JP2002113562A - 連続鋳造鋳型銅板 - Google Patents

連続鋳造鋳型銅板

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淳 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳型銅板内部の温度を多数点に亘って測温で
き、また、鋳型銅板を設置した状態で熱電対の交換がで
きる連続鋳造鋳型銅板を提供する。 【解決手段】鋳型銅板10上面に開口した熱電対5の挿
入孔12を有する連続鋳造鋳型銅板。および、鋳型銅板
上面の背面10b寄りに開口し、底部が溶鋼接触面10
a近くになるように内部に傾斜して穿孔した熱電対5の
挿入孔12を有する連続鋳造鋳型銅板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電対の挿入孔を
有する連続鋳造鋳型銅板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造によるブルームやビレットの製
造において、バルジングやブレークアウトを発生するこ
となく高品質の連続鋳造片を安定かつ安全に製造するた
めには、連続鋳造機における一次冷却、すなわち、鋳型
銅板での溶鋼の冷却は極めて重要である。この一次冷却
装置の例を図6に示す。図において、1は溶鋼と接触し
て冷却する鋳型銅板(図示のものは、鋳型を構成する長
辺銅板である。)であり、この鋳型銅板1は背面に開口
した複数の溝1aと冷却銅板1内部の温度を測定する熱
電対を挿入するための挿入孔1bが設けられている。挿
入孔1bは、隣接する二つの溝1a、1aの間に設けら
れている。2は鋳型銅板1の複数の溝1a等に冷却水を
供給する水箱である。この水箱2は鋳型銅板1の背面に
対面して取付けられる前面板2aと後面板2bとの間に
冷却水を溜めるようになっている。場合によっては、鋳
型銅板1内の溶鋼を電磁気的に攪拌する電磁攪拌装置
(EMS;electric magnetic stirrer)6が、水箱の
後面板2bに近接して設けられていることもある。
【0003】水箱2が鋳型銅板1の背面と前面板2aと
の間に隙間3を設けて鋳型銅板1に取付けられ、隙間3
は外周がシール手段3aによって密閉されている。水箱
2が鋳型銅板1に取付けられた状態で、鋳型銅板の挿入
孔1bに対応するように熱電対5を挿入するフランジ付
き保護管4が、水箱の前面板2aと後面板2bを貫通し
て水箱2に取付けられている。前面板2aには、凹部が
形成されており、この凹部に保護管4先端のフランジ4
aが嵌合するようになっている。このフランジ4aの前
面外縁部にシール材取付け溝が形成されており、この溝
に取り付けたシール材4bにより、後述する冷却水が挿
入孔1bと保護管4内に入らないように密閉する。熱電
対5が、水箱後面板2b側から保護管4内部を通して鋳
型銅板の挿入孔1bの底部に熱電対の先端が当接され
る。鋳型銅板の挿入孔1bと保護管4は、鋳型銅板1の
長さ方向に複数設けられており、この中にセットされた
熱電対4により鋳型銅板1の長さ方向複数箇所について
測温できるようになっている。
【0004】水箱2に供給された冷却水は、前面板2a
に開けられた孔(図示せず)から鋳型銅板1の背面と前
面板2との間の隙間3と鋳型銅板の溝1aを流れて鋳型
銅板1の前面を冷却して、水箱2に設けた図示しない排
水管を通して排出される。この冷却水の流れにより銅板
で囲われた鋳型内部の溶鋼が一次冷却される。
【0005】このようにして、鋳型銅板1内部の温度を
測定し、得られた温度プロファイルによりEMSを調整
し、鋳片の品質予測を行っている。
【0006】上記したように、鋳型銅板1の背面に直角
に挿入孔1bを開けて測温する方法(通常方法)が、実
開平7−21245号に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳型銅
板背面に直角に挿入孔開けて測温する従来方法では、次
のような問題がある。
【0008】水箱の中を通すために、保護管4が腐食
し易く、保護管に腐食孔が空くと熱電対導線5に水がか
かり断線して測温できなくなる。また、保護管フランジ
4aに取り付けたシール材4bが破損すると前記と同
様、熱電対導線5に水がかかり断線して測温できなくな
る。
【0009】前述したように、電磁攪拌装置(EM
S)6が水箱後面板2bに近接して設けてあるので、上
記原因等により使用不能になった熱電対導線を取り替え
るには、鋳型(モールド)を設置場所から取り外して行
なわねばならない。何故なら、図5に示すように、電磁
攪拌装置(EMS)6と水箱後面板2bと間の隙間7が
狭く、鋳型を設置したままで熱電対導線の交換は不可能
であるからである。
【0010】鋳片の品質予測を精度高く行うために
は、鋳型銅板1内部に熱電対をできるだけ多く取付け、
きめ細かい温度プロファイルを得る必用があるが、水箱
2の周りには電磁攪拌装置6等の付属機器があるため、
鋳型銅板背面に直角に挿入孔を開けて測温する従来方法
では、の要求を満足するように、多数の熱電対を取り
付けることは不可能である。
【0011】本発明は、上記のような問題点を解消で
き、鋳型銅板内部の温度を多数点に亘って測温でき、ま
た、鋳型銅板を設置した状態で熱電対の交換ができる連
続鋳造鋳型銅板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を、以
下の鋳型銅板によって達成する。
【0013】請求項1の鋳型銅板は、鋳型銅板上面に開
口した熱電対の挿入孔を有する連続鋳造鋳型銅板であ
る。
【0014】請求項2の鋳型銅板は、鋳型銅板上面の背
面寄りに開口し、底部が溶鋼接触面近くになるように内
部に傾斜して穿孔した熱電対の挿入孔を有する連続鋳造
鋳型銅板である。
【0015】これらの鋳型銅板によれば、熱電対を鋳型
銅板の上面開口から挿入、取付けすることができるか
ら、従来のように、水箱の内部を通して配線しなくてよ
い。これにより、保護管穴あきによる熱電対の断線が無
くなり、熱電対の多数本取付けができ、きめ細かい溶鋼
温度プロファイルを得ることができる。また、鋳型銅板
を設置した状態で熱電対の交換ができるから、短時間で
熱電対を取り替えることができる。
【0016】請求項3の鋳型銅板は、請求項1または2
ものにおいて、挿入深さの異なる熱電対の挿入孔を有す
る連続鋳造鋳型銅板である。
【0017】鋳型銅板に挿入深さが異なる複数種類の挿
入孔を設けて熱電対をセットすれば、複数深さレベルに
おける鋳型銅板内部の温度プロファイルを得ることがで
きる。
【0018】請求項4の鋳型銅板は、請求項1または2
ものにおいて、熱電対挿入孔の先端を円錐状にした連続
鋳造鋳型銅板である。
【0019】熱電対挿入孔の先端を円錐状にすれば、挿
入された熱電対の先端(測温部)が、傾斜面に案内され
て円錐の頂点にセットされる。すなわち、熱電対の先端
(測温部)を鋳型銅板内部の一定位置にセットすること
ができ、鋳型銅板の溶鋼接触面と熱電対先端との距離を
一定寸法にすることができる。なお、挿入孔の先端が平
底の場合、熱電対の挿入加減により先端のセットされる
位置が変わり、鋳型銅板の溶鋼接触面と熱電対先端との
距離が変わることがあるが、上述のようにすれば、これ
を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて以下に説明する。図1は、本発明に係る長辺鋳型銅
板の断面図、図2は、本発明に係る長辺鋳型銅板の一部
背面図、図3は、図2のA−A断面図である。図2に示
すように、鋳型銅板10の背面(図1の10b)には、
その長さ方向に、上端部および下端部を除いて上下に延
びる溝11が間隔を持って複数形成されている。この溝
11は、内部に冷却水を流して溶鋼接触面(図1の10
a)を効率よく冷却するためのものである。13は、鋳
型銅板10の背面に水箱2を前面板2a(図6参照)と
の間に所定の隙間を持たせて取付けるためのスタッド取
付け用のねじ穴である。このねじ穴13のある箇所で
は、隣接する溝11、11の間隔が他の箇所より若干広
くなっている。
【0021】そして、熱電対の挿入孔12が、鋳型銅板
10の上面から一定深さまで穿たれている。この熱電対
の挿入孔12の詳細を図1により説明する。挿入孔12
は、鋳型銅板10上面の背面10b近くに開口し、孔の
底部が鋳型銅板10の溶鋼接触面10aに近くなるよう
に、内部に傾斜して穿孔されている。挿入孔12は、そ
の上部が熱電対5を挿入する孔を設けたキャップ14を
セットする雌ねじを刻設したキャップねじ穴12aとな
っており、これに続き、ねじ穴12aの穴径とほぼ等し
い内径の中間穴12bが穿孔されており、中間穴12b
に続いて中間穴12bより小径の下部穴12cが穿孔さ
れている。そして、熱電対5で溶鋼の温度の変化を精度
よく計測できるように、下部穴12cの底と鋳型銅板の
溶鋼接触面10aの水平距離dを、摩耗を考慮した上
で、できるだけ小さく設計する。例えば、鋳型銅板10
の肉厚が42mmの場合で13mmというように。そし
て、長辺鋳型銅板10c,10d(図5参照)には、4
0〜60mmのピッチで多数の挿入孔12が穿孔されて
いる。例えば、2030mmのものでは、26個の挿入
口12が設けられる。
【0022】なお、下部穴12cの先端(底)が、平底
であると、熱電対5の挿入加減により先端のセットされ
る位置が変わり、鋳型銅板10の溶鋼接触面10aと熱
電対先端との距離dが変わることがある。このようなこ
とを防止するには、先端が円錐のドリルを使用して下部
穴12cの先端を円錐状に加工すればよい。先端を円錐
状にすれば、挿入された熱電対の先端(測温部)が、傾
斜面に案内されて円錐の頂点にセットされる。すなわ
ち、熱電対5の先端(測温部)を鋳型銅板10内部の一
定位置にセットすることができ、鋳型銅板の溶鋼接触面
10aと熱電対5先端との距離を一定寸法にすることが
できる。
【0023】鋳型銅板10の上面に、可動カバー15
が、水箱2上部に張り出して取り付けられている。この
可動カバー15には上面に防塵カバー17の取付け座1
5aが、下面に熱電対5を通すための溝16が形成され
ている。この可動カバー15は、図5に示すように、前
後に配設された長辺鋳型銅板10c,10dの上面全長
に亘って取り付けられている。
【0024】図2は、熱電対の挿入孔の深さを一定にし
た例を示しているが、図4に示すように、挿入深さをL
1とL2の2種類の挿入孔12、12を鋳型銅板10に設
けて熱電対をセットすることもできる。この場合、挿入
深さの深い挿入孔と挿入深さの浅い挿入孔を交互に配設
すると、2種類の深さレベルにおける鋳型銅板内部の温
度プロファイルが得られ、よりきめ細かい鋳造管理(E
MS調整等)が可能となる。なお、鋳型銅板サイズに応
じて、挿入深さを3種類以上としてもよい。
【0025】両長辺鋳型銅板10c,10dの背後に、
水箱2、2が設けられており、両水箱に近接して電磁攪
拌装置(EMS)がそれぞれ設けられている。勿論、両
短辺鋳型銅板10e,10f(10fは左側にあるが図
5では省略してある。)の背後に水箱がそれぞれ設けて
ある。
【0026】熱電対の取付けは、次のように行う。熱電
対ケーブル5aを水箱上の所定位置に仮置きし、図1に
示すように、熱電対5の先端が挿入孔12の底に接触す
るように差し込み、キャップ14をキャップねじ穴12
aにセットする。可動カバー15の溝16に熱電対5を
入れ、可動カバー15を長辺鋳型銅板10c,10dの
上面に取り付ける。防塵カバー17の取付け前に、防塵
カバー下面に設けてある支持金具に熱電対ケーブル5a
を取付け、防塵カバー17を可動カバーに取り付ける。
なお、上述した熱電対の挿入孔を、同じ要領で短辺鋳型
銅板に穿孔して熱電対を取けできることは言うまでもな
い。
【0027】上述のように挿入孔12を設けることによ
り、従来のように、熱電対ケーブルを水箱2の内部を通
して、水箱2と電磁攪拌装置6の間の狭い隙間を通すこ
とによる問題点が解消される。即ち、保護管穴あきに
よる熱電対の断線が無くなる。熱電対の多数本取付け
ができ、きめ細かい温度プロファイルを得ることができ
る。鋳型銅板を設置した状態で熱電対の交換ができ
る。
【0028】
【発明の効果】本発明の鋳型銅板によれば、熱電対を鋳
型銅板の上面開口から挿入、取付けすることができるか
ら、従来のように、水箱の内部を通して配線しなくてよ
い。これにより、保護管穴あきによる熱電対の断線が無
くなり、熱電対の多数本取付けができ、きめ細かい温度
プロファイルを得ることができる。また、鋳型銅板を設
置した状態で熱電対の交換ができるから、短時間で熱電
対を取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳型銅板の断面図である。
【図2】本発明に係る鋳型銅板の一部背面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明に係る挿入深さの異なる挿入孔を設けた
他の鋳型銅板の一部背面図である。
【図5】連続鋳造鋳型の平面図である。
【図6】従来の鋳型一次冷却装置の断面図である。
【符号の説明】
1 鋳型銅板 1a 溝 1b 挿入孔 2 水箱 2a 前面板 2b 後面板 3 隙間 3a シール手段 4 保護管 4b シール材 5 熱電対 5a 熱電対ケーブル 6 電磁攪拌装置 10 鋳型銅板 10b 背面 10a 溶鋼接触面 10c,10d 長辺鋳型銅板 10e,10f 短辺鋳型銅板 11 溝 12 挿入孔 12a キャップねじ穴 12b 中間穴 12c 下部穴 14 キャップ 15 可動カバー 16 溝 17 防塵カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬良 泰三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2F056 CA02 CA15 CL13 4E004 AA09 MA05 PA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型銅板上面に開口した熱電対の挿入孔を
    有することを特徴とする連続鋳造鋳型銅板。
  2. 【請求項2】鋳型銅板上面の背面寄りに開口し、底部が
    溶鋼接触面近くになるように内部に傾斜して穿孔した熱
    電対の挿入孔を有することを特徴とする連続鋳造鋳型銅
    板。
  3. 【請求項3】挿入深さの異なる熱電対の挿入孔を有する
    請求項1または2記載の連続鋳造鋳型銅板。
  4. 【請求項4】熱電対挿入孔の先端を円錐状にした請求項
    1または2記載の連続鋳造鋳型銅板。
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