JP2002115514A - アルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法 - Google Patents
アルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法Info
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- JP2002115514A JP2002115514A JP2000312345A JP2000312345A JP2002115514A JP 2002115514 A JP2002115514 A JP 2002115514A JP 2000312345 A JP2000312345 A JP 2000312345A JP 2000312345 A JP2000312345 A JP 2000312345A JP 2002115514 A JP2002115514 A JP 2002115514A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 強度が高く,かつバルブスプリング接触面に
おける耐摩耗性に優れたアルミ合金製バルブスプリング
リテーナ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 エンジンバルブ4固定用のテーパ穴10
を有すると共に,その周縁部にバルブスプリング6との
接触面16を有するバルブスプリングリテーナ1は,重
量%にて,Si:9.5〜11%,Cu:3.5〜4.
5%,Mn:0.1〜0.5%,Mg:0.3〜1.0
%,Fe:0.45%以下,Cr:0.10%以下,Z
n:0.3%以下,Ti:0.15%以下を含有し,残
部がA1及びその他の微量成分よりなると共に,T6処
理をした後のSi析出物の平均粒径が5μm以下の金属
組織を有するアルミ合金よりなり,接触面には耐摩耗性
を向上させるための皮膜層を設け,皮膜層はテーパ穴の
内周面には形成されていない。
おける耐摩耗性に優れたアルミ合金製バルブスプリング
リテーナ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 エンジンバルブ4固定用のテーパ穴10
を有すると共に,その周縁部にバルブスプリング6との
接触面16を有するバルブスプリングリテーナ1は,重
量%にて,Si:9.5〜11%,Cu:3.5〜4.
5%,Mn:0.1〜0.5%,Mg:0.3〜1.0
%,Fe:0.45%以下,Cr:0.10%以下,Z
n:0.3%以下,Ti:0.15%以下を含有し,残
部がA1及びその他の微量成分よりなると共に,T6処
理をした後のSi析出物の平均粒径が5μm以下の金属
組織を有するアルミ合金よりなり,接触面には耐摩耗性
を向上させるための皮膜層を設け,皮膜層はテーパ穴の
内周面には形成されていない。
Description
【0001】
【技術分野】本発明は,内燃機関のエンジン部材として
用いられるアルミ合金製バルブスプリングリテーナ及び
その製造方法に関する。
用いられるアルミ合金製バルブスプリングリテーナ及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】DOHC式エンジンには,直動式動弁機構
が採用されている。直動式動弁機構は,後述する図1に
示すごとく,エンジンバルブ4と,その軸端に一対のコ
ッタ7を介して止着されたバルブスプリングリテーナ1
と,バルブスプリングリテーナ1とシリンダーヘッド
(図示略)との間に圧縮状態で配設されたバルブスプリ
ング6とからなる。エンジンバルブ4は,その上端部に
配置されたリフタ3における弁隙間調整用のアウターシ
ム31の上面を,回転カム2が押圧することにより駆動
される。かかる直動式動弁機構を備えたエンジンは,動
弁系の部品点数が少ないため,許容回転数を高めること
ができ,出力性能を向上し得るという利点がある。
が採用されている。直動式動弁機構は,後述する図1に
示すごとく,エンジンバルブ4と,その軸端に一対のコ
ッタ7を介して止着されたバルブスプリングリテーナ1
と,バルブスプリングリテーナ1とシリンダーヘッド
(図示略)との間に圧縮状態で配設されたバルブスプリ
ング6とからなる。エンジンバルブ4は,その上端部に
配置されたリフタ3における弁隙間調整用のアウターシ
ム31の上面を,回転カム2が押圧することにより駆動
される。かかる直動式動弁機構を備えたエンジンは,動
弁系の部品点数が少ないため,許容回転数を高めること
ができ,出力性能を向上し得るという利点がある。
【0003】
【解決しようとする課題】ところで,従来,バルブスプ
リングリテーナは鋼製であったため,動弁系の重量が大
きくなり,エンジンの許容回転数を高める上の障害とな
っていた。すなわち,動弁系の重量が大きくなるほど慣
性重量が大となって,カムに対する弁体の追従性が損な
われ,吸排気効率が悪化して出力低下を招いていた。そ
こで,近年,特開平8−28224号公報に開示されて
いるように,動弁系の軽量化のため,鋼製に代えて,ア
ルミ合金製のバルブスプリングリテーナが開発されてい
る。しかし,アルミ合金製では,強度が不充分である。
また,バルブスプリングリテーナ1は,バルブスプリン
グ6との接触面16における耐摩耗性も要求されてい
る。
リングリテーナは鋼製であったため,動弁系の重量が大
きくなり,エンジンの許容回転数を高める上の障害とな
っていた。すなわち,動弁系の重量が大きくなるほど慣
性重量が大となって,カムに対する弁体の追従性が損な
われ,吸排気効率が悪化して出力低下を招いていた。そ
こで,近年,特開平8−28224号公報に開示されて
いるように,動弁系の軽量化のため,鋼製に代えて,ア
ルミ合金製のバルブスプリングリテーナが開発されてい
る。しかし,アルミ合金製では,強度が不充分である。
また,バルブスプリングリテーナ1は,バルブスプリン
グ6との接触面16における耐摩耗性も要求されてい
る。
【0004】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,強度
が高く,かつバルブスプリング接触面における耐摩耗性
に優れたアルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びそ
の製造方法を提供しようとするものである。
が高く,かつバルブスプリング接触面における耐摩耗性
に優れたアルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びそ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,中央にエンジン
バルブ固定用のテーパ穴を有すると共に,該テーパ穴の
周縁部にバルブスプリングと接触する接触面を有するバ
ルブスプリングリテーナにおいて,該バルブスプリング
リテーナは,重量%にて,Si:9.5〜11%,C
u:3.5〜4.5%,Mn:0.1〜0.5%,M
g:0.3〜1.0%,Fe:0.45%以下,Cr:
0.10%以下,Zn:0.3%以下,Ti:0.15
%以下を含有し,残部がA1及びその他の微量成分より
なると共に,450〜540℃の温度での溶体化処理後
に150〜200℃の温度での時効処理を行うT6処理
をした後のSi析出物の平均粒径が5μm以下の金属組
織を有するアルミ合金よりなり,かつ,少なくとも上記
接触面には耐摩耗性を向上させるための皮膜層を設け,
該皮膜層は上記テーパ穴の内周面には形成されていない
ことを特徴とするアルミ合金製バルブスプリングリテー
ナである。
バルブ固定用のテーパ穴を有すると共に,該テーパ穴の
周縁部にバルブスプリングと接触する接触面を有するバ
ルブスプリングリテーナにおいて,該バルブスプリング
リテーナは,重量%にて,Si:9.5〜11%,C
u:3.5〜4.5%,Mn:0.1〜0.5%,M
g:0.3〜1.0%,Fe:0.45%以下,Cr:
0.10%以下,Zn:0.3%以下,Ti:0.15
%以下を含有し,残部がA1及びその他の微量成分より
なると共に,450〜540℃の温度での溶体化処理後
に150〜200℃の温度での時効処理を行うT6処理
をした後のSi析出物の平均粒径が5μm以下の金属組
織を有するアルミ合金よりなり,かつ,少なくとも上記
接触面には耐摩耗性を向上させるための皮膜層を設け,
該皮膜層は上記テーパ穴の内周面には形成されていない
ことを特徴とするアルミ合金製バルブスプリングリテー
ナである。
【0006】本発明のバルブスプリングリテーナに用い
られるアルミ合金は,重量%において,Si:9.5〜
11%,Cu:3.5〜4.5%,Mn:0.1〜0.
5%,Mg:0.3〜1.0%,Fe:0.45%以
下,Cr:0.10%以下,Zn:0.3%以下,T
i:0.15%以下を含有し,残部がA1及びその他の
微量成分よりなる。Siの組成は9.5〜11%であ
り,9.5%未満では硬度が不十分であり,耐摩耗性が
低くなるという問題があり,11%を超える場合には鍛
造加工性が著しく低下し強度及び疲労限が低下するとい
う問題がある。Cuの範囲は3.5〜4.5%であり,
3.5%未満では強度が不足し,4.5%を超える場合
には鍛造加工性が著しく低下するという問題がある。M
nの範囲は0.1〜0.5%であり,この範囲で高温強
度を保持するのに有効である。一方,0.1%未満で
は,高温強度を保持するのが困難となり,0.5%を超
える場合には高温強度は0.5%時とそれほど変わらな
いため,材料コストが上がるという問題が残るにすぎな
い。
られるアルミ合金は,重量%において,Si:9.5〜
11%,Cu:3.5〜4.5%,Mn:0.1〜0.
5%,Mg:0.3〜1.0%,Fe:0.45%以
下,Cr:0.10%以下,Zn:0.3%以下,T
i:0.15%以下を含有し,残部がA1及びその他の
微量成分よりなる。Siの組成は9.5〜11%であ
り,9.5%未満では硬度が不十分であり,耐摩耗性が
低くなるという問題があり,11%を超える場合には鍛
造加工性が著しく低下し強度及び疲労限が低下するとい
う問題がある。Cuの範囲は3.5〜4.5%であり,
3.5%未満では強度が不足し,4.5%を超える場合
には鍛造加工性が著しく低下するという問題がある。M
nの範囲は0.1〜0.5%であり,この範囲で高温強
度を保持するのに有効である。一方,0.1%未満で
は,高温強度を保持するのが困難となり,0.5%を超
える場合には高温強度は0.5%時とそれほど変わらな
いため,材料コストが上がるという問題が残るにすぎな
い。
【0007】Mgの範囲は0.3〜1.0%であり,こ
の範囲で初晶Si晶出を抑え,強度が増加する。0.3
%未満では強度が不足し,1.0%を超える場合には鍛
造加工性が低下するという問題がある。Feの範囲は
0.45%以下であり,0.45%を超える場合には鍛
造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低下する。Cr
の範囲は0.10%以下であり,0.10%を超える場
合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低下す
る。Znの範囲は0.3%以下であり,0.3%を超え
る場合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低
下する。Tiの範囲は0.15%以下であり,0.15
%を超える場合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの
性能が低下する。上記アルミ合金には,微量成分として
は,不可避的不純物などが含まれている。
の範囲で初晶Si晶出を抑え,強度が増加する。0.3
%未満では強度が不足し,1.0%を超える場合には鍛
造加工性が低下するという問題がある。Feの範囲は
0.45%以下であり,0.45%を超える場合には鍛
造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低下する。Cr
の範囲は0.10%以下であり,0.10%を超える場
合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低下す
る。Znの範囲は0.3%以下であり,0.3%を超え
る場合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの性能が低
下する。Tiの範囲は0.15%以下であり,0.15
%を超える場合には鍛造加工性,強度,耐摩耗性などの
性能が低下する。上記アルミ合金には,微量成分として
は,不可避的不純物などが含まれている。
【0008】上記アルミ合金には,T6処理が施されて
いる。T6処理は,450〜540℃の温度での溶体化
処理後に150〜200℃の温度での時効処理を行うも
のである。溶体化処理の温度が450℃未満の場合に
は,溶体処理が不十分であり,540℃を超える場合に
は過熱となる。更に,480〜520℃の範囲がより好
適である。時効処理の温度が150℃未満では処理時間
が長くなり,200℃を超える場合には過時効となる。
更に,170〜190℃が好適である。
いる。T6処理は,450〜540℃の温度での溶体化
処理後に150〜200℃の温度での時効処理を行うも
のである。溶体化処理の温度が450℃未満の場合に
は,溶体処理が不十分であり,540℃を超える場合に
は過熱となる。更に,480〜520℃の範囲がより好
適である。時効処理の温度が150℃未満では処理時間
が長くなり,200℃を超える場合には過時効となる。
更に,170〜190℃が好適である。
【0009】上記T6処理後のアルミ合金は,Si析出
物の平均粒径が5μm以下の金属組織を有する。5μm
を超える場合には,バルブスプリングリテーナの破壊強
度が低下する。更に好ましくは,上記T6処理後のアル
ミ合金は,Si析出物の平均粒径が4μm以下の金属組
織を有する。上記Si析出物の平均粒径は2μm以上で
あることが好ましい。2μm未満の場合には,耐摩耗性
が低下するおそれがある。
物の平均粒径が5μm以下の金属組織を有する。5μm
を超える場合には,バルブスプリングリテーナの破壊強
度が低下する。更に好ましくは,上記T6処理後のアル
ミ合金は,Si析出物の平均粒径が4μm以下の金属組
織を有する。上記Si析出物の平均粒径は2μm以上で
あることが好ましい。2μm未満の場合には,耐摩耗性
が低下するおそれがある。
【0010】本発明のバルブスプリングリテーナにおい
ては,上記特定組成のアルミ合金に上記T6処理を施
し,その後のSi析出物の平均粒径は5μm以下であ
る。このため,軽量で,破壊強度に優れている。また,
バルブスプリングリテーナにおけるバルブスプリングと
の接触面には,耐摩耗性を向上させるための皮膜層が設
けられている。このため,耐摩耗性に優れ,長期間の使
用が可能となる。
ては,上記特定組成のアルミ合金に上記T6処理を施
し,その後のSi析出物の平均粒径は5μm以下であ
る。このため,軽量で,破壊強度に優れている。また,
バルブスプリングリテーナにおけるバルブスプリングと
の接触面には,耐摩耗性を向上させるための皮膜層が設
けられている。このため,耐摩耗性に優れ,長期間の使
用が可能となる。
【0011】耐摩耗性に優れた上記皮膜層をテーパ穴内
周面に形成すると,バルブスプリングリテーナとコッタ
との間で滑りが生じやすくなるため,テーパ穴下端に応
力集中を起こす。しかし,本発明においては,上記皮膜
層をテーパ穴内周面を避けて,それ以外の接触面を含む
部分に形成している。このため,コッタとの間で滑りが
生じない。ゆえに,テーパ穴下端に応力集中が生じず,
バルブスプリングリテーナの破損を抑制でき,強度が更
に向上する。以上のように本発明によれば,強度が高
く,かつスプリング接触面における耐摩耗性に優れたア
ルミ合金製バルブスプリングリテーナを提供することが
できる。
周面に形成すると,バルブスプリングリテーナとコッタ
との間で滑りが生じやすくなるため,テーパ穴下端に応
力集中を起こす。しかし,本発明においては,上記皮膜
層をテーパ穴内周面を避けて,それ以外の接触面を含む
部分に形成している。このため,コッタとの間で滑りが
生じない。ゆえに,テーパ穴下端に応力集中が生じず,
バルブスプリングリテーナの破損を抑制でき,強度が更
に向上する。以上のように本発明によれば,強度が高
く,かつスプリング接触面における耐摩耗性に優れたア
ルミ合金製バルブスプリングリテーナを提供することが
できる。
【0012】請求項2の発明のように,上記皮膜層は,
Mo化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物と,実質的に酸素からなる残
部とよりなると共に,重量%にて,Mo,W,Crの合
計含有量が2〜70%である無機化合物皮膜層であり,
かつ,0.1〜20μmの厚みを有することが好まし
い。これにより,皮膜層の耐摩耗性が更に向上する。
Mo化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物と,実質的に酸素からなる残
部とよりなると共に,重量%にて,Mo,W,Crの合
計含有量が2〜70%である無機化合物皮膜層であり,
かつ,0.1〜20μmの厚みを有することが好まし
い。これにより,皮膜層の耐摩耗性が更に向上する。
【0013】無機化合物皮膜層におけるMo,W,Cr
の合計含有量の範囲は,金属換算による重量%で,2〜
70%であり,2%未満の場合には皮膜層の耐摩耗性が
不十分となるおそれがあり,70%を超える場合には皮
膜の化学的安定性が不充分となるおそれがある。更に好
ましくは,3〜60%である。
の合計含有量の範囲は,金属換算による重量%で,2〜
70%であり,2%未満の場合には皮膜層の耐摩耗性が
不十分となるおそれがあり,70%を超える場合には皮
膜の化学的安定性が不充分となるおそれがある。更に好
ましくは,3〜60%である。
【0014】無機化合物皮膜層を構成している成分は,
Mo(モリブデン)化合物,W(タングステン)化合
物,及びCr(クロム)化合物から選ばれた少なくとも
1種以上の化合物と,実質的に酸素からなる残部とより
なる。当該成分としては,たとえば,酸化モリブデン,
酸化タングステン,酸化クロムなどがある。
Mo(モリブデン)化合物,W(タングステン)化合
物,及びCr(クロム)化合物から選ばれた少なくとも
1種以上の化合物と,実質的に酸素からなる残部とより
なる。当該成分としては,たとえば,酸化モリブデン,
酸化タングステン,酸化クロムなどがある。
【0015】無機化合物皮膜層の厚みは0.1〜20μ
mである。0.1μm未満の場合には,接触面の耐摩耗
性が不十分になり,20μmを超える場合には無機化合
物皮膜層のアルミ合金層に対する密着性が不十分になる
おそれがある。更に好ましくは,0.2〜4μmであ
る。
mである。0.1μm未満の場合には,接触面の耐摩耗
性が不十分になり,20μmを超える場合には無機化合
物皮膜層のアルミ合金層に対する密着性が不十分になる
おそれがある。更に好ましくは,0.2〜4μmであ
る。
【0016】請求項3の発明のように,上記皮膜層は,
Mo化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物と,A1化合物と,P化合物
と,実質的に酸素からなる残部とよりなると共に,重量
%にて,Mo,W,Crの合計含有量が2〜48%,A
1の含有量が1〜25%,Pの含有量が1〜25%であ
る無機化合物皮膜層であり,かつ,0.1〜20μmの
厚みを有することが好ましい。
Mo化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物と,A1化合物と,P化合物
と,実質的に酸素からなる残部とよりなると共に,重量
%にて,Mo,W,Crの合計含有量が2〜48%,A
1の含有量が1〜25%,Pの含有量が1〜25%であ
る無機化合物皮膜層であり,かつ,0.1〜20μmの
厚みを有することが好ましい。
【0017】上記請求項3の皮膜層は,請求項2の皮膜
層の組成に加えて,更にAl化合物とP化合物とを含む
点が異なる。この場合にも,皮膜層の耐摩耗性が更に向
上する。無機化合物皮膜層におけるMo,W,Crの合
計含有量の範囲は,金属換算による重量%で,2〜48
%であり,2%未満の場合には皮膜層の耐摩耗性が不十
分となるおそれがあり,48%を超える場合には皮膜の
化学的安定性が不充分となるおそれがある。更に好まし
くは,3〜60%である。無機化合物皮膜層におけるA
lの含有量の範囲は,金属換算で1〜25%であり,1
%未満の場合または25%を超える場合には,皮膜層の
表面粗さが過大になるおそれがある。無機化合物皮膜層
におけるPの含有量の範囲は,りん換算で1〜25%で
あり,1%未満の場合または25%を超える場合には,
皮膜層の表面粗さが過大になるおそれがある。
層の組成に加えて,更にAl化合物とP化合物とを含む
点が異なる。この場合にも,皮膜層の耐摩耗性が更に向
上する。無機化合物皮膜層におけるMo,W,Crの合
計含有量の範囲は,金属換算による重量%で,2〜48
%であり,2%未満の場合には皮膜層の耐摩耗性が不十
分となるおそれがあり,48%を超える場合には皮膜の
化学的安定性が不充分となるおそれがある。更に好まし
くは,3〜60%である。無機化合物皮膜層におけるA
lの含有量の範囲は,金属換算で1〜25%であり,1
%未満の場合または25%を超える場合には,皮膜層の
表面粗さが過大になるおそれがある。無機化合物皮膜層
におけるPの含有量の範囲は,りん換算で1〜25%で
あり,1%未満の場合または25%を超える場合には,
皮膜層の表面粗さが過大になるおそれがある。
【0018】皮膜層の厚みは0.1〜20μmであり,
その臨界意義は上記請求項2と同様である。Al化合物
及びP化合物としては,たとえば,リン酸アルミニウ
ム,亜リン酸アルミニウムなどがある。
その臨界意義は上記請求項2と同様である。Al化合物
及びP化合物としては,たとえば,リン酸アルミニウ
ム,亜リン酸アルミニウムなどがある。
【0019】請求項4の発明のように,中央にエンジン
バルブ固定用のテーパ穴を有すると共に,該テーパ穴の
周縁部にバルブスプリングと接触する接触面を有するバ
ルブスプリングリテーナの製造方法において,重量%に
おいて,Si:9.5〜11%,Cu:3.5〜4.5
%,Mn:0.1〜0.5%,Mg:0.3〜1.0
%,Fe:0.45%以下,Cr:0.10%以下,Z
n:0.3%以下,Ti:0.15%以下を含有し,残
部がA1及びその他の微量成分よりなるアルミ合金鋳塊
に495〜505℃の温度で均質化処理を行った後,押
出工程を施した素材を用い,該素材を冷間鍛造によりリ
テーナ形状に成形した後,450〜540℃の温度での
溶体化処理後に150〜200℃の温度での時効処理を
行うT6処理を施すことにより,平均粒径が5μm以下
のSi析出物を有する金属組織を得,その後上記接触面
に耐摩耗性を向上させるための皮膜層を形成することを
特徴とするアルミ合金製バルブスプリングリテーナの製
造方法がある。
バルブ固定用のテーパ穴を有すると共に,該テーパ穴の
周縁部にバルブスプリングと接触する接触面を有するバ
ルブスプリングリテーナの製造方法において,重量%に
おいて,Si:9.5〜11%,Cu:3.5〜4.5
%,Mn:0.1〜0.5%,Mg:0.3〜1.0
%,Fe:0.45%以下,Cr:0.10%以下,Z
n:0.3%以下,Ti:0.15%以下を含有し,残
部がA1及びその他の微量成分よりなるアルミ合金鋳塊
に495〜505℃の温度で均質化処理を行った後,押
出工程を施した素材を用い,該素材を冷間鍛造によりリ
テーナ形状に成形した後,450〜540℃の温度での
溶体化処理後に150〜200℃の温度での時効処理を
行うT6処理を施すことにより,平均粒径が5μm以下
のSi析出物を有する金属組織を得,その後上記接触面
に耐摩耗性を向上させるための皮膜層を形成することを
特徴とするアルミ合金製バルブスプリングリテーナの製
造方法がある。
【0020】本製造方法においては,上記所定の組成か
らなるアルミ合金鋳塊に,均質化処理,熱間加工,押出
工程,冷間鍛造,T6処理,及び接触面への皮膜層形成
を行っている。ここで注目すべきことは,均質化処理を
495〜505℃で行うことである。均質化処理の温度
は,T6処理後のSi析出物の平均粒径に影響を及ぼす
ことから,均質化処理の温度を上記の範囲で行うことに
より,Si析出物の平均粒径を5μm以下に制御し,バ
ルブスプリングリテーナの破壊強度を高めている。一
方,495℃未満の場合には,Siの析出が不十分とな
る場合ががあり,505℃を超える場合にはSi析出物
の平均粒径が5μmを越える場合がある。
らなるアルミ合金鋳塊に,均質化処理,熱間加工,押出
工程,冷間鍛造,T6処理,及び接触面への皮膜層形成
を行っている。ここで注目すべきことは,均質化処理を
495〜505℃で行うことである。均質化処理の温度
は,T6処理後のSi析出物の平均粒径に影響を及ぼす
ことから,均質化処理の温度を上記の範囲で行うことに
より,Si析出物の平均粒径を5μm以下に制御し,バ
ルブスプリングリテーナの破壊強度を高めている。一
方,495℃未満の場合には,Siの析出が不十分とな
る場合ががあり,505℃を超える場合にはSi析出物
の平均粒径が5μmを越える場合がある。
【0021】均質化処理の後には,押出工程を行う。押
出工程は,熱間加工,冷間加工のいずれで行ってもよ
い。冷間鍛造では,所望のバルブスプリングリテーナの
形状に成形する。その後,T6処理を施す。T6処理の
条件は,上記請求項1の発明の場合と同様である。
出工程は,熱間加工,冷間加工のいずれで行ってもよ
い。冷間鍛造では,所望のバルブスプリングリテーナの
形状に成形する。その後,T6処理を施す。T6処理の
条件は,上記請求項1の発明の場合と同様である。
【0022】請求項5の発明のように,上記皮膜層の形
成は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステ
ン酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なく
とも1種と,弗素イオンとを含む水溶液に接触させるこ
とにより行うことが好ましい。これにより,耐摩耗性に
優れた皮膜層を形成することができる。
成は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステ
ン酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なく
とも1種と,弗素イオンとを含む水溶液に接触させるこ
とにより行うことが好ましい。これにより,耐摩耗性に
優れた皮膜層を形成することができる。
【0023】請求項6の発明のように,上記皮膜層の形
成は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステ
ン酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なく
とも1種と,りん酸,重りん酸,および縮合りん酸から
選択された少なくとも1種のりん化合物のイオンと,弗
素イオンとを含む水溶液に接触させることにより行うこ
とが好ましい。これにより,耐摩耗性に優れた皮膜層を
形成することができる。
成は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステ
ン酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なく
とも1種と,りん酸,重りん酸,および縮合りん酸から
選択された少なくとも1種のりん化合物のイオンと,弗
素イオンとを含む水溶液に接触させることにより行うこ
とが好ましい。これにより,耐摩耗性に優れた皮膜層を
形成することができる。
【0024】上記水溶液の処理温度は20〜80℃であ
ることが好ましい。20℃未満の場合には,皮膜層形成
に長時間を要するおそれがあり,80℃を超える場合に
は素材のエッチング反応が激しくなり,素地を粗してし
まうおそれがある。処理時間は,水溶液中のフッ素イオ
ン濃度や処理温度によっても異なるが,通常5秒間〜6
00秒間であることが好ましい。5秒間未満の場合に
は,皮膜層形成が不十分となるおそれがあり,600秒
間を超える場合にはのおそれがある。また,皮膜層の形
成は,上記の水溶液浸漬法のほか,電解処理方法,CV
D法(化学的蒸着法),PVD法(物理的蒸着法),常
圧CVD法(パイロゾル法),溶射法などによっても行
うことができる。
ることが好ましい。20℃未満の場合には,皮膜層形成
に長時間を要するおそれがあり,80℃を超える場合に
は素材のエッチング反応が激しくなり,素地を粗してし
まうおそれがある。処理時間は,水溶液中のフッ素イオ
ン濃度や処理温度によっても異なるが,通常5秒間〜6
00秒間であることが好ましい。5秒間未満の場合に
は,皮膜層形成が不十分となるおそれがあり,600秒
間を超える場合にはのおそれがある。また,皮膜層の形
成は,上記の水溶液浸漬法のほか,電解処理方法,CV
D法(化学的蒸着法),PVD法(物理的蒸着法),常
圧CVD法(パイロゾル法),溶射法などによっても行
うことができる。
【0025】皮膜層は,コッタと接触するテーパ穴に形
成することは好ましくない。上記のように,テーパ穴下
端の応力集中を防止するためである。この場合,上記水
溶液に上記接触面を接触させるという表面処理の後に,
テーパ穴に付着した皮膜層を機械加工により除去しても
よい。
成することは好ましくない。上記のように,テーパ穴下
端の応力集中を防止するためである。この場合,上記水
溶液に上記接触面を接触させるという表面処理の後に,
テーパ穴に付着した皮膜層を機械加工により除去しても
よい。
【0026】更に好ましくは,請求項7の発明のよう
に,上記接触面への上記水溶液の接触は,上記テーパ穴
に,その内周面に密着するテーパ形状を有するセット治
具を挿入した状態で,上記バルブスプリングリテーナを
上記水溶液中に浸漬することにより行うが好ましい。こ
れにより,低コストで,接触面を被覆し,テーパ穴内面
は被覆していない耐摩耗性の皮膜層を形成することがで
きる。
に,上記接触面への上記水溶液の接触は,上記テーパ穴
に,その内周面に密着するテーパ形状を有するセット治
具を挿入した状態で,上記バルブスプリングリテーナを
上記水溶液中に浸漬することにより行うが好ましい。こ
れにより,低コストで,接触面を被覆し,テーパ穴内面
は被覆していない耐摩耗性の皮膜層を形成することがで
きる。
【0027】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明のアルミ合金製バルブスプリングリテーナについ
て,図1〜図5を用いて説明する。図1に示すごとく,
本例のアルミ合金製バルブスプリングリテーナ1は,中
央にエンジンバルブ4固定用のテーパ穴10を設けたリ
ング形状を有すると共に,その周縁部にバルブスプリン
グ6と接触する接触面16を有する。バルブスプリング
リテーナ1は,重量%にて,Si:10.05%,C
u:3.97%,Mn:0.31%,Mg:0.66
%,Fe:0.16%,Cr:0.01%,Zn:0.
01%,Ti:0.02%,A1:残部よりなるアルミ
合金からなる。アルミ合金は,T6処理後のSi析出物
の平均粒径が5μm以下の金属組織を有する。
て,図1〜図5を用いて説明する。図1に示すごとく,
本例のアルミ合金製バルブスプリングリテーナ1は,中
央にエンジンバルブ4固定用のテーパ穴10を設けたリ
ング形状を有すると共に,その周縁部にバルブスプリン
グ6と接触する接触面16を有する。バルブスプリング
リテーナ1は,重量%にて,Si:10.05%,C
u:3.97%,Mn:0.31%,Mg:0.66
%,Fe:0.16%,Cr:0.01%,Zn:0.
01%,Ti:0.02%,A1:残部よりなるアルミ
合金からなる。アルミ合金は,T6処理後のSi析出物
の平均粒径が5μm以下の金属組織を有する。
【0028】接触面16には,耐摩耗性を向上させるた
めの皮膜層が形成されている。一方,テーパ穴10の内
周面には皮膜層は形成されていない。皮膜層は,酸化モ
リブデン,酸化タングステンまたは酸化クロムから選ば
れる1種以上よりなると共に,重量%にて,Mo,W,
Crの合計含有量が35%である無機化合物皮膜層であ
り,かつ,0.8μmの厚みを有する。
めの皮膜層が形成されている。一方,テーパ穴10の内
周面には皮膜層は形成されていない。皮膜層は,酸化モ
リブデン,酸化タングステンまたは酸化クロムから選ば
れる1種以上よりなると共に,重量%にて,Mo,W,
Crの合計含有量が35%である無機化合物皮膜層であ
り,かつ,0.8μmの厚みを有する。
【0029】本例のアルミ合金製バルブスプリングリテ
ーナの製造方法について説明する。まず,上記の組成か
らなるアルミ合金鋳塊に,500℃で均質化処理を5時
間行う。次いで,熱間または冷間にて押出加工を行う。
これにより,丸断面の棒状またはコイル状の素材を得
る。
ーナの製造方法について説明する。まず,上記の組成か
らなるアルミ合金鋳塊に,500℃で均質化処理を5時
間行う。次いで,熱間または冷間にて押出加工を行う。
これにより,丸断面の棒状またはコイル状の素材を得
る。
【0030】次に,該素材を,適当な長さに切断するか
または冷間鍛造を行うことにより,円柱状のスラグを形
成する。次いで,冷間鍛造によりリテーナ形状に成形す
る。次に,得られた成形体にT6処理を施す。T6処理
を行うにあたっては,495℃で2時間加熱することに
より溶体化処理を行い,焼き入れをした後,175℃で
6時間の加熱をすることにより時効処理を施す。これに
より,平均粒径が5μm以下のSi析出物を有する金属
組織を得る。
または冷間鍛造を行うことにより,円柱状のスラグを形
成する。次いで,冷間鍛造によりリテーナ形状に成形す
る。次に,得られた成形体にT6処理を施す。T6処理
を行うにあたっては,495℃で2時間加熱することに
より溶体化処理を行い,焼き入れをした後,175℃で
6時間の加熱をすることにより時効処理を施す。これに
より,平均粒径が5μm以下のSi析出物を有する金属
組織を得る。
【0031】その後,図2に示すごとく,バルブスプリ
ング6と接触する接触面16に,耐摩耗性を向上させる
ための皮膜層15を形成する。皮膜層形成にあたって
は,テーパ穴10内周面に密着するテーパ部80を有す
るセット治具8を挿入した状態で,成形体11を,モリ
ブデン酸イオン,タングステン酸イオンまたはクロム酸
イオンの1種以上と弗素イオンとを含む処理液に浸漬す
ることにより行う。モリブデン酸イオンはモリブデン酸
アンモニウムを添加して形成し,タングステン酸イオン
はタングステン酸ナトリウムを添加して形成し,クロム
酸イオンは重クロム酸アンモニウムを添加して形成し,
弗素イオンはフッ化ナトリウムまたはフッ化アンモニウ
ムを添加して形成した。テーパ穴10の内周面には,皮
膜層15は形成されず,それ以外の接触面16を含む表
面に皮膜層15が形成される。以上により,本例のバル
ブスプリングリテーナを得る。
ング6と接触する接触面16に,耐摩耗性を向上させる
ための皮膜層15を形成する。皮膜層形成にあたって
は,テーパ穴10内周面に密着するテーパ部80を有す
るセット治具8を挿入した状態で,成形体11を,モリ
ブデン酸イオン,タングステン酸イオンまたはクロム酸
イオンの1種以上と弗素イオンとを含む処理液に浸漬す
ることにより行う。モリブデン酸イオンはモリブデン酸
アンモニウムを添加して形成し,タングステン酸イオン
はタングステン酸ナトリウムを添加して形成し,クロム
酸イオンは重クロム酸アンモニウムを添加して形成し,
弗素イオンはフッ化ナトリウムまたはフッ化アンモニウ
ムを添加して形成した。テーパ穴10の内周面には,皮
膜層15は形成されず,それ以外の接触面16を含む表
面に皮膜層15が形成される。以上により,本例のバル
ブスプリングリテーナを得る。
【0032】バルブスプリングリテーナは,図1に示す
ごとく,DOHC式エンジンの直動型動弁機構に用いら
れている。この動弁機構は,エンジンバルブ4と,その
軸端に一対のコッタ7を介して止着されたバルブスプリ
ングリテーナ1と,シリンダヘッド(図示略)とバルブ
スプリングリテーナ1との間に縮設されたバルブスプリ
ング6とを有する。
ごとく,DOHC式エンジンの直動型動弁機構に用いら
れている。この動弁機構は,エンジンバルブ4と,その
軸端に一対のコッタ7を介して止着されたバルブスプリ
ングリテーナ1と,シリンダヘッド(図示略)とバルブ
スプリングリテーナ1との間に縮設されたバルブスプリ
ング6とを有する。
【0033】エンジンバルブ4の上端部には,コッタ7
を嵌め合わせるコッタ溝47が設けられている。エンジ
ンバルブ4は,バルブスプリング6により閉方向に付勢
されている。エンジンバルブ4の上端部には,回転カム
2の動きにより上下動するリフタ3が冠装されている。
リフタ3における回転カム2との摺動面30には,弁隙
間調整用のアウターシム31が設けられている。エンジ
ンバルブ4は,回転カム2の大半径部により押されたと
きに「開」となり,小半径部では「閉」となる。
を嵌め合わせるコッタ溝47が設けられている。エンジ
ンバルブ4は,バルブスプリング6により閉方向に付勢
されている。エンジンバルブ4の上端部には,回転カム
2の動きにより上下動するリフタ3が冠装されている。
リフタ3における回転カム2との摺動面30には,弁隙
間調整用のアウターシム31が設けられている。エンジ
ンバルブ4は,回転カム2の大半径部により押されたと
きに「開」となり,小半径部では「閉」となる。
【0034】次に,本例のバルブスプリングリテーナを
試料E1とし,これについて以下の条件で耐摩耗試験を
行った。 ・試験装置;ヘッド単体モータリング試験装置, ・試験エンジン;V8 DOHC 4000cc ・エンジン回転数;5600r/分, ・試験時間;180時間 ・潤滑油;SJ 10W−30
試料E1とし,これについて以下の条件で耐摩耗試験を
行った。 ・試験装置;ヘッド単体モータリング試験装置, ・試験エンジン;V8 DOHC 4000cc ・エンジン回転数;5600r/分, ・試験時間;180時間 ・潤滑油;SJ 10W−30
【0035】また,比較のために,皮膜層を形成してい
ないバルブスプリングリテーナを試料C1,鋼製のもの
を試料C2とし,これらについても同様の耐摩耗試験を
行った。試験後の,バルブスプリングとの接触面におけ
る摩耗量を測定し,その結果を図3に示した。
ないバルブスプリングリテーナを試料C1,鋼製のもの
を試料C2とし,これらについても同様の耐摩耗試験を
行った。試験後の,バルブスプリングとの接触面におけ
る摩耗量を測定し,その結果を図3に示した。
【0036】同図より,本例の試料E1は,鋼製(試料
C2)と同程度に,接触面における摩耗量が少なかっ
た。一方,皮膜層を形成しない場合(試料C1)には,
摩耗量が多かった。
C2)と同程度に,接触面における摩耗量が少なかっ
た。一方,皮膜層を形成しない場合(試料C1)には,
摩耗量が多かった。
【0037】次に,本例のバルブスプリングリテーナ
(試料E1)について,静的破壊強度試験を行った。試
験装置は,アムスラー万能試験機を用い,図4(a)に
示すごとく,その治具89により,バルブスプリングリ
テーナ1におけるバルブスプリング6との接触面16の
幅H2mmを支持した。バルブスプリングリテーナ1の
テーパ穴10にはコッタ7を介してエンジンバルブ4を
止着し,その上部に荷重を加えた。バルブスプリングリ
テーナ1が破壊したときの荷重を測定した。
(試料E1)について,静的破壊強度試験を行った。試
験装置は,アムスラー万能試験機を用い,図4(a)に
示すごとく,その治具89により,バルブスプリングリ
テーナ1におけるバルブスプリング6との接触面16の
幅H2mmを支持した。バルブスプリングリテーナ1の
テーパ穴10にはコッタ7を介してエンジンバルブ4を
止着し,その上部に荷重を加えた。バルブスプリングリ
テーナ1が破壊したときの荷重を測定した。
【0038】また,比較のために,Si析出物の平均粒
径が5μmを越えるものを試料C3,テーパ穴内周面に
皮膜層を有するものを試料C4,特開平8−28224
号相当のものを試料C5とした。試料C3を製造するに
あたっては,均質化処理の温度を510℃,処理時間を
20時間とした点を除いて,実施形態例1と同様に行っ
た。また,上記耐摩耗製試験で用いた鋼製のものと同じ
試料C2も,同様に測定に供した。上記破壊荷重試験の
結果を,図4(b)に示した。
径が5μmを越えるものを試料C3,テーパ穴内周面に
皮膜層を有するものを試料C4,特開平8−28224
号相当のものを試料C5とした。試料C3を製造するに
あたっては,均質化処理の温度を510℃,処理時間を
20時間とした点を除いて,実施形態例1と同様に行っ
た。また,上記耐摩耗製試験で用いた鋼製のものと同じ
試料C2も,同様に測定に供した。上記破壊荷重試験の
結果を,図4(b)に示した。
【0039】同図より,本例のバルブスプリングリテー
ナ(試料E1)は,鋼製(試料C2)と同程度に,破壊
強度が高かった。一方,試料C3,C4,C5は,いず
れも,破壊強度は低かった。
ナ(試料E1)は,鋼製(試料C2)と同程度に,破壊
強度が高かった。一方,試料C3,C4,C5は,いず
れも,破壊強度は低かった。
【0040】次に,本例のバルブスプリングリテーナ
(試料E1),及び平均粒径5μmを超えるもの(試料
C3)について,電子顕微鏡写真を撮影し,Si析出物
の状態を観察した。試料E1の写真を図5(a)に,試
料C3の写真を図5(b)に示した。両図において,黒
い点状に見えるものがSi析出物である。同図より知ら
れるように,試料E1は,Si析出物が試料C3よりも
小さかった。平均粒径を求めたところ,試料E1は約
2.8μm,試料C3は約6.2μmであった。
(試料E1),及び平均粒径5μmを超えるもの(試料
C3)について,電子顕微鏡写真を撮影し,Si析出物
の状態を観察した。試料E1の写真を図5(a)に,試
料C3の写真を図5(b)に示した。両図において,黒
い点状に見えるものがSi析出物である。同図より知ら
れるように,試料E1は,Si析出物が試料C3よりも
小さかった。平均粒径を求めたところ,試料E1は約
2.8μm,試料C3は約6.2μmであった。
【0041】以上の測定結果より,T6処理後のSi析
出物の平均粒径が5μm以下の金属組織を有するアルミ
合金であって,テーパ穴内周面を除き,少なくとも接触
面に耐摩耗性を向上させるための皮膜層を設けたバルブ
スプリングリテーナ1は,耐摩耗性及び破壊強度に優れ
ることがわかる。また,本例のバルブスプリングリテー
ナは特定の組成のアルミ合金からなるため,鋼製のもの
よりも軽量であり,動弁系の軽量化を図ることができ
る。
出物の平均粒径が5μm以下の金属組織を有するアルミ
合金であって,テーパ穴内周面を除き,少なくとも接触
面に耐摩耗性を向上させるための皮膜層を設けたバルブ
スプリングリテーナ1は,耐摩耗性及び破壊強度に優れ
ることがわかる。また,本例のバルブスプリングリテー
ナは特定の組成のアルミ合金からなるため,鋼製のもの
よりも軽量であり,動弁系の軽量化を図ることができ
る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば,強度が高く,かつバル
ブスプリング接触面における耐摩耗性に優れたアルミ合
金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法を提供
することができる。
ブスプリング接触面における耐摩耗性に優れたアルミ合
金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法を提供
することができる。
【図1】実施形態例1のアルミ合金製バルブスプリング
リテーナを備えた動弁機構の説明図。
リテーナを備えた動弁機構の説明図。
【図2】実施形態例1における,皮膜層の形成方法の説
明図。
明図。
【図3】実施形態例1における,耐摩耗性試験結果を示
す説明図。
す説明図。
【図4】実施形態例1における,破壊荷重の測定方法の
説明図(a),及びその測定結果を示す説明図(b)。
説明図(a),及びその測定結果を示す説明図(b)。
【図5】実施形態例1における,顕微鏡写真により撮影
した,試料E1の図面代用写真(a),及び試料C3の
図面代用写真(b)。
した,試料E1の図面代用写真(a),及び試料C3の
図面代用写真(b)。
1...バルブスプリングリテーナ, 10...テーパ穴, 16...接触面, 2...回転カム, 3...リフタ, 31...アウターシム, 4...エンジンバルブ, 47...コッタ溝, 6...バルブスプリング, 7...コッタ,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/043 C22F 1/043 C23C 22/23 C23C 22/23 22/40 22/40 22/42 22/42 22/43 22/43 22/44 22/44 F16F 1/12 F16F 1/12 N // B21J 5/02 B21J 5/02 A 5/06 5/06 A C22F 1/00 601 C22F 1/00 601 602 602 630 630D 651 651B 682 682 683 683 685 685Z 691 691B (72)発明者 牧野 喜一 愛知県名古屋市天白区中砂町380番地 株 式会社水野鉄工所内 Fターム(参考) 3J059 AB12 AE04 BA01 BC20 CB20 GA08 4E087 BA04 BA12 CA11 CA21 CB03 DA04 DB14 DB18 DB24 HA67 4K026 AA09 AA21 BA01 BA03 BA06 BA07 BB03 CA21 CA22 CA25 CA26 CA28 CA29 CA31
Claims (7)
- 【請求項1】 中央にエンジンバルブ固定用のテーパ穴
を有すると共に,該テーパ穴の周縁部にバルブスプリン
グと接触する接触面を有するバルブスプリングリテーナ
において,該バルブスプリングリテーナは,重量%に
て,Si:9.5〜11%,Cu:3.5〜4.5%,
Mn:0.1〜0.5%,Mg:0.3〜1.0%,F
e:0.45%以下,Cr:0.10%以下,Zn:
0.3%以下,Ti:0.15%以下を含有し,残部が
A1及びその他の微量成分よりなると共に,450〜5
40℃の温度での溶体化処理後に150〜200℃の温
度での時効処理を行うT6処理をした後のSi析出物の
平均粒径が5μm以下の金属組織を有するアルミ合金よ
りなり,かつ,少なくとも上記接触面には耐摩耗性を向
上させるための皮膜層を設け,該皮膜層は上記テーパ穴
の内周面には形成されていないことを特徴とするアルミ
合金製バルブスプリングリテーナ。 - 【請求項2】 請求項1において,上記皮膜層は,Mo
化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少なく
とも1種以上の化合物と,実質的に酸素からなる残部と
よりなると共に,重量%にて,Mo,W,Crの合計含
有量が2〜70%である無機化合物皮膜層であり,か
つ,0.1〜20μmの厚みを有することを特徴とする
アルミ合金製バルブスプリングリテーナ。 - 【請求項3】 請求項1において,上記皮膜層は,Mo
化合物,W化合物,及びCr化合物から選ばれた少なく
とも1種以上の化合物と,A1化合物と,P化合物と,
実質的に酸素からなる残部とよりなると共に,重量%に
て,Mo,W,Crの合計含有量が2〜48%,A1の
含有量が1〜25%,Pの含有量が1〜25%である無
機化合物皮膜層であり,かつ,0.1〜20μmの厚み
を有することを特徴とするアルミ合金製バルブスプリン
グリテーナ。 - 【請求項4】 中央にエンジンバルブ固定用のテーパ穴
を有すると共に,該テーパ穴の周縁部にバルブスプリン
グと接触する接触面を有するバルブスプリングリテーナ
の製造方法において,重量%において,Si:9.5〜
11%,Cu:3.5〜4.5%,Mn:0.1〜0.
5%,Mg:0.3〜1.0%,Fe:0.45%以
下,Cr:0.10%以下,Zn:0.3%以下,T
i:0.15%以下を含有し,残部がA1及びその他の
微量成分よりなるアルミ合金鋳塊に495〜505℃の
温度で均質化処理を行った後,押出工程を施した素材を
用い,該素材を冷間鍛造によりリテーナ形状に成形した
後,450〜540℃の温度での溶体化処理後に150
〜200℃の温度での時効処理を行うT6処理を施すこ
とにより,平均粒径が5μm以下のSi析出物を有する
金属組織を得,その後上記接触面に耐摩耗性を向上させ
るための皮膜層を形成することを特徴とするアルミ合金
製バルブスプリングリテーナの製造方法。 - 【請求項5】 請求項4において,上記皮膜層の形成
は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステン
酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なくと
も1種と,弗素イオンとを含む水溶液に接触させること
により行うことを特徴とするアルミ合金製バルブバルブ
スプリングリテーナの製造方法。 - 【請求項6】 請求項4において,上記皮膜層の形成
は,上記接触面を,モリブデン酸イオン,タングステン
酸イオン,およびクロム酸イオンから選ばれた少なくと
も1種と,りん酸,重りん酸,および縮合りん酸から選
択された少なくとも1種のりん化合物のイオンと,弗素
イオンとを含む水溶液に接触させることにより行うこと
を特徴とするアルミ合金製バルブバルブスプリングリテ
ーナの製造方法。 - 【請求項7】 請求項5又は6において,上記接触面へ
の上記水溶液の接触は,上記テーパ穴に,その内周面に
密着するテーパ形状を有するセット治具を挿入した状態
で,上記バルブスプリングリテーナを上記水溶液中に浸
漬することにより行うことを特徴とするアルミ合金製バ
ルブバルブスプリングリテーナの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000312345A JP2002115514A (ja) | 2000-10-12 | 2000-10-12 | アルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法 |
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---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002115514A true JP2002115514A (ja) | 2002-04-19 |
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ID=18791956
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JP2000312345A Pending JP2002115514A (ja) | 2000-10-12 | 2000-10-12 | アルミ合金製バルブスプリングリテーナ及びその製造方法 |
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---|---|
JP (1) | JP2002115514A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7767267B2 (en) * | 2003-06-04 | 2010-08-03 | Wide Open Coatings, Inc. | Method of producing a coated valve retainer |
WO2010137371A1 (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-02 | 株式会社水野鉄工所 | スプールバルブ |
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