JP2002154984A - 癌細胞増殖阻害剤及びそれを含んで成る癌細胞増殖阻害組成物 - Google Patents

癌細胞増殖阻害剤及びそれを含んで成る癌細胞増殖阻害組成物

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JP2002154984A
JP2002154984A JP2000354914A JP2000354914A JP2002154984A JP 2002154984 A JP2002154984 A JP 2002154984A JP 2000354914 A JP2000354914 A JP 2000354914A JP 2000354914 A JP2000354914 A JP 2000354914A JP 2002154984 A JP2002154984 A JP 2002154984A
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Takashi Uchida
隆史 内田
Hisafumi Ikeda
壽文 池田
Fumihiro Fujimori
文啓 藤森
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Mori Yuichi
Original Assignee
Mori Yuichi
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規の抗癌剤の提供。 【解決手段】 ペプチジルプロリルシス/トランスイソ
メラーゼを阻害することで癌細胞の増殖を阻害する化合
物及び医薬的に許容される担体含んで成る癌細胞増殖阻
害組成物を提供する。例えば、下記式(1)〜(5)等
から選ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒトパルブリン14
(以下「hPar14」)又はヒトPIN1の酵素活
性、ペプチジルプロリルシス/トランスイソメラーゼ
(PPIase)を阻害することにより抗癌活性を発揮
する化合物及びかかる化合物を含んで成る癌細胞増殖阻
害組成物に関連する。
【0002】
【従来の技術】現在、細胞周期を調節する可能性のある
新しいタイプの酵素が大いに注目されている(実験医学
Vol.17 No.5(増刊),103−105
(1999))。それは、リン酸化されたセリン/スレ
オニン残基とその隣のプロリン残基との間のペプチド結
合を180度回転させる新しいタイプのペプチジルプロ
リルシス/トランスイソメラーゼ(PPIase)であ
る(Hunter,T.らCell,92,141−1
43(1995))。PPIase活性をもつ酵素は、
すでに10年以上前に発見されているが、PPIase
そのものの生理学的な機能よりも、それと結合するラパ
マイシン、サイクロスポリンAなどの免疫抑制剤の方が
注目され、その作用機構にかかわる分子としてのみPP
Iaseは認知されていた。しかし、これらの薬剤のP
PIase阻害活性と免疫抑制活性とに直接的な関連が
認められなかったこともあって、これらの分子の生理学
的な活性についてはまだ謎が多い。PPIase酵素群
の生理学的機能は多岐にわたっているので、その阻害剤
にも、予測できない薬効があらわれることが期待でき
る。
【0003】hPar14は我々が発見した分子量1
3,676Daのタンパク質であり、生体内での基質は
不明であるが、一部の合成ペプチドに対して弱いPPI
ase活性を示した(Uchida,T.ら、(199
9)FEBS Lett.446,278−282,1
999年3月発行)。hPar14はPPIaseのな
かでも最も注目されている第3のPPIaseファミリ
ーに属するパルブリンというグループに属する。パルブ
リンは最初、大腸菌(Escherichiacol
)で発見されたが(Rahfeld,J.U.ら(1
994)FEBSLett.343,65−69)、9
2のアミノ酸からなるタンパク質で、ラテン語の非常に
小さいという意味であるparvulusからパルブリ
ンと命名された。パルブリンはバチルス・スブチリス
Bacillus subtilis)のPrsA、
大腸菌のSurA、ラクトコッカス・ラクチス(Lac
tococcus Lactis)のPrtM、サッカ
ロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces
cerevisiae)のEss1、ショウジョウバ
エ(Dorosophila)のdodo、そしてヒト
のPin1(Lu K.P.ら(1996)Natur
e 380,544−547)と相同性がある。しか
し、サッカロマイセス・セレビシエのEss1、ショウ
ジョウバエのdodo、ヒトのPin1はパルブリンと
相同性がある領域だけでなく、そのN末端にWWドメイ
ンという別のドメインがあるので、正確には大腸菌のパ
ルブリンの相同分子とは言えない。hPar14は大き
さからも構造からも、大腸菌のパルブリン相同分子と言
える。
【0004】パルブリンは生体内でタンパク質のフォー
ルディングや活性化に関与している。例えば、SurA
は大腸菌のペリプラズマに存在して、外膜にあるタンパ
ク質の成熟化に必須であり、SurAが変異をおこすと
ペリプラズマ内でのタンパク質のミスフォールディング
が引き起こされることが知られている。従って、ヒトの
パルブリンであるhPar14もヒト細胞膜で何らかの
機能を担っている可能性がある。また、ヒトのパルブリ
ングループとして最初に発見されたPin1は細胞周期
M期への進行に必須であることがわかっているので、h
Par14も細胞周期の進行、すなわち細胞増殖や分化
に関与している可能性があるが、実際にどのようにして
関与しているかは不明であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】我々はこれらの仮説に
基づき、鋭意研究の結果、hPar14が癌細胞増殖に
関与していることを解明した。そして驚くべきことに、
本発明者は、hPar14をコードする核酸配列の発現
を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドで癌細胞を
処理し、hPar14の発現を阻害すると、その癌細胞
増殖が阻害されることを見出し、従って、hPar14
が癌細胞の増殖に必要であることがわかった。本発明者
はかかる発見に基づき、hPar14の活性又はそれと
同等の活性を有するPin1の活性を阻害する物質が癌
細胞の増殖を阻害する、換言すれば「抗癌剤」となり得
るものと推定した。そして、本発明者は下記の化合物が
hPAR14又はPin1の酵素活性(ペプチジルプロ
リルイソメラーゼ活性:以下、PPIase活性)を阻
害する次式で表される化合物、フェナレン-1,3(2H)-ジ
オン,2-ヒドロキシ-(6Cl)を探索し、癌細胞株に対する
その作用を検討したところ、それが癌細胞増殖を抑制す
る効果を有することが確認された。
【化12】
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者はこの結果に基
づき、フェナレン-1,3 (2H)-ジオン,2-ヒドロキシ-(6C
l)の種々の誘導体を合成し、それらのPPIase活性
を阻害する活性及び癌細胞株の増殖能力を阻害する活性
についてスクリーニング検討したところ、下記の誘導体
がPPIase活性を阻害し、しかも癌細胞株に対して
極めて強い増殖阻害活性を発揮することを見出した。
【0007】次式を有する2,7-ジメチル-ベンゾ[lmn]
[3,8]フェナントロリン-1,3,6,8(2H,7H)-テトロン(HIC0
16A)
【化13】 次式を有するジエチル1,3,6,8-テトラヒドロ-1,3,6,8-
テトラオキソ-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン-2,7-
ジアセテート(HIC016B)
【化14】 次式を有する2-(5-カルボキシペンチル)-7-メチル-ベン
ゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムブロマイドヨーダイ
ド(HIC016C)
【化15】 次式を2-メチル-7-[6[(トリフルオロアセチル)アミノ]
ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムビス
(4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC016D)
【化16】 次式を有する2,7-ビス[6-[(トリフルオロアセチル)ア
ミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウム
ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC016E)
【化17】 次式を有するエチル 1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソ
キノリン-2(3H)-アセテート(HIC016F)
【化18】 次式を有する1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソキノリン
-2(3H)-酢酸(HIC016G)
【化19】 次式を有するt-ブチル 5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベン
ズ[de]イソキノリン-2(3H)-アセテート(HIC016H)
【化20】 次式を有する5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イ
ソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016I)
【化21】 次式を有するジエチル 1,3,8,10-テトラヒドロ-1,3,8,1
0-テトラオキソ-アントラ[2,1,9-def:6,5,10-d'e'f']ジ
イソキノリン-2,9-ジアセテート(HIC016J)
【化22】
【0008】従って、本発明はPPIase活性を阻害
することにより癌細胞増殖阻害活性を示す化合物を含ん
で成る癌細胞の増殖を阻害する医薬組成物を提供する。
詳しくは、かかる化合物は下記の群から選ばれる: フェナレン-1,3(2H)-ジオン,2-ヒドロキシ-(6Cl)(HIC01
6);2,7-ジメチル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン-
1,3,6,8(2H,7H)-テトロン(HIC016A);ジエチル1,3,6,8-
テトラヒドロ-1,3,6,8-テトラオキソ-ベンゾ[lmn][3,8]
フェナントロリン-2,7-ジアセテート(HIC016B);2-(5-カ
ルボキシペンチル)-7-メチル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナ
ントロリニウムブロマイドヨーダイド(HIC016C);2-メチ
ル-7-[6[(トリフルオロアセチル)アミノ]ヘキシル-ベ
ンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムビス(4-メチルベ
ンゼンスルホネート)(HIC016D);2,7-ビス[6-[(トリフ
ルオロアセチル)アミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フ
ェナントロリニウムビス(4-メチルベンゼンスルホネー
ト)(HIC016E);エチル 1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イ
ソキノリン-2(3H)-アセテート(HIC016F);1,3-ジオキソ-
1H-ベンズ[de]イソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016G);t-ブ
チル 5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソキノリ
ン-2(3H)-アセテート(HIC016H);5-ニトロ-1,3-ジオキソ
-1H-ベンズ[de]イソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016I);ジ
エチル 1,3,8,10-テトラヒドロ-1,3,8,10-テトラオキソ
-アントラ[2,1,9-def:6,5,10-d'e'f']ジイソキノリン-
2,9-ジアセテート(HIC016J)。
【0009】本発明は更に下記のPPIase活性を阻
害し、癌細胞増殖阻害活性を示す化合物を提供する: (1)次の一般式を有する化合物
【化23】 (式中、Rは好ましくはC1 −C4 アルキルである)
又はその医薬的に許容される塩、特に、2-(5-カルボキ
シペンチル)-7-メチル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロ
リニウムブロマイドヨーダイド(HIC016C)。
【0010】上記化合物は当業者に周知の方法に基づき
容易に合成でき得る。例えば、かかる化合物はN-アルキ
ル-2,7-ジアザピレニウムヨウダイドと6-ブロモヘキサ
ン酸とをアセトニトリルに懸濁させ、加熱還流し、例え
ばカラムクロマトグラフィーにより精製することで得ら
れる。
【0011】(2)次の一般式を有する化合物
【化24】 (式中、Rは好ましくはC1 −C4 アルキルである)
又はその医薬的に許容される塩、特に2-メチル-7-[6
[(トリフルオロアセチル)アミノ]ヘキシル-ベンゾ[lm
n][3,8]フェナントロリニウムビス(4-メチルベンゼンス
ルホネート)(HIC016D)。
【0012】上記化合物は当業者に周知の方法に基づき
容易に合成でき得る。例えば、かかる化合物はN-アルキ
ル-2,7-ジアザピレニウムヨウダイドと6-トリフルオロ
アセタミドヘキサメチル-1-パラトルエンスルホン酸と
をアセトニトリルに懸濁させ、加熱還流し、これを熱時
濾過し、結晶をメタノールなどで再結晶化させることに
より得られる。
【0013】本明細書において、C1 −C4 アルキル
とは炭素数が1〜4個の直鎖又は枝分かれした任意の低
級アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、iso-
プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル等を意
味し得る。好ましくは、C1−C4 アルキルはメチル又
はエチルである。
【0014】(3)2,7-ビス[6-[(トリフルオロアセチ
ル)アミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリ
ニウムビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC016E)
又はその医薬的に許容される塩。 (4)t-ブチル 5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]
イソキノリン-2(3H)-アセテート(HIC016H) 又はその医
薬的に許容される塩。 (5)5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソキノ
リン-2(3H)-酢酸(HIC016I) 又はその医薬的に許容され
る塩。 上記(3)乃至(5)の化合物も業者に周知の方法に基
づき容易に合成でき得る。例えば、かかる化合物は本願
明細書実施例に記載の方法に基づき製造できる。
【0015】本願明細書における医薬的に許容される塩
は、例えば上記のHIC016A〜Jを塩基性物質、例えば水酸
化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカ
リ金属、炭酸アルカリ土類金属、炭酸水素アルカリ金属
又は炭酸水素アルカリ土類金属、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化リチウム等と反応させることで、ナトリウ
ム塩、カリウム塩リチウム塩、カルシウム塩として得る
ことができる。更に、第一、第二又は第三アルキルアミ
ン、例えばメチルアンモニウム塩、トリエチルアミンな
どのようなアミンを包含する有機塩基を使用してもよ
い。
【0016】PPIase活性を阻害する活性は、例え
ば Uchida, T., Fujimori, F., Tradler, T., Fischer,
G. and Rahfeld, J.U.(1999) Identification and cha
racterization of a 14 kDa human protein as a nove
l parvulin-like peptidyl prolyl cis/trans isomeras
e. FEBS Letters, 446, 278-282に記載の方法、キモト
リプシン−複合アッセイ(chymotrypsin-coupled assa
y)に基づいて行うことができる。かかる阻害活性は, 簡
単には、hPar14又はPin1、試験化合物及びキ
モトリプシンの混合物に適当な媒質、例えば生理リン酸
緩衝液(PBS)を加えて混合し、これにPPIase
の適当な基質、例えばSuc-Ala-Xaa-Pro-Phe-pNA (ここ
でXaa は任意のアミノ酸、特にArg である)を加え、す
みやかに混合し、吸光度の上昇を経時的に測定すること
で定量的に測定することができる。
【0017】抗癌剤としての活性は、例えば下記の通り
にして調べることができる。癌細胞株、例えばHCT1
16又はHeLa株を96穴プレートに適当な密度でま
き、一晩培養した後、培地に試験化合物の希釈系列を添
加する。かかる試験化合物と適当な培地、例えば10%
の血清を含むDMEMで適当な時間、例えば数日、好ま
しくは4日間培養した後、生存している細胞数を例えば
XTT呈色アッセイで定量的に計数する。かかる定量的
な計数は、培養液に適量のXTTを加えてから約37℃
で培養し、490nmの吸収を測定することにより実施
する。結果は、細胞増殖が50%抑制される試験化合物
の濃度IC50として得ることができる。
【0018】本発明に係る化合物の毒性は当業界周知の
方法でその半致死量LD50を求めることで試験できる。
LD50は例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギな
どの小動物に当該化合物を投与する実験によって得られ
る。その方法には、例えばBehrens-Kraeber法、Probit
法、Up and Down法、van der Waerden法、Litchfield-W
ilcoxon法が挙げられる。
【0019】本願発明は更にhPar14のPPIas
e活性を阻害することで抗癌活性を示す化合物をスクリ
ーニングするための方法を提供する。かかるスクリーニ
ング方法は、(1)候補となる化合物のPPIase活性
を阻害する活性を、例えば上記のキモトリプシン−複合
アッセイにより測定し、その結果PPIase活性を阻
害する活性を有すると同定された化合物を選定し、次い
で(2)その選定された化合物を癌細胞、例えばHCT1
16又はHeLa株に作用させ、当該癌細胞の増殖を阻
害する活性について、例えば上記のXTT呈色アッセイ
により測定することで抗癌活性を示すものと確認された
化合物を選定する、段階を含んで成る。
【0020】本発明に係る化合物により増殖の阻害され
る癌細胞には様々な癌細胞が挙げられる。かかる癌細胞
は好ましくはヒト癌細胞であるが、その他の哺乳動物細
胞であってもよい。このような細胞には哺乳動物、特に
ヒトの身体を構成する様々な細胞、例えば組織細胞の癌
細胞、例えば卵巣癌、非小細胞性肺癌、胃癌、膵臓癌、
前立腺癌、腎臓細胞癌、乳癌、大腸直腸癌、小細胞性
癌、黒色腫、頭部及び頸部癌、血液細胞、リンパ球細胞
の癌細胞、等が挙げられる。特に、このような癌細胞は
ヒト子宮頸癌、膵臓癌、大腸癌等に由来する癌細胞であ
る。
【0021】本発明に係る化合物は、癌細胞の増殖を阻
害する医薬組成物として使用できる。かかる医薬組成物
は個々の癌腫の予防又は治療のために使用できる。その
投与方法は経口又は非経口でもよい。経口投与の場合に
は乱下投与が含まれる。非経口投与には注射、例えば皮
下、筋肉内、静脈内、動脈内注射、静脈内点滴、座剤投
与等が挙げられる。本発明に係る医薬組成物を経口投与
する場合には、本発明に係る抗癌活性を示す化合物に適
合した剤型、例えば錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプ
セル剤として投与してよい。かかる経口医薬組成物には
任意的に当業界において慣用の医薬的に許容される担
体、例えば結合剤、包含剤、賦形剤、潤沢剤、崩壊剤、
湿潤剤などが配合されていてよい。また、かかる医薬組
成物は経口用液体製剤であってもよい。この場合、かか
る製剤に適当な医薬的に許容される担体、例えば内用水
剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤等を含ませてよい。更
に、かかる医薬組成物は投与する際に再溶解させる乾燥
製品、例えば凍結乾燥品であってよい。この場合、かか
る乾燥製品は上記内用水剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ
剤等で再構築させてよい。発明に係る医薬組成物を非経
口投与する場合、それは慣用の単位用量アンプル又は多
用量容器等において提供され得る。この場合、適当な添
加剤、例えば安定剤、緩衝剤、等張剤、保存剤、膨張化
剤等を含ませるのが好ましい。更に、本発明に係る医薬
組成物は、当該化合物を標的細胞に確実に導入し、生体
内における分解を防ぐため、正電荷を有する高分子、リ
ポソーム、マイクロスフィア等の医薬的に許容される担
体と組み合わせた組成物であってもよい。また、当該医
薬組成物は、当該化合物を、標的とする組織又は細胞に
対する特異的反応性を有する物質、例えばモノクローナ
ル抗体などに接合された状態で含むものであってもよ
い。
【0022】本発明に係る医薬組成物の用量、投与頻
度、投与期間等は対象とする動物、例えばヒトの年齢、
体重、性別、投与の目的(例えば癌の治癒か又は予防
か)、症状の度合い、投与ルート等に応じて、担当医師
又は獣医により適宜選択される。治療的又は予防的に有
効な用量は一般に当該化合物1ng〜1g/体重kg/日、好ま
しくは10ng〜100mg/体重kg/日、より好ましくは100ng〜
10mg/体重kg/日であろう。投与頻度は日単位でも週又は
月単位であってもよく、例えば毎日1回以上、例えば1
日1回〜3回等の高頻度、又は週又は月に数回、例えば週
もしくは月に1回〜3回等の低頻度であってもよい。
【0023】本発明を以下の実施例により更に詳細に説
明する。
【0024】
【実施例】実施例1 hPar14と子宮頸癌細胞株H
eLa細胞の増殖との関係 アンチセンスオリゴDNA No.1,2,3を合成し
た。No.1,2はhPar14に対するアンチセンス
オリゴDNAであり、No.3はコントロールDNA配
列である。各々の配列は順に: No.1: 5’−GCTTGTTGTTGAACGCTGAACC−3’ (配列番号1); No.2: 5’−GGCTTTATCTTCACTATACTGTGC−3’ (配列番号2); No.3: 5’−CCAAGTCGCAAGTTGTTGTTCG−3’ (配列番号3) とした。HeLa細胞を96穴プレートに5,000細
胞/穴の密度でまいた。一晩培養した後、培地を無血清
のダルベッコモディファイドイーグル培地(DMEM)
に変えた。終濃度1μMから5μMのオリゴDNA N
o.1,2,3となるように、2μlのプラス試薬(ラ
イフテクノロジー社)と25μlの無血清DMEMを加
えて混合し、25℃に15分間おいた。あらかじめ1μ
lのリポフェクタミンと25μlの無血清のDMEM液
を加えて25℃に15分間放置したものを用意してお
き、両者を混ぜ合わせて25℃に更に15分間おいた。
これを無血清状態の細胞に添加して、3時間培養した。
20%の血清を含むDMEMを等量加え(最終血清濃度
10%)、一晩培養した。培地を新しい培地(10%の
血清を含むDMEM)に変えて、4日間培養したのち、
生存している細胞数をXTT(ナトリウム 3’−〔1
−(フェニルアミノ−カルボニル)−3,4−テトラゾ
リウム〕−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼン
スルホン酸水和物;シグマ社)呈色アッセイで定量的に
計数した。即ち、培養液100μlに50μlの0.3
mg/mlのXTTを加えて6時間37℃で培養し、4
90nmの吸収をマイクロプレートリーダー(Bior
ad社)で測定した。
【0025】添付の図1(a)(b)に示すようにアン
チセンスオリゴDNAでhPar14の発現を阻害する
と、癌細胞の増殖が抑制されることが見出された。従っ
て、癌細胞の増殖にはhPar14が関与し、且つ必要
であることが示された。その結果、癌細胞のhPar1
4を検出することで、かかる癌細胞が増殖能力を有する
か否かを決定することができることがわかった。
【0026】実施例2 hPar14と大腸癌細胞株H
CT116及びSW480細胞の増殖との関係 実施例1とは別の株、大腸癌細胞株HCT116及びS
W480細胞を実施例1で示したアンチセンスオリゴD
NA No.1及び2で処理した。図2に示すように、
実施例1と同様、アンチセンスオリゴDNAで処理する
ことによってHCT116及びSW480細胞の増殖も
阻害されるようになった。
【0027】従って、細胞の起源や細胞株に関係なく、
癌細胞のhPar14を測定することで、かかる癌細胞
が増殖能力を有するか否かを決定することができること
がわかった。hPar14が癌細胞の増殖に必要である
ことから、我々はhPar14のPPIase活性を阻
害する公知の化合物、フェナレン−1,3 (2H)ージオン,2
−ヒドロキシ−(6Cl)〔式(III)〕について、様々な癌
細胞株に対するその作用を検討した。
【0028】実施例3 フェナレン−1,3 (2H)ージオ
ン,2−ヒドロキシ−(6Cl)の癌細胞増殖阻害活性測定試
験 子宮頸癌細胞株HeLa、大腸癌細胞株HCT116及
び大腸癌細胞株WiDrを96穴プレートに各々3,0
00細胞/穴の密度でまき、一晩培養した。培地に試験
化合物を12μMで添加した。フェナレン−1,3(2
H)―ジオン,2−ヒドロキシ−(6Cl)と10%の
血清を含むDMEMで4日間培養した後、生存している
細胞数をXTT(シグマ社)呈色アッセイで定量的に計
数した。即ち、培養液100μlに50μlの0.3m
g/mlのXTTを加えて6時間37℃で培養し、49
0nmの吸収をマイクロプレートリーダー(Biora
d社)で測定した。細胞増殖が50%抑制される試験化
合物の濃度IC50を求めた。
【0029】各癌細胞に対するIC50を以下の表1に示
す。この結果から明らかな通り、フェナレン−1,3 (2H)
ージオン,2−ヒドロキシ−(6Cl)は癌細胞増殖阻害活性
を示した。
【0030】 表1:フェナレン−1,3 (2H)ージオン,2−ヒドロキシ−(6Cl) の癌細胞増殖阻害活性 細胞 IC50(μM) HeLa 12 HCT116 12 WiDr >12
【0031】以上の結果に基づき、我々はフェナレン−
1,3 (2H)ージオン,2−ヒドロキシ−(6Cl)の種々の誘導
体を合成し、そのPPIase活性を阻害する活性及び
癌細胞の増殖を阻害する活性について検討した。
【0032】実施例4 2,7-ジメチル-ベンゾ[lmn][3,
8]フェナントロリン-1,3,6,8(2H,7H)-テトロン(HIC016
A)の合成 HIC016A は下記の通りに合成した。ナフタレン-1,4,5,8
-テトラカルボン酸二無水物(2.0g, 7.5mmol)と水4mlの
懸濁液にメチルアミン5mlを加え、これを攪拌下90℃
にて1時間オートクレーブにかけた。溶媒留去後ニトロ
ベンゼン150mlを加え、脱水し、更にニトロベンゼンが
半分量になるまで減圧留去し、結晶化した。これを濾過
洗浄し、乾燥してHIC016Aを得た(2.0g, 93%)。分子
量:294.262。
【0033】実施例5 ジエチル1,3,6,8-テトラヒドロ
-1,3,6,8-テトラオキソ-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロ
リン-2,7-ジアセテート(HIC016B)の合成 HIC016B は下記の通りに合成した。ナフタレン−1,4,5,
8 −テトラカルボン酸二無水物(2.68g, 10mmol)とグリ
シンエチルエステル塩酸塩(2.93g, 21mmol) のキシレン
溶液(50ml)にトリエチルアミン(2.93ml, 21mmol)を室温
で滴下し、さらに15時間加熱還流した。反応液を室温ま
で冷却し、これを吸引濾過し、残渣をクロロホルムで洗
浄することにより、橙色結晶としてのHIC016B (1.23g,
26%)が得られた。分子量:438.387。
【0034】実施例6 2-(5-カルボキシペンチル)-7-
メチル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムブロマ
イドヨーダイド(HIC016C)の合成 HIC016C は下記の通りに合成した。N-メチル-2,7-ジア
ザピレニウムヨウダイド(153mg, 0.44mmol)と6-ブロモ
ヘキサン酸(4g, 40mmol)をアセトニトリル10mlに懸濁さ
せ、10日間加熱還流した。これをセファデックス(LH-2
0)(登録商標)カラムクロマトグラフィー(MeOH)にて精
製し、黄色粉末としてHIC016Cを得た(216mg, 91%)。分
子量:541.220。1 H NMR(CD3OD)δ10.40, 10.39(各s, 2H), 9.01(s, 4H),
5.29(d, J=6.8Hz, 2H), 5.07(s, 3H), 2.40(m, 4H),
1.75〜1.5(m, 4H);UVλmax(H2O)419, 395, 372, 336,
320, 306, 252(カチオンラジカル624, 459, 317)nm。
【0035】実施例7 2-メチル-7-[6[(トリフルオロ
アセチル)アミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナン
トロリニウムビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(HI
C016D)の合成; HIC016D は下記の通りに合成した。N−メチル-2,7-ジ
アザピレニウムヨウダイド(700mg, 2mmol)と6-トリフル
オロアセタミドヘキサメチル-1-パラトルエンスルホン
酸(1g, 10mmol)をアセトニトリルに溶解し5日間加熱還
流した。これを熱時濾過し、結晶をメタノールで再結晶
化し、HIC016Dを得た(712mg, 49%)。分子量:713.551。1 H NMR(DMSO-d6)δ10.15, 9.94(各s, 2H), 8.80, 8.62
(各d, J=9Hz, 2H), 5.06(t, J=7Hz, 2H), 4.51(brs,
3H), 3.18(q, J=6Hz, 2H), 2.19(m, 2H), 1.6〜1.3(m,
6H);UVλmax(H20)418, 393, 372, 333, 320, 306(カ
チオンラジカル683, 617, 563, 409)nm;C30H31IF3N3O4
Sの計算値:C, 58.64;H, 5.05;N, 5.55。実測値:C,
56.63;H, 4.88;N, 5.38。
【0036】実施例8 2,7-ビス[6-[(トリフルオロア
セチル)アミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナント
ロリニウムビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC0
16E)の合成 HIC016E は下記の通りに合成した。2,7-ジアザピレン(4
10mg, 2mmol)と6-トリフルオロアセタミドヘキサメチル
-1-パラトルエンスルホン酸(2g, 20mmol)をアセトニト
リルに溶解し、5日間加熱還流した。これを熱時濾過
し、結晶をメタノールで洗浄し、HIC016Eを得た(550mg,
96%)。分子量:938.997。1 H NMR(DMSO-d6)δ9.38, 8.78(各d, J=6.5Hz, 4H), 7.
48, 7.11(各d, J=7.8Hz, 4H), 4.68(t, J=6.9Hz, 4
H), 3.17(dd, J=12, 6Hz, 4H), 2.28(s, 6H), 1.96,
1.48(各m, 4H), 1.30(m, 8H);13C NMR(DMSO-d6)δ156.
20, 148.88, 146.14, 145.83, 138.13, 128.43, 126.8
8, 125.77, 107.36, 60.88, 40.77, 30.68,27.99, 25.5
8, 25.00, 20.73;UVλmax(H20)262(カチオンラジカル7
31, 675, 605, 398, 388, 370)nm;C40H48F6N4O8S2計算
値:C, 53.92;H, 5.43;F, 12.79;N, 6.29。実験値:
C, 52.66;H, 5.50;F, 12.54;N, 6.23。
【0037】実施例9 エチル 1,3-ジオキソ-1H-ベン
ズ[de]イソキノリン-2(3H)-アセテート(HIC016F)の合成 HIC016F は下記の通りに合成した。1,8-ナフタル酸無水
物(1.98g, 10mmol)とグリシンエチルエステル塩酸塩(1.
39g, 10mmol)のトルエン溶液(20ml)にトリエチルアミン
(1.39ml, 10mmol)を室温下で滴下し、さらに4時間加熱
還流した。反応液を室温まで冷却し、これを濾過し、濾
液を減圧濃縮した。残渣をエタノールで再結晶化しHIC0
16Fを黄色針状晶として得た(2.40g、85%)。分子量:28
3.279。1 H NMR(CDCl3)δ8.56(dd, J=7.3, 1.1Hz, 2H), 8.16(d
d, J=8.3, 1.1Hz, 2H), 7.72(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2
H), 4.92(s, 2H), 4.23(q, J=7.1Hz, 2H), 1.28(t, J
=7.1Hz, 3H);13C NMR(CDCl3)δ167.84, 163.59, 134.
20, 131.44, 131.39, 128.11, 126.78, 122.00, 61.59,
41.44, 14.29;HRMS(FAB+, NBA/CH2Cl2)(C 16H13NO4)H+
の計算値284.2933、実測値284.0936;UVλmax(CHCl3)33
3nm。
【0038】実施例10 1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]
イソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016G)の合成 HIC016Gは下記の通りに合成した。実施例9に記載の通
りにして調製したHIC016F(1.42g, 5mmol)のメタノール
溶液(50ml)に2Nの水酸化ナトリウム水溶液(5ml,10mmo
l)を室温で滴下し、さらに2時間攪拌した。反応液を濃
縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50
〜100%のEt2O/ヘキサン)に付し、黄色粉末としてHIC0
16Gを得た(1.23g, 96%)。分子量:255.226。1 H NMR(DMSO-d6)δ8.47(m, 4H), 7.86(dd, J=8.3, 7.3
Hz, 2H), 4.73(s, 2H);13C NMR(CDCl3)δ167.84, 163.
59, 134.20, 131.44, 131.39, 128.11, 126.78, 122.0
0, 61.59, 41.44, 14.29;HRMS(FAB+, NBA/CH2Cl2)(C16
H13NO4)H+の計算値284.2933、実測値256.0598;UVλmax
(N,N-ジメチルホルムアミド)333nm。
【0039】実施例11 t-ブチル 5-ニトロ-1,3-ジオ
キソ-1H-ベンズ[de]イソキノリン-2(3H)-アセテート(HI
C016H)の合成 HIC016Hは下記の通りに合成した。3-ニトロ-1,8-ナフタ
ル酸無水物(2.43g, 10mmol)とグリシン t-ブチルエス
テル酸塩酸塩(1.68g, 10mmol)のキシレン溶液(20ml)に
トリエチルアミン(1.39ml, 10mmol)を室温で滴下し、さ
らに4時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、こ
れを濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をエタノールで
再結晶し、HIC016Hを黄色針状晶として得た(3.14g、88
%)。分子量:356.330。1 H NMR(CDCl3)δ9.27(s, 1H), 9.15(s, 1H), 8.75(d, J
=7.1Hz, 1H), 8.46(d, J=8.1Hz, 1H), 7.94(dd, J=
8.1, 7.1Hz, 1H), 4.86(s, 2H), 1.51(s, 9H); 13C NMR
(CDCl3)δ166.68, 162.73, 162.17, 146.28, 135.94, 1
34.68, 131.03,130.23, 129.29, 129.10, 124.44, 124.
21, 122.72, 82.69, 42.29, 28.06;HRMS(FAB+)(C18H16
N2O6)H+の計算値357.1008、実測値357.1083;UVλmax(D
MF)334,278nm。
【0040】実施例12 5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-
ベンズ[de]イソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016I)の合成 HIC016Iは下記の通りに合成した。実施例11に記載の
通りにして調製したHIC016H(1.00g, 2.8mmol)にギ酸100
mlを加え、室温で1時間攪拌した。この反応液を減圧濃
縮し、水で2回共沸させた後、真空乾燥し、HIC016Iを
得た(840mg, 100%)。分子量:300.223。1 H NMR(DMSO-d6)δ9.28(s, 1H), 9.23(s, 1H), 8.77(d,
J=7.2Hz, 1H), 8.59(d, J=8.2Hz, 1H), 8.00(dd, J
=8.2, 7.2Hz, 1H), 4.89(s, 2H);13C NMR(CDCl3)δ16
9.05, 162.26, 161.80, 145.75, 136.75, 134.24, 130.
83, 130.10, 129.35, 129.18, 123.78, 123.00, 121.6
3, 82.69, 41.39;HRMS(FAB+)(C14H8N2O6)H+の計算値30
1.0382、実測値301.0447;UVλmax(DMF)333, 277nm。
【0041】実施例13 ジエチル 1,3,8,10-テトラヒ
ドロ-1,3,8,10-テトラオキソ-アントラ[2,1,9-def:6,5,
10-d'e'f']ジイソキノリン-2,9-ジアセテート(HIC016J)
の合成 HIC016J は下記の通りに合成した。3,4,9,10−ペリレン
テトラカルボン酸二無水物(3.92g, 10mmol)とグリシン
エチルエステル塩酸塩(2.93g, 21mmol) のテトラヒドロ
フラン溶液(50ml)にトリエチルアミン(2.93ml, 21mmol)
を室温で滴下し、さらに15時間加熱還流した。反応液を
室温まで冷却し、これを吸引濾過し、残渣をクロロホル
ムで洗浄することにより、赤色結晶としてのHIC016J
(5.15g, 92%)が得られた。分子量:562.526。
【0042】実施例14 HIC016A〜JによるPPIa
se活性の活性阻害測定試験 リコンビナントhPar14の作製及びPPIase活
性の測定は Uchida, Tら、前掲に記載の方法に基づいて
行った。即ち、簡略に記述すると、5μlのリコンビナ
ントhPar14(5mg/ml)、0.1μlのジメチル
スルホキシド中のHIC016A〜J(各々1mMづつ)、5μl
のキモトリプシン(10mg/ml )に100μlの生理リ
ン酸緩衝液(PBS)を加えて混合して、これにSuc-Al
a-Arg-Pro-Phe-pNA (10mg/ml)を加え、すみやかに
混合し、吸光光度計(Ultrospec 3000, Pharmacia Biot
ech)で吸光度の上昇を経時的に測定した。HIC016A〜J
の各々の最終濃度は100nMとなるようにした。その結果
を図3に示す。この結果が示す通りHIC016A〜Jは全て
PPIase活性を阻害することがわかった。従って、
我々はかかるHIC016A〜Jについてその抗癌作用を検討
した。
【0043】実施例15 HIC016A〜Jの癌細胞増殖阻
害活性測定試験 大腸癌細胞株HCT116を96穴プレートに3,00
0細胞/穴の密度でまき、一晩培養した。各穴の培地に
HIC016A〜Jを12μMで、又は10μMから出発する
2倍希釈系列で添加した。かかるフェナレン誘導体と1
0%の血清を含むDMEMで4日間培養した後、生存し
ている細胞数をXTT(シグマ社)呈色アッセイで定量
的に計数した。即ち、培養液100μlに50μlの
0.3mg/mlのXTTを加えて6時間37℃で培養
し、490nmの吸収をマイクロプレートリーダー(B
iorad社)で測定した。細胞増殖が50%抑制され
る試験化合物の濃度IC50を求めた。
【0044】各試験化合物のIC50を図4に示す。この
結果から明らかな通り、HIC016A〜J は極めて強い癌
細胞増殖阻害活性を示した。また、この結果から、上記
化合物のPPIaseの阻害活性と癌細胞増殖の阻害活
性とはある程度相関することがわかる。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Yuichi Mori <120> Cancer Cell Growth Inhibitor and Cancer Cell Growth Inhibiting Composition Comprising the Same <130> <160> 3 <210> 1 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Antisense Oligonucleotide <400> 1 gcttgttgtt gaacgctgaa cc 22 <210> 2 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Antisense Oligonucleotide <400> 2 ggctttatct tcactatact gtgc 24 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Control Oligonucleotide <400> 3 ccaagtcgca agttgttgtt cg 22
【図面の簡単な説明】
【図1】hPar14とHeLa細胞の増殖との関係を
示すグラフ図。
【図2】hPar14とHCT110及びSW480細
胞の増殖との関係を示すグラフ図。
【図3】HIC016A〜JによるPPIase活性の阻害を
示すグラフ図。
【図4】HIC016A〜Jの癌細胞の増殖を抑制する活性を
示す表。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 221/14 C07D 221/14 471/06 471/06 C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 4B024 AA01 AA08 AA11 CA01 HA17 4C034 CG08 CG10 CG17 CJ07 4C065 AA07 AA19 BB09 CC09 HH09 JJ04 KK09 LL04 PP01 4C084 AA16 BA44 CA59 NA14 ZB261 ZB262 ZC201 ZC202 4C086 AA01 AA02 BC27 MA01 NA14 ZB26 ZC20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチジルプロリルシス/トランスイソ
    メラーゼを阻害することにより癌細胞の増殖を阻害する
    化合物及び医薬的に許容される担体含んで成る癌細胞増
    殖阻害組成物。
  2. 【請求項2】 前記化合物が下記の群から選ばれる、請
    求項1記載の癌細胞増殖阻害組成物:次式を有するフェ
    ナレン-1,3 (2H)-ジオン,2-ヒドロキシ-(6Cl)(HIC016) 【化1】 次式を有する2,7-ジメチル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナン
    トロリン-1,3,6,8(2H,7H)-テトロン(HIC016A) 【化2】 次式を有するジエチル1,3,6,8-テトラヒドロ-1,3,6,8-
    テトラオキソ-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン-2,7-
    ジアセテート(HIC016B) 【化3】 次式を有する2-(5-カルボキシペンチル)-7-メチル-ベン
    ゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムブロマイドヨーダイ
    ド(HIC016C) 【化4】 次式を2-メチル-7-[6[(トリフルオロアセチル)アミノ]
    ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウムビス
    (4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC016D) 【化5】 次式を有する2,7-ビス[6-[(トリフルオロアセチル)ア
    ミノ]ヘキシル-ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリニウム
    ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(HIC016E) 【化6】 次式を有するエチル 1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソ
    キノリン-2(3H)-アセテート(HIC016F) 【化7】 次式を有する1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イソキノリン
    -2(3H)-酢酸(HIC016G) 【化8】 次式を有するt-ブチル 5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベン
    ズ[de]イソキノリン-2(3H)-アセテート(HIC016H) 【化9】 次式を有する5-ニトロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ[de]イ
    ソキノリン-2(3H)-酢酸(HIC016I) 【化10】 次式を有するジエチル 1,3,8,10-テトラヒドロ-1,3,8,1
    0-テトラオキソ-アントラ[2,1,9-def:6,5,10-d'e'f']ジ
    イソキノリン-2,9-ジアセテート(HIC016J) 【化11】 又はその医薬的に許容される塩。
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