JP2002115039A - めっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

めっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板

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JP2002115039A
JP2002115039A JP2000305994A JP2000305994A JP2002115039A JP 2002115039 A JP2002115039 A JP 2002115039A JP 2000305994 A JP2000305994 A JP 2000305994A JP 2000305994 A JP2000305994 A JP 2000305994A JP 2002115039 A JP2002115039 A JP 2002115039A
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Yoshitsugu Suzuki
善継 鈴木
Chiaki Kato
千昭 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を
提供する。 【解決手段】 C:0.25mass%以下を含み、かつ、Si:
0.05〜2.0 mass%、Mn:0.5 〜3.0 mass%、P:0.02〜
0.15mass%、Cr:0.01〜1.0 mass%から選ばれるいずれ
か1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物からなる母板の表面にめっき層を形成した高強
度溶融亜鉛めっき鋼板であって、母板のSi、Mn、P、Cr
の含有量から求まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Crに
対する、めっき層直下から深さ1μmまでの母板表層部
におけるSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2
・Mn+a3・P+a4・Crの比で表す濃度比を0.95以下とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電など
の分野で用いられる高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関し、
とくに複雑なプレス加工にも耐えられる良好な密着性を
具えた高強度溶融亜鉛めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板をも含む)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車あるいは家電などで高耐食性を求
められる用途には、溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられ
ている。近年、とくに自動車の分野では地球環境の保全
や衝突安全性の上から、鋼板には一層の高強度化が求め
られるようになってきた。このような鋼板の高強度化へ
の要請に伴って、鋼板のめっき性の低下が問題視される
ようになってきている。すなわち、鋼板の強度を高める
ためには、通常Si、Mn、P、Crなどの強化元素を添加す
るのが有効であるが、これら合金元素は、易酸化元素で
あるために、焼鈍などのめっき前加熱に際して、鋼板表
面に濃化する傾向がある。この傾向は、これら強化元素
の添加量が多いときには、より顕著にあらわれる。
【0003】めっき前の鋼板(母板)の表面に上記元素
の濃化層が形成されると、鋼板と溶融亜鉛との濡れ性が
低下し、亜鉛との反応が阻害され、これが亜鉛めっき時
における不めっきを生じたり、めっき密着性の低下を招
くこととなる。このようなめっき密着性不良の溶融亜鉛
めっき鋼板をプレス加工すると、パウダリングやフレー
キングといっためっき剥離を生じることとなる。このよ
うな高強度溶融亜鉛めっきにおけるめっき密着性不良に
対処するための技術として、、例えば、特開平5−17
9356号公報、特開平5−51647号公報のよう
に、Si量を低くした鋼成分が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
低Siの母板であっても、実際のめっき操業においては、
いまだ十分なめっき密着性が得られず、プレス加工のと
きにめっき層がしばしば剥離することがあった。このよ
うに、強化元素を比較的多量に含む高強度鋼板を母板と
した高強度溶融亜鉛めっき鋼板においては、めっき密着
性がいまだ十分ではなく、その改善が求められていた。
本発明は、従来技術が抱えている上記課題を解決し、め
っき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、強化元素を
添加した高強度鋼板を母板とた高強度溶融亜鉛めっき鋼
板において、めっき層の密着性に及ぼす母板特性の影響
について詳細に調査、検討した。その結果、めっき層の
密着性はめっき層直下における母板のごく表層部におけ
る合金元素の濃化に大きく依存していることを知見し
た。本発明は、このような知見に基づいて完成したもの
であり、その要旨構成は以下のとおりである。
【0006】(1)C:0.25mass%以下を含み、かつ、S
i:0.05〜2.0 mass%、Mn:0.5 〜3.0mass%、P:0.02
〜0.15mass%、Cr:0.01〜1.0 mass%から選ばれるいず
れか1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物からなる母板の表面にめっき層を形成した高
強度溶融亜鉛めっき鋼板であって、母板のSi、Mn、P、
Crの含有量から求まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Cr
(ただし、a1〜a4:操業条件等で定まる係数) に対す
る、めっき層直下から深さ1μmまでの母板表層部にお
けるSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2・Mn
+a3・P+a4・Crの比で表す濃度比が0.95以下であるこ
とを特徴とするめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛め
っき鋼板。
【0007】(2)C:0.02mass%以下を含み、かつ、S
i:0.05〜2.0 mass%、Mn:0.5 〜3.0mass%、P:0.02
〜0.15mass%、Cr:0.01〜1.0 mass%から選ばれるいず
れか1種または2種以上を含有し、さらにMo、Ti、Nb、
V、Bから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計
量で1.0 mass%以下の範囲で含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物からなる母板の表面にめっき層を形成した
高強度溶融亜鉛めっき鋼板であって、母板のSi、Mn、
P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4
・Crに対する、めっき層直下から深さ1μmまでの母板
表層部におけるSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1
Si+a2・Mn+a3・P+a4・Crの比で表す濃度比が0.95以
下であることを特徴とするめっき密着性に優れる高強度
溶融亜鉛めっき鋼板。
【0008】(3)めっき層中のFe含有量が8〜12mass
%である上記 (1)または (2)に記載の高強度溶融亜鉛め
っき鋼板。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明を開発する端緒とな
った実験結果について説明する。鋼組成が、C:0.08ma
ss%、Mn:2.0 mass%、Al:0.04mass%、N:0.002 ma
ss%、O:0.002 mass%、Mo:0.15mass%からなる厚み
30mmのシートバーを1200℃に加熱し、5パスの熱間圧
延により2.2 mmの熱延板とし、540 ℃で巻き取った。
この熱延板を酸洗したのち、圧下率50%で冷間圧延して
冷延板とした。そして、この冷延板をいったん 400〜90
0 ℃に加熱後冷却して、酸洗し、さらに竪型焼鈍・めっ
き装置にて、750 ℃で20秒間焼鈍して、溶融亜鉛浴(Al
濃度0.15%、浴温465 ℃)に1秒間浸漬してめっきし、
次いで520 ℃で合金化処理した。
【0010】得られた溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着
性試験を以下の方法で調査した。めっき鋼板に予めセロ
ハンテープを貼っておき、このめっき鋼板をセロハンテ
ープを貼った側が曲げ時の圧縮側になるように90°の曲
げ戻しを行った。その後、セロハンテープをはがし、め
っきが剥離して、テープに付着しためっきの蛍光X線に
よる単位長さ(m)当たりのZnカウント数を測定する
ことにより、めっき密着性を評価した。評価は次の5段
階で行った、この評価で、ランク4のものまでは、実使
用に耐えられるものと言える。 0〜500 カウント未満 ・・・・・・ ランク1(良) 500 〜1000カウント未満 ・・・・ ランク2 1000〜2000カウント未満 ・・・・ ランク3 2000〜3000カウント未満 ・・・・ ランク4 3000カウント以上 ・・・・・・・・・・ ランク5(劣)
【0011】一方、母板の合金元素を、アルカリまたは
酸性のめっき層除去液により溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き層のみを溶解除去してから、露出した母板のめっき層
直下1μm深さまで表層部におけるMn含有量、母板表面
から100 μm内側に入った内層部におけるMn含有量をそ
れぞれGDS (グロー放電発光分光分析) 法により測定
した。こうして求めたMn含有量から、(表層部における
Mn含有量)/(内層部におけるMn含有量)によりMnの濃
度比を求め、上記しためっき密着性の評価ランクとの関
係を調べた。その結果を、図1に示す。図1から、濃度
比を0.95以下にすれば、密着性がランク4以下となり改
善されることがわかる。図1によれば、この濃度比を好
ましくは0.90以下、より好ましくは0.80以下、さらに好
ましくは0.70以下に低減することにより、密着性は一段
と向上することがわかる。
【0012】発明者らは、Mn以外の他の成分元素を含む
鋼板を母板とした溶融亜鉛めっき鋼板についても、同様
の観点からめっき密着性を調査した。その結果、これら
を母板とした場合のめっき密着性は、合金元素のうちS
i、Mn、PおよびCr含有量から求まるa1・Si+a2・Mn+a
3・P+a4・をベースとした濃度比と極めて高い相関が
あることがわかった。 (a1〜a4は、操業条件等で定まる
係数)すなわち、母板中にSi、Mn、P、Crなどの成分元
素を含む場合には、めっき密着性は濃度比=(めっき層
直下から深さ1μmまでの母板表層部におけるSi、Mn、
P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4
・Cr)/(母板のSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1
・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Cr)により整理できること
がわかった。
【0013】次に、本発明における構成を上記範囲に限
定した理由について説明する。 C:0.25mass%以下 Cは、鋼板の強度を高める一方で延性を低下させる元素
である。したがって、必要な強度−延性バランスや加工
性を考慮して適正量を添加するが、0.25mass%を超えて
添加すると溶接性が劣化するので、その含有量は0.25ma
ss%以下の範囲とする。
【0014】Si:0.05〜2.0 mass% Siは、延性を大きく低下させることなく、鋼板の強度を
向上させるのに有用な元素である。このような効果は0.
05mass%以上の添加で得られるが、2.0 mass%を超えて
含有するとめっき性が低下するので、上限を2.0 mass%
とする
【0015】Mn:0.5 〜3.0 mass% Mnは、複合組織を形成して強度の向上をはかるのに有用
な元素であり、強度−延性バランスの改善にも寄与す
る。強度の増大には0.5 mass%以上が必要であるが、3.
0 mass%を超えると溶接性が低下するので、Mn含有量は
0.5 〜3.0 mass%とする。
【0016】P:0.02〜0.15mass% Pは、安価に高強度を達成するのに有用な元素であり、
他元素を補って必要量添加される。このような効果は0.
02mass%以上の範囲で得られるが、0.15mass%を超える
と溶接性を損なうようになるので、0.02〜0.15mass%と
する。
【0017】Cr:0.01〜1.0 mass% Crも、Mnと同様に、必要な強度レベルに応じて添加され
る元素である。強度増加のためには0.01mass%以上は必
要であるが、1.0 mass%を超えるとめっき性の改善を困
難にするので、0.01〜1.0 mass%とする。
【0018】Mo、Ti、Nb、VおよびB:合計量で1.0 ma
ss%以下 Mo、Ti、Nb、VおよびBは、いずれも金属組織と機械的
性質の改善を通じて、各種成形加工性を向上させるのに
有用な元素であり、必要に応じて、これらのうちの1種
以上を適宜添加される。しかし、過度に含有するとかえ
ってこれら特性を低下させ、また高価な元素でもあるの
で、合計量で1.0 mass%以下の範囲で添加するものとす
る。以上の成分のほかはFeおよび不可避的不純物であ
り、例えば、脱酸剤としてAlを添加すると、鋼中には不
可避的に0.03〜0.04mass%程度のAlが含まれる。
【0019】濃度比:0.95以下 前述したように、めっき層直下から深さ1μmまでの母
板表層部におけるSi、Mn、P、Crの含有量から求まるC
=a1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Crと、母板のSi、Mn、
P、Crの含有量から求まるC0=a1・Si+a2・Mn+a3
P+a4・Crとの比C/C0で表される濃度比は、めっき
密着性を支配する指標となる。この濃度比を、0.95以
下、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.70以
下に低減することにより、密着性は向上する。ここに、
各成分含有量の係数a1〜a4は、めっき密着性に及ぼす成
分の影響の度合いの多少を意味する。なお、母板表層部
における地鉄成分は、めっき時には、Al富化層および/
または合金化によってめっき層側に移動するために、母
板表層部におけるMn等の合金元素量はめっき後には上昇
する。発明者らの調査によれば、めっき後のC/C0
0.95は、めっき前の値では0.85程度に相当するものであ
る。
【0020】めっき層直下から深さ1μmまでの母板表
層部とは、めっき層を除去した母板表層部の、めっき時
あるいはさらに合金化時に関わったと考えられる深さ1
μmまでの領域をさす。また、母板内層部の各成分の含
有量は、表面処理による外乱がない領域(めっき層直下
から50〜 100μmまでの部分を除去した母板内層のみの
領域)の含有量を意味するものである。ただし、通常、
表層部の厚みは母板厚みに比べて極めて薄いので、内層
部の含有量は母板(全厚)の含有量と同じである。
【0021】濃度比が低いとき、言い換えれば母板表層
部での合金元素(Si、Mn、PおよびCr)の含有量が母板
内層部のそれに対し相対的に少ないときに、めっき密着
性が向上する理由は、必ずしも明らかではないが、発明
者らは次のように考えている。すなわち、母板表層部に
おける合金元素の固溶量が少ないと、この領域での固溶
元素による歪みが小さくなり、このためにめっき層と母
板との界面に過剰な応力が発生しないからである。この
ような機構でめっき密着性に影響する領域は、曲げ加工
時に直接的に関与する1μmまでの範囲であると推定さ
れる。
【0022】上述した母板表層部、および母板内層部
(すなわち母板)における元素含有量の分析方法は、特
に定めないが、例えば、GDS(グロー放電発光分光分
析)法を用いて、予め検量線を作成して感度を調整して
おき、深さ方向の測定チャートの積分値から求めればよ
い。この場合には、母板表層部の含有量はめっき層を除
去した母板表面から1μmまでの平均値から、また母板
内層部の含有量は50〜100μm以上の十分な深さを
スパッターした後に測定した値から求めればよい。
【0023】母板表層部における合金元素の含有量測定
は、上記GDS法のほか、電気化学的な研磨、化学研
磨、機械研磨などにより、表面から1μmまでの部分を
採取し、この領域の含有量を通常の湿式分析(例えば、
発光分光分析法)などで測定してもよい。研磨厚みは、
例えば、化学研磨法ではH22/HF系水溶液を用い重
量法により、また電気化学的方法ではアノード法で定電
流電解しその電気量により算出することができる。なお
このとき、アノード溶液としては、例えば5〜20mass
%のNaCl水溶液を、電流は50〜200mA程度が
好適である。一方、母板内層部の含有量を測定するに
は、表面から50〜100μm以上を除去し、残りの部
分を湿式分析で測定すればよい。このほか、母板の厚み
方向断面が観察できるように試料を樹脂に埋め込み、研
磨後、厚み方向にEPMA等の方法で定量してもよい。
なお、母板の合金元素含有量を測定するには、めっき層
を除去する必要がある。このめっき層除去は、インヒビ
ター等を添加した酸やアルカリ等で母板部分が溶解しな
いようにして行えばよい。
【0024】図2は、Mn量(1.6 〜2.0 mass%)および
熱処理条件を変えてめっきした合金化溶融亜鉛めっき鋼
板について、めっき層をアルカリで除去したのち、母板
表面からMn量分布を深さ方向(厚み方向)に120秒間
GDS測定した例である。用いた測定装置は島津製作所
製GDLS5017型であり、400ml/分のArガ
ス気流中において、放電電流30mA、1点当たり積算
時間80×2.5 ms、サンプリング数600 点の条件で測定
した。図2のGDSによるMn分布曲線において、母板表
層部のMnの含有量(1μm厚みでの平均含有量)は表面
(図2左端)から深さ方向1μmまでの積算値から求め
ることができ、母板内層部のMn含有量はGDS強度が安
定した一定値となる位置で求めることができる。図2で
用いた実験材は、Si、Mn、P、CrのうちMnのみを含有す
る材料であったため、濃度比は表層部および内層部それ
ぞれのMn含有量から算出される。なお、GDS法で上記
元素の含有量を求めるに当たっては、予め濃度のわかっ
た標準サンプルを測定して、濃度に対する検量線を作成
した上で感度を調整して測定し、絶対濃度を算出するこ
とにより、測定条件が変わっても、同じ材料について測
定する限り、常に一定の値が得られる。
【0025】図2には、こうして求めた濃度比C/C0
のほか、密着性のランクをも示している。C/C0が0.6
1である場合( 図2(a))にはランクが1であり極め
て良好なめっき密着性であったが、C/C0が0.99であ
る場合( 図2(c))にはランクが5であり、めっき密
着性が低下している。
【0026】めっき層中のFe含有量 本発明の溶融亜鉛めっき鋼板には合金化処理したものも
含む。合金化処理したした場合の合金化度の指標とな
る、めっき層中のFe含有量は8〜12mass%の範囲とす
ることが望ましい。8mass%未満では、焼けむらなどが
発生するほか、プレス成形時に金型との摺動性が悪くな
る。また、12mass%を超えると、過合金によりめっき
密着性が劣化する。よって、合金化処理した溶融亜鉛め
っき鋼板のめっき層中のFe含有量は8〜12mass%とす
る。なお、好ましい範囲は9〜10mass%である。
【0027】次に、本発明に従う溶融亜鉛めっき鋼板を
製造する方法について説明する。先ず、母板表層部の合
金元素量を低減する方法については、特に定めないが、
例えば、鋼板を一度高温に加熱して外部酸化させて母板
表層部に合金元素の欠乏層を形成したのち、表面を酸洗
して外部酸化層を除去することにより達成する方法が挙
げられる。また、例えば、鋳造時に表層のみに純鉄を吹
き付ける方法、表層部と内層部とで成分を変化させたク
ラッドにする方法、鋼板に予めFe系めっきを施す方法な
どでもよい。
【0028】以上のようにして調整した鋼板を、溶融亜
鉛めっきラインにて、常法により、溶融亜鉛めっき浴中
に浸漬して亜鉛めっきすることにより、高強度で密着性
に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。亜鉛
めっき浴はAlを0.08〜0.2 %含有するものが適当であ
り、浴温は450 〜500 ℃が適当である。まためっき浴侵
入時の板温は 450〜500 ℃が適当である。得られためっ
き鋼板には、必要に応じて、合金化処理を施すことが可
能である。合金化処理の条件は、450 〜550 ℃、好まし
くは480 〜520 ℃の範囲に加熱するのがよい。450 ℃を
下回ると合金化が殆ど進行せず、一方 550℃を超えると
過度の合金化によるめっき層の密着性の劣化を招くので
好ましくない。また合金化処理のための加熱方法は、例
えばガス加熱炉、誘導加熱炉などによればよい。
【0029】実施例 表1に示した化学組成を有し、厚さ 300mmの連続鋳造
スラブを1250℃に加熱し、3パスの粗圧延後7スタンド
の仕上げ圧延機で熱間圧延することにより、厚み 2.0m
mの熱延板として 530℃で巻き取った。この熱延板を酸
洗後、そのまま又はさらに圧下率50%で冷間圧延したの
ち、連続焼鈍ラインに通板し、さらに連続溶融亜鉛めっ
きラインにて酸洗、亜鉛めっき、あるいはさらに合金化
処理を行った。めっきの付着量は両面40g/m
し、合金化処理温度は何れも480 〜530 ℃の間で25 s
ecとした。
【0030】得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、引
張強さを、合金化処理したものについてはめっき層中の
Fe含有量を求めるとともに、めっき密着性、合金化処理
後の外観を調査した。合金化処理したもののめっき密着
性は前述した方法で行い、合金化処理しないもののめっ
き密着性はボールインパクト試験によってめっき剥離の
状況を目視で判定した。判定基準は、剥離が顕著に生じ
たものをランク5、剥離が全く見られないものをランク
1とする5段階評価とした。また、合金化不良について
は、合金化処理後の外観を目視観察し、不良の有無を判
定した。本実施例の条件では、濃度比を計算するに当た
り、下記の係数を用いた。 C=a1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Cr a1=0.2 a2=1.0 a3=0.1 a4=0.5 これらの結果を表2にまとめて示す。表2から、発明例
はいずれもめっきの密着性が良好であった。これに対
し、比較例はめっきの密着性が不良であった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高強度にもかかわらず、めっき密着性に優れた溶融亜鉛
めっき鋼板を提供することができる。したがって、本発
明は自動車のさらなる軽量化、低燃費化を可能にし、ひ
いては地球環境の改善に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】表層部と内層部とのMn濃度比がめっき密着性に
与える影響を表わすグラフである。
【図2】母板表面から深さ方向へのMn量の分布曲線のグ
ラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.25mass%以下を含み、かつ、Si:
    0.05〜2.0 mass%、Mn:0.5 〜3.0 mass%、P:0.02〜
    0.15mass%、Cr:0.01〜1.0 mass%から選ばれるいずれ
    か1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避
    的不純物からなる母板の表面にめっき層を形成した高強
    度溶融亜鉛めっき鋼板であって、 母板のSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2
    Mn+a3・P+a4・Cr (ただし、a1〜a4は、操業条件等で
    定まる係数) に対する、めっき層直下から深さ1μmま
    での母板表層部におけるSi、Mn、P、Crの含有量から求
    まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Cr の比で表す濃度
    比が0.95以下であることを特徴とするめっき密着性に優
    れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.02mass%以下を含み、かつ、Si:
    0.05〜2.0 mass%、Mn:0.5 〜3.0 mass%、P:0.02〜
    0.15mass%、Cr:0.01〜1.0 mass%から選ばれるいずれ
    か1種または2種以上を含有し、さらにMo、Ti、Nb、
    V、Bから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計
    量で1.0 mass%以下の範囲で含有し、残部はFeおよび不
    可避的不純物からなる母板の表面にめっき層を形成した
    高強度溶融亜鉛めっき鋼板であって、 母板のSi、Mn、P、Crの含有量から求まるa1・Si+a2
    Mn+a3・P+a4・Crに対する、めっき層直下から深さ1
    μmまでの母板表層部におけるSi、Mn、P、Crの含有量
    から求まるa1・Si+a2・Mn+a3・P+a4・Crの比で表す
    濃度比が0.95以下であることを特徴とするめっき密着性
    に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 めっき層中のFe含有量が8〜12mass%
    である請求項1または2に記載の高強度溶融亜鉛めっき
    鋼板。
JP2000305994A 2000-10-05 2000-10-05 めっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板 Pending JP2002115039A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20230093636A (ko) 2021-12-20 2023-06-27 주식회사 포스코 도금 밀착성이 우수한 아연도금강판 및 이의 제조방법

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