JP2002152191A - データ伝送装置、無線通信システム及び無線通信方法 - Google Patents

データ伝送装置、無線通信システム及び無線通信方法

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JP2002152191A JP2001258837A JP2001258837A JP2002152191A JP 2002152191 A JP2002152191 A JP 2002152191A JP 2001258837 A JP2001258837 A JP 2001258837A JP 2001258837 A JP2001258837 A JP 2001258837A JP 2002152191 A JP2002152191 A JP 2002152191A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無線回線を介して特定の無線局に秘匿情
報を伝送する場合に、高いセキュリティで秘匿情報を伝
送すること。 【解決手段】 伝搬環境推定部101cにより秘匿情報
を含む送信データの送信対象である受信局102との間
でのみ共有する無線伝搬路環境を推定し、この無線伝搬
路環境を考慮して秘匿情報を含む送信データを送信す
る。この結果無線伝搬路環境が異なる他の無線局では秘
匿情報を受信又は復元できないので、高いセキュリティ
で秘匿情報を伝送し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はデータ伝送装置、無
線通信システム及び無線通信方法に関し、特に無線回線
を介して特定の無線局に秘匿情報を伝送する場合に適用
して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル無線通信は、伝送速度
や伝送品質が飛躍的に向上したことにより、通信分野の
重要な位置を占めるようになってきている。一方、無線
通信では、公共財である電波空間を利用しているため、
秘匿性の点から考えると、第3者による受信が可能であ
るといった根本的な欠点がある。すなわち、通信内容が
第3者に傍受され、情報が漏洩するおそれが常にある。
【0003】そこで従来の無線通信では、秘匿情報を暗
号化することにより、伝送データが第3者に傍受された
としても秘匿情報の内容が第3者に分からないようにす
るなどの工夫がなされている。暗号化は、様々な分野で
研究され、また様々な分野で応用されている。これは、
暗号化には、無線通信システムを変更しなくても一定セ
キュリティが確保できるといった長所があるからであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、情報の
暗号化では、暗号化するためのコードや暗号化の手順が
分かれば、比較的容易に情報が解読されてしまう問題が
ある。特に高速のコンピュータが一般的に普及している
現状では、かなり複雑な暗号化処理を行わないとセキュ
リティが確保できなくなる。
【0005】特に算術的な暗号化では、暗号化された情
報を復号するためには、暗号化と復号化の共通情報であ
る暗号キーが必要となる。この暗号キーの授受が必要で
ある場合、暗号キーが第3者に傍受されると、暗号キー
と暗文とから容易に秘匿情報が解読されるおそれが常に
あった。特に上述したように無線回線を介して暗号キー
や暗号化情報を伝送する場合には、その危険性が一層大
きくなる。
【0006】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、無線回線を介して特定の無線局に秘匿情報を伝送
する場合に、高いセキュリティで秘匿情報を伝送し得る
データ伝送装置、無線通信システム及び無線通信方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報を含む送信デー
タを無線により無線局に伝送するデータ伝送装置であっ
て、無線局により発信された信号を受信する受信手段
と、受信手段により得られた受信信号に基づいて無線局
との間の無線伝搬路環境を推定する推定手段と、推定手
段により得られた無線伝搬路環境を考慮して、秘匿情報
を含む送信データを無線局に送信する送信手段とを具備
する構成を採る。
【0008】この構成によれば、推定手段により秘匿情
報を含む送信データの送信対象である無線局と間でのみ
共有する無線伝搬路環境を推定し、この無線伝搬路環境
を考慮して秘匿情報を含む送信データを送信するので、
無線伝搬路環境が異なる他の無線局では秘匿情報を受信
又は復元できない。この結果、高いセキュリティで秘匿
情報を伝送し得る。
【0009】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、受信信号に基づいて無線局との間の信号伝搬時間を
無線伝搬環境として推定し、送信手段は、送信データが
所望の受信時刻に無線局に到達するように、信号伝搬時
間を考慮したタイミングで、送信データを送信する構成
を採る。
【0010】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局では、予め定められた受信時刻に秘匿情報を
含む送信データが到達するので、その時刻に同期させて
信号を復調することで、秘匿情報を復元することができ
る。これに対して、秘匿情報の送信対象である無線局以
外の無線局では、秘匿情報を復元できない。何故なら受
信及び復調開始時刻を示す基準時間情報は、データ伝送
装置と送信対象である無線局と間でのみ共有する信号伝
搬時間に基づいて決められているので、他の無線局は受
信及び復調開始時刻を示す基準時間を知ることはできな
いからである。この結果、他の無線局は秘匿情報を復元
できず、セキュリティが確保される。
【0011】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた
位置に、擬似シンボルを付加する擬似シンボル付加手段
を備え、送信手段は、擬似シンボルが付加された送信デ
ータを無線局に送信する構成を採る。
【0012】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、擬似シンボルの位置が分かっているの
で、送信データを受信復調後に擬似シンボルのみを除去
して容易に秘匿情報を抽出できる。これに対して他の無
線局は、万一、送信データを復調し得たとしても、擬似
シンボルが存在するために、秘匿情報を抽出することが
できない。この結果一段とセキュリティが向上する。
【0013】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた
位置に、互いに同期関係にある同期系列信号を付加する
同期信号付加手段と、同期系列信号についての擬似同期
信号であり、互いに同期関係にある擬似同期系列信号を
付加する擬似同期信号付加手段とを具備する構成を採
る。
【0014】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、同期信号の位置が分かっているので、同
期信号を容易に抽出できる。無線局は、抽出した同期信
号を使って時間同期や、位相変動の検出、利得変動の検
出等ができるようになる。この結果、受信品質を向上し
得る。これに対して他の無線局では、秘匿情報を復元す
ることもできなく、擬似同期信号と同期信号を区別する
こともできない。かくして、セキュリティが高くかつ無
線局での受信品質を向上し得るデータ伝送装置を得るこ
とができる。
【0015】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データを無線により無線局に伝送するデータ
伝送装置であって、互いに異なる位置に配置され、無線
局により発信された信号を受信する第1及び第2の受信
手段と、第1の受信手段により得られた受信信号に基づ
いて第1の受信手段と無線局との間の第1の無線伝搬路
環境を推定すると共に、第2の受信手段により得られた
受信信号に基づいて第2の受信手段と無線局との間の第
2の無線伝搬路環境を推定する推定手段と、それぞれ第
1及び第2の受信手段と同じ位置に配置され、推定手段
により得られた第1及び第2の無線伝搬路環境を考慮し
て、秘匿情報を含む送信データを無線局に送信する第1
及び第2の送信手段とを具備する構成を採る。
【0016】この構成によれば、推定手段により秘匿情
報を含む送信データの送信対象である無線局と間でのみ
共有する複数の無線伝搬路環境を推定し、この複数の無
線伝搬路環境を考慮して秘匿情報を含む送信データを送
信するので、無線伝搬路環境が異なる他の無線局では秘
匿情報を受信又は復元できない。また他の無線局が秘匿
情報を傍受しようとした場合には、複数の無線伝搬環境
を推定しなければならず、1つの無線伝搬環境を推定す
る場合よりも困難となる。この結果、一段と高いセキュ
リティで秘匿情報を伝送し得る。
【0017】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、各受信信号に基づいて、無線局と第1の受信手段と
の間の第1の無線伝搬路における信号伝搬時間及び無線
局と第2の受信手段との間の第2の無線伝搬路における
信号伝搬時間を第1及び第2の無線伝搬環境として推定
し、第1及び第2の送信手段は、送信データが予め無線
局との間で設定された時刻に無線局に到達するように、
各信号伝搬時間を考慮したタイミングで、送信データを
無線局に送信する構成を採る。
【0018】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局では、予め定められた受信時刻に秘匿情報を
含む送信データが到達するので、その時刻に同期させて
信号を復調することで、秘匿情報を復元することができ
る。これに対して、秘匿情報の送信対象である無線局以
外の無線局では、秘匿情報を復元できない。何故なら受
信及び復調開始時刻を示す基準時間情報は、データ伝送
装置と送信対象である無線局との間でのみ共有する複数
の信号伝搬時間に基づいて決められているので、他の無
線局は受信及び復調開始時刻を示す基準時間を知ること
はできないからである。この結果、他の無線局は秘匿情
報を復元できず、セキュリティが確保される。
【0019】また本発明のデータ伝送装置は、第1及び
第2の送信手段は、第1及び第2の送信データがそれぞ
れ異なる時刻に無線局に到達するタイミングで各送信デ
ータを送信する構成を採る。
【0020】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ない他の無線局は、秘匿情報を傍受しようとした場合、
それぞれ異なる到達時刻を推定しなければならない。し
かしこの到達時刻は、秘匿情報の送信対象である無線局
のみが知り得る時刻なので、他の無線局は秘匿情報を復
元できない。この結果、例えば秘匿情報を分割して第1
及び第2の送信手段に振り分け、上記異なる時刻に無線
局に到達するようすれば、他の無線局による秘匿情報の
復元は一段と困難になる。
【0021】また本発明のデータ伝送装置は、第1及び
第2の送信データは、互いに同一のフォーマットで形成
されており、第1及び第2の送信手段は、第1及び第2
の送信データが同時刻に無線局に到達するタイミングで
各送信データを送信する構成を採る。
【0022】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局では、受信時に、同一フォーマットの送信デ
ータが合成されることにより受信信号レベルが高くな
る。この結果、高品質の秘匿情報を得ることができる。
これに対して他の無線局では、受信時に、異なるシンボ
ル同士が干渉し合うことにより信号が劣化する。この結
果一層秘匿情報を得ることが困難となる。
【0023】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた
位置に、擬似シンボルを付加する擬似シンボル付加手段
を備え、送信手段は、擬似シンボルが付加された送信デ
ータを無線局に送信する構成を採る。
【0024】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、擬似シンボルの位置が分かっているの
で、送信データを受信復調後に擬似シンボルのみを除去
して容易に秘匿情報を抽出できる。これに対して他の無
線局は、万一、送信データを復調し得たとしても、擬似
シンボルが存在するために、秘匿情報を抽出することが
できない。この結果一段とセキュリティが向上する。
【0025】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた
位置に、互いに同期関係にある同期系列信号を付加する
同期信号付加手段と、同期系列信号についての擬似同期
信号であり、互いに同期関係にある擬似同期系列信号を
付加する擬似同期信号付加手段とを具備する構成を採
る。
【0026】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、同期信号の位置が分かっているので、同
期信号を容易に抽出できる。無線局は、抽出した同期信
号を使って時間同期や、位相変動の検出、利得変動の検
出等ができるようになる。この結果、受信品質を向上し
得る。これに対して他の無線局では、秘匿情報を復元す
ることもできなく、擬似同期信号と同期信号を区別する
こともできない。かくして、セキュリティが高くかつ無
線局での受信品質を向上し得るデータ伝送装置を得るこ
とができる。
【0027】また本発明のデータ伝送装置は、第1及び
第2の送信データの単位通信フレームを並べたときに、
秘匿情報を形成する秘匿シンボル同士が重ならないよう
に、第1及び第2の各送信データ中に、秘匿シンボルに
対して電力が非常に小さい擬似シンボルを付加する擬似
シンボル付加手段を備え、第1及び第2の送信手段は、
第1及び第2の送信データが同時刻に無線局に到達する
タイミングで各送信データを送信する構成を採る。
【0028】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局では、同時刻に第1及び第2の送信データを
受信した際、秘匿シンボル同士が干渉し合わないので、
秘匿情報を高品質な状態で受信できる。これに対して他
の無線局では、第1及び第2の送信データを同時刻に受
信できないので、秘匿シンボル同士が干渉し合うことに
より秘匿情報が劣化する。また擬似シンボルが付加され
ているので秘匿情報を抽出できない。
【0029】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、信号伝搬時間に加えて、無線局と第1の受信手段と
の間の第1の無線伝搬路における信号電力減衰量、及
び、無線局と第2の受信手段との間の第2の無線伝搬路
における信号電力減衰量を推定し、第1及び第2の送信
手段は、それぞれ第1及び第2の無線伝搬路における信
号電力減衰量を考慮した送信電力で、秘匿情報を含む送
信データを無線局に送信する構成を採る。
【0030】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、第1及び第2の送信手段から、受信レベ
ルが第1及び第2の無線伝搬路に適応して最適で、かつ
受信動作に同期した送信データを得ることができる。こ
の結果、秘匿情報の送信対象である無線局は秘匿情報を
確実に復元することができる。これに対して他の無線局
は、秘匿情報の送信対象である無線局と異なる場所でデ
ータ伝送装置からの送信データを受信するので、その信
号を復調するのに適切な受信レベル及び適切な受信タイ
ミングを得ることが困難になるので、秘匿情報の復元も
困難となる。
【0031】また本発明のデータ伝送装置は、第1及び
第2の送信データは、互いに同一のフォーマットで形成
されており、第1及び第2の送信手段は、第1及び第2
の送信データが同時刻に無線局に到達するタイミングで
各送信データを送信すると共に、信号電力減衰量に基づ
いて、無線局が各送信データを合成受信した際に復調し
得る最低レベルに近い送信電力で送信データを送信する
構成を採る。
【0032】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、第1及び第2の送信データの互いに同じ
シンボル同士を合成して受信できるので、復調に十分な
信号レベルを得ることができる。これに対して秘匿情報
の送信対象である無線局とは異なる場所に位置する他の
受信局では、復調に必要な信号レベルを得ることはでき
ない。この結果秘匿情報の送信対象である無線局は高品
質の秘匿情報を得ることができるのに対して、他の無線
局は秘匿情報を得ることはできない。
【0033】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、受信手段により得られた受信信号に基づいて受信波
の偏波面を検出することにより無線伝搬路環境を推定
し、送信手段は、推定手段によって検出された偏波面と
同じ偏波面を有する送信波により、秘匿情報を含む送信
データを無線局に送信する構成を採る。
【0034】この構成によれば、送信手段が無線局の偏
波面と同じになるように送信波を制御するため、送信側
と受信側の偏波面を調整することなく安定した通信を行
うことができる。この結果秘匿情報の送信対象である無
線局は、送信手段から送信された秘匿情報を含む送信デ
ータを偏波面の回転位相が最適な状態で受信できる。こ
の結果、無線局は高品質の秘匿情報を得ることができ
る。これに対して秘匿情報の送信対象である無線局とは
異なる場所に位置する他の無線局では、伝搬路環境が異
なるため秘匿情報を含む送信データの偏波面に対して最
適にアンテナ放射特性を合わせることができないので受
信品質が低下し、秘匿情報を復元することが一層困難に
なる。
【0035】また本発明のデータ伝送装置は、送信手段
は、受信手段により得られた受信信号に基づいて受信波
の偏波面を検出することにより無線伝搬路環境を推定
し、送信手段は、推定手段によって検出された偏波面と
同じ偏波面を有する送信波に秘匿情報を含む送信データ
を重畳して送信すると共に、推定手段によって検出され
た偏波面に直交する偏波面を有する送信波に擬似データ
を重畳して送信する構成を採る。
【0036】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局では、アンテナの特性により秘匿情報は正常
に受信されるが、疑似情報は受信されない。これにより
複雑な構成を用いることなく、秘匿情報のみを容易に抽
出できる。これに対して他の無線局では、秘匿情報と擬
似データが混ざり合って受信される。また最悪の場合に
は、擬似データのみが受信される。この結果秘匿情報を
復元することはできない。
【0037】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、受信手段により得られた受信信号に基づいて受信波
の偏波面を検出することにより無線伝搬路環境を推定
し、送信手段は、推定手段によって検出された偏波面に
対して、無線局の間で予め決められた量だけ偏波面を回
転させた送信波により、秘匿情報を含む送信データを無
線局に送信する構成を採る。
【0038】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ない無線局では、データ伝送装置と秘匿情報の送信対象
である無線局の間で予め決められた偏波面の回転情報を
知ることができない。これにより送信手段により送信さ
れた秘匿情報を含む送信データの偏波面の推定が一層困
難になる。この結果、秘匿情報のセキュリティを一段と
向上し得る。
【0039】また本発明のデータ伝送装置は、推定手段
は、さらに、受信信号の到来方向を推定し、送信手段
は、推定手段による推定結果に基づいて、到来方向を考
慮した方向に秘匿情報を含む送信データを送信する構成
を採る。
【0040】この構成によれば、データ伝送装置と秘匿
情報の送信対象である無線局との間でのみ共有できる伝
搬路環境として、信号の到来方向を加えることで、一段
と他の無線局への秘匿情報の漏洩のおそれは小さくな
る。
【0041】また本発明のデータ伝送装置は、送信手段
は、推定手段により推定された到来方向に基づいて、秘
匿情報を含む送信データを無線局の方向に向けて送信す
ると共に、擬似データを無線局とは異なる方向に向けて
送信する構成を採る。
【0042】この構成によれば、他の無線局では、擬似
データが受信されることにより、秘匿情報の復元が一層
困難となる。
【0043】また本発明のデータ伝送装置は、送信手段
は、アダプティブアレーアンテナを有し、秘匿情報を含
む送信データを送信する際には、到来方向に指向性が向
くように各アレーアンテナを重み付けすると共に、擬似
データを送信する際には、到来方向以外の方向に指向性
が向くように各アレーアンテナを重み付けする構成を採
る。
【0044】この構成によれば、アダプティブアレーア
ンテナを用いたことにより、推定した到来方向に高精度
かつ高速で指向性を向けることができる。
【0045】また本発明のデータ伝送装置は、所定の拡
散符号を使って秘匿情報を拡散処理し、これにより得た
第1の拡散信号を第1の送信手段に供給する第1の拡散
手段と、拡散符号とは異なる拡散符号を使ってかつ第1
の拡散手段による拡散ゲインと同程度の拡散ゲインが得
られるように擬似情報を拡散処理し、これにより得た第
2の拡散信号を第2の送信手段に供給する第2の拡散手
段とを備え、第1及び第2の送信手段は、推定手段によ
り推定された信号電力減衰量に基づき、第1及び第2の
拡散信号が無線局に到達したときに、第1の拡散信号の
受信電力値と第2の拡散信号の受信電力値に一定以上の
差が生じるように送信電力を制御する構成を採る。
【0046】この構成によれば、第1の拡散信号と第2
の拡散信号は互いに干渉し合わずに送信対象である無線
局に到達する。そして当該無線局では、拡散された秘匿
情報及び拡散された擬似情報を逆拡散したときに、秘匿
情報の信号レベルと擬似情報の信号レベルに一定以上の
差が生じる。これにより無線局は、信号レベルを判別す
ることにより秘匿情報と擬似情報を選別して、秘匿情報
を得ることができる。これに対して上記無線局とは異な
る場所に位置する他の無線局では、無線伝搬路が異なる
ので、逆拡散後の秘匿情報と擬似情報の信号レベル差は
規則的とはならない。この結果、秘匿情報と擬似情報を
選別して秘匿情報を得ることはできず、秘匿情報の復元
が一層困難となる。
【0047】また本発明のデータ伝送装置は、所定の拡
散符号を使って秘匿情報を拡散処理することにより第1
の拡散信号を形成する第1の拡散手段と、拡散符号とは
異なる拡散符号を使ってかつ第1の拡散手段による拡散
ゲインと同程度の拡散ゲインが得られるように擬似情報
を拡散処理することにより第2の拡散信号を形成する第
2の拡散手段とを備え、第1及び第2の送信手段は、推
定手段により推定された到来方向に基づいて、第1の拡
散信号の受信電力値と第2の拡散信号の受信電力値に一
定以上の差が生じる方向に、第1及び第2の拡散信号を
送信する構成を採る。
【0048】この構成によれば、第1の拡散信号と第2
の拡散信号は互いに干渉し合わずに送信対象である無線
局に到達する。そして当該無線局では、拡散された秘匿
情報及び拡散された擬似情報を逆拡散したときに、秘匿
情報の信号レベルと擬似情報の信号レベルに一定以上の
差が生じる。これにより無線局は、信号レベルを判別す
ることにより秘匿情報と擬似情報を選別して、秘匿情報
を得ることができる。これに対して上記無線局とは異な
る場所に位置する他の無線局では、無線伝搬路が異なる
ので、逆拡散後の秘匿情報と擬似情報の信号レベル差は
規則的とはならない。この結果、秘匿情報と擬似情報を
選別して秘匿情報を得ることはできず、秘匿情報の復元
が一層困難となる。
【0049】また本発明のデータ伝送装置は、秘匿情報
を含む送信データを、無線局との間で予め決められた順
序で並べ換えるデータ並べ換え手段を備え、送信手段
は、データ並べ換え手段により並べ換えられた送信デー
タを無線局に送信する構成を採る。
【0050】この構成によれば、秘匿情報の送信対象で
ある無線局は、データの並べ換え順序を知っているの
で、容易に秘匿情報を復元できる。これに対して他の無
線局は、データの並べ換え順序が分からないので、秘匿
情報の復元が一層困難となる。
【0051】また本発明の無線通信システムは、秘匿情
報を含む送信データを第1の無線局から第2の無線局に
無線により送信する無線通信システムであって、第1の
無線局は、第2の無線局により発信された信号を受信す
る受信手段と、受信手段により得られた受信信号に基づ
いて無線局との間の信号伝搬時間を推定する推定手段
と、送信データが所望の受信時刻に無線局に到達するよ
うに、信号伝搬時間を考慮したタイミングで、送信デー
タを送信する送信手段とを具備し、第2の無線局は、第
1の無線局に信号伝搬時間を推定するための信号を送信
する送信手段と、秘匿情報を含む送信データを受信して
復調する受信手段と、第1の無線局との間で予め設定し
た受信時刻に同期するように受信手段の受信復調動作を
制御する受信制御手段とを具備する構成を採る。
【0052】この構成によれば、第2の無線局では、予
め定められた受信時刻に秘匿情報を含む送信データが到
達するので、その時刻に同期させて信号を復調すること
で、秘匿情報を復元することができる。これに対して他
の無線局では、秘匿情報を復元できない。何故なら受信
及び復調開始時刻を示す基準時間情報は、第1の無線局
と第2の無線局と間でのみ共有する信号伝搬時間に基づ
いて決められているので、他の無線局は受信及び復調開
始時刻を示す基準時間を知ることはできないからであ
る。この結果、他の無線局は秘匿情報を復元できず、セ
キュリティが確保される。
【0053】また本発明の無線通信システムは、第1の
無線局は、秘匿情報を含む送信データ中の、無線局との
間で予め決められた位置に、互いに同期関係にある同期
系列信号を付加すると共に、同期系列信号についての擬
似同期信号であり互いに同期関係にある擬似同期系列信
号を付加し、第2の無線局は、予め設定した受信時刻を
基準にして同期系列信号を抽出し、同期系列信号に基づ
いて、受信した秘匿情報を含む送信データを補正する構
成を採る。
【0054】この構成によれば、第2の無線局は、同期
信号の位置が分かっているので、同期信号を容易に抽出
できる。また第2の無線局は、抽出した同期信号を使っ
て時間同期や、位相変動、利得変動の補正ができるよう
になる。この結果、受信品質を向上し得る。これに対し
て他の無線局では、秘匿情報を復元することもできな
く、擬似同期信号と同期信号を区別することもできな
い。かくして、セキュリティが高くかつ無線局での受信
品質を向上し得る無線通信システムを得ることができ
る。
【0055】また本発明の無線通信システムは、第1の
無線局は、第2の無線局との間で予め設定した受信時刻
から所定時間だけずれた時刻に送信データが到達するタ
イミングで送信データを送信し、第2の無線局は、所定
時間ずれて到達する送信データに対して同期系列信号を
用いて同期処理を行って送信データを復調する構成を採
る。
【0056】この構成によれば、他の受信局では、一層
秘匿情報を復元することが困難となる。また秘匿情報の
送受信を行っている送信局と受信局では、予め設定した
受信時刻丁度でなくても、秘匿情報を復元できるように
なるので、設計の自由度が増す。
【0057】また本発明の無線通信システムは、第1の
無線局は、所定時間のずれ量に関連付けて秘匿情報を送
信し、第2の無線局は、所定時間のずれ量を秘匿情報に
ついての認識情報として用いて復調処理を行う構成を採
る。
【0058】この構成によれば、他の無線局への秘匿情
報の漏洩のおそれが一層小さくなる。
【0059】また本発明の無線通信システムは、第2の
無線局は、受信時刻を基準にして所定の探索範囲を設定
する探索範囲設定手段と、探索範囲設定手段により設定
した範囲内で受信信号のピークを探索することにより同
期系列信号を抽出する同期信号抽出手段と、抽出された
同期系列信号に基づいて受信した秘匿情報を含む送信デ
ータを補正する補正手段とを具備する構成を採る。
【0060】この構成によれば、探索範囲設定手段にお
いて第2の無線局しか知り得ない受信時刻を中心とした
狭い時間幅の探索範囲を設定することにより、時間同
期、位相変動の補正及び利得変動の補正の基になる同期
系列信号を的確に抽出することができる。この結果第2
の無線局は高品質の秘匿情報を得ることができる。これ
に対して他の受信局は、同期系列信号と等レベルの疑似
同期系列信号が存在しているために、同期系列信号と疑
似同期系列信号との区別が付かないので、時間同期、位
相変動の補正及び利得の補正が非常に困難となり、秘匿
情報の復元が一層困難となる。
【0061】また本発明の無線通信システムは、秘匿情
報を含む送信データを第1の無線局から第2の無線局に
無線により送信する無線通信システムであって、第1の
無線局は、第2の無線局により発信された信号を受信す
る受信手段と、受信手段により得られた受信信号に基づ
いて受信波の偏波面を検出する偏波面検出手段と、検出
された偏波面に対して、第1及び第2の無線局間で予め
決められた量だけ偏波面を回転させた送信波により、秘
匿情報を含む送信データを第2の無線局に送信する送信
手段とを具備し、第2の無線局は、第1の無線局に偏波
面検出用の信号を出力すると共に第1の無線局が送信し
た秘匿情報を含む送信データを受信するアンテナの偏波
面特性を、偏波面検出用の信号を出力してから秘匿情報
を含む送信データを受信する迄の間に、第1及び第2の
無線局間で予め決められた量だけ回転させる構成を採
る。
【0062】この構成によれば、他の無線局では、第1
の無線局と第2無線局の間で予め決められた偏波面の回
転情報を知ることができない。これにより他の無線局で
は、第1の無線局から送信された秘匿情報を含む送信デ
ータの偏波面の推定が非常に困難となる。この結果、他
の無線局が秘匿情報を受信し復元することは非常に困難
となる。
【0063】また本発明の無線通信システムは、第1及
び第2の無線局は、第1及び第2の無線局間で予め決め
られた量だけ偏波面を回転させる処理を、第1及び第2
の無線局間で予め決められた間隔で繰り返して行う構成
を採る。
【0064】この構成によれば、他の無線局では、第1
の無線局から送信された秘匿情報を含む送信データの偏
波面の推定が一層困難となる。この結果、他の無線局が
秘匿情報を受信し復元することも一層困難となる。
【0065】また本発明の無線通信システムは、秘匿情
報を含む送信データを第1の無線局から第2の無線局に
無線により送信する無線通信システムであって、第1の
無線局は、第2の無線局から発信された信号に基づいて
無線伝搬時間及び信号電力減衰量を推定する推定手段
と、所定の拡散符号を使って秘匿情報を拡散処理するこ
とにより第1の拡散信号を形成すると共に、拡散符号と
は異なる拡散符号を使ってかつ第1の拡散信号の拡散ゲ
インと同程度の拡散ゲインが得られるように擬似情報を
拡散処理することにより第2の拡散信号を形成する拡散
手段と、推定手段により推定された信号電力減衰量に基
づき、第1及び第2の拡散信号が第2の無線局に到達し
たときに、第1の拡散信号の受信電力値と第2の拡散信
号の受信電力値に一定以上の差が生じるように送信電力
を制御して第1及び第2の拡散信号を送信する送信手段
とを具備し、第2の無線局は、第1及び第2の拡散信号
を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散された信号の信号レ
ベルに基づいて秘匿情報を抽出する秘匿情報抽出手段と
を具備する構成を採る。
【0066】この構成によれば、第2の無線局では、拡
散された秘匿情報及び拡散された擬似情報を逆拡散した
ときに、秘匿情報の信号レベルと擬似情報の信号レベル
に一定以上の差が生じる。これにより第2の無線局は、
秘匿情報抽出手段により秘匿情報のレベルを判別するこ
とにより秘匿情報と擬似情報を選別して、秘匿情報を抽
出できる。これに対して第2の無線局とは異なる場所に
位置する他の無線局では、無線伝搬路が異なるので、逆
拡散後の秘匿情報と擬似情報の信号レベル差は規則的と
はならない。この結果、秘匿情報と擬似情報を選別して
秘匿情報を得ることはできず、秘匿情報を復元できな
い。
【0067】また本発明の無線通信システムは、秘匿情
報を含む送信データを第1の無線局から第2の無線局に
無線により送信する無線通信システムであって、第1の
無線局は、第2の無線局から発信された信号に基づいて
無線伝搬時間及び信号到来方向を推定する推定手段と、
所定の拡散符号を使って秘匿情報を拡散処理することに
より第1の拡散信号を形成すると共に、拡散符号とは異
なる拡散符号を使ってかつ第1の拡散信号の拡散ゲイン
と同程度の拡散ゲインが得られるように擬似情報を拡散
処理することにより第2の拡散信号を形成する拡散手段
と、推定手段により推定された到来方向に基づき、第1
及び第2の拡散信号が第2の無線局に到達したときに、
第1の拡散信号の受信電力値と第2の拡散信号の受信電
力値に一定以上の差が生じる方向に第1及び第2の拡散
信号を送信する送信手段とを具備し、第2の無線局は、
第1及び第2の拡散信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆
拡散された信号の信号レベルに基づいて前記秘匿情報を
抽出する秘匿情報抽出手段とを具備する構成を採る。
【0068】この構成によれば、第2の無線局では、拡
散された秘匿情報及び拡散された擬似情報を逆拡散した
ときに、秘匿情報の信号レベルと擬似情報の信号レベル
に一定以上の差が生じる。これにより第2の無線局は、
信号レベルを判別することにより秘匿情報と擬似情報を
選別して、秘匿情報を抽出できる。これに対して第2の
無線局とは異なる場所に位置する他の無線局では、無線
伝搬路が異なるので、逆拡散後の秘匿情報と擬似情報の
信号レベル差は規則的とはならない。この結果、秘匿情
報と擬似情報を選別して秘匿情報を得ることはできず、
秘匿情報を復元できない。
【0069】また本発明の無線通信システムは、秘匿情
報を含む送信データを第1及び第2の無線局から第3の
無線局に無線により送信する無線通信システムであっ
て、第1及び第2の無線局はそれぞれ、有線ネットワー
クに接続されネットワークから秘匿情報を取得するため
のネットワーク接続手段と、第3の無線局により発信さ
れた信号を受信する受信手段と、受信手段により得られ
た受信信号に基づいて第3の無線局との間の信号伝搬時
間を推定する推定手段と、送信データが所望の受信時刻
に第3の無線局に到達するように、信号伝搬時間を考慮
したタイミングで、送信データを送信する送信手段とを
具備し、第3の無線局は、第1の無線局に信号伝搬時間
を推定するための信号を送信する送信手段と、秘匿情報
を含む送信データを受信して復調する受信手段と、第1
及び第2の無線局の間で予め設定した受信時刻に同期す
るように受信手段の受信復調動作を制御する受信制御手
段とを具備する構成を採る。
【0070】この構成によれば、第1及び第2の無線局
はネットワーク接続手段を介して有線ネットワークから
秘匿情報を取得できる。そして例えば取得した秘匿情報
を第1の無線局と第2の無線局で分担して第3の無線局
に送信すれば、第3の無線局はこれら分割された秘匿情
報を受信後に合成することにより、秘匿情報を復元でき
る。これに対して他の無線局は、受信時刻を知り得ない
ので秘匿情報を復元できない。また譬え一方の受信時刻
を知り得たとしても、秘匿情報は分割されているので、
完全には復元することはできない。
【0071】また本発明の無線通信方法は、秘匿情報を
含む送信データを第1の無線局から第2の無線局に無線
により送信する無線通信方法であって、第2の無線局か
ら第1の無線局に信号を送信し、第1の無線局が、受信
した信号に基づいて第1及び第2の無線局間での信号伝
搬時間を推定し、第1の無線局は、送信データが所望の
受信時刻に無線局に到達するように、信号伝搬時間を考
慮したタイミングで、秘匿情報を含む送信データを送信
する。
【0072】この方法によれば、第2の無線局では、予
め定められた受信時刻に秘匿情報を含む送信データが到
達するので、その時刻に同期させて信号を復調すること
で、秘匿情報を復元することができる。これに対して他
の無線局では、秘匿情報を復元できない。何故なら受信
及び復調開始時刻を示す基準時間情報は、第1の無線局
と第2の無線局と間でのみ共有する信号伝搬時間に基づ
いて決められているので、他の無線局は受信及び復調復
調開始時刻を示す基準時間を知ることはできないからで
ある。この結果、他の無線局は秘匿情報を復元できず、
セキュリティが確保される。
【0073】また本発明の無線通信方法は、所望の受信
時刻は、第1の無線局から秘匿情報を含む送信データを
送信する前に、第1及び第2の無線局との間で少なくと
も1往復分の信号の送受信を行うことにより、信号伝搬
時間に基づいて第1及び第2の無線局間で設定されたも
のである。
【0074】この方法によれば、信号伝搬時間は完全に
第1の無線局と第2の無線局のみで共有できる情報とな
るので、他の無線局はこの時間情報を知ることが不可能
となる。この結果他の無線局が秘匿情報を得ることは不
可能となる。
【0075】また本発明の無線通信方法は、秘匿情報を
含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた位
置には擬似シンボルが付加されている。
【0076】この方法によれば、第2の無線局は、擬似
シンボルの位置が分かっているので、送信データを受信
復調後に擬似シンボルのみを除去して容易に秘匿情報を
抽出できる。これに対して他の無線局は、万一、送信デ
ータを復調し得たとしても、擬似シンボルが存在するた
めに、秘匿情報を抽出することができない。
【0077】また本発明の無線通信方法は、秘匿情報を
含む送信データ中の、無線局との間で予め決められた位
置には互いに同期関係にある同期系列信号が付加されて
いると共に、互いに同期関係にある擬似同期系列信号が
付加されている。
【0078】この方法によれば、第2の無線局は、同期
信号の位置が分かっているので、同期信号を容易に抽出
できる。第2の無線局は、抽出した同期信号を使って時
間同期や、位相変動の補正、利得変動の補正等ができる
ようになる。この結果、受信品質を向上し得る。これに
対して他の無線局では、秘匿情報を復元することもでき
なく、擬似同期信号と同期信号を区別することもできな
い。かくして、セキュリティが高くかつ第2の無線局で
の受信品質を向上し得る。
【0079】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、第1の無線局か
ら第2の無線局に秘匿情報を含む送信データを無線伝送
する場合、当該秘匿情報を伝送する前に、第1の無線局
と第2の無線局の間で信号の送受信を行うことにより、
第1の無線局と第2の無線局の間でのみ共有する無線伝
搬路環境を推定し、推定した無線伝搬路環境を考慮し
て、第1の無線局から第2の無線局に秘匿情報を伝送す
るようにしたことである。この結果、無線伝搬路環境が
異なる他の無線局では、上記秘匿情報を復元することが
できなくなる。
【0080】以下、本発明の実施形態について図面を参
照して詳細に説明する。
【0081】(実施の形態1)図1において、100は
全体として本発明の実施の形態1に係る無線通信システ
ムを示す。無線通信システム100は送信局101及び
受信局102を有する。ここで送信局101及び受信局
102とは、単に秘匿情報を送信する側を送信局101
と呼び、その秘匿情報を受信する側を受信局102と呼
んでいるだけであって、それぞれは互いに送受信部を有
する。
【0082】送信局101は送信部101a及び受信部
101bに加えて、伝搬環境推定部101c及び伝搬環
境適応部101dを有する。伝搬環境推定部101cは
受信信号に基づいて伝送路103の伝搬環境を推定す
る。伝搬環境適応部101dは伝搬環境推定部101c
により得られた推定結果に応じて送信部101aの送信
動作を制御する。
【0083】受信局102は送信部102a及び受信部
102bに加えて時間制御部102cを有する。時間制
御部102cは受信部102bの受信時点を基準にし
て、送信に所定の遅延時間を与えると共に受信動作を時
間的に制御する。
【0084】ここで送信局101の具体的構成を図2に
示すと共に、受信局102の具体的構成を図3に示す。
送信局101は、図2に示すように、ユーザデータD1
を暗号化部111に入力する。また暗号化部111に
は、暗号キー生成部112により生成された暗号キーが
入力されると共に、基準クロック発生部113により発
生された基準クロックがコントロールチャネル部114
を介して入力される。暗号化部111は暗号キーを用い
てユーザデータD1を暗号化することにより暗号化デー
タを形成し、これをバースト信号形成部115に送出す
る。
【0085】またバースト信号形成部115には、暗号
キー及びコントロールチャネル信号が入力される。バー
スト信号形成部115により形成されたバースト信号は
変調部116に入力される。変調部116は入力信号に
対して例えばTDMA(TimeDivision Multiple Acces
s)変調等の所定のディジタル変調処理を施し、処理後の
信号をバッファ117に送出する。
【0086】バッファ117は一旦格納した送信信号を
タイミングコントロール部118から入力される出力制
御信号のタイミングで続く無線送信部(送信RF)11
9に出力する。無線送信部119は送信信号に対してデ
ィジタルアナログ変換処理やアップコンバート等の無線
送信処理を施し、処理後の信号をアンテナにAN11供
給する。
【0087】ここでタイミングコントロール部118
は、図1の伝搬環境適応部101dに相当し、基準クロ
ック発生部113からネットワーク基準時間を入力する
と共に、遅延量推定部120から伝送遅延量を入力す
る。ここで遅延量推定部120は、図1の伝搬環境推定
部101cに相当する。
【0088】そしてタイミングコントロール部118
は、ネットワーク基準時間と伝送遅延量を考慮して、受
信局102が予め両局間で設定されるネットワーク基準
時間に秘匿情報信号を受信できるようにバッファ117
の出力タイミングを制御する。
【0089】送信局101は、秘匿情報を送信する前に
ネットワーク基準時間を送信し、次に、暗号化されたユ
ーザデータと暗号キーとでなる秘匿情報を、伝送路10
3での信号伝搬時間を考慮したタイミングで送信するよ
うになっている。
【0090】送信局101の受信部101bは、アンテ
ナAN11により得られた受信信号を無線受信部(受信
RF)121に入力する。無線受信部121は受信信号
に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換処
理等の無線処理を施し、処理後の信号を復調部122に
送出する。復調部122は入力信号に対して例えばTD
MA復調等の所定のディジタル復調処理を施し、処理後
の信号をストリーム形成部123及び遅延量推定部12
0に送出する。
【0091】ストリーム形成部123は上述したバース
ト信号形成部115と逆の処理を行うことにより、バー
スト信号を元のデータストリームに変換する。復号部1
24はデータストリームを入力すると共に暗号キー生成
部112から暗号キーを入力し、暗号キーを使って暗号
化されたデータストリームを復号する。
【0092】次に受信局102の具体的構成を、図3を
用いて説明する。受信局102は上述したように、送信
部102aと受信部102bと時間制御部102cとに
より構成されている。送信部102aは、ユーザデータ
D2を暗号化部130に入力する。また暗号化部130
には受信部102bの暗号キー抽出部131により抽出
された暗号キーが入力される。これにより暗号化部13
0はユーザデータD2を送信局101と共通の暗号キー
を用いて暗号化する。
【0093】バースト信号形成部132には、暗号化さ
れたユーザデータに加えて、同期コード生成部133に
より生成された同期コードが入力される。バースト信号
形成部132は暗号化データ及び同期コードをバースト
状の送信信号に変換して変調部134に送出する。変調
部134は入力信号に対して例えばTDMA変調等の所
定のディジタル変調を施し、変調後の信号をバッファ1
35に送出する。
【0094】バッファ135は一旦格納した送信信号を
時間制御部102cのタイミングコントロール部137
から入力される出力制御信号のタイミングで続く無線送
信部(送信RF)136に出力する。無線送信部136
は送信信号に対してディジタルアナログ変換処理やアッ
プコンバート等の無線送信処理を施し、処理後の信号を
アンテナAN12に供給する。
【0095】受信局102の受信部102bは、アンテ
ナAN12により得られた受信信号を無線受信部(受信
RF)140に入力する。無線受信部140は受信信号
に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換処
理等の無線処理を施し、処理後の信号を復調部141に
送出する。復調部141は入力信号に対して例えばTD
MA復調等の所定のディジタル復調処理を施し、処理後
の信号をストリーム形成部142に送出する。
【0096】ストリーム形成部142は上述したバース
ト信号形成部132と逆の処理を行うことにより、バー
スト状の信号を元のデータストリームに変換する。復号
部143はデータストリームを入力すると共に暗号キー
抽出部131により抽出された暗号キーを入力し、暗号
キーを使って暗号化されたデータストリームを復号す
る。
【0097】ここで無線受信部140の出力は基準クロ
ック抽出部144にも出力される。基準クロック抽出部
144は受信信号からコントロールチャネル信号及びネ
ットワーク基準時間を抽出し、これをタイミングコント
ロール部137及びタイマ145に送出する。タイミン
グコントロール部137は、先ずコントロールチャネル
信号に動作タイミングを同期させる。次にタイミングコ
ントロール部137は、ネットワーク基準時間を基準に
して予め定められた時間Tdの後にバッファ135に対
して出力制御信号を送出することにより、送信信号を発
信させるようになされている。因みに時間Tdにより受
信局102で発生する処理遅延分が調整される。
【0098】これにより、送信局101では、ネットワ
ーク基準時間と遅延時間Tdと同期コードの受信時刻と
から伝送路における信号伝搬時間を算出することができ
るようになる。
【0099】タイマ145は先ずコントロールチャネル
信号に動作タイミングを同期させる。次にタイマ145
はネットワーク時刻Tkに復調部141に復調動作を開
始させるための制御信号を送出する。このように受信局
102は、時間同期をせずに(或いは狭い範囲の同期範
囲に限定するなどして)、ネットワーク時刻Tkに受信
復調を行うようになっている。
【0100】ここで同期は既に送信局101側で行われ
ているので(すなわちネットワーク時刻Tkそのものが
同期がとれた時刻となっている)、受信局はネットワー
ク時刻Tkで正常な復調処理を行うことができる。
【0101】また暗号キー抽出部131は、ストリーム
形成部142からデータストリームを入力すると共にタ
イマ145からネットワーク時刻情報を入力し、ネット
ワーク時刻Tkでデータストリームから暗号キーを抽出
するようになっている。
【0102】実際上、送信局101は、先ずコントロー
ルチャネル部114により形成されたネットワーク基準
時間を含んだ情報を送信する。場合によってはこの送信
を複数回行う。この結果、受信局102はネットワーク
基準時間に対して高精度に同期した受信動作を行うこと
ができるようになる。
【0103】送信局101は、受信局102から応答信
号が到来すると、遅延量推定部120において、その受
信時刻とネットワーク基準時間とから伝送路103にお
ける信号伝搬時間を推定する。送信局101では、推定
精度を高めるため(例えば誤差が1シンボル時間以下)
に、受信局102からの応答信号を複数回受信してもよ
い。
【0104】また送信局101は、暗号キーを送信する
際に、受信局が受信動作を開始するネットワーク時刻T
kと伝搬遅延とから、受信局102にネットワーク時刻
Tk丁度に到達するようにタイミングコントロール部1
18によって送信タイミングを制御する。これにより、
受信局102では、予め定められたネットワーク時刻T
kに暗号キーが到達するので、その時刻に同期させて信
号を復調することで、暗号キーを入手することができる
ようになる。以降、送信局101は暗号キーを用いて、
順次受信する暗号化データを復号すると共に、ユーザデ
ータD2に暗号化を行いながらこれを送信する。
【0105】次に、この実施の形態の無線通信システム
100の動作について説明する。無線通信システム10
0の通信は、図4のような手順で行われる。
【0106】先ず、送信局101が受信局102との同
期をとるための信号(通信1)としてネットワーク基準
時間を含む制御信号を発信(送信1B)する。受信局1
02は通信1を受信(受信1T)すると、その時刻と与
えられたネットワーク基準時間とを基準にして、次の送
信(送信2T)までの遅延時間(T1)と、一定時間
(T2)後の次の通信3の受信端末基準時間(すなわち
上述したネットワーク時刻Tk)とを設定する。受信局
102は受信1Tから遅延時間(T1)だけ経過した
後、送信局101に対して応答信号(通信2)を送信
(送信2T)する。
【0107】因みに、送信局101と受信局102は、
上記遅延時間T1と一定時間T2の情報を、予め共有情
報として互いに保持している。
【0108】送信局101は通信2を受信(受信2B)
すると同時に、送信1Bで出力した制御信号と受信2B
で受信した応答信号とから伝搬環境推定部101cが伝
搬路103を推定する。具体的には、送信局101に設
けられた遅延量推定部120が送信1Bと受信2Bの時
間と、受信局での遅延時間(T1)と、各装置内で発生
する処理遅延等とから伝搬路103における信号伝搬時
間を算出する。
【0109】ここで送信局101及び受信局102にお
ける装置内の処理遅延は、その装置の構成によってほぼ
一定であり、システム運用時には既知情報として扱うこ
とができる。送信局101の伝搬環境適応部101d
(すなわちタイミングコントロール部118)は信号伝
搬時間と処理遅延とから、受信局102の受信端末基準
時間(すなわちネットワーク時刻Tk)に同期するよう
なタイミングで信号(通信3)を送信(送信3B)す
る。
【0110】通信3には、受信局102以外には漏洩さ
せたくない秘匿情報(この実施の形態の場合、暗号キ
ー)が含まれている。通信3の情報は、送信局101の
処理遅延に伝搬路103の信号伝搬時間を加えた時間だ
け遅延して、受信局102で受信(受信3T)される。
受信局102は受信1Tで設定した受信端末基準時間を
基準にして受信3Tを開始し復調を行う。以後、送信局
101と受信局102は、通信3で伝達した暗号キーを
使って情報の暗号化及び復号を行いながら、通信4以降
の通信を行う。
【0111】ここで通信3について、図5を用いてさら
に詳しく説明する。図5において、受信端末1は送信局
101による秘匿情報の送信先の受信局102であり、
受信端末2はその他の端末である。
【0112】通信1から通信3までの時間が十分に短い
とすると、受信局(受信端末1)102の移動速度に対
して電波の伝送速度は非常に高速なので、送信局101
と受信局102の位置関係に変化があっても、伝搬路1
03の環境、特に信号伝搬時間(伝搬路遅延1)には大
きな変化がない。
【0113】例えば通信1から通信3まで1秒かかるも
のとし、受信局102が毎時100[km]で移動して
いると仮定すると、伝搬路遅延1の変化は100[n
s]程度である。このため、受信局(受信端末1)10
2が受信1Tで設定した受信端末基準時間1と、送信局
101の伝搬環境適応部101dによって調整した送信
3Bが、伝搬路103を経由して受信局102で受信さ
れる受信3Tの時刻はほぼ同期がとれており、時間調整
を行う必要がない。
【0114】これにより、受信端末1は受信端末基準時
間1で受信及び復調を開始して、受信した受信端1通信
信号を順次復調していくことで、通信情報を復元するこ
とができる。
【0115】一方、この通信3を受信局(受信端末1)
102以外の第3者(受信端末2)が傍受し、情報を復
元しようとした場合を考える。受信端末2では、通信1
から通信2間での情報を受け取ることはできるが、通信
3の信号には受信及び復調開始時刻を示す基準時間情報
(ネットワーク時刻Tk)がその中には含まれていない
ため、情報を復元できない。
【0116】この基準時間情報は受信端末1が受信1T
を基準にして算出し、送信局101が通信1及び通信2
によって伝搬路103の信号伝搬時間(伝搬路遅延1)
を推定して当該基準時間に信号が到達するように送信制
御するための目標時間である。この基準時間は伝搬路環
境(すなわち伝搬路)によって異なる。この結果、正し
い伝搬路遅延時間2を受信端末2が予め、或いは計測し
て知ることは不可能である。
【0117】このように、受信端末2は通信3が送られ
てくる時間を知り得ない。従って受信端2通信信号に対
して正しい受信端末基準時間2を設定できない。この結
果、通信3の情報を正しく復元できない。これにより通
信3は高いセキュリティを確保することが可能となる。
【0118】以上の構成によれば、送信局101と受信
局102間で同じ基準時間(ネットワーク基準時間)を
共有すると共に送信局101と受信局102間での信号
伝搬時間を推定し、送信局101がネットワーク時刻T
kに受信局102で信号が受信されるように信号伝搬時
間を考慮したタイミングで送信信号を発信し、受信局1
02ではネットワーク時刻Tkで送られてきた信号を受
信及び復調するようにしたことにより、セキュリティの
高い無線通信システム100を実現できる。
【0119】(実施の形態2)この実施の形態の無線通
信システムは、秘匿情報を予め定められたフォーマット
に従って、情報の順序を並べ換える点を除いて、実施の
形態1の無線通信システム100と同様の構成でなる。
これによりこの実施の形態の無線通信システムは、一段
とセキュリティが高い通信を行うことができる。
【0120】実際上、この情報順序の並べ換えは、送信
局101のバースト信号形成部115(図2)で行うよ
うにすればよい。そして順序の並べ換えられた信号を元
に戻す処理は、受信局102のストリーム形成部142
(図3)で行うようにすればよい。ここで順序の並べ換
え規則は予め送信局101と受信局102との間だけで
決められたものとする。
【0121】かくして、この実施の形態の無線通信シス
テムにおいては、送信局101と受信局102で同じ基
準時間を共有すると共に、伝送路103における信号伝
搬時間を推定し、送信局101では信号伝搬時間を考慮
したタイミングで送信信号を発信し、受信局102では
ネットワーク時刻Tk丁度に受信した信号を復調するの
に加えて、互いに通信を行っている局同士でのみ既知の
フォーマットで送信データを並べ換えるようにしたこと
により、実施の形態1の効果に加えて、一段とセキュリ
ティの高い無線通信システムを実現できる。
【0122】因みに、情報の順序を定めたフォーマット
を1つに限定する必要はなく、複数種類のフォーマット
を用意すれば、第3者に対するセキュリティを一段と向
上させることもできる。
【0123】(実施の形態3)この実施の形態の無線通
信システムは、上述した実施の形態1の構成に加えて、
秘匿情報シンボルに疑似シンボルを混合させて送信する
構成を有する。実際上、秘匿情報シンボルに疑似シンボ
ルを混合する処理はバースト信号形成部115、132
(図2、図3)で行う。また受信信号から疑似シンボル
を除去する処理はストリーム形成部123、142(図
2、図3)で行う。これにより、この実施の形態の無線
通信システムは、実施の形態1の無線通信システム10
0よりも一段とセキュリティを向上させることができ
る。
【0124】この実施の形態の無線通信システムの動作
について、実施の形態1で用いた図4及び図5を再び用
いて説明する。
【0125】この実施の形態の無線通信システムでは、
通信3(図4)には、秘匿情報と疑似情報とが予め定め
られたフォーマットに従い配置される。ここで予め定め
られたフォーマットが、図5中のシンボル0、2、5、
9が疑似シンボル、その他が秘匿シンボルであるとす
る。このとき、送信局は秘匿シンボルに正規の情報を、
疑似シンボルに疑似情報を設定して通信3を送信(送信
3T)する。
【0126】通信3の情報は、送信局101の処理遅延
に伝搬路103の信号伝搬時間を加えた時間だけ遅延し
て、受信局102で受信(受信3T)される。受信局1
02は、受信1Tで設定した受信端末基準時間(ネット
ワーク時刻Tk)を基準にして受信3Tを開始する。
【0127】受信端末1では、受信端1通信信号のシン
ボル0が、受信端末基準時間1と同時刻であるため、前
記フォーマットに従い疑似シンボルを選択、除去するこ
とで秘匿シンボルのみを抽出し、復調及び復号すること
ができる。以後、送信局101と受信局102は、通信
3で伝達した情報を基に暗号化を行いながら、通信4以
降の通信を行う。
【0128】受信端末2では、受信端2通信信号のシン
ボル0と受信端末基準信号2とが同時刻でないため、復
調に必要な同期をとることができない。この結果受信信
号を復調できない。
【0129】これに加えて、受信信号を復調及び復号し
得たとしても、正規の秘匿データを得ることは不可能と
なる。例えばバースト通信を行っている場合、受信電力
の波形から同期時刻を推定することは可能であるが、こ
の実施の形態のように疑似シンボルを挿入することによ
って、第3者が同期を行うことは非常に困難となる。こ
れにより通信3は一段と高いセキュリティを確保するこ
とが可能となる。
【0130】かくして以上の構成によれば、実施の形態
1の構成に加えて、秘匿情報に擬似情報を混入させて送
信するようにしたことにより、一段とセキュリティの高
い通信システムを実現できる。
【0131】(実施の形態4)この実施の形態では、秘
匿情報に擬似情報を混入するのに加えて、さらに同期系
列を混入させて送信する。これにより、秘匿情報の送信
対象外の受信局では一段と秘匿情報の復元が困難になる
のに対して、秘匿情報の送信対象である受信局では同期
系列を利用して受信品質のよい秘匿情報を得ることがで
きる。
【0132】実際上、この実施の形態の無線通信システ
ムは、図2のバースト信号形成部115を図6に示すよ
うに構成すると共に、図3に示す復調部141及びスト
リーム形成部142を図7に示すように構成すること
で、疑似信号の混合及び疑似信号の除去を実現してい
る。またこの実施の形態では、説明を簡単化するため
に、暗号化データを秘匿情報として伝送する場合につい
てのみ説明する。
【0133】図6に示すように、この実施の形態のバー
スト信号形成部300は暗号化されたユーザデータD3
をバースト信号生成回路301に入力する。またバース
ト信号生成回路301にはユニークワード生成回路30
2により生成されたユニークワード系列が入力されると
共に疑似信号生成回路303により生成された疑似信号
系列が入力される。バースト信号生成回路301はユー
ザデータ系列、ユニークワード系列及び疑似信号系列を
バースト状の信号に変換し、変換後の信号をスクランブ
ル回路304に送出する。
【0134】スクランブル回路304は、バースト信号
をスクランブルパターン生成回路306により生成され
たスクランブルパターンでスクランブルし、スクランブ
ル処理後の信号をパンクチュア回路305に送出する。
パンクチュア回路305は、スクランブル信号をパンク
チュアパターン生成回路307により生成されたパンク
チュアパターンでパンクチュア処理する。これによりパ
ンクチュア処理後の信号D4は、図6に示すように、ユ
ーザデータに疑似信号及びユニークワードがランダムに
混入され、かつ歯抜けの状態とされる。そしてこのパン
クチュア処理後の信号D4は変調回路116(図2)に
送出される。なおパンクチュア処理としては、歯抜けの
状態とするのではなく、特定のシンボルを挿入してもよ
い。
【0135】次に図7を用いて、スクランブル及びパン
クチュア処理された信号D4からユーザデータD3のみ
を抽出する受信局の構成について説明する。復調回路3
10は無線受信部(受信RF)140(図3)から出力
されたスクランブル処理及びパンクチュア処理が施され
た受信信号D4を、位相及び利得調整回路(位相/利得
調整)311に入力すると共に、時間同期及びユニーク
ワード抽出回路(時間同期/ユニークワード抽出)31
2に入力する。
【0136】時間同期/ユニークワード抽出回路312
は、タイマ145から上述の実施の形態1で説明したネ
ットワーク時刻Tkを入力し、このネットワーク時刻T
kのタイミングに基づき、受信信号D4からユニークワ
ード系列を抽出する。そして抽出したユニークワード系
列を周波数同期回路313に送出すると共に、位相及び
利得検出回路(位相/利得検出)314に送出する。
【0137】周波数同期回路313は抽出したユニーク
ワード系列から周波数誤差を検出し、周波数情報を位相
及び利得調整回路(位相/利得調整)311に送出す
る。位相/利得検出回路314は、ユニークワード系列
から位相回転量及び利得を検出し、当該検出結果を位相
/利得調整回路311に送出する。因みに、周波数同期
回路313で検出された周波数情報は他の回路の同期信
号としても使われる。
【0138】これにより位相/利得調整回路311で
は、ユニークワード系列に基づいて正確に検出した位相
回転量及び利得を使って位相調整及び利得調整ができる
ので、伝送時の位相変動及び利得変動を含んだスクラン
ブルパンクチュアデータD4を的確に補正できるように
なる。
【0139】位相及び利得調整がなされたスクランブル
パンクチュアデータは、ストリーム形成部320のデー
タセレクタ321に送出される。データセレクタ321
は、タイマ145からネットワーク時刻Tkを入力する
と共に、位相/利得検出回路314から位相情報及び信
号振幅情報を入力する。そしてこれらの情報に基づいて
バースト状の信号を元のデータストリームに戻すと共
に、パンクチュア処理により形成された信号間の隙間を
埋める。このデータストリームはデスクランブル回路3
22に送出される。
【0140】デスクランブル回路322はタイマ145
からネットワーク時刻Tkを入力すると共に、スクラン
ブルパターン生成回路323からスクランブルパターン
を入力する。スクランブルパターン生成回路323は、
送信局のスクランブルパターン生成回路306(図6)
と同じスクランブルパターンを生成する。これによりデ
スクランブル回路322は、データストリームから疑似
信号系列及びユニークワード系列を除去して、ユーザデ
ータD3のみを出力することができる。
【0141】ここで図8に、時間同期/ユニークワード
抽出回路312の詳細構成を示す。時間同期/ユニーク
ワード抽出回路312はスクランブルパンクチュアデー
タD4をコンボルバ回路330に入力する。またタイマ
145(図7)からのネットワーク時刻Tkがコントロ
ーラ331に入力される。コンボルバ回路330はコン
トローラ331により時間制御される。そしてネットワ
ーク時刻Tkを基準とした一定時間の間、スクランブル
パンクチュアデータからフォーマットに従って抽出した
ユニークワード系列とユニークワード生成回路332に
より生成されたユニークワード系列との間の相関値をと
る。因みに、ユニークワード生成回路332は送信局側
と同一のユニークワード系列を生成する。コンボルバ回
路330はこれにより得た相関値をピーク探索回路33
3に送出する。
【0142】ピーク探索回路333は、探索範囲設定回
路334により設定された探索範囲内で相関値のピーク
を探索する。探索範囲設定回路334は、コントローラ
331から出力されたネットワーク時刻Tkから所定時
間分だけ後の時点を中心として所定の時間幅をもった探
索範囲を設定する。ここで受信局は、ユニークワード系
列と擬似信号系列の配置を予め知っているので、ネット
ワーク時刻Tkからどの程度遅れた時点でユニークワー
ド系列のデータが復調されるかも大体知ることができ
る。従って、探索範囲設定回路334では、このおおよ
その時点を中心とした探索範囲が設定される。
【0143】ピーク探索回路333は、上記探索範囲内
での相関値のピークを探索する。ピーク探索結果はユニ
ークワード選択回路335に送られる。ユニークワード
選択回路335は相関値のピークに対応する信号系列を
ユニークワードとして選択する。
【0144】図9に、コンボルバ回路330により得ら
れる相関値とユニークワード(同期ワード)との関係を
示す。図9(a)はユニークワードが1つのときであり
(図中Aがユニークワードである)、例えばネットワー
ク基準時間を伝送する場合などの例である。このような
場合には、大きなピークは1つしか現れず、例えば時間
幅T10のように広い範囲に亘って時間同期のための探
索を行うことができる。すなわち、第3者が通信傍受の
目的で同期信号を得ようとした場合、比較的容易に同期
信号を検出されるおそれがある。
【0145】これに対して、この実施の形態のように、
ユニークワード系列と疑似信号系列が混合された信号を
受信した場合の、コンボルバ回路330により得られる
相関積分値とユニークワードとの関係を、図9(b)に
示す。ここで擬似信号系列はユニークワード系列に対し
て一定時間ずらして配置され、さらに擬似信号系列はユ
ニークワード系列と相関が高い信号系列であるとする。
図6について上述したように、ユニークワード系列と疑
似信号系列とは高い相関があるため、コンボルバ回路3
30が出力する相関値はユニークワード系列と擬似信号
系列とで高い値を示す。例えば1つのユニークワード系
列と4つの擬似信号系列がスクランブリングパンクチュ
アデータに存在すると、相関値には複数のピーク(図で
はA〜Eの5つ)がほぼ等レベルで出現する。ユニーク
ワードのピークがCである場合(A、B、D、Eは疑似
信号によるもの)、図中の狭い時間幅T11のみでピー
ク探索を行うことにより、時間同期のためのユニークワ
ードを検出することができる。
【0146】すなわちこの実施の形態の受信局では、探
索範囲設定部334においてこの受信局しか知り得ない
ネットワーク時刻Tkを中心とした狭い時間幅の探索範
囲T11を設定することにより、時間同期、位相変動の
検出及び利得変動の検出の基になるユニークワードを的
確に抽出することができる。因みに、他の受信局では、
ユニークワードと相関の高い擬似信号が存在しているた
めに、ユニークワードと疑似信号との区別が付かないの
で、時間同期、位相変動の補正及び利得の補正が正しく
行えず、一段と通信を傍受することが困難となる。なお
この実施の形態では、複数シンボルで構成されるユニー
クワード系列を例に挙げたが、1シンボル単位で構成さ
れるパイロット信号に置き換えるようにしてもよい。
【0147】次に、この実施の形態の無線通信システム
の動作について、受信局102側での同期動作に焦点を
絞って、図10を用いて説明する。つまり、通信1及び
通信2は上述した実施の形態1と同様の動作を行うの
で、ここではその説明を省略する。
【0148】送信局101の伝搬環境適応部101d
は、伝搬環境推定部101cで推定した信号伝搬時間
と、処理遅延とに基づいて受信局102の受信端末基準
時間(ネットワーク時刻Tk)に同期するタイミングで
信号(通信3)を送信(送信3B)する。通信3では、
予め設定されたフォーマットに基づき同期系列、疑似同
期系列(上述した擬似信号系列であるが、この実施の形
態では秘匿情報に対する擬似信号というよりも同期系列
に対する擬似信号として機能するので、以下このように
呼ぶ)、秘匿情報が配列されて送信される。
【0149】通信3の情報は、送信局101の処理遅延
時間に信号伝搬時間を加えた時間だけ遅延して、受信端
末基準時間に受信局102で受信(受信3T)される。
受信局102は、受信1Tで設定した受信端末基準時間
を基準に受信3Tを開始し、この受信信号から前記フォ
ーマットに基づき同期系列(ユニークワード系列)を抽
出する。そしてこれを用いて時間、周波数、位相などの
同期を行う。この後、受信3Tで受信した受信信号から
秘匿情報を分離し、当該情報の復調及び復号を行う。以
後、送信局101と受信局102は、通信3で伝達した
情報(例えば暗号キー)を基に暗号化を行いながら通信
4以降の通信を行う。
【0150】ここで通信3を、図10を用いてさらに詳
しく説明する。図10において、シンボル4、8、Fを
同期系列、シンボル3、7、Eを疑似同期系列とする。
また送信局101は受信端末1を送信先の受信局102
としており、受信端末2はその他の端末としている。
【0151】図10のように配置されたフレームが伝送
された場合、受信端末1では同期系列がほぼ受信端末基
準時間1に同期して受信されるため、予め設定されたフ
ォーマットに従うことで同期系列(シンボル4、8、
F)と疑似同期系列(シンボル3、7、E)を容易に選
別、選択することができる。
【0152】受信局102では、この同期系列を用い
て、時間、周波数、位相の同期を行う。受信端末1が受
信した信号(受信端1通信信号)が受信端末基準時間1
に対して誤差が生じていても、疑似同期系列を誤選択し
ない程度の誤差であれば、この同期系列によって補正す
ることができる。これにより受信品質を向上させること
ができる。
【0153】また同期系列によって位相情報が変調され
ているような場合、位相同期をも行うことができること
により、同時に伝達された通信3の情報に対して同期検
波やそれに準ずる検波が行えるため、例えば実施の形態
1で説明した通信方法よりも高い品質の通信を行うこと
ができる。
【0154】一方、受信端末2は通信3が送られてくる
時間を知ることができず、受信端2通信信号に対して正
しい同期系列を検出できない。例えば疑似同期系列に同
期系列と類似した、或いは同一の系列を用いると、受信
端末2は、受信端末基準時間2に近い疑似同期系列(シ
ンボル3、7、E)を用いて同期をとることになる。こ
の結果、通信3で伝送された情報を正しく復調及び復号
できない。これにより、通信3は高いセキュリティを確
保することができる。
【0155】かくして以上の構成によれば、実施の形態
1の構成に加えて、送信側で秘匿情報に同期系列及び擬
似同期系列を混入するようにしたことにより、一段とセ
キュリティの高くかつ受信品質を向上し得る無線通信シ
ステムを実現できる。
【0156】因みに、この実施の形態では、受信局10
2は受信端末基準時間1を基準にして、受信信号の復調
及び復号を開始するため、送信局101はフレームフォ
ーマットなどを予め設定されていなくても、シンボル0
以前や、シンボル9以降に任意に疑似シンボルを追加す
ることもできる。このようにすることで、バーストの長
さが可変となるため、信号振幅の形状から同期系列の位
置を推定することが困難となり、第3者からの秘匿性を
さらに高めることができる。さらにパンクチュア回路3
05にて挿入するシンボルの振幅を変更すれば、信号振
幅の形状からの推定を一層困難にすることもできる。
【0157】(実施の形態5)図1との対応部分に同一
符号を付して示す図11において、500は全体とし
て、本発明の実施の形態5に係る無線通信システムを示
す。無線通信システム500は送信局501に2つの送
信部502、503を有することを除いて、上述した実
施の形態1の無線通信システム100とほぼ同様の構成
でなる。
【0158】すなわち無線通信システム500の送信局
501は伝搬環境推定部101c、伝搬環境適応部10
1d、第1送信部502、第2送信部503、受信部1
01bで構成されている。実際上、第1送信部502、
第2送信部503は、図2に示すような送信部101a
をそれぞれ有するのではなく、異なる位置にアンテナが
2つ配置され、信号処理は送信部101aと同様の構成
でなる1つの処理部で行うようになっている。受信局1
02は送信部102a、受信部102b、時間制御部1
02cで構成されている。通信は第1伝送路504及び
第2伝送路505を経由して、図12に示す通信手順で
行われる。
【0159】先ず送信局501が第1送信部502か
ら、第1伝搬路504を経由するように出力を制御しな
がら、ネットワーク基準時間を含む制御信号(通信1
0)を発信(送信10B)する。受信局102は通信1
0を受信(受信10T)すると、その時間を基準にし
て、次の送信(送信20T)までの遅延時間(T10)
と、一定時間(T20)後の次の通信30の受信端末基
準時間10とを設定する。受信局102は受信10Tか
ら遅延時間(T10)だけ経過した後、送信局501に
対して応答信号(通信20)を送信(送信20T)す
る。
【0160】因みに、送信局501と受信局102は、
上記遅延時間T10と一定時間T20の情報及び後述す
る遅延時間T11と一定時間T21の情報を予め共有情
報として互いに保持している。
【0161】送信局501は通信20を受信(受信20
B)すると同時に、送信10Bで送信した制御信号と受
信20Bで受信した応答信号とから伝搬環境推定部10
1cが第1伝搬路504の状態を推定する。具体的に
は、送信局501に設けられた遅延量推定部が送信10
Bと受信20Bの時間と、受信局102での遅延時間
(T10)と、各装置内で発生する処理遅延等とから伝
搬路504における信号伝搬時間を算出する。因みに、
ここまでの処理は、実施の形態1で上述した処理と同じ
である。
【0162】同様に、送信局501は第2送信部503
から、第2伝搬路505を経由するように出力を制御し
ながら、信号(通信11)を発信(送信11B)する。
受信局102は通信11を受信(受信11T)すると、
その時間を基準にして、次の送信(送信21T)までの
遅延時間(T11)と、一定時間(T21)後の次の通
信31の受信端末基準時間20とを設定する。受信局1
02は受信20Tから遅延時間(T11)だけ経過した
後、送信局501に対して応答信号(通信21)を送信
(送信21T)する。
【0163】送信局501は通信21を受信(受信21
B)すると同時に、送信11Bで送信した信号(通信1
1)と受信21Bで受信した応答信号(通信21)とか
ら伝搬環境推定部101cが第2伝搬路505の状態を
推定する。具体的には、送信局501に設けられた遅延
量推定部が送信11Bと受信21Bの時間と、受信局1
02での遅延時間(T11)と、各装置内で発生する処
理遅延等とから伝搬路505における信号伝搬時間を算
出する。
【0164】送信局501の伝搬環境適応部101dは
第1伝搬路504の信号伝搬時間と処理遅延とから、受
信局102の受信端末基準時間10に同期するように信
号(通信30)を第1送信部502から第1伝搬路50
4を経由するように出力を制御しながら送信(送信30
B)する。
【0165】同様にして、送信局501の伝搬環境適応
部101dは第2伝搬路505の信号伝搬時間と処理遅
延とから、受信局102の受信端末基準時間20に同期
するように信号(通信31)を第2送信部503から第
2伝搬路505を経由するように出力を制御しながら送
信(送信31B)する。
【0166】ここで通信30、通信31には、例えば暗
号キー等のような秘匿情報が含まれている。通信30の
情報は、送信局501の処理遅延に第1伝搬路504で
の信号伝搬時間を加えた時間だけ遅延して、受信局10
2で受信(受信30T)される。同様に通信31の情報
も処理遅延に第2伝搬路505での信号伝搬時間を加え
た時間だけ遅延して、受信局102で受信(受信31
T)される。
【0167】受信局102は、受信10T及び受信11
Tで設定した各々の受信端末基準時間10、受信端末基
準時間20を基準にして受信30T、受信31Tを開始
し、受信データを復調及び復号する。以後、送信局50
1と受信局102は、通信30及び通信31で伝送した
情報(暗号キー)を基に暗号化及び復号を行いながら、
通信4以降の通信を行う。
【0168】通信30、通信31について、図13を用
いてさらに詳しく説明する。図13では、送信局501
は受信端末1を送信先の受信局102としており、受信
端末2をその他の端末としている。
【0169】通信10、通信11から通信30、通信3
1までの時間が十分に短いとすると、受信局(受信端末
1)102の移動速度に対して電波の伝搬速度は非常に
高速なので、送信局501と受信局102の位置関係に
変化があっても、伝搬路の環境、特に第1伝搬路504
及び第2伝搬路505の遅延(伝搬路遅延10、伝搬路
遅延20)に大きな変化はない。
【0170】このため、受信局(受信端末1)102が
受信10T、受信11Tでそれぞれ設定した受信端末基
準時間10、受信端末基準時間20と、送信局501の
伝搬環境適応部101dによって調整された送信30
B、送信31Bが各伝搬路504、505を経由して受
信局201で受信される受信端末基準時間10、20と
はほぼ同期がとれており、時間調整を行う必要がない。
【0171】このため、受信端末1は、通信30につい
ては受信端末基準時間10を基準にして、通信31につ
いては受信端末基準時間20を基準にして、受信した受
信端1通信信号を順次復調していくことで、秘匿情報を
復元できる。
【0172】一方、この通信30、通信31を送信先で
ない第3者(受信端末2)が傍受して情報を復元しよう
とした場合を考える。受信端末2は通信10、通信1
1、通信20、通信21の情報を受信することはできる
が、通信30、通信31の信号には通信開始を示す受信
端末基準時間10、20がその中には含まれていないた
め、秘匿情報を復元できない。
【0173】この基準時間情報は、受信端末1が受信1
0T、11Tを基準にして算出し、送信局501が通信
10、11、20、21によって第1及び第2の伝搬路
504、505信号伝搬時間(伝搬路遅延10、20)
を推定して当該基準時間に信号が到達するように送信制
御するための目標時間である。この基準時間は伝搬路環
境(すなわち伝搬路)によって異なる。この結果、正し
い伝搬路遅延時間10、20を受信端末2が予め、或い
は計測して知ることはできない。
【0174】従って、受信端末1が受信する受信端1通
信信号は、通信30、通信31ともに受信端末1で設定
された予定時刻に到達するので、受信端末1は受信端1
通信信号を復元できる。これに対して、第1伝搬路50
4、第2伝搬路505とは共に異なる伝搬路を介して送
信局501からの信号を受信する受信端末2では、受信
端2通信信号を同期受信できない。
【0175】その上、正しい伝搬路遅延時間11、伝搬
路遅延時間21を受信端末2が予め、或いは計測して知
ることはできない。これにより、受信端末2は通信3
0、通信31の到達時間を知り得ない。この結果、受信
端2通信信号に対して正しい受信端末基準時間11、受
信端末基準時間21を設定できず、通信30、通信31
を正しく受信することはほぼ不可能である。
【0176】特に秘匿情報を送信部502、送信部50
3に分散させて送信すれば、セキュリティの点で顕著な
効果を得ることができる。
【0177】かくして以上の構成によれば、実施の形態
1の構成に加えて、送信側に複数の送信部502、50
3を複数設けることにより複数の伝搬路504、505
を形成し、それぞれの伝搬路504、505を介して秘
匿情報が受信局201の決められた時間(受信端末基準
時間10、20)に到達するようにしたことにより、一
段とセキュリティの高い無線通信システム500を実現
できる。
【0178】(実施の形態6)この実施の形態では、実
施の形態1で提案した互いに通信を行っている局同士で
のみで知り得るタイミングで送信データの送受信を行う
構成と、実施の形態2で提案した互いに通信を行ってい
る局同士でのみ既知のフォーマットで送信データを並べ
換える構成と、実施の形態3で提案した通信情報に疑似
シンボルを混入する構成と、実施の形態5で提案した複
数の伝搬路を経由して通信を行う構成とを組み合わせた
無線通信システムを提案する。かかる構成に加えて、こ
の実施の形態の無線通信システムでは、実施の形態5と
は異なり、2つの伝搬路を経由した信号を同時刻に受信
して合成するようになされている。以下、この実施の形
態の通信方法について、図12及び図14を用いて説明
する。
【0179】ここで図12の通信10から通信21まで
の概要は、実施の形態5で説明した内容と同じである。
すなわち通信10から通信21までの通信により、送信
局501と受信局102は、第1及び第2伝搬路50
4、505での信号伝搬時間を推定すると共に、両局間
の動作を同期させるためのネットワーク基準時間及び受
信端末基準時間を設定する。
【0180】すなわち、先ず送信局501が第1送信部
502から、第1伝搬路504を経由するように出力を
制御しながら、ネットワーク基準時間を含む制御信号
(通信10)を発信(送信10B)する。受信局102
は通信10を受信(受信10T)すると、その時間を基
準にして、次の送信(送信20T)までの遅延時間(T
10)と、一定時間(T20)後の次の通信30の受信
端末基準時間10とを設定する。受信局102は受信1
0Tから遅延時間(T10)だけ経過した後、送信局5
01に対して応答信号(通信20)を送信(送信20
T)する。
【0181】送信局501は通信20を受信(受信20
B)すると同時に、送信10Bで送信した制御信号と受
信20Bで受信した応答信号とから伝搬環境推定部10
1cが第1伝搬路504の状態を推定する。具体的に
は、送信局501に設けられた遅延量推定部が送信10
Bと受信20Bの時間と、受信局102での遅延時間
(T10)と、各装置内で発生する処理遅延等とから伝
搬路504における信号伝搬時間を算出する。
【0182】同様に、送信局501は第2送信部503
から、第2伝搬路505を経由するように出力を制御し
ながら、信号(通信11)を発信(送信11B)する。
受信局102は通信11を受信(受信11T)すると、
その時間を基準にして、次の送信(送信21T)までの
遅延時間(T11)と、一定時間(T21)後の次の通
信31の受信端末基準時間20とを設定する。
【0183】この実施の形態の場合、上述した実施の形
態5と異なり、この受信端末基準時間20を受信端末基
準時間10と同一時刻に設定する。
【0184】受信局102は受信20Tから遅延時間
(T11)だけ経過した後、送信局501に対して応答
信号(通信21)を送信(送信21T)する。
【0185】送信局501は通信21を受信(受信21
B)すると同時に、送信11Bで送信した制御信号(通
信11)と受信21Bで受信した応答信号(通信21)
とから伝搬環境推定部101cが第2伝搬路505の状
態を推定する。具体的には、送信局501に設けられた
遅延量推定部が送信11Bと受信21Bの時間と、受信
局102での遅延時間(T11)と、各装置内で発生す
る処理遅延等とから伝搬路505における信号伝搬時間
を算出する。
【0186】送信局501の伝搬環境適応部101dは
第1伝搬路504の信号伝搬時間と処理遅延とから、受
信局102の受信端末基準時間10に同期するように信
号(通信30)を第1送信部502から第1伝搬路50
4を経由するように出力を制御しながら送信(送信30
B)する。
【0187】同様にして、送信局501の伝搬環境適応
部101dは第2伝搬路505の信号伝搬時間と処理遅
延とから、受信局102の受信端末基準時間20に同期
するように信号(通信31)を第2送信部503から第
2伝搬路505を経由するように出力を制御しながら送
信(送信31B)する。
【0188】ここで通信30、通信31には、例えば暗
号キー等のような秘匿情報が含まれている。通信30の
情報は、送信局501の処理遅延に第1伝搬路504で
の信号伝搬時間を加えた時間だけ遅延して、受信局10
2で受信(受信30T)される。同様に通信31の情報
も処理遅延に第2伝搬路505での信号伝搬時間を加え
た時間だけ遅延して、受信局102で受信(受信31
T)される。
【0189】受信局102は、受信端末基準時間10、
20を基準にして受信30T、31Tを開始する。この
とき、通信30、通信31の受信端末基準時間10、2
0は同時刻に設定されているため、送信局501からの
送信データは同一時刻に受信局102により受信され
る。
【0190】この結果、受信局102では通信30及び
通信31は互いに干渉を起こし、それらの合成結果が受
信局102で受信される。ここで、通信30、通信31
の通信情報は、予め設定されたフォーマットに従い情報
シンボル(秘匿情報)と疑似シンボルが混合されて構成
されている。
【0191】まず、説明を簡単にするために疑似シンボ
ルが全て電力0のシンボルであると仮定する。受信局1
02の受信端末基準時間10を基準として、通信30の
全シンボルのうち、通信31の疑似シンボルが重なる時
刻のシンボルだけが通信31の干渉を受けない。逆に通
信31の全シンボルのうち、通信30の疑似シンボルが
重なる時刻のシンボルだけが通信30の干渉を受けな
い。
【0192】従って、予め両者の情報シンボルが互いに
干渉しないようなフォーマットを設定しておけば、通信
30及び通信31の両者から干渉による劣化の無い信号
を受信できる。受信局102は、このように合成された
受信信号を復調及び復号する。
【0193】この実施の形態の通信30、通信31につ
いて、図14を用いてさらに詳しく説明する。図14で
は、シンボル0、3、6、7、9と、シンボルB、C、
E、F、Iを疑似シンボルとする。また送信局501は
受信端末1を送信先の受信局102としており、受信端
末2はその他の端末としている。
【0194】ここで受信局(受信端末1)102が受信
10T、受信11Tで設定した受信端末基準時間10
と、送信局501の伝搬環境適応部101dによってタ
イミング調整された送信30B、送信31Bが各伝搬路
504、505を経由して受信局102で受信される時
刻とはほぼ同期がとれており、かつ通信30、通信31
は同時刻に受信されるため、受信端1通信信号はそれぞ
れが干渉する。
【0195】図14では、シンボル1、2、4、5、8
とそれぞれシンボルB、C、E、F、Iが合成され、シ
ンボルA、D、G、H、Jとシンボル0、3、6、7、
9が合成される。しかし、シンボル0、3、6、7、9
とシンボルB、C、E、F、Iは疑似シンボルであり、
その電力は0であるため、合成された受信端1通信信号
は、A、1、2、D、4、5、G、H、8、Jとなる。
【0196】これら全ての情報シンボルは互いに通信に
よっては干渉されないため、受信した受信端1通信信号
を順次復調していくことで、通信情報(秘匿情報)を獲
得できる。
【0197】一方、この通信30、通信31を送信先で
ない第3者(受信端末2)が傍受して情報を復元しよう
とした場合を考える。受信端末2は、通信10、通信1
1、通信20、通信21を受信することはできるが、通
信30、通信31は受信端末1に対して同時刻に受信さ
れるように制御されており、受信端末2ではそれぞれ異
なったタイミングで受信される。従って受信端末2は通
信開始を示す受信端末基準時間10が分からない上に、
情報シンボル同士が干渉し合うことにより、秘匿情報を
復元できない。
【0198】この基準時間情報は、受信端末1が受信1
0T、11Tを基準にして算出し、送信局501が通信
10、11、20、21によって第1及び第2の伝搬路
504、505信号伝搬時間(伝搬路遅延10、20)
を推定して当該基準時間に信号が到達するように送信制
御するための目標時間である。この基準時間は伝搬路環
境(すなわち伝搬路)によって異なる。この結果、正し
い伝搬路遅延時間10を受信端末2が予め、或いは計測
して知ることはできない。
【0199】従って、受信端末1が受信する受信端1通
信信号は、通信30、通信31ともに受信端末1で設定
された予定時刻に到達するので、受信端末1は受信端1
通信信号を復元できる。これに対して、第1伝搬路50
4、第2伝搬路505とは共に異なる伝搬路を介して送
信局501からの信号を受信する受信端末2では、受信
端2通信信号を同期受信できない。
【0200】その上、正しい伝搬路遅延時間11、伝搬
路遅延時間21を受信端末2が予め、或いは計測して知
ることはできない。これにより、受信端末2は通信3
0、通信31の到達時間を知り得ない。この結果、受信
端2通信信号に対して正しい受信端末基準時間11を設
定できず、通信30、通信31を正しく受信することは
ほぼ不可能である。
【0201】またこの実施の形態の通信方法においては
万一、受信端末2(第3者)により正しい伝搬路遅延時
間11を計測でき、通信30に対して正しい受信端末基
準時間11を設定できたとしても、秘匿情報の復元はで
きない。何故なら、受信端末1と異なる場所に位置する
受信端末2では、通信31は受信端末基準時間11とは
異なる時刻に受信端末2に到達する。この結果、受信時
に通信30の信号と通信31の信号が干渉を起こし、信
号が劣化するからである。
【0202】この実施の形態では、通信30と通信31
が同時刻に受信局に到達することを前提として、通信3
0の信号の先頭と通信31の信号の先頭が一致したと
き、情報シンボル同士が重ならないフォーマットで情報
シンボルと擬似シンボルを配置している。この結果、通
信30と通信31が同時刻に受信できない受信局では、
シンボル間干渉が生じて信号が劣化する。
【0203】具体的には、図14の受信端2通信信号で
は通信30と通信31の情報シンボル2とA、5とD、
8とG等が互いに干渉を起こす。この結果、シンボルの
相互干渉により信号が劣化し、情報シンボルを復元でき
なくなる。
【0204】かくして以上の構成によれば、2つの信号
が受信局102により同時刻に受信されるように送信局
501の2つの送信部502、503の送信タイミング
を制御すると共に、同時刻に受信されなかった2つの信
号の情報シンボル(秘匿情報)については相互干渉によ
り劣化するようなフォーマットで2つの送信信号を配列
して送信したことにより、秘匿情報の送信対象である受
信局102の場所以外の場所に位置する受信局では秘匿
情報の復元が不可能となる。この結果、一段とセキュリ
ティの向上した無線通信システムを実現できる。
【0205】(実施の形態7)この実施の形態では、実
施の形態6の構成に加えて、秘匿情報に同期系列データ
を混入して送信する構成を有する。この同期系列データ
としては、例えば実施の形態1で説明したユニークワー
ドなどがある。これにより、この実施の形態では、実施
の形態6の効果に加えて、秘匿情報の送信対象である受
信局での受信品質を向上させることができる。
【0206】この実施の形態を、図11、図12及び図
14を用いて説明する。通信30、通信31で送信され
るデータは秘匿情報の送信対象である受信局102以外
の受信局には漏洩させたくない秘匿データであり、予め
所定のフォーマットに従い、情報シンボル、疑似シンボ
ル及び同期系列シンボルが配置されて構成されている。
【0207】通信30の情報は、送信局501の処理遅
延に第1伝搬路504の信号伝搬時間を加えた時間だけ
遅延して、受信端末基準時間10に受信局102で受信
(受信30T)される。同様に通信31の情報も、送信
局501の処理遅延に第2伝搬路505の信号伝搬時間
を加えた時間だけ遅延して、受信端末基準時間10に受
信局102で受信される。受信局102は、受信端末基
準時間10を基準にして受信30Tを開始する。
【0208】このとき、通信30、通信31の受信端末
基準時間10は同時刻に設定されているため、受信局1
02では通信30及び通信31は同時の受信となる。従
って、両者は空間上で合成されて受信局102で受信さ
れる。
【0209】一方、通信30、通信31のデータは、情
報シンボルと疑似シンボルと同期系列とが予め設定され
たフォーマットに従って配置された構成となっている。
ここで説明を簡単にするために疑似シンボルが全て電力
0のシンボルであると仮定する。受信局102の受信端
末基準時間10を基準として、通信30の全シンボルの
うち、通信31の疑似シンボルが重なる時刻のシンボル
だけが通信31の干渉を受けない。逆に通信31の全シ
ンボルのうち、通信30の疑似シンボルが重なる時刻の
シンボルだけが通信30の干渉を受けない。
【0210】このように、予め送信局501により通信
30、通信31による2つの信号が同時刻に受信される
ことを想定して、両者が互いに干渉しないようなフォー
マットを設定したことにより、通信30及び通信31を
同時刻に受信する受信局102では両信号の干渉による
劣化の無い信号を受信できるようになる。
【0211】これらの信号を受信すると,受信局102
は、先ず、通信30の同期系列を用いて通信30のシン
ボルに対して時間、周波数、位相などを同期させ、通信
30の情報シンボルを復調する。同様に受信局102
は、通信31の同期系列を用いて通信31のシンボルに
対して時間、周波数、位相などを同期させ、通信31の
情報シンボルを復調する。
【0212】次に、それぞれ復調された2つの情報シン
ボルを合成し、復号する。以後、送信局501と受信局
102は、通信30及び通信31で伝達した情報(例え
ば暗号キー)を基に暗号化及び暗号復号化を行いなが
ら、通信4以降の通信を行う。
【0213】この実施の形態の通信30、通信31につ
いて、図14を用いてさらに詳しく説明する。図14で
は、シンボル0、3、6、7、9と、シンボルB、C、
E、F、Iを疑似シンボルとし、シンボル1、8と、シ
ンボルA、Gを同期系列とし、シンボル2、4、5、
D、H、Jを情報シンボルとする。
【0214】ここで受信局(受信端末1)102が受信
10T、受信11Tで設定した受信端末基準時間10
と、送信局501の伝搬環境適応部101dによって調
整された送信30B、送信31Bが各伝搬路504、5
05を経由して受信局102で受信される受信30T、
受信31Tの時刻とはほぼ同期がとれている。この結
果、通信30、通信31は同時刻に受信されるので、受
信端1通信信号ではそれぞれが干渉する。
【0215】図14では、前記フォーマットによってシ
ンボル1、2、4、5、8とそれぞれシンボルB、C、
E、F、Iが合成され、シンボルA、D、G、H、Jと
シンボル0、3、6、7、9が合成されるが、シンボル
0、3、6、7、9とシンボルB、C、E、F、Iは疑
似シンボルであり、その電力は0であるため、合成され
た受信端1通信信号は、A、1、2、D、4、5、G、
H、8、Jとなる。
【0216】このように全ての情報シンボルと同期系列
は互いの通信により干渉されないため、受信した受信端
1通信信号を順次復調していくことで、秘匿情報を含む
通信情報を復元することができる。
【0217】かくして以上の構成によれば、実施の形態
6の構成に加えて、秘匿情報を含む送信データの中に同
期系列データを混入させるようにしたことにより、実施
の形態6の効果に加えて、受信局102では受信品質を
一段と向上し得る無線通信システムを実現できる。
【0218】(実施の形態8)図15において、800
は全体として、本発明の実施の形態8に係る無線通信シ
ステムを示す。無線通信システム800は第1及び第2
の送信局801、802を有し、各送信局801、80
2が網接続部803、804を介してネットワーク80
5に接続されている。また第1送信局801は第1伝搬
路806を介して受信局102と通信すると共に、第2
送信局802は第2伝搬路807を介して受信局102
と通信するようになっている。
【0219】ここで第1及び第2送信局801、802
のそれぞれの構成は、網接続部803、804を有する
ことを除いて実施の形態1で説明した送信局101とほ
ぼ同様の構成でなる。また受信局102は第1送信局8
01に加えて、第2送信局802と通信することを除い
て実施の形態1で説明した受信局102とほぼ同様の構
成でなる。
【0220】さらに第1及び第2の送信局801、80
2は、秘匿情報を含む伝送データを受信局で設定された
受信端末基準時間に到達するタイミングで送信すると共
に、実施の形態6で述べたように互いの伝送データが同
一の受信端末基準時間に到達するようにタイミングで送
信するようになっている。
【0221】つまり、この実施の形態の無線通信システ
ム800を、実施の形態6で述べた無線通信システムと
比較すると、実施の形態6の無線通信システムは同一の
送信局から異なる伝搬路を介して受信局102に情報を
送信するのに対して、無線通信システム800は異なる
送信局801、802から異なる伝搬路806、807
を介して受信局102に情報を送信する点で異なる。
【0222】ここで無線通信システムの通信800は、
第1伝搬路806及び第2伝搬路807を経由して、図
16に示すような通信手順で行われる。
【0223】第1送信局801は送信部101aから、
第1伝搬路806を経由するように出力を制御しなが
ら、ネットワーク基準時間を含む制御信号(通信10)
を発信(送信10B)する。受信局102は通信10を
受信(受信10T)すると、時間制御部102cで制御
された所定の遅延時間(T10)を設定する。受信局1
02は受信10Tから遅延時間(T10)だけ経過した
後、第1送信局801に対して応答信号(通信20)を
送信(送信20T)する。
【0224】因みに、送信局801と受信局102は、
予め共有情報として互いに上記遅延時間T10を保持し
ている。
【0225】第1送信局801は通信20を受信(受信
20B)すると同時に、送信10Bで送信した制御信号
(通信10)と受信20Bで受信した応答信号とから伝
搬環境推定部101cが第1伝搬路806の状態を推定
する。具体的には、送信局801に設けられた伝搬環境
推定部101cが送信10Bと受信20Bの時間と、受
信局102での遅延時間(T10)と、各装置内で発生
する処理遅延等とから第1伝搬路806における信号伝
搬時間を算出する。
【0226】同様に、第2送信局802は送信部101
aから、第2伝搬路807を経由するように出力を制御
しながら、ネットワーク基準時間を含む制御信号(通信
11)を発信(送信11B)する。受信局102は通信
11を受信(受信11T)すると、時間制御部102c
で制御された所定の遅延時間(T11)を設定する。受
信局102は受信11Tから遅延時間(T11)だけ経
過した後、第2送信局802に対して応答信号(通信2
1)を送信(送信21T)する。
【0227】因みに、送信局802と受信局102は、
予め共有情報として互いに上記遅延時間T11を保持し
ている。
【0228】第2送信局802は通信21を受信(受信
21B)すると同時に、送信11Bで送信した制御信号
(通信11)と受信21Bで受信した応答信号とから伝
搬環境推定部101cが第2伝搬路807の状態を推定
する。具体的には、送信局802に設けられた伝搬環境
推定部101cが送信11Bと受信21Bの時間と、受
信局102での遅延時間(T11)と、各装置内で発生
する処理遅延等とから第2伝搬路807における信号伝
搬時間を算出する。
【0229】以上のように、第1送信局801と受信局
102間の信号伝搬時間、第2送信局802と受信局1
02間の信号伝搬時間の推定が終わると、次に受信局1
02は時間制御部102cを用いて一定の時間(T2
0)後に受信端末基準信号10を設定すると共に、第1
送信局801及び第2送信局802に対して、基準時刻
通知信号(通信30)を送信(送信30T)する。
【0230】第1送信局801は受信局102に送信す
る秘匿情報を、ネットワーク805から網接続部803
を介して取得する。同様に、第2送信局802は受信局
102に送信する秘匿情報を、ネットワーク805から
網接続部804を介して取得する。
【0231】第1送信局801は通信30を受信(受信
30B)すると、第1送信局801の伝搬環境適応部1
01dが第1伝搬路806の信号伝搬時間と、処理遅延
と受信30Bの時刻とから、受信局102の受信端末基
準時間10に到達するように通信40の送信タイミング
を制御する。そして第1送信局801は信号(通信4
0)を送信部101aから第1伝搬路806を経由する
ように送信(送信40B)する。
【0232】同様に、第2送信局802は通信30を受
信(受信31B)すると、第2送信局802の伝搬環境
適応部101dが第2伝搬路807の信号伝搬時間と、
処理遅延と受信31Bの時刻とから、受信局102の受
信端末基準時間10に到達するように通信40の送信タ
イミングを制御する。そして第2送信局802は信号
(通信41)を送信部101aから第2伝搬路807を
経由するように送信(送信41B)する。
【0233】通信40の情報は、第1送信局801の処
理遅延に第1伝搬路806の信号伝搬時間を加えた時間
だけ遅延して、受信端末基準時間10に受信局102で
受信(受信40T)される。同様に通信41の情報も、
第2送信局802の処理遅延に第2伝搬路807の信号
伝搬時間を加えた時間だけ遅延して、受信端末基準時間
10に受信局102で受信される。受信局102は、受
信端末基準時間10を基準にして受信40Tを開始す
る。
【0234】このとき、通信40、通信41の受信端末
基準時間10は同時刻に設定されているため、受信局1
02では通信40及び通信41は同時に受信される。す
なわち、両者は合成された結果として受信局102で受
信される。
【0235】ここで通信40及び通信41で送信される
データは、実施の形態7の送信データと同様に、同一時
刻に受信されたときに、情報シンボル、疑似シンボル及
び同期系列シンボルが、情報シンボル同士で干渉し合わ
ないように配列されている。これにより、実施の形態7
と同様に、通信40、通信41の内容は受信局102の
みで復調及び復号できるようになる。因みに、通信40
の前半部を擬似シンボルとし、同様に通信41の後半部
を擬似シンボルに設定すれば(あるいは、通信40、通
信41の到達時刻に一定間隔で設ける)、受信局102
は第1及び第2の受信局801、802からの情報を連
続して受け取ることができるようになる。
【0236】かくして以上の構成によれば、秘匿情報を
複数の情報ブロックに分割し、分割した秘匿情報を専用
回線などのセキュリティの高い通信回線を用いて複数の
送信局に分配し、分配された秘匿情報を受信局に送信す
るようにしたことにより、一段と高いセキュリティをも
って秘匿情報を送信し得る無線通信システム800を実
現できる。
【0237】(実施の形態9)図1との対応部分に同一
符号を付して示す図17において、900は全体として
本発明の実施の形態9に係る無線通信システムを示す。
無線通信システム900は、それぞれ、図1で上述した
送信部101a及び受信部101bからなる第1及び第
2送受信部902、903を有する。そして第1送受信
部902は第1伝搬路906を経由して受信局102と
通信すると共に、第2送受信部903は第2伝搬路90
7を経由して受信局102と通信する。
【0238】ここで送信局901と受信局102との通
信動作は、後述するように、送信局901が第1及び第
2伝搬路906、907を経由して受信する受信電力を
推定すると共に、推定した電力に応じて送信電力を制御
して受信局102に対して信号を発信する点を除いて、
図11を用いて説明した実施の形態5の無線通信システ
ム500と同様である。
【0239】ここで図18に、この実施の形態による送
信局901の詳細構成を示す。図18では、図2と対応
する部分に同一符号を付してある。この実施の形態の場
合、伝搬環境推定部904は遅延量推定部904a及び
電力測定部904bにより構成されている。また伝搬環
境適応部905はタイミングコントロール部905a及
び電力制御部905bにより構成されている。
【0240】そして第1送受信部902の復調部122
により抽出された例えばユニークワード等の既知信号が
遅延量推定部904aに入力されると共に、第2送受信
部903の復調部(図示せず)により抽出されたユニー
クワード等の既知信号が遅延量推定部904aに入力さ
れる。遅延量推定部904aは、実施の形態1でも述べ
たように、ネットワーク時刻と既知信号とから信号伝搬
時間を推定する。この実施の形態の場合には、第1及び
第2の伝搬路906、907それぞれの信号伝搬時間を
推定する。
【0241】そしてタイミングコントロール部905a
が遅延量推定部904aにより得られた第1伝搬路90
6の信号伝搬時間を考慮して、第1送受信部902から
の信号が第1伝搬路906を経由して予め決められたネ
ットワーク時刻に受信局102に到達するようにバッフ
ァ117の出力タイミングを調整する。
【0242】同様にタイミングコントロール部905a
は遅延量推定部904aにより得られた第2伝搬路90
7の信号伝搬時間を考慮して、第2送受信部903から
の信号が第2伝搬路907を経由して予め決められたネ
ットワーク時刻に受信局102に到達するようにバッフ
ァ(図示せず)の出力タイミングを調整する。
【0243】伝搬環境推定部904の電力測定部904
bは、第1送受信部902の無線受信部(受信RF)1
21の出力を入力し、第1送受信部902で受信した受
信信号の電力を測定する。同様に電力測定部904b
は、第2送受信部903の無線受信部(図示せず)の出
力を入力し、第2送受信部903で受信した受信信号の
電力を測定する。
【0244】伝搬環境適応部905の電力制御部905
bは、予め設定された電力値と電力測定部904bで得
られた受信電力測定結果とを比較し、当該比較結果に基
づいて、第1及び第2送受信局902、903の送信電
力を制御する。具体的には、第1又は第2送受信部90
2、903で受信した受信電力が所定値より小さい場合
には、各送信部101aの無線送信部(送信RF)11
9を制御することにより送信電力が大きくなるように制
御する。これとは逆に、第1又は第2送受信部902、
903で受信した受信電力が所定値より大きい場合に
は、各送信部101aの無線送信部(送信RF)119
を制御することにより、送信電力が小さくなるように制
御する。
【0245】これにより無線通信システム900におい
ては、秘匿情報の送信対象である受信局102のみが送
信局901の第1送受信部902及び第2送受信部90
3から受信レベルの最適な受信信号を受信できるように
なる。
【0246】この結果、受信局102では、受信レベル
が伝搬路906、906に適応して最適で、かつ受信動
作に同期した同一時刻に到達する2つの信号の合成結果
を得ることができる。これにより受信局102では、秘
匿情報を確実に復調することができる。
【0247】これに対して、第3者は、受信局102と
異なる場所で送信局901からの情報を受信するので、
その信号を復調するのに適切な受信レベル及び適切な受
信タイミングを得ることが困難になるので、受信信号の
復調も困難となる。
【0248】次に、図14及び図16を再び用いて、無
線通信システム900の動作について説明する。
【0249】先ず送信局901が第1送信部902か
ら、第1伝搬路906を経由するように出力を制御しな
がら、ネットワーク基準時間を含む信号(通信10)を
発信(送信10B)する。受信局102は通信10を受
信(受信10T)すると、時間制御部102cで制御さ
れた所定の遅延時間(T10)を設定する。受信局10
2は受信10Tから遅延時間(T10)だけ経過した
後、送信局901に対して応答信号(通信20)を予め
定められた電力で送信(送信20T)する。因みに、送
信局901と受信局102は、予め共有情報として互い
に上記遅延時間T10を保持している。
【0250】送信局901は通信20を受信(受信20
B)すると同時に、送信10Bで送信した伝搬路推定用
信号(通信10)と受信20Bで受信した応答信号(通
信20)とから伝搬環境推定部904が第1伝搬路90
6の状態を推定する。具体的には、第1伝搬路906で
の信号伝搬時間と電力減衰量を推定する。伝搬路906
での電力減衰量の推定は、受信20Bの電力を測定し、
その値と予め定められた応答信号(通信20)の出力電
力との差に基づいて行う。
【0251】同様に送信局901は第2送信部903か
ら、第2伝搬路907を経由するように出力を制御しな
がら、ネットワーク基準時間を含む信号(通信11)を
発信(送信11B)する。受信局102は通信11を受
信(受信11T)すると、時間制御部102cで制御さ
れた所定の遅延時間(T11)を設定する。受信局10
2は受信11Tから遅延時間(T11)だけ経過した
後、送信局901に対して応答信号(通信21)を予め
定められた電力で送信(送信21T)する。因みに、送
信局901と受信局102は、予め共有情報として互い
に上記遅延時間T11を保持している。
【0252】送信局901は通信21を受信(受信21
B)すると同時に、送信11Bで送信した伝搬路推定用
信号(通信11)と受信21Bで受信した応答信号(通
信21)とから伝搬環境推定部904が第2伝搬路90
7の状態を推定する。具体的には、第2伝搬路907で
の信号伝搬時間と電力減衰量を推定する。伝搬路907
での電力減衰量の推定は、受信21Bの電力を測定し、
その値と予め定められた応答信号(通信21)の出力電
力との差に基づいて行う。
【0253】このように送信局901は、通信30、通
信31に基づいて、第1及び第2伝搬路906、907
における信号伝搬時間及び信号電力減衰量を推定する。
【0254】受信局102は時間制御部102cを用い
て一定の時間(T20)後に受信端末基準信号10を設
定すると共に、送信局901に対して基準時刻通知信号
(通信30)を送信(送信30T)する。
【0255】次に、送信局901は第1送受信部902
から秘匿情報を含む信号を通信40で送信(送信40
B)すると共に、第2送受信部903から秘匿情報を含
む信号を通信41で送信(送信41B)する。このとき
送信局901は、受信局102で設定された受信端末基
準時間10に2つの信号が同時に到達するように送信タ
イミングを制御すると共に、受信局102が最適な電力
で2つの信号を受信できるように送信電力を制御する。
【0256】受信局102は、受信端末基準時間10を
基準にして受信40Tを開始する。このとき通信40、
通信41の受信端末基準時間10は同時刻に設定されて
いるため、受信局102では通信40及び通信41は同
時に受信される。すなわち、両者は合成された結果とし
て受信局102で受信される。
【0257】この実施の形態の場合、通信40、通信4
1において同一の情報を送信するようになされている。
これにより受信局102では、パスダイバーシティ効果
を得ることができる。またこの実施の形態の場合、送信
局901は通信40、通信41を非常に低い電力で送信
するようになっている。これにより2つの信号の互いに
同じシンボル同士を合成して受信できる受信局102で
は復調に十分な信号レベルを得ることができるのに対し
て、受信局102とは異なる場所に位置する他の受信局
では、通信40、通信41からは復調に必要な信号レベ
ルを得ることはできない。
【0258】かくして以上の構成によれば、送信局90
1に複数の送受信部902、903を設けることにより
送信局901と受信局102との間に複数の伝搬路90
6、907を形成し、各伝搬路906、907で通信を
行った場合の電力減衰量を推定し、受信局102が複数
の伝搬路906、907を介して到達する各受信信号を
合成して受信したときに復調し得る最低レベルの送信電
力で上記複数の送受信部902、903から秘匿情報を
送信したことにより、受信局102以外の場所に位置す
る他の受信局では当該秘匿情報を復調することが困難に
なる。この結果、一段とセキュリティの高い通信を行う
ことができる無線通信システム900を実現し得る。
【0259】(実施の形態10)図19において、10
00は全体として本発明の実施の形態10に係る無線通
信システムを示す。無線通信システム1000の送信局
1001は、偏波面の直交した2つの直線偏波のアンテ
ナAN20、AN21からなるアンテナ部1003を有
する。また受信局1002のアンテナ部1004は1つ
の直線偏波のアンテナAN30を有する。
【0260】これにより、無線通信システム1000に
おいては、受信局1002のアンテナAN30の偏波面
を、送信局1001と受信局1002のみが共有する伝
搬路環境として、この伝搬路環境を考慮して送信局10
01から受信局1002に秘匿情報を伝送するようにな
されている。
【0261】すなわち、先ず、受信局1002から送ら
れてくる伝送波に基づいて、送信局1001の伝搬環境
推定部1006が受信局1002のアンテナAN30の
偏波面を推定する。次に伝搬環境推定部1006により
求めた推定結果に基づいて、送信局1001の放射特性
制御部1008が受信局1002でのみ受信できるよう
な放射特性を形成するようにアンテナ部1003を制御
するようになっている。
【0262】また無線通信システム1000の送信局1
001及び受信局1002には時間制御部1007、1
010が設けられており、当該時間制御部1007、1
010によって実施の形態1と同様に、送信局1001
と受信局1002のみで共有できる伝搬路1011での
信号伝搬時間を考慮した送信タイミングで、送信局10
01から受信局1002に秘匿情報を送信する。これに
より受信局1002のみが秘匿情報を受信して復元でき
るようになっている。
【0263】従って、図19の時間制御部1007は、
図1の伝搬環境推定部101c及び伝搬環境適応部10
1dに相当する。受信局1002は、図3と同様の構成
なので、ここでは詳細な説明を省略する。簡単に説明す
ると、アンテナAN30はアンテナAN12に相当し、
送受信部1009は送信部102a及び受信部102b
に相当し、時間制御部1010は時間制御部102cに
相当する。
【0264】送信局1001の具体的構成を図20に示
す。図2との対応部分に同一符号を付して示す図20に
おいて、送信局1001は、大きく分けて、送信部10
12、受信部1013、伝搬環境推定部1006及び時
間制御部1007により構成されている。ここで図19
の送受信部1005は、送信部1012及び受信部10
13に相当する。
【0265】送信局1001は、受信局1002からの
電波を、互いの偏波面が直交するように設けられた2つ
の直線偏波アンテナAN20、AN21で受信する。そ
してそれぞれのアンテナ出力を無線受信部(受信RF)
121に入力する。無線受信部121はそれぞれのアン
テナ出力に対してダウンコンバートやアナログディジタ
ル変換処理等の無線処理を施し、処理後の信号を復調部
122及び伝搬環境推定部1006に送出する。
【0266】伝搬環境推定部1006は無線通信処理さ
れた2つのアンテナ出力に基づいて、受信局1002の
アンテナの偏波面を推定し、推定結果を放射特性制御部
1008に送出する。放射特性制御部1008は推定結
果に基づいて、受信局1002での受信電力が最大にな
るように無線送信部(送信RF)119を制御する。
【0267】伝搬環境推定部1006は、図21に示す
ように構成されている。また放射特性制御部1008
は、図22に示すように構成されている。
【0268】伝搬環境推定部1006は電界強度検出部
1020及び位相差検出部1021を有する。電界強度
検出部1020は2つのアンテナ出力に基づいて、それ
ぞれのアンテナ出力の電界強度を検出する。また位相差
検出部1021は2つのアンテナ出力に基づいて、それ
ぞれのアンテナ出力の位相差を求める。偏波推定部10
22は2つのアンテナ出力の電界強度と位相差から受信
信号の偏波状態を推定する。
【0269】一般に偏波面の直交する2つのアンテナ
(V、H)を用いると、図23で示すように、電磁波の
偏波(図中のp)は、アンテナの放射特性で与えられる
偏波面(図中のV、H)上に投影した電界強度(図中の
Ev、Eh)と両受信信号の位相差で求めることができ
る。例えば偏波pを楕円偏波として、その長軸とアンテ
ナ(V、H)からなる角度や扁平率は電界強度(Ev、
Eh)及び位相差φを用いて求めることができる。また
角度については、Ev、Ehから近似することもでき
る。
【0270】この実施の形態の伝搬環境推定部1006
では、このことを利用して、偏波pの長軸とアンテナと
からなる角度や、扁平率などの情報からなる偏波状態を
推定するようになっている。
【0271】放射特性制御部1008は、図22に示す
ように、送信信号及び偏波推定部1022により得られ
た推定値信号を、電界強度制御部1030及び位相制御
部1031にそれぞれ入力する。合成部1032は電界
強度と位相とから直交するアンテナAN20、AN21
に対応する信号ベクトル(Vベクトル、Hベクトル)を
生成する。そしてV方向ベクトルの振幅、位相に応じた
送信信号を無線送信部119を介してV方向アンテナA
N21に出力すると共に、H方向ベクトルの振幅、位相
に応じた送信信号を無線送信部119を介してH方向ア
ンテナAN20に出力する。
【0272】これにより、伝搬環境推定部1020が推
定した偏波状態に基づいて、受信局1002のアンテナ
部1004での受信電力が最大になるように、すわわち
偏波pの長軸とアンテナの放射特性で与えられる偏波面
の軸とが一致するように、送信信号の偏波面を制御し得
るようになっている。
【0273】次に、図24を参照して、無線通信システ
ム1000の動作について説明する。なおここでは送信
局1001と受信局1002間での送受信タイミングは
実施の形態1と同様なので、電波の偏波面を調整する点
のみに着目して説明する。
【0274】先ず、受信局1002が偏波推定用信号
(通信1)を発信(送信1T)する。ここで受信局10
02のアンテナ部1004は放射特性として直線偏波の
特性を有するアンテナAN30で構成されているため、
当該アンテナAN30が送信する電磁波はある特定の偏
波面を有している。
【0275】この送信信号は、伝搬路1011上におけ
る反射や回折などにより、偏波面が回転し、遅延が加わ
った状態で送信局1001のアンテナ部1003で受信
される。送信局1001のアンテナ部1003には、放
射特性が直線偏波のアンテナAN20、AN21が、偏
波面が互いに直交するように配置されているので、受信
信号の偏波面に依らず安定した受信を行うことができ
る。
【0276】送信局1001はアンテナ部1003によ
り通信1を受信(受信1B)すると、伝搬環境推定部1
006aが2つのアンテナAN20、AN21で受信し
た各受信信号を演算処理することで受信信号の偏波状態
を推定する。
【0277】次に放射特性制御部1008は伝搬環境推
定部1006が推定した偏波状態に基づいて、受信局1
002のアンテナ部1004での受信電力が最大になる
ように、すなわち偏波pの長軸とアンテナAN30の放
射特性で与えられる偏波面の軸とが一致するように、送
信信号の偏波面を制御して通信2を送信(送信2B)す
る。この偏波面の制御は、受信時の推定方法とは逆の演
算を行うことで実現できる。
【0278】このようにして偏波面を制御して送信信号
を出力すると、受信局1002のアンテナ部1004で
は送信局1001からの通信2の信号を最適な偏波面で
受信できる。受信局1002はアンテナ部1004で通
信2を受信(受信2T)する。因みに、送信局1001
は通信2により秘匿情報を含む伝送データを受信局10
02に送信する。無線通信システム100は以後、同様
にして送信局1001と受信局1002間で通信3以降
の通信を行う。
【0279】ここで送信局1001と受信局1002が
見通しの良い環境で通信を行う場合、偏波面は安定的に
保たれているため、この実施の形態による通信は安定し
て行うことができる。一方、両者の通信路間に障害物が
あり、直接波のみで通信が行えないような環境では、周
囲の状況により影響を受け偏波面は乱れる。しかし、伝
搬路環境(この実施の形態では偏波面にあたる)を推定
した時刻と、その伝搬路環境を用いて通信を実際に行う
時刻との間隔が十分に短ければ、伝搬路環境は準静的で
あると見なすことができるので問題はない。
【0280】例えば、送信局1001と受信局1002
の双方が固定されており、両者の通信路上に人のように
移動速度が低速の障害物が存在する場合がこれに相当す
る。また例えば送信局1001が道路上に配置され、受
信局1002が自動車に搭載された場合のように、送信
局1001と受信局1002の通信路間に障害物がなく
ても、状況の変化により偏波面が乱れるため、これに相
当する。
【0281】これらの場合、送信局1001、受信局1
002の一方、或いは両方が移動していても、伝搬路環
境を推定した時刻と、その伝搬路環境を用いて通信を実
際に行う時刻との間隔が十分に短いと考えることができ
るので、伝搬路環境は準静的であると見なすことができ
る。
【0282】これに対して、通信1及び通信2を正当な
通信相手でない第3者が傍受し、情報を引き出そうとし
た場合を考える。この場合、不当な受信端末が通信2の
情報を受け取るためには、偏波面を適当に合わせる必要
がある。
【0283】送信局1001と受信局1002は、偏波
面の軸合わせを通信1によって行っているが、通信1は
受信局1002からの出力信号であるため、不当な受信
端末が送信局1001からの偏波面を推定することはで
きない。つまり受信局1002のアンテナ端における通
信2の偏波状態を事前に知ることはできないため、これ
を傍受することは不可能となる。
【0284】この結果、不当な受信局が譬え通信1を傍
受することができたとしても、通信2は通信1における
偏波面に適応して制御されて送られるため、不当な受信
局は送信局1001から出力される電磁波の偏波面を事
前に知ることはできない。
【0285】図25を用いて詳しく説明する。図25の
通信1、通信2は図24中のそれと同一である。また図
25において、受信局1040は、秘匿情報の送信対象
ではない不当な受信局を示す。
【0286】ここで送信局1001及び受信局1002
は通信1及び通信2を伝搬路1011を介して行う。不
当な受信局1040がこれらの通信1及び通信2を受信
する場合を考える。送信局1001と受信局1002間
では通信1及び通信2は共に伝搬路1011を介して行
われる。これに対して、受信局1040では、通信1は
伝搬路1041を介して受信し、通信2は伝搬路104
2を介して受信することになる。
【0287】このように、受信局1040が受信局10
02の出力する通信1を受信する際の伝搬路1041
と、受信局1040が送信局1001の出力する通信2
を受信する際の伝搬路1042は、伝搬路1011と異
なる。この結果、受信局1040は、通信1を傍受する
ことにより、受信局1002との間で形成される伝搬路
1041を推定できたとしても、この伝搬路1041は
送信局1001との間で形成される伝搬路1042とは
異なるため、通信2を正しく受信することはできない。
そのため、不当な受信局1040が通信1や通信2のう
ちのいずれかの情報、または両方の情報を安定して入手
することは不可能である。
【0288】一般に電磁波を用いた無線通信システムに
おいては、送信側と受信側との間でアンテナなどの偏波
特性を合わせる必要があり、これを正しく行わないと通
信品質などの特性劣化を招く。例えば、アンテナの放射
特性のうち偏波特性が水平方向に対して一様であれば、
送信局、受信局ともにアンテナの放射特性の偏波面を接
地面に対して垂直になるように偏波面の調整を行えばよ
い。偏波面を地表面に対して垂直とした垂直偏波の場合
などは、水平方向に対して放射特性を一様に設計するこ
とが容易である。
【0289】一方、アンテナの放射特性が水平方向に対
して一様でない場合、送信局、受信局の間で偏波面の調
整を行うことが必要となる。これを図26、図27を用
いて具体的に説明する。電磁波が地表面方向と平行な方
向に伝搬するような無線通信システムでは、図26
(a)に示すように、送信装置や受信装置のアンテナA
Nを接地面に対して垂直に配置することにより、アンテ
ナANの放射特性を垂直偏波に設定できる。ここでは接
地面がほぼ水平に保たれることを想定しており、また水
平方向に対しての放射特性が一様であること想定してい
る。
【0290】次に図26(b)に示すように、アンテナ
ANを水平方向に設置した場合の具体例を考える。図中
のアンテナがダイポールアンテナであるとすると、水平
方向に対して放射特性が一様ではなく、偏波面も装置本
体1050との位置関係によって異なる。このような構
成で、高さ方向へ電波を発信するようなシステムを例に
考える。
【0291】図27の1050を送信装置、1051、
1052を受信装置であるとし、各装置1050、10
51、1052のアンテナの放射特性はその偏波面が図
中の矢印方向であると仮定する。ここで送信装置105
0を送信局1001に、受信装置1052を受信局10
02に置き換えて、送信装置1050が受信装置105
2の偏波面を推定し、推定結果より送信装置1050の
偏波面を制御した状態が、この実施の形態の無線通信シ
ステム1000に当てはまる。
【0292】図27のように、送信装置1050の偏波
面に対して、受信装置1052の接地面を水平に保って
設置した場合でも、偏波面から見た自由度があるため、
状況によって通信環境が大きく異なってくる。
【0293】従って、送信装置1050、受信装置10
52のように偏波面が同一軸上に揃っている場合、受信
装置1052は感度よく受信できるが、受信装置105
1のように偏波面が送信装置1050と直交して配置さ
れている場合には、アンテナの放射特性により受信電力
が十分でなくなるため、受信品質が悪くなる。
【0294】ここでは送受信間の無線伝搬路において偏
波面が回転しないことを仮定して説明したが、偏波面は
反射などによりその軸が変化することが知られている。
そのような場合でも各装置のアンテナ端における偏波面
については同様のことが言える。このような状態におい
ても、この実施の形態の構成によれば、送信装置110
1が受信装置1102の偏波面と同じになるように送信
波を制御するため、送信側と受信側の偏波面を調整する
ことなく安定した通信を行うことができる。
【0295】さらに送信装置1050と受信装置105
2の通信を第3者が受信装置1051を用いて傍受しよ
うとする場合について説明する。上述の通り、受信装置
1051の偏波面を受信状況が良くなるように送信装置
1050から送信される偏波面に合わせて設置する必要
がある。しかし、送信波の偏波面は受信装置1052の
偏波面に適応して制御されているので、受信装置105
1から知ることはできない。
【0296】また前述の通り、受信装置1052の設置
方向により偏波面が異なるため、それを常時知ることは
不可能である。また譬え受信装置1052の設置状況な
どから偏波面の状態を推測しても、送信装置1050と
受信装置1052間の伝搬路と、送信装置1050と受
信装置1051間の伝搬路は異なるため、この実際に正
しい状態を知ることは不可能である。従って第3者が送
信装置1050と受信装置1052の通信を傍受するこ
とは不可能である。
【0297】さらに上述した通り、伝搬路上で反射や回
折などの現象が起こると、電磁波の偏波面が変化するの
で、第3者が偏波面を推定することは困難である。反射
や回折が多発する環境は屋内や室内、またパーティショ
ンのように障害物が多くあるオフィスのような場所が良
く知られている。
【0298】因みに、この実施の形態の場合、送信局1
001が受信局1002のアンテナAN30に対して最
適な偏波面を有する直線偏波の電磁波に秘匿情報を含む
真の情報を重畳させて送信すると共に、それに直交する
軸に平行な偏波面を有する直線偏波の電磁波に疑似情報
を重畳させて送信することも考えられる。
【0299】これにより無線通信システム1000にお
いては、受信局1002ではアンテナAN30の特性に
より真の情報は正常に受信されるのに対して、疑似情報
は受信されない。これにより複雑な構成を用いることな
く、真の情報のみを選択的に受信できる。
【0300】つまり受信局1002は、どの信号が秘匿
情報で、どの信号が擬似情報かを予め知る必要はない。
また送信局1001では、受信側でのデータの分離を考
慮したデータ配列を行うことなく、自由に秘匿化を施す
ことができるようになる。さらに第3者は原理的に秘匿
情報と疑似情報とを分離することができないので、高い
セキュリティを確保できるようになる。
【0301】無線通信システム1000は、通信3以降
の通信を、上述した通信1、通信2と同様に偏波面を合
わせながら行う。因みに、通信3以降で、全ての送信デ
ータに対して偏波面を合わせて伝送してもよいが、暗号
キーのような特に重要な秘匿情報のみを偏波面を合わせ
て伝送した後は、通常の暗号化処理のみを施して伝送す
るようにしてもよい。
【0302】かくして以上の構成によれば、実施の形態
1の構成に加えて、受信局1002から送られてくる伝
送波に基づいて送信局1001の伝搬環境推定部100
6により受信局1002のアンテナAN30の偏波面を
推定し、送信局1001が当該推定結果に基づいて受信
局1002でのみ受信できるような放射特性を有する伝
送波を形成し、当該伝送波に秘匿情報を重畳して受信局
1002に伝送するようにしたことにより、実施の形態
1の効果に加えて、一段とセキュリティの高い無線通信
システム1000を実現できる。
【0303】因みにこの実施の形態では垂直偏波、水平
偏波を例に挙げたが、地表面に対して一定の角度傾いた
偏波面を考えると第3者による秘匿情報の受信は一層困
難になる。例えば直線偏波特性を持つダイポールアンテ
ナを地表面に対してある角度をつけて設置する場合は、
上述の通り水平方向に対してアンテナの放射特性が異な
り、放射特性はアンテナの見かけの角度によって変化す
る。すなわち放射特性は、図27に示す送信装置105
0と受信装置1052との相対的な位置関係により変化
する。この結果、第3者から偏波面を推定することは一
層に困難となる。
【0304】また直交する偏波面特性を有するヘリカル
アンテナなどのアンテナを用いて、直交偏波面への放射
信号の振幅、位相を制御すれば、電気的に偏波面を制御
することもできる。このような構成をとることで、視覚
的に偏波面を推定することが困難となり、一段とセキュ
リティの高いシステムを実現できる。
【0305】さらに以上の説明では、送信局1001が
最初から受信局1002のアンテナAN30に対して最
適な偏波面を有する直線偏波の電磁波を出力する場合に
ついて述べたが、電源投入時のように受信局1002の
アンテナAN30の特性を推定するまでは、送信局10
01から円偏波である電磁波を放射してもよい。このよ
うにすれば、受信局1002はアンテナAN30の放射
特性に関わらず、RACH(Random Access Channel)
等の無線リンクを確立するための信号を安定して受信で
きるようになる。
【0306】またこの実施の形態においては、時間的に
シンボルが独立している変調方式を用いた場合、シンボ
ル毎に上述した偏波面の制御による情報の秘匿化を実施
するかしないかを設定することもできる。これによりシ
ンボルの一部に対して秘匿化を施すことでより安定した
通信を行うことができるようになる。
【0307】(実施の形態11)図19との対応部分に
同一符号を付して示す図28において、1100は全体
として、本発明の実施の形態11に係る無線通信システ
ムを示す。無線通信システム1100は、受信局110
1のアンテナ部1102が偏波面の直交した2つの直線
偏波のアンテナAN60、AN61からなると共に、受
信局1101にアンテナ部1102の放射特性を制御す
る放射特性制御部1104が設けられている点を除い
て、図19の無線通信システムと同様の構成でなる。
【0308】次に、図24を用いて、無線通信システム
1100の動作について説明する。なおここでは送信局
1001と受信局1101間での送受信タイミングは実
施の形態1と同様なので、電波の偏波面を調整する点の
みに着目して説明する。
【0309】先ず、受信局1101が偏波推定用信号
(通信1)を発信(送信1T)する。このとき放射特性
制御部1104はアンテナ部1102から基準となる偏
波面が出力されるように送受信部1103を介してアン
テナ部1102の放射特性を制御する。この送信信号は
伝搬路1011上における反射や回折などにより、偏波
面が回転し、遅延が加わった状態で送信局1001のア
ンテナ部1003で受信される。
【0310】送信局1001は伝搬環境推定部1006
において通信1の受信(受信1B)信号から、受信局1
101が基準とする偏波面を推定し、推定結果を保持す
る。次に放射特性制御部1008は伝搬環境推定部10
06が推定した基準とする偏波面に対して予め設定して
ある角度だけ偏波面を回転させるよう制御し、通信2を
送信(送信2B)する。
【0311】受信局1101は放射特性制御部1104
によりアンテナ部1102の放射特性を、基準とする偏
波面から放射特性制御部1008が偏波面を回転させた
上記角度だけ回転させるように制御して、通信2を受信
(受信2T)する。
【0312】すなわち、送信局1001の放射特性制御
部1008と受信局1101の放射特性制御部1104
には、予め互いの局のみで共有する偏波面の回転情報が
記憶されている。従って、送信局1001からの通信2
の偏波面と、受信局1101が制御した放射特性の偏波
面は基準偏波面から同一角度だけ回転しているため、受
信局1101は最適な放射特性で通信2を受信(受信2
T)することができる。以後、同様にして送信局100
1と受信局1101は通信を行う。
【0313】かくして以上の構成によれば、実施の形態
10の構成に加えて、受信局1101側でも放射特性を
適応的に変化し得るように受信局1101を構成すると
共に、送信局1001と受信局1101とで偏波面の回
転情報を共有して互いの偏波面を合わせて通信を行うよ
うにしたことにより、実施の形態10により得られる効
果に加えて、一段とセキュリティの高い無線通信システ
ム1100を実現できる。
【0314】すなわち、譬え第3者が通信1での偏波面
を知り得たとしても、通信2では偏波面が変更されるた
め、この変更された偏波面を知ることは困難となる。ま
た通信毎に偏波面を回転させれば、よりセキュリティを
向上させることもできる。
【0315】さらに直交する2つの偏波面に各々独立し
た情報を付加し、通信1で与えられる偏波面を基準にし
て、各情報を分離することもできる。このようにすれ
ば、伝送量を2倍にでき、かつ第3者からはそれらを推
定できない極めて秘匿性の高い通信が実現可能となる。
【0316】一般に、送信局1001は受信局1101
に対して通信に使用可能な周波数や時刻を通知し、受信
局1101はそれらのリソースを用いて通信を行う。ま
た一般に、受信局1101はそれらのリソースを用いて
キャリアの状態を監視してキャリアが空いている時刻に
通信を開始する。これらの条件としては、周波数と時刻
の2つが大きな要素であったが、この実施の形態では、
これらに偏波を加えることで、通信自体の容量を最大2
倍まで増加させることもできる。
【0317】但しこの場合、周波数や時間は空間同一性
を有しているが、偏波状況は伝搬路によって変化するた
め場所によってその環境が異なる。そのため偏波干渉状
況は送信局1001と受信局1101では、その位置が
異なることが問題となる。しかし、送信局1001と受
信局1101との伝搬路1011における偏波状態がほ
ぼ同一であるような環境、例えば送信局1001と受信
局1101とが見通しできる環境やそれに近い環境にお
かれている場合には、上述したような偏波による多重化
も可能となる。
【0318】このように、送信局1001と受信局11
01間での通信、送信局1001と他受信局間での通信
の2つの通信が同時刻、同周波数で偏波多重しているよ
うな場合には、2つの通信を同期させて偏波面をある時
間毎に切り換えるようにすれば、第3者からは2つの通
信を分離することが困難となるため、セキュリティを高
めることができる。
【0319】一方、見通しができないような環境では、
互いの通信の干渉を避けるために受信局1101により
周囲の他受信局から発せられる通信状況を監視し、監視
情報を送信局1001に通知し、互いに干渉しない条件
が整ったときに送信を行えば、見通しができる条件の場
合と同様の通信が可能となる。
【0320】またマルチパス環境を考えた場合、各々の
パスの偏波面の回転方向や角度が異なるため、各パスか
らの偏波面はそれぞれ異なる。この実施の形態において
は、受信局1101では偏波面の状況に応じて選択的に
特定のパスを受信することになる。これは結果として、
送信局1001から受信局1101への伝搬路1011
を制限することになるので、マルチパスによる影響を軽
減する効果を得ることができる。
【0321】(実施の形態12)この実施の形態の無線
通信システム1200は、図29に示すように、秘匿情
報を送信する送信局1201が異なる位置に配置された
2つの送受信部1203、1204を有する。また2つ
の送受信部1203、1204からそれぞれ異なる伝搬
路1207、1208を介して受信局1202のみが秘
匿情報を得ることができる最適な送信電力及び指向性送
信を行う。
【0322】送受信部1203、1204により受信さ
れた受信信号は伝搬環境推定部1205に送出される。
伝搬環境推定部1205は2つの受信信号に基づいて2
つの伝搬路1207、1208の環境を推定する。具体
的には、各伝搬路1207、1208での信号伝搬時間
と信号の到来方向を推定する。
【0323】伝搬環境適応部1206は伝搬環境推定部
1205の推定結果に基づいて、送受信部1203、1
204が受信局1202に秘匿情報を送信する際の送信
動作を制御する。具体的には、第1に、各送受信部12
03、1208から発信された信号が予め設定された受
信時刻に受信局1202に受信されるように各送受信部
1203、1204の送信タイミングを制御する。また
第2に、各送受信部1203、1204での送信時の指
向性が受信局1202に向くように指向性送信を行う。
【0324】図2との対応部分に同一符号を付して示す
図30は、送信局1201の詳細構成を示す。図30か
らも分かるように、図29で示した2つの送受信部12
03、1204は、単に、異なる位置にアレイアンテナ
AN70、AN71が2つ設けられているだけであり、
信号処理部分は同一のものとなっている。そして図30
の到来方向推定部1210及び遅延量推定部120が図
29の伝搬環境推定部1205に相当すると共に、図3
0のビームフォーマ1222及びタイミングコントロー
ル部118が図29の伝搬環境適応部1206に相当す
る。
【0325】ここで送信局1201による秘匿情報の送
信タイミングについては、上述の実施の形態で詳述した
ので、この実施の形態では、秘匿情報の指向性送信につ
いて重点的に説明する。
【0326】到来方向推定部1210は、無線受信部
(受信RF)121を介して2つのアレイアンテナ出力
を入力すると、それらの受信信号の振幅と位相に基づい
て受信局1202により発信された信号の到来方向を推
定する。具体的には、2つのアレイアンテナAN70、
AN71の受信信号にそれぞれ乗じる重み係数を順次変
更し、重み付け加算値が最大となる重み係数を求めるこ
とで到来方向を推定する。そして到来方向推定部121
0により推定された推定結果(すなわち各アレイアンテ
ナAN70、AN71に対する重み係数)は送信部12
20のビームフォーマ1222に送出される。
【0327】ここで送信部1220のバースト信号形成
部1221、ビームフォーマ1222及び変調部122
3は、図31に示すように構成されている。因みに、こ
の実施の形態の送信部1220は、送信データを符号拡
散すると共に多重化するようになっている。
【0328】バースト信号形成部1221は、データ分
割回路1230に暗号キーや暗号化されたユーザデータ
を入力する。データ分割回路1230は入力したデータ
を複数のデータに分割(この実施の形態の場合には2
つ)して続くコンボルバ回路1231a、1231bに
送出する。実際上、データ分割回路1230は入力した
データを複数のデータD12a、D12bに分割して続
くコンボルバ回路1231a、1231bに送出する。
ここで送受信間では拡散符号は共有するが、分割された
データD12a、D12bがそれぞれどの符号に対応す
るかを事前に共有する必要はない。但し、受信電力の大
きい信号がデータD12a、他がデータD12bといっ
たように定めておく。ここでは暗号キーや暗号化データ
等の秘匿データがデータD12aであり、他の情報デー
タがデータD12bである。
【0329】コンボルバ回路1231a、1231b
は、入力されたデータと符号生成回路1232により生
成された符号とを使って畳み込み演算を行うことによ
り、入力データを符号拡散する。符号拡散された各デー
タはビームフォーマ1222の利得制御(GC)回路1
234b、1234cに入力される。また利得制御回路
1234aには擬似信号生成回路1233により生成さ
れた擬似信号が入力される。
【0330】利得制御回路1234a〜1234cは、
到来方向推定部1210からの推定値に基づいて各入力
データの利得を制御する。各利得制御回路1234a〜
1234cの出力は、アンテナマトリクス回路1235
a〜1235cに入力される。アンテナマトリクス回路
1235a〜1235cには到来方向推定部1210か
らの推定値も入力される。
【0331】各アンテナマトリクス回路1235a〜1
235cは、対応する利得制御回路1234a〜123
4cの出力に、到来方向推定部1210からの推定値
(最適重み係数)と受信局1202における受信状態
(受信電力や遅延分散など)とに基づくベクトル値を乗
算する。具体的には、推定した伝搬路環境に基づき、受
信局1202において受信電力を最大にしたり、最小に
する信号電力制御を行う。
【0332】ここで秘匿情報が入力されるアンテナマト
リクス回路1235bでは、到来方向推定部1210で
求められた推定値に基づき、データD12aが受信局1
202において受信レベルが最大となるように設定され
る。同様にデータD12bが入力されるアンテナマトリ
クス回路1235cでは、推定値に基づき、データD1
2bが受信局1202においてその受信レベルが十分大
きく、かつデータD12aより小さくなるように設定さ
れる。これにより分割された秘匿情報は、受信局120
2において異なる受信レベルで受信される。
【0333】これに対して、擬似情報が入力されるアン
テナマトリクス回路1235aでは、到来方向推定部1
210で求められた推定結果に基づいて、受信局120
2においてヌル(波の干渉によって電力が0となる箇
所)を形成するように制御する。これにより受信局12
02では擬似信号は受信されず、受信局1202とは異
なる位置の他の受信局では擬似信号が受信されるように
なる。
【0334】アンテナマトリクス回路1235a〜12
35cによりベクトル化された各送信データは、変調部
1223の合成/周波数変換回路1237でベクトル加
算され、これにより得られた各エレメント値はローカル
発振器1236により得られた周波数で周波数変換され
る。周波数変換されたエレメント信号はアレイアンテナ
AN70、AN71の対応するエレメントアンテナから
出力される。
【0335】上述したように送信局1201は、データ
D12をアンテナの放射特性のメインローブに割り当
て、データD12bをサイドローブに割り当て、擬似情
報をヌルに割り当てることにより、受信局1202での
受信状態を制御する。これにより、秘匿情報の送信対象
である受信局1202は分割された秘匿情報であるデー
タD12a、D12bを各々電力差をもった状態で良好
に受信できるが、他の受信局では各データD12a、D
12bの電力差が逆転したり、擬似情報が妨害するなど
して秘匿情報の受信ができなくなる。
【0336】図32に、受信局1202の受信部124
0内の復調部1241とストリーム形成部1242の構
成を示す。因みに、受信局1202の他の構成は、図3
に示す受信局102の構成と同様である。復調部124
1は受信RF部140(図3)の出力をコンボルバ回路
1243に入力する。各コンボルバ回路1243には、
送信局1201で用いられた拡散符号と同一の符号が符
号生成回路1244から入力される。
【0337】コンボルバ回路1243はタイマ145に
より指定されたタイミングで畳み込み演算する。これに
より、各コンボルバ回路1243からは拡散符号に対応
したデータD12a、D12bが各受信レベル情報と共
に出力される。例えばあるコンボルバ回路1243から
は秘匿情報が出力され、別のコンボルバ回路1243か
らは秘匿情報以外の有意情報が出力され、さらに別のコ
ンボルバ回路1243からは擬似情報が出力される。こ
れらの出力データと受信レベルを用いて、各データが選
択/分離される。因みに、他の受信局では、拡散符号に
より畳み込み演算する最適なタイミングを知ることが困
難な上、譬え知り得たとしても異なった受信レベルで受
信されるため、これらの各データが選択/分離し得な
い。
【0338】コンボルバ回路1243から出力された各
データは検波器1245を介してストリーム形成回路1
242のデータ並べ換え/選択回路1247に送出され
ると共に、振幅検出回路1246に送出される。振幅検
出回路1246は各データの振幅を検出する。ここで送
信局1201は、受信局1202に対して、データ12
aが最大レベルで、データD12bがそれより小さなレ
ベルで、擬似情報が最小の受信レベルとなるように送信
を制御しているので、振幅検出回路1246から各デー
タに対応した受信レベルの情報が出力される。
【0339】振幅検出回路1246により得られた検出
結果は、データ並べ換え/選択回路1247に送出され
る。データ並べ換え/選択回路1247は、振幅検出回
路1246により得られた検出結果に基づいて、振幅値
の大小に応じて検波器1245から出力されたデータを
並べ換える。そして振幅値の最大のデータをD12a、
2番目のデータをD12bとしてデータ列を出力する。
【0340】次に、この実施の形態の無線通信システム
1200の動作を、図33を用いて説明する。
【0341】まず、受信局1202は送信局1201に
対して、予め定められた伝搬路推定用信号を通信1によ
り出力(送信1T)する。送信局1201は、第1伝搬
路1207を経由した信号を第1送受信部1203(図
30のアレイアンテナAN70)で、第2伝搬路120
8を経由した信号を第2送受信部1204(図30のア
レイアンテナAN71)で受信する。
【0342】このとき送信局1201は、既知信号とし
ての伝搬路推定用信号を、第1送受信部1203と第2
送受信部1204とで受信することにより、第1伝搬路
1207と第2伝搬路1208の伝搬路環境を推定す
る。
【0343】送信局1201は、受信局1202から出
力された信号から推定した伝搬路環境を逆に利用して、
第1送受信部1203と第2送受信部1204から出力
する信号を制御する。具体的には、送信局1201の伝
搬環境適応部1206が推定された伝搬路環境(受信波
の到来方向)に応じて、受信局1202の受信端におけ
る秘匿情報の信号電力が高くなるように、第1送受信部
1203及び第2送受信部1204を制御して信号(通
信2)を出力(送信2B)する。その後、同様にして通
信3以降を行う。
【0344】通信2では、送信局1201から受信局1
202に秘匿情報が送信される。通信2の情報は、送信
局1201の第1送受信部1203から第1伝搬路12
07を経由したものと、第2送受信部1204から第2
伝搬路1208を経由したものとの合成結果として、受
信局1202で受信(受信2T)される。上述した通
り、通信2は受信局1202の受信端における信号電力
が高くなるように制御されているため、受信局1202
は安定して受信2Tを行うことができ、秘匿情報を復調
できる。
【0345】またこのようにして出力された信号(通信
2)は、第1送受信部1203と第2送受信部1204
の2カ所で出力されるため、空間合成された結果として
の信号は受信する場所によって異なってくる。上記説明
によると、受信局1202の受信端における受信電力が
最大になるように送信制御したが、通信品質の高くなる
ように制御することが重要なので、遅延波などによって
通信品質が低下するような場合には、受信電力を下げて
マルチパス成分を低減することも有効である。
【0346】一方、秘匿情報を含む通信2を送信先でな
い第3者が傍受し、情報を引き出そうとした場合、通信
1により情報の傍受が行えたとしても、通信2では受信
局1202の受信端で最適な受信信号が空間合成される
ように送信制御されているため、第3者がこの信号を受
信してもその受信レベルが異なっており、情報を入手す
ることは困難である。
【0347】またこの実施の形態の場合、通信2におい
て、同時刻に、秘匿情報に加えて擬似情報を符号分割多
重して送信するようになっている。そして受信局120
2では、送信局1201と同じ拡散符号を使って各情報
データを復元する。ここで実施の形態のようにデータ毎
に符号系列を変えた場合、その符号系列の有する周波数
要素が異なるため伝搬路環境で受ける影響も異なる。
【0348】これにより、この実施の形態のように多重
したチャネルに秘匿情報を分散させることによって、チ
ャネル同士の伝搬状況による影響が異なってくるため、
第3者は秘匿情報を入手することが一段と困難になる。
【0349】なおここまでの説明では、受信局1202
の受信端に最適な受信信号が到達するように、第1送受
信部1203と第2送受信部1204の送信信号を制御
する点に着目した。以下では、同時刻、同周波数に2つ
のチャネル(秘匿情報、擬似情報)を重畳し、2以上か
らなる送信信号を用いて空間的に合成し、受信局120
2の受信端においての受信電力を各チャネルに対して独
立に制御する点に着目して説明する。
【0350】送信局1201は受信局1202から受信
(受信1B)した既知信号である伝搬路推定用信号に基
づいて、第1伝搬路1207と第2伝搬路1208とを
推定する。次に送信局1201は2種類の情報を2チャ
ネル分符号分割多重して受信局1202に対して送信す
る。
【0351】ここでそれぞれに割り当てるチャネルは、
拡散ゲインが等しくなるように、かつ直交した関係であ
るものを選択する。このとき第1情報として、秘匿情報
を、推定した伝搬路状況に基づき受信局1202の受信
端で最適な受信状況になるように送信する。ここでは最
適な受信状況として受信電力が最大になるように制御す
る。第2情報として、疑似情報を、推定した伝搬路状況
に基づき受信局1202の受信端で受信電力が第1情報
より小さくなるように制御して送信する。
【0352】このようにして放射された通信2は、空間
的に合成され受信局1202で受信される。空間的に合
成された結果として、受信端において、第1情報は電力
の大きい信号として、第2情報は電力の小さい信号とし
て、符号分割多重された状態で受信される。受信された
信号系列は拡散符号を用いて逆拡散することにより、互
いの信号を取り出すことができるが、拡散ゲインは等し
く設定されているため、各情報の受信電力に応じて一方
は電力が大きく他方は電力が小さくなる。受信局120
2ではこの受信電力の大きなチャネルの情報を秘匿情報
として選択し、他方のチャネルの情報を疑似情報として
扱うことで、秘匿情報を容易に選択できる。
【0353】一方、この情報を第3者が傍受し復元しよ
うとしても、第1情報の受信状態と第2情報の受信状態
は受信する場所によって異なってくるため、事前に知る
こともできなければ、受信信号系列から知ることは不可
能である。このため、通信2を第3者が知ることができ
ない。
【0354】このように周波数拡散を行うことにより、
ノイズへの耐性が高まるため通信品質を高めることがで
きるといった効果も得られる。
【0355】因みに、疑似情報を重畳したチャネルにつ
いて、各伝搬路1207、1208を通じて合成受信し
た電力が小さくなるように制御する場合について述べた
が、疑似情報を重畳したチャネルの受信電力を0とす
る、つまり互いにキャンセルさせるように制御する場
合、キャンセルされる空間領域は極めて狭域であるとい
った特長がある。
【0356】ここで電磁波が空間合成される様子を図3
4に示す。図34は、2波による定在波の様子を示した
ものである。横軸は位置、縦軸は電力を示している。こ
の図からも分かるとおり、最大レベルを0dBに正規化
したとき、ほとんどの位置が−10dB以上である。ま
た−20dB以下となるような空間合成により、電波が
互いにキャンセルされて電力の低い箇所は鋭いピークを
有しており、位置が少しずれただけで急激に電力が上昇
する。
【0357】この特性を利用して、例えば第1情報の信
号電力を−10dBm程度に設定し、第2情報を受信端
においてキャンセルされるように送信制御すると、第2
情報の妨害が無視できる領域は限られた領域しかなく、
ほとんどの領域において第1情報を正しく受信できない
ことが分かる。つまり通信ターゲットである受信局12
02が位置する場所以外の場所では、第1情報が第2情
報によって妨害される。これにより第3者が第1情報を
入手することは非常に困難となる。
【0358】かくして以上の構成によれば、秘匿情報
を、複数の伝搬路1207、1208を介して設定され
た時刻に受信局1202で受信されるタイミングで送信
するのに加えて、秘匿情報の送信先である受信局120
2で当該秘匿情報の受信電力が最大となるように送信局
1201での指向性を制御したことにより、第3者によ
る秘匿情報の入手を一段と困難にすると共に、受信局1
202において通信品質の良い秘匿情報を得ることがで
きる無線通信システム1200を実現できる。
【0359】またこの実施の形態では、アレイアンテナ
技術と高い親和性がある。この技術は、電気的に放射特
性を制御できると言った大きな特長を有しており、この
実施の形態ではそれを積極的に応用している。
【0360】そのためアレイアンテナ自体が有している
特長をそのまま活用することができ、例えば説明中にあ
る通信2を行っている際に、受信局1202との通信に
は関係ない方向に向けて別チャネルの通信を実施するこ
ともでき、あるいはマルチパス環境下での通信において
放射特性を制御することもできる。これらを行うことに
よって、通信容量の増加させることができ、あるいはマ
ルチパスの影響を低減することもできる。
【0361】(他の実施の形態) (1)なお上述の実施の形態では、受信端末基準時間の
基準となる時刻を、送信局が通信1により受信局に送信
するネットワーク基準時間とした場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、要は送信局と受信局との間
で一致した時刻を有していればよい。例えば予め設定し
てある時刻を基準とすることもできる。また受信局から
基準時刻通知信号を送信局に送信すれば、伝送路遅延を
推定できている送信局は、基準時刻通知信号の受信時刻
から、受信局に対して基準時刻を合わせることもでき
る。
【0362】(2)また上述の実施の形態4では、送信
局が受信局で設定した受信端末基準時間に秘匿情報を含
む送信データが到達するような送信タイミングで送信を
行う場合について述べたが、本発明はこれに限らず、送
信局が受信局で設定した受信端末基準時間に対して、所
定時間分だけ時間をずらした送信タイミングで秘匿情報
を含む送信データを送信するようにしてもよい。この場
合、受信局は、実施の形態4で上述したように、秘匿情
報の送信対象である受信局のみが抽出し得る同期系列信
号を使って受信処理を行う。
【0363】具体的に、図4を用いて説明する。先ず送
信局が受信局に対してネットワーク基準時間を含む制御
信号を送信する(通信1)。次に受信局は一定時間(T
1)後に送信局に対して応答信号を送信する(通信2)
と共に、受信端基準時刻(Tk)を設定する。次に送信
局は通信1及び通信2から伝搬路の状態を推定する。具
体的には、信号伝搬時間(Td)を推定する。
【0364】次に送信局は受信局に対して通信3を行な
う。このとき送信局は推定した信号伝搬時間(Td)や
装置で発生する処理遅延時間から送信時刻を算出し、送
信タイミングを制御する。送信局は通信3が受信局に受
信端基準時刻(Tk)に到達するように時間制御する
が、この際、追加情報に従って定められる遅延量(T
s)を受信端基準時刻(Tk)に加えて通信3を送信す
る。この結果、受信局では、通信3が時刻(Tk+T
s)に受信される。受信局では、時刻(Tk)を中心と
して数シンボルにわたって通信3に対する受信処理を行
うことにより時間同期を行う。ここで時間同期を行うこ
とができるのは、送信信号中に送信局と受信局の間だけ
で分かっているフォーマットで同期系列信号が配置され
ているためである。すなわち実施の形態4で上述した構
成の受信局では、受信端基準時刻(Tk)丁度に送信デ
ータが到達しなくても、同期系列信号を利用して受信処
理を行うことができる。
【0365】そして時間同期の結果と、時刻(Tk)の
差(Ts)を追加情報として、別途処理系に渡す。この
とき、追加情報を用いて以下の応用が考えられる。
【0366】第1に、送受信局間で複数のスクランブル
フォーマットを定めておき、追加情報によってこれらを
切り替えることである。第2に、秘匿情報を複数に分割
し、追加情報によってその種別を伝達することである。
つまり、送信局が秘匿情報を第1及び第2の情報に分割
して送信し、受信局では追加情報(Ts)がプラスの場
合には第1の分割秘匿情報を復調し、マイナスの場合に
は第2の分割秘匿情報を復調する。さらに第3に、暗号
化パターンを複数用意しておき、追加情報(Ts)によ
ってそれらを切り替えることである。
【0367】かくするにつき、他の受信局では、一層秘
匿情報を復元することが困難となる。また秘匿情報の送
受信を行っている送信局と受信局では、受信端基準時刻
(Tk)丁度でなくても、秘匿情報を復元できるように
なるので、設計の自由度が増す。
【0368】(3)また上述の実施の形態では、全情報
に対して、受信局で設定された受信端末基準時間に送信
局から送信された信号が到達するように、送信局による
送信タイミングを制御する場合について述べたが、本発
明はこれに限らず、暗号キーのように特に重要な秘匿情
報の伝送に対してのみこのような送受信を行い、他の情
報に対しては、パイロット信号のような同期信号を付加
して通常のタイミングで送信を行うようにしてもよい。
このようにすることで同期信号を付加せず、同期復調処
理を行わないことにより生じる復調時の不安定さを最小
限に抑制することができ、全体としての通信品質を向上
させることができる。
【0369】(4)また上述の実施の形態では、同期系
列、疑似同期系列を複数シンボルにより構成する場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれを1
シンボルで構成するようにしてもよい。また疑似同期系
列は疑似シンボルや情報シンボルや同期系列の一部とし
て兼用するようにしてもよい。
【0370】また同期系列として、例えばsin波のよ
うに単調なパターンの繰り返しを用いるようにしてもよ
い。この場合、秘匿情報の送信対象である受信端末1は
その同期系列の開始時間を推定することができるのに対
して、受信端末2はどのパターンが同期系列の開始時間
かを推定できない。従って同期系列の一部を疑似同期系
列にしても、同期系列から得られる基準位相がタイミン
グによって変化(回転)すろため、上述の実施の形態と
同様の効果を得ることができる。
【0371】また同期系列を1種類に限定する必要はな
く、複数種類の同期系列を用いるようにしてもよい。こ
のようにすれば、第3者による秘匿情報の復調及び復号
は一層と困難となる。さらに同期系列の種類によって情
報シンボルと疑似シンボルの配置を示したフォーマット
を変更すれば、一段と高いセキュリティを確保できる。
【0372】(5)また上述の実施の形態では、疑似シ
ンボルに疑似情報を載せる場合について述べたが、本発
明はこれに限らず、疑似シンボルに、第1正規情報に対
する誤り検出機能や誤り訂正機能を、第2正規情報とし
て載せるようにしてもよい。また畳込符号系列や、ブロ
ック符号系列に代表される情報系列と、その疑似情報系
列に置き換えることもできる。
【0373】(6)また上述の実施の形態では、送信局
に送信部を2つ設けることにより、第1伝搬路及び第2
伝搬路の2つの伝搬路を経由した通信を行う場合につい
て述べたが、本発明はこれに限らず、送信部を3つ以上
設けることにより通信を行う伝搬路を3つ以上にしても
よい。
【0374】さらに上述の実施の形態では、送信局に送
信部を2つ設けることにより2つの伝搬路通信を実現す
る場合について述べたが、複数の伝搬路通信を実現する
方法はこれに限らず、例えば各送信部を別々の位置に配
置することでも異なる伝搬路通信を実現できる。また送
信部は同位置に設置して、各送信部の指向性を狭めたア
ンテナを適用してもよい。また送信部は1つとすると共
に送信部にアダプティブアレイアンテナを適用し、電波
の反射や回折などの特性を利用することにより異なる通
信伝搬路を形成するようにしてもよい。要は、互いに秘
匿情報を通信し合っている無線通信局間のみが共有でき
る複数の伝搬路を形成すればよい。
【0375】(7)また上述の実施の形態では、説明を
簡単化するために、疑似シンボルの電力を0と仮定して
説明したが、疑似シンボルの電力は0である必要はな
い。有意シンボルとの干渉を小さくするには、疑似シン
ボル電力を十分に小さくすればよい。またベクトル合成
した結果の電力が十分に小さくなるように疑似シンボル
を複数部分に分割してもよい。
【0376】(8)上述の実施の形態では、偏波状態の
推定として、楕円偏波pの長軸とアンテナからなる角度
と、扁平率を求める例を挙げたが、図21及び図22で
示した構成のうち、電界強度検出部1020や電界強度
制御部1021のみを用いることで、おおよその長軸角
度のみを求めて偏波面を制御してもよく、偏波面を制御
する方法としては、このような簡易な構成に換えてもよ
い。
【0377】また上述の実施の形態では、直線偏波を用
いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、円
偏波についても同様の効果を得ることができる。この場
合は、垂直偏波や水平偏波が右旋偏波、左旋偏波に置き
換わる。
【0378】(9)また上述の実施の形態10、11で
は、送信局と受信局間で1つの伝搬路を用いて通信する
場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数の
伝搬路についても同様の通信を達成することができるの
は明らかである。
【0379】この場合、第1伝搬路を用いた通信と第2
伝搬路を用いた通信を、時刻をずらして行えば、時間ダ
イバーシチ効果を得ることができる。逆に、両通信を同
時刻に行えば、パスダイバーシチ効果と得ることができ
る。当然、2つ以上の伝搬路を第3者が推定することは
1つの伝搬路を推定することよりも困難となるので、複
数の伝搬路に情報を分散させれば、秘匿情報のセキュリ
ティを飛躍的に高くすることができる。
【0380】(10)また上述の実施の形態10では、
アンテナとしてダイポールアンテナを例に挙げたが、ア
ンテナの種類には限定されず、ヘリカルアンテナや平面
アンテナ、パラボラアンテナ、八木アンテナ、その他全
てのアンテナを用いた場合も同様の効果を得ることがで
きる。さらに複数のアンテナを用いて指向性を電気的に
制御するアダプティブアレイアンテナ技術を用いて、通
信に関係ない方向に対して疑似情報を放射すれば、第3
者による秘匿情報の傍受を一層困難にすることができ
る。また放射特性と共に偏波面の角度を変更できるよう
になる。またアレイアンテナのような電気的に指向性を
制御し得るアンテナを用いれば、複数の伝搬路を用いた
通信方法への適用も容易となる。
【0381】(11)また上述の実施の形態では、秘匿
情報のセキュリティに着目して説明したが、上述した秘
匿情報の通信時に行った伝搬環境推定に加え、その後の
通信でも伝搬環境の推定を行い、両方の推定結果を比較
すれば、送信局において受信局が秘匿情報の通信相手で
あるか否かを認証することもできる。
【0382】(12)また上述の実施の形態10、11
では、伝搬環境推定用に偏波推定用信号を出力する場合
について述べたが、この偏波推定用信号としては正弦波
でもよく、1シンボル以上で構成される信号系列であっ
てもよい。
【0383】さらに上述の実施の形態10、11では、
偏波推定用信号を直線偏波とすることで、伝搬路におけ
る偏波面の回転角と振幅を検出する場合について述べた
が、ある偏波面の信号とそれに直交する偏波面の信号と
を分離できるように、例えば時刻をずらして偏波推定用
信号を送信したり、互いに直交する偏波推定用信号を割
り当てて多重送信すれば、偏波推定用信号の送信側と受
信側とで偏波の回転や位相差までも検出できる。
【0384】(13)また上述の実施の形態12では、
拡散符号を用いて秘匿情報に加えて、擬似情報を符号分
割多重して受信局に送信する場合について述べたが、本
発明はこれに限らず、例えば各データを周波数分割多重
したり直交周波数分割多重して送信してもよい。
【0385】(14)また上述の実施の形態12では、
第1情報(秘匿情報)と第2情報(擬似情報)に用いる
符号系列の拡散ゲインを等しくする場合について述べた
が、必ずしも等しくする必要はない。また直交性につい
ても必ずしも必要ではなく、受信局の受信端において受
信電力に十分な差が出るよう制御すれば、全く同一の符
号系列を第1情報と第2情報とに与えて拡散した場合で
も、あるいは符号長が1(すなわち拡散をしない)であ
るような構成でも実現できる。この場合、第3者が傍受
した受信信号では疑似情報を重畳した第2情報の信号が
妨害波となるので、第3者は第1情報を入手できない。
【0386】またここでは、第1情報と第2情報に同一
符号を割り当てても本発明が実施できることを説明した
が、第2情報が受信端において空間合成されたときの受
信電力が十分小さくなるように制御すれば、受信信号は
ほぼ第1情報のみとなり多重された信号を分離する必要
がなくなる。つまり、多重の段階で符号拡散を行わなく
ても同様の効果を得ることができる。
【0387】従って、第1情報と第2情報については、
推定した伝搬路状況に基づき、受信局の受信端での受信
電力を、一方を大きく、他方の電力をそれに対して十分
小さく制御することによってのみ重畳させるだけでよ
い。このようにすれば、伝送効率を落とすことなく通信
2で秘匿情報を伝送できる。この場合、小さい信号の総
合電力が大きい信号の電力に対して1dB程度以上の電
力差がつけば受信側でこれらを分離できる。
【0388】(15)また上記説明では、多重方式とし
て各キャリアに対して拡散符号を割り当てる符号分割多
重(CDMA)方式について述べたが、OFDM多重を
用いても同様の効果を得ることができる。すなわちCD
MAの場合は、拡散符号毎の合成電力を制御したが、O
FDMを適用する場合は、サブキャリア毎の合成電力を
制御すればよい。例えばサブキャリアを複数グループ
(例えば奇数サブキャリアと偶数サブキャリア)に分割
し、サブキャリアグループ毎の合成電力を制御すればよ
い。
【0389】(16)また実施の形態12では、多重し
た第2情報を疑似情報とした場合について述べたが、第
2情報は擬似情報に限らず、例えば他チャネルの情報で
もよい。このようにすれば、伝送効率を高めることがで
きる。また第1情報、第2情報共に秘匿情報として送信
し、受信局において受信電力の大きさに応じて第1情報
と第2情報とを分離し、復号することもできる。
【0390】さらに送信局から送信する第1情報、第2
情報に加えて、両者の電力値やその大きさの順番、或い
は両者の電力比等の情報を重畳して送信してもよい。ま
た通信2で送信するデータの多重数は2つや3つに限ら
ず、4以上の情報を多重して送信してもよい。この場
合、受信局では、それらの信号を受信電力の大きさに準
じて、第1から第n(nは2以上の自然数)の情報に分
離し、復号できる。このようにすれば、第3者が傍受し
ようとしても、伝搬路が異なるため、正しい受信電力の
大きさの順番が得られないため、情報の秘匿性が高ま
る。
【0391】(17)また上述の実施の形態12では、
送信局が送受信部を2つ有する場合について述べたが、
送受信部の数は2つに限定されない。またアレイアンテ
ナを用いて放射特性を制御する場合、アンテナ素子をN
とすると空間合成により信号がキャンセルされて信号電
力が0になるようなヌル特性をN−1個だけ作れること
が知られている。この特長を用いた方法について、図3
5を用いて説明する。
【0392】図29との対応部分に同一符号を付した図
35に示すように、無線通信システム1300は、送信
局1301に第3送受信部1302が加えられ、伝搬路
として第3伝搬路1307が新たに形成される。
【0393】上述の実施の形態12と同様に、送信局1
301は受信局1202から既知信号としての伝搬路推
定用信号を受信することにより、伝搬環境推定部130
3によって第1伝搬路1305、第2伝搬路1306、
第3伝搬路1307の伝搬環境を推定する。
【0394】次に送信局1301は3種類の情報を3チ
ャネル分符号分割多重して受信局1202に送信する。
それぞれに割り当てるチャネルは、拡散ゲインが等しく
なるように、かつ直交した関係のものを選択する。
【0395】このとき、第1情報として秘匿情報を、推
定した伝搬路環境のうち、第1伝搬路1305、第2伝
搬路1306、第3伝搬路1307の推定結果に基づ
き、受信局1202の受+信端で最適な受信状況になる
ように送信する。ここでは、最適な受信状況として受信
電力が最大となるように制御する。第2情報として疑似
情報を、推定した伝搬路環境のうち、第1伝搬路130
5、第2伝搬路1306、第3伝搬路1307の推定結
果に基づき、受信局1202の受信端で受信電力が最小
になるようにヌル制御を行い送信する。
【0396】このとき制御可能な2つのヌル特性のう
ち、一方を用いることとし、他方のヌル特性は通信が適
当な状態を保てるように設定する。さらに第3情報とし
て疑似情報を、推定した伝搬環境のうち、第1伝搬路1
305、第2伝搬路1306、第3伝搬路1307の推
定結果に基づき、受信局1202の受信端で受信電力が
最小になるようなヌル制御を行い送信する。このとき2
つのヌル特性のうち、一方のヌル特性は第2情報と同様
の特性とするが、他方のヌル特性は第2情報とは異なる
状態となるようにヌル制御して送信する。
【0397】このようにして放射された3つの情報信号
は、空間的に合成され受信局1202で受信される。空
間的に合成された結果として、受信端において、第1情
報は電力の大きい信号として、第2情報及び第3情報は
電力の小さい信号として、符号分割多重された状態で受
信される。
【0398】受信された信号系列は拡散符号を用いて逆
拡散することにより、互いの信号を取り出すことができ
る。ここで拡散ゲインは等しく設定してあるため、各情
報の受信電力に応じて1つは電力が大きく他は電力が小
さくなる。受信局1202では電力の大きなチャネルの
情報を秘匿情報として選択し、他方のチャネルの情報を
疑似情報として扱うことで、容易に秘匿情報のみを抽出
できる。
【0399】ここで、秘匿情報を第3者が傍受し復元し
ようとした場合を考える。この場合、第1情報の受信状
態と第2、第3情報の受信状態は受信する場所によって
異なってくる。この受信状態は事前に知ることもできな
ければ、受信信号系列から知ることは不可能である。
【0400】さらに多重された第3情報の放射特性は第
2情報と同じく、受信局1202の受信端ではヌルが形
成されるように制御されているが、ヌルの状態が互いに
異なるように制御されている。ここでヌルを制御する場
合でも、条件によりその制御箇所以外にもヌルは形成さ
れることがあり、例えば第3者の受信位置で、第2情報
がヌル付近であったとしても、第3情報が同様の状態で
あることは少ない。この結果、第3者に秘匿情報の内容
が漏洩する確率は大幅に減る。かくして、送受信部を3
つ設けた構成では、2つの送受信部を用いたよりも秘匿
性を大幅に高めることができる。
【0401】同様にして、送信局の送受信部の数を4、
5、6と増加させることで、多重数を増加させて一段と
秘匿性を高めることもできる。また送受信部の数に対し
て多重数を抑え、多重する1情報あたりのヌル制御の自
由度を向上させれば、精度の向上させることもでき、制
御を高度化することもできる。またシンボル毎にヌル制
御に用いるパラメータ設定を変更し、制御外で形成され
るヌルの箇所が重ならないようにすれば、第3者に秘匿
情報が漏洩する可能性を一段と抑制し得る。
【0402】また第2情報及び第3情報をヌル制御する
ことにより、受信局で第2情報及び第3情報の受信電力
が小さくなるように制御した場合について述べたが、第
2情報及び第3情報の受信電力を第1情報とは異なる様
に制御し、第1から第3情報にそれぞれの受信電力の大
きさ情報を付加すれば、更に高い秘匿性を持たせること
ができる。さらにシンボル毎にその制御を刻々と変化さ
せれば、一層漏洩を防止できる。
【0403】(18)また以上の説明では、秘匿情報で
なる第1情報の送信電力と、それに多重された他の情報
との送信電力は等しい場合について述べた。しかし、必
ずしもこれらは等しい必要はなく、例えば第1情報の送
信電力を他情報より低く設定すれば、秘匿性を向上させ
ることができる。逆に第1情報の送信電力を他情報より
高く設定すれば、秘匿情報の通信の安定させることがで
きる。これらは、提供する無線通信システムの環境など
に応じて適宜調整すればよい。
【0404】(19)上述の実施の形態では、説明上、
伝搬路推定用信号を既知信号としたが、既知信号でなく
ても伝搬路を推定できる。但し、既知信号であれば推定
が容易になり、ノイズの影響を軽減できるといった利点
がある。また包絡線が一定の信号であればアダプティブ
アレイアンテナの推定アルゴリズムであるCMA方式が
適用できる。さらに伝搬路推定用信号は伝搬環境が変化
する場合に必要なのであって、送信局と受信局の間で形
成される伝搬路が固定であれば、予めその特性を計測し
ておくことによって秘匿通信を行うことができる。
【0405】(20)また複数の送受信部を設ける場合
のアンテナとして、アレイアンテナを例に挙げて説明し
たが、アレイアンテナの構成を限定するものではない。
変調波のコヒーレンシが制御可能であれば2つ以上の送
信局を用いて同等の制御を行うことができる。またアレ
イアンテナのように電気的に放射特性を制御できるアン
テナを用いれば、送信局は秘匿情報を伝送している受信
局との通信とは独立して別の無線局との通信を行うこと
もできる。この場合、それぞれの受信局に対して同時
刻、同周波数に通信信号を多重して送信できることは上
述した通りである。このように多重数を増やすことで第
3者への秘匿情報の漏洩を防止する効果はさらに高ま
る。別の受信局がなく、通信が一対の送信局と受信局の
みで行われている場合は、上述したように疑似情報を多
重すれば、秘匿情報のセキュリティを保つことができ
る。
【0406】(21)また上述の実施の形態では、秘匿
情報に複数種類の情報を多重する多重方式として符号分
割多重を例に挙げて説明したが、アレイアンテナの放射
特性制御を用いて各情報を選択できるため、とくに多重
方式に限定されない。
【0407】(22)また本発明は変調方式や多重方式
を限定することなく利用できる。例えば実施の形態1〜
実施の形態4で上述した通信1、通信2、通信3、通信
4、……毎、及び実施の形態5、6、7で上述した通信
10、通信11、通信20、通信21、通信30、通信
31、通信4、……毎に別々の変調方式や多重方式を適
用することもできる。特に伝搬環境を推定する場合、通
信1には実施の形態1のようにスペクトル拡散を適用す
ることで、フェージングに強くなり推定精度の良い推定
処理を行うことができる。
【0408】またASK変調方式、FSK変調方式、差
分符号変調方式やOFDM(Orthogonal Frequency Divi
sion Multiplexing)方式を適用してもよい。これらの変
調方式を用いる場合は、特に位相の同期を行う必要がな
いといった長所がある。
【0409】またPSK変調やQAM変調、パルス変調
等も適用し得る。さらに多重方式にも依存しないため、
FDMA多重波、CDMA多重波、OFDM多重波等も
適用し得る。
【0410】すなわち上述の実施の形態では、秘匿情報
の送信を時間やチャネル単位で制御する場合について述
べたが、CDMA多重波やOFDM多重波などのような
マルチキャリア変調方式を用いれば、キャリア毎に偏波
面の制御を行うことができる。従って時間別、チャネル
別での制御に加えてキャリア別での制御を行うことによ
り、より高度な制御を行うことができるようになる。こ
の結果第3者に対する秘匿性を飛躍的に向上させること
ができる。
【0411】また実施の形態1の通信3におけるシンボ
ルレートを通信1、通信2のシンボルレートに対して低
く設定すれば、相対的に伝搬路遅延の精度を向上させる
ことができる。このとき通信3のシンボルレートと、通
信1から通信3までの処理時間とによって、送信局と受
信局との位置関係の精度が決まってくるので、システム
設計に応じて個々の値を設定すればよい。
【0412】同様に、実施の形態5、6、7における通
信30、通信31のシンボルレートと、通信10から通
信30、或いは通信11から通信31までの処理時間と
によって、送信局と受信局との位置関係の精度が決まっ
てくるので、システム設計に応じて個々の値を設定すれ
ばよい。
【0413】このように、本発明は変調方式、多重方式
に限定されず、他の情報レイヤに影響を及ぼすものでは
ないため、従来のシステムと高い親和性を有している。
また暗号化技術と組み合わせることでより高いセキュリ
ティを実現できるため、個人情報、金融情報、機密情報
など高いセキュリティが必要とされる情報通信分野に広
く適用し得る。
【0414】(23)また上述の実施の形態では、伝搬
路での信号伝搬時間を推定し、この信号伝搬時間を使っ
て送受信間の送受信同期をとることにより、他のユーザ
が秘匿情報を復元できないようにした場合について述べ
たが、通信を行っている無線局同士のみが共有できるよ
うな他の伝搬路環境を利用しても上述の実施の形態と同
様の効果を得ることができる。この伝搬環境には、例え
ばマルチパス環境やフェージング環境等があり、これら
を複合的に活用するようにしてもよい。また送信局と受
信局との装置差(例えば基準周波数の差など)までも含
めて、通信に応用することでさらに高いセキュリティを
実現することもできる。
【0415】(24)また上述の実施の形態では、説明
を簡単化するため、秘匿情報を含む情報を送信する無線
局を送信局とし、それを受信する無線局を受信局として
説明したが、本発明はこれに限らず、相互に秘匿情報の
送受信を行うようにしてもよい。
【0416】(25)さらに上述の実施の形態では、送
信局が受信局との同期をとるための信号としてネットワ
ーク基準時間を含む制御信号を発信することにより、送
信局と受信局で同一の基準期間を共有し、ネットワーク
時刻Tkを秘匿情報の到達時刻とする場合について述べ
たが、本発明はこれに限らず、同一の基準時刻を共有し
なくても上述の実施の形態と同様に、受信局で設定した
時点に秘匿情報を到達させることができる。
【0417】これを、図36を用いて説明する。送信局
は時点t1で通信1を送信する。この通信1には、実施
の形態と異なり基準時間情報が含まれていないものとす
る。受信局は時点t2で通信1を受信する。そして時間
T1が経過した時点t3で受信局が通信2を送信する。
送信局は通信2を時点t4で受信する。さらに受信局は
ある時間経過の後(この時間は送受間で共有する必要は
ない)、時点t5で通信2'を送信する。送信局は時点
t6で通信2'を受信する。送信局は時点t6から時間
Td経過した後の時点t7で通信3を送信する。ここ
で、送信局と受信局は受信1Tしてから送信2Tするま
での時間T1と、送信2'Tしてから受信3Tするまで
の時間T2を共有情報として保持している。
【0418】ここで信号伝搬時間Twとすると、次式の
関係が成り立つ。 t4−t1 = 2×Tw+T1 ……… (1) 従って信号伝搬時間Twは、次式 Tw = (t4−t1−T1)/2 ……… (2) と表すことができる。受信端基準時間1(時点t8)に
到達するように、送信局が送信すべき時点t7は、時点
t5、t6及びT2との関係から t7 = t8−Tw = (t5+T2)−Tw = t6+T2−2×Tw ……… (3) すなわち、調整時間Td(=t7−t6)は次式 Td=T2−2×Tw = T2−(t4−t1−T1)……… (4) と表すことができる。
【0419】このように、送信局の送信タイミングのた
めの調整時間Tdは、送信局にとって既知の時点t1、
t4と共有時間情報T1、T2で表すことができるので
送信局は(4)式に基づいて時点t8に受信局に秘匿情
報が到達するような送信タイミングで秘匿情報を含む送
信データを送出できる。
【0420】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1の無線局から第2の無線局に秘匿情報を含む送信デ
ータを無線伝送する場合、当該秘匿情報を伝送する前
に、第1の無線局と第2の無線局の間で信号の送受信を
行うことにより、第1の無線局と第2の無線局の間での
み共有する無線伝搬路環境を推定し、推定した無線伝搬
路環境を考慮して、第1の無線局から第2の無線局に秘
匿情報を伝送するようにしたことにより、無線回線を介
して特定の無線局に秘匿情報を伝送する場合に、高いセ
キュリティで秘匿情報を伝送し得るデータ伝送装置、無
線通信システム及び無線通信方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信システム
の構成を示すブロック図
【図2】図1の送信局の構成を示すブロック図
【図3】図1の受信局の構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1、3の無線通信システムにおける
通信手順を示すシーケンス図
【図5】実施の形態1、3の通信信号の伝搬状態を示す
【図6】実施の形態4のバースト信号形成部の構成を示
すブロック図
【図7】実施の形態4の復調部及びストリーム形成部の
構成を示すブロック図
【図8】実施の形態4の時間同期/ユニークワード抽出
回路の構成を示すブロック図
【図9】図8の時間同期/ユニークワード抽出回路の動
作の説明に供する信号波形図
【図10】実施の形態4の通信信号の伝搬状態を示す図
【図11】実施の形態5の無線通信システムの構成を示
すブロック図
【図12】実施の形態5、6、7の無線通信システムに
おける通信手順を示すシーケンス図
【図13】実施の形態5の通信信号の伝搬状態を示す図
【図14】実施の形態6、7,9の通信信号の伝搬状態
を示す図
【図15】実施の形態8の無線通信システムの構成を示
すブロック図
【図16】実施の形態8、9の無線通信システムにおけ
る通信手順を示すシーケンス図
【図17】実施の形態9の無線通信システムの構成を示
すブロック図
【図18】図17の送信局の構成を示すブロック図
【図19】実施の形態10の無線通信システムの構成を
示すブロック図
【図20】図19の送信局の構成を示すブロック図
【図21】図20の伝搬環境推定部の構成を示すブロッ
ク図
【図22】図20の放射特性制御部の構成を示すブロッ
ク図
【図23】偏波面と電界強度、位相差の説明に供する図
【図24】実施の形態10、11の無線通信システムに
おける通信手順を示すシーケンス図
【図25】実施の形態10の動作の説明に供する図
【図26】アンテナの位置と偏波面との説明に供する図
【図27】アンテナの位置と偏波面との説明に供する図
【図28】実施の形態11の無線通信システムの構成を
示すブロック図
【図29】実施の形態12の無線通信システムの構成を
示すブロック図
【図30】図29の送信局の構成を示すブロック図
【図31】図30のバースト信号形成部、ビームフォー
マ、変調部の構成を示すブロック図
【図32】図30の復調部及びストリーム形成部の構成
を示すブロック図
【図33】実施の形態12の無線通信システムにおける
通信手順を示すシーケンス図
【図34】電磁波の空間合成の説明に供する図
【図35】他の実施の形態に係る無線通信システムの構
成を示すブロック図
【図36】他の実施の形態に係る通信手順を示すシーケ
ンス図
【符号の説明】
100、500、800、900、1000、110
0、1200、1300無線通信システム 101、501、801、802、901、1001、
1201、1301送信局 101a、102a、502、503、1012、12
20 送信部 101b、102b、1013、1240 受信部 101c、904、1006、1205、1303 伝
搬環境推定部 101d、905、1206、1304 伝搬環境適応
部 102、1002、1040、1101、1202 受
信局 102c、1007、1010 時間制御部 103、504、505、806、807、906、9
07、1041、1042、1207、1208、13
05、1306、1307 伝搬路 115、132、300、1221 バースト信号形成
部 116、134、1223 変調部 118、905a タイミングコントロール部 120、904a 遅延量推定部 122、141、310 復調部 123、142、320 ストリーム形成部 330 コンボルバ回路 312 時間同期/ユニークワード抽出回路 333 ピーク探索回路 334 探索範囲設定回路 335 ユニークワード選択回路 803、804 網接続部 805 ネットワーク 902、903、1005、1009、1203、12
04、1302 送受信部 904b 電力測定部 905b 電力制御部 1003、1004、1102、1103 アンテナ部 1008、1104 放射特性制御部 1210 到来方向推定部 1222 ビームフォーマ AN、AN11、AN12、AN13、AN20、AN
21、AN30、AN60、AN61 アンテナ D1、D2、D3 ユーザデータ D4 スクランブルパンクチュアデータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安倍 克明 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番1 号 松下技研株式会社内 (72)発明者 松岡 昭彦 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番1 号 松下技研株式会社内 Fターム(参考) 5J104 AA16 BA06 EA13 EA16 NA02 NA07 5K047 AA11 BB01 HH01 HH12 HH44 JJ02 JJ06 MM02 MM12 5K067 AA30 BB21 EE02 EE12

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 秘匿情報を含む送信データを無線により
    無線局に伝送するデータ伝送装置であって、 前記無線局により発信された信号を受信する受信手段
    と、 前記受信手段により得られた受信信号に基づいて前記無
    線局との間の無線伝搬路環境を推定する推定手段と、 前記推定手段により得られた無線伝搬路環境を考慮し
    て、前記秘匿情報を含む送信データを前記無線局に送信
    する送信手段とを具備するデータ伝送装置。
  2. 【請求項2】 前記推定手段は、前記受信信号に基づい
    て前記無線局との間の信号伝搬時間を前記無線伝搬環境
    として推定し、 前記送信手段は、前記送信データが所望の受信時刻に前
    記無線局に到達するように、前記信号伝搬時間を考慮し
    たタイミングで、前記送信データを送信する請求項1に
    記載のデータ伝送装置。
  3. 【請求項3】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、前
    記無線局との間で予め決められた位置に、擬似シンボル
    を付加する擬似シンボル付加手段を具備し、 前記送信手段は、擬似シンボルが付加された送信データ
    を前記無線局に送信する請求項2に記載のデータ伝送装
    置。
  4. 【請求項4】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、前
    記無線局との間で予め決められた位置に、互いに同期関
    係にある同期系列信号を付加する同期信号付加手段と、 前記同期系列信号についての擬似同期信号であり、互い
    に同期関係にある擬似同期系列信号を付加する擬似同期
    信号付加手段とを具備する請求項2又は請求項3に記載
    のデータ伝送装置。
  5. 【請求項5】 秘匿情報を含む送信データを無線により
    無線局に伝送するデータ伝送装置であって、 互いに異なる位置に配置され、前記無線局により発信さ
    れた信号を受信する第1及び第2の受信手段と、 前記第1の受信手段により得られた受信信号に基づいて
    当該第1の受信手段と前記無線局との間の第1の無線伝
    搬路環境を推定すると共に、前記第2の受信手段により
    得られた受信信号に基づいて当該第2の受信手段と前記
    無線局との間の第2の無線伝搬路環境を推定する推定手
    段と、 それぞれ前記第1及び第2の受信手段と同じ位置に配置
    され、前記推定手段により得られた前記第1及び第2の
    無線伝搬路環境を考慮して、前記秘匿情報を含む送信デ
    ータを前記無線局に送信する第1及び第2の送信手段と
    を具備するデータ伝送装置。
  6. 【請求項6】 前記推定手段は、前記各受信信号に基づ
    いて、前記無線局と前記第1の受信手段との間の第1の
    無線伝搬路における信号伝搬時間及び前記無線局と前記
    第2の受信手段との間の第2の無線伝搬路における信号
    伝搬時間を前記第1及び第2の無線伝搬環境として推定
    し、 前記第1及び第2の送信手段は、前記送信データが予め
    前記無線局との間で設定された時刻に前記無線局に到達
    するように、前記各信号伝搬時間を考慮したタイミング
    で、前記送信データを前記無線局に送信する請求項5に
    記載のデータ伝送装置。
  7. 【請求項7】 前記第1及び第2の送信手段は、第1及
    び第2の送信データがそれぞれ異なる時刻に前記無線局
    に到達するタイミングで各送信データを送信する請求項
    6に記載のデータ伝送装置。
  8. 【請求項8】 前記第1及び第2の送信データは、互い
    に同一のフォーマットで形成されており、 前記第1及び第2の送信手段は、第1及び第2の送信デ
    ータが同時刻に前記無線局に到達するタイミングで各送
    信データを送信する請求項6に記載のデータ伝送装置。
  9. 【請求項9】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、前
    記無線局との間で予め決められた位置に、擬似シンボル
    を付加する擬似シンボル付加手段を具備し、 前記送信手段は、擬似シンボルが付加された送信データ
    を前記無線局に送信する請求項6から請求項8のいずれ
    かに記載のデータ伝送装置。
  10. 【請求項10】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、
    前記無線局との間で予め決められた位置に、互いに同期
    関係にある同期系列信号を付加する同期信号付加手段
    と、 前記同期系列信号についての擬似同期信号であり、互い
    に同期関係にある擬似同期系列信号を付加する擬似同期
    信号付加手段とを具備する請求項6から請求項9のいず
    れかに記載のデータ伝送装置。
  11. 【請求項11】 前記第1及び第2の送信データの単位
    通信フレームを並べたときに、前記秘匿情報を形成する
    秘匿シンボル同士が重ならないように、前記第1及び第
    2の各送信データ中に、秘匿シンボルに対して電力が非
    常に小さい擬似シンボルを付加する擬似シンボル付加手
    段を具備し、 前記第1及び第2の送信手段は、第1及び第2の送信デ
    ータが同時刻に前記無線局に到達するタイミングで各送
    信データを送信する請求項6に記載のデータ伝送装置。
  12. 【請求項12】 前記推定手段は、前記信号伝搬時間に
    加えて、前記無線局と前記第1の受信手段との間の第1
    の無線伝搬路における信号電力減衰量、及び、前記無線
    局と前記第2の受信手段との間の第2の無線伝搬路にお
    ける信号電力減衰量を推定し、 前記第1及び第2の送信手段は、それぞれ前記第1及び
    第2の無線伝搬路における信号電力減衰量を考慮した送
    信電力で、前記秘匿情報を含む送信データを前記無線局
    に送信する請求項6に記載のデータ伝送装置。
  13. 【請求項13】 前記第1及び第2の送信データは、互
    いに同一のフォーマットで形成されており、 前記第1及び第2の送信手段は、第1及び第2の送信デ
    ータが同時刻に前記無線局に到達するタイミングで各送
    信データを送信すると共に、前記信号電力減衰量に基づ
    いて、前記無線局が各送信データを合成受信した際に復
    調し得る最低レベルに近い送信電力で前記送信データを
    送信する請求項12に記載のデータ伝送装置。
  14. 【請求項14】 前記推定手段は、前記受信手段により
    得られた受信信号に基づいて受信波の偏波面を検出する
    ことにより前記無線伝搬路環境を推定し、 前記送信手段は、前記推定手段によって検出された前記
    偏波面と同じ偏波面を有する送信波により、前記秘匿情
    報を含む送信データを前記無線局に送信する請求項1に
    記載のデータ伝送装置。
  15. 【請求項15】 前記送信手段は、前記受信手段により
    得られた受信信号に基づいて受信波の偏波面を検出する
    ことにより前記無線伝搬路環境を推定し、 前記送信手段は、前記推定手段によって検出された前記
    偏波面と同じ偏波面を有する送信波に前記秘匿情報を含
    む送信データを重畳して送信すると共に、前記推定手段
    によって検出された前記偏波面に直交する偏波面を有す
    る送信波に擬似データを重畳して送信する請求項1に記
    載のデータ伝送装置。
  16. 【請求項16】 前記推定手段は、前記受信手段により
    得られた受信信号に基づいて受信波の偏波面を検出する
    ことにより前記無線伝搬路環境を推定し、 前記送信手段は、前記推定手段によって検出された前記
    偏波面に対して、前記無線局の間で予め決められた量だ
    け前記偏波面を回転させた送信波により、前記秘匿情報
    を含む送信データを前記無線局に送信する請求項1に記
    載のデータ伝送装置。
  17. 【請求項17】 前記推定手段は、さらに、前記受信信
    号の到来方向を推定し、 前記送信手段は、前記到来方向を考慮した方向に前記秘
    匿情報を含む送信データを送信する請求項2から請求項
    16のいずれかに記載のデータ伝送装置。
  18. 【請求項18】 前記送信手段は、前記推定手段により
    推定された到来方向に基づいて、前記秘匿情報を含む送
    信データを前記無線局の方向に向けて送信すると共に、
    擬似データを前記無線局とは異なる方向に向けて送信す
    る請求項17に記載のデータ伝送装置。
  19. 【請求項19】 前記送信手段は、アダプティブアレー
    アンテナを有し、前記秘匿情報を含む送信データを送信
    する際には、前記到来方向に指向性が向くように各アレ
    ーアンテナを重み付けすると共に、前記擬似データを送
    信する際には、前記到来方向以外の方向に指向性が向く
    ように各アレーアンテナを重み付けする請求項18に記
    載のデータ伝送装置。
  20. 【請求項20】 所定の拡散符号を使って前記秘匿情報
    を拡散処理し、これにより得た第1の拡散信号を前記第
    1の送信手段に供給する第1の拡散手段と、前記拡散符
    号とは異なる拡散符号を使ってかつ前記第1の拡散手段
    による拡散ゲインと同程度の拡散ゲインが得られるよう
    に擬似情報を拡散処理し、これにより得た第2の拡散信
    号を前記第2の送信手段に供給する第2の拡散手段とを
    具備し、 前記第1及び第2の送信手段は、前記推定手段により推
    定された信号電力減衰量に基づき、前記第1及び第2の
    拡散信号が前記無線局に到達したときに、前記第1の拡
    散信号の受信電力値と前記第2の拡散信号の受信電力値
    に一定以上の差が生じるように送信電力を制御する請求
    項12に記載のデータ伝送装置。
  21. 【請求項21】 所定の拡散符号を使って前記秘匿情報
    を拡散処理することにより第1の拡散信号を形成する第
    1の拡散手段と、前記拡散符号とは異なる拡散符号を使
    ってかつ前記第1の拡散手段による拡散ゲインと同程度
    の拡散ゲインが得られるように擬似情報を拡散処理する
    ことにより第2の拡散信号を形成する第2の拡散手段と
    を具備し、 前記第1及び第2の送信手段は、前記推定手段により推
    定された到来方向に基づいて、前記第1の拡散信号の受
    信電力値と前記第2の拡散信号の受信電力値に一定以上
    の差が生じる方向に、前記第1及び第2の拡散信号を送
    信する請求項18に記載のデータ伝送装置。
  22. 【請求項22】 前記秘匿情報を含む送信データを、前
    記無線局との間で予め決められた順序で並べ換えるデー
    タ並べ換え手段を具備し、 前記送信手段は、当該データ並べ換え手段により並べ換
    えられた送信データを前記無線局に送信する請求項2か
    ら請求項21のいずれかに記載のデータ伝送装置。
  23. 【請求項23】 秘匿情報を含む送信データを第1の無
    線局から第2の無線局に無線により送信する無線通信シ
    ステムであって、 前記第1の無線局は、前記第2の無線局により発信され
    た信号を受信する受信手段と、前記受信手段により得ら
    れた受信信号に基づいて前記無線局との間の信号伝搬時
    間を推定する推定手段と、前記送信データが所望の受信
    時刻に前記無線局に到達するように、前記信号伝搬時間
    を考慮したタイミングで、前記送信データを送信する送
    信手段とを具備し、 前記第2の無線局は、前記第1の無線局に前記信号伝搬
    時間を推定するための信号を送信する送信手段と、前記
    秘匿情報を含む送信データを受信して復調する受信手段
    と、前記第1の無線局との間で予め設定した受信時刻に
    同期するように当該受信手段の受信復調動作を制御する
    受信制御手段とを具備する無線通信システム。
  24. 【請求項24】 前記第1の無線局は、前記秘匿情報を
    含む送信データ中の、前記無線局との間で予め決められ
    た位置に、互いに同期関係にある同期系列信号を付加す
    ると共に、前記同期系列信号についての擬似同期信号で
    あり互いに同期関係にある擬似同期系列信号を付加し、 前記第2の無線局は、前記予め設定した受信時刻を基準
    にして前記同期系列信号を抽出し、当該同期系列信号に
    基づいて、受信した前記秘匿情報を含む送信データを補
    正する請求項23に記載の無線通信システム。
  25. 【請求項25】 前記第1の無線局は、前記第2の無線
    局との間で予め設定した前記受信時刻から所定時間だけ
    ずれた時刻に前記送信データが到達するタイミングで前
    記送信データを送信し、 前記第2の無線局は、所定時間ずれて到達する前記送信
    データに対して前記同期系列信号を用いて同期処理を行
    って前記送信データを復調する請求項24に記載の無線
    通信システム。
  26. 【請求項26】 前記第1の無線局は、前記所定時間の
    ずれ量に関連付けて前記秘匿情報を送信し、 前記第2の無線局は、前記所定時間のずれ量を前記秘匿
    情報についての認識情報として用いて復調処理を行う請
    求項25に記載の無線通信システム。
  27. 【請求項27】 前記第2の無線局は、 前記受信時刻を基準にして所定の探索範囲を設定する探
    索範囲設定手段と、 前記探索範囲設定手段により設定した範囲内で前記受信
    信号のピークを探索することにより前記同期系列信号を
    抽出する同期信号抽出手段と、 抽出された同期系列信号に基づいて、受信した前記秘匿
    情報を含む送信データを補正する補正手段とを具備する
    請求項24に記載の無線通信システム。
  28. 【請求項28】 秘匿情報を含む送信データを第1の無
    線局から第2の無線局に無線により送信する無線通信シ
    ステムであって、 前記第1の無線局は、前記第2の無線局により発信され
    た信号を受信する受信手段と、前記受信手段により得ら
    れた受信信号に基づいて受信波の偏波面を検出する偏波
    面検出手段と、検出された偏波面に対して、前記第1及
    び第2の無線局間で予め決められた量だけ前記偏波面を
    回転させた送信波により、前記秘匿情報を含む送信デー
    タを前記第2の無線局に送信する送信手段とを具備し、 前記第2の無線局は、前記第1の無線局に前記偏波面検
    出用の信号を出力すると共に前記第1の無線局が送信し
    た前記秘匿情報を含む送信データを受信するアンテナの
    偏波面特性を、前記偏波面検出用の信号を出力してから
    前記秘匿情報を含む送信データを受信する迄の間に、前
    記第1及び第2の無線局間で予め決められた量だけ回転
    させる無線通信システム。
  29. 【請求項29】 前記第1及び第2の無線局は、前記第
    1及び第2の無線局間で予め決められた量だけ偏波面を
    回転させる処理を、前記第1及び第2の無線局間で予め
    決められた間隔で繰り返して行う請求項28に記載の無
    線通信システム。
  30. 【請求項30】 秘匿情報を含む送信データを第1の無
    線局から第2の無線局に無線により送信する無線通信シ
    ステムであって、 前記第1の無線局は、前記第2の無線局から発信された
    信号に基づいて無線伝搬時間及び信号電力減衰量を推定
    する推定手段と、所定の拡散符号を使って前記秘匿情報
    を拡散処理することにより第1の拡散信号を形成すると
    共に、前記拡散符号とは異なる拡散符号を使ってかつ前
    記第1の拡散信号の拡散ゲインと同程度の拡散ゲインが
    得られるように擬似情報を拡散処理することにより第2
    の拡散信号を形成する拡散手段と、前記推定手段により
    推定された信号電力減衰量に基づき、前記第1及び第2
    の拡散信号が前記第2の無線局に到達したときに、前記
    第1の拡散信号の受信電力値と前記第2の拡散信号の受
    信電力値に一定以上の差が生じるように送信電力を制御
    して前記第1及び第2の拡散信号を送信する送信手段と
    を具備し、 前記第2の無線局は、前記第1及び第2の拡散信号を逆
    拡散する逆拡散手段と、逆拡散された信号の信号レベル
    に基づいて前記秘匿情報を抽出する秘匿情報抽出手段と
    を具備する無線通信システム。
  31. 【請求項31】 秘匿情報を含む送信データを第1の無
    線局から第2の無線局に無線により送信する無線通信シ
    ステムであって、 前記第1の無線局は、前記第2の無線局から発信された
    信号に基づいて無線伝搬時間及び信号到来方向を推定す
    る推定手段と、所定の拡散符号を使って前記秘匿情報を
    拡散処理することにより第1の拡散信号を形成すると共
    に、前記拡散符号とは異なる拡散符号を使ってかつ前記
    第1の拡散信号の拡散ゲインと同程度の拡散ゲインが得
    られるように擬似情報を拡散処理することにより第2の
    拡散信号を形成する拡散手段と、前記推定手段により推
    定された到来方向に基づき、前記第1及び第2の拡散信
    号が前記第2の無線局に到達したときに、前記第1の拡
    散信号の受信電力値と前記第2の拡散信号の受信電力値
    に一定以上の差が生じる方向に前記第1及び第2の拡散
    信号を送信する送信手段とを具備し、 前記第2の無線局は、前記第1及び第2の拡散信号を逆
    拡散する逆拡散手段と、逆拡散された信号の信号レベル
    に基づいて前記秘匿情報を抽出する秘匿情報抽出手段と
    を具備する無線通信システム。
  32. 【請求項32】 秘匿情報を含む送信データを第1及び
    第2の無線局から第3の無線局に無線により送信する無
    線通信システムであって、 前記第1及び第2の無線局はそれぞれ、有線ネットワー
    クに接続され当該ネットワークから前記秘匿情報を取得
    するためのネットワーク接続手段と、前記第3の無線局
    により発信された信号を受信する受信手段と、前記受信
    手段により得られた受信信号に基づいて前記第3の無線
    局との間の信号伝搬時間を推定する推定手段と、前記送
    信データが所望の受信時刻に前記第3の無線局に到達す
    るように、前記信号伝搬時間を考慮したタイミングで、
    前記送信データを送信する送信手段とを具備し、 前記第3の無線局は、前記第1の無線局に前記信号伝搬
    時間を推定するための信号を送信する送信手段と、前記
    秘匿情報を含む送信データを受信して復調する受信手段
    と、前記第1及び第2の無線局との間で予め設定した受
    信時刻に同期するように当該受信手段の受信復調動作を
    制御する受信制御手段とを具備する無線通信システム。
  33. 【請求項33】 秘匿情報を含む送信データを第1の無
    線局から第2の無線局に無線により送信する無線通信方
    法であって、 前記第2の無線局から前記第1の無線局に信号を送信
    し、 前記第1の無線局が、受信した信号に基づいて前記第1
    及び第2の無線局間での信号伝搬時間を推定し、 前記第1の無線局は、前記送信データが所望の受信時刻
    に前記無線局に到達するように、前記信号伝搬時間を考
    慮したタイミングで、前記秘匿情報を含む送信データを
    送信する無線通信方法。
  34. 【請求項34】 前記所望の受信時刻は、前記第1の無
    線局から前記秘匿情報を含む送信データを送信する前
    に、前記第1及び第2の無線局との間で少なくとも1往
    復分の信号の送受信を行うことにより推定した前記信号
    伝搬時間に基づいて前記第1及び第2の無線局間で設定
    されたものである請求項33に記載の無線通信方法。
  35. 【請求項35】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、
    前記無線局との間で予め決められた位置には擬似シンボ
    ルが付加されている 請求項33又は請求項34に記載の無線通信方法。
  36. 【請求項36】 前記秘匿情報を含む送信データ中の、
    前記無線局との間で予め決められた位置には互いに同期
    関係にある同期系列信号が付加されていると共に、互い
    に同期関係にある擬似同期系列信号が付加されている請
    求項33又は請求項34に記載の無線通信方法。
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