチル]-1-メチル-2-[(2S,4S)-1-メチル-2-
[(3S)-3-[2-[3-(4-ニトロベンジルオキシカルボ
ニル)グアニジノ]アセチルアミノ]ピロリジン−1−
イルカルボニル]ピロリジン-4-イルチオ]-1-カルバペ
ン-2-エム-カルボン酸 4-ニトロベンジルエステル(2
20g)のテトラヒドロフラン(2200ml)-水
(2200ml)溶液に7.5%パラジュウム−炭素
(53.1%水含有)(220g)を加え30℃で攪拌し
ながら水素を2時間吸収させた。触媒を濾別し、濾液を
酢酸エチルで洗浄した後、メンブレンフイルターで濾過
してから約600mlまで濃縮した。残留物にエタノ−
ル1800mlを加え、攪拌下結晶を析出した後、氷冷
下静置した。析出した結晶を濾取、エタノ−ル:水=
3:1、エタノールの順で洗浄、乾燥し、無色結晶の標記
化合物(40.0g)を得た。
【0076】融点 226-245℃(分解) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax cm-1:3409, 3345. 3
275, 3185, 2967, 2884, 1761, 1674, 1644, 1586, 155
1, 1452, 1415, 1380, 1369, 1340, 1282, 1254. 核磁器共鳴スペクトル(400MHz,D2O)δppm: 1.17-1.21
(4.7H, m), 1.30 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.57-1.70 (1H,
m), 1.95-2.08 (1H, m), 2.18-2.31 (1H, m),2.27, 2.
29, (3H, s×2), 2.70-2.87 (2H, m), 3.08 (1H, d, J=
10.8 Hz), 3.31-3.72 (7H, m), 3.76-3.92 (2H, m), 4.
00 (2H, S), 4.18-4.28 (2H m), 4.39-4.48 (1H,m). 元素分析(C23H35N7O6S・1/4C2H6O・3/2H2Oとして計算) 計算値:C,48.99%; H,6.91%; N,17.02%; S,5.56%. 実測置:C,48.35%; H,6.47%; N,17.23%; S,5.67%. 粉末X線回折パターン: 銅のKα線(波長λ=1.54オ
ングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パター
ンを図4に示す。尚、粉末X線回折パターンのたて軸は
回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は
回折角度2θの値で示す。なお、面間隔dは式 2d s
inθ = nλにおいてn=1として算出することができ
る。
【0077】参考例1(1R,5S,6S)−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−[2−[2,3−ビス(4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセチルアミ
ノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピ
ロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)−1−ヒド
ロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペン−2−エ
ム−3−カルボン酸 4−ニトロベンジルエステル
【0078】
【化16】
【0079】(2S,4S)―4−アセチルチオ−2−
[(3S)−3−[2−[2,3−ビス(4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセチルアミ
ノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピ
ロリジン(4.3g)のN,N−ジメチルホルムアミド
(86ml)溶液にヒドラジン・酢酸(652mg)を
加え室温で4時間撹拌した。反応混合物に(1R,5
R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]
−1−メチル−2−ジフェニルホスホリルオキシ−1−
カルバペン−2−エム−3−カルボン酸 4−ニトロベ
ンジルエステル(3.53g)とN,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン(1.34ml)を加え−30℃で3日
間反応した。反応混合物を1%炭酸水素ナトリウム水溶
液に加え、析出した結晶を濾取、水洗した。得られた粉
末を、テトラヒドロフラン:酢酸エチル=3:7に溶解
し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で
洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し
た。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1
0%メタノール/酢酸エチル、続いて20%メタノール/
酢酸エチル)で精製、更に、テトラヒドロフランに溶解
し、酢酸エチル:エーテル=1:1にて再沈殿すること
により、淡黄色粉末の標記化合物(4.02g)を得
た。
【0080】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm
-1 :3336, 1772, 1741, 1688, 1643, 1610, 1522, 144
7, 1378, 1347. 核磁気共鳴スペクトル (270 MHz, CDCl3) δppm : 1.17
-1.40 (6H, m), 1.64-2.40 (4H, m), 2.33 (3H, s), 2.
47-2.80 (2H, m), 3.00-3.38 (3H, m), 3.46-3.83 (5H,
m), 3.93-4.60 (5H, m), 5.12-5.54 (6H. m), 7.21 (1
H, d, J=6.5 Hz), 7.46-7.70 (6H, m), 8.10-8.28 (6H,
m), 8.80-9.10 (1H, br), 11.60 (1H,br). 参考例2(1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−1−メチル−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−[2−[3−(4−ニトロベンジルオ
キシカルボニル)グアニジノ]アセチルアミノ]ピロリ
ジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジン−
4−イルチオ]−1−カルバペン−2−エム−3−カル
ボン酸 4−ニトロベンジルエステル
【0081】
【化17】
【0082】(1) (2S,4S)―4−アセチルチ
オ−1−メチル−2−[(3S)−3−[2−[3−
(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)グアニジノ]
アセチルアミノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]ピ
ロリジン(1.5g)のメタノール(30ml)溶液に
28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液(0.5
ml)を室温で加え1時間撹拌した。反応後、反応液に
1N塩酸(2.73ml)を加え減圧濃縮した。残留物
は、逆相カラムクロマトグラフィー[コスモシール75
C18PREP(ナカライテスク製)]に付し、アセト
ニトリル-水で溶出した。所望の化合物を含む画分を合
わせて減圧濃縮した。残留物は、酢酸エチル−イソプロ
ピルエーテルにて粉末化、濾取して粉末の(2S,4
S)―4−メルカプト−1−メチル−2−[(3S)−
3−[2−[3−(4−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)グアニジノ]アセチルアミノ]ピロリジン−1−イ
ルカルボニル]ピロリジン(806mg)を得た。
【0083】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm
-1 :3391, 3307, 3112, 3078, 2949, 2877, 2786, 173
2, 1639, 1548, 1522, 1448, 1380, 1347, 1291, 1211,
1154, 1109. 核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, CDCl3) δppm : 1.64
-2.15 (3H, m), 2.20-2.86 (5H, m), 2.93-3.93 (9H,
m), 4.16-4.35 (1H, m), 5.12 (2H. s), 6.70-6.90 (1
H, br), 7.00-7.85 (1H, br), 7.59 (2H, d, J=8.5 H
z), 8.23 (2H, d, J=8.5Hz), 8.18-8.40 (1H, br). (2) 参考例2−(1)の化合物(500mg)の
N,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、氷冷
下N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.17m
l)と(1R,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒ
ドロキシエチル]−1−メチル−2−ジフェニルホスホ
リルオキシ−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン
酸 4−ニトロベンジルエステル(585mg)を加
え、0℃で一夜反応した。反応終了後、反応混合物に、
酢酸エチルとテトラヒドロフランを加え、10%食塩水
で洗浄し、減圧濃縮した。残留物は、逆相カラムクロマ
トグラフィー[コスモシール75C18PREP(ナカ
ライテスク)]に付し、アセトニトリル−水で溶出し
た。所望の化合物を含む画分を合わせて減圧濃縮した。
残留物は、イソプロピルエーテルにて粉末化、濾取して
淡黄色粉末の標記化合物(524mg)を得た。
【0084】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax cm
-1 :3384, 3113, 3080, 2970, 2875, 2789, 1770, 164
3, 1609, 1522, 1450, 1379, 1346, 1322, 1287, 1209,
1181, 1136, 1109. 核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, CDCl3) δppm : 1.08
-2.22 (6H, m), 1.75-2.26 (6H, m), 2.44-2.76 (2H,
m), 2.89-3.00 (1H, m), 3.03-3.15 (1H, m), 3.18-3.6
5 (6H, m), 3.68-3.90 (3H, m), 3.93-4.06 (1H, m),
4.13-4.35 (2H, m), 5.05-5.15 (2H, m), 5.30, 5.45
(each 1H, d, J=14.1), 7.58 (2H. dd, J=8.8, 2.7 H
z), 7.74 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.18-8.33 (4H, m). 参考例3(1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−1−メチル−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−[2−[3−(4−ニトロベンジルオ
キシカルボニル)グアニジノ]アセチルアミノ]ピロリ
ジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジン−
4−イルチオ]−1−カルバペン−2−エム−3−カル
ボン酸 4−ニトロベンジルエステル
【0085】
【化18】
【0086】(2S,4S)―4−アセチルチオ−1−
メチル−2−[(3S)−3−[2−[3−(4−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセチルア
ミノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]ピロリジン
(500mg)のエタノール(5ml)溶液に4N塩化
水素/酢酸エチル(2.7ml)を加え50℃で3時間
撹拌した。反応混合物にエーテルを加え析出した粉末を
デカンテーションにより分離して、減圧乾燥した。得ら
れた粉末をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)
に溶解し、氷冷下N,N−ジイソプロピルエチルアミン
(0.63ml)と(1R,5R,6S)−6−[(1
R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−ジフ
ェニルホスホリルオキシ−1−カルバペン−2−エム−
3−カルボン酸 4−ニトロベンジルエステル(541
mg)を加え一夜反応した。反応終了後、反応混合物を
1%炭酸水素ナトリウム水溶液に加え析出した粉末を濾
取、水洗、乾燥した。得られた粗粉末を、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(30%メタノール/酢酸エチ
ル、続いて50%メタノール/酢酸エチル)に付し、標
記化合物(446mg)を得た。このものは、赤外線吸
収スペクトル及び核磁気共鳴スペクトルにおいて参考例
2−(2)で得られた化合物に一致した。
【0087】参考例4(1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−1−メチル−2−[(2S,4S)−2−
[(3S)−3−[2−[3−(4−ニトロベンジルオ
キシカルボニル)グアニジノ]アセチルアミノ]ピロリ
ジン−1−イルカルボニル]−1−メチルピロリジン−
4−イルチオ]−1−カルバペン−2−エム−3−カル
ボン酸 4−ニトロベンジルエステル
【0088】
【化19】
【0089】(2S,4S)―4−アセチルチオ−1−
メチル−2−[(3S)−3−[2−[3−(4−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)グアニジノ]アセチルア
ミノ]ピロリジン−1−イルカルボニル]ピロリジン
(1.00g)のメタノール(20ml)溶液に0℃で
ナトリウムメチラート(98.3mg)を加え1時間撹
拌した。反応後、反応液に4N塩化水素/酢酸エチル
(0.46ml)を加え減圧濃縮した。残留物はN,N
−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液に溶解し、氷
冷下(1R,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒド
ロキシエチル]−1−メチル−2−ジフェニルホスホリ
ルオキシ−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸
4−ニトロベンジルエステル(1.08g)とN,N
−ジイソプロピルエチルアミン(0.32ml)のN,
N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液に加え、0
℃で一夜反応した。反応終了後、反応混合物を1%炭酸
水素ナトリウム水溶液に加え析出した粉末を濾取、水
洗、乾燥した。得られた粗粉末を、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(メタノール:酢酸エチル=1:3、
続いてメタノール:酢酸エチル=1:2)に付し、標記
化合物(975mg)を得た。このものは、赤外線吸収
スペクトル及び核磁気共鳴スペクトルにおいて参考例2
−(2)で得られた化合物に一致した。
【0090】(試験例1)安定性試験 本発明の方法で製造した実施例1、実施例2、実施例4
及び実施例5の化合物の結晶および対照として特開平1
1−071277号に記載されている方法で得られる無
晶形粉末(凍結乾燥品)を40℃、相対湿度75%のデ
シケータ中、及び60℃、シリカゲルデシケーター中に
保存し、経時的に残存率を測定した。結果を表1乃至4
に示す。
【0091】化合物の残存率(%)は高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて測定した化合物の残存
量から求めた。
【0092】カラム:化学品検査協会製L-Column ODS
(4.6 mmφ×150 mm) 移動相:20 mM KH2PO4 (pH 7.0) : CH3CN = 96 : 4 流量 :1.0 mL/min 検出 :UV 300nm カラム温度:60℃
【0093】
【表1】 40℃、相対湿度75%デシケーター中での安定性(1) ---------------------------------------------------------------- 化合物 化合物の残存率(%) 20日 56日 ---------------------------------------------------------------- 実施例1で得られた結晶 98.5 92.9 実施例2で得られた結晶 95.8 87.3 実施例4で得られた結晶 99.4 94.3 無晶形粉末(凍結乾燥品) 30.2 0.3 ----------------------------------------------------------------
【0094】
【表2】 60℃、シリカゲルデシケーター中での安定性(1) ---------------------------------------------------------------- 化合物 化合物の残存率(%) 21日 56日 ---------------------------------------------------------------- 実施例1で得られた結晶 98.5 96.4 実施例2で得られた結晶 100.1 96.8 実施例4で得られた結晶 100.4 100.9 無晶形粉末(凍結乾燥品) 74.1 56.5 ----------------------------------------------------------------
【0095】
【表3】 40℃、相対湿度75%デシケーター中での安定性(2) ---------------------------------------------------------------- 化合物 化合物の残存率(%) 7日 28日 56日 ---------------------------------------------------------------- 実施例5で得られた結晶 98.9 94.6 83.2 ----------------------------------------------------------------
【0096】
【表4】 60℃、シリカゲルデシケーター中での安定性(2) ---------------------------------------------------------------- 化合物 化合物の残存率(%) 7日 28日 56日 ---------------------------------------------------------------- 実施例5で得られた結晶 98.3 97.0 97.6 ---------------------------------------------------------------- 表1及び表3の結果、化合物(I)の無晶形粉末(凍結
乾燥品)は、40℃、加湿状態で極めて安定性が低く、
20日後には30.2%、56日後には0.3%の含量に
低下した。これに対し、本発明の結晶は、同条件で83
%以上の残存率を示した。
【0097】表2及び表4の結果、化合物(I)の無晶
形粉末(凍結乾燥品)は、60℃、乾燥状態でも安定性
が低く、21日後には74.1%、56日後には56.5
%程度の含量に低下した。これに対し、本発明の結晶
は、同条件で96%以上の残存率を示した。
【0098】これらの結果から、本発明の結晶は先行技
術の無晶形粉末(凍結乾燥品)と比較して極めて優れた
保存安定性を示す。
【0099】(試験例2) 抗菌活性試験本発明の実施
例1、実施例2、実施例4及び実施例5で得られた化合
物の結晶について、各種病原菌に対する抗菌活性(最小
発育阻止濃度:MIC μ/ml)を寒天平板希釈法に
よって測定した。結果を表5に示す。
【0100】
【表5】 抗菌活性 (MIC, μg/ml) -------------------------------------------------------------------- 病原菌 化合物の結晶 実施例1 実施例2 実施例4 実施例5 -------------------------------------------------------------------- Staphylococcus aureus 209P ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 S. aureus 535 (MRSA) 1.5 1.5 1.5 1.5 Escherichia coli NIHJ ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 E. coli 609 0.02 ≦0.01 0.02 ≦0.01 Klebsiella pneumoniae 806 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 K. pneumoniae 846 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 Enterobacter cloacae 963 0.05 0.05 0.05 0.05 Serratia marcescens 1184 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 ≦0.01 Pseudomonas aeruginosa 1001 0.2 0.2 0.2 0.39 -------------------------------------------------------------------- (製剤例1)注射剤 実施例1の化合物の結晶250mgを無菌的にバイヤル
に充填し封栓する。本製剤には必要に応じて、塩酸リド
カイン等の局所麻酔剤など公知の医薬添加物を配合する
ことができる。本製剤は、投与時に注射用蒸留水等の溶
媒に溶解して使用する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(1R,5S,6S)−2−[(2
S,4S)−2−[(3S)−3−(2−グアニジノア
セチルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]−1
−メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボン酸・1/2炭酸塩・1/2
エタノール(I−)の結晶について、銅のKα線(波
長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X
線回折パターンである。尚、粉末X線回折パターンのた
て軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、
横軸は回折角度2θの値で示す。
【図2】図2は、(1R,5S,6S)−2−[(2
S,4S)−2−[(3S)−3−(2−グアニジノア
セチルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]−1
−メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボン酸・1/2エタノール(I
−)の結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オン
グストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターン
である。尚、粉末X線回折パターンのたて軸は回折強度
をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度
2θの値で示す。
【図3】図3は、(1R,5S,6S)−2−[(2
S,4S)−2−[(3S)−3−(2−グアニジノア
セチルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]−1
−メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボン酸(I)について、銅のK
α線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られ
る結晶の粉末X線回折パターンである。尚、粉末X線回
折パターンのたて軸は回折強度をカウント/秒(cp
s)単位で示し、横軸は回折角度2θの値で示す。
【図4】図4は、(1R,5S,6S)−2−[(2
S,4S)−2−[(3S)−3−(2−グアニジノア
セチルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]−1
−メチルピロリジン−4−イルチオ]−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボン酸・1/4エタノール・3
/2水和物(I−)の結晶について、銅のKα線(波
長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X
線回折パターンである。尚、粉末X線回折パターンのた
て軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、
横軸は回折角度2θの値で示す。
フロントページの続き (72)発明者 福原 浩 神奈川県平塚市四之宮1丁目12番1号 三 共株式会社内 Fターム(参考) 4C050 KA18 KB05 KB13 KB16 KC08 4C086 AA01 CC08 GA12 GA14 GA15 MA01 MA04 NA06 NA14 ZB35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 【化1】 で表わされる1−メチルカルバペネム化合物またはその
    薬理上許容される塩の結晶を有効成分として含有する抗
    菌剤。
  2. 【請求項2】式(I−) 【化2】 で表わされる1−メチルカルバペネム化合物の結晶を有
    効成分として含有する抗菌剤。
  3. 【請求項3】式(I−) 【化3】 で表わされる1−メチルカルバペネム化合物の結晶を有
    効成分として含有する抗菌剤。
  4. 【請求項4】式(I) 【化4】 で表わされる1−メチルカルバペネム化合物の結晶を有
    効成分として含有する抗菌剤。
  5. 【請求項5】式(I−) 【化5】 で表わされる1−メチルカルバペネム化合物の結晶を有
    効成分として含有する抗菌剤。
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