JP2002154398A - 乗員保護装置 - Google Patents

乗員保護装置

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JP2002154398A
JP2002154398A JP2000352989A JP2000352989A JP2002154398A JP 2002154398 A JP2002154398 A JP 2002154398A JP 2000352989 A JP2000352989 A JP 2000352989A JP 2000352989 A JP2000352989 A JP 2000352989A JP 2002154398 A JP2002154398 A JP 2002154398A
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deceleration
seat
occupant
vehicle body
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JP2000352989A
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English (en)
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Hideaki Nakamichi
英明 中道
Yasuki Motosawa
養樹 本澤
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突状況に応じた乗員減速度の好適な低減を
実現する。 【解決手段】 シート4を後退駆動させるためのアクチ
ュエータ11と、メインフレーム1の圧縮変形量を検出
する変形量検出センサ18と、衝突センサ21aと、各
センサの検出信号に応じてアクチュエータを作動させる
制御を行うECU21とを設けると共に、アクチュエー
タのピストン13の移動量を変えるための可動ロッド1
5をアクチュエータに設け、変形量に応じて移動量を変
えるように可動ロッド15を変位させる。 【効果】 衝突状況に応じてシートの後退方向移動量を
加減でき、正面衝突やオフセット衝突など様々な衝突状
況に応じた好適な減速度波形を生じさせて、衝突時にお
ける乗員減速度の好適な低減を実現し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗員保護装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の衝突時の乗員保護効果を
高めるために、車体の居住空間以外の部分の衝突時の変
形モードを適切に設定して車体の居住空間部分の減速度
を低減すると共に、居住空間にまで変形が及ばないよう
にした車体構造が種々提案されている(特開平7−10
1354号公報など参照)。
【0003】一方、衝突時における乗員の傷害の程度に
影響するものとしては、一般に、乗員の加(減)速度の
最大値である。したがって、衝突時の傷害を低減するた
めには、乗員の減速度(前方衝突時)を小さくすれば良
いが、乗員の減速度はシートベルト等の拘束装置から加
わる力によって生じる。ここで、シートベルトがばねと
して機能するため、慣性力で乗員が前方へ移動し、シー
トベルトの伸びが最大に達したところで乗員減速度がピ
ークに達することになるが、この乗員減速度のピーク値
は、慣性力による乗員の移動量が大きいほど高くなり、
一般に車体の平均減速度よりも高くなると言われてい
る。
【0004】車体減速度と乗員減速度との関係を、ばね
(拘束装置)と質量(乗員の質量)とで構成する系に対
しての入出力とみなせば、ばねの伸びの最大値とその時
刻とが車体減速度の波形(時間変化)に支配されること
が分かる。したがって、衝突時における乗員減速度を小
さくするには、車体の平均減速度を小さくするだけでは
なく、ばね(シートベルト)のオーバシュートがなるべ
く小さくなるように車体減速度の波形を調整する必要が
ある。
【0005】従来の車体構造において、衝突反力発生部
材(サイドビームなど)と各コンポーネントとの間で構
成されるクラッシャブルゾーンを車体前部に配置し、こ
の部分を変形させることで衝突エネルギの吸収を行い、
各部の寸法設定などにより反力特性を変えることで車体
減速度の波形を調整しているものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】乗員の傷害低減を行う
上で車体減速度の波形は重要な要素であるが、そのよう
な目的に合致した乗員減速度を小さく抑えられる車体減
速度の波形としては、図8の実線に示されるように、初
期に平均減速度よりも大きい減速度を一定時間(短時
間)発生し、続けて逆向きの減速度を一定時間(短時
間)発生した後に、平均的な減速度で減速するような波
形が考えられる。このような車体の減速度の波形では、
車体の減速に要する距離(ダイナミックストローク)が
同一の一定減速度(矩形波)の場合よりもより一層乗員
減速度が小さくなることが、本出願の発明者らが行った
シミュレーションで確認されている。
【0007】ところで、従来の車体構造におけるクラッ
シャブルゾーンにあっては、衝突開始時には必ず強度の
低い部分から変形し、しかる後に強度の高い部分の変形
が起こるために、衝突反力すなわち車体減速度が初期に
は小さく後半に大きくなるような波形となるので、乗員
の減速度低減に対しては効果が十分であるとは言えなか
った。この問題を解決するために、従来は、サイドビー
ムの圧壊を利用して一定の反力を得る方法や、サイドビ
ームに隔壁を複数箇所に設けることで安定した反力を維
持する方法(特開平7−101354号)などが提案さ
れている。
【0008】しかしながら、それらの方法では、車体の
減速度を一定減速度(矩形波)に近付けることはできて
も、図8で示したような、より効果的な減速度波形を得
ることは極めて困難であった。乗員の減速度を、上記従
来のものにおけるよりも小さくするためには、図8に示
したような車体減速度波形を発生させることが求められ
る。さらに、衝突形態としては正面衝突のみならず、オ
フセット衝突などもあり、そのような様々な衝突状況に
応じた好適な減速度波形を実現することが望まれる。
【0009】本発明は、このような知見に基づいて案出
されたものであり、その目的は、衝突状況に応じた乗員
減速度の好適な低減を実現し得る自動車の乗員保護装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、車体に対して変位可能に支
持されかつ着座した乗員(5)を拘束するシートベルト
(6)を備えたシート(4)と、衝突時に上記変位方向
に圧縮変形するように設けられた衝撃吸収部材(1)
と、衝突を検出する衝突センサ(21a)と、前記衝撃
吸収部材(1)の圧縮変形量を検出する変形量検出手段
(18)と、前記シート(4)を後退方向へ駆動するた
めのシート駆動手段(11)と、前記シート(4)の後
退方向移動量を可変設定可能に規制する可変ストッパ
(15)と、前記衝突センサ(21a)により衝突を検
出した際に前記シート駆動手段(11)により前記シー
ト(4)を前記後退方向へ駆動すると共に前記変形量検
出手段(18)により検出された圧縮変形量に応じて前
記可変ストッパ(15)による前記後退方向移動量を変
えるように制御する制御手段(21・17)とを有する
ものとした。
【0011】これによれば、シートベルト一体シートを
衝突開始直後には後退させ、衝突中盤以降にはシート速
度と車体速度とを一致させることができ、そのようにす
ることにより乗員の減速度の増大を抑制しかつシートの
減速度を乗員の減速度と略一致させるように調節するこ
とができるため、早期に車体とシートおよび乗員との減
速度を互いに略等しくすることができる。さらに、衝突
センサと変位量検出手段とにより衝突状況(正面衝突や
オフセット衝突)を判別することができ、衝突状況に応
じてシートの後退方向移動量を加減でき、様々な衝突状
況に応じた好適な減速度波形を生じさせて、衝突時にお
ける乗員減速度の好適な低減を実現し得る。
【0012】また、前記シート駆動手段(11)が、前
記シート(4)に連結されたピストン(13)を爆発力
で前記後退方向へ変位させるようにしたアクチュエータ
(11)であり、前記可変ストッパ(15)が、前記ア
クチュエータ(11)内にて前記ピストン(13)に対
向しかつ進退可能に設けられた可動ロッド(15)と、
前記可動ロッド(15)を任意の位置で係止可能なロッ
ド係止手段(16)とからなることによれば、シート後
方にアクチュエータを設置するという簡単な構造で上記
減速度の変化を実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。
【0014】図1は本発明に基づく車体構造を示す概念
的な側面図であり、図2は本発明に基づく車体構造を示
す要部透視斜視図である。各図に示されるように、本車
体構造にあっては、車体の前後方向に延在するメインフ
レーム1と、メインフレーム1上に一体結合されたフロ
ア2と、メインフレーム1に対して衝突時に後退し得る
ようにフロア2上に固設されたシートレール3を介して
支持されたシート4とが設けられている。シート4に
は、シート4に対する乗員5の移動を拘束するためのシ
ートベルト6が設けられており、本シート4はシートベ
ルト一体型シートとして構成されている。なお、シート
1は、初期状態にあってはシートレール3に対して最前
に位置している。
【0015】メインフレーム1のエンジンルーム部分1
aは、薄肉鋼板材により筒状に形成されているものであ
って良く、車体の前後方向に延在しかつ衝突時の衝撃力
により車体前方側部分から圧縮変形する衝撃吸収部材と
して設けられている。そのエンジルーム部分1aの車体
前端にはフロントバンパビーム8が結合されている。
【0016】上記シート4の車体後方(後退方向)に
は、シート駆動手段としてのアクチュエータ11が設け
られている。本アクチュエータ11にあっては、図3に
併せて示されるように、フロア2にシート変位方向に合
わせて固設されたシリンダ12内にピストン13を同軸
的に受容した構造をなしている。そのシリンダ12から
車体前方に突出するようにピストン13に同軸的に形成
されたピストンロッド13aがシート4の後端部に結合
されている。
【0017】本アクチュエータ11にあっては、ピスト
ン13をシート4の後退方向(車体後方)へ移動させる
べく、シリンダ12の車体前側に膨張室12aを有し、
膨張室12aへ爆発ガスを噴出するためのガス発生器1
4が膨張室12aと連通するようにシリンダ12の上部
に取り付けられている。また、シリンダ12の車体後側
には、ピストン13に同軸的に対向する可動ロッド15
が設けられている。可動ロッド15は、その車体前側の
先端部がシリンダ12の内部でピストン13に対向する
ように、その中間部をシリンダ12との間に設けられた
ロッド係止手段としてのボールねじ部16を介して支持
されている。また、可動ロッド15のシリンダ12から
車体後方へ突出する後端部には、モータ17が連結され
ている。このようにして可変ストッパが構成されてお
り、モータ17を回転させることにより、規制位置とし
ての可動ロッド15の先端位置を変えられるようになっ
ている。
【0018】なお、可動ロッド15とモータ17との連
結構造にあっては、可動ロッド15の後端部に軸線方向
縦溝を形成し、モータ軸の先端に半径方向バーを固着
し、軸線方向縦溝内に半径方向バーを受容することによ
り両者を回転方向に互いに係合させるようにしている。
このようにすることにより、モータ17を所定の方向に
回転させることにより、ボールねじ部16の作用で可動
ロッド15が図3の矢印Aに示されるように車体後方へ
移動し、初期状態に対して図の想像線に示されるように
後退した所に可動ロッド15が位置するようになる。
【0019】また、メインフレーム1のエンジンルーム
部分1aであってバンパビーム8の近傍には、変形量検
出センサ18が設けられている。この変形量検出センサ
18は、パンパビーム8に固設されてメインフレーム1
側に延出する弾性接触片19と、その接触片19に対向
するようにメインフレーム1のエンジンルーム部分1a
に設けられた接点ユニット20とからなる。この接点ユ
ニット20は、エンジンルーム部分1aのバンパビーム
8から所定長離れた位置に固設された柱部及びその柱部
により支持されてエンジンルーム部分1aの軸線に沿っ
て接触片19に向けて延出するアーム部とからなる本体
20aと、本体20aにエンジンルーム部分1aの軸線
に沿う向きに所定の間隔をあけて配設された複数(図示
例では4個)の接点部20b〜20eとからなる。な
お、初期状態では、接触片19はいずれの接点部接点部
20b〜20eとも接触していない。
【0020】また、車体の任意の位置には本装置の制御
を行うためのECU21が取り付けられている。ECU
21内には衝突を検出するために減速度(加速度)を検
出して電気信号に変換し得る衝突センサ21aが設けら
れている。そして、ECU21には、変形量検出センサ
18の接触片19及び各接点部20b〜20eとアクチ
ュエータ11のガス発生器14とモータ17とがそれぞ
れワイヤハーネスを介して電気的に接続されている。
【0021】次に上記本発明装置の作動要領について、
路上構築物に車両が正面衝突した場合を想定し、図5を
参照して以下に示す。
【0022】図5(a)に示される衝突開始直後(第1
段階)には、車体が衝突した瞬間にメインフレーム1に
発生する衝突荷重によってフロア2が減速を開始する。
さらに、衝突荷重によってメインフレーム1のエンジン
ルーム部分1aが、上記したように車体前方側部分から
圧縮変形することから、そのバンパビーム8との結合部
から圧縮変形する(図8の区間a)。
【0023】この時、衝突を衝突センサ21aにより検
知したら、その衝突検知に基づいてECU21から発火
信号をガス発生器14に出力し、ガス発生器14でガス
爆発を起こして、その爆発ガス圧を膨張室12a内に送
り込む。これにより、ピストン13が車体後方へ移動さ
せられることから、ピストンロッド13aに一体的に連
結されたシート4には車体後方への加速度すなわち減速
度が発生し、車体本体に対してシート4は後方への移動
を開始する。
【0024】また、上記圧縮変形が開始し、接触片19
の先端部が車体最前の接点部20bに接触したら、その
状態をECU21で判別でき、上記衝突検知からの時間
経過に対する圧縮変形による変位量の進行状況を監視す
ることができる。
【0025】例えば、固定壁衝突のような衝突が激しい
場合には、衝突検知後短時間で接触片19が接点部20
bに接触することから、そのような激しい衝突であるこ
とを判別できる。その場合には、車体本体に発生する減
速度は大きくなるので、乗員減速度を早期に立ち上げて
車体減速度と釣り合わせる必要がある。したがって、衝
突が激しいと判別した場合には、ガス発生器14による
ガス爆発と共に、モータ17を作動させて、ピストン1
3と可動ロッド15との間隔を大きくして(図3に示さ
れるように間隔をL1から例えばL2にする)、ピスト
ン13が可動ロッド15に衝当するまでの時間を遅らせ
て、乗員減速度を大きくして、衝突が激しい場合の大き
な車体減速度と乗員減速度とを略一致させる。
【0026】それに対して、オフセット衝突のような場
合には、車体本体に発生する減速度は小さいが変形量は
大きく、かつ車体減速度の持続時間が長くなり、衝突検
知後にある程度の時間が経過してから接触片19が接点
部20bに接触することから、オフセット衝突のような
衝突であると判別できる。この場合、上記したように変
化する車体減速度に乗員減速度を釣り合わせて、衝突後
半における乗員の前方への移動を押さえる必要がある。
このような場合には、ピストン13と可動ロッド15と
の間隔を小さくして(例えば間隔をL1のままにするべ
くモータ17を作動させない)、乗員減速度を車体減速
度と同様の比較的低いレベルまで立ち上げるようにし、
そのようにして乗員減速度と車体減速度とを略一致させ
る。なお、この場合にあっても、衝突検知によるガス爆
発力によりシート4は車体本体に対して後方へ移動す
る。
【0027】図5(b)に示される衝突中盤(第2段
階)には、シートベルト一体シート4は車体に対して相
対的に後方へ移動し、アクチュエータ11のピストン1
3がエネルギ吸収構造をなす可動ロッド15の先端に衝
当する。衝当後は、可動ロッド13先端部が圧壊し、こ
れにより所定の荷重を発生させつつシートの運動エネル
ギが吸収される。この圧壊変形により発生する荷重を受
けて、シート4には衝突減速度とは反対方向の加速度が
発生し、シート4の減速度波形は図8の区間bに示され
るように変化する。
【0028】シート4の上記反対方向加速度の発生が終
了すなわちシート4の車体後方への相対移動を終了する
時点(図8の区間cの終わり)で、乗員の速度及び減速
度が車体本体の速度及び減速度と略一致するように、E
CU12によるアクチュエータ11の作動(ピストン1
3と可動ロッド15との間隔)を制御可能にするように
設計することが望ましい。
【0029】図5(c)に示される衝突終盤(第3段
階)では、車体本体とシート4とが互いに一体となって
衝突終了まで減速を続ける(図8の区間d)。車体本体
が発生する荷重は、車体構造を適宜設計し、衝突終了ま
で一定になるようにしておくことが望ましい。この第3
段階までに乗員の速度及び減速度とシート4及び車体と
が一致しているので、乗員は、シート4及び車体と相対
運動を生じず、車体(シート4)と一体となって減速を
続ける。すなわち、乗員5は、シート4に押し付けられ
ることがなく、シート4から一定距離だけ離れて留まっ
た状態になるライドダウン状態になる。このライドダウ
ン効果を最大限利用することができるため、乗員5の減
速度を十分に低く保つことができる。
【0030】本乗員保護装置によれば、上記したプロセ
スによって衝突状況を判断し、シートベルト一体シート
4に発生する減速度を衝突状況に応じて制御することが
できるため、様々な衝突形態に対して最適な減速度波形
を創出して乗員減速度を大幅に低減する機能を発揮する
ことができる。
【0031】例えばオフセット衝突における波形の一例
を図8に対応する図6を参照して以下に示す。図では、
衝突開始から時間t1経過後に本装置が作動し始めた場
合が示されている。図に示される一点鎖線の波形は固定
壁衝突時の車体減速度を示すものであり、それに対して
オフセット衝突時には、メインフレーム1のエンジンル
ーム部分1a(サイドメンバ)が衝突反力を充分に発生
しないため、車体減速度波形は、図の二点鎖線に示され
るように、衝突初期にはエンジンルーム内の様々な構造
物の変形荷重だけによる極低いものになる。その低い車
体減速度により車体の運動エネルギも十分に吸収されな
いためエンジンルームの車体変形量が増大し、最終的に
エンジンルームの変形代を使い切ったら底付きが発生し
て車室側の車体が変形し始めて、残りの運動エネルギが
吸収される。この底付き後に車体減速度が大幅に上昇す
る(区間a)。
【0032】また、衝突初期の極低い平均車体減速度発
生時の間にも、シートベルト6のばね効果により乗員5
と車体とには自由振動(サイン振動)が発生する。した
がって、乗員の減速度(胸G)は、理論上、この間の平
均車体減速度の2倍まで達し、その後はサインカーブに
したがって下降する。図6では、乗員減速度(破線)が
下降し始めた時点で車室部分の底付きが発生する状態を
示している。その底付き後には上記したように車体減速
度が大幅に上昇するので乗員減速度は再び上昇し、図の
破線に示されるように乗員減速度が変化する。
【0033】本装置の上記プロセスによれば、シート4
の減速度を、図の実線で示されるように区間aでは比較
的急激に増大させ、区間bでは負の減速度(加速度)が
生じるまで加速させ(車体に対して)、区間cでは車体
減速度に略一致させるように減速度を増大させることが
できる。これにより、オフセット衝突時における乗員の
減速度を、そのピーク値が大きくなることを防止しかつ
車体の減速度に略一致させるように好適に変化させるこ
とができる。
【0034】また、種々の衝突に対する判別要領を、図
7を参照して以下に示す。図7は、ECU12内のメモ
リに予め記憶されている作動条件マップの一例であり、
図において横軸が車体変形速度(接触片19の接点部2
0b〜20eに接触するまでの時間で判別可能)を示
し、縦軸が車体減速度(車体の適所に減速度センサを設
けることにより検出可能)を示している。
【0035】図に示される領域Iは軽衝突の場合を示
し、領域IIはオフセット衝突の場合を示し、領域IIIは
固定壁衝突の場合を示し、領域IVは高速度衝突の場合を
示している。なお、各境界は目安であり、図示例に限定
されるものではなく、より細かく分けても良い。
【0036】そして、上記各センサの検出値に基づいて
判別された各衝突状態に応じてピストン13と可動ロッ
ド15との間隔を調整する。例えば、軽衝突の場合には
モータ17を作動させず、オフセット衝突の場合には間
隔を少し大きくするようにモータ17を作動させ、固定
壁衝突及び高速度衝突の場合には間隔を例えば最大限ま
で大きくするようにモータ17を作動させる。このよう
にして、各衝突状況に応じた好適な乗員減速度波形を得
ることができる。
【0037】なお、変形量検出手段としては、上記図示
例のものに限られるものではなく、例えば、車体前方及
び左右両側方に対する減速度センサを配設することによ
り、各検出信号の大きさから正面衝突なのかオフセット
衝突なのかを判別することができるため、衝突状況を判
別し得るものであれば良い。
【0038】
【発明の効果】このように本発明によれば、シートベル
ト一体シートを衝突開始直後には後退させ、衝突中盤以
降には前進させることができ、そのようにすることによ
り乗員の減速度の増大を抑制しかつシートの減速度を乗
員の減速度と略一致させるように調節することができる
ため、早期に車体とシートおよび乗員との減速度を互い
に略等しくすることができる。さらに、衝突状況に応じ
てシートの後退方向移動量を加減でき、正面衝突やオフ
セット衝突など様々な衝突状況に応じた好適な減速度波
形を生じさせて、衝突時における乗員減速度の好適な低
減を実現し得る。
【0039】また、シートに連結されたピストンを爆発
力で前記後退方向へ変位させるようにしたアクチュエー
タを設け、そのアクチュエータ内にてピストンに対向さ
せた可動ロッド及びその可動ロッドを任意の位置で係止
可能なロッド係止手段を設けることにより、シート後方
にアクチュエータを設置するという簡単な構造で上記減
速度の変化を実現できるため、乗員保護装置を設置する
ために車室が狭くなることをできるだけ防止でき、乗員
保護装置を設けた車体のコンパクト化を促進し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による乗員保護装置が適用された車両の
概略構成を示す模式的側面図。
【図2】本発明による乗員保護装置が適用された車両の
概略構成を示す模式的斜視図。
【図3】本乗員保護装置のアクチュエータを示す要部破
断側面図。
【図4】変形量検出センサを示す側面図。
【図5】(a)は衝突開始直後の状態を示す車両の模式
的側面図であり、(b)は衝突中盤(第2段階)の状態
を示す車両の模式的側面図であり、(c)は衝突終盤
(第3段階)の状態を示す車両の模式的側面図。
【図6】オフセット衝突の場合の減速度波形図。
【図7】各衝突状況に応じた作動条件を示すマップ。
【図8】衝突時の減速度波形図。
【符号の説明】
1 メインフレーム(衝撃吸収部材) 4 シート 5 乗員 6 シートベルト 11 アクチュエータ(シート駆動手段) 13 ピストン 15 可動ロッド(可変ストッパ) 16 ボールねじ部(ロッド係止手段) 18 変形量検出センサ(変形量検出手段) 21a 衝突センサ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に対して変位可能に支持されかつ着
    座した乗員を拘束するシートベルトを備えたシートと、
    衝突時に上記変位方向に圧縮変形するように設けられた
    衝撃吸収部材と、衝突を検出する衝突センサと、前記衝
    撃吸収部材の圧縮変形量を検出する変形量検出手段と、
    前記シートを後退方向へ駆動するためのシート駆動手段
    と、前記シートの後退方向移動量を可変設定可能に規制
    する可変ストッパと、前記衝突センサにより衝突を検出
    した際に前記シート駆動手段により前記シートを前記後
    退方向へ駆動すると共に前記変形量検出手段により検出
    された圧縮変形量に応じて前記可変ストッパによる前記
    後退方向移動量を変えるように制御する制御手段とを有
    することを特徴とする乗員保護装置。
  2. 【請求項2】 前記シート駆動手段が、前記シートに連
    結されたピストンを爆発力で前記後退方向へ変位させる
    ようにしたアクチュエータであり、 前記可変ストッパが、前記アクチュエータ内にて前記ピ
    ストンに対向しかつ進退可能に設けられた可動ロッド
    と、前記可動ロッドを任意の位置で係止可能なロッド係
    止手段とからなることを特徴とする請求項1に記載の乗
    員保護装置。
JP2000352989A 2000-11-20 2000-11-20 乗員保護装置 Pending JP2002154398A (ja)

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