JP2002157959A - スペーサの製造法およびこのスペーサを用いた画像形成装置の製造方法 - Google Patents

スペーサの製造法およびこのスペーサを用いた画像形成装置の製造方法

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靖浩 伊藤
Masahiro Fushimi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペーサ基体に効率よくかつ精度よく被膜を
形成する。 【解決手段】 第1の基板と、電子放出素子が配置され
た第2の基板との間に配置されるスペーサの製造方法で
あって、前記スペーサの、少なくとも一つの面の少なく
とも一部に被膜を形成する工程を有しており、前記被膜
を形成する工程が、1.スペーサ基体を複数束ねた束体
を準備する工程と、2.該束体に被膜材料を付与する工
程と、を有しており、前記被膜材料を付与される束体
は、該束体を構成する複数のスペーサ基体のそれぞれに
おいて、被膜被形成部近傍の被膜非形成部を少なくとも
覆うマスクを有していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の基板間に配
置されるスペーサの製造方法およびこのスペーサを用い
た画像形成装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子および冷陰極素子の2種類の素子が知られている。こ
の内、冷陰極素子では、例えば、表面伝導型放出素子や
電界放出型素子(以下、FE型と記す)および金属/絶
縁層/金属型放出素子(以下、MIM型と記す)などが
知られている。
【0003】表面伝導型放出素子としては、例えば、M.
I.Elinson,Radio Eng. Electron Phys., 10,1290, (196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に対して、その膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型放出素子としては、前記エリンソン
などによるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜
によるもの[G.Dittmer: "ThinSolid Films",9,317(197
2)]や、In23/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwel
land C.G. Fonstad: "IEEETrans.EDConf.", 519(197
5)]及び、カーボン薄膜によるもの[荒木久他:真空、
第26巻、第1号、22(1983)]などが報告され
ている。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図33(平面)に前述のM.Hartwell
らによる素子が示されている。ここで、301は基板
で、304はスパッタで形成された金属酸化物よりなる
導電性薄膜である。この導電性薄膜304は、平面視で
H字形に形成されていて、この導電性薄膜304に後述
の通電フォーミングと呼ばれる処理を施すことにより、
電子放出部305が形成される。なお、図中の間隔:L
は0.5〜1mm、幅:Wは0.1mmに設定されてい
る。また、便宜上、ここでは電子放出部305は、導電
性薄膜304の中央に矩形の形状で示したが、これは模
式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠
実に表現している訳ではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじめとして、
上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う
前に、導電性薄膜304に通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより、電子放出部305を形成す
るのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、
導電性薄膜304の両端に一定の直流電圧もしくは、例
えば、1V/分程度の非常にゆっくりとしたレートで昇
圧する直流電圧を印加し、導電性薄膜304を局所的に
破壊変形もしくは変質させて、高抵抗の電子放出部30
5を形成することである。なお、局所的に破壊変形もし
くは変質した導電性薄膜304の一部には亀裂が発生す
る。この通電フォーミング後に、導電性薄膜304に適
宜の電圧を印加した場合には、亀裂の付近において電子
が放出される。
【0007】FE型の例としては、例えば、W. P. Dyke
& W. W. Dolan,“Field emission“, Advance in Ele
ctron Physics, 8, 89 (1956)、あるいは、C. A. Spind
t, "Physical properties of thin-film field emissio
n cathodes with molybdenium cones", J. Appl. Phy
s., 47, 5248 (1976)などが知られている。
【0008】このFE型の素子構成の典型的な例とし
て、図34の断面図に前述のC. A. Spindtらによる素子
が示されている。ここで、310は基板で、311は導
電材料よりなるエミッタ配線、312はエミッタコー
ン、313は絶縁層、314はゲート電極である。この
FE型の素子は、エミッタコーン312とゲート電極3
14の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタ
コーン312の先端部より電子を放出させるものであ
る。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図3
4に示すような積層構造ではなく、基板上にその基板平
面とほぼ平行にエミッタとゲート電極を配置した例もあ
る。
【0010】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead,"Operationoftunnel-emission Devices",J.Ap
pl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。
【0011】MIM型の素子構成の典型的な例を図35
の断面図に示す。ここで、320は基板で、321は金
属よりなる下電極、322は厚さ:100オングストロ
ーム程度の薄い絶縁層、323は厚さ:80〜300オ
ングストローム程度の金属よりなる上電極である。MI
M型の素子は、上電極323と下電極321の間に適宜
の電圧を印加することにより、上電極323の表面より
電子を放出させるものである。
【0012】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子を放出させることができるため、加熱用ヒ
ータを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造が
単純であり、微細な素子を作成することが可能である。
また、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基
板の熱溶融などの問題が発生しにくい。また、冷陰極素
子の場合には応答速度が速いという利点もある(因み
に、熱陰極素子はヒータの加熱により動作するため、応
答速度が遅い)。
【0013】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。例えば、表面伝導型放出
素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造も
容易であることから、広い面積にわたって多数の素子を
形成できる利点がある。そこで、例えば、本願出願人に
係わる特開昭64−31332号公報において開示され
るように、多数の素子を配列して駆動するための方法が
研究されている。
【0014】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、例えば、画像表示装置(ディスプレイ)や画像記録
装置などの、所謂、画像形成装置及び荷電ビーム源など
が研究されている。特に、画像表示装置への応用として
は、例えば、本願出願人に係わる米国特許5,066,
883号や特開平2−257551号公報及び特開平4
−28137号公報において開示されているように、表
面伝導型放出素子と電子の衝突により発光する蛍光体と
を組み合わせた構成の画像表示装置が研究されている。
【0015】この表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み
合わせた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装
置よりも優れた特性が期待されている。例えば、液晶表
示装置と比較しても、自発光型であるためバックライト
を必要としない点や視野角が広い点が優れている。
【0016】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、例えば、本願出願人に係わる米国特許4,90
4,895号に開示されている。また、FE型を画像表
示装置に応用した例として、例えば、R. Mayerらにより
報告された平板型の画像表示装置が知られている[R.Me
yer :"Recent DevelopmentonMicrotips DisplayatLET
I",Tech. Digest of 4thInt.VacuumMicroelectronicsCo
nf.,Nagahama, pp.6〜9 (1991)]。
【0017】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、例えば、本願出願人に係わる特開平
3−55738号公報に開示されている。
【0018】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のなかで、奥行きの浅い平面型画像表示装置は、
省スペースかつ軽量であることから、ブラウン管型の画
像表示装置に置き換わるものとして注目されている。
【0019】そして、このような電子放出素子をマトリ
クス状に配設した電子源を気密容器内に収容した平面型
の画像表示装置(フラットパネルディスプレイ)が提案
されている。この気密容器は、蛍光体が配置されたフェ
ースプレートと電子源が配置されたリアプレートとを対
向させ、周囲をシールすることで構成される。
【0020】なお、気密容器の内部は10のマイナス4
乗[Pa]程度の真空に保持される。したがって、この画像
表示装置の表示面積が広くなるに従って、この気密容器
内部と外部との気圧差による、リアプレート及びフェー
スプレートの変形あるいは破壊を防止するための手段が
必要となる。そこで従来は、比較的薄いガラス板からな
る大気圧に耐えるための支持体(スペーサあるいはリブ
と呼ばれる)が、前述のリアプレートとフェースプレー
トとの間に設けられている。
【0021】画像形成装置を構成する一対の基板間に配
するスペーサの製造方法は、例えば、USP4923421、USP5
063327、USP5205770、USP5232549、USP5486126、USP550
9840、USP5721050、EP-A-0725416、EP-A-0725417、EP-A
-0725418、EP-A-0725419などに開示されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明したスペーサを用いた画像形成装置やフラットパネル
ディスプレイなどにおいては、以下のような問題があっ
た。
【0023】第1に、スペーサ近傍の電子放出素子から
放出された電子の一部がスペーサに当たることにより、
あるいは放出された電子の作用でイオン化したイオンが
スペーサに付着することにより、スペーサが帯電する可
能性がある。すると、電子放出素子から放出された電子
は、その軌道を曲げられ、フェースプレートに設けられ
た蛍光体上の正規な位置とは異なる場所に到達し、スペ
ーサ近傍の画像がゆがんで表示されてしまう。
【0024】第2に、電子放出素子から放出された電子
を加速するために、リアプレートとフェースプレートと
の間には数百V以上の高電圧:Va(例えば1kV/mm
以上の高電界)が印加されるため、スペーサの表面での
沿面放電が懸念される。特に、上記のようにスペーサが
帯電している場合は、放電が誘発される可能性がある。
【0025】これらの問題点を解決するために、スペー
サに微小電流が流れるようにして、帯電を除去する提案
がなされている(特開昭57−118355号公報、特
開昭61−124031号公報)。そこでは、絶縁性の
スペーサ基体の表面に高抵抗の被膜(以下、高抵抗膜と
称す)を形成することにより、スペーサ基体の表面に微
小電流が流れるようにしている。ここで用いられている
高抵抗膜は、酸化スズ薄膜あるいは酸化スズと酸化イン
ジウム混晶薄膜などの金属膜である。
【0026】しかし、画像の種類によっては、即ち、駆
動パルス幅が大きく電子放出量が大きな場合は、高抵抗
膜によって帯電を防ぐ方法だけでは、画像のゆがみの低
減が不十分である場合がある。
【0027】これは、高抵抗膜と上下の基板、即ち、フ
ェースプレートとリアプレートとの間の電気的接合が不
十分であり、その接合部付近に接触抵抗を含めた抵抗値
が不揃いの分布で発生し、その結果、スペーサの当接部
近傍の電位が変動し、スペーサ沿面の電場勾配の直線性
を低下させ、放出された電子の軌道が所望の位置からず
れる結果となる。このような電子の軌道の不良は、電子
の運動エネルギーが小さいことから、カソード側近傍で
特に大きな影響を及ぼす。
【0028】この点を解決するために、図16に示すよ
うに、絶縁性のスペーサ基体21のフェースプレート1
7およびあるいはリアプレート11に当接する端面およ
び側面に、前記高抵抗膜22よりも低抵抗膜(電極)
(以下、単に低抵抗膜と表す)25を配置することが提案
されている。これにより、上下の基板17、11と高抵
抗膜22との電気的接触を確保することができる。図1
6には、上記構成の内、フェースプレート17およびリ
アプレート11と当接する端面(当接面)(以下、単に
端面と表す)24に、低抵抗膜25を配置した例を示
す。また、図16は、リアプレート11の平面に対して
垂直方向の断面の内、スペーサを含む平面で切断した断
面図である。
【0029】一方、高抵抗膜22を施さないで高電圧Va
を低く設定したり、絶縁性のスペーサ基体21の側面の
形状を制御することにより、絶縁体が真空中に露出した
スペーサにおいても、上述の2つの問題を抑制すること
ができる。しかし、この場合においても、絶縁性のスペ
ーサ基体21の端面の電位が定まっていない場合には、
放出された電子の軌道を変動させる場合がある。そのた
め、図14に示すように、絶縁性のスペーサ基体21を
フェースプレート17とリアプレート11との間に配置
する場合でも、すくなくともスペーサ基体21の一方の
端面には、低抵抗膜25を配置することが必要となる。
【0030】なお、図16のスペーサ基体21が平板状
であった場合のA−A断面を模式的に図15に示す。ま
た、図8は、スペーサ基体21が円柱状であった場合の
斜視図を示し、円柱の直径Rが平板状のスペーサ基体の
長さ:Lおよび厚み:Dに相当する。
【0031】なお、ここでは、「スペーサ」という言葉
と「スペーサ基体」という言葉を使い分けている。図1
6などに示すように、表面に何らかの被膜(例えば、前
述の高抵抗膜22や低抵抗膜25)が施されるものを
「スペーサ基体」と呼ぶ。一方、「スペーサ」とは、フ
ェースプレート17とリアプレート11との間を支持す
るために配置される部材の総称であり、少なくとも前記
スペーサ基体と前記低抵抗膜とを有する。
【0032】スペーサの端面に金属または導電率の高い
材料を形成することが特開平8−180821号公報
に、また、USP5561343、USP5614781、USP5675212、USP5
746635、USP5742117、USP5777432、および、WO94/18694
A、WO96/30926A、WO98/02899、WO98/03986A、WO98/2877
4Aなどに開示されている。
【0033】上述の公報には、スペーサの端面に金属ま
たは導電率の高い材料で低抵抗膜を形成する方法とし
て、スパッタ成膜、抵抗加熱蒸着、塗布、ディッピン
グ、印刷、などの様々な手法が開示されている。上記形
成方法の中でも、塗布、ディッピング、印刷などのよう
に、液体をスペーサ基体に付与し焼成する手法(液相形
成法)は、簡便で安価に低抵抗膜25を形成できるので
好ましい。
【0034】しかしながら、低抵抗膜25を前述したス
ペーサ基体21に形成する際に、液相形成法を単に用い
た場合には、以下に示す問題が生じる場合があった。
【0035】即ち、液相形成法を用いると、低抵抗膜2
5の成膜状態には、スペーサ基体21の表面形状に対す
る依存性が顕著に現れてしまう。
【0036】特に、スペーサ基体21の角部がほぼ直角
であった場合には、この角部での低抵抗膜25の形成が
不十分になる場合があった。具体的には、スペーサ基体
と低抵抗膜材料との濡れ性に液相膜の形状精度が強く依
存し、スペーサ基体の表面汚染や端面近傍の基板の形状
のバラツキなどの影響により、図4の(a)に示したよ
うに、低抵抗膜25の端部の位置が所望の位置hOより
上昇してh1の位置となる。その結果、陽極電位と陰極
電位の高さ位置が変動し、スペーサ基体21とリアプレ
ート11およびまたはフェースプレート17との当接部
近傍での電場の直線性が崩れ、電子軌道が所望の軌道か
らずれてしまう場合があった。
【0037】また、低抵抗膜の形成コストを低減するた
めに、スペーサ基体を予め束ねた後に膜を形成する方法
が、複数のスペーサの加工を一括して行える観点からUS
P5811927などで提案されているが、これを液相プロセス
の前工程としてそのまま適用すると、図4の(b)に示
すように、結束したスペーサ基体21に部分的に隙間が
生じ、その場合は、隙間に漏れた液相形成材料が毛細管
現象(meniscusphenomenon)で著しく上昇し、低抵抗膜
25の形成端がh2の位置に及ぶことがあった。
【0038】さらに、図5の(a),(b)に示すよう
に、スペーサ基体21としての円柱スペーサや多角形断
面の柱状スペーサ、さらには、側面に凹凸を有した板状
のスペーサなどの場合には、束ねたときに隙間をなくす
ことが非常に困難である。このため、スペーサ基体を結
束した状態でスペーサ基体の所要個所に低抵抗膜を形成
する新たな方法が必要である。
【0039】本発明は、スペーサ基体に被膜を精度よく
かつ効率よく形成できる方法を実現することを目的とす
る。また、具体的には、液相形成法を用いてスペーサ基
体の端部に低抵抗膜を形成する際に、上記問題が生じな
いスペーサ基体への低抵抗膜の形成方法を提供すること
を目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】本願に係るスペーサの製
造方法の発明の一つは、以下のように構成される。
【0041】第1の基板と、電子放出素子が配置された
第2の基板との間に配置されるスペーサの製造方法であ
って、前記スペーサの、少なくとも一つの面の少なくと
も一部に被膜を形成する工程を有しており、前記被膜を
形成する工程が、 1.スペーサ基体を複数束ねた束体を準備する工程と、 2.該束体に被膜材料を付与する工程と、を有してお
り、前記被膜材料を付与される束体は、該束体を構成す
る複数のスペーサ基体のそれぞれにおいて、被膜被形成
部近傍の被膜非形成部を少なくとも覆うマスクを有して
いることを特徴とするスペーサの製造方法。
【0042】この構成によると、被膜被形成部近傍をマ
スクで覆っているため、束体を構成する複数のスペーサ
基体に対する被膜材料の付与条件にばらつきが生じる場
合でも、好適な被膜を形成することができる。例えば、
束体に被膜材料を付与するときに、被膜材料が被膜被形
成部以外の部分にも接触しやすいスペーサ基体とそうで
ないスペーサ基体とが存在し得る。
【0043】このとき、前者において被膜非形成部への
被膜材料の接触を抑制しようとすると、後者の被膜被形
成部への被膜材料の接触が不十分になりがちであり、一
方、後者の被膜被形成部への被膜材料の接触を充分にし
ようとすると、前者の被膜非形成部への被膜材料の接触
が問題となる。このような場合に本願発明は特に有効で
ある。
【0044】例えば、ディッピング法により束体に被膜
材料を付与する場合を考える。このとき、各スペーサ基
体の被膜被形成部が同一面内に揃っていない場合や、被
膜材料の表面のレベルがばらついている場合、及び、ス
ペーサ基体の間に被膜材料が毛細管現象を起こす隙間を
有する場合は、束体を被膜材料にディッピングしたとき
に、束体を構成する各スペーサ基体において被膜材料が
付着する領域が異なる。
【0045】本願発明によれば、このように束体を構成
する複数のスペーサ基体に対する被膜材料の付与条件に
ばらつきが生じる場合でも、好適に被膜を形成すること
が可能となる。電子放出素子を用いる構成においては、
スペーサの被膜形成領域のばらつきは電子軌道のばらつ
きを生じさせるが、本願発明によると、電子放出素子を
有する構成において好適に用いることができるスペーサ
を製造することができる。
【0046】以上の発明において、前記マスクは、前記
スペーサ基体において、他のスペーサ基体と相対する面
に設けられる構成を好適に採用できる。理由は、他のス
ペーサ基体と相対する面への被膜材料の付与状態が制御
しにくいからである。
【0047】また、被膜被形成部が、スペーサが第1の
基板もしくはスペーサよりも第1の基板側にある被当接
部材(配線や電極など)、もしくは第2の基板もしくは
前記スペーサよりも前記第2の基板側にある被当接部材
(配線や電極など)と当接する当接面に位置する場合に
は、被膜の形成精度、特にスペーサ側面への被膜形成領
域の回り込みの程度が電子の飛翔に大きく影響するた
め、本願発明を特に好適に採用できる。
【0048】特に、該被膜が低抵抗被膜である場合や該
被膜が電極や配線に接続される場合に、本願発明は特に
有効に採用できる。特に、被膜のシート抵抗値が1×1
0の7乗[Ω/□]以下であるときに、本願発明を好適
に採用できる。
【0049】また、マスクは不要になった段階で除去す
るのが望ましい。具体的には、エッチングにより除去す
ることができる。エッチングによる除去を好適に行える
ように、スペーサ基体及び被膜のエッチング耐性(エッ
チング液に対する耐性)とマスクのエッチング耐性(エ
ッチング液に対する耐性)とが異なるような材料、もし
くはエッチング条件を定めるとよい。
【0050】また、マスクとしては種々のものを用いる
ことができるが、被膜材料がスペーサ基体に付着するの
を妨げることができるように、スペーサ基体と密着する
ものが好適である。
【0051】また、被膜非形成部にマスクを形成する際
には、被膜被形成部にも同時にマスクを形成すると容易
にマスクを形成することができるが、その場合は、被膜
被形成部に設けたマスクの除去を被膜材料の付与前に行
う。このマスクを除去する工程は、束体を準備した後に
行う方法と、この束体を構成する前の複数のスペーサ基
体それぞれに対して行う方法のいずれかを採用できる。
【0052】また、マスクを除去する方法は、物理的に
除去する方法を好適に採用できる。具体的には、やすり
処理もしくはブラスト処理により行うことができる。
【0053】また、本願発明によれば、束体を構成する
各スペーサ基体への被膜材料の付与条件のばらつきはあ
る程度許容できるが、束体を構成する複数のスペーサ基
体それぞれの被膜被形成部が略同一平面内に位置するよ
うに行うのが好ましい。
【0054】また、スペーサ基体に被膜材料を付与する
のみでは被膜が完成しない場合は、被膜材料に基づいて
被膜を完成させる工程を採る。具体的には、被膜材料を
加熱する工程を好適に採用できる。特に、被膜を乾燥及
びもしくは焼成する工程を採用するのがよい。
【0055】また、以上述べた各発明は、液体の状態の
被膜材料を付与する構成において特に好適に採用でき
る。特に、ディッピング法を用いるときに好適に採用で
きる。
【0056】前記スペーサ基体は、表面に凹凸を有する
場合にこの発明は好適に採用できる。また、スペーサ基
体が柱状構造を有する場合にこの発明を好適に採用でき
る。
【0057】またこの発明は、画像形成装置の発明とし
て、電子の照射により画像を形成する画像形成部材が配
置された第1の基板と、電子放出素子が配置された第2
の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板との間に
配置されるスペーサを有する画像形成装置の製造方法で
あって、以上述べたスペーサの製造方法によって製造さ
れたスペーサを用いて画像形成装置を構成することを特
徴とする画像形成装置の製造方法の発明を含んでいる。
【0058】画像形成部材としては、電子照射により発
光する蛍光体を好適に採用できる。
【0059】なお、以上述べた各発明によると、以下の
ような具体的な効果が得られる。
【0060】即ち、このスペーサを用いた画像形成装置
では、高い表示品位を実現できる(上述の製造工程で、
低抵抗膜の形状、精度を良好とすることにより、ビーム
ずれや放電を抑制したスペーサおよびこれを用いた画像
形成装置を安価に提供することができる)。
【0061】また、第2の効果として、広い材料選択性
が得られる(上述の製造工程で塗布液材の這い上がりを
防ぐので、濡れ性の管理が不要もしくは簡便となること
から、基体材料および液相膜形成材料の選択の範囲を広
げることが可能となる)。
【0062】さらに、スペーサの当接面、即ち、低抵抗
の電極形成面の幾何学的要求から、パターニング作業を
実質的に不要とする点を利用して、以下に述べるように
高精度と低コストを両立させた多くの効果を実現でき
る。なお、前述の電極形成面の幾何学的要求とは、即
ち、同一の画像形成装置内に配置される単独および複数
のスペーサが、一般的に耐大気圧軸に対して垂直かつ共
通な平面を、自己もしくは互いに共有していることであ
る。
【0063】即ち、本発明の第3の効果は、上述の当接
面自体の平面性と垂直性を利用することにより、低抵抗
膜の形成領域のパターニング工程がセルフアライメント
で行えることである。特に、フォトリソグラフィーなど
の光学的なパターン形成手法やアライメント作業をする
必要がなく、当接面をヤスリなどに当接させて摩擦する
物理的処理方法のセルフアライメントにおいて、スペー
サ当接面で高抵抗被膜を簡便に除去することが可能であ
る。
【0064】さらに、本発明では、当接面を同一平面と
するように、複数のスペーサを互いに束ねることが可能
であるから、以下のような効果を発現できる。
【0065】即ち、第4の効果として、低抵抗膜付与が
アライメントフリーで行える(連結した一端面を低抵抗
膜の形成面とすることにより、浸漬などの低製造コスト
な液相製法を利用して、一度に大量のスペーサの低抵抗
膜の生成が可能となる)。
【0066】また、第5の効果として、マスク層除去の
パターニング工程の手法の選択性が広がる(上記のパタ
ーニング工程をスペーサ基体を束ねた状態で行う場合に
同時に大量に形成面を作ることができるだけでなく、ス
ペーサ同士が非形成部をマスクしているために、物理的
除去手段として、ヤスリだけでなくサンドブラストなど
の物理的手法が採用でき、あるいは、通常のパターンマ
スクを必要とする工程に対しても容易に適用できる)。
【0067】更に、第6の効果として、ハンドリングが
簡易化される。一般にスペーサは、耐電圧と画素間のス
ペースの関係から、10:1程度以上の高さ:厚み比、
即ち、縦横比(aspect ratio)を有しており、細い柱状構
造かもしくは極めて薄い板状構造を採用しており、更
に、スペーサの固定を画像領域外で行い、スペーサの部
材数を抑制した組み立てを行うために、スペーサ長を画
像領域より長くすることがあり、より一層スペーサ基体
のアスペクト比が大きくなる場合があって、これらのス
ペーサ基体が製造段階のハンドリングで欠けたり折れる
ことがあった。
【0068】しかし、本発明の製造方法(これらのスペ
ーサを束ねること)により、ワーク全体としてアスペク
ト比を小さくすることが可能となり、ハンドリング中で
折れ難いなどの効果がある。
【0069】更に、帯電抑制などを目的として、スペー
サ基体の側面(lateral surface)を粗面化する場合
に、ハンドリング中に微小な凹凸形状が欠けることがあ
るが、本発明の製造方法(束ねること)により、結束さ
れてハンドリングされている間は、隣接する基板同士が
マスク層を介して凹凸修飾面を保護(遮蔽・マスク)し
ているため、凹凸構造の欠けが防止される。
【0070】以上のように、本発明の製造方法におい
て、スペーサ基体を束ねることにより、スペーサの製造
工程のハンドリングにおける基体の欠けとこの欠けた部
分からの放電が回避され、高品質の画像表示装置を提供
することができる。
【0071】第7の効果として、メニスカスによる液相
膜の精度不良を改善できる。即ち、一般に柱状スペーサ
もしくは束ねたときに向き合う側面に凹凸を有している
スペーサは、束ねたときに隙間をなくすことが困難であ
り、このまま当接面に低抵抗膜を形成すると、前記隙間
に低抵抗膜部材が漏洩し、低抵抗膜の形状精度が低下
し、放電ビームずれの原因となったが、本発明の製造方
法によれば、仮に隙間があっても外表面にマスク層があ
るため、低抵抗膜部材が最終的にマスク層の除去工程で
下地のマスク層とともに排除され、上記のような問題は
発生しない。
【0072】なお、スペーサを束ねる工程は、低抵抗膜
を付与する工程の前に設けることが重要であるが、それ
は、マスク層の部分除去の工程の前後のどちらであって
もよい。しかしながら、前述の第5および第6の効果を
得たい場合には、マスク層の部分除去工程の前に行う方
が好適である。
【0073】これらの製造方法によれば、液相形成法に
より、スペーサ基体の端面への低抵抗膜の形成が均一か
つ高精度、かつ、安価に行える。その結果、電子放出素
子から放出された電子の軌道が安定し、無用の放電のな
い良好な画像を長時間表示できる高品質な画像形成装置
を得ることができる。
【0074】また、結束する工程において、基板同士の
結束の方向は、以下の2種類の方法もしくは、これらを
組み合わせた方向で行うことが好ましい。
【0075】一方の結束方法は、平行方向の結束方向で
あって、隣接するスペーサ基体が互いに同一の端面の法
線を平行方向に共有する“平行方法結束”であり、もう
一方の結束方法は、隣接するスペーサ基体が、互いに一
方の端面の法線とその端面と対向する端面のそれぞれの
法線が平行方向に共有する“反並行方向結束”である。
【0076】スペーサ基体の端面形状が台形形状の断面
を有している場合などでは、後者の“反並行方向結束”
が望ましい。また、結束する場合は、マスク層を介して
結束する方法以外に適当な治具を介して結束してもよ
い。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面を参照しながら具体的に説明する。まず、例えば、画
像形成装置における構成要素としてのスペーサ基体21
に、マスク層の被覆とそのパターニングを行った後、ス
ペーサ基体21の端面24に低抵抗膜25を形成する場
合について説明する(図1を参照)。
【0078】このための本発明の低抵抗膜製造方法の手
順の一例を、図2の(a)および図3の(a)に図解す
る。図2の(a)に示す手順は、機械的加工(板状の素
材から切断加工により、スペーサ母材を切り出す)によ
る基板形状加工工程:S1、マスク層をスペーサ母材表
面に被覆するマスク層被覆工程:S2、パターニングの
ために、予め、スペーサ母材の被パターニング面を同一
平面に揃えてスペーサ母材を多数結束する結束工程:S
3、その後、被パターニング面からマスク層を除去する
マスク層パターニング工程:S4、マスク層が除かれた
面に低抵抗膜を形成する低抵抗膜形成工程:S5、そし
て最後に、スペーサ母材の表面からマスク層を除去する
マスク層除去工程:S6、で行われる。
【0079】また、図3の(a)に示す手順は、先の手
順において第3の結束工程:S3と第4のマスク層パタ
ーニング工程:S4とを逆にした点が相違する。ここで
は、結束前に個々のスペーサ母材に対してマスク層を除
去し、その後に、その被パターニング面を同一平面に揃
えて次の低抵抗膜形成に備える。
【0080】なお、本発明の適用範囲は、これに限定さ
れず特許請求の範囲の各請求項に規定された範囲に及ぶ
ことは勿論である。
【0081】本発明における低抵抗膜25は、導電性材
料を含有する液体を液相形成で形成することが、原料の
使用効率をあげて製造工程のコストを低減するために望
ましい。そして、本発明によれば、液相形成法におい
て、さらに、以下の第1ないし第4の態様を採ることに
より、スペーサ基体21の端面に形成する低抵抗膜を効
率的に高精度に作成することができる。
【0082】即ち、第1に、低抵抗膜25を形成する領
域に、予め付与したマスク層をパターニング(マスク層
を除去)しておき、液相膜の作成プロセスでは、特別の
パターニング工程を用いない簡便な方法にて形成する。
【0083】第2に、マスク層のパターニング工程、即
ち、部分的な除去工程では、所望の領域(当接面)を除
去するために、従来のような光学的なパターニングを行
わず、物理的手段でマスク層を部分除去する。この工程
は、ヤスリなどの部材との接触やサンドブラストなどの
除去方法により、セルフアライメントで端面のみ加工す
ることが可能である。
【0084】第3に、マスク層のパターニング工程(図
2の(a)を参照)もしくは低抵抗膜形成工程(図3の
(a)を参照)では、予め、端面24を同一平面とする
ように、スペーサ基体21の側面を互いに向かい合わせ
て束ねておき、低抵抗膜の形成領域が互いに連続して集
積した一つのワークとして扱い、複数のスペーサ基体2
1に一括して低抵抗膜25を形成する。またこのとき、
束ねたことにより、隣接する基板同士が互いに非形成領
域の側面をマスクする機能を有し、マスク層によるマス
ク機能を補助する。
【0085】第4に、液相形成法として、後述するディ
ッピング法を用いる。なお、本発明において、液相形成
法とは、低抵抗膜25を構成する導電性材料が分散また
は溶解した液体を、スペーサ基体21の端部(端面およ
びこれに連続する側面)に塗布して加熱焼成すること
で、低抵抗膜25とする。
【0086】まず、上述の第1の態様について以下に説
明する。即ち、低抵抗膜形成工程の前工程として、スペ
ーサ基体21にマスク層を被覆する工程、および、マス
ク層を部分的に除去する工程(パターニング工程)を施
すことにより、後工程の低抵抗膜25への正確なパター
ニングが不要となる。上記機能を発現するために、マス
ク層の材料としては、一般的なものを使用できるが、以
下の要件(a,b,c)を満たせば特に限定されず、種
々の有機材料、無機材料が適用できる。
【0087】(a)マスク層が低抵抗膜25の間で選択
的に剥離できること (b)マスク層が多孔質ではない連続膜であること (c)マスク層が低抵抗膜形成用の塗工材に溶出しない
こと さらに、低抵抗膜の材料としては、マスク層の除去材料
のマスク層への浸透を促進する点で、多孔質や微小な空
隙、粒界を有した膜質を得られるような材料であること
が好ましい。
【0088】また、パターニングに光学プロセスを用い
なくてもよいので、感光性のレジスト等を使用する必要
がなく、マスク材料の選択の自由度が高い。感光性では
ないレジストを使用した場合には、パターニング前の段
階で遮光などの雰囲気管理が不要となる利点がある。
【0089】次に、第2の態様について説明する。所望
の領域(スペーサの端面24)を確定して、低抵抗膜2
5の形状を正確に規定し、かつ、低抵抗膜形成プロセス
を簡易に行うためにマスク層のパターニングを行うが、
上記機能を発現するための削除手段としては、エッチン
グを含めた化学的、光化学的な削除手段も適用でき、端
面24、即ち、スペーサ基体にとっての幾何学的要件を
積極的に利用することで、物理的削除手段を有効に利用
できる。
【0090】本発明において有効となるマスク層の物理
的削除手段とは、摩擦を利用したヤスリ処理、粒子を吹
き付けるブラスト処理などが簡便なる方法として好適で
ある。
【0091】次に、第3の態様について説明する。スペ
ーサ基体21を束ねた上で、スペーサ基体21に低抵抗
膜25を液相製法で行う場合に、隙間に浸入する低抵抗
膜の材料で、一般に低抵抗膜の形成精度が低下する問題
があるが、このとき、本発明による製造方法によれば、
塗工液の浸入があっても、最終的にこの浸入塗工膜がマ
スク層を剥離することでともに除去されるから、上述の
形成精度が低下せず、所要の精度を確保できる。
【0092】このような観点から、特に本発明の製造方
法では、隙間が原理的に生ずる形状のスペーサ基体につ
いても適用することができる。例えば、図4にスペーサ
基体21の端面24に厚さ:h0の低抵抗膜25を形成
する場合の事例が示されているが、ここでは、結束状態
で、スペーサ基体21の側面にもh1〜h2の幅で浸入
塗工膜が形成される。しかし、これはマスク層の剥離と
共に除去される。
【0093】その他の適用例としては、多角形断面を少
なくとも一部に有する柱状スペーサや、側面が凹凸化さ
れたスペーサなどが挙げられる(図5参照)。なお、こ
の実施の形態において、断面が「多角形」であるとは、
正方形、長方形、台形、平行四辺形、菱形を除いた4角
形以上の断面を意味し、円、楕円、星状、十字状、Γ型
状の断面も対象に含むものとする。
【0094】また、固定方法の工夫により、スペーサ基
体21を画像領域(加速電界印加領域)より外側まで延
長するように長尺化して、画像領域外のみで固定する方
法を選ぶこともできる(図6には、リアプレート11と
フェースプレート17との間でスペーサ20が設けられ
る画像形成装置の場合において、支持部材29でスペー
サ20が支持されるが、これに適用されるスペーサ基体
21は、従来のものより長尺化されている)。因みに、
一般に、これらの長尺物を互いに隙間なく束ねることが
困難であるが、本発明を適用することで、前述の長尺ス
ペーサを束ねて低抵抗膜25を形成する際にもその有効
性が確保できる。
【0095】特に、スペーサ基体21に高抵抗膜を施さ
ない場合には、一般に低抵抗膜25の界面において真空
と絶縁体(スペーサ基体)及び金属(低抵抗膜)との間
のトリプルジャンクションが形成される畏れがある。そ
の結果、低抵抗膜の形状による放電が発生し易いため、
本発明では、上述の第1ないし第3の態様での結束およ
びマスク層形成による低抵抗膜の形成が非常に有効とな
る。
【0096】束ねる方法としては、複数のスペーサ基体
21が相互に端面24を同一平面に連続する形にできれ
ば、いかなる方法を用いてもよい。板状のスペーサ基体
21に対する結束方法の一例としては、鏡面研磨した平
板ガラスを利用して当接面の位置出しを行い、軽く束ね
た後、最も面積の広い面、即ち、側面の一部を両側から
治具で挟む方法が簡便かつ有効である。
【0097】さらに、柱状スペーサにおいては、同様に
鏡面研磨した平板ガラスを利用して当接面の位置出しを
行い、軽く束ねた後、バンド状のものでスペーサの高さ
の中央付近部を結束して締め上げ固定する方法が適用で
きる。
【0098】次に、第4の態様について説明する。前記
液相形成法のなかで下記のディッピング法を用いること
により、材料の利用効率が高く、一定のパターニング効
果もあり、一括して広い面積に形成することが可能とな
る。
【0099】即ち、ここで、本発明におけるディッピン
グ法の一例を図7を用いて説明する。なお、図7は、ス
ペーサ基体21(既に、マスク層を形成し端面をパター
ニングしたもの)を側面から見た図である。この実施の
形態におけるディッピングとは、以下のような工程H〜
Kを行うことである。
【0100】〔工程H〕低抵抗膜25を構成する導電性
材料を分散あるいは溶解した液体43を、適当な凹部4
2を有する基板41上に展開し塗工する工程(図7の
(a)および(b)を参照)である。
【0101】〔工程I〕スペーサ基体21の端面(図1
の上下の当接面)を基板41上に展開した液体43に接
触させ、浸漬させる工程(図7の(c)および(d)を参照)
である。
【0102】〔工程J〕液体43を展開した基板41か
らスペーサ基体21を引き離し、液体43を低抵抗膜2
5として転写させる工程(図7の(e)を参照)である。
【0103】〔工程K〕スペーサ基体21に転写した液
体25を加熱することで、低抵抗膜25を形成する工程
である。
【0104】なお、本発明においては、低抵抗膜25を
構成する導電性材料を分散あるいは溶解した液体43を
「塗工液」と呼ぶ場合もある。
【0105】このディッピングによれば、簡便にスペー
サ基体21の端面24のみに低抵抗膜25を形成するこ
とができる。なお、ディッピングの塗工液43の展開手
段としては、バーコートもしくはドクターブレードによ
る引き延ばし展開方法やスピンコートによる展開方法を
用いることが可能である。
【0106】また、塗工液43が展開される基板41
は、必ずしも凹部を有するものではなく平坦な基板であ
ってもよい。更に、当該塗工液43にスペーサ基体21
を接触させた後、引き離す転写工程において、スペーサ
基体21を図7の場合のように、展開液面に降下させる
ことも可能であり、逆に、スペーサ基体21に展開液面
(この場合は、塗工液43がその粘性で展開面に保持さ
れる)を下向きにして、基板41を降下させて接触させ
ることも可能である。
【0107】以上説明したように、第1〜第4の実施形
態のいずれかの方法を用いることにより、簡易でかつ安
価な液相形成法を用いた際に、スペーサ基体21の端面
24に低抵抗膜25を十分に被覆することができる。
【0108】上述のスペーサ基体21の材料としては、
ガラスまたはセラミックを用いることにより、安価かつ
切削研磨加工が容易で、組立て強度が良好なスペーサ2
0および該スペーサを用いた画像形成装置を作成するこ
とが可能となる。なお、画像形成装置において、フェー
スプレートおよびリアプレートとスペーサ基体は、同一
の材料を用いるのが熱膨張率のマッチングの観点からは
好ましい。
【0109】前述したスペーサ基体21(図1および図
8を参照)の縁(角部)23が直角または鋭角な端面2
4に対して、液相形成法を用いて低抵抗膜25を形成す
ると(図9の(b)および図10の(b)を参照)、縁
23での低抵抗膜25や高抵抗膜(スペーサ基体21の
側面、側端面に形成される場合)の形成が不十分になる
か、互いの電気的接合が不十分な場合が過去に存在し
た。そこで、本発明者らは、図9の(a)および図10
の(a)に断面で示すように、この縁23を鈍角とする
ことで、前述した課題が解決されることを見出した。
【0110】図11は、本発明に適用されるスペーサ基
体21の端面24に対して、低抵抗膜25を被膜した状
態を示す模式図である。なお、図11に示されたスペー
サ基体21の端部も、図9および図10に示したスペー
サ基体の端部と同様に、リアプレート(あるいはフェー
スプレート)の平面に対して垂直方向の断面で示されて
いる。
【0111】即ち、スペーサ基体21が図1に示したよ
うに平板状である場合には、図9、図10および図11
における断面図がスペーサ基体21の厚みがD(最小)
である箇所での断面図(側端面に平行な断面)を指すこ
とになる。また、スペーサ基体21が図8に示すように
柱状である場合には、スペーサ基体21の上下の端面2
4の中心を含む垂直平面で切断した断面図に相当する。
【0112】上記要件を満たす端面形状を得るための手
法としては、如何なる手段を用いてもよい。一例とし
て、図1に示した平板状のスペーサ基体21を用いる場
合には、図12に示すように、まず、スペーサ基体21
と同一の厚み:Dのガラス板(母材)81から、スペー
サ基体21の母材(以下、スペーサ母材と称す)82を
ダイヤモンドカッターなどで切り出す。この切り出しに
より、図1に示すものと同じ厚み:D、高さ:H、長
さ:Lのスペーサ母材82が得られる。
【0113】そして、スペーサ母材82に対して、図9
の(a)および図10の(a)に示す端部処理を行う。
この端部処理は、具体的には、円弧状にする処理、また
は、テーパ状(角を平面状)にする処理であって、これ
によりスペーサ母材82の縁(角部)の鋭角部分を鈍角
にする。この端部処理の具体的手段としては、サンドブ
ラスト、レーザースクライブ、ウォーターブラスト、ス
クライブカット、研磨、弗酸などによるケミカルエッチ
ング処理などを挙げることができる。
【0114】スペーサ母材82の縁の円弧状処理(図9
の(a)および図10の(a)を参照)において、曲率
半径:rの範囲は、スペーサ母材82の厚み:Dに対し
てD/2以下が好ましい。さらに、好ましくはD×1/
100以上(図9の(b)および図10の(b)は、こ
れを模式的に示す)であれば、低抵抗膜25の連続性と
スペーサの組立て精度を満たすことが可能となる。上記
厚み:Dは、好ましくは10μmから500μmであり、
さらに20μmから200μmがより好ましい。従って、
上記曲率半径:rは0.1μm以上250μm以下が好ま
しく、さらに、0.2μm以上100μm以下がより好ま
しい。
【0115】なお、図11は、本発明の実施の形態に適
用可能なスペーサの断面形状の一例(円弧状にした場
合)を示し、また、端部に低抵抗膜25を付与している
状態を示している。また、ここでスペーサの材料がガラ
スで図1に示した平板状であり、かつ、端部が図9およ
び図10のスペーサ基体21を形成する場合には、図1
2に示した切り出しによる方法よりも、以下の加熱延伸
法を適用するのが好ましい(図2の(b)および図3の
(b)を参照)。
【0116】即ち、図2の(b)に示す手順は、第1
に、スペーサ母材を加熱延伸による凹凸基板(スペーサ
基体)に形成する工程:S11、第2に、OFPR-800など
のマスク層を浸漬法で被覆する工程:S12、第3に、
治具によりスペーサ基体を結束する工程:S13、第4
に、#24,000のペーパヤスリによりスペーサ基体の端面
のマスク層を除去するパターニング工程:S14、第5
に、スペーサ基体の当接面をPt-Moペーストに浸漬し、
その後360℃で焼成し、当接面に低抵抗膜を生成する工
程:S15、第6に、M321中に浸漬して残されたマスク
層を除去し、純水中でリンスする工程:S16で行う。
【0117】なお、図3の(b)の手順は、先の手順に
おいて、第3の工程:S13と第4の工程:S14を逆
にした点が相違する。ここでは、結束前に個々のスペー
サ基体に対して、例えば、#4000ヤスリによる端面のマ
スク層の除去を行い、その後に、治具により被パターニ
ング面を同一平面に揃えて結束し、次の低抵抗膜形成に
備える。
【0118】このような加熱延伸法によれば、スペーサ
母材82の作成と端部処理(縁が所要の曲率を有する形
状への加工)が同時に行える。
【0119】次に、加熱延伸法の一例を図13に示す装
置を参照して説明する(工程AからC)。
【0120】[工程A]まず、ガラス板(母材)91を
用意する。このとき、最終的に得ようとするスペーサ基
体21の断面積をS2、ガラス板91の断面積をS1と
し、このS1,S2は(S2/S1)<1を満たすもの
とする。なお、ここで「断面」とは、図13における速
度V1またはV2の方向成分に対して垂直な平面で、ガ
ラス板91およびスペーサ基体21を切ったときの断面
を指す。
【0121】[工程B]次に、工程Aで用意したガラス
板91の両端を固定し、長手方向の一部を加熱手段(ヒ
ータ)92により加熱するとともに、第一の送り手段
(例えば、ローラー対)94により、ガラス板91の一
方の端部を加熱手段(ヒータ)92の方向に速度:V1
で送り出す。同時に、第二の送り手段(例えば、延伸ロ
ーラー対)93により、ガラス板91のもう一方の端部
を速度:V2で加熱手段92から引き出す。このように
して、第一の送り手段94、加熱手段(ヒータ)92お
よび第二の送り手段93により、ガラス板91が加熱さ
れながら引き伸ばされる。
【0122】なお、速度:V2の方向は、速度:V1の
方向と実質的に同一である。このため、速度:V1、V
2は、(S2/S1)=(V1/V2)の値を満たすこ
とが好ましい。具体的には、V2/V1の値は10以
上、10,000以下が好ましく、特に、100以上、
10,000以下が好ましい。
【0123】このときの加熱手段(ヒータ)92の加熱
温度は、ガラスの種類や加工形状によるが、ガラス板9
1の軟化点以上の温度が好ましく、具体的には500〜
700℃とすることが好ましい。また、送り手段94、
93としては、図示のようなローラーなどの回転体や、
複数の回転体により駆動されるベルト(図示せず)をガ
ラス板91に接触させて搬送するのが好ましい。これら
の各条件を満たすことで、前述の好ましい曲率半径:r
の縁の断面形状が得られる。
【0124】[工程C]次に、工程Bにより延伸された
ガラス板91を十分に冷却した後、切断手段95により
所望の長さに切断してスペーサ基体21を作成する。な
お、冷却温度は室温程度でよい。
【0125】以上の工程(AからC)で前述の好ましい
曲率半径:rの縁(角部)のスペーサ基体21が得られ
る。また、工程Aで用意するガラス板91の断面形状を
予め図9または図10に示した形状の端面24に形成し
ておくことが特に好ましい。このようにすれば、工程
(AからC)を経ることにより、工程Aで用意されたガ
ラス板91の断面に相似する形状のスペーサ基体21が
容易に形成できる。そのため、速度:V1、V2の比を
適宜設定することにより、ガラス板91の曲率半径を任
意に縮小したスペーサ基体21が再現性良く得られる。
【0126】従って、上述の加熱延伸法を用いれば、ス
ペーサ基体21に要求される微少な曲率半径を直接加工
する必要がない。換言すれば、上記曲率半径を拡大した
状態(延伸前)で加工することができるので、簡易に精
度良くスペーサ基体21の縁(角部)23の微少な曲率
半径を得ることができる。
【0127】また、上記加熱延伸法においては、図13
に示したように、送り出し手段94、93は、図1で規
定するところのスペーサ基体21、即ち、ガラス板91
の側面(長さ方向の側面)に対応して配置することが望
ましい。理由は、前述の速度:V1、V2で、ガラス板
91を搬送/延伸する際により安定性が高く、高精度の
速度制御ができるためである。また、送り出し手段9
4、93は、それぞれが図13に示したように、ガラス
板91の側面(長さ方向の側面)を挟む一対の送り出し
手段からなることが好ましい。また、送り出し手段とし
ては、回転でスペーサ基体21およびガラス板91を搬
送する手段が簡易であって好ましいが、特に、これに限
定されるものではない。
【0128】以上説明した各手法により得られた所要の
端面形状のスペーサ基体21に対して、前述のようにマ
スク層が被覆され、端面24に対してパターニングがな
された後、液相形成法(例えば、後述する浸漬転写法)
を用いて低抵抗膜25を形成することにより、スペーサ
基体21の端部を低抵抗膜25で十分に被覆することが
できる。
【0129】特に、前述した加熱延伸法を用いてスペー
サ基体21を作成する場合は、工程Cにより所望の長
さ:Lに切断した後に、マスク層の被覆とパターニング
がなされたスペーサ基体21に液相形成法(例えば、後
述する浸漬転写法)を用いて、低抵抗膜25を形成する
ことが望ましい。これは、液相形成法(例えば、後述す
る浸漬転写法)で低抵抗膜25を形成する際に、スペー
サ基体21の取扱いが容易で簡便なためである。
【0130】なお、前記加熱延伸法工程において、端面
処理の鈍角化と同様にして、母材に予め凹凸構造を設け
ておくことで、最終的に得られるスペーサ基体21の側
面(更には、側端面)上に凹凸26を形成させることも
できる(図9〜図11を参照)。
【0131】本発明の液相形成法によって、スペーサ基
体21の端面に低抵抗膜25を設けたスペーサ20は、
例えば、画像形成装置におけるリアプレート(電子源)
11とフェースプレート17との間に配置される(図1
4参照)。また、スペーサ20をリアプレート(電子
源)11とフェースプレート17との間に、数kVから
数十kVの電圧を印加する高電圧Vaタイプの画像形成装
置に適用する場合には、図15および図16に示したよ
うに、スペーサ基体21の側面に高抵抗膜22を配する
ことが好ましい。この高抵抗膜22により、スペーサ表
面(側面)の帯電を抑え、結果として、発光点のずれの
ない良好な画像が得られる。
【0132】なお、図15および図16には、高抵抗膜
22がスペーサ基体21の側面のみを覆っている例が示
されているが、高抵抗膜22がスペーサ基体21の全て
の表面(側面、側端面および上下の端面)を覆っていて
も良い。また、高抵抗膜22は、必ずしもスペーサ基体
21の外表面の全てを覆う必要はない。即ち、真空容器
(後述する)内に露出するスペーサ基体21の外表面の
内、低抵抗膜25で覆われていない部分を高抵抗膜22
で覆えば良い。但し、高抵抗膜22と低抵抗膜25の接
続が必要であるから、低抵抗膜25と高抵抗膜22とを
オーバーラップすることが好ましい。
【0133】さらに、図15および図16では、低抵抗
膜25が高抵抗膜22を覆っている例を示した。しか
し、逆に、スペーサ基体21の端面を低抵抗膜25が覆
った上で前記高抵抗膜22がスペーサ基体21の側面を
覆う形態であってもよい。このような構成にすることに
より、高抵抗膜22が低抵抗膜25とスペーサ基体21
との界面を覆うことができ、その結果、上記界面におけ
る低抵抗膜25の形状に起因する放電などを抑制でき
る。
【0134】高抵抗膜22の表面抵抗値は、10の7乗
[Ω/□]〜10の14乗[Ω/□]であることが好ま
しい。このような表面抵抗値を有することで、帯電と上
下基板(FPとRP)間の電力消費と発熱を抑えることが可
能となる。一方、低抵抗膜25の抵抗値は、フェースプ
レート17および/またはリアプレート11と高抵抗膜
22との接続を良好にする目的から、その面積抵抗とし
て高抵抗膜22の抵抗値の1/10以下であり、かつ、
10の7乗[Ω/□]以下であることが望ましい。
【0135】本発明の画像形成装置に用いられる電子源
には、好ましくは、前述した冷陰極素子(MIM、FE、表
面伝導型電子放出素子など)が用いられる。そして、こ
の冷陰極素子の中でも、表面伝導型電子放出素子は素子
の構造が簡単なために、大面積のフラットパネルディス
プレイに向いているので、特に好ましい。
【0136】また、本発明の画像形成装置には、ディス
プレイの他に、例えば、電子放出素子から放出された電
子を照射するターゲット(画像形成部材)に電子線レジ
ストなどを用いることで、潜像を形成する装置などが包
含される。
【0137】(表示パネルの構成と製造法)次に、本発
明の実施の形態におけるスペーサ20を用いた画像表示
装置(表示パネル)100の構成とその製造方法の一例
について具体的に説明する。図17は、この実施の形態
における表示パネル100の外観斜視図であり、その内
部構造を示すために表示パネル100の一部を切り欠い
て示している。
【0138】図中、105はリアプレート(図14〜図
16の符号11に相当)、106は側壁、107はフェ
ースプレート(図14〜図16の符号17に相当)であ
り、これらによって表示パネル100の内部を真空に維
持するための気密容器が形成されている。この気密容器
を組み立てるに際しては、十分な強度と気密性を保持さ
せるために、各部材の接合部を封着する必要がある。
【0139】そこで、ここでは、例えばフリットガラス
を接合部に塗布し、大気中或は窒素雰囲気中で、摂氏4
00〜500度で10分以上焼成することにより所要の
封着を達成した。この気密容器の内部は、10のマイナ
ス4乗[Pa]程度の真空に保持されるので、大気圧や不意
の衝撃などによる気密容器の破損を防止する目的で、耐
大気圧構造体として、本発明のスペーサ20が設けられ
ている。
【0140】図17においては、リアプレート105に
基板101が固定されており、この基板101上に冷陰
極素子102がN×M個形成されている。なお、ここ
で、N,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示
画素数に応じて適宜の値が設定される。
【0141】例えば、高品位テレビジョンなどの表示装
置においては、N=3,000,M=1,000以上の数
を設定することが望ましい。これらN×M個の冷陰極素
子102は、M本の行方向配線103とn本の列方向配
線104とにより、単純マトリクス配線されている。
【0142】そこで、これらの基板101〜列配線10
4によって構成される部分を、ここではマルチ電子源と
呼ぶことにする。この実施の形態のマルチ電子源は、冷
陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷
陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。従っ
て、例えば、表面伝導型放出素子やFE型、あるいは、
MIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0143】次に、冷陰極素子として、表面伝導型放出
素子(後述)を基板上に配列して、単純マトリクス配線
したマルチ電子源の構造について述べる。図18は、図
17の表示パネル100に用いたマルチ電子源の平面図
である。基板101上には、表面伝導型放出素子が配列
され、これらの素子は、行方向配線電極103と列方向
配線電極104により単純マトリクス状に配線されてい
る。行方向配線電極103と列方向配線電極104との
交差する部分には、電極間に絶縁層(図示せず)が形成
されており絶縁が保たれている。
【0144】図19は、図17および図18のA−A線
に沿った断面を示す。なお、このような構造のマルチ電
子源は、予め、基板101上に行方向配線電極103、
列方向配線電極104、電極間絶縁層(図示せず)およ
び表面伝導型放出素子の素子電極112,113、導電
性薄膜114を形成した後で、行方向配線電極103お
よび列方向配線電極104を介して各素子に給電して、
通電フォーミング処理(後述)と通電活性化処理(後
述)を行うことにより製造した。
【0145】なお、この実施の形態においては、気密容
器のリアプレート105にマルチ電子源の基板101を
固定する構成としたが、このマルチ電子源の基板101
が十分な強度を有する場合には、気密容器のリアプレー
トとしてマルチ電子源の基板101自体を用いてもよ
い。
【0146】また、フェースプレート107の下面に
は、蛍光膜108が形成されている。なお、この実施の
形態は、カラー表示装置を対象とするので、蛍光膜10
8の部分には、CRTの分野で用いられる赤、緑、青、
の3原色の蛍光体が塗り分けられている。
【0147】各色の蛍光体は、例えば、図20の(a)
に示すように、ストライプ状に塗り分けられ、このスト
ライプの間には、黒色の導電体1010が設けてある。
この導電体1010を設ける目的は、電子の照射位置が
多少ずれても、表示色にずれが生じないようにするた
め、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防
ぐため、さらには、電子による蛍光膜のチャージアップ
を防止するため、などである。導電体1010には、黒
鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するもので
あればこれ以外の材料でもよい。
【0148】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は、図
20の(a)に示したストライプ状の配列に限られるも
のではなく、例えば、図20の(b)に示すようなデル
タ状配列や、それ以外の配列でもよい。なお、モノクロ
ームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材
料を蛍光膜108に用いればよく、また、必ずしも導電
材料1010を用いなくてもよい。
【0149】また、蛍光膜108のリアプレート105
側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック10
9を設けてある。このメタルバック109を設けた目的
は、蛍光膜108が発する光の一部を鏡面反射して光利
用率を向上させるため、負イオンの衝突から蛍光膜10
8を保護するため、電子加速電圧を印加する電極として
作用させるため、さらには、蛍光膜108を励起した電
子の導電路として作用させるため、などである。このメ
タルバック109は、蛍光膜108をフェースプレート
基板107上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にアルミニウム(Al)を真空蒸着する方法
により形成した。なお、蛍光膜108に低電圧用の蛍光
体材料を用いた場合には、メタルバック109は用いな
い。
【0150】また、この実施の形態では用いなかった
が、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的とし
て、フェースプレート基板107と蛍光膜108との間
に、例えばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0151】また、行配線端子Dx1〜DxMおよび列配線
端子Dy1〜DyN、Hvは、この表示パネル100と前述
の各回路などとを接続するために設けた気密構造の接続
用端子である。そして、これら行配線端子Dx1〜DxM
は、マルチ電子源の行方向配線103と、列配線端子D
y1〜DyNはマルチ電子源の列方向配線104と、また、
Hvは、フェースプレート107のメタルバック109
とを接続している。
【0152】また、この気密容器内部を真空にするに
は、この気密容器を組み立てた後、排気管と真空ポンプ
(何れも図示せず)を接続し、気密容器内を10のマイ
ナス5乗[Pa]程度の真空度まで排気する。その後排気
管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するため
に、封止の直前あるいは封止後に、気密容器内の所定の
位置にゲッター膜(図示せず)を形成する。このゲッタ
ー膜とは、例えば、ヒータもしくは高周波加熱により、
Baを主成分とするゲッター材料を加熱し蒸着して形成
した膜であり、このゲッター膜の吸着作用により、気密
容器内は10マイナス3乗〜10マイナス5乗[Pa]の
真空度に維持される。
【0153】図21は、図17のA−A線の断面模式図
であり、各部の番号は図17に対応している。ここで説
明する態様は、次の通りである。即ち、スペーサ20
は、スペーサ基体21の表面に帯電防止のための高抵抗
膜22を成膜し、かつ、フェースプレート107の内側
(メタルバック109など)および基板101の表面
(行方向配線103または列方向配線104)に、それ
ぞれ面したスペーサ基体21の端面24に低抵抗膜25
を成膜した部材を有する。
【0154】そして、上記目的を達成するのに必要な数
だけ、かつ、必要な間隔をおいて、フェースプレート1
07に対してスペーサ20が配置され、フェースプレー
ト107の内側および基板101の表面に画像領域外に
配置された固定部材(図示せず)により固定される。
【0155】また、高抵抗膜22は、スペーサ基体21
の表面の内、少なくとも気密容器内の真空中に露出して
いる面に成膜されており、低抵抗膜25と接合材110
を介してフェースプレート107の内側(メタルバック
109など)と基板101の表面(行方向配線103ま
たは列方向配線104)に接続される。
【0156】なお、ここでは、画像領域外においてスペ
ーサ20を固定部材により固定することにしたが、直
接、スペーサ20の当接面の近くで、一方に導電性微粒
子を含有するガラスフリットなどの固定部材を付与させ
て、行方向配線103およびメタルバック109に固定
する方法も採用することもできる。
【0157】また、ここで説明する態様においては、ス
ペーサ20の形状を平板状とし、これを行方向配線10
3に平行に配置し、行方向配線103に接続させてい
る。しかし、スペーサ20は柱状としてもよく、また、
その表面に凹凸を有していてもよい。さらに、このスペ
ーサ20は、基板101上の行方向配線103および列
方向配線104と、フェースプレート107内面のメタ
ルバック109との間に印加される高電圧に耐えるだけ
の絶縁性を有し、かつ、その表面への帯電を抑制する程
度の導電性を有する必要がある。
【0158】また、ここで説明する態様においては、ス
ペーサ基体21の材料として、例えば、石英ガラス、N
aなどの不純物含有量を減少したガラス、ソーダライム
ガラス、アルミナなどのセラミックス部材が挙げられ
る。なお、スペーサ基体21の材料の熱膨張率は、気密
容器と基板101を構成する部材のそれに近いものが好
ましい。
【0159】スペーサ20の高抵抗膜22には、高電位
側のフェースプレート107(メタルバック109な
ど)に印加される加速電圧Vaを、高抵抗膜22の抵抗
値Rsで除した電流が流れる。そこで、スペーサ20の
抵抗値Rsは、帯電抑制および消費電力からその望まし
い範囲に設定される。帯電抑制の観点から、表面抵抗は
10の14乗[Ω/□]以下であることが好ましく、更
には、十分な帯電抑制効果を得るために、10の13乗
[Ω/□]以下が好ましい。なお、この表面抵抗の下限
は、スペーサ20の形状とスペーサ20間に印加される
電圧により左右されるが、10の7乗[Ω/□]以上で
あることが好ましい。
【0160】スペーサ基体21に形成された高抵抗膜2
2の厚み:tは、10nm〜1μmの範囲が望ましい。
因みに、このスペーサ基体21の材料の表面エネルギー
およびスペーサ基体21との密着性や基板温度によって
も異なるが、一般的に10nm以下の薄膜は、島状に形
成され抵抗が不安定で再現性に乏しい。また、膜厚:t
が1μm以上では膜応力が大きくなって、膜はがれの危
険性が高まり、かつ、成膜時間が長くなるため生産性が
悪い。
【0161】したがって、本発明では、膜厚が50〜5
00nmであることが望ましい。表面抵抗はρ/tであ
り、以上に述べた表面抵抗と膜厚:tとの好ましい範囲
から、高抵抗膜22の比抵抗ρは、10[Ω・cm]な
いし10の10乗[Ω・cm]が好ましい。更に、表面
抵抗と膜厚:tのより好ましい範囲を実現するために
は、ρは10の4乗ないし10の8乗[Ω・cm]とす
るのがよい。
【0162】スペーサ20は、上述したように高抵抗膜
22を電流が流れることにより、あるいは表示パネル1
00全体が動作中に発熱することで温度が上昇する。こ
の高抵抗膜22の抵抗温度係数が大きな負の値である
と、温度が上昇したときに抵抗値が減少し、スペーサ2
0に流れる電流が増加して温度が上昇る。しかもこの電
流は、電源の限界を超えるまで増加する。このような電
流の暴走が発生する抵抗温度係数の値は、経験的に絶対
値が−1%以下である。即ち、本発明では、スペーサ2
0の高抵抗膜22の抵抗温度係数は、−1%より大きい
ことが望ましい。
【0163】このような帯電抑制の効果を有する高抵抗
膜22の材料としては、例えば、金属酸化物を用いるこ
とができ、特に、金属酸化物の中でも、クロム、ニッケ
ル、銅の酸化物が好ましい材料である。その理由は、こ
れらの酸化物では、二次電子放出効率が比較的小さく、
電子放出素子102から放出された電子がスペーサ20
に当たった場合でも、帯電し難いためである。なお、金
属酸化物以外にも、炭素は二次電子放出効率が小さく好
ましい材料である。特に、非晶質カーボンは高抵抗であ
るため、スペーサ20の抵抗を所望の値に制御し易い。
【0164】高抵抗膜22の他の材料として、アルミニ
ウムと遷移金属合金の窒化物が挙げられるが、これは遷
移金属の組成を調整することにより、良伝導体から絶縁
体まで広い範囲に抵抗値を制御できるので、好適な材料
である。これは、後述する表示装置の作製工程におい
て、抵抗値の変化が少なく安定な材料であり、かつ、そ
の抵抗温度係数が−1%より大であり、実用的に使いや
すい材料だからである。なお、遷移金属元素としてはT
i,Cr,Taなどが挙げられる。
【0165】合金窒化膜は、スパッタ、窒素ガス雰囲気
中での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレー
ティング、イオンアシスト蒸着法などの薄膜形成手段に
より、絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜も同様の
薄膜形成法で作製することができるが、この場合、窒素
ガスに代えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、
アルコキシド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カー
ボン膜は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマC
VD法で形成され、特に、非晶質カーボンを形成する場
合には、成膜中の雰囲気に水素が含まれるようにする
か、成膜ガスに炭化水素ガスを用いるのがよい。
【0166】スペーサ20の端面を構成する低抵抗膜2
5は、高抵抗膜22を高電位側のフェースプレート10
7(メタルバック109など)および低電位側の基板1
01(配線103、104など)とを接続するために設
けられたものである。なお、低抵抗膜25は、以下に列
挙する複数の機能を有する。
【0167】1)高抵抗膜22を、フェースプレート1
07と基板101に接続する。既に記載したように、高
抵抗膜22は、スペーサ20表面の帯電を防止する目的
で設けられたものであるが、高抵抗膜22をフェースプ
レート107(メタルバック109など)と基板101
(配線103、104など)に直接、あるいは、当接材
110を介して接続した場合、接続部の界面に大きな接
触抵抗が発生し、スペーサ20の表面に発生した電荷を
確実に除去できなくなる可能性がある。したがって、こ
れを避けるために、低抵抗膜25を設けた。
【0168】2)高抵抗膜22の電位分布を均一化す
る。電子放出素子102より放出された電子は、フェー
スプレート107と基板101の間に形成された電位分
布に従って電子軌道を成す。スペーサ20の近傍で電子
軌道が乱れないようにするためには、高抵抗膜22の電
位分布を全域に亙って制御する必要がある。高抵抗膜2
2をフェースプレート107(メタルバック109な
ど)および基板101(配線103、104など)に直
接、あるいは、当接材110を介して接続した場合に
は、接続部の界面の接触抵抗のために接続状態のむらが
発生し、高抵抗膜22の電位分布が所望の値からずれる
可能性がある。
【0169】これを避けるために、スペーサ20がフェ
ースプレート107および基板101と当接するスペー
サの端面24に低抵抗膜25を設ける。この低抵抗膜2
5に所望の電位を印加することによって、高抵抗膜22
全体の電位を制御可能とした。
【0170】3)放出電子の軌道を制御する。電子放出
素子102より放出された電子は、フェースプレート1
07と基板101の間に形成された電位分布に従って電
子軌道を成す。スペーサ20近傍の電子放出素子102
から放出された電子に関しては、スペーサ20を設置す
ることに伴う制約(配線、素子位置の変更など)が生じ
る場合がある。このような場合、歪みやむらのない画像
を形成するためには、放出された電子の軌道を制御し
て、フェースプレート107上の所望の位置に電子を照
射する必要がある。フェースプレート107および基板
101と当接する面に低抵抗膜を設けることにより、ス
ペーサ20の電位分布に所望の特性を持たせ、放出され
た電子の軌道を制御することもできる。
【0171】低抵抗膜25は、高抵抗膜22に比べて十
分に低い抵抗値を有する材料を選択すればよく、Ni,
Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd
などの金属、あるいは合金、および、Pd,Ag,A
u,RuO2,Ag−PbOなどの金属や金属酸化物と
ガラスなどから構成される印刷導体、あるいは、SnO
2微粒子をSbなどでドーピングした導電性微粒子を、
シリカまたは酸化珪素の末端をアルキル、アルコキシ、
フッ素などで置換したバインダーに分散させた導電性微
粒子分散膜、または、In23−SnO2などの透明導
体およびポリシリコンなどの半導体材料より適宜選択さ
れる。
【0172】接合材110は、スペーサ20が行方向配
線103およびメタルバック109と接続されるよう
に、導電性とする必要がある。即ち、接合材110に
は、導電性接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加し
たフリットガラスが好適である。
【0173】以上説明した画像表示装置(表示パネル1
00)では、容器外端子Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを通じ
て、各電子放出素子102に電圧を印加すると、それら
の電子放出素子102から電子が放出される。それと同
時に、メタルバック109に容器外端子Hvを介して、
数百Vないし数kVの電圧を印加して、放出された電子
をフェースプレート107方向に加速し、このフェース
プレート107の内面に衝突させる。これにより、蛍光
膜108の各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表
示される。
【0174】通常、電子放出素子(冷陰極素子)である
本実施の形態の表面伝導型放出素子102への印加電圧
は、12〜16V程度、メタルバック109と冷陰極素
子102との距離:dは、0.1mmから8mm程度、
メタルバック109と冷陰極素子102間の電圧は0.
1kVから10kV程度である。
【0175】以上、本実施の形態の画像表示装置(表示
パネル100)の基本構成と製法を説明したが、次に、
この実施の形態の表示パネル100に用いたマルチ電子
源の製造方法について説明する。この実施の形態の画像
表示装置において用いるマルチ電子源は、冷陰極素子を
単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の
材料、形状あるいは製法に制限はない。
【0176】したがって、例えば表面伝導型放出素子、
FE型あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いること
ができる。但し、表示画面が広くてしかも安価な表示装
置が求められるので、これらの冷陰極素子のなかでも表
面伝導型放出素子が特に好ましい。
【0177】即ち、FE型では、エミッタコーンとゲー
ト電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右す
るため、極めて高精度の製造技術を要し、これが、大面
積化や製造コストの低減を図るうえで障害となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも、大面積化や製造コ
ストの低減の障害となる。その点、表面伝導型放出素子
は、比較的製造方法が単純なために、大面積化や製造コ
ストの低減が容易である。
【0178】また、本願発明者らは、表面伝導型放出素
子のなかでも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、し
かも、製造が容易であることを見いだしている。したが
って、表面伝導型放出素子は、高輝度で大画面の画像表
示装置のマルチ電子源に用いるには、最も好適である。
【0179】そこで、この実施の形態の表示パネル10
0においては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、
まず、好適な表面伝導型放出素子について基本的な構成
と製法および特性を説明し、次に、多数の素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子源の構造について述べる。 (表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法)電子放
出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝
導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2
種類があげられる。
【0180】平面型の表面伝導型放出素子 図22は、平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
るための平面図(a)と断面図(b)である。図中、1
01は基板、112,113は素子電極、114は導電
性薄膜、115は通電フォーミング処理により形成した
電子放出部、111は通電活性化処理により形成した薄
膜である。
【0181】基板101としては、例えば、石英ガラス
や青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミ
ナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは、上述
の各種基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積
層した基板などを用いることができる。
【0182】また、基板101上に基板面と平行に対向
して設けられた素子電極112、113は、導電性の材
料によって形成されている。例えば、Ni,Cr,A
u,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Agなどをは
じめとする金属、あるいは、これらの金属の合金、更
に、In23−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポ
リシリコンなどの半導体などのなかから適宜材料を選択
して用いればよい。電極を形成するには、例えば、真空
蒸着などの膜技術とフォトリソグラフィー、エッチング
などのパターニング技術とを組み合わせて用いれば容易
に形成できるが、それ以外の方法(例えば、印刷技術)
を用いてもよい。
【0183】素子電極112、113の形状は、この電
子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般
的には、電極間隔Lが、通常、数百オングストロームか
ら数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで設
計されるが、なかでも表示装置に応用するために好まし
いのは、数マイクロメータから数十マイクロメータの範
囲である。また、素子電極の厚さ:dは、通常、数百オ
ングストロームから数マイクロメータの範囲から適当な
数値が選ばれる。
【0184】また、導電性薄膜114には、微粒子膜を
用いる。ここで、微粒子膜とは、構成要素として多数の
微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことを指
す。微粒子膜を微視的に調べれば、通常、個々の微粒子
が離間して配置された構造か、微粒子が互いに隣接した
構造か、あるいは微粒子が互いに重なり合った構造かが
観測される。
【0185】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは、10オングス
トロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。
【0186】また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるよ
うな諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、素子電極
112、113と良好に接続するのに必要な条件及び後
述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件並
びに微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にする
ために必要な条件などである。具体的には、その膜厚を
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、中でも好ましいのは、10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0187】また、微粒子膜を形成するのに用いられる
材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
2,In23,PbO,Sb2 3などをはじめとする
酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB
4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,Zr
C,HfC,TaC,SiC,WCなどをはじめとする
炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどをはじめとする
窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体および
カーボンなどが挙げられ、これらの中から適宜選択され
る。
【0188】以上述べたように、導電性薄膜114を微
粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、1
0の3乗から10の7乗[Ω/□]の範囲に含まれるよ
う設定した。
【0189】なお、導電性薄膜114と素子電極11
2、113とは、良好に接続されるのが望ましいため、
互いの一部が重なり合う構造となっている。その重なり
方は、図22の例において、下から、基板、素子電極、
導電性薄膜の順序で積層している。しかし、場合によっ
ては、下から基板、導電性薄膜、素子電極の順序で積層
してもよい。
【0190】また、電子放出部115は、導電性薄膜1
14の一部に形成された亀裂状の部分であり、周囲の導
電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。この亀裂
は、導電性薄膜114に対して、後述する通電フォーミ
ングの処理を行うことで形成される。亀裂内には、数オ
ングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒
子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位
置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難であるか
ら、図22においては模式的に示している。
【0191】また、薄膜111は、炭素もしくは炭素化
合物よりなる薄膜で、電子放出部115およびその近傍
を被覆している。この薄膜111は、通電フォーミング
処理後に後述する通電活性化の処理を行うことで形成す
る。
【0192】薄膜111は、単結晶グラファイト、多結
晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もしく
はその混合物であり、膜厚は500[オングストロー
ム]以下とするが、特に300[オングストローム]以
下とするのが更に好ましい。
【0193】なお、実際の薄膜111の位置や形状を精
密に図示するのが困難であるから、図22においては模
式的に示している。また、その平面図(a)において
は、薄膜111の一部を除去した素子を図示した。
【0194】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施の形態においては、以下のような素子を用い
た。即ち、基板101には青板ガラスを用い、素子電極
112、113にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚
さ:dは1,000[オングストローム]、電極間隔L
は2[マイクロメータ]とした。また、微粒子膜の主要
材料として、PdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚
さは約100[オングストローム]、幅:Wは100
[マイクロメータ]とした。
【0195】次に、平面型の表面伝導型放出素子の好適
な製造方法について説明する。図23の(a)〜(e)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の符号は図22と同一である。
【0196】1)まず、図23の(a)に示すように、
基板101上に素子電極112、113を形成する。こ
れらを形成するに際しては、予め、基板101を洗剤、
純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄し、その後、素子電
極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、例え
ば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよ
い)。その後、堆積した電極材料をフォトリソグラフィ
ー・エッチング技術を用いてパターニングし、一対の素
子電極(112、113)を形成する。
【0197】2)次に、図23の(b)に示すように、
導電性薄膜114を形成する。この導電性薄膜114を
形成するに際しては、まず、図23の(a)で示した基
板101に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処
理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・
エッチングにより所定の形状にパターニングする。
【0198】ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に
用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の
溶液である(具体的には、この実施の形態で、主要元素
としてPdを用いた。また、実施の形態では、塗布方法
として、ディッピング法を用いたが、それ以外の例えば
スピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。
【0199】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜11
4の成膜方法としては、この実施の形態で用いた有機金
属溶液の塗布による方法以外の例えば真空蒸着法やスパ
ッタ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合も
ある。
【0200】3)次に、図23の(c)に示すように、
フォーミング用電源116から素子電極112、113
の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行
って電子放出部115を形成する。通電フォーミング処
理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜114に通電し
て、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは変質させ、
電子放出に好適な構造に変化させる処理のことである。
微粒子膜で作られた導電性薄膜の内、電子放出を行うの
に好適な構造に変化した部分(即ち電子放出部115)
には、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
【0201】なお、電子放出部115が形成される前と
比較すると、形成後は素子電極112、113の間で計
測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0202】通電方法をより詳述するために、図24
に、フォーミング用電源116から印加する適宜の電圧
波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフ
ォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、
この実施の形態では、パルス幅T1の三角波パルスをパ
ルス間隔T2で連続的に印加した。その際には、三角波
パルスの波高値Vpfを順次昇圧した。また、電子放出
部115の形成状況をモニタするためのモニタパルスP
mを、適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際
に流れる電流を電流計117で計測した。
【0203】この実施の形態においては、例えば、10
のマイナス3乗[Pa]程度の真空雰囲気下において、例
えば、パルス幅:T1を1[ミリ秒]、パルス間隔:T
2を10[ミリ秒]とし、波高値:Vpfを1パルスご
とに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パ
ルス印加するたびに1回の割りでモニタパルスPmを挿
入した。また、フォーミング処理に悪影響を及ぼすこと
がないように、モニタパルスの電圧:Vpmは0.1
[V]に設定した。そして、素子電極112、113間
の抵抗が1×10の6乗[Ω]になった段階、即ち、モ
ニタパルス印加時に電流計117で計測される電流が1
×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フォ
ーミング処理の通電を終了した。
【0204】なお、上記の方法は、この実施の形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、例え
ば、微粒子膜の材料や膜厚あるいは素子電極間隔:Lな
ど、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、そ
れに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0205】4)次に、図23の(d)に示すように、
活性化用電源118から素子電極112、113との間
に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って電子放
出特性を改善する。この通電活性化処理とは、通電フォ
ーミング処理により形成された電子放出部115に適宜
の条件で通電して、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積させる処理のことである(図においては、炭素も
しくは炭素化合物よりなる堆積物を、部材111として
模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うことに
より、行う前と比較して同じ印加電圧における放出電流
を典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0206】具体的には、10のマイナス2乗ないし1
0のマイナス3乗[Pa]の範囲の真空雰囲気中で、活性
化用電源118から素子電極112、113の間に電圧
パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に
存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合
物を堆積させる。堆積物111は、単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下、より好ましくは300[オングスト
ローム]以下である。
【0207】この通電方法をより詳述するために、図2
5の(a)に、活性化用電源118から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。なお、この実施の形態において
は、一定電圧の矩形波を定期的に印加したが、具体的に
は、矩形波の電圧:Vacは14[V]、パルス幅:T
3は1[ミリ秒]、パルス間隔:T4は10[ミリ秒]
とした。なお、上述の通電条件は、この実施の形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0208】図23の(d)に示す符号119は、この
表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極で、直流高電圧電源121と電
流計122が接続されている。なお、基板101を表示
パネル100の中に組み込んでから活性化処理を行う場
合には、表示パネル100の蛍光面をアノード電極11
9として用いる。活性化用電源118から電圧を印加す
る間、電流計122で放出電流:Ieを計測して、通電
活性化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源118
の動作を制御する。
【0209】電流計122で計測された放出電流Ieの
一例を、図25の(b)に示す。ここでは、活性化電源
118からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過
とともに放出電流Ieが増加するが、やがて飽和する。
この放出電流Ieがほぼ飽和した時点で、活性化用電源
118からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了
する。
【0210】なお、上述の通電条件は、本実施の形態の
表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て条件を適宜変更するのが望ましい。
【0211】以上のようにして、図23の(e)に示す
平面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0212】2)垂直型の表面伝導型放出素子 次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成
した表面伝導型放出素子のもう一つの代表的な構成、即
ち、垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明す
る。図26は、垂直型の基本構成を説明するための模式
的な断面図であり、図中の101は基板、132、13
3は素子電極、136は段差形成部材、134は微粒子
膜を用いた導電性薄膜、135は通電フォーミング処理
により形成した電子放出部、131は通電活性化処理に
より形成した薄膜である。
【0213】この垂直型が先に説明した平面型と異なる
点は、素子電極の内片方(132)が段差形成部材13
6上に設けられており、導電性薄膜134が段差形成部
材136の側面を被覆している点にある。したがって、
図22の平面型における素子電極間隔:Lは、垂直型に
おいては段差形成部材136の段差高:Lsとして設定
される。なお、基板101、素子電極132、133と
微粒子膜を用いた導電性薄膜134については、平面型
の説明中に列挙した材料を同様に用いることが可能であ
る。また、段差形成部材136には、例えば、SiO2
のような絶縁性の材料を用いる。
【0214】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図27(a)〜(f)は、製造工程
を説明するための断面図で、各部材の表記は図26と同
一である。
【0215】1.まず、図27の(a)に示すように、
基板101上に素子電極133を形成する。
【0216】2.次に、図27の(b)に示すように、
段差形成部材136を形成するための絶縁層を積層す
る。この絶縁層は、例えば、SiO2をスパッタ法で積
層すればよいが、例えば、真空蒸着法や印刷法などの他
の成膜方法を用いてもよい。
【0217】3.次に、図27の(c)に示すように、
絶縁層の上に素子電極132を形成する。
【0218】4.さらに、図27の(d)に示すよう
に、絶縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去
して素子電極133を露出させる。
【0219】5.次に、図27の(e))に示すよう
に、微粒子膜を用いた導電性薄膜134を形成する。こ
の薄膜を形成するには、平面型の場合と同じく、例え
ば、塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0220】6.次に、平面型の場合と同じく、通電フ
ォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図23
の(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処
理と同様の処理を行えばよい)。
【0221】7.次に、平面型の場合と同じく、通電活
性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化
合物を堆積させる(図23の(d)を用いて説明した平
面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。以
上のようにして、図27の(f)に示す垂直型の表面伝
導型放出素子を製造した。
【0222】3)表示装置に用いた表面伝導型放出素子
の特性 以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について素
子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素子
の特性について述べる。図28は、この実施の形態の表
示装置に用いた表面伝導型放出素子の(放出電流:I
e)対(素子印加電圧:Vf)の特性、および、(素子電
流:If)対(素子印加電圧:Vf)の特性の典型的な例
を示す図である。なお、放出電流:Ieは素子電流:If
に比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難で
ある上、これらの特性は、素子の大きさや形状などの設
計パラメータを変更することにより変化するものである
ため、2本のグラフは各々任意単位で図示した。
【0223】この表示装置に用いた表面伝導型放出素子
は、放出電流:Ieに関して、以下に述べる3つの特性
を有している。第1の特性は、ある電圧(閾値電圧:V
th)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出
電流:Ieが増加するが、一方、閾値電圧:Vth未満の
電圧では、放出電流:Ieはほとんど検出されないこと
である。即ち、放出電流:Ieに関して明確な閾値電
圧:Vthの非線形素子である。
【0224】また、第2の特性は、放出電流:Ieが素
子に印加する電圧:Vfに依存して変化するため、電
圧:Vfで放出電流:Ieを制御できることである。
【0225】さらに、第3の特性は、素子に印加する電
圧Vfに対して素子から放出される電流:Ieの応答速度
が速いため、電圧:Vfを印加する時間の長さによっ
て、素子から放出される電子の電荷量を制御できること
である。
【0226】以上のような特性を有するため、この実施
の形態の表面伝導型放出素子を画像表示装置に好適に用
いることができた。例えば、多数の素子を表示画面の画
素に対応させた画像表示装置において、上述の第1の特
性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示すること
が可能である。即ち、駆動中の素子には、所望の発光輝
度に応じて閾値電圧:Vth以上の電圧を適宜印加し、非
選択状態の素子には、閾値電圧:Vth未満の電圧を印加
する。こうして、駆動する素子を順次切り替えることに
より、表示画面を順次走査して表示することが可能とな
る。
【0227】また、第2の特性または第3の特性を利用
することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。
【0228】これら表面伝導型放出素子を基板上に配列
して、単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造は、
前述の図18および図19に示すとおりである。
【0229】次に、図29を参照して、この実施の形態
の表面伝導型放出素子を配列した表示パネル100を含
む画像表示装置の構成について説明する。図29におい
て、表示パネル100は、表示パネル100内の行配線
と接続された行配線端子Dx1〜DxMと列配線端子Dy1〜
DyNを介して、外部の駆動回路に接続されている。
【0230】このうち、行配線端子Dx1〜DxMには、こ
の表示パネル100に設けられているマルチ電子源、即
ち、M行・N列のマトリクス状に配線された表面伝導型
放出素子を1行ずつ順次選択して駆動するための走査信
号が、走査回路142から入力される。
【0231】一方、列配線端子Dy1〜DyNには、走査回
路142から行配線に印加された走査信号により選択さ
れた、一行の表面伝導型放出素子の各素子から放出され
る電子を入力された映像信号に応じて制御するための変
調信号が印加される。
【0232】制御回路143は、外部より入力される映
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作タイミングを整合させる働きを持つ。ここで、外部
より入力される映像信号140には、例えば、NTSC
信号のように、画像データと同期信号が複合されている
場合と、予め両者が分離されている場合とがあるが、こ
の実施の形態では後者の場合で説明する。
【0233】なお、前者の映像信号に対しては、よく知
られる同期分離回路を設けて画像データと同期信号Tsy
ncとを分離し、画像データをシフトレジスタ144に、
同期信号を制御回路143に入力すれば、この実施の形
態と同様に扱うことが可能である。
【0234】ここで、制御回路143は、外部より入力
される同期信号Tsyncに基づいて、各部に対して水平同
期信号:Tscan、ラッチ信号:Tmry、シフト信号:Ts
ftなどの各制御信号を発生する。
【0235】外部より入力される映像信号に含まれる画
像データ(輝度データ)は、シフトレジスタ144に入
力される。このシフトレジスタ144は、時系列的にシ
リアルに入力される画像データを画像の1ラインを単位
として、シリアル/パラレル変換するためのもので、制
御回路143より入力される制御信号(シフト信号)T
sftに同期して、画像データをシリアルに入力して保持
する。こうして、シフトレジスタ144でパラレル信号
に変換された1ライン分の画像データ(電子放出素子N
素子分の駆動データに相当)は、並列信号Id1〜IdNと
してラッチ回路145に出力される。
【0236】ラッチ回路145は、1ライン分の画像デ
ータを必要時間の間だけ記憶して保持するための記憶回
路であり、制御回路143より送られる制御信号Tmry
に従って、並列信号Id1〜Idnを記憶する。こうして、
ラッチ回路145に記憶された画像データは、並列信号
I'd1〜I'dnとしてパルス幅変調回路146に出力され
る。すると、このパルス幅変調回路146は、これら並
列信号I'd1〜I'dnに応じて、一定の振幅(電圧値)
で、画像データ(I'd1〜I'dn)に応じたパルス幅を変
調した電圧信号をI&#34d1〜I&#34dNとして出力する。
【0237】具体的には、このパルス幅変調回路146
は、画像データの輝度レベルが大きい程パルス幅の広い
電圧パルスを出力するもので、例えば、最大輝度に対し
て30μ秒、最低輝度に対して0.12μ秒となり、か
つ、その振幅が7.5[V]の電圧パルスを出力する。
この出力信号I&#34d1〜I&#34dNは、表示パネル100
の列配線端子Dy1〜DyNに印加される。
【0238】また、表示パネル100の高圧端子Hvに
は、加速電圧源109から、例えば5kVの直流電圧V
aが印加される。
【0239】次に、走査回路142について説明する。
この走査回路142は、内部にM個のスイッチング素子
を備えるもので、各スイッチング素子は、直流電圧源V
xの出力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のい
ずれか一方を選択し、表示パネル100の端子Dx1ない
しDxMに接続するものである。これらスイッチング素子
の切換えは、制御回路143が出力する制御信号Tscan
に基づいて行われるが、実際には、例えばFETのよう
なスイッチング素子を組合わせることにより容易に構成
することが可能である。
【0240】なお、直流電圧源Vxは、図28に例示し
た電子放出素子の特性に基づき、走査されていない素子
に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧:Vth電
圧以下となるように、一定電圧を出力するような設定が
されている。また、制御回路143は、外部より入力す
る画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように、
各部の動作を整合させる働きをもつ。
【0241】なお、シフトレジスタ144やラインメモ
リ(ラッチ回路)145は、デジタル信号式のものでも
アナログ信号式のものでも採用できる。即ち、画像信号
のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行われ
ればよいからである。
【0242】このような構成の本実施の形態の画像表示
装置においては、各電子放出素子に対して、容器外端子
Dx1〜Dxm、Dy1〜DyNを介して電圧を印加することに
より電子放出が生じる。また、高圧端子Hvを介して、
メタルバック109あるいは透明電極(図示せず)に高
電圧を印加して電子ビームを加速する。この加速された
電子が蛍光膜108に衝突し、発光して画像が形成され
る。
【0243】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の思
想に基づいて種々の変形が可能である。なお、入力信号
についてはNTSC方式を挙げたが、これに限るもので
はなく、PAL、SECAM方式などの他、これらより
多数の走査線からなるTV信号(MUSE方式をはじめ
とする高品位TV)方式をも採用できる。
【0244】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げて更に
詳述する。以下に述べる各実施例においては、マルチ電
子源として、前述した電極間の導電性微粒子膜に電子放
出部を有する表面伝導型放出素子をN×M個(N=30
72、M=1024)、M本の行方向配線とN本の列方
向配線とによりマトリクス状に配線(図17を参照)し
たマルチ電子源を用いた。
【0245】(実施例1)実施例1で用いるスペーサ2
0は、図2の(b)に示すように、スペーサ20に対する
基板形状加工工程、マスク層形成・結束処理、マスク層
パターニング、低抵抗膜形成およびマスク層除去工程の
手順で作成した。図30は、これらの手順におけるスペ
ーサ母材基体を各ステップ毎に模式的に示している。
【0246】ここでは、フェースプレートおよびリアプ
レートと同質のソーダライムガラスをスペーサ母材と
し、図13に示した加熱延伸法により、断面形状として
図9の(b)および図10の(b)に示すようなスペー
サ基体21を得た。なお、図10は、図9の当接部付近
の端部の拡大断面図である。
【0247】ここで得られたスペーサ基体21を最終的
にスペーサ20とするが、この実施例で作成したスペー
サ基体21は、図1に示す高さ:Hが3mm、厚み:D
が0.2mm、長さ:Lが650mmのものであった。
また、この実施例で用いたガラス母材91は、図13に
示すように、高さ:Hが150mm、厚み:Dが10m
mの平板状のソーダライムガラスを用いた。
【0248】また、スペーサ母材91と最終的に得よう
とするスペーサ基体21の断面積比が、1:1/2,50
0となるように、送り出す手段94、93の送出し速度
V1を4ミクロン/分、引出し速度V2を10mm/分と
設定した。この際、ヒータ92による加熱温度は600
℃とし、引出し工程後、上記長さ:Lが650mmにな
るように切断した。なお、本工程は、図2の(b)および
図3の(b)の第1の工程に相当する。このとき側面の
凹凸は省略してある。
【0249】また、上記加熱延伸法により得られたスペ
ーサ基体21の端面の縁(角部)は、曲率半径:rが
0.02mmであった。なお、上記高さ:H、厚み:
D、長さ:Lは、図1を用いて説明したものと同じ定義
に基づいている。
【0250】スペーサ基体21に対して、以下の手順に
てマスク層を被覆した。本工程は図2の(b)の第2の
工程に相当する。マスク層の材料として、東京応用化学
(株)製:OFPR−800を用いた。マスク層のディ
ッピング法により成膜し、オーブンにて90℃、10分
のプリベークをした。次に、140℃、15分間の条件
で、ホットプレートにてポストベークをした。最後に、
剥離液として、ナガセ産業(株)製:レジストストリッ
プN321を使用してマスク層を除去し、純水にてリン
スしこれを乾燥させた。
【0251】次に、平滑なステンレス基板を位置決め部
材として用意し、マスク層形成済みのスペーサを100
本束ねた。束ねる際に側面を押し当てるバネを具備した
治具(図示せず)を用いたが、この治具を途中のハンドリ
ングのための基板ホルダーとしての手段としても用い
た。このときの結束の状態を図5の(a)に示されてい
る(マスク層の被覆は図示していない)。この治具は、
後のパターニング工程(図2の(b)の工程:S4)およ
び低抵抗膜形成工程(図2の(b)の工程:S5)が終了
するまで結束状態に保持した。
【0252】次に、パターニング工程(図2の(b)の工
程:S4)として、平滑処理されたステンレス基板上に
#4000番の紙やすりを固定し、その上で前記の結束
されたスペーサ群をその当接面が紙やすりに平行となる
ように当接させた後、スペーサの長手方向について前後
に擦りあわせ、端面24の低抵抗膜25が剥離するまで
継続した。部分的な剥離処理の後、乾燥窒素でブローを
行い、その後、純水でリンスしIPA溶媒で共沸させた
後、100℃で乾燥させた。さらに、反対側の端面にも
同様な処理を行った。
【0253】次に、低抵抗膜形成工程(図2の(b)の
工程:S6)として、以下、図7を参照して、ディッピ
ング法による低抵抗膜25の形成手順を説明する。先
ず、620mm×200mmの範囲に、深さ:3ミクロ
ンの凹部領域42を形成した750×750×5tの厚
板ガラス41を用意した。まず、厚板ガラスを純水、I
PA、アセトンで化学洗浄した後、UVオゾン洗浄を施
した。
【0254】次に、ステンレス製のドクターブレードを
用いて、N.Eケムキャット社(N.E. Chemcat)製の有
機金属塩の溶解Ptペースト(粘度:30kcP)を図
7の(b)のように薄膜展開した。このとき、展開液4
3の膜厚は6ミクロンであり、この展開膜上に、図7の
(c)〜図7の(e)に示すように、スペーサ基体21
を650mm×0.2mmの端面の中で、両側に15mmずつ
非形成領域を確保するように位置決めし、その端部が展
開面に平行となるような状態で垂直に降下させ、接触さ
せた後垂直に引き上げて転写させた。
【0255】これらの展開・浸漬・転写の一連の操作
を、反対側の端面に対して再度行った後、120℃で1
0分間乾燥し、その後600℃で10分間焼成し、低抵
抗膜25をスペーサ基体21の上下の面に形成した。
【0256】次に、結束を開放した(図30の(f)を
参照)後、マスク層除去工程(図30の(g)を参照)
として、以下に示す工程を行った。即ち、剥離液とし
て、ナガセ産業(株)製のレジストストリップN321
を使用して、マスク層を除去し、純水にてリンスしたも
のを乾燥させた。このようにして得られた低抵抗体が形
成されたスペーサの端部断面は、図11の(b)に拡大
して示されている。
【0257】このとき、低抵抗膜25の表面抵抗は1
[Ω/□]であった。この後、スペーサ基体21の表面
に、高抵抗膜22として高周波電源で同時に、Crおよ
びAlのターゲットをスパッタすることにより、Cr-
Al合金窒化膜を膜厚:200nmに形成した。このと
きのスパッタガスは、Ar:N2が1:2の混合ガス
で、全圧力0.13[Pa]である。上記条件で同時成膜した
膜の表面抵抗Rは3×10の9乗[Ω/□]であった。
【0258】なお、これに限らず、本実施例では、その
他、種々の高抵抗膜22の材料および製法を使用するこ
とが可能である。このようにしてスペーサ20が作成さ
れる。
【0259】こうして得られたスペーサ20の低抵抗膜
25は、光沢反射が認められる上、スペーサ基体21の
端面の低抵抗膜の形状が良好な直線性を有しており、側
面への部分的もしくは全体的な低抵抗膜のはみ出しやう
ねりが認められず、低抵抗膜25の被覆性が良好であっ
た。
【0260】以下、この表示パネル100の製造方法を
詳述する。まず、予め、基板101上に行方向配線電極
103、列方向配線電極104、電極間絶縁層(図示せ
ず)および表面伝導型放出素子の素子電極112,11
3と導電性薄膜114とを形成した基板101がリアプ
レート105に固定される。
【0261】次に、上述のようにして作成されたスペー
サ20を、基板101の行方向配線103上に等間隔で
行方向配線103と平行に固定した。その後、基板10
1の約3mm上方に、内面に蛍光膜108とメタルバッ
ク109が付設されたフェースプレート107を側壁1
06を介して配置し、リアプレート105、フェースプ
レート107、側壁106およびスペーサ20の各接合
部を固定した。
【0262】基板101とリアプレート105の接合部
とリアプレート105と側壁106の接合部およびフェ
ースプレート107と側壁106の接合部には、それぞ
れ、フリットガラス(図示せず)を塗布し、大気中で4
00℃〜500℃で10分以上焼成して接合部を封着し
た。
【0263】また、本実施例では、図17に示すような
表示パネルの内部において、電子源基板101上の配線
103上にスペーサ20を配置し、フェースプレート1
07上ではメタルバック109側面上に配置して表示パ
ネル100を作製した。この固定の際、図6に示すよう
に、画像領域外に設けた補助部材29により位置決めと
固定を行った。なお、図7において、I−Iを含む断面で
切断した前述のスペーサ基板は、固定部近傍を信号電極
方向からみた図6の拡大断面図で示す。
【0264】上記気密容器の封着と同時に、大気中で4
00℃〜500℃で10分以上焼成して接合部を接着す
るとともに、電気的にも接続した。なお、本実施例にお
いて蛍光膜108は、図20の(a)に示すように、各
色蛍光体が列方向(Y方向)に延びるストライプ形状を
採用し、黒色の導電体1010は、各色蛍光体(R、
G、B)間だけでなく、Y方向の各画素間をも分離する
ように配置されている。
【0265】また、スペーサ20は、行方向(X方向)
に平行な黒色の導電体1010(線幅:約300[マイ
クロメートル])内にメタルバック109を介して配置
された。なお、前述の封着を行う際には、各色蛍光体と
基板101上に配置された各素子とを対応させなくては
ならないために、リアプレート105とフェースプレー
ト107およびスペーサ20は、相互に十分に位置合わ
せした。
【0266】以上のようにして、完成した気密容器内を
排気管(図示せず)を通じて真空ポンプで排気し、十分
な真空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxMとDy1〜D
yNとを通じ、行方向配線電極103および列方向配線電
極104を介して各素子に給電して、前述の通電フォー
ミング処理と通電活性化処理を行うことによりマルチ電
子源を製造した。次に、10のマイナス4乗[Pa]程度
の真空度で、排気管(図示せず)をガスバーナで熱する
ことで溶着し、外囲器(気密容器)を封止した。最後
に、封止後の真空度を維持するためにゲッター処理を行
った。
【0267】このようにして完成した図17に示される
表示パネル100を用いた画像表示装置において、各冷
陰極素子(表面伝導型放出素子)112には、容器外端
子Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを通じて、走査信号及び変調
信号をそれぞれ印加することにより、電子を放出させ、
メタルバック109には、高圧端子Hvを通じて高圧を
印加することにより、放出電子ビームを加速し蛍光膜1
08に電子を衝突させ、各色蛍光体(図20のR、G、
B)を励起・発光させることで画像を表示した。
【0268】なお、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは、
3[kV]〜12[kV]の範囲で放電が発生する限界
電圧まで印加し、各配線103、104間への印加電圧
Vfを14[V]とした。その結果、高圧端子Hvへの
8kV以上の電圧を印加して連続駆動できた場合に、耐
電圧良好と判断した。
【0269】このとき、スペーサ20の近傍で10kV
の電圧で駆動するまで放電しなかった。更に、スペーサ
20に近い位置にある冷陰極素子102からの放出電子
による発光スポットも含め、2次元的に等間隔の発光ス
ポット列が形成され、鮮明で色再現性のよいカラー画像
表示ができた。これは、スペーサ20を設置しても電子
軌道に影響するような電界の乱れが生じなかったことを
示している。
【0270】(実施例2)実施例で用いるスペーサ20
は、図3の(b)に示すように、スペーサ基体21に対す
る低抵抗パターニング形成方法として、基板形状加工工
程、マスク層形成、結束処理、マスク層パターニング、
低抵抗膜形成およびマスク層除去工程の手順で作成し
た。なお、作成途中の基板の概観を図31の各工程(a)
〜(g)に示す。ここでは、マスク層のパターニング工程
の後で結束処理を行う以外は、基板形状加工の工程、な
らびに、前述の実施例1の作成方法と同様にして、スペ
ーサ基体21の端面に低抵抗膜25を形成している。
【0271】実施例1と同様にして、スパッタによる高
抵抗膜22を形成してスペーサ20を作成した。
【0272】こうして得られたスペーサ20の低抵抗膜
25は、光沢反射が認められる上、スペーサ基体21の
端面部の低抵抗膜の形状が良好な直線性を有しており、
側面への部分的もしくは全体的な低抵抗膜のはみ出しや
うねりが認められず、低抵抗膜25の被覆性が良好であ
った。
【0273】更に、実施例1と同様に、電子線放出素子
を組み込んだリアプレートなどとともに表示パネル10
0を作成し、実施例1と同条件で高電圧印加および素子
駆動を行った。このとき、スペーサ20の近傍で10k
Vの電圧まで駆動しても放電しなかった。更に、スペー
サ20に近い位置にある冷陰極素子112からの放出電
子による発光スポットも含め、2次元的に等間隔の発光
スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよいカラー画
像表示ができた。これは、スペーサ20を設置しても電
子軌道に影響するような電界の乱れが生じなかったこと
を示している。
【0274】(実施例3)本実施例で用いるスペーサ2
0は、実施例1で作成したスペーサ基体21の代わり
に、当接部近傍の形状が図9および図10に示した形状
であり凹凸ストライプ構造をその長手方向に有した板状
のスペーサ基体21を使用したこと以外は、前述の実施
例1の作成方法と同様にして低抵抗膜25を作成した。
また、実施例1と同様に、マスク層形成後、マスク層パ
ターニング前の工程で結束工程を行った。
【0275】このときの結束の状態を図5の(a)の左
側に示す(マスク層の被覆は図示しない)。当接部付近
には隙間が発生している。そして、実施例1と同様にし
て、スパッタによる高抵抗膜22を形成してスペーサ20
を作成した。
【0276】こうして得られたスペーサ20の低抵抗膜
25の部分は、光沢反射が認められる上、スペーサ基体
21の端面の低抵抗膜の形状が良好な直線性を有してお
り、側面への部分的もしくは全体的な低抵抗膜のはみ出
しやうねりが認められず、低抵抗膜25の被覆性が良好
であった。
【0277】更に、実施例1と同様に、電子線放出素子
を組み込んだリアプレートなどとともに表示パネル10
0を作成し、実施例1と同条件で高電圧印加および素子
駆動を行った。このとき、スペーサ20の近傍で9kV
電圧まで駆動しても放電しなかった。更に、スペーサ2
0に近い位置にある冷陰極素子112からの放出電子に
よる発光スポットも含め、2次元的に等間隔の発光スポ
ット列が形成され、鮮明で色再現性のよいカラー画像表
示ができた。これは、スペーサ20を設置しても、電子
軌道に影響するような電界の乱れが生じなかったことを
示している。
【0278】(実施例4)本実施例で用いるスペーサ2
0は、実施例1で作成したスペーサ基体21の代わり
に、図12に示すように、直方体形状のスペーサ母材の
切削加工により予めサイズ規定したソーダライムガラス
基板を得て、これを用い、さらに、図1に示すように、
全6面(側面、端面、厚み方向の側面)を研磨処理に
て、相互に直角に配置するように研磨したスペーサ基体
21とした。
【0279】このスペーサ基体21は、高さ:Hが3m
m、厚み:Dが0.2mm、長さ:Lが40mmであっ
た。このスペーサ基体21の端面に、実施例1と同じ作
成方法により低抵抗膜25を形成し、更に、実施例1と
同様にしてスパッタによる高抵抗膜22を形成して、ス
ペーサ20を作成した。
【0280】こうして得られたスペーサ20の低抵抗膜
25の部分は、光沢反射が認められる上、スペーサ基体
21の端面の低抵抗膜の形状が良好な直線性を有してお
り、側面への部分的もしくは全体的な低抵抗膜のはみ出
しやうねりが認められず、低抵抗膜25の被覆性が良好
であった。
【0281】本実施例では、前述した図17に示すよう
なスペーサ20を配置した表示パネル100を作製し
た。以下、この表示パネル100の製造方法を詳述す
る。まず、予め基板101上に行方向配線電極103、
列方向配線電極104、電極間絶縁層(図示せず)およ
び表面伝導型放出素子の素子電極112,113と導電
性薄膜114を形成した基板101をリアプレート10
5に固定した。
【0282】次に、上述のように作成されたスペーサ2
0を基板101の行方向配線103上に等間隔で、行方
向配線103と平行に固定した。その後、基板101の
約3mm上方に、内面に蛍光膜108とメタルバック1
09が付設されたフェースプレート107とを側壁10
6を介して配置し、リアプレート105、フェースプレ
ート107、側壁106およびスペーサ20の各接合部
を固定した。
【0283】基板101とリアプレート105の接合
部、リアプレート105と側壁106の接合部、および
フェースプレート107と側壁106の接合部は、フリ
ットガラス(図示せず)を塗布し、大気中で400℃〜
500℃で10分以上焼成することで封着した。
【0284】また、スペーサ20は、基板101側で
は、行方向配線103(線幅:約300[マイクロメー
トル])上に、フェースプレート107側では、メタル
バック109面上に、導電性のフィラーあるいは金属な
どの導電材を混合した導電性フリットガラス(図示せ
ず)を介して配置され、上記気密容器の封着と同時に、
大気中で400℃〜500℃で10分以上焼成すること
で接着し、かつ接続した。
【0285】作成したスペーサ20をパネル内に配置
し、電子線放出素子を組み込んだリアプレートなどとと
もに表示パネル100を作成し、実施例1と同条件で高
電圧印加および素子駆動を行った。このとき、スペーサ
20近傍で9kVの電圧まで駆動したが放電しなかっ
た。更に、スペーサ20に近い位置にある冷陰極素子1
12からの放出電子による発光スポットも含め、2次元
状に等間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現
性のよいカラー画像表示ができた。これは、スペーサ2
0を設置しても、電子軌道に影響するような電界の乱れ
が生じなかったことを示している。
【0286】(実施例5)本実施例で用いるスペーサ2
0は、実施例4で使用したスペーサ基体21の代わり
に、前述の加熱延伸法により作成したファイバー状円柱
ガラスをスペーサ基体21とした。このスペーサ基体2
1は、直径:300ミクロン、高さが3mmで、底面と
側面は高さ方向に対して直角な面とした。このように、
円柱スペーサ基体21を使用したこと、および、結束後
にヤスリでマスク層をパターニングするときに、円弧状
に擦り合わせを行ったこと以外は、前述の実施例4の作
成方法と同様にして、低抵抗膜25を作成した。
【0287】また、実施例4と同様に、マスク層形成
後、マスク層パターニング前の工程で結束工程を行っ
た。このときの結束の状態を図5の(b)に示す(マス
ク層の被覆、および結束治具は図示しない)。スペーサ
基体相互の間には、隙間が発生していることを確認し
た。更に、実施例4と同様にして、スパッタによる高抵
抗膜22を形成して、スペーサ20を作成した。
【0288】なお、本実施例において、低抵抗膜が形成
された後の端面の状態を図32に示した。こうして得ら
れたスペーサ20の低抵抗膜25の部分は、光沢反射が
認められる上、スペーサ基体21の端面部の低抵抗膜の
形状が良好な円形を有しており、側面への部分的もしく
は全体的な低抵抗膜のはみ出しやうねりが認められず、
低抵抗膜25の被覆性は良好であった。
【0289】更に、実施例4と同様に、電子線放出素子
を組み込んだリアプレートなどとともに表示パネル10
0を作成し、実施例4と同条件で高電圧印加および素子
駆動を行った。このとき、スペーサ20近傍で9kVの
電圧まで駆動したが、放電しなかった。更に、スペーサ
20に近い位置にある冷陰極素子112からの放出電子
による発光スポットも含め、2次元的に等間隔の発光ス
ポット列が形成され、鮮明で色再現性のよいカラー画像
表示ができた。これは、スペーサ20を設置しても電子
軌道に影響するような電界の乱れが生じなかったことを
示している。
【0290】以上説明したように、本実施の形態により
形成される低抵抗膜25は、いずれも作成工程が簡便か
つ容易であり、また、得られた低抵抗膜25の電気的接
触も良好であり、放電耐圧も良好であるから、電子線に
よる表示品位を向上できる。また、量産性と低コスト性
などが求められる作製工程及びこれを使用する電子源に
対して特に有効である。
【0291】また、本実施の形態における低抵抗膜25
の形成手法として、マスク層パターニング後に低抵抗膜
を形成することの効果として、低抵抗膜の形成精度確保
の機能を低抵抗膜の基板や低抵抗膜塗工材料などの製膜
工程管理に依存することなく、マスク層のパターニング
工程に機能分離することが可能となることにより、良好
な形状精度を確保することができる。
【0292】また、束ねたときにメニスカスによる液面
の這い上がり、および、隙間のあるスペーサの液面の這
い上がりがあっても、形成不良部を最終的に残さない効
果を有することが挙げられる。したがって、柱状スペー
サ、凹凸スペーサなどの結束基体間で、隙間の発生し易
いスペーサ基体への適用が可能である。
【0293】また、マスク層のパターニングを物理的削
除手段を用いて実現する効果として、ヤスリ処理などの
方法により簡便かつ効率的に行うことができることが挙
げられる。また、低抵抗形成前にスペーサを束ねるこ
と、とりわけ、マスク層パターニング前に束ねることの
効果として、低抵抗膜の非形成面をスペーサ基体相互で
マスクし、露出面に当接面(即ち、低抵抗膜の形成面)
が集中しているため、アライメントが不要で、工程数が
低減できる。
【0294】このため、多くの種類のスペーサ基体に低
抵抗膜25が、スペーサ基体21の端面と側面で分断さ
れることなく、両面の良好な電気的接触を得るように形
成することができ、電子源としてスペーサを組み込んだ
ときに、スペーサ表面の帯電をフェースプレートおよび
リアプレートの各基板面に効率的に逃すことができ、ま
た、スペーサ20の長手方向全域に亘り端面24付近の
電位を安定的に規定できる。
【0295】また、液相製法を適用することの効果とし
て、真空減圧工程を必要としないため、装置コストを抑
えタクトタイムを短縮できる。更に、従来は、排気、減
圧、成膜、大気リーク後、低抵抗膜25が準安定状態に
あり、不安定な過渡状態で他の部材を成膜することで、
低抵抗膜25の剥がれなどの問題が生じることがあり、
安定状態に緩和させる必要があったが(これは低抵抗膜
25の構造や表面活性に関係していると思われ、とりわ
け、水の脱吸着の安定化に関係すると考えられる)、本
発明では、真空工程を経由しない加熱焼成を採用するこ
とにより、これらの不安定状態の経由を抑えることがで
きる。また、液相製法のなかでも、とりわけディッピン
グ製法を適用する効果として、原料の利用効率が高いこ
とが挙げられる。
【0296】以上のように、簡便かつ低コストな作成プ
ロセスを得られることが効果として挙げられる。これに
よって、更に、スペーサおよび電子源の製造コストを低
下させ、帯電による発光部の変位が抑えられた表示品位
の高い画像表示装置を安価に提供できる。
【0297】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したようになり、好
適なスペーサの製造方法およびこのスペーサを用いた画
像形成装置の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるスペーサ基体の実施の形態を示
す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるスペーサ製造工
程の事例を説明する図(ここでは、(a)に工程図、
(b)に低抵抗膜形成過程の説明図)である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるスペーサ製造工
程の別の事例を説明する図(ここでは、(a)に工程
図、(b)に低抵抗膜形成過程の説明図)である。
【図4】浸漬により生ずる低抵抗膜形成領域の上昇を説
明する模式図である。
【図5】本発明に係わるスペーサ基体の結束状態を示す
説明図である。
【図6】本発明の低抵抗膜を形成した長尺のスペーサ
を、画像形成装置に装着した状態を示す説明図である。
【図7】本発明におけるスペーサ基体への低抵抗膜(電
極)の形成方法の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係わる円柱形のスペーサ基体を示す斜
視図である。
【図9】本発明の製造法において適用するスペーサ基体
の別の事例を示す断面図である。
【図10】同じく、拡大断面図である。
【図11】本発明の製造法を適用する低抵抗膜付きのス
ペーサ基体の当接部近傍の断面図である。
【図12】素材からのスペーサ母材の切り出しを示す斜
視図である。
【図13】本発明の製造法を適用する際の、延伸法を用
いたガラス母材からのスペーサ基体の製造過程を示す斜
視図である。
【図14】本発明のスペーサの基板を画像形成装置(パ
ネル)に装着した状態の側端面断面図である。
【図15】同じく、高抵抗膜を側面に形成したスペーサ
の基板を画像形成装置(パネル)に装着した上端の側断
面図である。
【図16】同じく、側端面断面図である。
【図17】本発明に係わるスペーサを適用した画像表示
装置(パネル)の一部を切り欠いて示した斜視図であ
る。
【図18】同じく、この実施の形態で用いたマルチ電子
源の基板の平面図である。
【図19】図18のマルチ電子源の基板の一部断面図で
ある。
【図20】この実施の形態の表示パネルのフェースプレ
ートの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図21】図17の表示パネルのA−A断面図である。
【図22】この実施の形態(画像形成装置)で用いた平
面型の表面伝導型放出素子の平面図(a)および断面図
(b)である。
【図23】同じく、前記表面伝導型放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図24】同じく、製造工程での通電フォーミング処理
の際の印加電圧波形を示す図である。
【図25】同じく、通電活性化処理の際の印加電圧波形
(a)および放電電流Ieの変化(b)を示す図であ
る。
【図26】この実施の形態(画像形成装置)で用いた垂
直型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図27】同じく、前記表面伝導型放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図28】同じく、表面伝導型放出素子の典型的な特性
を示すグラフ図である。
【図29】本発明に係わる画像表示装置の駆動回路の構
成を示すブロック図である。
【図30】本発明に係わるスペーサ基体を模式的に図解
して、示したスペーサの製造工程図である。
【図31】同じく、別の手順によるスペーサの製造工程
図である。
【図32】本発明の実施の形態における、柱状スペーサ
を構成を示す斜視図である。
【図33】従来から知られた表面伝導型放出素子の一例
を示す図である。
【図34】従来から知られたFE型素子の一例を示す図
である。
【図35】従来から知られたMIM型素子の一例を示す
図である。
【符号の説明】
11、101リアプレート 17、107フェースプレート 20スペーサ 21スペーサ基体 22高抵抗膜 23縁(角部) 24端面(当接面) 25低抵抗膜 26凹凸 41基板 42溝 43塗工液(低抵抗膜原料) 81母材 82スペーサ母材 91ガラス母材 92ヒータ 93、94送り出し手段 95切断手段 108蛍光膜 109メタルバック

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板と、電子放出素子が配置され
    た第2の基板との間に配置されるスペーサの製造方法で
    あって、 前記スペーサの、少なくとも一つの面の少なくとも一部
    に被膜を形成する工程を有しており、 前記被膜を形成する工程が、 1.スペーサ基体を複数束ねた束体を準備する工程と、 2.該束体に被膜材料を付与する工程と、を有してお
    り、 前記被膜材料を付与される束体は、該束体を構成する複
    数のスペーサ基体のそれぞれにおいて、被膜被形成部近
    傍の被膜非形成部を少なくとも覆うマスクを有している
    ことを特徴とするスペーサの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記マスクは、前記スペーサ基体におい
    て、他のスペーサ基体と相対する面に設けられる請求項
    1に記載のスペーサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記被膜被形成部は、前記スペーサが前
    記第1の基板もしくは前記スペーサよりも前記第1の基
    板側にある被当接部材、もしくは、第2の基板もしくは
    前記スペーサよりも前記第2の基板側にある被当接部材
    と当接する当接面に位置する請求項1もしくは請求項2
    に記載のスペーサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記被膜が低抵抗被膜である請求項1乃
    至請求項3のいずれかに記載のスペーサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記被膜のシート抵抗値が1×10の7
    乗[Ω/□]以下である請求項1乃至請求項4のいずれ
    かに記載のスペーサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記被膜材料を付与する工程の後、前記
    マスクを除去する工程を有する請求項1乃至請求項5の
    いずれかに記載のスペーサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記被膜材料を付与する工程の前に、前
    記スペーサ基体に前記マスクを形成する工程を更に有す
    る請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のスペーサの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 更に、前記被膜材料を付与する工程の前
    に、前記被膜被形成部に形成されたマスクを除去する工
    程を有しており、該マスクを除去する工程の前の前記ス
    ペーサ基体には、前記被膜被形成部にもマスクが形成さ
    れている請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスペ
    ーサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記被膜材料を付与する工程の前に行う
    前記マスクを除去する工程は、前記束体を準備した後に
    行う請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のスペーサ
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記被膜材料を付与する工程の前に行
    う前記マスクを除去する工程は、前記束体を構成する前
    の複数のスペーサ基体それぞれに対して行う請求項1乃
    至請求項8のいずれかに記載のスペーサの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記被膜材料を付与する工程の前に行
    う前記マスクを除去する工程は、物理的削除によりマス
    クを除去するものである請求項9もしくは請求項10に
    記載のスペーサの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記被膜材料を付与する工程の前に行
    う前記マスクを除去する工程は、やすり処理もしくはブ
    ラスト処理によりマスクを除去するものである請求項1
    1に記載のスペーサの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記束体を準備する工程は、該束体を
    構成する複数のスペーサ基体それぞれの被膜被形成部が
    略同一平面内に位置するように行う請求項1乃至請求項
    9のいずれかに記載のスペーサの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記付与した被膜材料を加熱する工程
    を更に有する請求項1乃至請求項13のいずれかに記載
    のスペーサの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記被膜材料の付与は、液体の状態の
    被膜材料の付与である請求項1乃至請求項14のいずれ
    かに記載のスペーサの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記被膜材料の付与は、ディッピング
    法により行う請求項15に記載のスペーサの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記スペーサ基体は、表面に凹凸を有
    するものである請求項1乃至請求項16のいずれかに記
    載のスペーサの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記スペーサ基体が柱状構造を有する
    請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のスペーサの
    製造方法。
  19. 【請求項19】 電子の照射により画像を形成する画像
    形成部材が配置された第1の基板と、電子放出素子が配
    置された第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の
    基板との間に配置されるスペーサを有する画像形成装置
    の製造方法であって、請求項1乃至請求項18のいずれ
    かに記載のスペーサの製造方法によって製造されたスペ
    ーサを用いて画像形成装置を構成することを特徴とする
    画像形成装置の製造方法。
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