JP2002138230A - 水性インク組成物 - Google Patents

水性インク組成物

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JP2002138230A
JP2002138230A JP2000336213A JP2000336213A JP2002138230A JP 2002138230 A JP2002138230 A JP 2002138230A JP 2000336213 A JP2000336213 A JP 2000336213A JP 2000336213 A JP2000336213 A JP 2000336213A JP 2002138230 A JP2002138230 A JP 2002138230A
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aqueous
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acid
ink composition
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Satoshi Maeda
郷司 前田
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐光性、記録品位に優れる着色高分子の分散型
インクであって、カビなどの微生物繁殖に伴うトラブル
を生じず、かつ分散安定性の優れた長寿命のインクジェ
ット記録用水性インクの提供すること。 【解決手段】油溶性防菌防黴剤、水不溶性色材及び水不
溶性高分子を含んでなる微粒子状樹脂組成物を水系媒体
に分散してなることを特徴とする水性インク組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記
録、筆記用具等に好適に用いられる防菌防黴性に優れた
樹脂微粒子型の水性インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は近年、デジタ
ルデータによるプリント分野で広く用いられている。一
般に、インクジェットプリンタ用のインクとしては、例
えば特開昭57−174359に例示されるような、水
性染料インクが用いられている。かかる水性染料インク
は再溶解性を有するためにノズル部での目詰まり回避が
比較的容易である。しかしながら、記録紙上でのドット
の太りや紙繊維に沿ったヒゲ状画像ノイズの発生、また
記録画像の耐水性欠如等の種々問題点を抱えている。
【0003】前記問題点を解決するために、本発明者ら
は、特開平6−340835において、着色樹脂組成物
の微粒子が水系媒体中に微分散してなる水性インク組成
物を提案した。該提案によれば、普通紙記録において
も、滲みのない鮮明な印字が可能であり、かつ耐水性に
優れる画像を形成することができる。しかしながら、該
提案のインクには、しばしばカビ等の微生物が発生し、
インク物性が変化して印字特性に悪影響が出る場合があ
った。
【0004】また近年ではカーボンブラックや顔料を色
材に用いた分散型インクが提案されてきている。かかる
分散型インクは、画像耐水性や耐光堅牢度は改善されて
いるが、同様にカビ等の微生物発生に伴う問題点は解決
されていない。
【0005】一方、カビを抑制するために水性染料イン
クに防黴剤等の添加物を含ませることは、一般に広く行
われている。例えば特開平5−78609には、4−ク
ロルー3−メチルフェノール及び/又は4−クロルー2
−メチルフェノールを含有するインク組成物、特開昭5
2−12008には、デヒドロ酢酸ナトリウムを含有す
るインク組成物、特開昭57−174359には、2−
ピリジンチオールー1−オキサイドナトリウム塩を含有
するインク組成物が提案されており、それぞれ黴の発生
が抑制されることが示されている。
【0006】しかし、これらに開示されている例は、い
ずれも一般的な水溶性染料を用いたインクジェット記録
用インクに水溶性の防菌防黴剤を添加したものである。
かような水溶性の防菌防黴剤はイオン的に解離しその効
果を発現するものであるが、本発明の如き分散系インク
の場合には、微妙なイオン的バランスによりその成分を
分散させているため、これらの水溶性防菌防黴剤はイン
クの品質安定性に影響を与え、また水相とは別の相を形
成して存在する水不溶性色材や水不溶性高分子を対象と
して発生する微生物や黴に対してはその防菌防黴効果が
小さい等の問題がある。
【0007】このように、本発明では、従来から用いら
れてきた水性染料インクの問題点、すなわち、耐水性、
ニジミによる印字品位の低下、あるいは耐光性等の問題
を解決するために開発されてきた分散系インクを主題と
して扱っており、かかる分散系インクに対して有効な防
菌防黴剤は未だ得られていないのが現状である。
【0008】一般に、有機物を含む水系組成物は、その
ほとんどが微生物による汚染を受ける可能性がある。特
に顔料、ないしは着色樹脂微粒子分散型の水系インク組
成物においては、微生物、黴等の発生により、乳化分散
系の破壊、凝集、クリーミング、悪臭の発生、変色、粘
度の変化、pHの変化等の悪影響を受け易く、微生物発
生に伴う上記の如き問題は商品価値を落とすだけでな
く、インクジェットプリンタのように、精密な記録メカ
ニズムを有する機器においては、ヘッドの目詰まりなど
致命傷に発展することさえある重要な問題である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
現状に鑑み、かかる分散系のインクにおいても、カビな
どの微生物繁殖に伴うトラブルを生じず、かつ分散安定
性の優れた長寿命のインクジェット記録用インクを得る
ことを目的に、水系インクではあるが油性の防菌防黴剤
の適用に関して鋭意検討した結果、特定の油溶性防菌防
黴剤を単独に分散させるのではなく、高分子樹脂微粒子
に含有させて分散させることにより、色材の分散系に悪
い影響を与えることなく、油溶性防菌防黴剤を水系イン
クの系内に分散して存在させることが可能となることを
見い出した。
【0010】さらに、驚いたことに、かように水系イン
ク内に分散して存在する油溶性防菌防黴剤が、水系媒体
中に発生する菌や黴を極めて効果的に抑制することを見
い出した。
【0011】また、従来、水溶性防菌防黴剤を用いたイ
ンクの場合、かかるプリント物の防菌防黴性が、水に暴
露されることにより低下するなどの問題点があったが、
本発明の分散系インクによればプリント物の防菌防黴性
も長期間にわたって保持されることが見出された。
【0012】本発明者らは、上記の知見に基づいて更に
検討を重ね、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、油溶性
防菌防黴剤、水不溶性色材及び水不溶性高分子を含んで
なる微粒子状樹脂組成物を水系媒体に分散してなること
を特徴とする水性インク組成物を提供するものである。
【0014】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記水不溶性高分子が、イオン性基を20〜2
000m当量/1000gの範囲にて含有する共重合ポ
リエステル樹脂である。
【0015】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記水不溶性色材が、疎水性染料である。
【0016】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記油性防菌防黴剤が、下記の一般式1からな
る化合物である。
【化2】
【0017】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記共重合ポリエステル樹脂が、主として芳香
族多価カルボン酸と、主として脂肪族多価アルコールか
ら得られる共重合ポリエステル樹脂である。
【0018】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記共重合ポリエステル樹脂が、主として脂環
族多価カルボン酸と、脂肪族多価アルコールおよび脂環
族多価アルコールから得られる共重合ポリエステル樹脂
である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の水性インク組成物に用い
られる油溶性防菌防黴剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えばいわゆるプラスチック用防菌防黴剤
を用いることが可能で、具体的には下記の化合物1〜化
合物7等を好適に用いられる。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】本発明では、特に化合物1が好ましく、ま
た化合物1において、置換基RはC2以上のアルキル基
であれば好ましく、C4以上のアルキル基であればより
好ましい。なお、置換基Rがn−ブチル基、t−ブチル
基、n−ヘキシル基、n−オクチル基であれば特に好ま
しい。
【0028】本発明の水性インク組成物に用いられる油
溶性防菌防黴剤の配合量は、水不溶性高分子に対する重
量比(油溶性防菌防黴剤/水不溶性高分子)で0.01
/100〜10/100の範囲が好ましく、0.03/
100〜3/100の範囲がさらに好ましく、0.1/
100〜1/100の範囲が特に好ましい。
【0029】上記で、水不溶性高分子に対する重量比
(油溶性防菌防黴剤/水不溶性高分子)が0.01/1
00未満の場合には、防菌防黴効果が十分に発揮されな
い。また水不溶性高分子に対する重量比(油溶性防菌防
黴剤/水不溶性高分子)が10/100を超える場合に
は、インク系内に防菌防黴剤の結晶粒が成長し、ノズル
詰まり、吐出安定性低下などインクジェット性能に悪影
響を与えることがある。
【0030】なお、本発明においては、化学構造の異な
る2種以上の防菌防黴剤を配合することがより好まし
い。2種以上の配合により、結晶粒成長を防止ないし抑
制することができる。
【0031】本発明の水性インク組成物に用いられる水
不溶性色材は特に限定されるものではないが、例えば顔
料、ヴァット染料、油溶性染料、分散染料、一部の建浴
染料などを用いることができ、特に顔料は耐光性に優
れ、また発色も良好、かつ広い色範囲からの選択が可能
なため好適に用いられる。
【0032】上記顔料としては、例えば、トルイジンレ
ッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジン
エロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リト
ールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレッ
ト、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリ
ザリン、インダンスレン、チオインジゴマルーンなどの
建染染料から誘導される顔料、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、
キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナ
クリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレッ
トなどのペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イ
ソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔
料、ナフトール系顔料、キノフタロン系顔料、ジアンス
ラキノニルレッド、カーボンブラック等が挙げられる。
【0033】これらのうち、耐光性の観点から、フタロ
シアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノ
ン系顔料、ナフトール系顔料、キノフタロン系顔料およ
びカーボンブラックが好適に用いられる。なお、顔料
は,場合によっては異なる二種類以上を併用してもよ
い。
【0034】顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバー
で示すと,C.I.ピグメントエロー12、13、14、1
7、20、24、74、83、86、93、109、1
10、117、125、137、138、147、14
8、153、154、166、168、C.I.ピグメント
オレンジ13、16、36、43、51、55、59、
61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、5
3、57、97、122、123、149、168、1
77、180、184、192、215、216、21
7、220、223、224、226、227、22
8、238、240、C.I.ピグメントバイオレット1
9、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメ
ントブルー15、15:1、15:4、15:6、2
2、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.
I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメン
トブラック7等を例示できる。
【0035】上記ヴァット染料は還元する事により水に
可溶化し、酸価により不溶化する染料の総称であり、本
発明においてはその主旨から明らかなように、ヴァット
染料の酸価形を意味する。具体的にはインジゴ、チオイ
ンジゴ、等の他、インダンスレン、ビオランスレン等の
芳香族多環縮合型のスレン染料を例示することができ
る。
【0036】上記油溶性染料、分散染料、一部の建浴染
料は、カラーインデックスにおいて「Solvent
Dye」、「Disperse Dye」、「Vat
Dye」に分類されるものである。化学構造的には、ア
ントラキノン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、ト
リアゾ系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染
料、メチン系染料、ニトロ系染料、キノフタロン系染
料、キノリン系染料、シアノメチン系染料、トリフェニ
ルメタン系染料、キサンテン系染料等が油溶性色素とし
て使用できる。
【0037】上記油溶性染料としては、例えば、C.
I.Solvent Yellow96、162、C.
I.Solvent Red 49、C.I.Solv
ent Blue 25、35、38、64、70、
C.I.Solvent Black3
【0038】上記分散染料としては、例えば、C.I.
Disperse Yellow33、42、54、6
4、198、C.I.Disperse Red 6
0、92、C.I.Disperse Violet
26、35、38、C.I.Disperse Blu
e 56、60、87から選択される少なくとも1種の
染料が好ましく用いられる。
【0039】なお、これらの油溶性染料及び分散染料
は、特に対光堅牢度、昇華堅牢度、色相、彩度に優れる
ものであり、プロセスカラー用三原色として好ましいも
のであり、本発明において好適に用いられる。他に色相
の微調整のために公知の染顔料を併用してもよい。
【0040】本発明の水性インク組成物に用いられる水
不溶性色材の配合量は、水不溶性高分子に対する重量比
(水不溶性色材/水不溶性高分子)で0.5/100〜
100/100の範囲が好ましく、1.0/50〜60
/100の範囲がより好ましく、3.0/100〜50
/100の範囲が特に好ましい。
【0041】上記で、水不溶性高分子に対する重量比
(水不溶性色材/水不溶性高分子)が0.5/100未
満の場合には、十分なる着色濃度が得られない。また、
水不溶性高分子に対する重量比(水不溶性色材/水不溶
性高分子)が100/100を超える場合には、インク
系内に色材の結晶粒が成長し、ノズル詰まり、吐出安定
性低下などインクジェット性能に悪影響を与えることが
ある。
【0042】本発明においては、化学構造の異なる2種
以上の色材を配合することがより好ましい。2種以上の
配合により、結晶粒成長を防止ないし抑制することがで
きる。また本発明においては、室温において明確な結晶
形を有しない色材の使用がより好ましい。
【0043】本発明の水性インク組成物に用いられる水
不溶性高分子としては、熱可塑性、熱硬化性の合成高分
子、セルロース等の天然高分子、またはその誘導体等を
用いることができるが、具体的には、スチレン、アクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル、エチレン、塩化ビニル、フマル酸、マレイ
ン酸など不飽和二重結合を有する単量体を重合して得ら
れる、いわゆるビニル系、ないしスチレン/アクリル系
樹脂、ならびに、共重合ポリエステル樹脂、ウレタン系
樹脂は好適に用いられ、中でも水分散性の共重合ポリエ
ステル樹脂等は特に好適に用いられる。
【0044】上記共重合ポリエステル樹脂は多価カルボ
ン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られる。
【0045】上記ポリエステル樹脂に用いられる多価カ
ルボン酸類としては、ジカルボン酸として、例えば、テ
レフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5―
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ
安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳
香族オキシカルボン酸、フェニレンジアクリル酸等の芳
香族不飽和多価カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂
肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸、メサコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロフタル
酸、テトラヒドロフタル酸、脂肪族不飽和多価カルボン
酸、および、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジ
カルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリ
メリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以
上の多価カルボン酸等を例示できる。
【0046】上記ポリエステル樹脂に用いられる多価ア
ルコール類としては、脂肪族多価アルコール類、脂環族
多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等を例示で
きる。
【0047】上記脂肪族多価アルコール類としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロー
ルヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジ
オール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオール
およびテトラオール類等を例示できる。
【0048】上記脂環族多価アルコール類としては、
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェ
ノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシク
ロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を
例示できる。
【0049】上記芳香族多価アルコール類としては、パ
ラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オル
トキシレングリコール、1,4−フェニレングリコー
ル、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイ
ド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加
物等を例示できる。さらにポリエステルポリオールとし
て、ε―カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して
得られる、ラクトン系ポリエステルポリオール類等を例
示することができる。
【0050】これらの他、ポリエステル高分子末端の極
性基の一部を封鎖する目的にて単官能単量体がポリエス
テルに導入される場合がある。
【0051】上記単官能単量体としては、安息香酸、ク
ロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香
酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香
酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル
安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ
ーシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−
メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チ
オサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステ
アリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル、等の
モノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族
アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用
いることができる。
【0052】本発明では、かかる単量体の中から、主と
して芳香族多価カルボン酸と、主として脂肪族多価アル
コールの組み合わせから得られる共重合ポリエステル樹
脂の使用が好ましい。かかるポリエステル樹脂を用いる
ことにより、耐光堅牢度の良好な画像を得ることができ
る。
【0053】また本発明では、主として脂環族多価カル
ボン酸と、脂肪族多価アルコールおよび脂環族多価アル
コールからの組み合わせから得られる共重合ポリエステ
ル樹脂を用いることが好ましい。かかるポリエステル樹
脂を用いることにより、非常に保存安定性の良いインク
を得ることができる。
【0054】本発明の水性インク組成物に用いられる水
不溶性樹脂は、水分散性の観点より、イオン性基を含有
することが好ましい。
【0055】上記イオン性基は、特に限定されるもので
はなく、例えば、共重合ポリエステル樹脂に導入するイ
オン性基としては、スルホン酸アルカリ金属塩基あるい
はスルホン酸アンモニウム塩基、カルボン酸アルカリ金
属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基、硫酸基、
リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基もしくはそれ
らのアンモニウム塩、アルカリ金属塩等のアニオン性
基、または第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性
基等が挙げられる。
【0056】上記イオン性基はイオン性基含有単量体を
用いることにより導入できる。スルホン酸アルカリ金属
塩基あるいはスルホン酸アンモニウム塩基をポリエステ
ルに導入するためには、スルホテレフタル酸、5−スル
ホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフ
タレンー2,7ジカルボン酸、5〔4―スルホフェノキ
シ〕イソフタル酸、メタスルホ安息香酸等、スルホン酸
基を有するモノないし多価カルボン酸類のアルカリ金属
塩、アンモニウム塩などをポリエステルに共重合すれば
よい。対イオンのカチオンとしてはLi、Na、K、等
のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アン
モニウムイオン、1級ないし4級アルキルアンモニウム
イオン、アルカノールアミン等との塩があげられる。
【0057】本発明の水性イオン組成物に用いられる水
不溶性高分子が含有するイオン性基の量は、水不溶性高
分子に対し、20〜2000m当量/1000gが必要
とされ、好ましくは20〜1000m当量/1000
g、より好ましくは50〜500m当量/1000g、
特に好ましくは50〜200m当量/1000gであ
る。
【0058】かかるイオン性基はポリエステル樹脂微粒
子に分散安定性を付与する働きを有し、イオン性基の含
有量が所定の量より少ない場合には十分な水分散性が得
られない場合があり、またイオン性基の含有量が多すぎ
る場合にはポリエステル樹脂が水溶化し、目的とする水
分散体が得られない場合がある。
【0059】本発明の水性インク組成物に用いられる水
不溶性高分子のガラス転位移温度は40℃以上、好まし
くは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。
ガラス転位点がこの範囲より低い場合には、ノズル先端
での目詰まりが発生しやすくなる傾向があり、好ましく
ない。
【0060】本発明の本発明の水性インク組成物に用い
られる水系媒体は、水を主成分とする分散媒体であれ
ば、特に限定されるものではない。なお、水系媒体に
は、インクの特性改善を目的として、水溶性の各種化合
物、添加剤等を添加することができる。
【0061】上記水溶性有機化合物としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ブチルセロソルブ、ターシャルブチルセルソルブ、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、チオジグリコール、グリセリン、
ジグリセリン、ポリグリセリン、2,2’,2’’-ニト
リルトリエタノール、エチレンジアミン、アルキレング
リコールモノエーテル等が挙げられる。かかる水溶性有
機化合物は水系媒体の50%を越えない範囲にて適宜添
加することができる。
【0062】かかる水溶性有機化合物は、インクの保湿
性の改善、インクの乾燥性の改善、インクの造膜性の改
善等を目的として添加される。
【0063】中でも、グリセリン、ジグリセリン、ポリ
グリセリン、二トリルトリエタノールが好ましい。な
お、これらの添加量は0.5〜20重量%が好ましく、
1〜10%がさらに好ましい。添加量がこの範囲を超え
ると、インク粘度が上がり、インクの吐出が困難になる
場合がある。また添加量が下限に満たない場合には、所
望する保湿効果が得られない場合がある。
【0064】また、本発明の水系媒体には、フッ素系、
ないしはシリコーン系やアセチレンジオール系の消泡剤
等を添加することができる。さらに必要に応じて界面活
性剤、比電導度調整剤、pH調整剤、可溶化剤等が併
用、添加できる。
【0065】本発明の水性インク組成物は、油溶性防菌
防黴剤、水不溶性色材及び水不溶性高分子を含んでなる
微粒子状樹脂組成物を水系媒体に分散してなることが必
要である。なお、ここでいう微粒子樹脂組成物とは、油
溶性防菌防黴剤と水不溶性色材が水不溶性高分子に溶解
又は分散して一体化された微粒子状樹脂組成物をいう。
【0066】即ち、本発明では、水不溶性高分子を水系
媒体に微粒子状に微分散した状態で取り扱う。微分散し
た状態とは一般にエマルジョンあるいはコロイダルディ
スパ−ジョンと称される状態を意味するものである。イ
オン性基は水系媒体中において解離し、水不溶性高分子
と水との界面に電気二重層を形成する。水不溶性高分子
が微細なミクロ粒子として水系内に存在する場合には電
気二重層の働きによりミクロ粒子間には静電的な反発力
が生じ、ミクロ粒子が水系媒体内にて安定的に分散す
る。
【0067】本発明における水不溶性高分子の微粒子の
製法は特に限定されず、機械的あるいは、界面化学的な
公知の分散手法を用いて得ることができる。しかしなが
ら、本発明において水不溶性高分子がイオン性基を含有
する共重合ポリエステル樹脂である場合には、共重合ポ
リエステル樹脂自体が自己乳化性を有するので、転相自
己乳化法により微粒子を作製することが好ましい。
【0068】以下に転相自己乳化法によるポリエステル
樹脂の水分散体の製法について説明する。ポリエステル
樹脂の微粒子分散体は、イオン性基含有ポリエステル樹
脂と水溶性溶剤とをあらかじめ混合後に水を加える方
法、イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性溶剤と水
とを一括して混合加熱する方法等により得ることができ
る。またその際に界面活性剤等を併用することもでき
る。イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性溶剤を混
合させる際に、油溶性色素を同時に混合する事により着
色されたポリエステル水分散体を得ることができる。
【0069】水溶性溶剤としてはエタノ−ル、イソプロ
パノ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレ
ングリコ−ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、タ−シャルブチルセルソルブ、アセ
トン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等を用いることができる。水溶性溶剤はイオン性
基含有ポリエステル樹脂を水分散化した後に共沸等によ
り除去することができるものが好ましい。
【0070】また、イオン性基含有ポリエステル樹脂と
水溶性溶剤を混合させる際に、油溶性の防菌防黴剤、水
不溶性色材を同時に混合する事により着色した防菌防黴
剤含有ポリエステル水分散体を得ることができる。
【0071】本発明における好ましいポリエステル樹脂
の水分散体を得る好ましい方法として、所定量のカルボ
キシル基を有するポリエステル樹脂をまず重合し、該ポ
リエステル樹脂、水不溶性色材、油溶性防菌防黴剤、水
溶性溶剤、塩基を十分に混合溶解し、その後水を添加し
水分散化し、必要に応じ水溶性溶剤を共沸等により除去
する方法を例示できる。
【0072】また油溶性防菌防黴剤含有の水不溶性高分
子、好ましくはポリエステル樹脂の水分散体を得たる後
に分散染料を系内に添加し高温にて処理することによっ
ても同様に着色水分散体を得る事ができる。水不溶性高
分子がアニオン性基を有する場合にはカチオン染料で染
色することもできる。転相自己乳化法によれば、水不溶
性高分子、好ましくはポリエステル樹脂の微粒子の粒子
径はイオン性基含有量、乳化の際のポリエステル樹脂と
水溶性溶剤との比、その他、回転数、温度等の乳化条件
により制御することが可能である。
【0073】本発明の水性インク組成物に用いられる微
粒子状樹脂組成物の平均粒子径は、0.25μm以下で
あることが好ましく、0.15μm以下であればより好
ましく、0.10μm以下であればさらに好ましく、
0.07μm以下であれば特に好ましい。
【0074】本発明の水性インク組成物はインクジェッ
トプリンタだけでなく、筆記用具類にも使用できる。筆
記用具としては、フエルトペン、水性ペン、水性ボール
ペン、ホワイトボード用マーカー、電子黒板用マーカ
ー、ニードルペン、万年筆、等を例示できる。
【0075】
【作用】先に述べたように、本発明者らは、色材とし
て、着色された水不溶性高分子微粒子、好ましくは油溶
性色素とイオン性基含有共重合ポリエステル樹脂からな
る着色樹脂組成物の微粒子を水系媒体中に微分散してな
る水性インク組成物の改良に取り組んでいる。かかるイ
ンクをインクジェット記録に用いることにより、ニジミ
の少ない高解像度でかつ耐水性に優れる印字ないしは画
像を得ることが出来る。
【0076】インクジェット用インクに防菌防黴剤を配
合することは、広く行われている。しかしながら、本発
明に示す高分子微粒子分散型インクに関し、特に好適な
防菌防黴剤ないし、その添加形態については知られてい
ない。
【0077】本発明者らは当初は水溶性染料型インクの
例に倣い、水溶性の防菌防黴剤の添加を検討してきた。
しかしながら、水溶性防菌防黴剤は、先にも述べたよう
に、分散系を不安定化せしめることが明らかになり、得
られたインクは本発明者らの意図する所とは大きく外れ
た製品寿命の短い物であった。
【0078】本発明はかかる状況に鑑み、研究を続けて
きた中で、発想を逆転させることにより、水系インクに
油溶性の防菌防黴剤を用いることを発案するに至ったも
のである。油溶性防菌防黴剤自体を界面活性剤などを用
いて乳化させ、添加する態様は既に知られているところ
であったが、かかる方法では油溶性防菌防黴剤の乳化粒
子の分散安定性が乏しく、早期に分散破壊が生じ、防菌
防黴剤が偏在してしまうことにより、十分な添加効果が
得られない。ここに示す高分子樹脂微粒子に含有させ
て、分散させることにより、色材の分散系に悪影響する
ことなく油溶性防菌防黴剤をインク系内に共存させるこ
とが可能となるのである。
【0079】驚くべきことは、かかる油溶性防菌防黴剤
が水系媒体中に発生するはずの菌ないし黴の発生を抑制
する事である。この事実は、菌ないし黴が発生する際
に、分散粒子を−−−例えるならば−−−足場のように
利用しており、その足場に防菌効果を与えることによ
り、系全体に防菌防黴効果を発現せしめることを示唆す
るものである。
【0080】かくして、本発明の水性インクを用いるこ
とにより、普通紙、ないし再生紙といった紙質に劣る記
録紙においても極めて高印刷品位を実現し、さらに保存
安定性に優れるインクジェット記録システムを構築する
ことが可能となる。
【0081】インクジェットプリンタのヘッドから吐出
されたインク滴は記録紙面に着弾と同時に記録紙表面層
に浸透を開始する。一般に水系インクでは、溶剤型イン
クに比較して乾燥速度が遅い。記録紙面上にインク滴が
存在する状態で、他の色のインクが至近距離に着弾した
場合、二色が混じり合うことにより境界線の不明瞭化、
再現色のずれ等の問題が生じる。そのため、水系インク
では記録紙面に液滴が残らないように、浸透剤の添加、
表面張力の低下等、積極的に速やかにインクを浸透させ
るような策が取られる。また、記録紙も速やかにインク
を吸収するものが良いとされる。その結果、一般の水溶
性染料型のインクではインクが浸透した部分全体に着色
するためドットが太り、解像度の低下が生じる。一方、
本発明のインクでは、インク滴が記録紙に着弾した後、
いわゆるペーパークロマトグラフ的な分散媒と分散質の
分離が生ずる。すなわちインクの分散媒は記録紙へ浸透
するが、固体粒子である着色ポリエステルは浸透しない
ため、液滴部の固形分濃度は逐次上がる。固形分濃度が
50%程度に至ると、液滴粘度が急激に上がり、液滴部
の流動性が無くなる。分散媒は基本的に無色であり固形
分部分にのみ着色されているためにニジミは最小限に抑
えられる。
【0082】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明は実施例に限定されるものではない。
【0083】[ポリエステル樹脂の重合]温度計、撹拌
機を備えたオートクレーブ中に、 ジメチルテレフタレート 93重量部 ジメチルイソフタレート 93重量部 5―ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル 12重量部 エチレングリコール 70重量部 ネオペンチルグリコール 112重量部 テトラブトキシチタネート 0.1重量部 を仕込み、180〜230℃で120分間加熱してエス
テル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇
温し、系の圧力1〜10(mmHg)として60分間反
応を続けた結果、表1.に示すポリエステル樹脂(A
1)を得た。なお表中、組成はNMR分析により求め
た。SO3Na基量は蛍光X線分析によるS元素の定量
結果より換算した。酸価はKOHによる滴定により求
め、meq./kgに換算した。以下、仕込みの単量体を変
え、同様に操作し、表1.に示すポリエステル樹脂(A
2)〜(A4)を得た。
【0084】
【表1】
【0085】温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中
に、 シクロヘキサンジカルボン酸 154重量部、 エチレングリコ−ル 30重量部、 トリシクロデカンジメタノール 158重量部、 テトラブトキシチタネ−ト 0.1 重量部 を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで、240℃に昇温した後、
系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、
60分間反応を続けた。その後オ−トクレ−ブ中を窒素
ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無
水トリメリット酸を19重量部を加え、60分間反応を
行い、表1.に示す共重合ポリエステル樹脂(A5)を
得た。
【0086】温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中
に、 ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物 (BPA−EO、平均分子量400) 200重量部、 無水フタル酸 180重量部、 を仕込み、反応系内に窒素ガスを導入し不活性雰囲気に
保ち、0.05重量部のジブチル錫オキサイドを加え2
00度にて反応させ、表1.に示すポリエステル樹脂
(A6)を得た。
【0087】[防菌防黴剤含有着色水分散体の作製
(1)]温度計、攪拌機を供えたフラスコに、得られた
ポリエステル樹脂(A1)100重量部、メチルエチル
ケトンを80重量部、テトラヒドロフランを40重量
部、油溶性染料C.I.Solvent Yellow
96を10重量部、化合物1を1重量部仕込み、還流
させながら沸点にて混合溶解した。なお、ここでRはn
−ブチル基である。次いで、別途用意しておいた70℃
の温水250重量部を、激しい攪拌下に緩やかに添加
し、転相自己乳化させた後、留分温度が100℃に達す
るまで蒸留してメチルエチルケトン、テトラヒドロフラ
ンを除き、室温まで冷却、不揮発分濃度を確認し脱イオ
ン水を所定量加えて濃度調整し、不揮発分30重量%の
着色された共重合ポリエステル樹脂の水分散体(Y1)
を得た。なお、不揮発分は、水分散体を120℃のドラ
イオーブンにて乾燥させた前後の質量比より求めた。
【0088】以下、ポリエステル樹脂(A1)〜(A
4)と、油溶性染料 Y:C.I.Solvent Yellow 96 M:C.I.Disperse Red 60とC.
I.Disperse Violet 26 の8/2
重量比混合物 C:C.I.Solvent Blue 70 K:C.I.Solvent Black 3 を組み合わせ、表2.に示す着色分散体を得た。なお表
中、粘度はB型粘度計、粒子径はLB−500動的光散
乱式粒度分布計[堀場製作所]にて測定した値である。
【0089】[防菌防黴剤含有着色水分散体の作製
(2)]温度計、攪拌機を供えたフラスコにポリエステ
ル樹脂(A5)100重量部、メチルエチルケトンを8
0重量部、テトラヒドロフランを40重量部、油溶性染
料C.I.Solvent Yellow 96を10
重量部、化合物1(Rはn−ブチル基)0.2重量部を
仕込み、還流させながら沸点にて混合溶解した。次い
で、トリエタノールアミン7.85重量部を添加し、5
分間攪拌したのち別途用意しておいた70℃の温水25
0重量部を、激しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己
乳化させた後、留分温度が100℃に達するまで蒸留し
てメチルエチルケトン、テトラヒドロフランを除き、室
温まで冷却、不揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量
加えて濃度調整し、不揮発分30重量%の着色された共
重合ポリエステル樹脂の水分散体(Y5)を得た。以
下、前述の油性染料M、C、Kとポリエステル樹脂(A
5)から表2.に示す着色分散体(M5)(C5)(K
5)を得た。
【0090】
【表2】
【0091】[防菌防黴剤含有着色水分散体の作製
(3)]温度計、攪拌機を供えたフラスコにポリエステ
ル樹脂(A6)100重量部、メチルエチルケトンを6
0重量部、テトラヒドロフランを30重量部、油溶性染
料C.I.Solvent Yellow 96を10
重量部、化合物1(Rはn−ブチル基)0.5重量部を
仕込み、還流させながら沸点にて混合溶解した。次い
で、トリエタノールアミン2.36重量部を添加し、5
分間攪拌したのち別途用意しておいた70℃の温水25
0重量部を、激しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己
乳化させた後、留分温度が100℃に達するまで蒸留し
てメチルエチルケトン、テトラヒドロフランを除き、室
温まで冷却、不揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量
加えて濃度調整し、不揮発分30重量%の着色された共
重合ポリエステル樹脂の水分散体(Y6)を得た。以
下、前述の油性染料M、C、Kとポリエステル樹脂(A
6)から表2.に示す着色分散体(M6)(C6)(K
6)を得た。
【0092】[防菌防黴剤含有水分散体の作製(4)]
温度計、攪拌機を供えたフラスコにポリエステル樹脂
(A5)100重量部、メチルエチルケトンを80重量
部、テトラヒドロフランを40重量部、油溶性染料K
30重量部、化合物2(R:n−C8H17)5重量部を
仕込み、還流させながら沸点にて混合溶解した。次い
で、トリエタノールアミン7.85重量部を添加し、5
分間攪拌したのち別途用意しておいた70℃の温水25
0重量部を、激しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己
乳化させた後、留分温度が100℃に達するまで蒸留し
てメチルエチルケトン、テトラヒドロフランを除き、室
温まで冷却、不揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量
加えて濃度調整し、不揮発分30重量%の防菌防黴剤含
有共重合ポリエステル樹脂の水分散体(K7)を得た。
以下、防菌防黴剤を化合物3〜化合物6に替えて同様に
操作し、防菌防黴剤含有共重合ポリエステル樹脂の水分
散体(K8)〜(K11)を得た。
【0093】防菌防黴剤を含有しない水分散体の作製 ポリエステル樹脂(A1)(A5)(A6)と先に示し
た油溶性染料から、同様に、表2.に示す防菌防黴剤を
含有しない着色共重合ポリエステル樹脂の水分散体を得
た。
【0094】 (実施例1〜37)(比較例1〜12) [水性インクの作製] 着色ポリエステル水分散体(Y1) 66.67重量部 グリセリン 3.00重量部、 トリエタノールアミン 1.00重量部 脱イオン水 29.28重量部 なる割合にて配合し、攪拌混合した後、0.45μmメ
ンブランフィルターでろ過し、水性インク組成物(Y1
a)を得た。ここに 化合物1aは 一般式1におい
て、R1:H、R2:Hからなる化合物である。以下同
様に、表2.に示す着色ポリエステル水分散体から表
3.に示す水性インクを作製し、以下の方法にて評価し
た。結果を表3.に示す。
【0095】
【表3】
【0096】[印刷品位の評価]インクジェトプリンタ
ー(SHARP社製IO−735X)に水性インク組成
物を充填し、インクジェット用として加工されていない
普通紙(NBSリコー社製MY RECYCLE PA
PER)に1ドット幅のラインを印刷し、印字した際の
フェザーの出現頻度、ドットの太り幅より印字品位を評
価した。ここには「フェザー」は記録紙の紙繊維に沿っ
て走るヒゲ状のの画像ノイズの事である。またドット太
り幅は、印字ヘッドDPI値より与えられる1ドットラ
インの理論幅に対する実際に印字されたラインの太さの
比率をいう。本実施例で使用したプリンタは180DP
Iにつき、理論ライン幅は 25400μm/180DPI=141μm幅 である。 フェザー判定基準: 1ドット幅印字ライン 1cmあたり 5本以下 ○ 6〜20本 △ 21本以上 × ライン太り判定基準 実記録ライン幅/理論ライン幅= 1.2未満 ○ 1.2〜1.4 △ 1.4以上 × 結果を表3.に示す。
【0097】[防菌防黴効果の評価]上記の方法で得た
水性インク組成物100重量部に対して、ポリペプトン
5重量部及びグルコース5重量部を添加した。このサン
プル(20ml)に、1週間に1度、繰り返して、下記
の菌胞子懸濁液を接種(最終胞子濃度:約10E+6個
/ml)し、1ヶ月間静置培養した後、菌の生育の程度
(防カビ効果)を以下の基準で判定した。 ○:菌が生育しない。 ×:菌の生育が見られる。 供試菌には、 菌1:Aspergillus niger、 菌2:Aureobasidium pullulan
s、 菌3:Chaetomium globosum、 菌4:Cladosporium cladospor
ioides、 菌5:Penicillium notatum を使用した。結果を表3.に示す。
【0098】[インク組成物の保存安定性評価]50m
lガラス容器にインク組成物30mlを入れ、密栓して
65℃の環境下に4週間保存し、保存前後の異常の有無
にて判定した。なお観察した項目は、 粒子径 LB−500動的光散乱式粒度分布計 [堀
場製作所] 粘度、 B型粘度計[東京計器] 表面張力 表面張力計[島津製作所] pH pHメータ[堀場製作所] 浮遊異物の有無 目視判定 沈降異物の有無 目視判定 その他 目視判定 である。結果を表3.に示す。
【0099】 (比較例13〜189) [水性インクの作製] 着色ポリエステル水分散体(K1*) 66.67重量部 グリセリン 3.00重量部、 トリエタノールアミン 1.00重量部 水性防黴剤1 0.5 重量部、 脱イオン水 28.78重量部 なる原料と配合した後,1μmのメンブランフィルター
にて濾過,続いて0.45μmのメンブランフィルター
にて濾過し,水性インクジェット記録インク(PY11)
を作製した。以下同様に水性防黴剤を替え、表3に示す
水性インクジェット記録インクを得た。得られた水性イ
ンクジェット記録インクを実施例と同様に評価した、結
果を表3.に示す。ここに、 水性防黴剤1 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−
オン 水性防黴剤2 4−クロルー3−メチルフェノール 水性防黴剤3 4−クロルー2−メチルフェノール 水性防黴剤4 デヒドロ酢酸ナトリウム 水性防黴剤5 2−ピリジンチオールー1−オキサイ
ドナトリウム 水性防黴剤6 ソルビン酸ナトリウム である。
【0100】(プリント物の防菌防黴性評価)実施例1
にて得られたインクをインクジェトプリンター(SHA
RP社製IO−735X)に仕込み、綿100%のシャ
ツ用生地に5cm×5cmのベタ画像をプリントし、ド
ライオーブンにて100℃20分間加熱定着した。得ら
れたプリント物を (1)無処理、 (2)流水洗浄10分間、 (3)市販の全自動洗濯機、および洗剤にて洗濯 洗濯−脱水−すすぎ−脱水(総時間54分) の3条件で処理した後、プリント部に菌1:Asper
gillus nigerの菌胞子懸濁液を接種(最終
胞子濃度:約10E+6 個/ml)し、1ヶ月間静置
して菌の生育を観察した。結果、いずれの試料において
もプリント部には菌の生育は見られなかった。一方比較
例1にて得られたインクから同様に作製した試料におい
ては、(1)無処理、の試料においては菌の生育は見られ
なかったが、(2)流水洗浄、(3)全自動洗濯機にて洗濯、
の試料においては菌の発生が確認された。
【0101】
【発明の効果】以上、本発明において、着色高分子樹脂
微粒子を用いた水性インクにおいては、従来の水性防菌
防黴剤を添加する方法よりも、本発明に示す形態におい
て油溶性の防菌防黴剤を添加することにより、インクの
保存安定性を損なうことなく優れた防菌防黴効果を発揮
しうることがここに示された。
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月9日(2000.11.
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】本発明の水性インク組成物の好ましい実施
態様は、前記油性防菌防黴剤が、下記の化合物1であ
る。
【化2】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油溶性防菌防黴剤、水不溶性色材及び水
    不溶性高分子を含んでなる微粒子状樹脂組成物を水系媒
    体に分散してなることを特徴とする水性インク組成物。
  2. 【請求項2】 前記水不溶性高分子が、イオン性基を2
    0〜2000m当量/1000gの範囲にて含有する共
    重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1
    に記載の水性インク組成物
  3. 【請求項3】 前記水不溶性色材が、疎水性染料である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インク組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記油性防菌防黴剤が、下記の一般式1
    からなる化合物であることを特徴とする請求項1乃至3
    に記載の水性インク組成物。 【化1】
  5. 【請求項5】 前記共重合ポリエステル樹脂が、主とし
    て芳香族多価カルボン酸と、主として脂肪族多価アルコ
    ールから得られる共重合ポリエステル樹脂であることを
    特徴とする請求項2乃至4に記載の水性インク組成物。
  6. 【請求項6】 前記共重合ポリエステル樹脂が、主とし
    て脂環族多価カルボン酸と、脂肪族多価アルコールおよ
    び脂環族多価アルコールから得られる共重合ポリエステ
    ル樹脂であることを特徴とする請求項2乃至4に記載の
    水性インク組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009292872A (ja) * 2008-06-02 2009-12-17 Mitsubishi Pencil Co Ltd 水中油滴型水性ボールペン用インク組成物
JP2016113542A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 花王株式会社 インクジェット記録用水系インク
JPWO2019004327A1 (ja) * 2017-06-27 2020-03-26 富士フイルム株式会社 捺染用インクジェットインク、インクカートリッジ、インクセット、及びインクジェット捺染方法

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