JP2002114756A - 電荷調節剤としての鉄アゾ錯体化合物の使用 - Google Patents

電荷調節剤としての鉄アゾ錯体化合物の使用

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JP2002114756A JP2001163141A JP2001163141A JP2002114756A JP 2002114756 A JP2002114756 A JP 2002114756A JP 2001163141 A JP2001163141 A JP 2001163141A JP 2001163141 A JP2001163141 A JP 2001163141A JP 2002114756 A JP2002114756 A JP 2002114756A
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ハンス−トビアス・マツホルト
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ルデイゲル・バウアー
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Bansi Lai Kaul
バンジ・ライ・カウル
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】有毒な重金属を含まない、有効で生態毒性的に
適合性の電荷調節剤を提供する。 【解決手段】 式(I)の鉄アゾ錯体化合物は、電子写
真用トナーおよび現像液、粉末コーティング材料、エレ
クトレット材料および静電分離法、インクジェット用イ
ンクならびにカラーフィルターにおける電荷調節剤とし
て使用される。当該化合物は有利な電荷調節特性、特に
高い負電荷ならびに高い熱安定性を有し、通常のトナ
ー、粉末コーティングおよびエレクトレット結合剤と非
常に適合性であり、容易に分散する。さらにかなり水溶
性が高く、高い光安定性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2000年7月1
日出願のドイツ優先権出願10032138号に記載さ
れており、その明細書は本明細書に開示されているよう
に、引用によって本明細書に含まれるものとする。
【0002】本発明は電荷調節剤の分野、すなわち基材
における静電荷に選択的に影響する成分に関するもので
ある。
【0003】
【従来の技術】電子写真記録法では、光電導体上に電荷
潜像が形成される。この電荷潜像は、静電荷トナーを塗
布することで現像され、それが次に例えば紙、テキスタ
イル、ホイルまたはプラスチックなどに移され、例えば
圧力、光照射、熱または溶媒の作用によって固定され
る。代表的なトナーは、1成分または2成分の粉末トナ
ーであり(1成分または2成分現像液とも称される)、
例えば磁性トナー、液体トナーまたは重合トナーなどの
特殊トナーも使用される。重合トナーとは、例えば懸濁
重合(縮合)や乳化重合によって形成され、トナー中の
粒子特性が改善されるものを意味する。さらには、基本
的に非水系分散液中で製造されるトナーも意味する。
【0004】トナー品質の一つの評価基準は、それの比
電荷q/m(単位質量当たり電荷)である。静電荷の符
号およびレベル以外に、主要な決定的品質基準は、所望
電荷レベルの迅速な取得、長期活性化期間にわたるその
電荷の不変性、温度および大気湿度などの気候的効果に
対するトナーの不感受性である。正および負の両方に帯
電し得るトナーがコピー機およびレーザープリンターで
用いられ、それはプロセスの種類および装置の種類によ
って決まる。
【0005】正電荷または負電荷のいずれかを有する電
子写真用トナーまたは現像液を得るには、電荷調節剤を
加えるのが一般的である。トナー結合剤の電荷は活性化
期間によって決まる部分が大きい場合が多いことから、
電荷調節剤の機能は他方では、トナー結合剤の電荷の揺
れを防止すること、ならびにトナー電荷を安定させるこ
とにある。別の重要な実用上の要件は、電荷調節剤が十
分な熱安定性および良好な分散性を持たなければならな
いという点である。電荷調節剤をトナー樹脂中に組み込
む代表的な温度は、混練機や押出機を用いる場合、10
0℃〜200℃である。従って、200℃での熱的安定
性はかなり有利である。さらには、比較的長期間(約3
0分間)および多様な結合剤系で熱的安定性が確保され
ることも重要である。
【0006】効果的な分散性を得るには、電荷調節剤が
ロウ的特性や粘着性を示さず、>150℃、さらに良好
には>200℃の融点または軟化点を有することが有利
である。粘着性は、トナー製剤の計量添加の際に問題を
生じることが非常に多い。さらに、低い融点や軟化点
は、材料がキャリア材料中で液滴の形でアマルガム化す
ることから、分散によって組み込む途中で均一な分布が
得られなくなる場合がある。
【0007】代表的なトナー結合剤は、個別または組合
せでのスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、スチ
レン−ブタジエン樹脂、アクリル酸樹脂、ポリエステル
樹脂およびフェノール−エポキシ樹脂などの付加重合樹
脂、重付加重合樹脂および重縮合樹脂ならびにシクロオ
レフィン共重合体があり、さらにそれには、例えば染料
および顔料などの着色剤、ロウまたは流動補助剤などの
別の成分を含有させることができたり、高分散シリカの
ようにこれらの成分を順次加えることができる。
【0008】さらに電荷調節剤を用いて、特には例えば
金属、木、プラスチック、ガラス、セラミック、コンク
リート、テキスタイル材料、紙またはゴム製の物の表面
コーティングに用いられるような摩擦電気的または動電
気的に噴霧される粉末コーティング剤における粉末およ
びコーティング材料の静電荷を改良することもできる。
粉末コーティング材料または粉末は一般に、以下の2種
類の方法のうちの一方によってその静電荷を受け取る。
コロナ法の場合、粉末コーティング材料または粉末を帯
電したコロナを通過するように導き、そのプロセスで帯
電させる。摩擦電気的または動電気的方法では、摩擦電
気の原理を利用する。これら2法を組み合わせることも
可能である。噴霧装置中の粉末コーティング材料または
粉末は、例えばポリテトラフルオロエチレン製のホース
や噴霧配管という摩擦相手の電荷と反対の静電荷を受け
取る。
【0009】使用される代表的な粉末コーティング樹脂
は、通常の硬化剤と組み合わせたエポキシ樹脂、カルボ
キシおよび水酸基含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂およびアクリルジ樹脂である。樹脂の組合せも用い
られる。例えばエポキシ樹脂は、カルボキシおよび水酸
基含有ポリエステル樹脂と組み合わせて用いられる場合
が非常に多い。
【0010】さらに、電荷調節剤は特にエレクトレット
繊維のようなエレクトレット材料の帯電特性および電荷
安定性特性をかなり改善することが認められている(D
E−A−4321289)。代表的なエレクトレット材
料は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテト
ラフルオロエチレンおよびパーフルオロ化エチレンおよ
びプロピレンなどのポリオレフィン類、ハロゲン化ポリ
オレフィン類、ポリアクリル酸類、ポリアクリロニトリ
ル類、ポリスチレン類またはフルオロポリマー類に基づ
いたもの、あるいはポリエステル類、ポリカーボネート
類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリエーテルケトン
類に基づいたもの、特にポリフェニレンスルフィド類の
ようなポリアリーレンスルフィド類に基づいたもの、ポ
リアセタール類、セルロースエステル類、ポリアルキレ
ンテレフタレート類ならびにそれらの混合物に基づいた
ものなどがある。エレクトレット材料、特にエレクトレ
ット繊維は、例えば(非常に細かい)塵埃の濾過に用い
ることができる。エレクトレット材料は、コロナ帯電ま
たは摩擦電気的帯電によって電荷を受け取ることができ
る。
【0011】さらに電荷調節剤は、静電分離法、特にポ
リマー分離法で用いることができる。例えば外部塗布さ
れる電荷調節剤であるテトラフェニルホウ酸トリメチル
フェニルアンモニウムの例を用いて、ヒガシヤマらは
(Y. Higashiyama et al., J.Electrostatics 30 (199
3) 203-212)、再利用を目的としてポリマーを互いに分
離できる方法について記載している。電荷調節剤を用い
ないと、低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリ
エチレン(HDPE)の摩擦電気的帯電特性は極めて類
似している。電荷調節剤を加えると、LDPEは非常に
高い正電荷を取り、HDPEは非常に高い負電荷を取
り、これらの材料は容易に分離することができる。電荷
調節剤を外部塗布する以外に、それをポリマー中に組み
込むことで、例えば一連の摩擦電気的電圧内でのポリマ
ーの位置をシフトさせたり、相当する分離効果を得るこ
とも可能である。このようにして、ポリプロピレン(P
P)および/またはポリエチレンテレフタレート(PE
T)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)などの他
のポリマーも互いに分離することができる。
【0012】基質特異的静電帯電を改善する薬剤と予め
混合してあると(表面コンディショニング)、塩無機物
も同様に分離することができる(A. Singewald et al.,
Zeitschrift fur Physikal. Chem. 124 (1981) 223-23
8)。
【0013】電荷調節剤はさらに、インクジェットプリ
ンター用のインクにおける「導電性付与剤」(ECP
A)として用いられる(JP−05−163449)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】JP−A−62−12
9358には、未置換ナフチル基を有する鉄アゾ錯体化
合物が開示されているが、光安定性および帯電レベルが
低く、改良の必要がある。
【0015】本発明の目的は、特に有毒な重金属を含ま
ない、有効で生態毒性的に適合性の電荷調節剤を見出す
ことにあった。さらにこれらの化合物は、ポリエステル
類、ポリスチレン−アクリル酸類またはポリスチレン−
ブタジエン類/エポキシ樹脂類ならびにシクロオレフィ
ン共重合体などの実際に用いられる各種トナー結合剤で
分解を起こさずに容易に分散できるものでなければなら
ない。さらにその作用は、樹脂/キャリアの組合せには
ほとんど影響されずに、広い利用可能性を開くものでな
ければならない。それは同様に、ポリエステル(PE
S)、エポキシ、PES−エポキシハイブリッド、ポリ
ウレタン、アクリル系およびポリプロピレン類などの一
般の粉末コーティング結合剤およびエレクトレット材料
中で分解を起こさずに容易に分散できるものでなければ
ならない。
【0016】静電効率に関しては、電荷調節剤は非常に
低濃度であっても活性でなければならず(1%以下)、
カーボンブラックその他の着色剤と組み合わせた場合に
その効率を失ってはならない。トナーの摩擦電気的帯電
に、場合によっては永続的に影響を与え得ることが着色
剤について知られている。
【0017】さらに、本発明に従って使用される化合物
は、インクジェット用インク中の着色剤としての使用に
好適であることで、良好な水溶解度および高い光安定性
が望ましいものでなければならない。
【0018】驚くべきことに、以下に記載の鉄アゾ錯体
化合物は、有利な電荷調節特性、特に高い負電荷ならび
に高い熱安定性を有し、その電荷調節特性はカーボンブ
ラックとの組合せと他の着色剤との組合せのいずれによ
っても失われないことが明らかになった。さらに当該化
合物は、通常のトナー、粉末コーティングおよびエレク
トレット結合剤と非常に適合性であり、容易に分散す
る。さらに当該化合物はかなり水溶性が高く、高い光安
定性を有する。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、電子写真用ト
ナーおよび現像液、粉末コーティング材料、エレクトレ
ット材料および静電分離法、インクジェット用インクな
らびにカラーフィルターでの式(1)の鉄アゾ錯体化合
物の電荷調節剤としての使用を提供する。
【0020】
【化4】 式中、Rは水素または下記式
【0021】
【化5】 の基であり;RおよびRは同一であっても異なって
いても良く、水素、アルキル、アルコキシアルキル、シ
クロアルキルまたはアリールであり;Rは水素または
水酸基であり;Rは水素、アルキル、アルコキシアル
キルまたはシクロアルキルであり;Rは水素または下
記式(2)の基
【0022】
【化6】 であり;R はアンモニウムあるいは脂肪族、脂環式
または複素環アンモニウムである。
【0023】
【発明の実施の形態】R〜R基の上記の定義におい
て、「アルキル」は好ましくは(C〜C)−アルキ
ル、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピ
ル、n−ブチルおよびt−ブチルである。「アルコキシ
アルキル」は好ましくは、(C〜C)−アルコキシ
−(C〜C)−アルキル、特にメトキシ(C〜C
)−アルキル、例えばメトキシプロピルなどがある。
【0024】「シクロアルキル」は好ましくは、C
−シクロアルキルである。
【0025】「アリール」は好ましくは、未置換C
10−アリールまたは1個、2個もしくは3個の以下
の置換基によって置換されたC〜C10−アリールで
ある。
【0026】その置換基とはすなわち、ハロゲン、好ま
しくはClおよびBr、OH、C〜C−アルキル、
〜C−アルコキシ、シアノ、NO、C〜C
−アルキルカルボニル、SCN、C〜C−アルコキ
シカルボニル、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、C
〜C−アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニ
ル、モノ−(C〜C−アルキル)−アミノカルボニ
ル、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノカルボニ
ル、モノ−(C〜C−アルコキシ−C〜C −ア
ルキル)−アミノカルボニル、ジ−(C〜C−アル
コキシ−C〜C −アルキル)−アミノカルボニル、
アミノスルホニル、モノ−(C〜C−アルキル)−
アミノスルホニル、ジ−(C〜C−アルキル)−ア
ミノスルホニル、モノ−(C〜C−アルコキシ−C
〜C−アルキル)−アミノスルホニル、ジ−(C
〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル)−アミノ
スルホニルおよびフェニルアミノスルホニルである。
【0027】R は好ましくは、アンモニウム、モノ
−(C〜C20−アルキル)−アンモニウム、ジ−
(C〜C20−アルキル)−アンモニウム、トリ−
(C〜C20−アルキル)−アンモニウム、トリ−
(C〜C20−アルキル)メチル−アンモニウム、好
ましくはモノ−C〜C16−アルキルアンモニウム、
ジ−(C〜C16−アルキル)−アンモニウム、トリ
−(C〜C16−アルキル)−アンモニウム、特に好
ましくは4−アミノ−2,2,6,6−テトラ−(C
〜C−アルキル)−ピペリジニウム、4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラ(C〜C−アルキル)−
ピペリジニウム、4−ケト−2,2,6,6−テトラ
(C〜C)アルキル−ピペリジニウムおよびトリ−
(C〜C18−アルキル−)メチル−アンモニウムで
ある。特に好ましいR 基は、モノオクチルアンモニ
ウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、4−アミノ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニウム、4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニウ
ム、4−ケト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ニウムおよびトリ−(C10〜C16−アルキル)−メ
チルアンモニウムである。
【0028】好ましくは、スルファモイル基はフェニル
環の4位または5位にあるか、あるいはナフチル環系の
4位または6位にある。
【0029】本発明の文脈で特に好ましい化合物は、下
記式化合物またはこれの混合物である。
【0030】
【化7】 式中、R、RおよびRは上記で定義の通りであ
り、基−SONR は環がフェニル環の場合には
4位または5位にあり、環系がナフチル環系の場合は4
位または6位にある。
【0031】式(I)の化合物の製造はWO98/05
717に記載されている。式(I)の化合物は、対称化
合物または非対称化合物として得ることができる。対称
化合物とは、両方の基Rが水素であるか、あるいは両
方の基Rが式(2)のアゾスルファモイルフェニルで
ある化合物である。非対称化合物とは、各基Rが異な
る意味である化合物である。
【0032】本発明の文脈で好ましいものは非対称化合
物であるか、あるいは対称化合物と非対称化合物との混
合物である。
【0033】本発明に従って用いられる鉄アゾ錯体化合
物は、特定の樹脂/トナー系に正確に適合させることが
できる。これら化合物のさらに別の技術的利点は、それ
が各種結合剤系に対して不活性であることから広く使用
できる点であり、特に重要な点として、ポリマー基材に
溶解しているのではなく、微小で非常に微粉砕された固
体構造として存在するという点である。さらにこの化合
物は、高くしかも一般には安定した電荷調節特性とさら
には良好な熱的安定性を示す。さらに、本発明に従って
使用されるFeアゾ錯体化合物は自由に流動し、良好な
分散性を有する。
【0034】分散とは、ある物質が別の物質の中に分布
すること、すなわち本発明の文脈においては、トナー結
合剤、粉末コーティング結合剤またはエレクトレット材
料中に電荷調節剤が分布することを意味している。
【0035】最も粗い形での結晶物質は凝集体として存
在することが知られている。結合剤内にで均一な分布を
得るには、その凝集体を分散操作によって破壊してより
小さい凝集体または理想的には一次粒子としなければな
らない。分散後に結合剤中に存在する電荷調節剤粒子は
1μm未満、好ましくは0.5μm未満の大きさでなけ
ればならず、粒径分布が狭いことが有利である。d50
値によって定義される粒径に関しては、材料によって決
まる活性の至適範囲がある。例えば粗い粒子(1mm)
は多くの場合、全く分散させることができないか、ある
いはかなりの時間とエネルギーを費やしてのみ分散させ
ることができ、サブミクロン範囲の非常に細かい粒子は
粉塵爆発の可能性など、安全性面でのリスクが高い。
【0036】粒径および粒子形態は、合成および/また
は後処理によって決定され、変化する。必要な特性は、
粉砕および/または乾燥などの制御された後処理によっ
てのみ可能な場合がほとんどである。各種粉砕法がこの
目的に好適である。有利な方法の例としては、エアジェ
ットミル、切削ミル、ハンマーミル、ビーズミルおよび
インパクトミルである。
【0037】本発明との関連で前述した結合剤系は代表
的には疎水性材料である。電荷調節剤中の水分レベルが
高いと、濡れを妨害するかあるいは分散を促進し得る
(フラッシング)。従って、実用的な含水量は特定の材
料に固有である。
【0038】本発明に従って用いられる化合物は、以下
の化学的/物理的特性を特徴とする。
【0039】カール−フィッシャー法によって測定され
る含水量は0.001%〜30%、好ましくは0.01
〜25%、特に好ましくは0.1〜15%であり、水は
吸着および/または結合した形とすることが可能であ
り、その割合は200℃以下の加熱および10−8To
rrまでの減圧または水の添加、あるいは一定の空気湿
度条件下での保存によって調節することができる。
【0040】光学顕微鏡検査またはレーザー光散乱によ
る評価によって測定され、d50値によって定義される
粒径は、0.01μm〜1000μm、好ましくは0.
1〜500μm、特に好ましくは0.5〜400μmで
ある。粉砕によって粒径範囲が狭くなるのであれば特に
有利である。好ましくは範囲Δ(d95−d50)が5
00μm未満、特には400μm未満である。
【0041】本発明に従って用いられる鉄アゾ錯体化合
物は、さらに別の正または負電荷調節剤と組み合わせて
良好な性能を付与することができ、電荷調節剤の合計濃
度は、電子写真用のトナー、現像液、粉末または粉末コ
ーティング材料の合計重量に基づいて、妥当には0.0
1〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%、特
に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0042】好適なさらに別の電荷調節剤の例として
は、トリフェニルメタン類;アンモニウムおよびインモ
ニウム化合物、イミニウム化合物;フッ素化アンモニウ
ム化合物およびフッ素化インモニウム化合物;ビスカチ
オン酸アミド類;ポリマーアンモニウム化合物;ジアリ
ルアンモニウム化合物;アリールスルフィド誘導体、フ
ェノール誘導体;ホスホニウム化合物およびフッ素化ホ
スホニウム化合物;カリキサレン類、環状に連結したオ
リゴ糖類(シクロデキストリン類)およびそれらの誘導
体、特にはホウ酸エステル誘導体、高分子電解質間(in
terpolyelectrolyte)錯体(IPEC);ポリエステル
塩類;金属錯体化合物、特にはサリチル酸金属錯体およ
びサリチル酸非金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯
体およびヒドロキシカルボン酸非金属錯体、ベンズイミ
ダゾロン類;文献(Colour Index as Pigments, Solven
t Dyes, Basic Dyes or Acid Dyes)に挙げられたアジ
ン類、チアジン類またはオキサジン類がある。
【0043】特に好ましいものは以下に示した電荷調節
剤であり、それらは個別にまたは互いに組み合わせて、
前記鉄アゾ錯体化合物と組み合わせることができる。
【0044】例えばUS−A−5051585に記載の
トリフェニルメタン類;例えばUS−A−505167
6に記載のアンモニウム化合物およびインモニウム化合
物;例えばUS−A−5069994に記載のフッ素化
アンモニウム化合物およびフッ素化インモニウム化合
物;例えばWO91/10172に記載のビスカチオン
酸アミド類;例えばDE−A−4142541、DE−
A−4029652またはDE−A−4103610に
記載のジアリルアンモニウム化合物;例えばDE−A−
4031705に記載のアルキルスルフィド誘導体;例
えばEP−A−0258651に記載のフェノール誘導
体;例えばUS−A−5021473およびUS−A−
5147748に記載のホスホニウム化合物およびフッ
素化ホスホニウム化合物;例えばEP−A−03855
80に記載のカリクサレン類;例えばEP−A−034
7695に記載のベンズイミダゾロン類;例えばDE−
A−4418842に記載の環状連結オリゴ糖類;例え
ばDE−A−4332170に記載のポリエステル塩
類;例えばDE−A−19711260に記載のシクロ
オリゴ糖化合物;例えばDE−A−19732995に
記載の高分子電解質間錯体;例えばDE−A−1995
7245に記載の塩のような構造のシリケート類。
【0045】特に液体トナーでは、界面活性なイオン性
化合物および金属石鹸として知られる化合物も好適であ
る。
【0046】特に好適なものは、ペトロン酸(petronat
e)バリウム類、ペトロン酸カリウム類、ジノニルナフ
タレンスルホン酸バリウム類(塩基性および中性)、ジ
ノニルスルホン酸カルシウムまたはドデシルベンゼンス
ルホン酸Naなどのアルキル化アリールスルホネート類
ならびにポリイソブチレンコハク酸イミド類である(Ch
evron’s Oloa 1200)。
【0047】大豆レシチンおよびN−ビニルピロリドン
ポリマー類も好適である。
【0048】飽和および不飽和の置換基を有するリン酸
化モノグリセリド類およびジグリセリド類のナトリウム
塩、A(p−トルエンスルホン酸メチルで4級化された
メタクリル酸2−(N;N)ジ−メチルアミノエチルの
ポリマー)とB(ポリ−メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル)のABジブロック共重合体も好適である。
【0049】特に液体トナーの場合、2価および3価の
カルボン酸塩、特にはトリステアリン酸アルミニウム、
ステアリン酸バリウム、ステアリン酸クロム、オクチル
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、鉄ナフタラ
イト(naphthalite)および亜鉛ナフタライトも好適で
ある。
【0050】JP−9−106107に記載のようなキ
レート化電荷調節剤(EP0636945A1)、金属
(鉄)化合物(EP0778501A1)、リン酸金属
塩類も好適である。シー・アイ・ソルベント(C. I. So
lvent)ブラック5、5:1、5:2、7、31および
50;シー・アイ・ピグメント(C. I. Pigment)ブラ
ック1、シー・アイ・ベーシック(C. I. Basic)レッ
ド2およびシー・アイ・ベーシックブラック1および2
という色指数番号のアジン類も好適である。
【0051】本発明に従って用いられる鉄アゾ錯体化合
物は、混合物全体に基づいて0.01〜50重量%、好
ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは0.1
〜5.0重量%の濃度で、個別にまたは互いと組み合わ
せて、あるいは上述の別の電荷調節剤との組合せで、個
々のトナー、現像液、コーティング材料、粉末コーティ
ング材料、エレクトレット材料の結合剤、あるいは静電
気的に分離すべきポリマーの結合剤中に組み込まれ、そ
の組み込みは均一とし、例えば押し出しもしくは混練、
ビーズ粉砕によってあるいはウルトラツラックス(Untr
aturrax)(高速撹拌機)を用いて行う。この文脈にお
いて、本発明に従って用いられる化合物は、乾燥・粉砕
粉末、分散液もしくは溶液、プレスケーキ、マスターバ
ッチ、製剤、既製ペーストとして、水系もしくは非水系
溶液から例えばシリカゲル、TiO、Alまた
はカーボンブラックなどの適切なキャリアに施されるあ
るいはそのようなキャリアと混合した化合物として加え
ることができるか、あるいは他の何らかの形で加えるこ
とができる。同様に、本発明に従って用いられる化合物
は基本的に、個々の結合剤製造時、すなわち付加重合、
重付加または重縮合の途中であっても加えることも可能
である。
【0052】電子写真用カラートナーを調製するには、
有機カラー顔料、無機顔料または染料などのさらに別の
着色剤を加えることができる。有機カラー顔料は、アゾ
顔料または多環式顔料あるいはそのような顔料の混合結
晶(固溶体)の群からのものとすることができる。
【0053】その混合物は、プレスケーキ、噴霧乾燥プ
レスケーキ、マスターバッチの混合によって、さらには
固体もしくは液体の形でのキャリア材料(水系および非
水系インク類)存在下での分散によって(押し出し、混
練、ロールミル法、ビーズミル、ウルトラツラック
ス)、さらにはキャリア材料存在下でのフラッシングに
よって得ることができる。着色剤を高含水率または高溶
媒含有率(>5%)で用いる場合、高温および減圧によ
って混合を助けることもできる。フラッシング操作は、
有機溶媒およびロウ類の存在下または非存在下に行うこ
とができる。
【0054】特に、輝度を高めるが色相を下げるには、
有機染料との混合物が適しており、特に黒色を有するか
黒色を与える染料が適している。そのような染料の好ま
しいものとしては、直接、反応性および酸性染料などの
水溶性染料ならびに溶媒染料、分散染料および建染染料
などの溶媒可溶染料などがある。言及できる例として
は、シー・アイ・ソルベントブラック45、27;シー
・アイ・リアクティブ(C. I. Reactive)ブラック3
1、シー・アイ・ダイレクト(C. I. Direct)ブラック
168、シー・アイ・ソルビライズド・サルファー(C.
I. Solubilized Sulfur)ブラック1などがある。
【0055】例えばTiOまたはBaSOなどの無
機顔料を混合物で用いて光沢を出す。真珠光沢顔料、F
顔料(パリオクロムス(Paliocroms;登録商
標))、さらには見る角度によって異なる色を与えるコ
レステリックポリマーに基づく顔料も好適である。例え
ば特にシー・アイ・ピグメントブラック7のようなカー
ボンブラックなどの別の無機顔料を用いて、黒色トナー
を調製する。
【0056】本発明はさらに、30〜99.99重量
%、好ましくは40〜99.5重量%の例えばスチレン
樹脂、スチレン−アクリレート樹脂、スチレン−ブタジ
エン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル
酸樹脂、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂あるいは
最後の2種類の組合せなどの通常の結合剤、0.01〜
50重量%、好ましくは0.05〜20重量%、特に好
ましくは0.1〜5重量%の1以上の鉄アゾ錯体化合
物、ならびに所望に応じて0.001〜50重量%、好
ましくは0.05〜20重量%の着色剤を含む電子写真
用トナー、粉末または粉末コーティングを提供するもの
であり、これら成分の量はそれぞれ、電子写真用トナ
ー、粉末または粉末コーティングの総重量に基づいたも
のである。
【0057】さらに、「自由流動剤」を含む本発明に従
って記載の化合物は、懸濁液の形または乾燥混合物とし
て、別の電荷調節要素として用いることができる。本発
明に従って記載の化合物はさらに、キャリアコーティン
グに用いることもできる。
【0058】さらに、式(I)の鉄アゾ錯体化合物が水
系(微乳濁液インク)および非水系(溶媒に基づく)の
インクジェット用インク中、さらにはホットメルト法に
従って動作するインク中、さらにはUV(紫外線)硬化
性インク中での着色剤として好適である。
【0059】本発明はさらに、1以上の鉄アゾ錯体化合
物を含むインクジェット記録液を提供するものでもあ
る。最終記録液には通常、1以上の(例:2種類または
3種類)式(I)の化合物が総量で0.5〜15重量
%、好ましくは1.5〜8重量%(乾燥基準で計算)含
まれる。
【0060】微乳濁液インクは、有機溶媒、水および所
望に応じて追加の屈水性物質(界面調整物質)に基づい
たものである。非水系インクはかなりの量の有機溶媒と
所望に応じて屈水性物質を含む。
【0061】微乳濁液インクは好ましくは、0.5〜1
5重量%、特には1.5〜8重量%の式(I)の化合
物、5〜99重量%の水および0.5〜94.5重量%
の有機溶媒および/または屈水性化合物を含む。
【0062】溶媒に基づくインクジェット用インクは好
ましくは、0.5〜15重量%の1以上の式(I)の化
合物、85〜99.5重量%の有機溶媒および/または
屈水性化合物を含む。
【0063】ホットメルトインクはほとんど、室温では
固体であるが加熱すると液体になり、融点範囲が約60
℃〜約140℃であるロウ、脂肪酸、脂肪族アルコール
またはスルホンアミド類に基づいたものである。本発明
はさらに、実質的に20〜90重量%のロウと1〜10
重量%の鉄アゾ錯体化合物からなるホットメルトインク
ジェット用インクをも提供する。0〜20重量%の別の
ポリマー(「染料溶解剤」として)、0〜5重量%の分
散補助剤、0〜20重量%の粘度調節剤、0〜20重量
%の可塑剤、0〜10重量%の粘着付与剤(tack addit
ive)、0〜10重量%の透明性安定化剤(例えば、ロ
ウの結晶化を防止)および0〜2重量%の酸化防止剤を
存在させることも可能である。代表的な添加剤および補
助剤は例えば、US−A−5560760に記載されて
いる。
【0064】UVインクは好ましくは、0.5〜15重
量%の1以上の式(I)の化合物、50〜99.5重量
%の光重合性モノマー(例えば、アシル基、エポキシ
基、ビニル基を含む)、光重合開始剤および/または例
えばUS5275646に記載のような別の添加剤を含
む。
【0065】記録液の調製に使用される水は好ましく
は、蒸留水または脱イオン水の形で用いる。
【0066】記録液中に存在させる溶媒は、有機溶媒ま
たはそのような溶媒の混合物を含むことができる。好適
な溶媒の例としては1価または多価アルコール類、それ
らのエーテル類およびエステル類などがあり、特に例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパ
ノール、ブタノール、イソブタノールなどの炭素原子数
1〜4のもののようなアルカノール類;特に例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6
−ヘキサントリオール、グリセリン、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどの炭素原子数2〜5
のもののような2価もしくは3価のアルコール類;エチ
レングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたは
モノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキ
ルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケ
トン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセト
ンアルコールなどのケトンおよびケトンアルコール類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チルピロリドン、トルエンおよびn−ヘキサンなどのア
ミド類などがある。
【0067】所望に応じて溶媒としても役立ち得る屈水
性化合物としては、例えばホルムアミド、尿素、テトラ
メチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ブチルグリコール、メチルセ
ロソルブ、グリセリン、N−メチルピロリドン、1,3
−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコー
ル、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン
酸Na、トルエンスルホン酸Na、クメンスルホン酸ナ
トリウム、ドデシル硫酸Na、安息香酸Na、サリチル
酸Naまたは硫酸ナトリウムブチルモノグリコールなど
を用いることが可能である。
【0068】さらに、本発明の記録液は、通常の添加剤
を含むことができ、それには例えば、保存剤、カチオン
性,アニオン性もしくはノニオン性界面活性物質(界面
活性剤および湿展剤)、さらには例えば付着性および摩
耗抵抗を高めるための薄膜形成剤および/または結合剤
としてのポリビニルアルコール、セルロース誘導体また
は水溶性天然もしくは合成樹脂などの粘度調節剤などが
ある。
【0069】例えばエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ
ールアミンまたはジイソプロピルアミンなどのアミン類
は、主として記録液のpHを高める上で役立つ。それは
通常、記録液中に0〜10重量%、好ましくは0.5〜
5重量%存在する。
【0070】本発明のインクジェット用インクは、粉末
として、製剤として、懸濁液としてあるいはプレスケー
キとしての式(I)の鉄アゾ錯体化合物を微乳濁液媒体
もしくは非水系媒体中に、あるいはロウ中に分散させて
ホットメルトインクジェット用インクを調製することで
製造することができる。このプレスケーキはまた、高濃
度プレスケーキ、特には噴霧乾燥プレスケーキであって
も良い。
【0071】さらに式(I)の化合物は、減色および増
色形成の両方で、カラーフィルター用着色剤としても好
適である(P. Gregory ”Topics in Applied Chemistr
y: High Technology Application of Organic Colorant
s” Plenum Press, New York1991, pp.15-25)。
【0072】
【実施例】以下の実施例において、部およびパーセント
は重量基準である。
【0073】製造例1 a)2−アミノ−5−(メチルアミノスルホニル)フェ
ノール60.7g(0.3mol)を、水450gおよ
び30重量%濃度のHCl水溶液120gの混合液中に
撹拌しながら入れた。氷75gを加えた後、4N亜硝酸
ナトリウム溶液79gを加えることでアミンをジアゾ化
した。得られた懸濁液を0℃で3時間撹拌した。レゾル
シン22.2g(0.2mol)の水(100g)およ
び炭酸ナトリウム(21.2g)中溶液をゆっくり滴下
した。得られた混合物を室温で8時間撹拌し、30重量
%濃度のHCl水溶液を加えることでpHを1.5とし
た。沈殿を濾過し、水4000gで洗浄し、乾燥した。 b)a)で製造したモノアゾ染料80gを、水300
g、ジイソプロピレングリコールモノメチルエーテル1
5gおよび炭酸ナトリウム39.4gの混合物中に懸濁
させた。98℃で1時間加熱した後、FeCl×6H
O25.2gの水溶液(水130g)をゆっくり滴下
したところ、その途中で鉄アゾ錯体の塊状沈殿が生成し
た。2時間かけて高撹拌下に温度を30℃まで下げ、懸
濁液をプリメン(Primene;登録商標)81R(C12
〜C14−t−アルキルアミン類、Rohm & Haas)18
6部の水80gおよび30重量%濃度のHCl水溶液1
2g中溶液とゆっくり反応させた。得られた沈殿を、3
0重量%HCl水溶液約23gを加えることで、pH
6.5に調節した。混合物を室温で1時間撹拌し、濾過
し、残留物を酢酸100gおよび水800gの溶液で洗
浄し、乾燥した。それによって下記式の鉄アゾ錯体染料
が得られた。
【0074】
【化8】
【0075】特性 褐色、水溶性粉末、エタノールに容易に可溶(400g
/リットルまで);pH:5; 導電率:410μS/cm; 残留含水量:0.6%(カールフィッシャー法); X線回折:2θ4.0と2θ36.0の間に反射ピーク
がない。すなわちこの化合物はX線非晶質; DTA:200℃から分解が開始(加熱速度3℃/分
で); 粒径分布:d50<71μm。
【0076】使用例1.1 製造例1からの化合物1部を、トナー結合剤60:40
スチレン−メタクリル酸n−ブチル(ダイアレク(Dial
ec;登録商標)S309)95部中に、30分間かけて
混練機を用いて均一に入れる。次に、得られた組成物を
汎用実験用ミルで粉砕し、その後遠心分粒器で分粒す
る。所望の粒子分画(4〜25μm)を、粒径50〜2
00μmのスチレン−アクリレートコーティング磁鉄鉱
粒子を含むキャリアを用いて活性化する。
【0077】通常のg/m測定スタンドで測定を行う。
メッシュサイズ25μmを有する篩を用いることで、ト
ナーを吹き払う際にキャリアが取り込まれないようにす
る。測定は相対大気湿度約50%で行う。活性化期間の
関数として、以下のq/m値[μC/g]を測定する。
【0078】
【表1】
【0079】使用例1.2 製造例1からの化合物6部を撹拌しながら、メチルエチ
ルケトン94部に溶かす(パドル撹拌機または溶解
機)。そうして得られたインクジェット用インクは、イ
ンクジェット用紙上で良好ないし非常に良好な堅牢特性
を示す(耐光性:ブルースケール(ISO 12040/DIN 1652
5)に従った評価で5〜6。そのスケールでは最低スコ
ア1は耐光性が非常に低いことを示し、最高スコア8は
耐光性が非常に高いことを示す。)。 1=非常に低い、2=低い、3=中等度、4=かなり良
好、5=良好、6=非常に良好、7=優良、8=特に優
良。
【0080】耐光性比較例 上記の方法に従って、JP−A−62−129358実
施例8、9および14に記載の化合物の耐光性を測定し
た。これら3種類のいずれの化合物についても、耐光性
は低ないし中等度であった(2〜3)。
【0081】使用例1.3 製造例1からの化合物5部を、撹拌下にグリコールエー
テル(ダウアノール(Dowanol;登録商標)EPh、Dow
Chemical)30部に溶かす。この溶液を撹拌下に、キ
シレンスルホネート15部を含む脱イオン水50部の溶
液に加える。そうして得られた微乳濁液インクは以下の
組成を有する。 グリコールエーテル30部、製造例1からの化合物5
部、キシレンスルホネート(界面調節剤、屈水性物質)
15部、脱イオン水50部。 これにより、耐光性が高く(5〜6)、ノズルを良好に
通過するインクジェット用インクが得られる。
【0082】製造例2 a)2−アミノ−4−(3’−メトキシプロピルアミノ
スルホニル)フェノール78.1g(0.3mol)
を、水600gおよび30重量%濃度のHCl水溶液1
20gの混合液中に撹拌しながら入れた。氷75gを加
えた後、4N亜硝酸ナトリウム溶液79gを加えること
でアミンをジアゾ化した。得られた懸濁液を0℃で3時
間撹拌した。レゾルシン22.2g(0.2mol)の
水(100g)および炭酸ナトリウム(21.2g)中
溶液をゆっくり滴下した。得られた混合物を室温で8時
間撹拌し、30重量%濃度のHCl水溶液を加えること
でpHを1.5とした。沈殿を濾過し、水4000gで
洗浄し、乾燥した。 b)a)で製造したモノアゾ染料96.2gを、水30
0g、ジイソプロピレングリコールモノメチルエーテル
15gおよび炭酸ナトリウム39.4gの混合物中に懸
濁させた。98℃で1時間加熱した後、FeCl×6
O25.2gの水溶液(水130g)をゆっくり滴
下したところ、その途中で鉄アゾ錯体の塊状沈殿が生成
した。2時間かけて高撹拌下に温度を30℃まで下げ、
懸濁液をプリメン(登録商標)81R(C12〜C14
−t−アルキルアミン類、Rohm &Haas)186gの水8
0gおよび30重量%濃度のHCl水溶液12g中溶液
とゆっくり反応させた。得られた沈殿を、30重量%H
Cl水溶液約23gを加えることで、pH6.5に調節
した。混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、残留物を
塩を含まない水で洗浄し、乾燥した。それによって下記
式の化合物が得られた。
【0083】
【化9】
【0084】特性 pH:6.4; 導電率:610μS/cm; 残留含水量:0.8%(カールフィッシャー法); X線回折:2θ4.0と2θ36.0の間に反射ピーク
がない。すなわちこの化合物はX線非晶質; DTA:200℃から分解が開始(加熱速度3℃/分
で); 粒径分布:d50=78μm。
【0085】使用例2.1 製造例1からの化合物1部に代えて製造例2からの化合
物1部を用いた以外、使用例1.1の手順を行う。活性
化期間の関数として、以下のq/m値を測定する。
【0086】
【表2】
【0087】使用例2.2 製造例2からの化合物1部を、使用例1.1に記載の方
法に従って、含カルボキシポリエステル樹脂(例:クリ
ルコート(Crylcoat;登録商標)430(UCB,Belgiu
m))に基づく粉末コーティング結合剤99部中に均一
に組み込む。堆積速度を測定するため、被験粉末コーテ
ィング材料50gを所定圧力で摩擦電気噴霧銃から噴霧
する。差重量測定によって、堆積した粉末コーティング
の量を求め、堆積率を%で決定し、電荷移動によって電
流フロー[μA]を誘導することができる。
【0088】
【表3】
【0089】使用例3(比較) 直鎖粉末コーティング結合剤クリルコート(登録商標)
430の堆積率を求めるため、添加剤を加えない以外は
上記の手順を繰り返す。
【0090】
【表4】
【0091】使用例4(比較) 添加を行わずに前記の直鎖トナー結合剤のみを用いて、
使用例1.1の手順を繰り返した。活性化期間の関数と
して、以下のq/m値を測定する。
【0092】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 4J038 G02B 5/20 101 G02B 5/20 101 4J039 G03G 9/097 G03G 9/12 9/12 9/08 346 (72)発明者 エデユアルト・ミヒエル ドイツ国、60529・フランクフルト・ア ム・マイン、メルツイゲル・ベーク・1 (72)発明者 ルデイゲル・バウアー ドイツ国、65817・エツプシユタイン/テ ー・エス、ガルテンシユトラーセ・26 (72)発明者 ドミニク・プフリエジエ フランス国、68130・タグスドール、リ ユ・プランシパル、19 (72)発明者 バンジ・ライ・カウル スイス国、4105・ビール−ベンケン、ブル ツクアツカーシユトラーセ・48 Fターム(参考) 2H005 AA06 CA22 DA01 2H048 BA02 BA64 BB02 BB42 2H069 CA28 2H086 BA59 4H006 AA03 AB76 AB91 4J038 BA012 CG001 DB001 DD002 DG001 JA03 JA43 JA64 JB01 JB12 JB32 JC09 JC29 JC38 KA08 NA14 NA25 PA02 4J039 BC41 BC59 BC73 BC79 BE29 CA05 EA37 EA42 EA44 GA24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真用トナーおよび現像液、粉末コ
    ーティング材料、エレクトレット材料および静電分離
    法、インクジェット用インクならびにカラーフィルター
    での式(I)の鉄アゾ錯体化合物の電荷調節剤としての
    使用。 【化1】 [式中、 Rは水素または下記式 【化2】 の基であり;RおよびRは同一であっても異なって
    いても良く、水素、アルキル、アルコキシアルキル、シ
    クロアルキルまたはアリールであり;Rは水素または
    水酸基であり;Rは水素、アルキル、アルコキシアル
    キルまたはシクロアルキルであり;Rは水素または下
    記式(2)の基 【化3】 であり;R はアンモニウムあるいは脂肪族、脂環式
    または複素環アンモニウムである。]
  2. 【請求項2】 R が、アンモニウム、モノ−(C
    〜C20−アルキル)−アンモニウム、ジ−(C〜C
    20−アルキル)−アンモニウム、トリ−(C〜C
    20−アルキル)−アンモニウム、トリ−(C〜C
    20−アルキル)メチル−アンモニウム、4−アミノ−
    2,2,6,6−テトラ−(C〜C−アルキル)−
    ピペリジニウム、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テ
    トラ(C〜C−アルキル)−ピペリジニウムまたは
    4−ケト−2,2,6,6−テトラ(C〜C)アル
    キル−ピペリジニウムである請求項1に記載の使用。
  3. 【請求項3】 R が、モノオクチルアンモニウム、
    2−エチルヘキシルアンモニウム、4−アミノ−2,
    2,6,6−テトラメチルピペリジニウム、4−ヒドロ
    キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニウム、
    4−ケト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニウ
    ムまたはトリ−(C10〜C16−アルキル)メチル−
    アンモニウムである請求項1または2に記載の使用。
  4. 【請求項4】 各場合において電子写真用トナーの総重
    量(100重量%)に基づいて、 30〜99.99重量%の結合剤;0.01〜50重量
    %の1以上の請求項1、2または3のいずれかに記載の
    式(I)の鉄アゾ錯体化合物;所望に応じて、0.01
    〜50重量%の別の電荷調節剤および所望に応じて0.
    001〜50重量%の着色剤を含む電子写真用トナー。
  5. 【請求項5】 前記別の電荷調節剤が、トリフェニルメ
    タン類;アンモニウムおよびインモニウム化合物、イミ
    ニウム化合物;フッ素化アンモニウム化合物およびフッ
    素化インモニウム化合物;ビスカチオン酸アミド類;ポ
    リマーアンモニウム化合物;ジアリルアンモニウム化合
    物;アリールスルフィド誘導体、フェノール誘導体;ホ
    スホニウム化合物およびフッ素化ホスホニウム化合物;
    カリキサレン類、環状に連結したオリゴ糖類およびそれ
    らの誘導体、特にはホウ酸エステル誘導体、高分子電解
    質間錯体;ポリエステル塩類;金属錯体化合物、特には
    サリチル酸金属錯体およびサリチル酸非金属錯体、ヒド
    ロキシカルボン酸金属錯体およびヒドロキシカルボン酸
    非金属錯体、ベンズイミダゾロン類;アジン類、チアジ
    ン類またはオキサジン類の群からの化合物である請求項
    4に記載の電子写真用トナー。
  6. 【請求項6】 各場合において粉末コーティング材料の
    総重量(100重量%)に基づいて、 30〜99.99重量%の結合剤;0.01〜50重量
    %の1以上の請求項1、2または3のいずれかに記載の
    式(I)の鉄アゾ錯体化合物;所望に応じて、0.01
    〜50重量%の別の電荷調節剤および所望に応じて0.
    001〜50重量%の着色剤を含む粉末コーティング
    剤。
  7. 【請求項7】 前記別の電荷調節剤が、トリフェニルメ
    タン類;アンモニウムおよびインモニウム化合物、イミ
    ニウム化合物;フッ素化アンモニウム化合物およびフッ
    素化インモニウム化合物;ビスカチオン酸アミド類;ポ
    リマーアンモニウム化合物;ジアリルアンモニウム化合
    物;アリールスルフィド誘導体、フェノール誘導体;ホ
    スホニウム化合物およびフッ素化ホスホニウム化合物;
    カリキサレン類、環状に連結したオリゴ糖類およびそれ
    らの誘導体、特にはホウ酸エステル誘導体、高分子電解
    質間錯体;ポリエステル塩類;金属錯体化合物、特には
    サリチル酸金属錯体およびサリチル酸非金属錯体、ヒド
    ロキシカルボン酸金属錯体およびヒドロキシカルボン酸
    非金属錯体、ベンズイミダゾロン類;アジン類、チアジ
    ン類またはオキサジン類の群からの化合物である請求項
    6に記載の粉末コーティング材料。
  8. 【請求項8】 0.5〜15重量%の1以上の請求項
    1、2または3のいずれかに記載の式(I)のFeアゾ
    錯体化合物を含むインクジェット用インク。
  9. 【請求項9】 実質的に、0.5〜15重量%の1以上
    の請求項1、2または3のいずれかに記載の式(I)の
    Feアゾ錯体化合物、ならびに5〜99重量%の水およ
    び0.5〜94.5重量%の有機溶媒、屈水性化合物も
    しくはそれらの混合物からなる請求項8に記載のインク
    ジェット用インク。
  10. 【請求項10】 実質的に、0.5〜15重量%の1以
    上の請求項1、2または3のいずれかに記載の式(I)
    のFeアゾ錯体化合物、ならびに0.5〜99.5重量
    %の有機溶媒、屈水性化合物もしくはそれらの混合物か
    らなる請求項8に記載のインクジェット用インク。
  11. 【請求項11】 実質的に、1〜10重量%の1以上の
    請求項1、2または3のいずれかに記載の式(I)のF
    eアゾ錯体化合物、ならびに20〜90重量%のロウか
    らなる請求項8に記載のインクジェット用インク。
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