JP2002087420A - 多層成形容器 - Google Patents

多層成形容器

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JP2002087420A
JP2002087420A JP2000282693A JP2000282693A JP2002087420A JP 2002087420 A JP2002087420 A JP 2002087420A JP 2000282693 A JP2000282693 A JP 2000282693A JP 2000282693 A JP2000282693 A JP 2000282693A JP 2002087420 A JP2002087420 A JP 2002087420A
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moisture
container
paper fiber
weight
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JP2000282693A
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English (en)
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Yoshiaki Kumamoto
吉晃 熊本
Masataka Ishikawa
雅隆 石川
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防湿性及び収容物の内面付着防止性に優れた
多層成形容器を提供すること。 【解決手段】 少なくとも内面コート層Eに無機フィラ
ー20〜90重量%とバインダー80〜10重量%とを
含む多層成形容器1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層成形容器に関
わり、特に、防湿性及び収容物の容器内面への付着防止
性に優れた多層成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】防湿・
防水機能を備えた多層抄造容器に関する従来技術とし
て、例えば、特開平9−290815号公報、特開平1
0−46500号公報に記載の技術が知られている。こ
れらの技術では、抄造容器の内面又は外面に防湿・防水
等を目的としたバリア層を形成し、収容物から生じる液
状物や水蒸気によって当該多層抄造容器の保形性が損な
われるのを防ぐか又は当該液状物や水蒸気の容器外への
漏れを防ぐようにしたものである。
【0003】しかしながら、上記従来の成形品では、収
容物に対する防湿性、特に、収容物として吸湿により性
状が変化する物品を収容する観点からの防湿性が何ら考
慮されておらず、このため、斯かる物品を収容した場合
には、その性状が変化してしまうおそれがあった。特
に、粉末洗剤等の嫌湿性の物品を収容した場合には、ケ
ーキングによって塊状物となり、該物品を取り出しづら
くなったり、物品が容器内壁に付着して残留してしまう
おそれがあった。
【0004】従って、本発明の目的は、防湿性及び収容
物の容器内面への付着防止性に優れた多層成形容器を提
供することにある。
【0005】本発明者らは多層成形容器の最内面に、所
定量の無機フィラー及びバインダーを含む内面コート層
を形成することにより、収容物の容器内面への付着を抑
え得ることを知見した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記知見に基
づきなされたものであり、無機フィラー20〜90重量
%とバインダー80〜10重量%とを含む内面コート層
を少なくとも最内層に備えた多層成形容器を提供するも
のである。
【0007】また、本発明は、上記本発明の多層成形容
器に、嫌湿性の物品を収容した容器詰め物品を提供する
ものである。
【0008】また、本発明は、被コート層を形成した後
に、所定量の無機フィラー及び所定量のバインダーを含
む液状物を該被コート層の内面に塗工し、乾燥して内面
コート層を形成する多層成形容器の製造方法を提供する
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施
形態に基づき添付図面を参照して説明する。
【0010】本発明の多層成形容器は、所定量の無機フ
ィラーと所定量のバインダーとを含む内面コート層を少
なくとも最内層に備えたものである。該内面コート層
は、後述する紙繊維層の内側、該紙繊維層の内側に後述
する防湿層が形成される場合には該防湿層のさらに内側
に形成されるものである。該内面コート層は、該紙繊維
層又は該防湿層の内面全面、又は内面に部分的に形成さ
れるものである。該紙繊維層又は該防湿層の内面に部分
的に形成する場合には、例えば、底面及び胴部内面の所
定高さまでに形成される。
【0011】本発明の多層成形容器の内面コート層に用
いられる無機フィラーの配合量は、防湿性、内容物の容
器内面への付着防止性、内面コート層の靱性化の点から
20〜90重量%(絶乾後の配合量。以下同じ。)であ
り、30〜85重量%であることがより好ましく、40
〜80重量%であることが特に好ましい。なお、本明細
書において絶乾とは、チャンバー乾燥にて105±3℃
・15%RH以下で4時間乾燥した状態をいう。上記内
面コート層に用いられる無機フィラーには、アルミナシ
リケート、タルク、カオリン等の珪酸塩、炭酸カルシウ
ム等の炭酸塩、マイカ、水酸化アルミニウム、二酸化チ
タン、シリカ等が挙げられ、これらの中でも分散性等で
コート剤の調整や均一膜形成のための塗工性、操業性の
点で特にタルク、カオリン、炭酸カルシウムが好ましく
用いられる。また、該無機フィラーは、表面に露出する
面密度の増大に伴い収容物が容器内面へ付着するのを防
止する点で、平均粒径が0.01〜30μmであること
が好ましく、0.1〜10μmであることがより好まし
い。また、該無機フィラーの形状は、防湿性向上の点か
ら、板状又は薄片状であることが好ましい。
【0012】また、上記内面コート層におけるバインダ
ーの配合量は、前記無機フィラーとの接着性、該無機フ
ィラーの脱落防止や分散性、塗工性等の操業性、内面コ
ート層の靱性化の点から80〜10重量%(絶乾後の配
合量)であり、70〜15重量%であることがより好ま
しく、60〜20重量%であることが特に好ましい。上
記内面コート層に用いられるバインダーには、ポリビニ
ルアルコール、でんぷん、アクリル系、スチレン系、ブ
タジエン系、ウレタン系、メラミン系樹脂が挙げられ、
これらの中でも塗工性、環境性、経済性の点で特にポリ
ビニルアルコール、アクリル系等の水系のバインダーが
好ましく用いられる。また、上記バインダーは、単独で
または2種以上併用して用いることができる。また、バ
インダーは、収容物の付着防止の点で、造膜温度が10
〜100℃であることが好ましく、30〜95℃である
ことがより好ましい。
【0013】上記内面コート層には、前記無機フィラ
ー、前記バインダーのほかに、必要に応じて、耐水化
剤、潤滑剤、分散剤、pH調整剤、皮膜形成剤、架橋剤
等の他の添加成分を適宜の割合で配合することが好まし
い。
【0014】本発明の多層成形容器は、上記内面コート
層以外に、紙繊維層、防湿層を備えているものである。
【0015】本発明の多層成形容器における上記紙繊維
層は、容器の主骨格をなすものである。該紙繊維層は紙
繊維のみで形成することができる。該紙繊維層に含まれ
る紙繊維には、故紙パルプ、バージンパルプ等のパルプ
繊維、アシ、バガス、ケナフ、ミツマタ等の非木材パル
プ等が挙げられる。そして、これらの中でも、入手の容
易性・安定性、製造コストの低減などの点から、無漂白
故紙パルプが好ましく用いられる。
【0016】本発明の多層成形容器における上記紙繊維
層には、上記紙繊維のほかに、必要に応じて、成形助
剤、界面活性剤、防黴剤、耐水化剤、填料、顔料、合成
繊維、合成樹脂粉末、紙力強化剤等の他の添加成分を適
宜の割合で配合することができる。
【0017】本発明の多層成形容器における上記防湿層
は、上記紙繊維層の外側又は内側に形成される層であ
り、上記紙繊維層の外側に着色層を形成する場合には該
着色層の外側に形成される層である。該防湿層は、アク
リル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミ
ン系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、
ポリエステル系樹脂等の樹脂で形成することができる。
そして、これらの中でも、高い水蒸気バリヤー性、廃棄
性の点において、特にアクリル系樹脂、オレフィン系樹
脂が好ましく用いられる。これらの樹脂は、単独で又は
2種以上を混合して用いることができる。また、該防湿
層には、これらの樹脂以外にモンモリロナイト等の粘土
好物等の無機フィラーを適宜の割合で配合することがで
きる。該防湿層は、これらの樹脂の液状物(溶融液、溶
液、エマルジョン(水系及び非水系を含む)を含む)を
後述する紙繊維層若しくは着色層の表面にスプレーする
か又は該液状物にこれらの表面を浸漬させ、その後乾燥
させる(溶融液の場合は固化させる)ことにより形成す
ることができる。また、これらの樹脂製フィルムを該紙
繊維層若しくは着色層の表面に接着させることにより形
成することもできる。防湿層には、後述する着色層に用
いられる着色顔料を適宜の割合で配合することができ
る。
【0018】本発明の多層成形容器における防湿層は、
収容物の耐ケーキング性や性状変化の防止、容器内面へ
の粉付着防止の点から透湿度(JIS Z0208)が
0〜100g/m2・24hrであることが好ましく、
0〜50g/m2・24hrであることがより好まし
い。
【0019】本発明の多層成形容器は、装飾性を高める
観点から、上記紙繊維層の外側に、該紙繊維層に用いら
れる上記紙繊維と着色顔料とを含む着色層を設けること
が好ましい。該着色層に用いられる紙繊維は、上記紙繊
維層に用いられる紙繊維を用いることができる。そし
て、これらの中でも、着色顔料の発色性を高める点、外
観の向上、故紙利用促進の点で漂白故紙が好ましく用い
られる。着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カ
ーボンブラック、黄鉛、酸化鉄、弁柄、群青等の無機系
顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロンイエロー、
キナクリドンレッド等の有機系顔料が用いられる。該着
色層における上記紙繊維の配合量(絶乾後における配合
量)は、着色剤の発色性、着色のムラ防止の点で90〜
99.99重量%であることが好ましく、99.0〜9
9.9重量%であることがより好ましい。着色層には、
着色顔料の定着性を良好にする観点から定着剤を適宜の
割合で配合させることが好ましい。
【0020】本発明の多層成形容器の多層構造は、例え
ば、図1に示す通りであり、外層としての防湿層Aの内
側に着色層B、さらにその内側に紙繊維層C、さらにそ
の内側に防湿層D、そしてその内側に内面コート層E形
成されている。
【0021】内面コート層Eの厚み(絶乾後の胴部の厚
み。以下同じ。)は、本発明の多層成形容器の用途等に
応じて適宜設定することができるが、例えば、本発明の
多層成形容器を粉末洗剤等の嫌湿性の物品の収容に用い
る場合には、防湿性及び収容物の容器内面への付着防止
の点から、内面コート層Eの厚みtEは0.001〜
0.5mmであることが好ましく、0.005〜0.1
mmであることがより好ましい。本発明の多層成形容器
の胴部の全厚みは、使用性、保管性、物流や店頭での安
定性の点から0.1〜5.0mmであることが好まし
く、0.3〜2.0mmであることがより好ましい。
【0022】また、本発明の多層成形容器に収容される
嫌湿性の物品は、吸湿に伴って性状が変化する物品であ
り、具体的には、洗剤、漂白剤、入浴剤等の日用品、菓
子、乾物、香辛料等の日用食料品、湿気とり物品等の日
用雑貨等が挙げられる。特に、粉末洗剤、粉末漂白剤等
の粉粒状の嫌湿性の物品の収容に好適である。
【0023】本発明の多層成形容器の適用分野は広く、
通常のプラスチック成形体と同様の分野に適用できる。
例えば、本発明の多層成形容器は、ボトル、カートン等
の容器に好適に用いられる。
【0024】次に、本発明の多層成形容器の製造方法に
ついて図面を参照しながら説明する。図2(a)〜
(e)には、本発明の多層成形容器の製造工程における
抄紙・脱水工程を順次示す概略工程図が示されており、
(a)は着色層の抄紙工程、(b)は紙繊維層の抄紙工
程、(c)は中子挿入工程、(d)は加圧・脱水工程、
(e)は脱型工程である。
【0025】先ず、図2(a)に示すように、2個で一
組をなす割型11,12を突き合わせることにより、成
形すべき多層成形容器の外形に対応した形状のキャビテ
ィ13が内部に形成される金型10の上部開口部からキ
ャビティ13内に所定量の着色層用スラリーIを加圧注
入する。これにより、キャビティ13内を所定圧力に加
圧する。各割型11,12には、その外側面とキャビテ
ィ13とを連通する複数の連通孔14がそれぞれ設けら
れている。また、各割型11,12の内面は、所定の大
きさの網目を有するネット(図示せず)によってそれぞ
れ被覆されている。着色層用スラリーIの加圧注入には
例えば圧送ポンプが用いられる。着色層用スラリーIの
加圧注入の圧力は好ましくは0.01〜5MPa、更に
好ましくは0.01〜3MPaとする。
【0026】着色層用スラリーIは、水に、紙繊維0.
1〜3.0重量%、該紙繊維に対して着色顔料を0.0
1〜10重量%を含むスラリーであることが好ましく、
水に、紙繊維0.5〜1.5重量%、該紙繊維に対して
着色含量0.1〜1.0重量%を含むスラリーであるこ
とがより好ましい。着色層用スラリーIに含まれる紙繊
維及び着色顔料には、前記本発明の多層成形容器におけ
る前記着色層に用いられる前記紙繊維及び前記着色顔料
を用いることができる。また、該着色層用スラリーに
は、本発明の多層成形容器における前記着色層に含まれ
る前記添加剤成分を適宜の割合で配合することができ
る。
【0027】上述の通り、キャビティ13内は所定圧力
に加圧されているので、着色層用スラリーI中の水分は
金型10の外へ排出されると共に図2(b)に示すよう
に着色顔料を含む紙繊維がキャビティ13を被覆するネ
ットに堆積されて、該ネットに着色層Bが形成される。
また、キャビティ13内が所定圧力に加圧されること
で、本発明のような立体的な多層ボトル容器を成形する
場合でも、スラリーがキャビティ13内で対流してスラ
リーの撹拌作用が発現する。そのため、スラリー濃度は
キャビティ13内の上下方向で均一化され、ネットに着
色顔料を含む紙繊維が均一に堆積する。
【0028】キャビティ13内への着色層用スラリーの
注入が完了後、直ちに、金型10の上部開口部からキャ
ビティ13内に、紙繊維層用スラリーIIを加圧注入させ
る。紙繊維層用スラリーIIの加圧注入の圧力は、着色層
用スラリーIの加圧注入の圧力と同程度とすることがで
きる。紙繊維層用スラリーIIの加圧注入によって、キャ
ビティ13内の加圧状態は維持される。なお、着色層用
スラリーの水が十分排出された後に紙繊維層用スラリー
IIを加圧注入することもできる。
【0029】紙繊維層用スラリーIIは、水に、紙繊維を
分散させたものである。紙繊維層用スラリーII中の紙繊
維の配合量は、紙繊維を均一に堆積させ且つ、外面や内
面の平滑性を向上させる点から0.1〜3.0重量%で
あることが好ましく、0.5〜1.5重量%であること
がより好ましい。紙繊維層用スラリーIIに用いられる紙
繊維には、前記本発明の多層成形体容器に用いられる前
記紙繊維が用いられる。
【0030】紙繊維層用スラリーIIには、上記紙繊維の
他、分散剤、填料、合成繊維、合成樹脂粉末、紙力強化
剤、耐水化剤等の他の成分を配合することができる。紙
繊維層用スラリーII中の該他の成分の配合量は、0.1
〜50重量%であることが好ましく、1.0〜30重量
%であることがより好ましい。
【0031】紙繊維層用スラリーIIの加圧注入と共にキ
ャビティ13内の脱水を引き続き行うと、紙繊維層用ス
ラリーIIの固形成分からなる紙繊維層が、着色層B上
(着色層の内側)に形成される。キャビティ13内は加
圧状態下にあるので、紙繊維層は均一な厚みで形成され
る。詳細には、各スラリーをキャビティ13内に加圧注
入することで、本発明のような立体的な多層ボトル容器
を成形する場合でも、スラリーがキャビティ13内で対
流してスラリーの撹拌作用が発現する。そのため、スラ
リー濃度はキャビティ13内の上下方向で均一化され、
着色層B、紙繊維層Cの各層の肉厚が均一化される。
【0032】所定厚みの紙繊維層Cが形成されたら、紙
繊維層用スラリーの加圧注入を停止し、キャビティ13
内に空気を圧入して加圧・脱水する。引き続き、図2
(c)に示すように、空気の圧入を停止し、キャビティ
13内を吸引・減圧すると共に、弾性を有し伸縮自在で
且つ中空状をなす中子17をキャビティ13内に挿入さ
せる。中子17は、キャビティ13内において風船のよ
うに膨らませて、着色層B及び紙繊維層Cからなる積層
体(以下、多層繊維積層体という)をキャビティ13の
内面に押圧させることにより、キャビティ13の内面形
状を付与するのに使用される。従って、中子17は引張
強度、反発弾性及び伸縮性等に優れたウレタン、フッ素
系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等によって
形成されている。
【0033】次に、図2(d)に示すように、中子17
内に加圧流体を供給して中子17を膨張させ、膨張した
中子17により上記多層繊維積層体をキャビティ13の
内面に押圧させる。すると、上記多層繊維積層体は、膨
張した中子17によってキャビティ13の内面に押し付
けられ、上記多層繊維積層体にキャビティ13の内面形
状が転写されると共に脱水が更に進行する。このよう
に、キャビティ13の内部から上記多層繊維積層体がキ
ャビティ13の内面に押し付けられるために、キャビテ
ィ13の内面の形状が複雑であっても、精度良くキャビ
ティ13の内面の形状が上記多層繊維積層体に転写され
ることになる。その上、従来のパルプモールドの製造方
法と異なり、貼り合わせ工程を用いる必要が無いので、
得られる成形体には貼り合わせによるつなぎ目及び肉厚
部は存在しない。その結果、得られる成形体の強度が高
まると共に外観の印象が良好となる。中子17を膨張さ
せるために用いられる加圧流体としては、例えば圧縮空
気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種の液が使用
される。また、加圧流体を供給する圧力は、0.01〜
5MPa、特に0.1〜3MPaとなすことが好まし
い。
【0034】多層繊維積層体にキャビティ13の内面の
形状が十分に転写され且つ多層繊維積層体を所定の含水
率まで脱水できたら、図2(e)に示すように、中子1
7内の加圧流体を抜く。すると、中子17が自動的に縮
んで元の大きさに戻る。次いで、縮んだ中子17をキャ
ビティ13内より取出し、更に金型10を開いて所定の
含水率を有する湿潤した状態の多層繊維積層体18を取
り出す。
【0035】取り出された多層繊維積層体18は次に加
熱・乾燥工程に付される。加熱・乾燥工程では、抄紙・
脱水を行わない以外は、図2に示す抄紙工程と同様の操
作が行われる。即ち、先ず、一組の割型を突き合わせる
ことにより成形すべき成形体の外形に対応した形状のキ
ャビティが形成される金型を所定温度に加熱し、該金型
内に湿潤した状態の上記多層繊維積層体を装填する。
【0036】次に、上記抄紙工程で用いた中子17と同
様の中子を上記多層繊維積層体内に挿入させ、該中子内
に加圧流体を供給して該中子を膨張させ、膨張した該中
子により上記多層繊維積層体を上記キャビティの内面に
押圧させる。中子は、抄紙・脱水工程において用いた材
質のものを用いる。加圧流体の供給圧力は、上記抄紙工
程と同様とすることができる。この状態下に、上記多層
繊維積層体を加熱乾燥させる。
【0037】金型の設定加熱温度は、外観のコゲや焼け
防止性、表面平滑性の点から、150〜300℃である
ことが好ましく、180〜250℃であることがより好
ましい。
【0038】上記多層繊維積層体が、所定の含水率(0
〜25%)まで乾燥したら、上記中子内の加圧流体を抜
き、該中子を縮ませて取り出す。更に上記金型を開い
て、成形された多層繊維積層体を取り出す。
【0039】次に、取り出された多層繊維積層体の表
面、すなわち、着色層の表面及び紙繊維層の表面防湿層
を形成する。防湿層は、樹脂の液状物(溶融液、溶液及
びエマルジョン(水系及び非水系を含む)を含む)を着
色層の外面及び紙繊維層の内面にスプレーするか又は該
液状物に着色層の表面を浸漬させ、その後乾燥させる
(溶融液の場合は固化させる)ことにより形成すること
ができる。また、樹脂のフィルムを、熱溶着、超音波溶
着、或いはバインダー接着によって着色層の表面に接着
して形成することができる。防湿層の形成に用いられる
樹脂には、前記本発明の多層成形容器における前記防湿
層に用いられる前記樹脂を用いることができる。
【0040】次に、前記紙繊維層の内側に設けられた前
記防湿層(被コート層)の内面に無機フィラー及びバイ
ンダーを含む液状物(溶液、分散液を含む。)をスプレ
ー又は浸漬し、その後乾燥して形成する。この場合、該
液状物中の無機フィラーの配合量は、該無機フィラーの
分散性、塗工時の均一膜形成性、増粘による塗工適性、
乾燥時の耐ブリスター性や膜強度の点において、0.1
〜60重量%であることが好ましく、1.0〜50重量
%であることがより好ましい。また該液状物中のバイン
ダーの配合量は、フィラーの分散性、フィラーとの接着
性、塗工性、乾燥性の点において、0.1〜40重量%
であることが好ましく、1.0〜25重量%であること
がより好ましい。
【0041】このようにして得られた多層成形容器1
は、図1に示すように、開口部2の直径が胴部3の直径
よりも小さい円筒形状のボトル容器であり、最外層とし
ての防湿層Aの内側に着色層B、その内側に紙繊維層
C、さらにその内側に防湿層D、さらに内側に内面コー
ト層Eを備えた、軽量で防湿性の高いもので、収容物の
内面付着防止性に優れたものであり、前記嫌気性の物品
の収容に好適に用いられる。
【0042】本発明は上述した実施形態に制限されな
い。本発明の多層成形容器は、上記実施形態におけるよ
うに、防湿層、着色層、紙繊維層、防湿層、内面コート
層の5層構造とすることが好ましいが、着色層及び紙繊
維層の内側の防湿層は必要に応じて省略することもでき
る。紙繊維層の内側の防湿層を省略する場合には、該紙
繊維層が被コート層となる。また、着色層は設けずに、
最外層となる防湿層に着色を施すこともできる。
【0043】また、着色層用スラリーと紙繊維層用スラ
リーとがキャビティ内において混合されるように両スラ
リーの切り替えを抄紙工程で行うことにより、着色層と
紙繊維層との間に、着色層の配合組成から紙繊維層の配
合組成へと組成が連続的に変化した混合層を形成するこ
ともできる。
【0044】また、上述のように、抄紙後に空気を圧入
して加圧・脱水した後、さらに繊維積層体の内部に中子
を挿入して加圧・脱水することが好ましいが、中子の挿
入による加圧・脱水は、必要に応じて省略することがで
きる。
【0045】また、成形体の使用に際して負荷がかかる
部分、例えば開口部や底部にプラスチック等からなる補
強部材を配して、成形体の耐久性を向上させるようにし
てもよい。また、これらの部分の一部をプラスチック等
の素材で形成してもよい。
【0046】また、本発明の多層成形容器は、開口部の
横断面形状と胴部の横断面形状とがほぼ同様な略直方体
状のカートン型の容器となしてもよい。また、本発明の
多層成形容器を、収容物の収容に用いられる中空容器と
しての用途以外に、置物等のオブジェ等の用途に適用し
てもよい。
【0047】また、本発明の多層成形容器は、上記実施
形態におけるように、多層繊維積層体を所定の含水率
(0〜25%)に乾燥させた後に、内面コート層を形成
することが好ましいが、湿潤状態の多層繊維積層体にお
ける紙繊維層の内面に内面コート層用の液状物をスプレ
ー又は浸漬し、多層繊維積層体と共に乾燥させるように
することもできる。
【0048】本発明の多層成形容器は、上述のようなキ
ャビティ内にスラリーを供給して抄紙する製造方法の
他、この種の多層成形容器の製造に用いられる他の製造
方法によっても製造することができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。実施例1〜5及び比較例1〜3について、下記成
形条件において、それぞれ下記配合組成の原料組成物を
用いて総重量約45g(容量1000ml)の多層成形
ボトル容器(図1参照)を作製した。そして、得られた
多層成形ボトル容器について下記の手法で内面コート層
E及び容器の全層厚みを測定した。また、得られた多層
成形ボトル容器について下記のように透湿度を測定し
た。さらに、嫌湿性の物品として粉末洗剤を750g収
容して所定時間保存した場合における収容物の性状変化
及び該収容物の内壁への付着状態を下記のように評価し
た。結果を表1に示す。
【0050】〔紙繊維層Cの成形条件〕 <紙繊維層用スラリーの配合組成> 紙繊維:コートボール古紙、フリーネス400ml 添加剤:サイズ剤1.0重量% 紙繊維/水=1/99(重量比) <抄紙・脱水> 紙繊維層用スラリー注入圧力:0.05MPa エアー脱水:0.03MPa下、30秒
【0051】〔着色層Bの成形条件〕 <着色層用スラリーの配合組成> 着色紙繊維:模造脱墨古紙/NBKP=70/30(重
量比)、フリーネス400ml 添加剤(対パルプ):着色剤 銅フタロシアニンブルー
系アニオン顔料0.075重量%、硫酸バンド0.4重
量%、サイズ剤1.0重量%、炭酸カルシウム15重量
% 着色紙繊維/炭酸カルシウム/水=0.87/0.13
/99(重量比) <抄紙・脱水> 着色層用スラリー注入圧力:0.05MPa エアー脱水:0.03MPa下、30秒 <乾燥> 金型温度:220℃ 中子押圧:1.0MPa下60秒 含水率4%以下になるように乾燥させた。
【0052】〔防湿層A,Dの形成条件〕下記の防湿コ
ート剤を前記着色層B及び紙繊維層Cからなる前記多層
繊維積層体の外面のみ(実施例1〜4、比較例1〜3)
又は外・内両面(実施例5)に所定の厚みになるように
塗工し、105℃の雰囲気下で15分乾燥させて防湿層
を形成した。 実施例1〜5,比較例1,2の防湿コート剤:水系スチ
レン−アクリルエマルジョン樹脂+モンモリロナイト 比較例3の防湿コート剤:水系スチレン−アクリルエマ
ルジョン樹脂+カルナバワックス
【0053】〔内面コート層Eの形成条件〕下記のフィ
ラーとバインダーを含む塗工剤を、前記防湿層を形成し
た前記多層繊維積層体の内面に所定の厚みになるように
塗工し、105℃の雰囲気下で15分乾燥させて、内面
コート層を形成した。 実施例1:炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)社製 商
品名 多摩パールTP123、以下同じ。)70重量
%、アクリル系バインダー30重量% 実施例2:炭酸カルシウム30重量%、アクリル系バイ
ンダー70重量% 実施例3:カオリン(白石カルシウム(株)社製 商品
名KAOFINE90)51重量%、ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)社製 商品名H117)49重量% 実施例4:炭酸カルシウム70重量%、アクリル系バイ
ンダー30重量% 実施例5:炭酸カルシウム70重量%、アクリル系バイ
ンダー30重量% 比較例1:炭酸カルシウム10重量%、アクリル系バイ
ンダー90重量% 比較例2:炭酸カルシウム95重量%、アクリル系バイ
ンダー5重量% 比較例3:炭酸カルシウム10重量%、アクリル系バイ
ンダー90重量%
【0054】〔層厚みの測定〕容器から試料を切り取
り、SEM写真から層厚みを測定した。
【0055】〔透湿度の測定〕得られた多層成形ボトル
容器の胴部を用いて、防湿層から紙繊維層を通過する水
蒸気量を、カップ法(JIS Z208)に準じて測定
した。
【0056】〔収容物の性状変化の評価〕40℃、相対
湿度80%の雰囲気で30日間保存し、その後の収容物
の性状を調べ、以下のように評価した。 <収容物の性状評価> ◎:ケーキングなし ○:ケーキング殆どなし △:一部にケーキング有り、胴部を叩くと砕けて取り出
し可 ×:ケーキング有り、胴部を叩いても取り出し不可
【0057】〔収容物の容器内壁への付着状態の評価〕
40℃、相対湿度80%の雰囲気で30日間保存し、容
器内壁(内面コート層)への収容物の付着状態を調べ、
以下のように評価した。 <容器内壁への収容物の付着状体の性状評価> ◎:付着なし ○:殆ど付着なし △:一部に付着有り ×:付着有り
【0058】
【表1】
【0059】表1に示す結果から明らかなように、内面
コート層における無機フィラー又はバインダーが本発明
の範囲内にない比較例の容器では、収容時間が経つにつ
れて収容した物品が容器内壁へ付着したり(比較例1,
3)、内面コート層から無機フィラー自体が脱落したり
(比較例2)、十分な透湿度が得られない(比較例3)
が、無機フィラー及びバインダーが本発明の範囲内にあ
る実施例1〜5の容器(本発明品)では、充分な透湿度
が得られる上、長期間に亘る収容物の性状変化もみられ
ず、容器内壁への付着、無機フィラーの脱落も殆ど起こ
らないことが確認された。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、防湿性及び収容物の内
面付着防止性に優れた多層成形容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層成形容器の一実施形態を示す図で
あり、(a)は一部を破断視した斜視図であり、(b)
はその断面の層構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の多層成形容器の製造工程における抄紙
・脱水工程を順次示す概略工程図であり、(a)は着色
層の抄紙工程、(b)は紙繊維層の抄紙工程、(c)は
中子挿入工程、(d)は加圧・脱水工程、(e)は脱型
工程である。
【符号の説明】
1:多層成形容器 A:防湿層 B:着色層 C:紙繊維層(被コート層) D:防湿層(被コート層) E:内面コート層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機フィラー20〜90重量%とバイン
    ダー80〜10重量%とを含む内面コート層を少なくと
    も最内層に備えた多層成形容器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多層成形容器に、嫌湿性
    の物品を収容した容器詰め物品。
  3. 【請求項3】 被コート層を形成した後に、所定量の無
    機フィラー及び所定量のバインダーを含む液状物を該被
    コート層の内面に塗工し、乾燥して内面コート層を形成
    する多層成形容器の製造方法。
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