JP2002130477A - 油掻きピストンリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンリングの弾性の最適化および製造コ
ストの低下、油掻きピストンリングの簡単な組み立て性
の維持、さらに最小半径壁厚の領域での応力の低減を達
成する。その他に特に、高い形状合致特性を有し、ばね
応力がかかった油掻きピストンリングを形成する。 【解決手段】 油掻きピストンリング１には、互いに概
ね平行で間隔がｂの境界縁７、８からなる切れ目状の領
域５と、この領域５に繋がる概ね楕円形状で境界部９、
１０の距離がａの領域６とからなる、概ねきのこ形状の
切り欠き４が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダ壁に接触
している少なくとも１つのへりと、外周上に分散して配
置され、リングの内面から半径方向外周面の方向に延び
る、半径方向の壁厚が薄い切り欠きを有する、内燃機関
用の油掻きピストンリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ特許出願公開明細書１９８０８４
８３号は、軸方向にリング断面全体を通って延び、か
つ、オイル流出穴を形成している、外周面上に分散して
配置されている切れ目を有し、それとともに弾性が高め
られた、内燃機関用の油掻きピストンリングに関する。

【０００３】米国特許明細書３３７８２６８号によっ
て、シリンダ壁に接触している２つのへりを含み、外周
面に分散して配置され、内面から外周面の方向に延び
る、半径方向の壁厚が薄い切り欠きを有するいくつかの
部分からなる油掻きピストンリングが公知となってい
る。ここでは、切り欠きは、断面が三角形状をしてお
り、したがって、どちらかといえば、切り欠きに関して
ドイツ特許出願公開明細書１９８０８４８３号と類似し
ているといえる。断面から先細になったこの切れ目はオ
イルの流れを加速する役目をしており、この場合、リン
グの弾性が向上することは示唆されていない。

【０００４】ドイツ特許出願公開明細書１９８０８４８
３号と同等の構造が、ドイツ特許出願公開明細書１１０
１０７０号によって公知となっている。リングの内周面
から始まって、切れ目が外周面の方に延びており、これ
によってリングの抵抗モーメントを減らすことができ
る。

【０００５】金属板から形成された油掻きピストンリン
グを巻き付ける際に花輪が形成されるおそれがあるとい
うことが、従来技術で論じられた切り欠きの欠点であ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】油掻きピストンリング
の形状合致特性に決定的に大きく影響するのは、接線力
と並んで半径方向の表面慣性モーメントである。これは
半径方向の壁厚ａの３乗に比例する。リング厚を、例え
ば、切れ目を多く設けることによって非常に薄くする
と、もはやリングをエンジンに簡単に組み込むことはで
きない。

【０００７】本発明の目的は、冒頭に述べた種類のピス
トンリングの弾性の最適化および製造コストの低減に際
して、油掻きピストンリングの簡単な組み立て性を維持
し、その場合、半径方向の最小の壁厚の領域での応力の
低減を達成することにある。さらにまた、高い形状合致
特性を有する、特にばね応力がかかった油掻きピストン
リングを形成することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的は、互いに移行
する切り欠きが、異なる輪郭を有する領域によって形成
されており、リング内面に設けられた領域が、領域に繋
がる領域よりも小さい切れ目面により達成される。

【０００９】本発明の有利な他の構成は、従属請求項か
ら得られる。

【００１０】リング背部側上への本発明による切り欠き
の、適切な幾何学的配置、または形成によって、同時に
高い形状合致特性による油掻きピストンリングの弾性お
よび良好な側面密閉性を実質的に向上させることができ
る。巻き付けの際に切り欠きによって与えられた花輪構
造は最小限になり、半径方向の最小壁厚の領域での応力
が低減される。

【００１１】有利な実施態様は、領域の長手方向の軸が
互いに概ね９０度をなし、長手方向の軸の交点が大きい
方の領域の切れ目面の概ね半分の高さ上にある概ねきの
こ形状に形成されている領域を作ることにある。個々の
領域の概ね平行に延びる境界縁の縁間距離は、リング内
面の概ね切り欠き状に形成されている領域が、この領域
に繋がっている領域の間隔よりも実質的に小さい距離を
有するように定められている。

【００１２】切れ目より寸法が小さい領域の縁部間距離
は、それが油掻きピストンリングの合い口を定める縁部
間距離よりも小さくなるように特に定められている。

【００１３】この方策によって、リングの分類の際、切
り欠きの小さな距離領域が分類軸上に保持されるおそれ
なしに、油掻きリングを次の製造工程のために合い口に
よって分類が可能となる。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。

【００１５】図１には、金属板の打ち抜きによる部材で
構成された油掻きピストンリング１の一部が示されて
る。外周面２は、不図示のシリンダー壁に接触している
へりの一部である。本例では、打ち抜きによって形成さ
れるべき切り欠き４が、内周面３から始まって周方向に
設けられている。切り欠き４は、領域５、６によって形
成されており、リング内側領域５が切れ目を形成し、そ
こに移行する領域６が所定の半径を有する楕円として形
成されている。領域５の別の切れ目形状も同様に考えら
れる。領域５の互いに向き合っている縁７、８の距離は
ｂである。領域６の、縁７、８に概ね平行に延びる境界
線９と境界線１０の距離は、本発明ではｂ＜ａである距
離ａである。かくして、切り欠き４の領域５、６は、領
域５、６の長手方向の軸１１、１２が概ね互いに直交
し、かつ領域５、６を領域６の概ね半分の高さで切る、
概ねきのこ形状の輪郭を形成している。本発明のこの構
造によれば、油掻きピストンリング１の弾性は簡単な形
状と組み立てにより向上する。同時に、高い形状合致特
性が良好な側面密閉性により得られる。巻き付けにより
生じる多角形状も同様に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の、打ち抜き形状部の金属板により構成
された油掻きピストンリングの一部を示す図である。

【符号の説明】

１ 油掻きピストンリング ２ へり ３ 内面 ４ 切り欠き ５、６ 領域 ７、８ 縁 ９、１０ 境界線 １１、１２ 軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マリオ ソリア ドイツ連邦共和国 50937 ケルン ヴェ イエルタール 20 Ｆターム(参考） 3J044 AA18 CB09 CB38 DA09 DA17

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ壁に接触している少なくとも１
   つのへり（２）と、外周面上に分散して配置され、リン
   グ内面（３）から半径方向外周面の方向に延びる、半径
   方向の壁厚が薄い切り欠き（４）を有する、内燃機関用
   のオイル掻きピストンリングにおいて、 前記切り欠き（４）が、互いに移行する異なる輪郭を有
   する領域（５、６）によって形成されており、前記リン
   グ内面（３）に設けられた前記領域（５）が、前記領域
   （５）に繋がる前記領域（６）よりも小さい切れ目面を
   有することを特徴とするオイル掻きピストンリング。
2. 【請求項２】 前記切り欠き（４）の前記輪郭が概ねき
   のこ状に形成され、前記領域（５、６）の縁間距離が式
   ｂ＜ａを満たす、請求項１に記載のオイル掻きピストン
   リング。
3. 【請求項３】 前記リング内面（３）の前記領域（５）
   が互いに概ね平行に延びた境界縁（７、８）によって形
   成されている、請求項１または２に記載の油掻きピスト
   ンリング。
4. 【請求項４】 前記リング内面（３）の前記領域（５）
   に半径方向に繋がる前記領域（６）が実質的に丸い切れ
   目面を含む、請求項１から３のいずれか１項に記載の油
   掻きピストンリング。
5. 【請求項５】 前記リング内面（３）の前記領域（５）
   に半径方向に繋がる前記領域（６）が概ね楕円形状の切
   れ目面を含む、請求項１から４のいずれか１項に記載の
   油掻きピストンリング。
6. 【請求項６】 前記領域（５、６）の長手方向の軸（１
   １、１２）が互いに概ね９０度をなし、前記長手方向の
   軸（１１、１２）の交点が大きい方の前記領域（６）の
   切れ目面の概ね半分の高さ上にある、請求項１から５の
   いずれか１項に記載の油掻きピストンリング。
7. 【請求項７】 前記縁部距離（ｂ）が前記油掻きピスト
   ンリングの合い口領域の大きさより小さい、請求項１か
   ら６のいずれか１項に記載の油掻きピストンリング。