JP2002125694A - Pcr−sscp法による腸内菌の検出方法 - Google Patents

Pcr−sscp法による腸内菌の検出方法

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JP2002125694A
JP2002125694A JP2000328147A JP2000328147A JP2002125694A JP 2002125694 A JP2002125694 A JP 2002125694A JP 2000328147 A JP2000328147 A JP 2000328147A JP 2000328147 A JP2000328147 A JP 2000328147A JP 2002125694 A JP2002125694 A JP 2002125694A
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Mitsutomo Tsunako
充朝 津波古
Akiko Nishimura
明子 西村
Senso Amano
千聡 天野
Maki Shimakawa
真木 嶋川
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Biofermin Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 本発明の目的は、迅速かつ簡便に、また
複数の菌種が混在してもこれらを同時に検出できる腸内
菌の検出方法および該検出方法に用いる検出キットを提
供することにある。 【解決手段】 腸内菌の遺伝子の一部をPCRにより増
幅し、得られた二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離し、
該一本鎖DNAをキャピラリー電気泳動し、その泳動パ
ターンを観察することを特徴とする腸内菌の検出方法、
およびPCRキットおよび電気泳動キットを含有するこ
とを特徴とする該検出方法を行うためのキット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、PCR−SSCP
法による腸内菌の検出方法および該方法に用いる腸内菌
の検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】腸内菌は宿主生体内におけるビタミンや
蛋白質の合成、食物の消化吸収の補助的役割、胆汁酸の
代謝(腸肝循環)、外来性の病原菌による腸管感染の阻
止、宿主の免疫機構の刺激などにより宿主に対し有益に
働く。また抗生物質の投与により腸内菌叢のバランスが
変化すると、ブドウ球菌性腸炎や偽膜性大腸炎を起こ
す。したがって、腸内菌叢は健康状態を知る一つの指標
となる。
【0003】ここで、腸内菌の検出方法としては、生化
学的性状による検出方法、DNA−DNA相同性による
検出方法または16SrRNA遺伝子の塩基配列の比較
による検出方法などが挙げられる。生化学的性状による
検出方法は、主に表現形質、すなわち糖分解性状または
発酵生産物(乳酸等)等を検査することにより行われて
いる。しかしながら、かかる方法は、操作が煩雑で多大
な時間と労力を要し、試験者の熟練を要する。
【0004】DNA−DNA相同性による検出方法とし
ては、例えば、特異プローブを用いたハイブリダイゼー
ション法(特開昭61−44000号公報および特開昭
61−110299号公報)、マイクロプレートを用い
て染色体DNAの相同性を簡便に測定し検出する方法
(特開平1−196300号公報)などが挙げられる。
特異プローブは特定菌群の検出には有用であるが、日常
の検出作業に用いるためには多数の特異プローブを準備
し、それぞれとハイブリダイゼーションする必要がある
ため利便性に乏しい。一方、マイクロプレートを用いた
方法は一度検出用のマイクロプレートを準備すれば簡便
に同定を行うことができるが、そのためには該当菌種す
べての染色体DNAを準備しなければならない欠点があ
る。
【0005】16SrRNA遺伝子の塩基配列の比較に
よる検出方法は、16SrRNA遺伝子が原核生物に普
遍的に存在しかつ指標となりうるだけの多様性を有して
いるため、被検体の16SrRNA遺伝子の塩基配列を
決定し、これを比較することにより腸内菌を検出すると
いう方法がある(System. Appl. Microbiol.4,326
(1983))。rRNA等の遺伝子の塩基配列比較は非常に
詳しい情報が得られ、現在では微生物分類法の一手法と
しての地位を確立しつつあるけれども、すべての塩基配
列を調べるには多くの時間と費用を要するという問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、迅速
かつ簡便に、また複数の菌種が混在してもこれらを同時
に検出できる腸内菌の検出方法および該検出方法に用い
る検出キットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討したところ、腸内菌の検出にPC
R−SSCP(polymerase chain reaction single-str
and conformation polymorphism)法を用いることによ
り上記問題点が一挙に解決されることを知見した。PC
R−SSCP法は、一本鎖DNAがその塩基配列に依存
した特異的な高次構造(形態)を示すという現象を利用
し,PCRと組み合わせた塩基配列中の変異検出技術で
ある。本方法は、PCRにより特定のDNA領域を増幅
し、二本鎖DNA断片を一本鎖DNAに解離し、その塩
基配列に依存した独自の高次構造を保持させたまま電気
泳動を行う。その結果、PCRによって増幅されたDN
A領域の塩基配列が1塩基でも異なれば、その相違によ
り生じる高次構造の変化を泳動速度(移動度)の差とし
て検出することができるので、既知の菌種の泳動パター
ンと比較することにより容易に菌種の同定を行うことが
でき、また複数の泳動パターンを比較することにより特
定菌種以外の菌種が混在しているか否かを確認できる。
このように、PCR−SSCP法は確立された手法に従
って行えばよいので試験者の熟練は必要とせず、また試
験者の恣意的な判断が入る余地がないので客観性に優れ
ている。
【0008】本発明にかかるPCR−SSCP法を用い
た腸内菌の検出方法は、複数の腸内菌が混在してもこれ
らを同時に検出できる利点がある。例えば、16SrR
NA遺伝子の塩基配列の解読には高純度のDNAが必要
であり、DNAの精製が悪いと解読が難しく、また、複
数の細菌のDNAが混在していた場合、解読は困難であ
る。PCR−SSCP法ではそれほどのDNAの純度は
必要なく、たとえ複数の細菌のDNAが混在していたと
しても菌種ごとのパターンが異なるため検出が可能であ
る。
【0009】本発明にかかるPCR−SSCP法を用い
た腸内菌の検出方法によれば、腸内菌検出の高速化を図
ることができる。すなわち、上述した16SrRNA遺
伝子の塩基配列(シーケンス)による菌種検出方法で
は、目的遺伝子(16SrRNA遺伝子)の抽出・精製
が必要である。また、該目的遺伝子の塩基配列を決定す
る際に電気泳動を用いるのであるが、1回の分析では読
み取り不能な個所が発生するなど信頼性にかける可能性
があり、複数回の解析を行う必要がある場合が多い。そ
の結果、腸内菌の検出に時間と手間を要する。一方、本
発明に係るPCR−SSCP法を用いた腸内菌の検出方
法では、上述したように目的遺伝子の純度はそれ程問題
にならないので遺伝子の抽出・精製は必ずしも必要でな
く、また電気泳動も複数回行うことは特に必要としな
い。
【0010】すなわち、本発明は、(1)腸内菌の遺伝
子の一部をPCRにより増幅し、得られた二本鎖DNA
を一本鎖DNAに解離し、該一本鎖DNAをキャピラリ
ー電気泳動し、その泳動パターンを観察することを特徴
とする腸内菌の検出方法、(2)キャピラリー電気泳動
により分離されたDNAの250〜270nmの波長に
おける吸光度を測定することにより、一本鎖DNAの泳
動パターンを観察することを特徴とする前記(1)に記
載の腸内菌の検出方法、(3)腸内菌の遺伝子の一部を
PCRにより増幅し、ついで蛍光標識PCRにより得ら
れた二本鎖DNAを蛍光標識し、蛍光標識された二本鎖
DNAを一本鎖DNAに解離し、該蛍光標識された一本
鎖DNAをキャピラリー電気泳動し、該蛍光標識一本鎖
DNAの蛍光強度を測定することにより一本鎖DNAの
泳動パターンを観察することを特徴とする前記(1)に
記載の腸内菌の検出方法、(4)キャピラリー電気泳動
が水溶性高分子溶液を含有する泳動液を用いることを特
徴とする前記(1)〜(3)に記載の腸内菌の検出方
法、(5)泳動液が、さらにDNAにインターカレーシ
ョンする成分を含有していることを特徴とする前記
(4)に記載の腸内菌の検出方法、(6)腸内菌の遺伝
子の一部をPCRにより増幅し、得られた二本鎖DNA
を一本鎖DNAに解離し、該一本鎖DNAをスラブゲル
電気泳動し、銀染色またはエチジウムブロマイド染色に
より一本鎖DNAの泳動パターンを観察することを特徴
とする腸内菌の検出方法、(7)腸内菌の遺伝子の一部
をPCRにより増幅し、ついで蛍光標識PCRにより得
られた二本鎖DNAを蛍光標識し、蛍光標識された二本
鎖DNAを一本鎖DNAに解離し、該蛍光標識された一
本鎖DNAをスラブゲル電気泳動し、該蛍光標識1本鎖
DNAが発する蛍光をX線フィルムに感光させて検出す
るか、または紫外線照射下で検出することにより一本鎖
DNAの泳動パターンを観察することを特徴とする腸内
菌の検出方法、(8)蛍光標識の代わりに、放射性同位
体標識することを特徴とする前記(3)〜(5)または
(7)に記載の腸内菌の検出方法、(9)腸内菌の遺伝
子の一部が、16SrRNA遺伝子の300R領域であ
ることを特徴とする前記(1)〜(8)に記載の腸内菌
の検出方法、(10)腸内菌が嫌気的環境下で生息でき
る菌であることを特徴とする前記(1)〜(9)に記載
の腸内菌の検出方法、(11)腸内菌がラクトバチルス
属(Lactobacillus)菌または/およびビフィドバクテ
リウム属(Bifidobacterium)菌に属する微生物である
ことを特徴とする前記(1)〜(9)に記載の腸内菌の
検出方法、(12)PCRキットおよび電気泳動キッ
ト、所望により蛍光標識PCRキットを含有することを
特徴とする前記(1)〜(11)に記載の検出方法を実
施するためのキット、(13)PCRキット、蛍光標識
PCRキットおよび電気泳動キットを含有することを特
徴とする前記(3)〜(5)、(7)または(9)〜
(11)に記載の腸内菌検出方法を実施するためのキッ
ト、(14)電気泳動キットがキャピラリー電気泳動で
あることを特徴とする前記(12)または(13)に記
載の検出キット、(15)電気泳動キットが、セルロー
ス誘導体、多糖類、ポリエチレンオキシドまたは非架橋
の線状ポリアクリルアミドからなる水溶性高分子溶液、
および所望によりDNAにインターカレーションする成
分を含有することを特徴とする前記(14)に記載の検
出キット、(16)PCRキットおよび電気泳動キッ
ト、さらに銀染色キットまたはエチジウムブロマイド染
色キットを含有することを特徴とする前記(6)または
(9)〜(11)に記載の検出方法を実施するための検
出キット、(17)さらに、被検物質からDNAを抽出
するためのDNA抽出キットを含有することを特徴とす
る前記(12)〜(16)に記載の検出キット、およ
び、(18)被検物質が(a)ヒトもしくは動物より採
取したもの、(b)腸内菌を含む食品もしくは医薬品、
または(c)該食品もしくは医薬品の製造工程における
中間物質であることを特徴とする前記(17)に記載の
検出キットに関する。
【0011】本発明において腸内菌の検出とは、菌種の
同定を含む。また、それだけではなく、例えば被検物質
中に特定の腸内菌が存在することを確認すること、また
は被検物質中に特定の腸内菌以外の菌種が存在しないこ
とを確認することなども含まれる。
【0012】本発明において、一本鎖DNAの泳動パタ
ーンを観察するとは、電気泳動による一本鎖DNAの移
動度を測定すること、キャピラリー電気泳動において一
本鎖DNAの移動度を示す250〜270nmの吸光度
測定により得られる吸光度パターンを標準試料の吸光度
パターンと比較するなどして解析すること、またはスラ
ブゲル電気泳動において電気泳動用ゲル上に現れた一本
鎖DNAのバンドを標準試料のバンドの位置などと比較
することにより解析することなどが含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る腸内菌の検出方法を
適用する対象である被検物質は、特に限定されず、例え
ば、血液、髄液、糞便などのヒトもしくは動物より採取
したもの、腸内菌を含む食品もしくは医薬品、または該
食品もしくは医薬品の製造工程における中間物質などい
かなるものであってもよい。ここで、中間物質としては
該食品もしくは医薬品の製造工程において特定の腸内菌
を含むであろう試料が挙げられる。
【0014】本発明に係る検出方法によって検出される
腸内菌は、腸内に住みついている細菌類の総称であり、
本発明にかかる方法によれば、上記被検物質中の公知の
腸内菌はもちろん、未知の腸内菌も検出できる。具体的
には、例えば、Lactobacillus acidophilus、L. case
i、L. gasseri、L. plantalum、L. delbrueckii subspb
ulgaricus、L. delbrueckii subsp lactis等のラクトバ
チルス属(乳酸桿菌ともいう);例えば、Leuconostoc
mecenteroides、Streptococcus(Enterococcus)faecali
s、Streptococcus(Enterococcus) faecium、 Streptoco
ccus(Enterococcus) hirae、Lactococcus lactis、Str
eptococcus thermophilus等の乳酸球菌;Bifidobacteri
um bifidum、B. longum、 B. breve、B. adrecentis、
B. infantis、B.pseudolongum、B.thermophirum等のビ
フィドバクテリウム属(ビフィズス菌ともいう);例え
ば、フラジリス菌またはメラニノジェニカス菌などのバ
クテロイデス(Bacteroides)属;例えば、エアロファ
シエンス菌などのユウバクテリウム(Eubacterium)属;
例えば、アネロビウス菌などのペプトストレプトコッカ
ス(Peptstreptcoccus)属;例えば、フェカーリス菌など
のエンテロコッカス(Enterococcus)属;例えば、エア
ロジェネス菌などのエンテロバクター(Enterobacter)
属;例えば、アクネス菌などプロピオニバクテリム(Pr
opionibacterium)属;例えば、ミュータンス菌などの
ストレプトコッカス(Streptococcus)属;例えば、マ
ルチアシダ菌などのミツオケラ(Mitsuokella)属;例
えば、ブェントリキューリ菌などのサルシナ(Sarcin
a)属;例えば、ブローミ菌などのルミノコッカス(Rum
inococcus)属;例えば、パルブラ菌などのベーヨネラ
(Veillonella)属;例えば、エルスデニ菌などのメガ
スフェラ(Megasphaera)属に属する微生物などが挙げ
られる。ただし、本発明に係る方法で検出できる腸内菌
は、上記のものに限定されない。
【0015】なかでも、嫌気的環境下で生息できる腸内
菌の検出に用いるのが好ましい。嫌気的環境下で生息で
きる腸内菌としては、好気的環境下では生育の見られな
い菌(偏性嫌気性菌)と嫌気的環境下および好気的環境
下のいずれでも生育できる菌(通性嫌気生菌)とが含ま
れる。偏性嫌気性菌としては、具体的には、例えばビフ
ィドバクテリウム属、プロピオニバクテリム属、ユウバ
クテリウム属、ペプトストレプトコッカス属、サルシナ
属、ルミノコッカス属、バクテロイデス属、ミツオケラ
属、ベーヨネラ属またはメガスフェラ属に属する微生物
などが挙げられる。通性嫌気生菌としては、ラクトバチ
ルス属に属する微生物などが挙げられる。
【0016】また、本発明に係る方法は、有芽胞菌であ
っても無芽胞菌であっても検出できるが、無芽胞菌の検
出に用いるのが好ましい。また、本発明に係る方法は、
グラム陽性菌であってもグラム陰性菌であっても検出で
きるが、グラム陽性菌の検出に用いるのが好ましい。さ
らに、本発明に係る方法は、桿菌または球菌であっても
検出できるが、桿菌の検出に用いるのが好ましい。特
に、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、プロ
ピオニバクテリム属、ユウバクテリウム属に属する微生
物の検出に用いるのが好ましい。
【0017】本発明においては、まず被検物質から腸内
菌のDNAを抽出する。DNAの抽出を行う前には自体
公知の前処理を行ってもよい。自体公知の前処理として
は、例えばろ過、遠心分離またはクロマトグラフィーな
どが挙げられ、これらの処置を複数回行ってもよいし、
または2種以上の処置を組み合わせて行ってもよい。具
体的には、例えば被検物質がヒトの糞便の場合、糞便約
10mgを適当な溶媒に懸濁し、約15000rpmで
遠心分離後上清を捨てるという操作を3回程度繰り返す
のが好ましい。また、DNAの抽出を行う前に、適当な
培地で腸内菌を増殖させてもよい。培地、培養条件は公
知の培養に従えばよい。特に、被検物質に多くの種類の
菌が混入している場合または混入が予想される場合は、
所望により選択培地等を用いてスクリーニングを行って
もよい。具体的には、例えば、乳酸桿菌を検出したい場
合、乳酸桿菌のみが増殖可能なLBS培地を用いて被検
物質またはその処理物を培養する方法等が挙げられる。
DNAの抽出は、自体公知の方法を用いて行うことがで
きる。例えば、ベンジルクロライド法(Nucleic Acids
Res. 21(1993):5279-5280)を挙げることができる。ま
た、菌体を緩衝液に懸濁し、N−アセチルムラミディス
SGなどの溶菌酵素を作用させて溶菌し、フェノール処
理、エタノール沈澱を繰り返し、得られる沈澱を水に溶
解することによって、染色体DNA溶液を得るという方
法を用いることもできる。また、市販の試薬を用いてよ
い。
【0018】該抽出したDNAに対しPCR−SSCP
法を適用する前に、より検出感度を上げるべく、不純物
を取り除くための自体公知の分離方法を施してもよい。
自体公知の分離方法とは、ゲルカラムクロマトグラフィ
ーやスラブゲル電気泳動等が挙げられる。これら分離方
法は、PCR終了後に行うことが好ましい。
【0019】ついで、該抽出したDNAに対しPCR−
SSCP法を適用する。PCR−SSCP法は、腸内菌
の遺伝子の一部をPCRにより増幅し、得られた二本鎖
DNA(以下、PCR産物ともいう)を熱処理などによ
り一本鎖DNAに解離し、該一本鎖DNAの高次構造を
保ったまま電気泳動を行い、泳動パターンを観察すると
いう方法である。本発明にかかるPCR−SSCP法と
しては、自体公知の方法を用いてよい。具体的には、電
気泳動の方法および電気泳動の泳動パターンを観察する
方法の違いより、図1に示したように大きく4種類の方
法が挙げられる。
【0020】電気泳動の方法としては、スラブゲル電気
泳動またはキャピラリー電気泳動などが挙げられる。ス
ラブゲル電気泳動とは、通常ポリアクリルアミドゲルや
アガロースゲルなどのゲルを支持体としてそこに電場を
加えることにより、ゲルによる分子ふるい効果により、
分子の電荷、大きさまたは形状などの違いにより試料を
分離する技術をいう。キャピラリー電気泳動とは、通常
キャピラリーと呼ばれる内径約20〜200μm程度の
高純度シリカからなる細管を用い、両端に電圧を印加す
ることで、電荷、サイズなどの違いにより試料を分離す
る技術をいう。スラブゲル電気泳動には、装置および用
いられる試薬が安価であること、分析条件が確立されて
いることなどの利点がある。一方、キャピラリー電気泳
動には、高電圧を印加することができるので短時間で測
定でき、分離能が極めてよく、数nLという微量の試料
で分析でき、分析までの準備に要する時間が短く試料の
前処理が簡単であり、高分解能を有するという利点があ
る。
【0021】電気泳動の泳動パターンを観察するため
に、PCR産物を蛍光物質などで標識しておき該標識物
質を目印に観察する方法と、PCR産物を標識しないで
電気泳動パターンを観察する方法とがある。前者のほう
は、高感度で検出できるという利点がある。一方、後者
は標識をするためにPCRを2回行う必要がないという
利点がある(図1参照)。特に、キャピラリー電気泳動
を用いて一本鎖DNAの紫外線吸収を測定する方法(図
1(A))は、電気泳動後の泳動パターンを染色する必
要もなく、最も簡便で迅速な方法である。また、銀染色
を用いる方法((図1(B))は、一本鎖DNAの大き
さが約150b程度の比較的短いDNA断片の解析に用
いるのが好ましい。
【0022】本発明にかかるPCR−SSCP法につい
て詳述する。まず第一に、PCRにより腸内菌の遺伝子
の一部を増幅する。PCRで増幅する腸内菌の遺伝子の
一部としては、16SrRNA遺伝子の一部を用いるの
が好ましく、16SrRNA遺伝子の可変領域を用いる
のがより好ましく、16SrRNA遺伝子の300R領
域を用いるのがさらに好ましい。ここで、可変領域と
は、菌種間で相互に少しずつ相違し、検出に際し指標と
なりうるだけの多様性を有している領域をいう。上記1
6SrRNA遺伝子の可変領域、好ましくは16SrR
NA遺伝子の300R領域を増幅するため、PCRで用
いるプライマーとしては、具体的には5’-AGAGTTTGATCC
TGGCTCAG-3'(27Fプライマー)および5’-CTACTGCTG
CCTCCCGTAG-3'(350Rプライマー)の組み合わせな
どが挙げられる。
【0023】PCRの手法は自体公知の手法を用いてよ
い。また、公知のPCRキットを用いてもよい。例え
ば、具体的には、上記抽出したDNA、上記プライマ
ー、熱安定性のDNAポリメラーゼおよびDNA合成に
必要な4種のヌクレオチド(dNTP)を混合する。こ
の混合物を約94〜95℃程度まで加熱して、該二本鎖
の鋳型を一本鎖に変性させる。次いで約55℃程度に冷
却して、該一本鎖の鋳型上で各プライマーをその相補的
配列にアニールさせる。次いで、温度を約72℃程度に
調節し、DNAポリメラーゼを用いて伸長反応を行い、
新たな鎖を合成する。該新たに合成した各DNA鎖は、
次のサイクルの鋳型として機能する。このサイクルを約
20〜30回程度繰り返しDNA量を増幅する。
【0024】ついで、所望により上記過程で得られたP
CR産物を蛍光標識するために、さらにPCRを行って
もよい。本発明においては、このPCRを、上記PCR
と区別するために、蛍光標識PCRという。蛍光標識P
CRは、自体公知の方法に従って行えばよいが、具体的
には、5’末端が蛍光物質で標識されたプライマーを用
いてPCRを行う方法、またはPCR反応液中に蛍光物
質で標識されたdNTPを加えてPCRを行う方法など
が挙げられる。
【0025】本発明で使用される蛍光物質は特に限定さ
れず、例えば蛍光物質を励起するのにレーザー光を使用
する場合、そのレーザー光の励起波長と蛍光物質の発光
波長との組み合わせを考慮して決定することができる。
本発明で使用できる蛍光物質として具体的には、例え
ば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC),イ
ソチオシアン酸エオシン(EITC),イソチオシアン
酸テトラメチルローダミン(TMRITC),置換イソ
チオシアン酸ローダミン(XRITC),スルホローダ
ミン101酸クロリド(登録商標;テキサスレッド)な
どが挙げられる。励起光源として波長が594nmのH
e−Neレーザーを使用する場合、蛍光色素は励起極大
波長が596nm、発光極大波長が615nmのテキサ
スレッドを使用することが好ましい。また、波長が48
8nmのアルゴンイオンレーザーを使用する場合、蛍光
色素はFITCを使用することが好ましい。化学発光試
薬などを使用することも可能である。この場合、PCR
の際にプライマーとDNA鎖のハイブリッド化を妨げた
り、ポリメラーゼによる3´末端方向への伸長反応を妨
げたりしないほうが好ましい。
【0026】上記5’末端が蛍光標識されたプライマー
を用いてPCRを行う方法において、該プライマーへの
蛍光物質の付加は、自体公知の方法を用いてよい。具体
的には、例えば、DNA合成機で該プライマーを化学合
成し、その際にプライマーの5’末端にアミノ基を付加
し、その部位に蛍光色素を化学結合させるという方法が
挙げられる。ここで、プライマーの5’末端へのアミノ
基の付加もDNA合成機で容易に行うことができる。蛍
光標識されたプライマーは、所望により、例えば逆相H
PLCなど自体公知の方法を用いて精製してもよい。該
標識プライマーを用いて、上述と同様にPCRを行うこ
とにより、蛍光物質で標識されたPCR産物を得ること
ができる。
【0027】上記PCR反応液中に蛍光物質で標識され
たdNTPを加えてPCRを行う方法においては、PC
Rの際に4種のdNTPを加えるとともに、蛍光物質、
好ましくはビオチン、ジゴキシゲニン、FITC、TR
ITCで標識された1種または複数種、好ましくは1種
のdNTPを加える。より好ましくは、ビオチン標識d
CTP、ジゴキシゲニン標識dUTP、FITC標識d
GTPまたはTRITC標識dCTPを加えてPCRを
行うのが好ましい。
【0028】所望により増感剤を加えてもよい。増感剤
を加えると、一層高感度な検出が可能となるからであ
る。例えば、ビオチン標識dCTPを用いた場合には、
ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ
(HRP)を標識された一本鎖DNAに結合させ、ついで
過酸化水素と増感剤とを用いると蛍光強度が増大する。
増感剤としては、フルオレセイン−チラミド(NEN Life
Science Products製)またはフロレスチン(モレキュラ
ープローブ製)などが挙げられる。
【0029】上記PCR産物を標識するための蛍光物質
の代わりに、放射性同位体を用いてもよい。標識となり
うる放射性同位体としては、例えば、[3H]、
32P]、[33P]、[35S]または[14C] などが
挙げられるが、これに限定されるのもではない。
【0030】ついで、本発明においては、上記PCRに
より増幅された二本鎖DNA断片(PCR産物)を一本
鎖DNAに解離する。その方法は自体公知の方法を用い
てよいが、例えば、約70〜100℃程度で、約3〜1
0分程度加熱する加熱処理、またはホルムアミドなどの
変性剤を用いる処理などが挙げられる。これら処理を組
み合わせてもよい。本発明においては、熱処理を行うこ
とが好ましい。
【0031】ついで、本発明においては、上記一本鎖D
NAを電気泳動に付する。電気泳動としては、上述のよ
うにスラブゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動な
どが挙げられ、これらはいずれも自体公知の装置を用い
て自体公知の方法に従って行えばよい。
【0032】キャピラリー電気泳動を用いた方法(図1
の(A)または(C))について、以下に詳述する。キ
ャピラリー電気泳動は、内径が約200μm以下程度の
キャピラリーに電気泳動液を満たし、一端から上述の一
本鎖DNAを注入して高電圧を印加することによって種
々の高次構造をとった一本鎖DNAを分離する手法であ
る。径の小さいキャピラリーの使用により、スラブゲル
電気泳動の場合と同様に対流が抑えられるため高い分離
能を示し、また高電圧を印加することができるので短時
間(約10〜30分程度)で測定できる。分離の場が微
小であるので、微量の試料で足りる。また、分析までの
準備に要する時間が短く、取り扱いが容易である。さら
に、キャピラリーがカラムと検出部とを兼ねており、溶
媒の充填、試料の注入、電圧の印加、検出の一連の操作
を自動化することができる。キャピラリー電気泳動は、
このような利点を持つ。
【0033】キャピラリー電気泳動装置は、自体公知の
ものを用いてよい。また、市販の装置を用いることもで
きる。より具体的に、装置の一態様を図2を用いて以下
に説明する。キャピラリーチューブ22は、好ましくは
約10〜200cm、より好ましくは約100cm以下
の長さ、および好ましくは約10〜200μm、より好
ましくは約100μm程度の内径を有する電気泳動液の
カラムを支持することができるチューブまたは導管であ
る。陰極貯槽26には電気泳動液28が入れられてい
る。22aで示されるキャピラリーチューブの陰極端を
貯槽26内に挿入する。陰極貯槽26の第2のチューブ
30は細かく制御できる空気圧システム(図には示して
いない)に連結されおり、電気泳動液を正の圧力により
チューブに装填するために用いられる。また逆に、空気
圧システムはキャピラリーチューブを通って溶液を引き
出すための減圧システムであってもよい。試料貯槽31
には一本鎖DNAを含有する溶液(以下、試料という)
が入っている。試料貯槽31は陰極貯層26の近傍にお
き、キャピラリーチューブの陰極端22aを陰極貯層2
6から出して代わりに試料貯槽31に移入できるように
しておく。また、試料貯槽31と陰極貯槽とをカルーセ
ル等(図示せず)で連結し、上記空気圧システムによっ
て試料を陰極貯槽内の電気泳動液と混合させるようにな
っていてもよい。22bで示されるキャピラリーチュー
ブの反対側の陽極端を、陽極貯槽34に挿入する。陽極
貯槽34には陽極電気泳動液32が入っている。陽極貯
槽34の第2のチューブ36は、貯槽26のチューブ3
0と同様に、電気泳動液をチューブに装填するため溶液
32にかかる圧力を制御すべく空気圧システムに接続さ
れている。従って、通常は電解質溶液28と32の組成
はキャピラリーチューブ中の電気泳動液と同一である。
試料装填と続く電気泳動による試料分離のため、電気泳
動液を充填したキャピラリーチューブと電極貯槽はチュ
ーブを通る正味の液体流が少ししかまたは全くないよう
に配置するのが好ましい。これは電極貯槽26と34の
液面を同じ高さに保ち、あるいは2つの溶液にかかる圧
力を制御することにより達成できる。システムの高電圧
供給器40は図に示されるように陰極貯槽26および陽
極貯槽34に連結し、2つの貯槽間に選択された電位を
印加する。電圧供給リード線は、それぞれ、陰極および
陽極貯槽のプラチナ電極41と42に連結される。シス
テム中の検出器44はキャピラリーチューブの陽極端付
近に配置され、チューブ内の検出ゾーン45を通って移
動する試料ピークをモニターする。ポリイミド被覆キャ
ピラリーチューブの場合には、かかる光学検出ゾーン4
5には外部にポリイミドコーティングを施さず、キャピ
ラリーチューブに小さい窓を作るように処理しておく。
検出器は特定波長の紫外線吸収を検出するために、およ
び/または例えば蛍光放射検出またはラジオアイソトー
プ検出のために設計されている。
【0034】上記装置を用いて、例えば次のような手順
で操作する。キャピラリーチューブを適当なすすぎ溶液
を通して完全に洗浄する。このとき、キャピラリーチュ
ーブを適当なすすぎ液貯槽に挿入し、かかるすすぎ液貯
槽に圧力を加えることにより行ってもよいし、注射器に
よりすすぎ液を注入して洗浄してもよい。ついで、電気
泳動液を使用して同様にして装置を共洗いした後、電気
泳動液をキャピラリーチューブ22内に充填する。次に
試料貯槽31からキャピラリーチューブ22へ試料を注
入する。その方法は特に問わないが、具体的には加圧
法、落差法または電気泳動法が挙げられる。加圧法と
は、窒素ガス等により試料貯槽31に圧力を加えて試料
の注入を行う方法である。落差法とは、キャピラリーチ
ューブの陽極端22bを陽極電気泳動液32に浸し、キ
ャピラリーチューブの陰極端22aを試料貯層31に浸
し、試料貯層31の液面の高さを陽極貯槽34の液面の
高さより高くすることで水圧により試料を注入する方法
である。電気泳動法とは、キャピラリーチューブの陽極
端22bを陽極電気泳動液32に浸し、キャピラリーチ
ューブの陰極端22aを試料貯層31に浸し、短い高電
圧パルスをチューブの両端を横切って印加する(例え
ば、6kVを5秒間)ことにより、試料を注入する方法
である。本発明おいては、電気泳動法を用いるのが好ま
しい。試料のイオン強度が電気泳動液より低いので、こ
の手法を用いると試料を濃縮することができるからであ
る。次に、キャピラリーチューブ端22aを陰極貯槽2
6に移入し、特定の高次構造をとった一本鎖DNAが検
出ゾーンを通過するまで分離電圧を印加する。このとき
の電圧は、キャピラリーチューブ1cmあたり約100
〜1000V程度、好ましくは約200〜800V程
度、より好ましくは約300〜500V程度が好適であ
る。
【0035】検出ゾーン45での検出は、DNAが紫外
線を吸収する性質を利用して、約200〜300nm、
より好ましくは約250〜270nmの波長の吸光度変
化を見るフォトダイオード検出器、またはその吸収スペ
クトルを測定するフォトダイオードアレイ検出器を用い
て行うのが、最も簡便で迅速な方法である。また、一本
鎖DNAに蛍光標識をした場合には、蛍光放射検出を行
うことができる。これにより、高感度の検出が可能にな
る。蛍光放射検出は、用いた蛍光物質によって異なる
が、好ましくは約240〜600nmに調整できる1また
はそれ以上の選択された励起波長で行われる。検出器は
励起源としてアルゴンレーザーを用いるのが好ましい。
より好ましくは、共焦の光学配置を使用する(例えば、
Huangら、1992)。電気泳動ピークを記録するため、検
出器を積分器/プロッター46に連結する。磁気媒体等
のデーター貯蔵のためのコンピューターに連結してあっ
てもよい。一方、蛍光物質で標識する代わりに放射性同
位体を用いた場合は、ラジオアイソトープ検出を行うこ
とができる。ラジオアイソトープ検出は、例えば、3
または14Cのための改良されたHPLCアイソトープ検
出器を使用して行うことができる(ラジオマチック イ
ンストルメンツアンド ケミカル社製、メリデン C
T)。32P標識ピークの検出のため、半導体またはシン
チレーションに基づくラジオアイソトープ検出器装置を
使用することができる(Pentonyら、1989a、b)。ガン
マ線検出のために配列した検出器も使用できる(例え
ば、Altariaら、1990)。さらに、キャピラリーチュー
ブと適当な検出手段を複数組み合わせることにより、多
数の試料を同時に分析することもできる。
【0036】本発明で用いるキャピラリーチューブは、
溶融シリカキャピラリーチューブを用いるのが好まし
い。該チューブは外部をポリイミドでコーティングして
構造上の剛性を持つものが好ましい。溶融シリカキャピ
ラリーチューブに電気泳動液を満たすと、内壁表面のシ
ラノール基が解離して負電荷に帯電するが、これを抑え
るために自体公知のマスキングをしてもよい。
【0037】本発明においては、スラブゲル電気泳動と
同様に、キャピラリー内にゲルを作成し電気泳動液によ
って分離させるという方法をとることができる。具体的
には、例えば、ポリアクリルゲルを作成する場合、アク
リルアミド単量体とビスアクリルアミドなどの重合剤と
を混合直後にキャピラリーチューブ内に充填し重合・架
橋反応をキャピラリーチューブ内で進行させてゲルを形
成させればよい。また、重合・架橋反応が起こらないよ
うな低温でアクリルアミド単量体と重合剤の混合溶液を
キャピラリー内に注入し、温度を上げてゲルを形成させ
るという方法もある。電気泳動液は、トリス緩衝液また
はフタル酸緩衝液等自体公知のものを用いてよい。
【0038】また、本発明においては、上述のようにキ
ャピラリーチューブ内でゲルを作成する代わりに、水溶
性高分子溶液をキャピラリーに充填して電気泳動する方
法(これを高分子溶液電気泳動という)を採用すること
もできる。水溶性高分子溶液を用いても、溶液中の高分
子の絡み合いによる網目構造や、該水溶性高分子と一本
鎖DNAとの相互作用により、特定の高次構造を持つ一
本鎖DNAを分離することができる。この方法を採用す
ることにより、ゲルを作成する手間が省け、キャピラリ
ーチューブに泳動液を容易に充填することができ、ま
た、測定ごとに泳動液を容易に取り替えることができ
る。さらに、該水溶性高分子の種類または濃度を変える
だけで、異なった選択性の分離を行うことができる。上
記水溶性高分子溶液としては、自体公知のものを用いて
よいが、具体的には、例えば、セルロース誘導体、デキ
ストランなどの多糖類、ポリエチレンオキシド(ポリエ
チレングリコール)、非架橋の線状ポリアクリルアミド
などが挙げられる。ここで、線状ポリアクリルアミド
は、架橋剤を存在させずにアクリルアミド単量体から形
成させたポリマーをさす。これらの溶液には、当業界で
用いられている他の成分が含有されていてもよい。
【0039】上記キャピラリーチューブ内の電気泳動液
または水溶性高分子溶液にDNAにインターカレーショ
ンする成分を含有させてもよい。これにより電気泳動の
分離能が改善するので、本発明においては該成分を含有
させるのが好ましい。DNAにインターカレーションす
る成分とは、通常、例えばアクリジン色素のような2本
鎖DNAに挿入される平面状分子を意味するが、本発明
においては高次構造を有する1本鎖に挿入される分子を
も含む概念である。DNAにインターカレーションする
成分としては、例えばYO−PRO−1などが挙げられ
る。本発明においては、YO−PRO−1を約0.02
〜0.5μM程度、好ましくは約0.2μM程度含有さ
せることが好適である。
【0040】以下、スラブゲル電気泳動を用いた方法
(図1の(B)または(D))について詳述する。泳動
用ゲルは、電気泳動する一本鎖DNAの大きさによって
異なるので一概には言えないが、変性剤が添加されてい
ないポリアクリルアミドゲルを用い行うのが好ましい。
なぜなら、上記一本鎖DNAは各鎖の塩基配列に依存し
た独自の高次構造をとっており、その高次構造を保持し
たままで電気泳動させる必要があり、変性剤を加えると
一本鎖DNAが鎖状になってしまう場合があるからであ
る。泳動用ゲルのゲル濃度は、電気泳動をする一本鎖D
NAの大きさが約250〜350bp程度の場合は約1
0%程度が好ましく、該一本鎖DNAの大きさが約15
0〜250bp程度の場合は約12%程度が好ましく、
該一本鎖DNAの大きさが約100〜150bp程度の
場合は約15%程度が好ましい。
【0041】泳動用ゲルの組成としては、具体的には、
アクリルアミドとN,N’−メチレンビスアクリルアミ
ドとを約20〜99:1程度で混合した約50重量%ア
クリルアミド液を約10〜15重量部程度、TEB液
(約0.9M Trizmabase、約0.9M ホ
ウ酸、約20mM EDTA)を約1〜10重量部程
度、約1.6重量%程度の過硫酸アンモニウムを約30
〜40重量部程度、TEMED(N,N,N’,N’−
テトラエチルメチルエチレンジアミド)を約0.001
重量部程度含み、残りがイオン交換水からなるゲルが挙
げられる。所望により、約50重量%程度のグリセロー
ル溶液を約5〜10重量部程度含有させてもよい。ま
た、電気泳動の際の緩衝液としては、例えば、トリス−
グリシン緩衝液(25mM トリス、192mM グリ
シン)または上記TEB液を用いることができる。
【0042】電気泳動の条件も自体公知の条件に従って
よいが、約100〜500V程度より好ましくは約20
0〜300V程度の定電圧、または約10〜50W程
度、より好ましくは約20〜30W程度の定電力で行う
のが好ましい。電気泳動中の温度は、好ましくは約4〜
30℃程度、より好ましくは約15〜25℃程度が好適
である。また、泳動時間は、塩基配列または温度等によ
り異なるので、一概には言えないが、約1〜4時間程度
が好ましい。
【0043】本発明においては、ついで、一本鎖DNA
の電気泳動の泳動パターンを観察する。その方法は自体
公知の方法に従ってよいが、標識の有無または電気泳動
の方法により、図1(B)または(D)に示した観察方
法を用いるのが好ましい。図1の(B)の場合は、電気
泳動後の一本鎖DNAを染色することにより泳動パター
ンを観察できる。染色方法は自体公知の方法を用いてよ
いが、具体的にはエチジウムブロマイド染色または銀染
色が挙げられる。エチジウムブロマイド染色は自体公知
の方法に従って行えばよい(Maniatisらの19
82年編、Molecular Cloning:A L
aboratory Manual、New York、
Cold Spring Harbor Laborat
ory)。具体的には、エチジウムブロマイドモノマー
またはエチジウムブロマイドダイマーのいずれかを含む
染色剤で染色し、約600nmの波長域でのエチジウム
ブロマイドによる蛍光波長の蛍光強度の分布パターンを
観察する。銀染色も自体公知の方法に従って行えばよい
(Bassam,B.J.,et al.(1991)"Fast and sensitive silv
er staining of DNA in polyacrylamide gels,"Anal.Bi
ochem.196:80-83)。また、市販の銀染色キット(ファー
マシア-LKB銀染色キット(Phast Gel Silver Kit Instr
uction Mannual,Pharmacia LKB Biotechnology,Pisca
taway,NJ,1987))も適宜使用できる。
【0044】図1の(D)の場合は、電気泳動後、ゲル
乾燥機でゲルを乾燥させる等公知の処理を所望により行
った後、X線フィルムに感光させることより、電気泳動
パターンを観察することができる。また、紫外線照射下
で電気泳動パターンを観察することもできる。このと
き、移動度の差がわずかな場合には感光時間を短くし、
シグナルが弱い場合には感光時間を長くするのが好まし
い。また、標識として蛍光物質の代わりに、放射性同位
体を用いた場合は、オートラジオグラフィーを用いて泳
動パターンを容易に観察できる。
【0045】また、図1の(D)の場合、蛍光シークエ
ンサーを用いて泳動パターンを観察する方法を用いても
よい。該方法として、より具体的には、該蛍光標識され
た一本鎖DNAを蛍光シーケンサーのスラブゲル電気泳
動板の泳動レーンに注入して電気泳動することによりゲ
ル電解質層内を移動させ、一定距離を移動した該蛍光標
識一本鎖DNAに励起光を照射し、この蛍光標識一本鎖
DNAが発する蛍光を測定することにより電気泳動の泳
動パターンを観察するという方法が挙げられる。本発明
において使用される蛍光シークエンサーは自体公知のも
のを使用することができる。
【0046】上記方法について、さらに詳述すると、具
体的には、蛍光シークエンサーの泳動板中のゲル電解質
層の各泳動レーン上端の凹部に蛍光物質で標識された一
本鎖DNAを所定量注入し、前記電解質層に電圧を印加
し該蛍光物質で標識された一本鎖DNAを泳動させ、前
記凹部より所定の距離を隔てた位置で、レーザ光を泳動
してきた蛍光標識一本鎖DNAに照射し、放出された蛍
光を蛍光検出手段で受光し、この受光信号を出力するこ
とにより泳動パターンを観察できる。
【0047】以上述べてきた本発明にかかるPCR−S
SCP法においては、PCRによって増幅されたDNA
領域の塩基配列が1塩基でも異なれば、その相違により
一本鎖DNAの高次構造が変化するので、その相違は泳
動速度(移動度)の差として検出することができる。し
たがって、例えば、被検物質から抽出されたDNAの泳
動パターンを観察し、既知菌種のDNAの泳動パターン
と比較することにより菌種を同定することができる。こ
の場合、複数種の既知菌種のDNA泳動パターンがあれ
ば、該複数菌種の同定を同時に行うこともできる。この
ような菌種の同定の際には、既知菌種のDNAの電気泳
動と、被検物質から抽出されたDNAの電気泳動とを別
々に行ってもよいが、既知菌種のDNAをマーカーとし
て被検物質から抽出されたDNAを電気泳動させるのが
好ましい。複数菌種の同定の場合も、複数のマーカーを
用いて被検物質から抽出されたDNAを電気泳動させる
のが好ましい。
【0048】また、例えば、被検物質に特定の菌種以外
の菌種が存在していないかを確かめる目的など菌種を同
定する必要がない場合には、特にマーカーとなるDNA
を用いなくても、複数の泳動パターンが一致しているか
否かを観察することにより、容易に確認できる。すなわ
ち、複数の泳動パターンが一致していれば、被検物質に
特定の菌種以外の菌種が存在していないし、1つでも異
なった泳動パターンを示していれば、特定の菌種以外の
菌種が存在している可能性があると判断できる。
【0049】本発明は、上述した腸内菌の検出方法に用
いる検出キットにも関する。該検出キットは自体公知の
形態を採っていてもよい。しかし、(a)被検物質から
DNAを抽出するためのDNA抽出キット、(b)PC
Rキットおよび(c)電気泳動キットを含むものが好ま
しい。所望により(d)蛍光標識PCRキット、または
(e)染色キットを組み合わせてもよい。例えば、
(a)被検物質からDNAを抽出するためのDNA抽出
キットとしては、菌体を懸濁するための緩衝液、N−ア
セチルムラミディスSGなどの溶菌酵素、フェノール処
理に用いる試薬、エタノール沈澱のための試薬等を含む
キットが挙げられる。また、(b)PCRキットとして
は、プライマー、TaqDNAポリメラーゼ、PCR緩
衝液(約500mM KCl、約100mM トリス−
HCl(pH8.3)、約15mM MgCl、約
0.1(w/v)%ゼラチン)、4dNTPを含有する
キットが挙げられる。また、(d)蛍光標識PCRキッ
トとしては、上記PCRキットにおいてプライマーの代
わりに蛍光物質で標識されたプライマーを用いたキット
が挙げられる。また、上記PCRキットにおいて、さら
に蛍光物質で標識されたdNTPを含んだキットであっ
てもよい。
【0050】また、(c)電気泳動キットとしては、キ
ャピラリー電気泳動を用いる場合は以下のようなキット
が挙げられる。長さが好ましくは約10〜200cm、
より好ましくは約100cm以下、および内径が好まし
くは約10〜200μm程度、より好ましくは約100
μm程度である溶融シリカキャピラリーチューブと、電
気泳動用ゲルを作成するための、例えばアクリルアミド
とN,N’−メチレンビスアクリルアミドとを約20〜
99:1程度で混合した約50重量%アクリルアミド液
と、トリス緩衝液またはフタル酸緩衝液等の電気泳動液
とが含まれているキットが挙げられる。または、電気泳
動用ゲルおよび電気泳動液の代わりに、水溶性高分子溶
液、好ましくはセルロース誘導体、デキストランなどの
多糖類、ポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコー
ル)、非架橋の線状ポリアクリルアミドなどを含有する
キットであってもよい。キャピラリー電気泳動キットと
して、電気泳動液または水溶性高分子溶液に、さらにD
NAにインターカレーションする成分を含有させてもよ
い。これにより電気泳動の分離能を改善することができ
る。DNAにインターカレーションする成分としては、
例えばYO−PRO−1などが挙げられる。本発明にお
いては、YO−PRO−1を電気泳動液または水溶性高
分子溶液に約0.02〜0.5μM程度、好ましくは約
0.2μM程度含有させることが好適である。
【0051】スラブゲル電気泳動を用いる場合は、例え
ば、アクリルアミドとN,N’−メチレンビスアクリル
アミドとを約20〜99:1程度で混合した約50重量
%アクリルアミド液を約10〜15重量部程度、TEB
液(0.9M Trizmabase、0.9Mホウ
酸、20mM EDTA)を約1〜10重量部、約1.
6重量%程度の過硫酸アンモニウムを約30〜40重量
部程度、TEMED(N,N,N’,N’−テトラエチ
ルメチルエチレンジアミド)を約0.001重量部、所
望により50%程度のグリセロール溶液を約5〜10程
度含み、残りがイオン交換水からなる電気泳動ゲル、お
よび例えば、トリス−グリシン緩衝液(25mM トリ
ス、192mM グリシン)または上記TEB液などの
電気泳動用緩衝液を含有するキットが挙げられる。
【0052】(e)染色キットとしては、銀染色キット
またはエチジウムブロマイド染色キットなどが挙げられ
る。これらは、自体公知のキットを用いてよい。
【0053】
【実施例】〔実施例1〕 (菌体の培養)Bifidobacterium bifidum JCM1255およ
B.longum JCM1217を GAM培地(日水製薬株式会社製)
で37℃、一晩培養し、遠心分離して得られた沈殿物を菌
体とした。 (DNAの抽出)それぞれの菌体をTE buffer(10mM Tris-C
l・1mM EDTA / pH8.0)で2回洗浄し、InstageneTM Matri
x(BIO-RAD社製)を200μl加え、56℃、30分間インキュベ
ートした。その後、98℃、10分間熱処理し、12000rpmで
2分間遠心し、得られた上清をDNA溶液とした。 (16SrRNA遺伝子300R領域の増幅)16SrRNA遺伝子300R領
域の増幅は以下の条件で行った。
【表1】 (SSCP解析)得られたPCR産物を98℃、5分間熱処理後急
冷し、一本鎖に解離したDNAをキャピラリー電気泳動装
置(BECKMAN社製 P/ACE MDQ)を用いて下記の条件で行
った。 キャピラリー:内径100μm、全長40.2cm、有
効長 30cm 電気泳動液 :50mM トリスホウ酸、0.7重量%
メチルセルロース、0.2μM YO−PRO−1 分離電圧 :300V/cm 温度 :25℃ 検出波長 :254nm
【0054】図3に示すように、B.bifidumB.longum
を同時に解析した場合、4本のピークが確認され、これ
B.bifidumB.longumのDNAをそれぞれ同量添加して解
析を行うと、それぞれの菌由来のピークが増大されるこ
とから、本方法を用いれば菌種特異的なパターンを示
し、菌種同定が可能であることがわかった。また、下記
の表2に示すように、同じ試料を用いて9回の繰り返し
実験を行い、各ピークの泳動時間、移動度および相対移
動度について検討したところ、RSD(内部標準として加
えた500bpのDNAフラグメントに対する泳動時間
の相対標準偏差)が0.2〜0.4%であり極めて良好な結果
が得られた。なお、表中「500」は、500bpのD
NAフラグメントを表す。また、相対移動度は、500
bpのDNAフラグメントを基準として算出した。
【表2】 なお、移動度の単位は、×10cm−1−1
ある。
【0055】さらに下記表3に示すように、個別に調製
した試料を用いて6回の実験を行い再現性について検討
したところ、RSDは同様に0.2〜0.4%であり、本方法にお
ける菌種同定の再現性が確認された。なお、相対移動度
は、B.bifidum2を基準として算出した。
【表3】 なお、移動度の単位は、×10cm−1−1
ある。
【0056】〔実施例2〕 (菌体の培養)Lactobacillus gasseri JCM1131および
L.acidophilus JCM1132を GAM培地(日水製薬株式会社
製)で37℃、一晩培養し、遠心分離して得られた沈殿物
を菌体とした。DNAの抽出および16SrRNA遺伝子300R領域
の増幅は実施例1と同様に行い、SSCP解析はキャピラリ
ー電気泳動装置(BECKMAN社製、商品名P/AC
E MDQ)を用いて、下記の条件で行った。 キャピラリー:内径100μm、全長40.2cm、有
効長 30cm 電気泳動液 :50mM トリスホウ酸、0.7重量%
メチルセルロース、0.2μM YO−PRO−1 分離電圧 :500V/cm 温度 :25℃ 検出波長 :254nm
【0057】図4に示すように、L.gasseriL.acidoph
ilusを同時に解析した場合、4本のピークが確認され、
これにL.gasseriL.acidophilusのDNAをそれぞれ同量
に添加して解析を行うと、それぞれの菌由来のピークが
増大されることから、本方法を用いれば菌種特異的なパ
ターンを示すことがわかった。また図5に示すように、
L.gasseriL.acidophilusの混在した状態から、DNAを
抽出、PCR増幅を行い、SSCP解析を行った場合でも同様
に菌種特異的なパターンを示すことから、複数の細菌の
混在下でも、本方法により菌種同定が可能であることが
わかった。
【0058】
【発明の効果】本発明にかかるPCR−SSCP法を用
いた腸内菌の検出方法は、被検物質から抽出するDNA
の純度が高純度である必要がなく、またたとえ複数の細
菌のDNAが混在していたとしても菌種ごとに独自のパ
ターンを示すため、複数の腸内菌を同時に検出できると
いう利点がある。また、本発明にかかる腸内菌の検出方
法においては、電気泳動を一回行えば十分に腸内菌の検
出ができるため、迅速な検出が可能になる。特に、キャ
ピラリー電気泳動を用いて一本鎖DNAの紫外線吸収を
測定する方法(図1(A))は、腸内菌の遺伝子の一部
を増幅するために1回だけPCRを行えばよく、電気泳
動後の泳動パターンを染色する必要もないので、最も簡
便で迅速な解析法である。また、本発明においてキャピ
ラリー電気泳動を用いることにより高感度な検出が可能
になる。さらに蛍光物質で標識されたDNAを用いれ
ば、さらに検出の感度を上げることができる。本発明に
係るPCR−SSCP法を用いた腸内菌の検出方法は確
立された手法に従って行えばよいので試験者の熟練は必
要とせず、また試験者の恣意的な判断が入る余地がない
ので客観性に優れている。本発明は、上記のような利点
を有する腸内菌の検出方法に使用する検査キットも提供
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる腸内菌の検出方法の手順を示
した図である。
【図2】 キャピラリー電気泳動装置の概略図である。
【図3】 (3a)は、実施例1におけるB.bifidum
B.longumの混合溶液の解析結果を示す。(3b)は、B.
bifidumB.longumの混合溶液にさらにB.bifidumのDN
Aを加えた混合溶液の解析結果を示す。図中のb1およ
びb2は、B.bifidumDNA由来のシグナルを示す。す
なわち、B.bifidumDNAは2本鎖であり、本検出法で
は1本鎖DNAに解離させるのでシグナルが2つ検出さ
れる。(3c)は、B.bifidumB.longumの混合溶液に
さらにB.longumのDNAを加えた混合溶液の解析結果を
示す。図中のl1およびl2は、B.longumDNA由来の
シグナルを示す。
【図4】 (4a)は、実施例2におけるL.gasseri
L.acidophilusの混合溶液の解析結果を示す。(4b)
は、L.gasseriL.acidophilusの混合溶液にさらにL.ac
idophilusのDNAを加えた混合溶液の解析結果を示
す。図中のa1およびa2は、L.acidophilusDNA由
来のシグナルを示す。(4c)は、L.gasseriL.acido
philusの混合溶液にさらにL.gasseriのDNAを加えた
混合溶液の解析結果を示す。図中のg1およびg2は、
L.gasseriDNA由来のシグナルを示す。
【図5】 (5a)は、実施例2におけるL.gasseri
L.acidophilusの混合溶液の解析結果を示す。(5b)
は、さらにL.gasseriL.acidophilusのDNAをそれぞれ
同量添加した混合溶液の解析結果を示す。
【符号の説明】
22 キャピラリーチューブ 22a キャピラリーチューブの陰極端 22b キャピラリーチューブの陽極端 26 陰極貯槽 28 陰極電気泳動液 30 チューブ 31 試料貯槽 32 陽極電気泳動液 34 陽極貯槽 36 チューブ 40 高電圧供給器 41、42 プラチナ電極 44 検出器 45 検出ゾーン 46 積分器/プロッター
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月16日(2001.5.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】
【発明の効果】本発明にかかるPCR−SSCP法を用
いた腸内菌の検出方法は、被検物質から抽出するDNA
の純度が高純度である必要がなく、またたとえ複数の細
菌のDNAが混在していたとしても菌種ごとに独自のパ
ターンを示すため、複数の腸内菌を同時に検出できると
いう利点がある。また、本発明にかかる腸内菌の検出方
法においては、電気泳動を一回行えば十分に腸内菌の検
出ができるため、迅速な検出が可能になる。特に、キャ
ピラリー電気泳動を用いて一本鎖DNAの紫外線吸収を
測定する方法(図1(A))は、腸内菌の遺伝子の一部
を増幅するために1回だけPCRを行えばよく、電気泳
動後の泳動パターンを染色する必要もないので、最も簡
便で迅速な解析法である。また、本発明においてキャピ
ラリー電気泳動を用いることにより高感度な検出が可能
になる。さらに蛍光物質で標識されたDNAを用いれ
ば、さらに検出の感度を上げることができる。本発明に
係るPCR−SSCP法を用いた腸内菌の検出方法は確
立された手法に従って行えばよいので試験者の熟練は必
要とせず、また試験者の恣意的な判断が入る余地がない
ので客観性に優れている。本発明は、上記のような利点
を有する腸内菌の検出方法に使用する検査キットも提供
する。
【配列表】 <110> BIOFERMIN PHARMACEUTICAL CO., LTD. <120> A method for detecting intestinal bacteria by the polymerase chain reaction single-strand conformation polymorphism techniques <130> DB02J251 <140> JP 2000-328147 <141> 2000-10-27 <160> 2 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <221> <222> <223> 27F primer <400> 1 agagtttgat cctggctcag 20 <210> 2 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <221> <222> <223> 350R primer <400> 2 ctactgctgc ctcccgtag 19
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/33 G01N 21/64 F 4B029 21/64 21/78 C 4B063 21/78 33/569 F 27/447 33/58 A 33/569 (C12Q 1/04 33/58 C12R 1:225) //(C12Q 1/04 (C12Q 1/04 C12R 1:225) C12R 1:01) (C12Q 1/04 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:01) G01N 27/26 315K 315F 315G 325A 325E (72)発明者 嶋川 真木 兵庫県神戸市西区井吹台東町七丁目3−4 ビオフェルミン製薬株式会社神戸工場内 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA16 CA03 DA02 DA05 DA08 EA01 EA19 FA02 GA07 GB19 KA03 KA09 LA01 LA03 NA01 NA06 2G045 AA28 DA12 DA13 FA27 FA29 FB05 FB07 FB12 GC10 GC15 2G054 BB03 CA22 EA03 EA04 GA02 GA04 GB01 GB02 2G059 AA01 BB12 CC16 DD03 DD12 DD16 EE01 EE07 FF03 FF12 FF13 GG01 HH03 KK01 KK04 MM01 MM04 MM10 4B024 AA11 CA01 CA09 HA11 4B029 AA07 AA23 BB20 CC01 FA03 4B063 QA01 QA18 QQ03 QQ06 QQ42 QR08 QR32 QR39 QR42 QR62 QR66 QS03 QS16 QS25 QS36 QX02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腸内菌の遺伝子の一部をPCRにより増
    幅し、得られた二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離し、
    該一本鎖DNAをキャピラリー電気泳動し、その泳動パ
    ターンを観察することを特徴とする腸内菌の検出方法。
  2. 【請求項2】 キャピラリー電気泳動により分離された
    一本鎖DNAの250〜270nmの波長における吸光
    度を測定することにより、一本鎖DNAの泳動パターン
    を観察することを特徴とする請求項1に記載の腸内菌の
    検出方法。
  3. 【請求項3】 腸内菌の遺伝子の一部をPCRにより増
    幅し、ついで蛍光標識PCRにより得られた二本鎖DN
    Aを蛍光標識し、蛍光標識された二本鎖DNAを一本鎖
    DNAに解離し、該蛍光標識された一本鎖DNAをキャ
    ピラリー電気泳動し、該蛍光標識一本鎖DNAの蛍光強
    度を測定することにより一本鎖DNAの泳動パターンを
    観察することを特徴とする請求項1に記載の腸内菌の検
    出方法。
  4. 【請求項4】 キャピラリー電気泳動が水溶性高分子溶
    液を含有する泳動液を用いることを特徴とする請求項1
    〜3に記載の腸内菌の検出方法。
  5. 【請求項5】 泳動液が、さらにDNAにインターカレ
    ーションする成分を含有することを特徴とする請求項4
    に記載の腸内菌の検出方法。
  6. 【請求項6】 腸内菌の遺伝子の一部が、16SrRN
    A遺伝子の300R領域であることを特徴とする請求項
    1〜5に記載の腸内菌の検出方法。
  7. 【請求項7】 腸内菌がラクトバチルス属(Lactobacil
    lus)菌または/およびビフィドバクテリウム属(Bifid
    obacterium)菌に属する微生物であることを特徴とする
    請求項1〜6に記載の腸内菌の検出方法。
  8. 【請求項8】 PCRキットおよびキャピラリー電気泳
    動キット、所望により蛍光標識PCRキットを含有する
    ことを特徴とする請求項1〜7に記載の検出方法を実施
    するためのキット。
  9. 【請求項9】 キャピラリー電気泳動キットが、セルロ
    ース誘導体、多糖類、ポリエチレンオキシドまたは非架
    橋の線状ポリアクリルアミドからなる水溶性高分子溶
    液、および所望によりDNAにインターカレーションす
    る成分を含有することを特徴とする請求項8に記載の検
    出キット。
  10. 【請求項10】 さらに、被検物質からDNAを抽出す
    るためのDNA抽出キットを含有することを特徴とする
    請求項8または9に記載の検出キット。
JP2000328147A 2000-10-27 2000-10-27 Pcr−sscp法による腸内菌の検出方法 Withdrawn JP2002125694A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3056567A1 (en) * 2013-10-07 2016-08-17 Mitsui Chemicals, Inc. Pcr primer set for bacterial dna amplification, kit for detecting and/or identifying bacterial species, and method for detecting and/or identifying bacterial species
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WO2024042229A1 (en) * 2022-08-25 2024-02-29 Chr. Hansen A/S Bifidobacterium strains with improved stability

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US11391696B2 (en) 2019-02-08 2022-07-19 Shimadzu Corporation Microchip electrophoresis apparatus and microchip electrophoresis method
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