JP2002105233A - 多糖類スポンジの製造法及び多糖類スポンジ - Google Patents

多糖類スポンジの製造法及び多糖類スポンジ

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JP2002105233A JP2000298978A JP2000298978A JP2002105233A JP 2002105233 A JP2002105233 A JP 2002105233A JP 2000298978 A JP2000298978 A JP 2000298978A JP 2000298978 A JP2000298978 A JP 2000298978A JP 2002105233 A JP2002105233 A JP 2002105233A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性、安定性及び柔軟性の高い多糖類スポ
ンジを生産性よく製造する方法を提供すること。 【解決手段】 カルボキシル基含有多糖類水溶液を発泡
させる際に、ゲル化性多糖類を添加して共有結合架橋を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、共有結合架橋されたカルボキシ
ル基含有多糖類よりなるスポンジの製造法及び多糖類ス
ポンジに関する。本発明の製造法に従って製造された多
糖類スポンジは吸水性能に優れるとともに、架橋結合の
安定性が高いため、医療用途、特に創傷用ドレッシン
グ、組織再生用基材、組織癒着防止用バリアー剤などの
水膨潤または吸収性材料として好適に利用される。本発
明のカルボキシル基含有多糖類スポンジの製造法によれ
ば、高い生産性で安価に多糖類スポンジを製造すること
が可能である。また、得られた多糖類スポンジは、水で
膨潤させた場合、崩壊性が低いという特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】アルギン酸、ヒアルロン酸、カルボキシ
メチル化セルロースなどのカルボキシル基含有多糖類お
よびこれらの機能性誘導体は、創傷用ドレッシング、組
織再生用基材、組織癒着防止用バリアー材、細胞の三次
元培養基材などの水膨潤あるいは吸収性材料として非常
に有効であり、多く研究がなされている。
【0003】カルボキシル基含有多糖類を医療用途に用
いる場合には、スポンジ状体がきわめて使用しやすく、
これまで種々の試みがなされており、架橋されたカルボ
キシル基含有多糖類ゲルを発泡体(スポンジ)として用
いることはすでに知られている。例えば、特開昭48−
79870号号公報には、多価金属イオンで架橋された
アルギン酸からなる発泡体が開示され、特開昭51−3
4978号公報には、ジカルボキシ化合物によって架橋
された多糖類ゲルの発泡体が開示されている。しかしな
がら、これらは、高い吸水性を有するスポンジを得るた
めに凍結乾燥法を採用しており、非常に生産性が悪いも
のである。したがって、スポンジの価格は高いものとな
り、スポンジの広範囲にわたる利用を妨げる要因となっ
ていた。
【0004】一方、凍結乾燥法によらない全く新しいス
ポンジ体の製造法についても近年開発がなされつつあ
る。例えば、特開平8−337674号号公報及び特表
平6−510330号号公報には、気泡形成剤、特に界
面活性剤を混入したゲル化性多糖類水溶液を機械的に発
泡させてゲル化し乾燥する方法(以下、発泡乾燥法と略
称することがある)が開示されている。また、特開平5
−254029号公報及び特開平8−208868号公
報にも同様の方法が開示されている。発泡乾燥法は、凍
結乾燥と異なり、高い生産性を有するものであり、スポ
ンジの低価格製造が期待できる。
【0005】しかし、少なくとも明細書に記述されてい
る態様では、カルボキシル基含有多糖類の架橋結合につ
いては多価金属イオンによるイオン結合が示されている
のみである。そして、このイオン結合は可逆性であるた
め組織内の環境によって意図しない溶解が起こったり、
ゲル内部に含まれる多価金属イオンが溶け出すことで局
所的に組織のイオンバランスを壊すことがある。また、
多価金属イオンによる架橋によって製造されたカルボキ
シル基含有多糖類のスポンジは、乾燥時に著しく収縮し
て堅くなり、実用性の点でも不十分である。しかも、ス
ポンジの吸水性能は凍結乾燥法により製造されたものに
比較するとかなり低い。
【0006】また、特開平8−337674号公報及び
特表平6−510330号公報に記載されている共有結
合架橋は、キトサン、デンプンについてのみであり、こ
れらの公報には、このような共有結合架橋によって水へ
の溶解を抑制されたカルボキシル基含有多糖類の各種機
能、例えば吸水性、安定性、柔軟性などに対する著しい
改善効果については全く示唆されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、カル
ボキシル基含有多糖類を医療用途に用いる場合には、ス
ポンジ状体がきわめて使用しやすいこと、コストの高い
凍結乾燥法に代わる発泡乾燥法により、ある程度の性能
を有するスポンジが安価に製造できることが既に知られ
ていた。しかしながら、従来の技術では上記した問題点
があって実用性が制限されていた。従って、本発明の目
的は、吸水性、安定性及び柔軟性に優れるスポンジを安
価に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討し
た結果、カルボキシル基含有多糖類水溶液にゲル化性多
糖類を添加して共有結合架橋を形成させることにより、
上記目的を達成することができることを見出し、本発明
に到達した。すなわち、本発明は、カルボキシル基含有
多糖類水溶液を発泡させて多糖類スポンジを製造する方
法において、カルボキシル基含有多糖類水溶液を発泡さ
せる際にゲル化性多糖類を添加し、共有結合架橋を形成
することを特徴とするカルボキシル基含有多糖類スポン
ジの製造法である。また、本発明のもう一つの発明は、
該製造法により製造されたカルボキシル基含有多糖類ス
ポンジである。
【0009】
【作用】本発明の製造法によって製造される共有結合さ
れたカルボキシル基含有多糖類スポンジは、吸水性、安
定性に優れる。しかも、加熱空気によって乾燥されたス
ポンジには顕著な収縮は観測されず、細孔が適度に保た
れて柔軟である。本発明の製造法により得られるスポン
ジは、多価金属イオン架橋のスポンジが収縮して堅い物
体しか与えず、ほとんど吸水しないのとは対照的であ
る。このような特性は、共有結合架橋されたカルボキシ
ル基含有多糖類からなるスポンジであることにより発現
する特性であり、この特性を発現するメカニズムを明確
に説明することはできないけれども、共有結合架橋ゲル
の強度、乾燥時のフィルム形成能などに起因していると
推察される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるカルボキシル
基含有多糖類は、カルボキシル基を含有する水溶性の多
糖類であれば特に限定されるものではなく、例えば、ア
ルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、
ヒアルロン酸などのカルボキシル基含有の多糖類および
これらの生理学的に許容される人工的な誘導体、カルボ
キシメチル化セルロース、カルボキシメチル化デキスト
ラン、カルボキシメチル化プルランなどの通常ではカル
ボキシル基を含有しない多糖類の人工的な誘導体、カル
ボキシメチル化キチンなどのカルボキシル基が導入され
たキチン誘導体などが例示される。以上のカルボキシル
基含有多糖類は通常0.1から50重量%の範囲で水に
溶解される。
【0011】本発明の多糖類スポンジの製造法におい
て、カルボキシル基含有多糖類水溶液を発泡させる際に
ゲル化性多糖類を添加することが重要である。ゲル化性
多糖類は、カルボキシル基含有多糖類水溶液に含ませる
ことにより泡を安定化させる作用を有するものであり、
このようなゲル化多糖類としては、アガロース、アガロ
ペクチン、アミロース、アミロペクチン、アラビナン、
イソリケナン、カードラン、寒天、カラゲナン、ジェラ
ンガム、ニゲラン、ラミナランなどの加熱すると水に溶
解し冷却すると直ちにゲル化する天然多糖類を例示する
ことができる。
【0012】ゲル化性多糖類は、カルボキシル基含有多
糖類水溶液に対して、0.05から10重量%の範囲、
好ましくは0.1から2重量%の範囲になるように溶解
される。ゲル化性多糖類のカルボキシル基含有多糖類水
溶液への溶解は発泡操作前、途中または後でもよいが、
添加されたゲル化性多糖類が硬化してしまわないよう
に、適切な温度、例えば25〜100℃の範囲に調節す
るのがよい。このようにして調製された発泡混合液を冷
却することでゲル化させ、泡を安定化させることができ
る。
【0013】上記したカルボキシル基含有多糖類の水溶
液を発泡させるには、機械的に攪拌して供給されるガス
を溶液内に拡散すればよいが、加熱などにより、水不溶
性気体を発生する発泡剤、例えば炭酸アンモニウム、ア
ゾジカルボンアミド、P−トルエンスルホニルヒドラジ
ドなどの有機・無機発泡剤、ブタン、ヘキサン、エーテ
ルなどの揮発性発泡剤を添加して加熱するのが好まし
い。
【0014】気泡形成剤であるイオン性または非イオン
性界面活性剤を存在させると、安定した発泡を達成する
ことができ、好ましい。イオン性界面活性剤としては、
例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリ
ウム、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホアルキルア
ミドなどのアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルベ
ンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウ
ム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性界面活
性剤、スルホベダイン型、β−アラニン型、イミダゾリ
ン型活性剤などの両性活性剤などから選択することがで
きる。
【0015】また、非イオン性界面活性剤としては、例
えば、ポリエチレンオキシドアルキルエーテル類、ポリ
エチレンオキシドアルキルフェニルエーテル類、グリセ
リン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、
しょ糖脂肪酸エステル類などから選択することができ
る。これに加えて卵白、ゼラチン、アルブミンなどのタ
ンパク質、その他レシチンなども使用可能である。
【0016】発泡させたカルボキシル基含有多糖類を含
有する水溶液における泡の安定性が十分に高くないこと
がある。架橋が完了する前に泡が消失する場合、泡の安
定化剤として、ドデシルアルコール、テトラデカノー
ル、ヘキサデカノールなどの高級アルコール、エタノー
ルアミンなどのアミノアルコール、カルボキシメチル化
セルロースなどの水溶性高分子を添加することができ
る。
【0017】カルボキシル基含有多糖類の水溶液を発泡
させると、単位重量あたりの体積(以下、発泡倍率と略
称することがある)が次第に増加する。このとき、発泡
倍率は1.1〜100倍まで自由に変化させることがで
きるが、ゲル化させたスポンジの安定性や乾燥スポンジ
の強度を考慮すると、1.1〜20倍までの範囲の発泡
倍率とするのが好ましい。
【0018】本発明におけるスポンジの製造法において
は、カルボキシル基含有多糖類が、発泡操作と同時にま
たは発泡操作の後に共有結合により架橋されることで溶
液全体がゲル化し、発泡構造がそのまま固定化される。
共有結合による架橋には、架橋剤、触媒、縮合剤または
開始剤などの化学物質をそれぞれ単独または組み合わせ
て添加しなければならない場合がある。このときこれら
の化学物質は発泡操作前、途中または後のカルボキシル
基含有多糖類水溶液に添加される。
【0019】カルボキシル基含有多糖類の共有結合架橋
に用いられる架橋方法については、カルボキシル基含有
多糖類の水酸基、カルボキシル基を利用して架橋される
ものであれば特に限定されず、何れの方法も選択し得
る。多官能性の架橋剤を添加して架橋を形成させる方法
では、架橋剤として1,4−ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル、エピクロルヒドリン、N,N−ジグリシジ
ルアニリンなどのエポキシ類(エーテルまたはエステル
結合)、N,N’−ジメチロール尿素などのメチロール
アミド類(エーテル結合)、ジビニルスルホン、メチレ
ンビスアクリルアミドなどのα,β−不飽和カルボニル
類(エーテル結合)、エチレンジアミン、プロパンジア
ミンなどのジアミン類と縮合剤(例えば、1−エチル−
3−(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドのよ
うな水溶性のカルボジイミド)、ホルムアルデヒド、グ
ルタルアルデヒドなどのアルデヒド類などを用いること
ができる。架橋反応を速く進行させるため塩酸、硫酸、
酢酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
の塩基を添加することも可能である。また、必要に応じ
て熱を与えることで反応を制御することもできる。
【0020】さらに、本発明における共有結合架橋のも
う一つの態様としてカルボキシル基含有多糖類に予め導
入された官能基に架橋を形成させる方法がある。これは
例えば、カルボキシル基含有多糖類に桂皮酸基、チミン
基、マレイミド基などの光二量化性基、アクリル基、メ
タクリル基、アクリルアミド基、アリル基などの重合性
基などを導入しておき、発泡操作と同時または発泡操作
の後に光や熱などの刺激を与えて共有結合架橋をさせる
方法である。光二量化性基および重合性基の導入は、カ
ルボキシル基含有多糖類の水酸基に対して有機溶媒中
で、例えば桂皮酸クロライドやアクリル酸クロライド、
アクリル酸無水物、N−メチロールアクリルアミドなど
を用いることで導入できるが、このような方法のみに限
定されるわけではない。
【0021】本発明の製造法においては、カルボキシル
基含有多糖類が共有結合架橋されていることが必須であ
るが、以上のような共有結合架橋に加えカルシウムイオ
ンや鉄イオンなどの多価金属イオンによる架橋をさらに
導入してもよい。
【0022】共有結合架橋されたカルボキシル基含有多
糖類混合溶液を発泡させて製造したスポンジに、各種の
用途に最適に利用できる形、例えば糸状、膜状、管状、
粒状、塊状、板状などの特定の形を付与することも可能
である。すなわち、発泡操作前または途中のカルボキシ
ル基含有水溶液を、紡糸口金から吐出すれば糸状、精密
な鋳型へ導入することによって精密な形状、平板上に流
延すれば任意の厚みを持つ膜状、適当な溶媒中でエマル
ジョン化すれば粒子状となって、その後に発泡およびゲ
ル化を完了させれば成形スポンジとすることができる。
発泡操作後のカルボキシル基含有水溶液を以上と同様の
方法を使用して成形し、ゲル化を完了させることで成形
スポンジとすることもできる。このような成形、加工の
方法は目的に応じて任意に選択することができる。
【0023】本発明の製造法におけるスポンジへの形状
付与のもう一つの態様には、他の基材や部位に塗布、コ
ーティング、含浸、付着または埋没されることなどが包
含される。他の基材や部位とは、例えば、ガーゼ、編織
布、不織布、綿状体、糸状体、フィルム、多孔性スポン
ジ、ゴム、プラスチック、金属、人工臓器、生体組織の
表面、切断面、傷口などである。発泡操作前または途中
のカルボキシル基含有水溶液を他の基材や部位に塗布、
コーティング、含浸、付着、または埋没された後に、発
泡およびゲル化を完了して目的を達せられる。発泡操作
後のカルボキシル基含有水溶液を以上と同様に処理して
もよい。
【0024】成形された後に共有結合架橋が進行して完
全にゲル化するとスポンジが得られる。得られた成形ス
ポンジはそのまま、または一旦乾燥した後に水、アセト
ン、エタノールまたはイソプロパノールなどの溶剤を使
用して洗浄することもできる。これは未反応の架橋剤、
過剰の発泡剤、気泡形成剤やこれらの分解物などを除去
するのに有効な手段である。本発明のカルボキシル基含
有多糖類スポンジが共有結合架橋されたものであること
は、アミド結合の存在をUVなどで観察することにより
確認することができる。
【0025】このようにして成形されたスポンジは、そ
のまま利用されるか、少なくとも一部の水が除かれて利
用される。水を除くには、凍結乾燥法以外の乾燥方法、
とりわけ加熱空気による乾燥か減圧乾燥、または両者の
組み合わせによってなされるが、設備などを考慮すると
加熱空気による乾燥がより好ましい形態である。このと
き温度は5℃〜200℃、より望ましくは25℃〜10
0℃の間に制御される。また、成形したスポンジを、水
と混和する有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、
プロパノール、アセトンなどの水混和性の溶剤に浸漬し
てスポンジ内部の水の少なくとも一部分をこれらの溶剤
と交換させた後、加熱空気によって乾燥することもでき
る。
【0026】乾燥後のスポンジはしばしば堅くなること
があり、生体組織と接触させるには相応しくない場合が
ある。これを避けるために、例えばグリセリン、エチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、マルチトールなどの多価アルコール、ジメチルスル
ホキシド、水などを、可塑剤または軟化剤として含ませ
ることもできる。これらは成形されたスポンジの乾燥後
に付与するか、または予め洗浄液に添加しておいてスポ
ンジ内部に含浸させるか、もし洗浄を必要としないので
あれば発泡操作前、途中または後のカルボキシル基含有
多糖類水溶液に添加することが可能である。
【0027】本発明の製造法により得られるスポンジ
は、高度に吸水した状態では、その小孔にも水分を蓄
え、さらにスポンジを構成する高分子ゲル自体も吸水し
て膨潤するものである。本発明の製造法により製造され
るカルボキシル基含有多糖類スポンジは、次式で定義さ
れる膨潤度が1〜5000のものが好ましい。2〜50
0のものがさらに好ましい。
【0028】膨潤度=[Wg1(水膨潤ゲル)−Wg2
(乾燥ゲル)]/Wg2(乾燥ゲル)
【0029】ここで、Wg2(乾燥ゲル)は乾燥した高
分子ゲルの重量であり、Wg1(水膨潤ゲル)は乾燥高
分子ゲルまたは水系溶媒を含む高分子ゲルを24時間以
上生理的食塩水に浸漬した後の重量である。膨潤度がこ
れを越えて高くなると発泡体の強度が低くなる傾向にあ
り、これ以下になると吸水性が低くなることがある。以
下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、
本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0030】
【実施例】実施例1 1.5重量%アルギン酸ナトリウム(君津化学工業製)
水溶液100ミリリットル(mL)に、界面活性剤(ナ
カライ製トリトンX−100)0.3mL及びエチレン
ジアミン2N−ヒドロキシスクシンイミド塩(神戸天然
物化学製)0.33gを加え、ビーターで攪拌した。6
5℃まで昇温し、1gのκ−カラゲナン(和光純薬社
製)粉末を加えて15分間攪拌した。この時点での発泡
倍率は約2倍であった。
【0031】この発泡混合液に、1−エチル−3−(3
−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩
(ペプチド研究所製)2.4gを加え、さらに5分間攪
拌した。この発泡混合液30gを10cm×10cmの
テフロン(登録商標)被覆トレーに入れ、室温で50時
間かけて硬化させた。得られたスポンジ状ゲルを、まず
2.5ミリモル(mM)の塩化カルシウムと143mM
の塩化ナトリウムを溶解したイオン交換水でよく洗浄
し、その後イオン交換水で洗浄した。洗浄後、スポンジ
状のゲルを60℃に設定した乾燥器で5時間乾燥して、
10cm×10cmの柔軟なスポンジを得た。
【0032】得られた乾燥スポンジを生理的食塩水を十
分に含ませたポリウレタンスポンジ上に置き、37℃の
恒温槽中に静置し、吸水させたところ、24時間後の膨
潤度は約23となった。このときゲルの崩壊または溶解
は全く観測されなかった。
【0033】実施例2 1.5重量%アルギン酸ナトリウム水溶液100mL
に、実施例1で使用したものと同じ界面活性剤0.3m
L及びエチレンジアミン2N−ヒドロキシスクシンイミ
ド塩0.33gを加え、ビーターで攪拌した。65℃ま
で昇温し、0.5gのκ−カラゲナン粉末を加えて15
分間攪拌した。この時点での発泡倍率は約2.5倍であ
った。
【0034】この発泡混合液に、1−エチル−3−(3
−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩
2.4gを加え、さらに5分間攪拌した。この発泡混合
液30gを10cm×10cmのテフロン被覆トレーに
入れ、室温で50時間かけて硬化させた。得られたスポ
ンジ状ゲルを、まず2.5mMの塩化カルシウムと14
3mMの塩化ナトリウムを溶解したイオン交換水により
60℃でよく洗浄し、その後、イオン交換水により室温
で洗浄した。洗浄後、スポンジ状のゲルを60℃に設定
した乾燥器で5時間乾燥して、10cm×10cmの柔
軟なスポンジを得た。
【0035】得られた乾燥スポンジに、実施例1と同様
にして生理的食塩水を吸収させたところ、24時間後の
膨潤度が約75となった。また、25kGyのγ線照射
により滅菌された乾燥スポンジの吸水性を同様にして評
価したところ、24時間後の膨潤度は約44倍となっ
た。スポンジは吸水してもその形状を十分に保持してお
り、崩壊または溶解は全く観測されなかった。
【0036】比較例1 2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液100mLに、実
施例1で使用したものと同じ界面活性剤0.1mLを加
え、ビーターで攪拌した。攪拌後の発泡倍率は3.5倍
であった。この発泡溶液30gを10×10cmのテフ
ロン製トレーに入れ、5重量%塩化カルシウム水溶液1
00mLに12時間浸漬し、硬化させた。スポンジ状の
ゲルを70℃に設定した乾燥器で2時間乾燥したとこ
ろ、6cm×6cm程度に収縮して堅くなったスポンジ
が得られた。このスポンジを37℃で生理的食塩水に浸
漬したところ、24時間後の膨潤度は約0.7であっ
た。
【0037】比較例2 アルギン酸ナトリウム(和光純薬製、100〜150c
P)3.8gおよび炭酸ナトリウム1.9gをイオン交
換水84gに完全に溶解し、炭酸カルシウム0.5gを
添加して十分に攪拌した。一方、上記アルギン酸ナトリ
ウム(和光純薬製、100〜150cP)3.8gをイ
オン交換水80gに完全に溶解した後、酢酸3.6gを
添加して十分に攪拌して得た溶液を別に調製した。この
ようにして調製した二つのアルギン酸ナトリウム溶液を
20gずつ混合したところ、急激に発泡した。この発泡
溶液を10cm×10cmのテフロン製トレーに入れ、
室温で0.5時間かけて硬化させた後、70℃に設定し
た乾燥器で2時間乾燥した。10cm×10cmの嵩高
さがなく堅いフィルムが得られた。得られたフィルムを
37℃で生理的食塩水に浸漬したところ、3時間後には
発泡体が溶解し、その形状を保持していなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明により、共有結合架橋されたカル
ボキシル基含有多糖類スポンジを生産性よく製造可能な
製造法を提供することができる。本発明の製造法により
得られた多糖類スポンジは、吸水性、安定性及び柔軟性
に優れており、従来架橋に用いられていた多価金属イオ
ンをほとんど含有していないため、生体組織と接触させ
た場合に局所的なイオンのバランスを崩す心配も少な
い。したがって、本発明の製造法は、医療用途、特に創
傷用ドレッシング、組織再生用基材、組織癒着防止用バ
リアー剤などの水膨潤または吸収性材料として好適に利
用されるスポンジの製造法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 5/00 B29K 1:00 // B29K 1:00 B29C 67/22 Fターム(参考) 4C081 AA02 AB11 CD011 CE11 DB03 DB08 4F074 AA01 AA03 AA98 BA13 BA20 BB29 CC04Y CC27Z CC28Z DA45 4F212 AA01 AB02 AG20 AK02 UA12 UA13 UE30 UH30 UN15 4J002 AB031 AB042 AB051 AB052 AD003 AD013 CH023 CH063 DF006 EA016 ED016 EG027 EH047 EN137 EQ016 EV236 EV257 EV287 EV297 FD203 FD207 FD326 GB00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基含有多糖類水溶液を発泡
    させて多糖類スポンジを製造する方法において、カルボ
    キシル基含有多糖類水溶液を発泡させる際にゲル化性多
    糖類を添加し、共有結合架橋を形成することを特徴とす
    るカルボキシル基含有多糖類スポンジの製造法。
  2. 【請求項2】 さらに、発泡剤を添加する請求項1に記
    載の多糖類スポンジの製造法。
  3. 【請求項3】 さらに、気泡形成剤を添加する請求項2
    に記載の多糖類スポンジの製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の製造法に
    より製造されたカルボキシル基含有多糖類スポンジ。
  5. 【請求項5】 膨潤度が1〜5000である請求項4に
    記載の多糖類スポンジ。
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