JP2002155185A - アクリル樹脂組成物、アクリル樹脂フィルム状物及び積層体 - Google Patents

アクリル樹脂組成物、アクリル樹脂フィルム状物及び積層体

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JP2002155185A
JP2002155185A JP2000354888A JP2000354888A JP2002155185A JP 2002155185 A JP2002155185 A JP 2002155185A JP 2000354888 A JP2000354888 A JP 2000354888A JP 2000354888 A JP2000354888 A JP 2000354888A JP 2002155185 A JP2002155185 A JP 2002155185A
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acrylic resin
polymer
rubber
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resin composition
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JP2000354888A
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Yukio Kitaike
幸雄 北池
Koichiro Kitajima
浩一郎 北嶋
Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐溶剤性が良好なアクリル樹脂組成物及びア
クリル樹脂フィルム状物を得る。 【解決手段】 アクリル酸アルキルエステルを含有する
単量体混合物を重合して得られる1層又は2層以上の構
造を有する弾性重合体(I−A)及びシアン化ビニル系
単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるグラ
フト層(I−B)からなるゴム含有重合体(I)、及び
メタクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル
系重合体(II)からなるアクリル樹脂組成物、このアク
リル樹脂組成物からなるアクリル樹脂フィルム状物及び
このアクリル樹脂フィルム状物を表面に有する積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐溶剤性に優れた
アクリル樹脂組成物、アクリル樹脂フィルム状物及び積
層体に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムを含有するアクリル樹脂からなるフ
ィルム状物は、透明性、耐候性、柔軟性、加工性に優れ
ており、そのため樹脂成形品、木工製品、金属成形品の
表面に貼り合わされ、車輌内装、家具、ドア材、窓枠、
巾木、浴室内装等の建材用途等の表皮材、マーキングフ
ィルム、高輝度反射材被覆用フィルムとして使用されて
いる。
【0003】また、アクリル樹脂フィルムに印刷を施す
ことによって積層成形品の意匠性を高めることができ
る。従来からアクリル樹脂フィルム状物としては、特開
昭63−77963に記載のフィルムをはじめとして多
種のフィルムが知られている。特開平7−149994
には、全光線透過率や曇価の温度依存性が少なく、耐衝
撃性及び耐溶剤性に優れたアクリル樹脂フィルムが開示
されている。また、特開平11−60876には、耐衝
撃性、透明性、耐候性、耐溶剤性等に優れたアクリル樹
脂フィルムが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アクリル樹脂フィルム
は、被覆用フィルムとして用いることが多いが、用途に
よっては表面保護材としての耐溶剤性が要求される場合
がある。また、印刷を施したときにインク溶剤によって
フィルムが脆くなるといった問題がある。
【0005】フィルム状に加工するアクリル樹脂には、
製膜性、加工性、柔軟性が要求されるので、一般にアク
リル系ゴムが含まれる。アクリル系ゴムが含まれるとフ
ィルム状態での応力が緩和されるので、いわゆる溶剤を
塗布したときに発生するクラックは発生しにくくなる。
一方で、溶剤に対する溶解性は、アクリル系ゴムの添加
により著しく低下する。
【0006】アクリル樹脂は、イソプロパノール、エタ
ノール、メタノール等に代表される溶剤類に対する耐性
が比較的良好である。しかし、アクリル系ゴムがアクリ
ル樹脂に含まれるとそれらの耐溶剤性は低下する。ま
た、アルコール以外の有機溶剤に対しても、アクリル系
ゴムがアクリル樹脂に含まれると耐溶剤性は低下する。
しかるに、ゴムの平均粒子径を小さくするか、又はゴム
含有重合体の弾性体部分の構造を変更する以外には、透
明性を低下させることなく、ゴムを含有するアクリル樹
脂フィルム状物の耐溶剤性を改善する方法はこれまで知
られていなかった。
【0007】本発明者らは、上記の如き従来技術の問題
点を解決し、耐溶剤性が良好なアクリル樹脂フィルム状
物を得るために鋭意検討をした結果、本発明に到達し
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、アク
リル酸アルキルエステルを含有する単量体混合物を重合
して得られる1層又は2層以上の構造を有する弾性重合
体(I−A)及びシアン化ビニル系単量体を含有する単
量体混合物を重合して得られるグラフト層(I−B)か
らなるゴム含有重合体(I)、及びメタクリル酸アルキ
ルエステルを主成分とするアクリル系重合体(II)から
なるアクリル樹脂組成物、このアクリル樹脂組成物から
なるアクリル樹脂フィルム状物及びこのアクリル樹脂フ
ィルム状物を表面に有する積層体を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアクリル樹脂組成
物、アクリル樹脂フィルム状物及び積層体について説明
する。ゴム含有重合体(I)は本発明において必須の成
分である。このゴム含有重合体(I)は、好ましくは、
アクリル酸アルキルエステルを含有する単量体混合物を
重合して得られる1層又は2層以上の構造を有する弾性
重合体(I−A)の存在下に、シアン化ビニル系単量体
を含有する単量体混合物を重合して得られるグラフト層
(I−B)からなる。
【0010】ゴム含有重合体(I)は、アクリル樹脂フ
ィルム状物に必要とされる優れた伸度、柔軟性、耐衝撃
性、製膜性等を付与するための成分であり、かつ、本発
明の解決課題であるゴムを含有するアクリル樹脂フィル
ム状物に耐溶剤性を付与するための成分でもある。ゴム
含有重合体(I)の弾性重合体(I−A)を得るに際し
ては、アクリル酸アルキルエステルとして公知のものが
用いられるが、それらのうちではアクリル酸ブチル、ア
クリル酸−2−エチルヘキシル等が好ましい。
【0011】アクリル酸アルキルエステルは35〜9
9.9重量%の範囲で使用されるのが好ましい。35重
量%以上を使用することでフィルムの製膜性、柔軟性が
より良好となる。さらに好ましい使用範囲は50重量%
以上である。また、弾性重合体(I−A)を得るに際し
ては、所望により、64.9重量%以下の範囲で共重合
可能な他のビニル単量体を共重合させることができる。
ここで用いるビニル単量体としては、公知のものが使用
できるが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキル
エステル、スチレン、アクリロニトリルなどが好まし
く、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0012】さらに、架橋性単量体を使用する。用いる
架橋性単量体としては、特に限定する必要はないが、好
ましくはジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタク
リル酸ブタンジオール、アクリル酸アリル、メタクリル
酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、
マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアク
リレート、アリルシンナメート等が挙げられ、これらは
単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。それらのうちでもメタクリル酸アリルに代表される
少なくとも1つのアリル基を含有するものが特に好まし
い。
【0013】架橋性単量体は、0.1〜10重量%の範
囲で使用されるのが好ましい。透明性、耐候性の点で
0.5重量%以上使用することがさらに好ましく、1.
5重量%以上使用することが特に好ましい。10重量%
以下の範囲で使用することがフィルム外観の観点から望
ましい。弾性重合体(I−A)は、1層又は2層以上の
構造とすることができる。2層以上の構造とする場合、
弾性重合体(I−A)の全体としてのアクリル酸アルキ
ルエステルの含有量が35重量%以上であればよい。ハ
ード芯構造にする場合は、1層目のアクリル酸アルキル
エステルの含有量を35重量%以下とすることもでき
る。
【0014】グラフト層(I−B)を得るに際しては、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の公知のシア
ン化ビニル系単量体を用いることができるが、アクリロ
ニトリルを用いるのが特に好ましい。シアン化ビニル系
単量体は、1〜100重量%の範囲で用いられるのが好
ましい。透明性、耐溶剤性の観点から5〜50重量%の
範囲で用いることが好ましく、15〜35重量%の範囲
で用いることが特に好ましい。
【0015】また、スチレン、α−メチルスチレン等の
芳香族ビニル系単量体を99重量%以下の範囲で用いる
こともできる。熱安定性、耐候性、透明性の観点から1
0〜80重量%の範囲で用いることが好ましい。さらに
好ましくは15〜50重量%の範囲である。また、共重
合可能な他のビニル単量体を99重量%以下の範囲で用
いることもできる。5〜80重量%の範囲で使用するこ
とが耐候性、透明性の観点から好ましく、20〜60重
量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0016】共重合可能な他のビニル単量体としては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シク
ロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水
物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミド等の不飽和ジカルボン酸のイミド化合物などが挙
げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用
いることができる。それらのうちでも、メタクリル酸メ
チルが耐候性、透明性の観点から特に好ましい。
【0017】グラフト層(I−B)は、弾性重合体(I
−A)100重量部の存在下に、5〜500重量部の範
囲で重合して得られるものであるのが好ましい。グラフ
ト層(I−B)は、5重量部以上用いることで耐溶剤性
がより良好となる。耐候性、透明性の観点から500重
量部以下の使用が好ましい。さらに好ましくは10〜2
00重量部、特に好ましくは20〜100重量部の範囲
で用いる。
【0018】本発明に用いるゴム含有重合体(I)は、
通常の乳化重合により製造することができる。なお、重
合時に連鎖移動剤、その他の重合助剤等を使用してもよ
い。連鎖移動剤としては各種のものが使用できるが、メ
ルカプタン類が好ましい。特にグラフト量を調節するた
めに連鎖移動剤を用いることは、フィルムに成形したと
きの外観向上に対して効果的である。
【0019】さらに、ゴム含有重合体(I)の平均粒子
径は、0.01〜0.5μmの範囲にあることが好まし
い。フィルム状にする際の成形性の観点から0.01μ
m以上であることが好ましい。また、耐溶剤性、透明性
の観点から0.5μm以下の範囲にあることが好まし
い。なお、本発明にいうゴム含有重合体の平均粒子径と
は、透過型電子顕微鏡で観察した平均粒子径のことをい
う。ゴム含有重合体(I)のさらに好ましい平均粒子径
は、耐溶剤性、透明性、フィルムへの成形性の観点か
ら、0.05〜0.35μmの範囲であり、特に好まし
くは0.08〜0.3μmの範囲である。
【0020】ゴム含有重合体(I)に含まれる有機溶剤
に可溶な遊離重合体量は、ゴム含有重合体(I)中、3
0重量%以下であることが、耐候性、透明性の観点から
好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。ゴ
ム含有重合体(I)は、本発明のアクリル樹脂組成物中
で、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とするアク
リル系重合体(II)と組み合わせて5〜90重量%の範
囲で使用されるのが好ましい。アクリル樹脂組成物に含
まれる割合が5重量%以上であることが成形性、耐溶剤
性の観点から好ましい。また、成形性、耐候性、透明性
の観点から90重量%以下の範囲で使用することが好ま
しい。さらに好ましくは15〜70重量%の範囲で使用
する。
【0021】さらに、ゴム含有重合体(I)中の遊離重
合体を除いた弾性重合体、およびグラフト層の一部から
なる、有機溶剤への不溶成分であるゲル成分の含量が、
アクリル樹脂フィルム状物中において5〜70重量%と
なるように使用することが製膜性、成形性の観点から好
ましい。また、本発明のアクリル樹脂組成物は、2mm
の成形板にしたときの全光線透過率が80%以上であ
り、曇価が5%以下であるような透明性を呈するもので
あることが好ましい。さらに好ましくは、全光線透過率
が85%以上であり、曇価が3%以下であるような透明
性を呈するものである。
【0022】本発明で使用されるアクリル系重合体(I
I)は、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする
重合体であり、公知のものを用いることができる。アク
リル系重合体(II)は、炭素数1〜4のアルキル基を有
するメタクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量
%、アクリル酸アルキルエステル0.1〜50重量%お
よびこれらと共重合可能な他のビニル単量体0〜49.
9重量%からなり、還元粘度(重合体0.1gをクロロ
ホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L
/g以下である重合体であることが耐候性、透明性、成
形性の観点から好ましい。
【0023】アクリル系重合体(II)の製造に使用され
る共重合可能な他のメタクリル酸アルキルエステルとし
ては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル等が挙げられるが、メタクリル酸メチル
が最も好ましい。アクリル酸アルキルエステルとして
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル等を使用することができる。アクリル酸アルキル
エステルは0.1〜50重量%の範囲で使用することが
できる。また、49.9重量%以下の範囲で共重合可能
な他のビニル単量体を単独でまたは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。共重合可能な他のビニル単
量体としては、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アク
リロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等を使用することができる。
【0024】アクリル系重合体(II)の製造方法として
は、特に限定されないが、通常の懸濁重合、乳化重合、
塊状重合等の方法を用いることができる。なお、重合時
に連鎖移動剤、その他の重合助剤などを使用してもよ
い。連鎖移動剤としては各種のものが使用できるが、メ
ルカプタン類が好ましい。本発明のアクリル樹脂組成物
において、アクリル系重合体(II)は10〜95重量%
の範囲で使用されるのが好ましく、成形性、耐溶剤性、
耐候性、透明性の観点から30〜85重量%の範囲で使
用されることがさらに好ましい。
【0025】さらに、本発明のアクリル樹脂フィルム状
物には、熱可塑性重合体(III)を0.1〜20重量%の
範囲で配合することができる。熱可塑性重合体(III)
は、メタクリル酸メチル50〜100重量%及びこれと
共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%からな
り、還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100m
lに溶解し、25℃で測定)が0.1L/gを超える重
合体であるのが好ましく、アクリル樹脂組成物の成形性
に対し重要な役割を示す成分である。還元粘度は重要で
あり、還元粘度が0.1L/g以上であれば、厚み精度
がさらに良好なフィルムとなる。還元粘度は通常0.1
L/gを超えて2L/g以下、好ましくは0.2〜1.
2L/gである。
【0026】熱可塑性重合体(III)において、共重合可
能な他のビニル単量体としては、アクリル酸アルキルエ
ステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル
化合物およびシアン化ビニル系単量体が挙げられ、これ
らは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。熱可塑性重合体(III)は、乳化重合法により
製造されるのが好ましく、乳化重合後通常の後処理法に
より粉末状で回収することができる。
【0027】本発明のアクリル樹脂組成物において、熱
可塑性重合体(III)は好ましくは0.1〜20重量%の
範囲で使用することができるが、0.1〜5重量%の範
囲で使用されることがさらに好ましい。また、本発明で
は、アクリル系重合体(II)の一部を、従来から知られ
ているゴム含有重合体に置き換えることができる。つま
り、ゴム含有重合体(I)と公知のゴム含有重合体を併
用することができる。併用により、得られるアクリル樹
脂フィルム状物に耐候性、透明性を損なうことなくさら
に柔軟性を付与する場合に有利である。公知のゴム含有
重合体/アクリル系重合体(II)の比率が0.1/9
9.9〜50/50の範囲で用いることが、耐溶剤性の
観点から好ましく、さらに好ましくは0.1/99.9
〜20/80の範囲である。
【0028】公知のゴム含有重合体としては、例えば、
特開昭63−77963に記載されているようなものが
挙げられ、耐候性、透明性の観点からメタクリル酸アル
キルエステル及びアクリル酸アルキルエステルを主成分
とするものが好ましい。このような本発明のアクリル樹
脂組成物は、耐溶剤性に優れ、フィルムに成形したもの
に対して、メタノール、エタノールあるいはイソプロパ
ノールを室温で滴下しても、殆ど外観変化を呈さない。
また、トルエン、アセトン等のアルコール以外の有機溶
剤に対する耐性も向上する。
【0029】本発明のアクリル樹脂組成物には、必要に
応じて各種の配合剤、例えば、安定剤、滑剤、加工助
剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、抗菌剤、艶消し剤等を配合することがで
きる。特に、基材の保護の点では、耐候性を付与するた
めに、紫外線吸収剤が添加されていることが好ましい。
使用される紫外線吸収剤の分子量は300以上であるこ
とが好ましく、特に好ましくは400以上である。紫外
線吸収剤の種類は、特に限定されないが、分子量400
以上のベンゾトリアゾール系または分子量400以上の
トリアジン系のものが特に好ましく使用でき、前者の具
体例としてはチバガイギー社のチヌビン234、旭電化
工業社のアデカスタブLA−31等が挙げられ、後者の
具体例としてはチバガイギー社のチヌビン1577等が
挙げられる。
【0030】本発明のアクリル樹脂組成物は、Tダイ
法、インフレーション法などの溶融押出法、カレンダー
法などの種々の方法によりフィルムに成形することがで
きる。それらのうちでも、フィルムの厚み精度、生産性
の観点からTダイ法が好ましい。フィルムの厚みとして
は、500μm以下が好ましく、10〜300μmがよ
り好ましい。
【0031】また、本発明のアクリル樹脂フィルム状物
を用い、このフィルム状物を表層に有する積層物を製造
することができる。アクリル樹脂フィルム状物が積層さ
れる基材としては、各種の熱可塑性樹脂が使用できる。
また、熱融着しない熱硬化性樹脂、鋼板、木材、紙等の
基材でも、接着剤を使用して貼り合わせることは可能で
ある。
【0032】アクリル樹脂フィルム状物を表層に有する
積層物の製造法としては、インサート成形、インモール
ド成形、熱ラミネーション、押出ラミネーション等、特
に制限なく、種々の積層方法が採用できる。また、この
ような積層物には、アクリル樹脂フィルム状物と基材と
の間に必要に応じて中間層を設けることもできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表
す。また、実施例中の略号は以下の通りである。 メチルメタクリレート MMA ブチルアクリレート BA アリルメタクリレート AMA スチレン St アクリロニトリル AN メチルアクリレート MA t−ブチルハイドロパーオキサイド tBH n−オクチルメルカプタン nOM また、実施例中で用いた評価方法は下記の通りである。
【0034】(1)還元粘度 還元粘度の測定は、三電子工業(株)製、AVL−2C
自動粘度計を使用し、溶媒としてクロロホルムを用いて
測定した。なお、還元粘度は、クロロホルム100ml
にサンプルを0.1g溶かしたものを用いて測定した。 (2)ゴム含有重合体平均粒子径 得られたフィルム状物を適当な大きさに切り出し、切片
を0.5重量%四酸化ルテニウム水溶液に、室温で15
時間浸漬して染色した。さらに、ミクロトームを用いて
約70nmの厚みにサンプルを切断し、透過型電子顕微
鏡で写真撮影した。この写真から無作為に50個の染色
されている部分を選び、その各々の粒子径を算出し、そ
の平均値を平均粒子径とした。
【0035】(3)アクリル樹脂組成物中のゲル含量 アクリル樹脂組成物中の弾性重合体、及びグラフト層の
一部からなるゲル分は、製膜前ペレットの1重量%ME
K溶液を調製し、25℃にて一昼夜放置後16000r
pmで90分間遠心分離を施し、上澄み液を除き、乾燥
後の不溶分の重量%をゲル含量として求めた。
【0036】(4)ゴム含有重合体中の遊離重合体量 ゴム含有重合体中の有機溶剤に可溶な遊離重合体量は、
ゴム含有重合体の1重量%MEK溶液を調製し、25℃
にて一昼夜放置後16000rpmで90分間遠心分離
を施し、上澄み液を除き乾燥後の不溶分量から遊離重合
体量を求め、その重量%を遊離重合体量とした。
【0037】(5)耐溶剤性の評価 アクリル樹脂フィルム状物に成形したものを、140
℃、5MPa、約5分の条件下にプレス成形機でポリカ
ーボネート板にラミネートして得たサンプル上に、1c
2の濾紙を載せ、濾紙が乾かない程度にイソプロパノ
ール、エタノールを23℃の雰囲気下で30分間にわた
って滴下した。その後、濾紙を取り除き、風乾し、中性
洗剤等で洗浄したときの外観変化を観察した。
【0038】 ○−外観変化なし。 △−軽微な汚れ、蒸発痕が見られる。 ×−白化、荒れが発生した。 (6)全光線透過率、曇価 ASTM−D1003に準拠して、村上色彩技術研究所
製、反射・透過率計HR100を使用して、フイルム及
び2mm厚成形板の全光線透過率、曇価を測定した。
【0039】(7)表面光沢度 フイルム及び成形板の表面光沢は、グロスメーター(村
上色彩技術研究所製GM−26D型)を用い、60゜で
の表面光沢を測定して評価した。 (8)2mm厚成形板の作成 アクリル樹脂フィルム状物に成形する前のペレットを、
射出成形機(日精樹脂工業(株)製PS−60E型)を
用いて230℃の条件で厚み2mmの板状にした。
【0040】(9)耐候性 (8)で得た成形板を用いて、メタルウェザー(ダイプ
ラ・ウィンテス(株)製KU−R4CI−A型)を用い
て、63℃、湿度50%、照度80mW/cm 2の条件
下に150時間耐候性試験を行った。SMカラーコンピ
ューター(スガ試験機(株)製SM−4型)を用いて、
試験前の成形板と試験後の成形板のΔYIを測定した。
【0041】実施例1 ゴム含有重合体(I)−(A)の製造 反応容器に以下に示す(イ)を仕込み、攪拌を行いなが
ら窒素雰囲気下に80℃で200分間にわたって、以下
に示す原料(ロ)(弾性重合体(I−A)用原料)を連
続的に添加し、その後さらに120分間重合を行い、弾
性重合体(I−A)のラテックスを得た。
【0042】この弾性重合体(I−A)のラテックス
に、引き続いて以下に示す(ハ)を添加し、攪拌を行い
ながら窒素雰囲気下に80℃で、以下に示す原料(ニ)
(中間層重合体(I−B)用原料)を60分間にわたっ
て連続的に添加し、その後さらに80℃で120分間連
続して重合を行い、ゴム含有重合体(I)−(A)のラ
テックスを得た。
【0043】このゴム含有重合体(I)−(A)のラテ
ックスに対して、酢酸カルシウムを用いて凝析、凝集、
固化反応を行い、ろ過、水洗後乾燥して、ゴム含有重合
体(I)−(A)を得た。 (イ) 脱イオン水 310部 モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸40%と ジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%の 水酸化ナトリウムの混合物の部分中和物 0.5部 炭酸ナトリウム 0.1部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部 硫酸第一鉄 0.00024部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.00072部 (ロ) BA 81.0部 St 18.0部 AMA 1.0部 tBH 0.25部 モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸40%と ジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%の 水酸化ナトリウムの混合物の部分中和物 1.1部 (ハ) 脱イオン水 10部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.15部 (ニ) AN 14.4部 ST 45.6部 nOM 0.1部 tBH 0.3部 熱可塑性重合体(III)の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込
み、乳化剤オレイン酸カリウム1部、過硫酸カリウム
0.3部を仕込んだ。続いて、MMA40部、BA10
部、nOM0.005部を仕込み、窒素雰囲気下に65
℃で3時間撹拌し、重合を完結させた。引き続いて、M
MA48部、BA2部からなる単量体混合物を2時間に
わたり滴下し、滴下終了後2時間保持を行い、重合を完
結させて、熱可塑性重合体(III)のラテックスを得た。
このラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加して重合
体を酸凝析した後、脱水、水洗、乾燥し、粉体状の熱可
塑性重合体(III)を回収した。この熱可塑性重合体(II
I)の還元粘度ηsp/cは0.38L/gであった。
【0044】アクリル樹脂フィルムの製造 上記により得られたゴム含有重合体(I)−(A)及び
熱可塑性重合体(III)と、アクリル系重合体(II)とし
てMMA/MA共重合体(MMA/MA=99/1、還
元粘度0.06L/g)とを、表2に示す割合で、ヘン
シェルミキサーを用いて混合した。次いで、40mmφ
の2軸スクリュー型押出機(L/D=26)を用いて、
シリンダー温度200℃〜260℃、ダイ温度250℃
で溶融混練し、ペレット化した。
【0045】このペレットを80℃で一昼夜乾燥し、3
00mmTダイを取り付けた40mmφのノンベントス
クリュー型押出機(L/D=26)を用いて、シリンダ
ー温度200℃〜240℃、Tダイ温度250℃で、7
0μmの厚みのフィルムを製膜した。 実施例2 実施例1において、(ロ)の代りに(ロ−B)を用いて
得たゴム含有重合体(I)−(B)を用いた以外は、実
施例1と同様にしてアクリル樹脂フィルムを得た。
【0046】 (ロ−B) BA 80.0部 St 18.0部 AMA 2.0部 tBH 0.25部 モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸40%と ジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%の 水酸化ナトリウムの混合物の部分中和物 1.1部 実施例3 実施例2において、(ニ)の代りに(ニ−C)を用いて
得たゴム含有重合体(I)−(C)を用いた以外は、実
施例2と同様にしてアクリル樹脂フィルムを得た。
【0047】 (ニ−C) AN 14.4部 ST 15.6部 MMA 30.0部 nOM 0.1部 tBH 0.3部 実施例4 ゴム含有重合体(I)−(C)及びアクリル系重合体
(II)の配合比率を表2の通り変更した以外は、実施例
3と同様にしてアクリル樹脂フィルムを得た。
【0048】実施例5 アクリル系重合体(II)としてMMA/MA共重合体
(MMA/MA=90/10、還元粘度0.065L/
g)を用いた以外は、実施例(3)と同様にしてアクリ
ル樹脂フィルムを得た。 実施例6 実施例4においてフィルムの厚みを125μmにした以
外は同様にして得たフィルムに印刷加工し、真空引き機
能を持つ金型で真空成形し、その後成形加工したフイル
ムを金型に配した状態で、ABS樹脂(三菱レイヨン
製、ダイヤペットABSバルクサムTM20)を印刷面
側に射出成形し、インモールド成形品を得た。
【0049】比較例1 実施例1において、(ニ)の代りに(ニ−D)用いて得
たゴム含有重合体(I)−(D)を用いた以外は、実施
例1と同様にしてアクリル樹脂フィルムを得た。 (ニ−D) MMA 57.0部 MA 3.0部 nOM 0.1部 tBH 0.1部 上記実施例及び比較例の結果を下記の表1及び表2にま
とめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明により、ゴム成分を含む、耐溶剤
性が良好なアクリル樹脂組成物及びアクリル樹脂フィル
ム状物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 秀幸 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA33X AA34X AA77 AF02 AF26 AF30Y AF57 AH03 AH11 BC01 BC12 4F100 AK21A AK21B AK25A AK25B AL04A AL04B AL05A AL05B AN02A AN02B AT00C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C GB33 GB81 JB07 JK07A JK07B JN01A JN01B YY00A YY00B 4J002 BG05W BN11X BN12X BN20X FD050 GF00 GL00 GN00 4J026 AA17 AA18 AA37 AA40 AA45 AA46 AA49 AA55 AA61 AC18 AC19 AC31 AC32 BA05 BA06 BA27 BA31 BA35 BA38 BB01 BB03 DA04 DB04 DB26 FA07 GA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸アルキルエステルを含有する
    単量体混合物を重合して得られる1層又は2層以上の構
    造を有する弾性重合体(I−A)及びシアン化ビニル系
    単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるグラ
    フト層(I−B)からなるゴム含有重合体(I)、及び
    メタクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル
    系重合体(II)からなるアクリル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 厚み2mmの成形板にしたときの全光線
    透過率が80%以上であり、曇価が5%以下である、請
    求項1記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム含有重合体(I)に含まれる有機溶
    剤に可溶な遊離重合体量がゴム含有重合体(I)中30
    重量%以下である、請求項1記載のアクリル樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のアクリル樹脂組成物から
    なるアクリル樹脂フィルム状物。
  5. 【請求項5】 厚みが500μm以下である、請求項2
    記載のアクリル樹脂フィルム状物。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のアクリル樹脂フィルム状
    物を表面に有する積層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022131366A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23 株式会社カネカ グラフト共重合体及び樹脂フィルム
JP2022551614A (ja) * 2020-07-07 2022-12-12 エルジー・ケム・リミテッド 熱可塑性樹脂及びその製造方法

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JP7383805B2 (ja) 2020-07-07 2023-11-20 エルジー・ケム・リミテッド 熱可塑性樹脂及びその製造方法
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