JP2002088597A

JP2002088597A - 糸条加工機の運転援助システム

Info

Publication number: JP2002088597A
Application number: JP2000286777A
Authority: JP
Inventors: Tatsuhito Yokoyama; 樹人横山; Kenkichi Nose; 健吉能勢
Original assignee: Teijin Modern Yarn Co Ltd
Current assignee: Teijin Frontier Knitting Co Ltd
Priority date: 2000-09-21
Filing date: 2000-09-21
Publication date: 2002-03-27

Abstract

(57)【要約】【課題】オペレーターによる異常管理が容易で、更に
はその原因追求に有用な情報が提示できる糸条加工機の
運転援助システム。【解決手段】糸条加工機の運転情報を表示して運転を
援助する糸条加工機の運転援助システムにおいて、管理
する複数の品質指標について品質指標毎に設定された錘
の指標を表示する指標表示画面又は／及び複数の種類の
異常についてその種類別に識別できるように表示して設
定された錘の異常を表示する異常表示画面を備え、切替
指示によりこれら画面を相互に切り換えて表示する表示
部を備えたことを特徴とする糸条加工機の運転援助シス
テム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、仮撚加工機、エア
加工機等の糸条加工機において運転管理特に品質管理に
必要な情報を提示してオペレーターの管理業務を援助す
る糸条加工機の運転援助システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】仮撚加工機、エアタスラン（登録商標）
加工機等の糸条加工機では、加工工程に加熱装置、加工
処理器等が配置され、糸導が複雑な上、加工される原糸
要因による異常もあり、原因追求も含めた異常管理に人
手を要している。また、品質異常の製品すなわち加工糸
パッケージが出荷されないように、加工糸パッケージの
品質検査を人手により行っており、この面でも、人手を
要する問題がある。その上、加工糸パッケージでの検査
はその表層部の検査となり、内層部での品質異常は検査
できないという不可避の問題を持っている。

【０００３】この品質管理に対して、特開平７−１３８
８２８号公報には延伸仮撚機の品質管理装置として、延
伸仮撚機で加工中の走行糸条の張力を検出して所定値以
上の変動の積算回数、積算時間によりパッケージ品質を
評価する装置が提案されている。

【０００４】また、特開平２０００−１１９９２４号公
報には、エア加工糸のループムラ検出方法として、撮像
手段からなる糸揺れ検出手段により供給ローラと流体噴
射ノズルとの間の糸通路で走行中の糸条の糸揺れ状態を
検出することでエア加工糸のループムラを検出する方法
が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術は加
工糸の品質管理における前述の問題に対し、有効なもの
であるが、異常原因の追求を含めた運転管理については
考慮されていない。これに対して、最近は、生産性向
上、省力化の要請は、一段と強く、少数のオペレーター
で管理、運転できる管理システムが待望されている。本
発明は、かかる現状に鑑み為されたもので、オペレータ
ーによる異常管理が容易で、更にはその原因追求に有用
な情報が提示できる糸条加工機の運転援助システムを目
的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、糸
条加工機の運転情報を表示して運転を援助する糸条加工
機の運転援助システムにおいて、管理する複数の品質指
標について品質指標毎に設定された錘の指標を表示する
指標表示画面又は／及び複数の種類の異常についてその
種類別に識別できるように表示して設定された錘の異常
を表示する異常表示画面を備え、切替指示によりこれら
画面を相互に切り換えて表示する表示部を備えたことを
特徴とする糸条加工機の運転援助システムである。

【０００７】本発明は、上述の通り、指標毎にあるいは
その異常について着色等でその種類を識別できるように
して当該機台の設定された錘を一覧表示する表示画面を
必要に応じて切り替えて表示するようにしており、オペ
レーターは関心のある品質指標及びこれらの異常につい
て即時にその状況を表示画面で確認できるので、容易に
その異常等が把握できる。異常の把握という点からは、
指標表示画面においても、異常の発生錘を着色して表示
することが好ましい。

【０００８】また、指標表示画面、異常表示画面におい
て選択された少なくとも異常錘の錘情報を表示する錘情
報表示手段を有することが、異常原因の追求面から好ま
しい。この錘情報としては、当該異常錘の１パッケージ
の異常発生履歴の情報がパッケージの品質評価の面から
好ましい。さらに、表示された異常発生履歴において選
択された特定異常の発生時点を含むその前後一定時間の
測定データを表示する異常時データ表示手段を備えるこ
とが、異常原因の追求面から好ましい。

【０００９】ここで、品質指標の測定データとしては、
加工糸の形態、加工張力等が挙げられる。中でも加工糸
の形態は、その抱合、太さ、ばらつき等の品質情報を含
み、非接触で測定でき、合糸加工を含め広く適用できる
点好ましい。この加工糸の形態を測定する場合の品質指
標として、該測定データが所定の管理範囲外となる糸
斑、一定時間毎にその間の測定データの標準偏差で平均
値で割った指標ＣＶ（＝標準偏差÷平均値）等が品質管
理面から好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を合糸のエア
タスラン加工機での実施例に基づいて説明する。図１
は、実施例のエアタスラン加工機の１錘の基本構成の説
明図で，実際はこの構成の錘が所定錘並設されている。

【００１１】図から明らかなように、本例のエアタスラ
ン加工機は、特開平１１−１０７０９３号公報等に開示
のものと同様の構成となっている。すなわち、加工され
る芯糸Ａと鞘糸Ｂは、図示省略した給糸スタンドの夫々
のパッケージから断糸処理のための糸カッター１を通し
て給糸される。そして、図に一点鎖線で示す芯糸Ａは、
糸カッター１を通った後、糸送り装置７Ａ、糸ガイド８
を経由する糸導でその下方の流体ジェット加工装置４に
供給される。

【００１２】一方、図に点線で示す鞘糸Ｂは、同じく糸
カッター１を通り、その後は糸送り装置７Ｂ、加熱用ピ
ン２、糸送り装置７Ｃ、糸送り装置７Ｄ、糸加熱装置
３、糸送りローラ装置９Ａからなる糸導で所定温度に加
熱されて流体ジェット装置４に供給される。

【００１３】ここで、糸送り装置７Ａ〜７Ｄは、フィー
ドローラとエプロンベルトで構成され、糸をエプロンベ
ルトでフィードローラに圧接して所定速度で送るように
なっている。また、糸送りローラ装置９Ａ〜９Ｃは、フ
ィードローラとニップローラとからなり、糸をニップロ
ーラでフィードローラに圧接して所定速度で送るように
なっている。糸加熱装置３には、熱媒体加熱方式による
チューブヒータを内蔵したものを用いた。

【００１４】流体ジェット装置４に供給された芯糸Ａと
鞘糸Ｂは、ここでジェット噴流で加工されて合糸され、
図で実線で示す所定の加工糸Ｃとなる。流体ジェット装
置４からの加工糸Ｃは、必要に応じてオイリング装置
（図示省略）等でオイルが付与され、巻取機５で加工糸
パッケージ６に形成され、所定の満巻量になると適宜図
示省略したドフ装置により玉揚げされる構成となってい
る。

【００１５】ところで、本例においては、以上の構成の
エアタスラン加工機において、運転状況並びに製品の加
工糸パッケージ６の品質指標をオンラインで管理するた
めに、図示のように、巻取前の糸導に加工糸Ｃの形態を
検出する糸センサー１１を設けている。この糸センサー
１１には、一定速度で走行する糸条の形態が連続的に検
出できるものであればよく、周知の透過光量或いは反射
光量で検出する光電式センサー等が適用できる。

【００１６】本例では、この糸センサー１１に特開平１
１−３５０２６９号公報等で公知の光軸が交差直交した
２組の発光素子と受光素子とからなり、その両出力信号
の内の大きい方をセンサーの測定信号と出力する２光軸
式光電センサーを用いた。そして、同公報に開示された
と同様に光軸の交差部を加工糸Ｃが通るようにして測定
した。これにより複雑な形態変化を示す加工糸特に合糸
された加工糸においても５００デニールまでの加工糸で
加工速度６００ｍ／ｍｉｎまでの広い加工条件でその形
態変化が安定して正確に検出でき、異常検出、品質管理
に必要なデータがオンラインで得られることを確認し
た。

【００１７】本例の運転援助システムでは、この糸セン
サー１１からの測定信号に基づいて運転状況、加工糸の
品質指標をオンラインで収集して表示するようにしてい
る。以下、図２〜図６によりその詳細を説明する。図２
は、本例の運転援助システムの基本構成のブロック線
図、図３はその管理手段のデータ収集部、図４はその異
常処理部、図５はその指標監視部、図６はその表示部の
フローチャートである。

【００１８】本例の運転援助システムは、図２に示すよ
うに、以下の構成となっている。すなわち、糸の形態変
化を検出する各錘に設けた糸センサー１１と、各錘の糸
センサー１１からの測定信号を順次切り替えて出力する
走査回路１２と、走査回路１２からの測定信号をＡ／Ｄ
変換してディジタル値の測定データに変換するＡ／Ｄ変
換回路１３と、Ａ／Ｄ変換回路１３からの測定データを
受けるインターフェース回路１４と、インターフェース
回路１４の測定データを読み込み処理するコンピュータ
１５とこれに格納した援助管理手段とからなる。

【００１９】コンピュータ１５に格納した援助管理手段
は、図３に示すデータ収集部と図４に示す異常処理部
と、図５に示す指標監視部と、図６に示す表示部とから
なり、以下のように動作するように構成されている。な
お、援助管理手段は、糸カッター１で例示するように、
その他の機台の制御装置等ともインターフェース回路１
４を介して必要な情報の発・受信ができるようになって
いる。

【００２０】運転援助システムは、図３に示すデータ収
集部において、以下のように各糸センサー１１からその
測定データを収集する。このデータ収集部は、処理の優
先度が最優先レベルのタイマーによる割込み信号で一定
周期で起動するようになっている。本例では、この周期
は、０．１ミリ秒〜５ミリ秒の間で選定できるようにな
っている。この周期は、加工速度３００ｍ／分の場合で
の糸長におけるサンプリング間隔では、０．５ｍｍ〜２
５ｍｍに相当し、加工糸の形態変動の測定には十分小さ
なサンプリング間隔であり、上記周期で加工速度６００
ｍ／分程度までは十分に対応できる。

【００２１】データ収集部は起動すると、先ず錘番号セ
ットのステップに入り、最初にデータ収集する錘番号を
例えば第１錘にセットする。そして、先ず、当該錘が巻
取り中か否かを示す巻取フラグの判別ステップに入り、
巻取フラグがＯＮか否かを判別する。

【００２２】巻取フラグがＯＮでない［ＮＯ」の場合
は、巻取開始の判別ステップに入り、当該錘が巻取開始
したか否かを巻取機からの信号で判別する。そして、巻
取開始の場合は、「ＹＥＳ」の方に進み、巻取フラグセ
ットのステップにおいて、巻取フラグをＯＮにセット
し、後述のデータ読込みのステップに進む。巻取開始で
ない「ＮＯ」の場合は、当該錘のデータ収集をスキップ
し、後述の全錘終了の判別ステップに進む。

【００２３】巻取フラグがＯＮの場合及び上記の巻取開
始の場合は、データ読込みステップに入り、セットされ
た錘番号の錘即ち当該錘具体的には上記の第１錘の糸セ
ンサー１１の測定信号を以下のようにして読み込む。す
なわち、走査回路１２に第１錘の選択指令を出して第１
錘の糸センサー１１を選択してＡ／Ｄ変換回路１３に接
続すると共にＡ／Ｄ変換回路１３でその測定信号をサン
プリングしてＡ／Ｄ変換し、得られた測定データをイン
ターフェース回路１４を介して読み込む。

【００２４】そして、次のデータ格納ステップにおい
て、読み込んだ測定データの現在値を異常判別用記憶領
域と指標用記憶領域の両方に記憶する。ここで、異常判
別用の記憶は直近の一定時間の間の測定データを順次記
憶するリングメモリ方式で記憶するようになっている。
指標用の記憶は、一定時間毎にその間の測定データを記
憶するようになっている。本例では、この記憶時間範囲
を両記憶共に各錘について１秒間の測定データを記憶す
るようにしている。本例では割込み周期は２ミリ秒とし
ているので、各錘について共に５００個の測定データが
記憶されていることになる。

【００２５】以上のデータ格納が終わると、次の指標デ
ータ数の判別ステップに進み、記憶した指標データ数が
所定値本例では上述の５００個に達したか否かを判別す
る。５００個に達すると、「ＹＥＳ」の方に進み、指標
フラグセットのステップで、後述の指標監視部でその処
理の実行を制御する指標フラグをＯＮにセットする。

【００２６】この処理後又は記憶した指標データ数が５
００個未満の「ＮＯ」の場合は直ちに、異常フラグの判
別ステップに入る。このステップでは、測定データが管
理範囲外になった異常状態でのデータ収集中であること
を示す異常フラグがＯＮか否かを判別する。そして、異
常フラグがＯＮでない場合は「ＮＯ」の方に進み、上記
で格納した現在値の判別ステップに入る。このステップ
では、現在値が予め設定した管理範囲内であるか否かを
判別する。管理範囲外の異常の場合は「ＮＯ」の方に進
み、異常フラグセットステップにおいて異常フラグをＯ
Ｎにセットし、次いで収集データ退避ステップにおい
て、異常判別用記憶領域に記憶されている５００個の測
定データを過去分異常判別用記憶領域に保存する。

【００２７】この処理終了後又は現在値が管理範囲内に
ある「ＹＥＳ」の場合は直ちに、全錘終了か否かの判別
ステップに入る。そして、この判別ステップにおいて、
全錘のデータ収集が終わったか否かを錘番号で判別す
る。全錘終了の「ＹＥＳ」の場合は本処理を出て、次の
割込みタイミングまで休止する。一方、全錘未完了の
「ＮＯ」の場合は、錘番号繰上げステップに入り、処理
する錘番号を１繰上げ、巻取フラグの判別ステップに戻
り、次錘具体的には第２錘のデータ収集に進む。

【００２８】このように、データ収集部は、異常判別用
として常時直近の一定時間本例では１秒間のデータを保
持すると共に、糸センサー１１の測定データが一旦管理
範囲外になるとその後の一定時間本例では１秒間の測定
データを記憶するようになっている。また、指標用とし
ては一定周期で本例では１秒周期でその間の測定データ
を繰り返し記憶するようになっている。

【００２９】ところで、前述の異常フラグの判別ステッ
プで異常フラグがＯＮの場合は、「ＹＥＳ」の方に進
み、異常データ数の判別ステップに入る。このステップ
では、現在値が管理範囲外となった異常発生時点以後に
収集記憶した異常用データ数が１秒間に相当する５００
個に達したか否かを判別する。未達の「ＮＯ」の場合
は、前述の全錘終了の判別ステップに入り、次錘のデー
タ収集等に進む。

【００３０】５００個に達すると「ＹＥＳ」の方即ち当
該錘の異常用データ収集は終了となり、図３のＡ点即ち
図４に示す異常処理部に入り、当該錘について収集した
データに基づいて当該錘について以下の異常処理を行
う。先ず平均演算ステップに入り、過去分の異常判別用
記憶領域と現在の異常判別用記憶領域に記憶した当該錘
の本例では１０００個の測定データの平均値を求める。
このように本発明では、瞬時値が管理範囲を逸脱した前
後のデータの平均値を用いるようにしているので、瞬時
値を中心にその前後の状況を反映した正確な検出が可能
となる。また、異常時前後のデータを記憶しているの
で、異常状況の再現が出来、原因追求が効果的にでき
る。

【００３１】次いで、連込みの判別ステップに入り、合
糸加工での問題異常の一つである隣接錘の糸条等の当該
錘への混入である連込み異常の有無を判断する。この判
断は今求めた平均値を予め設定した連込み閾値と比較す
ることにより行う。そして、平均値が連込み閾値を越え
ている場合は連込み異常発生と判断し、図の「ＹＥＳ」
の方に進む。そして、異常処理ステップに進み、当該錘
についてその糸カッター１を動作させて芯糸Ａと鞘糸Ｂ
の両方を強制断糸してその糸端を保持する断糸処理を行
うと同時に、当該錘の巻取機を停止する。そして、巻取
フラグリセットのステップに入り、巻取フラグをＯＦＦ
にする。

【００３２】その後、異常データ格納のステップに入
り、当該錘の錘管理ファイルに異常内容すなわち連込み
異常、その発生時刻、並びこの前後の上述の１０００個
の測定データを格納する。なお、この連込み閾値は、実
テスト等による経験値を用いる。この平均値による判別
により、安定して正確な検出ができることを確認した。

【００３３】一方、平均値が連込み閾値以下の場合は、
連込み異常無しと判断して、「ＮＯ」の方に進み、断糸
の判別ステップに入る。このステップでは、合糸の場合
に特有の一部の糸条のみが断糸する部分断糸を含む断糸
発生の有無を判別する。この判別は、該平均値と予め設
定した断糸閾値とを比較することにより行っている。そ
して、平均値が断糸閾値未満の場合を断糸発生として
「ＹＥＳ」の方に進み、連込み異常発生の場合と同様に
異常処理ステップに入り、同様の断糸処理、巻取機停止
を行い、巻取フラグリセットステップにおいて巻取フラ
グをＯＦＦにし、異常データ格納ステップにおいて同様
のデータ格納を行う。

【００３４】なお、この断糸閾値も実テスト等による経
験値を用いるが、その値は部分断糸を検出できるものと
する。本例の糸センサ１１の測定値の平均値による判別
により部分断糸も含めて安定して正確に検出できること
を確認した。平均値が断糸閾値以上の場合は「ＮＯ」の
方に進み、異常は連込み異常でも断糸発生でもなく、こ
の場合は瞬時的な変動換言すれば糸斑発生として次の糸
斑件数積算のステップに入る。このステップでは、糸斑
発生１件として、当該錘の当該加工糸パッケージの巻き
始めからの件数を積算する。

【００３５】そして、糸斑異常の判別ステップに入り、
積算件数が予め設定した設定件数以上か否かを判別す
る。積算件数が設定件数を越える場合加工糸パッケージ
の不良として「ＹＥＳ」の方に進み、上述の連込み異
常、断糸発生の場合と同様の異常処理、フラグ処理をし
て、異常データ格納ステップに進む。これにより不良パ
ッケージの巻量を最小限にでき、不良糸量を削減でき
る。

【００３６】糸斑件数が設定件数以下の場合は、直ちに
異常データ格納のステップに入り、異常内容として糸斑
発生とし、その発生時刻、異常データを前述のようにフ
ァイルに格納する。次いで、異常フラグリセットのステ
ップに入り、異常フラグをＯＦＦにする。これで、当該
錘の異常処理は終了し、第３図のＢ点に戻り、全錘終了
の判別ステップに進む。このように、速やかな断糸処理
を含む異常処理の必要な異常処理部は、データ比較の簡
単な処理のみとしてデータ収集部と連続して最優先レベ
ルの優先度で処理するようにしている。

【００３７】以上のように、本例では、異常発生前後の
所定時間の測定データを記憶して、その平均値により異
常発生の最終判断をするようにしているので、非常に信
頼性の高い異常検出が実現された。また、異常の分類
は、所定時間の測定データの収集後纏めて１回の簡単な
処理で行うようにしており、短いサンプリング周期で処
理でき、高速のオンライン管理が実現され、緊急な処置
が必要な断糸処理等が問題なく実現された。このよう
に、本発明は、正確で信頼性の高く、即応性に優れた糸
加工機のオンラインの異常処理を可能とする運転援助シ
ステムを実現するものである。

【００３８】なお、各異常についてその発生前後のデー
タを保存しているので、必要に応じて、その異常発生が
データにより再現でき、これを分析することにより異常
原因の追求できる。すなわち、これらのデータを最大
値、最小値、標準偏差、フーリエ解析等で分析すること
により、特に糸斑については、品質との関連が明確にで
き、非常に効果的である。

【００３９】一方、指標監視部は上記のデータ収集部で
収集記憶された測定データに基づいて品質指標本例では
外観斑、抱合等の管理に有用なことを確認した後述の指
標ＣＶを求め、監視するように図５に示す構成となって
いる。この指標監視部は、割込み処理より優先度の低い
レベルで処理され、機台の運転開始で起動する。

【００４０】そして、先ず錘番号セットのステップに入
り、ここで錘番号を最初に処理する錘例えば機台の第１
錘にセットする。次いで、運転中の判別ステップに進
み、機台が運転中か否かを判別し、運転中でない停止の
場合は「ＮＯ」の方に進み、処理を終了する。すなわ
ち、本例では運転中であれば下記する指標監視処理を繰
り返し行い。運転停止時のみ処理を停止するようにして
いる。

【００４１】そして、運転中の場合は「ＹＥＳ」の方に
進み、以下の指標監視処理を行う。先ず、指標フラグの
判別ステップに入り、当該錘の指標フラグがＯＮすなわ
ち指標用データの収集が完了したか否かを判別する。未
完了の場合は、「ＮＯ」の方に進み、錘番号繰上げステ
ップに入り，錘番号を繰り上げ、全錘終了の判別ステッ
プに進む。

【００４２】このステップでは、全錘終了したか否かを
錘番号で判別する。そして、全錘が終了していない場合
は、「ＮＯ」の方に進み、前述の運転中の判別ステップ
に戻り、次錘の処理に進む。一方、全錘終了の場合は、
「ＹＥＳ」の方に進み、前述の錘番号セットステップに
戻り、最初の錘から処理を行う。すなわち、運転中であ
る限り、指標監視処理は順次各錘について実行するよう
になっている。

【００４３】ところで、前述の通り、データ収集部で指
標用データの収集記憶したデータ数が５００個になると
指標フラグはＯＮになるので、この判別ステップでは
「ＹＥＳ」となり、以下の指標監視処理が実行される。
すなわち、この指標監視処理は、５００個のデータ収集
毎、すなわちほぼ１秒周期で実行される。

【００４４】先ず、平均演算ステップに入り、記憶した
１秒間の５００個の測定データの平均値を求める。次い
で、標準偏差演算ステップに進み、該測定データの標準
偏差値を求める。そして、次のＣＶ演算ステップにおい
て、下記式により指標ＣＶを求める。

【００４５】

【数１】ＣＶ＝標準偏差値÷平均値

【００４６】次いで、ＣＶの判別ステップに入り、求め
たＣＶ値を予め設定したＣＶ閾値と比較する。そして、
この値がＣＶ閾値以上の場合にＣＶ異常として「ＹＥ
Ｓ」の方に進み、ＣＶ異常データ格納ステップに入り、
異常内容としてＣＶ異常を、その発生時刻、ＣＶ値共に
錘別異常ファイルに格納する。

【００４７】この処理後又はＣＶ閾値未満の「ＮＯ」の
場合は直ちに、ＣＶデータ格納ステップに入り、錘別Ｃ
ＶファイルにＣＶ値とその発生時刻具体的には処理時刻
すなわちＣＶの時系列データを格納する。次いで、巻取
終了の判別ステップに入り、当該錘の加工糸パッケージ
が満巻等により巻取終了になったか否かを判別する。こ
の判別は巻取機からの信号により行う。そして、満巻又
は異常停止による巻取終了の場合は、巻取フラグをオフ
にし、「ＹＥＳ」の方に進む。巻取中の場合は、「Ｎ
Ｏ」の方に進み、当該錘の指標監視処理を終了し、前述
の錘番号繰上げステップに戻る。

【００４８】巻取終了の「ＹＥＳ」の場合は、次いでパ
ッケージファイル作成ステップに入り、当該加工糸パッ
ケージの表示に必要なデータを集約したパッケージファ
イルを作成する。本例では、錘別異常ファイル、錘別Ｃ
Ｖファイルからこれらに格納された指標ＣＶの巻き始め
からの時系列データ、ＣＶ異常、糸斑異常の巻き始めか
らの時系列発生分布、糸斑異常の夫々の発生前後の測定
データを集約したパッケージファイルを作成した。この
処理後、「ＮＯ」の場合と同様に、錘番号繰上げステッ
プに戻る。

【００４９】以上で、収集された品質指標及び各種異常
のデータは、図６に示す表示部において、オペレーター
の要求に従い、以下のようにコンピューター１５の液晶
表示器、ＣＲＴ等のディスプレイの画面に表示される。
この表示部は、前述の指標監視部と同様に機台の運転開
始で起動され、その運転中は継続して以下の表示処理を
行う。

【００５０】起動すると、先ず表示設定ステップに入
り、ディスプレイの画面に表示設定表を表示する。これ
に、表示したい内容、具体的には本例では表示画面の種
類、錘番号、表示する指定期間を設定する。なお、本例
では表示画面の種類は、糸斑表示画面、ＣＶ表示画面の
２種類の品質指標表示画面と異常表示画面の３種類とな
っている。

【００５１】設定を終わり、設定終了を入力すると、次
の表示設定の判別ステップに進み、設定された表示画面
の種類が先ず品質指標表示画面か異常表示画面かを判別
する。品質指標表示画面の場合は図で品質表示の方に進
み、異常表示画面の場合は異常表示の方に進む。

【００５２】品質表示の方は、次いで表示指標の判別ス
テップに入り、設定された品質指標表示画面が糸斑表示
画面かＣＶ表示画面かを判別する。そして、糸斑表示画
面の場合は、図で糸斑表示の方に進み、糸斑表示ステッ
プに入り、その品質指標として指定された錘の指定期間
の糸斑発生件数を一覧表示する。本例では、機台の錘配
置図面上に指定された錘の件数を一覧表示し、これが閾
値を越えた錘は他と異なる色具体的には赤色でフラッシ
ュ表示するようにしている。従って現場との対応がとり
やすい一覧表示となっている。また、指定期間は、パッ
ケージ単位でも指定できるようになっている。

【００５３】ＣＶ表示画面の場合は、図でＣＶ表示の方
に進み、ＣＶ表示ステップに入り、その品質指標として
指定された錘の指定期間のＣＶ異常の発生件数を一覧表
示する。具体的な表示は、上述の糸斑表示画面と同じで
ある。なお、ＣＶ表示画面は、設定により、ＣＶの指定
期間の最大値、最小値、平均値等を一覧表示でき、パッ
ケージ毎の度数分布グラフを錘別に表示できるようにな
っている。この度数分布グラフは以下のように表示する
ようになっている。すなわち、指定された錘について錘
別ＣＶファイルに記憶されたＣＶ値の測定データを指定
された期間の加工糸パッケージ毎にその測定値を横軸に
してこの横軸を所定値域幅の区域に分割し、この各区域
に入る測定データの個数を求めこれを縦軸にした度数分
布を求め，グラフ表示するようにしている。この表示に
より加工糸パッケージの品質更には織物品質との関連が
正確に評価できる。

【００５４】また、異常表示画面の場合は、表示設定の
判別ステップで異常表示の方に進み、異常表示ステップ
に入り、指定された錘の指定期間の異常発生の有無を一
覧表示する。本例では、糸斑表示画面と同様に機台の錘
配置図面上に異常種類別具体的には断糸、連込み異常、
糸斑異常、ＣＶ異常、異常無しの別に識別できるように
その表示色を替えて表示するようにしている。これによ
りどの錘にどの異常が発生しているか一目で判別でき
る。

【００５５】なお、これらの表示画面には下記する錘情
報、切替の要求を指示できる指示部が、また錘情報表示
画面には異常データ、切替の要求を指示できる指示部が
表示され、これをマウスでクリックすることによりこれ
らの要求を指示できるようになっている。また、特定キ
ーの入力によってもこれらを指示できるようになってい
る。

【００５６】そして、表示部は、以上のステップでいず
れかの画面をディスプレイに表示しつつ、以下の切替処
理を行うようになっている。まず、切替手段の切替要求
の判別ステップに入る。そして、このステップでは表示
画面の切替要求の有無を判別し、切替要求が有る「ＹＥ
Ｓ」の場合は、表示設定のステップに戻る。

【００５７】切替要求の無い「ＮＯ」の場合は、錘情報
要求の判別ステップに進む。このステップでは、錘情報
要求の有無を以下のように判別する。すなわち、前述の
コンピュータ１５のキーボード、マウス等の入力手段か
ら指示による錘情報表示の要求の有無を調べ、要求があ
る「ＹＥＳ」の場合は、錘情報表示ステップに進み、以
下のような各表示画面において指定された錘の錘情報を
表示する。

【００５８】品質指標表示画面の糸斑表示画面とＣＶ表
示画面の場合は、指定された当該錘の各品質指標の指定
期間の時系列履歴分布を表示する。そして、糸斑表示画
面では、履歴分布表示で表示された各糸斑を指定する
と、指定された糸斑の発生前後の測定データの時系列変
動グラフとその値域を所定区分して得られる前述のＣＶ
と同様の度数分布グラフを表示するようにしている。こ
の度数分布グラフは、糸斑の評価、糸品質異常に結びつ
く異常か否かの評価に有効である。

【００５９】一方、異常表示画面の場合には、当該錘の
全異常の指定期間の発生履歴分布を表示する。なお、こ
の表示する錘の指定は、各表示画面での表示錘をクリッ
クすることで行うようにしている。なお、錘情報要求の
無い「ＮＯ」の場合は、直ちに運転中の判別ステップに
進む。

【００６０】この処理後すなわち錘情報表示がなされて
いると、異常データ要求の判別ステップに入り、異常デ
ータ要求の有無を判別する。ここで、異常データ要求が
ある「ＹＥＳ」の場合は、異常データ表示のステップに
入り、指定された異常について以下のように異常データ
を表示する。すなわち、断糸、連込みの場合には、当該
異常の発生時点を含め、その前後の所定時間の間の測定
データ本例では加工糸の形態の測定データを時間を横軸
にしたグラフで表示する。糸斑異常の場合は、当該異常
に至るまでに発生した当該パッケージの糸斑を時系列分
布として表示する．また、ＣＶ異常の場合には、前述の
異常と同様に発生時点を含む異常発生の前後の所定時間
の間のＣＶの値を同様のグラフで表示する。これにより
異常発生前後若しくは異常に至るまでの状況が把握で
き、品質評価、異常原因の解明等に関する有用な情報が
得られる。なお、この異常データ要求は錘情報表示画面
で当該異常を指定することにより行う。

【００６１】この処理後又は異常データ表示要求の無い
「ＮＯ」の場合は、運転中の判別ステップに進み、機台
が運転中であるか否かを機台からの信号で判別する。そ
して、運転中でない「ＮＯ」の場合本処理を終了し、運
転中の「ＹＥＳ」の場合は切替要求の判別ステップに戻
る。すなわち、機台が停止しない限り、この表示部は各
種の表示要求に応じて、要求表示画面を表示するように
なっている。従って、オペレーターは、運転管理に必要
な情報が即座に得られ、適切な処理ができるので、運転
が安定し、生産性が向上する。

【００６２】以上、本発明をエアタスラン加工機に適用
した例に基づいて説明したが、本発明はかかる実施例に
限定されるものでないことは、その趣旨から明らかであ
る。例えば、タスラン加工機のみでなく、仮撚加工機等
広く各種の糸条加工機にも適用できる。

【００６３】

【発明の効果】以上の通り、本発明は、品質管理を含む
運転管理に必要な表示画面、すなわちオンライン測定し
たデータに基づいてオンライン処理して得られる品質指
標表示画面、異常表示画面を備え、これを指示により切
替表示するようにして、品質も含めた運転の現況の即時
把握ができる糸条加工機のオンラインでの運転援助シス
テムを実現したものであって、糸加工工程の安定生産、
その品質管理においてパッケージの巻き始めから満巻き
までの品質保証ができる品質管理の実現、並びにその省
力化に大きな寄与を為すものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本例を適用したエアタスラン加工機の
基本構成の説明図である。

【図２】図２は、本例の運転援助システムの基本構成の
ブロック線図である。

【図３】図３は、そのデータ収集部のフローチャート図
である。

【図４】図４は、その異常処理部のフローチャート図で
ある。

【図５】図５は、その指標管理部のフローチャート図で
ある。

【図６】図６は、その表示部のフローチャート図であ
る。

【符号の説明】

１糸カッター２加熱用ピン３糸加熱装置４流体ジェット加工装置５巻取機６加工糸パッケージ７Ａ〜７Ｄ糸送り装置８糸ガイド９Ａ〜９Ｃ糸送りローラ装置１１糸センサー１２走査回路１３Ａ／Ｄ変換回路１４インターフェース回路１５コンピュータ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】糸条加工機の運転情報を表示して運転を
援助する糸条加工機の運転援助システムにおいて、管理
する複数の品質指標について品質指標毎に設定された錘
の指標を表示する指標表示画面又は／及び複数種類の異
常についてその種類別に識別できるように表示して設定
された錘の異常を表示する異常表示画面を備え、切替指
示によりこれら画面を相互に切り換えて表示する表示部
を備えたことを特徴とする糸条加工機の運転援助システ
ム。
【請求項２】該指標表示画面において、異常の発生錘
を着色して表示する請求項１記載の糸条加工機の運転援
助システム。
【請求項３】異常の種類を異なる色で識別して表示す
る請求項１又は２記載の糸条加工機の運転援助システ
ム。
【請求項４】選択された少なくとも異常錘の錘情報を
表示する錘情報表示手段を有する請求項１〜３記載のい
ずれかの糸条加工機の運転援助システム。
【請求項５】錘情報が当該異常錘の１パッケージの異
常発生履歴である請求項４記載の糸条加工機の運転援助
システム。
【請求項６】表示された異常発生履歴において選択さ
れた特定異常の発生時点を含むその前後一定時間の測定
データを表示する異常時データ表示手段を有する請求項
５記載の糸条加工機の運転援助システム。
【請求項７】測定データが加工糸の形態である請求項
１〜６記載のいずれかの糸条加工機の運転援助システ
ム。
【請求項８】品質指標が該測定データが所定の管理範
囲外となる糸斑又は／及び一定時間毎にその間の測定デ
ータの標準偏差で平均値で割った指標ＣＶ（＝標準偏差
÷平均値）である請求項７記載の糸条加工機の運転援助
システム。
【請求項９】糸斑の発生前後の測定データのその所定
区分の値域による度数分布を表示する請求項7記載の糸
条加工機の運転援助システム。