JP2002105853A - 防汚性繊維シート - Google Patents

防汚性繊維シート

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JP2002105853A JP2000293251A JP2000293251A JP2002105853A JP 2002105853 A JP2002105853 A JP 2002105853A JP 2000293251 A JP2000293251 A JP 2000293251A JP 2000293251 A JP2000293251 A JP 2000293251A JP 2002105853 A JP2002105853 A JP 2002105853A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成繊維からなる織物、編物、不織布
等の繊維シートに対する土砂や浮遊塵埃、煤煙等の乾性
汚れおよび油性汚れを付着し難くし、かつ付着した乾性
汚れおよび油性汚れを洗濯で落ち易くし、しかも耐久性
を向上させ、カーテン、壁掛、幕、旗、壁紙、襖紙等の
屋内外装置用として好適な繊維シートを提供する。 【解決手段】 合成繊維からなる繊維シート11の構
成繊維表面にフッ素系樹脂からなる下地被膜12を形成
し、この下地被膜12の上にSi O2 を主成分とするセ
ラミックスからなる透明な外面被膜13を物理蒸着によ
り形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、土砂や浮遊塵
埃、煤煙のような乾性汚れおよび油性汚れが付着し難
く、落ち易い防汚性繊維シートに関し、特にカーテン、
壁掛、幕、旗、壁紙、襖紙等の屋内外装置用として好適
なものである。
【0002】
【従来の技術】布帛を構成する繊維に土砂や浮遊塵埃、
煤煙等の乾性汚れを付き難くし、かつ付着した乾性汚れ
を洗濯で落ち易くするため、布帛に糊付け加工を施すこ
とが知られているが、この方法は木綿布帛に対しては有
効であっても、親油性で黒ずみ易い合成繊維布帛に対し
ては効果がほとんど無く、しかも洗濯の度に糊付けが必
要であった。また、シリカとアルミナの混合コロイド分
散液で布帛を処理し、無色のコロイド微粒子で繊維表面
の微細間隙を埋めて平滑化することが知られているが、
これも木綿布帛に対しては効果があっても、合成繊維布
帛に対しては効果がなく、しかも耐久性に欠けるという
問題があった。
【0003】一方、合成繊維布帛の汚れを防ぐ手段とし
て、SR加工が知られているが、この方法は油性汚れの
付着をある程度防止できても、いったん付着すると落ち
難く、かつ乾性汚れの繊維内部への分散、浸透に対して
は効果が無かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、合成繊維
からなる織物、編物、不織布等の繊維シートに対する土
砂や浮遊塵埃、煤煙等の乾性汚れおよび油性汚れの双方
を付着し難くし、かつ付着した上記の乾性汚れおよび油
性汚れの双方を洗濯で落ち易くし、しかも上記繊維シー
トの通気性を阻害することなく、耐久性を向上させ、も
ってカーテン、壁掛、幕、旗、壁紙、襖紙等の屋内外装
置用として好適な繊維シートを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る防汚性繊
維シートは、合成繊維からなる繊維シートの構成繊維表
面にフッ素系樹脂からなる透明な下地被膜が形成され、
この下地被膜の上にSiO2 を主成分とするセラミック
スからなる透明な外面被膜が物理蒸着により形成されて
いることを特徴とする。
【0006】この発明で用いる繊維シートは、ナイロン
繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、
アラミド繊維等の合成繊維からなる織物、編物、不織布
等の可撓性を有する任意の繊維シートである。用途とし
ては、特にカーテン、壁掛、幕、旗、壁紙、襖紙等の屋
内外装置用として、乾性汚れの付着し易い環境下で使用
されるものが好ましい。そして、この繊維シートは、無
地でもよく、また先染めもしくは捺染による柄模様を有
するものでもよく、またエンボス模様を有するものでも
よい。
【0007】この発明の防汚性繊維シートは、表裏両面
がSi O2 を主成分とするセラミックスからなる透明な
外面被膜で被覆されるが、この外面被膜の形成に先立
ち、この発明では、上記繊維シートを構成する繊維の表
面にフッ素系樹脂からなる下地被膜が形成される。この
下地被膜は、編織物の通気性防水加工または防汚加工と
同様に、一フッ化エチレン、二フッ化エチレン、三フッ
化エチレンまたは四フッ化エチレンの単独重合体または
共重合体等のフッ素系樹脂を乳化エマルジョンの形で繊
維シートに含浸または塗布し、乾燥、熱処理を施すこと
により、繊維を被覆し、繊維シートの目を塞がない程度
に形成される。なお、この下地被膜の好ましい厚さは、
0.1〜10μmであり、0.1μm未満では効果がな
く、10μmを超えると被膜の透明性および繊維シート
の通気性が失われ、かつ加工コストが増して不経済であ
る。
【0008】そして、上記の下地被膜が形成された繊維
シートの表裏両面がSi O2 を主成分とするセラッミッ
クスからなる透明な外面被膜で被覆される。この外面被
膜は、硬質であるため、上記の土砂や浮遊塵埃、煤煙等
の乾性汚れの繊維内部への食い込みを防ぎ、その付着を
困難にし、しかも被膜表面が親水性で、流滴特性に優れ
ていて表面を水が流れ易いため、付着した汚れを雨水ま
たは水洗で流して容易に除去することができる。そし
て、上記セラミックスの主成分となるSi O2 は、硬質
ではあるが、他のセラミックスに比べると軟らかいた
め、繊維および上記のフッ素樹脂からなる下地被膜との
馴染みが良好であり、透明であることとあいまって繊維
シートの風合いが損なわれない。
【0009】また、この発明では、繊維シートが合成繊
維で構成され、上記の外面被膜が真空蒸着、スパッタ蒸
着およびイオンビーム法等の物理蒸着で固定されるた
め、得られた外面被膜は、耐久性に優れ、使用中および
洗濯時に脱落することはない。特に、スパッタ蒸着およ
びイオンビーム法によれば、優れた耐久性がえられる。
しかも、繊維シートを構成する合成繊維と外面被膜との
間にフッ素系樹脂からなる下地被膜が介在するため、合
成繊維の表面に外面被膜を直接形成した場合に比べ、外
面被膜の耐剥離性が著しく向上し、かつ油性汚れや乾性
汚れが付着し難くなり、また付着した汚れが落ち易くな
る。
【0010】そして、スパッタ蒸着時に繊維シートを反
対側から冷却して蒸着物を急冷した場合は、外面被膜が
結晶構造とならず、アモルファス構造で、かつ極めて微
細な針状体の密な集合体となるため、フィルムの手触り
とならずに繊維シートの風合いが維持され、かつ繊維シ
ートを構成する繊維を屈曲させても上記針状体が剥離せ
ず、耐久性が一層向上する。
【0011】上記の外面被膜は、Si O2 のみで形成し
てもよいが、Si O2 を主成分とするセラミックスであ
れば、この発明の目的を阻害しない範囲で他のセラミッ
クスを含むことができる。例えば、Si O2 を主成分と
し、Sn O2 を副成分とするセラミックスは、スパッタ
蒸着が容易になると共に、Sn O2 が硬いため、乾性汚
れに対する防汚性が向上する。そして、Si O2 とSn
2 とからなる外面被膜は、親水性や流滴特性に優れる
ため、表面を水が流れ易く、汚れ落ちが改善される。ま
た、上記の外面被膜は、Si O2 を主成分とし、Sn O
2 およびZn Oを副成分とするセラミックスで形成した
場合は、Zn Oが導電性を有するので、静電気による汚
れ付着の防止に有効である。
【0012】上記のSi O2 からなる外面被膜は、ケイ
素からなる板をスパッタ装置のターゲットに用い、微量
の酸素を含む雰囲気下でスパッタリングし、ケイ素を酸
化しながら繊維シートの表面に固着することによって容
易に得られる。また、Si O2とSn O2 とからなる外
面被膜は、ケイ素と錫の混合粉末の焼結板をターゲット
に用い、上記同様にスパッタリングすることによって得
られる。また、Si O2、Sn O2 およびZn Oからな
る外面被膜は、ケイ素、錫および亜鉛の三者の焼結板を
ターゲットにし、またはケイ素と錫の焼結板および亜鉛
板を混合配列してターゲットにし、上記同様にスパッタ
リングすることによって得られる。
【0013】なお、上記外面被膜の厚みは1〜200n
mが好ましく、1nm未満では外面被膜としての効果が
得られず、かつ耐久性に乏しくなり、反対に200nm
を超えると、繊維シートの風合いが失われ、かつ透明度
が低下し、繊維シート上の模様が見え難くなり、好まし
くない。
【0014】
【発明の実施の形態】図1において、10はこの発明に
係る防汚性繊維シートであり、経糸11aおよび緯糸1
1bにポリエステル繊維等の合成繊維からなるマルチフ
ィラメント糸または紡績糸を用いて製織されたカーテン
地等の屋内外装置用として好適な繊維シート11と、上
記の経糸11a、緯糸11bの表面を被覆する下地被膜
12および該下地被膜12を被覆する外面被膜13とで
構成されている。
【0015】上記の繊維シート11は、製織して精錬、
セットを施し、更に染色、乾燥、熱セットを施した後、
四フッ化エチレン樹脂の微細粉末およびメラミン樹脂の
初期縮合物を含む乳化エマルジョンに浸漬し、マングル
で絞って乾燥し、熱セットを施すことにより、下地被膜
12を形成する。この下地被膜12の厚みは、上記繊維
シート11の通気性を阻害しない程度の0.1〜10μ
mに設定される。
【0016】そして、上記下地被膜12の上にSi O2
を主成分とする外面被膜13が1〜200nmの厚みに
形成される。なお、この外面被膜13は、好ましくはス
パッタリングにより形成される。すなわち、上記の下地
被膜12を有する繊維シート11、すなわち下地被膜付
き繊維シート11Aを広げて密閉チャンバー内に置き、
その表面に対向してアノードおよびターゲットを、アノ
ードが下地被膜付き繊維シート11Aとターゲットの間
に位置するように配置し、真空下で上記のアノードとタ
ーゲット間に高電圧を加えてスパッタリングを行う。
【0017】図2は、上記の密閉チャンバー内に2組の
蒸着装置を並設した2段式スパッタ装置を示す。図2に
おいて、20は密閉チャンバーであり、その中央部左右
に第1水冷シリンダー21および第2水冷シリンダー2
2が並設され、左側の第1水冷シリンダー21が反時計
方向に、また右側の第2水冷シリンダー22が時計方向
にそれぞれ駆動により回転する。
【0018】上記第1水冷シリンダー21の上方に前記
下地被膜付き繊維シート11Aの送出し軸23が、また
上記第2水冷シリンダー22の上方に加工後の繊維シー
ト、すなわち防汚性繊維シート10の巻取り軸24がそ
れぞれ回転自在に設置される。そして、送出し軸23か
ら引出された下地被膜付き繊維シート11Aは、第1ガ
イドローラ25aを経て第1水冷シリンダー21に上記
下地被膜付き繊維シート11Aの裏面が接するように巻
回され、この第1水冷シリンダー21から第2ガイドロ
ーラ25bを経て離脱し、上方の第3ガイドローラ25
c、右上の第4ガイドローラ25dに導かれて上記送出
し軸23の上を通り、下方の第5ガイドローラ25eを
経て第2水冷シリンダー22に上記下地被膜付き繊維シ
ート11Aの表面が接するように巻回され、この第2水
冷シリンダー22から第6ガイドローラ25fを経て離
脱し、上記の巻取り軸24に引取られる。
【0019】上記の第1水冷シリンダー21および第2
水冷シリンダー22の下方には、それぞれ左右一対の第
1アノード27および第2アノード28が設置される。
そして、第1アノード27および第2アノード28の下
方にそれぞれ水冷式の第1ターゲットソース29および
第2ターゲットソース30が設置され、これら第1ター
ゲットソース29および第2ターゲットソース30の上
にケイ素からなる平板状ターゲット31がそれぞれ固定
され、第1アノード27と第1ターゲットソース29の
間および第2アノード28と第2ターゲットソース30
の間にそれぞれ電圧200〜1000Vの直流電源Eが
介設される。
【0020】上記の構造において、送出し軸23、巻取
り軸24および水冷シリンダー21、22を回転し、送
出し軸23から下地被膜付き繊維シート11Aを所定の
速度で送出し、第1水冷シリンダー21および第2水冷
シリンダー22に順に接触させて巻取り軸24で引取り
ながら、第1水冷シリンダー21では上記の下地被膜付
き繊維シート11Aを裏側から冷却し、また第2水冷シ
リンダー22では上記の下地被膜付き繊維シート11A
を表側から冷却する。一方、密閉チャンバー20に接続
されている真空ポンプ(図示されていない)を駆動して
密閉チャンバ20の内部圧力を1.3×10-3Pa 程度
に減圧し、次いでガスボンベ(図示されていない)から
アルゴンガスを導入して上記密閉チャンバ20の内部圧
力を6.6×10-2Pa 程度に調整し、更に酸素ボンベ
(図示されていない)から酸素を導入してチャンバ20
内圧力を2.6×10-1Pa 程度に調整する。
【0021】次いで、上記の第1アノード27および第
1ターゲットソース29間に直流電圧を印加して平板状
ターゲット31から前記のケイ素を飛び出させ、密閉チ
ャンバー20内の酸素と反応させて酸化物とし、これら
を第1水冷シリンダー21上の下地被膜付き繊維シート
11Aの表面に付着させ、急冷してアモルファス構造の
外面被膜13(図1参照)を形成する。このとき、下地
被膜付き繊維シート11Aの送り速度を調整することに
より、外面被膜13の厚さを1〜200nmに形成す
る。
【0022】このようにして第1水冷シリンダー21に
おけるスパッタリングが進み、下地被膜付き繊維シート
11Aと表側の外面被膜13とからなる中間製品が第2
水冷シリンダー22に到達したとき、前記の第2アノー
ド28および第2ターゲットソース30間に直流電圧を
印加して平板状ターゲット31から前記同様にケイ素を
飛び出させ、これらを密閉チャンバー20内の酸素と反
応させて酸化物とし、これらを前記同様に下地被膜付き
繊維シート11Aの裏面に付着させ、急冷してアモルフ
ァス構造の外面被膜13(図1参照)を厚み1〜200
nmに形成する。そして、送り出し軸23に巻かれた下
地被膜付き繊維シート11Aの全体が巻取り軸24に移
行し終わると、密閉チャンバー20内に大気が導入さ
れ、密閉チャンバー20から前記下地被膜付き繊維シー
ト11Aの表裏両面に厚み1〜200nmの外面被膜1
3を備えた防汚性繊維シート10が取出される。
【0023】上記の実施形態は、1個の密閉チャンバー
20内に水冷シリンダー21、22、アノード27、2
8、ターゲットソース29、30からなる蒸着装置を2
組設置し、上記下地被膜付き繊維シート11Aを広げて
移送しながら、第1の蒸着装置で表面の外面被膜13を
形成し、続いて第2の蒸着装置で裏面の外面被膜13を
形成するものであるが、密閉チャンバー内に1組の蒸着
装置を設置し、前記下地被膜付き繊維シート11Aの表
面にSi O2 からなる外面被膜13を形成した後、上記
の下地被膜付き繊維シート11Aを取出し、次いでこの
下地被膜付き繊維シート11Aを裏返して再び上記の密
閉チャンバー内に装着し、裏面に外面被膜13を形成し
て防汚性繊維シート10を取出すこともできる。ただ
し、図2の装置を用いると、密閉チャンバーに対する下
地被膜付き繊維シート11Aの着脱や上記チャンバーの
減圧の手間が半減する。
【0024】また、上記の実施形態は、ターゲット27
をケイ素で作り、Si O2 のみからなる外面被膜13を
形成するものであるが、上記のターゲット27としてケ
イ素と錫とが9/1〜6/4の比率で混合された焼結板
を用い、その他は上記同様にスパッタリングすることに
より、Si O2 を主成分とし、Sn O2 を副成分とする
外面被膜13が得られ、蒸着が容易になると共に乾性汚
れに対する防汚性が改善される。また、上記ターゲット
27を構成する錫の10〜50重量%を亜鉛で置換して
上記同様にスパッタリングすることにより、Si O2
主成分とし、SnO2 およびZn Oを副成分とする外面
被膜13が得られ、帯電汚れに対する防汚性が改善され
る。
【0025】
【実施例】実施例 ポリエチレンテレフタレート繊維からなる30番手の紡
績糸を経糸11aおよび緯糸11bに用い、経糸密度お
よび緯糸密度が両者共80本/インチ(31.5本/c
m)の平織物(繊維シート11)を製織し、炭酸ナトリ
ウム(2g/l)およびノニオン系界面活性剤(5g/
l、花王株式会社製「スコアロール900」)を用い、
液流染色機により、浴比1:20で100℃×20分の
精錬を行い、十分に水洗し、乾燥し、しかるのち熱セッ
トを180℃で60秒間行った。
【0026】次いで、フッ素系撥水剤(旭硝子株式会社
製「アサヒガードAG925」)の2%水溶液に上記精
錬後の繊維シート11をディッピングし、マングルによ
り絞り率70%に絞り、乾燥し、熱処理を170℃×6
0秒間行って、上記繊維シート11に厚み0.5μmの
下地被膜12を形成した。
【0027】続いて、得られた下地被膜付き繊維シート
11Aを図2のスパッタリング装置の送出し軸23に取
付け、ケイ素および錫が7/3の比率で混合された焼結
板をターゲット31に用いてスパッタ蒸着を行い、上記
下地被膜付き繊維シート11Aの表裏両面にSi O2
よびSn O2 が7/3の比率で混在する厚み5nmの外
面被膜13を形成し、実施例の防汚性繊維シート10を
得た。
【0028】比較例1 上記の実施例に用いた平織物(繊維シート11)を、実
施例と同様に精錬し、水洗、乾燥し、熱セットを行い、
以後の処理を省略することにより、上記の下地被膜12
および外面被膜13の両者を有しない比較例1の繊維シ
ートを得た。
【0029】比較例2 上記の実施例において、スパッタ蒸着を省略する以外は
実施例と同様にして、実施例と同様の下地被膜12は有
するが、外面被膜を有しない比較例2の繊維シートを得
た。
【0030】比較例3 上記の実施例において、下地被膜12の形成工程を省略
する以外は、実施例と同様にして精錬後の繊維シート1
1に直接上記のSi O2 およびSn O2 の7/3混合物
からなる外面被膜13を形成して比較例3の防汚性繊維
シートを試作した。
【0031】上記の実施例、比較例1、比較例2および
比較例3の各繊維シートに汚染処理、洗浄処理をJIS L
0844 A-2法(ランドリー法)に準じて施し、汚染前、汚
染後および洗浄後の各光反射率(用いた光の波長:51
7nm)を測定して防汚性を比較した。汚染剤には、ス
テアリン酸、オレイン酸、硬化油およびオリーブ油がそ
れぞれ12.5%、セチルアルコール8.5%、固形パ
ラフィン21.5%、コレステロール5.0%およびカ
ーボンブラック15.0%からなる油性汚染剤と、粘土
55.0%、ポルトランドセメント17.0%、シリカ
ゲル17.0%、酸化第2鉄0.5%、n−デカン8.
75%およびカーボンブラック1.75%からなる乾性
汚染剤とが3/1の割合で混合されたものを用いた。そ
の結果を下記の表1に示す。
【0032】
【表1】 なお、表1において、汚染前反射率をa、汚染後反射率
をb、洗浄後反射率をcとしたとき、汚染率は式〔汚染
率=(a−b)/a×100〕で表わされる。また、洗
浄率は式〔洗浄率=(c−b)/(a−b)×100〕
で表わされる。
【0033】上記の表1で明らかなとおり、汚染剤とし
て油性汚染剤と乾性汚染剤の混合物を用いた場合、実施
例は、最も汚れ難く、かつ汚れ落ちが最も良かった。ま
た、上記の比較例1〜3および実施例の繊維シートは、
外観および手触りに殆ど違いが認められなかったが、そ
れぞれ1カ月間、屋外に吊下げ、外気中での汚れを目視
でテストしたところ、実施例および比較例3は比較例
1、2に比べて明らかに汚れが少なく、かつ家庭洗濯機
で洗濯した際の汚れ落ちが速く、洗濯を5回繰り返した
後の汚れ方も当初と殆ど同様に少なかった。また、上記
実施例および比較例3の試作直後、その外面被膜上に市
販の包装用ガムテープを貼付けて剥離テストを行ったと
ころ、上記外面被膜の剥離は認められなかった。
【0034】
【発明の効果】上記のとおり、この発明の防汚性繊維シ
ートは、乾性汚れに対する防汚機能を備えているため、
乾性汚れおよび油性汚れのいずれに対しても汚れ難く、
かつ付着しても容易に落とすことができ、しかも耐久性
に優れている。そして、透明であるため、繊維シートの
備える色彩や柄模様が外面被膜上から見え、かつ風合い
も外面被膜を有しないものと殆ど変わらず、乾性汚れの
付き易い屋内外の装置用として好適である。しかも、繊
維シートと外面被膜との間にフッ素系樹脂からなる下地
被膜が介在するので、防汚性能および外面被膜の剥離強
度が大幅に向上する。特に請求項2に係る発明は、乾性
汚れに対する防汚性が更に改善される。また、請求項3
に係る発明は、静電気汚れに対する防汚性が改善され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態の断面図である。
【図2】スパッタ装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10:防汚性繊維シート 11:繊維シート 11a:経糸 11b:緯糸 11A:下地被膜付き繊維シート 12:下地被膜 13:外面被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L031 AA12 BA19 BA20 BA23 CB13 DA19 4L033 AB01 AC04 CA17 CA25 DA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維からなる繊維シートの構成繊維
    表面にフッ素系樹脂からなる透明な下地被膜が形成さ
    れ、この下地被膜の上にSi O2 を主成分とするセラミ
    ックスからなる透明な外面被膜が物理蒸着により形成さ
    れていることを特徴とする防汚性繊維シート。
  2. 【請求項2】 外面被膜がSi O2 を主成分とし、Sn
    2 を副成分とするセラミックスで形成された請求項1
    記載の防汚性繊維シート。
  3. 【請求項3】 外面被膜がSi O2 を主成分とし、Sn
    2 およびZn Oを副成分とするセラミックスで形成さ
    れた請求項1に記載の防汚性繊維シート。
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CN110846632A (zh) * 2019-12-05 2020-02-28 浙江工业大学 一种卷绕式纤维镀膜磁控溅射装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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