JP2002125340A - モータ、その製造方法およびそれに用いるインサータ - Google Patents

モータ、その製造方法およびそれに用いるインサータ

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JP2002125340A
JP2002125340A JP02235798A JP2235798A JP2002125340A JP 2002125340 A JP2002125340 A JP 2002125340A JP 02235798 A JP02235798 A JP 02235798A JP 2235798 A JP2235798 A JP 2235798A JP 2002125340 A JP2002125340 A JP 2002125340A
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Japan
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coil
stator
push
slot
face
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JP02235798A
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Takashi Ishigami
孝 石上
Toshihiko Sakai
俊彦 酒井
Koki Taneda
幸記 種田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K15/00Methods or apparatus specially adapted for manufacturing, assembling, maintaining or repairing of dynamo-electric machines
    • H02K15/06Embedding prefabricated windings in machines
    • H02K15/062Windings in slots; salient pole windings
    • H02K15/065Windings consisting of complete sections, e.g. coils, waves
    • H02K15/067Windings consisting of complete sections, e.g. coils, waves inserted in parallel to the axis of the slots or inter-polar channels
    • H02K15/068Strippers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 両コイルエンド共に、曲げ加工、次相のコイ
ル挿入時のコイル同士の干渉等による電線の絶縁被覆の
損傷をなくし、電線の使用量を少なくすることができる
モータ、その製造方法およびインサータを提供する。 【解決手段】 周長を変化させたコイル100を用い
る。コイル100をステータのスロットに挿入する際
は、第1押し上げ機構310により、コイルエンド14
0となる部分を中心軸301方向に傾けた状態で押し上
げ、コイルエンド140がステータの一端面側に突出し
た後に、第2押し上げ機構320により、コイルエンド
140を中心軸301から遠ざかる方向に傾けて押し上
げる。これにより、コイルエンド140の姿勢をブレー
ド330の開放端を中心に回転させながらコイル100
を挿入して、両コイルエンド140の電線を曲げ加工せ
ずにステータのスロット外周側に逃がす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スロット付きのモ
ータステータに、電線を巻線したコイルを挿入した回転
型モータ、その製造方法、および、それに用いるコイル
インサータに関する。
【0002】
【従来の技術】図2に示すように、DCモータ等の回転
型モータのステータ200は、ケイ素鋼板などの鉄の薄
片を積み重ねた積層鉄芯201のスロット(溝)210
内に銅線などの電線を巻線したコイル160を複数個組
み込んだ構造をしている。このようなステータ200に
は、例えば、図2に示すように、コイルが装着される
(図2はコイル160を2つ挿入した状態を示す)。こ
の種のコイルは、ステータ200の中空部200の内壁
221側から外周方向に向かって、設けられたスロット
(溝)210に、ステータ200の中空部220側から
コイルの巻線の一部が装着される。
【0003】スロット210へのコイル160の組み込
み方は、電線をスロットに直接巻線してコイルを形成す
る方法と、あらかじめ電線を巻線したコイルを複数個同
時にスロットの開放口から挿入する方法の2つがある
が、スロットへの直接巻線は設備が複雑になると共に時
間を要するため、頻繁には用いられていない。あらかじ
め電線を巻線したコイルをスロットの開放口より挿入す
る場合、図3、図4に示すように、コイル160の挿入
部分161、161をステータ200の内周側に開いた
のスロット210の開放口213にまとめて押し込む方
法(図3参照)と、ステータ200の端面231もしく
は232側に開いたスロット210の開放口213から
コイル160を挿入し、スロット210内にステータ2
00の中心軸202の方向に沿って徐々に電線を充填さ
せていく方法(図4参照)とがある。ここで、図4のス
テータ200は、ステータ200の円筒をスロット21
0の中心とステータ200の中心軸202を通して縦割
りにした断面で表記している。前者は、コイル160の
スロット210の挿入部161が直線状に整列していな
ければならないため、主として剛性の高い太線(直径
1.2mm〜直径3mm程度)を整列巻線したコイルが
用いられている。一方、後者は、コイル160がステー
タ200の端面231と232の間のスロット210中
を滑って挿入されるので、電線に柔軟性が要求され、主
として直径1.2mm以下の細線が用いられている。
【0004】ステータの端面のスロットの開放口よりス
テータの軸方向に電線を挿入する方式として、特開昭5
6−115161号公報、特開昭63−59751号公
報などに示されるインサータを用いた方式が従来より広
く用いられている。図1に、特開昭63−59751号
公報におけるコイルインサート方式を示す。また、図
5、図6には、異なる方式を示す。
【0005】図1の方式(パぺジ方式)では、一つのコ
イル170を、段階的に周長を変化させた数ブロック1
70a〜170dに分け、これらの周長の異なる各ブロ
ック170a〜170dを、それぞれ 別々のスロット
内に挿入する(図1(a)、(b)参照)。この方式で
は、周長の異なる電線が同一のスロット内に混在するこ
とはない。しかし、この方式では、同一スロット内に入
ったコイルの1ブロックは、挿入直後にコイル挿入の出
口側のコイルエンド174の渡り部分174eがステー
タ200の端面231と略垂直となり、ステータ200
の内壁221よりステータ200の中心220c側に配
置される。このため、図1(d)に示す工具180を用
いたとしても、同一スロット内に入ったコイルの1ブロ
ックのコイルエンド全体が移動するだけである。したが
って、コイル中の周長の短い部分がスロット内のステー
タ内周側、および、コイルエンドの渡り部分のステータ
端面に近い側、かつ、周長の長い部分がスロット内のス
テータ外周側、および、コイルエンドの渡り部分のステ
ータ端面から遠い側に配置され、図12に示すように、
中間成形によってコイル両端のコイルエンドに山折りと
谷折りの曲げ加工を施さなければ、コイルエンドをスロ
ットの外周側に逃がすことができない(図1(d)参
照)。
【0006】図5は、コイルインサータの斜視図、図6
はコイルインサータにステータをセットし、コイル挿入
の出口側からステータの端面を見た図である。これらの
図に示すコイルインサータ900は、複数本の棒状部材
からなるブレード930と、外周にブレード930を納
める溝を持ったストリッパと呼ばれる電線の押し上げ機
構910とを備えている。
【0007】ブレード930は、複数本の棒状部材93
1a,931bおよび931c,931dを4組備え、
コイル挿入時にコイルを保持する役目を持つ。ブレード
930の各棒状部材931a,931bおよび931
c,931dは、モータステータ200の内壁221に
その外周が接するように同一円周上に配置されており、
その内側に、ストリッパ(押し上げ機構)910が配置
される。ブレード930の長手方向とストリッパ910
の中心軸901の方向は一致しており、この方向にそれ
ぞれを単独で、もしくは、ブレード930とストリッパ
910を一体の状態で動かすことができる。
【0008】図7〜図10に、従来のインサータによる
コイルの挿入の手順を示す。先ず、ストリッパ910を
ブレード930の根本側に位置させた状態で、巻線した
コイル160の一辺164を棒状部材931aと931
bとの間、もう一辺166を棒状部材931cと931
dとの間に挿入する。コイル160を挿入する棒状部材
931aと931bとの間、および、棒状部材931c
と931dとの間のギャップは、電線が横並びに二本入
らない寸法になっている。このため、棒状部材931a
と931bとの間、および、棒状部材931cと931
dとの間に挿入したコイル164、166の部分にある
電線は、ブレード930に沿って一列に整列した状態に
なる(図7参照)。
【0009】同様にして、同時に挿入する他のコイル1
60、160、160を、それぞれ対応する棒状部材9
31aと931bとの間、および、棒状部材931cと
931dとの間に挿入する。ブレード930の並んだ外
周に、ステータ200の内壁221を合わせ、中空部2
20に、ブレード930が挿入されるように、上方より
ステータ200を外嵌めする(図8参照)。
【0010】この時、図6に示したように、ステータ2
00のスロット210がブレード930の形成する隙間
の中間に来るようにステータ200を位置決めする。ま
た、ストリッパ910の中心軸901方向のインサータ
900に対するステータ200の相対位置は、ストッパ
ー(図示しない。一般的にブレードを保持する部品がス
トッパを兼用している。)によって決められ、押さえ機
構990a、990bによってブレード930の開放端
側に抜けないように固定する(図9参照)。
【0011】その後、図10(a)〜(c)(なお、こ
れらの図において、インサータ900およびステータ2
00は、ストリッパ910の中心軸901を通る断面に
て表記している。)に示すように、ブレード930とス
トリッパ910(もしくはストリッパ910のみ)を、
ステータ200の中空部220内を通し、その中心軸9
01に沿って移動させると、ストリッパ910の面91
0aによって、複数のコイル160が押し上げられ、ス
テータ200の端面232の複数のスロット210の開
放口よりコイル160が挿入される(図10(a)、図
10(b)参照)。そして、ストリッパ910上のコイ
ルエンド162の全ての電線がステータ200の上面2
31より上に出たら、ブレード930とストリッパ91
0(もしくはストリッパ910のみ)を下げ、第1相の
コイル挿入が完了する(図10(c)参照)。
【0012】このように、従来のインサータでは、スト
リッパ910上のコイルエンド162は、ブレード93
0によって姿勢が拘束され、電線がブレード930に沿
って整列した状態で挿入が行われる(図10(b)参
照)。
【0013】図15に、挿入直後に、ステータ200コ
イル挿入の出口側端面231上に形成されるコイルエン
ド162の斜視図を示す。スロット210のステータ内
周側212に挿入された電線がコイルエンド162の渡
り部分のステータ端面231に近い側162b、スロッ
ト210のステータ外周側211に挿入された電線がコ
イルエンド162の渡り部分のステータ端面231から
遠い側162aを形成し、コイルエンド162の渡り部
分の電線は、ステータ200の端面231と略垂直とな
り、ステータ200の内壁221よりステータ200の
中心220c側に配置される。
【0014】ここで、従来のインサータによるコイル挿
入では、周長が同じコイルを使用しているため、ステー
タ端面231からコイルエンド162の電線までの距離
は、片側のステータ端面で増加すればもう一方の端面で
減少する。このため、コイル挿入の入口側端面232上
に形成されるコイルエンド162は、コイル挿入の出口
側端面231上に形成されるコイルエンド162と形状
が異なる結果となる。
【0015】図16に、挿入直後にコイル挿入の入口側
端面232に形成されるコイルエンド168の斜視図を
示す。スロット210のステータ内周側212に挿入さ
れた電線がコイルエンド168の渡り部分のステータ端
面232から遠い側168a、スロット210のステー
タ外周側211に挿入された電線がコイルエンド168
の渡り部分のステータ端面232に近い側168bを形
成し、コイルエンド168の渡り部分の電線はステータ
の端面232と略垂直となり、ステータ200の内壁2
21よりステータ200の外周側に配置される。この
後、既に、コイル160が挿入されたスロット210の
間にある、他の複数の空のスロット210の中のどれか
に、第二相以降のコイル挿入を行う。この際、挿入直後
のコイルエンド(特に挿入の出口側ステータ端面231
に形成されるコイルエンド162)は、ステータ端面2
31の複数の空スロット210の開放口の上にまたがっ
て存在する。そこで、図11(a)〜(c)に示すよう
に、コイルエンド162、168に、円錐状の中間成形
治具991、992を押し当て、コイルエンド162、
168の電線を変形させて、空スロット210の外周に
押し逃がす。
【0016】図12に、中間成形後にコイル挿入の出口
側のステータ端面に形成されるコイルエンド形状、図1
3に、中間成形後にコイル挿入の入り口側のステータ端
面に形成されるコイルエンド形状を示す。コイル挿入の
出口側のステータ端面231のコイルエンド162は、
図11(a)および図15に示すように、コイル挿入直
後、ブレード930の並んだ円の内側に配置され、スロ
ット210のステータ内周側212に挿入された電線が
コイルエンド162の渡り部分のステータ端面231に
近い側162b、ステータ外周側211に挿入された電
線がコイルエンド162の渡り部分のステータ端面23
1から遠い側162aを形成する。よって、中間成形に
よってコイルエンド162の渡り部分を空スロット21
0の外側に押し出すと、図12に示すように、コイルエ
ンド162にステータ200の中心220c側から見
て、山折りの曲げ加工162dと谷折りの曲げ加工16
2cが施され、スロット210から出たコイルエンド1
62の両辺で電線がねじられた形状になる(図12参
照)。一方、コイル挿入の入り口側のステータ端面23
2のコイルエンド168は、比較的スロットのステータ
外周側よりに配置され、スロット210のステータ内周
側212に挿入された電線がコイルエンド168の渡り
部分のステータ端面232から遠い側168a、ステー
タ外周側211に挿入された電線がコイルエンド168
の渡り部分のステータ端面232から近い側168bを
形成する(図13参照)。このため、中間成形により、
コイルエンド168の渡り部分を空スロット210の外
側に逃がしても、コイルエンド168の電線の配置はほ
ぼ保たれたままであり、前者のような山折りと谷折りの
曲げ加工は施されない。
【0017】以上に述べたように、従来のモータでは、
同一周長のコイルをインサータにより挿入し、中間成形
しており、一つのコイルの両端のコイルエンドの形状は
異なっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた従来の方
式では、次のような問題がある。
【0019】(1)従来の方式では、コイル挿入直後に
コイル挿入の出口側に形成されるコイルエンドの渡り部
分が、ステータの端面と略垂直となり、ステータの内壁
よりステータの中心側に配置される。このため、コイル
挿入の出口側のステータ端面のコイルエンドでは、中間
成形により、スロットからでたコイルの両辺にステータ
の中心側から見て山折りの曲げ加工が施される。しか
し、山折りの曲げ加工部分の両側では電線が二重になる
ため、スロット口からコイルエンドの渡り部に至る電線
が空スロット口の上部の空間に張り出してしまう。この
結果、次相のコイルを空スロット挿入する際に、コイル
同士の干渉が生じ、電線の絶縁被覆の損傷が発生する。
また、コイル同士の干渉が大きすぎると、コイル挿入に
必要な力(ストリッパの押し上げ力)が足りなくなり、
コイル挿入自体が不可能となる。このため、コイル挿入
に大きな駆動源が必要となり、インサータ全体の小形化
を困難にしている。
【0020】(2)コイル挿入直後、コイル挿入の出口
側のコイルエンドの渡り部分は、ステータの端面と略垂
直となり、ステータの内壁よりステータの中心側に配置
される。よって、中間成形治具により、コイルエンドを
空スロット口の外側に押し逃がす際に、電線の変形量が
大きい。このため、中間成形中にコイルエンド中の電線
同士が擦れ合い、電線の絶縁被服が損傷する。また、コ
イルの曲げ加工部分でも電線の絶縁被覆が損傷しやす
い。
【0021】(3)コイルエンドの形状は、コイル両端
のコイルエンドに山折りと谷折りの曲げ加工を施した形
状(図12)と、それらの曲げ加工を施さない形状(図
13)の2種類がある。図14に示したように、コイル
エンド形状の組み合わせによって4種類のコイルが考え
られ、両方のコイルエンドで共に曲げ加工を施さない形
状(図13)の場合が最も電線の使用量が少ない。しか
し、従来のインサータによるコイル挿入では、中間成形
によって一方のコイルエンドに山折りと谷折りの曲げ加
工を施すことが必須である。よって、電線の材料費を減
らすため、両コイルエンドを共に曲げ加工を施さない形
状(図13)とするコイルの挿入、中間成形が求められ
ている。
【0022】本発明の第1の目的は、両コイルエンド共
に、コイルの両辺に山折りと谷折りの曲げ加工を施すこ
となく空スロット口の外周に逃がすことができて、曲げ
加工による電線の絶縁被覆の損傷をなくすことができる
モータ、その製造方法およびインサータを提供すること
にある。
【0023】また、本発明の第2の目的は、挿入したコ
イルがコイル挿入の出口側のステータ端面のスロット口
近傍で占める空間を小さくすることができて、次相のコ
イル挿入時のコイル同士の干渉による電線の絶縁被覆の
損傷が減少することができるモータ、その製造方法およ
びインサータを提供することにある。
【0024】さらに、本発明の第3の目的は、従来のコ
イルに比べて電線の使用量を少なくすることができるモ
ータ、その製造方法およびインサータを提供することに
ある。
【0025】
【課題を解決するための手段】第1に、周長を逐次増
加、または減少させて巻線したコイルを用いる。第2
に、従来の単独のストリッパに換えて、接触面によりコ
イルエンドを異なる姿勢に拘束することのできる複数の
押し上げ機構を持ち、ブレードとそれらの押し上げ機構
がステータの中心軸と同じ方向に各々干渉せずに移動可
能であり、かつ、それらの相対位置を制御することので
きるインサータを用いる。そして、コイル挿入動作の終
盤のコイル挿入の出口側のコイルエンド形成時に、ブレ
ードによるコイルの拘束を解除すると共に、コイルエン
ドに接触する押し上げ機構を交換し、コイルエンドを形
成する電線の姿勢をブレードの開放端近傍を中心として
回転移動させながらコイルを挿入する。
【0026】この方法を用いると、中間成形後のステー
タの両端面で、周長の短い部分はスロット内のステータ
外周側およびコイルエンドの渡り部分のステータ端面に
近い側、周長の長い部分はスロット内のステータ内周側
およびコイルエンドの渡り部分のステータ端面から遠い
側に配置され、両コイルエンド共にコイルの両辺に山折
りと谷折りの曲げ加工を施すことなく空スロット口の外
周に逃がすことができる。さらに、中間成形による線材
の折り曲げ加工がないため、電線の絶縁被覆の損傷が無
くなる。また、挿入したコイルがコイル挿入の出口側の
ステータ端面のスロット口近傍で占める空間が小さくな
り、次相のコイル挿入時のコイル同士の干渉による電線
の絶縁被覆の損傷が減少する。さらに、本発明で用いる
周長を変化させたコイルは従来のコイルに比べて電線の
使用料が少ないため、モータの材料費が低減される。
【0027】したがって、上記目的を達成するため、本
発明の一態様によれば、予め巻線したコイルをステータ
のスロットに装着して構成されるモータにおいて、前記
コイルは、電線を一端側の周長が長く、他端側の周長が
短くなるように巻線して形成され、周長の短い電線が、
スロット内のステータ外周側に位置すると共に、該ステ
ータ端面から突出したコイルエンドの渡り部分のステー
タ端面に近い側に位置し、かつ、周長の長い電線が、ス
ロット内のステータ内周側に位置する共に、コイルエン
ドの渡り部分のステータ端面から遠い側に位置すること
を特徴とするモータが提供される。
【0028】また、本発明の他の態様によれば、コイル
を支持するブレードと、ブレードに支持されるコイルを
押し上げる押し上げ機構とを、共通の中心軸にそって備
え、押し上げ機構による押し上げによって、ステータの
スロットにコイルを装着するコイルインサータにおい
て、前記押し上げ機構として、前記コイルのコイルエン
ドとなる部分を、前記中心軸方向に傾けた状態で押し上
げる第1の押し上げ機構と、前記コイルのコイルエンド
が前記ステータの一端面側に突出した後の状態におい
て、当該コイルエンドとなる部分を前記中心軸から遠ざ
かる方向に傾けて押し上げる第2の押し上げ機機構とを
有し、かつ、前記コイルをステータのスロットに挿入す
る際に、前記第1の押し上げ機構により、前記コイルの
コイルエンドとなる部分を前記中心軸方向に傾けた状態
で押し上げさせると共に、前記コイルのコイルエンドが
前記ステータの一端面側に突出した後に、前記第2の押
し上げ機構により、前記コイルのコイルエンドとなる部
分を前記中心軸から遠ざかる方向に傾けて押し上げさせ
る制御を行う制御装置を有することを特徴とするコイル
インサータが提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図17〜図25は、本発
明のモータ、それを製造する方法、その際に用いるイン
サータについて説明するための図である。
【0030】図23は、本発明で用いるコイルの形状の
一例を示す。このコイル100は、そのコイル軸に垂直
な断面に沿う電線の長さ、すなわち、周長が、コイルの
軸方向に沿って逐次長くなるように電線が巻かれてい
る。すなわち、底面および上面が長方形の中空四角錐台
状に形成される。したがって、コイル100は、その一
端111側の、周長が短い電線が巻回されている周長が
短い部分110と、他端121側の、周長が長い電線が
巻回されている周長が長い部分120とで構成される。
すなわち、このコイル100は、一端111側から他端
121側に向かって、巻線されている電線の周長が逐次
大きくなる構造となっている。
【0031】なお、コイル100を形成している電線自
体は、1本の電線であるが、巻かれている位置によって
周長が異なるため、本明細書では、説明の便宜上、「周
長が短い電線」と「周長が長い電線」と称することがあ
る。
【0032】図24、図25は、このコイル100をス
テータ200に組み付けた状態を示している。コイル1
00は、ステータ200の中空部220から外周方向に
向けてスロット210に装着される。図24では、コイ
ル100の周長の短い部分110をスロット210内の
ステータ200の外周側211に、周長の長い部分12
0をスロット210内のステータ200の内周側212
に位置するように、コイル100をスロット210に装
着する。この状態で、コイル100は、スロット装着部
130と、ステータの上端面231側および下端面23
2側にそれぞれ突出するコイルエンド140および15
0とで構成されることになる。
【0033】コイルエンド140および150の渡り部
分では、コイル100の周長の短い部分141および1
51がステータ上端面231に近い部分に位置し、コイ
ル周長の長い部分142および152がステータ上端面
231から遠い部分に位置する。したがって、コイル1
00は、コイルエンド140、150の渡り部分は、ス
テータ200の上端面231、下端面232と略垂直に
配置される。
【0034】図17、図18は本発明のインサート方式
を実現するインサータの一例であり、図17は斜視図、
図18はインサータをブレードの開放端側から見た上面
図である。また、図19は、制御系を示すブロック図で
ある。従来のインサータでは、ブレードによってコイル
エンドの姿勢を拘束し、一つのストリッパでコイルを押
し上げていた。本発明のインサータでは、複数の押し上
げ機構を設け、コイルエンドの姿勢を押し上げ機構の接
触面によって拘束する。
【0035】本実施の形態で用いられるインサータは、
図17に示すように、二つの押し上げ機構を備えてい
る。すなわち、インサータ300は、第1押し上げ機構
310と、第2押し上げ機構320と、ブレード330
とを有すると共に、これらを駆動する駆動手段410、
420および430と、制御手段440とを備える。第
1押し上げ機構310と、第2押し上げ機構320と、
ブレード330とは、中心軸301に同心に配置される
と共に、互いに、軸方向の動きを干渉しない構造となっ
ている。すなわち、第1押し上げ機構310は、第2押
し上げ機構320と、はめ合いの形状を持ち、それぞれ
が干渉することなくブレード330に沿って押し上げ機
構の中心軸301の方向に移動可能とされる。
【0036】第1押し上げ機構310は、中心軸体31
1と、それから放射状に設けられた8片の押し上げ部材
312と、中心軸体311を軸方向に変位させるシャフ
ト313とを備える。シャフト313は、図19に示す
ように、駆動手段410によって、軸方向に変位するよ
うに駆動される。押し上げ部材312は、コイル100
の斜面101(後にコイルエンド140の渡り部分とな
る部分に相当する)に接触して押し上げる第1押し上げ
面312aを有する。本実施の形態では、押し上げ部材
312は、周方向には、狭い幅であり、それぞれ隣接す
る押し上げ部材312の間は、凹部314となってい
る。なお、押し上げ部材312の数は、上述した8片に
限られない。モータの構造に適した数が適宜設定でき
る。
【0037】第2押し上げ機構320は、図18に示す
ように、第1押し上げ機構310の押し上げ部材312
の間の凹部314にはめ込まれる形状の4つの押上部材
322と、これらの部材322をそれぞれ支持するシャ
フト323と、シャフト323を支持するリング部材3
21とを有する。リング部材321は、図19に示す駆
動手段420により軸方向に変位するように駆動され
る。押し上げ部材322は、コイル100のコイルエン
ド140の姿勢を変更するためにコイルエンド140を
押し上げる第2押し上げ面322aを有する。
【0038】第1押し上げ面312aの中心軸301か
らの半径方向の長さは、図22に示すように、少なくと
も、コイル100の斜面101を支えるに十分な長さと
する。すなわち、コイルの巻線数をn、線径をdとする
と、ndの長さとする。また、押し上げ面の、中心軸3
01に垂直な面内での長さは、ldで与えられる。
【0039】第1押し上げ面312aは、中心軸301
に対して角度θの傾きを持っている。この押し上げ面3
12aの傾きは、その面312aが中心軸側に向くよう
に、すなわち、その法線が中心軸301に対して内向き
に傾くように設定される。これにより、コイル100を
ブレード130に沿って引き上げてスロット210に装
着する際に、コイルの巻線状態を乱さずに作業すること
が可能となる。また、第2押し上げ面322aは、その
面322aが中心軸301に対して外側に向くように、
すなわち、中心軸301に対して角度βの傾きを持って
いる。この押し上げ面322aの傾きは、その法線が中
心軸301に対して外向きに傾くように設定される。こ
れにより、コイルエンド140の渡り部が中心軸側に張
り出す状態にある姿勢を、中心軸から遠ざかる方向に転
換することができる。この手順については、後述する。
【0040】第1押し上げ機構310の第1押し上げ面
312aと、第2押し上げ機構320の第2押し上げ面
322aの中心軸312対する角度θおよびβは、次の
ように決められる。すなわち、図22に示すように、 d:線径(mm) n:巻き数 ld:第1押し上げ面における電線接触部が半径方向に
占める距離(mm) とすると、角度θは、 0<θ≦sin-1(ld/n・d) の範囲を取る。例えば、巻き数n=50、線径d=0.
7(mm)、ld=23(mm)の場合、角度θは、最
大41°となる。また、角度βは、120°〜150°
程度である。よって、どちらの面に接触するかによっ
て、コイルエンドの電線の姿勢が異なってくる。
【0041】第1押し上げ機構310と第2押し上げ機
構320とは、上述したように、互いに干渉しない構造
を有する。その上で、相互に独立に駆動される駆動手段
410および420を有する。
【0042】ブレード330は、図17、図18に示す
ように、コイル110を装着すべき二つのスロットに対
応する二つの押し上げ部材312を間に挟む、2本1組
の棒状部材331a,331bおよび331c,331
dの二組で一つのコイル100を装着するものを4組備
える構成となっている。本実施の形態では、押し上げ部
材312が8片配置されているため、この2本1組の棒
状部材4組が配置される。ブレード330は、すべての
棒状部材331a,331bおよび331c,331d
が、中心軸301を中心とする同一円周上にに配置さ
れ、その内側に第1押し上げ部材312および第2押し
上げ部材322が配置される。そして、棒状部材331
a,331bおよび331c,331dの外周に沿っ
て、その外側に、その中空部220の内周壁が位置する
ように、ステータ200の中空部220に、ブレード3
30が挿通される(図20、図22参照)。また、ブレ
ード330は、図19に示すように、駆動手段430を
備えている。
【0043】本実施の形態における第1押し上げ機構3
10、第2押し上げ機構320およびブレード330
は、上述したように、それぞれ図19に示す駆動手段4
10、420および430を備えている。これらの駆動
手段410、420および430は、それぞれ独立して
それぞれの機構を駆動することができる。ただし、これ
らの機構は、一定の手順にしたがって協調動作する必要
がある。そのため、全体の動作を制御する制御装置44
0を備えている。この制御装置440が、予め定めたプ
ログラムにしたがって、各駆動手段410、420およ
び430を制御する。駆動手段410、420および4
30は、例えば、モータと、その運動を対象の機構に伝
達する手段として機能するボールねじ等で構成される。
制御装置440は、例えば、コンピュータで構成され、
前記各駆動手段410、420および430の各々とバ
ス等を介して接続される。
【0044】次に、本実施の形態におけるコイルのステ
ータへの装着の手順について説明する。図20(a)〜
(g)は、コイルのステータへの装着の一連の手順を示
す。図21(a)、(b)は、コイル側の準備の手順を
示す。なお、これらの図において、第1押し上げ機構3
10、第2押し上げ機構320ステータ200、およ
び、コイルエンド140は、それぞれ中心軸301を通
る断面で表わしている。
【0045】先ず、第1押し上げ機構310と第2押し
上げ機構320をブレード330の根本側に待機させ、
第2押し上げ機構320の第2押し上げ部材322の第
2押し上げ面322aは、第1押し上げ機構310の第
1押し上げ部材312の第1押し上げ面312aより鉛
直方向下側に位置させ、第1押し上げ面312a上にコ
イルエンド140となるコイル100の斜面101の電
線を配置する。ところで、コイル100は、図21
(a)に示す巻枠109の周りに巻かれている。そこ
で、コイル100の整列状態を崩さないように、コイル
エンド140となるべき斜面101、スロットに挿入す
る部分130における電線の整列を保持する固定治具1
02で保持しながら巻枠109から取り外し(図21
(a)参照)、ブレード330を構成する棒状部材33
1a,331bおよび331c,331d(図17、図
18参照)の対応する部材の間隙に、コイルの周長の短
い部分から順にセットする(図21(b)参照)。
【0046】これにより、ブレード330の隙間に先に
挿入した部分は、第1押し上げ面312aの中心軸30
1側、後で挿入した部分は、ブレード330に近い側に
配置され、コイルエンド140の電線は、中心軸301
に対して角度θ(0<θ≦sin-1(ld/n・d))
だけ傾いた姿勢になる(図20(a)参照)。
【0047】次に、ブレード330の開放端側からステ
ータ200をセットした後(図20(b)参照)、第1
押し上げ機構310および第2押し上げ機構320の相
互の相対位置を変化させずに、ブレード330と第1押
し上げ機構310および第2押し上げ機構320とを
(または、第1押し上げ機構310および第2押し上げ
機構320のみ)をブレードの開放端330a側に移動
させる(図20(c)参照)。この時、コイルエンド1
40の電線は、中心軸301に対して角度θだけ傾いた
姿勢を保ち、ステータ200のスロット内に徐々にコイ
ル100が挿入されていく。そして、ステータ200の
端面231よりコイルエンド140の先端の部分が現れ
たら、移動を停止させ、ブレード330のみをその先端
330aがステータ200の端面231の近傍まで引き
下げるように移動させる(図20(d)参照)。
【0048】次に、第1押し上げ機構310とブレード
330を停止させた状態で、第2押し上げ機構320の
みをブレード330の開放端330a側に移動させる。
第2押し上げ機構320が第1押し上げ機構310に対
して挿入の出口側のステータ端面231より離れた位置
に移動するに従い、第1押し上げ機構310の第1押し
上げ面312aに姿勢を拘束されていたコイルエンド1
40は、次第に第2押し上げ機構320の第2押し上げ
面322a上に移動し、コイルエンド140の電線は、
中心軸301に対して、角度β(120°≦β<150
°)だけ傾いた姿勢となる(図20(e)参照)。よっ
て、コイルエンド140が接触する押し上げ機構を、押
し上げ機構310から第2押し上げ機構320に交換す
ることにより、コイルエンド140を形成する電線の姿
勢は、ブレード330の開放端近傍を中心として回転移
動することになる。
【0049】さらに、第2押し上げ機構320を挿入の
出口側のステータ端面231より離れた位置(上方)に
移動すると、挿入の出口側のコイルエンド140の電線
は、第2押し上げ機構320の第2押し上げ面322a
から外れ、ブレード330の上部にステータ200の端
面231とほぼ垂直な平面を形成する(図20(f)参
照)。次に、ブレード330と、第1押し上げ機310
および第2押し上げ機構320とを、ブレード330の
根本側に移動させる(図20(g)参照)。
【0050】このようなインサート方式を用いる本発明
のモータ製造方法では、押し上げ機構の接触面によって
コイルエンドの姿勢を拘束し、挿入の出口側のコイルエ
ンド形成時に、押し上げ機構を切り換えることによりコ
イルエンドの姿勢を変化させる。また、ブレードの開放
端を挿入の出口側のステータ端面の近傍まで待避させ、
ブレードによるコイルエンドの拘束を解除することによ
り、挿入の出口側のコイルエンドをステータの外周より
に挿入、配置することができる。この点、挿入の出口側
のコイルエンドの姿勢はブレード330によって拘束さ
れ、その姿勢は挿入の最初から最後まで同じである従来
のインサータ方式とは明確に異なる。
【0051】図25に、本発明の製造方法において、ス
テータにコイルを装着した直後の、コイルエンドの形状
を示す。同図(a)は、平面図、同図(b)は側面図、
および、同図(c)は、上面の一部を示す斜視図であ
る。なお、本発明において、図25(c)に示す形状の
コイルエンド140について、さらに加工を施すことが
できる。すなわち、従来技術で述べたように、両コイル
エンドに円錐状の中間成形治具を押し当てるか、もしく
は、シリンダなどを利用してステータの中心部から外周
方向にコイルエンド140を押し広げて、コイルエンド
140を空スロット210の外周位置まで押し逃がすよ
うにすることができる。
【0052】本実施の形態では、上記の方法により、挿
入の出口側のステータ端面のコイルエンドでは、周長の
短い部分がスロット内のステータ外周側およびコイルエ
ンドの渡り部分のステータ端面に近い側に、また、周長
の長い部分がスロット内のステータ内周側およびコイル
エンドの渡り部分のステータ端面から遠い側に配置され
る。また、コイルの周長を変化させ、図23に示した形
状にしているため、挿入の入口側のステータ端面のコイ
ルエンドも同様の形状となり、中間成形を施すことによ
り、図24に示したステータへのコイルの挿入状態が実
現される。中間成形前の両コイルエンドの形状は、挿入
の出口側が図25(c)、入口側が図13で示した形状
である。したがって、本実施の形態では、従来のコイル
のように、中間成形によってコイルエンドの両辺に山折
りと谷折りの曲げ加工を施すことなく、コイルエンドを
スロットの外周側に逃がすことができる。このため、中
間成形後は、両コイルエンド共に、図25(c)に示し
た形状になる。これにより、ステータ端面のスロット口
近傍のコイルの占有空間を小さくできるため、次コイル
の挿入時にコイル同士の干渉が少なくなり、干渉による
電線の絶縁被覆の損傷を減少させると共に低い挿入力で
のコイル挿入が可能となる。次に、本発明の他の実施の
形態について、図26を参照して説明する。図26に示
す実施の形態は、前述した実施の形態より押し上げ機構
がさらに多い例である。
【0053】図26に示すように、第1押し上げ機構3
10および第2押し上げ機構320の他に、第3押し上
げ機構340および第4押し上げ機構350を備えたも
のである。第3押し上げ機構340および第4押し上げ
機構350とは、第2押し上げ機構320の第2押し上
げ部材322に設けた凹部に第3押し上げ機構の第三押
し上げ部材342を嵌め込み、さらに、第3押し上げ部
材342に設けた凹部に第4押し上げ部材352を嵌め
込むことで構成される。これらの第1押し上げ部材31
0〜第4押し上げ部材350は、全て同軸構造で、か
つ、ブレード330と共に、互いの中心軸方向の動作が
干渉しない配置で構成される。また、第3押し上げ機構
340および第4押し上げ機構350には、図19に示
す駆動手段410、420と同様の駆動手段、すなわ
ち、各々に、例えば、ボールネジとモータなどの直動駆
動手段を設けている。そして、これらの駆動手段は、駆
動装置440により制御される。
【0054】以上に説明した本発明の各実施の形態によ
れば、以下の効果が得られる。
【0055】(1)両コイルエンド共に、コイルの両辺
に山折りと谷折りの曲げ加工を施すことなく、空スロッ
ト口の外周に逃がすことができるため、コイルエンド両
端の部分がコイルを挿入したスロットに隣接する空スロ
ット口の近傍に二重に重なって配置することがない。よ
って、ステータ両端面のスロット口近傍で挿入したコイ
ルエンドの電線が占める空間が小さくなり、空スロット
に次相のコイルを挿入する際にコイル同士の干渉が減少
し、電線の絶縁被覆の損傷がなくなる。また、コイル挿
入に必要な力(ストリッパの押し上げ力)が小さくてす
むので、モータなどの駆動源およびコイルインサータ全
体を小形にすることができる。
【0056】(2)挿入直後、コイル挿入の出口側のス
テータ端面のコイルエンドは、従来よりもステータの外
周より(従来はブレードの内側)に配置され、周長の短
い部分はコイルエンドの渡り部分のステータ端面に近い
側、周長の長い部分はコイルエンドの渡り部分のステー
タ端面から遠い側に配置される。このため、コイルエン
ドの形状は、最終形状(図13)に近く、中間成形によ
るコイルエンドの変形量が小さくてすむ。よって、曲げ
変形、および電線同士の滑りに起因する電線の絶縁被覆
の損傷が減少する。
【0057】(3)周長を逐次増加または減少させたコ
イルを用いることにより、両方のコイルエンド共に、コ
イルの両辺に山折りと谷折りの曲げ変形部分がなく、周
長の短い部分は、スロット内のステータ外周側およびコ
イルエンドの渡り部分のステータ端面に近い側、周長の
長い部分は、スロット内のステータ内周側およびコイル
エンドの渡り部分のステータ端面から遠い側にされたコ
イルエンド形状が実現できる。このコイルは、どちらか
一方のコイルエンドに山折りと谷折りの曲げ形状がない
分、従来のコイルよりも電線の使用量が少ない。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、両コイルエンド共に、
コイルの両辺に山折りと谷折りの曲げ加工を施すことな
く空スロット口の外周に逃がすことができて、曲げ加工
による電線の絶縁被覆の損傷をなくすことができる。ま
た、挿入したコイルがコイル挿入の出口側のステータ端
面のスロット口近傍で占める空間を小さくすることがで
きて、次相のコイル挿入時のコイル同士の干渉による電
線の絶縁被覆の損傷が減少することができる。さらに、
従来のコイルに比べて電線の使用量を少なくすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ステータへのコイルの装着の従来の方
式の一例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)
ステータ下面側でのコイルエンドの状態を示す部分側面
図、(d)ステータ下面側でのコイルエンドを処理した
状態を示す部分側面図。
【図2】図2は、回転型モータの一般的なモータステー
タと、それに装着されたコイルのコイルエンドとを示す
斜視図。
【図3】図3は、コイルをステータ内周側のスロット開
放口からステータのスロットに組み込む様子を示す説明
図。
【図4】図4は、コイルをステータ端面のスロットの開
放口からスロット内に挿入する様子を示す説明図。
【図5】図5は、従来のインサータの一例を示す斜視
図。
【図6】図6は、従来のインサータにステータをセット
し、コイル挿入の出口側からステータの端面を見た平面
図。
【図7】図7は、従来のインサータのブレード間にコイ
ルを一つ挿入した状態を示した斜視図。
【図8】図8は、従来のインサータのブレード間に複数
のコイルを挿入し、ブレードの開放端側よりセットする
様子を示す斜視図。
【図9】図9は、インサータにセットしたステータの端
面を治具で固定した状態を示す斜視図。
【図10】図10(a)〜(c)は、従来のインサータ
によるステータへのコイル挿入動作を示した説明図。
【図11】図11(a)〜(c)は、コイルエンドの中
間成形の様子を示した説明図。
【図12】図12は、従来のインサータによりコイルを
挿入後し中間成形を施した結果、挿入の出口側のステー
タ端面に形成されるコイルエンドの形状を示した部分斜
視図。
【図13】図13は、従来のインサータによりコイルを
挿入後し中間成形を施した結果、挿入の入口側のステー
タ端面に形成されるコイルエンドの形状を示した部分斜
視図。
【図14】図14は、コイルエンド形状の組み合わせに
よるコイルの分類を示した図表。
【図15】図15は、従来のインサータにより、挿入直
後に挿入の出口側のステータ端面に形成されるコイルエ
ンドの形状を示した部分斜視図。
【図16】図16は、従来のインサータにより、挿入直
後に挿入の入口側のステータ端面に形成されるコイルエ
ンドの形状を示した部分斜視図。
【図17】図17は、本発明で用いるコイルインサータ
の一例を示す斜視図。
【図18】図18は、本発明のコイルインサータをブレ
ードの開放端側から見た平面図。
【図19】図19は、本発明のコイルインサータの駆動
系および制御系の構成を示したブロック図。
【図20】図20(a)〜(g)は、本発明のコイルイ
ンサータを用いたコイル挿入動作を示した説明図。
【図21】図21(a)および(b)は、コイルをブレ
ードに装着する手順を示す斜視図。
【図22】図22は、コイルを第1押し上げ部材で押し
上げる際のコイルと第1押し上げ面との位置関係を示す
説明図。
【図23】図23は、本発明のモータに用いるコイルの
一例を示す斜視図。
【図24】図24は、本発明のモータステータの一例を
示す断面図。
【図25】図25は、本発明のモータステータへのコイ
ルの装着状態を模式的に示し、(a)は平面図、(b)
は側面図、(c)は部分斜視図。
【図26】図26は、本発明の他の実施の形態における
押し上げ部材の構造を示す平面図。
【符号の説明】
100…コイル、110…周長が短い部分、111…一
端(最短端)、120…周長が長い部分、121…他端
(最長端)、130…スロット装着部、140、150
…コイルエンド(渡り部分)、200…ステータ、20
1…積層鉄心、210…スロット、220…中空部、2
11…ステータ外周側、212…ステータ内周側、23
1、232…端面、300…インサータ、301…中心
軸、310…第1押し上げ機構、311…中心軸体、3
12…第1押し上げ部材、312a…第1押し上げ面、
320…第2押し上げ機構、322…第2押し上げ部
材、322a…第2押し上げ面、330…ブレード、3
31a〜331d…棒状部材、410〜430…駆動手
段、440…制御装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 種田 幸記 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 Fターム(参考) 5H604 AA08 BB01 BB14 CC01 CC05 CC14 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP12 QQ02 QQ12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転型モータにおいて、周長を逐次増
    加、または減少させて巻線したコイルを分割せずに、2
    つの挿入部分をスロット内に全て挿入し、周長の短い部
    分をスロット内のステータ外周側およびコイルエンドの
    渡り部分のステータ端面に近い側、周長の長い部分をス
    ロット内のステータ内周側およびコイルエンドの渡り部
    分のステータ端面から遠い側に配置し、中間成形により
    コイル両端のコイルエンドに山折りと谷折りの曲げ加工
    を施すことなく、スロットの外周側に逃がしたことを特
    徴とするモータ。
  2. 【請求項2】 回転型モータにおいて、周長を逐次増
    加、または減少させて電線を巻線したコイルを分割せず
    に、2つの挿入部分をスロット内に全て挿入し、周長の
    短い部分をスロット内のステータ外周側およびコイルエ
    ンドの渡り部分のステータ端面に近い側、周長の長い部
    分をスロット内のステータ内周側およびコイルエンドの
    渡り部分のステータ端面から遠い側に配置し、コイルの
    両端でコイルエンドの稜線とそれを形成する電線が交わ
    らないコイルエンド形状を持つことを特徴とするモー
    タ。
  3. 【請求項3】 回転型モータにおいて、周長を逐次増
    加、または減少させて電線を巻線したコイルを分割せず
    に、2つの挿入部分をスロット内に全て挿入し、周長の
    短い部分をスロット内のステータ外周側およびコイルエ
    ンドの渡り部分のステータ端面に近い側、周長の長い部
    分をスロット内のステータ内周側およびコイルエンドの
    渡り部分のステータ端面から遠い側に配置し、ステータ
    とコイルエンドを合わせた形状がステータの中央の積層
    鉄板の面に対して略面対称であることを特徴とするモー
    タ。
  4. 【請求項4】 ブレードと押し上げ機構とを備え、回転
    型モータのステータの端面のスロットの開放口よりステ
    ータの軸方向にコイルを挿入するコイルインサータにお
    いて、押し上げ機構を複数とし、それぞれにコイルエン
    ドを形成する電線を異なる姿勢に拘束する接触面を持た
    せ、これら複数の押し上げ機構とブレードを独立してス
    テータの軸方向に移動させる複数の駆動手段と、コイル
    挿入中にステータに対する複数の押し上げ機構とブレー
    ドの相対位置を制御する手段を有したコイルインサー
    タ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のコイルインサータを用
    い、コイル挿入の出口側のステータ端面のコイルエンド
    形成時に、ブレードの開放端をステータ端面近傍に退避
    させてコイルエンドを形成する電線の拘束を解除すると
    共に、コイルエンドを形成する電線に接触する押し上げ
    機構を交換し、コイルエンドを形成する電線の姿勢をブ
    レードの開放端近傍を中心として回転移動させてコイル
    を挿入して、モータを製造するモータの製造方法。
  6. 【請求項6】 予め巻線したコイルをステータのスロッ
    トに装着して構成されるモータにおいて、 前記コイルは、電線を一端側の周長が長く、他端側の周
    長が短くなるように巻線して形成され、周長の短い電線
    が、スロット内のステータ外周側に位置すると共に、該
    ステータ端面から突出したコイルエンドの渡り部分のス
    テータ端面に近い側に位置し、かつ、周長の長い電線
    が、スロット内のステータ内周側に位置する共に、コイ
    ルエンドの渡り部分のステータ端面から遠い側に位置す
    ることを特徴とするモータ。
  7. 【請求項7】 コイルを支持するブレードと、ブレード
    に支持されるコイルを押し上げる押し上げ機構とを、共
    通の中心軸にそって備え、押し上げ機構による押し上げ
    によって、ステータのスロットにコイルを装着するコイ
    ルインサータにおいて、 前記押し上げ機構として、前記コイルのコイルエンドと
    なる部分を、前記中心軸方向に傾けた状態で押し上げる
    第1の押し上げ機構と、前記コイルのコイルエンドが前
    記ステータの一端面側に突出した後の状態において、当
    該コイルエンドとなる部分を前記中心軸から遠ざかる方
    向に傾けて押し上げる第2の押し上げ機機構とを有し、
    かつ、 前記コイルをステータのスロットに挿入する際に、前記
    第1の押し上げ機構により、前記コイルのコイルエンド
    となる部分を前記中心軸方向に傾けた状態で押し上げさ
    せると共に、前記コイルのコイルエンドが前記ステータ
    の一端面側に突出した後に、前記第2の押し上げ機構に
    より、前記コイルのコイルエンドとなる部分を前記中心
    軸から遠ざかる方向に傾けて押し上げさせる制御を行う
    制御装置を有することを特徴とするコイルインサータ。
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