JP2002134365A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法

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JP2002134365A JP2000328247A JP2000328247A JP2002134365A JP 2002134365 A JP2002134365 A JP 2002134365A JP 2000328247 A JP2000328247 A JP 2000328247A JP 2000328247 A JP2000328247 A JP 2000328247A JP 2002134365 A JP2002134365 A JP 2002134365A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電容量の低下をさせずに、ESRを低減す
る導電性高分子を固体電解質層に用いる固体電解コンデ
ンサおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 リード線6が埋設され、固体電解質層と
しての導電性高分子を化学重合と電解重合により形成す
る固体電解コンデンサ5において、漏れ電流の発生する
リード埋設部付近への樹脂塗布を化学重合後であって電
解重合前に実施して、化学重合層2と電解重合層4との
間に樹脂層3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サおよびその製造方法に関し、特に、固体電解質層とし
ての導電性高分子層を化学重合および電解重合により形
成する固体電解コンデンサおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、固体電解コンデンサ素子にお
いては、静電容量を増大し、等価直列抵抗(以降、ES
Rと記す)を低減することが所望されている。固体電解
コンデンサの固体電解質層としては、硝酸マンガンを熱
分解して得られる二酸化マンガン層が一般的に用いられ
ていた。しかし、最近では、固体電解質層にポリピロー
ル等の導電性を有する有機高分子(以降、導電性高分子
と記す)を層状に形成したものが用いられるようにな
り、固体電解コンデンサ素子へ導電性高分子を適用する
開発が盛んに行われている。なぜなら、導電性高分子に
は、二酸化マンガンに比べて、抵抗が小さいためにコン
デンサに用いた場合のESRが小さく、熱による素子の
発煙および発火が生じにくいためである。
【0003】一般に、導電性高分子を用いる固体電解コ
ンデンサは、第1に陽極体を形成し、第2に誘電体層
(化成皮膜)を陽極酸化(化成)により形成し、第3に
陽極体の陽極リード線の埋設部(以降、リード埋設部と
記す)付近に樹脂塗布による補強を行い、第4に固体電
解質層(導電性高分子層)を形成し、第5に再化成を行
い、第6に陰極層を形成し、第7に外部端子を形成し,
外装して製造される。
【0004】陽極体は、後の誘電体層の形成に適用でき
る、すなわち弁作用を有する陽極性金属(以降、弁金属
と記す)から形成される。代表的な弁金属としては、T
a,Al等がある。
【0005】誘電体層は、陽極酸化により弁金属を酸化
して形成される。陽極酸化は化成とも呼ばれ、これによ
り誘電体層は化成被膜とも呼ばれる。陽極酸化(化成)
は、陽極体と通電のための対抗電極とを電界溶液中に浸
漬し、陽極体を正電位に対抗電極をそれ以下の電極に保
って通電することにより酸化物よりなる誘電体層を陽極
体表面に形成する。このときの陽極体−対抗電極間の電
位差を化成電圧と呼ぶが、この化成電圧を制御すること
により誘電体層の厚みを容易に決めることができる。
【0006】樹脂塗布による補強は、機械的に非常に弱
い箇所であるリード埋設部の機械的強度を向上させるこ
とを目的として行われる。また、樹脂塗布は、誘電体層
(化成皮膜)形成工程前に行うこともある。
【0007】導電性高分子層の形成手段としては、薬品
による化学反応により高分子を重合する化学重合と、外
部から電極を接近または接触させて電気化学的に高分子
を重合する電解重合の2種類に大別される。一般的に、
電解重合は、化学重合に比べて、重合された高分子が高
い重合度を有するために形成された重合層の抵抗が低
く、また、重合速度が早いために短時間で重合層を厚く
することができる。このために、電界重合を高分子の重
合方法として用いる。
【0008】しかし、電解重合は、化学重合よりも工程
が複雑である。その理由は、電解重合は、電気を通さな
い電気的絶縁性物質の表面に直接高分子を重合すること
ができないため、絶縁性である誘電体層上へ電解重合に
より高分子層を形成することが困難であるからである。
従って、このような場合には、絶縁性物質上に導電性物
質(起点)を点在させて、電界重合により高分子を成長
させ、点在する高分子同士を結合させて、層状の高分子
を形成する。従って、起点となる導電性物質が全くない
場合は、電界重合により導電性高分子層を形成できな
い。したがって、固体電解コンデンサの導電性高分子層
を電解重合により高分子層(以降、電解重合層と記す)
を重合する場合には、二酸化マンガン層または化学重合
により重合される導電性高分子層(以降、化学重合層と
記す)等の(起点となる)導電層を誘電体層に下地とし
て形成する。また、電解重合を実施するためには通電の
ための給電端子を形成部分に接近または接触させる必要
がある。図7に、電解重合層形成後の従来の固体電解コ
ンデンサおよびそのリード埋設部の拡大図を示す。図示
の固体電解コンデンサ15のリード線16の埋設部は、
陽極体であるTa金属に誘電体層11,樹脂層12,化
学重合層13,電解重合層14が順に形成されている。
【0009】再化成は、化成液中で再度電圧印加を行う
ことである。再化成は、固体電解質層の形成の際に機械
的および化学的ストレスで発生した誘電体層の軽度の欠
陥部を被覆して改善する。誘電体層の欠陥が発生しやす
い箇所としては、リード埋設部が挙げられる。この箇所
は、機械的強度が低く、応力が集中しやすいために欠陥
が発生しやすい。
【0010】陰極層は、導電性物質であるグラファイト
ペーストおよび銀ペーストを併用して形成される。陰極
層は、固体電解質層と実装用の外部端子(陰極)とを接
続する。また、陰極層は、接続抵抗を減少させ、コンデ
ンサの外装時および実装時のストレスを緩和する。
【0011】金属製外部端子は溶接および接着等で付加
する。また、樹脂等で外装して、耐湿性とハンドリング
性とを向上させる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように形成された固体電解コンデンサの導電性高分子は
再化成工程において劣化して、ESRを増大させること
がある。これは、再化成の際に、導電性高分子を流れる
電流(以降、漏れ電流と記す)が発生し、この漏れ電流
により導電性高分子が熱的または電気化学的に劣化する
ためである。
【0013】漏れ電流が発生するとその付近の導電性高
分子の重合層が局所的に高抵抗化して漏れ電流を抑制す
る方向に機能する。この機能を絶縁化と呼ぶ。通常は再
化成の際に、絶縁化する特性を利用してコンデンサの漏
れ電流を抑制し、高抵抗化する範囲を漏れ電流の発生部
付近に留める。しかし、絶縁化が進みにくい場合には、
漏れ電流の抑制が遅れるために、導電性高分子層を広範
囲に(絶縁化部分も含めて)高抵抗化することとなり、
この高抵抗化によりESRを増大させてしまう。一般的
に、絶縁化は、化学重合による導電性高分子層(以降、
化学重合層と記す)の方が、電解重合による導電性高分
子層(以降、電解重合層と記す)よりも進行しやすい。
そのため、化学重合層は、速やかな絶縁化によって高抵
抗部分を漏れ電流の発生部付近のみに留めることができ
る。これに対し、電解重合層では、絶縁化が進みにくい
ため、大きな漏れ電流が流れている状態が長く維持され
て、高抵抗化の範囲が広範囲となりやすい。
【0014】このような理由から、化学重合層を用いた
製品と比べて電解重合層を用いた製品は、漏れ電流が発
生しない場合にはESRを低減した製品が得られるが、
漏れ電流が発生した場合にはESRを増大した製品を生
じ、これにより製品の歩留まりが低下してしまう。
【0015】電解重合層を用いた製品においてESRを
増大させないためには、漏れ電流を発生させないように
する。漏れ電流は、機械的ストレスにより損傷した誘電
体皮膜から発生し、特に、機械的強度の最も弱い部分で
あるペレットのリード埋設部の誘電体被膜から発生す
る。漏れ電流の発生を防止するために、一般に、リード
埋設部付近に樹脂を塗布して補強する。通常、この樹脂
塗布工程は、ペレットに導電性高分子層が形成される前
であって、化成工程前後で行われる。その理由は、重合
層のような軟質かつペレットとの密着も弱い物質層が、
補強樹脂とペレットの間に存在すると、ペレットに対す
る樹脂の接着強度が低下して塗布部の機械的強度向上で
きないため、漏れ電流の発生を防止する効果も薄れるた
めである。また、樹脂の硬化温度は、一般的に150℃
前後と高く、この硬化温度により高分子を劣化させるこ
とがあるためである。しかしながら、このような樹脂塗
布による補強は、漏れ電流の発生を防止する効果は高い
が、塗布した樹脂がペレット内に浸透し、金属面あるい
は誘電体層を被覆してしまうため静電容量が低下してし
まうという問題があった。
【0016】そこで上記従来の問題点を解消すべく、本
発明の目的は、ESRを低減しながら静電容量を低下さ
せない、導電性高分子を用いる固体電解コンデンサを提
供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明は、固体電解質としての導電性高分子を化学
重合および電解重合により重合する固体電解コンデンサ
において、固体電解コンデンサの製造工程の際に、樹脂
塗布によるリード埋設部の補強を、化学重合工程後であ
って電解重合工程前に実施して、リード埋設部が順に化
学重合層,樹脂層,電解重合層という層構造を有する。
【0018】本発明の第1の態様は、陽極体のリード線
が埋設されるリード埋設部を備え、固体電解質層として
の導電性高分子層が化学重合および電解重合により形成
される固体電解コンデンサであり、前記化学重合による
前記導電性高分子層と、前記電界重合による前記導電性
高分子層との間を電気的に絶縁する樹脂層を備えること
を特徴とする。
【0019】本発明の第2の態様は、陽極体のリード線
が埋設されるリード埋設部を備え、固体電解質層として
の導電性高分子層を化学重合および電解重合により形成
する固体電解コンデンサの製造方法において、前記化学
重合により前記導電性高分子層を形成する工程と、前記
化学重合により形成された前記導電性高分子層の上に電
気的絶縁性の樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上
に前記電解重合により前記導電性高分子層を形成する工
程とを含むことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0021】まず始めに、本発明の固体電解コンデンサ
の製造方法を説明する。図1は、本発明の固体電解コン
デンサおよびその表面付近の拡大図を示す図であり、図
2は、その固体電解コンデンサおよびそのリード埋設部
付近の拡大図を示す図である。図示した固体電解コンデ
ンサ5は、第1に陽極体(図面ではTa金属である)を
形成し、第2に誘電体層1を形成し(化成を行い)、第
3に化学重合層2を形成し、第4に樹脂層3を漏れ電流
が発生するリード埋設部付近に形成し(図2に示すリー
ド線6の埋設部付近のみ形成される)、第5に電解重合
層4を形成し、図示していないが、第6に再化成を行
い、第7に陰極層を形成し、第8に外部端子を形成し,
外装して製造される 始めに、陽極体の形成において、Ta金属粉末に成形性
を高めるためのバインダを混合してプレス成形用の造粒
粉を作成する。次に、この造粒粉をプレス工法により圧
縮成型体を形成する。この際に、この圧縮成型体に、T
a金属を用いた陽極リード6を埋設する。この圧縮成形
体を、1300〜1600℃程度の高温で,10-6To
rr程度の高真空中で焼結して固体電解コンデンサ用の
陽極体を得る(以降、この陽極体に種々の処理を施した
ものをペレットと記す)。
【0022】次に、ペレットの表面に、陽極酸化(化
成)により酸化物からなる誘電体層1を形成する。陽極
酸化(化成)とは、陽極体と通電のための対抗電極とを
電界溶液中に浸漬させ、陽極体を正電位に対抗電極をそ
れ以下の電極に保って通電して酸化膜を形成することで
ある。誘電体層の厚みは、化成電圧を制御することによ
り容易に決めることができる。
【0023】次に、誘電体層1を形成したペレット上
に、固体電解質層として導電性高分子層を化学重合によ
り形成する。この導電性高分子層は、化学重合層2であ
る。
【0024】次に、リード埋設部6付近で発生する漏れ
電流を化学重合層のみに留めるために、樹脂層3を形成
する。樹脂には、化学重合層の熱的劣化を防ぐため、低
温硬化型で化学重合層2に浸透する樹脂を使用する。樹
脂塗布は、化学重合層上2に行うので、樹脂の接着強度
は低下し塗布部の機械的強度は向上しないために、漏れ
電流が発生するが、化学重合層2に浸透する樹脂層3を
形成して、化学重合層2と電解重合層4とを電気的に絶
縁するために、リード埋設部6付近で発生した漏れ電流
が化学重合層2のみで留まり、電解重合層4に流れて損
傷および劣化することを防止できる。
【0025】次に、化学重合層2の起点として電解重合
層4を形成する。誘電体層(化成被膜)1の上に導電性
物質層を形成すると固体電解コンデンサ5としての基本
構造が得られる。本発明では、固体電解質層が化学重合
層2と電解重合層4とより構成される。樹脂塗布をした
ペレットを電界重合用溶液に浸漬し、給電端子をペレッ
ト上部に接触させ、電流を通電させて電解重合層4を形
成した。
【0026】次に、ペレットの再化成を行う。上述の誘
電体層1の形成と同様に、化成液中で再度電圧印加を行
う。このとき印加する電圧は、上述の陽極酸化(化成)
時に印加した電圧の値以下とする。この工程を再化成と
呼ぶ。再化成を行うと、固体電解質層の形成の際に機械
的および化学的ストレスで発生した化成皮膜の軽度の欠
陥部が被覆され、コンデンサの漏れ電流特性が改善され
る。化成皮膜の欠陥が発生しやすい箇所としては、ペレ
ットのリード埋設部6が挙げられる。この箇所は、機械
的強度が低く、応力が集中しやすいために欠陥が発生し
やすい。
【0027】次に、陰極層を形成する。再化成を行った
ペレットに、さらに導電性物質層を形成する。この導電
性物質層を陰極層と呼ぶ。陰極層は、固体電解質層と実
装用の外部端子(陰極)を接続して接続抵抗を減少さ
せ、コンデンサの外装時および実装時のストレスを緩和
させる。一般的に、陰極層は、グラファイトペーストお
よび銀ペーストを併用して形成される。
【0028】次に、外部端子を形成し、外装する。陰極
形成後に、素子へ実装のための金属製外部端子を溶接ま
たは接着等で付加する。さらに、耐湿性の向上およびハ
ンドリング性の向上等を目的として、樹脂等で外装して
固体電解コンデンサを得る。
【0029】最後に、製造した固体電解コンデンサ素子
の評価特性を行う。一般に、固体電解コンデンサ素子の
特性評価には、静電容量およびESRを評価指標とされ
ている。
【0030】次に、具体的な実施例について説明する。
本発明の第1の実施例では、上述の実施の形態と同様
に、陽極体の形成し、誘電体層の形成した。この際、焼
結温度は1400℃,1ペレット当たりの粉末重量は1
40mg,化成電圧は20Vとした。
【0031】次に、誘電体層を形成したペレット上に、
固体電解質層として導電性高分子層を形成した。まず、
化学重合によりペレット内部へ導電性高分子層を形成し
た。酸化剤溶液には、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄
(III) を60w%含むメタノール溶液を使用した。こ
の酸化剤溶液にペレットを5分間浸漬させてから乾燥さ
せた。次に、重合液としてピロールを5w%溶解させた
水溶液にペレットを20分浸漬させてから乾燥させた。
次に、メタノールでペレットを洗浄して残留未反応物お
よび導電性に寄与しない副生成物等を除去し、化学重合
層を得た。
【0032】次に、化学重合層を形成したペレットに樹
脂塗布を行った。樹脂塗布は、樹脂0.5mg程度をリ
ード埋設部にディスペンサにより吐出塗布して行った。
樹脂には、化学重合層の熱的劣化を防ぐために、低温硬
化型(80℃硬化)のシリコーン樹脂を使用した。この
樹脂は、弾性率が低く、軟質であり、粘度が低いために
ペレットへ浸透しやすいが、少量でもリード埋設部を広
範囲にカバーすることができる。樹脂塗布は、化学重合
層上に行うので、樹脂の接着強度は低下し塗布部の機械
的強度は向上せず、漏れ電流は発生してしまうが、化学
重合層に浸透して樹脂層を形成するので、化学重合層と
次に形成する電解重合層とを電気的に絶縁する。これに
より、リード埋設部付近で発生した漏れ電流が化学重合
層のみで留まり、電解重合層に流れて損傷および劣化す
ることを防止できる。
【0033】次に、樹脂塗布を行ったペレットに電解重
合層を形成した。ペレットを電解重合用溶液に浸漬し、
給電端子をペレット上部付近に接触させ、5mAの電流
を30分間通電させて、電解重合による電解重合層を形
成した。
【0034】次に、電解重合層を形成したペレットに再
化成を行った。再化成は、上述の実施の形態と同様に行
った。
【0035】次に、ペレットの上に、上述の実施の形態
と同様に、グラファイトペーストおよび銀ペーストから
なる陰極層を形成した。次に、外部端子を付加し、樹脂
で外装して固体電解コンデンサを得た。
【0036】次に、この固体電解コンデンサの特性評価
を行った。固体電解コンデンサ素子の特性評価には、静
電容量およびESRを評価指標とした。これらの測定条
件は、 静電容量 : 1Vrms ,Bias 1.5V,12
0Hz 室温 ESR : 1Vrms ,Bias 1.5V,100
kHz 室温 とした。
【0037】次に、第1の実施例の評価の結果について
述べる。第1の実施例による固体電解コンデンサをロッ
トAとする。また、本実施例との比較のために、上述の
従来技術による構造を有する固体電解コンデンサをロッ
トBとする。ロットBは、樹脂塗布を従来技術の通りに
化成工程後および高分子層の形成前に、高粘度樹脂を用
いて行い樹脂層を形成した(従来例1)。この際に、高
粘度樹脂を用いた理由は樹脂のペレットへの浸透を抑制
し静電容量の低下を少しでも小さくするためである。ま
た、樹脂塗布を省略して製造した電解コンデンサをロッ
トCとする(従来例2)。図3は、第1の実施例とその
比較例によるESRの測定結果を示し、図4は、第1の
実施例とその比較例による静電容量の測定結果を示す。
図示の良品範囲とは、製品として使用できる限界の範囲
を示すものであり、この範囲内に製品の最大値から最小
値までが収まることが望ましい。図示のように、本実施
例のロットAは、ESRおよび静電容量ともに良好範囲
内にあり良好であるのに対し、ロットBでは静電容量の
低下が見られ、樹脂塗布されていないロットCでは静電
容量およびESRともにバラツキが大きくなっているこ
とが分かる。ESRの増大は、上述したように再化成を
行う際に、大きな漏れ電流が流れ、漏れ電流が流れる欠
陥部付近で局所的な絶縁化が進行しないために、広範囲
の絶縁化および高抵抗化が進行する場合に生ずる。本実
施例では化学重合層を形成した後に樹脂を塗布したため
に、リード埋設部付近の化学重合層と電解重合層が直接
接触しないため、漏れ電流が発生しても電解重合層より
も絶縁化の進行が速い化学重合層のみに流れることにな
る。また、本実施例の場合のように電解重合の起点のた
めの下地として用いる場合には薄く形成される。このよ
うな場合には絶縁化の進行が更に速い。このため、リー
ド埋設部からの漏れ電流が発生した場合であっても、速
やかに局所的な絶縁化が進行し、狭い範囲で漏れ電流が
抑制されて、結果としてESR増大を防止できる。
【0038】一方、従来のロットBでは、ESRの値か
ら、リード埋設部への樹脂塗布により機械的に強化され
漏れ電流の発生を防いでいる点で本発明と同等の効果を
有することが分かる。しかし、高粘度の樹脂を用いてい
るが、誘電体層に直接樹脂塗布したために、樹脂がペレ
ットへ浸透することを防ぐことができないため、静電容
量が低下することが分かる。一方、本実施例の場合で
は、樹脂層は化学重合層の上に形成されるため、ペレッ
トへの樹脂の浸透を防ぐことができるため静電容量の低
下は起こらない。
【0039】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
第2の実施例において、上述のように陽極体を形成し、
誘電体層を形成した。陽極体を形成するための粉末とし
てNb粉末を用い、焼結温度を1300℃、1ペレット
当たりの粉末重量を300mg、化成電圧を20Vとし
た。
【0040】次に、上述の第1の実施例と同様に化学重
合層,樹脂層,および電解重合層を形成した。この際
に、電解重合時の通電時間を60minと変更し、重合
層を厚くして、製品を大容量化させた。
【0041】次に、第1の実施例と同様に、再化成,陰
極層形成,外部端子形成および外装を行った。
【0042】最後に、第2の実施例のコンデンサの評価
を第1の実施例と同様の測定条件で行った第2の本実施
例によるコンデンサをロットDとする。また、比較のた
めに、樹脂塗布を従来技術と同様に化成工程後および高
分子層の形成前に実施し、高粘度樹脂を用いて樹脂層を
形成したコンデンサをロットをEとした(従来例3)。
また、樹脂塗布を省略したコンデンサをロットFとした
(従来例4)。図5に、第2の実施例とその比較例によ
るESRの測定結果を示し、図6には、第2の実施例と
その比較例による静電容量の測定結果を示す。図示のよ
うに、本実施例のロットDは、ESRおよび静電容量と
もに良好であった。これに対して、ロットEはESRが
やや高く、樹脂塗布されていないロットFはESRおよ
び静電容量ともにバラツキが高くなっていることが分か
る。本実施例では、化学重合層を形成した後に樹脂を塗
布したために、リード埋設部付近の化学重合層と電解重
合層が直接接触しないため、漏れ電流が発生しても電解
重合層よりも絶縁化の進行が速い化学重合層のみに流れ
ることになる。また、本実施例の場合のように電解重合
の起点のための下地として用いる場合には薄く形成され
る。このような場合には絶縁化の進行が更に速い。この
ため、リード埋設部からの漏れ電流が発生した場合であ
っても、速やかに局所的な絶縁化が進行し、狭い範囲で
漏れ電流が抑制されて、結果としてESR増大を防止で
きる。ロットEは、第1の実施例1のロットBと同じ方
法で製造したにも関わらず、静電容量が低下せず、ES
Rがやや増大するというロットBと逆の傾向が得られて
いる。これは、電界重合層を厚くして製品の大容量化さ
せたことにより樹脂の浸透による静電容量の低下が目立
たなくなったが、製品の大型化がリード埋設部への機械
的ストレスを増大させてしまい樹脂補強だけではそのス
トレスに十分耐えられなくなって漏れ電流が増大したた
めと考えられる。
【0043】なお、本発明は、上述の実施例に限定され
るものではなく、例えば、陽極体としては、Taおよび
Nb以外のAl等の弁作用のある陽金属を適用すること
ができる。
【0044】また、導電性高分子としてピロールを例示
して説明したが、本発明は、これに限定されるものでは
なく、例えば、チオフェン,フラン,またはアニリン、
およびこれらの誘導体を適用することもできる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、固体電
解質層としての導電性高分子を化学重合および電解重合
により形成する固体電界コンデンサにおいて、低温効果
型であって絶縁性の樹脂の塗布を化学重合後であって電
解重合前に実施する。これにより、漏れ電流は、速やか
な絶縁化により高抵抗部分を漏れ電流の発生点付近のみ
に留める化学重合層に発生し、化学重合層と絶縁された
電解重合層には発生しないため、本発明は、漏れ電流に
より電解重合層の損傷を防ぎESRを低減することがで
きるとういう効果がある。また、樹脂層を化学重合層の
上に設けてペレットに浸透することを防ぎコンデンサの
静電容量の低下を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体電解コンデンサおよびその表面付
近の拡大図を示す図である。
【図2】本発明の固体電解コンデンサおよびそのリード
埋没部付近の拡大図を示す図である。
【図3】第1の実施例とその比較例によるESRの測定
結果を示す図である。
【図4】第1の実施例とその比較例による静電容量の測
定結果を示す図である。
【図5】第2の実施例とその比較例によるESRの測定
結果を示す図である。
【図6】第2の実施例をその比較例による静電容量の測
定結果を示す図である。
【図7】従来技術による固体電解コンデンサおよびその
ワイヤー埋設部付近の拡大図を示す図である。
【符号の説明】
1,11 誘電体層 2,13 化学重合層 3,12 樹脂層 4,14 電解重合層 5,15 固体電解コンデンサ 5,16 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝見 忠昌 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 4J032 BA13 BB01 BC01 BC21 BC29

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極体のリード線を埋設するリード埋設部
    を備え、固体電解質層としての導電性高分子層が化学重
    合および電解重合により形成される固体電解コンデンサ
    において、 前記化学重合による前記導電性高分子層と、前記電界重
    合による前記導電性高分子層との間を電気的に絶縁する
    樹脂層を備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】前記樹脂層は、前記リード埋設部付近の漏
    れ電流が発生する領域のみに設けられることを特徴とす
    る請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】前記樹脂層は、低温硬化型の樹脂より成る
    ことを特徴とする請求項1または2記載の固体電解コン
    デンサ。
  4. 【請求項4】陽極体のリード線を埋設するリード埋設部
    を備え、固体電解質層としての導電性高分子層を化学重
    合および電解重合により形成する固体電解コンデンサの
    製造方法において、 前記化学重合により前記導電性高分子層を形成する工程
    と、 前記化学重合により形成された前記導電性高分子層の上
    に電気的絶縁性の樹脂層を形成する工程と、 前記樹脂層の上に前記電解重合により前記導電性高分子
    層を形成する工程とを含むことを特徴とする固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】前記樹脂層を形成する工程は、前記樹脂層
    を前記リード埋設部付近の漏れ電流が発生する領域のみ
    に形成することを特徴とする請求項4記載の固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】前記樹脂層を形成する工程は、低温硬化型
    の樹脂から形成することを特徴とする請求項4または5
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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