JP2002089700A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JP2002089700A
JP2002089700A JP2000282296A JP2000282296A JP2002089700A JP 2002089700 A JP2002089700 A JP 2002089700A JP 2000282296 A JP2000282296 A JP 2000282296A JP 2000282296 A JP2000282296 A JP 2000282296A JP 2002089700 A JP2002089700 A JP 2002089700A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 原動機が被駆動状態であるコースト状態か、
原動機が駆動状態であるドライブ状態かを判断して、解
放側摩擦要素の作動油圧を低下させるタイミングを適切
なものとすることにより、アップシフト変速中に生じる
運転者の予期せぬショックを解消する。 【解決手段】 トルクコンバータの入出力側回転から算
出されたトルクコンバータの速度比が所定の速度比以上
であるかどうかを判断し、下の値であるときは第2摩擦
要素が所定値を得たのちに、第1摩擦要素の作動油圧を
低下させる一方、以上の時はそれよりも早いタイミング
で第1摩擦要素の作動油圧を低下させることによるもの
で、第1摩擦要素の油圧を低下させるタイミングを切り
替えるようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1の摩擦要素を
作動油圧の低下により開放させつつ、第2の摩擦要素を
作動油圧の上昇により締結させて摩擦要素を掛け替える
ことにより変速を行う自動変速機の油圧制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は、複数のクラッチやブレー
キ等の摩擦要素を選択的に油圧作動(締結)させること
により歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定し、
作動する摩擦要素を切り換えることにより他の変速段へ
の変速を行うように構成する。
【0003】自動変速機はかかる構成であるが故に、作
動油圧の低下により第1の摩擦要素を解放させつつ、作
動油圧の上昇により第2の摩擦要素を締結させる、所
謂、摩擦要素の掛け替えにより行う変速が存在すること
となる。なお、本明細書では、当該掛け替え変速に際
し、締結状態から解放状態に切り換えるべき摩擦要素を
解放側摩擦要素、その作動油圧を解放側作動油圧と称
し、また、解放状態から締結状態に切り換えるべき摩擦
要素を締結側摩擦要素、その作動油圧を締結側作動油圧
と称する。
【0004】従来の油圧制御装置には、例えば、実開平
6−16763号公報に記載のものがある。これは、締
結側摩擦要素の作動油圧が所定圧を越えたことを油圧ス
イッチが検知したのち、解放側摩擦要素の作動油圧を低
下させることにより、変速ショックを軽減して滑らかな
加速を得るものである。こうした油圧制御装置は、原動
機であるエンジンが駆動状態(以下、ドライブ状態とい
う)におけるアップシフト変速では有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来装置にあっては、エンジンが被駆動状態(以下、コー
スト状態という)におけるアップシフト変速、所謂、コ
ーストアップ変速時においては、解放側摩擦要素の解放
タイミングが遅すぎるため、後述するような問題が生じ
ることが明らかとなった。
【0006】図9は、アクセルペダルからの足離しに伴
う2速から3速へのコーストアップ変速において解放側
摩擦要素の解放タイミングが遅すぎる場合を示すタイム
チャートであって、(a)はスロットル開度TVO、
(b)は解放側作動油圧Po、(c)はエンジン回転数
Neおよびタービン回転数Nt、(d)は加速度Gを示
す。なお、符号Xは変速を開始した時点、符号Yはコー
スト状態であると判断した時点を示す。
【0007】この場合、運転者がアクセルペダルを離す
ことで図9(a)に示す如くスロットル開度TVOが減
少すると、運転者は、図9(d)の破線に示す如く、加
速度Gが滑らかに減少して加速度GがほぼG=0となる
ことによりショックを生じないアップシフト変速を期待
する。しかしながら、上記装置にあっては、運転者はシ
ョックを生じない滑らかな変速を期待しているのにも関
わらず、図9(b)の時点X,Yで示す如く、解放側作
動油圧Poの抜きが遅すぎるため、実際には、解放側作
動油圧Poが抜けるまでの間、図9(d)の実線に示す
如く、変速する前のギア段Gr(old)(この場合、ギア段
は2速)を維持している。このため、アクセルペダルを
離した場合、図9(d)の領域Cに示す部分では、変速
前のギア段Gr(OLD)のエンジンブレーキGeによる引き
ショックが発生してしまう。
【0008】そこで、こうした問題を解消する装置とし
て、コースト状態であると判断すると同時に、解放側作
動油圧Poを解放する装置が考えられるが、この場合、
新たに、解放側摩擦要素の解放タイミングが早すぎる場
合を考慮しなければならない。
【0009】図10は、アクセルペダルからの足離しに
伴う2速から3速へのコーストアップ変速において解放
側作動油圧の抜きが早すぎる場合を示すタイムチャート
であって、(a)はスロットル開度TVO、(b)は解
放側作動油圧Po、(c)はエンジン回転数Neおよびタ
ービン回転数Nt、(d)は加速度Gを示す。なお、符
号Xは変速を開始した時点、符号Yはコースト状態であ
ると判断した時点を示す。
【0010】この場合、運転者がアクセルペダルを離す
ことで図10(a)に示す如くスロットル開度TVOが
減少すると、図10(b)の時点X,Yで示す如く、解
放側作動油圧Poの抜きが早すぎるため、時点Xでは、
足離しによって変速マップ上はコースト状態と判断され
ても、時点Y付近の過渡状態では、エンジンの残留トル
クにより自動変速機の入力側トルクTtが正の場合があ
るため、図10(c)の領域Aに示す如く、タービン回
転数Ntが急上昇して空吹けてしまう。また、こうした
状態で、解放側作動油圧Poが一気に抜けると、図10
(d)の領域Bに示す如く、加速度Gが一気に減少する
ためにショックが発生してしまう。
【0011】本発明は、上述した問題を鑑みてなされた
ものであって、原動機が被駆動状態であるコースト状態
か、原動機が駆動状態であるドライブ状態かを判断し
て、解放側摩擦要素の作動油圧を低下させるタイミング
を適切なものとすることによりアップシフト変速中に生
じる運転者の予期せぬショックを解消することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、第1発明に係る自動変速機の油圧制御装置は、第1
の摩擦要素を作動油圧の低下により開放させつつ、第2
の摩擦要素を作動油圧の上昇により締結させて摩擦要素
を掛け替えることにより変速を行う自動変速機の油圧制
御装置において、トルクコンバータの入出力側回転から
算出されたトルクコンバータの速度比etが予め設定さ
れた所定の速度比em以上であるかどうかを判断し、ト
ルクコンバータ速度比etが前記速度比emよりも下の値
であると判断されるときは、原動機が駆動状態であると
判断して、前記第2摩擦要素が所定の締結容量を得たの
ちに、前記第1摩擦要素の作動油圧を低下させる一方、
トルクコンバータ速度比etが前記速度比em以上である
と判断されるときは、原動機が被駆動状態であると判断
して、トルクコンバータ速度比etが前記速度比emより
も下の値であると判断されるときよりも早いタイミング
で、前記第1摩擦要素の作動油圧を低下させることによ
り、該第1摩擦要素の作動油圧を低下させるタイミング
を切り替えるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】第2発明に係る自動変速機の油圧制御装置
は、上記第1発明において、スロットル開度および自動
変速機の入力側回転で予め設定されたマップから原動機
が駆動状態であるか被駆動状態であるかを判断し、この
マップから原動機が被駆動状態と判断される場合にの
み、トルクコンバータ速度比etが前記速度比em以上で
あるかどうかを判断して前記第1摩擦要素の作動油圧を
低下させるタイミングを切り替えるようにしたことを特
徴とするものである。
【0014】
【発明の効果】第1発明に係る自動変速機の油圧制御装
置は、第1の摩擦要素を作動油圧の低下により開放させ
つつ、第2の摩擦要素を作動油圧の上昇により締結させ
て摩擦要素を掛け替えることにより変速を行うものであ
って、トルクコンバータの入出力側回転から算出された
トルクコンバータの速度比etが予め設定された所定の
速度比em以上であるかどうかを判断する。
【0015】本発明によれば、トルクコンバータ速度比
etが速度比emよりも下の値であると判断されるとき
は、原動機が駆動状態であると判断して、第2摩擦要素
が所定の締結容量を得たのちに、第1摩擦要素の作動油
圧を低下させる一方、トルクコンバータ速度比etが速
度比em以上であると判断されるときは、原動機が被駆
動状態であると判断して、トルクコンバータ速度比et
が速度比emよりも下の値であると判断されるときより
も早いタイミングで、第1摩擦要素の作動油圧を低下さ
せることにより、この第1摩擦要素の作動油圧を低下さ
せるタイミングを切り替える。
【0016】つまり、第1発明は、トルクコンバータ速
度比etが速度比em以上であると判断されるときは、原
動機が被駆動状態であるとして処理するから、原動機が
駆動状態であるか、原動機が被駆動状態であるかを判断
して、第1摩擦要素の作動油圧を低下させるタイミング
を適切なものとすることができる。従って第1発明は、
原動機が被駆動状態であるときのアップシフト変速時に
生じる予期せぬショックを解消することができる。
【0017】第2発明に係る自動変速機の油圧制御装置
は、上記第1発明において、スロットル開度および自動
変速機の入力側回転で予め設定されたマップから原動機
が駆動状態であるか被駆動状態であるかを判断し、この
マップから原動機が被駆動状態と判断される場合にの
み、トルクコンバータ速度比etが速度比emに達したか
どうかを判断して第1摩擦要素の作動油圧を低下させる
タイミングを切り替える。
【0018】従って第2発明によれば、原動機が被駆動
状態である領域を確実に絞り込むこにより、原動機が被
駆動状態で生じるショックを確実に防止することができ
る。またマップによれば、エンジントルクTeなどを検
知する必要がないから、エンジンコントローラからトル
ク情報を受け取ることなく実施できるため、エンジンコ
ントローラと自動変速機コントローラとの間の通信に要
するハード・ソフトの負担が軽減され、且つ、確実性も
増す。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は本発明一実施の形態に
なる自動変速機の油圧制御装置を示し、1はエンジン、
2は自動変速機である。エンジン1は、運転者が操作す
るアクセルペダルに連動してその踏み込みにつれ全閉か
ら全開に向け開度増大するスロットルバルブにより出力
を加減され、エンジン1の出力回転はトルクコンバータ
3を経て自動変速機2の入力軸4に入力されるものとす
る。
【0020】自動変速機2は、同軸突き合わせ関係に配
置した入出力軸4,5上にエンジン1の側から順次フロ
ントプラネタリギヤ組6およびリヤプラネタリギヤ組7
を載置して具え、これらを自動変速機2における遊星歯
車変速機構の主たる構成要素とする。エンジン1に近い
フロントプラネタリギヤ組6は、フロントサンギヤ
、フロントリングギヤR、これらに噛合するフロ
ントピニオンR、および該フロントピニオンを回転自
在に支持するフロントキャリアRよりなる単純遊星歯
車組とし、エンジン1から遠いリヤプラネタリギヤ組7
も、リヤサンギヤS、リヤリングギヤR、これらに
噛合するリヤピニオンP、および該リヤピニオンを回
転自在に支持するリヤキャリアCよりなる単純遊星歯
車組とする。
【0021】遊星歯車変速機構の伝動経路(変速段)を
決定する摩擦要素としてはロークラッチL/C、2速・
4速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリ
バースブレーキLR/B、ローワンウェイクラッチL/
OWC、およびリバースクラッチR/Cを、以下のごと
く両プラネタリギヤ組6,7の構成要素に相関させて設
ける。つまり、フロントサンギヤSはリバースクラッ
チR/Cにより入力軸4に適宜結合可能にすると共に、
2速・4速ブレーキ2−4/Bにより適宜固定可能とす
る。
【0022】フロントキャリアCはハイクラッチH/
Cにより入力軸4に適宜結合可能にする。フロントキャ
リアCは更に、ローワンウェイクラッチL/OWCに
よりエンジン回転と逆方向の回転を阻止すると共に、ロ
ーリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能とす
る。そしてフロントキャリアCと、リヤリングギヤR
との間を、ロークラッチL/Cにより適宜結合可能と
する。フロントリングギヤRおよびリヤキャリアC
間を相互に結合し、これらフロントリングギヤR およ
びリヤキャリアCを出力軸6に結合し、リヤサンギヤ
を入力軸4に結合する。
【0023】上記遊星歯車変速機構の動力伝達列は、摩
擦要素L/C,2−4/B,H/C,LR/B,R/C
の図2に実線の〇印で示す選択的油圧作動(締結)と、
ローワンウェイクラッチL/OWCの同図に実線の〇印
で示す自己係合とにより、前進第1速(1st)、前進第
2速(2nd)、前進第3速(3rd)、前進第4速(4t
h)の前進変速段と、後退変速段(Rev )とを得ること
ができる。なお図2に点線の〇印で示す油圧作動(締
結)は、エンジンブレーキが必要な時に作動させるべき
摩擦要素である。
【0024】図2に示す変速制御用摩擦要素L/C,2
−4/B,H/C,LR/B,R/Cの締結論理は図1
に示すコントロールバルブボディー8により実現し、こ
のコントロールバルブボディー8には図示せざるマニュ
アルバルブの他に、ライン圧ソレノイド9、ロークラッ
チソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド1
1、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレー
キソレノイド13などを挿置する。
【0025】ライン圧ソレノイド9はそのON,OFF
により、変速制御の元圧であるライン圧を高低切り替え
し、図示せざるマニュアルバルブは、希望する走行形態
に応じて運転者により前進走行(D)レンジ位置、後退
走行(R)レンジ位置、または駐停車(P,N)レンジ
位置に操作されるものとする。
【0026】Dレンジでマニュアルバルブは、上記のラ
イン圧を元圧としてロークラッチソレノイド10、2速
・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイ
ド12、ローリバースブレーキソレノイド13のデュー
ティ制御により対応するロークラッチL/C、2速・4
速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリバ
ースブレーキLR/Bの作動油圧を個々に制御し得るよ
うライン圧を所定の回路に供給し、当該各ソレノイドの
デューティ制御により図2に示した第1速〜第4速の締
結論理を実現するものとする。
【0027】但しRレンジでは、マニュアルバルブはラ
イン圧を上記各ソレノイドのデューティ制御してリバー
スクラッチR/CおよびローリバースブレーキLR/B
に供給し、これらを締結作動させることにより図2に示
した後退の締結論理を実現するものとする。なおP,N
レンジでマニュアルバルブはライン圧をどの回路にも供
給せず、全ての摩擦要素を解放状態にすることにより自
動変速機を中立状態にする。
【0028】ライン圧ソレノイド9のON,OFF制
御、およびロークラッチソレノイド10、2速・4速ブ
レーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、
ローリバースブレーキソレノイド13のデューティ制御
はそれぞれ変速機コントローラ14により実行し、その
ために変速機コントローラ14には、エンジン1のスロ
ットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ15
からの信号と、トルクコンバータ3の出力回転数(変速
機入力回転数)であるタービン回転数Nを検出するタ
ービン回転センサ16からの信号と、自動変速機2の出
力軸5の回転数Nを検出する出力回転センサ17から
の信号と、選択レンジを検出するインヒビタスイッチ1
8からの信号と、掛け替え変速時に締結すべき締結側摩
擦要素、つまり、図2から明らかなように2→3変速時
はハイクラッチH/C、3→2変速時は2速・4速ブレ
ーキ2−4/B、3→4変速時は2速・4速ブレーキ2
−4/B、4→3変速時はロークラッチL/C内に配置
された油圧スイッチ19からの信号をそれぞれ入力す
る。ここで油圧スイッチ19は、対応する摩擦要素の作
動油圧が摩擦要素のロスストロークを終了させて締結容
量を発生させ始める圧力になった時にONするものとす
る。
【0029】本発明が関与するDレンジでの自動変速作
用を説明するに、変速機コントローラ14は図示せざる
制御プログラムを実行して、予定の変速マップをもとに
スロットル開度TVOおよび変速機出力回転数N(車
速)から、現在の運転状態において要求される好適変速
段を検索する。
【0030】次いで変速機コントローラ14は、現在の
選択変速段が好適変速段と一致しているか否かを判定
し、不一致なら変速指令を発して好適変速段への変速が
実行されるよう、つまり図2の締結論理表にもとづき当
該変速のための摩擦要素の締結、解放切り換えが行われ
るようソレノイド10〜13のデューティ制御により、
当該摩擦要素の作動油圧を変更する。
【0031】かかる掛け替え変速を実行するために変速
機コントローラ14は、解放側作動油圧指令値Poおよ
び締結側作動油圧指令値Pcをそれぞれ時系列制御す
る。
【0032】図3は、本発明の第1の実施形態を説明す
るための制御プログラムによるフローチャートである。
なお、このフローチャートは、アップシフト変速におけ
る解放側摩擦要素の解放タイミングを決定するためのも
のである。
【0033】以下、締結側摩擦要素としてハイクラッチ
H/Cが用いられる一方、解放側摩擦要素として2速・
4速ブレーキ2−4/Bが用いられる2速から3速への
アップシフト変速を参照し、上記制御プログラムの作用
を説明する。
【0034】まず、ステップ110において、アップシ
フト変速であるかを判断する。この判断は、例えば、ス
ロットル開度TVOの減少やアクセルペダルに設けたO
N/OFFスイッチでアクセルペダルを離したことを検
知すること等によって行われる。ステップ110にてア
ップシフト変速でないと判断されると、そのままフロー
を終了するが、アップシフト変速であると判断される
と、ステップ120に移行して、エンジン1が駆動状態
であるドライブ状態のアップシフト変速であるか、エン
ジン1が被駆動状態であるコースト状態のアップシフト
変速であるかを判断する。
【0035】ステップ120の判断は、例えば、図4に
示すスロットル開度TVOおよびタービン回転数Ntの
特性マップによって行われる。このマップは、縦軸にス
ロットル開度TVO、横軸にタービン回転数Ntを取
り、ドライブ・コースト領域境界線Lによって、ドライ
ブ領域とコースト領域とに分けられている。これによ
り、検出されたスロットル開度TVOおよびタービン回
転数Ntがドライブ領域にある場合はドライブ状態、コ
ースト領域にある場合はコースト状態であると判断する
ことができる。
【0036】まずステップ120にてドライブ変速であ
ると判断されると、ドライブ状態のアップシフト変速、
所謂、ドライブアップ変速であるとしてステップ150
に移行し、このステップ150にて、油圧スイッチ19
によってハイクラッチH/Cに供給される締結側作動油
圧Pcが所定値を越えたかどうかを判断する。
【0037】ステップ150では、油圧スイッチ19か
らのON信号を検知しないと、そのままフローを終了す
るが、油圧スイッチ19からのON信号を検知すると、
締結側作動油圧Pcが所定値を越えたと判断して、ステ
ップ160に移行する。
【0038】ステップ160では、油圧スイッチ19の
ON信号を検知したのち、2速・4速ブレーキ2−4/
Bの解放を判断するルーチンが実行される。
【0039】図5は、ステップ160において実行され
る、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放を判断するた
めのフローチャートであって、図(a)はタイマーを利
用して解放判断を行う場合のフローチャート、図(b)
は締結側作動油圧Pcの指令値Ipを利用して解放判断を
行う場合のフローチャートである。
【0040】まず図5(a)のフローチャートを実行す
ることによって、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放
を判断する場合を説明する。
【0041】まずステップ210では、油圧スイッチ1
9のON信号に基づいて、解放側作動油圧Poの抜きタ
イミングを判断するため、前回のカウント値T(old)
ら、1制御サイクルの実行時間に相当するΔTを加算し
て今回のカウント値T(new)を算出し、ステップ220
に移行する。ステップ220では、最新のカウント値T
(new)が所定値Tmを越えたかどうかを判断し、最新のカ
ウント値T(new)が所定値Tm以下であると判断されると
きはそのままフローを終了し、最新のカウント値T
(new)が所定値Tmを越えたと判断されるときは、ステッ
プ230にて2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放を判
断してフローを終了する。
【0042】上記結果に基づいて、最新のカウント値T
(new)が所定値Tm以下であると判断されてそのままフロ
ーを終了する場合、図3のステップ160から移行した
ステップ170では解放判断がなされていないとして図
3のフローを終了する。また、最新のカウント値T
(new)が所定値Tmを越えたと判断される場合は、図3の
ステップ160から移行したステップ170では解放判
断がなされたとしてステップ180に移行し、このステ
ップ180にて、解放側作動油圧Poを低下させること
により、2速・4速ブレーキ2−4/Bを解放する。
【0043】なお、図6は図5(a)のフローチャート
を実行した際のタイマー動作を説明するタイムチャート
であって、縦軸は、横軸のカウント値Tに相当する時間
tを示し、油圧スイッチ19からのON信号が検知され
た時点を破線で示す。このタイムチャートに示す如く、
前回のカウント値T(old)に対してΔTだけ加算された
最新のタイマーカウント値T(new) に対応した時間tが
タイマーの計測した時間である。
【0044】次に図5(b)のフローチャートを実行す
ることによって、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放
を判断する場合を説明する。
【0045】ステップ310では、解放側作動油圧Po
の抜きタイミングを判断するため、締結側作動油圧Pc
の指令圧Ipが所定値Imを越えたかどうかを判断し、締
結側指令圧Ipが所定圧Im以上であると判断されるとき
はそのままフローを終了し、締結側指令圧Ipが所定圧
mを越えたと判断されるときは、ステップ320にて
2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放を判断してフロー
を終了する。なお、締結側指令値Ipが所定圧Imを越え
ている場合には、ハイクラッチH/Cが2速・4速ブレ
ーキ2−4/Bを解放しても空吹きが生じないと考えら
れるため、2速・4速ブレーキ2−4/Bを解放しても
差し支えない。
【0046】上記結果に基づいて、締結側指令圧Ipが
所定圧Im以下であると判断されてそのままフローを終
了する場合、図3のステップ160から移行したステッ
プ170では解放判断がなされていないとして図3のフ
ローを終了する。また、締結側指令圧Ipが所定圧Im
越えたと判断される場合は、図3のステップ160から
移行したステップ170では解放判断がなされたとして
ステップ180に移行し、このステップ180にて、解
放側作動油圧Poを低下させることにより、2速・4速
ブレーキ2−4/Bを解放する。
【0047】図3のステップ150〜ステップ180に
よる制御によれば、ドライブ状態では、図5(a)また
は図5(b)の制御によって、ハイクラッチH/Cに供
給される締結圧Pcが所定値を越えたことを油圧スイッ
チ19が検知してから所定時間tmが経過したのち、2
速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧Poを低下させ
るため、ハイクラッチH/C側の容量が上昇しているこ
とが保障されるから、エンジン1が駆動状態であって
も、空吹きの生じる心配はない。
【0048】他方、ステップ120にてドライブ変速で
ないと判断されると、コースト状態のアップシフト変
速、所謂、コーストアップ変速であるとしてステップ1
30に移行し、このステップ130にて、エンジン回転
数Neおよびタービン回転数Ntからトルクコンバータの
速度比et(=Nt/Ne)を算出し、このトルクコンバ
ータの速度比etが所定の速度比eよりも大きな値で
あるかを判断する。
【0049】ステップ130で、トルクコンバータ速度
比etが速度比eよりも下の値であると判断される
と、そのままフローを終了するが、トルクコンバータ速
度比etが速度比eよりも大きな値であると判断され
ると、ステップ140に移行し、このステップ140に
て、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放側作動油圧P
oを低下させることにより、ドライブ状態であると判断
されるときよりも早いタイミングで2速・4速ブレーキ
2−4/Bを解放する。
【0050】図3のフローチャートから明らかなよう
に、本実施形態によれば、ステップ120にて、コース
ト状態かドライブ状態かを判断し、ドライブ状態である
と判断されるときは、ハイクラッチH/Cが所定の締結
容量を得たのちに、2速・4速ブレーキ2−4/Bの作
動油圧Poを低下させる一方、ステップ120にて、コ
ースト状態であると判断されるときは、ステップ130
から、トルクコンバータ3の入出力側回転Ne,Noから
算出されたトルクコンバータの速度比etが予め設定さ
れた所定の速度比em以上であるかどうかを判断する。
ステップ130にて、トルクコンバータ速度比etが速
度比emよりも小さい値であると判断されるときは解放
側解放でないとするが、トルクコンバータ速度比etが
速度比em以上であると判断されるときは、トルクコン
バータ速度比etが速度比emよりも小さい値であると判
断されるときよりも早いタイミングで、2速・4速ブレ
ーキ2−4/Bの作動油圧Poを低下させることによ
り、この2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧Po
を低下させるタイミングを切り替える。
【0051】つまり、本実施形態は、ステップ130に
て、トルクコンバータ速度比etが速度比em以上である
と判断されるときは、ステップ120での判断も含め
て、コースト状態であるとして処理するから、ドライブ
状態であるか、コースト状態であるかを判断して、2速
・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧Poを低下させる
タイミングを適切なものとすることができる。従って本
実施形態は、コーストアップ変速時に生じる予期せぬシ
ョックを解消することができる。
【0052】なお、ドライブ状態であるか、コースト状
態であるかは、図3のステップ130においてトルクコ
ンバータ速度比etから判断することも可能であるが、
本実施形態では、図3のステップ120において、ドラ
イブ状態とコースト状態との判断を実行している。この
場合、ステップ120によってロジックは複雑になるも
のの、ステップ130の判断で解放するか、ステップ1
70の判断で解放するかをよりきめ細かく設定できるこ
とにより、様々な車速域、スロットル開度TVO域に対
してより適切な制御を選択でき、また、エンジン1の過
渡状態における影響を排除することができる。
【0053】具体的な状況としては、アクセルペダルを
踏み込んでいる状態から足を完全に離してエンジントル
クTeの状態が駆動状態から過渡状態を経て被駆動状態
に至る場合が考えられる。この場合、エンジンコントロ
ーラは、アクセルペダルを完全に離したにも関わらず、
エンスト防止などのためにしばらく燃料噴射を続ける。
そのため、エンジントルクTeは即座にアクセルペダル
を完全に離した状態に収束すべき状態に収束せず、しば
らくはアクセルペダルを完全に離した状態で発生すべき
トルクよりも大きめのトルクを発生することとなる。こ
のような状態でも、過渡状態でない定常時のエンジント
ルクTeを基に作成したスロットル開度TVOとタービ
ン回転数Ntなどからなるドライブ・コーストマップな
どの手段を用いてアクセルペダルを離したことにより、
ステップ120でコースト状態が判断される。
【0054】しかし、コースト状態を判断した後しばら
くは、エンジントルクTeの状態は定常状態に至らず、
ドライブ状態となる場合がある。しかも、このドライブ
状態というのは、過渡状態を終了すれば、いずれコース
ト状態になることが明らかな状態である。つまり、定常
状態のエンジントルクTeの状況を基に作成した上記ド
ライブ・コーストマップは、過渡状態終了後のエンジン
トルクTeの状態を予想した結果に適したマップという
こともできる。そしてさらに、このときタービントルク
Ttの値は急激に減少しているはずである。
【0055】従って、万が一、入力トルクに対する解放
側摩擦要素の解放前の容量が狙いよりも小さく、解放制
御前に解放側摩擦要素が滑ってしまい、解放タイミング
が早すぎた場合と同様の前述したような不具合が生じた
としても、その不具合による被害度は小さく、また即座
に不具合が収まる傾向にあることは明らかである。
【0056】このため、解放する前の準備段階の油圧
を、解放制御前に解放側摩擦要素が決して滑らないとい
う要求を満たすための、様々なバラツキを考慮したマー
ジンを減らして、解放判断時の応答性を重視した、低め
の油圧に設定することが可能となる。
【0057】従って、本実施形態においては、ステップ
120から、コースト状態である領域を確実に絞り込む
ことにより、コースト状態で生じるショックを確実に防
止することができる。またマップによれば、エンジント
ルクTeなどを検知する必要がないから、エンジンコン
トローラからトルク情報を受け取ることなく実施できる
ため、エンジンコントローラと自動変速機コントローラ
との間の通信に要するハード・ソフトの負担が軽減さ
れ、且つ、確実性も増す。
【0058】図7は、本発明の第2の実施形態を説明す
るための制御プログラムによるフローチャートであっ
て、以下、第1の実施形態と同様、2速から3速へのア
ップシフト変速を参照し、上記制御プログラムの作用を
説明する。
【0059】まず、ステップ410において、アップシ
フト変速であるかを判断する。この判断は、例えば、ス
ロットル開度TVOの減少やアクセルペダルに設けたO
N/OFFスイッチでアクセルペダルを離したことを検
知する等によって行われる。ステップ410にてアップ
シフト変速でないと判断されると、そのままフローを終
了するが、アップシフト変速であると判断されると、ス
テップ420に移行して、このステップ420にて、エ
ンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntからトルクコ
ンバータの速度比et(=Nt/Ne)を算出し、このト
ルクコンバータ速度比etが速度比emよりも小さい値で
あるかを判断する。
【0060】ステップ420にて、トルクコンバータ速
度比etが速度比emよりも小さい値であると判断される
と、ドライブ状態のアップシフト変速、所謂、ドライブ
アップ変速であるとしてステップ440に移行し、この
ステップ440にて、油圧スイッチ19によってハイク
ラッチH/Cに供給される締結側作動油圧Pcが所定値
を越えたかどうかを判断する。
【0061】ステップ440では、油圧スイッチ19か
らのON信号を検知しないと、そのままフローを終了す
るが、油圧スイッチ19からのON信号を検知すると、
締結側作動油圧Pcが所定値を越えたと判断して、ステ
ップ450に移行する。
【0062】ステップ450では、油圧スイッチ19の
ON信号を検知したのち、2速・4速ブレーキ2−4/
Bの解放を判断するルーチンが実行される。このルーチ
ンで実行される制御は、例えば、図5(a)のフローチ
ャートを利用してタイマーから解放判断を行うものや、
図5(b)のフローチャートを利用して締結側指令値I
pから解放判断を行うもの等があるが、図5(a)およ
び図5(b)は、第1の実施形態と同様のものであるた
め、その説明は省略する。
【0063】まずステップ450にて、図5(a)のフ
ローチャートを実行することによって、最新のカウント
値T(new)が所定値Tm以下であると判断されるとそのま
まフローを終了するため、図7のステップ450から移
行したステップ460では解放判断がなされていないと
して図7のフローを終了する。また、ステップ450に
て、図5(a)のフローチャートを実行することによっ
て、最新のカウント値T(new)が所定値Tmを越えたと判
断されるとステップ230で解放判断がなされるため、
図7のステップ450から移行したステップ460では
解放判断がなされたとしてステップ470に移行し、こ
のステップ470にて、解放側作動油圧Poを低下させ
ることにより、2速・4速ブレーキ2−4/Bを解放す
る。
【0064】次にステップ450にて、図5(b)のフ
ローチャートを実行することによって、締結側指令圧I
pが所定圧Im以下であると判断されると、そのままフロ
ーを終了するため、図7のステップ450から移行した
ステップ460では解放判断がなされていないとしてフ
ローを終了する。また、ステップ450にて、図5
(b)のフローチャートを実行することによって、締結
側指令圧Ipが所定圧Imを越えたと判断されるとステッ
プ320で解放判断がなされるため、図7のステップ4
50から移行したステップ460では解放判断がなされ
たとしてステップ470に移行し、このステップ470
にて、解放側作動油圧Poを低下させることにより、2
速・4速ブレーキ2−4/Bを解放する。
【0065】ステップ440〜ステップ470による制
御によれば、ドライブ状態では、ハイクラッチH/Cに
供給される締結圧Pcが所定値を越えたことを油圧スイ
ッチ19が検知してから所定時間tmが経過したのち、
2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧Poを低下さ
せるため、ハイクラッチH/C側の容量が上昇している
ことが保障されるから、エンジン1が駆動状態であって
も、空吹きの生じる心配はない。
【0066】他方、ステップ420で、トルクコンバー
タ速度比etが速度比em以上であると判断されると、コ
ースト状態のアップシフト変速、所謂、コーストアップ
変速であるとしてステップ430に移行し、このステッ
プ430にて、2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油
圧Poを低下させることにより、ドライブ状態であると
判断されるときよりも早いタイミングで2速・4速ブレ
ーキ2−4/Bを解放する。
【0067】図7のフローチャートから明らかなよう
に、本実施形態によれば、ステップ420にて、トルク
コンバータ3の入出力側回転Ne,Noから算出されたト
ルクコンバータの速度比etが予め設定された所定のト
ルクコンバータ速度比em以上であるかどうかを判断す
る。このステップ420にて、トルクコンバータ速度比
etが速度比emよりも下の値であると判断されるとき
は、ドライブ状態であると判断して、ハイクラッチH/
Cが所定の締結容量を得たのちに、2速・4速ブレーキ
2−4/Bの作動油圧Poを低下させる一方、トルクコ
ンバータ速度比etが速度比em以上であると判断される
ときは、コースト状態であると判断して、トルクコンバ
ータ速度比etが速度比emよりも下の値であると判断さ
れるときよりも早いタイミングで、2速・4速ブレーキ
2−4/Bの作動油圧Poを低下させることにより、こ
の2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧Poを低下
させるタイミングを切り替える。
【0068】つまり、本実施形態は、ステップ420に
て、トルクコンバータ速度比etが速度比em以上である
と判断されるときは、コースト状態であるとして処理す
るから、ドライブ状態であるか、コースト状態であるか
を判断して、2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧
Poを低下させるタイミングを適切なものとすることが
できる。従って本実施形態は、コースト状態であるとき
のアップシフト変速時に生じる予期せぬショックを解消
することができる。
【0069】図8は、本発明の具体的な作用効果を説明
するため、アクセルペダルからの足離しに伴う2速から
3速へのコーストアップ変速を示すタイムチャートであ
って、(a)はスロットル開度TVO、(b)は解放側
作動油圧Po、(c)はエンジン回転数Neおよびタービ
ン回転数Nt、(d)は加速度Gを示す。なお、符号X
は変速を開始した時点、符号Yはコースト状態であると
判断した時点を示す。
【0070】2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放タイ
ミングである時点Yは、理論上、自動変速機の入力側ト
ルクであるタービントルクTtがTt=0になった時点で
あることが最も有効である。しかも、トルクコンバータ
速度比etがほぼ速度比em(=1)になった時点は、実
際のタービントルクTtがほぼ0(Tt≒0)になる時点
である。つまり、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放
タイミングである時点Yは、トルクコンバータ速度比e
tが速度比em(=1)近傍、特に、em=1になった時
点であることが好ましい。このため、本実施形態は、複
雑なデータを得ることなく、トルクコンバータの速度比
etが速度比emになった時点から2速・4速ブレーキ2
−4/Bの好適な解放タイミングを検知する。
【0071】図8のタイムチャートでは、運転者がアク
セルペダルを離すことで図8(a)に示す如くスロット
ル開度TVOが減少すると、図8(b)の時点Yに示す
如く、解放側作動油圧Poを供給するタイミングが適切
なものとなるため、解放側作動油圧Poが抜けるまでの
間、図8(d)の実線に示す如く、加速度GがほぼG=
0となる。時点Yにて、トルクコンバータの速度比et
が速度比em以上であると判断されて、解放側作動油圧
Poの低下を開始させることにより、2速・4速ブレー
キ2−4/Bを解放する。
【0072】従って、トルクコンバータ速度比etが速
度比emになった時点を2速・4速ブレーキ2−4/B
の解放タイミングである時点Yとすれば、2速・4速ブ
レーキ2−4/Bの解放タイミングは適切なものとなる
ため、図8(d)の一点鎖線に示すような解放側作動油
圧Poの抜きが遅すぎるために生じる変速前のエンジン
ブレーキGeによる引きショックや、図8(d)の二点
鎖線に示すような解放側作動油圧Poの抜きが早すぎる
ために生じる加速度Gの急激な減少によるショックを防
止する。特に、本実施形態によれば、速度比emをほぼ
em=1近傍、好適には、em=1とするから、ハイクラ
ッチH/Cの解放タイミングがタービントルクTtの値
がほぼ0となる状態、つまり、車両に働く加速度Gは、
図8(d)の実線に示す如く、運転者が期待する加速度
G=0付近となるから、車両の加減速によるショックを
防止することができる。
【0073】上述したところは、本発明の好適な実施形
態を示したにすぎず、当業者によれば、請求の範囲にお
いて、種々の変更を加えることができる。なお、本実施
形態では、トルクコンバータ速度比etによる解放タイ
ミングの切り替えについて、コースト状態のアップシフ
ト変速を参照して説明したが、トルクコンバータ速度比
etによる解放タイミングの切り替えは、コースト状態
に限らず、ドライブ状態のアップシフト変速にも適用す
ることができる。つまり、図7のフローチャートで説明
したように、ドライブ状態またはコースト状態に切り替
えなくても、自動的にドライブ状態かコースト状態かの
どちらかの条件で、2速・4速ブレーキ2−4/Bの解
放側作動油圧Poを低下させることができる。但し、ド
ライブ状態の場合は、トルクコンバータ速度比etが所
定の速度比em以上とならないため、別のトリガーで2
速・4速ブレーキ2−4/Bの解放側作動油圧Poを低
下させる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる油圧制御装置を
具えた自動変速機の伝動列、およびその変速制御システ
ムを示す概略系統図である。
【図2】 同自動変速機の選択変速段と、摩擦要素の締
結理論との関係を示す図である。
【図3】 本発明の第1実施形態を説明するフローチャ
ートである。
【図4】 コースト領域とドライブ領域とを判断するた
めのドライブ・コースト領域境界線Lを示す特性図であ
る。
【図5】 2速・4速ブレーキの解放を判断するための
フローチャートであって、(a)はタイマーを利用して
解放判断を行う場合のフローチャート、(b)は締結側
作動油圧Pcの指令値Ipを利用して解放判断を行う場合
のフローチャートを示す。
【図6】 図5(a)のフローチャートを実行した際の
タイマー動作を説明するタイムチャートを示す。
【図7】 本発明の第2実施形態を説明するフローチャ
ートである。
【図8】 本発明を説明するため、足離しに伴う2速→
3速コーストアップ変速を示すタイムチャートであっ
て、(a)はスロットル開度TVO、(b)は解放側作
動油圧Po、(c)はエンジン回転Neおよびタービン回
転Nt、(d)は加速度Gを示す。
【図9】 従来技術の一方の問題を説明するため、足離
しに伴う2速→3速コーストアップ変速を示すタイムチ
ャートであって、(a)はスロットル開度TVO、
(b)は解放側作動油圧Po、(c)はエンジン回転Ne
およびタービン回転Nt、(d)は加速度Gを示す。
【図10】 従来技術の他方の問題を説明するため、足
離しに伴う2速→3速コーストアップ変速を示すタイム
チャートであって、(a)はスロットル開度TVO、
(b)は解放側作動油圧Po、(c)はエンジン回転Ne
およびタービン回転Nt、(d)は加速度Gを示す。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 3 トルクコンバータ 4 入力軸 5 出力軸 6 フロントプラネタリギア組 7 リアプラネタリギア組 8 コントロールバルブボディ 9 ライン圧ソレノイド 10 ロークラッチソレノイド 11 2速・4速ブレーキソレノイド 12 ハイクラッチソレノイド 13 ローリバースブレーキソレノイド 14 変速機コントローラ 15 スロットル開度センサ 16 タービン回転センサ 17 出力回転センサ 18 インヒビタスイッチ 19 油圧スイッチ
フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 NA01 NB01 PA02 RA04 RA05 RB12 RB18 SA10 SB33 VA32W VA37Z VA48Z VA52Z VA62Z VA76Z VC01W VC03W

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の摩擦要素を作動油圧の低下により
    開放させつつ、第2の摩擦要素を作動油圧の上昇により
    締結させて摩擦要素を掛け替えることにより変速を行う
    自動変速機の油圧制御装置において、 トルクコンバータの入出力側回転から算出されたトルク
    コンバータの速度比etが予め設定された所定の速度比
    em以上であるかどうかを判断し、 トルクコンバータ速度比etが前記速度比emよりも下の
    値であると判断されるときは、原動機が駆動状態である
    と判断して、前記第2摩擦要素が所定の締結容量を得た
    のちに、前記第1摩擦要素の作動油圧を低下させる一
    方、 トルクコンバータ速度比etが前記速度比em以上である
    と判断されるときは、原動機が被駆動状態であると判断
    して、トルクコンバータ速度比etが前記速度比emより
    も下の値であると判断されるときよりも早いタイミング
    で、前記第1摩擦要素の作動油圧を低下させることによ
    り、 該第1摩擦要素の作動油圧を低下させるタイミングを切
    り替えるようにしたことを特徴とする自動変速機の油圧
    制御装置。
  2. 【請求項2】 スロットル開度および自動変速機の入力
    側回転で予め設定されたマップから原動機が駆動状態で
    あるか被駆動状態であるかを判断し、このマップから原
    動機が被駆動状態と判断される場合にのみ、トルクコン
    バータ速度比etが前記速度比em以上であるかどうかを
    判断して前記第1摩擦要素の作動油圧を低下させるタイ
    ミングを切り替えるようにしたことを特徴とする請求項
    1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
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