JP2002146699A - パルプモールド成形体の製造方法 - Google Patents

パルプモールド成形体の製造方法

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JP2002146699A
JP2002146699A JP2001280922A JP2001280922A JP2002146699A JP 2002146699 A JP2002146699 A JP 2002146699A JP 2001280922 A JP2001280922 A JP 2001280922A JP 2001280922 A JP2001280922 A JP 2001280922A JP 2002146699 A JP2002146699 A JP 2002146699A
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pulp
molded article
colorant
coloring
inorganic filler
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JP2001280922A
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Yoshiaki Kumamoto
吉晃 熊本
Masataka Ishikawa
雅隆 石川
Mitsuyuki Kubo
充幸 久保
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造時に着色を施す場合の着色むらの発生が
防止されたパルプモールド成形体の製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 パルプ繊維及び着色剤を含み、該着色剤
によって所定の色に着色されており、該着色剤の着色む
ら抑制剤として、定着剤及び無機フィラーが配合されて
いるパルプモールド成形体の製造方法であって、前記パ
ルプ繊維を含むスラリーに前記着色剤を添加混合した
後、前記定着剤を添加混合し、次いで前記無機フィラー
を添加混合して得られたパルプスラリーを、抄造用金型
へ供給し湿式抄造法によって抄造するパルプモールド成
形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着色むらの発生が
防止されたパルプモールド成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】特開平
9−143900号公報には、水性インクのハジキ現象
等を防止することを目的として、所定の吸油量を有する
填料を配合させたはがき用紙が記載されている。
【0003】しかし前記公報に記載の技術は、製造され
た紙に印刷を施す場合の問題点の解決を目的とするもの
であり、紙の製造時に着色を施す場合の着色むら防止等
の問題について何ら考慮していない。
【0004】従って、本発明は、製造時に着色を施す場
合の着色むらの発生が防止されたパルプモールド成形体
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、パルプ繊維及
び着色剤を含み、該着色剤によって所定の色に着色され
ており、該着色剤の着色むら抑制剤として、定着剤及び
無機フィラーが配合されているパルプモールド成形体の
製造方法であって、前記パルプ繊維を含むスラリーに前
記着色剤を添加混合した後、前記定着剤を添加混合し、
次いで前記無機フィラーを添加混合して得られたパルプ
スラリーを、抄造用金型へ供給し湿式抄造法によって抄
造するパルプモールド成形体の製造方法を提供すること
により前記目的を達成したものである。
【0006】また、本発明は、パルプ繊維及び着色剤を
含み、該着色剤によって所定の色に着色されており、該
着色剤の着色むら抑制剤として、定着剤及び無機フィラ
ーが配合されているパルプモールド成形体の製造方法で
あって、前記パルプ繊維を含むスラリーに前記定着剤を
添加混合した後、前記着色剤を添加混合し、次いで前記
無機フィラーを添加混合して得られたパルプスラリー
を、抄造用金型へ供給し湿式抄造法によって抄造するパ
ルプモールド成形体の製造方法を提供することにより前
記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明のパルプモールド成形
体の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき説明す
る。本発明に用いられるパルプ繊維としては、従来この
種の成形体に用いられているものと同様のものが用いら
れ、その例としては針葉樹又は広葉樹の晒又は未晒化学
パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ等が挙げられ
る。また、新聞紙、中質紙、上質紙等の印刷使用済み古
紙を原料とする古紙パルプや、これを更に脱墨した脱墨
古紙パルプ等を用いることもできる。これらのパルプ繊
維は一種又は二種以上を用いることができる。
【0008】パルプモールド成形体におけるパルプ繊維
の量は、55〜99.9重量%、特に70〜95重量%
であることが、安定した抄造が可能である点、並びに均
一な肉厚を有し且つ内面及び外面の平滑性に優れた成形
体が製造できる点、着色むらの発生を防止させる点から
好ましい。パルプ繊維の量が80〜94重量%である
と、着色むらの発生が更に防止され、また成形体が均一
に着色されるので、一層好ましい。
【0009】本発明に用いられる着色剤としては、パル
プモールド成形体に何らかの着色を施し得るものであれ
ば、その種類に特に制限は無い。着色剤の例としては、
有機顔料、無機顔料、金属物顔料、染料等が挙げられ
る。有機顔料としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔
料、縮合多環顔料等が挙げられる。無機顔料としては、
二酸化チタン、酸化鉄、パールマイカ、硫酸バリウム、
チタンブラック等が挙げられる。金属物顔料としては、
板状酸化鉄、グラファイト、アルミ粉等が挙げられる。
染料としては、酸性染料、塩基性染料、油性染料などの
各種の染料が挙げられ、レバセルイエローR(黄色染
料)、レバセルスカーレット4BS(赤色染料)、レバ
セルブラックG(黒色染料)、カカフェクトオレンジG
(赤黄色染料)等が好ましい。これらの着色剤のうち、
パルプ繊維に対する高歩留まり性、排水処理の容易性、
並びに成形体の発色性、耐熱性及び耐候性の点から、前
記した各顔料を用いることが好ましい。特に定着性の点
から、アニオン系顔料を用いることが更に好ましい。
【0010】着色剤は、その平均粒径が、0.001〜
1μm、特に0.01〜0.7μmであることが、着色
力、隠蔽力に優れた外観を有する成形体が得られる点か
ら好ましい。平均粒径は、顕微鏡観察、沈降分析を用い
て測定される(以下、平均粒径というときには、この方
法によって測定された値をいう)。また着色剤は、球
状、板状、柱状等の種々の形状であり得るものであり、
その最大長さをもって粒径とし、該最大長さの平均値を
平均粒径とする(以下、平均粒径というときは、この定
義を意味する)。
【0011】パルプモールド成形体における着色剤の量
は、着色剤の種類や成形体の着色の程度等にもよるが、
パルプ繊維100重量部に対して0.01〜5重量部、
特に0.05〜2.5重量部であることが、パルプモー
ルド成形体の外観の向上、及び着色剤の白水中への流出
を抑制する点から好ましい。
【0012】パルプモールド成形体には、着色剤の着色
むら抑制剤として無機フィラーが配合されている。無機
フィラーを配合することによってパルプモールド成形体
の製造時に、着色剤のパルプ繊維への定着性が良好とな
り、着色むらの発生が防止され、着色剤によって成形体
が均一に着色される。
【0013】無機フィラーとしては、アルミノシリケー
トやタルク等の珪酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、マ
イカ、カオリンクレー、水酸化アルミニウム、酸化亜
鉛、焼成クレー、シリカ等が挙げられ、用いられる着色
剤との関係で適切なものが使用される。特に、アニオン
の表面電荷を持つ無機フィラーである炭酸カルシウムや
アルミノシリケートが好ましい。
【0014】無機フィラーは、その平均粒径が、0.1
〜30μm、特に0.5〜10μmであることが、着色
むら防止、及び成形体の機械強度、特に衝撃強度の維持
の点から好ましい。更に、無機フィラーの平均粒径が、
着色剤の平均粒径よりも大きいことが、無機フィラーへ
の着色剤の定着が有効に働き、着色むらが一層防止され
る点から好ましい。着色むらの更に一層の防止の点か
ら、無機フィラーの平均粒径は、着色剤の平均粒径の5
〜300倍、特に10〜100倍であることが好まし
い。
【0015】パルプモールド成形体における無機フィラ
ーの量は、パルプ繊維100重量部に対して5〜30重
量部、特に7〜25重量部、とりわけ10〜20重量部
であることが、着色むらの防止、調色のし易さ、成形体
の機械強度の維持、成形体の親水化の抑制の点から好ま
しい。
【0016】パルプモールド成形体には、前述の無機フ
ィラーに加えて、着色剤の着色むら抑制剤として定着剤
が配合されている。着色むら抑制剤として定着剤及び無
機フィラーを併用することで、パルプモールド成形体の
製造時に、着色剤のパルプ繊維への定着性が一層良好と
なり、着色むらの発生が一層防止され、着色剤によって
成形体が一層均一に着色される。定着剤としては、硫酸
バンド、ポリ塩化アルミニウム、デンプン、ポリアクリ
ルアミド、ポリアミンポリアミド・エピクロルヒドリン
樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、
用いられる着色剤との関係で適切なものが使用される。
特に、後述するように、定着剤として硫酸バンドやポリ
塩化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0017】パルプモールド成形体における定着剤の量
は、パルプ繊維100重量部に対して0.2〜3重量
部、特に0.25〜1.5重量部、とりわけ0.3〜1
重量部であることが、着色剤のパルプ繊維への定着性の
向上、及び着色むら発生の防止点から好ましい。
【0018】パルプモールド成形体には、前述のパルプ
繊維、着色剤、定着剤及び無機フィラーに加えて、従来
この種の成形体に用いられている各種成分を含有させ、
所望の機能が発現するようにしてもよい。そのような成
分の例としては、サイズ剤、撥水剤、紙力強化剤、ピッ
チコントロール剤、抑泡剤、定着助剤等が挙げられる。
これらの成分は、パルプスラリー中に内添されてもよ
く、或いは成形体の製造過程において又は成形体の製造
後に外添されてもよい。
【0019】次に、本実施形態のパルプモールド成形体
の好ましい製造方法を図1を参照しながら説明する。図
1には、口頸部の外周にネジ部を有するボトル状のパル
プモールド成形体を製造する方法における抄造工程及び
脱水工程が順次示されている。図1中、(a)はパルプ
スラリー注入及び吸引脱水工程、(b)は中子挿入工
程、(c)は加圧脱水工程、(d)は抄造型を開く工程
である。尚、簡便のため、図1では前記ネジ部は省略さ
れている。
【0020】本製造方法においては、一組の割型からな
り且つ各割型を組み合わせることにより所定形状のキャ
ビティが形成される抄造型の前記キャビティ内にパルプ
スラリーを加圧供給して、該キャビティの内面に含水状
態の成形体を形成した後、該成形体内に拡縮可能な中空
状の中子を挿入し、次いで該中子内に所定の流体を供給
して該中子を拡張させて、拡張した該中子により前記成
形体を前記キャビティ内面に向けて押圧して加圧脱水す
る。
【0021】詳細には、先ず、図1(a)に示すよう
に、2個の割型2,3からなり、且つ各割型を組み合わ
せることにより所定形状のキャビティ4が形成される抄
造型1を用意する。キャビティ4は、外部に向けて開口
したスラリー注入口5を介して抄造型1の外部に連通し
ている。キャビティ4の内面は、所定の大きさの網目を
有するネット(図示せず)によって被覆されている。各
割型2,3には、その内部(即ちキャビティ4の内面)
と外部とを連通させる複数の連通路6が形成されてい
る。各連通路6は、吸引ポンプ等の吸引手段(図示せ
ず)に接続されている。尚、図1において割型2,3に
形成されているネジ山部は省略されている。
【0022】先ず、前記中子をキャビティ4内に挿入す
る前に、スラリー注入口5を通じて所定量のパルプスラ
リーをキャビティ4内に加圧注入する。パルプスラリー
には、前述したパルプ繊維、着色剤及び無機フィラーが
含まれている。パルプスラリーの注入と共に連通路6を
通じてキャビティ4内を抄造型1の外側に向けて減圧吸
引して、パルプスラリー中の水分を吸引すると共に抄造
面、即ちキャビティ4の内面を被覆するネット上にパル
プ繊維を堆積させる。その結果、ネット上には、パルプ
繊維が堆積されてなる含水状態の成形体7が形成され
る。パルプスラリーを加圧注入することで、キャビティ
4内に充満されたパルプスラリーが対流し、パルプ繊維
がネット上に均一な肉厚で堆積し易くなる。パルプ繊維
を一層均一な肉厚で堆積させ且つ一層均一に着色を施す
観点から、パルプスラリーにおけるパルプ繊維の濃度
は、0.1〜3%、特に0.3〜2%であることが好ま
しい。
【0023】抄紙原料となるパルプスラリーの調製にお
いては、パルプ繊維を含むスラリーに着色剤を添加混合
した後、無機フィラーを添加混合することが、着色むら
の防止の点から好ましい。特に、無機フィラーの添加前
の何れかの段階で、前述した定着剤を添加混合し、最終
的に得られるパルプスラリーにおけるパルプ繊維のゼー
タ電位を0〜−15mV、特に−3〜−10mVとなす
ことが、着色むらの一層の防止の点から好ましい。定着
剤の添加順序には、例えば以下の(a) 〜(c) の場合があ
る。 (a) (1) 着色剤 (2) 定着剤 (3) 無機フィラー (b) (1) 定着剤 (2) 着色剤 (3) 無機フィラー (c) (1) 定着剤 (2) 着色剤 (3) 無機フィラー (4)
定着剤
【0024】前記の(a) 〜(c) のうち、着色力を上げ且
つ繊維のフロックをより小さく形成することで、着色剤
の色の鮮明性と発色性を上げる点から、(a) 又は (b)を
用いることが好ましい。定着剤の添加の前後には、必要
に応じて前述したサイズ剤、撥水剤、紙力強化剤、ピッ
チコントロール剤、抑泡剤、定着助剤等を添加すること
ができる。
【0025】パルプ繊維のゼータ電位は、パルプスラリ
ーの状態での測定が可能な流動電位法で測定される。本
発明においては、抄紙系ゼータ電位測定装置SZP 0
4(商品名)〔日本ルフト(株)製〕を用いた。
【0026】特に、定着剤として酸性の硫酸バンドやポ
リ塩化アルミニウムを用い且つ無機フィラーとしてアル
カリ性の炭酸塩等を用い、パルプスラリーのpH(25
℃)を中性領域、例えば6.0〜8.5に調整すると、
得られる成形体の経時劣化が少なくなり、また白水の処
理が容易になることから好ましい。中でも、定着剤とし
て、カチオン化剤としての多価金属塩として硫酸バンド
やポリ塩化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0027】このようにして形成された成形体7は、加
圧脱水工程に付される。先ず、図1(b)に示すよう
に、抄造型1を内部から外部へ向けて吸引した状態下
に、拡縮可能な中空状の中子8を、その収縮状態下に成
形体7内に挿入する。本発明において拡縮とは、中子8
が伸縮してその体積が変化する場合と、中子8自体は伸
縮しないが、その内部へ流体を供給又はその内部から流
体を除去することにより、その体積が変化する場合の双
方を包含する。前者の例としては天然ゴム、ウレタン、
フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等の
弾性材から構成された中子が挙げられ、後者の例として
はポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック材
料、これらのプラスチック材料のフィルムにアルミニウ
ムやシリカが蒸着されたフィルム、これらのプラスチッ
ク材料のフィルムにアルミニウム箔がラミネートされた
フィルム、紙類、布類等の可撓性材料から構成された中
子が挙げられる。本実施形態では、中子8として伸縮可
能な弾性材から構成された袋状(風船状)のものを用い
ている。
【0028】次に、図1(c)に示すように、中子8内
に所定の流体を供給して中子8を拡張させ、拡張した中
子8により含水状態の成形体7を抄造面、即ちキャビテ
ィ4の内面に向けて押圧する。これにより、成形体7の
加圧脱水が進行すると共に成形体7にキャビティ4の内
面形状が転写される。この場合、成形体7は、その内部
からキャビティ4の内面に向けて押し付けられるため
に、キャビティ4の形状が複雑であっても、精度良くキ
ャビティ4の内面の成形体10に転写されることにな
る。更に、側壁がほぼ垂直に立ち上がった深底の成形体
も容易に製造できる。中子8を拡張させるために用いら
れる流体としては、例えば空気(加圧空気)、熱風(加
熱された加圧空気)、過熱蒸気、油(加熱油)、その他
各種の液が使用される。特に、空気、熱風、過熱蒸気を
用いることが、操作性等の点から好ましい。流体を供給
する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MP
aであることが好ましい。
【0029】成形体7を所定の含水率まで脱水でき且つ
成形体7にキャビティ4の内面の形状が十分に転写され
たら、図1(d)に示すように、中子8内の流体を抜
き、中子8を縮小させる。次いで、縮小した中子8を成
形体7内より取り出し、更に抄造型1を開いて所定の含
水率を有する含水状態の成形体7を取り出す。
【0030】以上の加圧脱水工程においては、前記中子
を用いた押圧によって含水状態の成形体7を加圧脱水す
る代わりに、加圧空気や加圧蒸気(ドライ蒸気又は過熱
蒸気)などの加圧流体を、含水状態の成形体7内へ供給
し、成形体7をキャビティ内面に向けて押圧すること
で、成形体7を加圧脱水してもよい。
【0031】取り出された成形体は次に加熱乾燥工程に
付される。加熱乾燥工程では、抄造及び脱水を行わず、
加熱された状態の加熱型を用い且つ加圧脱水工程で用い
た中子よりも耐熱性及び耐久性が高い別の中子を用いる
こと以外は、図1に示す抄造工程及び脱水工程とほぼ同
様の操作が行われる。加圧脱水工程で用いた中子よりも
耐熱性及び耐久性が高い中子を用いる理由は、加熱乾燥
工程では、加圧脱水工程よりも、過酷な条件下で中子の
拡縮が行われるためである。
【0032】先ず、一組の割型を組み合わせることによ
り成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応した形
状のキャビティが形成される加熱型を別途用意し、該加
熱型を所定温度に加熱しておく。本実施形態において
は、加熱型のキャビティ形状と抄造型のキャビティ形状
とは同じになされている。加熱された状態の加熱型のキ
ャビティ内に、所定の含水率まで脱水された含水状態の
成形体を装填する。
【0033】次に、図1(b)及び(c)に示す加圧脱
水工程で用いた中子8と別の中子を成形体内に挿入し、
該中子内に流体を供給して該中子を拡張させ、拡張した
該中子により成形体をキャビティの内面に向けて押圧す
る。中子の材質及び流体の供給圧力は、加圧脱水工程と
同様とすることができる。この状態下に、成形体を加熱
乾燥する。特に中子に供給する流体として加熱空気や過
熱蒸気等の加熱流体を用いることで、乾燥が一層効率的
に行われ、乾燥効率が一層向上する。成形体が十分に乾
燥したら、中子内の流体を抜き、該中子を縮小させて取
り出す。更に加熱型を開いて、パルプモールド成形体を
取り出す。
【0034】このようにして製造されたボトル状のパル
プモールド成形体は、口頸部、胴部及び底部につなぎ目
が無く、且つ口頸部、胴部及び底部が一体的に形成され
ており、良好な外観を呈する。そして、この成形体は、
着色剤の着色むら抑制剤として無機フィラーが配合され
ていることによって、着色剤のパルプ繊維への定着性が
良好となり、着色むらの発生が防止され、着色剤によっ
て成形体が均一に所定の色に着色されたものとなる。
【0035】本発明は、前記実施形態に制限されない。
例えば、本発明はボトル状の成形体だけでなく、箱形の
カートン状の成形体及びその他の形状の成形体にも同様
に適用できる。また、内容物の収容に用いられる容器の
形状のほか、置物等のオブジェなどデザイン上自由な種
々の形状とすることができる。
【0036】また本発明のパルプモールド成形体の製造
方法は前述の方法に制限されず、成形すべき成形体の形
状等に応じて種々の方法が適宜選択される。
【0037】
【実施例】以下の例中、特に断らない限り、「部」及び
「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味す
る。
【0038】〔実施例1〜5〕針葉樹晒化学パルプ30
部及び広葉樹晒化学パルプ70部を水に分散させスラリ
ーとし、これに着色剤(アニオン系顔料、銅フタロシア
ニンブルー、平均一次粒径0.1μm)を対パルプ重量
で0.075%添加し混合させた。次いで、表1に示す
定着剤を対パルプ重量で表1に示す量添加し混合させ、
然る後、表1に示す無機フィラーを対パルプ重量で表1
に示す量添加し混合させてパルプスラリーを得た。パル
プスラリーにおけるパルプの濃度は1%となるように調
整した。パルプスラリーのカナディアン・スタンダード
・フリーネスは400mlであった。このパルプスラリ
ーを抄紙原料として図1に示す方法によって口頸部の外
周にネジ部を有するボトル状のパルプモールド成形体を
製造した。
【0039】〔実施例6〕実施例1において、定着剤を
対パルプ重量%で1%添加してパルプスラリーを調製す
る以外は実施例1と同様にしてパルプモールド成形体を
製造した。
【0040】〔比較例1〕実施例1において、定着剤及
び無機フィラーを添加せずにパルプスラリーを調製する
以外は実施例1と同様にしてパルプモールド成形体を製
造した。
【0041】〔性能評価〕得られたパルプモールド成形
体について目視により着色むらの発生の防止の程度を評
価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示
す。また、表1にには、使用したパルプスラリーにおけ
るパルプ繊維のゼータ電位及びパルプスラリーのpHも
併せて記載した。 ◎:着色むらが全くみられない。 ○:着色むらがみられない。 △:着色むらがわずかにみられる。 ×:着色むらが多くみられ、製品として使用できない。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示す結果から明らかなように、着色
剤の着色むら抑制剤としての定着剤及び無機フィラーが
配合されている各実施例のパルプモールド成形体(本発
明品)は、これらが配合されていない比較例の成形体に
比して、着色むらの発生が効果的に防止されていること
が判る。
【0044】
【発明の効果】本発明のパルプモールド成形体の製造方
法によれば、製造時に着色を施す場合の着色むらの発生
が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形体の製造方法の抄
造及び脱水工程を順次示す工程図である。
【符号の説明】
1 抄紙型 2,3 割型 4 キャビティ 5 スラリー流入口 6 キャビティ 7 成形体 8 中子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/00 C (72)発明者 久保 充幸 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 3E033 AA02 BA10 BB04 CA20 DB01 DD01 FA10 4L055 AA02 AA03 AC06 AG08 AG11 AG17 AG18 AG26 AG35 AH01 AH03 AH09 BF06 EA31 EA35 FA23 FA30 GA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ繊維及び着色剤を含み、該着色剤
    によって所定の色に着色されており、該着色剤の着色む
    ら抑制剤として、定着剤及び無機フィラーが配合されて
    いるパルプモールド成形体の製造方法であって、前記パ
    ルプ繊維を含むスラリーに前記着色剤を添加混合した
    後、前記定着剤を添加混合し、次いで前記無機フィラー
    を添加混合して得られたパルプスラリーを、抄造用金型
    へ供給し湿式抄造法によって抄造するパルプモールド成
    形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 パルプ繊維及び着色剤を含み、該着色剤
    によって所定の色に着色されており、該着色剤の着色む
    ら抑制剤として、定着剤及び無機フィラーが配合されて
    いるパルプモールド成形体の製造方法であって、前記パ
    ルプ繊維を含むスラリーに前記定着剤を添加混合した
    後、前記着色剤を添加混合し、次いで前記無機フィラー
    を添加混合して得られたパルプスラリーを、抄造用金型
    へ供給し湿式抄造法によって抄造するパルプモールド成
    形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 終的に得られるパルプスラリーにおけ
    る前記パルプ繊維のゼータ電位を0〜−15mVとなす
    請求項1又は2記載のパルプモールド成形体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記パルプスラリーのpH(25℃)が
    6.0〜8.5である請求項1〜3の何れかに記載のパ
    ルプモールド成形体の製造方法。
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