JP2002145853A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの製造方法Info
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Abstract
タムを製造する方法において、調整が容易な固体触媒を
使用し、高い選択率で副生硫安のないε-カプロラクタ
ムを製造する方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】タングステン元素を含む
化合物をpH9以上の塩基性条件下で調製したタングス
テン含有固体触媒と、シクロヘキサノンオキシムを気固
相で接触させることを特徴とするε-カプロラクタムの
製造方法により解決される。
Description
キシムをベックマン転位させて、ε-カプロラクタムを
製造する方法に関する。更に詳しくは、タングステン元
素を含む塩基性溶液より調製した固体触媒を使用し、こ
の触媒とシクロヘキサノンオキシムを気固相で接触させ
ることにより、硫安の副生がなく、高収率でε-カプロ
ラクタムを製造する方法に関する。
ヘキサノンとヒドロキシルアミンより合成されたシクロ
ヘキサノンオキシムをベックマン転位することにより製
造される。現在稼動している商業プラントは、触媒とし
て濃硫酸が主に用いられている。この場合、生成物であ
るε-カプロラクタムは硫酸と塩を形成している。この
ため、ε-カプロラクタムを単離するには、例えば、ア
ンモニアと反応させ硫安の形にして硫酸の除去を行って
いる。生成する硫安は、かつては肥料としての需要があ
り、製造原価から控除され、このプロセスを経済的に優
位にしていた。しかし、現状では硫安の需要は少なく、
硫安を副生しない製造プロセスの確立が求められてい
る。
副生しないプロセスとしては、固体酸触媒を用いた気相
ベックマン転位が提案されている。例えば、J.Cat
al.,6,245(1966)には固体酸であるH型
のゼオライトYが、日本化学会誌,21(1978)に
は市販のSiO2−Al2O3が、それぞれ気相ベックマ
ン転位に対し活性を示すことが報告されている。
媒として有効であることの類推から、H酸点が触媒反応
に関与すると考えられているが、いずれも、カプロラク
タムの収率が低いものである。
は、タングステン酸アンモニウムを酸性条件下あるい
は、弱アルカリ条件下で調製されたタングステン担持触
媒が、硫安を副生しないベックマン転位プロセスとして
報告されている。しかし、これらの触媒では、活性成分
であるタングステンの担持量が20〜数十wt%と非常
に多いにもかかわらず、目的物のカプロラクタムの収率
は70%程度と低いものであった。また、Catal.
Lett.,1997,49,229ではWCl 6から
調製されたシリカ坦持タングステン酸化物触媒が報告さ
れており、カプロラクタムの収率は90%程度と大幅に
改善されている。しかし、この触媒の調製法は、四塩化
炭素にWCl6を溶解させた後に、シリカゲルを含浸さ
せ、さらに硝酸処理をし、水洗処理で塩素を除去すると
いう煩雑な工程が必要である。そのため、調整法の簡便
化ならびに活性の更なる向上が求められている。
ン元素の含有量が少なく、かつ、従来のものよりも高い
活性を示す固体触媒を簡便な方法で調製することによ
り、硫安を副生しないε-カプロラクタムを製造する方
法を提供することを課題とする。
ステン元素を含む化合物をpH9以上の塩基性条件下で
調製したタングステン含有固体触媒と、シクロヘキサノ
ンオキシムを気固相で接触させることを特徴とするε-
カプロラクタムの製造方法により達成される。
本発明で使用するタングステン元素を含む化合物として
は、例えば、ホウ化タングステン、炭化タングステン、
塩化タングステン、タングステンヘキサカルボニル、二
ケイ化タングステン、タングステン酸およびこのアルカ
リ金属塩、アンモニウム塩、各種金属塩、パラタングス
テン酸およびこのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、各
種金属塩、メタタングステン酸およびこのアルカリ金属
塩、アンモニウム塩、各種金属塩、リンタングステン
酸、珪タングステン酸などのヘテロポリタングステン
酸、およびこれらの塩が挙げられる。好ましくはタング
ステン酸およびこのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、
各種金属塩、パラタングステン酸およびこのアルカリ金
属塩、アンモニウム塩、各種金属塩、メタタングステン
酸およびこのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、各種金
属塩およびヘテロポリタングステン酸とこれらの塩であ
る。より好ましくはタングステン酸およびこのアルカリ
金属塩、アンモニウム塩、各種金属塩、パラタングステ
ン酸およびこのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、各種
金属塩、メタタングステン酸およびこのアルカリ金属
塩、アンモニウム塩、各種金属塩である。これらの化合
物は、単独でも二種以上を混合して使用しても何ら問題
はない。
pH9以上の塩基性溶媒であり、好ましくはpH10以
上の塩基性溶媒である。塩基性にするためには、通常の
塩基化合物を、通常の水やイオン交換水、ろ過水、蒸留
水等の精製水に溶解させて調製する。塩基化合物として
は、アンモニアやトリメチルアミン、トリエチルアミン
などの有機アミン化合物が挙げられる。好ましくはアン
モニアである。
水にとかしてpH9以上の塩基性溶媒とし、タングステ
ン元素を含む化合物を溶解させることもできるし、最初
にタングステン元素を含む化合物を水や精製水に溶かし
た後、塩基化合物を添加してpH9以上に調整すること
もできる。また、触媒調製に支障の無い限り水溶性の有
機溶媒を加えても差し支えない。水溶性の有機溶媒とし
ては、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジオ
キサン等の環状エーテル、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類が挙げられる。
中のタングステン化合物の濃度は、特に制限はないが、
好ましくは0.1wt%〜50wt%、より好ましくは
1〜20wt%の範囲である。
定量のタングステン化合物を含む溶液を一度ないし数度
に分けて含浸させてもよい。また、薄い溶液を複数回含
浸させることで所定量のタングステン化合物を含浸させ
てもよい。
いては、特に制限はないが、経済性および反応性の面か
ら考えて、0.01wt%〜20wt%、好ましくは
0.1wt%〜10wt%である。
ル、チタニア、ジルコニア、バナジニア、カルシア、マ
グネシア等の通常の触媒担体が挙げられ、酸化クロム、
酸化ニオブ、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化イ
ッテルビウム、酸化ホウ素、酸化鉄、酸化コバルト、酸
化亜鉛等の酸化物、Y型、ZSM−5型、モルデナイ
ト、ベータ型、SAPO、ALPO型等のゼオライトも
挙げられる。特に入手が容易で、かつ、安価なシリカゲ
ルが好適に使用される。
ニカム状等の形態を、反応方式にあわせ自由に選択する
ことができる。
触媒は、マッフル炉あるいは管状炉を用いて200〜1
000℃、好ましくは250〜600℃の温度範囲に
て、空気中あるいは窒素等の不活性ガス中で焼成した
後、触媒として反応に用いる。
位反応は、以下のようにして行うことができる。反応温
度は、特に制限はなく、好ましくは100℃〜500
℃、より好ましくは250℃〜350℃である。反応温
度があまりに低いと、十分な反応率が得られず、また、
あまりに高いとコーキング等の副反応が起ってしまう。
反応圧も、特に制限はなく、好ましくは10torr〜
20atmの幅広い範囲で行うことができるが、常圧で
十分好適に反応を行うことができる。
体のため適当な有機溶媒に溶かして反応器に供給する。
溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、オクタノール等のアルコール、ヘキサン、シクロヘ
キサン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン等が好適に使用される。ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族化合物も溶媒として使用可能である
が、環境に与える影響を考えると好ましくない。
%で0.1〜90%、好ましくは1〜50%の範囲で自
由に選ぶことができる。反応器への供給はマイクロフィ
ーダー等の定量ポンプが好適に使用される。シクロヘキ
サノンオキシムの供給量は、特に制限されず、例えば触
媒1gに対し0.01g/g−cat/hr〜10g/
g−cat/hrの範囲で自由に選択できるが、好まし
くは0.05g/g−cat/hr〜1g/g−cat
/hrである。
し、反応に不活性な窒素、He、Ar等をキャリアーガ
スとして用いて触媒上に供給することも可能である。そ
の場合、シクロヘキサノンオキシムとキャリアーガスと
の比率は、モル比でシクロヘキサノンオキシム/キャリ
アーガス=1/200〜1/1の幅広い範囲を取れる
が、好ましくは1/100〜1/10である。
料および生成化合物は、ガスクロマトグラフィーにより
分析した。
ア水でpHが13となるように調製した含浸液(タング
ステン酸の含有量5wt%)20mlに、500℃で2
時間焼成した市販のシリカゲル粒状成形品(粒径1.7
〜4.0mmφ、平均細孔径30nm)5gを加え、タ
ングステン化合物を担持させた。その後、シリカゲルを
濾過し、60℃で乾燥後、300℃で2時間空気焼成を
行なった。このようにして得られた触媒のタングンテン
担持量をプラズマ励起発光分光分析法(ICP)にて定
量したところ、タングステン(W)元素として6.1重
量%であった。得られた触媒1gを、内径10mmφ×
長さ300mmの石英製反応管に詰め、5wt%のシク
ロヘキサノンオキシム−イソプロパノール溶液を、シク
ロヘキサノンオキシムのフィード量が0.0975g/
hとなるように調製し、窒素ガス38ml/minを供
給しながら300℃で反応を行った。反応後5時間での
活性を調べたところ、シクロヘキサノンオキシムの転化
率は99.1モル%であり、ε−カプロラクタムの選択
率は93.9モル%であった。
て反応を行った。得られた触媒のタングンテン担持量を
ICPにて定量したところ、タングステン(W)元素と
して5.3重量%であった。反応後5時間での活性を調
べたところ、シクロヘキサノンオキシムの転化率は9
9.3モル%であり、ε−カプロラクタムの選択率は9
0.8%であった。
て反応を行った。得られた触媒のタングンテン担持量を
ICPにて定量したところ、タングステン(W)元素と
して4.8重量%であった。反応後5時間での活性を調
べたところ、シクロヘキサノンオキシムの転化率は9
9.7モル%であり、ε−カプロラクタムの選択率は9
2.7モル%であった。
して反応を行った。得られた触媒のタングンテン担持量
をICPにて定量したところ、タングステン(W)元素
として5.5重量%であった。反応後5時間での活性を
調べたところ、シクロヘキサノンオキシムの転化率は9
9.6モル%であり、ε−カプロラクタムの選択率は7
4.5モル%であった。
して反応を行った。得られた触媒のタングンテン担持量
をICPにて定量したところ、タングステン(W)元素
として4.1重量%であった。反応後5時間での活性を
調べたところ、シクロヘキサノンオキシムの転化率は9
9.3モル%であり、ε−カプロラクタムの選択率は7
0.4モル%であった。
表1にまとめて示した。
ムを気相でベックマン転位させε-カプロラクタムを製
造する方法において、簡便な操作で調製したタングステ
ン元素含有固体触媒を使用することにより、副生硫安も
なく、高い収率でε-カプロラクタムを製造することが
可能となる。
Claims (3)
- 【請求項1】タングステン元素を含む化合物をpH9以
上の塩基性条件下で調製したタングステン含有固体触媒
と、シクロヘキサノンオキシムを気固相で接触させるこ
とを特徴とするε-カプロラクタムの製造方法。 - 【請求項2】pH9以上の塩基性条件下が、pH9以上
のアンモニア水条件下である請求項1記載のε-カプロ
ラクタムの製造方法。 - 【請求項3】タングステン元素を含む化合物が、タング
ステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸、
これらの塩およびヘテロポリタングステン酸とこれらの
塩からなる群より選ばれた少なくとも1化合物である請
求項1または2記載のε-カプロラクタムの製造方法。
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JP2000336945A JP4154852B2 (ja) | 2000-11-06 | 2000-11-06 | ε−カプロラクタムの製造方法 |
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JP2006083160A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-30 | Ube Ind Ltd | ラクタム化合物の製造方法 |
JP2008546743A (ja) * | 2005-06-21 | 2008-12-25 | アルケマ フランス | シクロドデカノンオキシムの気相触媒転位によるラウリルラクタム(l12)の合成方法 |
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- 2000-11-06 JP JP2000336945A patent/JP4154852B2/ja not_active Expired - Fee Related
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