JP2002154078A - 二足歩行ロボット - Google Patents

二足歩行ロボット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ロボットの脚体の関節(特に膝関節)にかかる
負担を軽減し、また、ロボットの姿勢の安定性を容易に
確保することが可能な蓄電装置の配置構造を有する二足
歩行ロボットを提供する。 【解決手段】ロボットの動作用電源としての蓄電装置1
9は、その重心点Aが、蓄電装置19を除去してロボッ
トを直立姿勢状態とした場合におけるロボットの重心点
Bよりも前方側に存するようにロボットの上体1の蓄電
装置搭載部16に搭載される。脚体2の膝関節14を若
干前方側に屈曲させてロボットを床F上に通常的に起立
させる状態では、蓄電装置19を合わせたロボットの全
体の重心点Cは、ロボットの側面視において膝関節14
のほぼ直上に存する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二足歩行ロボット
に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人等により近年実用化が図られ
ている二足歩行ロボットは、基本的には人型のロボット
であり、人間と同様に上体(胴体)の下端部の腰部から
二本の脚体を延設し、また、上体の左右両側部の肩部か
ら二本の腕体が延設したものが一般的に知られている。
【0003】この種のロボットでは、脚体や腕体等の動
作を行うための動作用電力は、外部からケーブルを介し
てロボットに供給するようにすることも可能であるが、
このようなものでは、ロボットの可動範囲等が制限を受
け易いと共に、ケーブルの取り回しが煩雑なものとな
る。このため、ロボット自身にその動作用電源としての
バッテリ等の蓄電装置を搭載することが望ましい。
【0004】ところが、このようにロボットの動作用電
源としての蓄電装置をロボット自身に搭載する場合、ロ
ボットの継続的な可動時間を十分に確保するために、比
較的大きな容量の蓄電装置を必要とし、該蓄電装置は比
較的大型で重量の重いものとなる。そして、二足歩行ロ
ボットでは、その構造上、前記蓄電装置は、一般にはロ
ボットの上体に搭載することとなる。
【0005】しかるに、このように蓄電装置を上体に搭
載した二足歩行ロボットでは、該蓄電装置を含めたロボ
ットの上体が重いものとなり、ロボットを床上に概ね直
立姿勢状態で起立させたときに、その上体を支える脚体
の関節に負担がかかり易い。特に、二足歩行ロボットで
は、床上に起立しているときのロボットの姿勢の安定性
を確保する上で、両脚体の膝関節を若干前方側に屈曲さ
せておくことが好ましく、この場合には、ロボットの上
体における蓄電装置の搭載箇所が不適切であると、脚体
の膝関節に大きな負担がかかり易い(膝関節にロボット
の上体側から大きなモーメントが作用する)。そして、
この場合、膝関節のアクチュエータ(電動モータ)の容
量を大きくする必要があるが、該膝関節のアクチュエー
タは、構造上やサイズ上の制約を受け易いため、その容
量をあまり大きくすることは困難である。
【0006】また、二足歩行ロボットは、多数の脚体を
有するロボット等に比して、本来的に外乱等の影響を受
けたときに姿勢の安定性が損なわれ易い。
【0007】このようなことから、重量物である蓄電装
置をロボットの上体のどのような箇所にどのようなレイ
アウトで搭載するかは、脚体の関節(特に膝関節)に掛
かる負担を軽減し、また、ロボットの姿勢の安定性を確
保する上で重要な課題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑みてなされたものであり、ロボットの脚体の関節(特
に膝関節)にかかる負担を軽減し、また、ロボットの姿
勢の安定性を容易に確保することが可能な蓄電装置の配
置構造を有する二足歩行ロボットを提供することを目的
とする。
【0009】併せて、蓄電装置のロボットに対する脱着
作業を容易に行うことを可能とした二足歩行ロボットを
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の二足歩行ロボッ
トは、かかる目的を達成するために、ロボットの動作用
電源としての蓄電装置と、二本の脚体とを備えると共
に、両脚体のそれぞれの中間部の膝関節を該ロボットの
直立姿勢状態よりも該ロボットの前方側に屈曲させた起
立姿勢状態で床上に起立する二足歩行ロボットにおい
て、前記蓄電装置の重心点が、前記ロボットを直立姿勢
状態として該ロボットから前記蓄電装置を除去した場合
における該ロボットの重心点よりも前方側の位置に存す
るように前記蓄電装置を該ロボットの上体に設けた蓄電
装置搭載部に搭載し、その搭載状態でのロボットの全体
の重心点が、前記起立姿勢状態でのロボットの側面視に
おいて該ロボットの各脚体の膝関節の略直上に存するよ
うにしたことを特徴とするものである。
【0011】尚、本明細書において、ロボットの直立姿
勢状態は、ロボットの二本の脚体を鉛直方向に伸ばし、
ロボットの全体を鉛直方向に延在させた姿勢状態を意味
する。そして、前記起立姿勢状態は、二本の脚体以外の
ロボットの各部(上体、腕体等)の姿勢状態は直立姿勢
状態と同一である。また、本明細書において、ロボット
の前後方向は、ロボットの直立姿勢状態においてロボッ
トの二本の脚体が並列する方向(ロボットの左右方向)
と鉛直方向とに直行する方向を意味する。
【0012】かかる本発明によれば、前記蓄電装置を前
記蓄電装置搭載部に搭載した状態での前記蓄電装置の重
心点が、前記ロボットの直立姿勢状態で該蓄電装置を除
去した場合における該ロボットの重心点よりも前方側の
位置に存するようにすることによって、ロボットの二本
の脚体の膝関節を直立姿勢状態よりも前方側に多少屈曲
させたロボットの前記起立姿勢状態において該ロボット
を側面視で見たとき(ロボットを左右方向で見たと
き)、前記蓄電装置を含めたロボットの全体の重心をロ
ボットの両脚体の膝関節のほぼ直上位置を存在させるこ
とができる。このため、ロボットを通常的に床上に起立
させる場合の基本的な姿勢状態としての前記起立姿勢状
態において、各脚体の膝関節にロボットの上体側から作
用するモーメントが比較的小さなものとなり、該膝関節
にかかる負担を軽減することが可能となる。
【0013】また、二足歩行ロボットでは、例えば本願
出願人が特開平5−337849号公報に開示している
ような倒立振子型動力学モデルに基づきロボットの姿勢
安定化制御を行うことが一般に行われる。この姿勢安定
化制御は、ロボットの上体位置の摂動分の挙動特性を倒
立振子の挙動特性により擬似表現してロボットの脚体の
足首回りのトルク制御を行うものである。そして、この
種の姿勢安定化制御を行うロボットでは、前記起立姿勢
状態において、ロボットが多少前のめりになるようなモ
ーメントをロボットの両脚体の足首回りに上体側から作
用させておくことがロボットの安定した起立姿勢を確保
する上で好ましい場合もある。この場合、本発明の二足
歩行ロボットでは、該ロボットの側面視で、ロボットの
全体の重心が、前方側に屈曲した脚体の膝関節の略直上
に位置するため、上記のようなモーメントを足首回りに
上体側から作用させることができる。この結果、ロボッ
トの起立姿勢状態における姿勢の安定性を容易に確保す
ることが可能となる。
【0014】このように、本発明の二足歩行ロボットに
よれば、ロボットを床上に起立させた状態におけるロボ
ットの脚体の膝関節にかかる負担を軽減することが可能
となると共に、ロボットの姿勢の安定性を容易に確保す
ることが可能となる。
【0015】尚、かかる本発明は、上記の如く、倒立振
子型動力学モデルに基づく姿勢安定化制御が行われる二
足歩行ロボットにおいて最適である。
【0016】かかる本発明では、好ましくは、前記蓄電
装置搭載部は、前記ロボットの上体の前面部及び背面部
のいずれか一方に設けられた開口を介して前記蓄電装置
を脱着可能に該蓄電装置を搭載する。
【0017】これによれば、ロボットをあお向けに寝か
せた状態、あるいはうつ伏せに寝かせた状態で蓄電装置
を蓄電装置搭載部から取り外したり、該蓄電装置搭載部
に取り付けることが可能となるため、ロボットが転倒し
たりすることない状態で、蓄電装置の脱着を容易に行う
ことができる。
【0018】本発明ではさらに、前記開口は、前記ロボ
ットの上体の前面部に設けられると共に、前記蓄電装置
搭載部は、前記ロボットの肩部から延設された腕体の作
動により前記蓄電装置を前記開口を介して脱着可能な位
置に設けられ、該腕体の作動により前記蓄電装置の脱着
を行うとき、該蓄電装置以外に前記ロボットの動作用電
力を供給する予備給電手段を備える。
【0019】これによれば、前記予備給電手段から供給
される電力により前記ロボットの腕体を作動させなが
ら、該ロボット自身の腕体の作動によって、前記蓄電装
置を蓄電装置搭載部から取り外したり、該蓄電装置搭載
部に取り付けたりすることができる。従って、該蓄電装
置の脱着作業をロボット自身によって容易に行うことが
できる。
【0020】尚、前記予備給電手段としては、例えば前
記蓄電装置以外にロボットに搭載した予備の蓄電装置
(これはさほど大きな容量のものでなくてもよい)が挙
げられるが、この他、ロボットの外部に備えた商用電源
等の外部電源に着脱自在に接続して、該外部電源からロ
ボットの動作用の電力を受けるようなもの(具体的には
上記外部電源に接続するケーブルや、整流回路、電圧調
整回路等を備えるもの)であってもよい。
【0021】また、上述のように前記開口を介して蓄電
装置を着脱自在とした本発明にあっては、前記蓄電装置
搭載部に前記蓄電装置を搭載した状態で、該蓄電装置を
該蓄電装置搭載部に係脱可能に係止する係止手段を備え
る。
【0022】これによれば、ロボットの動作中に該ロボ
ットに作用した衝撃等によって、前記蓄電装置が前記開
口を介して不用意に脱離してしまうような事態を前記係
止手段によって防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の二足歩行ロボットの一実
施形態を図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施
形態の二足歩行ロボットの全体構成を示す斜視図、図2
は該ロボットの側面図、図3は該ロボットに備えた蓄電
装置の係止機構の構成を示す斜視図である。
【0024】まず、図1を参照して、本実施形態の二足
歩行ロボットの全体構成の概要を説明すると、該ロボッ
トは、上体(胴体)1、一対の脚体2,2、一対の腕体
3,3、及び頭部4を具備する人型のロボットである。
【0025】このロボットの上体1は、脚体2,2や腕
体3,3が延設されると共に頭部4を支持するメインボ
ディ5と、該メインボディ5の背面部に設けられたサブ
ボディ6とから構成されている。
【0026】メインボディ5の上部の左右の各側部には
肩部7,7が形成されており、この各肩部7に内蔵され
た図示しない肩関節機構から各腕体3が延設されてい
る。各腕体3は、そのハンド部8と肩部7との間に、肩
部7側から順番に肘関節9及び手首関節10を有してい
る。
【0027】また、メインボディ5の下端部には腰部1
1が形成されており、この腰部11に設けられた左右一
対の股関節12,12からそれぞれ各脚体2が下方に延
設されている。各脚体2は、その足平部13と股関節1
2との間に、股関節12側から順番に膝関節14及び足
首関節15を有している。
【0028】尚、前記各脚体2及び各腕体3の各関節
は、図示を省略する電動モータにより駆動されるように
なっている。また、前記頭部4は、メインボディ5の上
端部に支持され、その内部には、ロボットの視覚用の撮
像装置(図示省略)が内蔵されている。
【0029】前記上体1の構造を図2を参照してさらに
説明する。上体1のメインボディ5は、前記腰部11の
上側でメインボディ5の腹部に相当する部分に腹部ボデ
ィ機枠16を内蔵すると共に、この腹部ボディ機枠16
上に固設された上部ボディ機枠17をメインボディ5の
上部(胸部に相当する部分)に内蔵し、これらのボディ
機枠16,17の前面部及び側面部を覆う複数の外装パ
ネル部材18を該ボディ機枠16,17に装着した構成
とされている。尚、腹部ボディ機枠16は、メインボデ
ィ5の下端部の腰部11に内蔵された図示しないリンク
機構等を介して各脚体2の股関節12に連結されてい
る。
【0030】この場合、外装パネル部材18のうち、腹
部ボディ機枠16の前面部を覆う腹部外装前面パネル1
8aは、詳細な図示は省略するが、例えばその裏面部に
突設された突起部材を腹部ボディ機枠16に設けた係合
穴に嵌入することにより該腹部ボディ機枠16に着脱自
在に装着されており、該腹部外装前面パネル18aを前
方に移動させることで、図2に仮想線で示すように腹部
ボディ機枠16から取り外し可能とされている。
【0031】尚、詳細は後述するが、腹部ボディ機枠1
6には、ロボットの主たる動作用電源としての蓄電装置
19が着脱可能に搭載されている。
【0032】上体1の前記サブボディ6は、前記腹部ボ
ディ機枠16及び上部ボディ機枠17の背面部に固設さ
れたサブボディ機枠20を内蔵しており、このサブボデ
ィ機枠20に前記腕体3の各関節を駆動する電動モータ
(図示しない)のドライバ回路ユニット21や、ロボッ
トの動作制御を担うコントロールユニット22(以下、
ECU22という)、前記蓄電装置19の電圧のレベルを
電動モータ等を動作させるための所要のレベルに変換す
るDC/DCコンバータ23、ロボットの一時的な動作
用電力を供給する予備給電手段としての予備蓄電装置2
4が取付けられている。そして、これらのドライバ回路
ユニット21、ECU22、DC/DCコンバータ23、
及び予備蓄電装置24を覆う筐体状のボディカバー25
が前記上部ボディ機枠17から延設されたブラケット2
5aに取り付けられ、これによりサブボディ6が構成さ
れている。
【0033】メインボディ5の前記腹部ボディ機枠16
は、前記蓄電装置19を搭載する蓄電装置搭載部として
の機能を持つものであり、側面視でコの字形状に形成さ
れている。そして、該腹部ボディ機枠16は、その上側
水平姿勢機枠16bと下側水平姿勢機枠16aとの間の
空間(以下、この空間を腹部ボディ機枠16の内部空間
という)に蓄電装置19を収容し、該下側水平姿勢機枠
16a上に該蓄電装置19を前後方向に摺動可能に支持
している。この場合、腹部ボディ機枠16の前端部の開
口部16cは、前記腹部外装前面パネル18aを前述の
より取り外した状態で、ロボットの前方に開口するよう
になっている。そして、前記蓄電装置19は、上記開口
部16cから、腹部ボディ機枠16の後端の垂直姿勢機
枠16dに向かって、腹部ボディ機枠16の内部空間に
挿脱可能に挿入され、腹部ボディ機枠16に搭載されて
いる。
【0034】また、腹部ボディ機枠16の後端の垂直姿
勢機枠16dには、前記DC/DCコンバータ23に接
続された受電コネクタ26が前方に向かって突設されて
いる。そして、蓄電装置19の後面部には、該受電コネ
クタ26と着脱自在に嵌合する給電コネクタ27(蓄電
装置19の電圧を出力するコネクタ)が設けられてお
り、該給電コネクタ27は、蓄電装置19を、上述のよ
うに腹部ボディ機枠16の内部空間に挿入したときに受
電コネクタ26に嵌合するようになっている。
【0035】尚、腹部ボディ機枠16の左右の両側面部
には、板部材16eが装着されており、この板部材16
eにより蓄電装置19の左右方向(幅方向)の位置が規
制されている。
【0036】ここで、本実施形態では、上述のように蓄
電装置19を腹部ボディ機枠16に搭載した状態におけ
る該蓄電装置19の重心点は、例えば図2のA点に存す
る(以下、A点を蓄電装置重心点Aという)。また、ロ
ボットの両脚体2,2を図2に仮想線で示すように鉛直
方向に伸ばすと共に、両腕体3,3を鉛直方向下方にの
ばし、ロボットの全体を上下方向に延在させたときのロ
ボットの姿勢状態である直立姿勢状態において、蓄電装
置19を腹部ボディ機枠16から取り外した状態でのロ
ボットの全体の重心点は、例えば図2のB点に存する。
従って、腹部ボディ機枠16は、蓄電装置重心点Aが、
蓄電装置19を除いたロボットの直立姿勢状態における
重心点B(以下、直立姿勢基本重心点Bという)よりも
多少前方側に存するような位置で該蓄電装置19を搭載
するように設けられている。そして、詳細は後述する
が、本実施形態では、蓄電装置19を腹部ボディ機枠1
6に搭載した状態で、後述するようにロボットを床F上
に起立させたときには、ロボットの全体の重心点は、前
記蓄電装置重心点Aと直立姿勢基本重心点Bとの間で、
図2のC点に存する。
【0037】前述のように蓄電装置19を搭載する腹部
ボディ機枠16は、さらにその下側水平姿勢機枠16a
の前端部に蓄電装置19を腹部ボディ機枠16に係止す
る係止機構28(係止手段)が設けられている。
【0038】この係止機構28は、例えば図3に示すよ
うに構成されている。すなわち、該係止機構28は、腹
部ボディ機枠16の下側水平姿勢機枠16aの前端部に
形成された切込み部29を左右方向に横断するようにし
て設けられたロッド30を具備し、このロッド30は、
その両端部が下側水平姿勢機枠16aに穿設された挿入
穴31,31に挿入されて、左右方向に摺動自在に支持
されている。また、該ロッド30は、その左端部が左側
の挿入穴31に収容されたスプリング32により右方向
に付勢されている。そして、ロッド30の前記切込み部
29で露出した部分には、係止ピン33が上方に向かっ
て突設されている。この係止ピン33は、腹部ボディ機
枠16に蓄電装置19を搭載した状態での通常時は、ス
プリング32の付勢力により、ロッド30と共に図3の
実線示の位置に移動している。そして、この位置では、
係止ピン33は、蓄電装置19の前面部に当接し、これ
により、蓄電装置19を腹部ボディ機枠16の内部空間
から抜脱不能に係止する(以下、図3の実線示の係止ピ
ン33の位置を係止位置という)。
【0039】一方、本実施形態では、蓄電装置19の下
面部には、その前端から後端にかけて前後方向に延在す
る溝19aが形成されている。そして、前記係止機構2
8の係止ピン33は、前記スプリング32の付勢力に抗
して図3の仮想線で示す位置に左方向に移動させた状態
において、該係止ピン33の上端部が腹部ボディ機枠1
6に搭載した蓄電装置19の溝19a内に進入可能に該
溝19aに対向するようになっており、この状態では、
蓄電装置19を前後方向に移動させることで、該蓄電装
置19を腹部ボディ機枠16の内部空間に対して挿脱す
ることが可能となる(以下、図3の仮想線示の係止ピン
33の位置を係止解除位置という)。さらに、係止機構
28は、前記切込み部29に臨んで下側水平姿勢機枠1
6aに軸部34aの軸心回りに回転可能に取付られたロ
ックピン34を具備している。このロックピン34は、
前記係止ピン33を前記係止解除位置に移動させた状態
で、図3の実線示の状態から、軸部34aの軸心回りに
180度回転させると、図3の仮想線で示すように係止
ピン33の右側面部の下部に当接し、これにより、スプ
リング32の付勢力に抗して、係止ピン33をロッド3
0と共に係止解除位置にロックする。
【0040】このように構成された係止機構28では、
係止ピン33をスプリング32の付勢力に抗して係止解
除位置に移動させて、ロックピン34により該係止ピン
33を係止解除位置にロックすることで、蓄電装置19
を腹部ボディ機枠16の内部空間に対して前後方向に出
し入れすることが可能となる。このとき、蓄電装置19
の前後方向の移動時には、係止ピン33の上端部が蓄電
装置19の溝19a内をこれに沿って移動する。そし
て、蓄電装置19を腹部ボディ機枠16の内部空間に前
記開口部16cから挿入して、該蓄電装置19の前記給
電コネクタ27を前記受電コネクタ26に嵌合させたと
き、係止ピン33が蓄電装置19の溝19a内から離脱
し、この状態で、ロックピン34による係止ピン33の
ロックを解除すると、スプリング32の付勢力により、
係止ピン33が係止解除位置から係止位置に移動する。
そして、該係止位置に移動した係止ピン33は、蓄電装
置19の前面部に当接し、これにより、蓄電装置19が
腹部ボディ機枠16の内部空間から抜脱不能に係止され
る。
【0041】尚、図2では図示を省略しているが、係止
機構28の係止ピン33やロックピン34は、腹部外装
前面パネル18aを取り外した状態で前記ロボットの各
腕体3のハンド部8が届く位置に存している。
【0042】また、図示は省略するが、本実施形態の二
足歩行ロボットは、上述した構成の他、各脚体2や各腕
体3の各関節の作動位置(各関節を駆動する電動モータ
の回転位置)を検出するためのセンサ、各脚体2の足平
部13や各腕体3のハンド部8に作用する荷重及びモー
メントを検出するセンサ、上体1の傾斜角及び傾斜角速
度を検出するセンサ等も具備している。
【0043】そして、前記ECU22は、上記の各種セン
サから得られる情報やあらかじめ定められたプログラ
ム、あるいは外部から無線通信によって与えられる指令
情報等に基づいて脚体2や腕体3の各関節を駆動する電
動モータを制御して、ロボットの作動制御を行う。この
場合、ECU22は、例えば前記特開平5−337849
号公報に見られるような倒立振子型動力学モデルに基づ
いて脚体2の各関節の作動を制御することで、ロボット
の姿勢安定化制御を行う。
【0044】また、本実施形態では、前記蓄電装置19
や、予備蓄電装置24は、例えばリチウムイオン電池等
の受電可能な二次電池であるが、電気二重層コンデンサ
等の大容量コンデンサであってもよい。
【0045】以上説明した本実施形態の二足歩行ロボッ
トでは、床F上に通常的に起立させる場合、前記ECU2
2による姿勢安定化制御を行いつつ、図2の実線で表す
ような起立姿勢状態(以下、基本起立姿勢状態という)
でロボットを二本の脚体2を介して床F上に起立させ
る。この場合、この基本起立姿勢状態では、脚体2以外
の姿勢は、前記直立姿勢状態と同じで、上体1は上下方
向に延在し、また、両腕体3,3も鉛直下方に伸ばされ
ている。
【0046】一方、基本起立姿勢状態では、各脚体2
は、図2の仮想線で表す直立姿勢状態の場合よりも、若
干、膝関節14が前方側に屈曲され、この状態で、床F
上に起立している。尚、両脚体2は、ロボットの左右方
向(二つの脚体3,3の股関節12,12が並列する方
向)に並列している。
【0047】この場合、基本起立姿勢状態におけるロボ
ットの全体(蓄電装置19を含む)の重心点(以下、起
立姿勢全体重心点という)は、図2のC点に存し、この
起立姿勢全体重心点Cは、同図示のように、ロボットの
側面視で、基本起立姿勢状態における各脚体2の膝関節
14のほぼ直上に位置している。別の言い方をすれば、
本実施形態では、起立姿勢全体重心点Cが、ロボットの
基本起立姿勢状態において、各脚体2の膝関節14の直
上に存する(但しロボットの側面視において。以下、同
様)ように、前記直立姿勢基本重心点Bに対する前記蓄
電装置重心点Aの位置が設定され、蓄電装置19を腹部
ボディ機枠16に搭載したときに、該蓄電装置19の実
際の重心点が、該蓄電装置重心点Aに位置するように、
腹部ボディ機枠16に対する蓄電装置19の搭載位置が
設定されている。
【0048】尚、起立姿勢全体重心点Cの、ロボットの
左右方向(図2の紙面に直行する方向)における位置
は、該左右方向におけるほぼ中央位置である。
【0049】このように、起立姿勢全体重心点Cが、各
脚体2の膝関節14のほぼ直上に存するため、該膝関節
14にロボットの上体1側から重力による大きなモーメ
ントが作用することがない。この結果、前記基本起立姿
勢状態で膝関節14にかかる負担が小さくて済み、該膝
関節14を駆動する電動モータ(図示しない)の容量や
サイズが比較的小さくても、支障なくロボットを前記基
本起立姿勢状態で床F上に起立させることができる。
【0050】また、前記基本起立姿勢状態において、起
立姿勢全体重心点Cが各脚体2の膝関節14の直上に位
置するため、各脚体2の足首関節15には、上体1側か
ら、ロボットを多少前のめりにするような方向のモーメ
ントが作用する。このため、倒立振子型動力学モデルに
基づくロボットの姿勢安定化制御を好適に行うことがで
き、基本起立姿勢状態におけるロボットの姿勢の安定性
を円滑に確保することができる。
【0051】また、本実施形態の二足歩行ロボットで
は、次のようにして、ロボット自身が蓄電装置19の交
換作業を行う。
【0052】すなわち、例えば外部からロボットに蓄電
装置19の交換を行うべき旨の指令を与えると、ロボッ
トは、ECU22の制御によって、まず、所定の交換ステ
ーションに移動する(歩行する)。次いで、ECU22
は、図示しないスイッチ回路の制御によって、ロボット
の各部の電装品(電動モータ等)への電力供給経路を蓄
電装置19側から、前記予備蓄電装置24側に切換えた
後、両腕体3,3を作動させ、前記腹部外装前面パネル
18aを両腕体3,3のハンド部8により取り外す。こ
れにより、前記係止機構28等を露出させる。さらに、
ECU22による腕体3,3の制御によって、取り外した
腹部外装前面パネル18aを所要の場所に置いた後、一
方の腕体3のハンド部8により、前記係止機構28の係
止ピン33を前記係止位置から係止解除位置に移動さ
せ、さらに、他方の腕体3のハンド部8により、前記ロ
ックピン34を操作して、該係止ピン33を係止解除位
置にロックする。
【0053】次いで、ロボットの両腕体3,3のハンド
部8,8により、蓄電装置19の両側部を把持し、該蓄
電装置19を腹部ボディ機枠16の内部空間から前方に
引き出して脱離させる。そして、その引き出した蓄電装
置19を所要の場所に置いた後、ロボットの両ハンド部
8,8により別の新たな蓄電装置19を把持し、その把
持した新たな蓄電装置19を、上記のように蓄電装置1
9を取り外した場合と逆の手順によって、腹部ボディ機
枠16に搭載する。このようにして、新たな蓄電装置1
9を腹部ボディ機枠16に搭載した後には、ECU22に
よる図示しないスイッチ回路の制御によって、ロボット
の各部の電装品(電動モータ等)への電力供給経路を予
備蓄電装置24側から、前記蓄電装置19側に切換えら
れる。
【0054】このようにして、本実施形態では、予備蓄
電装置24の電力を使うことによって、ロボット自身が
蓄電装置19の脱着作業を行うことができる。この場
合、予備蓄電装置24は、蓄電装置19の脱着作業だけ
を行い得る程度の電力を有する容量で良いので、蓄電装
置19に比して十分に小型で軽量なものを使用すること
ができる。
【0055】また、上記の説明では、ロボット自身が蓄
電装置19を脱着する場合について説明したが、本実施
形態のロボットでは、蓄電装置19を搭載する腹部ボデ
ィ機枠16の開口部16cがロボットの前部側にあるた
め、例えばロボットをあおむけに寝かせた状態で、作業
者が手作業により容易に蓄電装置19の脱着を行うこと
ができる。この場合、ロボットをあおむけに寝かせた状
態、すなわち、ロボットの転倒等を生じる虞れのない状
態で、蓄電装置19の脱着作業を行うことできる。
【0056】尚、以上説明した実施形態では、ロボット
自身が蓄電装置19の脱着作業を行うために、蓄電装置
19を搭載する腹部ボディ機枠16の開口部16cをロ
ボットの前面部側に設けているが、蓄電装置の脱着作業
を作業者が手作業で行うような場合には、蓄電装置搭載
部の開口部をロボットの背面側に設けるようにすること
も可能であり、この場合には、ロボットをうつ伏せに寝
かせた状態で、蓄電装置の脱着作業を行うことができ
る。
【0057】また、前記実施形態では、ロボット自身に
よる蓄電装置19の脱着作業を行うために、その脱着作
業時におけるロボットの動作用の電力を供給する予備給
電手段をロボットに搭載した予備蓄電装置24により構
成したが、該予備給電手段は、例えばロボットの外部の
商用電源等から、ロボットの動作用電力をロボットに供
給するようなものであってもよい。この場合には、例え
ば、ロボットに引き出し自在なコンセントを備えてお
き、このコンセントをロボット自身により引き出して外
部電源に接続した後、前記実施形態の場合と同様に、ロ
ボット自身による蓄電装置の脱着作業を行うようにすれ
ばよい。
【0058】また、前記実施形態では、前記係止機構2
8は、手動操作により蓄電装置19の係止やその解除が
行われるものを示したが、ロボットに搭載した電動モー
タ等のアクチュエータにより蓄電装置の係止やその解除
が行われような係止手段をロボットに備えるようにして
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二足歩行ロボットの一実施形態の全体
構成を示す斜視図。
【図2】図1のロボットの側面図。
【図3】図1のロボットに備えた蓄電装置の係止機構の
構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1…上体、2…脚体、3…腕体、7…肩部、14…膝関
節、16…腹部ボディ機枠(蓄電装置搭載部)、19…
蓄電装置、24…予備蓄電装置(予備給電手段)、28
…係止機構(係止手段)。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロボットの動作用電源としての蓄電装置
    と、二本の脚体とを備えると共に、両脚体のそれぞれの
    中間部の膝関節を、該ロボットの各脚体を鉛直方向に伸
    ばした直立姿勢状態よりも該ロボットの前方側に屈曲さ
    せた起立姿勢状態で床上に起立する二足歩行ロボットに
    おいて、 前記蓄電装置の重心点が、前記ロボットを直立姿勢状態
    として該ロボットから前記蓄電装置を除去した場合にお
    ける該ロボットの重心点よりも前方側の位置に存するよ
    うに前記蓄電装置を該ロボットの上体に設けた蓄電装置
    搭載部に搭載し、その搭載状態でのロボットの全体の重
    心点が、前記起立姿勢状態でのロボットの側面視におい
    て該ロボットの各脚体の膝関節の略直上に存するように
    したことを特徴とする二足歩行ロボット。
  2. 【請求項2】前記蓄電装置搭載部は、前記ロボットの上
    体の前面部及び背面部のいずれか一方に設けられた開口
    を介して前記蓄電装置を脱着可能に該蓄電装置を搭載し
    ていることを特徴とする請求項1記載の二足歩行ロボッ
    ト。
  3. 【請求項3】前記開口は、前記ロボットの上体の前面部
    に設けられると共に、前記蓄電装置搭載部は、前記ロボ
    ットの上体から延設された腕体の作動により前記蓄電装
    置を前記開口を介して脱着可能な位置に設けられ、該腕
    体の作動により前記蓄電装置の脱着を行うとき、該蓄電
    装置以外に前記ロボットの動作用電力を供給する予備給
    電手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の二足歩
    行ロボット。
  4. 【請求項4】前記蓄電装置搭載部に前記蓄電装置を搭載
    した状態で、該蓄電装置を該蓄電装置搭載部に係脱可能
    に係止する係止手段を備えたことを特徴とする請求項2
    又は3記載の二足歩行ロボット。
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