JP2002113940A5 - - Google Patents
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に関し、特に、古紙パルプ100%からなるパルプを抄紙した非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、ピエゾタイプとサーマルタイプに代表される種々の作動原理によりインクの微小液滴を記録用紙に直接噴射するインクジェット記録方法を採用した、画像、文字、各種図形などを記録する装置である。
【0003】
このインクジェット記録装置は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が高い、現像・定着が不要などの利点を有し、特に、溶媒中にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックなどの色材を各々含有させた各色のインクを使用すると、製版方式による多色印刷と比較しても遜色のない画像を得ることが可能であり、近年、急速に普及している。
【0004】
一方、このようなインクジェット記録装置に好適に用いられるインクジェット記録用紙は、不透明度が高く記録濃度が高い、色調が鮮やかに発色する、インクの吸収が早い、インクドットが重なった場合でもインクが滲まない、ドットが必要以上に大きくならない、白色度が高い、などのインクジェット記録適性が必要とされる。さらには、インクジェット記録装置内で紙づまりが生じないような、好適な搬送性をも必要とされる。
【0005】
かかるインクジェット記録用紙は、上質紙、合成紙、合成樹脂フィルムなどの表面に、填料およびバインダーを主成分とする塗工液を、ブレードコータ、エアーナイフコータ等によって塗工して、インク受容層を形成した塗工紙タイプのものと、上・中質紙などに代表されるいわゆる非塗工紙タイプのものとに大別され、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、汎用性が高くインクジェット記録装置以外の記録装置や筆記具においても好適に記録が行える点で塗工紙タイプのインクジェット記録用紙よりも優れており、塗工紙タイプと比較し経済性が高い点も利点である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、前述のインクジェット記録適性においては、インク受容層を有する塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に対して劣るのが現状である。古紙パルプを高配合したものは、パルプ繊維の劣化によりインクジェット記録適性が劣るものとなっている。
【0007】
また、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、紙表面にインク受容層が塗工されていないため、紙表面の繊維が露出しており、これによって紙表面の繊維に沿ってインクの滲みが生じる現象、いわゆるフェザリングが発生しやすいという欠点をも有している。このフェザリングの発生防止策として、填料を高含有させて紙表面の平滑性を向上させる策が考えられるが、過度に填料を高配合させると、粉落ちが生じやすくなり、また、平滑化にともなって搬送性も低下するため、インクジェット記録用紙においては、填料の高配合化だけでは好適な解決策とはならない。
【0008】
そこで、本発明の第1の課題は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙において、インクジェット記録適性を向上させつつ、フェザリングの発生を抑制し、さらには好適な搬送性をも付与させることにある。第2の課題は、第1の課題に加えて、古紙を積極的に利用して資源の有効活用を図ることにある。第3の課題は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙において、フェザリングを発生させることなく記録がおこなえる記録方法、およびかかる方法によって記録された記録物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明請求項1記載の発明は、
パルプを抄紙した非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙であって、
炭酸カルシウムを主成分とする填料を含み、
JIS P 8128による灰分が10〜30重量%であり、
かつ、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が0.001〜0.05秒/g/m2であることを特徴とするインクジェット記録用紙である。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、炭酸カルシウムを主成分とする填料を、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%となるように含有させることにより、フェザリングの発生が抑制され、さらに、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度を、0.001〜0.05秒/g/m2としたことにより、インクが非常に早く紙に吸収され、インクが乾燥しやすくなり、もって、ドット径が必要以上に大きくなることがなくなり、インクが重なって滲むことがなくなる。すなわち、好適なインクジェット記録適性が付与され、鮮明なインクジェット記録を行うことが可能となる。ここで、本明細書におけるJIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度とは、(JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度)/(坪量)の値のことをいう。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記パルプが、古紙パルプ100%からなるものである請求項1記載のインクジェット記録用紙である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果と同様の効果が得られるとともに、資源の有効活用を図れ、環境保護にも貢献できる。
【0013】
請求項3記載の発明は、表裏面の少なくとも一方の面の、JIS P 8147に基づく動摩擦係数が、0.3〜0.7である請求項1〜2のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙である。
【0014】
動摩擦係数を0.3〜0.7とすることにより、好適な搬送性が付与されて紙つまりが防止される。しかも、インクジェット記録装置の搬送用ローラに紙粉が付着しづらくなる。
【0015】
請求項4記載の発明は、インク組成物を付着させて記録用紙に記録を行う記録方法であって、前記記録用紙として請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする記録方法である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、フェザリングを発生させることなく、好適な記録が行えるようになる。
【0017】
請求項5記載の発明は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録用紙に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
前記記録用紙として請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする記録方法である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、インクジェット記録による、高精細、かつ鮮明な記録が行えるようになる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項4または5に記載の記録方法によって記録された記録物である。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、フェザリングがなく、鮮明かつ高精細に記録された記録物が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を詳述する。
本発明のインクジェット記録用紙の原料パルプとしては、古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガスなどの非木材繊維、合成繊維が挙げられる。古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられる。これらのパルプを2種以上用いてもよい。
【0022】
本発明においては、古紙パルプ100%からなるパルプを原料としても、バージンパルプを原料としても、好適なインクジェット記録適性および搬送性を得ることができる。したがって、資源の有効活用と環境保護にも貢献できる古紙パルプを積極的に原料パルプとするのが望ましい。また、ハンター白色度が75%以上のものであるのがインクジェット記録における記録の映えから望ましい。
【0023】
また、前記古紙パルプを用いるのであれば、特に雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプを使用することが望ましい。雑誌古紙は、背糊、ホットメルトや雑誌に綴じ込められたビニール等の異物の存在により、古紙パルプとして再使用することが困難であり、現在殆どの雑誌古紙は焼却処分されている。
【0024】
本発明者らは、雑誌古紙は、従来既知の脱墨処理方法にて脱墨処理した後、既知の分級機にて長繊維分を除き、短繊維分をフリーネス(CSF)が、240mlから290mlとなるように分級処理することで、殆どの異物の除去を行なえる事を見出している。
【0025】
分級処理した雑誌古紙パルプは、古紙パルプへの配合割合が50質量%未満の場合、異物の問題などの影響は顕著ではなく、本発明に好適に使用でき、資源の有効活用、環境保護に貢献できる。
【0026】
また、古紙パルプ含有による表面性の悪化や地合いムラの発生防止に対しても、前記古紙パルプを分級処理して長繊維分を除去し、短繊維分のみとした古紙パルプを使用することにより、印刷適性の低下を防止することができる。除去する長繊維分は、紙力を必要とする産業用紙等に好適に利用できる。短繊維分の平均繊維長は、抄紙方法および抄紙後の製品の特徴などを考慮して適宜変更することができる。好適には、古紙パルプのパルプスラリーのフリーネス(CSF)が、240mlから290mlとなるように分級処理する。また、残存させる短繊維分の平均繊維長と除去する長繊維分の平均繊維長との差は、少なくとも10%以上であることが望ましい。
【0027】
一方、古紙パルプの分級は、既知の分級機、分級技術を用いて分級すればよい。例えば、ジョンソンフランクショネーター、アトマイジングホール、X−クロン等の分級機による水力学的分級によって分級することができ、マルチフラクター、CH−Fスクリーン、ファイバークラフター等の機械的ふるい分けによっても分級することができる。上記分級機のなかで、特に好適なものは、マルチフラクター(フォイト製)、CH−Fスクリーン(相川鉄工製)である。
【0028】
本発明のインクジェット記録用紙は、従来の抄紙機を用いて、従来抄紙技術に基づいて製造することができる。前記填料の添加は、従来技術に基づいて適宜工程で添加すればよい。
【0029】
一方、本発明のインクジェット記録用紙は、填料として炭酸カルシウムを含み、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%である。灰分が10重量%未満であると、フェザリングが発生し、30重量%を超えると、粉落ちする問題が生じると共に、抄紙が困難になる。
【0030】
前記炭酸カルシウムは、マイクロトラック粒度分布計(形式:7995-10PC SRA)に基づく平均粒子径が2.0〜4.0μmであるのが望ましい。前記炭酸カルシウムの平均粒子径が2.0μm未満であると、紙中への歩留りが悪くコスト高となる。前記炭酸カルシウムの平均粒子径が4.0μmを超えると、フェザリングの抑制機能が低下する。
【0031】
他方、本発明のインクジェット記録用紙は、用紙表面をエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(以下、単にX線マイクロアナライザーと記載)によって面分析して得られるX線像の、カルシウムの存在部分を示す白色部分の面積が、前記X線像の面積の3〜40%であるのが望ましい。これによって、より好適なインクジェット記録適性が付与される。用紙表面における炭酸カルシウムの存在部分の面積は、既知の抄紙工程において、脱水時の吸引圧を調整したり、炭酸カルシウムの添加量を調整したり、プレス圧を調整したり、歩留まり向上剤の添加量を調整することによって、適宜調節することが可能である。
【0032】
ここで、前記X線マイクロアナライザーによる面分析は、元素の分布状態に用いられる方法であり、目的とする元素のエネルギーレベルを選定し、電子線を試料面に走査しながら、目的とする元素の分布状態をX線像として写真などに記録する方法である。本発明においては、カルシウムが目的とする元素であり、その存在部分が写真中に白色部分となって記録される。なお、X線マイクロアナライザーの装置は既知のものが使用でき、測定手順も既知の測定技術に基づいて行うことができる。また、本発明においては、X線マイクロアナライザー(堀場製作所製 EMAX2770)の加速電圧は15kv、倍率50倍とし、ポロライド社製白黒ポロライドフィルム(8.5×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を撮影した。
【0033】
得られたX線像写真中のカルシウムの存在部分を示す白色部分の面積率は、前記ポロライドフィルムに撮影のX線像写真を用い、画像処理装置(株式会社ニレコ製 ルーゼックス FS)にて測定した。画像処理装置は、写真、印刷物等の色分布を、それぞれ面積率で算出する装置である。
【0034】
他方、本発明のインクジェット記録用紙は、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が、0.001〜0.05秒/g/m2である。ステキヒトサイズ度が0.001秒/g/m2未満である場合は抄紙が困難であり、また、0.05秒/g/m2を超えるものはインクの吸収性が低く、記録面にインクが溜まり、擦れ、裏移りが生じる。ステキヒトサイズ度は、公知のサイズ剤の添加量を、適宜調整することによって、本発明にかかる範囲とすることができる。
【0035】
一方、本発明のインクジェット記録用紙の動摩擦係数は、0.3〜0.7とするのが望ましい。紙表面の動摩擦係数は、抄紙工程におけるカレンダー処理、熱ロール処理を行うさいのニップ圧の調整、PVA、澱粉等の水溶性高分子のサイズプレス処理によって本発明の範囲とすることができる。
【0036】
さらに、本発明のインクジェット記録用紙は、その製造工程において従来既知の添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、インク定着剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、湿潤紙力増強剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、消泡剤、界面活性剤、カチオン剤、帯電防止剤、保水剤などが挙げられる。
【0037】
次いで、本発明にかかるインクジェット記録方法を述べる。
本発明にかかる記録方法においては、従来の技術にある各種方式を採用したインクジェット記録装置およびその他の紙にインクを受理させて記録する様々な記録装置を問題なく用いることが可能である。
【0038】
本発明においては、パルプを抄紙した非塗工タイプのインクジェット記録用紙において、用紙表面をエネルギー分散型X線マイクロアナライザーによって面分析して得られるX線像の、カルシウムの存在部分を示す白色部分の面積が、前記X線像の面積の3〜40%であることを特徴とするインクジェット記録用紙の印字面にインクジェット記録を行う。炭酸カルシウムを主成分とする填料を、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%となるように含有させたインクジェット記録用紙を用いることにより、フェザリングの発生が抑制される。
【0039】
好適には、前記インクジェット記録用紙のJIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が、0.001〜0.05秒/g/m2であるのが望ましい。かかるステキヒトサイズ度のインクジェット記録用紙を用いることにより、インクが非常に早く紙に吸収され、インクが乾燥しやすくなり、もって、ドット径が必要以上に大きくなることがなくなり、インクが重なって滲むことがなくなる。
【0040】
一方、本発明によるインクジェット記録方法で用いられるインク組成物は、慣用されている着色剤、有機溶媒などを適宜組み合わせて構成されてよい。
【0041】
本発明に使用できるインクに用いる好適な溶媒としては、Caイオン、Mgイオンが5ppm以下のイオン交換水とグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の高沸点・低揮発性の多価アルコール類が挙げられる。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル、およびN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の含窒素有機溶剤を用いることも可能である。さらに、記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するために、尿素、糖類などの吸湿性の高い添加剤を利用することも好ましい。これら多価アルコール、多価アルコールの低級アルキルエーテルの添加量は適宜決定されてよいが、4〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは7〜20重量%程度である。
【0042】
さらに本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は界面活性剤を含んで、インクジェット記録用紙へのインクの浸透性を制御されてよい。好ましい界面活性剤の例としては、アセチレングリコール類が挙げられ、サーフィノール465、420、104シリーズとして日信化学工業株式会社より市販されているものを利用することもできる。
【0043】
本発明においてインク組成物とは、モノクロ印刷を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、さらにカラー印刷を行う場合にはカラーインク組成物、具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物、更に場合によってブラックインク組成物を意味するものとする。さらに、本発明によるインクジェット記録用紙は、イエローインク組成物、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異なる二種のシアンインク組成物、およびブラックインク組成物の計6色のインク組成物を用いた記録方法に用いられてもよい。このような6色インク組成物と本発明によるインクジェット記録用紙とによれば、階調性に優れた、粒子状の点のない印刷画像を実現することができる。画像濃度が低い領域においては場合によって粒子状の点が観察されることがあるが、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物として、それぞれ高色濃度および低色濃度のインク組成物を用いることで、粒子状の点の発生を有効に防止でき、さらに階調性に優れた印刷を実現できる。本発明の好ましい態様によれば、この低色濃度インク組成物の色材濃度が、高色濃度インク組成物の色材濃度の5〜50重量%であるのが好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。このような高色濃度インク組成物および低色濃度インク組成物を用いることで、より階調性に優れた画像が実現できる。
【0044】
<実施例>
本発明の実施例および比較例について、動摩擦係数、フェザリング、にじみおよび搬送性について試験した。結果を表1に示す。なお、各実施例および比較例の坪量は、90g/m2である。また表中のステキヒトサイズ度は、JIS P 8122に基づいて測定したものである。
【0045】
【表1】
【0046】
(試験方法)
[動摩擦係数]:JIS P 8147に記載の、紙及び板紙の摩擦係数試験方法に基づき動摩擦係数を測定した。
[フェザリング]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)を用いて、各実施例および各比較例に0.5ポイントの実線を(4色、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)10cm記録し、記録された実線の任意の3箇所において、1cm間に生じているヒゲ状にじみ数を目視にて計測した後、3箇所の平均値を算出した。表中の記号は、◎がにじみ数の平均が10未満であり、フェザリングが非常に生じづらい、○がにじみ数の平均が10〜30であり、フェザリングが生じづらい、×がにじみ数の平均が30以上であり、フェザリングが生じやすい、をそれぞれ表している。
[にじみ]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)を、温度23℃、湿度50%条件下で使用して3原色(シアン、マゼンタ、イエローの各インク)の重ね色で構成される赤、緑、紫をそれぞれ交互にベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字後30分経過後のインク浸透が安定した状態で隣接するインクジェットが互いにもしくは、片側ににじみ出しを生じた度合いを評価した。表中の記号は、◎がインクのにじみが全くない、×がインクのにじみが若干見られるか、またはインクのにじみがはっきりと見られる、をそれぞれ表している。
[搬送性]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)に、A4サイズに断裁した各実施例および各比較例を、温度23℃、湿度50%条件下で100枚連続して給紙して評価した。表中の記号は、○が紙詰まりが生じなかったものを表し、×が紙詰まりが生じたものを表している。
【0047】
表1より、本発明の実施例は、何れの比較例よりもインクジェット記録性および搬送性に優れている。
【0048】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、本発明によれば、フェザリングの発生が抑制され、かつインクジェット記録性および搬送性に優れる非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙が提供される。さらに、古紙の積極的な利用により、資源の有効活用が可能となる。また、フェザリングを発生させることなく記録がおこなえる記録方法、およびかかる方法によって記録された記録物が提供される。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に関し、特に、古紙パルプ100%からなるパルプを抄紙した非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、ピエゾタイプとサーマルタイプに代表される種々の作動原理によりインクの微小液滴を記録用紙に直接噴射するインクジェット記録方法を採用した、画像、文字、各種図形などを記録する装置である。
【0003】
このインクジェット記録装置は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が高い、現像・定着が不要などの利点を有し、特に、溶媒中にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックなどの色材を各々含有させた各色のインクを使用すると、製版方式による多色印刷と比較しても遜色のない画像を得ることが可能であり、近年、急速に普及している。
【0004】
一方、このようなインクジェット記録装置に好適に用いられるインクジェット記録用紙は、不透明度が高く記録濃度が高い、色調が鮮やかに発色する、インクの吸収が早い、インクドットが重なった場合でもインクが滲まない、ドットが必要以上に大きくならない、白色度が高い、などのインクジェット記録適性が必要とされる。さらには、インクジェット記録装置内で紙づまりが生じないような、好適な搬送性をも必要とされる。
【0005】
かかるインクジェット記録用紙は、上質紙、合成紙、合成樹脂フィルムなどの表面に、填料およびバインダーを主成分とする塗工液を、ブレードコータ、エアーナイフコータ等によって塗工して、インク受容層を形成した塗工紙タイプのものと、上・中質紙などに代表されるいわゆる非塗工紙タイプのものとに大別され、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、汎用性が高くインクジェット記録装置以外の記録装置や筆記具においても好適に記録が行える点で塗工紙タイプのインクジェット記録用紙よりも優れており、塗工紙タイプと比較し経済性が高い点も利点である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、前述のインクジェット記録適性においては、インク受容層を有する塗工紙タイプのインクジェット記録用紙に対して劣るのが現状である。古紙パルプを高配合したものは、パルプ繊維の劣化によりインクジェット記録適性が劣るものとなっている。
【0007】
また、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、紙表面にインク受容層が塗工されていないため、紙表面の繊維が露出しており、これによって紙表面の繊維に沿ってインクの滲みが生じる現象、いわゆるフェザリングが発生しやすいという欠点をも有している。このフェザリングの発生防止策として、填料を高含有させて紙表面の平滑性を向上させる策が考えられるが、過度に填料を高配合させると、粉落ちが生じやすくなり、また、平滑化にともなって搬送性も低下するため、インクジェット記録用紙においては、填料の高配合化だけでは好適な解決策とはならない。
【0008】
そこで、本発明の第1の課題は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙において、インクジェット記録適性を向上させつつ、フェザリングの発生を抑制し、さらには好適な搬送性をも付与させることにある。第2の課題は、第1の課題に加えて、古紙を積極的に利用して資源の有効活用を図ることにある。第3の課題は、非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙において、フェザリングを発生させることなく記録がおこなえる記録方法、およびかかる方法によって記録された記録物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明請求項1記載の発明は、
パルプを抄紙した非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙であって、
炭酸カルシウムを主成分とする填料を含み、
JIS P 8128による灰分が10〜30重量%であり、
かつ、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が0.001〜0.05秒/g/m2であることを特徴とするインクジェット記録用紙である。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、炭酸カルシウムを主成分とする填料を、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%となるように含有させることにより、フェザリングの発生が抑制され、さらに、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度を、0.001〜0.05秒/g/m2としたことにより、インクが非常に早く紙に吸収され、インクが乾燥しやすくなり、もって、ドット径が必要以上に大きくなることがなくなり、インクが重なって滲むことがなくなる。すなわち、好適なインクジェット記録適性が付与され、鮮明なインクジェット記録を行うことが可能となる。ここで、本明細書におけるJIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度とは、(JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度)/(坪量)の値のことをいう。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記パルプが、古紙パルプ100%からなるものである請求項1記載のインクジェット記録用紙である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果と同様の効果が得られるとともに、資源の有効活用を図れ、環境保護にも貢献できる。
【0013】
請求項3記載の発明は、表裏面の少なくとも一方の面の、JIS P 8147に基づく動摩擦係数が、0.3〜0.7である請求項1〜2のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙である。
【0014】
動摩擦係数を0.3〜0.7とすることにより、好適な搬送性が付与されて紙つまりが防止される。しかも、インクジェット記録装置の搬送用ローラに紙粉が付着しづらくなる。
【0015】
請求項4記載の発明は、インク組成物を付着させて記録用紙に記録を行う記録方法であって、前記記録用紙として請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする記録方法である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、フェザリングを発生させることなく、好適な記録が行えるようになる。
【0017】
請求項5記載の発明は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録用紙に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
前記記録用紙として請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする記録方法である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、インクジェット記録による、高精細、かつ鮮明な記録が行えるようになる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項4または5に記載の記録方法によって記録された記録物である。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、フェザリングがなく、鮮明かつ高精細に記録された記録物が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を詳述する。
本発明のインクジェット記録用紙の原料パルプとしては、古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガスなどの非木材繊維、合成繊維が挙げられる。古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられる。これらのパルプを2種以上用いてもよい。
【0022】
本発明においては、古紙パルプ100%からなるパルプを原料としても、バージンパルプを原料としても、好適なインクジェット記録適性および搬送性を得ることができる。したがって、資源の有効活用と環境保護にも貢献できる古紙パルプを積極的に原料パルプとするのが望ましい。また、ハンター白色度が75%以上のものであるのがインクジェット記録における記録の映えから望ましい。
【0023】
また、前記古紙パルプを用いるのであれば、特に雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプを使用することが望ましい。雑誌古紙は、背糊、ホットメルトや雑誌に綴じ込められたビニール等の異物の存在により、古紙パルプとして再使用することが困難であり、現在殆どの雑誌古紙は焼却処分されている。
【0024】
本発明者らは、雑誌古紙は、従来既知の脱墨処理方法にて脱墨処理した後、既知の分級機にて長繊維分を除き、短繊維分をフリーネス(CSF)が、240mlから290mlとなるように分級処理することで、殆どの異物の除去を行なえる事を見出している。
【0025】
分級処理した雑誌古紙パルプは、古紙パルプへの配合割合が50質量%未満の場合、異物の問題などの影響は顕著ではなく、本発明に好適に使用でき、資源の有効活用、環境保護に貢献できる。
【0026】
また、古紙パルプ含有による表面性の悪化や地合いムラの発生防止に対しても、前記古紙パルプを分級処理して長繊維分を除去し、短繊維分のみとした古紙パルプを使用することにより、印刷適性の低下を防止することができる。除去する長繊維分は、紙力を必要とする産業用紙等に好適に利用できる。短繊維分の平均繊維長は、抄紙方法および抄紙後の製品の特徴などを考慮して適宜変更することができる。好適には、古紙パルプのパルプスラリーのフリーネス(CSF)が、240mlから290mlとなるように分級処理する。また、残存させる短繊維分の平均繊維長と除去する長繊維分の平均繊維長との差は、少なくとも10%以上であることが望ましい。
【0027】
一方、古紙パルプの分級は、既知の分級機、分級技術を用いて分級すればよい。例えば、ジョンソンフランクショネーター、アトマイジングホール、X−クロン等の分級機による水力学的分級によって分級することができ、マルチフラクター、CH−Fスクリーン、ファイバークラフター等の機械的ふるい分けによっても分級することができる。上記分級機のなかで、特に好適なものは、マルチフラクター(フォイト製)、CH−Fスクリーン(相川鉄工製)である。
【0028】
本発明のインクジェット記録用紙は、従来の抄紙機を用いて、従来抄紙技術に基づいて製造することができる。前記填料の添加は、従来技術に基づいて適宜工程で添加すればよい。
【0029】
一方、本発明のインクジェット記録用紙は、填料として炭酸カルシウムを含み、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%である。灰分が10重量%未満であると、フェザリングが発生し、30重量%を超えると、粉落ちする問題が生じると共に、抄紙が困難になる。
【0030】
前記炭酸カルシウムは、マイクロトラック粒度分布計(形式:7995-10PC SRA)に基づく平均粒子径が2.0〜4.0μmであるのが望ましい。前記炭酸カルシウムの平均粒子径が2.0μm未満であると、紙中への歩留りが悪くコスト高となる。前記炭酸カルシウムの平均粒子径が4.0μmを超えると、フェザリングの抑制機能が低下する。
【0031】
他方、本発明のインクジェット記録用紙は、用紙表面をエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(以下、単にX線マイクロアナライザーと記載)によって面分析して得られるX線像の、カルシウムの存在部分を示す白色部分の面積が、前記X線像の面積の3〜40%であるのが望ましい。これによって、より好適なインクジェット記録適性が付与される。用紙表面における炭酸カルシウムの存在部分の面積は、既知の抄紙工程において、脱水時の吸引圧を調整したり、炭酸カルシウムの添加量を調整したり、プレス圧を調整したり、歩留まり向上剤の添加量を調整することによって、適宜調節することが可能である。
【0032】
ここで、前記X線マイクロアナライザーによる面分析は、元素の分布状態に用いられる方法であり、目的とする元素のエネルギーレベルを選定し、電子線を試料面に走査しながら、目的とする元素の分布状態をX線像として写真などに記録する方法である。本発明においては、カルシウムが目的とする元素であり、その存在部分が写真中に白色部分となって記録される。なお、X線マイクロアナライザーの装置は既知のものが使用でき、測定手順も既知の測定技術に基づいて行うことができる。また、本発明においては、X線マイクロアナライザー(堀場製作所製 EMAX2770)の加速電圧は15kv、倍率50倍とし、ポロライド社製白黒ポロライドフィルム(8.5×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を撮影した。
【0033】
得られたX線像写真中のカルシウムの存在部分を示す白色部分の面積率は、前記ポロライドフィルムに撮影のX線像写真を用い、画像処理装置(株式会社ニレコ製 ルーゼックス FS)にて測定した。画像処理装置は、写真、印刷物等の色分布を、それぞれ面積率で算出する装置である。
【0034】
他方、本発明のインクジェット記録用紙は、JIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が、0.001〜0.05秒/g/m2である。ステキヒトサイズ度が0.001秒/g/m2未満である場合は抄紙が困難であり、また、0.05秒/g/m2を超えるものはインクの吸収性が低く、記録面にインクが溜まり、擦れ、裏移りが生じる。ステキヒトサイズ度は、公知のサイズ剤の添加量を、適宜調整することによって、本発明にかかる範囲とすることができる。
【0035】
一方、本発明のインクジェット記録用紙の動摩擦係数は、0.3〜0.7とするのが望ましい。紙表面の動摩擦係数は、抄紙工程におけるカレンダー処理、熱ロール処理を行うさいのニップ圧の調整、PVA、澱粉等の水溶性高分子のサイズプレス処理によって本発明の範囲とすることができる。
【0036】
さらに、本発明のインクジェット記録用紙は、その製造工程において従来既知の添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、インク定着剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、湿潤紙力増強剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、消泡剤、界面活性剤、カチオン剤、帯電防止剤、保水剤などが挙げられる。
【0037】
次いで、本発明にかかるインクジェット記録方法を述べる。
本発明にかかる記録方法においては、従来の技術にある各種方式を採用したインクジェット記録装置およびその他の紙にインクを受理させて記録する様々な記録装置を問題なく用いることが可能である。
【0038】
本発明においては、パルプを抄紙した非塗工タイプのインクジェット記録用紙において、用紙表面をエネルギー分散型X線マイクロアナライザーによって面分析して得られるX線像の、カルシウムの存在部分を示す白色部分の面積が、前記X線像の面積の3〜40%であることを特徴とするインクジェット記録用紙の印字面にインクジェット記録を行う。炭酸カルシウムを主成分とする填料を、JIS P 8128による灰分が10〜30重量%となるように含有させたインクジェット記録用紙を用いることにより、フェザリングの発生が抑制される。
【0039】
好適には、前記インクジェット記録用紙のJIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が、0.001〜0.05秒/g/m2であるのが望ましい。かかるステキヒトサイズ度のインクジェット記録用紙を用いることにより、インクが非常に早く紙に吸収され、インクが乾燥しやすくなり、もって、ドット径が必要以上に大きくなることがなくなり、インクが重なって滲むことがなくなる。
【0040】
一方、本発明によるインクジェット記録方法で用いられるインク組成物は、慣用されている着色剤、有機溶媒などを適宜組み合わせて構成されてよい。
【0041】
本発明に使用できるインクに用いる好適な溶媒としては、Caイオン、Mgイオンが5ppm以下のイオン交換水とグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の高沸点・低揮発性の多価アルコール類が挙げられる。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル、およびN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の含窒素有機溶剤を用いることも可能である。さらに、記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するために、尿素、糖類などの吸湿性の高い添加剤を利用することも好ましい。これら多価アルコール、多価アルコールの低級アルキルエーテルの添加量は適宜決定されてよいが、4〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは7〜20重量%程度である。
【0042】
さらに本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は界面活性剤を含んで、インクジェット記録用紙へのインクの浸透性を制御されてよい。好ましい界面活性剤の例としては、アセチレングリコール類が挙げられ、サーフィノール465、420、104シリーズとして日信化学工業株式会社より市販されているものを利用することもできる。
【0043】
本発明においてインク組成物とは、モノクロ印刷を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、さらにカラー印刷を行う場合にはカラーインク組成物、具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物、更に場合によってブラックインク組成物を意味するものとする。さらに、本発明によるインクジェット記録用紙は、イエローインク組成物、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異なる二種のシアンインク組成物、およびブラックインク組成物の計6色のインク組成物を用いた記録方法に用いられてもよい。このような6色インク組成物と本発明によるインクジェット記録用紙とによれば、階調性に優れた、粒子状の点のない印刷画像を実現することができる。画像濃度が低い領域においては場合によって粒子状の点が観察されることがあるが、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物として、それぞれ高色濃度および低色濃度のインク組成物を用いることで、粒子状の点の発生を有効に防止でき、さらに階調性に優れた印刷を実現できる。本発明の好ましい態様によれば、この低色濃度インク組成物の色材濃度が、高色濃度インク組成物の色材濃度の5〜50重量%であるのが好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。このような高色濃度インク組成物および低色濃度インク組成物を用いることで、より階調性に優れた画像が実現できる。
【0044】
<実施例>
本発明の実施例および比較例について、動摩擦係数、フェザリング、にじみおよび搬送性について試験した。結果を表1に示す。なお、各実施例および比較例の坪量は、90g/m2である。また表中のステキヒトサイズ度は、JIS P 8122に基づいて測定したものである。
【0045】
【表1】
【0046】
(試験方法)
[動摩擦係数]:JIS P 8147に記載の、紙及び板紙の摩擦係数試験方法に基づき動摩擦係数を測定した。
[フェザリング]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)を用いて、各実施例および各比較例に0.5ポイントの実線を(4色、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)10cm記録し、記録された実線の任意の3箇所において、1cm間に生じているヒゲ状にじみ数を目視にて計測した後、3箇所の平均値を算出した。表中の記号は、◎がにじみ数の平均が10未満であり、フェザリングが非常に生じづらい、○がにじみ数の平均が10〜30であり、フェザリングが生じづらい、×がにじみ数の平均が30以上であり、フェザリングが生じやすい、をそれぞれ表している。
[にじみ]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)を、温度23℃、湿度50%条件下で使用して3原色(シアン、マゼンタ、イエローの各インク)の重ね色で構成される赤、緑、紫をそれぞれ交互にベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字後30分経過後のインク浸透が安定した状態で隣接するインクジェットが互いにもしくは、片側ににじみ出しを生じた度合いを評価した。表中の記号は、◎がインクのにじみが全くない、×がインクのにじみが若干見られるか、またはインクのにじみがはっきりと見られる、をそれぞれ表している。
[搬送性]:インクジェットプリンタ(PM800C、セイコーエプソン社製)に、A4サイズに断裁した各実施例および各比較例を、温度23℃、湿度50%条件下で100枚連続して給紙して評価した。表中の記号は、○が紙詰まりが生じなかったものを表し、×が紙詰まりが生じたものを表している。
【0047】
表1より、本発明の実施例は、何れの比較例よりもインクジェット記録性および搬送性に優れている。
【0048】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、本発明によれば、フェザリングの発生が抑制され、かつインクジェット記録性および搬送性に優れる非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙が提供される。さらに、古紙の積極的な利用により、資源の有効活用が可能となる。また、フェザリングを発生させることなく記録がおこなえる記録方法、およびかかる方法によって記録された記録物が提供される。
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