JP2002111552A - 音響エコーキャンセラ及びハンズフリー電話機 - Google Patents

音響エコーキャンセラ及びハンズフリー電話機

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JP2002111552A
JP2002111552A JP2000301087A JP2000301087A JP2002111552A JP 2002111552 A JP2002111552 A JP 2002111552A JP 2000301087 A JP2000301087 A JP 2000301087A JP 2000301087 A JP2000301087 A JP 2000301087A JP 2002111552 A JP2002111552 A JP 2002111552A
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speaker
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JP2000301087A
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Takehiro Nakai
丈裕 中井
Hiroshi Katayama
浩 片山
Chiharu Kawai
千晴 河合
Hideaki Kurihara
秀明 栗原
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04MTELEPHONIC COMMUNICATION
    • H04M9/00Arrangements for interconnection not involving centralised switching
    • H04M9/08Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic
    • H04M9/082Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic using echo cancellers

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Telephone Function (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハンズフリー通話機能を備える電話機等の音
響エコーキャンセラであって推定動作の安定化及び迅速
化を同時に達成し、通話品質の向上をも実現した音響エ
コーキャンセラ及びハンズフリー電話機を提供する。 【解決手段】 音響機器からの出力が同時にその音響機
器に入力されることにより発生するエコーをキャンセル
するための音響エコーキャンセラであって、音響経路上
の周波数特性と位相特性の変動部分の推定動作を行うア
ダプティブフィルタと、音響経路上の周波数特性と位相
特性の固定部分を模擬する係数固定フィルタと、を有
し、さらに前記係数固定フィルタによって読み出され、
前記音響特性固定部分に対応するフィルタ係数が格納さ
れるメモリを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエコーキャンセラに
関し、特にハンズフリー通話機能を備える電話機(以
下、「ハンズフリー電話機」と称す)等に用いられる音
響エコーキャンセラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハンズフリー電話機は、いちいちハンド
セットを持って話をする必要が無いため、様々な場所や
状況において好適に使用されその使用頻度も高い。しか
しながら、ハンズフリー通話時には一般にスピーカから
出力された音声がマイクに帰還入力されることによって
生じるエコーの問題が存在する。従って、良好な通話を
行うためにはこのエコーをキャンセルする必要がある。
従来からエコーをキャンセルするためのエコーキャンセ
ラに関する多くの研究が為されており、特にスピーカと
マイクを用いる系で発生したエコーをキャンセルするた
めのエコーキャンセラは「音響エコーキャンセラ」と呼
ばれることがある。
【0003】図1は、ハンズフリー電話機等に用いられ
る音響エコーキャンセラの従来のブロック構成例を示し
たものである。図1において、引用符号1はスピーカ用
アンプ、2はスピーカ、3はマイク、4はマイク用アン
プ、5はアダプティブフィルタ、6は加算器、そして7
は音響エコーパスである。なお、ここでは図示されない
が電話機本体は図1の右側に位置する。
【0004】電話機本体により相手側から受信した受信
音声信号は、スピーカ用アンプ1で増幅されて次段のス
ピーカ2から出力される。スピーカ出力の一部は音響エ
コーパス7を経てマイク3に入力され、マイクアンプ4
で増幅された後に加算器6の一方の入力(S−IN)に
入力される。加算器6のもう一方の入力には、前記受信
音声信号の入力(R−IN)によって擬似エコーを発生
するアダプティブフィルタ5の出力信号が入力される。
加算器6の出力信号(S−OUT)はアダプティブフィ
ルタの入力信号(誤差信号)になるとともに、送信音声
信号として電話機本体から相手側に送信される。
【0005】前記アダプティブフィルタ5では、エコー
経路の周波数特性と位相特性、すなわちスピーカ用アン
プ1、スピーカ2、音響エコーパス7、マイク3、及び
マイクアンプ4の合成された周波数特性と位相特性とを
推定し、アダプティブフィルタ5のフィルタ係数がそれ
と等しい特性を持つように逐次フィルタ係数を更新す
る。その結果、アダプティブフィルタ5を通過した受信
音声信号はマイク3に入力されるエコー信号に近い信号
(疑似エコー信号)となり、加算器6の負入力端子
(−)に前記擬似エコー信号を入力することで正入力端
子(+)に入力されるエコー信号がキャンセルされる。
【0006】図2は、アダプティブフィルタ5の一般的
な構成例を示したものである。図2において、x(k)
はアダプティブフィルタ5の入力信号であり、x(k)
が遅延素子Dを通過した信号はx(k−1),x(k−
2),…,x(k−L+1)と表される。各信号x
(k),x(k−1),…,x(k−L+1)にはそれ
ぞれのフィルタ係数w1(k),w2(k),…,wL
(k)が乗算され、その乗算結果の総和がアダプティブ
フィルタ5の出力信号y(k)となる。ここでLはフィ
ルタ係数の総数を表す。
【0007】このような構成のフィルタはFIR(Finit
e Impulse Response)フィルタとして知られており、フ
ィルタ係数の設定により任意の周波数特性と位相特性と
を持たせることができる。フィルタ係数w1(k),w
2(k),…,wL(k)は適応アルゴリズムによって
誤差信号e(k)が最小となるように更新される。初期
状態のフィルタ係数は、一般的にはゼロで初期化され
る。適応アルゴリズムの例としては学習同定法などが知
られている。
【0008】アダプティブフィルタ5の適応動作はR−
IN、誤差信号に基づき、誤差信号が最小となるようフ
ィルタ係数の更新を行う。しかし、誤差信号にはマイク
3に入力される背景雑音やマイクアンプ4の熱雑音など
が含まれる。これらの雑音成分の存在によりアダプティ
ブフィルタ5の周波数特性と位相特性とを近似する適応
動作が妨げられ、アダプティブフィルタ5を通過するこ
とで得られる疑似エコーとS−INの差が大きくなり、
結果としてエコーのキャンセル量が不足する原因とな
る。
【0009】また、アダプティブフィルタ5が推定する
周波数特性と位相特性は、スピーカ用アンプ1、スピー
カ2、音響エコーパス7、マイク3、マイク用アンプ4
の周波数特性及び位相特性である。このうち音響エコー
パス7の周波数特性と位相特性はハンズフリー電話機を
設置する場所に応じて変化するものであるが、残りのス
ピーカ用アンプ1、スピーカ2、マイク3、マイク用ア
ンプ4の周波数特性と位相特性は変化しない。
【0010】図3はスピーカの一特性例を、そして図4
はマイクの一特性例をそれぞれ示したものである。測定
の関係上、それぞれマイク、スピーカ単体の特性の他に
アンプ、PCMコーデック(ITU−T G.712相
当)を通過したものを示している。図4から分かるよう
にマイク特性はフラットな特性であるが、図3に示すス
ピーカ特性は複雑なものとなっている。なお、図示して
いないアンプやPCMコーデックの周波数特性は音声帯
域においてほぼフラットである。その結果、アダプティ
ブフィルタ5の周波数特性と位相特性の推定動作は、そ
の大部分が音響エコーパス7とスピーカ2の周波数特性
及び位相特性の推定に費やされることとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、アダ
プティブフィルタ5が推定すべき周波数特性と位相特性
は、音響エコーパス7とスピーカ2の周波数特性と位相
特性である。このうちスピーカ2の周波数特性と位相特
性はハンズフリー通話毎に変化しないにも係わらず、従
来技術ではそれと音響エコーパス7の周波数特性及び位
相特性とを合わせた推定動作が行われていた。その結
果、複雑なスピーカ特性に更に雑音が加重されると周波
数特性と位相特性の推定が完全に行われず、特にスピー
カ7の周波数特性と位相特性の推定が不十分なものとな
って、エコーのキャンセル動作が不安定になり、またエ
コーキャンセル量が不足する等の問題があった。
【0012】そこで本発明の目的は、上記問題点に鑑
み、スピーカ特性のように周波数特性と位相特性が固定
的な部分と、音響エコーパスのように動作環境によって
周波数特性と位相特性が変動する部分とを明確に区別
し、前者については固定的なフィルタ特性を与え、そし
て後者についてのみフィルタ特性の推定動作をさせるこ
とによって、推定動作の安定化及び迅速化を同時に達成
し、且つ更なる通話品質の向上をも実現した音響エコー
キャンセラを提供することにある。本発明によれば、現
状のハンズフリー電話機等に特別な手段を付加すること
なく、既存の電話機部品、CPU若しくはDSP関連部
品等、を好適に適用することで上記目的が達成される。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、音響機
器からの出力が同時にその音響機器に入力されることに
より発生するエコーをキャンセルするための音響エコー
キャンセラであって、音響経路上の周波数特性と位相特
性の変動部分の推定動作を行うアダプティブフィルタ
と、音響経路上の周波数特性と位相特性の固定部分を模
擬する係数固定フィルタと、を有する音響エコーキャン
セラが提供される。
【0014】また本発明によれば、受信音声信号側のス
ピーカと、送信音声信号側のマイクと、前記受信音声信
号側からの受信音声信号に所定の音響特性を付与する係
数固定フィルタと、少なくともスピーカを含み、所定の
音響エコーパス及びマイクに至るまでのそれぞれの音響
経路に対応した音響特性のフィルタ係数を格納し、それ
を前記係数固定フィルタに与えるメモリと、前記係数固
定フィルタからの出力をもとに音響エコーパスの推定動
作を行うアダプティブフィルタと、前記マイク及びマイ
ク用アンプからの送信音声信号より前記アダプティブフ
ィルタからの出力を減算し、その誤差信号を前記アダプ
ティブフィルタの推定動作制御信号として出力する制御
部と、を有するハンズフリー電話機が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】図5は、本発明による音響エコー
キャンセラの基本構成例を示したものである。図5に示
すように、本発明による音響エコーキャンセラは、従来
のアダプティブフィルタ5に加えてさらに任意の周波数
特性と位相特性を固定的にフィルタリング処理するため
のフィルタ8とそのフィルタ係数を記憶するメモリ9と
を備える。フィルタ8は、従来方式によるアダプティブ
フィルタ5の入力側(R−IN)に配置され、入力され
た受信音声信号をメモリ9から読み出したフィルタ係数
を用いてフィルタリング処理し、その出力をアダプティ
ブフィルタ5の入力(R−IN)に入力する。
【0016】メモリ9には、スピーカ2の周波数特性や
位相特性の測定結果により得られたフィルタ係数が格納
されるため、フィルタ8がメモリ9からのフィルタ係数
を用いて処理した結果はスピーカ2の出力音声と同じに
なる。従って、本発明によればアダプティブフィルタ5
はスピーカ2の周波数特性と位相特性を推定する必要が
なくなる。
【0017】すなわち、従来方法ではスピーカ2の複雑
な周波数特性及び位相特性のアダプティブフィルタ5に
よる推定が雑音等の存在によって十分に達成できなかっ
たが、本発明によるフィルタ8を用いることによって前
記推定が完全に完了したのと等価な状態が初期状態とし
提供される。よって、本発明のアダプティブフィルタ5
は音響エコーパス7の推定のみを行えばよく、十分なエ
コーキャンセル量と迅速なエコーキャンセル動作の収束
が可能となり、それにより通話品質が一層向上される。
【0018】なお、上記では特に複雑な特性を有するス
ピーカ2の周波数特性や位相特性のみを対象にフィルタ
8及びメモリ9を使用することを述べたが、それに限ら
ず固定的な周波数特性や位相特性を有する部分、すなわ
ちスピーカ用アンプ1、スピーカ2、マイク3、及びマ
イク用アンプ4から成る合成周波数特性及び合成位相特
性を対象に含めてもよく、さらには変動する音響エコー
パス7についても特定の環境特性、例えば無響室や特定
車両内の周波数特性や位相特性等、をもその対象に含め
ることができる。
【0019】図6は、図1の基本構成例による第1の態
様例を示したものである。図6では新たにインパルス応
答算出用信号発生器10と、インパルス応答算出用信号
発生器10と受話信号を切り替えるスイッチ11を備え
ている。上述した本発明により、フィルタ8のフィルタ
係数としてメモリ9に保存すべきスピーカ2の周波数特
性と位相特性を測定する際に、インパルス応答算出用信
号発生器10と受話信号を切り替えるスイッチ11をイ
ンパルス応答算出用信号発生器10の側に変える。
【0020】実際には、インパルス応答算出用信号発生
器10やスイッチ11はハンズフリー電話機回路内のC
PU若しくはDSP回路等を用いて構成されるため、別
途部品や配線を追加すること無く音響特性の測定に最適
なインパルス応答算出用信号を直接発生させることが可
能である。本態様例では、スピーカ2の直近くに音響測
定器13が設置され、スピーカ2だけの周波数特性と位
相特性(正確には、斜線で示したスピーカ用アンプ1と
スピーカ2の周波数特性と位相特性)を測定した後、そ
れをもとに計算されたフィルタ8のフィルタ係数がマニ
ュアル操作等によってメモリ9に書き込まれる。
【0021】一方、図7は、図1の基本構成例による第
2の態様例を示したものである。図7では、図6のイン
パルス応答算出用信号発生器10及び受話信号を切り替
えるスイッチ11に加えて、さらにインパルス応答算出
回路12を備え、本発明の音響キャンセラ自体で(実際
には、ハンズフリー電話機自体で)推定したインパルス
応答を自らメモリ9に保持することが出来る構成として
いる。
【0022】本態様例では、インパルス応答算出用信号
発生器10で生成した信号が、スピーカ用アンプ1、ス
ピーカ2、音響エコーパス7を経てマイク3に入力さ
れ、マイク用アンプ4、加算器6を経てインパルス応答
算出回路12に入力され、インパルス応答算出回路12
がインパルス応答算出用信号発生器10と同期して動作
することでインパルス応答を算出し、それをメモリ9に
保持する。
【0023】本態様例でも、インパルス応答算出回路1
2は、インパルス応答算出用信号発生器10やスイッチ
11と同様にハンズフリー電話機回路内のCPU若しく
はDSP回路等を用いて構成されるため別途部品や配線
を追加する必要は無い。本態様例では、さらにインパル
ス応答算出回路12で算出されたインパルス応答の算出
結果がフィルタ係数としてメモリ9へ自動的に書き込ま
れる。正確には、斜線で示したスピーカ用アンプ1、ス
ピーカ2、音響エコーパス7、マイク3、マイク用アン
プ4の周波数特性と位相特性の測定結果にもとづくフィ
ルタ係数がメモリ9に書き込まれる。なお、音響エコー
パス7から外乱を排除するため無響室等での測定が行わ
れる。
【0024】図8は本発明の第1の実施例を示したもの
である。本実施例は図5に示した本発明の基本構成例に
対応しており、ここではフィルタ8にFIRフィルタ
を、そしてメモリ9に不揮発性のフラッシュメモリをそ
れぞれ使用している。なお、その他のスピーカ用アンプ
1、スピーカ2、音響エコーパス7、マイク3、マイク
用アンプ4、アダプティブフィルタ5、加算器6の各動
作は従来例と同様である。
【0025】図9には、FIRフィルタ8、フラッシュ
メモリ9、アダプティブフィルタ5、加算器6からなる
詳細な回路ブロック例を示している。受信信号は、フィ
ルタ係数をフラッシュメモリ9から読み出して使用する
FIRフィルタ8に入力される。フラッシュメモリ9に
格納されているフィルタ係数は、別途測定しておいたス
ピーカ2のインパルス応答である。このスピーカのイン
パルス応答の例を図10に示す。このインパルス応答
は、無響室等の雑音の存在しない環境で測定したもので
ある。
【0026】一例として、インパルス応答のサンプリン
グ値から64タップのFIRフィルタ8を構成するよう
な場合には、フラッシュメモリ9の128バイト領域が
使用される。スピーカ2のインパルス応答をFIRフィ
ルタのフィルタ係数として利用することで、先に述べた
ようにFIRフィルタ8の出力はスピーカ2の出力音声
と同じになる。すなわち、ハンズフリー電話機等の使用
環境の雑音に係わらずスピーカの周波数特性と位相特性
の推定が完全に行われた状態と等価になる。なお、固定
係数が与えられるFIRフィルタ8の回路動作は公知の
ものであり、さらにアダプティブフィルタ5についても
既に図2で説明しているため、ここではそれらについて
説明しない。
【0027】図11は、本発明の第2の実施例を示した
ものである。本実施例は図6に示した本発明の第1の態
様例に対応しており、ここでも図8と同様にフィルタ8
にFIRフィルタを、そしてメモリ9に不揮発性のフラ
ッシュメモリを使用している。本例では、さらに図6の
インパルス応答算出用信号発生器としてM系列信号発生
器10を使用している。
【0028】スピーカのインパルス応答を測定する際に
は、スイッチ11をM系列信号発生器10側に切り替え
てスピーカ2よりM系列信号を出力する。出力されたM
系列信号は、図6の測定器13に示すようにマイクによ
って収録され、それをもとによりスピーカ2のインパル
ス応答を算出する。M系列信号の出力からインパルス応
答を算出する手法については、例えば日本音響学会誌5
2巻10号(1996)pp.752−759などに記
載されており、M系列法ではM系列(maximumlength se
quence)と呼ばれる白色性擬似ランダム雑音が測定に使
用される。
【0029】なお、収録したインパルス応答に時間的な
ずれが発生する可能性がある。しかしながら、本来のイ
ンパルス応答に対する相違が時間的なずれのみであれ
ば、FIRフィルタ8の後段に位置するアダプティブフ
ィルタ5によって時間的なずれが吸収されるため、性能
が低下したりすることはない。このようにハンズフリー
電話機等の内部回路でM系列発生器10を構成し、受信
信号とM系列信号発生器とを切り替えることで、フラッ
シュメモリ9に設定すべきスピーカ2のインパルス応答
の測定を既存の電話機部品や配線をそのまま利用して行
うことができる。
【0030】図12は、本発明の第3の実施例を示した
ものである。本実施例は図7に示した本発明の第2の態
様例に対応しており、これはまた図11の第2の実施例
において送話信号から分岐した個所にインパルス応答算
出回路12を付加したものである。このような構成にす
ることで、スイッチ11をM系列発生回路10の側に切
り替えるだけで、ハンズフリー電話機等それ自体で、フ
ラッシュメモリ9に設定すべきインパルス応答を自動的
に設定できるようになる。
【0031】また、これまで述べた本発明の実施に当た
っては、FIRフィルタ8を離散フーリエ変換と、離散
フーリエ変換の結果とフラッシュメモリに格納されたフ
ィルタ係数との乗算と、逆離散フーリエ変換とに置き換
えることが可能である。これにより、フィルタ8におけ
る演算処理の高速化が図れる可能性があることは容易に
類推できる。さらに、M系列信号発生回路10をインパ
ルス発生回路やTSP(Time Stretched Pulse)信号発
生回路に置き換えて、それぞれに適するインパルス応答
の測定方法に置き換えることが可能であることも容易に
類推できる。
【0032】図13には、図11の第2の実施例で算出
したインパルス応答より求めた周波数特性の一例を示し
ている。一方、図14には、図12の第3の実施例で算
出したインパルス応答より求めた周波数特性の一例を示
している。いずれの場合も、インパルス応答の算出地点
は送信音声の信号ライン上である。図13の特性にはF
IRフィルタ8によるスピーカ用アンプ1及びスピーカ
2の特性が含まれるのに対し、図14の場合にはスピー
カ用アンプ1、スピーカ2、音響エコーパス7、マイク
3、及びマイク用アンプ4の全ての特性が含まれる。こ
のように本発明構成を備えることで、アダプティブフィ
ルタ5の推定動作が軽減され、一層正確で且つ迅速な推
定動作が期待される。
【0033】図15は、図1の従来例と図14の特性を
もつ本発明の第3の実施例との適合動作の収束速度及び
残留エコー量の比較例を示したものである。ここでは点
線が本発明の場合を示しており、実線が従来例を示して
いる。これより、本発明の方が明らかに収束速度で優
り、また残留エコーでも2dBほどの改善が見られる。
さらに、収束時の変動量も少なく安定した収束動作が期
待される。
【0034】(付記1) 受信音声信号側のスピーカ
と、送信音声信号側のマイクと、前記受信音声信号側か
らの受信音声信号に所定の音響特性を付与する係数固定
フィルタと、少なくともスピーカを含み、所定の音響エ
コーパス及びマイクに至るまでの音響経路に対応した音
響特性のフィルタ係数を格納し、それを前記係数固定フ
ィルタに与えるメモリと、前記係数固定フィルタからの
出力をもとに音響エコーパスの推定動作を行うアダプテ
ィブフィルタと、前記マイク及びマイク用アンプからの
送信音声信号より前記アダプティブフィルタからの出力
を減算し、その誤差信号を前記アダプティブフィルタの
推定動作制御信号として出力する制御部と、を有するこ
とを特徴とするハンズフリー電話機。 (付記2) さらに、受信音声信号側にインパルス応答
算出用信号発生回路を有し、そこからのインパルス応答
算出用信号は前記スピーカを介して出力される、付記1
記載の電話機。 (付記3) さらに、受信音声信号側に前記インパルス
応答算出用信号又は受信音声信号を与えるスイッチを有
する、付記2記載の音響キャンセラ。 (付記4) さらに、送信音声信号側で前記マイクを介
して受信した前記インパルス応答算出用信号からインパ
ルス応答を算出し、その算出結果であるフィルタ係数値
を前記メモリに格納するためのインパルス応答算回路を
有する、付記2又は3記載の電話機。
【0035】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によれ
ば、アダプティブフィルタに入力される前にスピーカの
インパルス応答をフィルタ係数として係数固定のフィル
タでフィルタリングすることで、従来は雑音が存在する
ために達成し得なかったスピーカの周波数特性と位相特
性の推定が完全に行われた状態が実現され、エコーキャ
ンセル量が顕著に向上する。
【0036】また本発明によれば、メモリに記録される
インパルス応答に時間的なずれが有ったとしても、本来
のインパルス応答に対する相違が時間的ずれだけであれ
ば、後段に位置するアダプティブフィルタ5によって時
間的なずれが吸収されるため、性能が低下することが無
い。その結果、メモリ9に設定するインパルス応答の設
定に対する制限が緩やかになり、動作も安定化される。
【0037】さらに本発明によれば、インパルス応答算
出用信号発生器、及び受信信号とインパルス応答算出用
信号発生器とを切り替えるスイッチを備えることで、メ
モリに設定すべきスピーカのインパルス応答の測定をハ
ンズフリー電話機等の内部回路部品や配線だけで行うこ
とができ、別の部品を追加したり改造したりする必要は
ない。
【0038】さらにまた本発明によれば、送話信号から
分岐した個所にインパルス応答算出回路12を備えるこ
とで、メモリに設定すべきスピーカのインパルス応答
を、パス切り替えスイッチをインパルス応答算出用信号
発生器の側に切り替えるだけで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の音響エコーキャンセラのブロック構成例
を示した図である。
【図2】アダプティブフィルタの一構成例を示した図で
ある。
【図3】スピーカの一特性例を示した図である。
【図4】マイクの一特性例を示した図である。
【図5】本発明による音響キャンセラの基本構成例を示
した図である。
【図6】図5の基本構成による第1の態様例を示した図
である。
【図7】図5の基本構成による第2の態様例を示した図
である。
【図8】本発明の第1の実施例を示した図である。
【図9】演算ブロックの一構成例を示した図である。
【図10】スピーカのインパルス応答の一例を示した図
である。
【図11】本発明の第2の実施例を示した図である。
【図12】本発明の第3の実施例を示した図である。
【図13】第2の実施例で算出したインパルス応答より
求めた周波数特性の一例を示した図である。
【図14】第3の実施例で算出したインパルス応答より
求めた周波数特性の一例を示した図である。
【図15】従来例と本発明の第3の実施例との適合動作
の収束速度及び残留エコー量の比較例を示した図であ
る。
【符号の説明】
1…スピーカ用アンプ 2…スピーカ 3…マイク 4…マイク用アンプ 5…アダプティブフィルタ 6…加算器 7…音響エコーパス 8…フィルタ 9…メモリ 10…インパルス応答算出用信号発生器 11…スイッチ 12…インパルス応答算出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 千晴 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 栗原 秀明 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 5K027 AA00 BB03 DD10 HH03 5K046 AA02 BA05 BB01 CC29 HH14 HH19 HH26 HH29 HH37 HH79

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響機器からの出力が同時にその音響機
    器に入力されることにより発生するエコーをキャンセル
    するための音響エコーキャンセラであって、 音響経路上の周波数特性と位相特性の変動部分の推定動
    作を行うアダプティブフィルタと、 音響経路上の周波数特性と位相特性の固定部分を模擬す
    る係数固定フィルタと、を有することを特徴とする音響
    エコーキャンセラ。
  2. 【請求項2】 さらに、前記係数固定フィルタによって
    読み出され、前記周波数特性と位相特性の固定部分に対
    応するフィルタ係数が格納されるメモリを備える、請求
    項1記載の音響エコーキャンセラ。
  3. 【請求項3】 さらに、前記音響機器のインパルス応答
    を算出するための信号を発生するインパルス応答算出用
    信号発生部を有する、請求項2記載の音響エコーキャン
    セラ。
  4. 【請求項4】 さらに、前記音響機器に入力される前記
    インパルス応答算出用信号からインパルス応答を算出
    し、その算出結果であるフィルタ係数値を前記メモリに
    格納するインパルス応答算出部を備える、請求項3に記
    載の音響エコーキャンセラ。
  5. 【請求項5】 受信音声信号側のスピーカと、 送信音声信号側のマイクと、 前記受信音声信号側からの受信音声信号に所定の音響特
    性を付与する係数固定フィルタと、 少なくともスピーカを含み、所定の音響エコーパス及び
    マイクに至るまでの音響経路に対応した音響特性のフィ
    ルタ係数を格納し、それを前記係数固定フィルタに与え
    るメモリと、 前記係数固定フィルタからの出力をもとに音響エコーパ
    スの推定動作を行うアダプティブフィルタと、 前記マイク及びマイク用アンプからの送信音声信号より
    前記アダプティブフィルタからの出力を減算し、その誤
    差信号を前記アダプティブフィルタの推定動作制御信号
    として出力する制御部と、を有することを特徴とするハ
    ンズフリー電話機。
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