JP3898925B2 - 耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、家電製品、自動車などに適する耐食性、特に塩素を含有した環境における耐食性と加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板および亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に自動車車体において燃費向上を目的とした車体軽量化の観点から、延性の高い高強度鋼板の需要が高まりつつある。安価な強化法として鋼中へのSi添加が行われ、特に高延性高強度鋼板には1質量%以上含有する場合もある。
【0003】
一方で、めっきの観点からすると鋼中のSiの含有率が、質量%で0.3%を超えると、通常のAlを含有しためっき浴を用いたゼンジマー法ではめっき濡れ性が大きく低下し、不めっきが発生するため外観品質が悪化する。この原因は、還元焼鈍時に鋼板表面にSi酸化物が濃化し、Si酸化物の溶融亜鉛に対する濡れ性が悪いためであると言われている。
【0004】
この問題を解決する手段として、特開平3−28359号公報、特開平3−64437号公報等に見られるように、特定のめっきを付与することでめっき性の改善を行っているが、この方法では、溶融めっきライン焼鈍炉前段に新たにめっき設備を設けるか、もしくは、あらかじめ電気めっきラインにおいてめっき処理を行わなければならず、大幅なコストアップとなるという問題点がある。
【0005】
また、熱延時に発生するSiスケール傷も後々のめっき外観を損ねる原因となる。これを抑制するには、鋼中のSi量を低減することが不可欠となるが、高延性型の高強度鋼板の代表である残留オーステナイト鋼や複相鋼板では、その強度延性バランスと高める点でSiは極めて効果的な添加元素である。このような問題に対して、焼鈍時の雰囲気を制御して生成する酸化物形態を制御する手法などが開発されているものの、特殊設備の必要性など、新たな設備投資の必要がある。
【0006】
また、板厚減により軽量化を図るために高強度鋼板が採用され、薄肉化が進むとたとえ溶融亜鉛めっきは鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板でも、長期間防食の点で更なる耐食性が必要となる場合もある。例えば、融雪材として岩塩散布が行われるような環境下では、Cl-イオンが比較的大量に含まれているため厳しい環境である。加工度合いの高い部分などでは局部的にめっきが剥離していたり、めっき自体の耐食性が十分出ない場合には、高耐食性の母材及びめっきの形成が必要となってくる。
【0007】
上述したような、軽量薄肉化に対応した、高強度化、Si添加の問題、耐食性向上を考慮した鋼板は開発されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、不めっきや表面欠陥が抑制され、とくに塩素を含む環境における耐食性と高延性を兼ね備えた高強度溶融合金化亜鉛めっき鋼板及び高強度溶融亜鉛めっき鋼板並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を行った結果、めっき層に特定の元素を適正濃度含有させることおよびそれと鋼板の成分と組み合わせることで、高強度鋼板の溶融亜鉛めっき濡れ性および合金化めっきに於ける合金化促進に加えて高延性と耐食性を改善する方法を見いだした。すなわち、主に、めっき層中Al濃度とMo濃度および鋼中のMo濃度とを制御することで出現させることができる。
【0010】
即ち、めっき層中に質量%でAl:0.001〜4%を含有し、さらに、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
の関係を満たすことにより、耐食性に優れた高強度高延性合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを見いだした。
【0011】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
〔1〕 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.001〜0.1%未満、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%
Mo:0.001〜1%
P:0.001〜0.3%
S:0.0001〜0.1%
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板のめっき層中に質量%で
Al:0.001〜4%、
Fe:5〜20%
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき冷延鋼板であって、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、下記(1)式、
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
の関係を満たし、鋼のミクロ組織が、主相と第2相からなる複合組織であり、前記主相が体積分率で50〜97%のフェライト相もしくはフェライト相とベイナイト相であり、前記主相の平均粒径が20μ m 以下であり、前記第2相がマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方からなり、前記第2相の体積分率が3%〜50%であり、前記第2相の平均粒径が10μ m 以下であり、前記第2相の平均粒径が前記主相の平均粒径の0.01〜0.6倍であることを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔2〕 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.001〜0.1%未満、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%
Mo:0.001〜1%
P:0.001〜0.3%
S:0.0001〜0.1%
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板のめっき層中に質量%で
Al:0.001〜4%、
Fe:5%未満
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき冷延鋼板であって、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、下記(1)式、
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
の関係を満たし、鋼のミクロ組織が、主相と第2相からなる複合組織であり、前記主相が体積分率で50〜97%のフェライト相もしくはフェライト相とベイナイト相であり、前記主相の平均粒径が20μ m 以下であり、前記第2相がマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方からなり、前記第2相の体積分率が3%〜50%であり、前記第2相の平均粒径が10μ m 以下であり、前記第2相の平均粒径が前記主相の平均粒径の0.01〜0.6倍であることを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔3〕主相が、体積分率で70〜97%のフェライト相であり、第2相の体積分率が3〜30%であることを特徴とする〔1〕または〔2〕記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔4〕第2相が残留オーステナイト相であり、鋼中の炭素量:C(質量%)、鋼中のMn量:Mn(質量%)、前記残留オーステナイト相の体積率:Vγ(%)、フェライト相及びベイナイト相の体積率:Vα(%)としたき、(2)式を満たすことを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
(Vγ+Vα)/Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2)
〔5〕主相が体積分率で50〜95%のフェライト相と体積分率で2〜47%のベイナイト相であり、第2相の体積分率が3〜30%であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔6〕 鋼が、さらに質量%で、
Cr:0.001〜25%、
Ni:0.001〜10%、
Cu:0.001〜5%、
Co:0.001〜5%
W:0.001〜5%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔7〕 鋼が、さらに質量%で、Nb、Ti、V、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔8〕 鋼が、さらに質量%で、B:0.0001〜0.1%を含有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔9〕 鋼が、さらに質量%で、Y、Rem、Ca、Mg、Ceの1種又は2種以上を0.0001〜1%含有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
〔10〕 〔2〕〜〔9〕の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造において、〔1〕、〔6〕〜〔9〕の何れか1項に記載の鋼板の成分からなる鋳造スラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後に再度1200〜1300℃に加熱して、その後、粗熱延で全圧下率60〜99%の圧下を1000〜1150℃で加え、仕上げ圧延して巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、その後、0.12×(Ac3 −Ac1)+Ac1 (℃)以上Ac3 +50(℃)以下の温度域で10秒〜30分焼鈍した後に、焼鈍時の最高到達温度:Tmax/℃としたとき、焼鈍後Tmax/1000〜Tmax/10 ℃/sの冷却速度でTmax−200〜Tmax−100℃の温度域に冷却する一次冷却を行い、引き続いて前記一次冷却よりも大きく、かつ、3〜100℃/秒の冷却速度でめっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)にまで冷却する二次冷却を行った後めっき浴に浸漬し、浸漬時間を含めて、めっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)の温度域に2〜200秒保持した後、室温まで冷却することを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
〔11〕[1]、[3]〜[9]の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、めっき浴浸漬および保持処理後に、合金化処理を400〜550℃の温度域で行い、室温まで冷却することを特徴とする〔10〕記載の耐食性に優れた高強度溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明者らは、質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.001〜0.1%未満、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%
Mo:0.001〜1%
P:0.0001〜0.3%
S:0.0001〜0.1%
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を焼鈍し、温度450〜470℃のZnめっき浴に3秒間浸漬を行い、さらに一部試料については500〜550℃で10〜60秒加熱を行った。その後、R=1tで曲げを行い、これを試験対として自動車技術会の規格(JASO)のサイクル腐食試験を150回まで行った。腐食状況は、外観および断面を光学顕微鏡にて200〜1000倍の20視野以上を観察し、内面への腐食の進行度合いを観察することで5段階評価とした。評点は以下のようである。
評点5:腐食の進行度合いは、めっき層のみまたは母材への腐食深さが50μm未満
評点4:腐食の進行度合いは、母材への腐食深さが50μm〜100μm未満
評点3:腐食の進行度合いは、母材への腐食深さが板厚の1/2未満
評点2:腐食の進行度合いは、母材への腐食深さが板厚の1/2以上
評点1:穴あき
その結果、めっき層中に質量%で
Al:0.001〜4%、
を含有し、かつ、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、下記(1)式の関係を満たす組成で、評点で4または5の良好な耐食性が確保されていることがわかった。
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
理由の詳細については不明であるが、不めっきの発生やその他の欠陥の形態や母材とめっき層の耐食性の程度の違い(電位の違い)に起因していると考えられる。
【0014】
また、低Si化に伴う材質劣化については、製造条件や他成分:AlおよびMo添加により延性確保ができること、低Si化およびAl添加は合金化の促進に効果的である。
【0015】
また、めっき層中のMoは、基本的に鋼中からめっき層中に取り込まれる場合が多い。したがって、めっき層中の含有量としては、0.0001〜1質量%の範囲内とすることが望ましい。この範囲において不めっきが特に抑制され、さらには極めて良好な外観や耐食性のめっきが得られるためである。Mo量が上限の1質量%を越えるとMoを含有するドロスの生成により、めっき外観が著しく低下する。一方、めっき層中のMo量が0.0001%未満においても、(1)式を満たすめっきおよび鋼成分であれば、やや外観や耐食性が劣るものの前述の耐食性評点で4は確保できる。
【0016】
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2 以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
【0017】
めっき層中Al量を0.001〜4質量%の範囲としたのは、0.001質量%未満では、ドロス発生が顕著で良好な外観が得られないこと、4質量%を超えてAlを添加すると合金化反応を著しく抑制してしまい、合金化溶融亜鉛めっき層を形成することが困難となるためである。
【0018】
前記〔1〕に係る発明では合金化処理によってめっき層中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。Fe量が5質量%未満ではスポット溶接性が不十分となる。一方、Fe量が20質量%を超えるとめっき層自体の密着性を損ない、加工の際めっき層が破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因となる。したがって、合金化処理を行う場合のめっき層中Fe量の範囲は5〜20質量%が望ましい。
【0019】
合金化処理をしない場合には、めっき層中のFe量は5質量%未満でもよい。即ち、前記〔2〕に係る発明ではめっき層のFe量が5質量%未満でも、〔1〕に係る発明の合金化による効果以外の効果である耐食性や外観、加工性等は良好である。
【0020】
めっき層中の不純物として、例えばMnがあげられる。Mnについては、めっき層中含有量が不純物のレベルを超えて増加すると不めっきが発生しにくくなるものの、現状のめっき設備制約上、めっき層中のMn量を増加させることは困難である。したがって、本発明では、Mnを不純物元素レベルである0.001質量%未満含んでもよいこととし、あえて、めっき中にMnを含有させなくても不めっきや表面欠陥の少ない鋼板が得られるものである。
【0021】
次に、本発明における鋼板成分の限定理由について述べる。
【0022】
C:強度を確保するためにC量の下限を0.0001質量%とした。また、特に残留オーステナイト相を充分な量と安定性を確保するのに必要な不可欠な添加元素である。一方では、溶接性を保持可能な上限として0.3質量%とした。
【0023】
Si:製造性および材質上強度を確保するため0.001%以上とし、また、スケール傷低減からSiを0.1%未満とした。これを超える添加はスケール傷が多発して、めっき外観の劣化や鋼板の歩留まり低下にもつながる。
【0024】
Mn:0.001〜3質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、3質量%を上限としたのは、これを上回る添加は伸びに悪影響を及ぼすためである。
【0025】
Al:0.001〜4質量%の範囲としたのは、低Siであるがゆえに脱酸の目的で0.001質量%以上とした。また、強度延性バランスを向上させたりめっきの合金化挙動を促進させる効果を有する。一方、過剰添加は溶接性やめっき濡れ性、製造性に悪影響を及ぼすため4質量%を上限とした。
【0026】
Mo:耐食性向上および強化のための添加元素である。低Siであるため、強度延性バランスに悪影響を及ぼすパーライト相や炭化物析出をSiの変わりに抑制することに加えて、母材の耐食性、特に局部的な腐食の進行を妨げるのに有効であるため、0.001%以上添加する。一方で、過剰添加は残留オーステナイト相の生成や安定化およびフェライト相を硬化させることから延性低下を伴うため1質量%を上限とした。
【0027】
P量を0.001〜1質量%の範囲としたのは、0.0001質量%以上で強化効果が現れることや極低化は経済的にも不利であることに加えて、母材の耐食性向上の一因となることから、これを下限とした。また、0.3質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、溶接性や鋳造時や熱延時の製造性に悪影響を及ぼすためである。
【0028】
S量を0.0001〜0.1質量%の範囲としたのは、極低化は経済的にも不利であることから、0.0001質量%を下限とし、また、0.1質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、溶接性や鋳造時や熱延時の製造性に悪影響を及ぼすためである。
【0029】
さらに、本発明が対象とする鋼は、強度のさらなる向上を目的としてCr、Ni、Cu、Co,Wの1種または2種以上を含有できる。
【0030】
Cr量を0.001〜25質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、25質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0031】
Ni量を0.001〜10質量%の範囲としたのは、0.001%以上で強化効果が現れること、10質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0032】
Cu量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果および耐食性向上効果が現れること、5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性および製造性に悪影響を及ぼすためである。
【0033】
Co量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0034】
W量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0035】
さらに、本発明が対象とする鋼は、強度のさらなる向上を目的として強炭化物形成元素であるNb,Ti,V,Zr,Hf,Taの1種または2種以上を含有できる。
【0036】
これらの元素は、微細な炭化物、窒化物または炭窒化物を形成して、鋼板の強化に極めて有効であるため、必要に応じて1種または2種以上を合計で0.001質量%以上の添加とした。一方で、延性劣化や残留オーステナイト相中へのCの濃化を阻害することから、1種または2種以上の合計添加量の上限として1質量%とした。
【0037】
Bもまた、必要に応じて添加できる。Bは、0.0001%以上の添加で粒界の強化や鋼材の高強度化に有効ではあるが、その添加量が0.1質量%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、必要以上に鋼板強度を上昇させ、加工性が低下するため、上限を0.1質量%とした。
【0038】
Y、Rem、Ca、Mg、Ce:めっきの濡れ性を劣化させるSi系の内部粒界酸化相生成を抑制する目的で添加する。Si系の酸化物のように粒界酸化物が形成するのではなく、比較的微細な酸化物を分散して形成させることができる。元素群中から1種または2種以上の元素をあわせて0.0001%以上の添加とした。また一方で過剰添加は鋳造性や熱間加工性などの製造性および鋼板製品の延性を低下させるため1質量%を上限とした。
【0039】
次に、基材鋼板の特に強度・延性バランスを確保・改善するのに好ましいミクロ組織について述べる。
【0040】
加工性を十分に確保するためには主組織を体積分率で50%以上,好ましくは70%以上のフェライト相とするのが望ましいが、高強度化を考慮するとベイナイト相を含んでも良い。
【0041】
フェライト相の体積分率の増加は延性を高めるが強度低下に結びつくため、上限はベイナイト相を含有しない場合は体積分率で97%,ベイナイト相を含有する場合は体積分率で95%とする。
【0042】
また、高強度と高延性を両立させるため、残留オーステナイト相および/またはマルテンサイト相を含む複合組織とする。高強度と高延性のために、残留オーステナイト相とマルテンサイト相は、体積率で合計3%以上とした。上限は特に定めないが、体積率が合計50%を超えると脆化傾向を示すため、50%以下が望ましい。
【0043】
鋼板自体の高延性を確保するたに、フェライト相の平均粒径を20μm以下とし、第2相である残留オーステナイト相及び/又はマルテンサイト相の平均粒径を10μm以下と規定する。またここで、第2相を残留オーステナイト相及び/又はマルテンサイト相とし、主相であるフェライト相の平均粒径に対して0.6以下の比率を確保することがより望ましい。一方、第2相である残留オーステナイト相及び/又はマルテンサイト相の平均粒径はフェライト相の平均粒径の0.01倍未満とすることは実製造上困難であるため、0.01倍以上であることが好ましい。
【0044】
さらに、めっき密着性と高い強度延性・延性のバランスを良好にするためには、鋼板の第2相が残留オーステナイト相である場合に鋼中の炭素量:C(質量%)、鋼中のMn量:Mn(質量%)、残留オーステナイト相の体積率:Vγ(%)、フェライト相及びベイナイト相の体積率:Vα(%)としたき(2)式を満たすこととした。
(Vγ+Vα)/Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2)
この式を満たすことで特に強度・延性のバランスに優れ、かつめっき密着性も良好な鋼板が得られる。
【0045】
ベイナイト相を含む場合における体積分率等について説明すると次のとおりである。ベイナイト相は体積分率で2%以上含有することにより高強度化に役立つ上、オーステナイト相と共存すると残留オーステナイト相の安定化に寄与して結果として高n値化に役立つ。また、この相は基本的に微細であり、高加工時のめっき密着性にも寄与する。特に第2相が残留オーステナイト相の場合には、ベイナイト相の体積分率を2%以上とすると、さらにめっき密着性と延性のバランスが向上する。一方で、過多に生成すると延性低下を招く事からベイナイト相は体積分率で47%以下とする。
【0046】
上記の他にミクロ組織の残部組織として、炭化物、窒化物、硫化物、酸化物の1又は2種以上を含有する場合も本発明の鋼板の範疇であるが、これらの1種又は2種以上は体積分率で1%以下であることが好ましい。なお、上記ミクロ組織の、フェライト相、ベイナイト相、残留オーステナイト相、マルテンサイト相および残部組織の同定、存在位置の観察および平均粒径(平均円相当径)と占積率の測定は、ナイタール試薬および特開昭59−219473号公報に開示された試薬により鋼板圧延方向断面または圧延方向と直角な断面を腐食して500倍〜1000倍の光学顕微鏡観察により定量化が可能である。ここで、マルテンサイト相の粒径測定は光学顕微鏡を用いた場合困難なことがある。この場合には、走査型電子顕微鏡を用いてマルテンサイト相のブロック境界、パケット境界またはそれらの集合を観察・粒径測定して平均円相当径を求めることとする。
【0047】
平均粒径は、上記の方法により20視野観察以上した結果に基づいて、JISにより求めた値と定義する。
【0048】
このような組織を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について以下説明する。
【0049】
熱延後冷延・焼鈍して本発明の鋼板を製造する場合には、所定の成分に調整されたスラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後、1200℃以上に再加熱して特にMo偏析を軽減する。一方、1300℃超の加熱が局部的な異常酸化を促進させてしまう懸念からこれを加熱温度の上限とした。その後、粗熱延で全圧下率60%以上の圧下を1000℃以上で加え、仕上げ圧延して酸洗し、冷延後焼鈍することで最終製品とする。一方、全圧下率および圧延温度は両方とも高いことが望ましいが、設備制約上99%以下とし、また、粗熱延の圧延温度は1150℃以下とする。この時、熱延完了温度は鋼の化学成分によって決まるAr3 変態温度以上で行うのが一般的であるが、Ar3 から10℃程度低温までであれば最終的な鋼板の特性を劣化させない。また、冷却後の巻取温度は鋼の化学成分によって決まるベイナイト変態開始温度以上とすることで、冷延時の荷重を必要以上に高めることがさけられるが、冷延の全圧下率が小さい場合にはこの限りでなく、鋼のベイナイト変態温度以下で巻き取られても最終的な鋼板の特性を劣化させない。また、冷延の全圧下率は、最終板厚と冷延荷重の関係から設定されるが、40%以上であれば最終的な鋼板の特性を劣化させない。
【0050】
冷延後焼鈍する際に、焼鈍温度が鋼の化学成分によって決まる温度Ac1 及びAc3 温度(例えば「鉄鋼材料学」:W.C. Leslie著、幸田成康監訳、丸善P273)で、表現される0.12×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 (℃)未満の場合には、Moの拡散が遅くなることや、焼鈍中に生成するオーステナイト量が少ないので、最終的な鋼板中に残留オーステナイト相またはマルテンサイト相を残すことができないことから、これを焼鈍温度の下限とした。また、焼鈍温度がAc3 +50(℃)を超えても何ら鋼板の特性を改善することがでず製造コストの上昇をまねくために、焼鈍温度の上限をAc3 +50(℃)とした。この温度での焼鈍時間は鋼板の温度均一化とオーステナイト相の確保のために10秒以上が必要である。しかし、3分超では、効果が飽和するばかりでなくコストの上昇を招くのでこれを上限とした。
【0051】
その後の一次冷却はオーステナイト相からフェライト相への変態を促して、未変態のオーステナイト相中にCを濃化させて残留オーステナイト相の安定化をはかるのに重要である。焼鈍時の最高温度:Tmax/℃としたとき、この冷却速度がTmax/1000 ℃/s未満とすることは、必要な生産ライン長を長くしたり、生産速度を極めて遅くするといった製造上のデメリットを生じる。一方、冷却速度がTmax/10 ℃/秒を超える場合にはフェライト変態が十分に起こらず、最終的な鋼板中の残留オーステナイト相確保が困難となったり、マルテンサイト相などの硬質相が多量になってしまうため、これを上限とした。
【0052】
この一次冷却が焼鈍時の最高温度:Tmax/℃としたときTmax−200℃未満まで行われると、冷却中にパーライト相が生成したり充分なフェライト相が生成しないことからこれを下限とした。しかしながら、冷却がTmax−100℃より高温で停止するとフェライト変態の進行が十分ではないのでこれを上限とした。
【0053】
引き続き行われる二次冷却の急速冷却は、冷却中にパーライト変態や鉄炭化物の析出などが起こらないような冷却速度として0.1℃/秒以上が必要となる。但しこの冷却速度を100℃/秒超にすることは設備能力上困難であることから、0.1〜100℃/秒を冷却速度の範囲とした。なお、実施例の表4の発明鋼である、製造番号1、2、4、5、7〜12、14〜19の2次冷却速度が1次冷却速度よりも大きいことに基づいて、ニ次冷却の冷却速度は、一次冷却の冷却速度よりも大きいこととし、二次冷却の冷却速度の下限は、実施例の表4の製造番号14の2次冷却速度が3℃/sであることに基づいて、3℃/s以上とした。
【0054】
この二次冷却の冷却停止温度がめっき浴温度−30℃よりも低いと、板のめっき浴進入時にめっき浴温度の低下につながり操業上大きな問題となり、めっき浴温度+50(℃)を超えると炭化物析出が短時間で生じるため得られる残留オーステナイト相やマルテンサイト相の量が確保できなくなる。このため、2次冷却の停止温度をめっき浴温度−30℃以上めっき浴温度+50(℃)とした。鋼板中に残留しているオーステナイト相を室温で安定にするためには、その一部をベイナイト相へ変態させる事でオーステナイト相中の炭素濃度を更に高めることが必須である。合金化処理を併せてベイナイト変態を短時間で進行させるため、めっき温度−30℃からめっき温度+50℃の温度域で浸漬時間を含めて2〜200秒保持することとした。
【0055】
2次冷却の停止温度がめっき温度−30℃未満ではベイナイト変態が起こりにくく、めっき温度+50℃を超えると炭化物が生じて十分な残留オーステナイト相を残すことが困難となる。
【0056】
マルテンサイト相を生成させるには、残留オーステナイト相の場合とは異なりベイナイト変態を生じさせる必要がない。一方では、炭化物やパーライト相の生成は残留オーステナイト相と同様、抑制する必要があるため、2次冷却後の十分な合金化処理を行うため400℃〜550℃の温度域で合金化処理することが好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0058】
表1に示すような組成の鋼板を、1200〜1250℃に加熱し、1000℃以上で粗熱延で全圧下率60%以上の圧下を加えたのち仕上げ圧延を完了し、冷却後各鋼の化学成分で決まるベイナイト変態開始温度以上で巻き取った鋼帯を酸洗後、冷延して1.0mm厚とした。
【0059】
【表1】
【0060】
その後、各鋼の成分(質量%)から下記式にしたがってAc1 とAc3 変態温度を計算により求めた。
【0061】
これらのAc1 およびAc3 変態温度から計算される焼鈍温度に10%H2 −N2 雰囲気中で昇温・保定したのち、焼鈍時の最高到達温度:Tmax/℃としたとき、焼鈍後の冷速がTmax/1000〜Tmax/10 ℃/sの冷却速度でTmax−200〜Tmax−100℃温度域に冷却し、引き続いて0.1〜100℃/秒の冷却速度でめっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)にまで冷却した後めっき浴に浸漬し、浸漬時間を含めて、めっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)の温度域に2〜200秒保持した後、一部の鋼板については、Fe−Zn合金化処理として、めっき後の鋼板を400〜550℃の温度域で15秒〜20分保持し、めっき層中のFe含有率が質量%で5〜20%となるよう調節した。R=1tの曲げを行い塩素含有の環境における耐食性の評価としてJASOサイクルを150サイクルまで行腐食の進行度合いを評価した。作製しためっきはめっき層をインヒビターを含有した5%塩酸溶液で溶解し化学分析に供し組成を求め表2に示した。
【0062】
表2および表3より、本発明鋼は、耐食性指標評点がすべて4〜5で、かつ強度・伸びバランスにも優れる。
【0063】
一方、本発明の範囲を満たさない比較例は、ミクロ組織の規定又は製造条件の既定を満たしていないため、いずれも強度・伸びバランスに劣る。比較鋼である処理番号3、13、20は耐食性指標評点は4又は5であるが、13、20は強度・伸びバランスに劣り、3は引張り強度が低い。また、本発明の請求項の範囲で製造した鋼板は、ミクロ組織も上述した組織になっており外観及び強度・伸びバランスに優れている。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は耐食性、特に塩素含有の環境における耐食性に極めて優れ、加工性が良好であり、建材、家電製品、自動車車体用途等に極めて有効である。
Claims (11)
- 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.001〜0.1%未満、
Mn:0.001〜3%、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.001〜1%、
P:0.001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板のめっき層中に質量%で
Al:0.001〜4%、
Fe:5〜20%
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき冷延鋼板であって、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、下記(1)式、
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
の関係を満たし、鋼のミクロ組織が、主相と第2相からなる複合組織であり、前記主相が体積分率で50〜97%のフェライト相もしくはフェライト相とベイナイト相であり、前記主相の平均粒径が20μ m 以下であり、前記第2相がマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方からなり、前記第2相の体積分率が3%〜50%であり、前記第2相の平均粒径が10μ m 以下であり、前記第2相の平均粒径が前記主相の平均粒径の0.01〜0.6倍であることを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。 - 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.001〜0.1%未満、
Mn:0.001〜3%、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.001〜1%、
P:0.001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板のめっき層中に質量%で
Al:0.001〜4%、
Fe:5%未満、
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき冷延鋼板であって、めっき層中Al質量%をA、めっき層中Mo質量%をB、鋼中のMo質量%をCとして、下記(1)式、
100≧(A/3+B/6)/(C/6)≧0.01 ・・・(1)
の関係を満たし、鋼のミクロ組織が、主相と第2相からなる複合組織であり、前記主相が体積分率で50〜97%のフェライト相もしくはフェライト相とベイナイト相であり、前記主相の平均粒径が20μ m 以下であり、前記第2相がマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方からなり、前記第2相の体積分率が3%〜50%であり、前記第2相の平均粒径が10μ m 以下であり、前記第2相の平均粒径が前記主相の平均粒径の0.01〜0.6倍であることを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。 - 主相が、体積分率で70〜97%のフェライト相であり、第2相の体積分率が3〜30%であることを特徴とする請求項1または2記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 第2相が残留オーステナイト相であり、鋼中の炭素量:C(質量%)、鋼中のMn量:Mn(質量%)、前記残留オーステナイト相の体積率:Vγ(%)、フェライト相及びベイナイト相の体積率:Vα(%)としたき、(2)式を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
(Vγ+Vα)/Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2) - 主相が体積分率で50〜95%のフェライト相と体積分率で2〜47%のベイナイト相であり、第2相の体積分率が3〜30%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 鋼が、さらに質量%で、
Cr:0.001〜25%、
Ni:0.001〜10%、
Cu:0.001〜5%、
Co:0.001〜5%、
W:0.001〜5%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。 - 鋼が、さらに質量%で、Nb、Ti、V、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 鋼が、さらに質量%で、B:0.0001〜0.1%を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 鋼が、さらに質量%で、Y、Rem、Ca、Mg、Ceの1種以上を0.0001〜1%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 請求項2〜9の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造において、請求項1、6〜9の何れか1項に記載の鋼板の成分からなる鋳造スラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後に再度1200〜1300℃に加熱して、その後、粗熱延で全圧下率60〜99%の圧下を1000〜1150℃で加え、仕上げ圧延して巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、その後、0.12×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 (℃)以上Ac3 +50(℃)以下の温度域で10秒〜30分焼鈍した後に、焼鈍時の最高到達温度:Tmax/℃としたとき、焼鈍後Tmax/1000〜Tmax/10 ℃/sの冷却速度でTmax−200〜Tmax−100℃の温度域に冷却する一次冷却を行い、引き続いて前記一次冷却よりも大きく、かつ、3〜100℃/秒の冷却速度でめっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)にまで冷却する二次冷却を行った後めっき浴に浸漬し、浸漬時間を含めて、めっき浴温度−30℃〜めっき浴温度+50(℃)の温度域に2〜200秒保持した後、室温まで冷却することを特徴とする耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
- 請求項1、3〜9の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、めっき浴浸漬および保持後に、合金化処理を400〜550℃の温度域で行い、室温まで冷却することを特徴とする請求項10記載の耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
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