JP2002097144A - 嫌気性菌を用いた遺伝子治療用医薬 - Google Patents

嫌気性菌を用いた遺伝子治療用医薬

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、固形腫瘍の遺伝子治療に有
効で、かつ人蓄により安全な遺伝子輸送担体としてのビ
フィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する嫌
気性菌、および上記嫌気性菌を含有することを特徴とす
る医薬を提供することにある。 【解決手段】 抗腫瘍活性を有するタンパク質をコード
するDNAまたは抗腫瘍物質前駆体を抗腫瘍物質に変換す
る活性を有するタンパク質コードするDNAを、嫌気的環
境下にある腫瘍組織特異的に輸送し、該DNAにコードさ
れる蛋白質を発現することができるビフィドバクテリウ
ム(Bifidobacterium)属に属する微生物およびそれを
含有する医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、固形腫瘍の遺伝子
治療に有用なビフィドバクテリウム属に属する嫌気性
菌、それを含む医薬、およびそれを用いた遺伝子輸送方
法ならびに固形腫瘍の治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】低酸素部位は、動物の固形腫瘍に特徴的
であり(Int J Radiat Oncol Biol Phys.1984;10:69
5−712)、人間のさまざまな固形腫瘍においても高頻度
で起こる(New York:Fischer−Verlag,Stuttgart;199
4:219−232)。ガン患者において行われた組織酸素電
極(溶存酸素を測定することができる膜検査装置)測定
では、通常の組織の酸素分圧の中央値は24〜66mmHgであ
るのに対し、腫瘍では中央値が10〜30mmHgであり、また
かなりの比率で酸素分圧が2.5mmHgを下回った。そこ
で、低酸素腫瘍細胞における遺伝子の発現を目的とした
固形腫瘍の遺伝子治療が、近年研究されている(Nat Me
d.1997;3:515−520)。その結果、クロストリジウム
(Clostridium)属菌またはビフィドバクテリウム(Bif
idobacterium)属菌などのある種の嫌気性菌は、静脈へ
注入すると、固形腫瘍の低酸素部位で選択的に増殖する
ことが知られている(Cancer Res.1980;40:2061-206
8,1955;15:473−478)。
【0003】また、クロストリジア(Clostridia)やサ
ルモネラ(Salmonella)などの微生物について遺伝子輸
送担体としての有効性が検討されている(Gene Ther.1
997;4:791−796,1996;3:173−178、FEMS Microbiol
Rev.1995;17:357−364、Cancer Biother Radio.199
6;11:145-153、Nat Biotechnol.1999;17:37−41)。
しかし、これらの微生物は人間の体内において病原性を
有することから、必ずしも、固形腫瘍の遺伝子治療にお
いて安全な遺伝子輸送担体とはいえない。実際、クロス
トリジウム ブチリカム(Clostridium butyricum)の
胞子の注入やサルモネラ チフィ(Salmonella typh
i.)の経口投与のあと、副作用として発熱するという
有害反応が報告されている(Eur J Cancer.1967;3:3
7−41,J Clin Invest.1992;90:412−420、Infect
Immun.1992;60:536−541)。
【0004】一方、ビフィドバクテリウム属菌およびラ
クトバシラス(Lactobacillus)属菌は、人間や他の動
物の小腸の下流または大腸で見られるグラム陽性菌であ
り、常在菌で、かつ病原性のない微生物である。特に、
ビフィドバクテリウム属菌は、多くのアジアおよび欧米
諸国で、乳製品の発酵の調合に広く使われており、該微
生物に病原性のないことは今では一般的に受け入れられ
ている。加えて該微生物は、病原性を有するどころか宿
主の健康を促進する特性を持つことも知られている。か
かる有益な特性として、例えば、免疫応答の増強(J Da
iry Sci.1991;74:l187−1195)、発ガンの抑制(Canc
erRes.1993;53:3914−3918)、ウイルス感染から宿主
を防御すること(Lancet.1994;344:1046−1049)など
が挙げられる。
【0005】このように食物科学、医薬および産業界に
おいて、該ビフィドバクテリウム属菌が非常に注目を集
めているにもかかわらず、遺伝子治療においてはあまり
用いられていなかった。遺伝子治療に対するこれらの微
生物の潜在力を利用することができるようになるために
は、細胞の生合成、遺伝子の発現、タンパク質の分泌ま
たは遺伝学のような基本的な生物学的現象についての詳
細な知識を必要とするが、遺伝子導入のための効率的で
再現性のある体系および十分な選択マーカーがないため
に、ビフィドバクテリウム属菌の遺伝的な特性について
ほとんど知られていなかったからである。
【0006】しかし、近年、使いやすく、再現可能なビ
フィドバクテリウム属菌の遺伝的形質転換システムが開
発された(Microbiology 1996;142:109−114,Biosci
Biotechnol Biocem.1997;61:1211−1212)。しかしな
がら、導入した遺伝子がコードするタンパク質を高濃度
に発現するためのプロモーターをはじめとする調節配列
の開発は十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固形
腫瘍の遺伝子治療に有効で、かつ人畜により安全な遺伝
子輸送担体としてのビフィドバクテリウム(Bifidobact
erium)属に属する嫌気性菌、および上記嫌気性菌を含
有することを特徴とする医薬を提供することにある。本
発明の他の目的は、上記嫌気性菌を遺伝子輸送担体とし
て用いて、嫌気的環境下にある腫瘍組織特異的に、固形
腫瘍の遺伝子治療に有効なDNAを輸送する遺伝子輸送方
法、該方法を用い該DNAにコードされている蛋白質を発
現させることによる固形腫瘍の治療方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(a)ヒ
トおよび動物の固形腫瘍は低酸素状態にあること、
(b)ビフィドバクテリウム属菌は嫌気性菌であり、通
常組織では増殖が困難であるが、嫌気性環境下にある腫
瘍組織内では増殖すること、(c)ビフィドバクテリウ
ム属菌は、従来遺伝子輸送担体として用いられていたク
ロストリジアやサルモネラなどの微生物よりも病原性が
少ないこと等の公知事実に基づき、ビフィドバクテリウ
ム属菌を遺伝子輸送担体として用いることを知見した。
さらに、本発明者らは、ビフィドバクテリウム属に属す
る微生物の遺伝的形質転換システムについて検討を重ね
たところ、ビフィドバクテリウム属に属する微生物、特
にビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium
longum)で元来高発現しているヒストン様DNA結合タン
パク質(Biochimie 1990;72;207-212)〔以下、HUタ
ンパク質と略す。〕をコードする遺伝子の発現に関わる
プロモーターおよび夕ーミネーターをベクターに組み込
むことにより、導入した遺伝子を効率よく発現させるこ
とができることを見出した。本発明者らは、上記目的を
達成すべくさらに鋭意検討を重ね、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、(1)嫌気的環境下
にある腫瘍組織特異的にDNAを輸送するシステムにおい
て、該DNAにコードされる蛋白質の活性が親株より高い
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する
微生物を遺伝子輸送担体として用い、該腫瘍組織内で該
DNAを発現させることを特徴とする、遺伝子輸送方法、
(2)嫌気的環境下にある腫瘍組織特異的にDNAを輸送
するシステムにおいて、該DNAを有する組換え体DNAで形
質転換されたビフィドバクテリウム(Bifidobacteriu
m)属に属する微生物を遺伝子輸送担体として用い、該
腫瘍組織内で該DNAを発現させることを特徴とする、遺
伝子輸送方法、(3)DNAが、以下のDNAから選ばれるDN
Aであることを特徴とする、前記(1)または(2)に
記載の方法、(a)抗腫瘍活性を有する蛋白質をコード
するDNA(b)抗腫瘍物質前駆体を抗腫瘍物質に変換す
る活性を有する蛋白質をコードするDNA(4)抗腫瘍活
性を有する蛋白質が、インターロイキン−2であること
を特徴とする、前記(3)に記載の方法、(5)抗腫瘍
物質前駆体が、5−フルオロシトシン、5−アジリジノ
−2,4−ジニトロベンズアミド、ガンシクロビル、グ
ルクロン酸抱合抗腫瘍物質またはリジン抱合抗腫瘍物質
から選ばれる物質であることを特徴とする、前記(3)
に記載の方法、(6)抗腫瘍物質前駆体を航腫瘍物質に
変換する活性を有する蛋白質が、シトシンデアミナー
ゼ、ニトロレダクターゼ、単純ヘルペス1型 チミジン
キナーゼ、β−グルクロニダーゼから選ばれる蛋白質で
あることを特徴とする、前記(3)に記載の方法、
(7)組換え体DNAが、発現ベクターであることを特徴
とする、前記(2)に記載の方法、(8)発現ベクター
が、ビフィドバクテリウム属に属する微生物内で機能す
るプロモーターおよびターミネー夕ーを有することを特
徴とする、前記(7)記載の方法、(9)プロモーター
およびターミネーターが、ビフィドバクテリウム・ロン
ガム(Bifidobacterium longum)由来のヒストン様DNA
結合蛋白質(HU蛋白質)をコードする遺伝子の発現に係
るプロモーターおよびターミネーターであることを特徴
とする、前記(8)に記載の方法、(10)プロモータ
ーおよびターミネー夕―として、配列番号1に記載の塩
基配列のそれぞれ塩基番号1〜192および472〜600で表さ
れるDNAを使用することを特徴とする前記(8)に記載
の方法、(11)微生物が、ビフィドバクテリウム・ロ
ンガムであることを特徴とする、前記(1)〜(10)
のいずれか1に記載の方法、(12)微生物が、ビフィ
ドバクテリウム・ロンガム 105−A/pBLES lOO−S−eC
D(FERM BP−7274)であることを特徴とする、前記
(1)〜(3)または(5)〜(11)のいずれか1に
記載の方法、(13)前記(1)〜(4)または(7)
〜(11)のいずれか1に記載の微生物を用いることを
特徴とする、腫瘍組織内特異的に抗腫瘍活性を有する蛋
白質を発現させる方法、(14)前記(1)〜(3)ま
たは(5)〜(11)のいずれか1に記載の微生物を用
いることを特徴とする、腫瘍組織内特異的に抗腫瘍物質
前駆体を抗腫瘍物質に転換する活性を有する蛋白質を発
現させる方法、(15)前記(1)〜(12)のいずれ
か1に記載されている微生物を含有してなる医薬、(1
6)医薬が、前記(1)〜(3)または(5)〜(1
2)のいずれか1に記載の微生物と抗腫瘍物質前駆体と
を組み合わせてなることを特徴とする、前記(15)に
記載の医薬、(17)医薬が、前記(1)〜(3)また
は(5)〜(12)のいずれか1に記載の微生物と抗腫
瘍物質前駆体とを含有することを特徴とする、前記(1
5)に記載の医薬、(18)微生物が、ビフィドバクテ
リウム・ロンガムであることを特徴とする、前記(1
5)〜(17)に記載の医薬、(19)微生物が、ビフ
ィドバクテリウム・ロンガム 105−A/pBLES lOO−S−
eCD(FERM BP−7274)であることを特徴とする、前記
(15)〜(18)のいずれか1に記載の医薬、(2
0)前記(1)〜(12)のいずれか1に記載の方法に
用いられるビフィドバクテリウム属に属する微生物、
(21)前記(1)〜(3)または(5)〜(11)の
いずれか1に記載の方法に用いられるビフィドバクテリ
ウム・ロンガム 105−A/pBLES lOO−S−eCD(FERM BP
−7274)、(22)配列番号1に記載の塩基配列を有す
るDNA、(23)前記(1)〜(14)に記載の方法を
用いることを特徴とする、固形腫瘍の治療方法、(2
4)前記(1)〜(3)または(5)〜(12)のいず
れか1に記載の微生物と抗腫瘍物質前駆体とを組み合わ
せて癌患者に投与することを特徴とする、固形腫瘍の治
療方法、(25)抗腫瘍活性を有する蛋白質を実質的に
嫌気的環境下にあるガン細胞においてのみ発現し得る遺
伝子を有するビィヒドバクテリウム属に属する嫌気性
菌、および、(26)人畜に低毒性である抗腫瘍物質前
駆体を抗腫瘍物質に変換する活性を有する蛋白質を実質
的に嫌気的環境下にあるガン細胞においてのみ発現し得
る遺伝子を有するビィヒドバクテリウム属に属する嫌気
性菌、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、抗腫瘍活性を有する物
質をコードする遺伝子を有し、該抗腫瘍活性を有する物
質の活性が親株より高いビフィドバクテリウム(Bifidob
acterium)属に属する微生物(以下、ビフィドバクテリ
ウム属菌と略す。)を提供する。該抗腫瘍活性を有する
物質の活性が親株より高いとは、例えば、親株より該物
質の発現量が多い場合、親株において発現する該物質で
ある酵素に比べKm値が向上する場合、または親株におい
て発現する該物質よりも分解され難くなったために結果
的に高活性を示す場合等が挙げられる。該抗腫瘍活性を
有する物質の活性が親株より高いか否かは、自体公知の
スクリーニング法を用いて容易に調べることができる。
例えば、ビフィドバクテリウム属菌を適当な培地で培養
し、産出された該抗腫瘍活性を有する物質の活性(発現
量や酵素活性等)を公知の方法で測定するという方法が
挙げられる。
【0011】該抗腫瘍活性を有する物質は、抗腫瘍活性
を有するものであればその機構は問わず公知のものを用
いてよい。ここで、抗腫瘍活性としては、腫瘍細胞もし
くは組織の発生、成熟、増殖もしくは拡散を予防もしく
は抑制する作用、または腫瘍細胞もしくは組織を退縮化
させることができる等の活性が挙げられる。なお、前記
腫瘍には、例えば、癌腫または肉腫などが含まれる。た
だし、本発明における抗腫瘍活性を有する物質は、通常
はその構造がDNAの塩基配列にコードされ得るポリペプ
リドまたはタンパク質である。
【0012】本発明における抗腫瘍活性を有する物質と
して、具体的には、例えば、サイトカインが挙げられ
る。抗腫瘍活性を有するサイトカインとしては、具体的
にはインターフェロン(IFN)−α、β、γ、顆粒球マ
クロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インター
ロイキン(IL)−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−
4、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、I
L−18、腫瘍壊死因子(TNF)−α、リンホトキシン(L
T)−β、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロ
フアージコロニー刺激因子(M−CSF)、マクロファージ
遊走阻止因子(MIF)、白血病抑制因子(LIF)、T細胞
活性化共刺激因子B7(CD80)およびB7−2(CD86)、キ
ット・リガンド、オンコスタチンM等が挙げられる。中
でも、IL−2が好ましい。これらを2種以上組み合わせ
てもよい。例えば、IL−6とTNF−α、IFN−α、IFN−β
またはIFN−γとの組み合わせ、TNF−αとIFN−γとの
組み合わせ、anti−FasとIFN−γとの組み合わせが好ま
しい。あるいは抗腫瘍活性を有する物質として、エンド
スタチン(Endostatin)、アンジオスタチン(Angiosta
tin)、クリングル1,2,3,4,5(Kringles1,2,3,4,5)な
どの血管新生抑制物質が挙げられる。
【0013】本発明は、人畜に低毒性である抗腫瘍物質
前駆体を抗腫瘍物質に転換しえる酵素(以下、転換酵素
と略す)をコードする遺伝子を有し、実質的に嫌気的環
境下にある腫瘍組織内においてのみ該酵素を発現し得る
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する
微生物を提供する。該抗腫瘍物質は、抗腫瘍活性を有す
る公知物質を用いてよい。抗腫瘍活性とは上述の記載と
同様である。ただし、抗腫瘍物質前駆体が人畜に低毒性
である必要がある。抗腫瘍物質前駆体は不活性体であっ
てもよい。不活性化体とは、転換酵素によって活性体に
変換され抗腫瘍活性を発現する物質を意味する。また、
転換酵素は、抗腫瘍物質前駆体と抗腫瘍物質との組み合
わせにより、適宜選択することができる。該転換酵素
は、1種の酵素または複数種の酵素群であってよいが、
好ましくは1種の酵素がよい。
【0014】本発明で用いられる抗腫瘍物質前駆体、抗
腫瘍物質および転換酵素の組み合わせは、公知のもので
あれば本発明においていずれも用いることができる。例
えば、具体的には、抗腫瘍物質前駆体が5−フルオロシ
トシン(5−FC)、抗腫瘍物質が5−フルオロウラシル
(5−FU)、転換酵素としてシトシンデアミナーゼを用
いる組み合わせが挙げられる。また、抗腫瘍物質前駆体
が5−アジリジノ−2,4−ジニトロベンズアミド(5−az
iridino−2,4−dinitrobenzamide)〔CB1954〕、抗腫
瘍物質が2本鎖DNAに橋状結合をおこすことが知られてい
るアルキル化剤、転換酵素としてニトロリダクターゼを
用いる組み合わせが挙げられる。また、抗腫瘍物質前駆
体がガンシクロビル(ganciclovir)、抗腫瘍物質がそ
の代謝物、転換酵素が単純ヘルペスウイルス1型 チミ
ジンキナーゼ(herpes simplex virus typel thymidine
kinase)〔HSV1−TK〕を用いる組み合わせが挙げられ
る。またさらに、抗腫瘍物質をグルクロン酸抱合、グリ
シン抱合またはリジン抱合などで修飾して人体に低毒な
前駆体(不活性化体を含む)とし、転換酵素として該前
駆体を脱修飾する酵素を用いることもできる。該前駆体
を脱修飾する酵素としては自体公知のものを用いてもよ
いが、例えば、グルクロン酸抱合された抗腫瘍物質前駆
体と、転換酵素がβ−グルクロニダーゼの組み合わせが
挙げられる。
【0015】本発明で用いられるビフィドバクテリウム
属菌は、嫌気性であれば該属に属する公知の菌株のいず
れを用いてもよい。具体的にはビフィドバクテリウム・
アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescenti
s),ビフィドバクテリウム・ロンガム(Blongum),
ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bbifidum),ビ
フィドバクテリウム・シュードロンガム(Bpseudolon
gum),ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(B. the
rmophirum),ビフィドバクテリウム・ブリーベ(Bbr
eve),ビフィドバクテリウム・インファンティス(B
infantis)などが挙げられる。中でも、年齢に関係なく
ヒトの腸内に常在していることが知られているビフィド
バクテリウム・アドレッセンティス(Badolescenti
s)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Blongum)、
ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bbifidu m)、ビ
フィドバクテリウム・インファンティス(Binfanti
s)を用いることが好ましく、ビフィドバクテリウム・
ロンガム(Blongum)〔以下、Blongum菌と略すこと
もある〕を用いることがより好ましい。また、これらの
耐性株、変異株等を用いてもよい。これらの菌は、いず
れも市販されているか、または寄託機関から容易に入手
できる菌体である。例えば、寄託番号は、ビフィドバク
テリウム・ロンガム(Blomgum)がATCC−15707、ビフ
ィドバクテリウム・ビフィダム(Bbifidum)がATCC−
11863、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B
infantis)がATCC−15697である。
【0016】上記ビフィドバクテリウム属菌のうち、上
記抗腫瘍活性を有する物質または転換酵素を産出できる
株があり、かかる株は本発明における遺伝子輸送担体と
して好適に用いることができる。具体的には、例えば、
5−FCを5−FUに転換できるシトシンデアミナーゼを産出
するBlongum菌が挙げられる。上記抗腫瘍活性を有す
る物質または転換酵素を産出できる株か否かは、公知の
スクリーニング方法を用いて、抗腫瘍活性を有する物質
もしくは転換酵素が検出されるか、または抗腫瘍物質前
駆体を添加した培地で菌を培養した場合抗腫瘍物質が検
出されるか等により容易に判断できる。
【0017】上記抗腫瘍活性を有する物質または転換酵
素を産出できない株は、以下のようにして上記抗腫瘍活
性を有する物質または転換酵素をコードするDNAを導入
することにより、本発明における遺伝子輸送担体として
好適に用いることができる。なお、以下の遺伝子工学ま
たは生物工学の基本操作については、市販の実験書、例
えば、遺伝子マニュアル講談社、高木康敬編遺伝子操作
実験法講談社、モレキュラー・クローニング(Molecula
r Cloning)コールド・スプリング・ハーバー・ラボラ
トリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(1982)、
モレキュラー・クローニング第2版(Molecular C1onin
g,2nd ed.)コールド・スプリング・ハーバー・ラボ
ラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(198
9)、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methodsin E
nzymol.),194(1991)、実験医学別冊・酵母による
遺伝子実験法羊土社(1994)等に記載された方法に従っ
て行うことができる。
【0018】まず第一に、上記抗腫瘍活性を有する物質
または転換酵素をコードするDNAを得る必要がある。上
記のDNAは、公知の塩基配列情報から容易に得ることが
できる。例えば、公知の塩基配列情報から、公知方法を
用いて化学合成によって得ることができる。化学合成法
としては、例えばフォスフォアミダイト法を利用したDN
A合成機model 392(パーキン・エルマー株式会社製)等
のDNA合成機で化学合成する方法が挙げられる。また、
該塩基配列の5’端および3’端の塩基配列に基づいた
プライマーを調製し、各種生物の組織または細胞に含ま
れるmRNAから合成したcDNAあるいはcDNAライブラリーか
ら選択したcDNAを鋳型として、PCR法[PCRProtocols,A
cademicPress(1990)]を用いてDNAの増幅を行うこと
により、上記のDNAを取得することもできる。またさら
に、公知塩基配列情報に基づき、その全長または一部を
化学合成したDNAまたはポリヌクレオチドをプローブと
して、各種生物の組織または細胞に含まれるmRNAから合
成したcDNAあるいはcDNAライブラリーに対してコロニー
ハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーシ
ョン(モレキュラー・クローニング第2版)を行うこと
により、上記のDNAを取得することもできる。
【0019】また、上記のDNAは公知のアミノ配列情報
からも容易に得ることができる。公知のアミノ配列情報
から上記のDNAを得る方法としては、自体公知の方法を
用いてよい。具体的には、例えば、公知のアミノ配列を
コードするDNAの部分塩基配列を有する合成DNAプライマ
ーを用いて、PCR法によって前記cDNAライブラリー等か
ら目的とするDNAを増幅する方法、または適当なベクタ
ーに組み込んだDNAと、上記抗腫瘍活性を有する物質ま
たは転換酵素の一部あるいは全額域をコードするDNA断
片もしくは合成DNAを標識したもの(プローブ)とのハ
イブリダイゼーションによって選別する方法などが挙げ
られる。
【0020】抗腫瘍活性または転換酵素活性は知られて
いるが、該抗腫瘍活性を有する物質または該転換酵素の
アミノ酸配列および該抗腫瘍活性を有する物質または該
転換酵素をコードするDNAの塩基配列ともに公知でない
場合、該抗腫瘍活性を有する物質または該酵素をコード
するDNAを取得する方法としては、該抗腫瘍活性または
該酵素活性が確認されている生物から発現cDNAライブラ
リーを公知の方法等に従って作製し、該抗腫瘍活性また
は該酵素活性を指標にして該ライブラリーを構成する個
々の細胞をスクリーニングし、該抗腫瘍活性を有する物
質または該転換酵素をコードするDNAを保有する細胞を
得る方法が挙げられる。また、該抗腫瘍活性を有する物
質または該転換酵素を自体公知の方法の組み合わせによ
り精製し、該抗腫瘍活性を有する物質または該転換酵素
のN末端のアミノ酸配列を公知の方法に従って解析し、
該アミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を有する合
成DNAをプローブとして用いて、上記したようにcDNAラ
イブラリー等に対してハイブリダイゼーションを行うこ
とによっても抗腫瘍活性を有する物質または転換酵素を
取得することができる。
【0021】より具体的には、シトシンデアミナーゼを
コードするDNAは、大腸菌由来のシトシンデアミナーゼ
をコードするDNAを含有するプラスミドpAdexlCSCD(理
化学研究所 ジーンバンク RDB No.1591)、または同
じく大腸菌由来のシトシンデアミナーゼをコードするDN
Aを含有するプラスミドpMK116から単離されるものを用
いるのが好ましい(D.A.Mead et al.,Protein Engin
eering 1:67−74(1986))。ニトロリダクターゼは、
EcoliBから単離されたものを用いるのが好ましい。そ
のアミノ酸配列は、Biochem Pharmacol;44:2289−2295
に記載されており、そのアミノ酸配列に基づき上記方法
によりニトロリダクターゼをコードするDNAを容易に得
ることができる。
【0022】本発明においては、上記公知塩基配列情報
またはアミノ酸配列情報に基づいて得られる抗腫瘍活性
を有する物質または転換酵素をコードするDNAのほかに
も、該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするDNAを用いることができる。すなわち、一般に1つ
のアミノ酸に対して複数種の遺伝暗号が存在するため、
公知塩基配列または公知アミノ酸配列に基づく塩基配列
とは異なる塩基配列を有するDNAであっても、抗腫瘍活
性を有する物質または転換酵素を発現できれば、本発明
において用いることができる。
【0023】ストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズ可能なDNAとは、上記DNAをプローブとして、コロニー
・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイ
ゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼー
ション法等を用いることにより得られるDNAを意味す
る。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNA
を固定化したフィルターを用いて、約0.7〜1.OM程度
の塩化ナトリウム存在下、約65℃程度でハイブリダイゼ
ーションを行った後、約0.1〜2倍程度濃度のSSC溶液
(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、1
5mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、約65℃程度
条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDN
Aをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、
モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロト
コールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cl
oningl:Core Techniques,A Practical Approach,Sec
ond Edition,Oxford University(1995)等に記載され
ている方法に準じて行うことができる。上記ハイブリダ
イズ可能なDNAとして具体的には、上記公知塩基配列情
報またはアミノ酸配列情報に基づいて得られる抗腫瘍活
性を有する物質または転換酵素をコードするDNAの塩基
配列と少なくとも約60%以上の相同性を有するDNA、好
ましくは約80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ま
しくは約95%以上の相同性を有するDNAをあげることが
できる。
【0024】本発明においては、上記抗腫瘍活性を有す
る物質または転換酵素のアミノ酸配列において1以上の
アミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を
有し、抗腫瘍活性または抗腫瘍物質の前駆体を抗腫瘍物
質に転換できる作用を有するタンパク質またはポリペプ
チドを用いることもできる。かかるタンパク質またはポ
リペプチドは、Molecular Cloning,A LaboratoryManua
l,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory P
ress(1989)、Current Protocols in Molecular Biolo
gy,John Wiley&Sons(1987−1997)、Nucleic Acids
Research,10,6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sc
i.,USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(198
5)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Pro
c.Natl.Acad.Sci USA,82,488(1985)等に記載の
部位特異的変異導入法を用いて、上記抗腫瘍活性を有す
る物質または転換酵素をコードするDNAに部位特異的変
異を導入することにより行うことができる。欠失、置換
もしくは付加されるアミノ酸の数は特に限定されない
が、1個から数十個、特に1個から数個のアミノ酸であ
ることが好ましい。
【0025】第二に、上記のようにして得られた上記抗
腫瘍活性を有する物質または転換酵素をコードするDNA
等を有する組換え体DNAを作製する。本発明において、
組換え体DNAは発現ベクターが好ましい。発現ベクター
は、例えば、目的とするDNA断片を切り出し、該DNA断片
を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結す
ることにより製造することができる。発現ベクターに挿
入するDNA断片として、例えば、上記抗腫瘍活性を有す
る物質または転換酵素をコードするDNAを目的によりそ
のまま、または所望により制限酵素で消化したり、リン
カーを付加したりして使用することができる。該DNA断
片はその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有
し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、T
GAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コ
ドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを
用いて上記抗腫瘍活性を有する物質または転換酵素をコ
ードするDNAに付加することもできる。
【0026】上記発現ベクターは、本発明に係る抗腫瘍
活性を有する物質または転換酵素の発現をさせるため、
または発現に有利となるように、通常は以下に述べるク
ローニングベクターに調節配列を付加したものである。
各々の調節配列はクローニングベクターに対して内在性
であっても外来性であってもよい。このような調節配列
としては、これらに限られないが、プロモーター、リー
ダー、プロペプチド配列、エンハンサー、シグナル配
列、選択マーカーおよびターミネーターを挙げることが
できる。なかでも調節配列としては、少なくともプロモ
ーターおよび夕ーミネー夕ーを含むのが好ましい。調節
配列には、抗腫瘍活性を有する物質または転換酵素をコ
ードするDNAとの連結、および上記調節配列の間の連結
が容易になるように、リンカー(制限酵素切断部位)を
もたせることもできる。
【0027】本発明においてプロモーターおよびターミ
ネーターとしては、ビフィドバクテリウム属菌、特に
Blongum菌で元来高発現しているHU遺伝子(配列番号
1)の発現に関わるプロモーターおよびターミネーター
を用いるのが特に好ましい。具体的には、プロモー夕ー
として配列番号1に記載の塩基配列のそれぞれ塩基番号
1〜192で表されるDNAを、夕ーミネーターとして配列番
号1に記載の塩基配列のそれぞれ塩基番号472〜600で表
されるDNAを用いるのが好ましい。HU遺伝子の発現に関
わるプロモーターおよびターミネーターを有する発現ベ
クターは、Blongum菌のDNAから制限酵素でHU遺伝子を
切り出し、これを下記するクローニングベクターの中に
組み入れ、さらにHU遺伝子の発現に関わるプロモー夕ー
の下流に、上記抗腫瘍活性を有する物質または転換酵素
をコードするDNA等を組み込むことにより作製するのが
特に好ましい。該HU遺伝子の発現に関わるプロモー夕ー
およびターミネー夕ーを用いることにより、上記抗腫瘍
活性を有する物質または転換酵素を効率よく発現させる
ことができる。HU遺伝子の単離方法は、Blongum菌の
染色体DNAを制限酵素Hind IIIで消化するという方法が
挙げられる。
【0028】より具体的には、以下のような態様が挙げ
られる。Blongum菌の染色体DNAを制限酵素Hind IIIで
消化し、フェノール処理・エタノール沈殿により精製す
る。また、pBR322(宝酒造社製)もHind IIIで消化し、
脱リン酸処理後、同様に精製する。各々DNAを連結し、
組換え体DNAを得る。次に該組換えDNAを用いてE. coli
mH3〔Gene,45,37(1986)〕を常法に従い形質転換
し、アンピシリン耐性で、かつテトラサイクリン感受性
を示す形質転換体を取得する。取得した形質転換体から
常法に従いプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドDNAを
常法に従いEcoli YK2741株〔Gene,89,133(199
0)〕に導入して、該菌株の形質転換を行う。YK2741株
はHU遺伝子およびIHF(インテグレーション ホスト フ
ァクター)遺伝子が欠損しているため、低温感受性を呈
する株であることを利用して、アンピシリン含有寒天培
地に塗布して27℃にて培養することにより形質転換体を
選択できる。次に、上記で得られたYK2741株の形質転換
体をさらに培養し、常法により該株が保持するプラスミ
ドを抽出し、該プラスミドDNAを常法に従いEcoli YK1
340〔J.Mol.Biol.,204,581(1988)〕に導入し
て、該菌株の形質転換を行う。得られた形質転換体に対
し、Muファージの感染試験を常法に従い行う。YK1340株
はHU遺伝子の欠損株であり、Muフアージはその増殖にHU
蛋白質を必要とするため、Muファージが感染・増殖し、
溶菌する形質転換体がBlongum菌由来のHU遺伝子を保
有する株の有力な候補となりえる。したがって、アンピ
シリン耐性を示し、かつMuファージが感染・増殖し、溶
菌する株が保有するプラスミド選択することにより、
Blongum菌由来のHU遺伝子の発現に関わるプロモータ
ーおよびターミネーターを保有するプラスミドpBLHU15
を得ることができる。
【0029】また、シグナル配列を組み込むことによ
り、たとえば、宿主細胞内に生産された上記抗腫瘍活性
を有する物質または転換酵素を宿主細胞外に積極的に分
泌させることができる。すなわち、シグナル配列によ
り、本発明の上記抗腫瘍活性を有する物質または転換酵
素の手前にシグナルペプチドを付加した形で発現するこ
ととなり、その結果、上記抗腫瘍活性を有する物質また
は転換酵素を宿主細胞外に積極的に分泌させることがで
きる。シグナルペプチドを付加する方法としては、例え
ば、ポールソンらの方法[J.Bio1.Chem.,264,1761
9(1989)]、ロウらの方法[Proc.Natl.Acad.Sc
i.,USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,4,1288
(1990)]、または特開平5−336963、WO94/23021等に
記載の方法などが挙げられる。
【0030】選択マーカーは、形質転換されたビフィド
バクテリウム属菌のみを選択するために用いられる。例
えば、アンピシリン耐性、テトラサイクリン耐性、ネオ
マイシンもしくはカナマイシン耐性などの薬剤耐性マー
カー;栄養要求性;HAT培地による選択など培地による
選択等が挙げられる。下記するクローニングベクター
が、選択マーカーを有する場合は、さらに選択マーカー
を組み込む必要はない。
【0031】本発明で用いることができるクローニング
ベクターは、(a)上記抗腫瘍活性を有する物質または
転換酵素をコードするDNAと、試験管内で容易に組換え
体を作ることができ、(b)ピフィドバクテリウム属菌
内で増殖する能力をもち、(c)ビフイドバクテリウム
属菌に導入することができ、(d)クローニングベクタ
ーが導入され形質転換されたビフィドバクテリウム属菌
を特異的に検出することができれば、本発明において用
いることができる。
【0032】クローニングベクターとしては、具体的に
は、プラスミドpBLESlOOが挙げられ、該プラスミドは本
発明において好適に使用される。該プラスミド模式図
は、図1で示される。図1からわかるように、大腸菌
(Escherichia coli)ベクターpBR322〔図1中、1本線
で表されている部分〕とBlongum菌由来のpTB6プラス
ミド(3.6kb)〔図1中、太線で表されている部分〕と
の複合プラスミドに、エンテロコカス ファエカリス
(Enterococcus Faecalis)由来の1.1kbのHindIII・Ec
oRI断片(図1中、中抜きの太線で表されている部分)
が組み込まれている。該断片は、スペクチノマイシン耐
性を示す領域、言い換えればスペクチノマイシン アデ
ニルトランスフェラーゼ(spectinomycinadenyltransfe
rase)をコードする領域を含んでいる。
【0033】また、例えば、longum菌SBT595
株(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM
P−14162)に由来し、図2で表される制限酵素認識部位
を有する約2.9kbの大きさのプラスミドpBL595が挙げら
れる。また、該プラスミドpBL595と、大腸菌由来のpBR3
29のAvaI・HindIII断片と、エンテロコッカス・フェカ
リス(EnterococcuS faecalis)由来pAMβ1のHindIII・
AvaI断片からなるプラスミドpBLEM100(図3)が挙げら
れる。なお、該プラスミドpBLEM100を保有する大腸菌が
工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM P−1
4102として寄託されている。
【0034】また、ストレプトコッカス属に属する微生
物由来のプラスミドと大腸菌由来のプラスミドとを結合
させた複合プラスミドと、longum菌由来のプ
ラスミドpBL67またはpBL78とを結合してなるプラスミド
ベクターを用いてもよい(特開平5−130876)。なお、
プラスミドpBL67は、longum菌MO9101株(FER
M P−12167)またはlongum菌MO9102株(FERM
P−12168)に由来し、図4で表される制限酵素認識部
位を有する約3.7kbの大きさのプラスミドである。ま
た、プラスミドpBL78は、longum菌MO9103株
(FERM P−12169)に由来し、図5で表される制限酵素
認識部位を有する約8.5kbの大きさのプラスミドであ
る。
【0035】また、大腸菌由来のプラスミドpBR322と、
longum菌由来のプラスミドpTB4、pTB6また
はpTB10とを結合させたプラスミドも挙げられる。ま
た、該プラスミドに、スタフィロコッカス オウレウス
(Staphilococcus oureus)由来のpC194の全部またはク
ロラムフェニコール耐性遺伝子領域を結合させたプラス
ミドも挙げられる。さらに、上記2つのプラスミドのそ
れぞれに、longum菌のトリプトファン合成系
遺伝子を結合させたプラスミドを用いてもよい(特開昭
63−123384)。なお、これらのプラスミドを保有する大
腸菌が工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されて
いる(微工研菌寄第9040、9041、9042、9043、9044、90
45、9046、9047、9048)。なお、プラスミドpTB4または
pTB10は、longum菌BK25株(微工研菌寄第90
49)に由来するプラスミドである。また、プラスミドp
TB6は、longum菌BK51株(微工研菌寄第905
0)に由来するプラスミドである。
【0036】本発明に係る発現ベクターの好ましい態様
としては、上述のベクターpBLES100に、上述のHU遺伝
子の発現に関わるプロモーターおよびターミネーター
と、5−FCを5−FUに転換できるシトシンデアミナーゼ
(以下、CDと略す)をコードする遺伝子(以下、CD遺伝
子と略す)とを組み込んだ発現ベクターが挙げられる。
より具体的な態様としては、図6の模式図に示す発現ベ
クターが挙げられる。該発現ベクターの具体的な作成方
法の一態様を以下に示す。TOPO vector(フナコシ社
製)に大腸菌由来のCD遺伝子を挿入した組換えDNAを用
いて、EcoliJM109を形質転換し、得られた形質転
換体からプラスミドDNAを抽出する。目的とするプラス
ミドpTOPO−eCDを制限酵素NspVおよびHpaIで消化し、約
1.3kbのCDをコードするDNA断片を精製する。同様に、
前記のようにして得られたlongum菌由来のHU
遺伝子の発現に関わるプロモーターおよびターミネータ
ーを保有するプラスミドpBLHU15もNspVおよびHpa
Iで消化し、6.7kbのDNA断片を精製する。上記で得られ
た1.3kbおよび6.7kbのDNA断片を常法を用いて連結し
組換え体DNAを取得し、該組換え体DNAを用いてcoli
JM109を常法に従い形質転換する。次に、上記形質転換
体から常法によりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドDNAをHindIIIで消化して、例えばアガロースゲル
電気泳動などの常法により、HU遺伝子の発現に関わるプ
ロモーターならびにターミネーターと、CD遺伝子とを含
有する3.6kbのDNA断片を分離・精製する。また前述のE
scherichiaBifidobacteriumのシャトルベクターであ
るpBLES100もHindIIIで消化し、脱リン酸化処理する。
上記3.6kbのDNA断片とpBLES100のHindIII消化物を、常
法により連結して組換え体DNAを作製し該組換え体DNAを
用いてEcoli JM109を常法に従い形質転換する。形質
転換体はスペクチノマイシン耐性により選択できる。こ
のようにして作製されたHU遺伝子のプロモーターの下流
にCDをコードする遺伝子を有するEscherichiaBifidob
acteriumのシャトルベクターpBLES100−S−eCDを得る
ことができる。
【0037】第三に、組換え体DNA、好ましくは発現ベ
クターを、宿主であるビフィドバクテリウム属菌に導入
する。該導入方法としては、自体公知の方法であればい
ずれも用いることができる。具体的には、例えば、エレ
クトロポレーション法[サイトテクノロジー(Cytotech
nology),3,133(1990)]、リン酸カルシウム法(特
開平2−227075)、リポフェクション法[Proc.Natl.A
cad.Sci.,USA,84,7413(1987)]、カルシウムイ
オンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69
2110(1972)]、プロトプラスト法(特開昭63−248394
2)、またはGene,17,107(1982)やMolecular&Gener
al Genetics,168,111(1979)に記載の方法等を挙げ
ることができる。本発明においては、エレクトロポレー
ション法を用いるのが好ましい。該エレクトロポレーシ
ョンは、約10.0kV/cm、約200Ω、約25μFという条件
のもと、約4.1〜4.5ms程度かけて行うのが好ましい。
【0038】導入する組換え体DNA、好ましくは発現ベ
クターと宿主であるビフィドバクテリウム属菌との組み
合わせは特に問わないが、プラスミドpBLES100はB
ongum菌105−A株または108−A株(Biosci.Biot
ech.Biochem.1997,61(7),1211−1212)に導入す
るのが好ましい。図6に示した上述のHU遺伝子の発現に
関わるプロモーターならびにターミネ−ターと、CD遺伝
子とを組み込んだプラスミドpBLES100−S−eCDを導
入し形質転換させたlongum菌105−A株である
longum105−A/pBLES100−S−eCDが工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FERM BP
−7274)。
【0039】上記発現ベクターの導入したビフィドバク
テリウム属菌は、公知の培地を用いて培養され、形質転
換された菌のみが選択される。培地としては、その株に
適切な公知の培地を適宜選ぶことができる。また、形質
転換しているビフィドバクテリウム属菌を選択するため
に、通常は、かかる培地に選択マーカーに応じて各種薬
剤又はアミノ酸等を添加しておく。培地としては、例え
ば、longum菌BK25株またはBK51株は、下記の
組成を有するBriggs培地で培養するのが好ましい。 Briggs培地 トマトジュース抽出物(*1) 400ml 2%グルコース 20g 可溶性デンプン 0.5g 酵母エキス 6g ペプトン 15g グルタミン酸モノナトリウム塩 2g Tween80 1g 酢酸ナトリウム3水和水 10g リン酸2水素カリウム 4g 塩化ナトリウム 5g 蒸留水 600ml pH 6.8 (*1)市販のトマトジュースに等量の蒸留水を加え、
60℃で1時間保温後、100℃で5分間保持した後、残渣
を濾別したもの。
【0040】longum菌SBT0595株は、下記に
示す組成を有するTGAM培地を用いて培養するのが好まし
い。 TGAM培地の組成 トマトジュース抽出液 400ml ペプトン 10g 酵母エキス 5g 肝臓エキス末 1.2g グルコース 3g 可溶性澱粉 5g 塩化ナトリウム 3g Tween80 1g L−システイン−HCl・H2O 0.3g ダイズペプトン 3g プロテオースペプトン 10g 消化血清末 13.5g 肉エキス 2.2g
【0041】例えば、longum菌105−A株また
は108−A株は、上記の組成を有するB rigg s培地のグル
コースを2%ラクトースに換え、さらに0.2g/LL−シス
テイン、3.4g/L−アスコルピン酸ナトリウムを加えた
培地で培養するのが好ましい。longum菌MO91
01株、MO9102株、MO9103株は、1GAMブイヨン液体培地
(日水製薬社製)を用いて培養するのが好ましい。
【0042】上記ビフィドバクテリウム属に属する微生
物の培養は、以下のようにして行うことができる。上記
液体培地で培養する場合は、該液体培地に十分量のビフ
ィドバクテリウム属に属する微生物を植菌後、約30〜40
℃程度、好ましくは約37℃程度において、約12時間程度
以上、好ましくは対数増殖期中期になるまで静置にて、
嫌気条件下で培養する。嫌気条件下とは、ビフィドバク
テリウム属に属する微生物が増殖可能な程度の嫌気度を
保てる密閉容器中であり、例えば嫌気チャンバーまたは
嫌気ボックス等において可能な条件が挙げられる。
【0043】上記形質転換されたビフィドバクテリウム
属菌は、嫌気的環境下にある腫瘍組織内でのみで増殖
し、腫瘍組織内で抗腫瘍活性を有する物質または転換酵
素を発現することができる。したがって、かかる形質転
換されたビフィドバクテリウム属菌は、嫌気的環境を有
する腫瘍、好ましくは固形腫瘍の治療に有効な医薬とし
て使用される。本発明の医薬の投与経路は特に限定され
ず、経口投与または非経口投与などが挙げられるが、非
経口投与が特に好ましい。非経口投与としては、気道
内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内などの投与経略
を挙げることができる。経口投与に適する製剤の例とし
ては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ
剤、溶液剤、カプセル剤または懸濁剤などを挙げること
ができ、非経口投与に適する製剤の例としては、例え
ば、注射剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、坐剤、経皮吸収
剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができる。本発明に
おいては、注射剤、中でも静脈内注射剤として用いるこ
とが好ましい。
【0044】上記形質転換されたビフィドバクテリウム
属菌に、自体公知の後処理を行ってもよい。例えば遠心
分離などにより粗精製を行ってもよい。また、所望によ
り粗精製を行った後、生理食塩水、PBS(リン酸緩衝生
理食塩水)または乳酸配合リンゲル液など当該分野で従
来から使用されている溶媒に溶解または懸濁させてもよ
い。また、所望により凍結乾燥または噴霧乾燥を行い、
粉状物または粒状物にしてもよい。
【0045】本発明の医薬としては、上記形質転換され
たビフィドバクテリウム属菌の溶液もしくは懸濁液、ま
たは粒状もしくは粉状の乾燥物をそのまま投与してもよ
い。しかし、一般的には、有効成分である上記の物質と
1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形
態で投与することが望ましい。このような医薬組成物
は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従
って製造することが可能である。
【0046】経口投与に適する液体製剤の製造には、例
えば、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖頼;ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリ
コール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p
−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの製
剤用添加物を用いることができる。また、カプセル剤、
錠剤、散剤、または顆粒剤などの固形製剤の製造には、
例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦
形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリ
ン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニール
アルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン
などの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリ
セリンなどの可塑剤を用いることができる。
【0047】非経口投与に適する製剤のうち注射剤や点
滴剤などの血管内投与用製剤は、好ましくはヒト血液と
等張の水性媒体を用いて調製することができる。例え
ば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、または塩溶液と
ブドウ糖溶液の混合物から選ばれる水性媒体を用い、常
法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液または分散
液として調製することができる。腸内投与のための坐剤
は、例えばカカオ脂、水素化脂肪または水素化カルボン
酸などの担体を用いて調製することができる。噴霧剤
は、ヒトの口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成
分である本発明に係るビフィドバクテリウム属菌を微細
な粒子として分散させて吸収を促進することのできる担
体を用いて調製することができる。このような担体とし
て、例えば、乳糖またはグリセリンなどを用いることが
できる。本発明に係るビフィドバクテリウム属菌および
用いる担体の性質により、エアロゾルやドライパウダー
などの形態の製剤として調製することができる。非経口
用の製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、
賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤
などから選択される1または2以上の製剤用添加物を用
いることができる。なお、本発明の医薬の形態およびそ
の製造方法は、上記に具体的に説明したものに限定され
ることはない。
【0048】本発明の医薬の投与量および投与頻度は特
に限定されず、ビフィドバクテリウム属菌が有する遺伝
子の種類、治療すべき病態の種類、投与経路、患者の年
齢および体重、症状、および疾患の重篤度などの種々の
条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、
静脈内注射で全身投与する場合は、成人一日あたり約2
×106〜2×107個/body程度を投与することが好まし
く、腫瘍内局所投与の場合は、腫瘍1個につき約5×108
個程度投与することが好ましい。しかし、投与量はこの
特定の例に限定されることはない。
【0049】本発明にかかる医薬は、嫌気的環境を有す
る腫瘍、好ましくは各種固形癌に適用できる。固形癌と
しては、例えば大腸癌、脳腫瘍、頭頚部癌、乳癌、肺
癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、膵島
細胞癌、絨毛癌、結腸癌、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱
癌、精巣癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨
毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性
黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィル
ムス腫瘍、網膜芽細胞腫、メラノーマ、扁平上皮癌など
が挙げられる。
【0050】本発明の医薬は、他の医薬等と併用しても
よい。特に、転換酵素をコードする遺伝子を導入したビ
フィドバクテリウム属菌を投与する場合、抗腫瘍物質前
駆体の投与は必須である。ただし、かかる抗癌物質前駆
体は、転換酵素をコードする遺伝子を導入したビフィド
バクテリウム属菌と、一製剤を成していてもよいし、ま
た、別々の製剤であって同時にまたは間隔を空けて投与
してもよい。また、20%ラクツロース(Lacturose)を
併用することが好ましい。ラクツロースはビフィドバク
テリウム属菌の栄養源であり、かつ、ヒト、マウスおよ
びブタは代謝することができないため、ラクツロースを
投与することにより腫瘍組織内特異的にビフィドバクテ
リウム属菌の菌数が増加するからである。投与量は、成
人一日あたり約24〜48g/body程度が好ましく、投与頻
度に問わない。
【0051】また、本発明の医薬は他の抗腫瘍剤等と組
み合わせて用いることができる。一般的には、作用機序
の異なる数種類の抗腫瘍剤と組み合わせて用いることが
好ましい。他の抗腫瘍剤等としては、例えば、アルキル
化剤、各種代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、その他抗腫
瘍剤、抗腫瘍性植物成分、BRM(生物学的応答性制御物
質)、血管新生阻害剤、細胞接着阻害剤、マトリックス
・メタロプロテアーゼ阻害剤、ホルモン、ビタミン、抗
菌性抗生物質または化学療法剤などが挙げられる。より
具体的には、アルキル化剤として、例えば、ナイトロジ
ェンマスタード、ナイトロジェンマスタードN−オキシ
ド、クロラムブチルなどのアルキル化剤;例えば、カル
ボコン、チオテパなどアジリジン系アルキル化剤;例え
ば、ディブロモマンニトール、ディブロモダルシトール
などのエポキシド系アルキル化剤;例えば、カルムスチ
ン、ロムスチン、セムスチン、ニムスチンハイドロクロ
ライド、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ラニムス
チンなどニトロソウレア系アルキル化剤;ブスルファ
ン;トシル酸インプロスルファン;ダカルバジンなどが
挙げられる。各種代謝拮抗剤としては、例えば、6−メ
ルカプトプリン、6−チオグアニン、チオイノシンなど
のプリン代謝拮抗剤、フルオロウラシル、テガフール、
テガフール・ウラシル、カルモフール、ドキシフルリジ
ン、ブロクスウリジン、シタラビン、エノシタビンなど
のピリミジン代謝拮抗剤、メトトレキサート、トリメト
レキサートなどの葉酸代謝拮抗剤など、および、その塩
もしくは複合体が挙げられる。
【0052】抗腫瘍性抗生物質としては、例えば、マイ
トマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイシン、ダウ
ノルビシン、アクラルビシン、ドキソルビシン、ピラル
ビシン、THP−アドリアマイシン、4’−エピドキソ
ルビシン、エピルビシンなどのアントラサイクリン系抗
生物質抗腫瘍剤、クロモマイシンA3 、アクチノマイシ
ンDなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられ
る。その他抗腫瘍剤しては、例えば、シスプラチン、カ
ルボプラチン、タモキシフェン、カンプトテシン、イホ
スファミド、シクロホスファミド、メルファラン、L−
アスパラギナーゼ、アセクラトン、シゾフィラン、ピシ
バニール、ウベニメクス、クレスチンなど、および、そ
の塩もしくは複合体が挙げられる。また、プロカルバジ
ン、ピポブロマン、ネオカルチノスタチン、ヒドロキシ
ウレアなども挙げることができる。抗腫瘍性植物成分と
しては、例えば、ビシデシン、ビンクリスチン、ビンブ
ラスチンなどのビンカアルカロイド類、エトポシド、テ
ニポシドなどのエピポドフィロトキシン類、および、そ
の塩もしくは複合体が挙げられる。BRMとしては、例え
ば、腫瘍壊死因子、インドメタシンなど、および、その
塩もしくは複合体が挙げられる。血管新生阻害剤として
は、例えばフマジロール誘導体、および、その塩もしく
は複合体が挙げられる。細胞接着阻害剤としては、例え
ば、RGD配列を有する物質、および、その塩もしくは複
合体が挙げられる。マトリックス・メタロプロテアーゼ
阻害剤としては、例えば、マリマスタット、バチマスタ
ットなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられ
る。ホルモンとしては、例えばヒドロコルチゾン、デキ
サメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、
プラステロン、べタメタゾン、トリアムシノロン、オキ
シメトロン、ナンドロロン、メタノロン、ホスフェスト
ロール、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、
メドロキシプロゲステロンなど、および、その塩もしく
は複合体が挙げられる。ビタミンとしては、例えば、ビ
タミンC、ビタミンA、および、その塩もしくは複合体
が挙げられる。
【0053】本発明に係る患者に投与されたビフィドバ
クテリウム属菌は、抗生物質で簡単に殺すことができ
る。このことは、本発明に係る遺伝子輸送システムの安
全性をより高めるために重要である。
【0054】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明は下記の実施
例にのみ限定されるものではない。また、実施例中、特
に断らない限り、DNA等を取り扱う方法については、モ
レキュラー・クローニング第2版記載の方法を用いた。 実施例1 腫瘍組織におけるBlongumの集積と増殖の確
認 (1)担癌動物投与用Blongum溶液の調製Blongum105−AまたはBlongum108−A〔Biosci.Biot
ech.Biochem.,61,1211(1997)〕を含有する担癌
動物投与用Blongum溶液は、以下のようにして調製し
た。なお、Blongum105−Aは、FERM BP−7274を非選択
条件下(スペクチノマイシン非存在下)にて下記のよう
に培養したのち、75μg/mlスペクチノマイシンを加え
た寒天含有改変Briggs broth(改変Briggs brothに寒天
を1.5%になるように加えたもの)に塗布し、プラスミ
ドが脱落したためスペクチノマイシン感受性を示す株と
して取得することができる。Blongum105−AまたはB
longum108−Aは、それぞれ改変Briggs培地[A液〔0.5g
/1 可溶性でんぷん、6.0g/1 Bacto Yeast extract
(Difco社製)、15.0g/1 ポリペプトン、2.0g/lグル
タミン酸ナトリウム、10.0g/1 酢酸ナトリウム3水和
物、4.0g/1 リン酸2水素カリウム、5.0g/1 塩化ナ
トリウム、1.0g/1 tween80、400ml/1 トマトジュー
ス抽出液(トマトジュース抽出液は、缶入りトマトジュ
ース(デルモンテ社製) 400mlに水 400mlを加え、60
℃で1時間保温後、100℃で5分間保持し、ハイフロース
ーパーセル(和光純薬株式会社製)を少量加え撹拝した
後、アスピレーターで濾過することにより作成した)、
水酸化ナトリウムでpH6.8に調整し、オートクレーブ滅
菌したもの〕、B液〔20% ラクトース水溶液をオート
クレーブ滅菌したもの〕、C液〔20.0g/1 L−システイ
ン、340g/1 アスコルビン酸ナトリウムを濾過滅菌し
たもの〕を、A液 100:B液 10:C液 1の比率で混合
して作製]に植菌し、嫌気的条件下、37℃にて静置培養
で対数増殖中期まで増殖させた。得られた培養液は、遠
心分離にて菌体を沈殿させて上清を除いた後、PBS(リ
ン酸緩衝化生理食塩水、8g/1 塩化ナトリウム、0.2g
/1 塩化カリウム、1.44g/1 リン酸水素ニナトリウ
ム、0.24g/1 リン酸二水素カリウム、PH7.4)を加
えて懸濁して、更に2度上記のように遠心分離操作を繰
り返し、菌体を洗浄した。2度目の遠心分離後、上清を
除いた菌体に、最初に遠心分離に供した培養液の10倍
量または1/50量のPBSを加えて懸濁することにより、
Blongum溶液を調製した。
【0055】(2)担癌動物へのBlongumの投与Blongumの投与用の担癌動物には、6〜8週令の雄C57BL
/6マウス(日本 SLC社から購入)にB16−F10 melano
ma細胞またはLuwis lung cancer細胞を移植した2種類
の担癌マウス、および6週令の雄Spraque−Dawleyラット
(日本 SLC社から購入)に7,12−dimethylbenz[a]a
nthracene(DMBA)を投与して作成された担癌ラットを
用いた。マウス接種用に用いた、B16−F10 melanoma細
胞とLuwis lung cancer細胞は、それぞれ10%牛胎
児血清を含有するDulbecco改変Eagle培地〔Virology,
8,396(1959)、Virology,12,185(1960)〕で、37
℃、5%CO2の条件下、一層培養にて調製した。培養した
それら癌細胞は、それぞれ5×105個をC57BL/6マウスの
右大腿筋に接種し、接種後2週目に右外退部に固形癌を
有する担癌マウスとしてBlongum投与試験に供した。
化学誘発乳癌ラットは、6週令の雄Spraque−Dawleyラッ
トにゴマ油に溶解したDABA(10mg/ml)1mlをゾンデを
用いて胃内に投与し、一週間後もう一度等量のDMBAを投
与することにより作製した。2回目の投与後、1ケ月半〜
2ケ月で腫瘍の大きさが直径5mmに達したところで化学誘
発乳癌ラットとしてBlongum投与試験に供した。担癌
動物へのBlongumの投与は、上記(1)で作成したB
longum菌体溶液を、マウスでは10倍稀釈溶液を0.5ml
Blongum 5〜6×106細胞分)、ラットでは1/50濃縮
溶液を0.5ml(2×108細胞分)、尾静脈より1回、全身
投与する方法で行った。
【0056】(3)Blongumの腫瘍組織への選択的集積
および腫瘍組織での選択的増殖の観察Blongumを投与した担癌マウスは6〜8匹を、投与後
1、24、48、72、96、168時間後に経時的
に、担癌ラットは6匹を、投与後168時間後に、それ
ぞれ犠牲死させて腫瘍組織および正常組織を摘出し、各
組織抽出液を嫌気的に培養することにより、腫瘍組織お
よび正常組織内におけるBlongumの集積および増殖を
解析した。上記正常組織としては肺、肝臓、脾臓、腎臓
および心臓を用い、マウス腫瘍組織としては右大腿部に
形成された腫瘍組織を、ラット腫瘍組織としては乳癌組
織を用いた。組織抽出液は、該組織を無菌環境下で該組
織の重量を測定し、切断後、十分にすりつぶし、氷冷し
たPBSを該組織の10倍重量量加えてホモゲナイズして濾
過することにより取得した。各組織におけるBlongum
の分布は、以下のようにして解析した。上記で調製した
組織抽出液を希釈したもの(100μlあたり0.01gの組
織を含有するように希釈したもの)を100μlずつ2枚の
シャーレに分注し、あらかじめ55℃に保温し溶解してお
いた、20mg/l L−システイン、340mg/l アスコル
ビン酸ナトリウムを含有するBriggs寒天培地(Briggs培
地に1.5% 寒天を加えた培地)を上記シヤーレに注ぎ
込み、よく撹拌した後、室温におくことで固化させた。
該シャーレは、密封したデシケーター中で、嫌気的条件
下にて、37℃、3日間培養し、生育してきたBlongum
コロニーをカウントすることでBlongumの各組織内分
布を解析した。その結果、Blongum 105−Aまたは108
−Aを全身投与したLewis lung cancer細胞接種胆癌マ
ウスとも、腫瘍組織1gあたり、60,000個のBl
ongumのコロニーが観察された。これに対し正常組織で
ある肺、肝臓、脾臓、腎臓および心臓では96時間後に
は108−Aが、168時間後には105−Aが全く観察されなく
なった(図7)。Blongum105−Aまたは108−Aを投与し
たB16−F10 melanoma細胞を接種した担癌マウスにおい
ても、上記と同様な結果が得られた。Blongum 105−
Aを全身投与した化学誘発乳癌ラットでは、腫瘍組織1
gあたり、10,000個のBlongumのコロニーが観
察されたが、正常組織である肺、肝臓、脾臓、腎臓では
168時間後にはまったく観察されなかった(図8)。以上
の結果から、Blongumは、腫瘍組織特異的に集積・増
殖することが確認された。
【0057】(4)ラクツロース(1acturose;4−0−β−
D−galactopyranosyl−D−fructofuranose)投与によ
Blongumの腫瘍組織内での増殖 ラクツロース(lacturose;日研化学社より分譲)は、
天然には存在していない合成糖であり、人、マウスおよ
び豚は1acturoseを代謝することができないことが知ら
れている〔Biochem.Biophys.Acta,110,635(196
5)、Pediatrics,32,1033(1963)、Gastroenterolog
y,47,26(1964)、Die Nahrung,11,39(1967)〕。
一方、Blongumは、1acturoseを炭素源として用いて生
育可能である。そこで、Blongum105−Aを投与したLew
is lung cancer細胞担癌マウス6〜8匹に、Blong
um投与後、連日8日間にわたり、20% ラクツロ−ス(1
acturose)溶液を1ml腹腔内投与し、9日日に該マウス
を犠牲死させて各組織内に存在するBlongumの菌数を
解析したところ、ラクツロース(lacturose)非投与群
のコントロ−ルに比べ、ラクツロース(lacturose)投
与担癌マウス群の腫瘍組織内に存在するBlongumの菌
数は200倍になっていた。以上の結果より、ラクツロー
ス(lacturose)の投与により、腫瘍組織内のBlongum
を選択的に増殖させることが可能であることが示され
た。
【0058】実施例2 腫瘍組織におけるプラスミドDNA
を有する組換えBlongumの特異的集積および増殖 (1)プラスミドDNAを有する組換えBlongumの作成 実施例1(1)に記載した方法により、嫌気的条件下で
Blongum 105−Aを培養した後、4℃に置いた。次に該
培養液を遠心分離して菌体を沈殿させ、上清を除いた
後、氷冷した10%グリセロール溶液を加えて懸濁し
た。上記操作を3回線り返すことにより、Blongum菌体
を十分に洗浄した。最後の洗浄の後、上清を取り除き、
最初の遠心分離に供した培養液量の1/10体積量の氷冷
した10%グリセロール溶液を加えて懸濁し、エレクトロ
ポレーションによる形質転換に供する菌体サンプルとし
た(2×108〜2×109コロニー形成単位(CFU)/50μ
l)。形質転換に用いたプラスミドDNAであるpBLES100
〔Biosci.Biotech.Biochem.,61,1211(1977)〕
は、Biosci.Biotech.Biochem.,61,1211(1997)に
記載の方法により構築することもできるが、工業技術院
生命工学技術研究所に寄託されているFERM BP−7274か
ら常法によりプラスミドを抽出し、該DNAを制限酵素
indIII(宝酒造社製)で消化した後、フェノール処
理・エタノール沈殿しDNAを水等に溶解し、T4DNAリガー
ゼ(宝酒造社製)を用いて、該製品に添付されている使
用説明書に従って、自己環化反応により結合させること
によっても取得することができる。Blongumの形質転
換に用いたpBLES100は、以下のようにして調製した。上
記のようにして取得したpBLES100を用いてEscherichia
coliEcoli)JM109の形質転換体を取得し、該形質
転換体を75μ/ml スペクチノマイシン存在下で培養し
た。該培養によって得られる培養物から常法に従いプラ
スミドpBLES100を抽出し、塩化セシウム密度勾配超遠心
(モレキュラー・クローニング第2版)により精製する
ことで、Blongumの形質転換用のpBLES100を得た。上
記で調製した50μl Blongum 105−A菌体サンプルと
4μl pBLES100(1μgDNA/4μ1)を0.2cm幅のエレ
クトロポレーション用のキュベット(Bio−Rad社製)に
入れて混合し、5分間、氷上に置いた。該キュベットをG
ene Pulser(Bio−Rad社製)にセットして、2.0KV、2
5μF capacitor、200Ωparallel resistanceの条件で
エレクトロポレーションによる形質転換を行った。電気
パルスをかけた後、すばやく1ml Briggs培地をキュ
ベットに加え、該キュベットを37℃で3時間、静置した
後、75μg/ml スペクチノマイシンを含有するBriggs
寒天培地プレートに塗布した。該プレートは、Gas Pack
AnaerobicSystems(BBL社製)を用いて嫌気的条件下、
37℃で3〜4日間培養した。出現してきたコロニーを数個
ピックアップし、実施例1(1)に記載の方法にて培養
し、QIAGEN Plasmid MiniKit(キアゲン社製)を、菌体
を溶解したP1溶液にリゾチームを加えて37℃で40分間保
温する以外は、該キットに添付の使用法に従って用いる
ことにより該コロニーが保持するプラスミドDNAを抽出
した。抽出したプラスミドDNAは、数種類の制限酵素で
消化した後、アガロースゲル電気泳動法により、その構
造を確認し、該コロニーがpBLES100を保持していること
を確認した。上記で得られた組換え体をBlongum 105
−A/pBLES100と命名した。
【0059】(2)担癌動物への組換えBlongum株の投
与 担癌動物投与用のBlongum 105−A/pBLES100溶液の調
製は、改変Briggs培地に75μg/mlのスペクチノマイシ
ンを加えて培養する以外は、実施例1(1)と同様に調製
した。担癌マウスヘの該溶液の投与は、担癌マウスにB1
6−F10 melanoma細胞を移植した担癌マウスを用いて、
また担癌ラットヘの投与は、担癌ラットに化学誘発乳癌
ラットを用いて、実施例1(2)と同様に行った。 (3)組換えBlongum 株の腫瘍組織における選択的集
積および増殖Blongum 105−A/pBLES100溶液を投与した担癌マウス
6〜8匹、および担癌ラット6匹を、4日目に犠牲死させ
て、実施例1(3)に記載の方法に従い、腫瘍組織およ
び各正常組織内におけるBlongum 105−A/pBLES100の
分布を解析した。ただし、組織抽出液と混合する培地に
は、75μg/ml スペクチノマイシンを加えた。その結
果、B16−F10 melanoma細胞およびLuwis lung cancer細
胞を接種した担癌マウスとも、非組換えBlongum 105
−Aを投与したコントロール群の腫瘍組織に分布するB
longum の細胞数と比較して、Blongum 105−A/pBLES
100を投与した担癌マウスの腫瘍組織に分布するBlong
um 105−A/pBLES100の細胞数は減少していなかった
(図9)。また、化学誘発乳癌ラットにおいても同様の
結果が得られた(図8)。以上の結果より、腫瘍組織内
において、Blongum 105−Aは、プラスミドpBLES100を
安定に保持できることがわかった。次に、非組換えBl
ongum 、およびBlongum 105−A/pBLES100を投与し
た担癌マウスに、それぞれ投与翌日から、連日スペクチ
ノマイシン200mg/kgを腹腔内投与し、4日目に該マウス
を犠牲死させて、Blongum の各組織内分布を解析し
た。スペクチノマイシンの代わりに、連日PBSを腹腔内
投与したコントロール群と比較して、非組換えBlongu
m を投与した担癌マウスでは、スペクチノマイシンの投
与により、腫瘍組織に分布するBlongum の菌数が1%
以下に低下していた。Blongum 105−A/pBLES100を
投与した担癌マウスでは、スペクチノマイシンを投与し
ても、腫瘍組織に分布するBlongum 105−A/pBLES100
の菌数は、コントロール群の81%を保っていた(図
9)。以上の結果から、腫瘍組織内特異的にスペクチノ
マイシン耐性遺伝子が発現していることが確認された。
【0060】実施例3 シトシンデアミナ−ゼ(CD)を
高発現する組換えBlongum を含有する抗腫瘍剤 (1)Blongum 細胞内で高発現する遺伝子の取得Blongum 細胞内で高発現する遺伝子として知られてい
るHU遺伝子〔HU蛋白質:ヒストン様DNA結合蛋白質、Bio
chimie,72,207(1990)〕を、以下の方法により取得
した。Blongum ATCC15707株をBriggs培地を用いて、
実施例1(1)に記載の方法に従い培養し、得られた菌体
からモレキュラー・クローニング第2版に記載の方法に
従い、染色体DNAを抽出・精製した。該染色体DNA 1μg
を制限酵素HindIIIで消化し、フェノール処理・エタノ
ール沈殿により精製した。また、PBR322(宝酒造社から
購入)もHindIIIで消化し、脱リン酸処理後、同様に精
製した。各々100ngのDNAを、T4 DNAリガーゼ(宝酒造
社製)を該製品に添付された使用説明書に従って用いる
ことにより連結し、組換え体DNAを得た。次に該組換えD
NAを用いてEcoli mH3〔Gene,45,37(1986)〕を常
法に従い形質転換し、アンピシリン耐性で、かつテトラ
サイクリン感受性を示す形質転換体を取得した。取得し
た約2000株の形質転換体から、常法に従いプラスミドDN
Aを抽出し、E.coli YK2741株〔Gene,89,133(199
0)〕の形質転換に供した。YK2741株はHU遺伝子およびI
HF(インテグレーション ホスト ファクター)遺伝子
が欠損しているため、低温感受性を呈する株である。従
って、低温でも生育可能な形質転換体は、Blongum
来のHU遺伝子を保有する株の可能性がある。常法に従い
形質転換を行い、アンピシリン含有寒天培地に塗布して
27℃にて培養し、生育してきた形質転換体を後の実験に
供した。次に、上記で得られたYK2741株の形質転換体を
培養し、上記の方法により各々の株が保持するプラスミ
ドを抽出し、coli YK1340〔J.Mol.Biol.,204
581(1988)〕の形質転換に供した。得られた形質転換
体に対し、Muファージの感染試験をモレキュラー・クロ
ーニング第2版の方法に従い行った。YK1340株は、HU遺
伝子の欠損株であり、Muファージはその増殖にHU蛋白質
を必要とするため、Muファージが感染・増殖し、溶菌す
る形質転換体がBlongum 由来のHU遺伝子を保有する株
の有力な候補となる。アンピシリン耐性を示し、かつMu
ファージが感染・増殖可し、溶菌する株が保有するプラ
スミドの1つをpBLHU15と命名し、その構造および性質を
分析し、該プラスミドがBlongum 由来のHU遺伝子を保
有するプラスミドであることを確認した(図10)。
【0061】(2)シトシンデアミナーゼ(CD)高発現
プラスミドの作製 CDをコードする遺伝子は、大腸菌由来のCDをコードする
遺伝子を含有するプラスミドpAdex1CSCD(理化学研究所
ジーンバンク RDB No.1591)を鋳型として、配列番
号2で表される塩基配列を有するDNAおよび配列番号3で
表される塩基配列を有するDNAをプライマーセットとし
て用いて、PCRによって取得した。PCRは鋳型DNA 125ng
/l、プライマー各 0.5/μmol/l、P f uDNAポ
リメラーゼ(ストラタジーン社製)2.5units、P f u D
NAポリメラーゼ用×10緩衝液(ストラタジーン社製)4
μl、deoxy NTP各 200μmol/lを含む反応液40μlを
用い、94℃で1分、55℃で1分、72℃で1分の工程を30回
繰り返したのち、72℃で15分保温する条件で行った。反
応液の一部をアガロースゲル電気泳動して、約1.3kbの
断片が増幅していることを確認し、残りの反応液をフェ
ノール処理・エタノール沈殿して精製した後、TOPO vec
tor(フナコシ社製)に、上記キットを用いて連結し
た。連結して得られた組換えDNAを用いて、E. coli JM1
09を形質転換し、得られた形質転換体からプラスミドDN
Aを抽出して、目的とするプラスミドpTOPO−eCDが構築
されていることを、各種制限酵素消化物をアガロースゲ
ル電気泳動することにより確認した。pTOPO−eCDは、制
限酵素NspV(宝酒造社製)、およびHpaI(宝酒造
社製)で消化した後、アガロースゲル電気泳動し、Gene
clean kit(フナコシ社製)を該使用説明書に従って用
い、約1.3kbのCDをコードするDNA断片を精製した。同
様に実施例3(1)で得られたプラスミドpBLHU15もNs
VおよびHpaIで消化し、6.7k・bのDNA断片を精製
した。上記で得られた1.3kbおよび6.7kbのDNA断片を
上記のキットを用いて連結し、組換え体DNAを取得し、
該組換え体DNAを用いてE. coli JM109を常法に従い形質
転換した。得られた形質転換体のうち、数株を培養して
該培養物からプラスミドを抽出し、各種制限酵素で消化
したDNAをアガロースゲル電気泳動法で解析すること
により、HU遺伝子のプロモーターの下流にCD遺伝子を組
込んだプラスミドDNAが取得できたことを確認した。
次に、該プラスミドDNAをHindIIIで消化して、アガ
ロースゲル電気泳動することにより、HU遺伝子およびCD
をコードする遺伝子を含有する、3.6kbのDNA断片を
分離し、Gene clean kitを用いて精製した。また、前述
したEscherichia-Bifidobacteriumのシャトルベクター
であるpBLES100もHindIIIで消化し、脱リン酸化処
理をした。上記3.6kbのDNA断片とpBLES100のHin
dIII消化物を、上記キットを用いて連結して組換え体
DNAを作製し、該組換え体DNAを用いてE. coli JM
109を常法に従い形質転換した。スベクチノマイシン耐
性を示す形質転換体を数株ピックアップし、常法に従い
該形質転換体が有するプラスミドDNAを抽出し、各種
制限酵素で消化した後、アガロースゲル電気泳動により
目的とするプラスミドが構築されていることを確認し
た。以上のようにして作製された、HU遺伝子のプロモ
ーターの下流にCDをコードする遺伝子を有する、Eshe
richia-BifidobacteriumのシャトルベクターをpBLES100
−S−eCD(図11)と命名した。また、上記で取得したpB
LESlOO−S-eCDを保有するE. Coli JMlO9からの、Bl
ongum形質転換用プラスミドの調整は、実施例2(1)に
記載の方法に従い、塩化セシウム密度勾配遠心法により
行った。前記で調整されたpBLESlOO−S−eCDを用いて、
実施例2(1)に記載の方法に従い、Blongum 105−Aを
形質転換し、得られた形質転換株をBlongum 105−A/
pBLESlOO−S−eCDと命名した。Blongum 105−A/pBLE
SlOO−S−eCDは、ブタペスト条約に基づいて、平成12
年8月15日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業
技術研究所、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号
(郵便番号305−8566)に受託番号FERM B
P−7274として寄託されている。
【0062】実施例4 CDを高発現する組換えBlongu
mを含有する抗腫瘍剤 (1)担癌動物へのBlongum 105−A/pBLESlOO−S−eC
Dの投与 担癌動物への投与に用いるBlongum 105−A/pBLES100
−S−eCD溶液は、実施例2(2)に記載の方法に従って
調製した。担癌マウスヘの該溶液の投与は、担癌マウス
にB16−FlOmelanoma細胞を右大腿筋に移植した担癌マウ
スを用いて、該大腿部の腫瘍に1×107個局注した。 (2)5−fluorocytosine(5−FC)から5−fluorouracil
(5−FU)への腫瘍組織内特異的な変換 実施例4(1)で、Blongum 105−A/pBLES100−S−eC
Dを投与した担癌マウス6〜8匹に、5−FC 500mg/kg
を腹腔内へ連日投与し、併せて20%1acturose溶液1ml
Blongum 105−A/pBLESlOO−S−eCD投与の翌日から
連日腹腔内投与した。該投与は該担癌マウスを犠牲死さ
せるまで行った。また、コントロールにはBlongum 10
5−A/pBLESlOO−S−eCDを局注していない担癌マウスを
用い、上記と同様に5−FCを連日投与した。B.longum 10
5−A/pBLESlOO−S−eCD投与から8日目に該担癌マウス
を犠牲死させ、大腿部腫瘍組織内の5−FU濃度を測定し
た。5−FU濃度の測定は、B.longum 105−A/pBLESlOO−
S−eCDを局注した腫瘍組織、および局注していない腫瘍
組織を摘出し、該腫瘍組織中の5−FU濃度測定〔GC−MS
法、J.Chromatography,564,137(1991)〕を大塚アッ
セイ研究所に依頼して行った。その結果、B. longum 10
5−A/pBLESlOO−S−eCDを局注していない腫瘍組織内で
は10.Ong/g程度の5−FUしか検出できなかったのに比
べ、B.longum 105−A/pBLESlOO−S−eCDを局注した腫
瘍組織内においては、588.8ng/gの5−FUが検出され
た。以上の結果から、全身投与された5−FCが腫瘍組織
内特異的に5−FUに転換されることが確認された。
【0063】
【発明の効果】本発明は、その一部がヒトの腸内常在菌
であり、病原性がないビフィドバクテリウム属に属する
嫌気性菌を遺伝子輸送担体として用いることにより、嫌
気的環境下にある腫瘍組織において特異的に抗腫瘍活性
を有する物質または転換酵素を発現させる方法、および
該方法に用いる形質転換あるいは変異させたビフィドバ
クテリウム属に属する微生物を提供する。該方法を主に
固形腫瘍の治療に用いるにより、腫瘍の選択的治療が可
能になり従来の腫瘍に対する化学療法剤による副作用が
軽減されるという効果がある。また、今まで癌に有効で
ありながら副作用のために使用できなかった薬剤につい
ても再び使用の可能性が出てくるという効果もある。ま
た、本発明は、ビフィドバクテリウム属に属する微生物
に導入したDNAがコードするタンパク質を高発現させる
ための発現ベクターを提供することにある。これによ
り、嫌気的環境下にある腫瘍組織、主に固形腫瘍の治療
を効率的に行うことができる。
【0064】
【配列表】 Sequence Listing <110>KYOWA HAKKO KOGYO CO.,LTD. <120>Anaerobic bacterium as a drug for cancer gene therapy <130>DKO4J225 <140> <141> <160>3 <210>1 <211>600 <212>DNA <213>Bifidobacterium longum <220> <221>CDS <222>(193)..(471) <400>1 gctgggcgcg gcggccatga agtggcttga caagcataat cttgtctgat tcgtctattt 60 tcaatacctt cggggaaata gatgtgaaaa cccttataaa acgcgggttt tcgcagaaac 120 atgcgctagt atcattgatg acaacatgga ctaagcaaaa gtgcttgtcc cctgacccaa 180 gaaggatgct tt atg gca tac aac aag tct gac ctc gtt tcg aag atc gcc 231 Met Ala Tyr Asn Lys Ser Asp Leu Val Ser Lys Ile Ala 1 5 10 cag aag tcc aac ctg acc aag gct cag gcc gag gct gct gtt aac gcc 279 Gln Lys Ser Asn Leu Thr Lys Ala Gln Ala Glu Ala Ala Val Asn Ala 15 20 25 ttc cag gat gtg ttc gtc gag gct atg aag tcc ggc gaa ggc ctg aag 327 Phe Gln Asp Val Phe Val Glu Ala Met Lys Ser Gly Glu Gly Leu Lys 30 35 40 45 ctc acc ggc ctg ttc tcc gct gag cgc gtc aag cgc ccg gct cgc acc 375 Leu Thr Gly Lue Phe Ser Ala Glu Arg Val Lys Arg Pro Ala Arg Thr 50 55 60 ggc cgc aac ccg cgc act ggc gag cag att gac att ccg gct tcc tac 423 Gly Arg Asn Pro Arg Thr Gly Glu Gln Ile Asp Ile Pro Ala Ser Tyr 65 70 75 ggc gtt cgt atc tcc gct ggc tcc ctg ctg aag aag gcc gtc acc gag 471 Gly Val Arg Ile Ser Ala Gly Ser Leu Leu Lys Lys Ala Val Thr Glu 80 85 90 tgaccttctg ctcgtagcga ttacttcgag cattactgac gacaaagacc ccgaccgaga 531 tggtcggggt ctttttgttg tggtgctgtg acgtgttgtc caaccgtatt attccggact 591 agttcagcg 600 <210>2 <211>18 <212>DNA <213>Artificial sequence <220> <223>Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400>2 ggttcgaata acgcttta 18 <210>3 <211>23 <212>DNA <213>Artificial sequence <220> <223>Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400>3 cggttaactc aacgtttgta atc 23
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pBLESlOOのプラスミド模式図を示す。1本線
で表されている部分は、大腸菌(Escherichia coli)ベ
クターpBR322を表し、太く塗りつぶした線で表されてい
る部分はlongum菌由来のpTB6プラスミド
(3.6kb)を表し、中抜きの線で表されている部分はエ
ンテロコカス ファエカリス(EnterococcusFaecalis)
由来の1.1kbのHindIII・EcoRI断片を表す。また、S
pecrはスペクチノマイシン耐性遺伝子を表し、Oriは複
製原点を表す。
【図2】 pBL595のプラスミド模式図を示す。
【図3】 pBLEMlOOのプラスミド模式図を示す。なお、
太く塗りつぶした部分はlongum菌SBT595株由
来プラスミドpBL595を表し、太い中抜きの部分は大腸菌
由来のpBR329のAvaI・HindIII断片を表し、細い
線の部分はエンテロコッカス・フェカリス(Enterococc
us faecalis)由来pAMβ1のHindIII・AvaI断片
を表す。
【図4】 pBL67のプラスミド模式図を示す。
【図5】 pBL78のプラスミド模式図を示す。
【図6】 HU遺伝子とシトシンデアミナーゼを組み込ん
だpBLESlOOのプラスミド模式図を示す。なお、一本線で
表されている部分は、大腸菌(Escherichia coli)ベク
ターpBR322を表し、太く塗りつぶした線で表されている
部分はlongum菌由来のpTB6プラスミド(3.6
kb)を表し、中抜きの線で表されている部分はエンテロ
コカス ファエカリス(Enterococcus Faecalis)由来
の1.1kbのHindIII・EcoRI断片を表し、散点模
様の部分はlongum菌遺伝子のHindIII処
理断片を表し、中に矢印が描かれた中抜きの線で表され
ている部分は大腸菌由来のCD遺伝子を表し、その前(Or
iに近いほう)の網掛けの部分は、HU遺伝子のプロモー
ターを含む領域を、その後ろの斜線部分はターミネータ
ーを含む領域を表す。また、Specrはスペクチノマイシ
ン耐性遺伝子を表し、Oriは複製原点を表す。
【図7】 担癌マウスにlongum菌を静注投与
した後の、各種臓器組織および腫瘍組織に存在する該微
生物のコロニー数を経時的に示した図である。○は
longum105−A、□はlongum108−A根与
時の結果を示す。
【図8】 担癌ラットにlongum105−A(網掛
けで示す)またはpBLESlOOで形質転換されたlon
gum105−A(白抜きで示す)を静注投与し、168時
間後に各種臓器組織および腫瘍組織に存在する該微生物
のコロニー数を示した図である。
【図9】 担癌マウスにlongum105−A、また
longum105−A/pBLESlOOを静注投与し、か
つスペクチノマイシンを投与したときの、腫瘍細胞に存
在する各々の微生物のコロニー数を示す図である。白抜
きはlongumlO5−A、網掛けはlongu
105−A/pBLESlOOを投与群を表し、コントロールはス
ペクチノマイシン非投与、スペクチノマイシンはスペク
チノマイシン投与群を表す。
【図10】 longum由来のHU蛋白質をコード
するDNAを含有するプラスミドpBLHU15の模式図を示す。
なお、散点模様の部分はlongum菌遺伝子の
indIII処理断片を表し、一本線および中抜きの線で
表されている部分は、pBR322プラスミドを表し、太く塗
りつぶした線で表されている部分は、longum
由来のHU遺伝子を表す。また、Amprはアンピシリン耐性
遺伝子を、Terrはテトラサイクリン耐性遺伝子を表し、
Oriは複製原点を表す。
【図11】 大腸菌由来のCDを組込んだlongu
用の発現プラスミドベクターpBLESlOO−S−eCDの構築
過程を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/43 A61P 35/00 48/00 C12N 1/21 A61P 35/00 (C12N 1/21 C12N 1/21 C12R 1:01) 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA //(C12N 1/21 A61K 37/02 C12R 1:01) 37/48 (72)発明者 谷口 俊一郎 長野県松本市旭3−1−1 信州大学医学 部内 (72)発明者 天野 純 長野県松本市旭3−1−1 信州大学医学 部内 (72)発明者 矢澤 和虎 長野県松本市旭3−1−1 信州大学医学 部内 (72)発明者 加納 康正 京都府京都市山科区御陵4丁野町1 京都 薬科大学生命薬学研究所内 (72)発明者 中村 俊幸 長野県松本市旭3−1−1 信州大学医学 部内 (72)発明者 佐々木 貴之 長野県松本市旭3−1−1 信州大学医学 部内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 CA03 DA05 FA00 GA11 HA17 4B065 AA01X AA90Y AB01 AC14 BA02 CA44 4C084 AA02 AA03 AA13 BA01 BA08 BA16 BA22 BA23 BA44 CA53 DA14 DC01 DC23 MA02 NA13 ZB26 4C086 AA01 AA02 BC02 BC43 MA02 MA04 NA13 ZB26 4C087 AA01 AA02 BC59 MA02 NA13 ZB26

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嫌気的環境下にある腫瘍組織特異的にDN
    Aを輸送するシステムにおいて、該DNAにコードされる蛋
    白質の活性が親株より高いビフィドバクテリウム(Bifi
    dobacterium)属に属する微生物を遺伝子輸送担体とし
    て用い、該腫瘍該DNAを発現させることを特徴とする、
    遺伝子輸送方法。
  2. 【請求項2】 嫌気的環境下にある腫瘍組織特異的にDN
    Aを輸送するシステムにおいて、該DNAを有する組換え体
    DNAで形質転換されたビフィドバクテリウム(Bifidobac
    terium)属に属する微生物を遺伝子輸送担体として用
    い、該腫瘍組織内で該DNAを発現させることを特徴とす
    る、遺伝子輸送方法。
  3. 【請求項3】 DNAが、以下のDNAから選ばれるDNAであ
    ることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 (a)抗腫瘍活性を有する蛋白質をコードするDNA (b)抗腫瘍物質前駆体を抗腫瘍物質に変換する活性を
    有する蛋白質をコードするDNA
  4. 【請求項4】 抗腫瘍活性を有する蛋白質が、インター
    ロイキン−2であることを特徴とする、請求項3に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 抗腫瘍物質前駆体が、5−フルオロシト
    シン、5−アジリジノ−2,4−ジニトロベンズアミ
    ド、ガンシクロビル、グルクロン酸抱合抗腫瘍物質また
    はリジン抱合抗腫瘍物質から選ばれる物質であることを
    特徴とする、請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 抗腫瘍物質前駆体を抗腫瘍物質に変換す
    る活性を有する蛋白質が、シトシンデアミナーゼ、ニト
    ロレダクターゼ、単純ヘルペス1型 チミジンキナー
    ゼ、β−グルクロニダーゼから選ばれる蛋白質であるこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】 組換え体DNAが、発現ベクターであるこ
    とを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 発現ベクターが、ビフィドバクテリウム
    属に属する微生物内で機能するプロモーターおよびター
    ミネーターを有することを特徴とする、請求項7記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 プロモーターおよびターミネーターが、
    ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium lo
    ngum)由来のヒストン様DNA結合蛋白質(HU蛋白質)をコ
    ードする遺伝子の発現に係るプロモーターおよびターミ
    ネーターであることを特徴とする、請求項8に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 プロモーターおよびターミネーターと
    して、配列番号1に記載の塩基配列のそれぞれ塩基番号
    1〜192および472〜600で表されるDNAを使用
    することを特徴とする請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 微生物が、ビフィドバクテリウム・ロ
    ンガムであることを特徴とする、請求項1〜10のいず
    れか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 微生物が、ビフィドバクテリウム・ロ
    ンガム 105-A/pBLES100-S-eCD(FERM BP-7274)である
    ことを特徴とする、請求項1〜3または5〜11のいず
    れか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜4または7〜11のいずれ
    か1項に記載の微生物を用いることを特徴とする、腫瘍
    組織内特異的に抗腫瘍活性を有する蛋白質を発現させる
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜3または5〜11のいずれ
    か1項に記載の微生を用いることを特徴とする、腫瘍組
    織内特異的に抗腫瘍物質前駆体を抗腫瘍物質に転換する
    活性を有する蛋白質を発現させる方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    されている微生物を含有してなる医薬。
  16. 【請求項16】 医薬が、請求項1〜3または5〜12
    のいずれか1項に記載の微生物と抗腫瘍剤前駆体とを組
    み合わせてなることを特徴とする、請求項15に記載の
    医薬。
  17. 【請求項17】 医薬が、請求項1〜3または5〜12
    のいずれか1項に記載の微生物と抗腫瘍物質前駆体とを
    含有することを特徴とする、請求項15に記載の医薬。
  18. 【請求項18】 微生物が、ビフィドバクテリウム・ロ
    ンガムであることを特徴とする、請求項15〜17に記
    載の医薬。
  19. 【請求項19】 微生物が、ビフィドバクテリウム・ロ
    ンガム 105−A/pBLESlOO−S−eCD(FERM BP−7274)
    であることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか
    1項に記載の医薬。
  20. 【請求項20】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    の方法に用いられるビフィドバクテリウム属に属する微
    生物。
  21. 【請求項21】 請求項1〜3または5〜11のいずれ
    か1項に記載の方法に用いられるビフィドバクテリウム
    ・ロンガム 105−A/pBLESlOO−S−eCD(FERM BP−727
    4)。
  22. 【請求項22】 配列番号1に記載の塩基配列を有する
    DNA。
  23. 【請求項23】 請求項1〜14に記載の方法を用いる
    ことを特徴とする、固形腫瘍の治療方法。
  24. 【請求項24】 請求項1〜3または5〜12のいずれ
    か1項に記載の微生物と抗腫瘍物質前駆体とを組み合わ
    せて癌患者に投与することを特徴とする、固形腫瘍の治
    療方法。
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