JP2002092853A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002092853A
JP2002092853A JP2000279427A JP2000279427A JP2002092853A JP 2002092853 A JP2002092853 A JP 2002092853A JP 2000279427 A JP2000279427 A JP 2000279427A JP 2000279427 A JP2000279427 A JP 2000279427A JP 2002092853 A JP2002092853 A JP 2002092853A
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powder
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magnetic layer
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JP2000279427A
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English (en)
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Masashi Aonuma
政志 青沼
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】出力,ノイズ、に優れた磁気抵抗型ヘッド(M
Rヘッド)を組み込んだ磁気記録再生システムに好適に
用いられる磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 支持体上に強磁性金属粉末と結合剤を主
体とする磁性層を設けてなる磁気記録媒体において該強
磁性金属粉末は結晶子サイス゛が8〜15nmであり,該磁
性層のHcが145kA/m〜320kA/mであり,
かつBr/Hc(mT/(kA/m))が0.8〜1.0で
あることを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気テープ、磁気デ
ィスクなどの磁気記録媒体に関し、特に強磁性金属粉末
と結合剤を主体とする磁性塗料を非磁性支持体上に塗布
して磁性層を形成した塗布型の磁気記録媒体に関し、と
りわけ短波長領域におけるノイズ、出力、C/N、オー
バーライト特性、及び 高温高湿環境を含む保存での減
磁が優れ、且、耐久性、スチル、摩擦係数が優れた磁気
記録媒体に関する。特に磁気抵抗型(MR)ヘッドに適
した低ノイズ、高出力、走行性能、及び 高温高湿環境
を含む保存での減磁の少ない優れた保存安定性を有する
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録技術は、媒体の繰り返し使用が
可能であること、信号の電子化が容易であって周辺機器
との組み合わせによるシステムの構築が可能であるこ
と、信号の修正も簡単にできることなど、他の記録方式
にはない特徴を有することから、ビデオ、オーディオ、
コンピューター用途などを始めとして様々な分野で幅広
く利用されてきた。
【0003】そして、機器の小型化、記録再生信号の質
の向上、記録の長時間化、記録容量の増大などの要求に
対応するために、記録媒体に関しては、記録密度、信頼
性、耐久性をより一層向上させることが常に望まれてき
た。
【0004】近年、コンピュータデータを記録再生する
ための磁気記録再生システムにおいて、薄膜磁気ヘッド
を組み込んだシステムが実用化されている。薄膜磁気ヘ
ッドは、小型化やマルチトラックヘッドに加工し易いた
めに、特に磁気テープを記録媒体としたシステムでは、
薄膜磁気ヘッドのマルチトラック固定ヘッドが多く利用
されている。薄膜磁気ヘッドの利用によって、小型化に
よるトラック密度の向上や記録効率の向上が可能とな
り、高密度の記録を実現できると共に、マルチトラック
化によりデータの転送速度の向上も可能になる。薄膜磁
気ヘッドは、磁束の時間変化に応答する誘導型ヘッド
と、磁束の大きさに応答する磁気抵抗効果を利用した磁
気抵抗型ヘッド(MRヘッド)に大別できる。誘導型ヘ
ッドは平面構造のためにヘッドコイルの巻き数が少な
く、起磁力を大きくすることが困難となり、従って再生
出力が十分得られないと云う問題がある。このため、再
生用には高い再生出力が得られ易いMRヘッドが用いら
れ、一方、記録用には誘導型のヘッドが用いられてい
る。これらの磁気ヘッドは、通常一体型としてシステム
中に組み込まれている。このような磁気記録システムで
は、より速いデータ転送速度を実現できるリニア記録方
式が採用されている。
【0005】一方,小型カセットを用いた大容量の磁気
情報の高転送速度のテープ記録を実現するため,ヘリカ
ルスキャン方式のテープ記録装置に適用する回転ドラム
搭載型MRヘッドの開発が進められている。また、オー
ディオ、ビデオ用途にあっては、音質及び画質の向上を
実現するディジタル記録方式の実用化、ハイビジョンT
Vに対応した録画方式の開発に対応するために、従来の
システムよりも一層、短波長信号の記録再生ができ、か
つヘッドと媒体の相対速度が大きくなっても信頼性、耐
久性が確保された磁気記録媒体が要求されるようになっ
ている。
【0006】塗布型の磁気記録媒体の高密度記録化のた
めに、従来より使用されていた磁性酸化鉄粉末に代わる
鉄又は鉄を主体とする合金磁性粉末の使用及び磁性粉末
の微細化などの磁性体の改良あるいはその充填性や配向
性の改良などによって磁性層の磁気特性を向上させるこ
と、強磁性粉末の分散性を向上させること、さらには磁
性層の表面性を高めることなどの観点から種々の方法が
検討され提案されてきた。
【0007】例えば、磁気特性を高めるために強磁性粉
末として強磁性金属粉末や六方晶系フェライト粉末を使
用する方法が特開昭58−122623号公報、特開昭
61−74137号公報、特公昭62−49656号公
報、特公昭60−50323号公報、US462965
3号、US4666770号、US4543198号な
どに開示されている。
【0008】特開平1−18961号には、長軸径が
0.05〜0.2μm、軸比が4〜8の金属磁性粉で、
比表面積が30〜55m2 /g、保磁力が1300エル
ステッド以上、飽和磁化量が120emu/g以上の強
磁性粉を開示し、比表面積の小さい微小金属粉を提供す
るとしている。また、特開昭60−11300号公報お
よび特開昭60−21307号公報には、強磁性粉末、
特に強磁性金属粉末に適した微細なα−オキシ水酸化鉄
針状結晶の製造方法を開示し、後者では長軸長0.12
〜0.25μm、軸比6〜8のゲータイトからHc14
50〜1600エルステッド、σs142〜155em
u/gの強磁性金属粉末が製造できることを開示してい
る。特開平9−91684号公報には、平均長径が0.
05μm〜0.12μm、針状比8以上の強磁性金属粒
子が強磁性金属粒子全体の5.0%以下であるか、また
は、粒子を構成する結晶子の針状比4以上である強磁性
金属粒子が強磁性金属粒子の全体の17.0%以下であ
る強磁性金属粒子を用いることが提案されているが、針
状比が小さい粒子が混在すると高Hcの強磁性粉末が得
られにくく、S/N、オーバーライトも不十分である。
【0009】更に、特開平6−340426号公報およ
び特開平7−109122号公報には、ヘマタイト核
晶、水酸化鉄、特定イオンを用いた単分散紡錘型ヘマタ
イト粒子、及び該ヘマタイト粒子を還元して得られる極
めて微小な強磁性粉末が開示されている。
【0010】また、強磁性粉末の分散性を高めるため
に、種々の界面活性剤(例えば特開昭52−15660
6号公報、特開昭53−15803号公報、特開昭53
−116114号公報などに開示されている)を用いた
り、種々の反応性のカップリング剤(例えば、特開昭4
9−59608号公報、特開昭56−58135号公
報、特公昭62−28489号公報などに開示されてい
る)を用いることが提案されている。
【0011】また、特開平1−239819号公報に
は、磁性酸化鉄の粒子表面に硼素化合物、アルミニウム
化合物もしくはアルミニウム化合物と珪素化合物を順次
被着させた磁性粉末が開示され、磁気特性および分散性
が改善されるとしている。更に、特開平7−22224
号公報には、周期率表第1a族元素の含有量が0.05
質量%以下であり、必要に応じて金属元素の総量に対し
て0.1〜30原子%のアルミニウム、更には金属元素
の総量に対して0.1〜10原子%の希土類元素を含有
させ、また周期率表第2a族元素の残存量が0.1質量
%以下の強磁性金属粉末を開示し、保存安定性および磁
気特性の良好な高密度磁気記録媒体が得られるとしてい
る。
【0012】更に、磁性層の表面性を改良するために、
塗布、乾燥後の磁性層の表面形成処理方法を改良する方
法(例えば、特公昭60−44725号公報に開示され
ている)が提案されている。
【0013】一方、磁気記録媒体の高記録密度を達成す
るために、使用する信号の短波長化が強力に進められて
いる。しかし、信号を記録する領域の長さが使用されて
いる磁性体の大きさと比較できる大きさになると明瞭な
磁化遷移状態を作り出すことができないので、実質的に
記録不可能となる。このため使用する最短波長に対し充
分小さな粒子サイズの磁性体を開発する必要があり、磁
性体の微粒子化が長年にわたり指向されている。
【0014】磁気記録用金属粉末では、粒子形状を針状
にして形状異方性を付与し、目的とする抗磁力を得てい
る。高密度記録のためには、強磁性金属粉末を微細化し
て得られる媒体の表面粗さを小さくする必要があること
は当業者によく知られたことである。しかしながら磁気
記録用金属粉末を微細化すると、それにともなって針状
比が低下して所望の抗磁力が得られなくなる。最近、ビ
デオ信号をデジタル化して記録するDVCシステムが提
案されており、その用途に高性能なメタル蒸着テープ
(MEテープ)およびメタル粉末(塗布)テープ(MPテ
ープ)が使用される。DVCに使用されるMPテープの
抗磁力は、2000エルステッド以上であるので、抗磁
力が大きく微細かつ粒度分布がすぐれた強磁性金属粉末
が必要である。また実用形態の多くは、磁気信号を上書
きする記録法なのでオーバーライト特性が良好であるこ
とが望まれている。
【0015】本出願人は先にDVCシステムに好適な強
磁性金属粉末およびそれを用いた磁気記録媒体を提案し
ている(特開平7−326035号)。この発明は磁性
層を、抗磁力2000〜3000エルステッド、厚さ
0.05〜0.3μm、表面粗さ1〜3nmに制御し、
かつ特定の反転磁化成分率を規定した磁気記録媒体を提
供するものである。
【0016】更に,薄膜磁気ヘッドが組み込まれた磁気
記録システムに用いられる磁気記録媒体として、非磁性
支持体上に無機質非磁性粉末を結合剤に分散してなる下
層非磁性層と、該非磁性層の上に強磁性金属粉末を結合
剤に分散してなる上層磁性層を設けた磁気記録媒体が提
案されている(特開平8−227517号公報)。上記
のように上層の磁性層を薄くすることで厚み損失による
出力低下が抑制され、また高い記録密度が達成できるた
め、単層構造の磁性層を有する磁気記録媒体に比べてよ
り大きな容量のデータの保存が可能となる。そしてここ
には、上層磁性層の厚みは、0.05〜1.0μm、好
ましくは、0.05〜0.8μmであるとの記載があ
り、また具体的には、厚さ10μmのポリエチレンテレ
フタレート製支持体の一方の側に、厚さ2.7μmの非
磁性層及び保磁力Hcが1800エルステッドである強
磁性金属粉末を含有する厚さ0.3μmの磁性層が順に
設けられたコンピュータデータ記録用の磁気記録媒体が
記載されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、MRヘッ
ドが組み込まれた磁気記録システムにおいて、該MRヘ
ッドとこのシステムに用いられる磁気記録媒体との適応
性について検討した。その検討によると、上記特開平8
−227517号公報に記載の磁気記録媒体は、MRヘ
ッドを用いる磁気記録再生システム、特にコンピュータ
データ記録再生用のシステムにおいて必ずしも高い適応
性を有しているとは云えないことが判明した。即ち、例
えば、磁気記録媒体して、比較的厚い(0.3μm)磁
性層を有するものを使用した場合には、磁性層の磁束が
高くなるために、再生出力が出過ぎてMRヘッドが飽和
し、再生波形が歪み、その結果、十分高いS/N値が得
られず、エラーレートが増大し易くなったり、また一般
に、高い記録密度を達成するためには記録再生波形(孤
立再生反転波形)がシャープ(波形の半値幅が小さい)
であることが望ましいのに、磁性層が厚い磁気記録媒体
では、記録再生波形の半値幅が大きくなって、十分高い
記録密度が得られないことが判明した。一方、非常に薄
い(0.03μm)磁性層を有するものを使用した場合
には、記録再生波形に歪みが生じ、その結果、同様に高
いS/N値が得られず、また再生出力自体も低下し易く
なることが判明した。磁気抵抗型の再生ヘッドを組み込
んだ磁気記録再生システムに用いた場合に、エラーが生
じにくく、速いデータ転送速度を実現でき、かつ高密度
の記録が可能な磁気記録媒体を提供することを目的に本
出願人は特開平11−238225号公報を提案した。
【0018】特開平11−238225号公報には以下
のような好ましい態様が提案されている。 (1)磁性層の磁束(Φm)が0.02〜0.095G
・cm(更に好ましくは0.05〜0.093G・c
m、特に好ましくは、0.05〜0.092G・cm)
の範囲にある。 (2)磁性層の厚みが好ましくは、0.1〜0.28μ
m(更に好ましくは、0.1〜0.25μm)の範囲に
ある。 (3)強磁性粉末の保磁力(Hc)が1680〜205
0(更に好ましくは1700〜2000)エルステッド
(Oe)の範囲にある。 (4)強磁性粉末が、磁性層の固形分中に75〜85質
量%(更に好ましくは、78〜82質量%)の範囲の量
で含有されている。 (5)磁性層のスイッチング・フィールド・ディストリ
ビューション(SFD)の値が0.1〜0.32(更に
好ましくは、0.15〜0.28、特に0.18〜2.
5)の範囲にある。 (6)磁性層の長手方向のSQ(角形比)が0.82
(更に好ましくは、0.85、特に、0.88)以上で
ある。 (7)磁気テープの全体の厚みが5〜10μm(更に好
ましくは、7〜9.5μm、特に7.5〜9.5μm)
の範囲にある。
【0019】(8)カーボンブラックが、10〜30m
μの微粒子状カーボンブラックと150〜300mμの
粗粒子状カーボンブラックの異なる平均粒子サイズを持
つ二種類のカーボンブラックを含む。 (9)バックコート層が更にモース硬度5〜9の硬質無
機質粉末を含む。 (10)上記モース硬度5〜9の無機質粉末の平均粒子
サイズが0.08〜1μm(更に好ましくは、0.05
〜0.5μm、特に、0.08〜0.3mμ)の範囲に
ある。 (11)上記モース硬度5〜9の無機質粉末がα−アル
ミナである。 (12)バックコート層の厚さが0.2〜0.8μmの
範囲にある。 (13)上記の磁気記録媒体が磁気抵抗型の再生ヘッド
を用いる磁気記録再生システム用である。 (14)上記の磁気テープがコンピュータデータ記録用
である。
【0020】磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)の特性に適
合し、更に良好な電磁変換特性と耐久性および優れた保
存安定性(耐候性)を示す磁気記録媒体の開発が望まれて
いる。また,速いデータ転送速度でかつ高い密度の記録
が可能なMR磁気ヘッドを組み込んだ磁気記録再生シス
テムに好適に用いられる磁気記録媒体が要求されてい
る。そのため,先の特開平11−238225号公報に
対し,更に出力,ノイズ及び耐候性の改良,特に低ノイ
ズ化が必要となってきており、本発明の目的は、必要と
されるこのような諸特性を満たした磁気記録媒体を具現
することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
支持体上に強磁性金属粉末と結合剤を主体とする磁性層
を設けてなる磁気記録媒体において該強磁性金属粉末は
結晶子サイズ゛が80〜150Åであり,該磁性層のH
cが145kA/m〜320kA/mであり,Br(残
留磁束密度)/Hc(mT/(kA/m))が0.8〜1.
0であることを特徴とする磁気記録媒体により達成でき
ることが判明した。
【0022】上記の要件を具現した本発明の磁気記録媒
体は、磁性体特性、記録層特性、層の構成などに関して
以下の好ましい態様を有している。 (1)強磁性金属粉末は、金属部分とその周りに存在す
る 酸化物層とからなる強磁性金属粉末であり,平均長
径が35〜100nmであり、その変動係数が25%以下
であり,且つ平均針状比が3〜9であり,また、その飽
和磁化σsが75Am2/kg以上,115Am2/kg未満,抗
磁力Hcが135〜300kA/mであることを特徴とする
ことを特徴とする強磁性金属粉末。 (2)強磁性金属粉末は、金属部分がFeまたはFe-Coを
主成分とするものであり,後者の場合のCo含有量は強
磁性金属粉末が含むFeの5〜45質量%であることを
特徴とする強磁性金属粉末。 (3)強磁性金属粉末は、金属部分とその周りに存在す
る酸化物層とからなる強磁性金属粉末であり,該酸化物
層の平均厚みが3.5nm以下であることを特徴とする
強磁性金属粉末。 (4)磁気記録媒体は、残留磁束密度(Br)と磁性層の
平均厚み(δ)の積が5〜75mT・μmであることを特徴
とする磁気記録媒体。 (5)支持体と磁性層の間に非磁性粉末と結合剤樹脂を
主体とする非磁性層を設けてあり、磁性層は平均厚み
(δ)が0.04〜0.25μmであって、かつその表面
粗さが3D-MIRAU法による中心面平均表面粗さで、6.0
nm以下 であることを特徴とする磁気記録媒体。 (6)磁気記録媒体は、磁性層の耐候性(減磁)が3%以
下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【0023】本発明者は、前記のように磁気記録媒体
を、支持体上に強磁性金属粉末と結合剤を主体とする磁
性層を設けた構成とし、強磁性金属粉末の結晶子のサイ
ズが8〜15nmとして、かつ該磁性層のHc(抗磁力)
を145kA/m〜320kA/m,Br/Hc(mT
/(kA/m))を0.80〜1.0とすることによっ
て、発明の目的である低ノイズ、高Hc、優れた耐久性
と耐候性を満たした、磁気抵抗型(MR)ヘッド搭載シス
テムに 好適な磁気記録媒体を提供することができた。
以下に本発明の磁気記録媒体の詳細を説明する。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明において,磁性層のHcは
145kA/m〜320kA/mであり,好ましくは1
50〜300kA/mであり,更に好ましくは160〜
240kA/mである。Hcが145kA/m以下である
と出力が不足し,320kA/m以上ではオーバーライ
ト特性上好ましくない。また,記録電流が不足したり,
ヘッドが飽和して,歪を生じたり,出力が不十分となっ
て好ましくない。磁性層のBr/Hc(mT/(kA/
m))は0.8〜1.0であり,好ましくは0.82〜
1.00であり,更に好ましくは0.85〜0.98で
ある。0.8未満であると出力が低下するとともに,記
録面積当たりの粒子数が不足してS/Nが低下してしま
う。1.0以上であると出力は上昇するが,ノイズも上
昇するのでS/Nが低下してしまう。強磁性金属粉末の
結晶子サイズ(X線回折によるα−Fe(110面と22
0面)のそれぞれのピーク(半値幅)より求めた値の平均
値)が8〜15nm,好ましくは8〜14nm,更に好
ましくは8〜13nmである。結晶子サイズが8nmよ
り小さいとHcが小さくなり,また,σsが大きい場合
に耐候性が劣ってしまうので好ましくない。15nmよ
り大きいとノイズが極端に大きくなるため不適当であ
る。上記のようにノイズを下げるためには磁性層のBr
/Hcを制御することと,磁性層に含まれる強磁性金属
粉末の結晶子サイズを制御することがいずれも有効であ
る。この傾向は特に高感度なヘッド、例えば磁気抵抗型
(MR)ヘッドを使用する系で顕著である。
【0025】本発明の強磁性金属粉末はX線回折によ
り,α−Feのピークが存在するものである。強磁性金
属粉末の平均長径は35〜100nmであり、その変動係
数が25%以下であり,且つ平均針状比が3〜9であ
る。平均針状比が3より小さいときには、形状異方性に
立脚した抗磁力Hcが小さくなり、高密度記録に不利にな
る。強磁性金属粉末の平均針状比が3〜9の間では、平
均針状比が大きいほど抗磁力Hcが大きくなる。強磁性金
属粉末の長径および針状比の各々の変動係数は、それぞ
れ25%以下であって、いずれも小さい方が好ましい。
これら長径と針状比の変動係数が小さいと、Hcの分布
が小さく、特に、高Hc成分(Hc320kA/m以上で磁化
反転する成分の割合/Hc)が減少するので、オ−バ−
ライト特性上好ましい。長径と針状比の変動係数が小さ
い状態が、高Hcで、かつHc分布が小さく、高抗磁力
成分が少なく、SFDが小さくなる傾向が認められた。
【0026】本発明の強磁性金属粉末の飽和磁化σsは
75Am2/kg〜115Am2/kg,好ましくは80〜112
Am2/kg,更に好ましくは82〜110Am2/kgである。
飽和磁化σsが低くなるとSFDが大きくなるため,徐
酸化条件を制御して,粒子表面の酸化物層を緻密にし,
かつ極力薄くすることが有効である。飽和磁化σsが7
5Am2/kgより低いと,SFDが大幅に劣化するだけで
なく,Hcも小さくなり,高密度記録に不利となる。ま
た,X線回折法によるα−Feのピークが不鮮明とな
る。一方、飽和磁化σsが115Am2/kg以上である
と,Br(残留磁束密度)が高くなり,磁性層厚みを薄
くしても,媒体の残留磁束(Φr)が高くなってしまい,
MRヘッドを飽和して,波形歪みやパルスの非対称性が
発生するなどの悪影響を及ぼす。σsが高い程磁性層の
耐久性が弱く,σsが低い程耐久性が良くなることがわ
かった。また,充填度を下げて残留磁束密度を低くする
と,磁性層厚みを薄くしたときに単位面積当たりの強磁
性金属粉末の粒子の存在量が少なくなり,必要なS/N
を得ることができなくなってしまう。単位記録面積当た
りの強磁性金属粉末の粒子の存在量を多くするために
は,強磁性金属粉末の飽和磁化σsをできる限り小さく
することが,重要であり,また,媒体としたときの磁性
層の耐久性および耐候性を向上させるためにも有効であ
る。磁性層の耐候性は3%以下に抑えることにより,磁
気記録媒体の保存安定性が確保でき,低ければ低いほど
好ましい。
【0027】強磁性金属粉末の抗磁力Hcは135〜30
0kA/m,好ましくは138〜280kA/m,更に好ま
しくは143〜230kA/mである。先に述べたように
強磁性金属粉粒子の平均長径、平均針状比を規定するこ
とによって、形状異方性に立脚したHcが発現し、かつ
Hc分布を小さくできるので、本発明の微粒子を用いて
磁性層厚みを薄くすることによりHc分布の少ないオー
バーライト特性の優れた磁気記録媒体得られたと推定し
ている。
【0028】本発明の磁性層の残留磁束(Φr){残留磁
束密度(Br)と磁性層の平均厚み(δ)との積}は,5〜
75mT・μm,好ましくは10〜70mT・μm,更に好ま
しくは、15〜60mT・μmである。磁性層の残留磁束
(Φr)はMRヘッドの性能により最適値を設定すること
が望ましく,MRヘッドが飽和しない範囲で高めに選ぶ
ことが好ましい。Hc,Br,Φrが下限値より小さい
と短波長出力を十分に得ることができず、また、それら
が上限値より大きいと記録に使用するヘッドが飽和して
しまうので出力を確保することができない場合がある。
【0029】本発明において、上記強磁性金属粉末の抗
磁力や飽和磁化などの特性を最適化するための粒子形状
や組成などの制御方法は特に制限されることはなく、任
意の方法を用いることができる、好ましくは以下の方法
が例示される。長径と針状比がよくそろい且つ粒度がよ
くそろった出発原料に焼結防止処理を行い、還元すると
きに金属酸化物(例、FeOx:1≦x≦1.5、例えばF
23,Fe34)から金属(例、Fe)の針状比を制
御することができる。出発原料は、粒子に枝分かれのな
い粒度分布の揃った単分散ゲータイトあるいは単分散ヘ
マタイトを用いることが挙げられる。
【0030】出発原料においては、平均長径が40〜1
50nm、針状比が3〜12であることが好ましい。出
発原料の形状、長径と短径と針状比をよくそろえること
が重要である。平均長径が40nmより小さい原料を使
用した時、Hc、Brを目的の範囲とすることができな
い。平均長径が150nmより大きい原料を使用する
と、磁気記録媒体の表面粗さが大きくなり、ノイズが大
きくなり、優れたS/Nが得られない場合がある。針状
比が12より大きいと、磁気記録媒体の充填度が小さく
なり、また高抗磁力成分が増加し、オーバーライト特性
が劣る。針状比が3より小さいと強磁性金属粉末とした
時の抗磁力が小さく高密度記録用の媒体には使用するこ
とは難しくなる場合がある。
【0031】更に、強磁性金属粉末の組成、表面酸化層
厚み、針状比、金属部分の形状などの磁性特性要因を制
御する手段としては、以下の方法およびが挙げられ
る。 主として強磁性金属粉末内部の元素組成を特定する
こと。特に金属部分がFeを主体とする強磁性金属粉末
の場合、Feと相互作用する微量元素を特定する。該微
量元素としては、Ca、Co、Ni、Cr、Mgなどが
好ましい。この微量元素はゲータイトやヘマタイトを作
製するときに添加することおよび/または作製したの
ち、表面処理によって含有させることが好ましい。 強磁性金属元素の酸化物を還元により強磁性金属粉
末とする手法において、還元前の前処理、例えば、ゲー
タイトなどの脱水条件、アニール条件(例えば,温度,
雰囲気,処理時間,初期と後半で温度差をつけるなど)
及び還元条件(例えば、温度、還元ガス、還元処理時
間)などを選定すること。特に、金属部分の形状、長
径、短径のサイズを均一に且つ針状比を3〜12と大き
くするためには、還元処理と徐酸化処理を段階的に、く
り返し処理を行って金属部分の形状制御、結晶性制御、
及び酸化物層の厚み制御、酸化物層の結晶性を制御する
ことが非常に重要である。
【0032】上記の組成及び形状を制御した強磁性体金
属粉末作製方法についてより具体的な詳細を述べる。上
記で得られた微量元素含有ゲータイトを処理する場合
の各条件は以下の通りである。脱水条件としては、静置
式または回転式の電気炉で窒素雰囲気下、通常、250
〜400℃、好ましくは300〜400℃で0.5〜2
時間、好ましくは0.5〜1時間行うことが挙げられ
る。アニール条件としては、静置式の還元炉で窒素雰囲
気下、通常、500〜800℃、好ましくは550〜7
00℃で1〜5時間、好ましくは2〜3時間行うことが
挙げられる。脱水処理後、アニール処理前に脱水処理に
より得られたヘマタイトを水洗し、可溶性のアルカリ金
属を除去する工程を設けてもよい。脱水及びアニール処
理と徐酸化処理を例えば、低温から徐々に高温へ、好ま
しくは脱水処理の初めは250〜300℃、次いで30
0〜350℃、更に350〜400℃およびアニール条
件を初めに500〜550℃、次いで550〜650
℃、更に600〜800℃で処理する、段階的な昇温、
及び、くり返し処理を行って金属部分の形状制御、結晶
性制御、及び酸化物層の厚みや酸化物層の結晶性を制御
することが有効である。
【0033】還元条件としては、静置式の還元炉で水素
雰囲気下、通常、350〜600℃、好ましくは425
〜530℃、通常、0.25〜1時間、好ましくは0.
25〜0.5時間還元処理し、次いで、雰囲気を窒素に
置換して後、通常、450〜650℃、好ましくは50
0〜600℃、通常、0.5〜3時間、好ましくは1〜
2時間加熱し、次いで純水素に切り換え前記温度にて3
〜5時間還元処理することが挙げられる。還元処理を例
えば、低温から徐々に高温へ、好ましくは還元初期を3
50〜470℃、次いで370〜620℃、更に450
〜620℃(且つ各段階で10℃以上温度を上げて)な
ど、段階的に、及び、くり返し処理を行って金属部分の
形状制御、結晶性を高めることは、非常に有効である。
【0034】還元の終了は、排水系ガス中の水分を露点
計で測定して決定する。上記強磁性金属粉末の製法にお
いては、公知の方法、例えば、特開平7−109122
号公報および特開平6−340426号公報に記載の方
法を適用することができる。強磁性金属粉末の金属部分
の強磁性金属元素としては、FeまたはFe−Coを主
成分とする。ここで、主成分とは、金属部分の全質量に
対して、75質量%以上であることを意味する。Coを
加えることはσsを大きくしかつ緻密で薄い酸化膜を形
成することができるので特に好ましい。強磁性金属粉末
のCo含有量は強磁性金属粉末に含有されるFeに対し
5〜45質量%が好ましく、より好ましくは10〜35
質量%である。Coは上述のように一部を原料中にドー
プし次に必要量を表面に被着し原料に添加し、還元によ
り合金化することが好ましい。
【0035】本発明で使用できる上記の強磁性金属粉末
には、Fe、Co以外に質量比で20質量%以下の割合
でAl、Si、S、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、
Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Sr、
W、Au、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、
Mg、Mn、Zn、Sr、B、Caなどの原子を含むこ
とが好ましい。これらの元素は出発原料の形状制御の他
に、粒子間の焼結防止と還元の促進及び還元した強磁性
金属粉末の形状と粒子表面の凹凸制御に効果がある。
【0036】単分散ゲータイトあるいは単分散ヘマタイ
トを最終的に金属に還元するためには、純水素にて還元
する。その途中段階で、αFe23でのアニール処理を
することが結晶率を大きくするために有用である。また
αFe23 よりFe34、FeOに還元するときは、
純水素ではなく各種還元ガスを使用することができる。
還元の際に水分は焼結に関係することが知られているの
で、核の生成をできるだけ一つに抑制し、かつ結晶率を
高めるために、還元により発生する水を短時間に系外へ
除去することあるいは還元により生成する水の量を制御
することが好ましい。このような水の制御は、還元ガス
の分圧を制御したり、還元ガス量を制御することにより
行うことができる。本発明の強磁性金属粉末の表面酸化
物層は、金属部分を形成後、公知の酸化法、例えば、前
記徐酸化処理などにより金属部分の周りに形成すること
ができる。徐酸化処理の際に使用するガス中に炭酸ガス
が含有されていると、強磁性金属粉末表面の塩基性点に
吸着するので、このような炭酸ガスが含まれていてもよ
い。
【0037】従来、ゲータイト(α−FeOOH)やヘ
マタイト(α−Fe23)を出発原料として金属磁性粉
を製造しているが、これまで出発原料のサイズや形態に
起因する粒子の外形は大きかった。すなわち強磁性金属
粉末の平均長径は0.2〜0.3μm程度であった。そ
して脱酸素して強磁性金属粉末に還元されると同時に、
粒子の外形の収縮が起き、従来の強磁性金属粉末粒子で
は、多結晶のすかすかの結晶が得られた。本発明におい
ては出発原料のサイズや形態の特に長径と針状比の変動
係数を小さくし、強磁性金属粉末粒子の金属部分の長径
と短径と針状比を制御し、そのサイズ及び変動係数を小
さくするとともに、従来の多結晶の状態からできるだけ
単結晶の構造の粒子を可能な限り多くしようとするもの
である。
【0038】本発明の強磁性金属粉末の表面酸化物層を
構成する酸化物としては、磁性酸化物でも非磁性酸化物
でもよい。また少量の金属元素、例えば、Al、Mg、
Si、Y、希土類元素、Ca,Ba,Sr,Niなどの
金属が固溶していてもよい。磁性酸化物としては、好ま
しくは飽和磁化が50〜90emu/gであるものが挙げられ
る。例えば、磁性を有する鉄酸化物としては、Cox
e(1−x)Oy、(例えばCoFe2O4、CoFe3O4など)、
FeOx(但しxは1.33≦x≦2で、例えばγFe 23
、Fe34、ベルドライド化合物)が挙げられる。ま
た非磁性酸化物としては、結晶性及び非晶質の金属酸化
物や、オキシ水酸化物、水酸化物、水和酸化物を含めた
単独または複合物が包含される。この非磁性酸化物は、
主として焼結防止剤として添加した元素、及び強磁性金
属粉末原料の生成時に添加した元素に由来する。
【0039】また、表面酸化物層は例えば、磁性酸化物
単独、非磁性酸化物単独、またはそれら両者の組合せか
ら構成されるが、その構造は特に制限されない。表面酸
化物層が両者の組合せから構成される場合、磁性酸化物
と非磁性酸化物は互いに混在したものであっても、互い
に独立した層を形成したものでもよい。金属粒子表面部
分に酸化物層を設けた場合、各層間の界面における金属
相と磁性酸化物相、磁性酸化物相と非磁性酸化物相とは
混在していてもよい。本発明は、金属部分の周りに順
次、粒子表面方向へ磁性酸化物層、非磁性酸化物層を形
成したものが好ましい。また、本発明の金属粉末の1粒
子中の金属部分の平均の体積比率は、通常、10〜90
容量%、好ましくは、10〜80容量%、更に好ましく
は、20〜70容量%である。磁性酸化物層の1粒子あ
たりの体積比率は、通常、5〜80容量%、好ましくは
10〜 70容量%、更に好ましくは、15〜60容量
%である。非磁性酸化物層の1粒子あたりの体積比率
は、通常、10〜70容量%、好ましくは10〜60容
量%、更に好ましくは、15〜60容量%である。強磁
性金属粉末構成部分の結晶性については、透過型電子顕
微鏡のほかX線回折などの結晶構造分析装置で解析でき
る。また深さ方向の解析が可能なESCA、AFM、オ
ージェなどの分析装置を組み合わせること似よって上記
した粒子の組成や内部構成などがをさらに精度よく解析
できる。
【0040】強磁性金属粉末には後述する分散剤、潤滑
剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ
処理を行うこともできる。具体的には、特公昭44−1
4090号公報、特公昭45−18372号公報、特公
昭47−22062号公報、特公昭47−22513号
公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−3
8755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭
47−12422号公報、特公昭47−17284号公
報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18
573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭
48−39639号公報、及び米国特許3026215
号、同3031341号、同3100194号、同32
42005号、同3389014号などの各公報に記載
されている。
【0041】強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2質
量%とするのが望ましい。ただし、後述する結合剤の種
類によって上記の範囲の間で含水率を最適化するのが望
ましい。
【0042】強磁性金属粉末のタップ密度は0.2〜
0.8g/mlが望ましい。0.8g/mlより大きい
と該粉末を徐酸化するときに均一に徐酸化されないので
該粉末を安全にハンドリングのすることが困難であった
り、得られたテープの磁化が経時によって減少する。タ
ップ密度が0.2g/mlより小さいと分散が不十分に
なりやすい。
【0043】本発明の磁気記録媒体の層構成は、基本的
に支持体の上に磁性層を設けてなり、該磁性層を支持体
面の一方側又は両側に設けたものであれば、特に制限さ
れない。また、磁性層は単層であっても2層以上から構
成してもよく、後者の場合、それら層同士の位置関係は
目的により隣接して設けても間に磁性層以外の層を介在
させて設けてもよく、公知の層構成が採用できる。尚、
本発明において、磁性層の厚みとは、複層の場合は最上
層の磁性層の乾燥厚みを言う。
【0044】本発明の磁気記録媒体は、好ましくは支持
体と磁性層との間に非磁性粉末と結合剤を主体とする非
磁性層が設けられる。この場合、磁性層の厚みは、好ま
しくは0.04〜0.23μm、更に好ましくは0.0
5〜0.22μmである。また、記磁性層の表面粗さ
は、3D-MIRAU法による中心面平均表面粗さで、好ましく
は3.0nm以下、更に好ましくは1.0〜2.8nm
である。磁性層を複層で構成する例としては、強磁性酸
化鉄、強磁性コバルト変性酸化鉄、CrO2粉末、六方
晶系フェライト粉末及び各種強磁性金属粉末などから選
択した強磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層を組み合
わせたものが挙げられる。尚、この場合、同種の強磁性
粉末であっても元素組成、粉体サイズなどの異なる強磁
性粉末を含む磁性層を組み合わせることもできる。本発
明においては、強磁性金属粉末を含む磁性層と支持体と
の間に非磁性層を設けた磁気記録媒体が好ましい。この
ような層構成の層の位置関係において、磁性層を上層、
非磁性層を下層ともいう。次に下層に関する詳細な内容
について説明する。下層は、実質的に非磁性であり、非
磁性粉末と結合剤を含む構成であれば、特に制限される
べきものではない。下層は実質的に非磁性である範囲で
磁性粉末も使用され得るものである。下層が実質的に非
磁性であるとは、上層の電磁変換特性を実質的に低下さ
せない範囲で下層が磁性を有することを許容するという
ことである。
【0045】非磁性粉末としては、例えば、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物などの無機化
合物から選択することができる。無機化合物としては例
えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、
γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロ
ム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、窒化珪
素、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、
などが単独または組合せで使用される。特に好ましいの
は、粒度分布の小さいこと、機能付与の手段が多いこと
などから、二酸化チタン、酸化亜鉛、α−酸化鉄、硫酸
バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタン、α−
酸化鉄である。α−酸化鉄は、粒子サイズがそろった磁
性酸化鉄や金属粉末作製用の酸化鉄原料を加熱脱水、ア
ニ−ル処理し空孔を少なくし、必要により表面処理をし
たものが好ましい。通常、二酸化チタンは光触媒性を持
っているので、光があたるとラジカルが発生しバインダ
ー、潤滑剤と反応する懸念がある。そのため、本発明に
使用する二酸化チタンは、Al、Feなどを1〜10%
固溶させ、光触媒特性を低下させることが必要である。
さらに表面をAl、Si化合物で処理して触媒作用を低
下させることも好ましい。これら非磁性粉末の粒子サイ
ズは0.005〜1μm が好ましいが、必要に応じて粒
子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の
非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせ
ることもできる。
【0046】とりわけ好ましい非磁性粉末の粒子サイズ
は、0.01μm〜0.5μmである。特に、非磁性粉末
が粒状金属酸化物である場合は、平均円相当径が0.0
8μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物であ
る場合は、平均長径が0.3μm以下であることが好ま
しく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。タ
ップ密度は通常、0.3〜1.5g/ml、好ましくは0.
4〜1.3g/mlである。非磁性粉末の含水率は通常、
0. 2〜5質量%、好ましくは0.3〜3質量%、更
に好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性粉末
のpHは通常、2〜12であるが、5.5〜11の間で
あることが特に好ましい。非磁性粉末のBET法による
比表面積(SBET)は通常 、1〜100m2/g、好
ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜80
2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは40〜1
000Åが好ましく、4 0〜800Åが更に好まし
い。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は通
常、5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100
g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は通
常、1.5〜7、好ましくは3〜6である。形 状は針
状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。非磁性粉
末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μmol/
2、好ましくは2〜15μmol/m2、さら に好ましく
は3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量が多い
非磁性粉末を使用する時、表面に強く吸着する有機物で
表面修飾して磁気記録媒体を作成することが好ましい。
【0047】これらの非磁性粉末の表面にはAl、M
g、Si、Ti、Zr、Sn、Sb、Zn、Yなどの元
素を含む化合物で表面処理することが好ましい。この表
面処理によりその表面に形成される酸化物として、特に
分散性に好ましいのはAl23、SiO2、TiO2、Z
rO2、MgOおよびこれらの含水酸化物であるが、更
に好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2およびこれ
らの含水酸化物である。これらは組み合わせて使用して
も良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応
じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアル
ミナを形成した後にその表層にシリカを形成する方法、
またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処
理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質
で密である方が一般には好ましい。
【0048】下層に用いられる非磁性粉末の具体的な例
としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−
100、HIT−82、戸田工業製α−酸化鉄DPN−
250BX、DPN−245、DPN−270BX、D
PN−550BX、DPN−550RX、DBN−65
0RX、DAN−850RX、石原産業製酸化チタンT
TO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TT
O−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−
100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT
−30D、STT−30、STT−65C、α−酸化鉄
α−40、テイカ製酸化チタンMT−100S、MT−
100T、MT−150W、MT−500B、MT−6
00B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製
FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−2
0、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFIC−Y、DE
FIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2 P
25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成
したものが挙げられる。
【0049】下層にカ−ボンブラックを混合させること
によって、よく知られているように表面電気抵抗Rsを
下げること、光透過率を小さくすること、所望のマイク
ロビッカース硬度を得ることができる。尚、本発明にお
いて、下層に使用するカーボンブラックは上記非磁性粉
末として含んでも良い。また、下層にカーボンブラック
を含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可
能である。好適なカーボンブラックの種類としては、ゴ
ム用の各種ファーネスブラック、ゴム用の各種サーマル
ブラック、カラー用カーボンブラック、導電性カーボン
ブラック、アセチレンブラックなどを用いることができ
る。下層のカーボンブラックは所望する効果によって、
以下のような特性を最適化すべきであり、併用すること
でより効果が得られることがある。
【0050】下層のカーボンブラックのBET法により
測定した比表面積は通常、50〜500m2/g、好ま
しくは 70〜400m2/g、DBP吸油量は通常、2
0〜400ml/100g、好ましくは30〜400ml/100gで
ある。カ−ボンブラックの平均粒子径は通常、5〜80
nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜
40nmである。カーボン ブラックのpHは2〜10、
含水率は0.1〜10質量%、タップ密度は0.1〜1
g/mlが好ましい。本発明に用いられるカーボンブラッ
クの具体的な例としてはキャボット社製BLACKPE
ARLS 2000、1300、1000、900、8
00、880、700、VULCAN社製XC−72、
三菱化学製#3050B、#3150B、#3750
B、#3950B、#950、#650B、#970
B、#850B、MA−600、MA−230、#40
00、#4010、コロンビアンカ−ボン社製 CON
DUCTEX SC、RAVEN 8800、800
0、7000、5750、5250、3500、210
0、2000、1800、1500、1255、125
0、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどがあげら
れる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理した
り、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグ
ラファイト化したものを使用してもかまわない。また、
カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合
剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラック
は上記非磁性粉末に対して50質量%を越えない範囲、
下層総質量の40質量%を越えない範囲で使用できる。
これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用
することができる。本発明で使用できるカーボンブラッ
クは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラッ
ク協会編)を参考にすることができる。
【0051】また下層には、目的に応じて有機質粉末を
添加することもできる。好ましい有機質粉末としては、
例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミ
ン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔
料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエ
ステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド
系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することが
できる。その製法は、例えば特開昭62−18564
号、特開昭60−255827号などの各公報に記され
ているものが使用できる。
【0052】下層の結合剤(種類と量)、潤滑剤・分散
剤・添加剤の量、種類、溶剤、分散方法に関しては上層
に関する公知技術が適用できる。
【0053】本発明の磁気記録媒体における磁性層、あ
るいは更に非磁性層に用いられる結合剤は、従来公知の
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混
合物が使用できる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移
温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜
200000、好ましくは10000〜100000、
重合度が約50〜1000程度のものが好ましく用いら
れる。
【0054】このような結合剤としては、塩化ビニル、
酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル
酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニル
アセタール、ビニルエーテル、などを構成単位として含
む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム
系樹脂がある。
【0055】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物などが挙げられる。
【0056】前記の結合剤に、より優れた強磁性粉末の
分散効果と磁性層の耐久性を得るためには、必要に応じ
て−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(O
M) 2、−O−P=O(OM)2、(上記各基のMは水素
原子、またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR
2 、−N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、S
H、CN、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極
性基を共重合または付加反応で導入したものを用いるこ
とが好ましい。このような極性基の量は、結合剤の量に
対して10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10
-2〜10-6モル/gである。
【0057】本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤
は、強磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好まし
くは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル
系樹脂を用いる場合は5〜100質量%、ポリウレタン
樹脂を用いる場合は0〜100質量%、ポリイソシアネ
ートは2〜100質量%の範囲でこれらを組み合わせて
用いるのが好ましい。
【0058】本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/c
2、降伏点は0.05〜10kg/cm2が好ましい。
【0059】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどのイソシアネート類、また、こ
れらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、
また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイ
ソシアネートなどを使用することができる。これらのイ
ソシアネート類の市販されている商品名としては、日本
ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コ
ロネート2030、コロネート2031、ミリオネート
MR、ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネート
D−102、タケネートD−110N、タケネートD−
200、タケネートD−202、住友バイエル社製、デ
スモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHLなどがありこれらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで用いることができる。
【0060】本発明の磁気記録媒体の磁性層及び/又は
非磁性層中には、通常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電
防止剤、可塑剤、防黴剤などなどを始めとする種々の機
能を有する素材をその目的に応じて含有させることがで
きる。
【0061】潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサ
ン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシ
ロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキ
ルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1
〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリ
シロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキル
は炭素数1〜5個)などのシリコンオイル;グラファイ
トなどの導電性微粉末;二硫化モリブデン、二硫化タン
グステンなどの無機粉末;ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフル
オロエチレンなどのプラスチック微粉末;α−オレフィ
ン重合物;常温で固体の飽和脂肪酸(炭素数10から2
2);常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オレフ
ィン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約
20);炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数
3〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エステル
類、フルオロカーボン類などが使用できる。
【0062】上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステル
が好ましく、両者を併用することがより好ましい。飽和
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリ
ン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸が挙げられ
る。脂肪酸エステルの原料となるアルコールとしては、
エタノール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコ
ール、2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシ
ルアルコール、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、s−ブチルアルコールなどの
モノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソル
ビタン誘導体などの多価アルコールが挙げられる。同じ
くエステルの原料となる脂肪酸としては、酢酸、プロピ
オン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘ
ン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、パルミトレイン酸などの脂肪族カル
ボン酸またはこれらの混合物が挙げられる。
【0063】脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチル
ステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピル
ステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレー
ト、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシ
ルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブ
チルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、
ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブ
トキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピ
ルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテルをステアリン酸でエステル化したもの、ジエチレ
ングリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオール
をミリスチン酸でエステル化してジエステル化としたも
の、グリセリンのオレエートなどの種々のエステル化合
物を挙げることができる。
【0064】さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用す
るときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減
するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直
鎖、シス/トランスなどの異性構造、分岐位置を選択す
ることも好ましい。これらの潤滑剤は結合剤100質量
部に対して0.2〜20質量部の範囲で添加される。
【0065】潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用
することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素
アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキ
ル燐酸エステル、二硫化タングステンなどである。
【0066】本発明の磁性層に用いられる研磨剤として
は、一般に使用される材料でαアルミナ、γアルミナ、
溶融アルミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪
素、酸化クロム(Cr23)、ダイアモンド、人造ダイ
アモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと
磁鉄鉱)、αFe23などが使用される。これらの研磨
剤はモース硬度が6以上である。具体的な例としては住
友化学社製、AKP−10、AKPー12、AKP−1
5、AKP−20、AKP−30、AKP−50、AK
P−1520、AKP−1500、HIT- 50、HI
T60A、HIT70、HIT80、HIT-100、
日本化学工業社製、G5、G7、S−1、酸 化クロム
K、上村工業社製UB40B、不二見研磨剤社製WA8
000、WA10000、戸田工業社製TF100、T
F140、TF180などが上げられる。平均粉体サイ
ズが0.05〜3μmの大きさのものが効果があり、好
ましくは0.05〜1.0μmである。
【0067】これら研磨剤の合計量は、磁性体100質
量部に対して1〜20質量部、望ましくは1〜15質量
部の範囲で添加される。1質量部より少ないと十分な耐
久性が得られない傾向にあり、20質量部より多すぎる
と表面性、充填度が劣化する傾向にある。これら研磨剤
は、あらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に
添加してもよい。
【0068】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前
記非磁性粉末の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有
させることもできる。支持体と磁性層の間に非磁性層を
設けた磁気記録媒体は、上層の飽和磁束密度を最大限に
増加させるためにはできるだけ上層への添加は少なく
し、上層以外の塗布層に添加するのが好ましい。帯電防
止剤としては、特に、カーボンブラックを添加すること
は、媒体全体の表面電気抵抗を下げる点で好ましい。本
発明に使用できるカーボンブラックはゴム用の各種ファ
ーネスブラック、ゴム用の各種サーマルブラック、カラ
ー用カーボンブラック、導電性カーボンブラック、アセ
チレンブラックなどを用いることができる。SBETは
5〜500m2/g、DBP吸油量 は、10〜1500
ml/100g、平均粒子径は5〜300nm、pHは
2〜10、含水率は0.1〜10質量%、タップ密度は
0.1〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられる
カーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社
製、BLACKPEARLS2000、1300、10
00、900、800、700、VULCAN XC−
72、旭カーボン社製、#80、#60、#55、#5
0、#35、三菱化学社製、#3950B、#270
0、#2650、#2600、#2400B、#230
0、#900、#1000、#95、#30、#40、
#10B、MA230、MA220、MA77、コロン
ビアカーボン社製、CONDUCTEXSC、RAVE
N150、50、40、15、ライオンアグゾ社製ケッ
チェンブラックEC、ケッチェンブラックECDJ−5
00、ケッチェンブラックECDJ−600などが挙げ
られる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理した
り、カーボンブラックを酸化処理したり、樹脂でグラフ
ト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化した
ものを使用してもかまわない。また、カーボンブラック
を磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散して
もかまわない。磁性層にカーボンブラックを使用する場
合は磁性体に対する量は0.1〜30質量%で用いるこ
とが好ましい。非磁性層には無機質非磁性粉末(ただ
し、非磁性粉末にはカーボンブラックは含まれない)に
対し3〜20質量%含有させることが好ましい。
【0069】一般的にカーボンブラックは、帯電防止剤
としてだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度
向上などの働きがあり、これらは、それぞれ適した性質
を持つカーボンブラックが選択される。従って本発明に
使用されるこれらのカーボンブラックは、その種類、
量、組合せを変え、粉体サイズ、吸油量、電導度、pH
などの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分け
ることはもちろん可能である。使用できるカーボンブラ
ックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラッ
ク協会編を参考にすることができる。
【0070】本発明の磁気記録媒体として、支持体上に
2層以上の塗布層を形成させてなる場合には、その形成
手段としては、逐次塗布方式(ウェット・オン・ドライ
方式)及び同時塗布方式(ウェット・オン・ウェット方
式)が挙げられるが、後者が超薄層の磁性層を作り出す
ことができるので特に優れている。その同時塗布方式、
即ちウェット・オン・ウェット方式の具体的な方法とし
ては、
【0071】(1) 磁性塗料で一般的に用いられるグラビ
ア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョ
ン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿潤
状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号公
報、特開昭60−238179号公報及び特開平2−2
65672号公報に開示されている支持体加圧型エクス
トルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
【0072】(2) 特開昭63−88080号公報、特開
平2−17971号公報及び特開平2−265672号
公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ
内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の塗
布液をほぼ同時に塗布する方法、
【0073】(3) 特開平2−174965号公報に開示
されているバックアップロール付きエクストルージョン
塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する方
法、などが挙げられる。
【0074】ウェット・オン・ウェット方式で塗布する
場合、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液の流動特性は
できるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界
面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を
得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉
体と結合剤の組み合わせに強く依存するので、特に、非
磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意することが重
要である。
【0075】本磁気記録媒体の支持体の厚みは、通常、
1〜100μm、テープ状で使用するときは、望ましく
は3〜20μm、フレキシブルディスクとして使用する
場合は、40〜80μmが好ましく、支持体に設ける非
磁性層は通常、0.5〜10μm、好ましくは0.5〜
3μmである。
【0076】また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の
他の層を目的に応じて形成することができる。例えば、
支持体と下層の間に密着性向上のための下塗り層を設け
てもかまわない。この厚みは通常、0.01〜2μm、
好ましくは0.05〜0.5μmである。また、支持体
の磁性層側と反対側にバック層を設けてもかまわない。
この厚みは通常、0.1〜2μm、好ましくは0.3〜
1.0μmである。これらの下塗り層、バック層は公知
のものが使用できる。円盤状磁気記録媒体の場合、片面
もしくは両面に上記構成の層を設けることができる。
【0077】本発明で使用される支持体には特に制限は
なく、通常使用されているものを用いることができる。
支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカー
ボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポ
リアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエー
テルサルホンなどの各種合成樹脂のフィルム、およびア
ルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げること
ができる。
【0078】本発明の目的を有効に達成するには、支持
体の表面粗さは、中心面平均表面粗さ(Ra)(カット
オフ値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく
0.02μm以下、さらに望ましく0.01μm以下で
ある。また、これらの支持体は単に前記中心面平均表面
粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がな
いことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて
支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由に
コントロールされるものである。これらのフィラーの一
例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の
他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があげられる。本
発明に用いられる支持体のウエブ走行方向のF−5値は
好ましくは5〜50Kg/mm2、ウエブ幅方向のF−
5値は好ましくは3〜30Kg/mm2であり、ウエブ
長手方向のF−5値がウエブ幅方向のF−5値より高い
のが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要
があるときはその限りでない。
【0079】また、支持体のウエブ走行方向および幅方
向の100℃で30分間の熱収縮率は、好ましくは3%
以下、さらに望ましくは1.5%以下、また、80℃で
30分間の熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに望
ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも5
〜100Kg/mm2、弾性率は100〜2000Kg
/mm2が望ましい。
【0080】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフランなどのケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブ
チル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコールなどのエステル類、グリコールジメ
チルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキ
サンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香
族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリ
ン、ジクロルベンゼンなどの塩素化炭化水素類、N,N
−ジメチルホルムアミド、ヘキサンなどを混合して、あ
るいは単独の溶剤として使用できる。これら有機溶媒は
必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、
未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分などの不純
分が含まれていてもかまわない。これらの不純分は30
%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下であ
る。本発明で用いる有機溶媒は必要ならば磁性層と非磁
性層でその種類、量を変えてもかまわない。例えば、非
磁性層に揮発性の高い溶媒を用いて表面性を向上させ
る、非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノ
ン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、あ
るいは磁性層に溶解性パラメータの高い溶媒を用いて充
填度を上げる、などがその例としてあげられるが、これ
らの例に限られたものではないことは無論である。
【0081】本発明の磁気記録媒体は、非磁性粉末又は
強磁性粉末と結合剤、及び必要ならば他の添加剤と共に
有機溶媒を用いて混練分散し、非磁性塗料及び磁性塗料
を支持体上に塗布し、必要に応じて配向、乾燥して得ら
れる。
【0082】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造す
る工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれ
らの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からな
る。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても
かまわない。本発明に使用する非磁性粉末、強磁性粉
末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、
潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または
途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ
以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、
ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整
のための混合工程で分割して投入してもよい。
【0083】非磁性塗料、磁性塗料の混練分散に当たっ
ては各種の混練機が使用される。例えば、二本ロールミ
ル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロン
ミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvar
i)、アトライター、高速インペラー分散機、高速スト
ーンミル、高速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速
ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いる
ことができる。
【0084】本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができる
ことはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加
圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することが好
ましい。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は、
強磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全
結合剤の30質量%以上が好ましい)および強磁性粉末
100質量部に対し15〜500質量部の範囲の溶剤や
その他の添加成分で混練処理される。これらの混練処理
の詳細については特開平1−106338号公報、特開
昭64−79274号公報に記載されている。本発明で
は、特開昭62−212933に示されるような同時重
層塗布方式をもちいることによりより効率的に生産する
ことが出来る。
【0085】本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれ
る残留溶媒は、好ましくは100mg/m2以下、さら
に好ましくは10mg/m2以下であり、磁性層に含ま
れる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ない
方が好ましい。
【0086】空隙率は下層、上層とも好ましくは30容
量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。非
磁性層の空隙率が磁性層の空隙率より大きいほうが好ま
しいが、非磁性層の空隙率が5容量%以上であれば小さ
くてもかまわない。
【0087】本発明の磁気記録媒体は、下層と上層を有
することができるが、目的に応じ下層と上層でこれらの
物理特性を変えることができる。例えば、上層の弾性率
を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率
を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを
良くするなどが考えられる。
【0088】このような方法により、支持体上に塗布さ
れた磁性層は必要により層中の強磁性粉末を配向させる
処理を施したのち、形成された磁性層を乾燥する。又必
要により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断
したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
【0089】磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ
塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000Kg
/mm2、破断強度は望ましくは1〜30Kg/cm2
磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望
ましくは100〜1500Kg/mm2、残留のびは望
ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度で
の熱収縮率は望ましくは1%以下、さらに望ましくは
0.5%以下、もっとも望ましくは0.1%以下であ
る。
【0090】本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、オ
ーディオ用途などのテープであってもデータ記録用途の
フロッピー(登録商標)ディスクや磁気ディスクであっ
てもよいが、ドロップアウトの発生による信号の欠落が
致命的となるデジタル記録用途の媒体に対しては特に有
効である。更に、下層を非磁性層とし、下層上の磁性層
の厚さを0.25μm以下とすることにより、電磁変換
特性が高く、オーバーライト特性も優れ、かつ高密度で
大容量の磁気記録媒体を得ることができる。
【0091】
【実施例】
【0092】本発明の新規な特長を以下の実施例で具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0093】(強磁性金属粉の製法) 〔メタルサンプル1〕撹拌機つきの150Lタンクに
1.7モル/Lの炭酸アンモニウム35Lと2.0モル
/Lのアンモニア水15Lの混合溶液を窒素でバブリン
グしつつ液温を20℃とし、別のタンクで窒素をバブリ
ングさせながら溶解した液温22℃の硫酸第一鉄、硫酸
コバルト、硫酸アルミ(Fe2+濃度が1.35モル/
L、Co濃度が0.15モル/L、Al濃度が0.04
モル/L)水溶液40Lを添加して混合した。10分間
撹拌した後、懸濁液の温度を25℃とし、第一鉄を主成
分とする沈殿物を生成させた。窒素をバブリングさせな
がら沈殿を60分間熟成した。次に吹き込みガスを窒素
から空気に変えてバブリングし、沈殿物を酸化してゲー
タイト核晶を生成させた。懸濁液中のFe2+濃度が0.
75モル/Lとなったときに、空気酸化を中断して再び
吹き込みガスを窒素にきりかえ、懸濁液の温度を40℃
に加熱し2時間保持したのち、再び窒素を空気に切り換
えて、さらに酸化反応を進め、Alを固溶させた紡錘状
を呈したゲータイト(サンプルAとする)を生成させた。
得られた粒子を瀘過して分離したのち、水洗した。その
一部を乾燥して透過型電子顕微鏡写真をとって、その写
真から平均粒子径を求めたところ、平均長軸長が100
nm、平均針状比が7であった。また窒素中で120℃で
30分加熱脱水後比表面積を測定すると136m2/gであ
った。
【0094】得られたゲータイト(サンプルA)を水中で
2%スラリーとし撹拌しつつ硫酸コバルト水溶液(Co換
算20部:ゲータイト中の鉄とCoのモル数合計を100部
とした時のモル数を部で表示)、塩化マグネシウム水溶
液(Mg換算0.5部:ゲータイト中の鉄とCoのモル数合計
を100部とした時のモル数を部で表示)を添加し、ア
ンモニア水で中和してコバルト化合物とマグネシウム化
合物を粒子表面に沈着させた。スラリーを濾過水洗した
後再度2%水スラリーとし、硫酸アルミニウム水溶液
(Al換算8.0部:ゲータイト中の鉄とCoのモル数合計を
100部とした時のモル数を部で表示)と硫酸第2鉄水
溶液(Fe3+換算4.0部:ゲータイト中の鉄とCoのモル数
合計を100部とした時のモル数を部で表示)を添加し
た。20分撹拌した後、希釈したアンモニア水を添加し
スラリーを中和した。瀘過水洗した後2%スラリーとし
硝酸イットリウム水溶液(Y換算6.0部:ゲータイト中
の鉄とCoのモル数合計を100部とした時のモル数を部
で表示)を添加し、アンモニア水でpHを8.5とし
た。これを濾過水洗して5%水スラリーとし、150℃
で1時間加熱した。その後、透過水洗し、得られたケー
キを成形機に通し、次いで乾燥し、焼結防止処理した紡
錘形を呈したゲータイトを得た。
【0095】得られた紡錘型ゲータイトを静置式焼成炉
にいれ、窒素中で300℃で30分加熱して360℃に
昇温させたのち、更に30分加熱し,脱水処理した。次
に温度を550℃で1時間加熱したのち,さらに温度を
650℃に上げて2.5時間加熱し、ヘマタイトの結晶
性を高めた。温度を400℃とし吹き込みガスを窒素か
ら水素:窒素=20:80の混合ガスに切り換えて0.
5時間還元した。次いで、ガス雰囲気を窒素に置換した
のち、純水素に切り替えて更に5時間還元した。水素を
流しつつ冷却し、300℃で窒素に切り換えたのち、室
温に冷却した。これを徐酸化装置に移し、空気と窒素の
混合比率を変えて、酸素濃度が0.2%で、ガスの露点
は−45℃とし、還元で得た金属粉末の温度をモニター
しながら40℃以下で2.5時間徐酸化した。発熱がお
さまると酸素濃度を1%としてさらに10時間徐酸化し
た。この時徐酸化装置の温度を50℃に維持し、強磁性
金属粉の温度が50℃を越えないようにして徐酸化を行
った。徐酸化処理ののち、金属粉末に対し水分が1%と
なるように蒸留水を気化させつつ空気を送って流動搬送
し、調湿するとともに安定化して強磁性金属粉末を得
た。これをメタルサンプル1とした。
【0096】〔メタルサンプル2〜5〕前項のメタルサ
ンプル1の作製において、ゲータイト(サンプルA)の作
製時のアンモニア、硫酸第1鉄及び硫酸アルミニウム、
ならびに熟成条件〈温度及び時間〉を変えた4通りのゲ
ータイト粒子形成を行い、得られたゲータイトを使用
し,サンプルAからメタルサンプル1を得たのと同様に
して焼結防止処理した紡錘形を呈したゲータイトの試料
(サンプルB〜E)を得た。得られた紡錘型ゲータイト
を使用し,メタルサンプル1と同様にしてして強磁性金
属粉末を得た。これをメタルサンプル2〜5とした。 メタルサンプル ゲータイト 平均長軸長 平均針状比 比表面積 サンプル (nm) (m2/g) メタルサンプル2 B 90 7 139 メタルサンプル3 C 80 7 146 メタルサンプル4 D 70 6 145 メタルサンプル5 E 60 6 155
【0097】〔メタルサンプル6〕メタルサンプル4と
同様に脱水、還元処理した金属粉の徐酸化条件を次のよ
うに変更した。徐酸化装置に移し、空気と窒素の混合比
率をかえ、酸素濃度を0.2%、ガスの露点は−45℃
としメタル粉の温度をモニターしつつ40℃以下で2時
間徐酸化し、発熱がおさまると酸素濃度を1%とし10
時間徐酸化した。このとき、徐酸化装置の温度を55℃
に維持し、強磁性金属粉の温度が55℃を越えないよう
に徐酸化した。除酸化したのち、金属粉末に対し水分が
1%となるように蒸留水を気化させながら空気を送って
流動搬送し、調湿するとともに安定化して強磁性金属粉
末を得た。これをメタルサンプル6とした。
【0098】[メタルサンプル7] 結晶核作り 密閉可能な2Lガラス容器に2MFeCl3水溶液50
0mLに5.94MのNaOH水溶液500mLを攪拌
しながら5分間で添加し、添加終了後さらに20分間攪
拌した後、容器を完全に密栓した。その密栓容器を、あ
らかじめ100℃に加熱してあるオ-フ゛ンにいれ、72時間保持
した。72時間後、流水で急冷し、反応液を分取して遠心
分離装置にて15000rpmで15分間遠心分離を行い、上澄み
を捨てた。残さに蒸留水を加えて再分散して、再度遠心
分離し、その上澄みをすてた。このように遠心分離機を
使用して水洗を3回繰り返した。水洗が終了したヘマタ
イト粒子(平均粒子径約80nm)の沈殿物を乾燥した。こ
の乾燥粉末50gに5mLの蒸留水を加えて、ライカイ機
にて30分間粉砕した。その粉末を500mLの蒸留水を使
用しヒ゛ーカーに洗いだしたのち、100mLずつにわけて、これ
をスチールヒ゛ース゛入りの200mLマヨネース゛ヒ゛ンにいれ、ペイン
トシェーカーで10時間分散した。2Lのガラス容器に分
散物をあつめ、蒸留水でマヨネース゛ヒ゛ン内を洗浄し、分散物
を回収した。蒸留水を加え全液量を1200mLとし、さら
に30分間超音波分散した。この分散物を分取し10000rpm
で30分間遠心分離して、超微粒子ヘマタイト(平均粒径約7
nm)が分散している上澄み液を取りだし、核晶液を得
た。核晶液中の鉄濃度は2000ppmであった。
【0099】単分散紡錘型ヘマタイトの結晶子サイズ゛
制御 撹拌機つき反応容器に1モル/Lの硝酸第2鉄180m
Lをいれ、冷却し溶液の温度を5℃とした。撹拌しつつ
2.4モル/Lの水酸化ナトリウム溶液180mLを5
分間かけて添加する。添加後さらに5分間撹拌を継続
し、核晶溶液180mLを添加し10分間撹拌した。得
られた液を60mLずつ採取し、形態制御イオンとして
0.048M/LのNaH2PO4 10mLを添加し、H2O 10mLを添加
し密栓した。あらかじめ120℃に加熱してあるオーブ
ン中に72時間保持した。熟成ののち流水で急冷し、反
応液を遠心分離装置にて18000rpmで15分間遠心分離し上
澄みを捨てた。これに蒸留水を加えて再分散して、再度
遠心分離し上澄みをすてた。このように遠心分離機を使
用して水洗を3回繰り返した。次に、沈殿に1Mアンモ
ニア水を加え再分散して、遠心分離し上澄みをすてた。
これに蒸留水を加えて再分散して、再度遠心分離し上澄
みをすてた。このように遠心分離機を使用して水洗を3
回繰り返した。得られた生成物の一部を取り出し乾燥し
た粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、平均長軸
長が70nm、針状比(長軸/短軸)が5.0、長軸長の変動
係数(長軸長の標準偏差/平均長軸長)が7%できわめ
て粒度分布が優れたαFe2O3がえられた。
【0100】得られた単分散紡錘型ヘマタイトを蒸留水
中にヘマタイト濃度が2%となるように分散し、硫酸コ
バルトをヘマタイト中のFeを100原子%とし、Co
が10原子%となるように添加して充分撹拌混合した。
この懸濁液を撹拌しつつpHをモニターしながら懸濁液
中にアンモニア水を添加しpHを8.5とし、ヘマタイ
ト表面にCo化合物を被着した。このCo付着ヘマタイ
トを濾過、水洗し、ヘマタイト濃度が2%となるように
分散し、撹拌しつつ硫酸アルミニウム(ヘマタイト中の
Fe100原子%に対してAlが8原子%となるように
調製)と硫酸第2鉄(ヘマタイト中のFe100原子%に
対してFe3+が4原子%となるように調製)の水溶液を
添加し、さらに希釈したアンモニア水を添加してpHを
8.5とした。ヘマタイト中のFeが100原子%に対
してYが6原子%となるように,この懸濁液中に硝酸イ
ットリウム溶液を添加し、アンモニア水を添加してpH
を8.5とした。懸濁液を濾過、蒸留水で洗浄し、不純
物を除去した。得られた表面処理紡錘型ヘマタイトを直
径3mmの成型板を通過させ円柱状に成型し乾燥した。
【0101】このようにして得た表面処理された単分散
紡錘型ヘマタイト500gを静置式還元炉にいれ、窒素中で
350℃で30分加熱し、ついで650℃で2.5時間アニ
ール処理を施した。次に温度を350℃とし、吹き込み
ガスを窒素から水素:窒素=20:80の混合ガスに切
り換えて1時間還元した。吹き込みガスを再び窒素に置
換したのち温度を475℃として再び純水素に切り替え
5時間還元した。水素中で冷却し300℃となった時、
再度窒素に切り換え室温に冷却した。徐酸化装置に移
し、空気と窒素の混合比率をかえ酸素濃度を0.2%と
して金属粉末の温度をモニターしながら温度が45℃を
超えないように徐酸化した。さらに、徐酸化装置の温度
を45℃とし、酸素濃度を1%として10時間徐酸化し
た。このあと金属粉末に対し水分が1%となるように蒸
留水を気化させつつ空気とともに流動搬送し、調湿する
とともに安定化して強磁性金属粉末を得た。これをメタ
ルサンプル7とした。
【0102】〔メタルサンプル8〕メタルサンプル7の
作製に用いた硝酸イットリウムを硝酸ネオジウム(ヘマ
タイト中のFeを100原子%としてNdとして5原子%)に
変更したほかは、メタルサンプル7の作製と同様の方法
で強磁性金属粉末を作成した。これをメタルサンプル8
とした。
【0103】〔メタルサンプル9〕メタルサンプル1に
おいてゲータイト(サンプルA)の代わりに平均粒子径6
0nm,平均針状比5.5,比表面積160m2/gを示
すサンプルを使用し,メタルサンプル1と同様にして焼
結防止処理した紡錘形を呈したゲータイトを得た。但
し,硫酸アルミニウム水溶液と硝酸イットリウム水溶液
の添加量をそれぞれ,以下のように変更した。硫酸アル
ミニウム水溶液(Al換算4.0部:ゲータイト中の鉄とCo
のモル数合計を100部とした時のモル数を部で表
示),硝酸イットリウム水溶液(Y換算12.0部:ゲー
タイト中の鉄とCoのモル数合計を100部とした時のモ
ル数を部で表示)。得られた紡錘型ゲータイトを使用
し,メタルサンプル1と同様にしてして強磁性金属粉末
を得た。これをメタルサンプル9とした。
【0104】〔メタルサンプル10〕メタルサンプル4
を作成時に使用した焼結防止処理後の紡錘型ゲータイト
を静置式の還元炉にいれ、窒素中で350℃で60分加
熱して脱水処理を施し、次いで温度を450℃に上げて
吹き込みガスを窒素から純水素に切り替えて6時間還元
した。次いで,水素を流しつつ冷却し、300℃で窒素
に切り換え、室温に冷却した。冷却後、ゲータイト試料
を徐酸化装置に移し、空気と窒素の混合比率を変えて酸
素濃度を0.2%、ガスの露点は−45℃とし、金属粉
末の温度をモニターしながら40℃以下で2時間徐酸化
を行い、発熱がおさまったのち酸素濃度を1%とし、さ
らに10時間徐酸化した。このとき徐酸化装置の温度を
40℃に維持し、強磁性金属粉の温度が40℃を越えな
いように保った。このあと金属粉末に対して水分が1%
となるように蒸留水を気化させつつ空気を供給して送風
搬送し、調湿するとともに安定化して強磁性金属粉末を
得た。これをメタルサンプル10とした。
【0105】〔メタルサンプル11〕メタルサンプル4
の作製における脱水、還元処理した金属粉の徐酸化条件
を次のように変更した以外は、メタルサンプル4と同様
の方法で金属粉末試料を作製した。すなわち、金属粉末
試料を徐酸化装置に移し、空気と窒素の混合比率を変え
て酸素濃度を0.2%、ガスの露点は−45℃とし、金
属粉末の温度をモニターしながら50℃以下で3時間徐
酸化し、発熱がおさまると酸素濃度を1%とし、さらに
10時間徐酸化した。この時徐酸化装置の温度を55℃
に維持し、強磁性金属粉の温度が55℃を越えないよう
に徐酸化した。このあとメタル粉に対し水分が1%とな
るように蒸留水を気化させつつ送風空気と流動搬送し、
調湿するとともに安定化して強磁性金属粉末を得た。こ
れをメタルサンプル11とした。
【0106】得られた強磁性金属粉末の磁気特性を振動
試料型磁力計(東英工業製)で外部磁場10KOeで測定
した。得られた強磁性金属粉末を高分解能透過型電子顕
微鏡で粒子写真をとり、その300個の粒子より強磁性
金属粉末の平均粒子長と粒子長の変動係数,平均短径お
よび平均針状比を求めた。また、核金属粉末試料を窒素
中250℃で30分脱気したのち、カンターソーブ(カ
ンタークロム社製)で比表面積を測定した。さらに,X
線回折装置を用いて、以下の方法により結晶子サイズを
求めた。すなわち、粉末X線回折法(50kV−150
mA:CuKα線使用)によりα−Feに相当する(1
10)面と(220)面の回折線の半値幅の広がりから
求めた。結晶子サイズは粉末を測定する場合に比べ,媒
体を測定する場合は、媒体に含まれる強磁性金属粉末の
量が少なくX線回折強度が弱いため、一般に小さい値が
得られる。メタルサンプル1〜11について上記のよう
に求めた粒子の形状及び磁性特性を表1にまとめて示
す。
【0107】
【表1】
【0108】〔実施例1〜9、比較例2〜3〕 磁気記録媒体の製法 各種メタルサンプル(1〜11)を使用した重層構成の磁
気テープを作成するため以下の磁性層の組成物と下層用
非磁性層の組成物を作成した。
【0109】 (磁性層の組成物) 強磁性金属粉末 100部 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3Na基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 8部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基 1×10-4eq/g含有) α−アルミナ(平均粒子径0.13μm) 3部 カーボンブラック(平均粒子サイズ 50nm) 1部 フェニルフォスフォン酸 3部 ブチルステアレート 3部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 360部 (注)MDIは、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートの略称。
【0110】 (下層用非磁性層の組成物) 針状ヘマタイト 80部 (BET法による比表面積55m2/g、平均長軸長0.10μm、 針状比7、pH8.8、アルミ処理Al2O3として1質量%) カーボンブラック 20部 (平均一次粒子径 17nm、DBP吸油量 80ml/100g、 BET法による表面積 240m2/g、pH7.5) 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3Na基を1×10-4eq/g含有、重合度 300 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基 1×10-4eq/g含有) フェニルフォスフォン酸 3部 ブチルステアレート 3部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
【0111】〔実施例10、比較例1〕前記実施例4に
おいて磁性層組成物の結合剤樹脂とカーボンブラックの
添加量を以下に変更した以外は、実施例4と同じ方法で
磁性層及び非磁性層を作製した。 実施例10 比較例1 強磁性金属粉末 100質量部 100質量部 塩化ビニル共重合体 14質量部 16質量部 ポリエステルポリウレタン樹脂 8質量部 8質量部 カーボンブラック 1.1質量部 1.2質量部
【0112】〔比較例4〕前記比較例2において磁性層
組成物の結合剤樹脂とカーボンブラックの添加量を以下
に変更した以外は、比較例2と同じ方法で磁性層及び非
磁性層を作製した。
【0113】(磁気記録媒体の作製)上記の磁性塗料及び
非磁性塗料のそれぞれについて、顔料、ポリ塩化ビニ
ル、フェニルフォスフォン酸と処方量の50質量%の各
溶剤をニーダで混練したのち、ポリウレタン樹脂と残り
の成分を加えてサンドグラインダーで分散した。得られ
た分散液にイソシアネートを非磁性層の塗布液には15
部、磁性層の塗布液には14部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン30部を加え、1μm の平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0114】厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート
支持体上に、得られた下層(非磁性層)用の塗布液を乾
燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにそ
の直後下層(非磁性層)用塗布層がまだ湿潤状態にある
うちに、その上に磁性層の乾燥後の厚みが0.12〜
0.14μmの範囲になるように湿式重層塗布を行い、
さらに両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過
させ、長手配向した。この時の配向磁石は、まず希土類
磁石(表面磁束500mT)を通過させた後、ソレノイド磁
石(磁束密度500mT)中を通過させる。そのとき、ソレ
ノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥させる。さらに
磁性層を乾燥させて巻き取った。その後金属ロールより
構成される7段カレンダーでロール温度を90℃にして
カレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒体を
得、それを8mm幅にスリットして8mmビデオテープ
の試料を作成した。 (測定)得られた試料を振動試料型磁力計で測定した磁気
特性及びレマネンス曲線よりSFDrを求めた。さらに表面
粗さ、電磁変換特性および磁性層の耐候性を測定した。
【0115】電磁変換特性の測定法は、次の方法によっ
た。データー記録用8ミリデッキにMIGヘッド(ヘッ
ドギャップ0.2μm、トラック幅17μm、飽和磁束
密度1.5T、アジマス角20°)と再生用MRヘッド
(SALバイアス、MR素子はFe-Ni、トラック幅6μm、ギャ
ップ長0.2μm、アジマス角20°)を搭載した。MI
Gヘッドを用いて、テープとヘッドの相対速度を10.
2m/秒とし、1/2Tb(λ=0.5μm)の入出力
特性から最適記録電流を決め、この電流で信号を記録し
たのち、MRヘッドで記録の再生を行った。C/Nは再
生キャリアのピークから消磁ノイズまでとし、スペクト
ルアナライザーの分解能バンド幅は100kHzとした。
その結果は、比較例1を使用したテープに対する特性で
表わした。
【0116】磁気特性は振動試料型磁力計(東英工業
製)を使用し外部磁場796kA/mで配向方向に平行に測定
した。具体的には、東英工業製の振動試料型磁力計に磁
気記録媒体の測定試料の配向方向が磁場と同一方向にな
るようにセットし、外部磁場−796kA/mを印加し、DC
飽和させた後に、磁場をゼロに戻し、残留磁化(-Mrmax)
を測定する。つぎに、逆方向に7.96kA/mの磁場を印加し
たのち磁場をゼロにもどし、そのときの残留磁化Mrを測
定し、さらに7.96kA/mずつ印加磁界を変化させながら、
残留磁化を繰り返し測定し、レマネンス曲線を求めた。
曲線のピークの半値幅/ピーク磁界よりSFDrを求めた。
【0117】磁性層の平均厚みの測定は,磁気記録媒体
の長手方向に渡ってダイアモンドカッターで約0.1μ
mの厚みに切り出し、透過型電子顕微鏡で倍率3万倍で
観察し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズ
はA4版である。その後、磁性層、非磁性層の強磁性粉
末や非磁性粉末の形状差に着目して界面を目視判断して
黒く縁どりを行い、かつ磁性層表面も同様に黒く縁どり
した後、画像解析装置(カールツァイス社製:KS40
00)にて縁どりした線の間隔を測定した。試料写真の
長さが21cmの範囲にわたり、測定点を取って測定し
た。その際の測定値の単純加算平均を倍率で除して磁性
層の厚みとした。
【0118】中心面平均表面粗さ(Ra):この表面粗
さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元
粗さ計「HD−2000」を用いて、磁性層表面をMI
RAU法で約184μm×242μmの面積のRa値を
測定した。測定用の対物レンズは、50倍,中間レンズ
は、0.5倍で傾き補正と円筒補正が加えられている。
この装置は、光干渉にて測定する非接触表面粗さ計であ
る。
【0119】磁性層の耐候性は、磁気記録媒体を60℃
90%RHの環境に7日間保存後、以下の測定方法によ
り求める。 磁性層の保存後のΦm低下値(ΔΦm(%))=100
×(保存前Φm−保存後Φm)/保存前Φm の式で算出する。この測定には、振動試料型磁束計VS
M−5(東英工業性)を用い、タイムコンスタント0.
1秒、スイ−プ速度3分/10KOe、測定磁場10KO
eの条件のもとで測定した。
【0120】
【表2】
【0121】(結果)測定結果を表2にまとめて示す。表
1,2から、本発明の実施例では、強磁性金属粉末は結
晶子のサイス゛が本発明の範囲内あると,低σsとなること
により,磁気記録媒体としたときの磁性層の残留磁束密
度Brは低くなり,Hc及びBr/Hcは本発明の範囲
内を保つことにより表面が平滑であり,耐候性も安定し
ていることが分かる。更に電磁変換特性はノイズが低
く,特にC/Nが良好であることを示している。しか
し、比較例では、磁性層の平滑性及びC/N(特にノイ
ズ)がともに劣ることが判る。
【0122】
【発明の効果】本発明の支持体上に強磁性金属粉末と結
合剤を主体とする磁性層を設けてなる磁気記録媒体にお
いて強磁性金属粉末は結晶子のサイズ゛が8〜15nm
であり,磁性層のHcが145kA/m〜320kA/
mであり,Br/Hc(mT/(kA/m))が0.8〜
1.0であるときの磁性層は,耐候性が安定し,更に電
磁変換特性ではC/Nが良好であり,特にノイズが懸著
に低く、とりわけ高感度な磁気抵抗型(MR)ヘッドを
再生ヘッドとして搭載しているシステムに適した磁気記
録媒体を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に強磁性金属粉末と結合剤を主
    体とする磁性層を設けてなる磁気記録媒体において該強
    磁性金属粉末は結晶子サイズ゛が80〜150Åであ
    り,該磁性層のHcが145kA/m〜320kA/m
    であり,かつBr/Hc(mT/(kA/m))が0.8〜
    1.0であることを特徴とする磁気記録媒体。
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