JP2002146490A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP2002146490A JP2000338207A JP2000338207A JP2002146490A JP 2002146490 A JP2002146490 A JP 2002146490A JP 2000338207 A JP2000338207 A JP 2000338207A JP 2000338207 A JP2000338207 A JP 2000338207A JP 2002146490 A JP2002146490 A JP 2002146490A
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Hiromichi Koshiishi
弘道 輿石
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無方向性電磁鋼板の鉄損の低減と磁束密度の
向上を両立させるとともに、熱間圧延後の酸洗条件を緩
和して製造コストを低減する。 【解決手段】 重量%でC:0.005%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0〜2.5%、Al:1.5
〜3.5%、P:0.15%以下、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、かつMn/Alが0.5〜0.8
である成分の鋼を熱間圧延した後に酸洗し、冷間圧延し
た後の鋼板に対して連続焼鈍を施して無方向性電磁鋼板
を製造する。従来の高Si系から高Al−Mn系の成分
系とすることにより、鉄損の低減と磁束密度の向上を両
立させるとともに、製造コストを低減することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機などの回転
機に使用される無方向性電磁鋼板の鉄損の低減と磁束密
度の向上を両立させるとともに、製造コストを低減する
あらたな成分系の無方向性電磁鋼板およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は無方向性電磁鋼板と方向性電
磁鋼板に大別され、無方向性電磁鋼板は鋼板面内での磁
化方向による磁気特性の差が小さいという特性から、主
として磁力線の方向が常に変化する電動機などの回転機
に使用され、方向性電磁鋼板は鋼板の特定方向に磁界を
かけたときの磁気特性がとくに優れているという特性か
ら、主として磁力線の方向が常に一定に流れる変圧器な
どの静止器に使用されている。
【0003】近年における電機産業の発達および家庭電
化製品の普及、ならびにこれと並行した環境、資源問題
から電気機器に対し要求される省エネルギー、高効率化
の要請から、電動機や変圧器にとってもその効率向上は
最大の要求事となっている。このためには鉄損や銅損、
機械損を減少させることが必要で、このような電動機や
変圧器の鉄心として使用されている電磁鋼板について、
さらなる鉄損の低減が求められている。
【0004】電磁鋼板の低鉄損化のために従来種々の手
段が講じられており、代表的な手段としては、鋼のSi
含有量を多くして鋼板の固有抵抗を高める、鋼の不純物
元素を少なくして鋼板の結晶粒径を最適値に調整する、
などの方法が採用されてきた。しかし、Si含有量を多
くすると固有抵抗は高まるものの、冷間加工性が低下
し、また磁束密度が低下するという問題がある。また、
鋼の不純物の低減はすでに極限に近いレベルまで低減さ
れてきており、結晶粒径の制御による効果も限界に近い
ところにある。
【0005】これに対し近年は、鉄損をより低減させる
手段として、鋼板の集合組織の制御が採用されている。
無方向性電磁鋼板の場合は、磁化容易方向である結晶方
位〔100〕が鋼板の面方向に沿って高密度に分布する
ように、鋼の成分系、圧延条件、焼鈍条件を制御し、結
晶体の{100}面が鋼板表面に平行に集積している
{100}集合組織を目指した制御が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような集合組織
を得るための鋼の成分系、圧延条件、鋼板の焼鈍条件に
関して、従来種々の改善が行われてきた。しかし、これ
らの改善策はいずれも鋼板の製造コストや処理コストが
高く、量産性や経済性に難点がある。
【0007】従来の電磁鋼板における製造条件の最大の
特徴は、鋼の成分としてのSi含有量が多いということ
である。この高Si成分系は、電磁鋼板の歴史始まって
以来の成分系であり、Si含有量を多くすることによっ
て鋼板の固有抵抗を高め、これにより鉄損を低減すると
いうものである。鉄損低減に効果のあるSi含有量の下
限は0.3重量%程度とされている。
【0008】鋼板の固有抵抗はSi含有量が多いほど高
くなるが、Si含有量が多くなると冷間加工性が低下す
るので、実際のSi含有量の上限は4重量%程度であ
る。また、Si含有量が多くなると鋼板の磁束密度が低
下するので、鉄損の低減と磁束密度の向上を両立させる
ことは困難である。
【0009】また、鋼中のSi含有量が多いと、熱間圧
延後の表面スケール中に含まれるシリカ(SiO2)の
量が多くなる。熱間圧延鋼板を冷間圧延する前には表面
スケールを除去するための酸洗が行われるが、この酸洗
時において、スケール中に多く含まれるシリカを完全に
除去するには、シリカの溶解能力のある酸洗液としてフ
ッ化水素酸(HF)を用いなければならない。このフッ
化水素酸は普通鋼板の酸洗に用いられる塩酸(HCl)
や硫酸(H2SO4)の水溶液に比して高価であり、また
廃酸処理も厄介である。さらに、電磁鋼板の酸洗設備と
普通鋼板の酸洗設備を共用することは、通板する鋼板が
変わるたびに酸洗液を交換しなければならないので生産
性の面から実際上極めて困難であり、電磁鋼板は専用の
設備を有する製造所のみで製造されているのが現状であ
る。
【0010】本発明が解決すべき課題は、無方向性電磁
鋼板の鉄損の低減と磁束密度の向上を両立させるととも
に、熱間圧延後の酸洗条件を緩和して製造コストを低減
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、無方向性電
磁鋼板の{100}集合組織を得るための製造条件につ
いてあらたな発想のもとに研究し、高Siを基本とした
従来の成分系に代えて、高Al、高Mnを基本とした成
分系とするとともに、この成分系に対応した酸洗条件お
よび焼鈍条件を採用することにより、上記課題の達成を
可能にした。
【0012】すなわち本発明の無方向性電磁鋼板は、重
量%でC:0.005%以下、Si:1.0%以下、M
n:1.0〜2.5%、Al:1.5〜3.5%、P:
0.15%以下、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、かつMn/Alが0.5〜0.8である成分の鋼か
ら製造した無方向性電磁鋼板である。
【0013】無方向性電磁鋼板には、モータやトランス
のコア用に鋼板を打ち抜いた後のコアの歪取り焼鈍を行
うことを前提に冷間圧延後の最終焼鈍工程を簡略化した
セミプロセス無方向性電磁鋼板と、コアの歪取り焼鈍を
前提としないフルプロセス無方向性電磁鋼板とがある
が、本発明はいずれの無方向性電磁鋼板にも適用できる
ものである。
【0014】本発明に係る無方向性電磁鋼板は、重量%
でC:0.005%以下、Si:1.0%以下、Mn:
1.0〜2.5%、Al:1.5〜3.5%、P:0.
15%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
かつMn/Alが0.5〜0.8である成分の鋼を熱間
圧延した後に酸洗し、冷間圧延した後の鋼板に対して連
続焼鈍を施す製造方法によって製造することができる。
ここで、セミプロセス無方向性電磁鋼板の場合は、前記
連続焼鈍の後にスキンパス圧延を行うことができる。ま
た、フルプロセス無方向性電磁鋼板の場合は、前記連続
焼鈍において鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起こさ
ない組成のガスを雰囲気ガスとして用いることができ
る。さらに後述する理由により、熱間圧延後の酸洗にお
いて酸洗液を普通鋼板用の塩酸または硫酸の水溶液を用
いて行うことができる。
【0015】上記の鋼の成分系(以下、成分%はすべて
重量%である)において、Cは鋼板の磁気特性を劣化さ
せるので低いほど好ましく、0.005%以下とする。
Siは鋼板の固有抵抗を高める元素であるが、本発明に
おいてはSiの含有量を少なくし、その代わりにAl含
有量を多くして固有抵抗を高める。鋼中のSi含有量が
多くなると冷間加工性が低下し、また磁束密度が低下す
るので、Siの含有量は1.0%を上限とする。
【0016】Mnは本発明においてAlとともに重要な
成分である。Mnは鋼板の固有抵抗を高めるとともに、
Fe−Al合金状態図においてオーステナイト領域を拡
大して{100}集合組織を得るのに寄与するので、
1.0%以上を添加する。ただしMn含有量が多くなり
すぎると鋼板の磁束密度が低下するので、2.5%を上
限とする。
【0017】Alは本発明において最も重要な成分であ
る。鋼板の固有抵抗を高めるのに従来はSi含有量を多
くしていたのであるが、本発明においてはSi含有量を
少なくしAl含有量を多くして鋼板の固有抵抗を高め
る。このためにAlを1.5%以上添加する。鋼中のN
含有量が多い場合はAlNの形成による焼鈍時の結晶粒
の成長阻害が懸念されるが、近年の鋼の精錬技術の進歩
によりNは極めて低いレベルまで除去可能であり、Al
Nの形成による悪影響は小さくなっている。ただし、A
l含有量が多くなりすぎると冷間加工性が低下するので
上限を3.5%とする。
【0018】さらに本発明において重要な因子は、Mn
とAlの比である。Mnの添加によりFe−Al合金状
態図におけるオーステナイト領域が拡大されることは前
述したが、ここでさらに詳しく説明する。図1はFe−
Al合金におけるMn含有量の影響を説明するための図
であり、横軸はFe中のAlの含有量、縦軸は温度を示
す。図中の曲線M0はMn含有量が0(ゼロ)のときの
オーストナイト領域(γM0)とフェライト領域(αM0
領域との境界線であり、曲線M18はMn含有量が1.8
%のときのオーストナイト領域(γM18)とフェライト
領域(αM18)領域との境界線(実際にはオーステナイ
ト領域の内側にオーステナイト+フェライトの領域があ
るが図では省略している)を示す。Fe−Al合金に或
る量のMnを添加したときのFe−Al−Mn系状態図
上のオーストナイト領域とフェライト領域との境界線の
先端位置と状態図上の或るAl含有量に対応する縦軸と
の間隔d(図ではMn含有量が1.8%でAl含有量が
2.7%のときの間隔dを示している)が小さいほど、
{100}集合組織を得やすいことを本発明者は見出し
た。とくにSi含有量が1.0%以下でMn/Alが
0.5〜0.8の範囲であれば、この間隔dを小さくす
ることができて、最良の{100}集合組織が得られる
ことを本発明者は確認した。
【0019】また、鋼の成分系を従来の高Si系から高
Al−Mn系とすることにより、冷間圧延後の焼鈍にお
ける再結晶温度が相対的に低下するので、焼鈍温度や焼
鈍時間、雰囲気ガスなどの焼鈍条件を緩和することがで
きるという効果がある。
【0020】なお本発明の成分系においてC、Si、M
n、Al、PおよびFe以外の元素の含有量については
不可避的不純物の範囲としているが、固有抵抗値に限ら
ず電磁鋼板の特性を向上させるために少量の特殊元素、
たとえばCu、Niなどを添加することを妨げるもので
はない。
【0021】無方向性電磁鋼板の製造工程はセミプロセ
ス無方向性電磁鋼板とフルプロセス無方向性電磁鋼板と
で一部異なる。最も大きな違いは冷間圧延後の鋼板の焼
鈍条件である。セミプロセス無方向性電磁鋼板は、打ち
抜き後のコアの歪取り焼鈍の実施を前提としているの
で、冷間圧延後の鋼板の焼鈍は比較的低温かつ短時間の
焼鈍ですむ。また、打ち抜き後のコアの歪取り焼鈍の条
件緩和を可能とするために冷間圧延後の鋼板の焼鈍の後
にスキンパス圧延を行うこともある。一方、フルプロセ
ス無方向性電磁鋼板は、打ち抜き後のコアの歪取り焼鈍
を実施しなくてもよいようにするために、冷間圧延後の
鋼板の焼鈍はセミプロセス無方向性電磁鋼板の場合より
も高い温度でかつ長い時間の焼鈍が必要である。また、
この焼鈍の条件緩和のために熱間圧延後の鋼板に対して
焼鈍を施すこともある。
【0022】本発明に係るセミプロセス無方向性電磁鋼
板は上記の成分系の鋼を熱間圧延後酸洗し、冷間圧延後
の鋼板に対して連続焼鈍を施す製造方法によって製造さ
れるが、とくにSi含有量を1.0%以下とすることに
よって、熱間圧延後の鋼板表面のスケール中に含まれる
シリカが高Si系の場合に比して少なくなるので、酸洗
液として普通鋼板の酸洗に用いられる塩酸や硫酸の水溶
液を用いたときでも表面スケールを充分に酸洗除去する
ことができる。従来の電磁鋼板の酸洗に用いられていた
フッ化水素酸に代えて塩酸や硫酸の水溶液を用いること
により、酸洗コストを低減できるとともに、酸洗設備を
普通鋼板との共用設備とすることができるので電磁鋼板
専用の設備を有しない製造所でも電磁鋼板を製造するこ
とができ、製造コストを低減することができる。
【0023】同様にしてフルプロセス無方向性電磁鋼板
の場合も、Si含有量を1.0%以下とすることによ
り、塩酸や硫酸の水溶液で酸洗することができる。冷間
圧延後の鋼板の焼鈍に関しては、焼鈍条件がセミプロセ
ス無方向性電磁鋼板の場合に比較して高温かつ長時間で
あるので、焼鈍時に鋼板中に含まれるAlと窒化反応を
起こさない組成のガスを雰囲気ガスとして用いるのが望
ましい。鋼板中にsolAlの形態で存在しているAl
は化学的に活性であり、焼鈍時の高温雰囲気ガス中にN
が存在すると、AlとNが反応してあらたなAlNを生
成する。このAlNは、焼鈍時の鋼板表面近傍の結晶粒
成長を阻害し、磁気特性の向上を抑制するという悪影響
を及ぼす。そこでAl含有量が多く、焼鈍温度が高いフ
ルプロセス無方向性電磁鋼板の場合は、焼鈍時の炉内雰
囲気ガスとして、鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起
こさない雰囲気ガスを用いる。Alと窒化反応を起こさ
ない雰囲気ガスとしては、H単独ガス、またはHとA
r、He、Neのいずれか1種以上との混合ガスを主成
分とするガスを用いることができる。鋼板中に含まれる
Alと窒化反応を起こさない雰囲気ガスを用いることに
より、Alを1.5〜3.5%含有する鋼板の場合であ
っても、焼鈍時にあらたなAlNが生成することはほと
んどない。セミプロセス無方向性電磁鋼板の場合は焼鈍
温度が比較的低いので、炉内雰囲気ガスに一部Nを含ん
でいてもAlN生成の問題は少ない。
【0024】さらに本発明においては、セミプロセス無
方向性電磁鋼板とフルプロセス無方向性電磁鋼板の両方
の製造方法に共通する利点として、従来の高Si成分系
に代えて高Al−Mn成分系としたことにより、冷間圧
延後の焼鈍条件を高Si成分系の場合よりも緩和できる
点がある。冷間圧延後の鋼板の焼鈍における再結晶温度
は、Siについては含有量が多くなるほど再結晶温度が
高くなるが、AlとMnについては含有量が多くなるほ
ど相対的に再結晶温度は低くなる。したがって、高Al
−Mn成分系の場合は焼鈍温度を低く設定するか、また
は連続焼鈍時の通板速度を高めることができるので、焼
鈍コストを低減することができる。また、焼鈍温度を低
く設定できることから、高AlであってもAlNの生成
を抑制することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実験例に基づいて
説明する。表1に示す化学成分の鋼を出発材料として、
熱間圧延−焼鈍(無し、または有り)−酸洗(酸洗液H
Cl系、またはHF系)−冷間圧延−焼鈍−スキンパス
圧延(無し、または有り)−絶縁コーティングの工程に
より最終製品板厚が0.5mmの無方向性電磁鋼板を製
造した。冷間圧延後の焼鈍は異なる条件を組み合わせて
いる。主な製造条件と鋼板の磁気特性を表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】 注1)雰囲気ガスのN+Hは(90%N2+10%H
2)ガスを、H+Arは(5%H2+95%Ar)ガス
を表す。 注2)発明例3の磁気特性値は鋼板から打ち抜いたコア
の歪取り焼鈍後の値を示す。
【0028】表1の鋼の成分において、発明例1〜8は
鋼の成分が本発明の範囲内にあるものであり、比較例
1,2はMn/Alが本発明の範囲外であるものであ
り、従来例1〜3は高Si系の従来成分のものである。
表2の製造条件において、酸洗液はHF系(従来例)と
HCl系(発明例と比較例)、熱延後の焼鈍は有り(従
来例と発明例5)と無し(発明例1〜4,6,7と比較
例1,2)、最終焼鈍条件は鋼板のグレードに応じて4
パターンを設定した。
【0029】鋼板の固有抵抗値に関しては、鋼板のグレ
ードごとに従来の成分系の電磁鋼板の固有抵抗値のレベ
ルに近い値となるように鋼の成分を設定したので、固有
抵抗値は発明例、比較例、従来例ともほぼ同じである。
磁気特性値は成分系と製造条件の組合せにより異なる。
具体的には以下の通りである。
【0030】発明例1は本発明の基本的な成分系と製造
条件によるもので、磁束密度(B50)は高いが、鉄損
(W15/50)は熱延後の焼鈍がないので従来例より
いくぶん劣化している。発明例2は、発明例1の成分系
にPを添加したもので、その分鉄損が向上している。発
明例3は鋼板から打ち抜いたコアの歪取り焼鈍を前提に
したもので、冷延後の焼鈍条件を緩和しスキンパス圧延
を実施したもので、コアの歪取り焼鈍後の鉄損の向上が
著しい。
【0031】発明例4はMn含有量とAl含有量のバラ
ンス(Mn/Al)がよく、磁束密度、鉄損とも向上し
ている。比較例1と比較例2はMn/Alが本発明の範
囲外であり、鉄損が劣化している。
【0032】発明例5〜7は最良の成分系(とくにMn
/Al)のもとで製造条件を変えて製造したものであ
る。発明例5は熱延後の焼鈍有り、N2なしの焼鈍雰囲
気ガスのもとでの最終焼鈍により、磁束密度、鉄損とも
著しく向上している。発明例6は熱延後の焼鈍無しのほ
かは発明例5と同じ条件で、磁束密度、鉄損とも向上し
ている。発明例7は熱延後の焼鈍無し、N2を含む焼鈍
雰囲気ガスのもとでの最終焼鈍により発明例6よりは鉄
損が劣化している。発明例8はMn/Alが本発明範囲
の下限に近いものであるが、発明例7と同程度の特性値
が得られている。
【0033】
【発明の効果】鋼の成分を低Si、高Mn、高Alでか
つ特定範囲のMn/Alとすることで、鉄損の低減と磁
束密度の向上を両立させることができ、また、冷間圧延
後の鋼板の焼鈍における再結晶温度が従来の高Siの場
合に比して相対的に低くなるので、焼鈍温度を低く設定
するか、または連続焼鈍時の通板速度を高めることがで
き、焼鈍コストを低減することができる。
【0034】Si含有量を低くしたことにより、熱間圧
延後の酸洗における酸洗液として普通鋼板の酸洗に用い
られる塩酸や硫酸の水溶液を用いることができるので、
酸洗コストを低減できるとともに、酸洗設備を普通鋼板
との共用設備とすることができ、電磁鋼板専用の設備を
有しない製造所でも電磁鋼板を製造することができ、製
造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Fe−Al合金におけるMn含有量の影響を
説明するための図である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月14日(2001.9.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】さらに本発明において重要な因子は、Mn
とAlの比である。Mnの添加によりFe−Al合金状
態図におけるオーステナイト領域が拡大されることは前
述したが、ここでさらに詳しく説明する。図1はFe−
Al合金におけるMn含有量の影響を説明するための図
であり、横軸はFe中のAlの含有量、縦軸は温度を示
す。図中の曲線M0はMn含有量が0(ゼロ)のときの
オースナイト領域(γM0)とフェライト領域(αM0
の境界線であり、曲線M18はMn含有量が1.8%の
ときのオースナイト領域(γM18)とフェライト領域
(αM18)領域との境界線(実際にはオーステナイト領
域の内側にオーステナイト+フェライトの領域があるが
図では省略している)を示す。Fe−Al合金に或る量
のMnを添加したときのFe−Al−Mn系状態図上の
オースナイト領域とフェライト領域との境界線の先端
位置と状態図上の或るAl含有量に対応する縦軸との間
隔d(図ではMn含有量が1.8%でAl含有量が2.
7%のときの間隔dを示している)が小さいほど、{1
00}集合組織を得やすいことを本発明者は見出した。
とくにSi含有量が1.0%以下でMn/Alが0.5
〜0.8の範囲であれば、この間隔dを小さくすること
ができて、最良の{100}集合組織が得られることを
本発明者は確認した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K033 AA01 CA09 GA02 JA07 KA03 5E041 AA02 AA11 AA19 CA04 HB05 HB07 HB11 NN01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.005%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:1.0〜2.5%、Al:1.5
    〜3.5%、P:0.15%以下、残部Feおよび不可
    避的不純物からなり、かつMn/Alが0.5〜0.8
    である成分の鋼から製造した無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%でC:0.005%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:1.0〜2.5%、Al:1.5
    〜3.5%、P:0.15%以下、残部Feおよび不可
    避的不純物からなり、かつMn/Alが0.5〜0.8
    である成分の鋼を熱間圧延した後に酸洗し、冷間圧延し
    た後の鋼板に対して連続焼鈍を施すことを特徴とする無
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱間圧延後の酸洗を塩酸または硫酸
    の水溶液を用いて行うことを特徴とする請求項2記載の
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記冷間圧延後の連続焼鈍において鋼板
    中に含まれるAlと窒化反応を起こさない組成のガスを
    雰囲気ガスとして用いることを特徴とする請求項2また
    は3記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記連続焼鈍の後にスキンパス圧延を行
    うことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載
    の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6938324B2 (en) 2003-01-14 2005-09-06 Toyo Tessin Kogyo Co., Ltd. Method of manufacturing a stator core
US7566371B2 (en) 2005-02-23 2009-07-28 Nippon Steel Corporation Non-oriented electrical steel sheet excellent in magnetic properties in rolling direction and method of production of same

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