JP2002157974A - ショートアーク型カドミウムランプ - Google Patents

ショートアーク型カドミウムランプ

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JP2002157974A
JP2002157974A JP2001073658A JP2001073658A JP2002157974A JP 2002157974 A JP2002157974 A JP 2002157974A JP 2001073658 A JP2001073658 A JP 2001073658A JP 2001073658 A JP2001073658 A JP 2001073658A JP 2002157974 A JP2002157974 A JP 2002157974A
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alumina
lamp
cadmium
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arc tube
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Yoshitoku Aiura
良徳 相浦
Yukio Yasuda
幸夫 安田
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Ushio Denki KK
Ushio Inc
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Ushio Denki KK
Ushio Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カドミウムを発光物質として封入する放電ラン
プにおいて、発光管の「ひび割れ」による失透現象の発
生を良好に防止することができ、また、表面反射による
放射光量の減少も良好に防止できるショートアーク型カ
ドミウムランプを提供することである。また、放射照度
維持率の高いランプを提供することである。 【解決手段】紫外線を透過する発光管内に陰極と陽極が
対向して配置しており、この発光管内に少なくとも希ガ
スとカドミウムが封入されているショートアーク型ラン
プにおいて、発光管の内表面側にアルミナ(Al
)拡散層が施されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はカドミウムを発光
物質とするショートアーク型カドミウムランプに関す
る。特に、精密検査装置や紫外線照射装置に用いられる
ショートアーク型カドミウムランプに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体の配線デザインルールの微細化に
伴い、蛍光顕微鏡やPEEM(Photo-electron-emission-mic
rospectroscopy)の検査装置には、その解像度を上げる
為に、より短波長の光源が要求されている。この光源に
は、従来、水銀灯から放射される254nmの光が利用
されていたが、より短波長の光ということで、カドミウ
ムを発光物質として封入するランプが提案されている。
このカドミウムランプは、波長219nmにカドミウムイ
オンの共鳴線を含む波長214〜220nm付近に強い
紫外線の放射を有する。
【0003】このカドミウムランプは、石英ガラスより
なる発光管の中に電極間距離2mm〜13mmの一対の
電極を有するショートアーク型放電ランプであり、陰極
には電子放射物質であるトリウムを含むトリエーティッ
ドタングステンが使われ、陽極にはタングステンが使わ
れている。また、発光管としては石英ガラスが用いら
れ、該発光管の中には、発光管の単位容積当り0.05
mg/cm〜1mg/cmのカドミウムが発光物質
として封入され、さらに、クリプトンまたはアルゴンの
分圧が室温において1気圧以上封入されている。
【0004】しかし、このようなカドミウムを発光物質
として封入した放電ランプは、ランプ点灯中に、発光管
を構成する石英ガラスの内表面に微細なひび割れ(マイ
クロクラック)を生じ、これによりランプからの放射光
量は急速に低下してしまう。このような「ひび割れ」
は、SEM(Scanning-electron-microscope)で観察する
ことができるが、観察によれば、発光管内表面一面に微
小な窪み状があり、その中にカドミウムが存在するもの
が検出された。これは、巨視的にみると石英ガラスを曇
らせたように見え、光学的に石英ガラスを失透させるこ
とと等価の現象として見られる。このような発光管内表
面に「ひび割れ」が生じる現象は通常の水銀を発光物質
とする水銀ランプではほとんど生じるものではなく、カ
ドミウムを発光物質とした放電ランプにおいて顕著に生
ずる新規な問題といえる。また、カドミウムが発光管に
取り込まれてしまうことにより、放電により励起され発
光すべきカドミウム量が相対的に減少してしまい、更な
る照度低下を引き起こすといった問題もあった。
【0005】一方、カドミウムランプにおけるこのよう
な「ひび割れ」の問題を抑えるために、微量のハロゲン
を発光管内に添加する技術が存在する。これはハロゲン
を封入することで、ハロゲンにより紫外線を吸収させ発
光管内面に照射する量を減少させるものであるが、必要
以上に紫外線を吸収させないためにハロゲンやハロゲン
化合物を微量に封入するものである。しかし、ハロゲン
を添加すると、陰極先端付近でアークが揺らぐという別
の不具合を生じる。この原因は、ハロゲンがトリウムと
反応し、電極先端からそのトリウムが取り去られてしま
うからであると推測されている。
【0006】他方、この様な「ひび割れ」「失透現象」
という問題を解決するために、ランプ発光管の内表面に
アルミナコーティング層を設けることが知られている
(例えば、特開昭61−294752)。しかし、この
コーティング層は多結晶性の層であるので、結晶間には
粒界が必ず存在し、そのためランプからの放射光もこの
粒界界面で散乱してしまう。多数の結晶の界面間で多数
回の散乱を繰り返すことで、結果として、ランプから取
り出せる放射光の利用効率自体を大幅に低下させてしま
う。
【0007】また、波長220nm付近の光が大気中の
法線方向から入射するとき、その反射率はアルミナ単結
晶であるサファイアの場合(コーティング層の一例)は
17%であるのに対し、合成石英ガラスの場合は8%で
あることが確認されている。つまり、アルミナコーティ
ング層を設けるということは、コーティング層を設けな
いで石英ガラスのみとする場合に比べて2倍近い反射損
失を生じることを意味し、この反射光が石英ガラスを透
過するのではなく発光管内部に戻ってしまうのである。
【0008】以上のように、石英ガラス製発光管の内表
面にアルミナコーティング膜を施すことは、発光管の失
透現象はあるいは抑制することができるかもしれない
が、逆に、放射光の透過率を減少させてしまい、結果と
して、ランプの性能を低下させることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明が解
決しようとする課題は、カドミウムを発光物質として封
入する放電ランプにおいて、発光管の「ひび割れ」によ
る失透現象の発生を良好に防止することができ、また、
表面反射による放射光量の減少も良好に防止できるショ
ートアーク型カドミウムランプを提供することである。
また、放射照度維持率の高いランプを提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明のショートアーク型カドミウムランプは、
紫外線を透過する発光管内に陰極と陽極が対向して配置
しており、この発光管内に少なくとも希ガスとカドミウ
ムが封入されているショートアーク型ランプにおいて、
発光管の内表面側にアルミナ(Al)拡散層が施
されていることを特徴とする。
【0011】さらに、請求項2に係る発明は、前記アル
ミナ拡散層が発光管内表面から厚さ5μmまでの範囲に
おいて、アルミナ重量濃度(%)が、0.4以上35以
下であることを特徴とする。
【0012】また、請求項3の発明は、側管部の内面側
にAlの拡散層もしくはコーティング層が施され
ていることを特徴とする。
【0013】更に、請求項4の発明は、側管部における
アルミナ拡散層は内表面から厚さ5μmまでのAl2O3の平
均重量濃度(%)が0.4以上であることを特徴とす
る。
【0014】また、請求項5に係る発明は、前記発光管
内部には水銀を含まないことを特徴とする。
【0015】すなわち、発明者らの鋭意研究によれば、
発光管内表面にアルミナ(Al )のコーティング
層を設けるのではなく、石英ガラス製の発光管内表面に
アルミナ拡散層を設けることで、コーティング層に存在
する微結晶粒界を無くすことができるとともに、石英ガ
ラスと比較した屈折率の大きさから生じる表面反射の問
題も良好に抑えることができ、耐久性に優れたカドミウ
ムランプを提供できることを見出した。これはコーティ
ング層のように内表面に100%あるいはそれに近い高
濃度のアルミナ層を設けるのではなく、石英ガラス自体
にアルミナを拡散させて石英とアルミナの混合物の状態
を作ろうとするものである。
【0016】また、発光物質であるカドミウムが侵入す
るのは発光管の球部内表面だけではなく、側管部内表面
にも侵入し発光に寄与するカドミウムの量を相対的に減
少させ、照度維持率を低下させる原因の一つとなること
を新しく見出し、側管部内表面にアルミナの拡散層また
はコーティング層を設けることで発光管内部からカドミ
ウムが該側管部の石英ガラスへ侵入するのを防止した。
これにより、放電に関与するカドミウム量を減少させ
ず、照度維持率の高いランプを提供することが出来る。
【0017】発光管の球部に設けるのは光の透過性を確
保するためにアルミナの拡散層である必要がある。しか
し、側管部からは光を放射しないので光りの透過率は問
題にならず、カドミウムが石英ガラスに入り込むのを防
止できれば良い。つまり、拡散層、コーティング層のど
ちらでも良い。発光管の球部には拡散層を設け、側管部
にはコーティング層を設けたランプに付いて実験したと
ころ球部と側管部との両方に拡散層を設けた場合と同様
に石英ガラスへのカドミウムの浸入を防ぐ効果があるこ
とを確認できた。
【0018】発光管の球部に設ける拡散層は、石英ガラ
スの内表面付近にアルミナが、重量パーセントで0.4か
ら35までドープされた不定比化合物を形成させること
で、該拡散層による発光管の光透過率を下げることがな
く、且つランプ内に封入されたカドミウムによる発光管
の失透を防止することができる。さらに、側管部に設け
る拡散層は、石英ガラスの内表面付近にアルミナを0.4
重量パーセント以上ドープされた不定比化合物を形成さ
せることで、ランプ内に封入されたカドミウムが側管部
へ浸入するのを抑えることができる。また、側管部にお
ける拡散層のアルミナ濃度を球部に含まれるアルミナの
拡散層の上限濃度である35重量パーセント以上の高濃度
にするには、最初に発光管と側管部に同じようにアルミ
ナを塗布し、その後側管部のみに再度アルミナを塗り足
すことによっても所望の濃度を実現できる。
【0019】ここで、アルミナの拡散層の表面を、SEM
(Scanning-electron-microscope)により観察すると多結
晶アルミナの燒結に特有の粒界は見られなかった。そこ
で、アルミナ拡散層が形成されていることを確認するた
めに、エッチング法を用いた分析により確かめた。該方
法は、形状寸法と重量の知られた純粋石英ガラス片とア
ルミナ拡散層を形成した発光管片を10%のフッ酸溶液に
浸し、純粋石英ガラス片の厚さを管理しつつ表面の5μ
mまでをエッチングし、そのエッチングした溶液を定量
分析するものである。該方法によって分析したアルミナ
拡散層を形成した発光管片からはアルミナが検出され
た。アルミナのコーティング層の場合は、SEMにより多
結晶アルミナの粒界が見られ、エッチング法による分析
でもアルミナが検出された。該アルミナ拡散層やコーテ
ィング層の簡易的な分析として、EDX(energy-dispersiv
e-X-ray-spectroscopy)による分析があるが、この方法
に拠れば、典型的には石英に対して5μm前後であるX線
の透過深さに対応したこの深さ方向の平均重量濃度を分
析する事ができ、概略のアルミナの平均重量濃度を分析
する事ができた。
【0020】石英中のアルミナAl2O3の重量濃度(%)
が0.4未満である少量のアルミナを石英ガラス表面に
ドープした場合には、ランプ点灯に伴い、側管部内面の
失透が生じ、放射照度の低下を招いた。また、該発光管
の石英ガラス内表面を分析するとカドミウムが検出され
た。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、この発明のショートアー
ク型カドミウムランプの全体構成を示す。石英ガラスか
らなる発光管1の中には、陰極2と陽極3からなる一対
の電極が2〜13mmの間隙を持って対向配置してい
る。陰極2、陽極3はいずれもタングステンよりなるが
陰極2には電子放射性を良くするためにトリウムが含ま
れている。発光管1の中には発光物質としてカドミウム
が0.05mg/cm〜1mg/cmが封入されて
いる。また、始動用ガスとしてクリプトンやアルゴンが
室温で1〜8気圧程度封入されている。ランプの両端部
は金属箔4が埋設され気密封止構造が設けられている。
そして、発光管1の内表面のほぼ全表面にアルミナ拡散
層5が形成されている。このアルミナ拡散層5を図にお
いて斜線で示すが、図では拡散層5を誇張して大きく表
現している。なお、この発明に係るランプは発光物質と
してカドミウムを使うものであって、水銀を封入してい
ない方が好ましい。ここで、アルミナ拡散層について、
従来のアルミナコーティング層との違いを説明する。本
発明のアルミナ拡散層とは発光管の内部において、アル
ミナが発光管を構成する石英ガラスを混在する状態を言
い、後述するが発光管内表面にアルミナを含むスラリー
溶液を塗布した後、当該発光管を2000℃程度の高温
にて加熱して石英の溶融状態にする。石英が溶融すると
表面のアルミナが石英中に拡散していく(つまり溶け込
んでいく)。両者の溶融状態を形成するものである。コ
ーティング層は発光管の内表面にアルミナ、ほぼ100
%の膜を形成するもので発光管を構成する石英ガラスと
は領域を分けて構成するものである。そして、製造方法
も前述の特開昭61−294752号に記載されるよう
にアルミナ膜がポーラスになることを防止するために、
せいぜい1000℃程度の加熱をするものである。
【0022】図2にカドミウム放電ランプを光源とした
紫外線照射装置の全体図を示す。カドミウム放電ランプ
21が楕円集光鏡22の第一焦点に配置され、バンドパ
スフィルタ23、絞り24、コリメートレンズ25、フ
ライアイレンズ26、コリメートレンズ25を介して照
射台27上の照射物28に紫外線を照射する。なお、コ
リメートレンズ25は平行光を生成するためのものであ
り、フライアイレンズ26は照射光を均一にするための
ものである。なお、照射台27に214nm用の光検出
器を設けることで光量の測定ができる。
【0023】次に、このようなアルミナ拡散層5を設け
る具体的方法について説明する。まず、酢酸ブチル94
重量%、ニトロセルロース1重量%、アルミナ5重量%
のスラリー溶液を発光管となるべき石英発光管の内表面
に塗布する。この塗布はガラス管の中に溶液が染み込ん
だものを挿入する方法や溶液の中に石英ガラス管を浸す
方法がある。そして、必要に応じて当該溶液を排除すべ
き別の溶液を塗布することで所定の領域にのみに前記酢
酸ブチル等を含む溶液を塗布することができる。このよ
うな塗布の後に自然乾燥させるが、必要に応じて100
0℃から1100℃の温度で加熱させても構わない。次
に、アルミナが塗布された石英ガラスを酸素と水素の混
合ガスバーナーを用いて、石英ガラスの外表面から加熱
することで、ガラス管内面側も2000℃以上の高温度
により溶かされてくる。このときの溶融状態において、
アルミナが石英発光管中に拡散(溶け込み)して、これ
により石英ガラス中にアルミナが拡散した発光管を製作
することができる。
【0024】このようにして作られた石英発光管は、目
視すると、曇りが全く無い完全な透明である。ここで、
分光高度計でこの石英ガラスに対する紫外線の透過率を
測定すると、波長214nmの光において、約92%が
透過できるという結果を確認しており、アルミナ拡散層
を設ける前の石英ガラスの透過率とほぼ同じ数値が得ら
れた。
【0025】次に、アルミナの拡散量を変えて実験を行
った。前記の方法で発光管内表面にアルミナ拡散層を形
成するが、このときアルミナを含むスラリー溶液の石英
ガラスへの塗布回数を変えることで、拡散層におけるア
ルミナ濃度を変えた放電ランプを5種類作製した。ここ
で作製した放電ランプはアルミナ濃度以外はすべて同一
であり、具体的には、電極間距離2mm、発光管最大外
径20mm、2気圧のアルゴンと0.19mg/cm
のカドミウムを封入したものである。なお、正確にはラ
ンプA1〜A5について、各々2本ずつ作成して、1本
は破壊することでアルミナ濃度を測定し、他1本は後述
する照度測定に使用した。すなわち、各ランプへのアル
ミナ濃度はスラリー溶液の塗布回数で差別化するもので
あるため、アルミナ濃度そのものを制御して作成してい
ないからである。
【0026】そして、石英ガラスにおけるアルミナ重量
濃度は、ランプA1はアルミナ重量濃度0%、ランプA
2はアルミナ重量濃度0.4%、ランプA3はアルミナ
重量濃度15.5%、ランプA4はアルミナ重量濃度3
5%、ランプA5はアルミナ重量濃度70%である。こ
こで、「アルミナ重量濃度」とは、発光管内表面から厚
さ5μmまでのアルミナの平均濃度であって、アルミナ
重量/(アルミナ+石英+その他の不純物)の合計重量
を表示したものである。ここで、内表面を5μmとした
理由は、アルミナ拡散層を設けない場合に生じる「ひび
割れ」「失透現象」が内表面1μm以内に生じていたこ
とから余裕を見て5μmとしたものである。
【0027】そして、上記5本のカドミウム放電ランプ
のランプ点灯時間に伴う石英ガラスの失透の程度と、波
長214nm付近の放射光量の減衰割合を測定した。こ
こで、波長214nmの光の測定は、シリコンホトダイ
オードとバンドパスフィルターからなる光測定器を使用
している。なお、バンドパスフィルター(BPF)は中心
波長が220nm、バンド幅30nm、中心波長での透
過率は24%であり、この光検出器を、図2に示す紫外
線照射装置の照射台に置いて、カドミウム放電ランプか
らの放射光を観測・モニターした。
【0028】測定結果を図3に示す。アルミナ拡散層を
設けていないランプA1の初期照度を100として、各
ランプ(A2〜A5)の初期照度を図3に示し、更に、
500時間点灯後の各ランプの放射照度維持率は各ラン
プの初期照度を100としてその相対値を記載してい
る。
【0029】図3の結果から、まず初期照度について検
討すると、アルミナ拡散層の有無に関わらないことが示
されるが、アルミナ濃度が高いA5は初期照度は極めて
低かった。これは実質的にアルミナコーティング層を設
けた場合と同様の状態になり、アルミナ結晶間での放射
光の散乱が大きくなりこれが原因であると考えられる。
次に、放射照度維持率について検討すると、拡散層を設
けているランプA2〜A4は、アルミナ拡散層を設けて
いないランプA1に比べて、500時間点灯後の放射照
度維持率は高く、照度減衰が抑制されていることがわか
る。これは、石英ガラス中にアルミナ拡散層が設けられ
ていないランプA1は、石英発光管の内面にひび割れを
生じてそれが照度を減衰させているからである。一方、
拡散層におけるアルミナ濃度が高いランプA5は発光管
内表面に微結晶アルミナの微小粒の粒界が見られ、初期
照度が低いだけでなく、500時間点灯後においても照
度の落ち込みが大きいことが示される。
【0030】これより、石英よりなる発光管内表面のア
ルミナ拡散層を設けることで照度減衰を良好に防止でき
ることが明らかに示され、少なくともアルミナの重量濃
度が、0.4%以上35%以下の時、発光管の失透は見
られず、良好な紫外線域の放射の維持特性が得られると
いうことは明らかである。
【0031】発光管内表面及び、側管部にアルミナを拡
散させた場合に付いて以下に説明する。該アルミナ拡散
層を形成する方法は、前記の発光管内表面のみに形成す
る場合と同様である。酢酸ブチル94%、ニトロセルロ
ース1%、アルミナ5重量%のスラリー溶液を発光管と
側管部内面に塗布し、乾燥させる。その後、酸素と水素
の混合ガスバーナーにより、2000℃以上に加熱溶融さ
せ、アルミナを石英ガラス中に溶けこませる。アルミナ
スラリー溶液の塗布の回数を変えることで、石英ガラス
中のアルミナの濃度を変えた。このようにして作製され
て発光管を用いて、陽極と陰極を備え、電極管距離d=
2mm、発光管最大外径R=20mmのランプを製作した。
そのランプに2気圧のアルゴンと0.19mg/cm3のカドミウ
ムを封入した。
【0032】該ランプの側管部を説明する概略図を図4
に示す。石英ガラス製発光管1の端部に陰極2が配置さ
れており、該発光管1の内面にはアルミナ拡散層5が形
成されている。また、該陰極2と発光管1との境目にあ
たる近辺にはアルミナ拡散層もしくはコーティング層6
が形成されている。該アルミナ拡散層もしくはコーティ
ング層6は側管部11の範囲で形成されており、該側管
部11に続いて封止部12が形成されている。該封止部
12の内部には陰極2と外部リード棒9とを接続する導
電性金属箔7が設けられ石英ガラス8によって覆われて
いる。
【0033】アルミナの量は、全く同一の製法で2本の
ランプを作製し、その一方のランプの側管部内面をフッ
酸溶液に浸し該アルミナの濃度をエッチング法で分析し
た。また、他方のランプはランプ寿命試験に用いた。こ
こで、作製したランプのアルミナ拡散層(B1〜B5の
球部とB1〜B4の側管部)もしくはコーティング層
(B5の側管部)に含有されるアルミナの濃度を図5に
示す。また、該アルミナ濃度をパラメータとして該ラン
プの点灯時間に伴う発光管内表面の失透の程度を214nm
帯域における放射量の減衰割合で評価することにより、
石英ガラス中におけるアルミナの濃度と放射照度維持率
との関係を調べた。
【0034】214nm付近の放射の光検出器は、シリコン
ホトダイオードとバンドパスフィルターから成ってい
る。ここで用いたバンドパスフィルターは中心波長が22
0nm、バンド幅30nm、中心波長での透過率は24%であっ
た。この光検出器を、図2に示す紫外線照射装置の照射
部に置き、カドミウムランプからの放射光を観測・モニ
ターした。500時間点灯後の放射照度維持率の結果を図
5に示す。
【0035】側管部にアルミナ拡散層を設けない試験ラ
ンプB1の場合、側管部内面に白濁を生じていた。側管
部にアルミナ拡散層もしくはコーティング層を設けた試
験ランプB2から試験ランプB5では側管部に白濁がほと
んど生じることがなく、良好な寿命特性が得られた。
【0036】側管部での石英ガラス中のアルミナ拡散層
もしくはコーティング層におけるアルミナの重量濃度
(%)が0.4以上の時、良好な紫外線域の放射照度維
持特性が得られることがわかった。
【0037】試験ランプB1と試験ランプB2とを比較
すると、側管部にアルミナ拡散層を形成しているか否か
のみが相違点である。しかし、これらのランプの寿命特
性に大きく違いが出ている。また、試験ランプB1では
側管部に白濁が生じ、試験ランプB2では側管部の白濁
は生じていない。試験ランプB1の白濁部分の分析で
は、「ひび割れ」が観察され、該「ひび割れ」部の内面
からカドミウムが検出されている。このような現象は、
同様の水銀ランプやメタルハライドランプなどでは起こ
っていない。以上の点から推測すると、この現象は、カ
ドミウムランプ特有で、カドミウムが何らかの原因で
「ひび割れ」部に取り込まれ、その取り込まれたカドミ
ウムは点灯時でも放電に関与しないため、放射照度維持
率が悪くなっていると推測される。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のショー
トアーク型カドミウムランプは、発光管の内表面にアル
ミナ(Al)拡散層を施すことで、発光管の「ひ
び割れ」による失透現象の発生を良好に防止することが
でき、また、表面反射による放射光量の減少も良好に防
止できるショートアーク型カドミウムランプを提供する
ことができる。また、側管部内表面にアルミナの拡散層
もしくはコーティング層を設けることで、カドミウムが
該側管部の石英ガラスへ浸入することを防止出来る。そ
のため、放電に関与するカドミウム量を減少させず、照
度維持率の高いランプを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のショートアーク型カドミランプの構成
を示す。
【図2】本発明のカドミ放電ランプを使った光源装置を
示す。
【図3】本発明の実験結果を示す。
【図4】本発明のショートアーク型カドミランプの側管
部構成を示す概略図
【図5】本発明の実験結果を示す表。
【符号の説明】
1 石英ガラス製発光管 2 陰極 3 陽極 4 金属箔 5 アルミナ拡散層 6 アルミナ拡散層もしくはコーティング層 7 導電性金属箔 8 石英ガラス 9 外部リード棒 10 発光管部 11 側管部 12 封止部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線を透過する発光管内に陰極と陽極
    が対向して配置しており、この発光管内に少なくとも希
    ガスとカドミウムが封入されているショートアーク型ラ
    ンプにおいて、 前記発光管の内表面にアルミナ(Al)拡散層が
    施されていることを特徴とするショートアーク型カドミ
    ウムランプ。
  2. 【請求項2】 前記アルミナ拡散層は、発光管内表面か
    ら厚さ5μmまでの範囲において、アルミナ重量濃度
    (%)が、0.4以上35以下であることを特徴とする
    請求項1のショートアーク型カドミウムランプ。
  3. 【請求項3】 側管部の内面側にAlの拡散層も
    しくはコーティング層が施されていることを特徴とする
    請求項1に記載のショートアーク型カドミウムランプ。
  4. 【請求項4】 側管部におけるAlの拡散層は内
    表面から厚さ5μmまでのAl2O3の平均重量濃度(%)が
    0.4以上であることを特徴とする請求項4に記載のシ
    ョートアーク型カドミウムランプ。
  5. 【請求項5】 前記発光管には水銀を含まないことを特
    徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のショ
    ートアーク型カドミウムランプ。
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