JP2002095473A - アグロバクテリウムを用いた植物形質転換法 - Google Patents

アグロバクテリウムを用いた植物形質転換法

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JP2002095473A JP2000288498A JP2000288498A JP2002095473A JP 2002095473 A JP2002095473 A JP 2002095473A JP 2000288498 A JP2000288498 A JP 2000288498A JP 2000288498 A JP2000288498 A JP 2000288498A JP 2002095473 A JP2002095473 A JP 2002095473A
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JP2000288498A
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Makoto Matsuoka
誠 松岡
Osamu Ideta
収 出田
Masahiko Tanio
昌彦 谷尾
Atsushi Hayakawa
敦 早川
Harufumi Miwa
治文 三輪
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Ajinomoto Co Inc
Japan International Research Center for Agricultural Sciences JIRCAS
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Japan International Research Center for Agricultural Sciences JIRCAS
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 アグロバクテリウムを用いた植物の形質
転換方法であって、形質転換効率が著しく改善された植
物形質転換方法 【解決手段】 アグロバクテリウムを利用した植物の形
質転換方法であって、植物のカルス、植物組織片または
植物培養細胞等とアグロバクテリウムとの共存培養を液
体培地によって行なうことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物の形質転換方法
に関する。特に、本発明はアグロバクテリウムを用い
た、高い形質転換効率を有する、植物の形質転換方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】アグロバクテリウムおよびTiプラスミド
上のT-DNA領域およびその転移に関与するメカニズムは
従来から植物の形質転換に利用されてきた。アグロバク
テリウムは当初は主として双子葉植物に感染し、単子葉
植物にはほとんど感染しないと考えられていたため単子
葉植物の形質転換系には利用されていなかったが、近
年、イネ、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ等におい
てもアグロバクテリウムが形質転換系に利用できること
が見出された。また、アグロバクテリウムを用いる植物
の形質転換方法は他の方法、例えばエレクトロポレーシ
ョン法、などに比較して不都合な変異が少ない、コピー
数は少なくとも高発現領域に挿入される傾向が強い、導
入遺伝子の再構成が少ない等の利点を有しているため、
種々の植物への遺伝子導入法が開発された現在でもなお
非常に有用な方法の一つである。特に、単子葉植物に対
する、アグロバクテリウムを用いた効率のよい形質転換
系の開発が望まれている。
【0003】このようなアグロバクテリムを用いた形質
転換植物の作製は、従来は主として次のような手順で行
なわれてきた: (i)植物のカルス、植物組織片または植物培養細胞等
を固体培地で培養し(カルス等の前培養段階)、次に、
(ii)アグロバクテリウムを前記カルス、前記組織片また
は前記培養細胞等に接種し(アグロバクテリウム接種段
階)、その後、(iii)アグロバクテリウムと前記カル
ス、前記組織片または前記培養細胞との共存培養を固体
培地中で行い(共存培養段階)、(iv)(iii)で得られ
た、カルス、組織片または培養細胞からアグロバクテリ
ウムを固体培地上で培養することにより除菌し(除菌培
養段階)、更に、(v)(iv)で得られたカルス、組織片ま
たは培養細胞を適切なマーカーを指標に固体培地で選択
培養する(選択培養段階)。すなわち、従来、アグロバ
クテリウムを用いた植物の形質転換は、一般には形質転
換すべきカルス等の培養、アグロバクテリウムとの共存
培養、除菌培養および選択培養をすべて固体培地で行な
ってきた。
【0004】一方、サトウキビ形質転換植物体の作製に
おいて、上記の(i)に相当する段階、すなわちカルス等
の前培養段階を液体培地で行なうことによって目的とす
る形質転換植物が効率よく得られたことが報告されてい
る(Gil A Enriquez-Obregonら、Biotecnologia Aplica
da 1997; 14:169-174)。しかしながら、この報告では
アグロバクテリウムとサトウキビの分裂組織との共存培
養を固体培地で行なっている。また、この報告におい
て、上記の(i)(前培養)の段階を液体培地で行なうこ
と自体の効果、特に形質転換効率に与える効果について
明らかにされてはいない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アグロバク
テリウムを用いた植物の形質転換方法であって、形質転
換効率が著しく改善された植物形質転換方法を提供する
ことを目的とする。特に、本発明は、アグロバクテリウ
ムを用いた植物の形質転換方法であって、単子葉植物に
おける形質転換効率が著しく上昇した植物の形質転換方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明は、アグロバクテ
リウムを利用した植物の形質転換方法であって、アグロ
バクテリウムとの共存培養を液体培地によって行なうこ
とを特徴とする、植物の形質転換方法である。より具体
的には、本発明は、(i)植物のカルス、植物組織片ま
たは植物培養細胞を固体または液体培地で培養するこ
と、(ii)アグロバクテリウムを前記カルス、前記組織片
または前記培養細胞に接種すること、(iii)アグロバ
クテリウムと前記カルス、前記組織片または前記培養細
胞との共存培養を液体培地中で行なうこと、および、(i
v)(iii)で得られた、カルス、組織片または培養細胞
からアグロバクテリウムを除菌すること、を特徴とす
る、アグロバクテリウムを用いた植物の形質転換方法で
ある。
【発明の実施の形態】本発明は、前述したようなアグロ
バクテリウムを用いた植物の形質転換方法において、ア
グロバクテリウムとの共存培養を液体培地中で行なうこ
とを特徴とする方法である。従って、本発明の方法は、
共存培養以外の操作段階に関しては従来のアグロバクテ
リウムを用いる植物形質転換方法と同様であり、それら
の方法で常用されてきた操作によって本発明の目的を達
成することができる。本発明の形質転換方法が適用でき
る植物には、一般に双子葉植物および単子葉植物が含ま
れるが、アグロバクテリウムによる形質転換方法が使用
できることが知られている植物が好ましい。しかしなが
ら、従来は形質転換効率が検出限界以下であるためにア
グロバクテリウムによる形質転換が事実上不可能である
と考えられてきた植物種に本発明を適用し得る可能性が
あることは当業者には理解できるであろう。本発明は、
単子葉植物に適用した場合に特に有用である。なぜなら
ば、単子葉植物は、一般にアグロバクテリウムによる形
質転換効率が双子葉植物に比較して低いため、本発明に
よる形質転換効率の上昇が著しいからである。本発明の
方法において単子葉植物を利用する場合は、中でもアグ
ロバクテリウムによる形質転換方法が報告されている単
子葉植物を用いるのが好ましい。そのような単子葉植物
には、例えばイネ科植物が含まれ、特にイネ、トウモロ
コシ、コムギ、オオムギ、サトウキビが好ましい。
【0006】本発明の形質転換方法を使用する植物材料
は特に限定されず、リーフディスクのような植物の組織
片、特に茎頂分裂組織片、カルス、懸濁培養した植物培
養細胞等であってよい。形質転換のための植物材料とし
てどのようなものを使用するかは適宜選択すればよく、
例えば、操作上の簡便さ、あるいは植物体への再生系の
有無または効率等を基準に選ぶことができる。一般には
カルスを利用するのが簡便であり好ましいであろう。こ
れらのカルス等は一般にアグロバクテリウムを接種する
に先立って固体培地上または液体培地中で前培養される
が、これらの前培養は固体培地でおこなっても液体培地
で行なってもよい。培養の期間および条件は通常のアグ
ロバクテリウム形質転換の場合と同様である。すなわ
ち、前述のカルス等が常によく増殖している状態を維持
することが好ましく、このためには、形質転換対象の増
殖速度に応じて、一般には、液体培養の場合は2〜10日
間毎に培地を交換し、固体培地の場合は5〜14日間毎に
新しい培地に継代するのが好ましい。前培養の温度は通
常約25℃〜約32℃であるが、植物種によって適切な温度
を選択する。使用する培地は、そのカルス等の培養に通
常使用するものを利用すればよい。本発明において、こ
の前培養条件は本質的なものではないが、一般には液体
培地で行なうのが好ましい。特に、液体培地中で振盪培
養することが好ましい。更に、前培養は暗所で行なうこ
とが好ましい。例えば、本発明の実施態様の一つにおい
て、サトウキビのカルスは、28℃〜32℃にて、100rpm〜
150rpmの振盪速度でMS2液体培地中、暗所で前培養され
る。
【0007】本発明の方法において、形質転換に用いる
アグロバクテリウムおよびベクターは特に限定されず、
従来利用されてきた菌株およびベクターのいずれも利用
することができる。そのようなアグロバクテリウム株お
よびベクターは商業的にも種々のものが入手可能であ
る。また、得られる形質転換体を選抜するため、あるい
は、導入遺伝子を確認するためのマーカー遺伝子も特に
限定されない。例えば、選抜用にはカナイマイシン耐性
遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などが利用可能で
あり、導入遺伝子の確認のためにはβ-グルクロニダー
ゼ(GUS)や緑色蛍光タンパク質(GFP)等を利用するこ
とができる。このようなアグロバクテリウム菌株および
ベクターはこの技術分野でよく知られたものであり、種
々のものが商業的にも入手可能である。本発明の方法に
おいて、アグロバクテリウムのカルス等への接種も常法
に従って行なうことができる。予め培養したカルス等は
必要に応じて細かく砕いてもよい。これは金属またはナ
イロンメッシュを通すか、メスおよびピンセット等を用
いて行なうことができる。カルスを使用する場合は、一
般には約5mm以下の大きさが好ましく、3mm以下の大き
さに砕くのがより好ましい。本発明の一つの実施態様に
おいてはサトウキビのカルスは1mm〜3mm程度の大きさ
に砕かれる。このようなカルスを適切な培地、例えばMS
2液体培地に懸濁して、その懸濁液に予めOD660が0.6〜
0.8程度まで培養したアグロバクテリム培養液を加える
ことによって行なうことができる。接種時のアグロバク
テリウム濃度は通常105〜108細胞/ml程度である。
【0008】アグロバクテリウム培養液の添加後、数十
秒〜10分間程度放置し、次にアグロバクテリウムとの共
存培養にかける。ここでアグロバクテリウムとの「共存
培養」とは、植物のカルス等とアグロバクテリウムが共
存した状態で培養することをいう。共存培養は植物のカ
ルス等にアグロバクテリウムが充分に感染できるように
行なうものである。従って、この感染を促進するような
物質、例えばアセトシリンゴンを共存培養時に加えても
よい。アセトシリンゴンの添加は本発明の方法を適用す
る植物が単子葉植物である場合には特に好ましい。添加
するアセトシリンゴンの濃度は、最終濃度10〜200mg/ml
が好ましい。本発明においては、共存培養は液体培地中
で行なわれる。共存培養を行なう培地は、使用する植物
種に対して従来の形質転換方法で使用されてきた固体培
地に準じて選択することができ、例えば、MS液体培地お
よびその種々の改変液体培地を使用することができる。
共存培養は、通常は25℃〜32℃にて2〜3日間行なうの
が好ましく、更に、振盪速度100rpm〜200rpm、特に100r
pm〜150rpmで振盪培養を行なうのがより好ましい。更
に、暗条件で前述の振盪培養を行なうことが特に好まし
い。サトウキビのカルスの場合は、28℃〜32℃にて、2
〜3日間、振盪速度100rpm〜150rpmで暗条件にて液体共
存培養するのが好ましい。
【0009】アグロバクテリウムとの共存培養が終了し
た後のカルス等は従来の方法に従って、洗浄、除菌、導
入遺伝子の確認および選択培養を行なうことができる。
例えば、ブフナー漏斗を用いて共存培養後のカルス等を
濾過し、続いてセフォタキシム等のアグロバクテリウム
に対する抗生物質を含む培地中に懸濁後10分間〜60分間
静置し、再度ブフナー漏斗を用いてカルス等を回収する
操作を繰り返すことによって洗浄を行なうことができ
る。除菌は前述のような抗生物質を含む液体培地または
固体培地で培養することによって行なうのが好ましい
(この操作を「除菌培養」という)。除菌培養は、一般
には25℃〜32℃にて5〜10日間暗所で行なうのが適切で
ある。洗浄および除菌培養に使用する培地は、そのカル
ス等の増殖または維持に適していれば特に限定されない
が、一般にはカルスの前培養に使用した培地と同等の培
地が選択されるであろう。本発明において、除菌培養は
固体培地で行なっても液体培地で行なってもよいが、固
体培地で行なう方がより好ましい。
【0010】形質転換効率の測定は、導入した遺伝子の
発現を指標として行なうことができる。このためのマー
カーとしてはGUS、GFP(緑色蛍光タンパク質)等が利用
できる。GUSをマーカーに使用する場合は、例えば、X-G
lc(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニ
ド)を用いることにより、青色のスポットとして容易に
形質転換組織または細胞を確認することができる。この
場合一定体積あたりのカルス等に対する青色スポットの
数を形質転換効率の指標とすることができる。このよう
な目的に使用し得るマーカーおよび検出手段はよく知ら
れたものである。上述のような方法で形質転換カルス等
が確認できたならば、選択した植物種および導入した遺
伝子に応じた適切な培養条件を用いて形質転換カルス等
を植物体に再生させることができる。植物体への再生は
各植物種について報告されている条件に従って行なえば
よい。
【0011】
【実施例】実施例1.サトウキビの形質転換カルスの作
(1)カルスの培養 サトウキビのカルスを2,4-Dを2mg/l含む液体MS2、又は
2,4-Dを2mg/l含む寒天MS2培地(Murashige and Skoog
培地、Murashige,T.,and Skoog,F.:Physiol.Plant.,1
5,473(1962))で2週間、28℃にて前培養した。液体培地
で培養する場合は100mlの三角フラスコに20mlの培地を
入れ通気性を良くするために100〜150rpmの速さで振盪
した。固体培地(寒天培地)で培養する場合は静置培養
した。液体培地を使用する場合も固体培地を使用する場
合も培養期間中は光をあてずに暗条件で培養した。カル
スが継続的に増殖するようにするため、液体振盪培養の
場合は培地を約4日間の頻度で交換し、固体培地で培養
する場合は約7日間ごとに新しい培地に植え継いだ。い
かなる場合も、カルスが常に良く増殖している状態を保
つようにした。
【0012】(2)アグロバクテリウムの培養 バイナリーベクターとしては、一般的に使用される、T-
DNAの右又は左右の境界領域を含み、カリフラワーモザ
イクウイルス由来35Sプロモーター、ノパリン合成遺伝
子のターミネーター、さらにハイグロマイシン耐性遺伝
子、カナマイシン遺伝子およびマーカー遺伝子としてGU
S(βグルクロニダーゼ遺伝子を有するプラスミドを使
用した。また、アグロバクテリウムとしては、アグロバ
クテリウム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumef
acience)EHA101株またはその形質転換体を使用した。上
述のバイナリーベクターを有するアグロバクテリウム・
ツメファシエンスEHA101株を28℃で振盪培養した。培地
は試験管に4mlのLB培地を入れ120℃、20分オートクレー
ブ殺菌したものを使用した。使用したバイナリーベクタ
ーにはカナマイシン耐性遺伝子とバイグロマイシン耐性
遺伝子が含まれており、まずカナマイシン25mg/l、ハイ
グロマイシン50mg/lを含むLB寒天培地で28℃にて一晩前
培養した前述のアグロバクテリウムを1エーゼ、液体LB
培地に植菌し、6〜8時間、OD660が0.6〜0.8ぐらいにな
るまで培養した。その時アグロバクテリウムの菌数は10
7〜109であった。
【0013】(3)アグロバクテリウムの接種と共存培
養 液体MS2あるいは固体MS2培地で培養したカルスを、滅菌
した金属網に押しつけることで約1mm〜3mm程度に細か
く砕いた後、滅菌した腰高シャーレに入れたMS2液体培
地10ml(アセトシリンゴン10mg/l含有)に懸濁した。懸濁
したカルスに、(2)で得られたアグロバクテリウムの
培養液を100μl〜1ml加えた(添加後はアグロバクテリウ
ムの菌数は105〜108になる)。共存培養を液体培地で行
う場合は前述のアグロバクテリウム添加済みカルスの懸
濁液(MS2培地10ml)を滅菌済みピペットにより滅菌した1
00mlの三角フラスコに移し、28℃℃で約3日間暗条件に
て振盪培養した。振盪条件は100rpm〜150rpmとした。対
照として、共存培養を固体培地でも行なった。共存培養
を固体培地で行う場合はアグロバクテリウム添加済みカ
ルスの懸濁液(MS2培地10ml)を滅菌した濾紙(Advatec東
洋 2)上にブフナー漏斗と吸引ビンを用いて集めた。カ
ルスを集めた濾紙はよく吸引することにより水分および
付着しているアグロバクテリウムを充分に取り除いた。
その後、カルスを濾紙ごとアセトシリンゴン10mg/lを含
むMS2固体培地に置き、28℃、暗条件で約3日間静置培養
した。
【0014】(4)洗浄および除菌培養 共存培養を液体培地にて実施したカルスを洗浄する場合
は、吸引ビンに滅菌済みブフナー漏斗を設置し、さらに
滅菌した濾紙(Advantec東洋 2)を設置した後、濾紙上
に先の共存培養溶液を流し込み、共存培養後のカルスを
回収した。濾紙上に回収したカルスをセフォタキシム50
0mg/lを含むMS2液体培地20mlに駒込ピペットにてピペッ
ティングすることで懸濁しそのまま60分室温にて放置し
た。その際なるべく光があたらないように容器を銀紙で
くるんだ。以上の操作を洗浄操作とした。洗浄後のカル
スは先と同様の方法にてブフナー漏斗、吸引ビンを用
い、滅菌済み濾紙上(Advantec東洋 2)に回収し更に1〜
2回洗浄(セフォタキシム500mg/l含有MS2液体培地に60分
つける操作)を行った。2〜3回洗浄後のカルスを再度濾
紙上(Advantec東洋 2)に回収し、その後除菌培養を行
った。除菌培養はカルスを濾紙ごとセフォタキシム500mg/l
を含む寒天MS2培地にのせかえ、28℃、暗所にて約7日
間培養した。
【0015】共存培養を固体培地にて実施したカルスを
洗浄する場合は、共存培養後のカルスを濾紙ごとセフォ
タキシム500mg/lを含むMS2液体培地20ml(腰高シャーレ
に入っている)につけ、滅菌したピンセットで掻き落と
すか、あるいは滅菌した駒込ピペットでピペッティング
することにより懸濁した。懸濁後60分室温にて放置し
た。放置の際は時間を長くするほどなるべく光があたら
ないよう注意し、場合によっては容器を銀紙でくるんで
遮光した。以上の操作を洗浄操作とした。洗浄後のカル
スは先と同様の方法にてブフナーロート、吸引ビンを用
い、滅菌済み濾紙上(Advantec東洋 2)に回収し更に2回
洗浄(セフォタキシム500mg/l含有MS2液体培地に60分つ
ける操作)を行った。3回洗浄後のカルスを再度濾紙上(A
dvantec東洋 2)に回収し、その後除菌培養を行う。除
菌培養はカルスを濾紙ごとセフォタキシム500mg/lを含
む寒天MS2培地にのせかえ、28℃、暗所にて7日間培養
した。
【0016】実施例2.形質転換体の確認 除菌培養後のカルスを少量接種し、水で良くすすいだ後
GUS染色のチェックを実施した。GUS染色は既知の方法で
行ったがその概略を示す。まずpH7.0、150mMのリン酸bu
fferを作製した((Na2HPO4 1294mg、KH2PO4 817mg)/10
0ml)。また基質のX-Gluc(5-Bromo-4-chloro-3-indolyl-
β-D-glucuronide)を20mg/mlの濃度になるようにN,N-ジ
メチルホルムアミドに溶解したストック溶液を作製し
た。さらにフェリシアン化鉄(K3Fe(CN)6)の12.5mMのス
トック溶液、フェロシアン化鉄(K4Fe(CN)6・3H2O)の12.5
mMのストック溶液を作製した。それらストック溶液とTr
iton X-100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニル
エーテル)、99%純度の特級メタノールを用い以下の表
1に示す組成の反応液を作製した。
【0017】
【表1】
【0018】マイクロチューフ゛に入れた上記反応液1m
lに除菌培養後のカルス約100mg(駒込ピペット0.1ml分)
をつけ、28℃にて1晩(8〜12時間)静置し、暗所にて反応
させた。反応後のカルスは濾紙(Advantec東洋 2)に流
し込み、よく水分を取り除いた後、実体顕微鏡(倍率60
〜100倍)で観察し、青く染まっている組織を観察し、青
色スポットの数を計測した。その結果を以下の表2およ
び表3に示す。表2は、形質転換を行なうカルスの前培
養方法が形質転換効率に与える影響を調べた結果であ
る。表2のデータは除菌培養を固体培地で行なった。表
3は、除菌培養方法の形質転換効率に与える影響を調べ
た結果である。この実験ではカルスの前培養を固体培地
で行なった。
【0019】
【表2】表2.前培養方法の影響
【0020】
【表3】表3.除菌培養方法の影響
【0021】表2および3から明らかなように、カルス
培養が液体培地によって行なわれても固体培地によって
行なわれても、共存培養を液体培地で行うことにより形
質転換効率が著しく上昇した。また、カルスの前培養は
液体培地で行なった方が形質転換効率が高いことが示さ
れた。一方、除菌培養は、共存培養を液体で行なう場合
であっても、固体培地で行なう方が形質転換効率が更に
上昇することが示された。
【0022】
【発明の効果】本発明により、極めて効率の高い形質転
換方法が提供される。本発明の方法により、形質転換効
率は従来の方法に比較して著しく上昇し、特にサトウキ
ビのカルスを用いた場合は最大20倍以上に形質転換効率
が上昇する。また、本発明の方法により、その方法自体
および関連する操作が極めて簡便であるため大規模な形
質転換操作を行なうことも可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出田 収 沖縄県石垣市真栄里川良原1091−1 農林 水産省国際農林水産業研究センター 沖縄 支所内 (72)発明者 谷尾 昌彦 沖縄県石垣市真栄里川良原1091−1 農林 水産省国際農林水産業研究センター 沖縄 支所内 (72)発明者 早川 敦 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社発酵技術研究所内 (72)発明者 三輪 治文 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社発酵技術研究所内 Fターム(参考) 2B030 AA02 CD02 CD09 CD10 CD14 CD17 4B024 AA08 BA11 DA01 DA05 EA10 FA10 GA11 HA01 4B065 AA11X AA11Y AA88X AA89X AB01 BA02 CA53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アグロバクテリウムを用いた植物の形質
    転換方法であって、植物のカルス、植物組織片または植
    物培養細胞とアグロバクテリウムとの共存培養工程を液
    体培地によって行なうことを特徴とする、植物の形質転
    換方法。
  2. 【請求項2】 (i)植物のカルス、植物組織片または
    植物培養細胞を固体または液体培地で培養すること、(i
    i)アグロバクテリウムを前記カルス、前記組織片または
    前記培養細胞に接種すること、(iii)アグロバクテリ
    ウムと前記カルス、前記組織片または前記培養細胞との
    共存培養を液体培地中で行なうこと、(iv)(iii)で得
    られた、カルス、組織片または培養細胞からアグロバク
    テリウムを除菌すること、を特徴とする、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 (i)において、植物のカルス、植物組
    織片または植物培養細胞を液体培地で培養することを特
    徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 (iv)において、アグロバクテリウムの
    除菌を固体培地で行なうことを特徴とする請求項2また
    は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 共存培養時のアグロバクテリウムの菌体
    濃度が105/ml〜108/mlであることを特徴とする、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 植物が単子葉植物である、請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 単子葉植物がイネ科植物である、請求項
    6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 イネ科植物がサトウキビである、請求項
    7に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117965620A (zh) * 2024-04-01 2024-05-03 中国热带农业科学院三亚研究院 一种农杆菌介导的棕榈科植物愈伤组织瞬时转化方法

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