JP2002146556A - Tig装置 - Google Patents

Tig装置

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JP2002146556A
JP2002146556A JP2000346708A JP2000346708A JP2002146556A JP 2002146556 A JP2002146556 A JP 2002146556A JP 2000346708 A JP2000346708 A JP 2000346708A JP 2000346708 A JP2000346708 A JP 2000346708A JP 2002146556 A JP2002146556 A JP 2002146556A
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tig
horn
vibration
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arc
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JP2000346708A
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Kiwa Genma
喜和 弦間
Soichi Hayashi
壮一 林
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強化部位の限定をすることがなくかつ金属材
料の強化を行うことができる装置を提供すること。 【解決手段】 本発明のTIG装置は、金属材料よりな
る基材5の表面部との間にアーク15を発生させるタン
グステン電極11と、基材5の表面部とタングステン電
極11との間に不活性ガスを供給するガス供給部と、タ
ングステン電極11にアーク15を発生させるための電
力を供給する電源部と、を有し、アーク15の熱により
基材5の表面部を溶融するTIGトーチ1と、アーク1
5の熱により基材5の表面部が溶融して形成された溶融
部51に浸漬されるホーン31と、ホーン31を振動さ
せる振動発生部32と、を有する振動装置3と、を有す
ることを特徴とする。本発明のTIG装置は、振動装置
により付与される振動により凝固後の溶融部の組織を微
細化することで、特性が強化された表面部を有する金属
製品を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はTIG装置に関し、
詳しくは、金属材料よりなる基材の表面部の特性の強化
を行うことができるTIG装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、さまざまな材料において高性能化
が求められている。高性能化の一つとして、金属材料の
特性の強化がある。金属材料の特性の強化を行う手段と
して、セラミックスなどからなる強化粒子を金属材料の
組織中に分散させる方法がある。たとえば、金属材料の
組織中に強化粒子を分散させることで、金属材料の引張
特性、耐摩耗性、硬度などの特性が向上する。
【0003】金属材料の組織中に強化粒子を分散させる
手段としては、溶湯攪拌法と高圧鋳造法が広く知られて
いる。
【0004】溶湯攪拌法は、金属溶湯に強化粒子を分散
させた状態で鋳造を行うことで特性が強化された金属材
料製品を製造する方法である。すなわち、溶湯状態時に
強化粒子を分散させておくことで、強化粒子が溶湯中に
均一に分散され、この金属溶湯を型に注入して鋳造を行
うため、金属材料製品中に均一に強化粒子が分散される
ようになる。
【0005】しかしながら、溶湯攪拌法は、金属材料製
品のすべての部分に強化粒子が分散してしまい、不必要
な部分まで強化することとなる。すなわち、不必要な部
分の強度などの特性が向上することで、切削性などその
後の加工に悪影響が生じるようになる。さらに、強化粒
子と金属溶湯とは、ぬれ性が悪く、溶湯に少量の強化粒
子しか分散できないため、製造される金属材料製品の強
化には限界があるという問題を有していた。
【0006】また、高圧鋳造法は、強化粒子が分散され
た成形体をあらかじめ作成し、この成形体を型内に配置
した状態で高圧鋳造を行い、所望の部分が強化された金
属材料製品を製造する方法である。
【0007】しかしながら、高圧鋳造法は、事前に強化
粒子を有する成形体を作成する必要があり、製造に要す
るコストが増大していた。さらに、複雑な形状の成形体
が得られないなどの成形体の形状の制約や、成形体を型
内に配置する時の位置的な制約などの問題があり、金属
材料製品の強化部位が限定されるという問題を有してい
た。また、高圧鋳造法は、高圧鋳造時に成形体の強度が
要求されることから高体積率の金属材料製品しか製造で
きないという問題を有していた。
【0008】上述したように、セラミックス等からなる
強化粒子を組織中に分散させることで特性が強化された
金属材料製品を得るためには、強化粒子と金属溶湯との
ぬれ性の悪さが問題となっていた。
【0009】強化粒子の金属溶湯に対するぬれ性を改善
することを目的として、強化粒子の表面に金属溶湯と同
種の金属を被覆させる方法が特開平3−249185号
公報に開示されている。
【0010】特開平3−249185号公報に記載のア
ルミニウムおよびアルミニウム合金の表面硬化方法は、
セラミックス粒子をアルミで被覆して複合粉体を成形し
ておき、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の表面
に溶接エネルギを照射して溶融池を形成し、該溶融池に
上記複合粉体を投入する方法である。
【0011】しかしながら、この表面硬化方法は、強化
粒子の表面にアルミを被覆しなければならず、微細な強
化粒子の表面にアルミを被覆するために多大なコストが
必要になるという問題を有していた。
【0012】このように、特性が強化された金属材料
は、簡単に製造できなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする手段】本発明は上記実状に鑑
みてなされたものであり、強化部位の限定がなくかつ金
属材料の表面部の特性の強化を行うことができる装置を
提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者等は金属材料の表面部の特性の強化について
検討を重ねた結果、金属材料の溶湯に振動を付与するこ
とで微細な結晶構造を有する表面部を形成できることに
着目し、基材を溶融するTIGトーチと溶融部に振動を
付与する振動装置とを有するTIG装置とすることで上
記課題を解決できることを見出した。
【0015】すなわち、本発明のTIG装置は、金属材
料よりなる基材の表面部との間にアークを発生させるタ
ングステン電極と、基材の表面部とタングステン電極と
の間に不活性ガスを供給するガス供給部と、タングステ
ン電極にアークを発生させるための電力を供給する電源
部と、を有し、アークの熱により基材の表面部を溶融す
るTIGトーチと、アークの熱により基材の表面部が溶
融して形成された溶融部に浸漬されるホーンと、ホーン
を振動させる振動発生部と、を有する振動装置と、を有
することを特徴とする。
【0016】本発明のTIG装置は、TIGトーチによ
り溶融した基材の表面部を振動装置により振動させるこ
とで、凝固後の溶融部の組織を微細化することができ
る。この結果、表面部が強化された金属製品を得ること
ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のTIG装置は、TIGト
ーチと、振動装置と、を有する装置である。
【0018】TIGトーチは、タングステン電極と、ガ
ス供給部と、電源部と、を有し、アークの熱により基材
の表面部を溶融する部材である。すなわち、TIGトー
チがタングステン電極と基材の表面部との間にアークを
発生させることで、この発生したアークの熱により基材
の表面部を溶融させる。
【0019】タングステン電極は、金属材料よりなる基
材の表面部との間にアークを発生させる部材である。T
IGトーチを構成するタングステン電極は、従来のTI
G溶接装置に用いられているタングステン電極を用いる
ことができる。タングステン電極としては、JIS Z
3233に規定されたTIG溶接用タングステン棒を
用いることができ、たとえば、純タングステン、トリウ
ム入りタングステン(ThO2、1〜2%)棒をあげる
ことができる。また、タングステン電極には、JISに
規定されていないが、ジルコニウムタングステン棒を用
いることもできる。
【0020】ここで、金属材料よりなる基材は、本発明
のTIG装置により加工が施される部材である。基材が
金属よりなることで、アークの熱により表面部が溶融す
るようになる。基材を形成する金属材料としては特に限
定されるものではない。たとえば、アルミニウム系合
金、鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、コバルト系
合金などの金属をあげることができる。
【0021】ガス供給部は、基材の表面部とタングステ
ン電極との間に不活性ガスを供給する部材である。ガス
供給部が基材の表面部とタングステン電極との間に不活
性ガスを供給することで、基材の表面部とタングステン
電極との間が不活性ガス雰囲気となり、アークの熱に基
材の表面部が溶融したときに、基材が雰囲気ガスと反応
することによる表面部の劣化を防止できる。ガス供給部
には、通常のTIG溶接装置において不活性ガスを供給
するガス供給装置を用いることができる。また、ガス供
給部により供給される不活性ガスとしては、アルゴンガ
ス、ヘリウムガスをあげることができる。
【0022】電源部は、タングステン電極にアークを発
生させるための電力を供給する部材である。すなわち、
電源部がタングステン電極に電力を供給することで、タ
ングステン電極と基材の表面部との間にアークを発生さ
せることができる。電源部は、特に限定されるものでは
なく、従来のTIG溶接装置においてアークを発生させ
るために用いられている電源装置を用いることができ
る。電源部としては、直流電源、交流電源、交直両用電
源、ティグパルス用電源などの電源装置をあげることが
できる。
【0023】TIGトーチは、タングステン電極、ガス
供給部および電源部以外には、通常のTIG溶接機に用
いられる部材を用いることができる。
【0024】振動装置は、ホーンと、振動発生部と、を
有する装置である。
【0025】ホーンは、アークの熱により基材の表面部
が溶融して形成された溶融部に浸漬される部材である。
ここで、ホーンの溶融部への浸漬は、少なくともホーン
の先端部が浸漬していればよい。すなわち、ホーンが溶
融部に浸漬されることで溶融部にホーンの振動を付与す
ることができるようになる。
【0026】振動発生部は、ホーンを振動させる部材で
ある。すなわち、振動発生部がホーンを振動させること
で、ホーンを介して基材の溶融部を振動させることがで
きる。
【0027】本発明のTIG装置は、TIGトーチによ
り溶融した基材の表面部を振動装置により振動させるこ
とで、凝固後の溶融部の組織を微細化することができ
る。この結果、表面部が強化された金属製品を製造でき
る。
【0028】基材の表面部に強化粒子を供給する粒子供
給装置を有することが好ましい。粒子供給装置を有する
ことで、強化粒子が溶融部に分散されることで表面部の
特性が強化された金属製品を製造できる。すなわち、粒
子供給装置から供給される強化粒子は、TIGトーチに
より溶融した基材の溶融部に供給される。溶融部に供給
された強化粒子は、振動が付与された溶融部中に分散す
るためである。
【0029】ここで、本発明のTIG装置は、振動装置
により溶融部に付与された振動が、強化粒子と金属溶湯
との間のぬれ性を改善している。両者のぬれ性が改善さ
れることで、溶融部中に強化粒子が分散されるようにな
る。また、強化粒子と金属溶湯とのぬれ性が改善される
ため、強化粒子の分散量も大きくすることができる。
【0030】粒子供給装置により強化粒子が供給された
表面部を有する金属製品は、微細化された組織中に強化
粒子が多量に分散された表面部を有することとなる。こ
の結果、組織の微細化による特性の強化に加えて、強化
粒子の分散による特性の強化が行われた金属製品を製造
できるようになる。
【0031】粒子供給装置は、強化粒子を表面部に供給
できる装置であればよく、その構造は特に限定されるも
のではない。この粒子供給装置としては、たとえば、粒
子を保持する粒子保持部と、粒子保持部に一端が開口し
他端が表面部の上方に開口した筒状の粒子供給筒部と、
を有する装置をあげることができる。
【0032】強化粒子は、特に限定されるものではな
く、基材に付与しようとする特性により適宜選択して用
いることができる。すなわち、従来の金属材料の強化に
用いられている粒子を用いることができる。このような
強化粒子としては、セラミックス粒子をあげることがで
き、たとえば、Al23、TiC、SiC、NbC、T
aC、Mo2Cなどの材質よりなる粒子をあげることが
できる。また、この強化粒子の粒径についても、特に限
定されるものではない。
【0033】振動装置は、ホーンの垂直方向の位相を変
化させるホーン駆動手段を有することが好ましい。すな
わち、ホーン駆動手段がホーンの鉛直方向の位相を変化
させることで、ホーンを溶融部に浸漬させることができ
る。
【0034】詳しくは、ホーンは基材がアークの熱によ
り溶融したときに溶融部に浸漬する部材であるため、基
材が溶融していないときには、基材が金属材料よりなる
ことから、ホーンは基材に浸漬できない。このことか
ら、ホーン駆動手段を有することで、ホーンが、溶融部
から離れた位置と、溶融部に浸漬する位置とをとること
ができる。
【0035】振動発生部は、振動条件を調節する振動調
節手段を有することが好ましい。すなわち、振動調節手
段を有することで、振動条件を適宜変化させることがで
き、基材や強化粒子の種類により最適な振動条件でホー
ンを振動させることができるようになる。
【0036】振動発生部は、超音波振動を発生させるこ
とが好ましい。すなわち、振動発生部が超音波振動を発
生させることで、基材の溶融部に超音波振動を付与する
ことができる。基材の溶融部に超音波振動が付与される
と、凝固後の組織が微細化され、微細化硬化を発揮でき
るようになる。また、超音波振動が付与されると、強化
粒子が供給されたときに、強化粒子と溶融部の溶湯との
ぬれ性が向上し、強化粒子を溶融部中に多量に分散でき
る。ここで、超音波振動とは、振動の周波数が20KH
z以上の振動を示す。
【0037】粒子供給装置は、表面部への強化粒子の供
給量を調節する供給量調節手段を有することが好まし
い。すなわち、溶融部に供給される強化粒子の供給量が
調節されることで、溶融部中に分散される強化粒子量を
調節できるようになる。この結果、所望の特性を有する
表面部が得られるようになる。
【0038】本発明のTIG装置は、基材の溶融部の位
置を移動させる移送手段を有することが好ましい。すな
わち、本発明のTIG装置が、移送手段を有すること
で、被加工材の強化を連続的にかつ広い面積で行うこと
ができるようになる。ここで、移送手段は、TIGトー
チおよび振動装置を移動させる手段であっても、基材を
移動させる手段であっても、どちらでもよい。
【0039】ホーンは、セラミックスよりなることが好
ましい。セラミックスは、被加工材の溶湯とぬれ性が悪
いため、溶融部を構成する基材の溶湯がホーンに付着す
ることがおさえられる。ホーンを構成するセラミックス
の具体的な材質としては、たとえば、窒化ケイ素、サイ
アロンなどの材質をあげることができる。
【0040】本発明のTIG装置は、振動付与手段を有
することで被加工材の溶融部に振動を付与でき、この付
与された振動により金属溶湯の組織を微細化することが
できる。この結果、本発明のTIG装置は、部位の限定
がなくかつ局部強化された金属製品を製造することがで
きる。また、本発明のTIG装置は、TIGトーチのみ
を作動させて、通常のTIG溶接に用いることに何ら支
障はない。
【0041】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0042】(実施例)本発明の実施例として、図1に
構成が示されたTIG装置を製造した。
【0043】実施例のTIG装置は、トーチ1と、粒子
供給装置2と、振動装置3と、が、フレーム4に固定さ
れた装置である。ここで、フレーム4は、加工を施され
る基材5を固定する載置台6上に、かつ載置台6上を水
平方向に移動可能な状態でもうけられている。
【0044】トーチ1は、2wt%Th−Wよりなる棒
状のタングステン電極11と、タングステン電極11を
内部に保持する筒状のガスノズル12と、ガスノズル1
2の内部の基端側に開口した開口部からガスノズル12
の内部を介してシールドガスをタングステン電極11の
先端部に供給するガス供給部(図示せず)と、タングス
テン電極11に溶接電流を供給する電源装置(図示せ
ず)と、を有する装置である。また、トーチ1は、アー
ク15をタングステン電極11から鉛直方向下方に発生
させるようにフレーム4に固定されている。詳しくは、
棒状のタングステン電極11が鉛直方向にのびるように
トーチ1が固定された。
【0045】粒子供給装置2は、一端が開口した筒状の
粒子供給筒21と、粒子供給筒21を介して任意の供給
量で強化粒子を溶融部に送出する粒子供給手段22と、
を有する装置である。ここで、粒子供給筒21の一端の
開口部は、基材5がトーチ1から発生したアーク15に
より溶融したときに、基材5の溶融部51に強化粒子が
供給できる位置に開口している。詳しくは、粒子供給筒
21は、筒状の端部が鉛直方向に対して傾斜した方向に
のびるとともに傾斜した方向の延長した先に溶融部51
が位置するように配置された。
【0046】振動装置3は、溶融部51に先端部が浸漬
されるセラミックスよりなるホーン31と、ホーン31
を振動させる振動発生装置32と、を有する。なお、ホ
ーン31を形成するセラミックスは、窒化ケイ素が用い
られた。また、振動装置3は、ホーン31が溶融部51
に浸漬できるように、鉛直方向に移動可能なトーチ稼働
手段(図示せず)によりフレーム4に固定されている。
さらに、ホーン31は、トーチ1の鉛直下方よりずれた
位置で溶融部51に浸漬される。
【0047】トーチ1と、粒子供給装置2と、振動装置
3と、を、フレーム4に固定することで、トーチ1、粒
子供給装置2および振動装置3が基材5の溶融部51に
安定した状態での加工処理を施すことが可能となる。す
なわち、トーチ1、粒子供給装置2および振動装置3を
固定することで、アーク15により形成された溶融部5
1に対して、ずれを生じることなく、加工を行うことが
できる。
【0048】フレーム4は、載置台6上を水平方向に移
動可能な状態で、載置台6上にもうけられている。この
ため、フレーム4を移動させることができ、基材5の表
面部に連続的に溶融部51を形成することができる。こ
のとき、フレーム4の移動は、アーク15の熱により生
じる溶融部51がホーン31を浸漬できる位置に水平方
向の位相を変化させる移動である。
【0049】(TIG装置の使用)実施例のTIG装置
の使用は、以下の手順により行われる。
【0050】まず、載置台上の所定の位置に加工される
基材を固定する。このとき、振動装置のホーンは、上方
に位置される。その後、振動発生装置を稼働させて、ホ
ーンを振動させる。
【0051】ホーンが上方で振動した状態で、トーチか
らアークを発生させ、アークの熱により基材の表面部を
溶融させる。基材の表面が溶融したら、ホーンを下降さ
せ、ホーンの先端部を溶融部に浸漬させ、溶融部を振動
させる。
【0052】溶融部が振動した状態で、粒子供給装置を
作動させ、強化粒子を溶融部に供給し、溶融部中に分散
させる。さらに、フレームを水平方向に移動させること
で、表面部を連続的に加工できる。
【0053】ホーンを溶融部から引き上げた後に、溶融
部を冷却し、凝固させる。
【0054】以上の手順により実施例のTIG装置は使
用できる。
【0055】なお、実施例のTIG装置は、TIGトー
チおよび振動装置のみを作動させて基材の表面部の局部
強化を行うことができる。このときは、粒子供給装置を
作動させない以外は、上述の手順と同様の手順でTIG
装置を稼働させることができる。
【0056】(表面部の強化)実施例のTIG装置を用
いて、アルミニウムの表面部の特性の強化を行った。な
お、アルミニウムとしては、AC2Bが用いられた。
【0057】(試料1)試料1は、実施例のTIG装置
を用いて、表面部をアークの熱により溶融させ、溶融部
に振動を付与して得られたアルミニウム試料である。
【0058】詳しくは、以下に示された方法により製造
されたアルミニウム試料である。
【0059】実施例のTIG装置の稼働は、まず、載置
台上に試料を固定した。
【0060】つづいて、振動装置のホーンを試料の鉛直
上方に保持した状態で振動発生装置を稼働させて、ホー
ンを振動させた。ここで、このホーンの振動条件を表1
に示した。
【0061】
【表1】
【0062】その後、トーチのタングステン電極と試料
の表面との間にアークを発生させて、アークの熱により
試料の表面部を溶融させた。ここでのアークの発生条件
を、表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】アークの熱により試料の表面部が溶融した
ら、振動した状態にあるホーンを下方に動かして、試料
が溶融した溶湯よりなる溶融部にホーンの先端部を浸漬
させた。ホーンの先端部が溶融部に浸漬すると、ホーン
の振動により、溶融部が振動した。
【0065】その後、ホーンを上方に移動させ、溶融部
から引き上げ、放冷により溶融部を凝固させた。
【0066】以上の方法により、表面部が強化されたア
ルミニウムよりなる試料1が製造された。
【0067】(比較試料)比較試料は、実施例のTIG
装置を用いて、表面部をアークの熱により溶融させ、溶
融部を放冷により凝固させた試料である。
【0068】詳しくは、振動装置を作動させない以外は
試料1と同様の方法により製造された試料である。
【0069】(試料2)試料2は、実施例のTIG装置
を用いて、表面部をアークの熱により溶融させ、溶融部
に振動を付与するとともに、強化粒子を溶融部に分散さ
せて得られたアルミニウム試料である。
【0070】すなわち、振動装置を作動させて溶融部を
振動させた状態で、粒子供給装置を作動させて溶融部に
強化粒子を供給した以外は試料1と同様の方法により製
造された試料である。
【0071】具体的な粒子供給装置の作動は、ホーンの
先端部が浸漬して溶融液が振動した状態で、粒子供給装
置から溶融部にアルミナ粒子を供給した。アルミナ粒子
の供給量は、溶融部中で50vol%となるように供給
された。アルミナ粒子は、溶融部の上方に開口した粒子
供給筒の開口部から溶融部に供給され、振動が付与され
ている溶融液中にただちに分散された。
【0072】その後、ホーンを上方に移動させ、溶融部
から引き上げ、放冷により溶融部を凝固させた。
【0073】以上の方法により、アルミナ粒子が分散さ
れたアルミニウムよりなる試料2が製造された。
【0074】(評価)実施例のTIG装置の評価とし
て、試料1、2および比較試料の表面部の顕微鏡写真を
撮影し、組織の状態を確認した。なお、試料1の表面を
図2に、比較試料の表面を図3に、試料2の表面を図4
に示した。
【0075】図2より、試料1の表面は、アルミニウム
の組織が微細化されていることがわかる。これに対し、
図3に示された超音波振動が付与されていない比較試料
の表面部は、粗大な組織となっていることがわかる。ア
ルミニウムの組織が微細化されることで、表面部の強度
が向上する。
【0076】このことから、実施例のTIG装置は、振
動装置を作動させることで表面部に微細化された組織を
有するアルミニウム製品が得られる。
【0077】また、図4より、試料2は、アルミニウム
金属中にアルミナ粉末が均一に分散されていることが確
認できる。すなわち、ぬれ性の悪いアルミナ粉末がアル
ミニウム中に多量にかつ均一に分散されている。アルミ
ニウム試料は、アルミナ粉末が分散されることで表面部
の硬度が上昇した。さらに、図4に示されたように、試
料2は、アルミニウムの組織が微細化されていることか
ら、表面部が高い強度を有することがわかる。
【0078】実施例のTIG装置は、表面部に微細化さ
れた組織を有するアルミニウム製品を製造することがで
きる。表面部の組織が微細化されることで、表面部の強
度が向上するようになる。このことから、実施例のTI
G装置は、表面部の特性を複雑な加工を行うことなし
に、表面部が改良された製品を製造できる。
【0079】さらに、実施例のTIG装置は、基材にア
ルミナ粉末を分散させることができる効果を有する。す
なわち、実施例のTIG装置は、アルミニウム溶湯に対
してぬれ性が低いアルミナ粉末を多量に分散できること
を示す。ここで、分散されるアルミナ粉末には、特に処
理を施す必要がなく、材料コストの上昇が抑えられる効
果を有する。
【0080】
【発明の効果】本発明のTIG装置は、特性が強化され
た表面部を有する金属製品を製造することができる。す
なわち、振動装置を有することで基材の溶融部を振動さ
せることができ、この振動により凝固後の溶融部の組織
を微細化し、組織が微細化されることで特性が強化され
る。
【0081】さらに、溶融部に付与された振動は、溶融
部に供給された強化粒子と金属溶湯とのぬれ性を向上さ
せることができる。強化粒子と金属溶湯とのぬれ性が改
善されることで、金属溶湯中に強化粒子を分散させるこ
とができるようになり、分散した状態で凝固させること
で、局部強化が施された金属製品を製造することができ
る効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のTIG装置の構成を示した図であ
る。
【図2】 試料1の表面の顕微鏡写真である。
【図3】 比較試料の表面の顕微鏡写真である。
【図4】 試料2の表面の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…トーチ 11…タングステン電極 12
…ガスノズル 2…粒子供給装置 21…粒子供給筒 22
…粒子供給手段 3…振動装置 31…ホーン 32
…振動発生装置 4…フレーム 5…試料 6
…載置台
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月19日(2000.12.
19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料よりなる基材の表面部との間に
    アークを発生させるタングステン電極と、該基材の該表
    面部と該タングステン電極との間に不活性ガスを供給す
    るガス供給部と、該タングステン電極に該アークを発生
    させるための電力を供給する電源部と、を有し、該アー
    クの熱により該基材の該表面部を溶融するTIGトーチ
    と、 該アークの熱により該基材の該表面部が溶融して形成さ
    れた溶融部に浸漬されるホーンと、該ホーンを振動させ
    る振動発生部と、を有する振動装置と、を有することを
    特徴とするTIG装置。
  2. 【請求項2】 前記基材の前記表面部に強化粒子を供給
    する粒子供給装置を有する請求項1記載のTIG装置。
  3. 【請求項3】 前記振動装置は、前記ホーンの垂直方向
    の位相を変化させるホーン駆動手段を有する請求項1記
    載のTIG装置。
  4. 【請求項4】 前記振動発生部は、超音波振動を発生さ
    せる請求項1記載のTIG装置。
  5. 【請求項5】 前記粒子供給装置は、前記表面部への前
    記強化粒子の供給量を調節する供給量調節手段を有する
    請求項2記載のTIG装置。
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