JP2002141565A - 超電導デバイスの製造方法 - Google Patents

超電導デバイスの製造方法

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JP2002141565A JP2001277477A JP2001277477A JP2002141565A JP 2002141565 A JP2002141565 A JP 2002141565A JP 2001277477 A JP2001277477 A JP 2001277477A JP 2001277477 A JP2001277477 A JP 2001277477A JP 2002141565 A JP2002141565 A JP 2002141565A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】容易に構造でき、かつ、特性の均一な超電導デ
バイスの製造方法を提供する。 【解決手段】単結晶基板上に弱結合部を加工し、加工さ
れた基板上に超電導薄膜を形成して超電導デバイスを製
造することを特徴とし、たとえば、SrTiO3単結晶
基板1上の弱結合部を形成する領域に非晶質のアルミナ
膜13を形成し、次いで、基板上全面にBa−Y−Cu
酸化物超電動膜を成膜し、アルミナ膜上には非配向のB
a−Y−Cu膜9、露出したSrTiO3基板上にはc
軸配向のBa−Y−Cu膜3a、3bを形成して弱結合
素子を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体窒素温度あるい
はそれ以上の温度で動作する超電導デバイスに係り、特
に製造が容易で動作が安定な超電導デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高温で動作する超電導デバイスの
材料としては、Nb3Ge等の材料が使用されていた。
この技術については、エイチ・ロガラ等(H.Rogalla
et al.)が、アイ・イー・イー・イー・トランザクショ
ン・マグ−15,536(1985)(IEEE Tran
s.MAG−15,536(1985))において論じて
いる。
【0003】また、従来超電導性を示す複数の電極を半
導体あるいは常伝導体を介して結合させた超電導デバイ
スについては、アール・ビー・バン・ドーバー等(R.
B.Van.Dover et al.)が、ジェイ・アプライド・フ
ィジックス・Vol.52,第7327,1981(J.
Appl.Phys., Vol.52,P.7327,1981)
において論じている。また上記超電導デバイスに電界効
果によって超電導性を示す電極間の結合を変化させる手
段を加えた三端子型の超電導デバイスについては、ティ
ー・ディー・クラーク等(T.D.Clark et al.)が、
ジェイ・アプライド・フィジックス・Vol.5,第27
36頁,1980年(J.Appl.Phys.,Vol.5,
P.2736,1980)において論じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この三端子型の超電導
デバイスの断面構造を図1に示す。このデバイスは、半
導体層2に接して設けられた2つの超電導電極3a,3
bに半導体層2を通して流れる超電導電流の値を両電極
3a,3b間に設けた制御電極5に印加した電圧によっ
て超電導近接効果を変化させて制御するものである。制
御電極5は半導体層2の上に、絶縁膜4を介して設けら
れている。
【0005】上記従来技術は、超電導電極の材料として
Pb,Pb合金,Nb,Nb系化合物を用いていた。従
って、これらの材料を用いた超電導デバイスを動作させ
るためには、液体ヘリウム温度(4.2K)付近の極低
温中にデバイスを設置しなければならなかった。さらに
2つの超電導電極間の超電導近接効果の影響を大きくす
るためには、2つの超電導電極間の距離を0.5μm以
下に離して設置しなければならず、このことがデバイス
作製を非常に困難なものとしていた。
【0006】また、上記従来技術においては、超電導電
極と半導体あるいは常伝導体とは、それぞれ別々の元素
の組合せから成る材料によって構成されていた。例えば
超電導電極の材料としてはNbやPb合金、Sn等が用
いられ、また半導体あるいは常伝導体の材料としては、
Si,InAs,Cu等が用いられていた。しかしなが
ら、これらの材料を組合せるということは、超電導体と
半導体又は常伝導体のように電気的な性質が全く異なる
材料を重ねてデバイスを構成することを意味している。
従って、この超電導デバイスは半導体あるいは常伝導体
の表面上にこれとは異なる材料の超電導体が重ねて形成
された構造となる。このとき、超電導体の特性は、半導
体等の表面状態に敏感に反応するため、このような構造
のデバイスは、その特性が変化し易く、この種の超電導
デバイスを再現性よく製造することは、困難であった。
【0007】また、超電導体の超電導転移温度(Tc)
も高々10〜20K程度であり、このことはデバイスの
特性がそのデバイスの温度変化によって不安定になり易
いことを意味している。
【0008】また、従来の超電導デバイスは、主として
液体ヘリウム温度で動作することから、その温度までの
冷却には、液体ヘリウムへの浸漬又は、ヘリウム・ガス
による冷却という方法が用いられていた。しかしなが
ら、液体ヘリウムは非常に高価であり、冷却剤として経
済的でない。また、液体ヘリウムは室温に比べて極低温
であるため、その取扱い自体が難しいといった問題を有
していた。そして、この液体ヘリウムの問題は、そのま
ま超電導デバイス自身の経済性及び取扱いといった問題
に結びついていた。
【0009】また、従来用いられていた超電導材料は、
多結晶状あるいはアモルファス状であった。多結晶性の
材料においては0.5μm以下の微細加工を精密に行う
ことは困難であり、また超電導体としての性質が結晶の
方位に依存する材料を使用した場合には、作製のたびに
多結晶材料の結晶粒の配向性の程度を厳密に制御する必
要がある。しかしながら、一般にはこれが困難であるた
めに、製造の際の特性ばらつきが大きくなるという問題
があった。
【0010】従来の超電導弱結合素子を有する超電導デ
バイスの構造は超電導膜の一部を細くしてくびれを形成
し、くびれ部分に弱結合性を持たせた、いわゆるマイク
ロブリッジが代表的なものである。とくにNb系超電導
材料に対しては光学的なパタン形成技術あるいは電子ビ
ーム描画技術と超電導膜の加工技術を組合せて、超電導
弱結合素子が作製されて来た。このような弱結合素子は
微弱な磁界を検出できる量子磁束計として、あるいは高
感度のマイクロ波・ミリ波検出器として利用される。量
子磁束計は10-9Oeという高い磁束分解能を有し、脳
磁計や心磁計に利用される。弱結合素子のマイクロ波検
出領域は他の半導体素子では不可能な高い周波数帯域1
012Hzまで可能である。
【0011】このように超電導弱結合素子を備えた超電
導デバイスは電磁波の検出素子として優れた性能を有す
る。しかしながら従来のNb系超電導材料は臨界温度が
23K以下であるから、Nb系超電導材料を用いて形成
される超電導材料も液体ヘリウム中(4.2K)での動
作を余儀なくされてきた。
【0012】このような公知例として、IEEE Tran
saction on Magnetics,Vol.MAG−21,No.
2,MARCH 1985,pp.932−934がある。
【0013】本発明の第1の目的は、温度変化に対する
動作が安定で、かつ、液体窒素温度以上の高温で動作可
能な超電導デバイスを提供することにある。
【0014】本発明の第2の目的は、経済性に優れ、か
つ、その取扱いが容易な超電導デバイスを提供すること
にある。
【0015】本発明の第3の目的は、容易に構造でき、
かつ、特性の均一な超電導デバイスを提供することにあ
る。
【0016】本発明の第4の目的は、効率の良い超電導
電子の流れを与える超電導デバイスを提供することにあ
る。
【0017】本発明の第5の目的は、デバイス感度及び
利得の大きな超電導デバイスを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1,第2,第3及
び第4の目的は、超電導デバイスを構成する酸化物超電
導体の結晶のc軸を、その酸化物超電導体内を流れる超
電導電波の方向と略垂直になるように配向することによ
って達成される。又は、この超電導体をその超電導性が
結晶学的な方位に依存しており、面内での2次元性が強
くなるように形成し、上記超電導体を流れる電流の方向
を上記超電導性の高い方向と一致させることによって達
成される。
【0019】上記第1,第2,第3及び第5の目的は、
超電導体と常伝導体(半導体)とが接する面に対して超
電導体の結晶のc面が垂直になるように接続することに
よって、達成される。
【0020】すなわち、たとえば酸素欠陥型層状ペロブ
スカイト結晶構造又はK2NiF4型結晶構造を有する超
電導材料は、超電導的な性質が結晶学的な方位に依存し
ており、c軸に垂直な面、すなわちc面内での超電導性
が強く、キャリアが面内で動く2次元性が強い。このた
めデバイスとして使用するために充分大きな電流を流す
ことのできる方向はc面内であり、他の面に比較して約
10倍の超電導電子の流れをもつ。そこで超電導体の結
晶のc軸を超電導体内を流れる電流方向と略直角にする
ことによって、効率良く超電導電流を流すことができ
る。
【0021】本発明によれば、超電導体と常伝導体もし
くは半導体とを組合せて使用する超電導デバイスにおい
て、超電導体と常伝導体もしくは半導体との界面の結晶
格子を整合させて製造し、なおかつデバイス中の電流が
流れる方向と、材料の超電導性の高い方向とが一致して
いるために、充分に大きな超電導電流を流すことができ
るので、特性が安定で再現性良く製造でき、しかも回路
動作も安定な超電導デバイスを実現できる効果がある。
【0022】超電導体から半導体又は常伝導体に電子対
あるいは電子がしみ出す確率が高くなる。すなわち超電
導体と半導体又は常伝導体界面の電子波の整合性が良好
であり、効率の良い電子の流れとなる。従って動作の安
定した高利得の超電導デバイスの実現が可能となる。同
様の効果は結晶粒が配向した多結晶材料を用いた場合に
も得ることができる。
【0023】さらに、(La1-xAx)2CuO4(AはS
r1ーy-zBayCazなどの材料)なる組成のK2NiF4
型結晶構造を有する超電導材料は、超電導的な性質が結
晶学的な方位に依存しており、c面、すなわちc軸に垂
直な面内での超電導体が強い異方的な電気伝導特性を有
する。このため、デバイスとして充分に大きな電流を流
す方法は、結晶のc軸に垂直な面内にあることが必要で
あって、このため超電導体、及び常伝導体が、超電導デ
バイスをその上に形成する基板に接している面、すなわ
ち基板の表面が、超電導体あるいは常伝導体を構成する
単結晶材料のc軸に垂直であることが望ましいのであ
る。この場合には、超電導デバイスにおいて電波を流す
方向が、超電導性の最も高い方向と一致しており、この
ため、デバイスの動作を安定なものにすることができ
る。
【0024】以上は、単結晶性の材料を超電導電極と、
半導体とに使用した場合について述べたが、同様の効果
は結晶粒が配向した多結晶材料を用いた場合にも得るこ
とができる。この場合にも、結晶粒の配向方向は基板の
表面に対し結晶粒のc軸が垂直となることが望ましい。
配向した常伝導体もしくは半導体上に、やはり同じ配向
性を有する超電導電極を形成することは容易であり、こ
のような場合には、上で述べた単結晶性の材料を用いた
場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0025】また、以上の説明においては、先に常伝導
体又は半導体を形成しておき、次いで超電導体を形成す
るものとしているが、この順序を変更しても全く同様の
効果を得ることができる。
【0026】以下、実施例を参照して本発明を詳細に説
明する。
【0027】
【発明の実施の形態】(実施例1)図2を用いて本発明
の第1の実施例を説明する。基板1は、SrTiO3単
結晶からなり、その主表面は結晶のc軸と垂直である。
この基板1の主表面上にスパッタリング法によって厚さ
約100nmの(La0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有す
る常伝導体又は半導体2を形成する。この常伝導体又は
半導体は、平坦な基板1上に形成されているため、膜厚
は一定である。これを高周波加熱法によって約1000
℃で約10秒程度の加熱処理を行なう。すると、常伝導
体又は半導体2はそのc軸が基板1のc軸と同じ方向に
配向した単結晶薄膜になる。続いて(La0.9Ca0.1)2
CuO4の組成を有する厚さ約100nmの超電導体3
を同じくスパッタリング法によって形成する。この超電
導体3は下地となる常伝導体又は半導体2の配向性に依
存した結晶配向性を有するため、やはり基板1及び常伝
導体又は半導体2同じc軸方向に配向する。この超電導
体3の表面にホトレジストによるパターンを形成し、こ
れをマスクにしてArイオンによるスパッタ・エッチン
グを行い、超電導体3を対向する2つの超電導電極3
a,3bに加工する。この二つの超電導電極3a,3b
の間の長さは、常伝導体又は半導体のコヒーレンス長さ
の約3〜10倍程度である。次に、化学的気相成長法
(CVD法)によって厚さ約150nmのSiO2より
成る保護膜6を形成する。この保護膜6は、超電導体2
の材料に希土類元素を含む酸化物を使用した場合には、
水素,酸素の拡散や表面の組成変化によって材料の超電
導特性が変化し、デバイスの特性が時間とともに劣化す
ることを防止するために設けたものである。従って、本
実施例のような酸化物系の材料を超電導体に用いる場合
には、この保護膜6を使用することが望ましい。保護膜
6の材料としてはSiO2の他にSiO,Si3N4などの絶
縁物や、有機高分子材料等を使用しても良い。
【0028】以上によって、超電導体3a−常伝導体
(半導体)2−超電導体3bの構造を有する超電導デバ
イスを得ることができる。この場合、常伝導体2と超電
導体3の間の界面は、両層を連続的に形成したために、
汚染等が無く、また結晶格子の整合が良いために、キャ
リアの反射が少なく理想的な状態を保って形成できた。
このため特性の均一性と再現性に優れ、回路動作が安定
になる効果があった。なお、本実施例においては、基板
1の材料としてSrTiO3あるいはサファイアを用い
たが、この他にSiC等のセラミクス材料あるいはGG
G等のガーネット材料を用いてもよい。
【0029】(実施例2)次に図3を用いて本発明の第
2の実施例を説明する。第1の実施例においては常伝導
体又は半導体2を先に形成したが、すでに述べたように
超電導体3を先に形成することもできる。形成の際の条
件等は第1の実施例と同様で良い。即ち、主表面が結晶
のc軸と垂直である基板1(SrTiO3単結晶)の上
に(La0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有する厚さ約1
00nmの超電導体をスパッタリング法によって形成す
る。超電導体3の表面にホトレジストによるパターンを
形成し、これをマスクにしてエッチングを行い、超電導
体3を加工して対向する2つの超電導電極3a,3bを
形成する。次に(La0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有
する厚さ約200nmの常伝導体2をスパッタリング法
によって堆積形成する。これを高周波数加熱法により約
1000℃で約10秒間の加熱処理を施す。すると、常
伝導体又は半導体2と超電導体3は、実施例1と同様
に、そのc軸が基板1のc軸と同じ方向(いいかえれ
ば、基板1の主表面と垂直方向)に配向した多結晶ある
いは単結晶の薄膜になる。このようにして、本発明の超
電導体3a−常伝導体(半導体)2−超電導体3bの構
造を有するデバイスを得ることができる。
【0030】(実施例3)次に図4を用いて、本発明の
第3の実施例を説明する。図2の第1の実施例による超
電導デバイスの表面に保護膜6を形成せずに、CVD
(化学的気相成長法)によってSiO2から成る厚さ約
20〜120nmの絶縁膜4を形成する。次に厚さ約3
00nmのNbより成る制御電極5をスパッタリング法
による堆積とCF4ガスを用いた反応性イオンエッチン
グ法によって形成する。これによって三端子型の超電導
デバイスを実現することができる。この制御電極5は2
つの超電導電極間を流れる電流を制御することができ
る。このデバイスは制御電極5を有しているが、前記の
2つの実施例と同様に、特性の均一性と再現性とに優れ
た超電導デバイスを実現できることは言うまでもない。
【0031】(実施例4)次に図5を用いて、本発明の
第4の実施例を説明する。主表面が結晶のc軸に垂直な
基板1(SrTiO3単結晶あるいはサファイヤ)の上
に、スパッタリング法により厚さ約100nmの(La
0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有する超電導体3aを形
成する。これを酸素雰囲気中で加熱して、約920℃,
2時間の熱処理を行なう。これにより、超電導体3aは
c軸が基板1のc軸と同じ方向に配向した多結晶薄膜あ
るいは単結晶薄膜とすることができる。続いてイオンビ
ーム・スパッタリング法により厚さ約100nmの(L
a0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有する常伝導体又は半
導体2と、厚さ約200nmの(La0.9Ca0.1)2Cu
O4の組成を有する第2の超電導体3bを形成する。
【0032】超電導体3aの加工はホトレジストのパタ
ーンをマスクとした化学エッチングを用いる。常伝導体
2と第2の超電導体3bとは、メタルマスクを通して形
成する。そして超電導体3bを酸素雰囲気中で加熱し
て、約920℃、2時間の熱処理を行なう。これにより
第2の超電導体3bも超電導体3aと同様にc軸が基板
1のc軸と同じ方向に配向した多結晶薄膜となる。次に
化学的気相成長法(CVD法)によって厚さ約150n
mのSiO2より成る保護膜6を形成する。以上によっ
て超電導体3a−常伝導体(半導体)2−超電導体3b
の構造を有する超電導デバイスを得ることができる。本
実施例においては、超電導体3aと第2の超電導体3b
とが常伝導体2をはさみ込んだ、サンドイッチ型の構造
を有している。この点が本発明の第1の実施例とは異っ
ている。このようなサンドイッチ型の構造においても、
本発明の目的を充分に達することができる。また本実施
例では常伝導体をはさみ込んでいるが、これが半導体で
あっても良いことは言うまでもない。この場合には超電
導体と半導体の間にはショットキ障壁が存在し、電気伝
導のメカニズムにおいては、トンネル効果が重要となる
が、このようなトンネル接合に対しても、本発明は充分
な効果を有することは言うまでもない。
【0033】(実施例5)上記図2から図5までの実施
例に示された超電導デバイスに用いられた超電導電極材
料は、高い超電導臨界温度を有するペロブスカイト型の
酸化物超電導材料である。この材料において超電導電子
対は結晶構造上にa−b面方向(c軸と垂直方向)に流
れやすく、c軸と同じ方向には流れ難い。したがってこ
のような材料を超電導電極として用いた超電導デバイス
の超電導電流の流れは超電導電極3a→常伝導体(半導
体)2→超電導電極3bとなる。そこで超電導電極3
a,3bと常伝導体(半導体)2の界面の電子の流れが
重要となる。つまり超電導電極3aから常伝導体(半導
体)2に対する電流の流れ及び常伝導体(半導体)2か
ら超電導電極3bに対する電流の流れをそれぞれ大きく
しなければならない。
【0034】図3の場合、超電導電極3a,3bの電流
は、基板1の主表面と平行(c軸と垂直)方向に流れ
る。従って、超電導電極3a,3bと常伝導体(半導
体)2との間には、最大超電導電流が流れる。しかしな
がら、図2および図4のように、超電導電極3a,3b
と常伝導体(半導体)2とが異なる層で形成されている
場合には、超電導電極3aから常伝導体(半導体)2へ
の電流の流れ及び常伝導体(半導体)2から超電導電極
3bへの電流の流れは、超電導電極3a,3bの電流の
流れと直交することになる。従って、このような超電導
デバイスは、超電導電極3a−常伝導体(半導体)2−
超電導電極3bの構造において、超電導体(3a,3
b)と常伝導体(半導体)2との間に充分な超電導電流
を流すことができないという問題があった。
【0035】この問題を解決した実施例について、以下
説明する。
【0036】図6は本実施例の第5の実施例である超電
導デバイスの断面図である。基板11は、第1から第4
の実施例とは異なり、SrTiO3からなり、その主表
面は結晶のc軸と平行である。この基板11上にスパッ
タリング法で厚さ200nmの(La0.9Ca0.1)2Cu
O4の組成を有する常伝導体(半導体)2を形成する。
その後これを高周波加熱法で1000℃,10秒の加熱
処理を行なう。すると、常伝導体(半導体)2は、その
c軸が基板11のc軸と平行な単結晶薄膜になる。次に
(La0.9Ca0.1)2CuO4の組成を有する厚さ約30
0nmの超電導薄膜をスパッタリング法によって形成す
る。この超電導薄膜は、下地となる常伝導体(半導体)
2の結晶の配向性に依存した結晶配向性を有するため、
常伝導体(半導体)2の表面に対してc軸が平行、すな
わちc面が垂直になるように配向している。次に950
℃の酸素雰囲気中で1時間の加熱を行った後この超電導
薄膜表面にホトレジストによるパターンを形成し、これ
をマスクとしてArイオンによるスパッタエッチングを
行い、対向する2つの超電導電極3a,3bを形成す
る。
【0037】次に、化学的気相成長法(CVD法)によ
って、SiO2からなる厚さ約120nmの絶縁膜7を
形成する。続いて、イオン・ビーム・スパッタリング法
により、厚さ約100nmの(La0.9Ca0.1)2CuO
4の組成を有する超電導配線3c,3dを形成する。そ
して、この超電導配線3c,3dを約950℃の酸素雰
囲気中で1時間の加熱を行なう。超電導配線3c,3d
の下地材料は、アモルファス状のSiO2より成る絶縁
膜であるために、超電導配線3c,3dを構成する材料
の結晶粒のc軸は、基板に対し垂直方向に配向し易い。
これにより、超電導配線3c,3dのc軸は基板11の
主表面に対して垂直に配向し易くなる。この結晶粒の配
向は完全なものではないが、このように超電導電極3
a,3bと、超電導配線3c,3dの配向性を変えるこ
とにより、より大きな超電導電流を安定に流すことがで
きる。このようにして超電導体3a−半導体2−超電導
体3bの構造を有する超電導デバイスを得ることができ
る。このデバイスは超電導体3a,3bと半導体2との
界面の電流の流れが良好であり、流れの方向が超電導性
の高い方向と一致するので超電導電極3a,3b間を流
れる臨界超電導電流が増大して安定した動作を示す。
【0038】(実施例6)次に図7を用いて、本発明の
第6の実施例である超電導デバイスを説明する。図6の
実施例である超電導デバイスに、超電導電流を制御する
ための制御電極5を付加したものである。尚、図7にお
いては、図面を簡略化するために、図6の超電導配線3
c,3dを記号的に示し、絶縁膜7を省略して示した。
【0039】第5の実施例で示したデバイスの表面に化
学的気相成長(CVD)法によってSiO2からなる厚
さ100nmの絶縁膜4を堆積する。その後DCマグネ
トロンスパッタリング法で厚さ約300nmのNb膜を
堆積し、ホトレジストをマスクとしてCF4ガスでエッ
チングし、制御電極5を形成する。このようにして三端
子型の超電導デバイスを得ることができる。このデバイ
スは、第5の実施例と同様に超電導近接効果を高めるこ
とができるので、制御電極に印加する一定の電圧に対す
る臨界超電導電流の変化量を増加させることができる。
従ってデバイスの利得が大きくなり、安定した動作を示
す。
【0040】(実施例7)図8は本発明の第7の実施例
である超電導デバイスの断面図である。基板1は、図1
と同様に、その主表面がc軸に垂直なSrTiO3単結
晶からなる。この基板1上にスパッタリング法で厚さ5
00nmの(La0.9Ca0.1)2CuO4からなる常伝導
体(半導体)2を堆積する。その後、高周波加熱法で1
000℃,10秒の加熱を行なう。なお半導体2はその
c軸が基板1のc軸と同じ方向、即ち基板1の主表面と
垂直になっている。これをホトレジストをマスクとして
CF4ガスによるプラズマエッチングによって深さ30
0nmまでエッチングして、常伝導体(半導体)2に幅
0.5μm以下の突起2aを設ける。続いてCVD法で
SiO2からなる厚さ100nmの層間絶縁膜7を形成
した後スパッタリング法で(La0.9Sr0.1)2CuO4
の組成を有する厚さ200nmの超電導薄膜を形成す
る。ここで常伝導体(半導体)2からなる突起部2aの
側面に対して超電導薄膜のc面が垂直になるように配向
している。続いてホトレジストを溶媒によって除去する
ことにより、図8に示した超電導デバイスを得ることが
できる。このデバイスは、図2の実施例と同様に超電導
近接効果を高めることができるので臨界超電導電流が増
し、安定した動作を示す。
【0041】(実施例8)図9は本発明の第8の実施例
である超電導デバイスの断面図である。図8の実施例の
デバイスに超電導電流を制御するための制御電極5を付
加した超電導デバイスである。図8の実施例に示したデ
バイスの表面にCVD法によってSiO2からなる厚さ
100nmの絶縁膜4を形成する。その後、DCマグネ
トロンスパッタ法で厚さ300nmのNb膜を形成す
る。そして、これをCF4ガスにより反応性イオンエッ
チング法を用いて加工し、制御電極5を形成する。この
ように図9に示した超電導デバイスを得ることができ
る。このデバイスによれば制御電極に印加する一定の電
圧に対する臨界超電導電流の変化量を増加させることが
できるデバイスの利得が大きくなり、安定した動作を示
す。
【0042】(実施例9)次に図10を用いて本発明の
第9の実施例を説明する。SrTiO3の単結晶より成
る基板1に、スパッタリング法によって(La0.9Sr
0.1)2CuO4の組成を有する厚さ約1μmの超電導体3
を、結晶のc軸が基板に垂直になるごとく堆積させる。
これはあらかじめ基板1の主表面の結晶方位をc面に運
んでおけば良い。次に950℃の酸素雰囲気中で2時間
加熱を行った熱超電導体の一部分を、Arイオンエッチ
ング法によって加工し、厚さ約0.2μm,幅約0.1μ
mの弱結合部9を形成する。引きつづいて、弱結合部上
にCdSよりなる光導電性半導体8を形成し、本発明の
超電導デバイスを作製する。以上によって光導電性半導
体8にc面が垂直に接し弱結合部9によって区切られた
2つの超電導電極3a,3bからなる構成の超電導デバ
イスを実現できる。このような構造をもつデバイスの光
導電性半導体8に光10を照射したところ超電導電極3
a,3bの最大超電導電流が流れる方向と超電導電極3
a−光導電性半導体8−超電導電極3bへの電流の流れ
は、図に示したx軸方向で一致するために大きな電流を
流すことができる。それに従ってx軸方向に流れる電流
の値を照射する微小な強度の光で容易に制御することが
でき、高感度で高速の光検出デバイスとして動作する。
【0043】(実施例10)次に図11を用いて、本発
明の第10の実施例を説明する。CdSよりなる光導電
性半導体8上にスパッタリング法によって(La0.9S
r0.1)2CuO4なる組成を有する厚さ1μmの超電導体
と、結晶のc軸が基板に平行になるごとく堆積させる。
次に950℃の酸素雰囲気中で2時間の加熱を行った
後、Arイオンエッチング法で超電導体の一部分を加工
して、厚さ0.2μm,幅0.1μmの弱結合部9を形成
して本発明の超電導デバイスを作製する。このデバイス
の光導電性半導体8に光10を照射したところ、超電導
電極3a,3bの最大超電導電流が流れる方向と超電導
電極3aから光導電性半導体8への電流の流れ、及び光
導電性半導体8から超電導電極3bへの流れと一致する
ために大きな電流を流すことができる。したがって微量
な光で電流の値を容易に制御することができる高感度で
高速の光検出デバイスとして動作する。
【0044】(実施例11)次に図12を用いて本発明
の第11の実施例を説明する。CdSよりなる光導電性
半導体8をホトレジストをマスクとしてArイオンエッ
チング法で加工し、高さ1μm,幅0.1μmの突起を
形成する。次にマスクを除去した後、(La0.9Sr0.
1)2CuO4なる組成を有する厚さ2μmの超電導体を、
結晶のc軸が表面に垂直となるように堆積させる。これ
にCF4ガスによるプラズマエッチングを施して、超電
導体の表面が均一となり、かつ突起上の超電導体の厚さ
が0.2μmになるようにする。続いて酸素雰囲気中で
950℃,2時間の加熱を行って、本発明の超電導デバ
イスを作製する。
【0045】このデバイスの光導電性半導体8に光10
を照射したところ、超電導電極3a,3bの最大超電導
電流が流れる方向と超電導電極3a−光導電性半導体8
−超電導電極3bの電流の流れる方向は一致するために
大きな電流を流すことができる。従って、流れる電流の
値を光によって容易に制御することができ、高感度で高
速の光検出デバイスとして動作する。
【0046】(実施例12)次に図13を用いて本発明
の第12の実施例を説明する。SrTiO3よりなりc
軸に垂直な表面を有した基板1上に、CdSよりなる厚
さ1μmの光導電性半導体8を堆積し、Arガスイオン
エッチング法で幅0.1μmに加工する。次に(La0.9
Sr0.1)2CuO4なる組成を有する厚さ2μmの超電導
体を、結晶のc軸が垂直に平行となるように堆積させ
る。これにCF4ガスによるプラズマエッチングを施し
て、超電導体の表面が均一となり、かつ光導電性半導体
上の超電導体の厚さが0.2μmになるようにする。続
いて酸素雰囲気中で950℃,2時間の加熱を行って、
本発明の超電導デバイスを作製する。
【0047】このデバイスの光導電性半導体8に光10
を照射したところ、超電導電極3a,3bの最大超電導
電流が流れる方向と、超電導電極3a−光導伝性半導体
8−超電導電極3bの電流の流れる方向は一致するため
に大きな電流を流すことができる。従って、流れる電流
の値を光によって容易に制御することができ、高感度で
高速の光検出デバイスとして動作する。
【0048】(実施例13)次に、Ba−Y−Cu酸化
物をはじめとするペロブスカイト型結晶構造の変形構造
を有する酸化物超電導材料を電極材および弱結合部材と
して用いた実施例について述べる。電極部分において酸
化物超電導材料は結晶のc軸が膜面と垂直であるように
する。弱結合部分は電流を流す方向に対して垂直で幅1
0μm以内の帯状とし、この弱結合部分において酸化物
超電導材料は結晶のc軸が膜面方向に向いた構造にす
る。あるいは弱結合部における酸化物超電導材料が多結
晶体から成り、結晶方位があらゆる方向を向いている構
造とする。
【0049】このような構造は以下のごとき方法によっ
て形成する。基板材料としてたとえばSrTiO3単結
晶を用いる。SrTiO3結晶の(100)面は基板面
に対して平行とする。この上にたとえばBa−Y−Cu
酸化物を成長させることによって結晶のc軸が基板面に
垂直な方向を向くように制御する。弱結合部に関して
は、弱結合に対応する部分に多結晶性でかつ結晶方位の
揃わない多結晶薄膜を形成する。この上に形成したBa
−Y−Cu酸化物膜は多結晶性で、かつ結晶方位がすべ
てc軸方向に揃ってはいない膜構造になる。
【0050】電極部分における電流容量を高めるため
に、電極部分の酸化物超電導膜構造を、電流の通じる方
向に対して単一の結晶でかつ、弱結合部分においては膜
面内で通電方向に対して垂直方向に5μmあるいはこれ
以下の間隔で結晶が結晶粒界あるいは双晶面によって分
かれた構造にする。このような構造を得るために、基板
結晶の酸化物超電導膜の電極部位に相当する部分に対し
て、あらかじめドライエッチング等の方法により、線状
の欠陥を設けておく。
【0051】前記超電導弱結合素子は以下のような独自
の作用をなす。すなわち、本超電導弱結合素子の形成工
程において、酸化物超電導膜自体に対するパタン形成工
程は全く含まれない。したがって素子の作製工程段階に
おける酸化物超電導膜の超電導特性の劣化は問題となら
ない。
【0052】つぎにこの超電導弱結合素子の原理につい
て述べる。Ba−Y−Cu酸化物超電導体を例にとって
みる。Ba−Y−Cu酸化物の結晶構造は図14に示す
ごとく、ペロブスカイト型結晶構造の変形構造であり、
周期的な酸素原子の空孔を含む。図においてBa原子2
3をはさんでa軸とb軸の形成する面内でCu原子21
の3d電子と酸素原子22の2p電子が結合し、結合対
を構成する。超電導電子対はこのCu原子21と酸素原
子22の結合対に添って流れる。Cu原子21と酸素原
子22の結合対はc軸方向には連続的につながらず、Y
原子24を含むa−b面において切られてしまう。した
がって超電導電子はa−b面内方向に対して流れ易く、
c軸方向に流れ難い。この結果として、臨界電流密度等
の超電導特性はa−b面内方向における方がc軸方向に
おける値より優れている。たとえばc軸に対して垂直方
向に磁界を印加したときの臨界磁界は平行に磁界を印加
したときの臨界磁界の3倍である。同様にa−b面内方
向における臨界電流密度はc軸方向の臨界電流密度の3
倍以上である。したがって電極部分を結晶のc軸が基板
面に対して垂直な単結晶あるいは多結晶体とし、弱結合
部分を結晶のc軸が基板面に対して垂直とはならない多
結晶体とする。このような構造とした場合、電極膜部分
と比べて弱結合部の臨界電流が低くなる。したがって素
子に電流を通じた場合、弱結合部で超電導電子波位相の
ずれを生じ、ジョセフソン素子としての特性を示す。
【0053】以上のごとき結晶方位の制御は下地材を選
択することにより行うことができる。たとえばSrTi
O3は立方晶のペロブスカイト型結晶構造で格子定数0.
3905nmである。一方Ba−Y−Cu酸化物は斜方
晶構造であり、格子定数はa=0.3894nm,b=
0.3820nm,c=1.1688nmである。したが
ってSrTiO3の格子定数とBa−Y−Cu酸化物の
a軸およびb軸方向格子定数はほぼ等しい。SrTiO
3およびBa−Y−Cu酸化物ともにペロブスカイト型
に属する結晶構造であり、原子間隔がほぼ等しいことか
ら、SrTiO3を下地としてBa−Y−Cu酸化物を形
成することによって、Ba−Y−Cu酸化物膜の結晶方
位を制御することができる。下地に対してc軸が垂直と
なる方向にBa−Y−Cu酸化物結晶の方位が揃うのを
防ぐためには、結晶方位の定まらない多結晶の絶縁膜あ
るいは非晶質絶縁膜を下地として用いる。
【0054】電極部分の酸化物超電導膜構造を、電流の
通じる方向に対して単一の結晶でかつ、弱結合部分にお
いては膜面内に通電方向に対して垂直方向に5μmある
いはこれ以下の間隔で結晶が結晶粒界あるいは双晶によ
って分かたれた構造にすることの効果は以下の通りであ
る。すなわち、Ba−Y−Cu酸化物の超電導電子に対
するコヒーレンス長さは1nmである。したがって、電
流の流れる方向に対して組成のずれを伴った結晶粒界が
存在することは、電流容量の低下を招く。一方104A
/cm2以上の電流容量を得ようとする場合、通電電流に
伴って磁束が発生する。電極内に発生する磁束をピン止
めしないと、磁束の移動によって電圧が発生し、超電導
状態が破れてしまう。通電方向に対して垂直方向に結晶
粒界あるいは双晶を形成し、これらの領域に対し磁束を
固定するためのピン止め点としての役割を担わせる。
【0055】以下、図15を用いて本発明の第13の実
施例を説明する。酸化物超電導弱結合素子の基本構造は
基板材1、超電導電極3a,3bおよび弱結合部9から
成る。基板材として単結晶SrTiO3を用いる。超電
導材はBa−Y−Cu酸化物であり、BとYおよびCu
の組成比は2:1:3とする。これに対して酸素の組成
比は6から7の間である。基板材としてはSrTiO3
の単結晶で基板面が(100)配向をした状態のものを
用いる。酸化物超電導弱結合素子の弱結合部に相当する
基板部分には非晶質のAl2O313を用いた。
【0056】酸化物超電導弱結合素子の製造工程は以下
の通りである。すなわち、SrTiO3単結晶基板1上
に幅0.8μm,間隔1μmのレジストパタンを形成す
る。Arによるイオンビームエッチング法によりSrT
iO3基板1の露出部分のエッチングを行なう。エッチ
ング溝14の深さは10nm程度である。つぎに、膜厚
30nmのアルミナ膜13を電子ビーム蒸着法によって
形成する。酸素原子の欠落を防ぐためにアルミナ膜13
の形成は酸素ガス雰囲気中で行なう。弱結合以外の部位
にはあらかじめレジストパタンを形成し、アルミナ膜が
形成されないようにする。蒸着時の基板温度は室温であ
る。蒸発源には単結晶アルミナ(サファイア)を用い
る。このような条件で形成したアルミナ膜の構造は、X
線回析測定の結果によれば非晶質であった。
【0057】以上のごとく処理を施した基板1上にBa
−Y−Cu酸化膜の形成を行なう。Ba−Y−Cu酸化
膜はBa−Y−Cu酸化物ターゲットを用いて高周波マ
グネトロンスパッタリング法によって形成する。膜形成
時の基板温度は400℃以内とする。膜厚は1μmとし
た。膜形成後酸素雰囲気中800℃〜1000℃の範囲
で熱処理を施すことによって、Ba−Y−Cu酸化膜の
結晶化を行なう。X線回析測定の結果によれば、同一条
件でSrTiO3基板5上に形成したBa−Y−Cu酸
化物の結晶構造は図14に示したごとく、ペロブスカイ
ト型結晶の変形構造であり、c軸が膜面に対して垂直な
方位を示す。また同一条件でアルミナ基板上に形成した
Ba−Y−Cu酸化物の結晶構造は図14に示したごと
く、ペロブスカイト型結晶の変形構造であるが、結晶は
特別な配向性を示さなかった。走査電子顕微鏡観察の結
果によれば、電極部3a,3bにおけるBa−Y−Cu
酸化物は基板のエッチングパタンに対応して線状の結晶
の形状を有し、線状部分内において結晶粒界はほとんど
存在しなかった。
【0058】以上のごとく作製したBa−Y−Cu酸化
物超電導弱結合素子の特性を測定した結果、素子の臨界
電流は数エルステッドを周期として増減した。このこと
はBa−Y−Cu酸化物超電導弱結合素子がジョセフソ
ン効果を有することを示すものである。さらに液体窒素
温度においても素子の臨界電流は100μA存在し、臨
界電流の磁場依存性等においてジョセフソン効果を示す
ことを確認した。
【0059】電極膜部分の液体窒素温度における臨界電
流密度は107A/m2以上であり、弱結合部分の100
倍以上であった。一方、エッチング処理を施さないSr
TiO3単結晶基板を下地としてBa−Y−Cu酸化膜
を形成したとき、液体窒素温度における臨界電流密度は
106A/cm2以下であった。
【0060】以上述べたごとく、本実施例によれば、超
電導デバイスに関して以下の効果が得られる。 (1)Ba−Y−Cu酸化物の超電導臨界温度は90K
以上であり、液体窒素温度における超電導素子の動作が
可能となった。 (2)Ba−Y−Cu酸化膜形成後の加工工程が無いた
め、Ba−Y−Cu酸化膜の超電導特性が劣化しない。 (3)磁束をピン止めする電極膜構造のため、電極膜の
臨界電流密度が従来のBa−Y−Cu酸化膜と比較して
高くなる。
【0061】図16のように、図15と同じ構成の超電
導デバイス上にCdSからなる厚さ約3μmの光導電性
半導体16を形成した。これに光を照射したところ、入
射光によって超電導電流が減少する超電導弱結合型の光
検出デバイスを実現することができる。
【0062】以上の実施例の半導体材料には(La0.9
Ca0.1)2CuO4を用いた。これは(La1-XAX)2Cu
O4で、AはSr1-y-zBayCazの材料においてはx,
yあるいはzを変化させることによって材料の結晶学的
な性質を一定に保った状態で超電導転移温度を変えるこ
とが可能であるという特徴を用いている。すなわち超電
導体材料がその組成を変えることにより、半導体あるい
は常伝導体となる。半導体あるいは常伝導体としてこれ
らのセラミック材料に代えてCu,Au,Ni,Snな
どの金属、Si,Ge,GaAs,InSb,InP,
InAsなどの半導体を用いた場合にも同様の効果を得
ることができた。
【0063】また基板材料にはSrTiO3を用いた
が、MgO,サファイア,GGG等のガーネット材料を
用いてもよい。光導電性材料としてはCdSを用いた
が、これに替わりSi,InP,InAs,InSb,
GaAsを用いてもよい。
【0064】以上の実施例においては超電導材料に(L
a0.9Sr0.1)2CuO4を用いたが、これに替えてYB
a2Cu3O7-zなる組成を有する酸化物超電導材料を用
いても、本発明の目的を充分に達することができること
は言うまでもない。この材料において、Yに替えてL
a,Yb,Lu,Tm,Dy,Sc,Ce,Pr,N
d,Sm,Eu,Gd,Tb,Ho,Er等を用いても
良く、同様の効果を得ることができる。
【0065】
【表1】
【発明の効果】本発明によれば、Ba−Y−Cu酸化物
の超電導特性を劣化させることなく、低温で動作する超
電導弱結合部分を有する超電導デバイスを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超電導デバイスを説明するための断面
図。
【図2】本発明の第1の実施例による超電導デバイスの
一部分を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施例による超電導デバイスの
一部分を示す断面図。
【図4】本発明の第3の実施例による超電導デバイスの
一部分を示す断面図。
【図5】本発明の第4の実施例による超電導デバイスの
一部分を示す断面図。
【図6】本発明の第5の実施例の超電導デバイスを示す
断面図。
【図7】第6の実施例である超電導デバイスを示す断面
図。
【図8】第7の実施例である超電導デバイスの一部分を
示す断面図。
【図9】第8図の実施例である超電導デバイスを示す断
面図。
【図10】本発明の第9の実施例による超電導デバイス
の一部分を示す断面図。
【図11】本発明の第10の実施例を示す断面図。
【図12】第11の実施例を示す断面図。
【図13】第12の実施例を示す断面図。
【図14】Ba−Y−Cu酸化物の原子配列を示す図。
【図15】第13の実施例を示す断面図。
【図16】図15の超電導デバイスを光検出デバイスと
して用いた実施例を示す断面図。
【符号の説明】 1…基板、2…常伝導体又は半導体、3…超電導体、3
a,3b…超電導電極、3e,3d…超電導配線、4…
絶縁膜、5…制御電極、6…保護膜、7…絶縁膜、8…
光導電性半導体、9…弱結合部、10…光、11…基
板、21…Cu、22…酸素、23…Ba、24…Y、
25…SrTiO3基板、26…SrTiO3膜、27…
Al2O3膜、28…Ba−Y−Cu酸化物膜電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽谷 良信 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 会田 敏之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 深沢 徳海 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小南 信也 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 波多野 睦子 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 4M113 AA06 AA16 AA27 AA37 AA55 AB01 AC23 AD36 BA04 BA11 BA15 BA29 BC04 CA13 CA33 CA34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単結晶基板を準備する工程と、前記単結晶
    基板上に弱結合部を加工する工程と、加工された基板上
    に超電導薄膜を形成する工程と、を有する超電導デバイ
    スの製造方法。
  2. 【請求項2】前記超電導薄膜を形成する工程はは少なく
    とも単結晶基板面に対してC軸が垂直である如く形成す
    ることを特徴とする超電導デバイスの製造方法。
  3. 【請求項3】前記加工する工程は前記単結晶基板とは異
    なる材料をデポジションすることを特徴する請求項1記
    載の超電導デバイスの製造方法。
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JP2005286245A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Japan Science & Technology Agency 超伝導素子、それを用いた中性子検出装置及び超伝導素子の製造方法

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