JP2002147510A - 湿式摩擦材および湿式摩擦材の製造方法 - Google Patents

湿式摩擦材および湿式摩擦材の製造方法

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JP2002147510A
JP2002147510A JP2000342033A JP2000342033A JP2002147510A JP 2002147510 A JP2002147510 A JP 2002147510A JP 2000342033 A JP2000342033 A JP 2000342033A JP 2000342033 A JP2000342033 A JP 2000342033A JP 2002147510 A JP2002147510 A JP 2002147510A
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resin
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Koichi Tsunekawa
浩一 恒川
Youichi Kaneyasu
洋一 兼康
Tadashi Higuchi
匡 樋口
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達機構に用いられる湿式摩擦材におい
て、耐熱性(耐摩耗性)と高摩擦係数を両立した摩擦材
を提供する。 【解決手段】 安定的に高い摩擦係数を確保するため
に、接触面における、油膜排除能力を高めるように、表
面の気孔部分のみならず、摩擦材内部の樹脂部に選択的
に貫通する気孔を形成させた。それによって、摩擦材の
適度な弾性の確保と、油の吸収・排出性の向上による安
定的な高摩擦係数の確保ができ、併せて、樹脂部への選
択的気孔であり、金属部への気孔形成はよく回避しえ
て、高強度で、耐摩耗性のある摩擦材を提供することが
できた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦材に関し、特
に自動車等の原動機から駆動力を変速機に伝達するクラ
ッチあるいは、ブレーキなどの湿式で使用される摩擦材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の湿式摩擦材は、コットン、麻など
の天然パルプ繊維とケイ藻土、シリカなどの充填材やグ
ラファイト、樹脂粒子などの摩擦調製材を配合し、抄紙
薬品を添加して湿式抄造した特殊ペーパにフェノール等
の熱硬化樹脂を含浸して、乾燥、硬化させたペーパ摩擦
材が、広く一般に用いられている。ペーパ摩擦材は多孔
質弾性体である事に起因して高い摩擦係数を広範な摺動
速度域で安定して維持できる一方で、ベース材料が有機
繊維質の天然パルプであるので耐熱性の点で問題があ
る。より高い負荷や、耐摩耗性、耐熱性の向上のため
に、ベース材料が金属の燒結材等の摩擦材があるが、こ
れらは、弾性変形しにくいため、摩擦面における密着な
じみが悪く、見かけの面圧に対して実質は局部的な接触
となり、高い面圧となって良好な摩擦特性が確保しにく
い等の傾向がある。さらに、その弾性を向上したり、表
面の排油性の向上のために気孔を形成させるため、金属
粒子と樹脂粒子を混合して、溶融または半溶融の状態で
溶射形成することによって、ペーパより耐熱性があり、
一般の金属燒結材より高い摩擦係数の摩擦材を成形する
技術が知られている(特開平11−13801)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された摩擦材においても、油膜が厚い場合など
には、表面に形成された気孔部では、表面からの十分な
油膜排除ができず接触面積の低下をもたらし、結果とし
て摩擦係数は、それほど高くならない。すなわち、図1
2に示す従来技術の摩擦材断面模式図に示されるよう
に、相手材90と摩擦材10との間の油膜80が厚い場
合には、油膜80が摩擦材10を構成する粒子12・1
4・16の隙間18及び表面気孔に依然として溜まって
しまう。また、十分な油分を排除するために粒子間の隙
間18を大きくしたり、気孔を不用意に大きくすれば、
接合強度が低下しやすい。
【0004】それ故に、本発明は、上記実情に鑑みてな
されたものであり、湿式摩擦材において、必要以上に強
度の低下しない構成で、相手材と摩擦面との間の油分を
十分排除して所定の摩擦力を確保することを技術的課題
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するために講じた請求項1の発明は、相手材と当接す
る摩擦面及び相手材と当接しない非摩擦面を持つ湿式摩
擦材において、前記摩擦面から前記非摩擦面にかけて貫
通した貫通気孔が形成されてなることを特徴とする湿式
摩擦材とすることである。
【0006】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、前記湿式摩擦材は、無機材料からなる無機材
料粒子と、樹脂材料からなる樹脂粒子とが混在して形成
されており、前記樹脂粒子には気孔が形成され、該気孔
の連続的なつながりによって前記貫通気孔が形成されて
いることを特徴としている。
【0007】また、請求項3の発明は、請求項1の発明
において、前記湿式摩擦材は、無機材料からなる無機材
料粒子と、樹脂材料からなる樹脂粒子とが混在して形成
されており、前記樹脂粒子には気孔が形成され、該気孔
及び前記無機材料粒子と前記樹脂粒子との間の隙間の連
続的なつながりによって前記貫通気孔が形成されている
ことを特徴としている。
【0008】また、請求項4の発明は、請求項2又は3
の発明において、前記気孔は発泡材により発泡されたも
のであることを特徴としている。
【0009】また、請求項5の発明は、基材に対し、無
機材料粒子及び樹脂粒子並びに発泡材を含む摩擦材材料
の混合粒子を溶射して摩擦材を形成することを特徴とす
る、湿式摩擦材の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、相手材と当接する摩擦
面及び相手材と当接しない非摩擦面を持つ湿式摩擦材に
おいて、摩擦面の油膜の吸収・排出性を向上させて所定
の摩擦力を確保するために、摩擦材中に、摩擦面から非
摩擦面にかけて貫通した貫通気孔を形成させたことであ
る。これにより、摩擦面と相手材との間の油分は、貫通
気孔を経て外部に排出されるので、油膜が摩擦面に滞留
することなく、所定の摩擦力を確保することができる。
また、本発明は、従来技術で示した技術、即ち油分を気
孔中に溜めることによって油膜を除去するものとは異な
り、貫通気孔を通って油分が外部に連続的に排出される
構成であるので、油分を溜めるために気孔を大きくする
ことを要せず、不必要な気孔の拡大を要しない。このた
め、気孔の拡大による強度低下を招くこともない。
【0011】また、湿式摩擦材を、無機材料からなる無
機材料粒子と、樹脂材料からなる樹脂粒子とが混在した
ものとして形成し、樹脂粒子に選択的に気孔を形成さ
せ、この気孔を連続的につなげることによって貫通気孔
を形成させること、または、この気孔及び、無機材料粒
子と樹脂粒子との間の隙間を連続的につなげることによ
り、強度を担う金属部への気孔の形成を回避させること
ができる。これによって、気孔形成に伴う耐摩耗性の低
下を招くことなく安定的な高摩擦係数を確保できる。
【0012】上記無機材料粒子としては、金属材料粒子
やセラミックス材料粒子が挙げられる。金属材料粒子の
材料としては、炭素鋼、ステンレス鋼、黄銅、青銅、ア
ルミニウムーシリコン合金、チタン合金等が挙げられ
る。セラミックス材料粒子の材料としては、アルミナ、
シリカ、ジルコニア、タングステンカーバイド、ボロン
ナイトライド等が挙げられる。
【0013】上記樹脂粒子の材料としては、ポリブチレ
ンテレフタレート、フェノール、ナイロン、ポリカーボ
ネート、テフロン(登録商標)等が挙げられる。
【0014】尚、無機材料に予め樹脂を複合化した材料
を用いても良い。
【0015】上記「無機材料粒子と樹脂粒子との間の隙
間」とは、無機材料粒子と樹脂粒子との間の隙間のみな
らず、無機材料粒子と無機材料粒子との間の隙間、樹脂
粒子と樹脂粒子との間の隙間をも含むものとする。
【0016】上記のような摩擦材は溶射法によって製造
するのが好ましい。例えば基材としての金属プレートに
向けて、無機材料粒子、樹脂粒子を所定の配合で混合し
た混合粉を溶射被覆すること、若しくは、複数の溶射装
置を用いて、各々の材料を同時に被覆することにより、
基材上に湿式摩擦材を簡単に成形することができる。
【0017】また、溶射時に発泡材を混入させておけ
ば、樹脂粒子中に発泡部分を形成することができ、この
発泡により気孔を形成させることができる。
【0018】図1、図2、図3は、本発明における摩擦
材の断面の模式図である。図1、図2、図3において、
摩擦材10は、相手材90と当接する当接面10a及び
相手材90と当接しない非摩擦面、例えば各図の摩擦材
10において下面10bを持つ。そして、摩擦面10a
から非摩擦面である下面10bにかけて貫通した貫通気
孔30が形成されている。このため、相手材90と摩擦
面10aとの界面間に滞留する油分は、貫通気孔30を
通って該界面間から排出される。よって、該界面間での
油分の滞留は減少し、所定の摩擦力が確保される。
【0019】また、図1に示す摩擦材10は、金属材料
やセラミックス材料などの無機材料からなる無機材料粒
子(金属材料粒子14、セラミックス材料粒子16)
と、樹脂材料からなる樹脂粒子12とが図に示すように
混在して形成されている。そして、貫通気孔30は、樹
脂粒子12中に形成された気孔の連続的なつながりで形
成されている。このため、相手材90と摩擦面10aと
の界面間の油分はこの貫通気孔30を通過して外部に排
出される。
【0020】また、図2に示す摩擦材10は、図1に示
す摩擦材10と同様に、無機材料粒子(金属材料粒子1
4、セラミックス材料粒子16)と、樹脂粒子12が混
在して形成されている。ただし、貫通気孔30は、樹脂
粒子12中に形成された気孔のみならず、摩擦材10内
部の気孔、すなわち無機材料粒子や樹脂粒子の間の隙間
とも連続的につながって貫通気孔30を形成し、有効に
油の吸収・排出に機能する。
【0021】このような湿式摩擦材の製造方法として、
基材に対し、無機材料粒子及び樹脂粒子並びに発泡材を
含む摩擦材料の混合粒子を溶射して摩擦材を形成するの
が良い。溶射法は粒子を溶融或いは半溶融状態で基材に
吹付けて、粒子同士は若干の融合を伴いながらもその大
部分を機械的な嵌合と原子間力で固着させながら積層し
て皮膜を形成する工法である。従って、金属・樹脂等特
性が大幅に異なる材料同士でも、樹脂を劣化することな
く、強固に結合できる。この際、粒子溶射速度の水準に
よって、貫通気孔を形成できる。
【0022】また図3に示される摩擦材10は、つぎの
ようにして得られる。溶射材料中に発泡材(アゾジカル
ボンアミド等)を混合することによって、樹脂、金属共
に溶融または軟化状態において発泡させることで、気泡
発生における摩擦材の膨張による変形で、種種の材料同
士の結合の弱化を防ぎ、発泡状態の樹脂に金属等の、質
量の大きいものを衝突させて、樹脂内の気泡をつなぎあ
わせて貫通気孔30の形成を容易にすることができる。
【0023】摩擦材の配合組成は、無機材料粒子20〜
85vol%、樹脂粒子10〜60vol%、気孔(貫通気孔
を含む)5〜50vol%が、適当であり、とりわけ、安
定的に望ましい領域は、無機材料粒子40〜75vol
%、樹脂粒子30〜45vol%、気孔(貫通気孔を含
む)20〜40vol%である。
【0024】
【実施例】(試験片作製方法)図4に示す材料(高力黄
銅(銅60%、亜鉛20%、残り添加材)の粉末、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂の粉末、発泡材としてのア
ゾジカルボンアミド粉末)を回転式粉末混合機にて均一
に混合し、高速ガス炎溶射によって基材(外径φ25.
6mm、内径φ20.0mmの円筒形の端面)に摩擦材
形成を行うことにより、試験片サンプルを作製した。こ
の場合における溶射ガスは酸素(流量:12.9m
Hr、圧力:0.97MPa)及びプロピレンガス(流
量3.5m/Hr、圧力0.69MPa)であり、溶
射距離は200mmである(図5参照)。また、発泡材
の量を調節することにより、気孔率を変えて摩擦材を形
成した。発泡材の量が最も少なく、気孔率が低いと予測
されるものを実施例1、発泡材の量が次に少なく、気孔
率も次に低いと予測されるものを実施例2、発泡材の量
が最も多く、気孔率も最も高いと予測されるものを実施
例3とした。また、溶射後、摩擦材膜厚が0.5mmと
なるように研磨加工した。
【0025】比較例として、溶射により成形しないもの
(比較例1、2)と、溶射により成形するもの(比較例
3、4)とを作製した。
【0026】比較例1及び2は、天然繊維、珪藻土、シ
リカ、グラファイト等より作製した特殊ペーパにフェノ
ール樹脂等を含浸させた湿式摩擦材を作製し、外径φ2
5.6mm、内径φ20.0mmに切出した後、実施例
と同一形状の円筒形の端面にエポキシ系接着剤にて貼り
付けて試験片サンプルを作製した。また、フェノール樹
脂を含浸させる際の処理圧力を調整することにより、気
孔率を調製した。処理圧力を大きくして、フェノール樹
脂を細かい隙間まで含浸させ、気孔を少なくした(気孔
率を低くした)ものを比較例1と、処理圧力を小さくし
て、フェノール樹脂を大きな隙間への含浸のみに留めて
細かい隙間まで含浸させずに、気孔を多くした(気孔率
を高くした)ものを比較例2とした。
【0027】比較例3及び4は、高力黄銅、ポリブチレ
ンテレフタレートを原料粉末として高速ガス炎溶射を行
った。尚、比較例3、4における溶射条件は図5に示す
通りである。即ち、比較例3では、溶射ガスとして酸素
(流量:10.0m/Hr、圧力0.97MPa)及
びプロピレンガス(流量:3.26m/Hr、圧力
0.69MPa)を用い、溶射距離を230mmとし
た。比較例4では、溶射ガスとして酸素(流量:9.3
/Hr、圧力0.97MPa)及びプロピレンガス
(流量:3.0m/Hr、圧力0.69MPa)を用
い、溶射距離を250mmとした。比較例3及び4の場
合、溶射条件を調製することで、気孔率の調製を行うこ
とができる。例えば、溶射距離を長く取ると、基材への
付着時の速度が低下し、付着粒子の変形量が小さくなっ
て粒子間に隙間ができ易くなり、気孔が増加する。ま
た、溶射ガス量を減らすと、火炎のカロリーが減り、粒
子の溶融度合いが小さくなり、粒子の粘性が増加するた
めに粒子の変形量が小さくなり、粒子間に隙間ができ易
くなって気孔が増加する。比較例3と4では、図5から
もわかるように、比較例4の場合の溶射距離(250m
m)の方が比較例3の場合の溶射距離(230mm)よ
りも長く、かつ比較例4の場合の溶射ガス量(酸素流量
9.3m/Hr、プロピレンガス流量3.0m/H
r)の方が比較例3の場合の溶射ガス量(酸素流量1
0.0m/Hr、プロピレンガス流量3.26m
Hr)よりも少ない。このため、比較例3の摩擦材より
も、比較例4の摩擦材の方が気孔率が高い。
【0028】尚、実施例1、2、3・比較例3、4を作
製するに際しては、金属材料たる高力黄銅、樹脂材料た
るポリブチレンテレフタレート及び発泡材たるアゾジカ
ルボンアミドの粒径は、夫々、40、104及び25μ
m未満である。また、実施例1で作製した摩擦材におけ
る金属材料、樹脂材料及び気孔は、夫々、60、35及
び5体積%、実施例2で作製した摩擦材における金属材
料、樹脂材料及び気孔は、夫々、42、27及び31体
積%、実施例3で作製した摩擦材における金属材料、樹
脂材料及び気孔は、夫々、28、19及び53体積%、
比較例1で作製した摩擦材における気孔は8体積%、比
較例2で作製した摩擦材における気孔は48体積%、比
較例3で作製した摩擦材における金属材料、樹脂材料及
び気孔は、夫々、58、36及び6体積%、比較例4で
作製した摩擦材における金属材料、樹脂材料及び気孔
は、夫々、37、27及び39体積%である。
【0029】また、実施例における試験片サンプルと比
較例における試験片サンプルとを断面観察した結果、実
施例における試験片サンプルは、いずれも、発泡材によ
る発泡で樹脂粒子中に気孔が形成され、この気孔が連続
的につながっており、図3に示すような状態であった。
これにより、溶射表面(摩擦面)から裏面(基材に面し
た面)にかけて貫通気孔が形成されていることがわかっ
た。一方、比較例における試験片サンプルでは、内部又
は表面に気孔は存在するものの、この気孔は粒子間の隙
間で形成されたものであり、またこれらの気孔がつなが
って貫通しているものとは認められず、図12に示すよ
うな状態であった。
【0030】(評価方法及び評価条件)作製した各試験
片サンプルについて、摩耗試験を行い、摩耗量及び摩擦
係数を測定するとともに、強度を測定した。摩耗試験機
の模式図を図6に示す。試験機の構造は加圧用ネジ1
1、加圧力検出器12(加圧ロードセル)、高圧用加圧
スプリング13、低圧用加圧スプリング14、固定クロ
スヘッド15、トルク取出しアーム16、摩擦トルク検
出器17、駆働軸18より構成され、各試験片サンプル
は、可動側試料20として組込まれる。また、固定側試
料19は、相手材であり、本例ではS35Cを用いた。
この試験機を用いて、可動側試料20の回転に伴い固定
側試料19がどれだけつれ回るかを摩擦トルク検出器1
7で測定し、摩擦係数が測定できる。この場合、可動側
試料20と固定側試料19との間に油を供給しつつ試験
を行い、摩擦トルクが安定した点を採って摩擦係数を算
出した。尚、このときの可動側試料20の周速は5m/
sec、可動側試料20と固定側試料19との面圧は5
88MPa、摩擦試験時間は240分とした(図11参
照)。さらに、試験前後における可動側試料20の厚み
を測定し、その差を摩耗量とした。
【0031】摩擦材の強度は、上記摩耗試験用試料と同
様に作製した平板試験片から、図7に示すように、5×
10×1.0(厚)mmのサイズの試験片10としてダ
イス54、56間に挟み込み、ポンチ58によって図示
矢印の方向から力を加え、試験片10がせん断破壊する
ときのせん断強度を測定した。
【0032】(評価結果)図8に気孔率と摩擦係数との
関係を示す。実施例はすべての領域で、比較例よりも摩
擦係数が上回っているのがわかる。
【0033】図9に気孔率と摩擦材強度との関係を示
す。尚、強度の単位は(×10MPa)である。実施例
はすべての領域で、比較例よりも摩擦材強度が上回って
いるのがわかる。尚、一般的に気孔率の増加は強度の低
下を招く。ところが、本実施例においては、気孔は樹脂
中に形成され、金属の強度を担う部分には形成されてい
ないので、粒子間結合強度を低下することなく気孔率を
増加させることができる。
【0034】図10に摩擦材摩耗量に及ぼす摩擦材強度
の影響を示す。尚、強度の単位は(×10MPa)であ
る。強度が低下すると摩耗量が進行し、面荒れを発生し
摩擦係数の低下を招く。実施例は比較例より摩耗が少な
いことがわかる。
【0035】
【発明の効果】上述の如く、金属―樹脂の複合体で、選
択的貫通気孔を設ける事により、摩擦材表面の吸収・排
油能力を高め、粒子間結合を弱めることなく、惹いては
強度を維持して、高摩擦、耐摩耗性のある材料を提供す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のにかかる摩擦材の断面模式図の一例で
ある。
【図2】本発明にかかる摩擦材の断面模式図の他の例で
ある。
【図3】本発明にかかる摩擦材の断面模式図の他の例で
ある。
【図4】本発明の実施例で使用する材料組成を示す表で
ある。
【図5】本発明の実施例及び比較例における溶射条件を
示す表である。
【図6】本発明の実施例における摩耗試験機の模式図で
ある。
【図7】本発明の実施例における、試験片の強度を測定
する際の測定装置の模式図である。
【図8】本発明の実施例における、摩擦材中の気孔率と
摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例における、摩擦材中の気孔率と
摩擦材強度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例における、摩耗試験による摩
擦材の摩耗量と摩擦材強度との関係を示すグラフであ
る。
【図11】本発明の実施例における、摩擦材の摩耗試験
における試験条件を示す表である。
【図12】従来の摩擦材の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 520 C09K 3/14 520J 520G 530 530F F16D 13/62 F16D 13/62 A 69/00 69/00 R // C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 3J056 AA31 BA02 BE17 BE23 CA17 EA21 EA22 EA26 EA28 EA30 FA01 FA07 GA02 3J058 BA76 FA01 GA33 GA34 GA43 GA45 GA55 GA88 GA92 GA93 GA94 4F071 AA01 AA45 AB01 AB06 AB18 AB26 AD03 AE01 DA08 DA14 DA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相手材と当接する摩擦面及び相手材と当
    接しない非摩擦面を持つ湿式摩擦材において、 前記摩擦面から前記非摩擦面にかけて貫通した貫通気孔
    が形成されてなることを特徴とする湿式摩擦材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記湿式摩擦材は、無機材料からなる無機材料粒子と、
    樹脂材料からなる樹脂粒子とが混在して形成されてお
    り、前記樹脂粒子には気孔が形成され、該気孔の連続的
    なつながりによって前記貫通気孔が形成されていること
    を特徴とする湿式摩擦材。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記湿式摩擦材は、無機材料からなる無機材料粒子と、
    樹脂材料からなる樹脂粒子とが混在して形成されてお
    り、前記樹脂粒子には気孔が形成され、該気孔及び前記
    無機材料粒子と前記樹脂粒子との間の隙間の連続的なつ
    ながりによって前記貫通気孔が形成されていることを特
    徴とする湿式摩擦材。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3において、 前記気孔は発泡材により発泡されたものであることを特
    徴とする湿式摩擦材。
  5. 【請求項5】 基材に対し、無機材料粒子及び樹脂粒子
    並びに発泡材を含む摩擦材材料の混合粒子を溶射して摩
    擦材を形成することを特徴とする、湿式摩擦材の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006037983A (ja) * 2004-07-22 2006-02-09 Mazda Motor Corp 湿式摩擦部材及び湿式摩擦部材ユニット

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