JP2002121024A - 酸化チタン膜の製造方法、酸化チタン膜および太陽電池 - Google Patents

酸化チタン膜の製造方法、酸化チタン膜および太陽電池

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JP2002121024A
JP2002121024A JP2000312394A JP2000312394A JP2002121024A JP 2002121024 A JP2002121024 A JP 2002121024A JP 2000312394 A JP2000312394 A JP 2000312394A JP 2000312394 A JP2000312394 A JP 2000312394A JP 2002121024 A JP2002121024 A JP 2002121024A
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oxide film
solar cell
electrode
film according
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JP2000312394A
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Tsutomu Miyamoto
勉 宮本
Yuji Fujimori
裕司 藤森
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Seiko Epson Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】光電変換効率に優れる酸化チタン膜、酸化チタ
ン膜の製造方法および太陽電池を提供すること。 【解決手段】酸化チタン膜6は、主として酸化チタンで
構成される原料8を溶射により、膜状に形成されたもの
である。この溶射は、陽極ノズル91と、陰極92とを
有する溶射ガン9を備えたプラズマ溶射装置を用いて行
われる。作動ガス流路93から作動ガスを供給しつつ、
陽極ノズル91と陰極92との間にアークを発生させる
ことにより、ジェットプラズマが発生する。さらに、材
料通路95から、このジェットプラズマ中に原料8を供
給することにより、活性化された原料8が第1の電極3
の上面に吸着し、酸化チタン膜4が形成される。原料8
は、主として二酸化チタンで構成されたものであるのが
好ましい。また、原料8は、平均粒径が10nm〜10
0μmの粉末であるのが好ましい。原料8は、噴射時に
おいて、その中心部付近が固体状態であるのが好まし
い。このような溶射は、水素ガスを含む雰囲気中で行わ
れるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタン膜の製
造方法、酸化チタン膜および太陽電池に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、環境にやさしい電源として、
シリコンを用いた太陽電池が注目を集めている。シリコ
ンを用いた太陽電池の中には、人工衛星等に用いられる
単結晶シリコン型の太陽電池もあるが、実用的なものと
しては、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池や、アモ
ルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用
として実用化が始まっている。
【0003】しかしながら、これらのシリコンを用いた
太陽電池は、いずれもCVD(化学的気相成長)法等の
真空プロセスを用いるため、製造コストが高く、また、
これらのプロセスにおいて、多大な熱量や電気を使うた
め、製造に必要なエネルギーと太陽電池が生み出すエネ
ルギーとのバランスが非常に悪く、必ずしも省エネルギ
ーな電源とは言えなかった。
【0004】これに対し、いわゆる“湿式太陽電池”、
“第4世代の光電池”などと呼ばれる新型の太陽電池が
提案されている。
【0005】図9は、湿式太陽電池100の構成および
原理を示す模式図である。湿式太陽電池100は、二酸
化チタン(TiO2)よりなる電極110と、金属材料
よりなる電極120と、これらの電極110、120の
間に電解質溶液130を用いるものである。
【0006】このような湿式太陽電池100の反応原理
としては、次のようなものである。まず、電極110
に、例えば、太陽光等の光が照射されると、電極110
内で電子と正孔が発生する。
【0007】次に、電極110は、電子を外部回路14
0を介して、対極の電極120に引き渡す。一方、電極
110に残った正孔は、ヨウ素イオンを酸化して、I-
をI3 -に変える。
【0008】このI3 -は、電解質溶液130中を拡散
し、電極120の表面に達すると、再び電子を受け取
る。このサイクルが両電極110、120間に形成さ
れ、電池となる。
【0009】この湿式太陽電池100は、材料が安価で
あることと、製造に際して、例えば真空プロセス等の大
掛かりな設備を必要としないことから低コストの太陽電
池として多くの期待を集めている。
【0010】しかしながら、この湿式太陽電池100に
おいては、二酸化チタン(TiO2)のバンドギャップ
が大きいため、太陽光等の光のうち、主として紫外線の
みしか発電に寄与せず、光電変換効率が低く、十分な性
能が得られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光電
変換効率に優れる酸化チタン膜および太陽電池を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(24)の本発明により達成される。
【0013】(1) 主として酸化チタンで構成される
原料を溶射により、膜状に形成することを特徴とする酸
化チタン膜の製造方法。
【0014】(2) 前記原料は、主として二酸化チタ
ンで構成される上記(1)に記載の酸化チタン膜の製造
方法。
【0015】(3) 前記原料は、アナターゼ型の二酸
化チタンを含むものである上記(1)または(2)に記
載の酸化チタン膜の製造方法。
【0016】(4) 前記溶射時に、前記アナターゼ型
の二酸化チタンの少なくとも一部が、ルチル型の二酸化
チタンに変化する上記(3)に記載の酸化チタン膜の製
造方法。
【0017】(5) 前記原料は、粉末である上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の酸化チタン膜の
製造方法。
【0018】(6) 前記粉末の平均粒径は、10nm
〜100μmである上記(5)に記載の酸化チタン膜の
製造方法。
【0019】(7) 前記粉末は、噴射時において、そ
の中心部付近が固体状態である上記(5)または(6)
に記載の酸化チタン膜の製造方法。
【0020】(8) 前記原料の噴出時における温度
は、20〜1000℃である上記(1)ないし(7)の
いずれかに記載の酸化チタン膜の製造方法。
【0021】(9) 前記溶射は、プラズマ溶射である
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の酸化チタン
膜の製造方法。
【0022】(10) 前記溶射は、水素ガスを含む雰
囲気中で行われる上記(1)ないし(9)のいずれかに
記載の酸化チタン膜の製造方法。
【0023】(11) 上記(1)ないし(10)のい
ずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする
酸化チタン膜。
【0024】(12) 平均厚さが0.1〜300μm
である上記(11)に記載の酸化チタン膜。
【0025】(13) アナターゼ型の二酸化チタンを
含む上記(11)または(12)に記載の酸化チタン
膜。
【0026】(14) ルチル型の二酸化チタンを含む
上記(11)ないし(13)のいずれかに記載の酸化チ
タン膜。
【0027】(15) 表面粗さRaが5nm〜10μ
mである上記(11)ないし(14)のいずれかに記載
の酸化チタン膜。
【0028】(16) 多孔質である上記(11)ない
し(15)のいずれかに記載の酸化チタン膜。
【0029】(17) 空孔率が5〜90%である上記
(11)ないし(16)のいずれかに記載の酸化チタン
膜。
【0030】(18) 電極間に、上記(11)ないし
(17)のいずれかに記載の酸化チタン膜を有すること
を特徴とする太陽電池。
【0031】(19) 前記電極の少なくとも一方は、
実質的に透明であり、該透明な電極側から光を入射させ
て使用する上記(18)に記載の太陽電池。
【0032】(20) 上記(11)ないし(17)の
いずれかに記載の酸化チタン膜と、前記酸化チタン膜を
介して配置される一対の電極と、前記電極および前記酸
化チタン膜を支持する基板とを有することを特徴とする
太陽電池。
【0033】(21) 前記基板、および、少なくとも
前記基板側の電極は、実質的に透明であり、該透明な基
板側から光を入射させて使用する上記(20)に記載の
太陽電池。
【0034】(22) 整流特性を有する上記(18)
ないし(21)のいずれかに記載の太陽電池。
【0035】(23) 前記整流特性は、前記酸化チタ
ン膜と前記電極の少なくとも一方との界面に形成された
ショットキー障壁により得られている上記(22)に記
載の太陽電池。
【0036】(24) 前記酸化チタン膜への光の入射
角が90°での光電変換効率をR90とし、光の入射角が
52°での光電変換効率をR52としたとき、R52/R90
が0.8以上である上記(18)ないし(23)のいず
れかに記載の太陽電池。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の太陽電池を添付図
面に示す好適な実施形態について詳細に説明する。
【0038】図1は、本発明の太陽電池(光電池)の実
施形態を示す斜視図である。図2は、本発明の太陽電池
の実施形態を示す断面図である。図3は、本発明の酸化
チタン膜と第2の電極の界面付近の断面を示す拡大図、
図4は、本発明の酸化チタン膜の受光面付近の断面図で
ある。
【0039】図1および図2に示す太陽電池1は、電解
質溶液を必要としない、いわゆる乾式太陽電池と呼ばれ
るものであり、基板2と、基板2の上面に設置された第
1の電極3と、第1の電極3の上面に設置された酸化チ
タン膜4と、酸化チタン膜4の上面に設置された第2の
電極5とで構成されている。すなわち、本実施形態の太
陽電池1では、酸化チタン膜4が第1の電極3と第2の
電極5とで挟持されている。以下、各構成要素について
説明する。
【0040】基板2は、第1の電極3、酸化チタン膜4
および第2の電極5を支持するためのものであり、平板
状の部材で構成されている。
【0041】本実施形態の太陽電池1では、図1等に示
すように、基板2および後述する第1の電極3側から、
例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を
入射させて(照射して)使用するものである。このた
め、基板2および第1の電極3は、好ましくは実質的に
透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。こ
れにより、光を酸化チタン膜4の受光面に効率よく到達
させることができる。
【0042】この基板2は、例えば、各種ガラス材料、
各種セラミックス材料、各種プラスチック材料、ポリカ
ーボネート(PC)のような樹脂材料、または、アルミ
ニウムのような金属材料等で構成されている。
【0043】基板2の厚さとしては、特に限定されない
が、例えば、0.1〜1.5mm程度であるのが好まし
く、0.8〜1.2mm程度であるのがより好ましい。
なお、基板2は、必要に応じて、省略することもでき
る。
【0044】基板2の上面には、層状(平板状)の第1
の電極3が設置されている。この第1の電極3は、酸化
チタン膜4内で発生した電子または正孔を捕捉し、外部
回路6へ伝達する機能を有するものである。
【0045】第1の電極3の厚さとしては、特に限定さ
れないが、例えば、0.001〜0.5mm程度である
のが好ましく、0.05〜0.3mm程度であるのがよ
り好ましい。
【0046】第1の電極3および後述する第2の電極5
の構成材料としては、それぞれ、例えば、インジウムテ
ィンオキサイド(ITO)、フッ素ドープした酸化錫
(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO
2)のような金属酸化物、アルミニウム、ニッケル、ク
ロム、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタ
ルのような金属またはこれらの合金等を用いることがで
きる。
【0047】なお、第1の電極3は、図示の構成のよう
なものに限定されず、例えば、複数の櫛歯を有する形状
のもの等であってもよい。この場合、光は、複数の櫛歯
同士の間を通過して、直接、酸化チタン膜4の受光面に
到達するので、第1の電極3は、実質的に透明な材料で
構成されていなくてもよい。これにより、第1の電極3
の構成材料の選択の幅の拡大を図ることができる。
【0048】また、第1の電極3としては、このような
櫛歯状の電極と、ITO、FTO等からなる透明な電極
とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることも
できる。
【0049】第1の電極3の上面には、主として酸化チ
タンで構成される膜状(層状)の酸化チタン膜4が半導
体として設置されている。
【0050】酸化チタン膜4に光が照射されると、酸化
チタン膜4内で電子が励起され、電子と正孔を発生す
る。
【0051】この酸化チタン膜4は、図3および図4に
示すように、複数の孔41を有する多孔質であるのが好
ましい。なお、酸化チタン膜4の詳細については、後述
する。
【0052】酸化チタン膜4の上面には、層状(平板
状)の第2の電極5が形成されている。この第2の電極
5は、酸化チタン膜4内で発生した電子または正孔を捕
捉し、外部回路6へ伝達する機能を有するものである。
【0053】第2の電極5の厚さとしては、特に限定さ
れないが、例えば、0.001〜0.5mm程度である
のが好ましく、0.05〜0.3mm程度であるのがよ
り好ましい。
【0054】ところで、金属と半導体を接触させると、
これらの界面には、金属の仕事関数と半導体の仕事関数
との差に相当する高さのショットキー障壁が形成され、
整流作用が生じる。
【0055】本実施形態では、第2の電極5と、半導体
である酸化チタン膜4とが接触して配置され、第2の電
極5の仕事関数が、酸化チタン膜4の仕事関数より大き
く設定されている。このため、第2の電極5と酸化チタ
ン膜4との界面に、ショットキー障壁が形成され、整流
作用が生じている。すなわち、このような太陽電池1
は、整流特性を有している。
【0056】この様子を等価回路で表すと、図5に示す
ようなダイオード7を有する電流の循環回路が形成され
ている。
【0057】このとき、酸化チタン膜4に、例えば、そ
の価電子帯と伝導帯の間隔(バンドギャップ)よりも大
きいエネルギーを持つ光を入射させると、酸化チタン膜
4内で電子が励起され、電子と正孔とが発生する。ま
た、ショットキー障壁には、界面電位により電場が存在
している。このため、これらの電子と正孔とは、界面の
電場により引き分けられ、電位差(光起電力)が生じ
る。
【0058】そして、第1の電極3と第2の電極5と
を、外部回路6で接続すれば、光励起電流が得られ、太
陽電池となる。
【0059】なお、酸化チタン膜4に光が照射される
と、酸化チタン膜4の内部では、電子および正孔が同時
に発生するが、以下の説明では、便宜上、「電子が発生
する」と記載する。
【0060】また、第2の電極5は、図3に示すよう
に、酸化チタン膜4が多孔質である場合には、その孔4
1内に入り込んで形成されているのが好ましい。これに
より、ショットキー障壁の表面積(形成領域)が増大す
る。このため、第2の電極5と酸化チタン膜4の界面に
おける電子の受け渡しが、より円滑かつ確実に行なわれ
る。
【0061】なお、ショットキー障壁は、第2の電極5
と酸化チタン膜4の界面ではなく、第1の電極3と酸化
チタン膜4の界面に形成されるようにしてもよく、第1
の電極3と酸化チタン膜4の界面および第2の電極5と
酸化チタン膜4の界面の双方に形成されるようにしても
よい。
【0062】さて、本発明の酸化チタン膜4は、主とし
て酸化チタンで構成される。酸化チタンとしては、例え
ば、二酸化チタン、一酸化チタン、三酸化二チタン等の
うちの、1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができるが、この中でも、酸化チタンとしては、主とし
て二酸化チタンで構成されるものが好ましい。二酸化チ
タンは、光に対する感受性が高く、より容易かつ確実に
電子が励起される。このため、酸化チタンとして、主と
して二酸化チタンを用いた酸化チタン膜4は、より確実
に電子を発生することができる。
【0063】さらに、酸化チタン膜4は、二酸化チタン
として、結晶構造がアナターゼ型の二酸化チタン、結晶
構造がルチル型の二酸化チタンのうち、少なくとも一方
を含むものであるのが好ましく、ルチル型の二酸化チタ
ンと、アナターゼ型の二酸化チタンとを含むものである
のがより好ましい。
【0064】ルチル型の二酸化チタンは、そのバンドギ
ャップが比較的小さく(低く)、より高波長側の紫外光
を利用することが可能であることから、ルチル型の二酸
化チタンを含む酸化チタン膜4では、光の利用効率に優
れるという利点を有する。
【0065】また、ルチル型の二酸化チタンは、その結
晶構造が比較的安定している。このため、ルチル型の二
酸化チタンを含む酸化チタン膜4では、過酷な環境下に
曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定し
た性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
【0066】一方、アナターゼ型の二酸化チタンは、そ
の結晶構造が比較的不安定であることに起因して、電子
を発生し易い。
【0067】酸化チタン膜4が、ルチル型の二酸化チタ
ンと、アナターゼ型の二酸化チタンとを含む場合、これ
らの利点を併有することができる。
【0068】また、前述したように、本発明の酸化チタ
ン膜4は、多孔質であるのが好ましいが、この多孔質の
度合を表す指標としては、例えば、酸化チタン膜4の空
孔率(気孔率)、酸化チタン膜4の受光面の表面粗さR
a等がある。以下、これらの空孔率および受光面の表面
粗さRaについて説明する。
【0069】酸化チタン膜4の空孔率としては、特に限
定されないが、例えば、5〜90%程度であるのが好ま
しく、20〜70%程度であるのがより好ましく、30
〜50%程度であるのがさらに好ましい。図4は、酸化
チタン膜4の受光面付近に、光が入射している状態を模
式的に示している。なお、図4では、基板2および第1
の電極3は、省略されている。図4に示すように、酸化
チタン膜4の空孔率を前記の範囲内とすると、光(図4
中の矢印)は、酸化チタン膜4の表面から、さらに内部
まで侵入し、孔41内で多重反射される。このため、光
は、より広い範囲で、酸化チタン膜4に接触することに
なる。これにより、酸化チタン膜4は、より確実に電子
を発生することができる。
【0070】また、この場合、酸化チタン膜4の表面積
は、緻密質の半導体の表面積と比較して、大幅に増大
(例えば、50〜10000倍)する。このため、酸化
チタン膜4の光との接触面積が増大する。これにより、
本発明の酸化チタン膜4を半導体として用いた太陽電池
1では、緻密質の半導体を用いた太陽電池と比較して、
大電流(例えば、50〜10000倍)が生じることに
なる。
【0071】また、酸化チタン膜4の受光面の表面粗さ
Raとしては、特に限定されないが、例えば、5nm〜
10μm程度であるのが好ましく、20nm〜1μm程
度であるのがより好ましい。酸化チタン膜4の受光面の
表面粗さRaを前記の範囲内とすることにより、酸化チ
タン膜4の受光面は、光との接触面積を十分に確保する
ことができる。このため、このような酸化チタン膜4
は、より確実に電子を発生することができる。
【0072】なお、本発明では、酸化チタン膜4は、空
孔率あるいは受光面の表面粗さRaのいずれか一方が前
記条件を満足するのが好ましく、空孔率および受光面の
表面粗さRaの双方が前記条件を満足するのがより好ま
しい。
【0073】また、酸化チタン膜4の厚さ(膜厚)は、
特に限定されないが、例えば、0.1〜300μm程度
であるのが好ましく、0.5〜100μm程度であるの
がより好ましく、1〜25μm程度であるのがさらに好
ましい。酸化チタン膜4の厚さが前記の下限値未満の場
合、その空孔率等によっては、酸化チタン膜4に入射し
た光の透過が著しく、光の利用効率が低下することがあ
る。一方、酸化チタン膜4の厚さを前記の上限値を越え
て厚くしても、それ以上、光の利用効率の増大が見込め
ない。
【0074】また、酸化チタン膜4は、そのバンドギャ
ップが3.1eV以下程度であるのが好ましく、1.9
〜2.7eV程度であるのがより好ましい。バンドギャ
ップが前記の範囲内の酸化チタン膜4では、可視光領域
(通常、400〜750nm程度)の広い範囲の波長の
光を利用することができる。よって、このような酸化チ
タン膜4では、光の利用効率が向上し、より確実に電子
を発生することができる。
【0075】ところで、通常、アナターゼ型の二酸化チ
タンそのもののバンドギャップは、3.2eV程度、ル
チル型の二酸化チタンそのもののバンドギャップは、
3.0eV程度である。したがって、酸化チタン膜4の
バンドギャップを前記の範囲内とするためには、何らか
の方法で各固有のバンドギャップを小さく(狭く)する
必要がある。すなわち、酸化チタン膜4を構成する二酸
化チタンには、バンドギャップを小さくするバンドギャ
ップ低減処理が施されているのが好ましい。
【0076】このバンドギャップ低減処理の方法として
は、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン結晶構
造中に酸素欠陥を形成する方法(以下、この方法を「酸
素欠陥形成法」と言う。)、二酸化チタン結晶構造中の
チタン原子の一部をチタン原子と異なる金属原子で置換
する方法等が挙げられる。以下、酸素欠陥形成法につい
て詳述する。
【0077】酸素欠陥形成法としては、特に限定されな
いが、例えば、酸化チタン膜の製造過程および/または
製造後に、二酸化チタンに対して、水素雰囲気中で熱処
理を施す方法、真空(例えば10-5〜10-6Torr)
下で熱処理を施す方法、低温プラズマ処理を施す方法等
が挙げられる。この中でも、酸素欠陥形成法としては、
二酸化チタンに対して、水素雰囲気中で熱処理を施す方
法が好ましい。
【0078】これにより、二酸化チタン結晶構造中から
酸素が離脱する。このとき、1個の酸素原子が離脱する
ごとに2個の電子が結晶構造中に残存する。すなわち、
かかる二酸化チタンを主として構成される酸化チタン膜
4は、いわゆるn型半導体となる。
【0079】なお、このような酸素欠陥形成法は、酸化
チタン膜4の製造に用いられる原料8に、予め施してお
いてもよい。
【0080】このような酸化チタン膜4を用いた太陽電
池1では、酸化チタン膜4への光の入射角が90°での
光電変換効率をR90とし、光の入射角が52°での光電
変換効率をR52としたとき、R52/R90が0.8以上程
度となるような特性を有しているのが好ましく、0.8
5以上程度であるのがより好ましい。このような条件を
満たすということは、酸化チタン膜4が光に対する指向
性が低い、すなわち、等方性を有するということであ
る。したがって、このような太陽電池1は、太陽の日照
時間のほぼ全域に渡って、より効率良く発電することが
できる。
【0081】このような太陽電池1は、例えば、次のよ
うにして製造することができる。まず、例えば石英ガラ
ス等で構成された基板2を用意する。この基板2には、
厚さが均一で、たわみのないものが好適に用いられる。
【0082】<1> まず、第1の電極3を基板2の上
面に形成する。第1の電極3は、例えばITO等で構成
される第1の電極3の材料を、例えば、蒸着法、スパッ
タリング法、印刷法等を用いることにより、形成するこ
とができる。
【0083】<2> 次に、酸化チタン膜4を第1の電
極3の上面に形成する。酸化チタン膜4は、主として酸
化チタンで構成される原料8を溶射することにより、膜
状(層状)に形成されたものである。
【0084】溶射によれば、酸化チタン膜4が比較的厚
さの大きいものであっても、短時間で容易に製造するこ
とができる。
【0085】また、溶射によれば、比較的容易に、酸化
チタン膜4を前述したような多孔質のものとすることが
できる。
【0086】また、溶射によれば、例えばマスキング等
を用いることにより、所望のパターン形状の酸化チタン
膜4を容易に得ることができる。
【0087】溶射の方法としては、フレーム溶射、爆発
溶射等のガス式溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、線爆
溶射等の電気式溶射等が挙げられる。このうち、プラズ
マ溶射は、チタニア結晶構造を変化させにくいという点
で好ましい。
【0088】以下、溶射による酸化チタン膜4の製造方
法の一例について説明する。図6は、プラズマ溶射によ
り、酸化チタン膜を製造する方法を示す模式図である。
【0089】プラズマ溶射は、図6に示すような溶射ガ
ン9を備えたプラズマ溶射装置を用いて行うことができ
る。
【0090】溶射ガン9は、陽極ノズル91と、陰極9
2と、これらの間に作動ガスを供給するための作動ガス
流路93とを有している。作動ガスとしては、例えば、
アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス、水素ガス、酸
素ガス等のうちの、1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0091】陽極ノズル91と陰極92との間にアーク
を発生させることにより、作動ガス流路93から供給さ
れた作動ガスは、ジェットプラズマとなり、開口部94
から噴出する。
【0092】このとき、陽極ノズル91の開口部94付
近に設けられた原料通路95から、原料8がジェットプ
ラズマ中に供給される。
【0093】原料8は、主として、酸化チタンで構成さ
れるものである。酸化チタンとしては、例えば、二酸化
チタン、一酸化チタン、三酸化二チタン等のうちの、1
種または2種以上を組み合わせて用いることができる
が、この中でも、酸化チタンとしては、主として二酸化
チタンで構成されるものが好ましい。二酸化チタンは、
光に対する感受性が高く、より容易かつ確実に電子が励
起される。このため、原料8を主として二酸化チタンで
構成されるものとすることにより、得られる酸化チタン
膜4は、より確実に電子を発生することができる。
【0094】さらに、原料8は、二酸化チタンとして、
結晶構造がアナターゼ型の二酸化チタンを含むものであ
るのが好ましい。アナターゼ型の二酸化チタンは、その
結晶構造が比較的不安定であることに起因して、電子を
発生し易い。
【0095】また、原料8は、粉末であるのが好まし
い。原料8が粉末であると、原料8が、原料通路95か
らジェットプラズマ中へ移動し易くなる。また、原料8
が粉末であると、得られる酸化チタン膜4の空孔率を比
較的容易に高くすることができ、酸化チタン膜4の受光
面は、光との接触面積をより大きくすることができる。
【0096】原料8が粉末である場合、その平均粒径
は、例えば、10nm〜100μmであるのが好まし
く、10nm〜10μmであるのがより好ましく、10
nm〜1μmであるのがさらに好ましい。原料8である
粉末の平均粒径がこのような範囲の値であると、得られ
る酸化チタン膜4の受光面は、光との接触面積をさらに
大きくすることができる。
【0097】原料8は、通常、原料供給ガス(キャリア
ガス)とともに、ジェットプラズマ中に供給される。原
料供給ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウム
ガス、窒素ガス、水素ガス、酸素ガス等のうちの、1種
または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】ジェットプラズマ中に供給された原料8
は、加熱され、少なくともその外表面付近が溶融または
活性化した状態となる。その後、この原料8は、第1の
電極3に衝突、付着して、酸化チタン膜4を形成する。
【0099】原料8は、ジェットプラズマ中において、
その中心部付近が固体状態であるのが好ましい。これに
より、第1の電極3に付着したときに、各粉末間に空孔
を生じ易くなり、結果として、得られる酸化チタン膜4
の空孔率が高くなる。
【0100】ジェットプラズマ中における原料8の温度
は、特に限定されないが、例えば、20〜1000℃程
度であるのが好ましく、100〜250℃程度であるの
がより好ましい。ジェットプラズマ中における原料8の
温度がこのような範囲の値であると、ジェットプラズマ
中において、原料8は、その外表面付近が十分に活性化
し、かつ、その中心部付近が固体である状態を維持する
ことができる。これにより、この原料8が第1の電極3
に付着したときに、各粉末間に空孔を生じ易くなり、結
果として、得られる酸化チタン膜4の空孔率が高くな
る。
【0101】また、原料8がアナターゼ型の二酸化チタ
ンを含むものである場合、この溶射により、アナターゼ
型の二酸化チタンの少なくとも一部がルチル型の二酸化
チタンに変換されてもよい。
【0102】このような溶射は、水素ガスを含む雰囲気
(作動ガス、原料供給ガスを含む)中で行われるのが好
ましい。これにより、原料8中の二酸化チタンを、部分
的に還元し、その結晶構造中に適度な酸素欠陥が形成さ
れたものとすることができる。これにより、前述した酸
化チタン膜4のバンドギャップは、小さく(狭く)な
り、結果として、酸化チタン膜4の光の利用効率が向上
する。
【0103】また、このような溶射は、減圧下で行われ
るのが好ましい。特に、雰囲気の圧力が0.01〜10
0Torrであるのが好ましく、0.01〜10Tor
rであるのが好ましい。雰囲気の圧力がこのような範囲
の値であると、比較的高純度な膜質が得られる。
【0104】また、原料8として、酸素欠陥形成法等の
バンドギャップ低減処理が予め施されたものを用いても
よい。
【0105】このようにして得られた酸化チタン膜4に
は、必要に応じて、後処理を行うことができる。
【0106】この後処理としては、例えば、酸化チタン
膜4の形状を整えるための、研削、研磨等のような機械
加工(後加工)や、その他、洗浄、化学処理のような後
処理等が挙げられる。
【0107】なお、前記の受光面の表面粗さRaは、こ
のような後処理によって調節するようにしてもよい。
【0108】<3> 次に、酸化チタン膜4の上面に、
第2の電極5を形成する。第2の電極5は、例えば白金
等からなる第2の電極5の材料を、例えば、蒸着法、ス
パッタリング法、印刷法を用いることにより、形成する
ことができる。以上のような工程を経て、太陽電池1が
製造される。
【0109】なお、このような太陽電池1では、第1の
電極3、酸化チタン膜4および第2の電極5は、例え
ば、太陽電池ユニットとして製造した後、この太陽電池
ユニットを、基板2の上に装着するようにしてもよい。
【0110】次に、本発明の太陽電池の他の実施形態に
ついて説明する。図7は、本発明の太陽電池の他の実施
形態を示す斜視図、図8は、本発明の太陽電池の他の実
施形態を示す断面図である。
【0111】以下、図7および図8に示す太陽電池1に
ついて説明するが、前記と同様の事項については、その
説明を省略する。
【0112】本実施形態の太陽電池1は、第2の電極5
側(図7および図8中上側)から光を入射させて使用す
るものである。
【0113】したがって、この第2の電極5は、好まし
くは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)
とされる。これにより、光を酸化チタン膜4の受光面に
効率よく到達させることができる。
【0114】このような構成とすることによっても、前
記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0115】以上、本発明の酸化チタン膜の製造方法、
酸化チタン膜および太陽電池を図示の各実施形態に基づ
いて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0116】例えば、太陽電池を構成する各部は、同様
の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することが
できる。
【0117】また、本発明の太陽電池では、電極と酸化
チタン膜との間に中間層を有していてもよい。この場
合、例えば中間層に半導体を用いて、すなわち、電極間
に2つの半導体を設置してPN接合による整流特性を太
陽電池に持たせることもできる。
【0118】また、本発明の酸化チタン膜の用途は、特
に限定されず、例えば、半導体電極、光触媒等にも適用
できる。
【0119】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0120】(実施例1)次のようにして、図1等に示
す太陽電池を製造した。
【0121】まず、寸法:縦100mm×横130mm
×厚さ1.0mmの石英ガラス基板を用意した。次に、
この石英ガラス基板を85℃の洗浄液(硫酸と過酸化水
素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その表面を清
浄化した。
【0122】−1− この石英ガラス基板の上面に、蒸
着法により、寸法:縦100mm×横130mm×厚さ
0.1mmのITO電極(第1の電極)を形成した。
【0123】−2− 次に、形成したITO電極の上面
に、寸法:縦100mm×横100mm×厚さ20μm
の酸化チタン膜を形成した。この酸化チタン膜の形成
は、図6に示すような溶射ガンを備えたプラズマ溶射装
置を用いて、次のようにして行った。
【0124】まず、プラズマ溶射装置が設置されたチャ
ンバー内を1.0Torrまで減圧した後、アルゴンガ
スを導入した。さらに、その後、1.0Torrまで減
圧した後、アルゴンガスを導入し、雰囲気圧を10To
rrとした。
【0125】次に、作動ガス流路から作動ガスを供給し
つつ、陽極ノズルと陰極との間にアークを発生させるこ
とにより、ジェットプラズマを発生させた。さらに、こ
のジェットプラズマ中に、原料を原料供給ガスととも
に、原料通路から供給し、この原料をITO電極の上面
に吸着させることにより、酸化チタン膜を形成した。こ
の溶射は、チャンバー内の雰囲気圧が10Torrに維
持された状態で行った。
【0126】なお、原料としては、平均粒径40nmの
ルチル型の二酸化チタン粉末を用いた。また、作動ガ
ス、原料供給ガスとしては、いずれも、アルゴンガスを
用いた。
【0127】この溶射は、原料である二酸化チタン粉末
の中心部付近が固体状態を維持する条件で行った。すな
わち、ジェットプラズマ中における原料の温度は、約1
00℃であった。
【0128】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、ルチル型の二酸化チタンが存
在することが確認された。一方、アナターゼ型の二酸化
チタンの存在は確認されなかった。また、酸素欠陥した
二酸化チタンの存在は認められなかった。
【0129】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
20%、受光面の表面粗さRaが5μmであった。
【0130】−3− この酸化チタン膜の上面に、蒸着
法により、寸法:縦100mm×横100mm×厚さ
0.1mmの白金電極(第2の電極)を形成した。
【0131】(実施例2)原料としてアナターゼ型の二
酸化チタン(平均粒径40nm)を用いた以外は、前記
実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
【0132】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが確認さ
れた。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在は認めら
れなかった。
【0133】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
20%、受光面の表面粗さRaが5μmであった。
【0134】(実施例3)雰囲気ガス(作動ガス、原料
供給ガスを含む)として、アルゴンガスと水素ガスとを
体積比で1:1で混合した混合ガスを用いた以外は、前
記実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
【0135】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、ルチル型の二酸化チタンが存
在することが確認された。一方、アナターゼ型の二酸化
チタンの存在は確認されなかった。また、酸素欠陥した
二酸化チタンの存在が確認された。
【0136】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
20%、受光面の表面粗さRaが5μmであった。
【0137】(実施例4)雰囲気ガス(作動ガス、原料
供給ガスを含む)として、アルゴンガスと水素ガスとを
体積比で1:1で混合した混合ガスを用いた以外は、前
記実施例2と同様にして太陽電池を製造した。
【0138】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが確認さ
れた。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在も確認さ
れた。
【0139】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
20%、受光面の表面粗さRaが5μmであった。
【0140】(実施例5)酸化チタン膜の厚さを40μ
mとした以外は、前記実施例4と同様にして太陽電池を
製造した。
【0141】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが確認さ
れた。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在も確認さ
れた。
【0142】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
20%、受光面の表面粗さRaが8μmであった。
【0143】(実施例6)酸化チタン膜の厚さを10μ
mとした以外は、前記実施例4と同様にして太陽電池を
製造した。
【0144】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが確認さ
れた。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在も確認さ
れた。
【0145】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
15%、受光面の表面粗さRaが3μmであった。
【0146】(実施例7)酸化チタン膜の厚さを40μ
mとした以外は、前記実施例4と同様にして太陽電池を
製造した。
【0147】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
の存在と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが
確認された。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在も
確認された。
【0148】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
30%、受光面の表面粗さRaが10μmであった。
【0149】(実施例8)原料として、平均粒径60n
mのルチル型の二酸化チタン粉末を用い、ジェットプラ
ズマ中における原料の温度を約200℃とした以外は、
前記実施例4と同様にして太陽電池を製造した。
【0150】また、得られた酸化チタン膜について、そ
の構成組織を調べた結果、アナターゼ型の二酸化チタン
と、ルチル型の二酸化チタンとが存在することが確認さ
れた。また、酸素欠陥した二酸化チタンの存在も確認さ
れた。
【0151】なお、得られた酸化チタン膜は、空孔率が
40%、受光面の表面粗さRaが5μmであった。
【0152】(実験)実施例1〜8の太陽電池における
酸化チタン膜のバンドギャップを、それぞれ、バンドギ
ャップ測定装置を用いて周知の方法により測定した。
【0153】(評価)実施例1〜8において製造した太
陽電池に、それぞれ、人工太陽灯の光を照射し、このと
きの光電変換効率を測定した。なお、酸化チタン膜への
光の入射角度は、90°と52°に設定し、光の入射角
度が90°のときの光電変換効率をR 90とし、52°の
ときの光電変換効率をR52とした。これらの実験および
評価の結果を表1に示す。
【0154】
【表1】
【0155】表1に示す結果から、溶射により製造され
た酸化チタン膜を有する本発明の太陽電池(実施例1〜
8)は、いずれも、光電変換効率に優れるものであっ
た。
【0156】その中でも、バンドギャップ低減処理によ
り、バンドギャップが1.9〜2.7eVの範囲内の酸
化チタン膜を有する太陽電池(実施例3〜8)では、光
電変換効率が特に優れていた。
【0157】また、本発明の太陽電池(実施例1〜8)
は、いずれも、R52/R90が0.85以上であり、この
ことは、本発明の太陽電池が、光に対する指向性がより
低いことを示すものであった。
【0158】なお、図7等に示す構成の太陽電池を、前
記実施例1〜8と同様にして製造したが、このような太
陽電池も、バンドギャップが小さく、光電変換効率が優
れ、光に対する指向性が低いものであった。
【0159】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、溶
射により酸化チタン膜を製造することにより、高い光電
変換効率を有する酸化チタン膜を容易に製造することが
できる。
【0160】また、溶射により酸化チタン膜を形成する
ことにより、酸化チタン膜および太陽電池の製造コスト
の削減、製造時間の短縮にも寄与する。
【0161】また、高い光電変換効率を有する酸化チタ
ン膜が得られるため、太陽電池の小型化にも寄与する。
【0162】また、酸化チタン膜の厚さ、空孔率等を適
宜選択することにより、光電変換効率をさらに向上させ
ることができる。
【0163】このようなことから、本発明の酸化チタン
膜は、太陽電池をはじめとするあらゆるものに利用で
き、実用に耐え得る性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の実施形態を示す斜視図であ
る。
【図2】本発明の太陽電池の実施形態を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の酸化チタン膜と第2の電極の界面付近
の断面を示す拡大図である。
【図4】本発明の酸化チタン膜の受光面付近の断面図で
ある。
【図5】図1に示す太陽電池回路の等価回路を表す図で
ある。
【図6】プラズマ溶射により、酸化チタン膜を製造する
方法を示す模式図である。
【図7】本発明の太陽電池の他の実施形態を示す斜視図
である。
【図8】本発明の太陽電池の他の実施形態を示す断面図
である。
【図9】湿式太陽電池の構成および原理を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1 太陽電池 2 基板 3 第1の電極 4 酸化チタン膜 41 孔 5 第2の電極 6 外部回路 7 ダイオード 8 原料 9 溶射ガン 91 陽極ノズル 92 陰極 93 作動ガス流路 94 開口部 95 原料通路 100 湿式太陽電池 110 電極 120 電極 130 電解質溶液 140 外部回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G047 CC03 CD02 CD07 4K031 AA06 CB18 CB42 DA04 EA07 EA10 5F051 AA20 CB30 DA05 FA04

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として酸化チタンで構成される原料を
    溶射により、膜状に形成することを特徴とする酸化チタ
    ン膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記原料は、主として二酸化チタンで構
    成される請求項1に記載の酸化チタン膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記原料は、アナターゼ型の二酸化チタ
    ンを含むものである請求項1または2に記載の酸化チタ
    ン膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記溶射時に、前記アナターゼ型の二酸
    化チタンの少なくとも一部が、ルチル型の二酸化チタン
    に変化する請求項3に記載の酸化チタン膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記原料は、粉末である請求項1ないし
    4のいずれかに記載の酸化チタン膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粉末の平均粒径は、10nm〜10
    0μmである請求項5に記載の酸化チタン膜の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記粉末は、噴射時において、その中心
    部付近が固体状態である請求項5または6に記載の酸化
    チタン膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記原料の噴出時における温度は、20
    〜1000℃である請求項1ないし7のいずれかに記載
    の酸化チタン膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記溶射は、プラズマ溶射である請求項
    1ないし8のいずれかに記載の酸化チタン膜の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記溶射は、水素ガスを含む雰囲気中
    で行われる請求項1ないし9のいずれかに記載の酸化チ
    タン膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の方法により製造されたことを特徴とする酸化チタン
    膜。
  12. 【請求項12】 平均厚さが0.1〜300μmである
    請求項11に記載の酸化チタン膜。
  13. 【請求項13】 アナターゼ型の二酸化チタンを含む請
    求項11または12に記載の酸化チタン膜。
  14. 【請求項14】 ルチル型の二酸化チタンを含む請求項
    11ないし13のいずれかに記載の酸化チタン膜。
  15. 【請求項15】 表面粗さRaが5nm〜10μmであ
    る請求項11ないし14のいずれかに記載の酸化チタン
    膜。
  16. 【請求項16】 多孔質である請求項11ないし15の
    いずれかに記載の酸化チタン膜。
  17. 【請求項17】 空孔率が5〜90%である請求項11
    ないし16のいずれかに記載の酸化チタン膜。
  18. 【請求項18】 電極間に、請求項11ないし17のい
    ずれかに記載の酸化チタン膜を有することを特徴とする
    太陽電池。
  19. 【請求項19】 前記電極の少なくとも一方は、実質的
    に透明であり、該透明な電極側から光を入射させて使用
    する請求項18に記載の太陽電池。
  20. 【請求項20】 請求項11ないし17のいずれかに記
    載の酸化チタン膜と、 前記酸化チタン膜を介して配置される一対の電極と、 前記電極および前記酸化チタン膜を支持する基板とを有
    することを特徴とする太陽電池。
  21. 【請求項21】 前記基板、および、少なくとも前記基
    板側の電極は、実質的に透明であり、該透明な基板側か
    ら光を入射させて使用する請求項20に記載の太陽電
    池。
  22. 【請求項22】 整流特性を有する請求項18ないし2
    1のいずれかに記載の太陽電池。
  23. 【請求項23】 前記整流特性は、前記酸化チタン膜と
    前記電極の少なくとも一方との界面に形成されたショッ
    トキー障壁により得られている請求項22に記載の太陽
    電池。
  24. 【請求項24】 前記酸化チタン膜への光の入射角が9
    0°での光電変換効率をR90とし、光の入射角が52°
    での光電変換効率をR52としたとき、R52/R90が0.
    8以上である請求項18ないし23のいずれかに記載の
    太陽電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007521395A (ja) * 2003-09-26 2007-08-02 ドヴォラック,ミヒャエル プラズマ・ビームを使用して基板表面をコーティングする方法
JP2010535624A (ja) * 2007-08-14 2010-11-25 ユニヴェルシテ リブル ドゥ ブリュッセル 支持体上にナノ粒子を付着するための方法
JP2016121366A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 トーカロ株式会社 電気絶縁膜の形成方法

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