JP2002136591A - 内因性カンナビノイドの吸着材、吸着除去方法および吸着器 - Google Patents
内因性カンナビノイドの吸着材、吸着除去方法および吸着器Info
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Abstract
着除去することが可能な吸着材、ならびに吸着材により
液体中の内因性カンナビノイドを除去する方法を提供す
る。 【解決手段】 水不溶性担体にlogP(Pはオクタノ
ール−水系での分配係数)値が3.50以上の化合物を
固定してなる内因性カンナビノイドの吸着材を得る。こ
の内因性カンナビノイド吸着材に内因性カンナビノイド
を含有する液体を接触させることにより液体中の内因性
カンナビノイドを効率よく吸着除去することができる。
Description
ナビノイドを吸着除去するための吸着材、これを用いた
内因性カンナビノイドの吸着除去方法および内因性カン
ナビノイドの吸着器に関する。
あるカンナビノイド類は、幻覚や多幸感などの精神作用
を示すことが知られている。カンナビノイド受容体とし
ては、中枢神経系に発現している受容体(CB1)と末
梢の免疫細胞に発現している受容体(CB2)が知られ
ている。これらカンナビノイド受容体の内因性リガン
ド、すなわち生体内で生成されるリガンドのことを、内
因性カンナビノイドという。内因性カンナビノイドとし
ては、アナンダマイドと2−アラキドノイルグリセロー
ル(2−Arachidonoylglycerol:
以下、2−AGと記す)が知られている。
を有している。たとえば(1)循環系に対して:血圧降
下、徐脈(2)免疫系に対して:マクロファージにおけ
るNO産生抑制、(3)中枢神経系に対して:記憶障
害、痛覚の抑制、(4)凝固線溶系に対して:内皮細胞
アポトーシス誘導−といったさまざまな活性を有してい
る。
olysaccharide:以下LPSと記す)刺激
により、マクロファージでアナンダマイドが産生され、
血小板において2−AGが産生されることが明らかとな
った。さらに、これら産生された内因性カンナビノイド
により、血圧低下が惹起されることが観察されている。
また、敗血症性ショックなどにおける血圧低下が、マク
ロファージや血小板により産生された内因性カンナビノ
イドの寄与により生じている可能性も指摘されている。
実際、敗血症性ショック患者の血中から、高濃度の内因
性カンナビノイドが検出されたとの報告もある。
おける血圧低下に対し、患者体液中から内因性カンナビ
ノイドを除去してやることによる治療法が期待されてい
る。しかし、内因性カンナビノイドを吸着除去する方法
が、これまでなく、その方法が大いに望まれていた。Y
in Wangらは、抗生物質であるポリミキシンBを
固定化した材料により、アナンダマイドの吸着が可能で
あることを報告している(FEBS Letters、
470巻、151頁−155頁、2000年)。しか
し、このような吸着材を得るためには、多くの工程を経
ねばならない。また抗生物質であるポリミキシンBは、
非常に高価である。したがって、より安価な材料での、
内因性カンナビノイドを吸着除去する方法が望まれてい
る。
き問題点を解決するためになされたものである。本発明
の目的は、体液中の内因性カンナビノイドを効率よく吸
着除去し得る吸着材、前記吸着材を用いた体液中の内因
性カンナビノイドの吸着除去方法および内因性カンナビ
ノイド吸着器を提供することである。
ノイドを効率よく吸着除去し得る吸着材について鋭意検
討した。その結果、水不溶性担体にlogP値が3.5
0以上の化合物を固定してなる吸着材が、体液中の内因
性カンナビノイドを効率よく吸着除去し得ることを見い
だし、本発明を完成した。
gP(Pはオクタノール−水系の分配係数)値が3.5
0以上の化合物を固定してなる内因性カンナビノイドの
吸着材に関する。
あることが好ましい。
ドであることが好ましい。
ることが好ましい。
吸着材と、内因性カンナビノイドを含有する液体を接触
させる工程を包含する、内因性カンナビノイドの吸着除
去方法に関する。
しかつ、吸着材の容器外への流出防止手段を備えた容器
内に、内因性カンナビノイドの吸着材を充填してなる内
因性カンナビノイドの吸着器に関する。
イドとは、カンナビノイド受容体の内因性リガンド、す
なわち生体内で生成されるリガンドのことをいう。アナ
ンダマイドと2−AGがその代表的なものである。アナ
ンダマイドの化学式はC22H37NO2で表わされ、分子
量は347.5である。2−AGの化学式はC23H38O
4で表わされ、分子量は378.5である。
漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液、髄液およびこれ
らから得られた分画成分、ならびにそのほかの生体由来
の液体成分をいう。
以上の化合物を水不溶性担体に固定化してなる。log
P値とは、化合物の疎水性のパラメータである。代表的
なオクタノール−水系での分配係数Pは、以下のように
求められる。まず、化合物をオクタノール(もしくは
水)に溶解し、これに等量の水(もしくはオクタノー
ル)を加え、グリッフィン・フラスク・シェイカー(G
riffin flaskshaker)(グリッフィ
ン・アンド・ジョージ・リミテッド(Griffin
& George Ltd.)製)で30分間振盪す
る。そののち2000rpmで1〜2時間遠心分離し、
オクタノール層および水層中の化合物の各濃度を、室
温、大気圧下において分光学的またはGLCなどの種々
の方法で測定することにより、次式から求められる。 P=Coct/Cw Coct:オクタノール層中の化合物濃度 Cw :水層中の化合物濃度
合物のlogP値が実測されているが、それらの実測値
はシー・ハンシュ(C.Hansch)らによって整理
されている(「パーティション・コーフィシエンツ・ア
ンド・ゼア・ユージズ;ケミカル・レビューズ(PAR
TITION COEFFICIENTS ANDTH
EIR USES;Chemical Review
s)、71巻、525頁、1971年」参照)。
ては、アール・エフ・レッカー(R.F.Rekke
r)がその著書「ザ・ハイドロフォビック・フラグメン
タル・コンスタント(THE HYDROPHOBIC
FRAGMENTAL CONSTANT)」,エル
セビア・サイエンティフィック・パブリッシング・カン
パニー・アムステルダム(Elsevier Sci.
Pub.Com.,Amsterdam)(1977)
中に示している疎水性フラグメント定数fを用いて計算
した値(Σf)が参考となる。疎水性フラグメント定数
は数多くのlogP実測値をもとに、統計学的処理を行
い決定された種々のフラグメントの疎水性を示す値であ
り、化合物を構成するおのおののフラグメントのf値の
和はlogP値とほぼ一致すると報告されている。本発
明においては、logPとはΣfをも包含するものであ
る。
物の探索にあたり種々のlogP値を有する化合物を固
定し検討した。その結果、logP値3.50以上、好
ましくは4.00以上、さらに好ましくは5.00以上
の化合物が内因性カンナビノイドの吸着に有効であり、
logP値3.50未満の化合物は、ほとんど内因性カ
ンナビノイドの吸着能を示さないことがわかった。たと
えばアルキルアミンを固定化した場合、アルキルアミン
をn−オクチルアミン(logP値=2.90)からn
−デシルアミン(Σf値=4.07)に変えると、この
あいだで内因性カンナビノイドの吸着能は飛躍的に上昇
することがわかった。これらの結果より、本発明の吸着
材による内因性カンナビノイドに対する吸着能は、lo
gP値が3.50以上の化合物の固定により担体上に導
入された原子団と内因性カンナビノイドとのあいだの疎
水性相互作用によるものと考えられる。
れる化合物としては、logP値が3.50以上の化合
物であれば特別な制限なしに用いることができる。ただ
し、担体上に化合物を化学結合法によって結合する場合
には、化合物の一部が脱離することが多いが、この脱離
基が化合物の疎水性に大きく寄与している場合、すなわ
ち脱離により担体上に固定される原子団の疎水性がlo
gP=3.50より小さくなるような場合には、本発明
の主旨から考えて、本発明に用いる化合物としては不適
当である。この代表例を一つあげると、安息香酸イソペ
ンチルエステル(Σf=4.15)をエステル交換によ
り水酸基を有する担体上に固定する場合があげられる。
この場合、実際に担体上に固定される原子団はC6H5C
O−であり、この原子団のΣfは1以下である。このよ
うな化合物が本発明で用いる化合物として適当かどうか
は、脱離基の部分を水素に置き換えた化合物のlogP
値が3.50以上かどうかにより判断すればよい。
も不飽和炭化水素、アルコール、アミン、チオール、カ
ルボン酸およびその誘導体、ハロゲン化物、アルデヒ
ド、ヒドラジド、イソシアナート、グリシジルエーテル
などのオキシラン環含有化合物、ハロゲン化シラン等の
ように担体への結合に利用できる官能基を有する化合物
が好ましい。このような化合物の代表例としてはデシル
アミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタ
デシルアミンなどのアミン類、ドデシルアルコール、ヘ
キサデシルアルコールなどのアルコール類ならびにこれ
らのアルコールのグリシジルエーテル類、デカン酸、ド
デカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのカルボン酸
類ならびにこれらの酸ハロゲン化物、エステル、アミド
などのカルボン酸誘導体、塩化オクチル、臭化オクチ
ル、塩化デシル、塩化ドデシルなどのハロゲン化物、オ
クタンチオール、ドデカンチオールなどのチオール類な
どがあげられる。
素部分の水素原子がハロゲン、チッ素、酸素、イオウな
どのヘテロ原子を含有する置換基、他のアルキル基など
で置換された化合物のうち、logP値が3.50以上
の化合物、たとえば前述のシー・ハンシュ(C.Han
sch)らの総説「パーティション・コーフィシエンツ
・アンド・ゼア・ユージズ;ケミカル・レビューズ(P
ARTITION COEFFICIENTS AND
THEIR USES;ChemicalRevie
ws)、71巻、525頁、1971年」中の555ペ
ージから613ページの表に示されているlogP値が
3.50以上の化合物などを用いることができるが、本
発明においてはこれらのみに限定されるものではない。
いてもよいし、任意の2種類以上を組み合わせてもよ
く、さらにはlogP値が3.50未満の化合物との組
み合わせで用いてもよい。
は、常温常圧で固体であり水に対する溶解度が極めて小
さい担体であることを意味する。また、本発明における
水不溶性担体は粒状、板状、繊維状、中空糸状等がある
が形状は問わず、その大きさもとくに限定されない。し
かし、本発明の吸着材をカラムに充填して使用する場
合、体液などの被吸着物に含まれる内因性カンナビノイ
ド以外の成分が充分に通過し得る間隔を作ることができ
るものでなければならない。
合、平均粒子径は5〜1000μmであることが好まし
い。平均粒子径が5μmより小さいと、体液に細胞が含
まれる場合に充分に通過し得る間隔を得られない傾向に
ある。平均粒子径が1000μmをこえると、体積あた
りの吸着能が充分得られない傾向にある。さらに好まし
い平均粒径は25〜1000μmである。最も好ましく
は40〜600μmである。その中でも、圧力損失の増
大を引き起こさないなどの理由から、粒径分布は狭い方
が好ましい。また、体液が血液である場合には、平均粒
径は200μm以上、1000μm以下であることが好
ましい。
である場合、その内径は1μm以上であることが好まし
い。さらに好ましくは内径が2〜500μmである。最
も好ましくは5〜200μmである。内径が1μmより
小さいと、体液に細胞が含まれる場合に充分に通過しな
い傾向にある。内径が500μmをこえると、体積あた
りの吸着能が充分得られない傾向にある。
ては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋
ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポ
リアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子
や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロー
ス、架橋デキストリンなどの多糖類からなる有機担体、
さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機−有
機、有機−無機などの複合担体などが代表例としてあげ
られる。
較的少なく、内因性カンナビノイドの吸着選択性が良好
であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体
を構成する化合物を平板状にしたときの水の接触角が6
0度以下の担体を指す。水の接触角の測定方法は種々知
られているが、たとえば池田がその著書(実験化学選書
・コロイド化学,第4章,界面の熱力学,75頁から1
04頁,裳華房(1986))に示しているごとく、化
合物の平板上に水滴を置き測定する方法が最も一般的で
ある。上記の方法で測定した水の接触角が60度以下で
ある化合物としては、セルロース、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリアク
リルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエ
チレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、
ガラスなどからなる担体が代表例としてあげられる。
細孔を多数有する、すなわち多孔構造を有する担体であ
ることがより好ましい。多孔構造を有する担体とは、基
礎高分子母体が微小球の凝集により1個の球状粒子を形
成する際に微小球の集塊によって形成される空間(マク
ロポアー)を有する担体の場合は当然であるが、基礎高
分子母体を構成する1個の微小球内の核と核との集塊の
あいだに形成される細孔を有する担体の場合、あるいは
三次元構造(高分子網目)を有する共重合体が親和性の
ある有機溶媒で膨潤された状態のときに存在する細孔
(ミクロポアー)を有する担体の場合も含まれる。
考えて、多孔構造を有する水不溶性担体は、表面多孔性
よりも全多孔性が好ましく、また空孔容積および比表面
積は、吸着性が損なわれない程度に大きいことが好まし
い。
て、多孔質セルロース担体があげられる。多孔質セルロ
ース担体は、以下の優れた利点を有している。
るため撹拌などの操作により破壊されたり微粉を生じた
りすることが少ない。またカラムに充填した場合体液を
高速で流しても圧密化したりしないので高流速で流すこ
とが可能となる。また細孔構造が高圧蒸気滅菌などによ
って変化を受けにくい。
ため親水性であり、リガンドの結合に利用し得る水酸基
が多数存在している。非特異的吸着も少ない。
が高いため軟質担体に劣らない吸着容量が得られる。
高い。
体の1つである。しかしながら本発明においてはこれら
のみに限定されるものではなく、さらに上述の担体はそ
れぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合
して用いてもよい。
象の物質がある程度大きな確率で侵入できるような大き
さを有していることが好ましい。本発明の吸着材の吸着
対象である内因性カンナビノイドは分子量が300〜4
00程度と比較的小さいため、多孔構造を有する水不溶
性担体であれば充分侵入可能である。そのため、使用で
きる水不溶性多孔質担体にとくに制限はない。一方、安
全性の点からは、体液中のタンパク質ができる限り侵入
しないことが好ましい。細孔内に侵入可能な物質の分子
量の目安としては、排除限界分子量が一般に用いられて
いる。排除限界分子量とは、成書(たとえば、波多野博
行、花井俊彦著、実験高速液体クロマトグラフ、化学同
人)などに述べられているごとく、ゲル浸透クロマトグ
ラフィーにおいて細孔内に侵入できない(排除される)
分子の内、最も小さい分子量をもつものの分子量をい
う。排除限界分子量は一般に球状タンパク質、デキスト
ラン、ポリエチレングリコールなどについてよく調べら
れているが、本発明に用いる担体の上限の排除限界分子
量に関しては、球状タンパク質を用いて得られた値を用
いるのが適当である。
は、体液中のタンパク質(主としてアルブミン)の吸着
が大きくなり、安全性の点でその実用性が低下する。し
たがって本発明に用いる担体の球状タンパク質の排除限
界分子量の好ましい範囲は60万以下、さらに好ましく
は30万以下、とくに好ましくは10万以下である。
用い得る官能基を有していることが好ましい。これらの
官能基の代表例としては水酸基、アミノ基、アルデヒド
基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミ
ド基、エポキシ基、ハロゲン基、スクシニルイミド基、
酸無水物基などがあげられるが、これらに限定されるわ
けではない。
質担体のいずれも用いることができるが、体外循環用の
吸着材として使用する場合には、カラムに充填し、通液
する際などに目詰まりを生じないことが重要であり、そ
のためには充分な機械的強度が要求される。したがって
本発明に用いる担体は硬質担体であることがより好まし
い。ここでいう硬質担体とは、たとえば粒状担体の場
合、後記参考例に示すごとく、担体を円筒状カラムに均
一に充填し、水性流体を流した際の圧力損失ΔPと流量
の関係が0.3kg/cm2までの直線関係にあるもの
をいう。
以上の化合物を水不溶性担体に固定して得られるが、そ
の固定化方法としては公知の種々の方法を特別な制限な
しに用いることができる。しかしながら、本発明の吸着
材を体外循環治療に供する場合には、滅菌時あるいは治
療時においてのリガンドの脱離溶出を極力抑えることが
安全上重要であり、そのためには共有結合法により固定
化することが好ましい。
は、好ましくは1〜5000μmol/g−湿重量であ
る。さらに好ましくは5〜3000μmol/g−湿重
量である。固定量が1μmol/g−湿重量より少ない
と、内因性カンナビノイドの吸着が充分でなくなる傾向
にある。固定量が5000μmol/g−湿重量をこえ
ると、液体が血液である場合に、血小板などの粘付着が
起こる傾向にある。
因性カンナビノイドを吸着除去する方法には種々の方法
がある。最も簡便な方法としては、体液を取り出してバ
ッグなどに貯留し、これに吸着材を混合して接触させ、
内因性カンナビノイドを吸着除去したのち、吸着材を濾
別して内因性カンナビノイドが除去された体液を得る方
法がある。つぎの方法は体液の入口と出口を有し、出口
には体液は通過するが吸着材は通過しないフィルターを
装着した容器に吸着材を充填し、これに体液を流し、接
触させる方法がある。いずれの方法も用いることができ
るが、後者の方法は操作も簡便であり、また体外循環回
路に組み込むことにより患者の体液、とくに血液から効
率よくオンラインで内因性カンナビノイドを除去するこ
とが可能であり、本発明の吸着材はこの方法に適してい
る。
材を単独で用いることもできるが、他の体外循環治療シ
ステムとの併用も可能である。併用の例としては、人工
透析回路などがあげられ、透析療法との組み合わせに用
いることもできる。
を用いた本発明の内因性カンナビノイド吸着器を、一実
施例の概略断面図である図1に基づき説明する。図1
中、1は液体の流入口、2は液体の流出口、3は本発明
の内因性カンナビノイド吸着材、4および5は液体およ
び液体に含まれる成分は通過できるが前記内因性カンナ
ビノイド吸着材は通過できないフィルター、6はカラ
ム、7は内因性カンナビノイド吸着器である。しかしな
がら、内因性カンナビノイド吸着器はこのような具体例
に限定されるものではなく、液の入口、出口を有し、か
つ内因性カンナビノイド吸着材の容器外への流出防止具
を備えた容器内に前記吸着材を充填したものであれば、
どのようなものでもよい。
綿栓などのフィルターがあげられる。また、容器の形
状、材質、大きさにはとくに限定はないが、形状として
は筒状容器が好ましい。容器の材質として好ましいのは
耐滅菌性を有する素材であるが、具体的にはシリコンコ
ートされたガラス、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポ
リカーボネート、ポリサルフォン、ポリメチルペンテン
などがあげられる。容器の容量は50〜1500mlで
直径は2〜20cmが好ましく、さらに容量は100〜
800mlで直径は3〜15cmが好ましく、とくに容
量は150〜400mlで直径は4〜10cmが好まし
い。容器の容量が50mLより小さいと吸着量が充分で
なく、1500mLより大きいと体外循環量が多くなる
ので好ましくない。容器の直径が2cmより小さいと線
速が大きくなるため圧力損失が大きくなり好ましくな
い。20cmより大きいと取り扱いにくくなるうえ線速
が小さくなるため凝固の危険性があり好ましくない。
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
筒カラム(内径9mm、カラム長150mm)にアガロ
ース材料(バイオラッド(Bio−rad)社製のBi
ogelA−5m、粒径50〜100メッシュ)、ビニ
ル系高分子材料(東ソー(株)製のトヨパールHW−6
5、粒径50〜100μm)およびセルロース材料(チ
ッソ(株)製のセルロファインGC−700m、粒径4
5〜105μm)をそれぞれ均一に充填し、ペリスタテ
ィックポンプにより水を流し、流量と圧力損失ΔPとの
関係を求めた。その結果を図2に示す。
およびセルロファインGC−700mが圧力の増加にほ
ぼ比例して流量が増加するのに対し、BiogelA−
5mは圧密化を引き起こし、圧力を増加させても流量が
増加しないことがわかる。本発明においては前者のごと
く、圧力損失ΔPと流量の関係が0.3kg/cm2ま
での直線関係にあるものを硬質材料という。
00m(チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子量
140,000、粒径45〜105μm)170mlに
水を加えて全量340mlとしたのち、2M水酸化ナト
リウム水溶液90mlを加え40℃とした。これにエピ
クロルヒドリン31mlを加え、40℃で攪拌下2時間
反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ化セ
ルロファインGC−200mを得た。
0mを10mlとり、n−ヘキサデシルアミン(Σf=
7.22)200mgを加え、エタノール中、45℃で
静置下、6日間反応させた。反応終了後、エタノール、
水の順に充分洗浄し、n−ヘキサデシルアミン固定化
(固定量29μmol/g−湿重量)セルロファインG
C−200mを得た。
ファインGC−200mを0.2mlとり、内因性カン
ナビノイドであるアナンダマイド(カルビオケム−ノバ
ビオケム社製)を0.1mg/mlの濃度になるよう添
加した50%エタノール/生理食塩液を1.2ml加
え、37℃で2時間振盪した。振盪後、上清を除いて生
理食塩液で洗浄したのち、95%エタノールを1.2m
l入れて吸着したアナンダマイドを溶出させた。その上
清エタノールの208nm付近の紫外線吸収を測定する
ことによりアナンダマイド濃度を求め、吸着量を算出し
た。
0mを10mlとり、n−ドデシルアミン(Σf=5.
12)200mgを加え、50(v/v)%エタノール
水溶液中、45℃で静置下、6日間反応させた。反応終
了後、50(v/v)%エタノール水溶液、エタノー
ル、50(v/v)%エタノール水溶液、水の順に充分
に洗浄し、n−ドデシルアミン固定化(固定量27μm
ol/g−湿重量)セルロファインGC200mを得
た。
インGC200mを用いて、実施例1と同様にアナンダ
マイド添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エ
タノールで溶出してアナンダマイド吸着量を算出した。
7)に変えたほかは、実施例2と同様にしてn−デシル
アミン固定化(固定量27μmol/g−湿重量)セル
ロファインGC200mを得た。このn−デシルアミン
固定化セルロファインGC200mを用いて、実施例1
と同様にアナンダマイド添加50%エタノール/生理食
塩液と振盪し、エタノールで溶出してアナンダマイド吸
着量を算出した。
2.90)に変えたほかは、実施例2と同様にしてn−
オクチルアミン固定化(固定量28μmol/g−湿重
量)セルロファインGC200mを得た。このn−オク
チルアミン固定化セルロファインGC200mを用い
て、実施例1と同様にアナンダマイド添加50%エタノ
ール/生理食塩液と振盪し、エタノールで溶出してアナ
ンダマイド吸着量を算出した。
2.06)に変えたほかは、実施例2と同様にしてn−
ヘキシルアミン固定化(固定量30μmol/g−湿重
量)セルロファインGC200mを得た。このn−ヘキ
シルアミン固定化セルロファインGC200mを用い
て、実施例1と同様にアナンダマイド添加50%エタノ
ール/生理食塩液と振盪し、エタノールで溶出してアナ
ンダマイド吸着量を算出した。
0.97)に変えたほかは、実施例2と同様にしてn−
ブチルアミン固定化(固定量32μmol/g−湿重
量)セルロファインGC200mを得た。このn−ブチ
ルアミン固定化セルロファインGC200mを用いて、
実施例1と同様にアナンダマイド添加50%エタノール
/生理食塩液と振盪し、エタノールで溶出してアナンダ
マイド吸着量を算出した。
ロファインGC−200mを0.2mlとり、内因性カ
ンナビノイドである2−AG(カルビオケム−ノバビオ
ケム社製)を0.1mg/mlの濃度になるよう添加し
た50%エタノール/生理食塩液を1.2ml加え、3
7℃で2時間振盪した。振盪後、上清を除いて生理食塩
液で洗浄したのち、95%エタノールを1.2ml入れ
て吸着した2−AGを溶出させた。その上清エタノール
の208nm付近の紫外線吸収を測定することにより2
−AG濃度を求め、吸着量を算出した。
ァインGC200mを用いて、実施例4と同様にヒト2
−AG添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エ
タノールで溶出して2−AG吸着量を算出した。
インGC200mを用いて、実施例4と同様にヒト2−
AG添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エタ
ノールで溶出して2−AG吸着量を算出した。
ァインGC200mを用いて、実施例4と同様にヒト2
−AG添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エ
タノールで溶出して2−AG吸着量を算出した。
ァインGC200mを用いて、実施例4と同様にヒト2
−AG添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エ
タノールで溶出して2−AG吸着量を算出した。
インGC200mを用いて、実施例4と同様にヒト2−
AG添加50%エタノール/生理食塩液と振盪し、エタ
ノールで溶出して2−AG吸着量を算出した。
gP値3.50以上の化合物を固定化した吸着材を用い
ることで、内因性カンナビノイドを効率よく吸着除去す
ることができる。
例の概略断面図である。
を調べた結果を示すグラフである。
前記内因性カンナビノイド吸着材は通過できないフィル
ター 6 カラム 7 内因性カンナビノイド吸着器
Claims (7)
- 【請求項1】 水不溶性担体にlogP(Pはオクタノ
ール−水系での分配係数)値が3.50以上の化合物を
固定してなる、内因性カンナビノイドの吸着材。 - 【請求項2】 前記水不溶性担体が水不溶性多孔質担体
であることを特徴とする請求項1記載の吸着材。 - 【請求項3】 内因性カンナビノイドがアナンダマイド
であることを特徴とする請求項1記載の吸着材。 - 【請求項4】 内因性カンナビノイドが2−アラキドノ
イルグリセロールであることを特徴とする請求項1記載
の吸着材。 - 【請求項5】 請求項1または2に記載の吸着材と、内
因性カンナビノイドを含有する液体を接触させる工程を
包含する、内因性カンナビノイドの吸着除去方法。 - 【請求項6】 液体が体液であることを特徴とする請求
項5記載の吸着除去方法。 - 【請求項7】 液の入口および出口を有しかつ、吸着材
の容器外への流出防止手段を備えた容器内に、請求項1
または2に記載の吸着材を充填してなる、内因性カンナ
ビノイドの吸着器。
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---|---|---|---|---|
WO2000066260A1 (fr) * | 1999-04-28 | 2000-11-09 | Toray Industries, Inc. | Matieres servant a eliminer des cannabinoides et colonnes utiles pour eliminer des cannabinoides a l'aide de ces matieres |
-
2001
- 2001-08-23 JP JP2001252824A patent/JP4777554B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2000066260A1 (fr) * | 1999-04-28 | 2000-11-09 | Toray Industries, Inc. | Matieres servant a eliminer des cannabinoides et colonnes utiles pour eliminer des cannabinoides a l'aide de ces matieres |
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