JP2002117414A - 衣服衝突処理方法および衣服衝突処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

衣服衝突処理方法および衣服衝突処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

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JP2002117414A
JP2002117414A JP2000310103A JP2000310103A JP2002117414A JP 2002117414 A JP2002117414 A JP 2002117414A JP 2000310103 A JP2000310103 A JP 2000310103A JP 2000310103 A JP2000310103 A JP 2000310103A JP 2002117414 A JP2002117414 A JP 2002117414A
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cloth
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model
clothing
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Koji Imao
公二 今尾
Yoshiyuki Sakaguchi
嘉之 坂口
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体上に順に複数の布が重なっているような
重ね着の状況を、正確かつ効率よくシミュレーションす
る。 【解決手段】 衝突処理は、頂点と面の衝突判定および
衝突後処理を行ない(S501,S503)、次に、辺
と辺の衝突判定および衝突後処理を行なう(S505,
S507)。最後に、辺と面の衝突(交差)判定および
衝突(交差)後処理を行なう(S509,S511)。
以上の処理(S501〜S511)を1フレーム内にお
いて衝突が解消するまで繰り返す(S513)。各頂点
は等速直線運動するものと近似し、衝突判定は、連続時
間内(1フレーム内)にポリゴンメッシュ同士の衝突を
判定することで行なう。衝突を検出した後は、内側の布
を外側の布の影響で変形等しない剛体として扱い、接触
後の位置、運動を衝突後処理で求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衣服衝突処理方法お
よび衣服衝突処理プログラムを記録したコンピュータ読
み取り可能な記録媒体に関し、特に、人体上に順に複数
の布が重なっているような重ね着の状況を正確かつ効率
よくシミュレーションすることのできる衣服衝突処理方
法および衣服衝突処理プログラムを記録したコンピュー
タ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、人間が衣服を着装した場合の3次
元形状を、計算機上でシミュレーションによって求める
仮想環境における服飾シミュレーションが実用化されつ
つある。しかしながら、より現実に近い服飾シミュレー
ションを行なうためには、多大な計算能力が必要であ
る。特に、人体が動く場合のアニメーション作成には、
膨大な計算能力が要求されるため、より効率の高いシミ
ュレーション手法が期待される。
【0003】このような仮想環境における服飾シミュレ
ーションでは、人体や衣服などの物体同士の交差を防ぐ
ための衝突処理が非常に重要となってくる。ここで、仮
想環境での衝突とは、2つの物体が互いに接触し、その
後何らかの処理を行なわなければ交差してしまう状況を
指す。
【0004】現実の世界では、衣服を構成する布と衝突
物体、または、布の一部と別の一部とが交差することは
ない。そこで、仮想環境においても、このような状況を
避ける必要がある。言い換えれば、このような交差が起
こらないという制約によって、衣服の形状や動きが決定
される。この制約を実現するためには、布と衝突物体、
布の部分同士の適切な衝突処理を行なわなければならな
い。
【0005】通常、衝突処理は、衝突判定と衝突後処理
とに分けて考えられる。衝突判定とは、2つの動いてい
る物体のそれぞれの部分同士がある時間内に衝突するか
どうかを判定することである。そして、衝突する場合に
は、初めて接触する部分、および時刻が求められる。衝
突後処理とは、接触した2つの物体の衝突後の位置や運
動を決定することである。
【0006】特に、服飾シミュレーションでは、衣服も
人体も動的に位置や形状を変えるため、衝突処理を適切
に行なうことは難しい問題である。これまで、仮想空間
における物体間の衝突処理については様々な研究が行な
われてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在の
ところ、布のような自ら微小な単位で変形する物体を対
象とし、さらに衝突する2つの物体双方がともに動く状
況のもとで、現実的な計算時間で確実に衝突処理を行な
うことのできるものは少ない。
【0008】まず、ほとんどのものが、離散的な時刻
(瞬間)における2つの物体の位置および形状から交差
を判定し、その後、接触する部分および時刻を求めて衝
突後処理を行なっている。この方法では、単位時間を十
分に小さくしないと衝突を見逃す可能性が高い。
【0009】図12は、離散的な時刻における交差の判
定による衝突の見逃しを説明するための図である。図1
2(a)に示すように、布同士が、判定する時刻(t=
1、t=t2)以外でのみ交差する場合や、図12
(b)に示すように、頂点と面とがそれぞれ垂直方向に
移動する場合などは、単位時間(Δt=t2−t1)を十
分に小さくしないと、その衝突を見逃すことになる。ま
た、実際に接触する部分と判定した交差部分が離れ、誤
差が大きくなるという可能性もある。特に、対象が布の
ように薄い物体の場合、交差している時間が短く、衝突
を見逃す可能性が高い。
【0010】なお、予め別の処理により、2つの物体間
の相対速度を減らす処理をして、一方は静止しているも
のと近似して衝突判定を行なう方法も提案されている。
しかしながらこの方法でも原理的に上述したような衝突
の見逃しを完全に避けられるものではない。
【0011】また、布同士の複雑な衝突の起こり得る重
ね着に対して適用できるものも少ない。重ね着は、常に
布が重なっており、布同士が接触、衝突している部分が
大きい状態である。そして、ある布に対して、表と裏の
双方から衝突する状況が起きやすい。このような重ね着
に対するアプローチはこれまでにもあったが、衝突処理
に失敗もあることを前提にされたものであった。したが
って、見た目を重視する服飾シミュレーションとしては
適当でなかった。
【0012】本発明は係る実状に鑑み考え出されたもの
であり、その目的は、人体上に順に複数の布が重なって
いるような重ね着の状況を、正確かつ効率よくシミュレ
ーションすることのできる衣服衝突処理方法および衣服
衝突処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可
能な記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のある局面に従うと、衣服衝突処理方法は、
人体モデルに着装される複数の布モデルに設定された重
ね順を取得する取得ステップと、複数の布モデル同士の
衝突の有無を判定する判定ステップと、判定ステップに
より衝突が有ると判定された場合、複数の布モデルにお
ける衝突部分および衝突開始時刻を算出する算出ステッ
プと、算出された衝突部分および衝突開始時刻に基づ
き、取得された重ね順を考慮して前記衝突部分の衝突後
の位置および運動を決定する決定ステップとを含む。
【0014】この発明によると、複数の布モデルにおい
て、異なる布モデル同士あるいは同じ布モデルの異なる
部分同士の衝突が検出されると、その布モデルにおける
衝突部分および衝突開始時刻が求められる。そして、衝
突部分の重ね順を考慮して、その衝突部分の衝突後の位
置および運動が決定される。衝突部分のそれぞれの重ね
順を考慮して、衝突後の位置および運動が決定されるた
め、重ね着の状況を反映した適切なシミュレーションを
行なうことができる。
【0015】したがって、人体上に順に複数の布が重な
っているような重ね着の状況を、正確かつ効率よくシミ
ュレーションすることのできる衣服衝突処理方法を提供
することが可能となる。
【0016】好ましくは、決定ステップは、内側の布モ
デルを外側の布モデルとの関係において剛体として扱う
ことで衝突後の位置および運動を決定することを特徴と
する。
【0017】この発明によると、内側の布モデルは、外
側の布モデルの影響で、移動および形状変化しない剛体
として扱われる。このように内側の布モデルの形状を保
存する手法を採用することで、連鎖反応的に衝突が発生
し、結果が不安定となり計算量が大幅に増加するという
現象を防止することができる。
【0018】好ましくは、判定ステップ、算出ステップ
および決定ステップの一連の処理ステップは、最も内側
の布モデルから順に処理を行なうことを特徴とする。
【0019】この発明によると、衝突の有無を判定する
判定ステップ、衝突部分等を求める算出ステップ、およ
び、衝突後の衝突部分の位置および運動を決定する決定
ステップの一連の処理ステップは、最も内側の布モデル
から順に処理が行なわれる。ある布モデルは、それより
も外側の布モデルとの関係において剛体として扱われる
ため、その布モデルより内側の布モデルや人体モデルの
形状が決定すれば、その形状等は一意に決定される。し
たがって、最も内側の布モデルから順に一連の衝突処理
を行なうことで、より効率良く連鎖反応的な衝突を回避
することができる。
【0020】好ましくは、決定ステップは、剛体として
扱われた内側の布モデルについて、衝突による速度の変
化を与えることで衝突後の位置および運動を決定する。
【0021】この発明によると、外側の布モデルと衝突
した際の内側の布モデルへの影響として、衝突による速
度の変化が与えられる。これにより、内側および外側の
双方の布モデルに衝突の影響を与えることが可能とな
り、より現実に近いシミュレーションを行なうことがで
きる。
【0022】好ましくは、判定ステップは、所定の連続
時間内において衝突の有無を判定することを特徴とす
る。
【0023】この発明によると、衝突の有無の判定は、
所定の連続時間内において行なわれる。このため、離散
的な時刻における衝突の判定と異なり、判定する時刻以
外における衝突を見逃すという事態を防止することがで
きる。また、フレーム間隔(所定の連続時間)を大きく
しても衝突を見逃さないため、衝突処理頻度を減らすこ
とができ、結果的にシミュレーション時間を削減するこ
とが可能となる。
【0024】好ましくは、人体モデルおよび布モデル
は、頂点、辺および面からなるポリゴンメッシュを用い
たモデルであり、判定ステップは、頂点と面の衝突を判
定する第1の判定ステップおよび辺と辺の衝突を判定す
る第2の判定ステップをさらに含み、第1の判定ステッ
プの後に第2の判定ステップが行なわれることを特徴と
する。
【0025】この発明によると、衝突の判定処理は、頂
点と面の衝突判定が行なわれた後に、辺と辺の衝突判定
が行なわれる。大部分の衝突が頂点と面の衝突であり、
また、頂点と面の衝突処理が辺と辺の衝突処理よりも容
易であるため、全体として効率の良い処理を行なうこと
が可能となる。
【0026】好ましくは、所定の連続時間内における人
体モデルおよび複数の布モデルの各頂点は等速直線運動
するものと近似することを特徴とする。
【0027】この発明によると、所定の連続時間内にお
ける人体モデルおよび複数の布モデルの各頂点は等速直
線運動をすると近似されるため、衝突の判定処理をより
容易に行なうことが可能となる。
【0028】好ましくは、衣服衝突処理方法は、辺と面
の交差を判定する第3の判定ステップと、第3の判定ス
テップにより交差すると判定された場合、交差した辺の
内側の頂点を、外側である面の法線方向に一定距離移動
させる移動ステップとをさらに含む。
【0029】この発明によると、辺と面の交差が判定さ
れ、交差すると判定された場合は、その交差した辺の内
側の頂点が外側の面の法線方向に一定距離だけ移動され
る。このため、現実には生じ得ない交差を検出し、それ
を除去することが可能となる。
【0030】好ましくは、衣服衝突処理方法は、判定ス
テップにより衝突が有ると判定された場合において、外
側の布モデルが内側の布モデルの表側から衝突するもの
であるときは、算出ステップおよび決定ステップによる
処理を行ない、外側の布モデルが内側の布モデルの裏側
から衝突するものであるときは、算出ステップおよび決
定ステップを省略することを特徴とする。
【0031】この発明によると、外側の布モデルが内側
の布モデルの表側から衝突するとき、算出および決定ス
テップを行ない、外側の布モデルが内側の布モデルの裏
側から衝突するときは、算出および決定ステップを行な
わない。このため重ね順が逆転する場合のみこれを戻す
ために衝突による布モデルの交差が許される。よって、
シミュレーションを続ける内に、重ね順に従って布モデ
ルが重なることが期待できる。
【0032】本発明のさらに別の曲面に従うと、コンピ
ュータ読み取り可能な記録媒体は、上述したいずれかの
衣服衝突処理方法をコンピュータに実行させるための衣
服衝突処理プログラムを記録する。
【0033】この発明によると、人体上に順に複数の布
が重なっているような重ね着の状況を、正確かつ効率よ
くシミュレーションすることのできる衣服衝突処理方法
をコンピュータに実行させるための衣服衝突処理プログ
ラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を
提供することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0035】図1は、本発明の実施の形態における服飾
シミュレーションの全体処理の流れを示すフローチャー
トである。本図を参照して、仮想環境における服飾シミ
ュレーションでは、まずステップS101において、シ
ミュレーションに必要なデータの入力処理が行なわれ
る。
【0036】すなわち、衣服を着せ付ける人体モデルに
ついての3次元データ、およびその人体モデルに着せ付
ける衣服の型紙データがユーザによって入力される。こ
のときの入力方法は、予め用意されている複数のデータ
の中から選択するようにしてもよいし、直接数値を入力
するようにしてもよい。
【0037】次に、ステップS103において、重ね順
の設定が行なわれる。一般に重ね着する場合には、各衣
服は体から特定の順序で重ねて着られる。そこで、各衣
服について、体に近いものから順に重ね順番号を与え
る。たとえば肌に触れるシャツに1を、その上に着るジ
ャケットには2のように与える。さらに、1つの衣服内
の各布に対してもたとえば左前のジャケットにおいては
左前身ごろに3、右前身ごろに1のように、別個に与え
るものとする。
【0038】これらの重ね順番号は、連続する必要はな
く、その大小関係(布同士の内側外側の位置関係)のみ
に意味がある。衣服の重ね順番号は、通常、布の重ね順
番号に優先させる。衣服の重ね順番号と布の重ね順番号
を独立させてあるため、衣服の組み合せを変えたいとき
は、衣服の重ね順番号のみを与え直すだけでよい。
【0039】次に、ステップS105において着せ付け
処理が行なわれる。図2は、着せ付け処理を説明するた
めの図である。まず、ステップS101で入力された人
体モデルのデータと衣服の型紙データとが読み込まれ、
図2(1)に示すような人体モデルに対する型紙の初期
配置が行なわれる。次に、図2(2)に示すように、配
置された型紙の縫製が行なわれ、衣服が構成される。そ
して、最後に図2(3)に示すように、縫製された衣服
をリラックスさせるための緩和処理が行なわれる。
【0040】着せ付けが終了すると、ステップS109
において、衣服を着た人体モデルに動きを与えた場合の
シミュレーション処理が開始される。このシミュレーシ
ョン処理は、ステップS107において入力される人体
モーションデータに基づいて行なわれるものである。詳
細については後述する。
【0041】ここでは、人体モデルの形状や動きは、布
の形状や動きに影響を受けることはないものとして扱わ
れる。特殊な状況以外では、人体が大きく布の影響を受
けることは少ないため、現実世界の近似として十分だか
らである。
【0042】これに対して、衣服は自由に変形する複数
の布が縫製されて構成されているものであるため、これ
らの形状や動きは、人体モデルの動き、風の影響、布同
士の相互作用によって影響を受け、これらに基づき決定
される。
【0043】なお、それ自体は変形しないボタンのよう
なものや、ポケットやリボンといった布でできており変
形するものは、アクセサリとして他の物体のある位置に
固定されているものとする。また、仮想服飾環境内にあ
って、その内部に布が侵入することを拒むような物体、
たとえば、机や床、椅子のようなものは、変形しないこ
とを除いて、人体と同じように扱われる。
【0044】シミュレーションが行なわれた後は、ステ
ップS111において、そのシミュレーション結果を用
いたアニメーション処理が行なわれる。すなわち、衣服
を着た人体モデルが、与えられたモーションデータに沿
って動く様子が、3次元のアニメーションとして、ディ
スプレイ上に表示される。
【0045】以上が、服飾シミュレーションの大まかな
全体処理の流れである。なお、本シミュレーションで不
可欠な物体である布は、ここでは、次に示すようなモデ
ルが用いられる。
【0046】図3は、本服飾シミュレーションで用いる
布の形状モデルを説明するための図である。本図を参照
して、布の形状モデルとしては、連結された三角パッチ
の集合で曲面を表現するサーフェイスモデルであるポリ
ゴンメッシュが用いられる。ただし、1枚の布は1枚の
曲面で表現し、布の表裏は曲面の表裏に対応する。
【0047】物理的な挙動のモデルとしては、物体上の
多数の質点(パーティクル,Particle)の運動で全体の
運動を求めるパーティクルモデルに、質点間の幾何学的
制約を考慮するというモデルを用いる。そして、ポリゴ
ンメッシュの各頂点31を質点として対応付ける。よっ
て、各頂点31は独立して、その位置、および速度をパ
ラメータとして保持することになる。
【0048】なお、衝突物体についても、形状モデルと
して三角パッチによるポリゴンメッシュを使用する。そ
の他、ポリゴンメッシュを構成する要素として、辺32
(Edge)や面33(Face)を考慮する。
【0049】次に、このようなポリゴンメッシュを用い
た布モデル、人体モデルについて行なわれるステップS
109のシミュレーション処理について説明する。
【0050】図4は、図1のシミュレーション処理(ス
テップS109)の詳細な処理の流れを示したフローチ
ャートである。本シミュレーションでは、離散時刻ごと
の衣服の形状を求めることで、衣服の動きを得る。それ
ぞれの時刻をフレームと呼び、その間隔をフレーム間隔
(Δt)とする。
【0051】本図を参照して、まずステップS401に
おいて、布に働く外力、内力の計算が行なわれる。布モ
デルの各頂点には、重力や風などの外力や布の曲げ復元
力等の内力が作用する。ここでは、この外力や内力の作
用により変化する頂点の速度および速度に応じて移動す
る位置が計算される。
【0052】次に、ステップS403において、布形状
制約の充足処理が行なわれる。すなわち、幾何制約であ
る布形状制約を充足させることにより、頂点の移動によ
って生じた伸びや縮みに修正が加えられる。
【0053】そして、ステップS405において、衝突
処理が行なわれる。すなわち、ここで、布などの物体同
士の衝突が処理されることで、仮想服飾空間におけるこ
れらの交差が防止される。そして、ステップS407に
おいて、これらの結果をもとにそのフレームにおける衣
服の形状が決定され、結果が出力される。
【0054】以上の処理(ステップS401〜ステップ
S407)が、所定時間繰り返される(ステップS40
9)。
【0055】続いて、ステップS405の衝突処理につ
いて詳細に説明する。一般に、重ね着された衣服間の衝
突処理は複雑になる。なぜなら、ある布と布の交差を衝
突処理によって解消した場合、それにより移動した一方
の布がさらに別の布と衝突する可能性があるからであ
る。特に重ね着される衣服の数が増えた場合、連鎖反応
的に衝突が発生し、結果が安定しなかったり計算量が大
幅に増えることがある。
【0056】そこで、ここでは、衝突処理において内側
の布の形状を保存する手法を採用する。つまり衝突処理
内では内側の布は外側の布の影響で移動および形状変化
しない剛体として扱う。重ね着の最も内側にくるのは人
体であるが、人体は布の影響を受けない剛体として扱う
ので、この点に関しては矛盾なく処理できる。
【0057】さらに、重ね着された状態で衝突処理を安
定して行なうためには、衝突処理順序も考慮する必要が
ある。ある布の形状は、その布より外側の布の影響を受
けないので、それより内側の布や人体の形状が決定して
いれば一意に決定される。
【0058】つまり、最も内側の布から順に衝突処理し
ていくことにより、上述した連鎖反応的な衝突を避ける
ことができる。内側から順に衝突処理を行なわない場
合、外側の布の形状を決定した後、内側の布の形状が衝
突処理により変化し、また外側の布との衝突が新たに発
生する可能性がある。よって、ここでは、内側から順に
衝突処理を行なう。
【0059】しかしながら、外側の布の影響を内側の布
が全く受けない設定では、現実の衣服のシミュレーショ
ンとしては適当でない。そこで、外側から内側の布への
影響として、布を構成する頂点の速度を衝突処理により
変化させる。
【0060】これにより、双方の布に衝突の影響を与え
ることができる。ただし、本仮想服飾環境の枠組みで
は、頂点の速度の変化は次のフレームで位置に反映され
るため、形状の変化に遅れが生じることになる。1フレ
ーム間隔に対する時間は十分に短いため、特にシミュレ
ーション結果は不自然にならない。
【0061】前述したように、衝突処理は、衝突の有無
を判定する衝突判定処理と、その衝突判定結果に基づく
衝突後処理とにより構成される。本シミュレーションに
おいては、人体モデル、布モデルともに形状をポリゴン
メッシュで表現しているため、自ら移動変形するポリゴ
ンメッシュ同士の衝突処理を行なう必要がある。
【0062】ポリゴンメッシュにおいて、その衝突を判
定することは、それを構成する頂点と面、辺と辺の衝突
を判定することと同値である。したがって、これら2つ
の判定を行ない、それぞれで検出された衝突に対し衝突
後処理をすることで、ポリゴンメッシュ同士の交差を防
止することができる。
【0063】なお、衝突における摩擦などの物理的な挙
動は、頂点と面の衝突の場合のみ実現し、辺と辺の衝突
は物体の交差を防ぐためにのみ用いる。これは、実際に
生じる衝突のほとんどの部分が頂点と面の衝突であるこ
とと、辺と辺の衝突処理で正確に物理的な挙動をシミュ
レーションするには膨大な計算量を要するためとであ
る。1つの辺の挙動は2つの頂点の挙動として反映され
るが、その頂点は別の辺にも共有されており、それらの
間の挙動を矛盾なく統合するのは困難である。
【0064】また、ここでは、頂点と面、辺と辺の衝突
判定とは別に、辺と面との交差の検出が導入される。こ
れは、着せ付け時等の初期状態で既に布同士が交差して
いる場合、頂点と面、辺と辺についての衝突処理はその
交差状態を維持するように働くため、交差を排除できな
いからである。したがって、これは物理的な特性を無視
した補助的な処理として追加される。この衝突処理の結
果は、他の衝突処理に優先される。
【0065】図5は、図4の衝突処理(ステップS40
5)の詳細な処理の流れを示したフローチャートであ
る。ここで、前提として、1フレーム間隔(Δt)内
は、各頂点は等速直線運動をするものと近似する。そし
て、Δtの間に各頂点jはそれぞれpjからp′jに移動
するものとする。
【0066】また時刻sを考える。sはΔtの間に0か
ら1に変化するものとする。衝突判定とは、この0≦s
<1の間にポリゴンメッシュの各構成要素が、別のポリ
ゴンメッシュの構成要素、または同じポリゴンメッシュ
の別の部分の構成要素と衝突するかどうかを判定するこ
とである。また、衝突後処理のために、最初に接触する
時刻sr(0≦sr<1)も求める。
【0067】図5を参照して、衝突処理は、まず、頂点
と面の衝突判定および衝突後処理が行なわれ(ステップ
S501,ステップS503)、次に、辺と辺の衝突判
定および衝突後処理が行なわれる(ステップS505,
ステップS507)。そして最後に、辺と面の衝突(交
差)判定および衝突(交差)後処理が行なわれる(ステ
ップS509,ステップS511)。以上の処理(ステ
ップS501からステップS511)が、1フレーム内
において衝突が解消されるまで繰り返される(ステップ
S513)。
【0068】次に、各処理の内容について、衝突判定、
衝突後処理の順に、詳細に説明する。
【0069】まず、ステップS501では、頂点と面の
衝突判定処理が行なわれる。衝突判定する頂点pはΔt
の間にppからp′pに移動するものとする。一方の面は
(p a,pb,pc)から(p′a,p′b,p′c)に移動
するものとする。
【0070】頂点と面の衝突判定は、頂点と対象となる
面を含む無限平面とが衝突するか否の判定と、その接触
点(衝突点)が対象面内部か否かの判定の2段階に分け
て行なわれる。そして、両方の判定を満たすときにの
み、頂点と面とが衝突すると判定される。
【0071】まず、第1段階として、面を含む無限平面
Hと頂点とが衝突するかどうかを調べる。衝突すると判
断された場合、その衝突時刻候補を求める。この衝突は
頂点と面の衝突の必要条件である。ここでは、平面Hと
頂点pの距離が0になる条件を満たす時刻を衝突時刻候
補とする。
【0072】時刻sにおける平面Hの法線ベクトルをn
(s)、頂点p,a,b,cの位置をpp(s),p
a(s),pb(s),pc(s)と置くと、この条件は
次式で表わされる。
【0073】 0=n(s)・(pp(s)−pa(s)) n(s)=(pb(s)−pa(s))×(pc(s)−
a(s)) ここで、 pp(s)=(1−s)pp+sp’p, pa(s)=(1−s)pa+sp’a, pb(s)=(1−s)pb+sp’b, pc(s)=(1−s)pc+sp’c であるから、上の条件式はsについての3次方程式とな
る。よって最大3個の条件を満たすsが求まる。ただ
し、実際に衝突すると考えられるのは、次に述べる第2
段階の条件を満たすもののうち最も0に近いsである。
なお、二重解の場合は接するだけであるため衝突してい
ないものとし、三重解の場合は衝突するものとする。
【0074】3次方程式の解法には、解の範囲が0≦s
<1と限られていることから、ニュートン法を用いる。
【0075】次に、第2段階として、求められた上記方
程式の解が、対象となる平面内にあるか否かの判定を行
う。解の1つをsrとすると接触候補点prは、次式で表
わされる。
【0076】pr=(1−sr)pp+sp’p これが、時刻srにおける面(pa(sr),p
b(sr),pc(sr))の内部にあるか否かを確かめな
ければならない。ここでは、 pr=u(pb(sr)−pa(sr))+v(pc(sr
−pa(sr))+pa(sr) を満たす、u,vを求め、0≦u,0≦v,u+v≦1
である場合に、prが内部にあると判定する。
【0077】ステップS505では、辺と辺の衝突判定
処理が行なわれる。一方の辺は、(pa,qa)から
(p′a,q′a)に移動し、他方は、(pb,qb)から
(p′b,q′b)に移動するものとする。ここでも衝突
判定を2段階に分けて考える。まず、双方の辺を含む直
線間の距離が0になる時刻を求め、次に、その時刻に線
分である双方の辺が交わっているかどうかを調べること
で衝突を判定する。
【0078】まず、第1段階である2直線の距離による
判定について、以下に説明する。各々の辺はそれぞれ直
線l1,l2上にあるとする。辺が交わるとき、少なくと
もl 1,l2が交わっているから、それらの間の距離が0
となっている。ここで、l1,l2間の距離を、l1上の
任意の点、l2上の任意の点の間の距離のうち最小のも
のとする。ここでdを d=ne(s)・(pa(s)−pb(s)) とおく。ne(s)は、l1,l2の双方に平行な平面の
法線ベクトルであり、 ne(s)=(qa(s)−pa(s))×(qb(s)−
a(s)) である。これらの関係を図6(a)に示す。図6(a)
に示すように、2直線間の距離が0のとき、d=0であ
る。ただし、2直線が平行の場合は、距離が0でなくて
もdは0になるので、d=0となる時刻のうち、2直線
が平行な場合は区別して判定する必要がある。
【0079】頂点と面の衝突判定の場合と同じように、 pa(s)=(1−s)pa+sp’a, qa(s)=(1−s)qa+sq’b, pb(s)=(1−s)pb+sp’a, qb(s)=(1−s)qb+sq’b であるから、d=0はsに関する3次方程式となり、最
大3つの衝突時刻候補が得られる。
【0080】続いて、第2段階である線分の交わり判定
について説明する。上記の方法で求めた衝突時刻候補の
1つscで、実際に辺が交わっているかどうかを以下の
ようにして判定する。
【0081】d=0のときには少なくとも両方のエッジ
は平行か交わっているかにかかわらず同一平面上にあ
る。双方が平行でない場合は、図6(b)に示すよう
に、ne(sc)と平行で一方の辺Eaを含む平面Saを考
えると、もう一方の辺Ebの両端はSaの違う側にあり、
かつ同様に、Eaの両端はne(t)とEbを含む平面Sb
のそれぞれ違う側にある。したがって、この条件を満足
するか否かで、交わっているか否かを判定できる。
【0082】よって、Sa,Sbの法線をそれぞれ na(sc)=ne(sc)×(qa(sc)−p
a(sc)), nb(sc)=ne(sc)×(qb(sc)−pb(sc)) とすると、 [nb(sc)・(pa(sc)−pb(sc))]・[nb(s
c)・(qa(sc)−pb(sc))]≦0 かつ、 [na(sc)・(pb(sc)−pa(sc))]・[na(s
c)・(qb(sc)−pa(sc))]≦0 の場合、2つの辺は交わっている。
【0083】双方が平行の場合は、同一直線上にあっ
て、かつ共通部分を持つか否かを判定すればよい。同一
直線上の必要条件は、 (pa(sc)−qb(sc))×(pb(sc)−q
a(sc))=0 であり、共通部分を持つか否かは、直線の方向ベクトル
をvとすると、 sa0=pa(sc)・v,sa1=qa(sc)・v, sb0=pb(sc)・v,sb1=qb(sc)・v の大小関係を調べればよい。一般に、sa0<sa1,sb0
<sb1と仮定すると、s a0>sb1かつsb0>sa1が共通
部分を持つ条件となる。
【0084】ステップS509では、辺と面の衝突(交
差)判定が行なわれる。ここで、辺と面の衝突判定は、
s=1の時点で交差しているかどうかで判断される。こ
こでも、2段階に分けて判定される。すなわち、まず、
面を含む無限平面Mと辺の交差を判定し、その後、その
交点が面内にあるか否かで衝突(交差)の有無が判定さ
れる。
【0085】次に、衝突後処理について説明する。衝突
判定処理によって、衝突を検出した後は衝突した2つの
物体の部分の接触後の位置、運動を衝突後処理で求め
る。衝突後処理において注意すべき点の1つとして、あ
る衝突を解消するために移動した頂点や辺が、別の物体
とさらに衝突してしまう点が挙げられる。つまり、1回
の衝突処理の対象となるΔtの間に、1つの頂点が複数
回衝突する場合である。
【0086】そこで複数回の衝突をできるだけ避けるた
めに、次のような方針で処理を行なう。まず、衝突した
際に、物体の変形、つまり頂点の移動は、交差を解消す
る最小限のものと、摩擦を考慮した滑りのみとする。跳
ね返りに関しては、各頂点の速度を変更するのみで近似
する。
【0087】ステップS503では、頂点と面の衝突後
処理が行なわれる。ここでは、衝突に関係する一方を移
動しない剛体として扱う場合と、双方とも移動、変形す
る場合とに分けて考える。
【0088】図7は、頂点と面の衝突後処理を説明する
ための図である。図7(a)は、一方が剛体として扱わ
れる場合の図であり、図7(b)は、双方とも影響を受
ける場合の図である。
【0089】一方が剛体として扱われる場合は、頂点が
布の一部であり、面が衝突物体を構成する部分か、また
は重ね順で内側の布の部分である場合が対象となる。図
7(a)に示すように、頂点は、面との接触後、面の表
面を滑るように移動する。面は、頂点の影響を受けずに
移動または静止をし続ける。跳ね返りに関しては、頂点
の速度を面の法線方向に変化させる。
【0090】衝突により、双方が影響を受ける場合は、
頂点が布の一部であり面がその布と重ね順の等しい布の
部分である場合が対象となる。図7(b)を参照して、
頂点、面の移動については、衝突後、接触したままの状
態で移動したものとする。ただし、頂点は面と接触しつ
つ滑ることができるものとする。また、面も衝突の影響
を受けるため、衝突した頂点に加え、面を構成するすべ
ての頂点に対しても、移動後の位置、速度を変化させ
る。
【0091】ステップS507では、辺と辺の衝突後処
理が行なわれる。辺と辺の衝突後処理については、交差
を防ぐ処理のみを行なう。具体的には、2つの辺の双方
に平行な平面を想定し、その法線方向に辺を移動させる
ことで、交差を解消する。辺の移動は、両端の頂点を移
動させることによって行なう。この際、剛体として扱う
側の辺については移動させないものとする。
【0092】ステップS511では、辺と面の衝突後処
理が行なわれる。辺と面の交差が判定された場合は、交
差した辺の内側の頂点を、外側である面の法線方向に、
一定の距離だけ移動させる。
【0093】なお、現実世界と違って、仮想服飾環境に
おいて、衣服を適切に人体に着せ付けるのは難しい。特
に、複数の衣服を着せ付けなければならない重ね着を考
えた場合、着せ付けは非常に困難である。この問題に対
処するために、本シミュレーションでは、いわゆる半透
過的衝突という考え方を用いた処理を行なう。
【0094】これは、外側の布が内側の布の表側から衝
突する場合は、衝突処理を行なうが、外側の布が内側の
布の裏側から衝突する場合は省略する方法である。つま
り、重ね着順が逆転する場合のみ衝突処理がこれを防
ぐ。なお、人体も最も内側の衣服として扱う。
【0095】この半透過的衝突と、物体間の交差を除去
するための辺と面の衝突処理とを組合せることで、初期
状態で重ね着順が逆転していたり、交差している場合
も、シミュレーションを続けるうちに重ね着順に従った
順に衣服が重なっていくことが期待できる。
【0096】以上説明した衝突処理においては、頂点と
面、辺と辺、辺と面の順で各衝突処理が行なわれる。こ
れは、大部分の衝突が、頂点と面の衝突であり、また頂
点と面の衝突処理が他の衝突処理と比較して容易だから
である。したがって、頂点と面の衝突処理が行なわれ、
大部分の衝突を解消した後に、残りの衝突処理が行なわ
れるため、効率よく衝突処理を行なうことができる。
【0097】最後に、本実施の形態における服飾シミュ
レーションの有効性を確かめるために行なった実験およ
びその結果について説明する。
【0098】まず、衣服を構成する布への重ね順の設定
によって、衝突処理に必要な計算量が削減されることを
確かめるために、重ね順の設定の有無による衝突処理回
数を比較した。次に従来の離散的時刻で交差検出する衝
突検出手法と、本実施の形態における手法の衝突検出精
度を比較した。
【0099】図8は、実験で用いた人体モデルおよび布
モデルを示す図である。本図を参照して、実験には、人
体として歩行する女性を用い、衣服は、重なっている部
分をある程度確保するため、パンツとワンピースを重ね
着したものを用いた。
【0100】ここで、人体および衣服の頂点数、ポリゴ
ン数は、それぞれ、1262頂点、1946面、およ
び、3460頂点、5796面である。また、人体の動
きは1/30秒単位で40形状(1.33秒)分与え、
それ以外は頂点位置を線形補間して求めた。
【0101】図9は、重ね順の設定の有無による衝突検
出回数の比較結果を示す図である。ここでは、頂点と面
の衝突処理において衝突が検出された頂点の数(Partic
le-Face)、辺と辺の衝突処理において衝突が検出され
た辺と辺の組合せの延べ数(Edge-Edge)を衝突処理回
数として計数した。Use Pile No.は重ね順を設定した場
合であり、No Pile No.は重ね順を用いず衝突処理順を
ランダムにした場合である。
【0102】本図を参照して、重ね順を設定することに
より、頂点と面の衝突処理回数を55%程度に削減でき
ることがわかる。なお、辺と辺の衝突処理に関しては、
重ね順を指定しない場合は、衝突後処理が複雑になるた
め、差が大きくなった。
【0103】図10は、従来の離散的時刻で交差検出す
る衝突検出手法と本実施の形態における衝突判定処理手
法との衝突検出精度の比較結果を示す図である。ここで
は本実施の形態で検出された衝突を正解として、そのう
ち従来の手法で検出できた衝突回数の割合を求めた。ま
た、衝突処理の頻度を1秒間あたり120,180,2
40回と変化させ、その際の衝突回数の変化についても
調べた。なお120回というのは、図4に示すシミュレ
ーションの布制約の充足(ステップS403)に必要な
下限に近い値である。
【0104】本図においては、左から、1秒あたりの衝
突処理頻度、各フレームでの全頂点の平均移動量の前フ
レームでの平均値、本実施の形態の検出法の衝突検出回
数、従来法の衝突検出回数、および、従来法の衝突検出
回数の本実施の形態の検出法の衝突検出回数に対する割
合である。
【0105】従来法のAの場合は、本実施の形態の手法
と全く同じ頂点と面の組で衝突が検出された回数で、従
来法のBの場合は、ある頂点と違う面との間で検出され
た衝突も正解とした場合の回数である。
【0106】以上の結果から、衝突処理の頻度を多くす
ると従来法でも衝突検出精度が向上することがわかる。
しかしながら、1秒間に240回という高い頻度でも、
本実施の形態の手法と比較して、見逃しがあり精度も低
い。
【0107】次に、重ね順を設定した際の半透過的衝突
処理の有効性を確かめるために行なった実験およびその
結果について説明する。
【0108】図11は、重ね順を設定した際の半透過的
衝突処理の有効性を確認するための実験結果を示す図で
ある。ここでは、エリアポケット、前身ごろの重なり
等、複雑な重なりを持つジャケットとスカートを着装し
た人体モデルを用いた。
【0109】図11(a)に示すように、初期状態(0
フレーム目)では正確な着せ付けを行なっていないた
め、衣服に交差が生じていた。しかし、図11(b)に
示すように、4フレーム目では交差が解消されており、
半透過的衝突が有効に働いていることがわかる。
【0110】以上説明したように、本実施の形態におけ
る服飾シミュレーションによると、衣服を重ね着した現
実に近い人体について高い精度で効率よくシミュレーシ
ョンすることが可能となる。
【0111】すなわち、幅をもった時間内の接触を検出
する衝突判定手法により衝突検出の精度を高めることが
できること、また、衣服に重ね順を設定することで、衝
突処理に必要な計算量が削減されることが、実験により
確かめられた。さらに、重ね着順の設定は、着せ付けの
手間を軽減するのにも有効であることがわかった。
【0112】なお、今回示した衝突処理方法は、上述し
た一連の処理動作を機能させるための衝突処理プログラ
ムをコンピュータに実行させることによって実現するこ
とができる。衝突処理プログラムは、予めコンピュータ
内のハードディスクにインストールされたものであって
もよいし、CD−ROM、磁気テープのような取り外し
可能な記録媒体に記録されたものであってもよい。いず
れにせよ、衝突処理プログラムはコンピュータ読み取り
可能な記録媒体に記録されている。
【0113】なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒
体としては、磁気テープやカセットテープなどのテープ
系、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディ
スク装置等)や光ディスク(CD−ROM/MO/MD
/DVD等)などのディスク系、ICカード(メモリカ
ードを含む)や光カードなどのカード系、あるいはマス
クROM、EPROM、EEPROM、フラッシュRO
Mなどの半導体メモリ等の、固定的にプログラムを担持
する媒体が考えられる。
【0114】また、ネットワークからプログラムがダウ
ンロードされるように、流動的にプログラムを担持する
媒体であってもよい。
【0115】なお、記録媒体に格納される内容として
は、プログラムに限定されず、データであってもよい。
【0116】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって、制限的なものではないと考えるべきであ
る。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び
範囲内ですべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における服飾シミュレー
ションの全体処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】 着せ付け処理を説明するための図である。
【図3】 本服飾シミュレーションで用いる布の形状モ
デルを説明するための図である。
【図4】 図1のシミュレーション処理(ステップS1
09)の詳細な処理の流れを示したフローチャートであ
る。
【図5】 図4の衝突処理(ステップS405)の詳細
な処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】 衝突判定処理における辺と辺の衝突の判定を
説明するための図である。
【図7】 頂点と面の衝突後処理を説明するための図で
ある。
【図8】 実験で用いた人体モデルおよび布モデルを示
す図である。
【図9】 重ね順の設定の有無による衝突検出回数の比
較結果を示す図である。
【図10】 従来の離散的時刻で交差検出する衝突検出
手法と本実施の形態における衝突判定処理との衝突検出
精度の比較結果を示す図である。
【図11】 重ね順を設定した際の半透過的衝突処理の
有効性を確認するための実験結果を示す図である。
【図12】 従来技術における衝突の見逃しを説明する
ための図である。
【符号の説明】
31 頂点、32 辺、33 面。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人体モデルに着装される複数の布モデル
    に設定された重ね順を取得する取得ステップと、 前記複数の布モデル同士の衝突の有無を判定する判定ス
    テップと、 前記判定ステップにより衝突が有ると判定された場合、
    前記複数の布モデルにおける衝突部分および衝突開始時
    刻を算出する算出ステップと、 前記算出された衝突部分および衝突開始時刻に基づき、
    前記取得された重ね順を考慮して前記衝突部分の衝突後
    の位置および運動を決定する決定ステップとを含む、衣
    服衝突処理方法。
  2. 【請求項2】 前記決定ステップは、内側の布モデルを
    外側の布モデルとの関係において剛体として扱うことで
    衝突後の位置および運動を決定することを特徴とする、
    請求項1に記載の衣服衝突処理方法。
  3. 【請求項3】 前記判定ステップ、算出ステップおよび
    決定ステップの一連の処理ステップは、最も内側の布モ
    デルから順に処理を行なうことを特徴とする、請求項2
    に記載の衣服衝突処理方法。
  4. 【請求項4】 前記決定ステップは、前記剛体として扱
    われた内側の布モデルについて、衝突による速度の変化
    を与えることで衝突後の位置および運動を決定する、請
    求項2または3に記載の衣服衝突処理方法。
  5. 【請求項5】 前記判定ステップは、所定の連続時間内
    において衝突の有無を判定することを特徴とする、請求
    項1〜4のいずれかに記載の衣服衝突処理方法。
  6. 【請求項6】 前記人体モデルおよび布モデルは、頂
    点、辺および面からなるポリゴンメッシュを用いたモデ
    ルであり、 前記判定ステップは、 頂点と面の衝突を判定する第1の判定ステップおよび辺
    と辺の衝突を判定する第2の判定ステップをさらに含
    み、 前記第1の判定ステップの後に前記第2の判定ステップ
    が行なわれることを特徴とする請求項1〜5に記載の衣
    服衝突処理方法。
  7. 【請求項7】 前記所定の連続時間内における前記人体
    モデルおよび複数の布モデルの各頂点は等速直線運動す
    るものと近似することを特徴とする、請求項5および6
    に記載の衣服衝突処理方法。
  8. 【請求項8】 辺と面の交差を判定する第3の判定ステ
    ップと、 前記第3の判定ステップにより交差すると判定された場
    合、交差した辺の内側の頂点を、外側である面の法線方
    向に一定距離移動させる移動ステップとをさらに含む、
    請求項7に記載の衣服衝突処理方法。
  9. 【請求項9】 前記判定ステップにより衝突が有ると判
    定された場合において、 外側の布モデルが内側の布モデルの表側から衝突するも
    のであるときは、前記算出ステップおよび前記決定ステ
    ップによる処理を行ない、 外側の布モデルが内側の布モデルの裏側から衝突するも
    のであるときは、前記算出ステップおよび前記決定ステ
    ップを省略することを特徴とする、請求項1〜8のいず
    れかに記載の衣服衝突処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の衣服
    衝突処理方法をコンピュータに実行させるための衣服衝
    突処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能
    な記録媒体。
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