JP2002129208A - 微細結晶材料の製造方法 - Google Patents

微細結晶材料の製造方法

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JP2002129208A
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microcrystalline
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Koji Ishikawa
孝司 石川
Nobuki Yugawa
伸樹 湯川
Yoshinori Yoshida
佳典 吉田
Kenji Murakami
健二 村上
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Nagoya Industrial Science Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで、しかも高生産性を維持しつつ
高性能を発揮することのできる優れた微細結晶材料の製
造方法を提供する。 【解決手段】主原料として箔状片のAl、Mg、Ti、
Cu、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料とし
て粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一種ま
たは二種以上を混合して、機械的合金化法によって微細
粉体化するとともに合金化処理し、次いで圧粉、焼結、
固化する微細結晶材料の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明方法は、微細結晶材料の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超塑性材料等として用いられる微細結晶
材料は、一般に原材料として粉体のAl、Mg等の金属
と、合金元素としてCu、Mg、Zn等の粉体を混合し
てメカニカルアロイング法によって、微細粉にするとと
もに合金化処理を施し、次いで圧粉処理、焼結処理、押
し出し固化して製造することが広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、原材料
および合金元素ともに粉体をメカニカルアロイング法に
よって処理すると、ミリング処理時間は十数時間〜数百
時間にも及び生産性の低下並びに製造コストが大幅に高
くなる。また、結晶の細粒化もそれ程進行せず安定した
超塑性(応力−ひずみ速度、引張強度、全伸び等)の機
能が得られにくい等の課題がある。
【0004】本発明方法は、このような課題を有利に解
決し、優れた特性を有する微細結晶材料の製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明方法の特徴とする
ところは、主原料として箔状片のAl、Mg、Ti、C
u、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料として
粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一種また
は二種以上を混合し、機械的合金化法によって微細粉体
化するとともに合金化処理し、次いで圧粉処理、焼結処
理、固化することを特徴とする微細結晶材料の製造方
法。
【0006】および主原料として箔状片のAl、Ti、
Cuの一種と副原料として粉体のAl、Ti、Cuの中
主原料と同系金属を混合し機械的処理法によって、粉体
化することを特徴とする微細結晶材料の製造方法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明方法において用いる主原料
(第1の金属材料)である箔状片としては、Al、M
g、Ti、Cu、Ni、Fe等の元素またはこれらを含
む母合金があり、厚さとしては、0.005〜1.0m
mが適当である。0.005mm未満にしなくとも短時
間で微細粉化することができ、また1.0mm超になる
と微細粉化するためには、長時間のメカニカルアロイン
グを必要とし生産性の観点から不利である。最適範囲と
しては0.01〜0.2mmである。
【0008】次に大きさとしては、平均サイズで1〜1
0mm×1〜10mmの箔状片を用いることが好まし
い。
【0009】箔の製造方法は特に限定されないが、圧
延、鍛造等が挙げられる。
【0010】このような主原料である箔状片と混合する
副原料(第2の金属材料)としては、Cu、Si、A
l、Zn、Ti、Li等があり、粉体の粒径は特に限定
されないが1μm〜10mmとすることが好ましい。
【0011】主原料(箔)と副原料(粉体)との組み合
わせ(主原料/副原料)として以下を例示できる。
【0012】Al/Si, Al/Cu-Mg, Al/Cu-Zn, Al/Cu-Mg-Z
n, Mg/Al-Zn, Ti/V-Al, Cu/Zn, Ni/Cu, Fe/Cu, Al-Mg/Z
n, Al-Si/Mg, Mg-Al/Li, Cu-Zn/Al, Al/Al, Ti/Ti, Cu/
Cu。
【0013】主原料と副原料との混合比率は求める合金
の特性に応じて任意に選択できるが、例えば主原料に対
して副原料を0.5〜20重量%とすることが好まし
い。
【0014】このような主原料と副原料のそれぞれ一種
または二種以上を混合して機械的合金化法(メカニカル
アロイング法)を実行すると従来技術(主副原料がとも
に粉体の場合)に比べて短時間の処理により、微細粒化
することができる。このようにして得られた微細粉体を
圧粉処理、焼結処理、熱間押し出し等により固化するこ
とによって多結晶の微細結晶材料を確実に安定して製造
することが出来る。このようにして得られた微細結晶材
料は超塑性を有する。
【0015】この明細書において、超塑性とは低応力で
100%以上の一様伸びを示す材料特性をいう。
【0016】従来の粉末だけの出発原料の場合に比べ、
上記のごとく箔状片の主原料と粉末の副原料を混合処理
する本特許の特徴は完全には解明してないが、ほぼ下記
の機構によると思われる。
【0017】即ち、箔状片の主原料と粉末の副原料をボ
ールミルなどで混合する際、これらの原料は形状の差に
より、ボールミル中のボールまたは容器の内壁との衝突
の際に受ける速度、方向などの運動状態が異なると考え
られる。さらに、慣性力の大きい箔状物と慣性力の小さ
い粉末ではこれらの原料同士の衝突によるその後の運動
状態も異なるであろう。
【0018】これらの運動状態の差は原料の衝突の回数
とエネルギーの増加をもたらす事が容易に推察できる。
【0019】機械的合金化は原料同士の衝突で界面での
擦り合いにより、表面部での活性化、格子欠陥の導入、
元素の拡散を生じさせて合金化を行う方法である。この
ため、本方法による上記運動状態の相違が粉末のみを用
いる従来方法に比べて処理時間が短縮されたと考えられ
る。
【0020】上記のごとき主原料である箔状片のAl、
Mg、Ti、Cu、Ni、Feと、副原料として同系金
属の粉体Al、Ti、Cuとを混合してミリングしても
合金化の生じない微細結晶材料を製造することができ
る。この微細結晶材料も超塑性を有することができる。
【0021】本発明は上記のようにボールミル等を使用
して得た混合微粉体(微細結晶材料の原料)自体もその
対象とする。
【0022】次に一例をもって本発明方法を詳細に説明
する。
【0023】主原料としてAl箔状片:440g(厚み
15μm、平均面積5mm×7mm)と、副原料として
Al箔状片に対してCu:4.4重量%、粒径8μm−
Mg:2.0重量%、粒径1mmを機械的合金化法とし
て振動ボールミルへ投入して、ミリング時間:20、4
0、60、80で機械的合金化処理するとともに粉体加
工を施した。
【0024】その結果、図1に示すごとく機械的合金化
処理の過程における20時間後のAl箔状片の厚みは、
約60μmとなった。80時間後では、機械的合金化処
理による練りが繰り返され、層状の薄片構造に変化して
いた。その後時間が経過するにつれて粉砕と冷間接合と
を繰り返しつつ、より球状に近づき粒径も徐々に小さく
なって微細化する。
【0025】このようにしてAl箔状片を微細化すると
ともに結晶粒径も微細化させ、かつ合金化処理を施した
粉体をAl管に充填して室温で770MPaの圧力で圧
粉処理を行った後、温度773Kで1時間の焼結処理し
た。
【0026】次いで、573Kで16:1の熱間押し出
し成形によって、図2に示すような全長:20mm、平
行部直径:2.5mm、平行部長さ:10mmの試験片
を作製した。
【0027】上記試験片を引張機によってクロスヘッド
スピードを一定にして、初期ひずみ速度0.0083〜
1.67s-1の範囲で実施した。試験温度は723、7
48、773、798Kとし、応力−ひずみ曲線、全伸
びを測定した。また、溶体化処理後、室温で強度を測定
した。
【0028】その結果、ひずみ速度と全伸びの関係に対
するミリング(機械的合金化)時間の影響は、図3に示
すごとく全てのひずみ速度においてミリング時間が最も
少ない20時間の条件において大きな伸びが得られてお
り、高いひずみ速度域(ひずみ速度1.67s-1)にお
いては、その傾向が顕著である。
【0029】次に最大伸びの得られたひずみ速度である
1.67s-1での試験温度と全伸びの関係に対するミリ
ング時間の影響は、図4に示すごとく全温度にわたって
ミリング時間20時間の条件下で大きな伸びが得られて
いる。特に試験温度748K、ミリング時間20時間、
初期ひずみ1.67s-1で231%の最大伸びが得られ
ている。
【0030】他方、図5に示すように、粉体状の主副原
料を用いた従来技術の場合(図中Powderと記載してあ
る)にはミリング時間を80時間としたとき微細結晶材
料に最も大きな全伸びが得られ、これより短いミリング
時間では全伸びの値が低下する。従って、本発明によれ
ば従来に比べて短いミリング時間で超塑性を示す材料を
製造できることが確認できた。このことは、ミリング時
にAl箔状片が圧延加工に近い強加工によって、ある程
度微細な結晶粒を成形しており、そのため僅かなミリン
グ時間でも粒界すべりを起こしやすい大きさの微細結晶
粒が成形されるためであると推定することができる。
【0031】以上より、本発明においてミリング時間は
10〜30時間とすることが好ましい。更に好ましくは
15〜25時間であり、更に更に好ましくは20時間程
度である。
【0032】次にミリング時間20時間の試験片温度7
48Kでのひずみ速度と流動応力の関係は図6に示すご
とく、高ひずみ速度域(0.83〜1.67s-1)で
は、ひずみ速度感受性指数(m値)は0.47と大きい
値を示し、伸びも大きな値を示している(図3)。ま
た、平均値はm=0.25となっており、他のミリング
時間のものより大きい値を示している。図のカーブはS
字曲線を描いておらず、さらに大きいひずみ速度でも高
速超塑性を示すことが明らかである。
【0033】次に各ミリング時間の試験片を室温での引
張強度と全伸びを下表の表1に示す。市販の機械的合金
化法による超塑性材料の主原料である溶製材によるジュ
ラルミンの引張強度は約530MPaであるのに対し、
本発明方法によって得られた試験片は、やや弱い程度の
強度をもっており、室温では変形能が低く塑性変形がし
難い優れた材料であることも明らかである。 (表1) ミリング時間/h 20 40 60 80 全伸び/% 14 8 18 17 引張強度/MPa 501 411 487 455 (注:室温下での試験である。) このように本発明方法に従って機械的合金化処理を施し
た材料においては、優れた超塑性を示すことが明らかで
ある。また主原料の箔状片金属と同様の副原料である粉
体金属を例えば、機械的合金化処理に用いる振動ボール
ミル、回転ボールミル、アトライターミル等に投入して
ミリング処理した粉体を圧粉処理、焼結処理、固化処理
の工程でそれぞれ処理することによって、合金化処理し
ない超塑性材料を製造することができる。
【0034】
【発明の効果】このように本発明方法によれば、短時間
のミリングで微細結晶材料を製造することができ、生産
性を向上するとともに著しくコストを低下することがで
きるので、安価な超塑性材料等を提供することができ
る。また工業的規模での製造が容易にできる。さらに超
塑性材料としての諸性能を著しく向上することができる
等の優れた効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法によるミリング時間と粉体粒径の関
係を示す顕微鏡写真である。
【図2】試験片の平面図である。
【図3】ひずみ速度と全伸びの関係に対するミリング時
間の影響を示す図表である。
【図4】ひずみ速度1.67s-1での試験温度と全伸び
の関係に対するミリング時間の影響を示す図表である。
【図5】ミリング時間と全伸びとの関係を示す図表であ
る。
【図6】流動応力とひずみ速度の関係を示す図表であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 佳典 愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学 内 (72)発明者 村上 健二 愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学 内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA01 BA03 BA05 BA06 BA10 BB01 BB05 BB09 BB10 BB16 CA07 DA09 EA04 4K018 BA02 BA03 BA04 BA07 BA08 BA10 BA13 BB06 BC16 CA14 DA11 EA34 KA52

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原料として箔状片のAl、Mg、T
    i、Cu、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料
    として粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一
    種または二種以上を混合し、機械的合金化法によって粉
    体化するとともに合金化処理し、次いで圧粉処理、焼結
    処理、固化することを特徴とする微細結晶材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 主原料として箔状片のAl、Ti、Cu
    の一種と前記主原料と同系金属の粉体とを混合し機械的
    処理法によって粉体化する工程を含むことを特徴とする
    微細結晶材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記機械的合金化法または前記機械的処
    理法として、振動ボールミル、回転ボールミル、アトラ
    イターミル又は圧延ミルを用いることを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の微細結晶材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 主原料として箔状片のAl、Mg、T
    i、Cu、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料
    として粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一
    種または二種以上を混合し、機械的合金化法によって粉
    体化する工程を含むことを特徴とする微細結晶材料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 箔状片の第1の金属材料と、粉体状の第
    2の金属材料を混合し、機械的合金化法によって少なく
    とも前記第1の金属材料を粉体化する工程を含むことを
    特徴とする微細結晶材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記微細結晶材料は超塑性を有する、こ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微細結
    晶材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 主原料として箔状片のAl、Mg、T
    i、Cu、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料
    として粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一
    種または二種以上を混合し、機械的合金化法によって粉
    体化するとともに合金化処理し、次いで圧粉処理、焼結
    処理、固化して得られる微細結晶材料。
  8. 【請求項8】 主原料として箔状片のAl、Mg、T
    i、Cu、Ni、Feの一種または二種以上と、副原料
    として粉体のCu、Si、Al、Zn、Ti、Liの一
    種または二種以上を混合し、ミリングして得られる微細
    粉体。
  9. 【請求項9】 主原料として箔状片のAl、Ti、Cu
    の一種と前記主原料と同系金属の粉体とを混合し機械的
    処理して得られる微細粉体。
  10. 【請求項10】 箔状片の第1の金属材料と、粉体状の
    第2の金属材料を混合し、ミリングにより少なくとも前
    記第1の金属材料を粉体化して得られる前記第1の金属
    材料と前記第2の金属材料の微細粉体。
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