JP2002131035A - 絶対校正方法、情報処理装置、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、計測測定方法、及び光学部材 - Google Patents

絶対校正方法、情報処理装置、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、計測測定方法、及び光学部材

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JP2002131035A
JP2002131035A JP2000319786A JP2000319786A JP2002131035A JP 2002131035 A JP2002131035 A JP 2002131035A JP 2000319786 A JP2000319786 A JP 2000319786A JP 2000319786 A JP2000319786 A JP 2000319786A JP 2002131035 A JP2002131035 A JP 2002131035A
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JP2000319786A
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Hajime Ichikawa
元 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 干渉計測システムを用い、被検面の固有面精
度誤差を絶対校正することのできる絶対校正方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 被検面の外形中心軸が重力方向に一致す
るような姿勢で前記被検物を支持部材により支持し、前
記被検物の重力方向に対する前記姿勢を保ちつつ、前記
被検物を重力方向を回転軸として回転させることにより
第1の干渉計測データを取得し、前記被検面の外形中心
軸が前記重力方向に対して一定の傾斜角度を有するよう
な姿勢で前記被検物を前記支持部材と同じ又は異なる支
持部材により支持し、前記被検物を前記重力方向を回転
軸として回転させることにより第2の干渉計測データを
取得し、前記傾斜角度を保ちつつ前記被検物を前記外形
中心軸を回転軸として回転させることにより第3の干渉
計測データを取得する。これらのデータから、固有面精
度誤差を絶対校正することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、干渉計測システム
を用いて、被検面の面精度誤差(本明細書では、「前記
設計形状からの乖離誤差成分のうち、前記幾何学形状の
誤差成分を除去した後に残る、うねり誤差成分」と定義
する。)を示す計測データを取得し、その干渉計測デー
タから、そのシステムに固有の誤差(システム誤差)を
除去して、その面精度誤差の所定成分を抽出する絶対校
正方法、情報処理装置、コンピュータ読み取り可能な記
憶媒体、形状測定方法、及び光学部材に関する。なお、
本明細書では、計測データからシステム誤差を除去して
所定の成分のみを抽出する処理を「絶対校正」という。
【0002】
【従来の技術】干渉計測システムによりレンズやミラー
等の光学素子が有する球面や平面の面精度誤差をより高
精度に求めるには、そのシステムに応じた絶対校正が必
要となる。絶対校正する際に考慮すべきシステム誤差
は、例えば、干渉縞を生成するときの基準として配置さ
れる参照面の形状誤差や、被検物の姿勢と被検物を支持
する支持部材と重力との関係により生じる被検面の自重
変形(本明細書では、「重力歪み」という。)による誤
差などである。
【0003】ところで、この重力歪みによる誤差は、従
来の絶対校正方法では除去されていない。なぜなら、如
何なる使用状況の光学素子にもそれが無重力空間に置か
れているのではない限り何らかの重力歪みが生じるの
で、干渉計測時の重力歪みが使用時の重力歪みと同じで
ありさえすれば、その重力歪みによる誤差を含んだまま
の面精度誤差を、被検面に固有の面精度誤差とみなせる
からである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年になる
と、光学素子が多様な使用状況下におかれることを想定
して、無重力状態におかれ何ら重力歪みが生じていない
状態における光学素子の面精度誤差を求めたいという要
求が高まっている(以下、無重力状態におかれたときの
被検面の面精度誤差を、「固有面精度誤差成分」とい
う。したがって、重力以外の外力すなわちクランプやホ
ルダーなど弾性力を有する保持部材に保持された状態の
光学素子に生じている変形については固有面精度誤差成
分に含める。)。
【0005】しかしながら、無重力状態を地球上で実現
するのは難しく、また宇宙空間での計測は未だ一般的で
ないため、このような固有面精度誤差を取得するには、
重力歪みが生じたままで被検面の計測を行った後に、重
力歪みによる誤差を、何らかの絶対校正により除去する
ことになる。そこで本発明は、上記従来技術の欠点に鑑
みなされたもので、請求項1に記載の発明は、被検面の
固有面精度誤差を絶対校正することのできる絶対校正方
法を提供することを目的とし、請求項4に記載の発明
は、その絶対校正方法を実現するための情報処理装置を
提供することを目的とし、請求項5に記載の発明は、コ
ンピュータをその情報処理装置として機能させるための
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを
目的とする。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、被検面の
固有面精度誤差成分を、短時間で絶対校正することので
きる絶対校正方法を提供することを目的とする。また、
請求項3に記載の発明は、任意の支持部材が被検面に与
える重力歪みによる誤差成分を、絶対校正することので
きる絶対校正方法を提供することを目的とする。
【0007】また、請求項6〜請求項8に記載の発明
は、被検面に固有の形状を高精度に算出する形状測定方
法を提供することを目的とする。また、請求項9、請求
項10に記載の発明は、高精度に測定された形状の光学
部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の絶対校
正方法は、光源から出射された測定用光束を、波面変換
素子を用いて被検物の被検面の設計形状と同じ幾何学形
状を有する測定波面に変換し、その測定波面が垂直入射
するようにアライメントされた前記被検面に照射すると
共に、前記測定用光束を所定の面形状を有する参照面に
照射し、前記被検面において反射した被検波面と前記参
照面において反射された参照波面とが干渉して生じさせ
る干渉縞を光電変換素子を用いて光電検出し、干渉面
(≡干渉縞を成す各波面を決定する面)の干渉計測デー
タを取得する干渉計測システムを用いて、前記被検面の
固有面精度誤差を絶対校正する絶対校正方法であって、
前記被検面の外形中心軸が重力方向に一致するような姿
勢で前記被検物を支持部材により支持すると共に、前記
測定波面が前記被検面の有効領域(≡品証すべき領域)
と一致するように前記干渉計測システムの各部を設定
し、重力方向に対する前記被検物の前記姿勢を保ちつ
つ、前記支持部材に対して前記被検物を重力方向を回転
軸として回転させることにより、異なる回転位置のそれ
ぞれにおける干渉面(=前記有効領域及び前記参照面)
の干渉計測データ(≡第1の干渉計測データ)を、前記
干渉計測システムから取得し、前記取得した前記第1干
渉計測データから、前記有効領域についての第1の絶対
校正データを抽出し、前記被検面の外形中心軸が重力方
向に対して一定の傾斜角度を有するような姿勢で前記被
検物を前記支持部材と同じ又は異なる支持部材により支
持すると共に、前記測定波面が前記有効領域の少なくと
も一部に相当する部分領域と一致するように前記干渉計
測システムの各部を設定し、重力方向に対する前記被検
物の前記姿勢を保ちつつ、前記支持部材に対して前記被
検物を重力方向を回転軸として回転させることにより、
異なる回転位置のそれぞれにおける干渉面(=前記部分
領域及び前記参照面)の干渉計測データ(≡第2の干渉
計測データ)を、前記干渉計測システムから取得し、前
記傾斜角度を保ちつつ、前記支持部材に対して前記被検
物を前記外形中心軸を回転軸として回転させることによ
り、異なる回転位置のそれぞれにおける干渉面(=前記
部分領域及び前記参照面)の干渉計測データ(≡第3の
干渉計測データ)を、前記干渉計測システムから取得
し、前記第1の絶対校正データと、前記第2の干渉計測
データと、前記第3の干渉計測データとから、前記部分
領域についての絶対校正データ(≡第2の絶対校正デー
タ)を抽出し、前記第2の絶対校正データと、前記第3
の干渉計測データとから、前記有効領域についての絶対
校正データ(≡第3の絶対校正データ)を取得すること
を特徴とする。
【0009】先ず、第1の干渉計測データからは、被検
面の面精度誤差のうち、重力歪みによる誤差成分と回転
対称誤差成分とを消去して、非回転対称誤差成分のみを
示す第1の絶対校正データを、抽出することが可能であ
る。一方、同じ支持部材かつ同じ姿勢で被検物を支持
し、かつ互いに異なる軸の周りを回転させることにより
得られた、第2の干渉計測データと第3の干渉計測デー
タとの双方には、支持部材と重力とにより生じる被検面
の重力歪みが、共通に含まれるので、これら第2及び第
3の干渉計測データからは、重力歪みによる誤差成分を
相殺することができる。
【0010】そしてこのような第2及び第3の干渉計測
データと、それらと同じ被検面についてのデータである
上記第1の絶対校正データとによれば、前記第2及び第
3の計測データの計測対象領域である前記部分領域につ
いては、重力歪みによる誤差成分が除去された固有面精
度誤差成分を示す絶対校正データ(≡第2の絶対校正デ
ータ)を抽出することができる。
【0011】このように部分領域の固有面精度誤差成分
(第2の絶対校正データ)が抽出されれば、その後は、
その第2の絶対校正データと、先行して得られた第3の
干渉計測データとから、第1の干渉計測データの計測対
象領域である有効領域の固有面精度誤差成分を示す絶対
校正データ(≡第3の絶対校正データ)を求める(すな
わち、固有面精度誤差を絶対校正する)ことができる。
【0012】請求項2に記載の絶対校正方法は、被検物
が有する被検面の面精度誤差を絶対校正するに当たり、
前記被検物と同じ形状でありかつ同じ材料で形成された
レフ原器を準備し、請求項1記載の絶対校正方法を用い
て前記レフ原器が有するレフ原器面についての前記第3
の絶対校正データを取得し、前記レフ原器面と前記被検
面との比較減算測定を、前記レフ原器と前記被検物とを
任意の同一の支持部材により支持して行うことにより、
それら両面の比較減算データを取得し、前記レフ原器面
についての前記第3の絶対校正データに応じて、前記比
較減算データを補正することにより、前記被検面につい
ての第3の絶対校正データを取得することを特徴とす
る。
【0013】すなわち、予め、前記レフ原器面を準備
し、かつそのレフ原器面に対して請求項1記載の絶対校
正方法を適用して固有面精度誤差成分(第3の絶対校正
データ)を求めておきさえすれば、被検面に対しては、
レフ原器面の測定と同一の支持部材及び同一の姿勢を採
用した比較減算測定を行うだけで、短時間で固有面精度
誤差成分を絶対校正することができる。
【0014】このように短時間で絶対校正が完了する絶
対校正方法は、同一の材料で同一の設計形状の複数の被
検面の固有面精度誤差成分を絶対校正する際に、好適で
ある。また、上記比較減算測定において、被検物を支持
する支持部材とレフ原器を支持する支持部材とが同じで
あり、かつ被検物とレフ原器とが同じ姿勢なっているの
であれば、任意の支持部材、任意の姿勢を採用しても同
様の絶対校正が可能であるので、この請求項2に記載の
絶対校正方法は、比較減算測定における測定条件の自由
度が高いという利点もある。
【0015】請求項3に記載の絶対校正方法は、任意の
支持部材により支持された被検物が有する被検面の重力
歪みを絶対校正するに当たり、所定の計測方法を用い
て、前記重力歪みが生じた状態における前記被検面の形
状データを取得し、請求項1記載の絶対校正方法を用い
て、前記被検面についての前記第3の絶対校正データを
取得し、前記形状データと前記第3の絶対校正データと
から、前記支持部材が前記被検物に与える前記重力歪み
の絶対校正データを取得することを特徴とする。
【0016】このようにすれば、任意の支持部材が被検
面に対して与える重力歪みによる誤差成分を、絶対校正
することができる。請求項4に記載の情報処理装置は、
請求項1に記載の絶対校正方法に適用される情報処理装
置であって、前記絶対校正方法において取得された前記
第1干渉計測データから、前記有効領域についての第1
の絶対校正データを抽出する第1のデータ抽出手段と、
前記抽出された第1の絶対校正データと、前記絶対校正
方法において取得された前記第2の干渉計測データ及び
前記第3の干渉計測データとから、前記部分領域につい
ての絶対校正データ(≡第2の絶対校正データ)を抽出
する第2のデータ抽出手段と、記第2の絶対校正データ
と、前記第3の干渉計測データとから、前記有効領域に
ついての絶対校正データ(≡第3の絶対校正データ)を
取得するデータ取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】すなわち、この情報処理装置は、請求項1
に記載の絶対校正方法において取得されたデータに基づ
く演算を自動的に行って第3の絶対校正データを取得す
ることができる。請求項5に記載のコンピュータ読み取
り可能な記憶媒体は、請求項1に記載の絶対校正方法に
おいて取得された前記第1干渉計測データから、前記有
効領域についての第1の絶対校正データを抽出する第1
のデータ抽出手順と、前記抽出された第1の絶対校正デ
ータと、前記絶対校正方法において取得された前記第2
の干渉計測データ及び前記第3の干渉計測データとか
ら、前記部分領域についての絶対校正データ(≡第2の
絶対校正データ)を抽出する第2のデータ抽出手順と、
記第2の絶対校正データと、前記第3の干渉計測データ
とから、前記有効領域についての絶対校正データ(≡第
3の絶対校正データ)を取得するデータ取得手順とをコ
ンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したこ
とを特徴とする。
【0018】すなわち、このコンピュータ読み取り可能
な記憶媒体は、コンピュータを、請求項4に記載の情報
処理装置として機能させることができる。請求項6に記
載の形状測定方法は、検出器により、被検面からの反射
光である測定用光束と、フィゾー面からの反射光である
参照用光束とを互いに干渉させ、該干渉による位相差を
検出することにより、前記被検面の面形状を測定する形
状測定方法において、前記干渉による位相差検出値より
導き出された面精度誤差値から、前記フィゾー面の面精
度誤差成分と前記被検面の重力歪みにより生じる誤差成
分とを除去することにより前記被検面の固有面精度誤差
成分を抽出し、前記被検面の面形状を算出することを特
徴とする。
【0019】請求項7に記載の形状測定方法は、前記面
精度誤差値が、前記被検面の外形中心軸が重力方向とな
るように配置し、重力方向の周りに被検物を回転させて
取得した面精度誤差値(第1の干渉計測値)と、前記被
検面の外形中心軸が重力方向に対して傾斜するように被
検物を配置し、前記重力方向の周りに被検物を回転させ
て取得した前記被検面の部分領域(傾斜時の被検物の干
渉面)の面精度誤差値(第2の干渉計測値)と、前記被
検面の外形中心軸が前記重力方向に対して傾斜するよう
に被検物を配置し、前記外形中心軸の周りに被検物を回
転させて取得した前記被検面の部分領域の面精度誤差値
(第3の干渉計測値)であることを特徴とする請求項6
記載の形状測定方法である。
【0020】請求項8に記載の形状測定方法は、前記フ
ィゾー面の面精度誤差成分と前記被検面の重力歪みによ
り生じる誤差成分とを除去することにより前記被検面の
固有面精度誤差成分を抽出する演算は、前記第1の干渉
計測値から前記被検面の非回転対称誤差成分を算出し、
前記非回転対称誤差成分と、前記第2の干渉計測値と、
前記第3の干渉計測値とから前記部分領域の回転対称誤
差成分を抽出するとともに、該回転対称誤差成分及び前
記非回転対称誤差成分を用いて、前記部分領域の固有面
精度誤差成分を算出し、該部分領域の固有面精度誤差成
分と、前記第3の干渉計測値とを用いて所定の波面合成
する演算により実質的になされることを特徴とする請求
項7記載の形状測定方法である。
【0021】請求項9に記載の光学部材は、請求項1〜
請求項3の何れか1項記載の絶対校正方法を用いて形状
測定がされた光学部材である。請求項10に記載の光学
部材は、請求項6〜請求項8の何れか1項記載の形状測
定方法を用いて形状測定がされた光学部材である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。
【0023】[第1実施形態(請求項1,請求項4,請
求項5,請求項6,請求項7,請求項8,請求項9,請
求項10に対応)]先ず、図1,図2,図3,図4を参
照して本発明の第1実施形態について説明する。 (構成)図1は、第1実施形態の絶対校正方法に用いら
れる干渉計測システム1の構成図である。
【0024】干渉計測システム1には、干渉計測装置1
0、被検物3を支持する支持部材5、情報処理器20
(請求項における情報処理装置に対応する。)、ディス
プレイ30などが備えられる。干渉計測装置10内に
は、干渉計本体11、フィゾーレンズ12が配置され、
両者は、干渉計本体11からの測定光がフィゾーレンズ
12内のフィゾー面2aに入射するような位置関係で配
置されている。
【0025】また、被検物3は、その被検面3aがフィ
ゾー面2aに正対する状態で支持部材5により支持され
ている。ここで、図1に示した干渉計測システム1は、
被検物3の有する被検面3aが球面であり、これに適合
するために、干渉計測装置10内のフィゾー面2aも球
面となっている。しかし、本発明は、被検面3aが平面
である場合にも適用可能であって、その場合にはフィゾ
ー面2aが平面とされる。以下に説明する絶対校正方法
の主な内容には、このような球面と平面との間の相違に
よる相違は生じないが、球面の場合には球心の位置に応
じて特に整えるべき測定条件があるため、以下では、被
検面3aとフィゾー面2aとが球面である場合について
説明する。
【0026】干渉計本体11からの測定光は、フィゾー
面2aに垂直に入射する。その測定光は、そのフィゾー
面2aにおいて一部が反射すると共に他の一部が透過
し、透過後に被検面3aに入射しかつ反射した光は、フ
ィゾー面2aにおける反射光と干渉し、干渉計本体11
の内部に干渉光を生成する。
【0027】干渉計本体11内には、光源11a、光源
11aが出射した光を平面波に変換してフィゾーレンズ
12に導くと共に前記干渉光による干渉縞を所定面に投
影させる光学系(ビームエキスパンダ11b、ビームス
プリッタ11c、結像レンズ11d、不図示の1/4波
長板や偏光板など)、前記所定面に配置されたCCD型
撮像素子などの検出器11eが備えられる。
【0028】一方、情報処理器20は、このような干渉
計測装置10内の各部を駆動したり、不図示のピエゾ素
子を介してフィゾーレンズ12を光軸方向に移動させた
りして干渉計測を行い、その干渉計測装置10から干渉
計測データ(前記干渉縞のパターンを示す検出器11e
の各画素出力、すなわち各画素に入射した光の輝度の時
間積分値である。)を取り込み、その干渉計測データを
面精度誤差データDへと変換し、さらに後述する情報処
理を施すものである。
【0029】この情報処理器20が行う干渉計測には、
公知の干渉計測方法(高精度を図る場合にはフリンジス
キャン法が好ましい)が適用され、これに伴い、面精度
誤差データDへの変換には、その干渉計測方法に適合す
る変換式が使用される。そして変換後の面精度誤差デー
タDには、干渉縞を成す各波面を決定する干渉面(すな
わちフィゾー面2a及び被検面3a)の形状情報が重畳
されており、フィゾー面2aの面精度誤差成分Fと、被
検面3aの固有面精度誤差成分Wとの和にほぼ等しい。
但し、実際には、支持部材5と重力との関係により生じ
る重力歪みによる誤差成分H(以下、単に「重力歪み」
という。)もこの面精度誤差データDに含まれている。
【0030】そして本実施形態の情報処理器20は、後
述する情報処理により、この面精度誤差データDに含ま
れる誤差成分のうち、システム誤差に相当する、フィゾ
ー面2aの面精度誤差成分Fと重力歪みHとを共に除去
し、被検面3aの固有面精度誤差成分Wのみを抽出する
ものである。
【0031】なお、この情報処理の結果は、情報処理器
20に接続されたディスプレイ30に表示される。その
他、干渉計測システム1においては、干渉計測の過程で
生じた干渉縞を操作者が目視するために、検出器11e
(検出器11eのビデオ信号の出力端子)に観察モニタ
を接続してもよい。
【0032】以上の構成の干渉計測システム1におい
て、干渉計測装置10は、測定光軸4が重力方向(各図
面において、符号「g」が付された白抜き矢印の方向を
重力方向とする。)と一致するような状態で設置されて
いる。ここで、本明細書においては、測定光軸4を、
「フィゾーレンズ12の焦点にミラーを設置した「キャ
ッツアイ反射」の状態を設定し、かつそのときに得られ
る干渉縞を極力「縞一色」(縞なし)に近づくように保
ちながら、得られる干渉縞データのアパーチャに欠けが
無い様にミラーの角度を調整した状態における、ミラー
の反射面の法線のうち、前記焦点を通るもの」と定義す
る。
【0033】また、支持部材5は、被検面3aの球心を
フィゾーレンズ12の焦点に一致させた状態で被検物3
を支持するものであって、少なくとも後述する干渉計測
が行われているときには、干渉計測装置10に固定され
る。この場合、干渉計測時に支持部材5に対して被検物
3を測定光軸4の周りに回転させても、支持部材5から
被検物3へと加えられる力の方向及び大きさは、変化し
ない(すなわち、支持部材5の被検物3に対する支持状
態の再現性は良好である。)。
【0034】なお、支持状態の再現性が良好であるなら
ば、フィゾーレンズ12を取り外して再度同じ姿勢で取
り付けるという工程を介しても、同じ被検物3について
は常に同じ干渉計測データが得られるはずである(但
し、計測の度に公知のアライメント誤差補正は行われる
とする。)。
【0035】この事実を利用すれば、支持部材5の支持
状態の再現性が良好であるか否かを確認するに当たって
は、干渉計測データ(アライメント誤差補正後の干渉計
測データ)を参照し、その干渉計測データのばらつきが
十分に小さくなっていれば再現性が良好である、という
判断を行うことができる。因みに、支持状態の再現性が
良好となるような支持部材5は、例えば、被検物3を重
力方向に抗する側(下側)の3点から支持するマウント
(所謂「カイネマティック」なマウント)などである。
【0036】(動作)図2は、本実施形態の絶対校正方
法の動作フローチャートである。図3は、本実施形態の
絶対校正方法を説明する図である。本実施形態のステッ
プS1では、干渉計測システム1に、図3(a)に示す
ような系を設定する。すなわち、被検面3aの外形中心
軸6が重力方向に一致するような姿勢で支持部材5に被
検物3を載置する。このとき、被検面3aにおいて測定
光の照射されている領域が、本実施形態において品証し
ようとしている有効領域Eである。
【0037】さらに、支持部材5に対し、被検物3を、
重力方向に対する姿勢を保ったまま、重力方向を回転軸
として回転させる。この回転軸は、図3(a)に示す系
では外形中心軸6と測定光軸4とに一致する。この回転
時には、被検物3が単位回転角度θだけ回転する毎に、
情報処理器20に対し干渉計測を行わせ、かつ干渉計測
データ(≡第1の干渉計測データ)を取り込ませると共
に、その干渉計測データを面精度誤差データに変換させ
る(以上、ステップS1)。
【0038】以下、このステップS1において得た面精
度誤差データを、面精度誤差データDiとおく。ここ
で、単位回転角度θを、360°をm(m:2以上の整
数)等分した角度とし、i×θだけ回転したときに得ら
れる面精度誤差データDについては、添え字「i」を付
与して「Di」と表す。
【0039】したがって、このステップS1では、m個
の面精度誤差データDi(i=0〜m−1)が得られ
る。次のステップ2では、干渉計測システム1におい
て、図3(b)に示すような系を設定する。すなわち、
被検面3aの外形中心軸6が重力方向に対して所定角度
だけ傾斜するような姿勢で被検物3を支持部材5’に載
置する。なお、被検面3aの球心は、フィゾーレンズ1
2の焦点に一致したままである(以下、被検物3をこの
ように傾斜させることを「横ずらし」という。)。
【0040】また、このとき、被検面3aにおいて測定
光が照射されている領域が、部分領域eである。この部
分領域eは、有効領域Eの一部に相当する。なお、ステ
ップS2で使用するフィゾー面2a’、支持部材5’
は、ステップS1にて用いられるものと同じである必要
はない。なぜなら、後にステップS4〜S6において実
行される情報処理は、ステップS1とステップS2との
間における、フィゾー面2a、2a’間の面精度誤差成
分の相違、及び重力歪みの相違には依らないからであ
る。)。
【0041】但し、ステップS2で使用する支持部材
5’のマウント間隔と、フィゾー面2a’の開口数(N
A)とは、前記横ずらしさせた姿勢で被検物3を確実に
支持し、かつ干渉計測に悪影響を与える迷光を防ぐため
に、ステップS1におけるものよりも小さく設計されて
いることが好ましい。さらに、ステップS2では、ステ
ップS1と同様に、支持部材5’に対し、被検物3を、
被検物3の重力方向に対する姿勢を保ったまま、重力方
向を回転軸として回転させる。なお、この回転軸は、測
定光軸4と一致しているものの、外形中心軸6とは一致
していない。また、このとき、支持部材5’は干渉計測
装置10固定されている。
【0042】この回転時には、被検物3が単位回転角度
θだけ回転する毎に、情報処理器20に対し干渉計測を
行わせ、かつ干渉計測データ(≡第2の干渉計測デー
タ)を取り込ませると共に、その干渉計測データを面精
度誤差データに変換させる(以上、ステップS2)。以
下、このステップS2において得た面精度誤差データ
を、面精度誤差データdi[1]とおく。
【0043】ここで、単位回転角度θを、360°をm
(m:2以上の整数)等分した角度とし、i×θだけ回
転したときに得られる面精度誤差データdについては、
添え字「i」を付与して「di」と表す。したがって、
ステップS2では、m個の面精度誤差データdi[1]
(i=0〜m−1)が得られる。
【0044】なお、ステップS2において取得する面精
度誤差データdi[1]の数mは、ステップ1における
ものと同じである必要はない。次のステップ3では、干
渉計測システム1において、図3(c)に示すような系
を設定する。この系では、ステップS2(図3(b)参
照)で使用するものと同じ支持部材5’が使用され、か
つ被検物3には同じ傾斜角度で横ずらした姿勢が保た
れ、かつ同じフィゾー面2a’が使用されている。これ
は、後にステップS4〜S6で行われる情報処理では、
ステップS2、S3で得たデータから、共通のフィゾー
面の面精度誤差成分、及び共通の重力歪みを消去するた
めである。
【0045】さらに、ステップS3では、支持部材5’
に対し、被検物3を、前記傾斜角度を保ったまま、外形
中心軸6を回転軸として回転させる。また、このとき、
支持部材5’は干渉計測装置10に対して固定されてい
る。この回転時には、被検物3が単位回転角度θだけ回
転する毎に、情報処理器20に対し干渉計測を行わせ、
かつ干渉計測データ(≡第3の干渉計測データ)を取り
込ませると共に、その干渉計測データを面精度誤差デー
タに変換させる(以上、ステップS3)。
【0046】以下、ステップS3において得た面精度誤
差データを、面精度誤差データdi[2]とおく。ここ
で、単位回転角度θを、360°をm(m:2以上の整
数)等分した角度とし、i×θだけ回転したときに得ら
れる面精度誤差データdについては、添え字「i」を付
与して「di」と表す。
【0047】したがって、このステップS3では、m個
の面精度誤差データdi[2](i=0〜m−1)が得
られる。なお、ステップS3において取得する面精度誤
差データdi[2]の数mは、ステップ2におけるもの
と同じである。ここで、本明細書では、被検面3aの固
有面精度誤差成分Wの回転対称誤差成分Wrsを、「無
重力状態の被検面3aの固有面精度誤差成分Wをある軸
の周りに演算上仮想的に回転させて平均化した回転平均
化データ」と定義し、被検面3aの固有面精度誤差成分
Wの非回転対称誤差成分Wasを、「固有面精度誤差成
分Wから回転対称誤差成分Wrsを減算したデータ」と
定義する。
【0048】また、本明細書では、この考え方を一般化
して、データXの回転対称誤差成分Xrsを、「データ
Xをある軸の周りに演算上仮想的に回転させて平均化し
た回転平均化データ」と定義し、データXの非回転対称
誤差成分Xasを、「データXから回転対称誤差成分X
rsを減算したデータ」と定義する。さらに、本明細書
では、回転軸の種類や回転角度などを考慮して、以下の
ように各記号を定義する。
【0049】Di:i×θ回転後の干渉計測データを変
換して得られた面精度誤差データ、 Wi:面精度誤差データDiに含まれる被検面の固有面精
度誤差成分、 F:面精度誤差データDiに含まれるフィゾー面の面精
度誤差、 H:面精度誤差データDiに含まれる重力歪み、 Ars[B]:或る成分Aの、或る軸[B]に関する回
転対称誤差成分、 Afy[B]:或る成分Aの、或る軸[B]に関する回
転追従誤差成分(回転に追従する誤差成分)、 Aas[B]:或る成分Aの、或る軸[B]に関する非
回転対称誤差成分、 Afn[B]:或る成分Aの、或る軸[B]に関する非
回転追従誤差成分(回転に追従しない誤差成分)、 A0:0回転後の干渉計測データを変換して得られた面
精度誤差データに含まれる成分A、 また、図3(b)に示す系の回転中心軸(測定光軸
4)、図3(c)に示す系の回転中心軸(外形中心軸
6)については、それぞれ第1の軸[1]、第2の軸
[2]と表している。
【0050】また、ステップS1における計測と、ステ
ップS2及びS3における計測とでは、計測対象領域の
大きさや重力歪みの生じ方などが異なるので、ステップ
S1において得たデータの各成分と、ステップS2及び
S3において得たデータの各成分とを、Dとd、Wと
w、Fとf、Hとh、というように、大文字/小文字の
区別をして表している。
【0051】以上の定義より、ステップS1において得
た面精度誤差データDi(i=0〜m−1)は、次式
(1)で表される。 Di≡Wi+F+H ≡Wrs+Wasi+F+H ・・・(1) また、ステップS2において得た面精度誤差データdi
[1](i=0〜m−1)は、次式(2)で表される。
【0052】 di[1]≡wi[1]+f+hi ≡wrs[1]+wasi[1]+f+hfn[1]+hfyi[1] ・・・(2) また、ステップS3において得た面精度誤差データdi
[2](i=0〜m−1)は、次式(3)で表される。
【0053】 di[2]≡wi[2]+f+h0 ≡wrs[2]+wasi[2]+f+h0 ・・・(3) さらに、上式(1)の両辺を回転平均化すれば、回転追
従誤差成分であるWasは、消去される(式(4)参
照)。 ΣDi/m=Wrs+F+H ・・・(4) また、上式(2)の両辺を回転平均化すれば、回転追従
誤差成分である、wasとhの一部(hfy)とは、消
去される(式(5)参照)。
【0054】 Σdi[1]/m=wrs[1]+f+hfn[1] ・・・(5) また、上式(3)の両辺を回転平均化すれば、回転追従
誤差成分であるwas[2]は、消去される(式(6)
参照)。 Σdi[2]/m=wrs[2]+f+h0 ・・・(6) さらに、上式(4),(5)からは、それぞれ式
(7),(8)が得られる。
【0055】 Was0=D0−ΣDi/m ・・・(7) was0[1]+hfy0[1]=d0[1]−Σdi[1]/m・・・(8) これらの式変形が示しているのは、ステップS1におい
て取得された面精度誤差データDiに回転差分の処理を
施せば、回転追従誤差成分Was0のみを抽出でき、ま
た、ステップS2において取得された面精度誤差データ
i[1]に回転差分(回転平均化と等価)の処理を施
せば、回転追従誤差成分(was0[1]+hfy0
[1])のみを抽出できるということである。
【0056】図2に戻り、続くステップS4〜S6にお
いては、先行するステップS1〜S3において得た各デ
ータに対する情報処理を行う。以下、この情報処理を干
渉計測システム1内の情報処理器20が行うものとして
説明する。ステップS4における情報処理器20は、ス
テップS1において取得した面精度誤差データDiを、
上式(7)の右辺に代入することによって、被検面3a
の固有面精度Wの非回転対称誤差成分Was0(第1の
絶対校正データ)を求める。
【0057】ところで、上式(5)、式(6)の差分減
算を行えば、fを消去することができる(式(9)参
照)。 wrs[2]−wrs[1]+hfy0[1] =Σdi[2]/m−Σdi[1]/m ・・・(9) この式(9)が示しているのは、ステップS2、S3の
それぞれにおいて取得された面精度誤差データd
i[1]、di[2]を用いれば、フィゾー面2a’の面
精度誤差fを除去できるということである。
【0058】一方、図3(a)(b)(c)にも明かな
ように、ステップS1、及びS2における計測対象領域
である部分領域eは、ステップS1における計測対象領
域である有効領域Eに包含されているので、集合関係w
as0[1]⊂Was0が成立する。また、上記定義し
た被検面3aの固有面精度誤差成分Wは、重力に依存し
ないものである。
【0059】これらの事実(及び式(7))によれば、
次式(10)が成立する。 was0[1]=P[Was0] =P[D0−ΣDi/m] ・・・(10) 但し、式(10)中の演算子Pは、有効領域Eについて
のデータから部分領域eについてのデータのみを切り出
す演算を行うものである。この演算は、前記横ずらしに
よる有効領域Eと部分領域eとの関係(図3(a)に示
す系と図3(b)(c)に示す系との間における外形中
心軸6の傾き角度、及び図3(a)に示す系のフィゾー
面2aと図3(b)(c)に示す系のフィゾー面2a’
との開口数の相違に応じて決まる関係)によるものであ
って、予め決められた演算である。
【0060】また、上式(8)を変形すれば、次式(1
1)が得られる。 hfy0[1]=d0[1]−Σdi/m−was0[1] ・・・(11) この式(11)と、上式(9)とによれば、差分データ
Δ(≡wrs[2]−wrs[1])を求める次式(1
2)が得られる。
【0061】 Δ≡wrs[2]−wrs[1] =Σdi[2]/m−Σdi[1]/m−d0[1] +Σdi[1]/m+P[Was0] ・・・(12) この式(12)が示しているのは、ステップS4におい
て得た第1の絶対校正データWas0と、ステップS2
において得た面精度誤差データdi[1]と、ステップ
S3において得た面精度誤差データdi[2]とに基づ
けば、部分領域eについての差分データΔ(≡wrs
[2]−wrs[1])が得られるということである。
【0062】そこで、図2ステップS5における情報処
理器20は、ステップS4において得た第1の絶対校正
データWas0と、ステップS2において得た面精度誤
差データdi[1]と、ステップS3において得た面精
度誤差データdi[2]とを、この式(12)の右辺に
代入することによって、差分データΔを求める。図4
(a)は、このようにして得られた差分データΔを構成
する各成分wrs[1]、wrs[2]を示す図であ
る。
【0063】これらの成分wrs[1]、wrs[2]
は、何れも回転対称誤差成分であるので、それらの成分
が示す凹凸分布の等高線は、何れも同心円パターンとな
るはずである。そして、これらの成分wrs[1]、w
rs[2]は、互いに異なる軸(前者は符号4で示す第
1の軸[1]、後者は符号6で示す第2の軸[2])に
関する回転対称誤差成分であるので、2つの同心円パタ
ーンの中心は互いに異なる所定の位置となる。
【0064】そこで、情報処理器20は、前記求めた差
分データΔが示す凹凸分布を参照し、上記した特徴に基
づく「等高線なぞり」(例えば、特開平07−0431
25号公報、特開平11−201714号公報などに開
示されている技術である。)を行うことによって、成分
wrs[1]を抽出する。
【0065】次に、上述した定義と、式(10)とか
ら、部分領域eについての固有面精度誤差成分を求める
ための式(13)が得られる。 w0[1]=was0[1]+wrs[1] =P[Was0]+wrs[1] ・・・(13) そこで、ステップS5における情報処理器20は、この
式(13)の右辺に、ステップS4において取得した絶
対校正データWas0と、等高線なぞりによって抽出し
たwrs[1]とを代入することにより、部分領域eに
ついての固有面精度誤差成分w0[1](第2の絶対校
正データ)を取得する(以上ステップS5)。
【0066】また、固有面精度誤差成分は、軸の取り方
に依存しないので、次式(14)が成立する。 w0[2]=w0[1] ・・・(14) この式(14)と、上記式(3)(式(3)においてi
=0とおいた式)とによれば、次式(15)が成立す
る。
【0067】 f+h0=d0[2]−w0[2] =d0[2]−w0[1] ・・・(15) この式(15)は、図3(b)(c)に示す系に共通す
るシステム誤差(f+h0)を抽出するための式であ
る。一方、式(3)を変形すると、次式(16)が得ら
れる。
【0068】 wi[2]=di[2]−(f+h0) ・・・(16) したがって、上式(15)、(16)によれば、回転角
度i×θにおける部分領域eの固有面精度誤差成分wi
[2]を求めるための式(17)が得られる。 wi[2]=di[2]−(d0[2]−w0[1]) ・・・(17) そこで、ステップS6における情報処理器20は、先
ず、式(17)の右辺に、ステップS5において求めた
第2の絶対校正データw0[1]と、ステップS3にお
いて取得した面精度誤差データdi[2]とを代入する
ことによって、回転角度i×θにおける部分領域eの固
有面精度誤差成分wi[2]を求める。
【0069】最後に、各i(i=0〜m)について求め
た各固有面精度誤差成分wi[2]を、図4(b)に示
すように繋ぎ合わせていく(所謂「波面合成」であ
る。)ことによって、有効領域Eの全域に亘る固有面精
度誤差成分W(第3の絶対校正データ)が、求められる
(以上ステップS6)。なお、波面合成に当たり、互い
に異なる回転角度i×θに対応するデータw1[2],
2[2],w3[2],・・・間では、互いに重複して
いる領域を示す値は同じになるはずであるので、この重
複している領域の値を基準にすれば、正確に繋ぎ合わせ
ることができる。
【0070】以上、ステップS1〜S6からなる本実施
形態によれば、全てのシステム誤差、すなわち、図3
(a)に示す系のフィゾー面2aの面精度誤差F及び重
力歪みHと、図3(b)(c)に示す系のフィゾー面2
a’の面精度誤差f及び重力歪みhとは除去され、被検
面3aの有効領域Eについての固有面精度誤差成分Wの
みが抽出される。
【0071】(その他)なお、本実施形態においては、
ステップS1〜ステップS3は、順序が入れ替わっても
よい。但し、ステップS2,S3については、被検物3
に同じ横ずらし量(傾斜角度)を設ける必要があるの
で、連続して行われることが好ましい。なお、本実施形
態では、ステップS1〜ステップS3において、被検物
3を回転させているが、この回転は、手動で行われて
も、自動で行われてもよい。なお、自動化する場合に
は、例えば干渉計測システム1に被検物3を回転させる
回転機構を備え、かつ情報処理器20に対し、その回転
機構を駆動するための制御の機能を付与すればよい。
【0072】また、本実施形態の情報処理器20は、干
渉計測装置10専用の制御ボードが実装されたコンピュ
ータ(パーソナルコンピュータや、開発設計用のワーク
ステーションEWSなど)により構成される。専用の制
御ボードには、干渉計測を行うための制御手順と、干渉
計測データに対して演算を施す情報処理手順とが予め記
憶されており、それらをコンピュータに実行させること
によって、制御と情報処理とを実現できる。
【0073】なお、情報処理手順については、専用の制
御ボードに予め記憶させておかなくとも、アプリケーシ
ョンソフトウエアとして記憶媒体20a(図1参照)に
記憶させておいてもよい。そのソフトウエアをコンピュ
ータにインストールすることで、コンピュータに情報処
理を実行させることができる。また、制御と情報処理と
を別のコンピュータに行わせてもよい。すなわち、制御
手順が記憶された制御ボードを実装したコンピュータ
(第1のコンピュータ)と、汎用のコンピュータ(第2
のコンピュータ)とを用意し、第2のコンピュータに前
記アプリケーションソフトウエアをインストールし、か
つ第1のコンピュータを干渉計測装置10に接続する。
そして第1のコンピュータにおいて作成された干渉計測
データのデータファイルを、第2のコンピュータに転送
すれば、その第2のコンピュータにおいて上記情報処理
を実行させることができる。
【0074】また、本実施形態のステップS2、ステッ
プS3においては、図3(b)(c)に示す系に代え
て、図5に示すような系を設定してもよい。この系で
は、被検物3は、被検面3aが上側になるように支持さ
れており、かつ干渉計測装置10が出射する測定光は、
その状態の被検面3aに対して上側から入射している。
【0075】このようにすれば、支持部材5’により測
定光が遮られることがないので、部分領域eを比較的広
くとることができる点で好ましい。なお、本実施形態の
ステップS1においても、図3(a)に示す系に代え
て、このように上側から測定光を入射させるような系を
設定してもよい。
【0076】また、本実施形態の干渉計測装置10につ
いては、図1に示したものに限らず、測定光と被検物と
支持部材とが上記説明した関係となっているのであれ
ば、例えば干渉計本体11の配置方向が図1に示した方
向から90°回転させた方向となっており、かつ測定光
を90°偏向し、最終的な測定光を重力方向とするよう
な光学系が付加されたものなどに代えてもよい。
【0077】ここで、干渉計測システムによりレンズや
ミラー等の光学素子を計測する場合は、レフ原器により
干渉計測システムを校正する。その際に、レフ原器が、
レフ原器を支持する支持部材が重力により歪むことを考
慮して校正が行われる(この校正は、従来から頻繁に使
用されている仁丹貼りという支持方法により被検物が支
持されている場合を前提になされている。)。
【0078】また、被検物の計測は、研磨加工時に被検
物が支持された支持部材から取り外すことなく、その状
態を維持して行われ、測定結果により、再度研磨が行わ
れる。仁丹貼りという支持方法により研磨された被検物
を測定する場合は、被検物は、無重力状態に置かれてい
ると仮想することができるが、近年使用されている、例
えば12点支持による支持部材により支持された被検物
を測定する場合は、被検物は、重力により歪んでいる。
【0079】このように被検物の支持状態の相違により
生じる重力歪み分の誤差を除去し、前述した校正後の干
渉計測システムによる測定を可能にするために、支持部
材の相違による影響を受けない無重力状態である被検面
の固有面精度誤差成分を算出しておく必要性が生じた
が、本実施形態の絶対校正方法によれば、それが可能で
あり、前述した干渉計測システムにより精度よく被検面
を測定することができる。
【0080】[第2実施形態(請求項2に対応)]次
に、図6を参照して本発明の第2実施形態について説明
する。図6は、本実施形態の絶対校正方法を説明する図
である。
【0081】本実施形態は、例えば同一の工程により製
造された大量の光学素子の表面など、互いに同じ設計形
状であり、かつ同一の硝材からなる複数の被検物2
1,・・・,21nのそれぞれが有する被検面21
1,・・・,21anそれぞれの固有面精度誤差成分W
1,・・・,Wnを、短時間に絶対校正するための絶対
校正方法である。
【0082】本実施形態では、先ず、図6(a)に示す
ように、複数の被検物211,・・・,21nと同じ設計
形状でありかつ同じ硝材で形成されたレフ原器22を準
備する。同じ硝材とするのは、レフ原器22の重量と材
料変形の特性を被検物21 iと同じにして、レフ原器面
22aの重力歪みを、被検面21aiと同じにするため
である。次に、図6(b)に示すように、第1実施形態
の絶対校正方法を用いて、前記レフ原器22が有するレ
フ原器面22aについての第3の絶対校正データ(固有
面精度誤差成分R)を取得する。
【0083】そして、各被検面21aiについての第3
の絶対校正データ(固有面精度誤差成分Wi)を求める
に当たっては、第1実施形態の絶対校正方法ではなく、
比較減算測定を適用する。比較減算測定では、図6
(c)に示すように、前記レフ原器面22aと前記被検
面21aiとの形状を、同一のフィゾー面24a(以
下、その面精度誤差をFとおく。)を使用した干渉計測
によりそれぞれ計測する。本実施形態では、この際、レ
フ原器面22aの計測と被検面21aiの計測とに対
し、同一の支持部材23を使用すると共に、レフ原器面
22aの姿勢と被検面21aiの姿勢とを同じにする。
これは、レフ原器面22aに生じる重力歪みと、測定時
に被検面21aに生じるの重力歪みとを、同じに保つた
めである(以下、この重力歪みをHとおく。)。
【0084】ここで、この比較減算測定において前記レ
フ原器面22a、前記被検面21a iのそれぞれについ
て得られた面精度誤差データをそれぞれDr,Dwiと
おくと、次式(18)(19)が成立する。
【0085】 Dr=F+R+H ・・・(18) Dwi=F+Wi+H ・・・(19) したがって、被検面21aiの固有面精度誤差成分Wi
は、次式(20)により表されることが分かる。 Wi=R−(Dr−Dwi) ・・・・(20) そこで、本実施形態では、この式(20)の右辺に、前
記取得した面精度誤差データDr、Dwiと、先行して
取得されたレフ原器面22aの固有面精度誤差成分Rと
を代入することによって、被検面21aiの固有面精度
誤差成分Wiを求める。これによって、被検面21ai
の固有面精度誤差成分の絶対校正が完了する。
【0086】すなわち、予め、被検物21iと同じ設計
形状でありかつ同じ硝子材で形成されたレフ原器面22
aを用意し(図6(a))、かつそのレフ原器面22a
に対して第1実施形態の絶対校正方法を適用して固有面
精度誤差成分Rを求めておきさえすれば(図6
(b))、各被検面21aiに対しては、レフ原器面2
2aと同一の支持部材及び同一の姿勢を採用した比較減
算測定を行う(図6(c))(式(20))だけで、短
時間で各被検面21aiの固有面精度誤差成分Wiを絶
対校正することができる。
【0087】なお、本実施形態では、各比較減算測定に
おいては、如何なる重力歪みが生じていようともそれは
確実に消去されるので、被検物21iを支持する支持部
材とレフ原器22を支持する支持部材とが同じであり、
かつ被検物21iとレフ原器22とが同じ姿勢となって
いるのであれば、如何なる支持部材、如何なる姿勢を採
用しても同様の絶対校正が可能である。つまり本実施形
態は、比較減算測定における測定条件の自由度が高いと
いう利点もある。
【0088】[第3実施形態(請求項3に対応)]次
に、図7を参照して本発明の第3実施形態について説明
する。図7は、本実施形態の絶対校正方法を説明する図
である。
【0089】本実施形態は、任意の支持部材33が、被
検物31の被検面31aに対して与える重力歪みHを絶
対校正するための絶対校正方法である。先ず、図7に示
すように、所定の計測方法を用いて、重力歪みが生じた
状態における前記被検面31aの面精度誤差データW’
(形状データ)を取得する。ここで、所定の計測方法と
は、例えば、特願2000−91658に開示されてい
るような3面合わせによる干渉計測方法における絶対校
正方法であり、この方法で取得される絶対校正データに
おいては、フィゾー面の面精度誤差と、3面合わせに使
用される反射ミラーの反射特性などのシステム誤差は除
去されているが、重力歪みによる誤差成分は残留したま
まである。
【0090】因みにこの絶対校正方法は、次の(1)〜
(4)の手順からなる。(1)フィゾー面と被検面31
aとの相対関係を複数回変えて得た干渉計測データと、
フィゾー面と被検面31aの対応関係を保ちつつ反射ミ
ラーを用いて得た干渉計測データとから、反射ミラーの
反射特性の絶対校正データ(≡第4の絶対校正データ)
を得る。(2)フィゾー面を被検面31aとの間で反射
ミラーの反射特性が適用可能に配して干渉光学系の絶対
校正データ(≡第5の絶対校正データ)を得る。(3)
フィゾー面と被検面31aとを反射特性の適用が可能に
配して干渉計測データを得る。(4)その干渉計測デー
タと、第4の絶対校正データと、第5の絶対校正データ
とから、被検面31aの面精度誤差データW’(形状デ
ータ)を得る。
【0091】さて、この面精度誤差データW’には、被
検面31aの固有面精度誤差成分Wに、重力歪みによる
誤差成分Hが重畳されているので、次式(21)が成り
立つ。 W’=H+W ・・・(21) そこで、本実施形態では、続いて、前記したものと同じ
重力歪みが生じている状態の被検物31に対し、第1実
施形態の絶対校正方法を適用して、前記被検面31aに
ついての第3の絶対校正データ(固有面精度誤差成分
W)を取得する。
【0092】そして、先に取得した面精度誤差データ
W’から、その固有面精度誤差成分Wを減算することに
より、支持部材33が被検面31aに与える重力歪みH
を求める(次式(22)参照)。 H=W’−W ・・・(22) これによって、支持部材33が被検面31aに与える重
力歪みHの絶対校正が完了する。
【0093】
【発明の効果】以上説明したとおり、請求項1、請求項
4、請求項5に記載の発明によれば、被検面の固有面精
度誤差成分を絶対校正することができる。また、請求項
2に記載の発明によれば、被検面の固有面精度誤差成分
を、短時間で絶対校正することができる。また、この発
明には、測定条件の自由度が高いという利点もある。
【0094】また、請求項3に記載の発明によれば、任
意の支持部材が被検面に与える重力歪みによる誤差成分
を、絶対校正することができる。また、請求項6、請求
項7、請求項8に記載の発明によれば、被検面に固有の
形状を高精度に算出することができる。また、請求項
9、請求項10に記載の発明によれば、高精度に測定さ
れた形状の光学部材が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の絶対校正方法に用いられる干渉
計測システム1の構成図である。
【図2】第1実施形態の絶対校正方法の動作フローチャ
ートである。
【図3】第1実施形態の絶対校正方法を説明する図であ
る。
【図4】差分データΔを構成する各成分wrs[1]、
wrs[2]を示す図である。
【図5】第1実施形態の絶対校正方法に適用される別の
系を説明する図である。
【図6】第2実施形態の絶対校正方法を説明する図であ
る。
【図7】第3実施形態の絶対校正方法を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 干渉計測システム 10 干渉計測装置 11 干渉計本体 11a 光源 11b ビームエキスパンダ 11c ビームスプリッタ 11d 結像レンズ 11e 検出器 12 フィゾーレンズ 2a,2a’,24a フィゾー面 3,21 被検物 3a,21a 被検面 4 測定光軸 5,5’,23 支持部材 6 外形中心軸 20 情報処理器 30 ディスプレイ 20a 記憶媒体 E 有効領域 e 部分領域 22 レフ原器 22a レフ原器面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F064 AA09 CC04 EE05 GG22 GG38 GG70 HH03 HH08 JJ01 KK01 2F065 AA48 BB05 CC22 DD03 FF51 JJ03 JJ26 LL09 LL10 LL19 LL36 LL46 LL57 MM04 QQ17 QQ21 QQ29 QQ32 5B057 AA01 BA02 DA20 DB02 DB09 DC32

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源から出射された測定用光束を、波面
    変換素子を用いて被検物の被検面の設計形状と同じ幾何
    学形状を有する測定波面に変換し、その測定波面が垂直
    入射するようにアライメントされた前記被検面に照射す
    ると共に、前記測定用光束を所定の面形状を有する参照
    面に照射し、前記被検面において反射した被検波面と前
    記参照面において反射された参照波面とが干渉して生じ
    させる干渉縞を光電変換素子を用いて光電検出し、干渉
    面(≡干渉縞を成す各波面を決定する面)の干渉計測デ
    ータを取得する干渉計測システムを用いて、前記被検面
    の固有面精度誤差を絶対校正する絶対校正方法であっ
    て、 前記被検面の外形中心軸が重力方向に一致するような姿
    勢で前記被検物を支持部材により支持すると共に、前記
    測定波面が前記被検面の有効領域(≡品証すべき領域)
    と一致するように前記干渉計測システムの各部を設定
    し、 重力方向に対する前記被検物の前記姿勢を保ちつつ、前
    記支持部材に対して前記被検物を重力方向を回転軸とし
    て回転させることにより、異なる回転位置のそれぞれに
    おける干渉面(=前記有効領域及び前記参照面)の干渉
    計測データ(≡第1の干渉計測データ)を、前記干渉計
    測システムから取得し、 前記取得した前記第1干渉計測データから、前記有効領
    域についての第1の絶対校正データを抽出し、 前記被検面の外形中心軸が重力方向に対して一定の傾斜
    角度を有するような姿勢で前記被検物を前記支持部材と
    同じ又は異なる支持部材により支持すると共に、前記測
    定波面が前記有効領域の少なくとも一部に相当する部分
    領域と一致するように前記干渉計測システムの各部を設
    定し、 重力方向に対する前記被検物の前記姿勢を保ちつつ、前
    記支持部材に対して前記被検物を重力方向を回転軸とし
    て回転させることにより、異なる回転位置のそれぞれに
    おける干渉面(=前記部分領域及び前記参照面)の干渉
    計測データ(≡第2の干渉計測データ)を、前記干渉計
    測システムから取得し、 前記傾斜角度を保ちつつ、前記支持部材に対して前記被
    検物を前記外形中心軸を回転軸として回転させることに
    より、異なる回転位置のそれぞれにおける干渉面(=前
    記部分領域及び前記参照面)の干渉計測データ(≡第3
    の干渉計測データ)を、前記干渉計測システムから取得
    し、 前記第1の絶対校正データと、前記第2の干渉計測デー
    タと、前記第3の干渉計測データとから、前記部分領域
    についての絶対校正データ(≡第2の絶対校正データ)
    を抽出し、 前記第2の絶対校正データと、前記第3の干渉計測デー
    タとから、前記有効領域についての絶対校正データ(≡
    第3の絶対校正データ)を取得することを特徴とする絶
    対校正方法。
  2. 【請求項2】 被検物が有する被検面の面精度誤差を絶
    対校正するに当たり、 前記被検物と同じ形状でありかつ同じ材料で形成された
    レフ原器を準備し、 請求項1記載の絶対校正方法を用いて前記レフ原器が有
    するレフ原器面についての前記第3の絶対校正データを
    取得し、 前記レフ原器面と前記被検面との比較減算測定を、前記
    レフ原器と前記被検物とを任意の同一の支持部材により
    支持して行うことにより、それら両面の比較減算データ
    を取得し、 前記レフ原器面についての前記第3の絶対校正データに
    応じて、前記比較減算データを補正することにより、前
    記被検面についての第3の絶対校正データを取得するこ
    とを特徴とする絶対校正方法。
  3. 【請求項3】 任意の支持部材により支持された被検物
    が有する被検面の重力歪みを絶対校正するに当たり、 所定の計測方法を用いて、前記重力歪みが生じた状態に
    おける前記被検面の形状データを取得し、 請求項1記載の絶対校正方法を用いて、前記被検面につ
    いての前記第3の絶対校正データを取得し、 前記形状データと前記第3の絶対校正データとから、前
    記支持部材が前記被検物に与える前記重力歪みの絶対校
    正データを取得することを特徴とする絶対校正方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の絶対校正方法に適用さ
    れる情報処理装置であって、 前記絶対校正方法において取得された前記第1干渉計測
    データから、前記有効領域についての第1の絶対校正デ
    ータを抽出する第1のデータ抽出手段と、 前記抽出された第1の絶対校正データと、前記絶対校正
    方法において取得された前記第2の干渉計測データ及び
    前記第3の干渉計測データとから、前記部分領域につい
    ての絶対校正データ(≡第2の絶対校正データ)を抽出
    する第2のデータ抽出手段と、 記第2の絶対校正データと、前記第3の干渉計測データ
    とから、前記有効領域についての絶対校正データ(≡第
    3の絶対校正データ)を取得するデータ取得手段とを備
    えたことを特徴とする情報処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の絶対校正方法において
    取得された前記第1干渉計測データから、前記有効領域
    についての第1の絶対校正データを抽出する第1のデー
    タ抽出手順と、 前記抽出された第1の絶対校正データと、前記絶対校正
    方法において取得された前記第2の干渉計測データ及び
    前記第3の干渉計測データとから、前記部分領域につい
    ての絶対校正データ(≡第2の絶対校正データ)を抽出
    する第2のデータ抽出手順と、 記第2の絶対校正データと、前記第3の干渉計測データ
    とから、前記有効領域についての絶対校正データ(≡第
    3の絶対校正データ)を取得するデータ取得手順とをコ
    ンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したこ
    とを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  6. 【請求項6】 検出器により、被検面からの反射光であ
    る測定用光束と、フィゾー面からの反射光である参照用
    光束とを互いに干渉させ、該干渉による位相差を検出す
    ることにより、前記被検面の面形状を測定する形状測定
    方法において、 前記干渉による位相差検出値より導き出された面精度誤
    差値から、前記フィゾー面の面精度誤差成分と前記被検
    面の重力歪みにより生じる誤差成分とを除去することに
    より前記被検面の固有面精度誤差成分を抽出し、前記被
    検面の面形状を算出することを特徴とする形状測定方
    法。
  7. 【請求項7】 前記面精度誤差値が、前記被検面の外形
    中心軸が重力方向となるように配置し、重力方向の周り
    に被検物を回転させて取得した面精度誤差値(第1の干
    渉計測値)と、前記被検面の外形中心軸が重力方向に対
    して傾斜するように被検物を配置し、前記重力方向の周
    りに被検物を回転させて取得した前記被検面の部分領域
    (傾斜時の被検物の干渉面)の面精度誤差値(第2の干
    渉計測値)と、 前記被検面の外形中心軸が前記重力方向に対して傾斜す
    るように被検物を配置し、前記外形中心軸の周りに被検
    物を回転させて取得した前記被検面の部分領域の面精度
    誤差値(第3の干渉計測値)であることを特徴とする請
    求項6記載の形状測定方法。
  8. 【請求項8】 前記フィゾー面の面精度誤差成分と前記
    被検面の重力歪みにより生じる誤差成分とを除去するこ
    とにより前記被検面の固有面精度誤差成分を抽出する演
    算は、 前記第1の干渉計測値から前記被検面の非回転対称誤差
    成分を算出し、 前記非回転対称誤差成分と、前記第2の干渉計測値と、
    前記第3の干渉計測値とから前記部分領域の回転対称誤
    差成分を抽出するとともに、該回転対称誤差成分及び前
    記非回転対称誤差成分を用いて、前記部分領域の固有面
    精度誤差成分を算出し、 該部分領域の固有面精度誤差成分と、前記第3の干渉計
    測値とを用いて所定の波面合成する演算により実質的に
    なされることを特徴とする請求項7記載の形状測定方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項3の何れか1項記載の
    絶対校正方法を用いて形状測定がされた光学部材。
  10. 【請求項10】 請求項6〜請求項8の何れか1項記載
    の形状測定方法を用いて形状測定がされた光学部材。
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