JP2002137087A - 低合金耐熱鋼用溶接ワイヤ - Google Patents

低合金耐熱鋼用溶接ワイヤ

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JP2002137087A JP2000327703A JP2000327703A JP2002137087A JP 2002137087 A JP2002137087 A JP 2002137087A JP 2000327703 A JP2000327703 A JP 2000327703A JP 2000327703 A JP2000327703 A JP 2000327703A JP 2002137087 A JP2002137087 A JP 2002137087A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SR処理後の室温及び高温強度、靱性、並び
にクリープ強度が優れていると共に、耐SR割れ性が良
好な低合金耐熱鋼用溶接ワイヤを提供する。 【解決手段】 低合金耐熱鋼用溶接ワイヤは、C:0.
020乃至0.090質量%、Si:0.05乃至0.
70質量%、Mn:0.6乃至2.0質量%、Cr:
2.00乃至3.25質量%、Mo:0.01乃至0.
65質量%、W:1.3乃至3.0質量%、V:0.0
10乃至0.800質量%、Nb:0.005乃至0.
080質量%及びN:0.0050乃至0.040質量
%を含有し、更に、Niを0.25質量%以下、Bを
0.0020質量%以下に規制し、残部がFe及び不可
避的不純物からなる組成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力技術基準:火
STBA24J1(火:発電用火力設備に関する技術基
準を定める省令(通商産業省)で定められた規格)等に
示される低合金耐熱鋼用溶接ワイヤに関し、特に、SR
(応力除去:stress relief)処理後の室温及び高温強
度、靱性、クリープ強度が優れ、更に耐SR割れ性が優
れた低合金耐熱鋼用溶接ワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】2.25乃至3質量%Cr−1質量%M
o鋼は高温特性が優れているため、ボイラー及び化学反
応容器等の高温高圧環境下において使用される材料とし
て、従来から広く使用されている。近年、設備の高効率
操業を図るために、これらの構造物の使用環境は、より
一層、高温・高圧化される傾向にあり、溶接構造物を大
型厚肉化したり、又は更に鋼材としてV及びNb等を添
加した低合金耐熱鋼用溶接材料を使用したりする等、高
強度化のための種々の対応が進められている。
【0003】このような鋼材に対応する溶接材料として
は、従来、V又はVに加えて更にNb及びW等を含有さ
せた低合金耐熱鋼用溶接ワイヤが提案されている(例え
ば、特許第2622516号公報、特許第274220
1号公報、特開平10−128576号公報及び特開平
10−272592号公報等)。なお、溶接方法として
は、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、マグ溶
接、及びティグ溶接がある。能率面からサブマージアー
ク溶接(submerged arc welding)が多用されるが、そ
の初層溶接又は配管等の溶接にはティグ溶接又は被覆ア
ーク溶接の適用が不可欠である。また、マグ溶接も被覆
アーク溶接に比較して能率が良いので有効な溶接方法で
ある。
【0004】一方、これらの溶接部には、溶接のままの
状態において引張成分の残留応力が存在しており、これ
を解放するため、通常、SR(応力除去)処理が施され
る。しかし、このSR処理により析出時効による粒界割
れである所謂SR割れが発生しやすい。従って、溶接材
料には、長時間及び高温・高圧に曝される被溶接構造物
の使用環境を考慮した諸性質、即ちクリープ強度及び焼
き戻し脆化特性は勿論のこと、更にSR処理に対する耐
SR割れ性が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら提案されている低合金耐熱鋼用溶接ワイヤは、SR処
理による析出時効により粒界に所謂SR割れが発生しや
すいという欠点がある。また、特開平10−12857
6号公報には、ワイヤに含有するCとN、更にVの各含
有量を調整することにより、SR割れを抑制する技術が
開示されているが、その改善効果が必ずしも十分ではな
かった。本願発明者等の種々の調査の結果、SR割れ
は、溶接時に生じる高温割れ又は水素に起因した低温割
れとは異なるものであり、溶着金属の原質部、特に、長
大且つ直線的に形成された旧オーステナイト粒界が開口
することにより発生することが判明している。このため
の対策として、グラインダ等によるドレッシングで溶着
金属の原質部を除去してしまうか、又はテンパービート
によって溶着金属の原質部を再加熱し組織の微細化(旧
オーステナイト粒の粒界面積の増加)を図る等の技術が
提案されているが、いずれも作業工数を増加させ、生産
性を著しく阻害するものである。このような背景から、
溶接ワイヤ自体の改善によりSR割れを防止する技術が
強く望まれている。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、SR処理後の室温及び高温強度、靱性、並
びにクリープ強度が優れていると共に、耐SR割れ性が
良好な低合金耐熱鋼用溶接ワイヤを提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低合金耐熱
鋼用溶接ワイヤは、C:0.020乃至0.090質量
%、Si:0.05乃至0.70質量%、Mn:0.6
乃至2.0質量%、Cr:2.00乃至3.25質量
%、Mo:0.01乃至0.65質量%、W:1.3乃
至3.0質量%、V:0.010乃至0.800質量
%、Nb:0.005乃至0.080質量%及びN:
0.0050乃至0.040質量%を含有し、更に、N
iを0.25質量%以下、Bを0.0020質量%以下
に規制し、残部がFe及び不可避的不純物からなること
を特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本願発明者等は上述の課題を解決するべく鋭
意実験研究した結果、溶接ワイヤの化学成分を調整する
ことによって、上述の課題を解決できることを見い出し
た。
【0009】即ち、本発明の低合金耐熱鋼用溶接ワイヤ
は、C:0.020乃至0.090質量%、Si:0.
05乃至0.70質量%、Mn:0.6乃至2.0質量
%、Cr:2.00乃至3.25質量%、Mo:0.0
1乃至0.65質量%、W:1.3乃至3.0質量%、
V:0.010乃至0.800質量%、Nb:0.00
5乃至0.080質量%及びN:0.0050乃至0.
040質量%を含有し、更に、Niを0.25質量%以
下、Bを0.0020質量%以下に規制し、残部がFe
及び不可避的不純物からなるものである。
【0010】本発明の低合金耐熱鋼用溶接ワイヤの基本
思想は、適用される溶接構造物の使用環境を勘案して、
各種強度及び靱性等の十分な特性を得るために、C、S
i、Mn、Cr、Mo、W、V、Nb及びNの各含有量
を調整し、更に、耐SR割れ性向上のために、Ni及び
Bの含有量の上限値を制限したことにある。
【0011】従来技術において、長時間、高温に曝され
た際の焼戻し脆化特性を改善する目的から、鋼材に含ま
れる不可避的不純物の含有量を制限するものは数多くあ
る。本願発明者等が、種々実験研究を行った結果、SR
割れに対しても鋼材に含まれる不可避的不純物を制限す
べきものであることが判明した。しかし、不可避的不純
物の制限はコスト的に多大なデメリットとなる上に、そ
れのみでSR割れの抑制は困難であった。これに対し、
本願発明者等が鋭意実験研究した結果、SR割れには粒
界析出物の量が影響していること、具体的には、C及び
Moの含有量が多いものほど粒界析出物量が多くなり、
SR割れが発生することを知見した。また、不可避的不
純物については、その含有量だけではなく、特に不可避
的不純物の偏析挙動に着目した結果、Mn及びNiが不
可避的不純物の粒界偏析を助長し、SR割れを引き起こ
していることを知見した。また、特に、Bは粒界偏析に
よる強度低下に対して極めて影響が大きく、SR割れの
発生を引き起こしていることを知見した。
【0012】即ち、ワイヤのC、Mn、Si、Cr、M
o、W、V、Nb及びNの各含有量の調整と、Ni及び
Bの含有量の制限とにより耐合金鋼の溶接材料として必
要な特性(各種強度及び靱性等)を具備しつつ、SR割
れを抑制できる。しかし、以上の各要件のいずれか1つ
が欠けても、本発明が目的としているSR処理後の室温
及び高温強度、靱性並びにクリープ強度が優れると共に
耐SR割れ性が良好な低合金鋼用溶接ワイヤを得ること
ができない。
【0013】以下、本発明における低合金耐熱鋼用溶接
ワイヤについて成分添加理由及び組成限定理由について
説明する。
【0014】C:0.020乃至0.090質量% Cの規定は、Mn、Ni、Mo及びBと共に本発明の特
徴となる構成要件の1つである。Cは焼き入れ硬化性に
大きな影響を及ぼし、室温及び高温強度、クリープ強度
並びに靱性を確保する上で重要な元素である。しかし、
Cの含有量が0.020質量%未満では、焼き入れ性が
不十分で室温強度が不足するうえ、炭化物の析出が不十
分となって高温強度及びクリープ強度が不足する。一
方、Cの含有量が0.090質量%を超えると、室温強
度が過度に高くなって靱性が低下するうえ、粒界析出物
量が増大してしまい、Mn、Ni、Mo及びBを本発明
範囲内で添加しても耐SR性が劣化する。従って、ワイ
ヤ中のCの含有量は0.020乃至0.090質量%と
する。
【0015】Si:0.05乃至0.70質量% Siは、溶融金属の粘性を高めて、ビード形状を整える
効果を有する。しかし、Siの含有量が0.05質量%
未満ではこの効果が得られず、溶融金属の粘性が不足し
て例えば初層の裏波ビードが凸となる等、ビード形状が
著しく劣化する。一方、Siの含有量が0.70質量%
を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎ、靱性の低
下原因となり、更にSR処理によって溶接金属が脆化し
て靱性低下を招く。従って、ワイヤ中のSi含有量は
0.05乃至0.70質量%とする。
【0016】Mn:0.6乃至2.0質量% Mnの規定は、C、Ni、Mo及びBと共に本発明の特
徴となる構成要件の1つである。従来、焼戻し脆化特性
を改善する目的から、溶接ワイヤの不可避的不純物の含
有量を制限する技術が開示されているが、コストの面か
ら限界があるうえに、SR割れの抑制は不十分であっ
た。本発明は、このような従来技術とは異なり、粒界析
出物量の調整と共に偏析を助長する元素を調整すること
により、SR割れの抑制を可能としたものである。不可
避的不純物以外の成分であって、SR割れ性を損なわせ
る成分としてMn及びNiがあり、これらは不可避的不
純物の粒界偏析を助長して耐SR割れ性を損なわせる。
このため、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、
C、Ni、Mo及びBを本発明範囲内で添加してもSR
割れの抑制が困難である。一方、Mnは靱性を向上させ
る効果を有しているが、Mnの含有量が0.6質量%未
満であるとこの効果を得られない。従って、ワイヤ中の
Mn含有量は0.6乃至2.0質量%とする。
【0017】Cr:2.00乃至3.25質量% Crは耐食性並びに室温及び高温強度を確保するために
添加するものであり、本発明の低合金耐熱鋼用溶接ワイ
ヤの必須成分である。しかし、Crの含有量が2.00
質量%未満では、十分な耐食性、室温及び高温強度が得
られない。一方、Crの含有量が3.25質量%を超え
ると、溶接金属の靱性が低下する。従って、ワイヤ中の
Crの含有量は2.00乃至3.25質量%とする。
【0018】Mo:0.01乃至0.65質量% Moは、Crと同様に耐食性並びに室温及び高温強度を
確保するために添加するものであり、本発明の低合金耐
熱鋼用溶接ワイヤの必須成分である。更に、Moの規定
は、C、Mn、Ni及びBと共に、本発明の特徴となる
構成要件の一つである。即ち、Moの含有量が0.65
質量%超えると、靱性低下を引き起こと共に、粒界析出
物量が過剰となって、C、Mn、Ni及びBを本発明範
囲内で添加しても耐SR割れ性を著しく損なってしま
う。一方、Moの含有量が0.01質量%未満では、十
分な耐食性並びに室温及び高温強度が得られない。従っ
て、ワイヤ中のMoの含有量は0.01乃至0.65質
量%とする。
【0019】W:1.3乃至3.0質量% Wは、マトリックスを固溶強化すると共に、微細炭化物
として析出して析出強化を図り、クリープ強度の向上に
寄与する。また、Wは耐SR割れ性の向上にも寄与して
いる。しかし、Wの含有量が1.3質量%未満であると
この効果が得られない。一方、Wの含有量が3.0質量
%を超えると溶接金属の靱性が低下する。従って、ワイ
ヤ中のW含有量は1.3乃至3.0質量%とする。
【0020】V:0.010乃至0.800質量%、好
ましくは0.010乃至0.600質量% Nb:0.005乃至0.080質量%、好ましくは
0.010乃至0.060質量% V及びNbは、共に析出硬化元素であり、室温及び高温
強度を確保するために添加する。しかし、Vの含有量が
0.010質量%未満、Nbの含有量が0.005質量
%未満では、十分な室温及び高温強度を得ることができ
ない。一方、V及びNbの含有量が夫々0.800質量
%及び0.080質量%を超えると、いずれの場合も強
度が過度に高くなり、靱性低下を引き起こす。従って、
ワイヤ中のVの含有量は0.010乃至0.800質量
%、より好ましくは0.010乃至0.600質量%、
また、Nb含有量は0.005乃至0.080質量%、
より好ましくは0.010乃至0.060質量%とす
る。
【0021】N:0.0050乃至0.040質量% Nは、V又はNbと結合してV窒化物を形成し、クリー
プ強度を向上する効果を有する。しかし、Nの添加量が
0.0050質量%未満では、この効果が得られない。
また、Nを0.040質量%を超えて過剰に添加した場
合には、靱性の低下を招くと共に溶接金属に球状欠陥が
発生する原因となる。従って、ワイヤ中のN含有量は
0.0050乃至0.040質量%とする。
【0022】Ni:0.25質量%以下 Niは、Mnと共に不可避的不純物の粒界偏析を助長し
て、耐SR割れ性を損なわせるという欠点を有している
ため、このNiの含有量を規制することは、C、Mn、
Mo及びBの規定と共に本発明の特徴となる構成要件の
1つである。Niの含有量が0.25質量%を超える
と、C、Mn、Mo及びBを本発明範囲内で添加しても
SR割れの抑制が困難となる。従って、ワイヤ中のNi
の含有量は0.25質量%以下に規制する。
【0023】B:0.0020質量%以下 Bは炭化物を分散して析出させることから靱性を向上す
る効果を有する。更に、その炭化物は高温下での安定性
が優れており、クリープ強度の一層の向上に有効であ
る。しかし、Bの含有量が0.0020質量%を超える
と、耐SR割れが劣化する。従って、ワイヤ中のBの含
有量は0.0020質量%以下に規制する。
【0024】以上の要件を全て満たすことにより、低合
金耐熱鋼用の溶接用ワイヤとして必要な室温強度、高温
強度、クリープ強度、靱性、更に優れた耐SR割れ性が
得られる。
【0025】なお、本発明における不可避的不純物と
は、P、S、Cu、Sn、As、Sb、Al、Ti及び
O等がある。P及びSの最大許容含有量は夫々0.01
5質量%、Sn、As及びSbの最大許容含有量は、夫
々0.010質量%である。また、ワイヤ表面処理とし
て、Cuメッキを施しても、また施さなくてもよい。な
お、Cuメッキを行う場合は、Cuメッキ量がワイヤの
全質量当たり最大0.30質量%となるようにする。ま
た、Al、Ti及びOの最大許容量は夫々0.04質量
%である。
【0026】本発明の低合金耐熱鋼用溶接ワイヤは、マ
グ溶接、ティグ溶接及びサブマージアーク溶接にも適用
できることはいうまでもない。また、シールドガスにつ
いても特に制約はなく、ティグ溶接の場合、Ar又はA
r+He等、マグ溶接の場合、Ar+CO2、Ar+O2
又はAr+CO2+O2等種々の組成のシールドガスを使
用することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の低合金耐熱鋼用溶接ワイヤを
実際に製造し、その特性を本発明範囲から外れる比較例
と比較して、その効果について説明する。
【0028】下記表1及び表2に示す化学成分のソリッ
ドワイヤ(ワイヤ径1.2mm )を作製し、下記表3
に示す化学成分の母材と組み合わせて、JIS Z 3
317に準じてマグ溶接を行い、試験材を作成した。そ
して、得られた試験材について、ビードのなじみ性、耐
SR割れ性及び強度試験を行った。下記表4に各試験要
領(評価基準、試験片形状及び採取位置等)を示す。な
お、表4中のACは空冷、FCは炉冷を示す。
【0029】また、図1及び図2は夫々SR割れ試験片
の形状及び採取位置を示す図であって、図1(a)は側
面図、図1(b)は試験片長手方向に直交する面の断面
図、図1(c)は図1(b)のノッチ部分を拡大して示
す断面図、また、図2は、採取位置の模式的断面図であ
る。表3に示す組成を有する母材1の開先に、表1及び
表2に示す組成を有する供試材の各ソリッドワイヤを使
用し、マグ溶接を行って形成された溶接金属4におい
て、図4に示すように、この溶接金属4の最終ビート4
aを含むようにノッチ12及びスリット11を有する円
筒形の試験片10を採取した。採取した円筒形の試験片
10は、図1(a)に示すように、内径5mm、外形1
0mm、長さは15mmとした。また、試験片10のス
リット11は、円筒の空洞部に至る幅0.5mmのスリ
ットであって、このスリット11の反対側の外周面には
試験片10の長手方向にノッチ12を有している。ノッ
チ12は、図1(c)に示すように、深さが0.5m
m、幅が0.4mm、底部の曲率半径が0.2mmであ
るU字型の溝となっている。図2に示すように、SR割
れの試験片10は、溶接金属4の表面から深さが0.5
mm位置である原質部上方にUノッチ12が位置し、ス
リット11が下方に位置するようにして、試験片10の
一部が母材の開先部分に重なる位置にて、溶接ままの状
態の溶接金属4から採取した。そして、図3に示すよう
に、矢印で示す方向に試験片10に曲げ応力を印加して
Uノッチ12の反対側の位置に設けた0.5mm幅の間
隙を有するスリット11を0.05mmまで狭め、この
狭めたスリット11をTIG電極で走査した(ノンフィ
ラーのなめ付け溶接)。この調整により、溶接金属原質
部であったUノッチ底部には引張残留応力13が加わる
ことになる。その後、試験片10に715℃で、10時
間のSRを施し、冷却した。そして、図4に示すよう
に、試験片10の長手方向(TIG溶接方向)に対して
直交する方向に、長さ5mmずつ、3つに切断し、試験
片10の円筒の一方の端面及び2つの切断面の3断面A
乃至Cを観察することでSR割れの有無を評価した。な
お、SR割れが発生した試験材のソリッドワイヤは使用
不可と判断して、クリープ試験を実施しなかった。ま
た、引張試験、シャルピー衝撃試験、クリープ破断試験
の試験片は、全て、試験片の中心が母材1の板厚中央に
くるようにして溶接金属4の中央位置から採取した。な
お、引張試験片及びクリープ破断試験片は、各溶接金属
につき1つ採取し試験した。また、シャルピー衝撃試験
用の試験片は、各溶接金属につき3つ採取し試験し、そ
の平均値を求めた。これらの結果を下記表5及び6に示
す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】実施例1乃至6は、C、Si、Mn、C
r、Mo、W、V、Nb及びNの含有量がいずれも本発
明範囲内であり、更にNi及びBの含有量が本発明範囲
の夫々0.25及び0.0020質量%以下に規制され
ているため、ビートのなじみ性がよく、耐SR割れ性、
室温及び高温強度、靱性、並びにクリープ破断強度がい
ずれも所定の性能を満足した。
【0037】比較例7は、C及びMoの含有量がいずれ
も本発明範囲の下限値未満であったため、室温強度及び
高温強度が共に低く、溶接ワイヤとして実用不可能であ
るため、クリープ破断試験は行わなかった。
【0038】比較例8は、Cの含有量が本発明範囲の上
限値を超えたため、SR割れが発生し、また、Moの含
有量が本発明範囲の上限値を超えたため、室温強度が高
くなりすぎ、シャルピー衝撃値が低い。従って、溶接ワ
イヤとして実用不可能であるため、クリープ破断試験は
行わなかった。
【0039】比較例9は、Siの含有量が本発明範囲の
下限値未満であったため、ビートのなじみ性が悪く、健
全な試験片の作成が不可能であったのでその他の試験は
行わなかった。
【0040】比較例10は、Si及びWの含有量がいず
れも本発明範囲の上限値を超えたため、シャルピー衝撃
値が小さく、クリープ破断試験は行わなかった。
【0041】比較例11は、Mnの含有量が本発明範囲
の下限値未満であったため、シャルピー衝撃値が小さ
く、また、Vの含有量が本発明範囲の下限値未満であっ
たため、室温及び高温強度が低く、クリープ破断試験は
行わなかった。
【0042】比較例12は、Mnの含有量が本発明範囲
の上限値を超えたため、SR割れが発生し、また、Vの
含有量が本発明範囲の上限値を超えたため、シャルピー
衝撃値が小さく、クリープ破断試験は行わなかった。
【0043】比較例13は、Cr及びNbの含有量がい
ずれも本発明範囲の下限値未満であったため、室温及び
高温強度が低く、また、比較例14は、Cr及びNbの
含有量がいずれも本発明範囲の上限値を超えたため、シ
ャルピー衝撃値が小さく、溶接ワイヤとして実用不可能
であるため、クリープ破断試験は行わなかった。
【0044】比較例15は、W及びNの含有量がいずれ
も本発明範囲の下限値未満であったため、クリープ破断
時間が短く、比較例16はNの含有量が本発明範囲の上
限値を超えたため、球状欠陥が発生し、健全な溶接が不
可能であったため、その他の評価は行わなかった。
【0045】比較例17及び18は、夫々Ni及びBの
含有量が本発明範囲の上限値を超えたため、SR割れが
発生したのでクリープ破断試験は行わなかった。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
C、Si、Mn、Cr、Mo、W、V、Nb及びNの含
有量を適切に規定し、更にNi及びBの含有量を夫々
0.25及び0.0020質量%以下に規制したので、
SR処理後の室温及び高温強度、靱性、並びにクリープ
強度が優れていると共に、耐SR割れ性が良好な低合金
耐熱鋼用溶接ワイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SR割れ試験片の形状を示す図であって、
(a)は側面図、(b)は試験片長手方向に直交する面
の断面図、(c)は(b)のノッチ部分を拡大して示す
断面図である。
【図2】採取位置の模式的断面図である。
【図3】試験片の調整要領を示す断面図である。
【図4】SR割れの観察位置を示す模式的斜視図であ
る。
【符号の説明】
1;溶接母材 4;溶接金属 4a;最終ビート 10;試験片 11;スリット 12;ノッチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.020乃至0.090質量%、
    Si:0.05乃至0.70質量%、Mn:0.6乃至
    2.0質量%、Cr:2.00乃至3.25質量%、M
    o:0.01乃至0.65質量%、W:1.3乃至3.
    0質量%、V:0.010乃至0.800質量%、N
    b:0.005乃至0.080質量%及びN:0.00
    50乃至0.040質量%を含有し、更に、Niを0.
    25質量%以下、Bを0.0020質量%以下に規制
    し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴
    とする低合金耐熱鋼用溶接ワイヤ。
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CN112676737A (zh) * 2021-01-11 2021-04-20 东方电气集团东方锅炉股份有限公司 9Cr1MoV钢+碳锰低合金钢的异种钢焊接接头制造方法

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