JP2002121150A - 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬 - Google Patents

骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬

Info

Publication number
JP2002121150A
JP2002121150A JP2001243842A JP2001243842A JP2002121150A JP 2002121150 A JP2002121150 A JP 2002121150A JP 2001243842 A JP2001243842 A JP 2001243842A JP 2001243842 A JP2001243842 A JP 2001243842A JP 2002121150 A JP2002121150 A JP 2002121150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rhbmp
rhil
osteogenic
osteoplastic
medicine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001243842A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutaka Suga
一崇 須賀
Minori Saito
みのり 齋藤
Shinji Fukushima
慎二 福島
Shuhei Yasuda
修平 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2001243842A priority Critical patent/JP2002121150A/ja
Publication of JP2002121150A publication Critical patent/JP2002121150A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高い骨形成活性を示す新規の骨形成用医
薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬を提
供する。 【解決手段】 前記骨形成用医薬は、骨形成治療におい
て、骨誘導因子との同時使用又は連続使用のためのIL
−11を有効成分として含むか、あるいは、骨形成治療
において、IL−11との同時使用又は連続使用のため
の骨誘導因子を有効成分として含む。前記骨形成用医薬
組成物は、骨誘導因子及びIL−11を有効成分として
含む。前記骨形成用組合せ医薬は、骨誘導因子を有効成
分として含む第1の医薬と、IL−11を有効成分とし
て含む第2の医薬との組合せを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨形成用医薬、骨
形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】1990年にポール(Paul)らによ
り、骨髄間質細胞株の培養上清から形質細胞増殖刺激因
子としてインターロイキン−11(IL−11)がクロ
ーニングされた(Paul SRら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,87,7512−75
16,1990)。組換えヒトIL−11は、イン・ビ
トロ(in vitro)において巨核球造血系を刺激
する(Bruno Eら,Exp.Hematol.,
19,378−381,1991;Yonemura
Yら,Exp.Hematol.,20,1011−1
016,1992;Teramura Mら,Bloo
d,79,327−331,1992;及びBurst
ein SAら,J.Cell Physiol.,1
53,305−312,1992)。
【0003】また、組換えヒトIL−11は、イン・ビ
ボ(in vivo)では、各種哺乳動物の血小板数を
増加させる。具体的には、マウス(Neben TY
ら,Blood,81,901−908,1993)、
ラット(Yonemura Yら,Br.J.Haem
atol.,84,16−23,1993)、イヌ(N
ash RAら,Exp.Hematol.,23,3
89−396,1995)、又はサル(Schlerm
an FJら,Stem Cells,14,517−
532,1996)について報告がある。従って、組換
えヒトIL−11は、その血小板増加作用に基づき、癌
化学療法後の血小板減少症を適応症として開発されてい
る。
【0004】IL−11は、これまでに造血系、免疫
系、及び神経系細胞の分化成熟促進作用などが報告され
ており、多彩な生物活性を有することが明らかになって
きている(Du XXら,Blood,83,2023
−2030,1994;DuXXら,Curr.opi
n.Hematol.,2,182−188,199
5;Du XXら,Blood,89,3897−39
08,1997;Musashi Mら,Blood,
78,1448−1451,1991;Musashi
Mら,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,88,765−769,1991;Yin TG
ら,J.Exp.Med.,175,211−216,
1992;及びMehler MFら,Nature,
362,62−65,1993)。
【0005】また、IL−11は、骨代謝において重要
な役割を担っていることが示唆されている(Giras
ole Gら,J.Clin.Invest.,93,
1516−1524,1994;Hill PAら,E
ndocrinol,139,1564−1572,1
998;Gimble JMら,J.Cellular
Biochem.,54,122−133,199
4;VerhaegheJら,J.Interfero
n and Cytokine Res.,18,49
−53,1998;及びYamaguchi Aら,
J.Cell.Biol.,113,681−687,
1991)。
【0006】すなわち、イン・ビトロでのマウス骨髄細
胞と頭蓋冠細胞との共培養系において破骨細胞の形成を
促進する(Girasole Gら,J.Clin.I
nvest.,93,1516−1524,1994)
と共に、新生マウス頭蓋冠からのCa遊離を促進するこ
と(Hill PAら,Endocrinol,13
9,1564−1572,1998)が報告されてい
る。一方、マウス間質細胞株BMS2においてはアルカ
リフォスファターゼ(ALP)活性を増加させること
(Gimble JMら,J.Cellular Bi
ochem.,54,122−133,1994)が報
告されているが、IL−11のイン・ビトロでの骨形成
に関する詳細な報告は少ない。卵巣摘出ラットにおいて
は、組換えヒトIL−11は骨のリモデリングに影響を
与えないことが報告されている(Verhaeghe
Jら,J.Interferon and Cytok
ineRes.,18,49−53,1998)。
【0007】一方、骨誘導因子(bone morph
ogenetic protein:BMP)は、皮下
組織又は筋組織内の未分化間葉系細胞に作用して、これ
を軟骨芽細胞又は骨芽細胞に分化させて、軟骨又は骨を
形成させる活性タンパク質である。BMPは、ウシ脱灰
骨基質中に存在する異所性骨誘導活性を示す物質として
発見されたが、純粋に単離されず、具体的な構造は未解
明のままであった。
【0008】しかし、遺伝子工学の技術により、ヒトB
MPをコードする遺伝子がクローニングされ、アミノ酸
配列が明らかになった。また、ヒトBMPは、アミノ酸
配列が相同性を有する複数の近縁タンパク質からなる一
群のファミリーを構成することも判明し、多数の種類の
組換えヒト骨誘導因子(rhBMP)が創製されてきた
(Science,242,1528−1534,19
88;Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,87,2220−2224,1990;Progr
ess in Growth Factor Rese
arch,1,267−280,1989;並びに特表
平2−500241号,特表平3−503649号,特
表平3−505098号,WO91/18098,WO
92/05199,及びWO93/09229各公
報)。また、形質転換体による生産も行われている。
【0009】骨形成因子であるBMP−2(bone
morphological protein−2)の
マウス未分化間葉系細胞株C3H10T1/2の分化誘
導作用が知られている(Yamaguchi Aら,
J.Cell.Biol.,113,681−687,
1991;及びKatagiri Tら,Bioche
m.Biophys.Res.Commum.,17
2,295−299,1990)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、より高い
骨形成活性を示す物質を鋭意探索したところ、IL−1
1と骨誘導因子とを併用すると、それぞれを単独で使用
した場合に比べて、飛躍的に骨形成能が向上することを
新たに見出した。本発明はこのような知見に基づくもの
である。従って、本発明の課題は、より高い骨形成活性
を示す新規の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び
骨形成用組合せ医薬を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題は、本発明によ
る、骨形成治療において、骨誘導因子との同時使用又は
連続使用のためのIL−11を有効成分として含むこと
を特徴とする、骨形成用医薬(以下、BMP併用用IL
−11医薬と称することがある)によって解決すること
ができる。また、本発明は、骨形成治療において、IL
−11との同時使用又は連続使用のための骨誘導因子を
有効成分として含むことを特徴とする、骨形成用医薬
(以下、IL−11併用用BMP医薬と称することがあ
る)に関する。また、本発明は、骨誘導因子及びIL−
11を有効成分として含むことを特徴とする、骨形成用
医薬組成物にも関する。更に、本発明は、骨誘導因子を
有効成分として含む第1の医薬と、IL−11を有効成
分として含む第2の医薬との組合せを含むことを特徴と
する、骨形成用組合せ医薬にも関する。
【0012】本発明による前記の「骨形成用医薬」、
「骨形成用医薬組成物」、及び「骨形成用組合せ医薬」
の好ましい態様においては、骨誘導因子がそれぞれBM
P−2である。
【0013】本明細書における「骨形成」には、骨形成
及び軟骨形成の両方が含まれ、特には、未分化の間葉系
細胞に対して、骨芽細胞及び/又は軟骨細胞の分化を誘
導することによる骨形成及び/又は軟骨形成を意味す
る。
【0014】また、本明細書における「骨形成治療」と
は、骨組織や軟骨組織の形成が必要な疾患の予防又は治
療、あるいは、骨組織や軟骨組織の形成又は補填が必要
な症状の改善を意味する。具体的には、例えば、(1)
事故、疾患、先天性異常、又は各種手術に伴う骨又は軟
骨の欠損部位の修復、(2)各種骨折の治癒促進、
(3)人工関節、人工骨、若しくは人工歯根等の人工イ
ンプラント周囲での骨の形成、人工インプラント使用時
の固着促進、脊椎固定促進、又は脚延長等の整形外科分
野における骨若しくは軟骨の再生若しくは補填、又は関
節の再建、(4)形成外科分野での骨又は軟骨の補填、
あるいは、(5)歯科領域での顎骨の修復、歯槽骨の再
生、セメント質の修復、又はインプラント使用のための
骨の増大等が含まれる。また、骨組織での骨吸収と骨形
成とのバランスが破綻した場合に生じる骨粗鬆症、線維
性骨炎、骨軟化症、又はページェット病等を含む代謝性
骨疾患や変形性関節炎の予防又は治療も含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する骨誘導因子(bone mor
phogeneticprotein:BMP)は、未
分化の間葉系細胞に作用して、これを軟骨細胞や骨芽細
胞へ分化させ、軟骨又は骨を形成させる活性を有するタ
ンパク質であれば、特に限定されるものではなく、例え
ば、BMP−2、BMP−3、BMP−4(BMP−2
Bともいう)、BMP−5、BMP−6、BMP−7、
BMP−8、若しくはBMP−9(以上、ホモダイマ
ー)、若しくはこれらのBMPのヘテロダイマー、又は
これらの機能的等価改変体[すなわち、天然に存在する
BMPのアミノ酸配列において1又はそれ以上(好まし
くは1又は数個)のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は
付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、天然に存在す
るBMPと同じ活性を有するタンパク質]挙げることが
できる。BMP−2が好ましく、ヒトBMP−2がより
好ましい。これらのタンパク質を単独で又は2種以上の
混合物として用いることができる。
【0016】前記骨誘導因子の調製方法も特に限定され
るものではないが、免疫性等の臨床上の安全性及び品質
の安定した材料を大量に入手することができる点で遺伝
子組換え技術により製造されたヒトBMPが好ましい。
すなわち、ヒト骨誘導因子をコードする塩基配列を含む
組換えDNAを含有する形質転換体(細胞又は微生物)
を培養し、それら形質転換体によって産生された組換え
ヒト骨誘導因子を単離、精製して調製した組換えヒト骨
誘導因子(rhBMP)である。これらのヒト骨誘導因
子(rhBMP)としては、例えば、rhBMP−2、
rhBMP−3、rhBMP−4(rhBMP−2Bと
もいう)、rhBMP−5、rhBMP−6、rhBM
P−7、rhBMP−8、若しくはrhBMP−9、若
しくはこれらのrhBMPのヘテロダイマー、又はこれ
らの機能的等価改変体を挙げることができ、rhBMP
−2が好ましい。
【0017】前記の各種rhBMPは、前出の公知文献
(例えば、Science,242,1528−153
4,1988;Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,87,2220−2224,1990;P
rogress in Growth Factor
Research,1,267−280,1989;並
びに特表平2−500241号,特表平3−50364
9号,特表平3−505098号,WO91/1809
8,WO92/05199,及びWO93/09229
各公報)に記載の方法に従って、入手することができ
る。
【0018】より具体的には、これらのrhBMPは、
哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)、微生物(例え
ば、大腸菌)、又は酵母細胞等で発現したものであるこ
とができる。既に大量生産法及び精製法が確立している
rhBMPとしてはrhBMP−2があるが、その他の
rhBMPを同様に製造し、精製して用いることができ
る(Progress in Growth Fact
or Research,1,267−280,198
9)。既に知られている精製rhBMP−2は、分子量
約30,000の二量体タンパク質である。それぞれの
単量体は、Asn56残基にハイ・マンノース型の糖鎖
を有している[Abstract Sixth Int
erractionSymposiumof the
Protein Society,SanDiego,
CA(1992)]。
【0019】本発明において使用するインターロイキン
11(IL−11)としては、例えば、天然体のIL−
11、あるいは、その機能的等価改変体を用いることが
でき、ヒトIL−11が好ましい。本明細書において
「IL−11の機能的等価改変体」とは、天然に存在す
るIL−11のアミノ酸配列において1又はそれ以上
(好ましくは1又は数個)のアミノ酸が欠失、置換、及
び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、天然
に存在するIL−11と同じ活性を有するタンパク質を
意味する。前記改変体としては、例えば、N末端のプロ
リンを欠くこと以外は天然型と同じアミノ酸配列を有す
る組換えヒトIL−11を挙げることができる。
【0020】前記IL−11の調製方法は特に限定され
るものではないが、免疫性等の臨床上の安全性及び品質
の安定した材料を大量に入手することができる点で遺伝
子組換え技術により製造することが好ましく、例えば、
WO91/07495又はWO92/13955各公報
に記載の方法により製造することができる。
【0021】本発明は、骨誘導因子とIL−11とを併
用することにより、それぞれを単独で使用した場合に比
べて、飛躍的に骨形成能が向上するとの発見に基づくも
のである。本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬は、骨誘導因子及びIL−
11の組合せを、それ単独で、あるいは、所望により薬
剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体
と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に投
与することができる限り、その形態は特に限定されるも
のではない。
【0022】例えば、本発明のBMP併用用IL−11
医薬(すなわち、骨誘導因子と併用して使用するための
IL−11医薬)は、その有効成分としてIL−11を
含有し、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容するこ
とのできる通常の担体を更に含有することができる。本
発明のBMP併用用IL−11医薬は、別途準備した骨
誘導因子(本発明のBMP併用用IL−11医薬とは別
に調製したBMP医薬)と同時に対象個体に投与する
か、あるいは、連続して対象個体に投与することができ
る。本明細書において、「連続して投与する」とは、一
方(本発明のBMP併用用IL−11医薬の場合には、
例えば、本発明のBMP併用用IL−11医薬、あるい
は、別に調製したBMP医薬)を対象個体に投与した後
で、残る一方を対象個体に連続して投与することを意味
する。
【0023】また、本発明のIL−11併用用BMP医
薬(すなわち、IL−11と併用して使用するためBM
P医薬)は、その有効成分として骨誘導因子を含有し、
所望により薬剤学的又は獣医学的に許容することのでき
る通常の担体を更に含有することができる。本発明のI
L−11併用用BMP医薬は、別途準備したIL−11
(本発明のIL−11併用用BMP医薬とは別に調製し
たIL−11医薬)と同時に対象個体に投与するか、あ
るいは、連続して対象個体に投与することができる。
【0024】また、本発明の骨形成用医薬組成物は、そ
の有効成分として骨誘導因子及びIL−11の両者を含
有し、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容すること
のできる通常の担体を更に含有することができる。本発
明の骨形成用医薬組成物は、それ単独で対象個体に投与
することができる。
【0025】更に、本発明の骨形成用組合せ医薬は、キ
ット形態の組合せであり、骨誘導因子を有効成分として
含有する第1の医薬と、IL−11を有効成分として含
有する第2の医薬とを含む。前記の第1医薬及び/又は
第2医薬は、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容す
ることのできる通常の担体を更に含有することができ
る。本発明の骨形成用組合せ医薬においては、前記第1
医薬及び第2医薬を同時に対象個体に投与するか、ある
いは、連続して対象個体に投与することができる。
【0026】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬を用いる場合の骨誘導因子
の添加量は、骨誘導作用を相乗的に発現する濃度であれ
ば特に限定されるものではない。例えば、rhBMP−
2を用いる場合には、骨誘導作用を必要とする部位にお
けるrhBMP−2の含有量として、骨誘導部位容積当
たりの濃度として表わすと、通常、0.001μg/m
L以上、好ましくは0.01〜1,000μg/mL、
より好ましくは0.1〜500μg/mLである。
【0027】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬を用いる場合のIL−11
添加量は、骨誘導作用を相乗的に発現する濃度であれば
特に限定されるものではない。例えば、N末端のプロリ
ンを欠くこと以外は天然型と同じアミノ酸配列を有する
組換えヒトIL−11(rhIL−11)を用いる場合
には、骨誘導作用を必要とする部位におけるrhIL−
11の含有量として、骨誘導部位容積当たりの濃度とし
て表わすと、通常、1μg/mL以上、好ましくは30
〜1,000μg/mL、より好ましくは50〜1,0
00μg/mL、更に好ましくは100〜300μg/
mLである。
【0028】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬を用いる場合の骨誘導因子
の添加量とIL−11添加量との比は、骨誘導作用を相
乗的に発現することができる限り、特に限定されるもの
ではないが、例えば、rhBMP−2及びrhIL−1
1を用いる場合には、重量比として、通常、1,00
0:1〜1:1,000,000、好ましくは30:1
〜1:100,000、より好ましくは10:1〜1:
10,000、更に好ましくは5:1〜1:3000で
ある。
【0029】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬は、例えば、骨誘導因子及
びIL−11を含有する液剤やペースト剤等として、あ
るいは、適当な担体にこれらを担持させて、骨形成(骨
形成及び軟骨形成の両方を含む)を必要とする部位に投
与することができる。
【0030】前記担体としては、例えば、天然高分子材
料(例えば、コラーゲン、ゼラチン、若しくはヒアルロ
ン酸等)、人工高分子材料[例えば、ポリ乳酸(PL
A)、ポリグリコール酸(PLG)、又はこれらの共重
合体(PLGA)等]、又は天然若しくは人工の無機材
料(例えば、ヒドロキシアパタイト又はリン酸カルシウ
ムセメント等)等の生体適合性材料の1種又は2種以上
を組み合わせた、固体状、ペースト状、粘土状、又は液
状の担体を挙げることができ、コラーゲンスポンジ、あ
るいは、PLGAでコーティングされたゼラチンスポン
ジ(WO96/10426号公報)が特に好ましい。こ
れらの担体は、既に骨誘導因子の担体として公知であ
り、本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び
骨形成用組合せ医薬においても、これらの担体に担持さ
せて、対象個体に投与することができる。
【0031】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬は、骨誘導因子及びIL−
11以外の成分を含有することができる。これらの所望
成分としては、具体的には、生体吸収性担体、安定化
剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、又は増粘剤等を挙
げることができる。また、骨形成に有用な追加成分、例
えば、フィブロネクチン及び/又はオステオネクチン等
を含むこともできる。これらの所望成分は、本発明の骨
形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ
医薬の製剤化の好適な段階で適宜好適な方法により添加
することができる。
【0032】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬は、各種の骨(骨及び軟骨
の両方を含む)の欠損を修復するために、あるいは、骨
の付加をするために、骨形成の期待される部位に任意の
方法で投与することができる。液剤の場合は注入によっ
て、ペースト剤又は粘土状剤の場合は埋め込みによっ
て、更には適当な担体に担持させて、所望の形状に固化
成形し固体として埋め込むこともできる。
【0033】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬は、当該分野に知られた方
法で生体に適用することができ、その目的、用途、適応
部位、及び/又は患者の状態等に応じて、適宜適用する
ことができる。本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組
成物、及び骨形成用組合せ医薬は、それを単独で用いる
だけでなく、公知の他のインプラントと組み合わせて用
いることもできる。例えば、人工骨や人工歯根を移植す
る際に、その表面に、本発明の骨形成用医薬、骨形成用
医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬を、接着性物質
(例えば、コラーゲン又はフィブリン糊等)で被覆して
用いることができる。あるいは、これらの人工骨や人工
歯根の表面を多孔性に成形し、その部分に、本発明の骨
形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ
医薬を含浸させて用いることもできる。本発明の骨形成
用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬
を局所に固定するために、例えば、生体適合性の膜(例
えば、コラーゲン膜)、あるいは、GTR法に用いるゴ
アテックス膜又はポリ乳酸膜等を組み合わせて用いるこ
とができる。
【0034】また、本発明の骨形成用医薬、骨形成用医
薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬は、注射により投与
することができ、持続的に投与可能な点滴静注等の持続
的投与用製剤が好ましい。本発明の骨形成用医薬、骨形
成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬を注射剤とし
て用いる場合には、その添加剤として、例えば、無菌の
水溶液(例えば、生理食塩水)、等張液、又は油性液
(例えば、ゴマ油又は大豆油)を用いることができる。
また、必要により、適当な懸濁化剤(例えば、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム)、非イオン性界面活性
剤、又は溶解補助剤(例えば、安息香酸ベンジル又はベ
ンジルアルコール等)を併用することができる。
【0035】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成
物、及び骨形成用組合せ医薬を注射剤として使用する場
合の投与量は、骨誘導作用を相乗的に発現する濃度であ
れば特に限定されるものではない。例えば、rhBMP
−2を用いる場合には、通常、0.01μg/kg以
上、好ましくは0.1〜300μg/kg、より好まし
くは0.1〜100μg/kgであり、rhIL−11
を用いる場合には、通常、0.01μg/kg以上、好
ましくは0.1〜1,000μg/kg、より好ましく
は1〜1,000μg/kgである。
【0036】これまで述べてきたように、本発明の骨形
成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医
薬は、有効成分として骨誘導因子及び/又はIL−11
を使用すること以外は、従来公知の方法により製造する
ことができる。例えば、担体としてゼラチンスポンジを
用いる本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及
び骨形成用組合せ医薬は、例えば、WO96/1042
6号公報に記載の方法により製造することができる。
【0037】
【作用】以下、後述の実施例及び比較例の結果から推測
される本発明の作用機序について説明するが、本発明は
これに限定されるものではない。骨の形成において、培
養細胞上清中のアルカリホスファターゼ(ALP)活性
は、骨形成の程度を検討するのに有用なマーカーの1つ
である(Owen TAら,J Cell Physi
ol.,143,420−430,1990)。後述す
る比較例1に示すように、rhIL−11(N末端のプ
ロリンを欠くこと以外は天然型と同じアミノ酸配列を有
する組換えヒトIL−11)(濃度=1ng/mL,1
0ng/mL,及び100ng/mL)は、単独投与に
おいて、マウス胎児由来未分化間葉系細胞C3H10T
1/2において濃度依存的にALP活性を上昇させた。
また、rhIL−11は、骨芽細胞に特異的に発現して
いるオステオカルシン(osteocalcin;O
C)のmRNA発現を増加させた。更に、rhIL−1
1は、骨芽細胞及び軟骨細胞に発現している骨シアロ酸
含有タンパク質(bone sialo protei
n;BSP)及び副甲状腺ホルモンレセプター(par
athyroid hormone recepto
r;PTHR)の発現を著しく上昇させたが、軟骨細胞
分化マーカーであるコラーゲンIIの発現には影響を与え
なかった。これらのことから、rhIL−11によるB
SP及びPTHR遺伝子の発現上昇は骨芽細胞分化に由
来するものと推察された。以上の結果から、rhIL−
11は単独で骨芽細胞の分化を誘導することが示され
た。
【0038】rhBMP−2は、骨芽細胞及び軟骨細胞
の分化を誘導すること(WangEAら,Growth
Factors,9,57−71,1993;Kat
agiri Tら,Biochem.Biophys.
Res.Commum.,172,295−299,1
990;及びChen Pら,Exp.Cell.Re
s.,195,509−515,1991)、そして、
C3H10T1/2細胞を脂肪細胞へも分化させること
(Wang EAら,Growth Factors,
9,57−71,1993)が報告されている。
【0039】比較例1に示すように、rhBMP−2は
ALP活性を上昇させ、7日目における作用よりも10
日目における作用の方が顕著であった。また、rhBM
P−2は、OC、BSP、PTHR、及びコラーゲンII
の発現を上昇させると共に、脂肪細胞分化マーカーであ
るペルオキシソーム増殖薬活性化レセプターγ2(pe
roxisome proliferator act
ivated receptor gamma 2;P
PARγ2)及び脂肪酸結合タンパク質P2(adip
ocyte fatty acid−binding
proteinP2;aP2)の発現を誘導した。これ
らの結果は、rhBMP−2が骨芽細胞及び軟骨細胞並
びに脂肪細胞への分化を誘導するというこれまでの報告
を支持するものである。
【0040】脂肪細胞分化マーカー遺伝子において、r
hBMP−2によるaP2の発現は、PPARγ2より
顕著であった。PPARγ2は、レチノイドXレセプタ
ーと安定なヘテロ二量体を形成してPPRE(pero
xisome proliferator respo
nse element)と呼ばれるDNA塩基配列と
結合する(Kliewer SAら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,91,7355−73
59,1994)。更に、脂肪分化に伴って誘導されて
くるaP2などの遺伝子のプロモーターにも、PPRE
の存在が確認されている(Tontonoz Pら,M
ol.Cell.Biol.,15,351−357,
1995)。これらのことから、rhBMP−2は、ま
ず脂肪細胞分化誘導作用によりPPARγ2及びaP2
の発現を上昇させ、続いて、上昇したPPARγ2がa
P2の転写を促進したために、aP2の著しい発現上昇
が認められたものと推察された。
【0041】比較例1に示すように、rhIL−11及
びrhBMP−2は、いずれも骨芽細胞分化刺激活性を
示したが、両者の作用には違いが認められた。rhIL
−11及びrhBMP−2は、7日目においてALP活
性をほぼ同程度まで上昇させたが、10日目のALP活
性上昇作用は、rhBMP−2の方が強かった。また、
骨芽細胞の分化過程において、rhIL−11は、BS
P及びPTHRの発現をrhBMP−2と同等以上に上
昇させたが、分化過程後期の骨細胞に発現するOCに対
しては著しい上昇を認めなかった。一方で、rhBMP
−2は、BSP及びPTHRの発現を上昇させると共
に、rhIL−11と比較してOCの発現を著しく上昇
させた。これらの結果から、rhIL−11は、rhB
MP−2と比べ、比較的早期の骨芽細胞分化に関与して
いる可能性が示唆された。
【0042】更に、後述する実施例1に示すように、r
hIL−11は、rhBMP−2と相乗的に作用し、A
LP活性を顕著に上昇させ、OCの遺伝子発現も著しく
増加させた。rhIL−11及びrhBMP−2の相乗
効果は、軟骨細胞の分化マーカーであるコラーゲンIIに
おいても認められた。これらの結果は、rhIL−11
とrhBMP−2との相乗作用により、骨形成が亢進し
た結果であると考えられる。rhIL−11は、実施例
及び比較例の結果から明らかなように、単独でも、rh
BMP−2との併用においても骨芽細胞の分化誘導作用
を示した。脂肪細胞への分化に関しては、rhIL−1
1はrhBMP−2によるPPARγ2及びaP2の発
現上昇を抑制した。
【0043】以上、述べたように、rhBMP−2が骨
芽細胞及び脂肪細胞の分化を促進する一方、rhIL−
11が脂肪細胞の分化を抑制するため、rhBMP−2
及びrhIL−11を併用すると、特異的に骨芽細胞の
分化誘導が生じると考えられる。これに関連した公知事
実として、骨粗鬆症の特徴的な病態の一つとして、骨芽
細胞の減少及び脂肪細胞の増加が挙げられる。脂肪細胞
は、骨芽細胞と同様に未分化間葉系細胞がその前駆細胞
であるので、この脂肪細胞への分化が亢進されたため
に、骨芽細胞への分化が抑制されたことによると推測さ
れている。従って、後述の実施例で認められた骨芽細胞
への分化促進には、脂肪細胞への分化の抑制により、脂
肪細胞へ分化する予定の細胞が骨芽細胞の方へ分化する
という作用と共に、rhIL−11とrhBMP−2と
の相乗作用による骨芽細胞への分化促進が大きく影響し
ているものと考えられる。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】《rhIL−11及びrhBMP−2の同
時添加による骨形成作用の評価》 (1)アルカリホスファターゼ(ALP)活性に基づく
評価 本実施例では、ヒトIL−11として、N末端のプロリ
ンを欠くこと以外は天然型と同じアミノ酸配列を有する
組換えヒトIL−11(rhIL−11)を使用し、骨
誘導因子として、天然型と同じアミノ酸配列を有する組
換えヒトBMP−2(rhBMP−2)を使用し、前記
rhIL−11及びrhBMP−2を、マウス胎児由来
未分化間葉系細胞C3H10T1/2(ATCC CC
L−226)に同時に添加した場合の骨形成作用を、ア
ルカリホスファターゼ(ALP)活性を指標として評価
した。
【0045】具体的には、rhIL−11として、大腸
菌で製造したrhIL−11凍結乾燥品(5mg)を蒸
留水1mLで溶解した後、0.1%ウシ血清アルブミン
(BSA)添加ダルベッコ改変リン酸緩衝溶液(Dul
becco’s modified phosphat
e buffer solution)(4mL)で希
釈し、1000μg/mL溶液を調製した。この溶液を
−80℃以下で凍結保存し、使用の際に、解凍した後、
使用培地で希釈した。また、rhBMP−2として、チ
ャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で製造したr
hBMP−2を希釈用緩衝液(5mmol/Lグルタミ
ン酸、2.5%グリシン、0.5%スクロース、0.0
1%トゥイーン80、pH4.5)に溶解した1000
μg/mL溶液を使用した。前記希釈用緩衝液で希釈
し、40μg/mL溶液を調製した。この溶液を−80
℃以下で凍結保存し、使用の際に、解凍した後、使用培
地で希釈した。
【0046】C3H10T1/2細胞[America
n Type Culture Collection
(米国)より購入]は、抗生物質−抗真菌剤(Gibc
oBRL)及び10%ウシ胎児血清(FBS;大日本製
薬)を添加したBMEアール培地(大日本製薬)を用い
て、37℃及びCO2/空気(1:19)の条件下で継
代培養した。なお、rhIL−11及びrhBMP−2
添加時には、50μg/mLのL−アスコルビン酸(ナ
カライ)、10mmol/Lのβ−グリセロリン酸ナト
リウム(和光純薬工業)、及び0.5%ジメチルスルホ
キシド(DMSO;Sigma)を添加したBMEアー
ル培地を用いた。
【0047】C3H10T1/2細胞(1.5×103
細胞/well)を96穴プレートに播種した後、種々
濃度(1ng/mL、10ng/mL、又は100ng
/mL)のrhIL−11、40ng/mLのrhBM
P−2、10%FBS、50μg/mLのL−アスコル
ビン酸、10mmol/Lのβ−グリセロリン酸ナトリ
ウム、及び0.5%DMSOを含むBMEアール培地で
培養した。前記播種の翌日を0日目とし、7日目及び1
0日目にリン酸緩衝生理食塩水(PBS;日水製薬)で
洗浄した後、ホスファターゼ基質[SIGMA 104
phosphatase substrate(p−n
itrophenylphosphatase、dis
odium、hexahydrate);Sigma]
とアルカリ緩衝溶液[221 alkaline bu
ffer solution(1.5mol/L 2−
amino−2−methyl−1−propanol
buffer、pH10.3);Sigma]との混
合液100μLを添加し、37℃でインキュベートし
た。0.5N水酸化ナトリウム100μLを添加して反
応を停止し、405/492nmの吸光度を測定した。
ALP活性(IU/well)はp−ニトロフェノール
(Sigma)を標準として算出した。
【0048】比較例として、rhIL−11及びrhB
MP−2を同時に培地に添加する代わりに、種々濃度
(1ng/mL、10ng/mL、又は100ng/m
L)のrhIL−11を単独で、あるいは、40ng/
mLのrhBMP−2を単独で、培地に添加したこと以
外は、前記操作を繰り返した。また、コントロールとし
て、rhIL−11及びrhBMP−2のいずれも培地
に添加しなかったこと以外は、前記操作を繰り返した。
【0049】結果を図1に示す。実験は2回行ない、図
1(a)及び図1(b)は、第1回目の実験における第
7日目の結果及び第10日目の結果をそれぞれ示し、図
1(c)及び図1(d)は、第2回目の実験における第
7日目の結果及び第10日目の結果をそれぞれ示す。図
1における各カラムは、平均値±標準誤差(n=6)を
示す。図1において、記号「*」は、コントロール群
(すなわち、rhIL−11及びrhBMP−2無添加
群)に対する有意差が、p<0.05(Dunnett
多重比較検定)であることを意味し、記号「$」は、コ
ントロール群に対する有意差が、p<0.05(t−検
定)であることを意味し、記号「#」は、rhBMP−
2単独添加群に対する有意差が、p<0.05(Dun
nett多重比較検定)であることを意味する。
【0050】図1に示すように、rhIL−11(1n
g/mL、10ng/mL、及び100ng/mL)
は、rhBMP−2(40ng/mL)と相乗的に作用
して、ALP活性を上昇させた。その作用は、7日目よ
りも10日目においてより顕著であり、相乗作用を示す
rhIL−11の濃度は、10ng/mLでほぼ最大で
あった。
【0051】(2)分化特異的遺伝子発現に基づく評価 本実施例では、前記実施例1(1)で使用したのと同じ
rhIL−11及びrhBMP−2を使用し、前記実施
例1(1)で使用したのと同じC3H10T1/2細胞
に、前記rhIL−11及びrhBMP−2を同時に添
加した場合の骨形成作用を、分化特異的遺伝子発現を指
標として評価した。
【0052】C3H10T1/2細胞の分化細胞特異的
遺伝子として、骨芽細胞では、オステオカルシン(os
teocalcin;OC)を選択し、以下、同様に、
骨芽細胞及び軟骨細胞では、骨シアロ酸含有タンパク質
(bone sialo protein;BSP)及
び副甲状腺ホルモンレセプター(parathyroi
d hormone receptor;PTHR)
を、軟骨細胞では、II型コラーゲン(collagen
II)を、脂肪細胞では、ペルオキシソーム増殖薬活性
化レセプターγ2(peroxisome proli
feratoractivated receptor
gamma 2;PPARγ2)及び脂肪酸結合タン
パク質P2(adipocyte fatty aci
d−binding protein P2;aP2)
を選択した。また、常に一定レベルで発現している遺伝
子として、グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲ
ナーゼ(glyceroaldehyde−3−pho
sphate dehydrogenase;G3PD
H)を選択した。後述するように、各遺伝子発現量は、
G3PDH発現量で補正した。
【0053】各遺伝子に対応するmRNA発現量の測定
に使用したプローブ(TaqMan−プローブ)、フォ
ーワード(F)−プライマー、及びリバース(R)−プ
ライマー[サワデー・テクノロジー又はGENSET
KK(京都)により合成]の各塩基配列をその順序で以
下に示す: OC: 5’−(6FAM)−AgCTCggCTTTggCT
gCTCTCC(aTAMRA)(p)−3’(配列表
の配列番号1) 5’−gCCCTAAAgCCAAACTCTgg−
3’(配列表の配列番号2) 5’−AgAggACAgggAggATCAAgTC
−3’(配列表の配列番号3) BSP: 5’−(6FAM)−TTAgCggCACTCCAA
CTgCCCA(aTAMRA)(p)−3’(配列表
の配列番号4) 5’−CCCCAAgCACAgACTTTTgA−
3’(配列表の配列番号5) 5’−CTTTCTgCATCTCCAgCCTTC−
3’(配列表の配列番号6) PTHR: 5’−(6FAM)−TggACACTggCATTg
gACTTCAAgCg(aTAMRA)(p)−3’
(配列表の配列番号7) 5’−ACTgTggCAgATCCAgATgC−
3’(配列表の配列番号8) 5’−CTCgTgTgTgACACCATTgg−
3’(配列表の配列番号9) コラーゲンII: 5’−(6FAM)−CCgTCATCgAgTACC
gATCACAgAAg(aTAMRA)(p)−3’
(配列表の配列番号10) 5’−gCAggTTCACATACACTgCC−
3’(配列表の配列番号11) 5’−TgCAgATCCTggAgTgACTg−
3’(配列表の配列番号12) PPARγ2: 5’−(6FAM)−CTgTTgACCCAgAgC
ATggTgCC(aTAMRA)(p)−3’(配列
表の配列番号13) 5’−gggTgAAACTCTgggAgATTCT
−3’(配列表の配列番号14) 5’−CATAggCAgTgCATCAgCg−3’
(配列表の配列番号15) aP2: 5’−(6FAM)−TgggCgTggAATTCg
ATgAAATCA(aTAMRA)(p)−3’(配
列表の配列番号16) 5’−AAAACACCgAgATTTCCTTCAA
A−3’(配列表の配列番号17) 5’−CTCTTCACCTTCCTgTCgTCTg
−3’(配列表の配列番号18) G3PDH: 5’−(6FAM)−CATgTTCCAgTATgA
CTCCACTCACg(aTAMRA)(p)−3’
(配列表の配列番号19) 5’−AAAgTggAgATTgTTgCCAT−
3’(配列表の配列番号20) 5’−TTgACTgTgCCgTTgAATT−3’
(配列表の配列番号21)。
【0054】なお、「6FAM」は、5’端フルオレセ
イン系リポーター蛍光色素を意味し、「aTAMRA」
は、3’端ローダミン系クェンチャー蛍光色素を意味す
る。また、前記の各塩基配列は、プライマー・エクスプ
レス・ソフトウェア(Primer Express
Ver.1.0;パーキンエルマーバイオシステムズジ
ャパン)を用いて設計した。
【0055】直径10cmのシャーレに、C3H10T
1/2細胞(4.5×104細胞/10cm dis
h)を播種し、その4日後に、種々濃度(1ng/mL
又は10ng/mL)のrhIL−11及び40ng/
mLのrhBMP−2を添加した。rhIL−11及び
rhBMP−2を添加した日を0日目とし、7日目及び
10日目に細胞を回収し、市販のRNA抽出用試薬(I
SOGEN;ニッポンジーン)を用いて、その使用説明
書に従って、全RNA(total RNA)を調製し
た。なお、混在する染色体DNAは、デオキシリボヌク
レアーゼ(RTGrade;ニッポンジーン)を用いて
除去した。得られた全RNAから、市販のcDNA合成
キット(SUPERSCRIPTTM preampli
fication system;Gibco BR
L)を用いて、その使用説明書に従って、cDNAの合
成を行なった。
【0056】得られたcDNAを鋳型として、先述のm
RNA発現量測定用プローブ(TaqMan−プロー
ブ)、フォーワード(F)−プライマー、及びリバース
(R)−プライマーと、市販のDNA検出/定量用試薬
(TaqManTM PCR Core Reagent
Kit;パーキンエルマーバイオシステムズジャパ
ン)と、PCRプロダクト自動検出/定量システム(A
BI PRISM 7700 sequence de
tector;パーキンエルマーバイオシステムズジャ
パン)とを用いて、それらの各使用説明書に従って、各
mRNA遺伝子発現量を測定した。各遺伝子の発現量
は、各遺伝子発現量をG3PDH遺伝子発現量で補正し
た後、0日目の発現量に対する相対値で示した。
【0057】比較例として、rhIL−11及びrhB
MP−2を同時に培地に添加する代わりに、種々濃度
(1ng/mL又は10ng/mL)のrhIL−11
を単独で、あるいは、40ng/mLのrhBMP−2
を単独で、培地に添加したこと以外は、前記操作を繰り
返した。また、コントロールとして、rhIL−11及
びrhBMP−2のいずれも培地に添加しなかったこと
以外は、前記操作を繰り返した。
【0058】OC、コラーゲンII、PPARγ2、及び
aP2に関するそれぞれの結果を図2に示す。図2
(a)は、OC(骨芽細胞に特異的な遺伝子)の結果を
示し、以下、同様に、図2(b)は、コラーゲンII(軟
骨細胞に特異的な遺伝子)の結果を、図2(c)は、P
PARγ2(脂肪細胞に特異的な遺伝子)の結果を、そ
して、図2(d)は、aP2(脂肪細胞に特異的な遺伝
子)の結果をそれぞれ示す。各遺伝子発現量は、0日目
の発現量に対する相対値を、平均値±標準誤差(n=
4)で示す。
【0059】図2において、「黒四角」及びそれらを結
ぶ折れ線は、コントロールの結果を示し、以下、同様
に、「黒三角」及びそれらを結ぶ折れ線は、本発明によ
るrhIL−11(1ng/mL)及びrhBMP−2
同時投与の結果を示し、「白三角」及びそれらを結ぶ折
れ線は、本発明によるrhIL−11(10ng/m
L)及びrhBMP−2同時投与の結果を示し、「黒
丸」及びそれらを結ぶ折れ線は、比較例としてのrhI
L−11(1ng/mL)単独投与の結果を示し、「白
丸」及びそれらを結ぶ折れ線は、比較例としてのrhI
L−11(10ng/mL)単独投与の結果を示し、
「黒菱形」及びそれらを結ぶ折れ線は、比較例としての
rhBMP−2単独投与の結果を示す。
【0060】また、図2において、記号「*」は、コン
トロール群(すなわち、rhIL−11及びrhBMP
−2無添加群)に対する有意差が、p<0.05(Du
nnett多重比較検定)であることを意味し、記号
「$」は、コントロール群に対する有意差が、p<0.
05(t−検定)であることを意味し、記号「#」は、
rhBMP−2単独添加群に対する有意差が、p<0.
05(Dunnett多重比較検定)であることを意味
する。
【0061】図2(a)に示すように、rhIL−11
(1ng/mL及び10ng/mL)は、rhBMP−
2(40ng/mL)と相乗的に作用し、OC(骨芽細
胞に特異的な遺伝子)の発現を著しく増加させた。同様
な効果は、コラーゲンII(軟骨細胞に特異的な遺伝子)
においても認められた[図2(b)]。このrhBMP
−2に対する相乗効果は、rhIL−11濃度が低濃度
(1ng/mL)である場合において、より強く認めら
れる傾向を示した[図2(a),図2(b)]。一方、
rhIL−11(1ng/mL及び10ng/mL)
は、rhBMP−2単独添加時に認められるPPARγ
2(脂肪細胞に特異的な遺伝子)及びaP2(脂肪細胞
に特異的な遺伝子)の発現上昇を抑制した[図2
(c),図2(d)]。
【0062】(3)組織染色による評価 C3H10T1/2細胞(1.8×104細胞/wel
l)を12穴プレートに播種した後、種々濃度(後述)
のrhIL−11、種々濃度(後述)のrhBMP−
2、10%FBS、50μg/mLのL−アスコルビン
酸、10mmol/Lのβ−グリセロリン酸ナトリウ
ム、及び0.5%DMSOを含むBMEアール培地で培
養した。前記播種の翌日を0日目とし、14日目にPB
Sで洗浄した後、10%ホルマリンを用いて室温で1時
間固定した後、各細胞の染色を行なった。
【0063】骨芽細胞のカルシウム染色は、アリザリン
レッドを用いて染色し、以下、同様に、軟骨細胞の染色
はアルシアンブルーを用いて、そして、脂肪細胞の染色
はオイルレッドOを用いてそれぞれ染色した。なお、骨
芽細胞のカルシウム染色に供した細胞には、1ng/m
L又は10ng/mLのrhIL−11と1000ng
/mLのrhBMP−2とを添加し、軟骨細胞又は脂肪
細胞の染色に供した細胞には、1ng/mL又は10n
g/mLのrhIL−11と40ng/mLのrhBM
P−2とを添加した。
【0064】比較例として、rhIL−11及びrhB
MP−2を同時に培地に添加する代わりに、種々濃度
(1ng/mL又は10ng/mL)のrhIL−11
を単独で、あるいは、種々濃度(40ng/mL又は1
000ng/mL)のrhBMP−2を単独で、培地に
添加したこと以外は、前記操作を繰り返した。
【0065】rhIL−11(1ng/mL及び10n
g/mL)単独投与時、あるいは、rhBMP−2(1
000ng/mL)の単独添加時においては、14日目
においても骨芽細胞のアリザリンレッド染色が認められ
なかったのに対して、rhIL−11(10ng/m
L)及びrhBMP−2(1000ng/mL)の同時
添加した場合には、骨芽細胞の染色が認められた。ま
た、軟骨細胞のアルシアンブルー染色については、rh
IL−11(1ng/mL及び10ng/mL)単独添
加時には認められなかったが、rhBMP−2(40n
g/mL)単独添加時には軟骨細胞染色が認められ、同
時添加により著しく増強した。一方、脂肪細胞のオイル
レッドO染色については、rhBMP−2(40ng/
mL)単独添加時に脂肪細胞染色が認められ、rhIL
−11(1ng/mL及び10ng/mL)の同時添加
により著しく抑制された。
【0066】
【比較例1】《rhIL−11又はrhBMP−2の単
独添加による骨形成作用の評価》 (1)アルカリホスファターゼ(ALP)活性に基づく
評価 rhIL−11及びrhBMP−2を同時に添加する代
わりに、種々濃度(1ng/mL、10ng/mL、又
は100ng/mL)のrhIL−11を単独で、ある
いは、40ng/mLのrhBMP−2を単独で、培地
に添加したこと、そして、第7日目及び第10日目だけ
でなく、第4日目、第7日目、及び第10日目にALP
活性を測定したこと以外は、前記実施例1(1)の操作
を繰り返した。
【0067】結果を図3に示す。実験は2回行ない、図
3(a)は、第1回目の実験における結果を示し、図3
(b)は、第2回目の実験における結果を示す。図3に
おける各記号「*」、「$」、及び「#」は、図1と同
じ意味である。図3に示すように、rhIL−11(1
ng/mL、10ng/mL、及び100ng/mL)
は、第7日目より濃度依存的にALP活性を増加させ
た。rhBMP−2(40ng/mL)は、第7日目に
おいてrhIL−11と同程度までALP活性を上昇さ
せ、第10日目においてALP活性をrhIL−11よ
り著しく上昇させた。
【0068】(2)分化特異的遺伝子発現に基づく評価 rhIL−11及びrhBMP−2を同時に添加する代
わりに、種々濃度(10ng/mL又は100ng/m
L)のrhIL−11を単独で、あるいは、40ng/
mLのrhBMP−2を単独で、培地に添加したこと以
外は、前記実施例1(2)の操作を繰り返した。
【0069】結果を図4に示す。図4(a)は、OC
(骨芽細胞に特異的な遺伝子)の結果を示し、以下、同
様に、図4(b)は、BSP(骨芽細胞及び軟骨細胞に
特異的な遺伝子)の結果を、図4(c)は、PTHR
(骨芽細胞及び軟骨細胞に特異的な遺伝子)の結果を、
図4(d)は、コラーゲンII(軟骨細胞に特異的な遺伝
子)の結果を、図4(e)は、PPARγ2(脂肪細胞
に特異的な遺伝子)の結果を、そして、図4(f)は、
aP2(脂肪細胞に特異的な遺伝子)の結果をそれぞれ
示す。図4において、「黒四角」及びそれらを結ぶ折れ
線は、コントロールの結果を示し、以下、同様に、「黒
丸」及びそれらを結ぶ折れ線は、rhIL−11(10
ng/mL)単独投与の結果を示し、「白丸」及びそれ
らを結ぶ折れ線は、rhIL−11(100ng/m
L)単独投与の結果を示し、「黒菱形」及びそれらを結
ぶ折れ線は、rhBMP−2単独投与の結果を示す。
【0070】図4に示すように、rhIL−11(10
ng/mL及び100ng/mL)は、7日目又は10
日目において、OC、BSP、及びPTHRのmRNA
発現量を増加させた。OCに対して、rhIL−11
は、10ng/mL及び100ng/mLで同程度に発
現を上昇させた。BSP及びPTHRに対しては、7日
目ではrhIL−11は、前記両濃度で同程度の発現上
昇作用を示したが、10日目では100ng/mLの方
が強い上昇作用を示した。一方、rhIL−11は、前
記両濃度ともに、PPARγ2の発現にはほとんど影響
を与えなかった。また、コラーゲンII及びaP2に対し
て、rhIL−11単独投与群で有意差が認められた
が、意味のある変化ではなく、rhIL−11は、コラ
ーゲンII及びaP2の発現にもほとんど影響を与えなか
った。
【0071】rhBMP−2(40ng/mL)は、r
hIL−11と同様に、OC、BSP、及びPTHRの
mRNA発現を増加させた。OCに対しては、10日目
でrhIL−11より強い発現増加作用を示したのに対
し、BSPに対しては7日目及び10日目ともに、rh
IL−11より弱い作用を、PTHRに対してはrhI
L−11とほぼ同等の作用を示した。更に、rhBMP
−2は、rhIL−11と異なり、コラーゲンII、PP
ARγ2、及びaP2に対してもmRNA発現増加作用
を示した。
【0072】
【実施例2】《ラット異所性骨形成モデルにおけるrh
IL−11及びrhBMP−2の併用作用の評価》本実
施例では、ヒトIL−11として、N末端のプロリンを
欠くこと以外は天然型と同じアミノ酸配列を有し、大腸
菌で製造した組換えヒトIL−11(rhIL−11)
凍結乾燥品を使用した。rhIL−11(5mg)を溶
解液(0.01%トゥイーン80)1.2mLで溶解し
た後、蒸留水で希釈し、1mg/mL溶液を調製した。
更に、80μLを担体に含浸させたときの濃度が2μg
及び20μgになるように蒸留水で希釈した。また、前
記溶解液(0.01%トゥイーン80)で溶解して得ら
れた前記rhIL−11溶液を浸透圧ミニポンプ(Al
zet浸透圧ミニポンプ,model 2001;Al
za)に充填した。また、ヒトBMP−2として、天然
型と同じアミノ酸配列を有するチャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞で製造した組換えヒトBMP−2
(rhBMP−2)を使用した。rhBMP−2を希釈
用緩衝液(5mmol/Lグルタミン酸、2.5%グリ
シン、0.5%スクロース、0.01%トゥイーン8
0、pH4.5)に溶解した3.56mg/mL溶液を
使用した。更に、80μLを担体に含浸させたときの濃
度が2μgになるように希釈用緩衝液で希釈した。
【0073】本実施例では、6週齢の雄性LE(Lon
g Evans)ラット(体重=172〜248g;C
harles River,USA)を使用した。LE
ラットをエーテル軽麻酔下に胸部を剃毛し、アルコール
綿を用いて消毒した。胸部皮膚を眼下用鋏で2〜3cm
切開し、モスキート鉗子を用いて皮下を鈍性に剥離し、
ポケットを作製した。rhIL−11(20μg)の
み、BMP−2(2μg)のみ、あるいは、rhIL−
11(20μg)及びBMP−2(2μg)をそれぞれ
含浸させた担体(PLGAでコーティングされた8mm
×5mm×5mmのゼラチンスポンジ;製造方法につい
てはWO96/10426号公報を参照)をピンセット
で注意深く埋め込み、金属クリップ(Wound Cr
ip)を用いて術創を閉じた後に、ヨードチンキ綿にて
術部を消毒した。また、胸部皮下にBMP−2(2μ
g)含浸担体と、腹部皮下に、rhIL−11溶液を充
填した浸透圧ミニポンプ(100μg/rat/da
y)とを埋め込んだLEラットを作製した。なお、浸透
圧ミニポンプは1週間毎に交換した。
【0074】術後3週目にエーテル麻酔下に正中切開
し、担体に形成された新生骨を周囲組織より注意深く摘
出し、生理食塩水で洗った後に、10%中性緩衝ホルマ
リン溶液(約15mL)中にて固定した。摘出した担体
に形成された新生骨を2mol/L塩酸溶液2mL中に
48時間以上浸漬し、浸漬液中のCa濃度を、原子吸光
光度計(Atomic Absorption Spe
ctra Photometer ANA−182;東
京光電株式会社)を用いて原子吸光法にて測定し、担体
の組織Ca含量を算出した。カルシウム標準品として
は、市販のカルシウム標準液A(和光純薬工業)を使用
した。
【0075】rhIL−11及びrhBMP−2併用時
の作用を、rhBMP−2単独作用に対するSteel
検定により評価した結果(n=16)を、図5に示す。
実験結果は、中央値、四分位点、及びレンジで示した。
なお、測定Ca濃度が測定限界(1μg/mL)以下の
場合、Ca濃度を0とした。また、図5において、記号
「**」は、rhBMP−2単独群に対する有意差を示
す(p<0.01,Steel検定)。
【0076】図5に示すように、rhBMP−2(2μ
g)を含浸させた担体をラット皮下に埋入すると、3週
間経過後に骨形成が認められた。rhIL−11(20
μg)含浸担体単独では骨形成作用は認められなかった
が、rhBMP−2(2μg)及びrhIL−11(2
0μg)を同時に担体に含浸すると、rhIL−11は
rhBMP−2による骨形成を著しく促進した。また、
rhBMP−2(2μg)含浸担体埋入と同時にrhI
L−11(100μg/rat/day)を浸透圧ミニ
ポンプにより持続皮下投与したところ、rhBMP−2
による骨形成は促進され、その作用はrhIL−11
(20μg)含浸群と同程度であった。以上の結果か
ら、rhIL−11はrhBMP−2の骨形成作用に相
乗的に作用し、インビボにおいて異所性骨形成を著しく
促進させることが明らかとなった。
【0077】
【発明の効果】本発明の骨形成用医薬、骨形成用医薬組
成物、及び骨形成用組合せ医薬によれば、IL−11又
は骨誘導因子をそれぞれ単独で使用した場合に比べて、
飛躍的に骨形成能が向上する。
【0078】
【配列表】 <110> Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd. <120> A medicament, pharmaceutical composition, and medicament combinati on for bone formation <130> YAM013063P <150> JP 2000-243120 <151> 2000-08-10 <160> 21 <210> 1 <211> 22 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 1 agctcggctt tggctgctct cc 22 <210> 2 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 2 gccctaaagc caaactctgg 20 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 3 agaggacagg gaggatcaag tc 22 <210> 4 <211> 22 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 4 ttagcggcac tccaactgcc ca 22 <210> 5 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 5 ccccaagcac agacttttga 20 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 6 ctttctgcat ctccagcctt c 21 <210> 7 <211> 26 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 7 tggacactgg cattggactt caagcg 26 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 8 actgtggcag atccagatgc 20 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 9 ctcgtgtgtg acaccattgg 20 <210> 10 <211> 26 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 10 ccgtcatcga gtaccgatca cagaag 26 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 11 gcaggttcac atacactgcc 20 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 12 tgcagatcct ggagtgactg 20 <210> 13 <211> 23 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 13 ctgttgaccc agagcatggt gcc 23 <210> 14 <211> 22 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 14 gggtgaaact ctgggagatt ct 22 <210> 15 <211> 19 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 15 cataggcagt gcatcagcg 19 <210> 16 <211> 24 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 16 tgggcgtgga attcgatgaa atca 24 <210> 17 <211> 23 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 17 aaaacaccga gatttccttc aaa 23 <210> 18 <211> 22 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 18 ctcttcacct tcctgtcgtc tg 22 <210> 19 <211> 26 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 19 catgttccag tatgactcca ctcacg 26 <210> 20 <211> 20 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 20 aaagtggaga ttgttgccat 20 <210> 21 <211> 19 <212> DNA <213> Mus sp. <400> 21 ttgactgtgc cgttgaatt 19
【図面の簡単な説明】
【図1】rhIL−11及びrhBMP−2の同時添加
による骨形成作用を、アルカリホスファターゼ(AL
P)活性に基づいて評価した結果を示すグラフである。
【図2】rhIL−11及びrhBMP−2の同時添加
による骨形成作用を、分化特異的遺伝子発現に基づいて
評価した結果を示すグラフである。
【図3】rhIL−11又はrhBMP−2の単独添加
による骨形成作用を、アルカリホスファターゼ(AL
P)活性に基づいて評価した結果を示すグラフである。
【図4】rhIL−11又はrhBMP−2の単独添加
による骨形成作用を、分化特異的遺伝子発現に基づいて
評価した結果を示すグラフである。
【図5】ラット異所性骨形成モデルにおけるrhIL−
11及びrhBMP−2の併用作用の結果を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 27/16 A61K 37/02 (72)発明者 福島 慎二 茨城県つくば市御幸が丘21 山之内製薬株 式会社内 (72)発明者 安田 修平 茨城県つくば市御幸が丘21 山之内製薬株 式会社内 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA02 AA19 BA44 DA12 MA02 NA14 ZA96 ZB22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨形成治療において、骨誘導因子との同
    時使用又は連続使用のためのIL−11を有効成分とし
    て含むことを特徴とする、骨形成用医薬。
  2. 【請求項2】 骨誘導因子がBMP−2である、請求項
    1に記載の骨形成用医薬。
  3. 【請求項3】 骨形成治療において、IL−11との同
    時使用又は連続使用のための骨誘導因子を有効成分とし
    て含むことを特徴とする、骨形成用医薬。
  4. 【請求項4】 骨誘導因子がBMP−2である、請求項
    3に記載の骨形成用医薬。
  5. 【請求項5】 骨誘導因子及びIL−11を有効成分と
    して含むことを特徴とする、骨形成用医薬組成物。
  6. 【請求項6】 骨誘導因子がBMP−2である、請求項
    5に記載の骨形成用医薬組成物。
  7. 【請求項7】 骨誘導因子を有効成分として含む第1の
    医薬と、IL−11を有効成分として含む第2の医薬と
    の組合せを含むことを特徴とする、骨形成用組合せ医
    薬。
  8. 【請求項8】 骨誘導因子がBMP−2である、請求項
    7に記載の骨形成用組合せ医薬。
JP2001243842A 2000-08-10 2001-08-10 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬 Pending JP2002121150A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001243842A JP2002121150A (ja) 2000-08-10 2001-08-10 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000243120 2000-08-10
JP2000-243120 2000-08-10
JP2001243842A JP2002121150A (ja) 2000-08-10 2001-08-10 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002121150A true JP2002121150A (ja) 2002-04-23

Family

ID=26597753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001243842A Pending JP2002121150A (ja) 2000-08-10 2001-08-10 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002121150A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005100161A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Hitachi Software Eng Co Ltd 性能試験支援装置
CN113350486A (zh) * 2021-07-06 2021-09-07 深圳市人民医院 一种具有骨缺损修复功效的药物组合物及其应用

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005100161A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Hitachi Software Eng Co Ltd 性能試験支援装置
CN113350486A (zh) * 2021-07-06 2021-09-07 深圳市人民医院 一种具有骨缺损修复功效的药物组合物及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10335458B2 (en) Pharmaceutical compositions for treating or preventing bone conditions
KR100255417B1 (ko) Bmp-9 조성물
CA2102429C (en) Bone growth factors and inhibitors of bone resorption for promoting bone formation
JP4895826B2 (ja) 骨形成蛋白−2の正のモジュレーター
KR100987731B1 (ko) 골형성촉진용 합성펩타이드, 상기 합성 펩타이드를 포함하는 약학조성물 및 배지조성물
JP2007197455A (ja) 骨疾患を処置するための骨形成タンパク質
JPH08503198A (ja) Op−3誘導形態形成
Jin et al. Growth differentiation factor 5 regulation in bone regeneration
JP2010069327A (ja) 遺伝子治療による骨形成
AU743744B2 (en) Novel morphogen-responsive signal transducer and methods of use thereof
US9012401B2 (en) Growth factor mutants with improved biological activity
JPH10194987A (ja) 骨・軟骨形成用組成物
JP2002121150A (ja) 骨形成用医薬、骨形成用医薬組成物、及び骨形成用組合せ医薬
JP5116041B2 (ja) 骨形成促進用合成ペプチド、この合成ペプチドを含む薬学組成物および培地組成物
US20110229445A1 (en) Method for healing bone fracture using transfected chondrocytes
EP1591526A2 (en) Frazzled nucleotide sequences, expression products, compositions and uses
JP2001507354A (ja) 局所的モルフォゲンまたは形態形成処理された筋形成前駆体細胞による哺乳動物心筋層の処置
JP2022522230A (ja) 混合細胞遺伝子治療
KR101156156B1 (ko) 골형성촉진용 합성펩타이드 bfp3, 상기 합성 펩타이드를 포함하는 골형성촉진기능성 약학조성물 및 배지조성물
Mundy et al. Bone Morphogenetic Proteins
JP2003081869A (ja) 骨髄細胞または骨芽細胞移植医療用補助剤

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050913