JP2002153279A - 緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御することが可能なバイオセンサー蛋白質の作成方法、および前記方法により作成されるバイオセンサー蛋白質 - Google Patents

緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御することが可能なバイオセンサー蛋白質の作成方法、および前記方法により作成されるバイオセンサー蛋白質

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御することが
可能なバイオセンサー蛋白質を作成する方法を提供する
こと、並びに前記方法により作成されるバイオセンサー
蛋白質を提供すること。 【解決手段】 (1)蛍光特性に影響を及ぼすホットス
ポットアミノ酸残基の近傍で緑色蛍光蛋白質のアミノ酸
配列を切断して、前記蛋白質の構造を改変した改変緑色
蛍光蛋白質、および(2)自身の立体構造の変化を前記
改変緑色蛍光蛋白質に伝えることにより、前記改変緑色
蛍光蛋白質の立体構造を変化させ、蛍光特性を変化させ
るように機能する機能性分子を含むことを特徴とするバ
イオセンサー蛋白質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑色蛍光蛋白質の
蛍光特性を制御することが可能なバイオセンサー蛋白質
を作成する方法に関する。更に本発明は、前記方法によ
り作成されるバイオセンサー蛋白質、および前記バイオ
センサー蛋白質をコードするバイオセンサー遺伝子に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在までに、緑色蛍光蛋白質(Green Fl
uorescent Protein;以下、GFPともいう)を用いて
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を応用したバイオセン
サーがいくつか開発されている。近年FRETを使わず
に一種類のGFPで蛍光強度を変化させるタイプの新し
いバイオセンサーの開発報告がなされている。しかし、
バイオセンサーの感受性は非常に低いものであり、とて
も実用的なものではなかった。このようなバイオセンサ
ーの感受性の問題は、用いた機能性蛋白質とGFPとの
結合部位の検討が不十分であったためであることを、本
発明者は本発明を為すにあたり新たに見出した。
【0003】一方、バイオセンサーのうちカルシウムセ
ンサーに関しては、これまでに大きく分けて4種類のカ
ルシウムセンサーが開発されている。以下にその概要と
問題点を示す。
【0004】1)カルシウム感受性の合成色素:これ
は、カルシウムに感受性のある化学合成された色素で、
現在一般によく使用されている。色素を外部から細胞に
取り込ませて使用するものである。特定の細胞のみに色
素を取り込ませることは難しく、その場合にはガラス針
等により細胞に色素を注入しなければならないという問
題点を有する。
【0005】2)エクオリン:これは、カルシウムに反
応して光を発する蛋白質である。細胞に直接注入する
か、エクオリンを産生する遺伝子を細胞に取り込ませて
使用する。エクオリンが機能するためには細胞に補酵素
を供給する必要があり、また発する光が極めて弱いとい
う問題点を有する。
【0006】3)FRETを応用したカルシウム感受性
蛋白質:これは、カルシウムに感受性のあるカルモジュ
リン(CaM)とそれに結合するミオシン軽鎖キナーゼ
の一部の配列、二つの色の異なるGFPを結合した蛋白
質である。当該蛋白質は、カルシウムがCaMに結合す
るとその構造が変化し、FRETを起こして二つのGF
Pの発する蛍光の強度が変化することを利用したもので
ある。当該蛋白質は、細胞に直接注入するか、その遺伝
子を細胞に取り込ませて使用する。FRETによる蛍光
の変化は小さいためその信号は極めて弱く、更に一般的
に用いられているアルゴンレーザーを搭載したレーザー
顕微鏡で測定することができないという問題点を有す
る。
【0007】4)一つのGFPから成るカルシウム感受
性蛋白:これは、GFPのアミノ酸配列の144番と1
46番の間にCaMを結合したカルシウム感受性蛋白質
である。カルシウムがCaMに結合すると蛋白質の構造
が変化し、GFPの発する蛍光の強度が変化することを
利用している。当該蛋白質も、細胞に直接注入するか、
その遺伝子を細胞に取り込ませて使用する。カルシウム
に対する感度が低いため実際の細胞では信号/雑音比が
悪くなり測定が困難であるという問題点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本発
明の目的は、緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御すること
が可能なバイオセンサー蛋白質を作成する方法を提供す
ること、並びに前記方法により作成されるバイオセンサ
ー蛋白質、および前記バイオセンサー蛋白質をコードす
るバイオセンサー遺伝子を提供することである。
【0009】より具体的には、検出すべき物質に対する
感度が実用に耐える程度に充分高く、且つ測定が容易な
バイオセンサー蛋白質を作成することを目的とする。ま
た、特定細胞への取り込みが容易であり、更に、測定に
特別な装置および補酵素等を必要としないバイオセンサ
ー蛋白質を作成することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下に記載の手段[1]〜[15]を提供
する。
【0011】[1] 緑色蛍光蛋白質の構造を改変する
ことにより、緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御すること
が可能なバイオセンサー蛋白質を作成する方法であっ
て、 (A)緑色蛍光蛋白質の蛍光特性に影響を及ぼすホット
スポットアミノ酸残基を推定する工程と; (B)前記ホットスポットアミノ酸残基の近傍で緑色蛍
光蛋白質のアミノ酸配列を切断して前記蛋白質の構造を
改変した種々の改変緑色蛍光蛋白質と、自身の立体構造
の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質に伝えることにより、
前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構造を変化させ、蛍光特
性を変化させるように機能する機能性分子とが連結され
た種々の融合蛋白質を作成する工程と; (C)前記種々の融合蛋白質に、前記機能性分子の立体
構造に影響を及ぼす因子を作用させる工程と; (D)前記種々の融合蛋白質のなかから、前記(C)工
程により蛍光特性に変化が現れる融合蛋白質をバイオセ
ンサー蛋白質として選択する工程とを具備することを特
徴とする方法。
【0012】[2] [1]に記載の方法であって、前
記蛍光特性が蛍光強度であることを特徴とする方法。
【0013】[3] (1)蛍光特性に影響を及ぼすホ
ットスポットアミノ酸残基の近傍で緑色蛍光蛋白質のア
ミノ酸配列を切断して、前記蛋白質の構造を改変した改
変緑色蛍光蛋白質、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
質。
【0014】[4] [3]に記載のバイオセンサー蛋
白質であって、前記蛍光特性が蛍光強度であることを特
徴とする蛋白質。
【0015】[5] [3]または[4]に記載のバイ
オセンサー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ
酸残基が、緑色蛍光蛋白質の第148番目であることを特
徴とするバイオセンサー蛋白質。
【0016】[6] [3]または[4]に記載のバイ
オセンサー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ
酸残基が、緑色蛍光蛋白質の第94番目であることを特徴
とするバイオセンサー蛋白質。
【0017】[7] [3]または[4]に記載のバイ
オセンサー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ
酸残基が、緑色蛍光蛋白質の第96番目であることを特徴
とするバイオセンサー蛋白質。
【0018】[8] [3]または[4]に記載のバイ
オセンサー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ
酸残基が、緑色蛍光蛋白質の第222番目であることを特
徴とするバイオセンサー蛋白質。
【0019】[9] (1)下記(a)、(b)のアミ
ノ酸配列を、N末端から順に有する改変緑色蛍光蛋白
質: (a) 緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配
列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列、
(ここで、Xは148〜150の任意の位置であり、Yは140
〜147の任意の位置である)、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
質。
【0020】[10] 下記(a)〜(h)の配列を、
N末端から順に有することを特徴とするバイオセンサー
蛋白質: (a)メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカーX); (b)ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部の
アミノ酸配列; (c)前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを連
結するアミノ酸配列(リンカーY); (d)緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配列
(ここで、Xは148〜150の任意の位置である); (e)前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを連
結するアミノ酸配列; (f)緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列(こ
こで、Yは140〜147の任意の位置である); (g)前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを連
結するアミノ酸配列(リンカーZ); (h)カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミノ
酸配列。
【0021】[11] (1)下記(a)、(b)のア
ミノ酸配列を、N末端から順に有する改変緑色蛍光蛋白
質: (a) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
質。
【0022】[12] 下記(a)〜(h)の配列を、
N末端から順に有することを特徴とするバイオセンサー
蛋白質: (a) メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカー
X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部
のアミノ酸配列; (c) 前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを
連結するアミノ酸配列(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列; (e) 前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを
連結するアミノ酸配列; (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列; (g) 前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを
連結するアミノ酸配列(リンカーZ);および (h) カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミ
ノ酸配列。
【0023】[13] [3]〜[9]、[11]の何
れか1に記載のバイオセンサー蛋白質であって、前記機
能性分子が、カルモジュリン蛋白質もしくはその一部の
アミノ酸配列、およびミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もし
くはその一部のアミノ酸配列であることを特徴とするバ
イオセンサー蛋白質。
【0024】[14] 下記(a)〜(h)の配列を、
N末端から順に有することを特徴とするバイオセンサー
蛋白質: (a) Met-Gly-ThrまたはMet-Val-Asp(リンカー
X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸
配列(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asp-Lys-Thr-Gly-His-
Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser); (c) Leu-Glu(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列; (e) Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Ser(連結アミノ酸配
列); (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列; (g) Gly-Thr-ArgまたはThr-Arg(リンカーZ);お
よび (h) ラットのカルモジュリン蛋白質の2〜148番目
のアミノ酸配列。
【0025】[15] [3]〜[14]の何れか1に
記載のバイオセンサー蛋白質をコードするバイオセンサ
ー遺伝子。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の緑色蛍光蛋白質の
蛍光特性を制御することが可能なバイオセンサー蛋白質
の作成方法について(A)〜(E)の工程順に説明す
る。本発明のバイオセンサー蛋白質は、一分子の緑色蛍
光蛋白質から成るものである。
【0027】〈本発明のバイオセンサー蛋白質の作成方
法〉 (A)緑色蛍光蛋白質の蛍光特性に影響を及ぼすホット
スポットアミノ酸残基を推定する工程:緑色蛍光蛋白質
(以下、GFPともいう)は、238個のアミノ酸から
なる蛋白質である。本発明で使用したGFPは、Clonte
ch社から入手した組換えGFP(EGFP)である。E
GFPは、本来のGFPには存在しないバリン(gtg)
がN末のメチオニンにつづいて挿入されており、これは
アミノ酸番号1’と呼ばれる。便宜的にアミノ酸番号
1’のバリン(gtg)を省略したEGFPの核酸および
アミノ酸配列を配列番号1に示す。配列番号1に記載の
アミノ酸配列における1〜238番のアミノ酸は、本明細
書に記載される「緑色蛍光蛋白質の第n番目のアミノ
酸」に対応するものである。
【0028】本発明において実際に作成されたバイオセ
ンサー蛋白質はすべて、N末のメチオニンの後にアミノ
酸番号1’のバリンが挿入された上述のEGFPを使用
して作成されたものである。
【0029】また本発明では便宜的に、GFPを図1A
に示すような簡略化した構造で示す。GFPは、その分
子構造の内部中央に発色団を有している。GFPは、G
FPをコードするcDNAを含むプラスミド、例えばpE
GFP-N1(Clontech社)を発現させることにより入手する
ことができる。
【0030】本発明において、GFPの蛍光特性に影響
を及ぼす「ホットスポットアミノ酸残基」とは、後述の
改変緑色蛍光蛋白質を作成する際に、その改変位置の指
標となるGFP上のアミノ酸残基であり、このホットス
ポットアミノ酸残基の近傍でGFPの構造を改変するこ
とにより、所望の改変緑色蛍光蛋白質を作成することが
可能となるものである。
【0031】GFPの構造を改変するとは、好ましく
は、推定されるホットスポットアミノ酸残基の近傍(好
ましくは、ホットスポットアミノ酸残基の前後5アミノ
酸の範囲内の各位置)でGFPを切断し、更に切断部位
から適切な数のアミノ酸(好ましくは1〜10個のアミ
ノ酸)を除去することをいう。ただし、GFPの構造改
変は、所望の改変緑色蛍光蛋白質を作成することが可能
であれば、記載された改変に限定されず、任意の改変を
含み得る。
【0032】また、所望の改変緑色蛍光蛋白質(以下、
改変GFPともいう)とは、後述するとおり、GFPの
構造を、その蛍光特性が可逆的に変化し得るように改変
したものである。蛍光特性が可逆的に変化するとは、改
変GFPの有している立体構造を変化させる因子(即
ち、バイオセンサーが感知する因子)の有無により、改
変GFPの立体構造が可逆的に変化し、それに伴って改
変GFPの蛍光特性が可逆的に変化することをいう。こ
の変化は、蛍光顕微鏡もしくはレーザー顕微鏡等で捉え
ることができる程度の変化をいい、好ましくは肉眼で捉
えることができる程度の変化をいう。例えば、蛍光特性
の変化が蛍光強度の変化である場合、蛍光の変化量ΔF
/Fが、好ましくは、少なくとも0.1以上変化するこ
と、より好ましくは1〜10の範囲で変化することをい
う。
【0033】本発明において蛍光特性とは、蛍光強度、
蛍光波長、蛍光強度比、吸光度、吸光波長などの蛍光特
性を指す。本発明では蛍光特性の一例として、蛍光強度
を使用する。
【0034】このようなホットスポットアミノ酸残基と
いう概念は、本発明において種々の改変GFPを有する
種々のバイオセンサー蛋白質を試作したところ、GFP
の蛍光特性に強い影響を与えるアミノ酸残基がGFP上
に存在することを見出したことにより得られた概念であ
る。
【0035】このようなホットスポットアミノ酸残基
は、種々の改変GFPを有するバイオセンサー蛋白質を
試作することにより、その性能からその位置を推定する
こともできるが、GFPの結晶構造を見て推定すること
もできる。即ち、ホットスポットアミノ酸残基は、GF
Pの発色団と水素結合をしているアミノ酸である可能性
が高いので、GFPの結晶構造から発色団と水素結合を
しているアミノ酸をホットスポットアミノ酸残基と推定
することができる。
【0036】本発明において推定されたGFPのホット
スポットアミノ酸残基は、GFPの第94番目、第96番
目、第148番目、第222番目のアミノ酸である。これらの
位置のアミノ酸残基がホットスポットアミノ酸残基とし
て好ましいが、これらに限定されない。
【0037】(B)前記ホットスポットアミノ酸残基の
近傍で緑色蛍光蛋白質のアミノ酸配列を切断して前記蛋
白質の構造を改変した種々の改変緑色蛍光蛋白質と、自
身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質に伝える
ことにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構造を変化
させ、蛍光特性を変化させるように機能する機能性分子
とが連結された種々の融合蛋白質を作成する工程:前記
工程(A)により推定されたホットスポットアミノ酸残
基が、GFPのn番目のアミノ酸であると想定して以下
説明する。
【0038】本発明において改変緑色蛍光蛋白質(以
下、改変GFPともいう)とは、好ましくは、GFPを
ホットスポットアミノ酸残基の近傍(例えば、GFPの
n番目のアミノ酸と(n+1)番目のアミノ酸との間)で
切断し、次いで、切断部位のアミノ酸(例えば、(n−
a)番目〜n番目のアミノ酸)を除去することによりG
FPの分子構造を改変し、必要に応じてGFPの本来の
N末端と本来のC末端とを適切な連結アミノ酸(例え
ば、Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Ser)で連結したものをいう
(図1C参照)。
【0039】ただし、このような連結アミノ酸を用いて
GFP本来のN末端と本来のC末端とを連結し、一本の
鎖で繋がれた蛋白質としなくても、細胞内で分断された
ままの2つのGFP断片が機能することも考えられる。
【0040】なお、GFPの本来のN末端とC末端とを
連結するアミノ酸は、好ましくはアミノ酸2〜10分子
から成る配列であり、グリシンを多く含むアミノ酸が好
ましく、特に好ましい例としては、Gly-Gly-Thr-Gly-Gl
y-Serが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】例えば、GFPをn番目のアミノ酸と(n
+1)番目のアミノ酸との間で切断し、次いで、(n−
a)番目〜n番目のアミノ酸を除去し、本来のN末端と
C末端とを上述の連結アミノ酸で連結させた場合、改変
GFPは、N末端から順に、(n+1)番目〜238番目
のアミノ酸、連結アミノ酸、1番目〜(n−a)番目のア
ミノ酸を有する蛋白質となる。尚この場合、後の工程に
おいて、改変GFPの新たなN末端および/またはC末
端に機能性分子を連結させることになる(図1D参
照)。
【0042】あるいは、GFPをn番目のアミノ酸と
(n+1)番目のアミノ酸との間で切断し、次いで、(n
−a)番目〜n番目のアミノ酸を除去し、本来のN末端
とC末端とを連結させない場合については、改変GFP
は、1番目〜(n−a)番目のアミノ酸と(n+1)番目〜
238番目のアミノ酸とに分断された蛋白質となる。こ
の場合、後の工程で、分断されている両蛋白質の間に機
能性分子を挟んで連結させることにより一本の鎖で繋が
れた蛋白質としてもよい(図1B参照)。また、このよ
うに一本の鎖で繋がれた蛋白質としなくても、細胞内で
分断されたまま2つのGFP断片が機能することも考え
られる。
【0043】なお、ここでGFPを切断するホットスポ
ットアミノ酸残基(n番目のアミノ酸)の近傍とは、例
えば、(n+5)〜(n−5)の範囲、好ましくは(n+
2)〜(n−2)の範囲をいう。また、除去するアミノ
酸、即ちaの値は、例えば1〜10、好ましくはa=4
である。
【0044】上述の範囲の種々の改変GFPを、バイオ
センサー蛋白質を構成する候補として挙げることができ
る。ただし、上述のホットスポットアミノ酸残基の近傍
の切断位置、および除去するアミノ酸の数は、当業者に
より適宜設定することができる。例えば、表1〜2に記
載されるとおり、切断位置、除去するアミノ酸の数を種
々、変更することができる。
【0045】(B)工程において、前記改変GFPに連
結される機能性分子とは、機能性分子自身が、機能性分
子に作用する因子(即ち、バイオセンサーが感知する因
子)の結合等の作用により、立体構造に変化を起こし得
る分子であって、自身の立体構造の変化を改変GFPに
伝え得る分子であれば限定されない。
【0046】従って、本発明において機能性分子は、自
身の立体構造の変化を改変GFPに伝達し改変GFPの
構造に変化を及ぼし得る位置で、改変GFPに連結され
ている必要がある。従って機能性分子は、本来のGFP
構造を改変した部分に近接して連結されていることが好
ましい。具体的には、GFPを切断した位置にリンカー
分子を介して連結されていることが好ましい。
【0047】このような機能性分子は、一分子であって
もよいし、二分子以上であってもよい。二分子の場合、
機能性分子に作用する因子(即ち、バイオセンサーが感
知する因子)は、まず一方の機能性分子の立体構造に変
化を及ぼし、次いでその立体構造の変化が、他方の機能
性分子の立体構造に変化を及ぼし、それぞれの機能性分
子の構造変化が改変GFPの立体構造に変化を起こさせ
る。二分子以上の場合も同様に、最初の因子の作用を、
シグナル伝達のように次々と他の機能性分子に伝えるこ
とにより、最終的には、全ての機能性分子の構造変化が
それぞれに作用して改変GFPの立体構造に変化を起こ
させる。
【0048】このように機能性分子が二分子以上の場合
には、それぞれの分子の構造変化が改変GFPの構造に
影響を与え得るため、機能性分子が一分子である場合よ
り、改変GFPへの作用が大きく、結果的に、改変GF
Pの蛍光特性を大きく変化させることにつながり得る可
能性が高い。
【0049】また、本発明において改変GFPに連結す
る機能性分子は、その機能性分子が生体内で発現してい
るとおりの全構造を有している必要は必ずしもなく、上
述の機能性分子として役割を果たすものであれば、機能
性分子に作用する因子が結合する部位のみを有している
一部構造であってもよい。
【0050】機能性分子としては、例えば、カルモジュ
リン蛋白質とミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質との組み合わ
せ、またはCRE(Cyclic AMP Responsive Element)結
合蛋白質(CREB)とCREB結合蛋白質(CBP)
との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0051】例えば、本発明では後述の実施例におい
て、カルモジュリン蛋白質、およびミオシン軽鎖キナー
ゼのカルモジュリン結合機能を有する一部(即ち、M1
3断片)を機能性分子として使用した。このような機能
性分子を改変GFPに連結すれば、この融合蛋白質はカ
ルシウムセンサーとして機能し得る。
【0052】改変GFPに、カルモジュリン蛋白質(C
aM)およびミオシン軽鎖キナーゼ(M13)の機能性
分子を連結した融合蛋白質の構造を、図1Bおよび図1
Dに模式的に示す。また、これら融合蛋白質の一例の構
造を一次元的に図2に示す。
【0053】図2に示すように、改変GFPと機能性分
子とは、数個のアミノ酸から成るリンカー分子により連
結される。各リンカー分子を区別するため、融合蛋白質
のN末端に存在する開始コドン(Met)を含むリンカー
は、リンカーX;改変GFPのN末端側と機能性分子
(M13)を連結するリンカーは、リンカーY;改変G
FPのC末端側と機能性分子(CaM)とを連結するリ
ンカーは、リンカーZと称する。なお、GFP本来のN
末端とC末端とを繋ぐ連結アミノ酸(GGTGGS)に
ついては、改変GFPの説明の中の記載を参照された
い。
【0054】これら各リンカーの長さや配列は限定され
る必要はないが、その長さは0〜10個が好ましく、2
個がより好ましい。また、リンカーYの配列について
は、ロイシン-グルタミン酸が好ましい。
【0055】リンカーは、機能性分子の立体構造の変化
を改変GFPに伝達する部分であるので、リンカーの長
さや配列により改変GFPへの立体構造の変化の度合は
大きく影響される。各リンカーの長さ、配列の選択は、
結合する機能性分子により変えなければならない。リン
カーなしで直接、改変GFPと機能性分子とが連結した
場合も想定される。
【0056】実際には、リンカーの配列を種々変更させ
たバイオセンサー蛋白質を作成して実験してみる必要が
ある。
【0057】具体的に本発明においては、改変GFPと
機能性分子(M13)とを連結するリンカーYの配列を
種々変更させたバイオセンサー蛋白質を作成し、その反
応性を調べている(表1〜表4参照)。尚、ここでは、
改変GFPのN末が本来のGFPの149番目のアミノ酸
から始まるとき、この改変GFPのN末に隣接するリン
カーYのアミノ酸を「GFPの148番目に相当するアミ
ノ酸」と考える。また、「GFPの148番目に相当する
アミノ酸」からN末側に1個遡ったアミノ酸を「GFP
の147番目に相当するアミノ酸」と考える。同様に、改
変GFPのN末が、本来のGFPの150番目のアミノ酸
から始まるときには、この改変GFPのN末に隣接する
リンカーYのアミノ酸からN末側に2個溯ったアミノ酸
を「GFPの148番目に相当するアミノ酸」と考えるこ
とができる。
【0058】後述の表1〜4に記載のバイオセンサー蛋
白質が示すとおり、リンカーYのアミノ酸配列のうち
「GFPの148番目に相当するアミノ酸」が、酸性側鎖
を持つ場合(G52のAsp、G18、G79のGlu)、お
よび水酸基をその側鎖の一部に持つ場合(G3、G17
のSer、G22のThr、G47のTyr)、機能的に反応性
のあるバイオセンサーを形成しやすいことが判る。逆に
塩基性側鎖を持つ場合(G62のLys、G19、G75
のArg)、反応性が乏しくなる傾向がある。また、「G
FPの148番目に相当するアミノ酸」が水酸基をその側
鎖の一部に持つときには、更に光異性化特性をもつよう
になる。更に、「GFPの147番目に相当するアミノ
酸」も、バイオセンサー蛋白質の反応性に影響を与える
ことが判る。この「147番目に相当するアミノ酸」は、L
eu>Thr>Glyの順に、バイオセンサーの反応性に良い影
響を及ぼす。しかし、「147番目に相当するアミノ酸」P
roは、148番目のArgの反応性を上げる効果は乏しい(G
19)。このようにリンカーの配列を種々変更させるこ
とにより、適切なリンカーの配列を絞り込むことができ
る。
【0059】融合蛋白質の作成は、公知の遺伝子工学的
手法を用いて行うことができる。例えば、融合したい各
蛋白質部分をコードする遺伝子(即ち、改変GFPおよ
び機能性分子をコードする遺伝子)の断片をそれぞれP
CRにより作成し、これら断片をつなぎ合わせることに
より融合遺伝子を作成し、次いで、この融合遺伝子を含
むプラスミドを所望の細胞に導入して発現させることに
より、融合蛋白質はつくられる。
【0060】(C)前記種々の融合蛋白質に、前記機能
性分子の立体構造に影響を及ぼす因子を作用させる工
程:工程(B)により得られた融合蛋白質が有している
機能性分子の立体構造に影響を及ぼす分子としては、当
該機能性分子に結合する等の作用をして機能性分子の立
体構造に影響を与える分子そのものを使用することもで
きるし、あるいは、機能性分子の立体構造に影響を与え
る分子を細胞内で増大させるように機能することが知ら
れている分子を使用することもできる。
【0061】機能性分子がカルモジュリン蛋白質および
ミオシン軽鎖キナーゼの場合、機能性分子の立体構造に
影響を及ぼす因子として、カルモジュリンに結合してカ
ルモジュリンの立体構造を変化させるカルシウムイオン
を使用してもよいし、あるいは、融合蛋白質を発現して
いる細胞のカルシウムイオン濃度を増大させることが知
られている作用因子、例えばATP、カルバコール、カ
フェイン、タプシガルジン等を使用してもよい。これら
の因子を作用させることにより、当該融合蛋白質のバイ
オセンサー(カルシウムセンサー)としての機能を確認
することができる。
【0062】あるいは、機能性分子がCRE結合蛋白質
(CREB)とCREB結合蛋白質(CBP)の場合、
バイオセンサーとしての機能を確認するために使用する
作用因子としては、例えばAキナーゼを使用することが
できる。
【0063】機能性分子の立体構造に影響を及ぼす因子
を作用させる方法としては、例えば、改変GFPと機能
性分子との融合蛋白質を産生している細胞をレーザー顕
微鏡のステージ上のチャンバーに入れ、作用因子を当該
細胞に添加することにより行われる。この方法は、その
後の融合蛋白質の蛍光特性の変化を観察することを考慮
している点で好ましい。なお、作用因子は、例えばAT
Pやカルバコールを用いる場合、灌流液(HBS)に懸
濁し、20〜300μMの濃度で添加することが適切で
ある。
【0064】(D)前記種々の融合蛋白質のなかから、
前記(C)工程により蛍光特性に変化が現れる融合蛋白
質をバイオセンサー蛋白質として選択する工程:工程
(C)の作用により蛍光特性に変化が現れる融合蛋白質
を、蛍光を検出することが可能な装置、例えばレーザー
顕微鏡もしくは蛍光顕微鏡に取りつけられたCCDカメ
ラ等を用いて検出し、これらをバイオセンサー蛋白質と
して選択する。ここで「蛍光特性に変化が現れる」と
は、蛍光顕微鏡もしくはレーザー顕微鏡等で捉えること
ができる程度の変化が起こることをいい、好ましくは肉
眼で捉えることができる程度の変化が現れることをい
う。例えば、蛍光特性の変化が蛍光強度の変化である場
合、蛍光の変化量ΔF/Fが、好ましくは、少なくとも
0.1以上変化すること、より好ましくは1〜10の範
囲で変化することをいう。
【0065】工程(D)で選択されたバイオセンサー蛋
白質は、センサーとして感知する因子の有無に応じて、
当該蛋白質の蛍光特性が可逆的に変化し得る状態にあ
る。
【0066】このようにGFPの蛍光特性が可逆的に変
化し得るように改変されたバイオセンサー蛋白質は、蛍
光特性が変化し得る臨界状態にあるということもでき
る。
【0067】例えば、蛍光特性が蛍光強度である場合、
バイオセンサー蛋白質は、蛍光を発する状態と蛍光を発
しない状態の臨界状態にある。この臨界状態においてバ
イオセンサー蛋白質は、蛍光を発していない状態にあっ
てもよいし、蛍光強度の低い状態にあってもよい。ある
いは、改変GFPは蛍光強度の高い状態にあってもよ
い。ここで、蛍光を発していないとは、光学機器を使用
して蛍光を確認できないことをいう。蛍光強度が低いと
は、センサーとして感知する因子の存在により、上述の
変化量(ΔF/Fが少なくとも0.1以上変化する量)
を示して、蛍光強度が高い状態に変化し得る程度に低い
ことをいう。同様に、蛍光強度が高いとは、センサーと
して感知する因子の存在により、上述の変化量(ΔF/
Fが少なくとも0.1以上変化する量)を示して、蛍光
強度が低い状態に変化し得る程度に高いことをいう。
【0068】バイオセンサー蛋白質が臨界状態にあって
蛍光強度の高い状態は、僅かな立体構造の変化によりそ
の蛍光を発しなくなる「ぎりぎり蛍光を強く発していら
れる状態」ということもできる。また、バイオセンサー
蛋白質が臨界状態にあって蛍光を発していない状態は、
僅かな立体構造の変化により蛍光を発する状態に変化し
得る「ぎりぎり蛍光を発することができない状態」とい
うこともできる。同様に、バイオセンサー蛋白質が臨界
状態にあって蛍光強度が低い状態も、僅かな立体構造の
変化により蛍光を強く発する状態に変化し得る「ぎりぎ
り蛍光を弱くしか発することができない状態」というこ
ともできる。
【0069】上述のようにバイオセンサー蛋白質を臨界
状態にする理由は、センサーの感知する因子の有無によ
って敏感に反応し、その立体構造が可逆的に変化し、そ
れに伴ってその蛍光特性が可逆的に変化する状態(例え
ば、蛍光を発する状態と蛍光を発しない状態との間を可
逆的に行き来するような状態)を作り出すためである。
バイオセンサー蛋白質は、このような臨界状態にあるこ
とにより、バイオセンサーとして機能し得る状態にある
ということができる。
【0070】[バイオセンサー蛋白質およびバイオセン
サー遺伝子]本発明のバイオセンサー蛋白質は、上述の
バイオセンサー蛋白質を作成する方法により選択された
ものをいう。また、本発明のバイオセンサー遺伝子は、
本発明のバイオセンサー蛋白質をコードする遺伝子をい
い、本発明のバイオセンサー蛋白質を細胞で発現させる
ために使用するものである。
【0071】本発明のバイオセンサー蛋白質は、 (1)蛍光特性に影響を及ぼすホットスポットアミノ酸
残基の近傍で緑色蛍光蛋白質のアミノ酸配列を切断して
前記蛋白質の構造を改変した改変GFP、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変GFPに伝える
ことにより、前記改変GFPの立体構造を変化させ、蛍
光特性を変化させるように機能する機能性分子を含むこ
とを特徴とする。
【0072】バイオセンサー蛋白質が構成要素として含
む改変GFPは、上記規定したとおりであり、好ましく
は、ホットスポットアミノ酸残基の近傍でGFPのアミ
ノ酸配列を切断し、次いで、切断部位のアミノ酸を除去
することによりGFPの分子構造を改変し、必要に応じ
てGFP本来のN末端と本来のC末端とを適切なアミノ
酸配列で連結したものをいう。
【0073】また、機能性分子も、上記規定したとおり
であり、機能性分子自身が、機能性分子に作用する因子
(即ち、バイオセンサーが感知する因子)の結合等の作
用により、立体構造に変化を起こし得る分子であって、
自身の立体構造の変化を改変GFPに伝え得る分子であ
る。
【0074】改変GFP、機能性分子ともに、上記規定
されるようなものであれば限定されない。
【0075】また、上述のとおり、本発明のバイオセン
サー蛋白質は、機能性分子が、自身の立体構造の変化を
改変GFPに伝達し改変GFPの構造に変化を及ぼし得
る位置で、改変GFPに連結されている必要がある。従
って機能性分子は、本来のGFP構造を改変した部分に
近接して連結されていることが好ましい。具体的には、
GFPを切断した位置にリンカー分子を介して連結され
ていることが好ましい。
【0076】更に、本発明のバイオセンサー蛋白質とし
て機能するためには、センサー蛋白質が感知する因子の
有無により、センサー蛋白質の蛍光特性が可逆的に変化
し得ることが要求される。本発明では蛍光特性の一例と
して、蛍光強度を使用する。上述したとおり、本発明の
バイオセンサー蛋白質は、蛍光を発する状態と蛍光を発
しない状態の臨界状態にあり、その蛍光特性を可逆的に
変化し得るものである。
【0077】また、本発明のバイオセンサー蛋白質は、
好ましくはそのホットスポットアミノ酸残基がGFPの
148番目、94番目、96番目、もしくは222番目のアミノ酸
残基である。
【0078】GFPの148番目のアミノ酸残基をホット
スポットアミノ酸残基として採用したバイオセンサー蛋
白質は、好ましくは、下記(1)、(2)の配列を含む
ことを特徴とする: (1)下記(a)、(b)のアミノ酸配列を、N末端か
ら順に有する改変緑色蛍光蛋白質: (a) 緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配
列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列、
(ここで、Xは148〜150の任意の位置であり、Yは140
〜147の任意の位置である)、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
能性分子。
【0079】また、GFPの148番目のアミノ酸残基を
ホットスポットアミノ酸残基として採用したバイオセン
サー蛋白質の、より具体的な例としては、下記(a)〜
(h)の配列を、N末端から順に有することを特徴とす
る: (a)メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカーX); (b)ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部の
アミノ酸配列; (c)前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを連
結するアミノ酸配列(リンカーY); (d)緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配列
(ここで、Xは148〜150の任意の位置である); (e)前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを連
結するアミノ酸配列; (f)緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列(こ
こで、Yは140〜147の任意の位置である); (g)前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを連
結するアミノ酸配列(リンカーZ); (h)カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミノ
酸配列。
【0080】ここで、(a)のリンカーXは、メチオニ
ンを含む任意のアミノ酸配列であるが、好ましくは1〜
10個のアミノ酸であり、より好ましくはMet-Xaa-Xaa
(Xaaは任意のアミノ酸)であり、更に好ましくはMet-G
ly-Thr、Met-Val-Aspである。(c)のリンカーYは、
任意のアミノ酸配列であるが、好ましくは0〜10個の
アミノ酸であり、より好ましくは、リンカーYのアミノ
酸配列のうち「GFPの147番目に相当するアミノ酸」
がLeu、Thr、またはGlyで、「GFPの148番目に相当す
るアミノ酸」が、酸性側鎖または水酸基をその一部に含
む側鎖を持つアミノ酸であり、更に好ましくはLeu-Glu
である。(e)の連結アミノ酸は、好ましくは、2〜1
0個のアミノ酸であり、より好ましくは、グリシン等の
ペプチドの主鎖の動きに大きな自由度を与え、主鎖をフ
レキシブルにするようなアミノ酸を多く含むアミノ酸配
列であり、更に好ましくはGly-Gly-Thr-Gly-Gly-Serで
ある。(g)のリンカーZは、任意のアミノ酸配列であ
るが、好ましくは0〜10個のアミノ酸であり、より好
ましくは2〜3個のアミノ酸であり、更に好ましくはTh
r-Argである。
【0081】上述のGFPの148番目のアミノ酸残基を
ホットスポットアミノ酸残基として用いた種々のバイオ
センサー蛋白質の例を下記表1〜2に列挙する。機能性
分子としてはミオシン軽鎖キナーゼ(M13)およびカ
ルモジュリン(CaM)を使用した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】表1〜2に記載のバイオセンサー蛋白質
は、N末端から順に メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカーX); ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸配列(M
13); 連結アミノ酸配列(リンカーY); 改変GFP(cpEGFP); 連結アミノ酸配列(リンカーZ); カルモジュリン蛋白質の2〜148番目のアミノ酸配列
(CaM)を有する。
【0085】ここで機能性分子として使用したラットカ
ルモジュリンのアミノ酸配列を配列番号2に示す。配列
番号2に記載のアミノ酸配列における1〜148番のアミ
ノ酸は、本明細書に記載される「カルモジュリン蛋白質
のn番目のアミノ酸」と対応する。尚、カルモジュリン
はアミノ酸に翻訳された後、N末のメチオニンが翻訳後
修飾を受けて切れてなくなるため、配列番号2ではN末
のメチオニンの記載を省いた。
【0086】また、機能性分子として使用したミオシン
軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸配列(M13)を
配列番号3に示す。このM13断片をコードする遺伝子
配列は、ニワトリのM13断片をコードする遺伝子配列
を改変したものである(Guerriero,V et al Biochemist
ry 25 8372-8381 (1986))。
【0087】表1〜2において、種々のバイオセンサー
蛋白質は、プローブ・ナンバーとして名称が付されてい
る。例えば、プローブ・ナンバーG3(以下、G3とも
いう)については、その構造を一次元的に図2に示す。
G3は、N末端から順にリンカーX(Met-Gly-Thr); ミオシン軽鎖キナーゼの一部(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Tr
p-Asn-Lys-Thr-Gly-His-Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-
Leu-Ser-Ser); リンカーY(Thr-Ser); 改変GFP{N末端から順に、GFPの149〜238番目の
アミノ酸配列、連結アミノ酸(Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Se
r)、GFPの1〜144番目のアミノ酸配列}; リンカーZ(Gly-Thr-Arg);ラットのカルモジュリン
の2〜148番目のアミノ酸を有する。
【0088】表1〜2において、リンカーX、Y、Zの
アミノ酸配列は一文字表記で示す。また、M13の
「O」は、(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asn-Lys-Thr-Gl
y-His-Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser)の
配列を意味する。cpEGFPの「149-144」は、改変
GFPがN末端から順に、GFPの149〜238番目のアミ
ノ酸配列、連結アミノ酸(Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Se
r)、GFPの1〜144番目のアミノ酸配列を有すること
を意味する。CaMの「O」は、ラットの本来のカルモ
ジュリン2〜148番目のアミノ酸配列を意味し、「C
N」は、カルモジュリンのミュータント CaMCNの
2〜148番目のアミノ酸配列(Persechini A et al 1997
Cell Calcium 22, 209-216)を意味する。蛍光の
「+」は、ATP添加前に弱い蛍光を発しているものを
意味し、「−」はATP添加前に蛍光を発していないも
のを意味し、「*」は、細胞内カルシウム濃度が2mM
程度の高カルシウム状態で弱い蛍光を発するものを意味
する。ATP応答(ΔF/F)の値は、各バイオセンサー
蛋白質を産生する細胞(HEK細胞)のATP添加前と添
加後の蛍光強度の変化量の値(ΔF)をATP添加前の
蛍光強度(F)で割った値(Arbitraryunit)である。
「nt」は、not testedを意味する。また、光異性化
(Photoisomerization)の「+」は、バイオセンサー蛋
白質が光異性化を起こすことを意味し、「−」は、光異
性化を起こさないことを意味する。
【0089】表1〜2の結果より、cpEGFPのN末
を145〜155番目のアミノ酸の間で変化させ、C末を140
〜147番目のアミノ酸の間で変化させてATPの反応を
測定したところ、N末が149または150番目のアミノ酸で
始まるものが反応性が高かった。C末は、140、144、14
7番目でATP感受性のある分子を得た。
【0090】ここで、148番目のアミノ酸は、リンカー
Yに含まれると考えてよい。即ち、改変GFPのN末
が、本来のGFPの149番目のアミノ酸から始まると
き、この改変GFPのN末に隣接するリンカーYのアミ
ノ酸を「GFPの148番目に相当するアミノ酸」と考え
ることができる。また同様に、改変GFPのN末が、本
来のGFPの150番目のアミノ酸から始まるとき、この
改変GFPのN末に隣接するリンカーYのアミノ酸から
N末側に2個溯ったアミノ酸を「GFPの148番目に相
当するアミノ酸」と想定することができる。
【0091】GFPの148番目のアミノ酸残基をホット
スポットアミノ酸残基として採用したバイオセンサー蛋
白質は、より好ましくは、 (1)下記(a)、(b)のアミノ酸配列を、N末端か
ら順に有する改変緑色蛍光蛋白質: (a) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
能性分子を含むことを特徴とする。
【0092】また、上述のより好ましいバイオセンサー
蛋白質の、より具体的な例としては、下記(a)〜
(h)の配列を、N末端から順に有することを特徴とす
る: (a) メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカー
X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部
のアミノ酸配列; (c) 前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを
連結するアミノ酸配列(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列; (e) 前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを
連結するアミノ酸配列; (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列; (g) 前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを
連結するアミノ酸配列(リンカーZ);および (h) カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミ
ノ酸配列。
【0093】ここで、(a)のリンカーXは、メチオニ
ンを含む任意のアミノ酸配列であるが、好ましくは1〜
10個のアミノ酸であり、より好ましくはMet-Xaa-Xaa
(Xaaは任意のアミノ酸)であり、更に好ましくはMet-G
ly-Thr、Met-Val-Aspである。(c)のリンカーYは、
任意のアミノ酸配列であるが、好ましくは0〜10個の
アミノ酸であり、より好ましくは2個のアミノ酸で、
「GFPの147番目に相当するアミノ酸」がLeu、Thr、
またはGlyで、「GFPの148番目に相当するアミノ酸」
が、酸性側鎖または水酸基をその一部に含む側鎖を持つ
アミノ酸であり、更に好ましくはLeu-Gluである。
(e)の連結アミノ酸は、好ましくは、2〜10個のア
ミノ酸であり、より好ましくは、グリシン等のペプチド
の主鎖の動きに大きな自由度を与え、主鎖をフレキシブ
ルにするようなアミノ酸を多く含むアミノ酸配列であ
り、更に好ましくはGly-Gly-Thr-Gly-Gly-Serである。
(g)のリンカーZは、任意のアミノ酸配列であるが、
好ましくは0〜10個のアミノ酸であり、より好ましく
は2〜3個のアミノ酸であり、更に好ましくはThr-Arg
である。
【0094】上述のより好ましいバイオセンサー蛋白質
の種々の例を下記表3〜4に列挙する。機能性分子とし
てはミオシン軽鎖キナーゼ(M13)およびカルモジュ
リン(CaM)を使用した。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】表3〜4に記載のバイオセンサー蛋白質
は、N末端から順に メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカーX); ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸配列(M
13); 種々の連結アミノ酸配列(リンカーY); 改変GFP(cpEGFP); 連結アミノ酸配列(リンカーZ); カルモジュリン蛋白質の2〜148番目のアミノ酸配列
(CaM)を有する。
【0098】表3〜4において、種々のバイオセンサー
蛋白質は、プローブ・ナンバーとして名称が付されてい
る。例えば、プローブ・ナンバーG85(以下、G85
ともいう)については、その構造を一次元的に図2に示
す。G85は、N末端から順に リンカーX(Met-Val-Asp); ミオシン軽鎖キナーゼの一部(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Tr
p-Asn-Lys-Thr-Gly-His-Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-
Leu-Ser-Ser); リンカーY(Leu-Glu); 改変GFP{N末端から順に、GFPの149〜238番目の
アミノ酸配列、連結アミノ酸(Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Se
r)、GFPの1〜144番目のアミノ酸配列}; リンカーZ(Thr-Arg); ラットのカルモジュリンの2〜148番目のアミノ酸を有
する。
【0099】表3〜4において、リンカーX、Y、Zの
アミノ酸配列は一文字表記で示す。また、M13の
「O」は、(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asn-Lys-Thr-Gl
y-His-Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser)の
配列を意味する。cpEGFPの「149-144」は、改変
GFPがN末端から順に、GFPの149〜238番目のアミ
ノ酸配列、連結アミノ酸(Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Se
r)、GFPの1〜144番目のアミノ酸配列を有すること
を意味する。CaMの「O」は、ラットの本来のカルモ
ジュリン2〜148番目のアミノ酸配列を意味する。AT
P応答(ΔF/F)の値は、各バイオセンサー蛋白質を産
生する細胞(HEK細胞)のATP添加前と添加後の蛍光
強度の変化量の値(ΔF)をATP添加前の蛍光強度
(F)で割った値(Arbitrary unit)である。「n」
は、試験した細胞の数を意味する。また、光異性化(Ph
otoisomerization)の「+」は、バイオセンサー蛋白質
が光異性化を起こすことを意味し、「−」は、光異性化
を起こさないことを意味する。
【0100】表3〜4では、主にリンカーX、Y、Zの
アミノ酸を変化させて、そのATPに対する反応性を調
べた。カルモジュリン断片(2〜148番目)を用いて、
リンカーYの配列がLeu-Gluであるものが最も反応性が
良かった。リンカーZの配列は、Gly-Thr-ArgでもThr-A
rgでもATPに対する反応性に変化はなかった。リンカ
ーXの配列はMet-Gly-ThrでもMet-Val-AspでもATPに
対する反応性に変化はなかった。また、G22に関して
はG3のcpEGFP(149-144)より一つアミノ酸が
少なくなっているが、反応性に大きな変化はなかった。
【0101】表3〜4に示すとおり、改変GFPのN末
端が本来のGFPの149番目のアミノ酸から始まり、リ
ンカーYに「GFPの148番目に相当するアミノ酸」と
してグルタミン酸(Glu)をもつもの(プローブ・ナン
バーG18、G72、G85)が最も良好な反応性を示
し、ATPに対する蛍光の変化量ΔF/Fについて1.5
〜1.6の値を示した。また、改変GFPのN末端が本
来のGFPの150番目のアミノ酸から始まり、リンカー
Yに「GFPの148番目に相当するアミノ酸」としてト
レオニン(Thr)をもつもの(G22)も反応性(ΔF/
F=0.6)はやや劣るものの充分なカルシウム感受性
を有することが明らかとなった。
【0102】更に表3〜4の結果から、148番目に対応
するアミノ酸がその側鎖に水酸基を有していると、その
バイオセンサー蛋白質は光異性化を起こすことが判る。
このことからも、リンカーYの二つのアミノ酸のうち、
改変GFPに隣接するアミノ酸が、GFPの蛍光強度に
強く関係していることが明らかである。
【0103】あるいは、上述の表1〜表4に記載のバイ
オセンサー蛋白質とは別に、GFPの148番目のアミノ
酸残基をホットスポットアミノ酸残基としてその近傍で
切断し、その切断された間に機能性分子を連結させたバ
イオセンサー蛋白質の例を表5に挙げる。
【0104】
【表5】
【0105】表5に記載のバイオセンサー蛋白質は、N
末端から順に 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配列; リンカーA; ミオシン軽鎖キナーゼの一部のアミノ酸配列(M1
3); リンカーB; ラットのカルモジュリンの2〜148番目のアミノ酸配列
(CaM); リンカーC; GFPの149〜238番目のアミノ酸配列を有する。
【0106】表5において、リンカーA、B、Cのアミ
ノ酸配列は一文字表記で示す。また、M13の「O」
は、(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asn-Lys-Thr-Gly-His-
Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser)の配列を
意味する。CaMの「O」は、ラットの本来のカルモジ
ュリン2〜148番目のアミノ酸配列を意味する。蛍光の
「+」は、ATP添加前に弱い蛍光を発していることを
意味する。ATP応答(ΔF/F)の値は、各バイオセン
サー蛋白質を産生する細胞(HEK細胞)のATP添加前
と添加後の蛍光強度の変化量の値(ΔF)をATP添加
前の蛍光強度(F)で割った値(Arbitrary unit)であ
る。ATP応答における*は、ATPの代わりにカルバ
コールを用いたときの応答を意味する。また、光異性化
(Photoisomerization)の「+」は、バイオセンサー蛋
白質が光異性化を起こすことを意味する。
【0107】表5は、GFP本来のN末およびC末をも
つバイオセンサーのグループのATPに対する反応性を
示しており、このグループはATPに対して弱いながら
反応した。リンカーBの長さを長くしたA2の方が反応
性は良かった。このタイプはリンカーA、B、Cを検討
することにより、より高い反応性の分子を作ることがで
きると考えている。
【0108】以上、表1〜表5に示す結果から、GFP
には蛍光強度に強い影響を与えるホットスポットアミノ
酸残基(GFPの148番目のアミノ酸残基)が存在する
ことが明らかとなり、このアミノ酸残基を介してGFP
の蛍光強度を効率的に制御することが可能となった。同
様に、148番目のアミノ酸残基以外に、94、96、222番目
のアミノ酸残基でもGFPの蛍光強度を制御できるバイ
オセンサーが作成され得ることが、GFPの結晶構造か
ら推察される。
【0109】本発明のバイオセンサー蛋白質は、上述の
とおり、機能性分子としてカルモジュリン蛋白質(もし
くはその一部)およびミオシン軽鎖キナーゼ(もしくは
その一部)を使用したものが挙げられるが、これに限定
されない。即ち、本発明のバイオセンサー蛋白質は、上
述のカルシウムセンサーとして機能し得るものに限定さ
れない。
【0110】本発明のカルシウムセンサー蛋白質の特に
好ましい例としては、下記(a)〜(h)の配列を、N
末端から順に有することを特徴とする: (a) Met-Gly-ThrまたはMet-Val-Asp(リンカー
X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸
配列(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asp-Lys-Thr-Gly-His-
Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser); (c) Leu-Glu(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
列; (e) Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Ser; (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
列; (g) Gly-Thr-ArgまたはThr-Arg(リンカーZ);お
よび (h) ラットのカルモジュリン蛋白質の2〜148番目
のアミノ酸配列。
【0111】本発明において作成されたカルシウムセン
サーは、細胞内および細胞外でカルシウム濃度を測定す
る際に使用することができる。
【0112】例えば、本発明のカルシウムセンサー遺伝
子を大腸菌などに導入して予めつくらせたカルシウムセ
ンサー蛋白質と検体とを混合することによりカルシウム
濃度を測定することが可能である。また、大腸菌などを
使用してつくらせた蛋白質を、カルシウム濃度を測定し
たい細胞に直接注入することにより細胞内のカルシウム
濃度を測定することもできる。あるいは、本発明のカル
シウムセンサー遺伝子を、カルシウム濃度を測定したい
細胞に導入して細胞に蛋白質を産生させることにより、
細胞内のカルシウム濃度を測定してもよい。
【0113】カルシウム濃度の測定は、ある特定の波長
の光(例えば、488 nmの励起光)をカルシウムセンサー
蛋白質に当てることにより、センサー蛋白質の発する蛍
光特性を光学機器(例えば、レーザー顕微鏡)で検出す
ることにより行う。なお、濃度測定に使用するカルシウ
ムセンサー蛋白質が、どのくらいのカルシウム濃度でど
のような蛍光特性を示すものであるか、予め調べておく
ことが必要である。具体的には、例えば、大腸菌でセン
サー蛋白質分子を大量に作らせて、蛍光分光光度計を用
いて蛍光波長や種々のカルシウム濃度に対して蛍光強度
が変化する程度を測定しておくことが必要である(図
5)。本発明のバイオセンサー蛋白質は、EGFP(ク
ローンテック社)とほぼ同様な蛍光波長特性を持ち、励
起極大は489nmであり、蛍光極大は509nmであった。
【0114】また、本発明においてバイオセンサー遺伝
子は、本発明のバイオセンサー蛋白質をコードする遺伝
子のことをいう。このようなバイオセンサー遺伝子は、
まず、作成したいバイオセンサー蛋白質を構成する各構
成部分(例えば、改変GFPの部分、機能性分子の部
分)をコードする遺伝子断片をそれぞれPCRにより作
成し、次いで、これら各遺伝子断片を連結させることに
より、融合遺伝子の形で作成され得る。このようにして
作成されたバイオセンサー遺伝子を適切なベクター(例
えば、pEGFP-N1(クローンテック社))に組込み、この
組換えベクターを細胞に導入することにより、任意の細
胞で所望のバイオセンサー蛋白質を産生させることが可
能となる。
【0115】[本発明のバイオセンサー蛋白質の性能の
確認]本発明のバイオセンサー蛋白質は、そのセンサー
としての性能を実験的に確認しておくことが必要であ
る。
【0116】本発明において実際に開発したカルシウム
センサーは、培養細胞human embrionic kidney(HEK)2
93 cellおよびマウスの骨格筋初代培養細胞にその遺伝
子を取り込ませて性能の評価を行った。
【0117】プローブ・ナンバーG85のカルシウムセ
ンサーをHEK 293細胞中で当該遺伝子(その配列を配列
番号4に示す)を用いて発現させ、次いで細胞のカルシ
ウムイオン濃度を増大させることが既知の因子として、
ATP(0.1mM)およびカルバコール(CCH)(0.1
mM)を作用させた。そのときの反応例を図3に示す。
【0118】HEK 293細胞でのATPに対する蛍光の変
化量は、元の蛍光強度の約1.6倍に達し、蛍光顕微鏡
下で肉眼でもこれらの変化を捉えることが可能であっ
た。カルバコールに対する蛍光の変化量は、元の蛍光強
度の約2.2倍に達した。また、イオノマイシン(0.01
mM)とカルシウムイオン(2mM)の添加により細胞
内を高カルシウムの状態にすると、カルシウムセンサー
の蛍光強度は最大に達することが確認された。一方、カ
ルシウムイオンを添加せず、イオノマイシン(0.01m
M)とEDTA(10 mM)を添加することにより細胞
内のカルシウム濃度をゼロに近づけると、センサーの蛍
光強度は最小になることが確認された。
【0119】また、同様にしてカルシウムセンサー(G
85)を発現している骨格筋初代培養細胞に、細胞のカ
ルシウムイオン濃度を増大させることが既知の因子、カ
ルバコール(0.1mM)およびカフェイン(10 mM)を
作用させた。そのときの反応例を図4に示す。図3の結
果と同様、カルバコールに対する蛍光の変化量は、元の
蛍光強度の約2.5倍に達し、カフェインに対する蛍光
の変化量は約1.1倍に達した。
【0120】更に図5において、カルシウム濃度とカル
シウムセンサー(G85)の蛍光量との関係をグラフ化
した。なお、G85は大腸菌を用いてつくらせたもので
ある。図5に示すように、本発明のカルシウムセンサー
蛋白質は、非常に高いカルシウム感受性を有していた。
この感受性の高さは、従来技術の欄で挙げた一つのGF
Pから成るカルシウム感受性蛋白質よりも約30倍高い
カルシウム感受性であった。
【0121】このように本発明のカルシウムセンサー
は、センサーとしての性能の高さが証明されている。
【0122】
【実施例】カルシウムセンサーの製法および測定法 例としてプローブ・ナンバーG3をコードしているpN1-
G3の作成について: 1.[平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼM13] 平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼのM13(配列番号3)を、
片山化学にて合成した下記の合成プライマーから作製す
る。即ち、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼのM13に対する
2つのプライマー smMLCKM13-1プライマー (GCGCTAGCCGCCACCATGGGTACCTCATCACGTCGTAAGTGGAATAAG
ACAGGTCACGCAGTCAGA;配列番号5)と smMLCKM13-2プライマー (GGCGCGGCCGCTCAACTAGTTGAGCTCAGCCGACCTATAGCTCTGACT
GCGTGACCTGTCTT;配列番号6) をテンプレート兼プライマーとしてPolymerase chain r
eaction(PCR)を行う。アガロースゲル電気泳動を行
い、目的のPCR産物をゲルから回収したのちNheIとSpeI
で制限酵素処理しPCRフラグメント1を得る。
【0123】2.[改変GFP(circularly permutated
enhanced GFP;cpEGFP)] GFPをコードするcDNAを含んでいるプラスミドpEGFP-N1
(Clontech社から発売されている)をテンプレートとして EGFP-31プライマー(GGACGCGTACTAGTAACGTCTATATCATGGC
CGAC;配列番号7)とEGFP-20プライマー(CCGGTACCGCC
CTTGTACAGCTCGTCCATGCC;配列番号8) を使用してPCRを行う。アガロースゲル電気泳動を行
い、目的のPCR産物をゲルから回収したのちSpeIとKpnI
で制限酵素処理しPCRフラグメント2を得る。
【0124】同じくpEGFP-N1をテンプレートとして EGFP-21プライマー(GCGGTACCGGAGGGAGCATGGTGAGCAAGGG
CGAGGAG;配列番号9)と EGFP-30プライマー(GGACGCGTCCCGTTGTACTCCAGCTTGTGCC
C;配列番号10) を使用してPCRを行う。アガロースゲル電気泳動を行
い、目的のPCR産物をゲルから回収したのちKpnIとMluI
で制限酵素処理しPCRフラグメント3を得る。
【0125】3.[カルモジュリン(CaM)] ラットのカルモジュリンcDNA(配列番号2;アクセショ
ン番号 M19312(MoriM 2000 Biochemistry 39, 1316-13
23))をコードするプラスミドrCaMをテンプレートとし
て、ラットのカルモジュリンに対するプライマー rCaM-2プライマー(GGACGCGT GAC CAA CTG ACT GAA GAG
CAG;配列番号11)と rCaM-10プライマー(GCGCGGCCGCTCACTTCGCTGTCATCATTTG
TAC;配列番号12) を用いてPCRを行う。アガロースゲル電気泳動を行い、
目的のPCR産物をゲルから回収したのちMluIとNotIで制
限酵素処理しPCRフラグメント4を得る。
【0126】以上4つのPCRフラグメントを段階的にDNA
ligaseで結合し最終的にNheIとNotIで制限酵素処理し
たpEGFP-N1 vectorに組み込んだ。
【0127】各実験でプライマーは合成プライマーを使
用した(サワディー社および片山化学)。
【0128】上記のPCRの条件は テンプレートDNA1μg 2種類のプライマー各10ピコモル 反応バファー(stratagene社)5マイクロリッター pfu酵素(stratagene社)2ユニット 2.5mM dNTP(Takara社)4マイクロリッター 水をを加え、全量を50マイクロリッターとした。
【0129】PCRの反応温度は 1)94度2分 1サイクル 2)94度30秒 55度30秒 72度1分 30サイクル 3)72度2分 1サイクルで行った。
【0130】DNAのゲルからの回収はDNA Fragment Puri
fication kit MagExtractor(Toyobo社)を用い、キッ
トのマニュアルにしたがって行った。
【0131】アガロースゲル電気泳動は1%または2%
アガロースゲル(Agarose LE, Nakarai tesque社)を用
い、TAEバッファー(1リットル中Tris base 4.98g (Nak
araitesque社), 氷酢酸1.142 ml (Nakarai tesque社),
0.5M EDTA (pH 8) 2ml(EDTA:Ethyle-nediamine-N,N,N'
N' tetraacetic acid disodium salt, Dojin社))にて
電気泳動した。
【0132】制限酵素によるDNAの切断はNheI, SpeI, M
luI, NotI(NEB社)を用い酵素に添付されたバッファーを
使用して、DNA1〜2マイクログラムに酵素各30ユニ
ット、バッファー10マイクロリッター、水を加え全量
を100マイクロリッターとし、37度で1〜3時間反
応させた。DNAはその後DNA Fragment Purification kit
MagExtractor(Toyobo社)を用いキットのマニュアル
にしたがって回収した。
【0133】Ligation反応にはDNA Ligation kit(Takar
a社)を用いキットのマニュアルにしたがって行った。
【0134】コンピーテントセルは大腸菌HB101(Takar
a社)を用いtransformationにはカルシウムクロライド
法を用いた(Molecular Cloning A laboratory Manual,
2ndEdition, J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniat
is著, Cold Spring HarborLaboratory Press, 1989)。
【0135】大腸菌からのプラスミドの回収はQIAprep
Spin Miniprep kit(Qiagen社)を用いキットのマニュア
ルにしたがって行った。
【0136】細胞への導入:cDNA(即ち、上述の大腸菌
から回収されたプラスミド)は、Superfect transfecti
on reagent(Qiagen社)を用いてマニュアルにしたがって
5x10mmのサイズのカバーガラスの上に10% 牛胎児血
清, 30 units/ml ペニシリンと30 mg/ml ストレプトマ
イシンを含むDulbecco's modified Eagle培地(Gibuco
BRL社)で培養したhuman embrionic kidney(HEK) 293
細胞 (American Type Culture Collection)に導入し
た。
【0137】導入方法の詳細は以下に記載のとおりであ
る。まず、3マイクログラムの上記cDNA(3マイクロリ
ッター)に12.5マイクロリッターのSuperfect transfec
tionreagentと血清を含まないDulbecco's modified Eag
le培地80マイクロリッターを加え10分間室温に放置
したのちに血清を含むDulbecco's modified Eagle培地
を800マイクロリッター加えた溶液を、リン酸緩衝液
で1度洗浄したHEK細胞に加え、37度で2時間培養し
た。培養したHEK細胞をリン酸緩衝液で1度洗浄して、1
0%牛胎児血清を含むDulbecco's modified Eagle培地を
適量(3cmディッシュ当たり2ミリリッター)加えて
28度で2〜4日培養し、実験に用いた。
【0138】測定:培養細胞の付着したカバーガラスを
顕微鏡のステージの上においたチャンバーに入れ、HBS
液(107 mM NaCl, 6 mM KCl, 1.2 mM MgSO4, 2 mM CaCl
2, 1.2 mM KH2PO4, 11.5 mM glucose, 20 mM HEPES pH
7.4(Nakarai tesque, 片山化学、HEPES: 2-[4-(2-Hydr
oxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid, Dojin
から購入))で灌流した。100マイクロモラーのアデ
ノシン三リン酸(ATP、Sigma社)または100マイクロ
モラーのカルバコール(Sigma社)はHBSに溶かし細胞に
灌流投与した。ライカTCS-NTレーザー顕微鏡を用い488n
mで励起し525nmで蛍光を記録した。
【0139】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のバイオセ
ンサー蛋白質を作成する方法は、多種多様なバイオセン
サーの開発に応用できるものである。また、本発明のバ
イオセンサー蛋白質の作成方法により、高性能なバイオ
センサーを短期間に作成できるようになることが期待さ
れる。
【0140】本方法を利用することにより作成されたカ
ルシウムセンサーの信号強度の変化量は大きく肉眼でも
観察でき、カルシウム感受性も従来のものに比べ30倍
と高くなった。また、蛋白質性のセンサーであるので、
その遺伝子を取り込ませることにより容易に細胞にセン
サーを発現させることができる。また、測定に特別な装
置および物質を必要とせず、アルゴンレーザーを用いた
検出器が利用可能であり、補酵素を必要としないという
利点も有する。
【0141】更に今回開発したカルシウムセンサーは、
当該蛋白質そのものを用いてカルシウム濃度を測定する
機器に組み込むことができる。さらにこの蛋白質の遺伝
子を組み込んだ動物、植物、組織、臓器、細胞等は、医
薬品の開発および農業製品の開発に利用することができ
る。
【0142】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Okazaki National Research Institutes <120> Method for producing a biosensor protein capable of regulating a fluorecence property of Green Fluorecent Protein, and the biosensor protein produced by the method. <130> A000004913 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 717 <212> DNA <213> Aequorea victoria <220> <221> CDS <222> (1)..(717) <400> 1 atg agc aag ggc gag gag ctg ttc acc ggg gtg gtg ccc atc ctg gtc 48 Met Ser Lys Gly Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu Val 1 5 10 15 gag ctg gac ggc gac gta aac ggc cac aag ttc agc gtg tcc ggc gag 96 Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly Glu 20 25 30 ggc gag ggc gat gcc acc tac ggc aag ctg acc ctg aag ttc atc tgc 144 Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Phe Ile Cys 35 40 45 acc acc ggc aag ctg ccc gtg ccc tgg ccc acc ctc gtg acc acc ctg 192 Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr Leu 50 55 60 acc tac ggc gtg cag tgc ttc agc cgc tac ccc gac cac atg aag cag 240 Thr Tyr Gly Val Gln Cys Phe Ser Arg Tyr Pro Asp His Met Lys Gln 65 70 75 80 cac gac ttc ttc aag tcc gcc atg ccc gaa ggc tac gtc cag gag cgc 288 His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu Arg 85 90 95 acc atc ttc ttc aag gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc gag gtg 336 Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu Val 100 105 110 aag ttc gag ggc gac acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag ggc atc 384 Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly Ile 115 120 125 gac ttc aag gag gac ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag tac aac 432 Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr Asn 130 135 140 tac aac agc cac aac gtc tat atc atg gcc gac aag cag aag aac ggc 480 Tyr Asn Ser His Asn Val Tyr Ile Met Ala Asp Lys Gln Lys Asn Gly 145 150 155 160 atc aag gtg aac ttc aag atc cgc cac aac atc gag gac ggc agc gtg 528 Ile Lys Val Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly Ser Val 165 170 175 cag ctc gcc gac cac tac cag cag aac acc ccc atc ggc gac ggc ccc 576 Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp Gly Pro 180 185 190 gtg ctg ctg ccc gac aac cac tac ctg agc acc cag tcc gcc ctg agc 624 Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Thr Gln Ser Ala Leu Ser 195 200 205 aaa gac ccc aac gag aag cgc gat cac atg gtc ctg ctg gag ttc gtg 672 Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu Phe Val 210 215 220 acc gcc gcc ggg atc act ctc ggc atg gac gag ctg tac aag taa 717 Thr Ala Ala Gly Ile Thr Leu Gly Met Asp Glu Leu Tyr Lys 225 230 235 <210> 2 <211> 447 <212> DNA <213> Rattus norvegicus <220> <221> CDS <222> (1)..(444) <400> 2 gct gac caa ctg act gaa gag cag atc gca gaa ttc aaa gaa gct ttc 48 Ala Asp Gln Leu Thr Glu Glu Gln Ile Ala Glu Phe Lys Glu Ala Phe 1 5 10 15 tcc cta ttt gac aag gac ggg gat ggg aca ata aca acc aag gag ctg 96 Ser Leu Phe Asp Lys Asp Gly Asp Gly Thr Ile Thr Thr Lys Glu Leu 20 25 30 ggg acg gtg atg cgg tct ctg ggg cag aac ccc aca gaa gca gag ctg 144 Gly Thr Val Met Arg Ser Leu Gly Gln Asn Pro Thr Glu Ala Glu Leu 35 40 45 cag gac atg atc aat gaa gta gat gcc gac ggt aat ggc aca atc gac 192 Gln Asp Met Ile Asn Glu Val Asp Ala Asp Gly Asn Gly Thr Ile Asp 50 55 60 ttc cct gaa ttc ctg aca atg atg gca aga aaa atg aaa gac aca gac 240 Phe Pro Glu Phe Leu Thr Met Met Ala Arg Lys Met Lys Asp Thr Asp 65 70 75 80 agt gaa gaa gaa att aga gaa gcg ttc cgt gtg ttt gat aag gat ggc 288 Ser Glu Glu Glu Ile Arg Glu Ala Phe Arg Val Phe Asp Lys Asp Gly 85 90 95 aat ggc tac atc agt gca gca gag ctt cgc cac gtg atg aca aac ctt 336 Asn Gly Tyr Ile Ser Ala Ala Glu Leu Arg His Val Met Thr Asn Leu 100 105 110 gga gag aag tta aca gat gaa gag gtt gat gaa atg atc agg gaa gca 384 Gly Glu Lys Leu Thr Asp Glu Glu Val Asp Glu Met Ile Arg Glu Ala 115 120 125 gac atc gat ggg gat ggt cag gta aac tac gaa gag ttt gta caa atg 432 Asp Ile Asp Gly Asp Gly Gln Val Asn Tyr Glu Glu Phe Val Gln Met 130 135 140 atg aca gcg aag tga 447 Met Thr Ala Lys 145 <210> 3 <211> 63 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> CDS <222> (1)..(63) <220> <223> M13 segments of smooth muscle myosin light chain kinase <400> 3 tca tca cgt cgt aag tgg aat aag aca ggt cac gca gtc aga gct ata 48 Ser Ser Arg Arg Lys Trp Asn Lys Thr Gly His Ala Val Arg Ala Ile 1 5 10 15 ggt cgg ctg agc tca 63 Gly Arg Leu Ser Ser 20 <210> 4 <211> 1251 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> CDS <222> (1)..(1248) <220> <223> Biosensor gene of probe number G85 <400> 4 atg gtc gac tca tca cgt cgt aag tgg aat aag aca ggt cac gca gtc 48 Met Val Asp Ser Ser Arg Arg Lys Trp Asn Lys Thr Gly His Ala Val 1 5 10 15 aga gct ata ggt cgg ctg agc tca ctc gag aac gtc tat atc atg gcc 96 Arg Ala Ile Gly Arg Leu Ser Ser Leu Glu Asn Val Tyr Ile Met Ala 20 25 30 gac aag cag aag aac ggc atc aag gtg aac ttc aag atc cgc cac aac 144 Asp Lys Gln Lys Asn Gly Ile Lys Val Asn Phe Lys Ile Arg His Asn 35 40 45 atc gag gac ggc agc gtg cag ctc gcc gac cac tac cag cag aac acc 192 Ile Glu Asp Gly Ser Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr 50 55 60 ccc atc ggc gac ggc ccc gtg ctg ctg ccc gac aac cac tac ctg agc 240 Pro Ile Gly Asp Gly Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser 65 70 75 80 acc cag tcc gcc ctg agc aaa gac ccc aac gag aag cgc gat cac atg 288 Thr Gln Ser Ala Leu Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met 85 90 95 gtc ctg ctg gag ttc gtg acc gcc gcc ggg atc act ctc ggc atg gac 336 Val Leu Leu Glu Phe Val Thr Ala Ala Gly Ile Thr Leu Gly Met Asp 100 105 110 gag ctg tac aag ggc ggt acc gga ggg agc atg gtg agc aag ggc gag 384 Glu Leu Tyr Lys Gly Gly Thr Gly Gly Ser Met Val Ser Lys Gly Glu 115 120 125 gag ctg ttc acc ggg gtg gtg ccc atc ctg gtc gag ctg gac ggc gac 432 Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu Val Glu Leu Asp Gly Asp 130 135 140 gta aac ggc cac aag ttc agc gtg tcc ggc gag ggc gag ggc gat gcc 480 Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly Glu Gly Glu Gly Asp Ala 145 150 155 160 acc tac ggc aag ctg acc ctg aag ttc atc tgc acc acc ggc aag ctg 528 Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Phe Ile Cys Thr Thr Gly Lys Leu 165 170 175 ccc gtg ccc tgg ccc acc ctc gtg acc acc ctg acc tac ggc gtg cag 576 Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr Leu Thr Tyr Gly Val Gln 180 185 190 tgc ttc agc cgc tac ccc gac cac atg aag cag cac gac ttc ttc aag 624 Cys Phe Ser Arg Tyr Pro Asp His Met Lys Gln His Asp Phe Phe Lys 195 200 205 tcc gcc atg ccc gaa ggc tac gtc cag gag cgc acc atc ttc ttc aag 672 Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu Arg Thr Ile Phe Phe Lys 210 215 220 gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc gag gtg aag ttc gag ggc gac 720 Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu Val Lys Phe Glu Gly Asp 225 230 235 240 acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag ggc atc gac ttc aag gag gac 768 Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly Ile Asp Phe Lys Glu Asp 245 250 255 ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag tac aac acg cgt gac caa ctg 816 Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr Asn Thr Arg Asp Gln Leu 260 265 270 act gaa gag cag atc gca gaa ttc aaa gaa gct ttc tcc cta ttt gac 864 Thr Glu Glu Gln Ile Ala Glu Phe Lys Glu Ala Phe Ser Leu Phe Asp 275 280 285 aag gac ggg gat ggg aca ata aca acc aag gag ctg ggg acg gtg atg 912 Lys Asp Gly Asp Gly Thr Ile Thr Thr Lys Glu Leu Gly Thr Val Met 290 295 300 cgg tct ctg ggg cag aac ccc aca gaa gca gag ctg cag gac atg atc 960 Arg Ser Leu Gly Gln Asn Pro Thr Glu Ala Glu Leu Gln Asp Met Ile 305 310 315 320 aat gaa gta gat gcc gac ggt aat ggc aca atc gac ttc cct gaa ttc 1008 Asn Glu Val Asp Ala Asp Gly Asn Gly Thr Ile Asp Phe Pro Glu Phe 325 330 335 ctg aca atg atg gca aga aaa atg aaa gac aca gac agt gaa gaa gaa 1056 Leu Thr Met Met Ala Arg Lys Met Lys Asp Thr Asp Ser Glu Glu Glu 340 345 350 att aga gaa gcg ttc cgt gtg ttt gat aag gat ggc aat ggc tac atc 1104 Ile Arg Glu Ala Phe Arg Val Phe Asp Lys Asp Gly Asn Gly Tyr Ile 355 360 365 agt gca gca gag ctt cgc cac gtg atg aca aac ctt gga gag aag tta 1152 Ser Ala Ala Glu Leu Arg His Val Met Thr Asn Leu Gly Glu Lys Leu 370 375 380 aca gat gaa gag gtt gat gaa atg atc agg gaa gca gac atc gat ggg 1200 Thr Asp Glu Glu Val Asp Glu Met Ile Arg Glu Ala Asp Ile Asp Gly 385 390 395 400 gat ggt cag gta aac tac gaa gag ttt gta caa atg atg aca gcg aag 1248 Asp Gly Gln Val Asn Tyr Glu Glu Phe Val Gln Met Met Thr Ala Lys 405 410 415 tga 1251 <210> 5 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for myosin light chain kinase M13 <400> 5 gcgctagccg ccaccatggg tacctcatca cgtcgtaagt ggaataagac 50 aggtcacgca gtcaga 66 <210> 6 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for myosin light chain kinase M13 <400> 6 ggcgcggccg ctcaactagt tgagctcagc cgacctatag ctctgactgc 50 gtgacctgtc tt 62 <210> 7 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for GFP <400> 7 ggacgcgtac tagtaacgtc tatatcatgg ccgac 35 <210> 8 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for GFP <400> 8 ccggtaccgc ccttgtacag ctcgtccatg cc 32 <210> 9 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for GFP <400> 9 gcggtaccgg agggagcatg gtgagcaagg gcgaggag 38 <210> 10 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for GFP <400> 10 ggacgcgtcc cgttgtactc cagcttgtgc cc 32 <210> 11 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for calmodulin <400> 11 ggacgcgtga ccaactgact gaagagcag 29 <210> 12 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for calmodulin <400> 12 gcgcggccgc tcacttcgct gtcatcattt gtac 34
【図面の簡単な説明】
【図1】 GFP、改変GFP、および改変GFPを用
いたカルシウムセンサー蛋白質の構造を模式的に示す
図。
【図2】 カルシウムセンサー蛋白質(G3およびG8
5)の一次構造を示す図。
【図3】 ATPおよびカルバコールに対して、HEK293
細胞に発現したカルシウムセンサー蛋白質の蛍光量が変
化する様子を示す図。
【図4】 カルバコールおよびカフェインに対して、骨
格筋細胞に発現したカルシウムセンサー蛋白質の蛍光量
が変化する様子を示す図。
【図5】 カルシウム濃度と蛍光量との関係を示すグラ
フ図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C07K 19/00 19/00 C12P 21/02 C C12P 21/02 G01N 21/78 C G01N 21/78 33/53 D 33/53 33/566 33/566 (C12P 21/02 C //(C12P 21/02 C12R 1:91) C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G054 AA10 CA10 EA03 GA04 GA05 GB10 4B024 AA11 BA80 CA04 CA09 DA03 DA06 EA04 GA11 GA18 GA19 HA01 4B064 AG01 CA02 CA10 CA19 CC24 DA13 4H045 AA10 AA20 BA10 BA11 BA12 BA14 BA17 BA41 BA70 CA40 CA50 EA50 FA74

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緑色蛍光蛋白質の構造を改変することに
    より、緑色蛍光蛋白質の蛍光特性を制御することが可能
    なバイオセンサー蛋白質を作成する方法であって、 (A)緑色蛍光蛋白質の蛍光特性に影響を及ぼすホット
    スポットアミノ酸残基を推定する工程と; (B)前記ホットスポットアミノ酸残基の近傍で緑色蛍
    光蛋白質のアミノ酸配列を切断して前記蛋白質の構造を
    改変した種々の改変緑色蛍光蛋白質と、自身の立体構造
    の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質に伝えることにより、
    前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構造を変化させ、蛍光特
    性を変化させるように機能する機能性分子とが連結され
    た種々の融合蛋白質を作成する工程と; (C)前記種々の融合蛋白質に、前記機能性分子の立体
    構造に影響を及ぼす因子を作用させる工程と; (D)前記種々の融合蛋白質のなかから、前記(C)工
    程により蛍光特性に変化が現れる融合蛋白質をバイオセ
    ンサー蛋白質として選択する工程とを具備することを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、前記蛍
    光特性が蛍光強度であることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 (1)蛍光特性に影響を及ぼすホットス
    ポットアミノ酸残基の近傍で緑色蛍光蛋白質のアミノ酸
    配列を切断して、前記蛋白質の構造を改変した改変緑色
    蛍光蛋白質、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
    に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
    造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
    能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のバイオセンサー蛋白質
    であって、前記蛍光特性が蛍光強度であることを特徴と
    する蛋白質。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載のバイオセンサ
    ー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ酸残基
    が、緑色蛍光蛋白質の第148番目であることを特徴とす
    るバイオセンサー蛋白質。
  6. 【請求項6】 請求項3または4に記載のバイオセンサ
    ー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ酸残基
    が、緑色蛍光蛋白質の第94番目であることを特徴とする
    バイオセンサー蛋白質。
  7. 【請求項7】 請求項3または4に記載のバイオセンサ
    ー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ酸残基
    が、緑色蛍光蛋白質の第96番目であることを特徴とする
    バイオセンサー蛋白質。
  8. 【請求項8】 請求項3または4に記載のバイオセンサ
    ー蛋白質であって、前記ホットスポットアミノ酸残基
    が、緑色蛍光蛋白質の第222番目であることを特徴とす
    るバイオセンサー蛋白質。
  9. 【請求項9】 (1)下記(a)、(b)のアミノ酸配
    列を、N末端から順に有する改変緑色蛍光蛋白質: (a) 緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配
    列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列、 (ここで、Xは148〜150の任意の位置であり、Yは140
    〜147の任意の位置である)、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
    に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
    造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
    能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質。
  10. 【請求項10】 下記(a)〜(h)の配列を、N末端
    から順に有することを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質: (a)メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカーX); (b)ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部の
    アミノ酸配列; (c)前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを連
    結するアミノ酸配列(リンカーY); (d)緑色蛍光蛋白質のX〜238番目のアミノ酸配列
    (ここで、Xは148〜150の任意の位置である); (e)前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを連
    結するアミノ酸配列; (f)緑色蛍光蛋白質の1〜Y番目のアミノ酸配列(こ
    こで、Yは140〜147の任意の位置である); (g)前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを連
    結するアミノ酸配列(リンカーZ); (h)カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミノ
    酸配列。
  11. 【請求項11】 (1)下記(a)、(b)のアミノ酸
    配列を、N末端から順に有する改変緑色蛍光蛋白質: (a) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
    列、 (b) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
    列、および (2)自身の立体構造の変化を前記改変緑色蛍光蛋白質
    に伝えることにより、前記改変緑色蛍光蛋白質の立体構
    造を変化させ、蛍光特性を変化させるように機能する機
    能性分子を含むことを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質。
  12. 【請求項12】 下記(a)〜(h)の配列を、N末端
    から順に有することを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質: (a) メチオニンを含むアミノ酸配列(リンカー
    X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその一部
    のアミノ酸配列; (c) 前述の(b)の配列と後述の(d)の配列とを
    連結するアミノ酸配列(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
    列; (e) 前述の(d)の配列と後述の(f)の配列とを
    連結するアミノ酸配列; (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
    列; (g) 前述の(f)の配列と後述の(h)の配列とを
    連結するアミノ酸配列(リンカーZ);および (h) カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミ
    ノ酸配列。
  13. 【請求項13】 請求項3〜9、11の何れか1項に記
    載のバイオセンサー蛋白質であって、前記機能性分子
    が、カルモジュリン蛋白質もしくはその一部のアミノ酸
    配列、およびミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質もしくはその
    一部のアミノ酸配列であることを特徴とするバイオセン
    サー蛋白質。
  14. 【請求項14】 下記(a)〜(h)の配列を、N末端
    から順に有することを特徴とするバイオセンサー蛋白
    質: (a) Met-Gly-ThrまたはMet-Val-Asp(リンカー
    X); (b) ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白質の一部のアミノ酸
    配列(Ser-Ser-Arg-Arg-Lys-Trp-Asp-Lys-Thr-Gly-His-
    Ala-Val-Arg-Ala-Ile-Gly-Arg-Leu-Ser-Ser); (c) Leu-Glu(リンカーY); (d) 緑色蛍光蛋白質の149〜238番目のアミノ酸配
    列; (e) Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Ser(連結アミノ酸配
    列); (f) 緑色蛍光蛋白質の1〜144番目のアミノ酸配
    列; (g) Gly-Thr-ArgまたはThr-Arg(リンカーZ);お
    よび (h) ラットのカルモジュリン蛋白質の2〜148番目
    のアミノ酸配列。
  15. 【請求項15】 請求項3〜14の何れか1項に記載の
    バイオセンサー蛋白質をコードするバイオセンサー遺伝
    子。
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