JP2002101665A - 電流形パルス幅変調方式変換器の交流側高調波フィルタの電流・電圧の一制御周期整定制御法 - Google Patents
電流形パルス幅変調方式変換器の交流側高調波フィルタの電流・電圧の一制御周期整定制御法Info
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Abstract
流側の有効・無効電力の制御性能を改善する方法を提供
する。 【解決手段】 単相又は三相の電流形パルス幅変調方式
変換器の交流側に設けられた、リアクトルとコンデンサ
からなる高調波フィルタのリアクトル電流iS、コンデ
ンサ電圧vCの瞬時値を、一制御周期内に発生する変換
器入力電流iXのパルスの幅とその発生するタイミング
によって制御し、一制御周期後に整定する。
Description
流形パルス幅変調方式(PWM)変換器の交流側に設け
られた、リアクトルとコンデンサからなる高調波フィル
タのリアクトル電流、コンデンサ電圧の制御方法に関す
る。
の流出を防ぐために、リアクトルとコンデンサからなる
交流フィルタが必要である。単相および三相の電流形P
WM変換器の交流側高調波フィルタのリアクトル電流、
コンデンサ電圧は、直流出力電流の指令値、あるいは交
流側の有効電流・無効電流指令値の急変時に、リアクト
ルとコンデンサの共振現象に起因する過渡振動が、例え
ば図15に示されるように発生する。この過渡振動によ
って、直流出力電圧や交流側の有効・無効電力の制御性
能は劣化してしまうことになる。過渡振動抑制に関する
研究の一例としては、佐藤、宮沢、片岡:「電流形PW
M整流回路の交流電流波形の一改善法」、電学論D、1
12、703〜711頁(平成4年8月)、外山他:
「電流形三相PWMコンバータにおける入力電圧・電流
の過渡振動抑制」、電学論D、117、240頁(平成
9年4月)等がある。また、この過渡振動を抑制するた
めに従来より提案されてきた制御方法としては、リアク
トル電流値とその両端電圧値を帰還し状態フィードバッ
ク制御を行う方法[佐藤、片岡:電気学会D分冊115
巻、897頁(平成7年)参照]や、離散時間系におけ
る最適制御(Linear Quadrant Int
egral control、LQI制御)を用いた方
法[福田、岩路:電気学会D分冊117巻、105頁
(平成9年)参照]などもある。
献等の抑制法では、制御ゲインの決定方法が繁雑である
ことや、制御応答の速度に改善の余地があることなどの
難点があった。
振動を抑制する、すなわちリアクトル電流、コンデンサ
電圧を制御するのに要する時間の短さは十分ではなかっ
た。例えば、状態フィードバック制御を用いた方法で
は、連続時間系における制御理論に基づくため、PWM
の制御周期が長くなった場合に制御性能が劣化する。一
方、提案されてきた離散時間系の最適制御では、リアク
トル電流、コンデンサ電圧の基本周波数成分に着目して
いるため、過渡振動成分の高速な応答は難しかった。し
たがって、これらの方法では、リアクトル電流、コンデ
ンサ電圧を整定するのに、数制御周期以上を要すること
が普通であった。
高速に抑制し、直流出力電圧や交流側の有効・無効電力
の制御性能を改善する方法を提供することにある。
相の電流形パルス幅変調方式変換器の交流側に設けられ
た、リアクトルとコンデンサからなる高調波フィルタの
リアクトル電流iS、コンデンサ電圧vCの瞬時値を、一
制御周期内に発生する変換器入力電流iXのパルスの幅
とその発生するタイミングによって制御し、一制御周期
後に整定する本発明の制御方法により解決される。
な実施形態について説明する。はじめに単相電流形PW
M変換器に本発明を適用する場合について述べ、次に三
相に展開する場合について述べる。
S1〜S4はスイッチング素子を表しており、負荷ZL
には電流の平滑リアクトルを持つ。単相電流形変換器
は、更に前述及び図1に示されるように、交流側には電
力系統への高調波の流出を防ぐためのリアクトルL及び
コンデンサCから成る高調波フィルタ10を有する。リ
アクトルLの入力側は、単相電流形変換器が電力を受電
する電力系統を表す電圧源eに接続されている。
路を図2の(a)に示す。また、図2の(a)の回路
は、さらに電圧源等価回路(図2の(b))と電流源等
価回路(図2の(c))の2つに分けることができる。
なお、図2において、図1に示す参照符号と同じ参照符
号の構成要素は、図1に示す構成要素と同一のものを示
す。図2に示される参照番号12の構成要素は、電流源
として機能する変換器を示している。
源eは、前述のように、通常変換器が電力を受電する系
統を表しているので、この電圧源eを制御して、交流側
の電流・電圧を制御することはできない。一方、図2の
(c)に示す電流源等価回路の電流源12は上記のよう
に変換器を表しており、変換器入力電流のパルスを発生
する。このパルスは、直流出力電流を切り出した波形と
なるため、その振幅は直流出力電流値に等しい。パルス
の幅は、スイッチング素子のオン・オフ状態に従って制
御を行うことが可能であり、このパルス幅の制御によっ
て、リアクトル電流iS・コンデンサ電圧vCの制御を行
う。
振幅と位相を把握することによって容易に計算すること
ができ、電流源等価回路による成分に重畳することによ
って実際のリアクトル電流iS・コンデンサ電圧vCを求
めることができるので、これよりは電流源等価回路の成
分のみに着目し、説明を進める。
状態方程式は、リアクトル電流iSとコンデンサ電圧vC
を状態量とし、変換器入力電流iXを操作量とすれば、
次のように表せる。
Cは容量である。次に、図3に変換器入力電流波形を示
し、一制御周期T内のパルスの各期間T 1、T2、T3を
図3のように定義する。期間T2だけ、平滑リアクトル
ZLに流れる直流出力電流idcと等しい振幅を持つ変換
器入力電流iXが流れることになる。従って、iXを式で
表すと次のようになる。
波数をω0=1/(LC)1/2とし、v C’=vC/ω0L
と変数変換すれば、一制御周期T後の状態量i
S(T)、vC’(T)は、以下のように表せる。
周期が始まる時刻における値である。また、iXは、負
荷ZLである直流側平滑リアクトルの時定数に比べ制御
周期Tの長さは十分短いので、制御周期内で一定である
として考えてよい。
の離散系差分方程式にあたるものと考えることができ
る。また、式(2)は、交流フィルタによる自由応答を
示す回転変換行列を含む第1頃と、強制応答を示す第2
項によって構成されていることがわかる。強制応答項よ
り、PWMパターンのパルス幅T2、T3を操作量とし
て、状態量が制御可能であることがわかる。
ンサ電圧vC’が、指令値iS *、vC’*に制御されると
すれば、式(2)より、
2、T3の値、すなわち一制御周期後に指令値が実現可能
なパルスのタイミングを、次のように求めることができ
る。
T2、T3を、変換器のスイッチング素子S1〜S4のオ
ン・オフによって実現すれば、一制御周期後にリアクト
ル電流・コンデンサ電圧指令値を実現することができ
る。
T2、T3には、0≦T2≦T、0≦T3≦Tなる制限が存
在するため、本手法には、指令値を一制御周期に整定可
能な領域と不可能な領域が存在する。変換器入力電流の
振幅iXで規格化されたリアクトル電流iS・コンデンサ
電圧vCの状態空間平面上における一制御周期整定可能
な領域(ω0T=π/2の場合)を図4に示す。網掛け
部が一制御周期に整定可能な領域である。指令値がこの
領域以外に存在した場合には、変換器は指令値を実現す
るのに、二制御周期以上を要することになる。
まず、与えられた直流出力電流指令値、あるいは交流側
有効電流指令値、無効電流指令値より、一制御周期後に
実現すべきリアクトル電流iS・コンデンサ電圧vCの指
令値を計算する。次に、測定された電圧源eの電圧振
幅、位相より、図2の(b)の電圧源等価回路で表され
る成分の制御周期開始時の値と一制御周期後の値を計算
する。それらを、リアクトル電流・コンデンサ電圧の測
定値と指令値から除外したものを、図2の(c)の電流
源等価回路におけるリアクトル電流iS・コンデンサ電
圧vCの制御周期開始時の値、一制御周期後の指令値と
し、式(6)、(7)、(8)を用いてパルス幅T2、
T3を計算する。このパルス幅T2、T3に応じたゲート
パルスを各スイッチング素子S1〜S4に与えることに
よって、所望の変換器入力電流パルスを実現し、一制御
周期後にリアクトル電流・コンデンサ電圧の指令値は実
現されることになる。
て説明する。図5に三相電流形PWM変換器の構成を示
す。図5に示される図1と同一又は類似の参照符号の構
成要素は図1に示す対応構成要素と同一又は類似の構成
要素を示し、説明を繰り返さない。
合と同様に与えられた直流出力電流指令値、あるいは交
流側有効電流指令値、無効電流指令値より、各相ごとに
一制御周期後に実現すべきリアクトル電流・コンデンサ
電圧の指令値を計算する。そして、それぞれの相につい
て、先述した方法により各相で実現すべきパルス幅
T 2、T3を決定すればよい。
iq *より、dq逆変換等を用いて、電源電圧成分を除い
た各相のリアクトル電流指令値iS *=[iSa *,iSb *,
iSc *]Tとコンデンサ電圧指令値vC’*=[vCa’*,
vCb’*,vCc’*]Tをそれぞれ求める。次に、各相に
ついて、式(4)、(5)を用いて、スイッチング素子
S1〜S6に印加されるゲートパルスのタイミングを単
相の場合と同様に決定すればよい。
換器入力電流iX=[iXa,iXb,iXc]Tに対し次の制
約が存在する。 三相の変換器入力電流の和が零となる:iXa+iXb
十iXc=0 三相全て、あるいは一相の変換器入力電流の値は零
となる このため、独立にゲートパルスのタイミングを決定でき
る相は2つであり、残りの1相はその結果として決定さ
れることになる。この独立に決定した2相が一制御周期
後に指令値を満足すれば、残る1相も自動的に指令値を
満足することになる。
にパルス幅を決定し、残る相については、、の制約
を満たすように、独立にパルス幅を決定した二相からパ
ルス幅を決定すればよい。従属的にパルス幅を決定する
相の決め方については、複数通りあり、状況に応じて選
べばよい。ここでは、一例として、各相についてそれぞ
れ計算されたオン状態のパルス幅[T2a,T2b,T2c]
を比較し、2番目にパルス幅が大きい相を従属的に決定
する場合を図6に示す。図6の場合、b相のパルスが従
属的に決定されている。しかし、図6のb相のように、
従属的にバルス幅が決定された相においても、リアクト
ル電流・コンデンサ電圧に対する三相三線式回路の条件
iSa+iSb+iSc=0、vCa+vCb+vCc=0により、
一制御周期後には指令値が実現されることになる。
項の絶対値を比較して、最小のものを除いた2相につい
て、ゲートパルスのタイミングを計算し、残る1相のタ
イミングは、上記、の条件を満たすように決定して
もよい。
相独立してパルス幅を計算し、段階で、パルス幅が最
小の相を選択し、段階で、パルス幅最小の相を従属的
に決定してもよい。
しては、ω0T=π/4の場合、規格化されたリアクト
ル電流αN、規格化されたコンデンサ電圧βNを次のよう
におくと、制御可能領域は図8に示すように表すことが
できる。
る場合の制御(「飽和領域の制御」という。)の方法
は、次のとおりである。指令値点Xが図9に示すような
制御不可能な領域に存在するとすると、指令値Xを制御
領域上の点Xに最も近い点X’に変更し、パルス幅を計
算して、次の制御周期に移行すればよい。
述したこと、及びフィルタ定数・むだ時間の影響につい
て説明を続ける。制御可能領域の大きさは、フィルタ定
数、即ち制御周期の長さTと共振周波数ω0によって決
定される。図10に、強制応答項による制御可能領域を
示す。図10において、領域Aは、ω0T=π/4の場
合の制御可能領域を、領域Bは、ω0T=π/2の場合
の制御可能領域をそれぞれ示す。なお、領域Bは、領域
Aと後述する領域Cを含み、且つ領域B固有の領域を含
む。むだ時間TL、スイッチング素子の最小導通時間T
minを考慮すると、制御可能領域は減少する。ω0T=π
/2のケースにおいて、例えば、むだ時間TL=π/3
6及び最小導通時間ω0Tmin=π/90である場合を考
慮すると、領域Bの制御可能領域は領域Cに減少する。
なお、領域Cは領域Aを含む。
に、図11に示す三相回路を用いて、数値シミュレーシ
ョンを行った。シミュレーション条件を表1に示す。
十分長いものとして、本計算では、直流出力電流は一定
として計算している。また、ゲートパルスのタイミング
の計算に要する時間や素子間の電流の転流時間は無視で
きるものとした。
値iq *=0Aで一定とし、a相リアクトル電流iSaの位
相π/2の時点で、交流側有効電流指令値id *が20→
15A、15→20Aとステップ的に変化した場合のシ
ミュレーション結果を図12に示す。有効電流id、無
効電流iq、リアクトル電流iS、コンデンサ電圧v
Cが、それぞれ一制御周期556μsで目標値に到達し
ていることがわかる。
を示す。シミュレーション条件を表2に示す。
iXの振幅を100A一定と仮定する。初めに、制御可
能領域の場合について示す。力率を1にして、a相電流
位相π/2の時点でリアクトル電流の振幅指令値を20
Aから15Aにステップ変化させた場合のシミュレーシ
ョン結果を図13に示す。図13に示されるシミュレー
ション結果から、制御可能領域で、過渡振動なく一制御
周期で指令値を実現することがわかる。
を1にして、a相電流位相π/2の時点でリアクトル電
流の振幅指令値を20Aから−20Aにステップ変化さ
せた場合のシミュレーション結果を図14に示す。図1
4に示されるシミュレーション結果から、飽和領域にお
いても高速に制御可能であることがわかる。
パルス幅変調方式変換器入力電流のパルス幅とその発生
するタイミングによって、リアクトル電流、コンデンサ
電圧を一制御周期後に整定することによって、過渡振動
を高速に抑制し、直流出力電圧や交流側の有効・無効電
力の制御性能を改善できる。
WM変換器の構成を示す図である。
路を、(b)は、(a)に示す等価回路のうちの電圧源
等価回路部分を、(c)は、(a)に示す等価回路のう
ちの電流源等価回路部分を示す。
波形を示す図である。
場合)を示す図である。
PWM変換器の構成を示す図である。
決定方法の一例で、計算されたパルス幅が2番目に大き
いb相が従属的決定される場合を示す図である。
る。
域を示す図である。
る。
る。
シミュレーション三相等価回路を示す図である。
を示す図である。
である。
共振に起因するリアクトル電流・コンデンサ電圧の過渡
振動を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 単相又は三相の電流形パルス幅変調方式
変換器の交流側に設けられた、リアクトルとコンデンサ
からなる高調波フィルタのリアクトル電流i S、コンデ
ンサ電圧vCの瞬時値を、一制御周期内に発生する変換
器入力電流iXのパルスの幅とその発生するタイミング
によって制御し、一制御周期後に整定する制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000285309A JP4652545B2 (ja) | 2000-09-20 | 2000-09-20 | 電流形パルス幅変調方式変換器の交流側高調波フィルタの電流・電圧の一制御周期整定制御法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000285309A JP4652545B2 (ja) | 2000-09-20 | 2000-09-20 | 電流形パルス幅変調方式変換器の交流側高調波フィルタの電流・電圧の一制御周期整定制御法 |
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JP4652545B2 JP4652545B2 (ja) | 2011-03-16 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018023175A (ja) * | 2016-08-01 | 2018-02-08 | Mywayプラス株式会社 | 電流形電力変換装置の制御装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08214552A (ja) * | 1995-02-06 | 1996-08-20 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 多相交流より直流を得る電流形コンバータの制御装置 |
JPH09312975A (ja) * | 1996-05-21 | 1997-12-02 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 電流形変換器の制御装置 |
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2000
- 2000-09-20 JP JP2000285309A patent/JP4652545B2/ja not_active Expired - Fee Related
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