JP2002126865A - アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型 - Google Patents

アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型

Info

Publication number
JP2002126865A
JP2002126865A JP2000320976A JP2000320976A JP2002126865A JP 2002126865 A JP2002126865 A JP 2002126865A JP 2000320976 A JP2000320976 A JP 2000320976A JP 2000320976 A JP2000320976 A JP 2000320976A JP 2002126865 A JP2002126865 A JP 2002126865A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
sliding portion
ceramic mesh
ceramic
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000320976A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshimasa Kimura
嘉昌 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Topy Industries Ltd
Original Assignee
Topy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Topy Industries Ltd filed Critical Topy Industries Ltd
Priority to JP2000320976A priority Critical patent/JP2002126865A/ja
Publication of JP2002126865A publication Critical patent/JP2002126865A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)
  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合材を用いない、軽量でかつ後加工が可能
な、負荷摺動部を有するアルミニウム鋳造部材とその製
造方法および製造型の提供。 【解決手段】 負荷摺動部2を有するアルミニウム鋳造
部材1であって、負荷摺動部2を、成形したセラミック
メッシュ3にアルミニウムを含浸させたアルミニウム含
浸セラミックメッシュで構成したアルミニウム鋳造部材
1と、その製造方法、製造型6。アルミニウム鋳造部材
がブレーキドラム1Aまたはブレーキローター1Bであ
る。セラミックメッシュ外側面に、機械加工仕上げ後
に、アルミニウムの薄膜11を残した。2枚のセラミッ
クメッシュ3の間にアルミニウム層10を設けた。摩擦
材摺動部より車軸側に冷却フィン12を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負荷摺動部を有す
るアルミニウム鋳造部材(たとえば、ブレーキドラムま
たはブレーキローター、ただし、ブレーキドラム、ブレ
ーキローターに限るものではない)と、その製造方法、
製造型に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、鉄道車両、等に用いられている
ブレーキドラム、ブレーキローターは、 摩擦材との摺動によって制動力を得る。 制動エネルギーを熱に変え、一時蓄える熱ダムの役
割を果たす。 蓄えた熱を徐々に空気中に放散するラジエータの役
割を果たす。等の機能を持つ。 これまでは、「摩擦材に負けて摩耗することが少な
い」、「コストが安い」等の理由で、鉄鋳物で作られて
いた。しかし、昨今、地球環境問題の解決のために車両
の軽量化が求められており、また、自動車では乗り心地
改善、鉄道車両では競合脱線防止、等の効果を得るため
に、ブレーキ部の重量軽減が強く要求されるようになっ
た。そのため、重量の重いブレーキドラム、ブレーキロ
ーターを、鉄からアルミに置き換える試みが始まってい
る。アルミは比重は軽いが、比熱が大きいため、熱ダム
の役割を十分果たせる(上記の役割)。また、熱伝導
率が良いため、鉄より優秀なラジエータになる(上記
の役割)。しかし、アルミは耐摩耗性が悪いため摺動部
の磨滅が早く、そのままではブレーキ部材として適当で
はない(上記の役割を果たせない)。その問題の解決
のため、アルミにセラミック等の材料を混入して固さを
増した、いわゆる鋳造用複合アルミ材料が使われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この鋳造用複
合アルミ材料には、つぎの問題がある。 イ 鋳造過程で複合材混入割合の場所による偏りが出や
すい。その結果、固さ、強度に偏りが出る。 ロ 複合材であるため鋳物に巣ができやすい。そのた
め、鋳造法が難しく不良率が高い。 ハ 固すぎて鋳造後の機械加工が困難である。後加工が
不可能なので、精密鋳造が必要である。 本発明の目的は、複合材を用いない、軽量でかつ後加工
が可能な、負荷摺動部を有するアルミニウム鋳造部材と
その製造方法および製造型を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 負荷摺動部を有するアルミニウム鋳造部材であ
って、前記負荷摺動部を、成形したセラミックメッシュ
にアルミニウムを含浸させたアルミニウム含浸セラミッ
クメッシュで構成したアルミニウム鋳造部材。 (2) 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキドラムま
たはブレーキローターであり、前記負荷摺動部が摩擦材
摺動部である(1)記載のアルミニウム鋳造部材。 (3) セラミックメッシュ外側面に、機械加工仕上げ
後に、アルミニウムの薄膜を残した(1)記載のアルミ
ニウム鋳造部材。 (4) 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキローター
からなり、前記負荷摺動部のセラミックメッシュは2枚
とし、該2枚のセラミックメッシュの間にアルミニウム
層を設けた(1)記載のブレーキ回転部材。 (5) 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキドラムま
たはブレーキローターであり、前記アルミニウム鋳造部
材が前記摩擦材摺動部より車軸側に冷却フィンを有して
いる(1)記載のブレーキ回転部材。 (6) 負荷摺動部を有し、該負荷摺動部をアルミニウ
ム含浸セラミックメッシュで構成したアルミニウム鋳造
部材の製造方法であって、湯の入口からアルミニウム溶
湯をキャビティに注湯し、アルミニウム溶湯の一部を、
セラミックメッシュを通過させた後、セラミックメッシ
ュを挟んでキャビティと反対側にある湯の抜き口から抜
く、アルミニウム鋳造部材の製造方法。 (7) 負荷摺動部を有し、該負荷摺動部をアルミニウ
ム含浸セラミックメッシュで構成したアルミニウム鋳造
部材の製造型であって、キャビティを内部に形成する金
型を有しており、該金型にはアルミニウム溶湯の入口と
抜き口が設けられており、前記キャビティのうち負荷摺
動部を形成する部分はセラミックメッシュが配置される
部分であり、前記アルミニウム溶湯の入口と抜き口とは
前記セラミックメッシュが配置される部分の互いに反対
側に設けられている、アルミニウム鋳造部材の製造型。
【0005】上記(1)〜(5)のアルミニウム鋳造部
材では、摩擦材摺動部を成形体のセラミックメッシュに
アルミニウム(アルミニウム合金である場合を含む)を
含浸させたもので構成し、その他の部位をアルミニウム
(アルミニウム合金である場合を含む)で構成したた
め、鋳造用複合アルミ材を使っておらず、鋳造用複合ア
ルミ材を使った場合に生じる問題、すなわち、固さ、強
度に偏りが出るという問題、および鋳物に巣が出やすい
という問題を除去できる。また、機械加工仕上げ時に
は、アルミニウム部分を切削するようにして、切削工具
がセラミックメッシュにかからないようにすることによ
り、機械加工による仕上げが可能になる。また、モジュ
ール化、リサイクルが可能である。上記(2)のアルミ
ニウム鋳造部材では、アルミニウム鋳造部材がブレーキ
ドラムまたはブレーキローターであり、負荷摺動部が摩
擦材摺動部であるので、耐摩耗性を確保しつつ、ブレー
キ部材の軽量化をはかることができる。上記(3)のア
ルミニウム鋳造部材では、アルミニウム含浸セラミック
メッシュの表面に、アルミニウムの薄膜を残すようにし
たので、切削時の切削工具の損傷を避けることができ、
かつ、ブレーキ使用の初期にアルミニウムの薄膜が摩耗
して摩擦面の性状を整えることができる。上記(4)の
アルミニウム鋳造部材では、2枚のセラミックメッシャ
は中間にアルミニウム部を挟んでいるので、固い部分と
柔らかい部分を滑らかにつなぐことができ応力集中によ
る破損を防ぐことができ、また、制動時熱変形を2枚の
セラミックメッシュが離れる方向の素直な変形にするこ
とができ応力集中を避けることができ、また、制動熱が
中間のアルミニウム部を通って逃げやすくなる。上記
(5)のアルミニウム鋳造部材では、冷却フィンを設け
たので、熱が車軸側に伝わりにくくなるとともに、冷却
フィン部で放熱される。上記(6)のアルミニウム鋳造
部材の製造方法では、溶湯の一部をセラミックメッシュ
を通した後抜くので、セラミックメッシュを通過する時
の抵抗で溶湯の圧力が上がり、給湯が加圧される。その
結果、セラミックメッシュへのアルミニウム溶湯の浸透
がよくなり、かつ、鋳造製品に巣ができにくい。上記
(7)のアルミニウム鋳造部材の製造型では、アルミニ
ウム溶湯の入口と抜き口とはセラミックメッシュが配置
される部分の互いに反対側に設けられているので、セラ
ミックメッシュを通過する時の抵抗で溶湯の圧力が上が
り、給湯が加圧される。その結果、セラミックメッシュ
へのアルミニウム溶湯の浸透がよくなり、かつ、鋳造製
品に巣ができにくい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明実施例のアルミニウム鋳造
部材、その製造方法、その製造型を、図面を参照して説
明する。アルミニウム鋳造部材として、ブレーキドラ
ム、ブレーキローター(ブレーキディスク)を例にとる
が、アルミニウム鋳造部材はこれに限るものではなく、
たとえば車両のサスペンション部材などであってもよ
い。図1、図2は本発明のアルミニウム鋳造部材の実施
例1を示し、図3〜図6は本発明の実施例2を示し、図
7〜図9は本発明の実施例3を示し、図10、図11は
本発明の実施例4を示し、図12は本発明のアルミニウ
ム鋳造部材の製造方法および製造型を示す。本発明の全
実施例にわたって共通する部分には本発明の全実施例に
わたって同じ符号を付してある。
【0007】まず、本発明のアルミニウム鋳造部材の、
全実施例にわたって共通する部分を、たとえば図1、図
2を参照して、説明する。本発明のアルミニウム鋳造部
材1は、負荷摺動部2を有するアルミニウム鋳造部材1
である。負荷摺動部2は、成形したセラミックメッシュ
3に溶融したアルミニウム(アルミニウム合金である場
合を含む)を含浸させアルミニウムを凝固させたアルミ
ニウム含浸セラミックメッシュで構成されている。セラ
ミックメッシュ3は、アルミニウム溶湯を含浸・透過さ
せることができる透過性成形体である。アルミニウム溶
湯がセラミックメッシュに含浸した後、凝固した時に
は、アルミニウムとセラミックメッシュ3と一体となっ
て固い、切削が困難な負荷摺動部を形成する。この状態
では、セラミックメッシュ3はアルミニウムで覆われて
外部からは見えない。アルミニウム鋳造部材1のうち、
負荷摺動部2以外の部分4は、セラミックメッシュ3が
ないアルミニウム(アルミニウム合金である場合を含
む)だけの部分であり、柔らかく、切削性が良好な部分
である。
【0008】アルミニウム鋳造部材1がブレーキドラム
1Aまたはブレーキローター1Bである場合は、負荷摺
動部2は、摩擦材(ブレーキシューまたはブレーキパッ
ド)が摺動する摩擦材摺動部2(負荷摺動部と同じのた
め、符号は2とする)である。ただし、アルミニウム鋳
造部材1はブレーキドラム1Aまたはブレーキローター
1Bに限るものではない。
【0009】アルミニウム鋳造部材1としたため、軽量
化がはかられる。アルミは鉄の3分の1の比重量である
が比熱が2倍あるため、同一体積での熱容量は2/3で
ある。したがって、「熱ダム」としての機能を鉄と同じ
程度果たすためには、体積を3/2倍にする必要があ
る。しかし、アルミは熱伝導が良いので、熱ダムの蓄熱
量は少なくて済み、熱容量は鉄より少なくてよい。目安
としては鉄の20〜30%増しの体積があれば十分であ
る。たとえば、鉄のものより20〜30%厚さを上げれ
ばよい。結果として、製品の重量は鉄製のものの約40
%で済み、軽量化がはかられる。
【0010】アルミニウム鋳造部材1は、鋳造用複合ア
ルミ材を使うのではなく、必要な部位のみをセラミック
メッシュ3で補強したものである。補強の方法として
は、成形したセラミックメッシュ3を必要な部位に配置
し、鋳造時にアルミニウム溶湯を浸透させて固める。負
荷摺動部2はアルミニウム含浸セラミックメッシュから
なるので、その耐摩耗性は非常に高く、ブレーキの摩擦
材摺動部2としての使用に十分耐える。セラミックメッ
シュ3を挿入していない部位は通常のアルミニウム鋳物
であるため、機械加工が容易である。また、鋳物巣もで
きにくい。
【0011】従来の鋳造用複合アルミ材ブレーキドラ
ム、ブレーキローターでは、ブレーキ部とアルミホイー
ル部の材質が異なるため、ブレーキ部とアルミホイール
部とを一体化(一体鋳造)することはできなかった。こ
れはホイールの場合、固さより強靱性が必要なため、セ
ラミック混入はマイナスとなるからである。しかし、本
発明により、ブレーキ部とアルミホイール部に同じ材質
のアルミニウムを使えるようになり、部品一体化(モジ
ュール化)が可能になる。また、本発明のアルミニウム
鋳造部材1は、再溶融した時に、アルミニウム材料のみ
が溶融して、溶融しないセラミックメッシュ3と分離で
きるので、リサイクルが可能になる。これに対し、従来
の鋳造用複合アルミ材はアルミニウムと混入材料とを分
離できないので、リサイクルができない。
【0012】つぎに、本発明のアルミニウム鋳造部材の
各実施例に特有な部分を、それぞれの図面を参照して、
説明する。本発明の実施例1では、図1、図2に示すよ
うに、アルミニウム鋳造部材1は、アルミニウム製ブレ
ーキドラム1Aであり、負荷摺動部2はドラム内面部の
ブレーキシューが摺動接触する部分であり、この負荷摺
動部2がアルミニウム含浸セラミックメッシュ3にて構
成されている。この構造により、耐摩耗性に優れた、軽
量のアルミニウム製ブレーキドラム1Aを提供できる。
アルミニウム含浸セラミックメッシュ3の内面側には、
アルミニウムのみからなる余肉部5が切削代として鋳造
時に形成され、金型から外した後、余肉部5に切削加工
が施される。余肉部5に切削を加えるので、切削工具が
セラミックメッシュ3に当たって切削工具が損傷するこ
とは起こらない。また、切削するようにしたので、ブレ
ーキ摺動面を偏芯がない円筒形に仕上げることができ
る。
【0013】アルミニウム含浸セラミックメッシュ3の
内面側に余肉部5を形成するために、金型6には、セラ
ミックメッシュ3を挟んでキャビティと反対側に、湯の
抜き口7を形成しておくとともに、余肉部5を鋳造する
ための余肉形成部8を設けておく。湯の入口9はキャビ
ティ側にある。余肉形成部8とセラミックメッシュ3と
の間の空間に入った溶湯は凝固した時に余肉部5とな
る。余肉形成部8とセラミックメッシュ3との間の空間
は、少なくともセラミックメッシュ3を介してキャビテ
ィと接続しており、キャビティを充填するアルミニウム
溶湯は少なくとも一部がセラミックメッシュ3を透過し
て余肉形成部8とセラミックメッシュ3との間の空間に
入るようにし、これによって、アルミニウム溶湯が十分
にセラミックメッシュ3に含浸するようにする。
【0014】本発明の実施例2では、図3〜図6に示す
ように、アルミニウム鋳造部材1は、アルミニウム製ブ
レーキローター1Bであり、負荷摺動部2はブレーキロ
ーターの外周部の、パッドが摺動接触する部分であり、
この負荷摺動部2がアルミニウム含浸セラミックメッシ
ュ3にて構成されている。この構造により、耐摩耗性に
優れた、軽量のアルミニウム製ブレーキローター1Bを
提供できる。
【0015】図5に示すように、負荷摺動部2のセラミ
ックメッシュ3はローター外周部の厚み方向に互いに隔
てて2枚設けられ、これら2枚のセラミックメッシュ3
の間にアルミニウム層10を設けるようにする。2枚の
セラミックメッシュ3の間にアルミ層10を設ける理由
は、 固い部分(負荷摺動部2)と柔らかい部分(負荷摺
動部以外の部分4)を滑らかにつないで、つなぎ部の応
力集中による破損を防ぐこと、 制動熱変形を2枚のセラミックメッシュ3が離れる
方向の素直な変形として、応力集中を避けること、 制動熱がアルミ層10を通して伝導で逃げやすくす
ること(セラミックは熱伝導率が低いので、できるだけ
早くアルミ部に伝える)、 の3つである。
【0016】アルミニウム含浸セラミックメッシュ3の
外側側面には、アルミニウムのみからなる余肉部5が切
削代として鋳造時に形成され、金型から外した後、余肉
部5に切削加工が施される。余肉部5に切削を加えるの
で、切削工具がセラミックメッシュ3に当たって切削工
具が損傷することは起こらない。また、切削するように
したので、パッド摺動面を左右ブレの無い平面に仕上げ
ることができる。ただし、摩擦材(パッド)が摺動する
面は、切削後も、図6に示すように、0.5〜1mmの
アルミニウムの薄膜11が残るようにする。これによ
り、余肉部5切削時の切削工具の損傷を確実に避けるこ
とができる。また、この薄膜11は、ブレーキ使用の初
期に摩耗して、パッド面とブレーキロータ面とを馴染ま
せ、摩擦面の性状を整える働きをする。
【0017】アルミニウム含浸セラミックメッシュ3の
外側側面に余肉部5を形成するために、金型6には、セ
ラミックメッシュ3を挟んでキャビティ(中間アルミ層
10を形成するキャビティ部分)と反対側に、湯の抜き
口7を形成しておくとともに、余肉部5を鋳造するため
の余肉形成部8を設けておく。余肉形成部8とセラミッ
クメッシュ3との間の空間に入った溶湯は凝固した時に
余肉部5となる。余肉形成部8とセラミックメッシュ3
との間の空間は、少なくともセラミックメッシュ3を介
してキャビティと接続しており、キャビティを充填する
アルミニウム溶湯は少なくとも一部がセラミックメッシ
ュ3を透過して余肉形成部8とセラミックメッシュ3と
の間の空間に入るようにし、これによって、アルミニウ
ム溶湯が十分にセラミックメッシュ3に含浸するように
する。
【0018】本発明の実施例3では、図7〜図9に示す
ように、アルミニウム鋳造部材1は、アルミニウム製ブ
レーキドラム1Aであり、負荷摺動部2はブレーキドラ
ムの外周部の、シューが摺動接触する部分である。そし
て、アルミニウム製ブレーキドラム1Aは、負荷摺動部
2より車軸側に、たとえば円筒部から斜め内周側に延び
る、ドラムの肩部の外面側に、冷却フィン12を、ブレ
ーキドラム1Aと一体に、有している。冷却フィン12
はブレーキドラム1A鋳造時に鋳造にて形成される。従
来の鋳鉄ローターでは、ブレーキの使用条件が過酷な場
合は、発生熱が逃げやすくするため、図13、図14に
示すように、ローター摺動部を2枚張りにしてその間に
風を通す、いわゆるベンチレーテッドローター13が用
いられている。鉄は熱伝導率が低いので、発生熱が摺動
部付近から逃げにくく、発熱部の直ぐ傍らに冷却風を通
す必要があるので、このような構造をとっていた。アル
ミドラム、アルミローターでは、アルミの熱伝導率が鉄
の3倍もあるので、すぐ傍らに通気口を設ける必要がな
く、熱が車軸方向に伝わりにくくするよう、経路の途中
に冷却フィン12を設けて放熱をはかればよい。たとえ
ば、ドラム、ローターの肩部等の位置に冷却フィン12
を設ける。この方法で、ベンチレーテッドローター13
とほぼ同等の放熱効果が期待できるため、ベンチレーテ
ッドローター13のような複雑な構造にする必要がな
く、鋳造の際も通気口のための中子が不要で作り易く、
製造コストを安くすることができる。
【0019】本発明の実施例4では、図10〜図11に
示すように、アルミニウム鋳造部材1は、アルミニウム
製ブレーキローター1Bであり、負荷摺動部2はブレー
キローターの外周部の、パッドが摺動接触する部分であ
る。そして、アルミニウム製ブレーキローターBAは、
負荷摺動部2より車軸側に、たとえば円筒部から斜め内
周側に延びる、ローターの肩部の外面側に、冷却フィン
12を、ブレーキローター1Bと一体に、有している。
冷却フィン12はブレーキローター1B鋳造時に鋳造に
て形成される。冷却フィン12を設けることにより、ベ
ンチレーテッドローター13とほぼ同等の放熱効果が期
待できるため、ベンチレーテッドローター13のような
複雑な構造にする必要がなく、鋳造の際も通気口のため
の中子が不要で作り易く、製造コストを安くすることが
できる。
【0020】つぎに、本発明のアルミニウム鋳造部材1
の製造方法、製造型を図12を参照して説明する。本発
明のアルミニウム鋳造部材1の製造方法は、負荷摺動部
2を有し、負荷摺動部2をアルミニウム含浸セラミック
メッシュ3で構成したアルミニウム鋳造部材の製造方法
であって、湯の入口9からアルミニウム溶湯をキャビテ
ィに注湯し、アルミニウム溶湯の少なくとも一部を、セ
ラミックメッシュ3を通過させた後、セラミックメッシ
ュ3を挟んでキャビティと反対側にある湯の抜き口7か
ら抜く、アルミニウム鋳造部材の製造方法からなる。
【0021】さらに詳しくは、本発明のアルミニウム鋳
造部材1の製造方法は、負荷摺動部を有し、負荷摺動部
2(負荷摺動部は、たとえば、摩擦材摺動部からなる)
をアルミニウム含浸セラミックメッシュ3で構成したア
ルミニウム鋳造部材1(アルミニウム鋳造部材は、たと
えば、アルミニウム製のブレーキドラム1Aまたはブレ
ーキローター1Bからなる)の製造方法であって、アル
ミニウム鋳造部材を形成するためのキャビティ14のう
ち負荷摺動部2に対応する部位に、成形したセラミック
メッシュ3を配置する工程と、セラミックメッシュ3に
接続する湯の入口9からアルミニウム(アルミニウム合
金である場合を含む)溶湯をキャビティ14に注湯しキ
ャビティ14をアルミニウム溶湯で充填するとともに、
アルミニウム溶湯の少なくとも一部をセラミックメッシ
ュ3を通して金型6の余肉形成部8に導き一部を余肉形
成部8に設けた湯の抜き口7から抜くことにより、セラ
ミックメッシュ3をアルミニウム溶湯で含浸するととも
に余肉形成部8をアルミニウム溶湯で充填する工程と、
型内のアルミニウム溶湯が凝固した後、アルミニウム鋳
造部材鋳造品を金型6から取り外す工程と、ブレーキ回
転部材鋳造品に切削加工を施し、この時余肉形成部8に
よって形成されたアルミニウム余肉部5を、セラミック
メッシュ3の表面にアルミニウムの薄膜11を残して、
切削する工程と、からなる。
【0022】また、本発明のアルミニウム鋳造部材1の
製造型は、負荷摺動部2をアルミニウム含浸セラミック
メッシュ3で構成したアルミニウム鋳造部材1の製造型
であって、キャビティ14を内部に形成する金型6を有
しており、金型6にはアルミニウム溶湯の入口9と抜き
口7が設けられている。キャビティ14のうち負荷摺動
部2を形成する部分はセラミックメッシュ3が配置され
る部分である。アルミニウム溶湯の入口9と抜き口7と
は、セラミックメッシュ3が配置される部分を挟んで、
互いに反対側に設けられている。また、金型6のうち、
セラミックメッシュ3が配置される部分の溶湯抜き口7
側には、負荷摺動部2にアルミニウムの余肉部5を形成
するための、余肉形成部8が設けられている。
【0023】上記のアルミニウム鋳造部材の製造方法お
よび製造型では、アルミニウム溶湯の一部をセラミック
メッシュ3を通した後抜くので、セラミックメッシュ3
を通過する時の抵抗で溶湯の圧力が上がり、給湯が加圧
される。その結果、セラミックメッシュ3へのアルミニ
ウム溶湯の浸透がよくなり、かつ、鋳造製品に巣ができ
にくい。
【0024】
【発明の効果】請求項1〜5のアルミニウム鋳造部材に
よれば、摩擦材摺動部を成形体のセラミックメッシュに
アルミニウムを含浸させたもので構成し、その他の部位
をアルミニウムで構成したため、鋳造用複合アルミ材を
使っておらず、鋳造用複合アルミ材を使った場合に生じ
る問題、すなわち、固さ、強度に偏りが出るという問
題、および鋳物に巣が出やすいという問題を除去でき
る。また、機械加工仕上げ時には、アルミニウム部分を
切削するようにして、切削工具がセラミックメッシュに
かからないようにすることにより、機械加工による仕上
げが可能になる。また、モジュール化、リサイクルが可
能である。請求項2のアルミニウム鋳造部材によれば、
アルミニウム鋳造部材がブレーキドラムまたはブレーキ
ローターであり、負荷摺動部が摩擦材摺動部であるの
で、耐摩耗性を確保しつつ、ブレーキ部材の軽量化をは
かることができる。請求項3のアルミニウム鋳造部材に
よれば、アルミニウム含浸セラミックメッシュの表面
に、アルミニウムの薄膜を残すようにしたので、切削時
の切削工具の損傷を避けることができ、かつ、ブレーキ
使用の初期にアルミニウムの薄膜が摩耗して摩擦面の性
状を整えることができる。請求項4のアルミニウム鋳造
部材によれば、2枚のセラミックメッシャは中間にアル
ミニウム部を挟んでいるので、固い部分と柔らかい部分
を滑らかにつなぐことができ、応力集中による破損を防
ぐことができる。また、制動時熱変形を2枚のセラミッ
クメッシュが離れる方向の素直な変形にすることがで
き、応力集中を避けることができ、また、制動熱が中間
のアルミニウム部を通って逃げやすくなる。請求項5の
アルミニウム鋳造部材によれば、冷却フィンを設けたの
で、熱が車軸側に伝わりにくくなるとともに、冷却フィ
ン部で放熱される。請求項6のアルミニウム鋳造部材の
製造方法によれば、溶湯の一部をセラミックメッシュを
通した後抜くので、セラミックメッシュを通過する時の
抵抗で溶湯の圧力を上げることができ、セラミックメッ
シュへのアルミニウム溶湯の浸透をよくすることがで
き、かつ、鋳造製品の巣の発生を抑制できる。請求項7
のアルミニウム鋳造部材の製造型によれば、アルミニウ
ム溶湯の入口と抜き口とはセラミックメッシュが配置さ
れる部分の互いに反対側に設けられているので、セラミ
ックメッシュを通過する時の抵抗で溶湯の圧力を上げる
ことができ、セラミックメッシュへのアルミニウム溶湯
の浸透をよくすることができ、かつ、鋳造製品の巣の発
生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のアルミニウム鋳造部材の断
面図である。
【図2】図1のアルミニウム鋳造部材の半背面図であ
る。
【図3】本発明の実施例2のアルミニウム鋳造部材とそ
の製造型の一部の断面図である。
【図4】図3のアルミニウム鋳造部材の半正面図であ
る。
【図5】図3のアルミニウム鋳造部材の一部の断面図で
ある。
【図6】図5の断面図で負荷摺動部の表面にアルミニウ
ム薄膜が形成されている場合の断面図である。
【図7】本発明の実施例3のアルミニウム鋳造部材の断
面図である。
【図8】図7のアルミニウム鋳造部材の半正面図であ
る。
【図9】図7のアルミニウム鋳造部材の半背面図であ
る。
【図10】本発明の実施例4のアルミニウム鋳造部材の
断面図である。
【図11】図10のアルミニウム鋳造部材の半正面図で
ある。
【図12】本発明実施例のアルミニウム鋳造部材の製造
方法を実施する製造型の断面図である。
【図13】従来のベンチレーテッドローターの断面図で
ある。
【図14】図13のベンチレーテッドローターの一部の
正面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム鋳造部材 1A ブレーキドラム 1B ブレーキローター 2 負荷摺動部(摩擦材摺動部) 3 セラミックメッシュ 4 負荷摺動部以外の部分 5 余肉部 6 金型 7 湯の抜き口 8 余肉形成部 9 湯の入口 10 アルミ層 11 アルミニウム薄膜 12 冷却フィン 13 ベンチレーテッドローター 14 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 65/12 F16D 65/12 E

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負荷摺動部を有するアルミニウム鋳造部
    材であって、前記負荷摺動部を、成形したセラミックメ
    ッシュにアルミニウムを含浸させたアルミニウム含浸セ
    ラミックメッシュで構成したアルミニウム鋳造部材。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキド
    ラムまたはブレーキローターであり、前記負荷摺動部が
    摩擦材摺動部である請求項1記載のアルミニウム鋳造部
    材。
  3. 【請求項3】 セラミックメッシュ外側面に、機械加工
    仕上げ後に、アルミニウムの薄膜を残した請求項1記載
    のアルミニウム鋳造部材。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキロ
    ーターからなり、前記負荷摺動部のセラミックメッシュ
    は2枚とし、該2枚のセラミックメッシュの間にアルミ
    ニウム層を設けた請求項1記載のブレーキ回転部材。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム鋳造部材がブレーキド
    ラムまたはブレーキローターであり、前記アルミニウム
    鋳造部材が前記摩擦材摺動部より車軸側に冷却フィンを
    有している請求項1記載のブレーキ回転部材。
  6. 【請求項6】 負荷摺動部を有し、該負荷摺動部をアル
    ミニウム含浸セラミックメッシュで構成したアルミニウ
    ム鋳造部材の製造方法であって、湯の入口からアルミニ
    ウム溶湯をキャビティに注湯し、アルミニウム溶湯の一
    部を、セラミックメッシュを通過させた後、セラミック
    メッシュを挟んでキャビティと反対側にある湯の抜き口
    から抜く、アルミニウム鋳造部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 負荷摺動部を有し、該負荷摺動部をアル
    ミニウム含浸セラミックメッシュで構成したアルミニウ
    ム鋳造部材の製造型であって、 キャビティを内部に形成する金型を有しており、該金型
    にはアルミニウム溶湯の入口と抜き口が設けられてお
    り、 前記キャビティのうち負荷摺動部を形成する部分はセラ
    ミックメッシュが配置される部分であり、前記アルミニ
    ウム溶湯の入口と抜き口とは前記セラミックメッシュが
    配置される部分の互いに反対側に設けられている、アル
    ミニウム鋳造部材の製造型。
JP2000320976A 2000-10-20 2000-10-20 アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型 Pending JP2002126865A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000320976A JP2002126865A (ja) 2000-10-20 2000-10-20 アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000320976A JP2002126865A (ja) 2000-10-20 2000-10-20 アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002126865A true JP2002126865A (ja) 2002-05-08

Family

ID=18799177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000320976A Pending JP2002126865A (ja) 2000-10-20 2000-10-20 アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002126865A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130081776A1 (en) * 2011-01-26 2013-04-04 GM Global Technology Operations LLC Methods For Forming Molded Components Having A Visible Designer Feature and/or Improved Operational Properties Via A Porous Preform
KR200474267Y1 (ko) 2014-04-22 2014-09-02 최광우 차량용 브레이크 드럼
CN104416122A (zh) * 2013-09-06 2015-03-18 彭松桂 一种车辆刹车鼓的铸造方法
JP2017519955A (ja) * 2014-07-10 2017-07-20 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh 自動車のためのブレーキディスクおよびブレーキ装置
CN112855808A (zh) * 2021-02-26 2021-05-28 山西汤荣机械制造股份有限公司 特殊钢、耐热疲劳纳米材料复合制动鼓的生产工艺

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130081776A1 (en) * 2011-01-26 2013-04-04 GM Global Technology Operations LLC Methods For Forming Molded Components Having A Visible Designer Feature and/or Improved Operational Properties Via A Porous Preform
CN104416122A (zh) * 2013-09-06 2015-03-18 彭松桂 一种车辆刹车鼓的铸造方法
KR200474267Y1 (ko) 2014-04-22 2014-09-02 최광우 차량용 브레이크 드럼
JP2017519955A (ja) * 2014-07-10 2017-07-20 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh 自動車のためのブレーキディスクおよびブレーキ装置
US10837507B2 (en) 2014-07-10 2020-11-17 Robert Bosch Gmbh Brake disc for a motor vehicle, brake system
CN112855808A (zh) * 2021-02-26 2021-05-28 山西汤荣机械制造股份有限公司 特殊钢、耐热疲劳纳米材料复合制动鼓的生产工艺
CN112855808B (zh) * 2021-02-26 2024-03-22 山西汤荣机械制造股份有限公司 特殊钢、耐热疲劳纳米材料复合制动鼓的生产工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5620042A (en) Method of casting a composite disc brake rotor
CN108331863B (zh) 混合轻质制动盘及其制造方法
US5509510A (en) Composite disc brake rotor and method for producing same
CN101391296B (zh) 轻量制动转子和带有复合材料的部件
CN102441657B (zh) 形成铸件的方法
US5887684A (en) Disk brake calliper
US5433511A (en) Cast wheel reinforced with a metal matrix composite
JP4926132B2 (ja) キャリパ用鋳造装置
US5433300A (en) Brake caliper
JP2002126865A (ja) アルミニウム鋳造部材とその製造方法および製造型
JP2010236636A (ja) Mmcシリンダーライナー及びその製造方法
JP3441514B2 (ja) ブレーキディスクの製造方法
US20210229167A1 (en) Metal matrix composites
JPH08119088A (ja) マスタシリンダ用ピストン
JP3775088B2 (ja) シリンダブロックの製造方法
KR102340498B1 (ko) 상용차 차축의 중공형 휠 허브 주조용 중자
WO2011027354A1 (en) Brake drum with a friction liner
JP2001047154A (ja) 樹脂製成形型
JP3901912B2 (ja) ブレーキドラムの製造方法
JP2000317609A (ja) ブレーキ用ベンチレーティドディスクの製造方法
JP2004138154A (ja) 軽合金製ブレーキディスク
IT202100004451A1 (it) Metodo per realizzare una fascia di frenatura di un disco freno, metodo di realizzazione del disco freno, disco freno e fascia di frenatura per disco freno
JPS5839426A (ja) 射出成形金型
JP2004316820A (ja) ベンチレーテッドディスクロータ及びその製造方法
JPH082477B2 (ja) 鋳造に使用される中子