JP2002088296A - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JP2002088296A
JP2002088296A JP2000279279A JP2000279279A JP2002088296A JP 2002088296 A JP2002088296 A JP 2002088296A JP 2000279279 A JP2000279279 A JP 2000279279A JP 2000279279 A JP2000279279 A JP 2000279279A JP 2002088296 A JP2002088296 A JP 2002088296A
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unsaturated monomer
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acrylic resin
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JP2000279279A
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Kazuji Kageishi
一二 影石
Yoshitaka Osanai
良隆 小山内
Ariyoshi Ando
有美 安藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貯蔵安定性が良好で、低温(80℃以下)での
硬化性、塗装外観、各種基材への付着性、耐候性など種
々塗料性能に優れた塗料用樹脂組成物を提供する。あわ
せ、使用にあたって、より安全性に優れた製品を提供す
る。 【解決手段】水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキシ
基含有不飽和単量体(b)およびアルコキシシラン基含
有不飽和単量体(c)が共重合された側鎖に水酸基、エ
ポキシ基およびアルコキシシラン基を有する数平均分子
量(Mn)5000〜80000のアクリル樹脂
(A)、一分子中に少なくとも一個のエポキシ基と加水
分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシ
シラン化合物(B)、アルミニウムキレート化合物
(C)および親水性有機溶剤(D)を含有し、かつ該ア
クリル樹脂(A)中の未反応エポキシ基含有不飽和単量
体(b)の量が5,000ppm未満である塗料用樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料用樹脂組成物
およびその塗料用樹脂組成物を含有する塗料に関するも
のである。
【0002】詳細に説明すれば、本発明は、室温または
加熱により硬化可能な塗料を製造するための塗料用樹脂
組成物に関するものであり、該塗料用樹脂組成物を含む
塗料により被覆された塗装物品は長期にわたり美麗な塗
装外観を維持し、塗装物品に要求される数々の要求性
能、機能を高いレベルで実現する。
【0003】
【従来の技術】従来、塗料に求められる性能や機能は多
岐に渡っており、それぞれの分野あるいは用途で十分な
機能や性能が発揮されるように種々の塗料用樹脂が開発
され、実用化されている。
【0004】人体や自然界への危険、有害性の回避、環
境対応(来るべき未来に向かってよりよい環境作りを目
指す)、省エネルギー(化石エネルギーの保護、有効利
用/エコロジー)が最重要課題とされる昨今では、単に
性能や機能の発現だけに止まらず、それを実現した上
で、安全や環境に配慮した製品設計と開発が重要であ
り、精力的にそのための研究が進められている。
【0005】こられを実現するために、例えば、一液低
温硬化型の塗料が研究され、実用化に向けて検討が進め
られており、特開昭60−67553号公報、特開昭6
3−108048号公報、特開平2−73825号公
報、特開平10−060211号公報、特開平11−3
15248号公報および特開平2000−44867号
公報等が提案されている。これらは、アクリル樹脂が含
有するアルコキシシラン基またはエポキシ基の反応を利
用したものである。
【0006】塗料を一液化する意義は、作業環境の改
善、作業性の向上あるいは廃塗料の減少につながる。す
なわち、一例を挙げれば、従来多用されている有害また
は有毒なポリイソシアネート化合物を、塗装現場で配合
または調合する必要がなく、作業環境が改善され、煩わ
しい混合作業から解放されて作業性が向上する。例え
ば、2液型塗料(一例としては、アクリルポリオール
(水酸基を有するアクリル樹脂)を主剤とし、ポリイソ
シアネートを硬化剤とするアクリルウレタン塗料が例示
できる。)は、主剤と硬化剤を混合した後は、この時点
から硬化反応が開始されるため、一定時間で使い切って
しまわなければ、塗料がゲル化ないし硬化してしまい、
それを過ぎたものは産業廃棄物として廃棄せざるを得な
い。
【0007】ここに、一液型塗料(一液で安定化されて
いるが特定の硬化条件下では速やかに硬化反応が開始さ
れる塗料)は、通常の取り扱い状態では安定化されてい
るために、このように不用意、不必要なゲル化、硬化反
応を起こさず、回収さえすれば塗料をリサイクル使用す
ることが可能である。したがって、廃塗料や産業廃棄物
を最小限に押さえることが可能である。このことから、
塗料を一液化することは、環境リスクを最小限に抑制す
る好ましい手段であるといえる。
【0008】また、塗料が一般的な貯蔵状態(〜50℃
程度)で安定であり、80℃以下程度の比較的低温で硬
化可能であるということは、塗料を硬化させる際の電気
エネルギーや化石エネルギーの低減が可能となるばかり
でなく、基材となる被塗物の保護および塗装、焼付け乾
燥時被塗物を保持するための治具の耐久力延長につなが
り、ひいては化石エネルギーや限りある資源の有効活用
や環境リスクへの対応がとれることにつながる。
【0009】しかしながら、従来提案されている技術で
は、硬化し得、塗膜外観、各種被塗物に対する付着性と
いう塗料に要求される基本的な種々性能を十分に満足で
きているとはいえないのが現状である。
【0010】一例を挙げれば、塗料に要求される一つの
性能(意匠/塗膜外観)をみた場合、これら従来の技術
では低温乾燥時(冬期)、または高温高湿時(梅雨期〜
夏期)に塗装した場合、あるいは40μm程度以上の厚
膜塗装した場合には、塗膜にチヂミ(塗膜表面がちりめ
ん模様となる現象)が発生し、美麗な塗膜外観が得られ
難い。すなわち、意匠性と美観で不的確となるばかりで
なく、このような場合には種々塗膜性能、光沢、塗膜の
平滑性、被塗物への付着性、耐薬品性あるいは耐候性な
どが極めて悪くなるのが常である。これら塗膜外観に関
する事項は、塗料用樹脂中に未反応で残存するエポキシ
基含有不飽和単量体量および未反応で残存する不飽和単
量体の総量とも密接に関連するが、従来の技術はこれら
事項にまで細心の考慮が払われているとは言いがたいも
のである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を考慮した塗料用樹脂組成物およびその塗料用樹脂
組成物を含有する塗料に関するものである。
【0012】詳細に説明すれば、本発明の目的は、厳し
い塗装環境下でも美麗な塗膜外観が得られ、種々塗膜性
能(各種被塗物への付着性、耐薬品性、耐傷つき性、耐
候性、金属の防食性など)に優れた塗料を得るための塗
料用樹脂組成物を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、上記塗料用樹脂組成
物を含有する塗料、およびその塗料で被覆した塗装物品
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の塗料用樹脂組成
物は、水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキシ基含有
不飽和単量体(b)、アルコキシシラン基含有不飽和単
量体(c)が共重合された側鎖に水酸基、エポキシ基、
アルコキシシラン基を有する数平均分子量(Mn)5,
000〜80,000のアクリル樹脂(A)、一分子中
に少なくとも一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシ
シラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物
(B)、アルミニウムキレート化合物(C)、および親
水性有機溶剤(D)を含有し、かつ該アクリル樹脂
(A)中の未反応エポキシ基含有不飽和単量体(b)の
量が5,000ppm未満であることを特徴とする塗料
用樹脂組成物であり、アクリル樹脂(A)としては、水
酸基価が2〜90mgKOHであり、エポキシ当量が6
50〜2840であることが好ましく、また、親水性有
機溶剤(D)としては、メチルアルコール、3−メチル
−3−メトキシ−ブタノール、ダイアセトンアルコール
およびヘキサフルオロイソプロピルアルコールから選ば
れた少なくとも一種が好ましく用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の塗料用樹脂組成物は、水
酸基含有不飽和単量体(a)、エポキシ基含有不飽和単
量体(b)、アルコキシシラン基含有不飽和単量体
(c)が共重合された側鎖に水酸基、エポキシ基、アル
コキシシラン基を有する数平均分子量(Mn)5000
〜80000のアクリル樹脂(A)、一分子中に少なく
とも一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基
を有するオルガノアルコキシシラン化合物(B)、アル
ミニウムキレート化合物(C)、および親水性有機溶剤
(D)を含有し、かつアクリル樹脂(A)中の未反応エ
ポキシ基含有不飽和単量体(b)の量が5,000pp
m未満であることを特徴とする塗料用樹脂組成物であ
る。
【0016】本発明で用いられる、側鎖に水酸基、エポ
キシ基およびアルコキシシラン基を有するアクリル樹脂
(A)は、水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキシ基
含有不飽和単量体(b)、アルコキシシラン基含有不飽
和単量体(c)および必要であればその他の不飽和単量
体(d)をラジカル共重合することにより製造すること
ができる。
【0017】水酸基含有不飽和単量体(a)としては、
例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブ
チル、シクロヘキサンジメタノールのモノアクリル酸エ
ステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロ
キシブチル、シクロヘキサンジメタノールのモノメタク
リル酸エステル、これらとε−カプロラクトン、γ−バ
レロラクトンなどのラクトン類との付加物等を例示する
ことができる。該水酸基含有不飽和単量体(a)は、単
独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0018】水酸基含有不飽和単量体(a)は、アクリ
ル樹脂(A)の水酸基価が、好ましくは12〜90mg
KOH、より好ましくは20〜75mgKOHとなるよ
うに共重合されることが望ましい。水酸基価が12mg
KOH未満の場合、塗料の低温(室温〜60℃程度)硬
化性がやや悪化する場合があり、ガラス、煉瓦などの無
機物やアルミニウム合金、マグネシウム合金あるいは鉄
などの金属からなる被塗物への付着性がやや悪化する場
合がある。また、水酸基価が80mgKOHを超える場
合には、塗膜外観がやや悪くなったり(塗膜にチヂミが
発生し易くなる傾向にある)、アクリロニトリル−スチ
レン−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボ
ネートやノリルなどのプラスチックからなる被塗物への
付着性がやや悪くなることがある。
【0019】ここに、水酸基価は、共重合する水酸基含
有不飽和単量体(a)の分子量をXとすれば、共重合量
がY(重量%)の場合、次式1で求められる。
【0020】 水酸基価=(Y/X)×561 [式1] 2種類以上の混合物で共重合する場合には、各々につき
上記の式1に従い算出し、合計することにより求められ
る。
【0021】水酸基含有不飽和単量体(a)の中では、
ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が好ましくは0
℃以下、より好ましくは−30℃以下のものが推奨され
る。さらに好ましくは、水酸基含有不飽和単量体(a)
ホモポリマーのTgは−80〜−30℃であることが推
奨される。水酸基含有不飽和単量体(a)ホモポリマー
のTgが−80℃未満の場合には、塗膜の強靱性(ねば
り)がやや損なわれる傾向にある。Tgが−30を超え
る場合には、低温(室温〜80℃程度)での硬化性がや
や遅延する傾向にある。これらの単量体を共重合したと
き、塗膜の低温硬化性、外観(光沢、レベリング性、鮮
映性)が向上する傾向にある。ホモポリマーのTgが0
℃以下の単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ま
たはメタクリル酸の炭素原子数1〜8個のヒドロキシア
ルキルエステルとε−カプロラクトン、γ−バレロラク
トンなどのラクトン類との付加物等を例示することがで
きる。
【0022】アクリル樹脂(A)の側鎖に水酸基が導入
されることにより、80℃以下での低温硬化性が著しく
向上するばかりでなく、特にガラス、石綿セメント、モ
ルタルまたは陶磁器などの無機物類、アルミニウム(合
金)、鉄(化成処理されたものを含む)、マグネシウム
(合金)などの金属類に対する付着性が、被塗物や合金
の種類他を選ぶことなく極めて優れたものとなる。
【0023】本発明で用いられるエポキシ基含有不飽和
単量体(b)としては、例えば、メタクリル酸グリシジ
ル、アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチルメタクリレート等を例示することができ
る。該エポキシ基含有不飽和単量体(b)は、単独でも
もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0024】エポキシ基含有不飽和単量体(b)は、ア
クリル樹脂(A)のエポキシ当量が好ましくは650〜
2,840、より好ましくは880〜1,800となるよ
うに共重合されるのが望ましい。エポキシ当量が650
未満の場合、塗料の貯蔵安定性、耐薬品性(特に耐酸
性)がやや悪化する傾向にある。また、エポキシ当量が
2840を超える場合には、低温(室温〜60℃程度)
硬化性がやや悪化し、塗膜の耐薬品性や耐候性が悪化す
る場合がある。
【0025】ここに、エポキシ当量は、共重合するエポ
キシ基含有不飽和単量体(b)の分子量をXとすれば、
共重合量がY(重量%)の場合、次式2で求められる。
【0026】 エポキシ当量=100×(Y/X) [式2] 2種類以上の混合物で共重合する場合には、各々につき
上記式2のY/Xを算出し、これを合計し、式2に当て
はめることにより求められる。
【0027】アクリル樹脂(A)の側鎖にエポキシ基が
導入されることにより、塗料の低温硬化性が向上し、さ
らに驚くべきことに、塗膜表面に発生しやすいチヂミが
著しく改善される傾向にある。塗料の低温硬化性は脂環
式エポキシ基の方が良好な結果をもたらすが、リコート
密着性(塗膜に不具合が発生した場合、塗膜修正のた
め、不具合部を新たに塗装し直すこと(リコート)。こ
の際、リコーとされた塗膜と旧塗膜の密着性(付着性)
をリコート密着という。)および金属、プラスチック、
無機物など種々素材から形成される被塗物に対する付着
性は、非脂環式エポキシ基の方が優れたものとなる。こ
れらのエポキシ基は用途により、使い分けることが可能
であり、必要であれば、アクリル樹脂(A)の側鎖に非
脂環式エポキシ基と、脂環式エポキシ基を同時に導入す
ることもでき、低温硬化性と各種被塗物に対する付着性
を両立、改善する効果が期待される。
【0028】非脂環式エポキシ基と脂環式エポキシ基を
同時に導入する場合には、非脂環式エポキシ基/脂環式
エポキシ基のモル数比を好ましくは0.05〜0.9
5、より好ましくは0.5〜0.98とすることが望ま
しい。モル数比が0.05未満では、低温硬化性を期待
するほど改善することが困難な場合があり、また、0.
95を超える場合には、付着性が低下する場合がある。
【0029】本発明で用いられるアルコキシシラン基含
有不飽和単量体(c)としては、例えば、3−メタクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタク
リロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタ
クリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランな
ど、一分子中に加水分解性アルコキシシラン基と(メ
タ)アクリロイル基を有するものを例示することができ
る。該アルコキシシラン基含有不飽和単量体(c)は、
単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよ
い。
【0030】該アルコキシシラン基含有不飽和単量体
(c)の中では、特に、トリメトキシシラン基などのト
リアルコキシシリル基を有する化合物が好ましく、80
℃以下での低温硬化性、特に顔料が配合された際の貯蔵
安定性に優れた塗料組成物が得られる。
【0031】該アルコキシシラン基含有不飽和単量体
(c)はアクリル樹脂(A)中に、好ましくは1〜30
重量%、より好ましくは3〜20重量%共重合されるこ
とが望ましい。共重合量が1重量%未満の場合には、塗
料の低温(室温〜60℃程度)硬化性がやや悪くなる傾
向にある。また、30重量%を超えて共重合される場合
には、塗料の貯蔵安定性(特に、顔料が配合された場
合)が悪化する傾向にあり、貯蔵経時で増粘、ゲル化し
たり、あるいは硬化性が著しく悪化したり、塗膜外観
(光沢、鮮映性など)が悪化する場合がある。
【0032】アクリル樹脂(A)の側鎖にアルコキシシ
ラン基を導入することにより、塗料の低温硬化性、塗膜
の耐候性および各種被塗物への付着性が著しく向上する
傾向にあり望ましい。
【0033】以上述べたとおり、アクリル樹脂(A)
は、側鎖に水酸基、エポキシ基およびアルコキシシラン
基(望ましくはトリアルコキシシラン基であり、シラノ
ール基は除く)を有することが必須条件であり、各々の
官能基が導入されて初めて、80℃以下の低温硬化性と
各種基材(ガラス、石綿セメントパーライト、モルタ
ル、アルミニウム(合金)、マグネシウム(合金)、
鉄、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(A
BS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミ
ド樹脂(または、ナイロン)(PA)などの無機物、金
属、プラスチック類など)への付着性が向上、改善さ
れ、塗料や塗膜としての優れた性能と機能を発揮するよ
うになる。
【0034】しかしながら、アクリル樹脂(A)が、側
鎖に水酸基、エポキシ基およびアルコキシシラン基を同
時に有することにより、塗料用樹脂組成物および塗料の
貯蔵安定性は著しく悪化する傾向にある。前記提案例で
は、側鎖にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するア
クリル樹脂を用いた塗料の貯蔵安定性が優れていること
が示されているが、これはアクリル樹脂が水酸基を有さ
ないがための効果、結果である。側鎖に水酸基を有する
ことにより、低温硬化性が著しく改善され、向上する代
わりに、貯蔵安定性は著しく悪化する。したがって、ア
クリル樹脂(A)のみでは、2液タイプとして使用する
ならともかく、1液タイプとして使用する場合には困難
を極める傾向がある。
【0035】本発明で用いられるその他の不飽和単量体
(d)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シ
クロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の
(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のアルキルエ
ステル類、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトン
メタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミド基
含有不飽和単量体、2−[2´−ヒドロキシ−5´−
(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−[2´−ヒドロキシ−5´−
(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−[2´−ヒドロキシ−5´−
(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−
ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸
収性不飽和単量体(R−UVA)、4−メタクリロイル
アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−メタクアクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペ
ンタメチルピペリジン等のヒンダートアミン系光安定性
不飽和単量体(R−HALS)、スチレン、酢酸ビニ
ル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブ
タジエン、テトラフルオロエチレン、トリクロロフルオ
ロエチレン、ジクロロフルオロエチレン、モノクロロフ
ルオロエチレン、ブチルビニルエーテルおよびシクロヘ
キシルビニルエーテル等のビニル化合物等を例示するこ
とができる。該その他の不飽和単量体(d)は、単独で
ももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0036】該その他の不飽和単量体(d)の中で、特
に、耐候性を向上し改善するという観点から、R−UV
AとR−HALSが共重合成分として好適である。ま
た、R−UVAとしてはベンゾトリアゾール系のもの
が、またR−HALSとしてはPKbが8以上のもの
が、塗料の貯蔵安定性向上、経時での硬化性阻害の抑
制、塗膜の着色防止および外観向上の観点からより好ま
しく用いられる。
【0037】R−UVAは、アクリル樹脂(A)中に好
ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.5
〜10重量%共重合することが推奨される。R−UVA
の共重合量が0.01重量%未満では、耐候性向上など
の改善効果がかんばしくなく、また30重量%を超える
場合には、塗膜が着色したり、塗膜の耐アルカリ性が悪
化することがある。
【0038】また、R−HALSは、アクリル樹脂
(A)中に好ましくは0.01〜30重量%、より好ま
しくは0.5〜10重量%共重合されることが望まし
い。R−HALSの共重合量が0.01重量%未満で
は、耐候性向上などの改善効果がかんばしくなく、また
30重量%を超える場合には、塗料の低温硬化性がやや
悪化したり、塗料の貯蔵安定性が悪化する場合がある。
【0039】本発明の、側鎖に水酸基、エポキシ基およ
びアルコキシシラン基を有するアクリル樹脂(A)は、
既述のとおり、水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキ
シ基含有不飽和単量体(b)、アルコキシシラン基含有
不飽和単量体(c)および必要であればその他の不飽和
単量体(d)をラジカル共重合することにより製造する
ことができる。
【0040】アクリル樹脂(A)の製造は、ラジカル重
合であれば、溶液重合、懸濁重合、乳化重合あるいは塊
状重合等の重合方法のいずれでも良く、差異は問題とし
ない。 溶液重合の一例をあげれば、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、ダイアセトンアルコール、リグロイ
ン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレ
ングリコールメチルエーテルあるいはγ−ブチロラクト
ン等の有機溶剤を使用し、アゾビスイソブチロニトリル
等の有機アゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の有機
過酸化物、その他の遊離ラジカル発生化合物を重合開始
剤として、加圧下または常圧下で、−20〜150℃
で、好ましくは60〜100℃で、より好ましくは使用
する重合開始剤の分解半減期温度+25℃以内で、前記
水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキシ基含有不飽和
単量体(b)、アルコキシシラン基含有不飽和単量体
(c)および必要であればその他の不飽和単量体(d)
をラジカル共重合することにより製造することができ
る。ここで、分子量を調節するために、ブチルメルカプ
タンやn−ドデシルメルカプタン等のアルキルチオール
類、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト
基とシラン基を有する化合物、アルファメチルスチレン
ダイマー等の連鎖移動剤を使用することもできる。
【0041】アクリル樹脂(A)の標準ポリスチレン換
算としてGPCにより求められる数平均分子量(Mn)
は、好ましくは5,000〜80,000、より好ましく
は6,000〜80,000であることが望ましい。Mn
が5000未満の場合には、塗料の低温(室温〜60℃
程度)硬化性、塗膜の不粘着性、耐薬品性(特に、耐ガ
ソリン性、耐オイル性)、耐候性がやや悪化することが
ある。さらに、未反応で残存する原料の不飽和単量体
(モノマー)が増加する傾向にあり、塗料の貯蔵安定
性、低温硬化性、塗膜外観が低下する傾向にある。ま
た、Mnが80,000を超える場合には、塗料の貯蔵
安定性が悪化する傾向にあり、また塗装作業性を良好と
するために多量の溶剤希釈を必要とし、塗装時の塗料有
効成分が低下する傾向にある。ひいては大気中に排出さ
れる有機溶剤量が増加し、環境影響上好ましくない。M
nが6,000〜80,000の場合に、塗装作業性や塗
膜性能など塗料に要求される諸性能がバランスがとれ、
優れたものとなる傾向にある。
【0042】本発明のアクリル樹脂(A)においては、
未反応で残るエポキシ基含有不飽和単量体(b)の量が
5,000ppm未満であることが必要である。さらに
好ましくは、未反応不飽和単量体の総量が10,000
ppm未満であることが望ましい。未反応エポキシ基含
有不飽和単量体(b)の量は2,000ppm未満であ
ることが好ましく、また、未反応不飽和単量体の総量は
8,000ppm未満であることが好ましい。
【0043】エポキシ基含有不飽和単量体(b)の量が
該塗料用樹脂(A)中で5,000ppmを超える場合
には、塗料の貯蔵安定性、硬化性が著しく阻害された
り、塗膜の耐薬品性、耐候性が悪化する傾向にある。さ
らには、該エポキシ基含有不飽和単量体(b)が塗膜表
面にブリードアウトしたり、あるいは塗膜内部にいつま
でも残存し、塗膜外観(特に、塗膜の平滑性、チヂミ)
を著しく悪化させる傾向にある。
【0044】未反応エポキシ基含有不飽和単量体(b)
の量および未反応不飽和単量体の総量は、一般的な不飽
和単量体分析方法、例えば、ガスクロマトグラフィー
法、液体クロマトグラフィー法あるいはGPC法などに
より測定することができるが、本発明では、液体クロマ
トグラフィーを使用し、以下の条件により測定した。
【0045】すなわち、分析装置としてWaters
600E/2487/SSV液体クロマトグラフィーシ
ステム(日本Waters社(株)製)の液体クロマト
グラフィー、カラムとして日本Waters(株)社製
Purecil C18カラム(高充填シリカゲルベース逆相カ
ラム)(充填剤Mightysil RP-18 (GP(ODS)、カラムサイ
ズ45mm×25cm、フィルターサイズ2μm、ポア
サイズ120A、粒子径5μm)、溶媒として水/アセ
トニトリル(=40/60vol%)、0.1%リン酸
/イオン交換水/アセトニトリル(=50/20/30
vol%)を使用し、サンプル(分析件体)は10%
メタノール溶液として分析した。
【0046】エポキシ基含有不飽和単量体(b)の量が
アクリル樹脂(A)中に5,000ppmを超えて含有
される場合には、塗料の貯蔵安定性、硬化性が著しく阻
害されたり、塗膜の耐薬品性、耐候性が悪化する場合が
ある。さらには、該エポキシ基含有不飽和単量体(b)
が、塗膜表面にブリードアウトしたりあるいは塗膜内部
にいつまでも残存し、塗膜外観(特に、塗膜の平滑性、
チヂミ)を著しく悪化させる傾向にある。
【0047】すなわち、該エポキシ基含有不飽和単量体
(b)がアルミニウムキレート化合物(C)の硬化性発
現機能を阻害したり、該単量体(b)が優先的にアルミ
ニウムキレート化合物(C)と反応し、本来の硬化反応
が遅延または全く進行しなくなったり、場合により架橋
反応を促進する作用が起こり塗料が増粘、ゲル化するこ
とがある。さらに、該単量体(b)が未反応で残存する
ため、比較的反応性の高いエポキシ基と不飽和二重結合
を有する化合物が塗膜中に残り、このため耐薬品性が悪
化(エポキシ基とアルカリ、酸などが反応し塗膜が着
色、または破壊される)、耐候性が悪化(不飽和二重結
合が光エネルギで活性化され塗膜が着色、変褪色または
分解する)する傾向にある。また、塗膜が硬化、架橋す
る際に、部分的に硬化反応を促進したり、あるいは反応
を停止する作用のため、塗膜表面、または内部にひずみ
が残ったり、収縮痕が残り、塗膜の平滑性や鮮映性悪化
の大きい要因となる。さらにこれが原因となって、チヂ
ミの発生が起こり易くなる。この傾向は、未反応不飽和
単量体総量とも密接に関係しており、総量が10,00
0ppmを超える場合には、相乗効果でより顕著となる
傾向がある。
【0048】本発明では、未反応で残るエポキシ基含有
不飽和単量体(b)量を5,000ppm未満に押さえ
るために、アクリル樹脂(A)をラジカル共重合で製造
するにあたり、重合温度を使用する重合開始剤の10時
間分解半減期温度±25℃、好ましくは10時間分解半
減期温度+5℃〜10時間分解半減期温度+25℃の範
囲とすることが推奨される。さらに、アクリル樹脂
(A)のエポキシ当量を650〜2840とするのが望
ましい。この条件下に製造工程を実施することにより、
未反応で残るエポキシ基含有不飽和単量体(b)量を
5,000ppm未満に押さえることができる。本発明
では、上記対策を実施することにより、目的を達成する
ことができるが、必要であればさらには、製造工程内検
査で該エポキシ基含有不飽和単量体(b)の残存量を適
宜測定し、該エポキシ基含有不飽和単量体(b)が所望
の値未満になるまで重合反応を継続する、あるいはさら
に重合開始剤を追添加し重合工程を継続する、さらに必
要であれば、重合工程終了後、該エポキシ基含有不飽和
単量体(b)をアクリル樹脂(A)から取り除く精製工
程(例えば、水洗、蒸留留去、吸着塔または吸着カラ
ム、吸着性物質などで吸着し取り除くなど)を取り入れ
る、等の製造方法を実施することが推奨される。
【0049】本発明で用いられる一分子中に少なくとも
一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基を有
するオルガノアルコキシシラン化合物(B)としては、
例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチルトリメトキシシラ
ン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキ
シシラン、またこれらの縮合物などを例示することがで
きる。該オルガノアルコキシシラン化合物(B)は、単
独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0050】該オルガノアルコキシシラン化合物(B)
の中では、トリアルコキシシラン基(アルコキシ基のア
ルキル基炭素原子数は1〜8が好ましい)を有するもの
が好ましい。該オルガノアルコキシシラン化合物(B)
を加水分解し、またはシラノール化したものは塗料の硬
化性は優れるが、貯蔵安定性が悪化したり、塗膜外観が
不良となったりする(チヂミが発生しやすくなる)傾向
にあるため、本発明では余り好適とはいえない。
【0051】本発明で使用するシラン化合物は、一分子
中に少なくとも一個のエポキシ基を有することが必須条
件である。シラン化合物が一分子中に少なくとも一個の
エポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基を有するこ
とにより、アクリル樹脂(A)の水酸基、エポキシ基、
アルコキシシラン基と相互に作用し合うことが考えら
れ、既述のとおり、アクリル樹脂(A)だけでは到底達
し得なかった塗料用樹脂組成物、塗料の貯蔵安定性を著
しく向上、改善し、実用レベルに引き上げることができ
る。すなわち、本発明は、一分子中に少なくとも一個の
エポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基を有するシ
ラン化合物(B)を配合することによって初めて塗料用
樹脂組成物、塗料としての機能と性能を発揮するもので
ある。この意味で、アクリル樹脂(A)単独(およびア
ルミニウムキレート化合物(C)等が配合されたも
の)、アクリル樹脂(A)に一分子中に少なくとも一個
のエポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基を有する
シラン化合物(B)を含有せずこれ以外のシラン化合物
(例えば、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラヒドロキシエチルシランなど)を配合
したもの(およびアルミニウムキレート化合物(C)等
が配合されたもの)とは、思想的にそして技術的に全く
異なるものである。
【0052】さらに、シラン化合物が一分子中に少なく
とも一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基
を有することにより、アクリル樹脂(A)の水酸基、エ
ポキシ基、アルコキシシラン基と相互に作用し合うこと
が考えられ、80℃以下の低温硬化性を際だって改善、
向上する効果がある。この効果は、特に80℃以下の焼
付け温度で60分以内、より短時間では30分以内の短
時間に焼き付け乾燥(硬化)が必要なときに顕著とな
る。アクリル樹脂(A)だけではこの効果は到底達し得
ないものである。
【0053】塗装工程では、通常塗装された後、生産効
率を高めるために、塗装物品は焼き付け乾燥炉からでた
後、冷却されることなく、あるいは簡単な冷却のみで直
ちに積み重ねられる。このとき、塗膜が十分に硬化、架
橋していなければ、塗膜同士が融着、接着し、塗膜の剥
がれ、傷つき、塗装物品が分離できなくなることがあ
る。(このとき、この現象、塗膜の接着、密着、融着を
ブロッキングということもある。)塗膜形成成分として
の主要素がアクリル樹脂(A)だけの場合には、アクリ
ル樹脂(A)が高分子化合物であるがために、架橋にあ
ずかる官能基(水酸基、エポキシ基、アルコキシシラン
基)が立体障害の影響を受け、短時間では硬化、架橋反
応が完結せず、往々にしてブロッキング性が悪化する。
【0054】本発明の一つの特徴は、一分子中に少なく
とも一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシシラン基
を有するオルガノアルコキシシラン化合物(B)を配合
することにあり、アクリル樹脂(A)とシラン化合物
(B)の硬化、架橋反応にあずかる各官能基が相互に、
補完的に反応し合い、比較的低温、短時間で硬化、架橋
反応が完結するという特徴を有している。
【0055】該オルガノアルコキシシラン化合物(B)
のエポキシ基は、アクリル樹脂(A)のエポキシ基と同
一構造式を有することが推奨される。エポキシ基が同一
構造式であるとき(すなわち、アクリル樹脂(A)のエ
ポキシ基が非脂環式エポキシ基のときには非脂環式エポ
キシ基を有するシラン化合物を、脂環式エポキシ基のと
きには脂環式エポキシ基を有するシラン化合物を、使用
する)、塗料を塗布し、硬化、乾燥させる際、塗膜表面
と内部の硬化性(速度)が均一化され、バランスがとれ
るため、塗膜外観(特に、鮮映性、チヂミ)が向上する
傾向にある。さらに、塗料の乾燥、硬化に際して、塗膜
中に歪みが発生しにくくなるため、各種素材に対する付
着性、耐水性試験後の2次付着性、耐候性などの諸物性
が向上する傾向がある。
【0056】また、エポキシ基の構造式が異なるシラン
化合物を使用する場合には、構造式が同一であるエポキ
シ基を有するシラン化合物を、配合される全シラン化合
物の0.05%以上の割合で配合することにより、種々
トラブルが解決される傾向があるため好ましい。さら
に、これが3−グリシドキシプロピルトリメトキシシシ
ランであるとき、効果が顕著になる傾向にあり、好まし
く用いられる。
【0057】アクリル樹脂(A)/シラン化合物(B)
割合は、重量比で2/98〜98/2であることが望ま
しい。シラン化合物(B)が2重量%未満では、塗料の
80℃以下程度の低温硬化性がやや悪くなる傾向にあ
り、塗膜の耐薬品性、耐水性あるいは耐候性等が悪化す
る場合がある。また、シラン化合物が98重量%を超え
て配合される場合には、被塗物に対するぬれ性が低下す
る傾向にあり、塗料がはじいたり、塗膜にクレータが発
生しやすくなる傾向にある。また、ぬれ性不良を起因と
して、被塗物に対する付着性が悪化する場合がある。
【0058】本発明で用いられるアルミニウムキレート
化合物(C)としては、例えば、アルミニウムエチルア
セトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリ
ス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス
(アセチルアセテート)、アルミニウムビスエチルアセ
トアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム
モノアセチルアセトネートビス(アルキルアセトアセテ
ート)(アルキル基の炭素原子数は2〜18)等を例示
することができる。該アルミニウムキレート化合物
(C)は、単独でももしくは2種類以上の混合物であっ
てもよい。
【0059】該アルミニウムキレート化合物(C)の中
では、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、ア
ルミニウムモノアセチルアセトネートビス(アルキルア
セトアセテート)(アルキル基の炭素原子数は2〜1
8)が特に好適に使用できる。
【0060】アルミニウムトリス(アセチルアセテー
ト)は塗料の低温硬化性を向上させ、またアルミニウム
モノアセチルアセトネートビス(アルキルアセトアセテ
ート)(アルキル基の炭素原子数は2〜18)は貯蔵安
定性を向上させる。
【0061】該アルミニウムキレート化合物(C)は、
アクリル樹脂(A)とシラン化合物(B)の合計量に対
し、重量比で、好ましくは100/0.2〜100/2
0(=0.2PHR〜20PHR)、より好ましくは1
00/0.5〜100/10(=0.5PHR〜10P
HR)の範囲で配合されるのが望ましい。配合量が0.
2PHR未満では、塗料の低温硬化性がやや悪化する場
合があり、耐水性、付着性および耐候性等に満足な結果
が得られないことがある。また、20PHRを超えて配
合される場合には、塗料の貯蔵安定性が悪化する傾向に
あり、塗膜が着色したり、チヂミが発生しやすくなり塗
膜外観が損なわれることがある。
【0062】該アルミニウムキレート化合物(C)は、
塗料の架橋、硬化の際に触媒として作用する。さらに、
該化合物が配合されることにより、オルガノアルコキシ
シラン化合物(B)の蒸発や揮散を抑制、防止する効果
があり、塗料用樹脂組成物や塗料の有害性と有毒性を緩
和する作用がある。
【0063】本発明で用いられる親水性有機溶剤(D)
としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−−
ブチルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチ
ルエーテル等のグリコールエーテル類、ジオキサン、γ
−ブチロラクトン等のヘテロ原子を有する化合物等を例
示することができる。該親水性有機溶剤(D)は単独で
も、2種類以上の混合物であってもよい。
【0064】ここで、親水性有機溶剤(D)としては、
20℃の水100mlに20g以上溶解する溶剤を例示
することができる。本発明では、メチルアルコール、3
−メチル−3−メトキシ−ブタノール、ダイアセトンア
ルコール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールから
選ばれる少なくとも一種の親水性有機溶剤(D)を、シ
ラン化合物(B)に対し、重量比で、好ましくは100
/0.05〜100/5000(=0.05PHR〜5
000PHR)、より好ましくは100/0.5〜10
0/2000(=0.5PHR〜2000PHR)の範
囲で配合されることが推奨される。配合量が0.05P
HR未満の場合には、貯蔵安定性(特に、顔料が配合さ
れた塗料の光沢安定性)が悪化する傾向にある。また、
5,000PHRを超えて配合される場合には、塗料が
乾燥、硬化する際、塗膜表面に大気中の湿気をよびブラ
ッシングといわれる光沢低下を招くことがある。
【0065】これらの中では、顔料が配合される場合、
特に、3−メチル−3−メトキシ−ブタノールが好適に
使用され、塗膜の光沢、鮮映性向上、塗料の貯蔵安定性
向上(光沢安定性、沈殿防止など)に顕著な効果が発揮
される。該化合物は顔料が配合される場合、0.5PH
R〜2,000PHR、より好ましくは0.5PHR〜
1,000PHR配合することが推奨される。0.5P
HR未満では、配合する顔料の種類によっては顔料の凝
集、沈殿を十分抑制、防止することが出来ないことがあ
り、光沢の低下、鮮映性の低下を招く場合がある。2,
000PHRを超えて配合する場合には、塗料の見かけ
の硬化性がやや劣る結果となる傾向にある。
【0066】ダイアセトンアルコールは、被塗物として
ポリカーボネート等の耐溶剤性がよくないプラスチック
を選択する際、被塗物を侵さないで良好な塗装を得るた
めに好適に使用できる。該化合物は、好ましくは2PH
R〜5,000PHR、より好ましくは5PHR〜4,8
00PHR配合されるのが望ましい。2PHR未満で
は、基材への十分なぬれ効果を発揮し得ず、付着性がや
や悪化することがある。また、4,800PHRを超え
て配合する場合には、塗料の貯蔵安定性が悪くなった
り、低温硬化性がやや悪くなったりする傾向にある。
【0067】ヘキサフロオロイソプロピルアルコール
は、少量の配合で塗膜外観の向上(光沢、鮮映性の向
上、チヂミの抑制、防止など)、貯蔵安定性の向上(光
沢経時安定性の向上、増粘、ゲル化の防止など)などに
顕著な効果を発揮する。該化合物は、好ましくは0.0
5PHR〜1,000PHR、より好ましくは0.08
〜800PHR配合することが推奨される。0.05P
HR未満の配合では、チヂミの防止効果がやや不鮮明と
なることがあり、また800PHRを超えて配合する場
合には、被塗物が該溶剤におかされ、または、沸点が低
いことが逆効果をもたらし、塗膜外観が悪化(光沢低
下、レベリング性悪化)することがある。
【0068】さらに、メチルアルコールはシラン化合物
(B)の不用意な加水分解、縮合反応を抑制、防止し、
塗料の貯蔵安定性を向上するために極めて有効に配合す
ることできる。また、同時に、塗料が硬化する際、アル
コキシシラン基の加水分解、縮合反応を抑制する作用が
あるため、塗膜表面だけが優先的に硬化しチヂミが発生
するのを抑制、防止する作用がある。同時に、本発明本
来の反応、すなわちエポキシ基がカチオン重合ライクに
反応、硬化するのをスムースに進行させる働きがある。
この観点からは、メチルアルコールは0.05PHR〜
500PHR、より好ましくは0.05PHR〜200
PHR配合することが推奨される。配合量が0.05P
HR未満の場合には、加水分解の抑制、防止効果がやや
希薄となる傾向にある。また、500PHRを超えて配
合する場合には、ブラッシングを起こしやすくなった
り、レベリング性が悪化することがある。
【0069】本発明の塗料用樹脂組成物は、水酸基含有
不飽和単量体(a)、エポキシ基含有不飽和単量体
(b)、アルコキシシラン基含有不飽和単量体(c)が
共重合された側鎖に水酸基、エポキシ基およびアルコキ
シシラン基を有する水酸基価12〜90mgKOH、エ
ポキシ当量650〜2840、数平均分子量(Mn)5
000〜80000のアクリル樹脂(A)、一分子中に
少なくとも一個のエポキシ基と加水分解性アルコキシシ
ラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物
(B)、アルミニウムキレート化合物(C)、およびメ
チルアルコール、3−メチル−3−メトキシ−ブタノー
ル、ダイアセトンアルコール、ヘキサフルオロイソプロ
ピルアルコールから選ばれる少なくとも一種の親水性有
機溶剤(D)を含有するものである。
【0070】本発明の塗料用樹脂組成物は、例えば、ア
クリル樹脂(A)を撹拌しながら、シラン化合物(B)
を添加し、均一な溶液とした後、アルミニウムキレート
化合物(C)、親水性有機溶剤(D)を添加し、均一に
なるまで撹拌、混合することによって製造できる。撹
拌、混合方法は、特に限定されるものでなく、すべての
成分が均一に混合できればよい。このとき、加熱が必要
であれば加熱することができ(ただし、90℃以上に加
熱することは塗料の貯蔵安定性を損ねる場合があるため
好ましくない)、冷却が必要であれば冷却(ただし、過
冷却の場合にはアルミニウムキレート化合物(C)が析
出する場合があるため−20℃以下の冷却は好ましくな
い)することもできる。また、塗料の不用意な増粘、ゲ
ル化を防止する上で、アセチルアセトン、アセト酢酸エ
チル、アセト酢酸ブチルなどのβ−ケトエステル型構造
を有する化合物の添加が推奨される。
【0071】さらに、本発明の塗料用樹脂組成物におい
ては、窒素原子に直接結合した水素原子を有さない光安
定性化合物(HALS)を、アクリル樹脂(A)100
重量部に対し、好適には0.2〜20重量部(0.2P
HR〜20PHR)配合して用いることができる。
【0072】HALSとしては、「13700の化学商
品」(化学工業日報社)(2000)、p1069〜1
070、「高分子用安定剤 サノール」(三共(株)の
商品カタログ(1994))などに記載されているHA
LSを例示することができる。本発明ではこれらの中
で、特に、窒素原子に直接結合した水素原子を有さない
HALSを好適に配合することができる。窒素原子に直
接結合した水素原子を有さないHALSとしては、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、1−{2−(3−((3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−
アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチ
ル−1,3,8−トリアザスピロ{4.5}デカン−
2,4−ジオ等を例示することができる。HALSは、
単独でも2種類以上の混合物であってもよい。
【0073】HALSを配合することにより、塗料や塗
膜に着色を生じることなく塗膜の耐候性を飛躍的に向上
させることができる。
【0074】HALSは、アクリル樹脂(A)100重
量部に対し、好ましくは0.2〜20重量部(0.2P
HR〜20PHR)、より好ましくは0.5PHR〜1
0PHR配合することが推奨される。配合量が0.2P
HR未満では、塗膜の耐候性向上に有意さを認められな
いことがあり、また、20PHRを超えて配合する場合
には、塗料の貯蔵安定性が悪化したり、塗膜にチヂミが
多く発生する場合がある。
【0075】さらに、本発明の塗料用樹脂組成物におい
ては、塩基定数(PKb)8以上の光安定性化合物(H
ALS)を配合することが好ましい。HALSの配合に
より、塗料の貯蔵安定性および低温硬化性などの基本性
能を損なうことなく、塗膜の耐候性を飛躍的に向上する
ことが可能となる。
【0076】PKb8以上のHALSとしては、1−
{2−(3−((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシ
ル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリ
アザスピロ{4.5}デカン−2,4−ジオンなどを例
示することができる。HALSは、単独でももしくは2
種類以上の混合物であってもよい。PKbが8未満の場
合には、塗料が硬化不良を起こしたり、あるいは貯蔵安
定性が悪化する傾向にある。
【0077】本発明の塗料用樹脂組成物においては、以
上の成分の他に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢
酸ブチル、メチルアルコール、エチルアルコール、n−
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、ダイアセトンアルコール、メチルエチ
ルケトン、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、アセチルアセトン等の有機溶剤、酸化チタン、炭酸
カルシウム、カーボンブラック、シリカゾル、チタニア
ゾル、紺青、酸化鉄等の顔料、レベリング剤、増粘剤、
顔料分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾー
ル系のものが好適である)、HALS(PKb(塩基定
数が8以上のものが好適である)、酸化防止剤等の当該
業界でよく知られている塗料添加剤(フッ素系のものが
特に好ましく、貯蔵安定性、塗膜外観、耐薬品性などの
塗料の種々性能が向上する傾向にある、これらとしては
「メガファック」(大日本インキ化学工業(株)の製
品)、「ゾニール」(デュポン(株)の製品)等が例示
できる)、種々塗料用樹脂・塗料(参考文献;1359
9の化学商品、p1237〜p1259、化学工業日報
社(1999))、シリコーンゴム(および中間体)、
ブチルゴム、塩化ゴム、イソプレンゴム、ポリウレタン
ゴム、ゴム変性エポキシ樹脂等のゴム類、シラン化合物
(シラノール基を有するものは貯蔵安定性が悪化するた
め好ましくない)、ポリマー末端や側鎖に反応性官能基
(水酸基やアルコキシシラン基)を有するシランオリゴ
マー、ポリマー類、側鎖に水酸基を有する塗料用フッ素
樹脂(例えば、「ルミフロン」(旭硝子(株)の製
品))、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂で変
性された塩素化ポリプロピレン樹脂(例えば、”コータ
ックス”「LG−950」(東レ(株)の製品)などの
塗料用樹脂、および塗料用樹脂変性用のオリゴマー、ポ
リマーなど、エポキシ樹脂(特に脂環式エポキシ樹脂が
好適である)、その他塗料配合に必要なものがあれば、
問題なく配合し使用することができる。
【0078】本発明の塗料用樹脂組成物を含有する塗料
は、一般の塗料に適用される種々塗装方法で塗装するこ
とができる。すなわち、スプレー塗装、ロールコート、
カーテンコート、刷毛塗り、静電塗装、アニオン、カチ
オン電着塗装、ディッピング等を用いることができる。
また、本発明の塗料用樹脂組成物を含有する塗料は、プ
ライマー(接着層)としても、ベースコート用(通常着
色塗料)としても、トップコート用(通常クリア塗料)
としても使用することができ、同時に全てを兼ねること
もできる。さらに、前記塗料(塗料用樹脂・塗料(参考
文献;13599の化学商品、p1237〜p125
9、化学工業日報社(1999)))と組み合わせ使用
することも可能である。
【0079】本発明の塗料用樹脂組成物を含有する塗料
が適用できる基材(被塗物)としては、ポリスチレン樹
脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタ
ジエン樹脂(ABS)、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノリル樹脂、ナ
イロン樹脂、ポリエステル樹脂、およびこれらやポリオ
レフィン、フィラー、ガラスや炭素繊維などの補強材等
のブレンド物(アロイ)等のプラスチック類、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、前記
塗料(塗料用樹脂・塗料(参考文献;13599の化学
商品、p1237〜p1259、化学工業日報社(19
99)))が塗装された物品、ガラス、モルタル、石綿
セメントスレート、岩石等の無機物、鉄(および合
金)、銅(および合金)、アルミニウム(および合
金)、マグネシウム(および合金)等の金属類、紙、ビ
ニールクロス等の可燃物等を例示することができる。
【0080】また、これらの被塗物が使用される用途と
しては、自動車や2輪車等のプラスチック部品や金属部
品、ガラス部品(バンパー、エアスポイラー、ドアハン
ドル、ホイールキャップ、ボディー、燃料タンク、マニ
ホールド、ウィンドー等)、装飾品や工芸品、実用品の
ガラス製品、陶磁器類(ガラスびん、花瓶、植木鉢、ガ
ーデニング用の種々機材(柵、ベンチ、いす、棚等)
類、窓ガラス、ポリカーボネートガラス、アクリルガラ
ス、テーブルやいす類、食器棚、クローゼット、タンス
等の木工品や印刷仕上げ品等)、建築・建材に使用する
無機物や、ガラス、金属類(カーテンウォール、アルミ
サッシ、玄関ドア、門扉、サイディングボード、壁、屋
根瓦等)、家電製品のプラスチックや金属部品(冷蔵
庫、洗濯機、テレビ、ビデオ、電話、ファクシミリ、パ
ソコン等)、装飾品のプラスチック、金属、陶磁器類
(ボタン類、アクセサリー、衣服等)等を例示すること
ができる。
【0081】さらに、同時に、本発明はこれらの塗装物
品も提供する。本発明により得られた塗装物品は、耐久
性、装飾性、加工性等の種々性能、機能において優れて
いる。
【0082】以下、本発明を実施例により詳細を説明す
る。なお、特に断りがない限り組成比は重量%を示し、
配合量は部数を示す。ここで、残存モノマー量は前記液
体クロマトグラフィー法により測定した。
【0083】
【実施例】(実施例1)トルエン(TOL)、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60/4
0)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチロニ
トリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤とし
て、重合温度92℃で、メタクリル酸メチル(MMA)
/メタクリル酸n−ブチル(BMA)/アクリル酸n−
ブチル(BA)/「プラクセルFA2D」(ε−カプロ
ラクトン変性水酸基含有不飽和単量体(水酸基含有不飽
和単量体)、ダイセル化学工業(株)の製品)/メタク
リル酸グリシジル(GMA)(エポキシ基含有不飽和単
量体)/「SZ−6030」(3−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン(アルコキシシラン基含
有不飽和単量体)、東レ・ダウ・コーニングシリコーン
(株)の製品)(=35/20/20/10/10/
5)の組成を有するアクリル樹脂(1)を製造した。ア
クリル樹脂(1)は、加熱残分60%、数平均分子量2
2,000、水酸基価16.3mgKOH/g、エポキ
シ当量1420であった。また、未反応で残存するGM
Aは10ppm、未反応で残存するモノマーの総量は1
50ppmであった。
【0084】上記アクリル樹脂(1)に、「SH−60
40」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有する
オルガノアルコキシシラン化合物)、東レ・ダウ・コー
ニングシリコーン(株)の製品)/メタノール(MeO
H)(=99.5/0.5)の混合液を、アクリル樹脂
(1)の加熱残分/「SH−6040」が70/30と
なるように添加し、均一になるまで撹拌、混合した。
【0085】これに、「アルミキレートA(W)」(ア
ルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(アルミニ
ウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)の
製品)/アセチルアセトン(AcAc)(安定剤)/ト
ルエン(=8/40/52)の混合液を、「アルミニウ
ムキレートA(W)の配合量がアクリル樹脂(1)の加
熱残分と「SH−6040」の合計量に対し3PHRと
なるように添加し、均一になるまで撹拌し、混合した。
さらに、加熱残分が60%になるようにキシレン(XY
L)を添加し、実施例1の塗料用樹脂組成物を製造し
た。
【0086】(実施例2、3、4)実施例1で、メタノ
ールに変え、3−メチル−3−メトキシ−ブタノール
(MMB)を使用(実施例2)し、「SH−6040」
/MMB(=90/10)、ダイアセトンアルコール
(DA)を使用(実施例3)し、「SH−6040」/
DA(=80/20)、ヘキサフルオロイソプロピルア
ルコール(HF)を使用(実施例4)し、「SH−60
40」/HF(=99.8/0.2)とした以外は実施
例1と同様にして、実施例2、3、4の塗料用樹脂組成
物を製造した。
【0087】(実施例5)実施例1で「SH−604
0」に変え、「KBM303」(β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(一分子
中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するオルガノ
アルコキシシラン化合物)、信越化学工業(株)の製
品)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5
の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0088】(実施例6)実施例1で「SH−604
0」に変え、「SH−6040」/「KBM303」
(=99.5/0.5)の混合物を使用したこと以外
は、実施例1と同様にして実施例6の塗料用樹脂組成物
を製造した。
【0089】(実施例7)実施例1で「SH−604
0」に変え、「SH−6040」/「KBM3030」
(=0.2/99.8)の混合物を使用したこと以外
は、実施例1と同様にして実施例7の塗料用樹脂組成物
を製造した。
【0090】(実施例8)実施例1で「アルミキレート
A(W)」に変え、「アルミキレートDOL」(アルミ
ニウムモノアセチルアセトネートビス(アルキルアセト
アセテート)(アルキル基の炭素原子数は16、18)
(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカ
ル(株)の製品)を使用したこと以外は、実施例1と同
様にして実施例8の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0091】(実施例9)トルエン(TOL)、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60/
40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤と
して、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/メタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)/GMA/
「SZ−6030」(=35/20/20/10/10
/5)の組成を有するアクリル樹脂(2)を製造した。
アクリル樹脂(2)は、加熱残分60%、数平均分子
量18000、水酸基価43.2mgKOH/g、エポ
キシ当量1420であった。また、未反応で残存するG
MAは5ppm、未反応で残存するモノマーの総量は1
00ppmであった。
【0092】アクリル樹脂(2)に、「SH−604
0」/MeOH(=99.5/0.5)の混合液を、ア
クリル樹脂(2)の加熱残分/「SH−6040」が7
0/30となるように添加し、均一になるまで撹拌し、
混合した。
【0093】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(2)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに加熱残分が60%になるようにキ
シレン(XYL)を添加し、実施例9の塗料用樹脂組成
物を製造した。
【0094】(実施例10)トルエン(TOL)、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60
/40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤
として、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/H
EMA/「サイクロマーA−200」(A−200)/
(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート
(エポキシ基含有不飽和単量体)、ダイセル化学工業
(株)の製品)/「SZ−6030」(=35/20/
20/10/10/5)の組成を有するアクリル樹脂
(3)を製造した。 アクリル樹脂(3)は加熱残分6
0%、数平均分子量16000、水酸基価43.2mg
KOH/g、エポキシ当量1822であった。また、未
反応で残存する「A−200]は50ppm、未反応で
残存するモノマーの総量は220ppmであった。
【0095】アクリル樹脂(3)に、「SH−604
0」/HF(=99.5/0.5)の混合液を、アクリ
ル樹脂(3)の加熱残分/「SH−6040」が70/
30となるように添加し、均一になるまで撹拌し、混合
した。
【0096】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(3)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに、加熱残分が60%になるように
キシレン(XYL)を添加し、実施例10の塗料用樹脂
組成物を製造した。
【0097】(実施例11)実施例10で、「SH−6
040」を「KBM303」に変えたこと以外は、実施
例10と同様にして実施例11の塗料用樹脂組成物を製
造した。
【0098】(実施例12)トルエン(TOL)、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60
/40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤
として、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/H
EMA/GMA/「SZ−6030」/「RUVA−9
3」(2−[2´−ヒドロキシ−5´−(メタクリロイ
ルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル(R−UVA)、大塚化学(株)の製品)(=33/
20/20/10/10/5/2)の組成を有するアク
リル樹脂(4)を製造した。アクリル樹脂(4)は加熱
残分60%、数平均分子量23000、水酸基価43.
2mgKOH/g、エポキシ当量1420であった。ま
た、未反応で残存するGMAは5ppm、未反応で残存
するモノマーの総量は100ppmであった。
【0099】アクリル樹脂(4)に、「SH−604
0」/MeOH(=99.5/0.5)の混合液を、ア
クリル樹脂(4)の加熱残分/「SH−6040」が7
0/30となるように添加し、均一になるまで撹拌し、
混合した。
【0100】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(4)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに加熱残分が60%になるようにキ
シレン(XYL)を添加し、実施例12の塗料用樹脂組
成物を製造した。
【0101】(実施例13)アクリル樹脂(2)に、
「SH−6040」/MeOH(=99.5/0.5)
の混合液を、アクリル樹脂(2)の加熱残分/「SH−
6040」が70/30となるよう添加し、均一になる
まで撹拌、混合する。
【0102】さらに、これに「サノールLS−262
6」(1−〔2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕
−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン、PKbが14の光安定性化合
物(HALS)、三共(株)の製品)を、「サノールL
S−2626」の配合量がアクリル樹脂(2)の加熱残
分と「SH−6040」の合計量に対し2PHRとなる
ように添加し、均一になるまで撹拌し、混合した。
【0103】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(2)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに加熱残分が60%になるようにキ
シレン(XYL)を添加し、実施例13の塗料用樹脂組
成物を製造した。
【0104】(実施例14)トルエン(TOL)、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60
/40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤
として、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/H
EMA/「FA2D]/GMA/「A−200」/「S
Z−6030」(=33/20/15/10/5/10
/2/5)の組成を有するアクリル樹脂(5)を製造し
た。 アクリル樹脂(5)は加熱残分60%、数平均分
子量20000、水酸基価51.4mgKOH/g、エ
ポキシ当量1229であった。また、未反応で残存する
GMAは5ppm、「A−200」は2ppm、未反応
で残存するモノマーの総量は100ppmであった。
【0105】アクリル樹脂(5)に、「SH−604
0」/MeOH(=99.5/0.5)の混合液を、ア
クリル樹脂(5)の加熱残分/「SH−6040」が7
0/30となるように添加し、均一になるまで撹拌し、
混合した。
【0106】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(5)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに加熱残分が60%になるにようキ
シレン(XYL)を添加し、実施例14の塗料用樹脂組
成物を製造した。
【0107】(実施例15)トルエン(TOL)、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60
/40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤
として、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/H
EMA/GMA/「SZ−6030」/「アロンマクロ
マーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロマー
(レベリング、鮮映性向上モノマー)、東亞合成(株)
の製品)(=30/20/20/10/10/5/5)
の組成を有するアクリル樹脂(6)を製造した。 アク
リル樹脂(6)は加熱残分60%、数平均分子量300
00、水酸基価43.1mgKOH/g、エポキシ当量
1420であった。また、未反応で残存するGMAは5
ppm、未反応で残存するモノマーの総量は100pp
mであった。
【0108】アクリル樹脂(6)に、「SH−604
0」/MeOH(=99.5/0.5)の混合液を、ア
クリル樹脂(6)の加熱残分/「SH−6040」が7
0/30となるように添加し、均一になるまで撹拌し、
混合したする。
【0109】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(6)の加熱残分と「SH−6040」の合計量に対
し3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌
し、混合した。さらに加熱残分が60%になるようにキ
シレン(XYL)を添加し、実施例15の塗料用樹脂組
成物を製造した。
【0110】(実施例16)アクリル樹脂(2)に、
「SH−6040」/MMB(=80/20)の混合液
を、アクリル樹脂(2)の加熱残分/「SH−604
0」が70/30となるように添加し、均一になるまで
撹拌し、混合した。さらに、これに「ERL−422
1」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4
−エポキシシクロヘキシルカーボキシレート(脂環式エ
ポキシ樹脂、エポキシ当量130〜145)、ユニオン
カーバイド(株)の製品)を、「ERL−4221」の
配合量がアクリル樹脂(2)の加熱残分と「SH−60
40」の合計量に対し5PHRとなるように添加し、均
一になるまで撹拌し、混合した。
【0111】これに、「アルミキレートA(W)」/A
cAc/トルエン(=8/40/52)の混合液を、
「アルミニウムキレートA(W)の配合量がアクリル樹
脂(2)の加熱残分と「SH−6040」、「ERL−
4221]の合計量に対し3PHRとなるように添加
し、均一になるまで撹拌し、混合した。さらに加熱残分
が60%になるようにキシレン(XYL)を添加し、実
施例16の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0112】(比較例1)アクリル樹脂(1)に、「ア
ルミキレートA(W)」/AcAc/トルエン(=8/
40/52)の混合液を、「アルミニウムキレートA
(W)の配合量がアクリル樹脂(1)の加熱残分に対し
3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌、混
合して、比較例1の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0113】(比較例2)アクリル樹脂(3)に、「ア
ルミキレートA(W)」/AcAc/トルエン(=8/
40/52)の混合液を、「アルミニウムキレートA
(W)の配合量がアクリル樹脂(3)の加熱残分に対し
3PHRとなるように添加し、均一になるまで撹拌、混
合して、比較例2の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0114】(比較例3)実施例1において、オルトト
リ酢酸メチル(脱水剤)を「SH−6040」に対し2
PHR添加したこと以外は、実施例1と同様にして比較
例3の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0115】(比較例4)トルエン(TOL)、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60/
40)を溶剤に使用し、α.α´−アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)(半減期72℃)を重合開始剤と
して、重合温度92℃で、MMA/BMA/BA/A−
200/「SZ−6030」(=40/20/20/1
0/10)の組成を有するアクリル樹脂(7)を製造し
た。 アクリル樹脂(7)は加熱残分60%、数平均分
子量22000、水酸基価0mgKOH/g、エポキシ
当量1822であった。また、未反応で残存する「A−
200]は50ppm、未反応で残存するモノマーの総
量は220ppmであった。
【0116】アクリル樹脂(7)に、「アルミキレート
A(W)」/AcAc/トルエン(=8/40/52)
の混合液を、「アルミニウムキレートA(W)の配合量
がアクリル樹脂(7)の加熱残分に対し3PHRとなる
ように添加し、均一になるまで撹拌、混合して、比較例
4の塗料用樹脂組成物を製造した。
【0117】(比較例5)実施例1において、アクリル
樹脂(1)に、GMA量が6000ppmとなるように
追添加(*)したこと以外は、実施例1に従い、比較例
5の塗料用樹脂組成物を製造した。(未反応で残存する
GMA量が5000ppmを超える場合の、代用試験) 以上の塗料用樹脂組成物を使用し、塗料としての各種試
験を行なった。なお、試験方法、評価方法は以下のとお
りである。
【0118】1.塗料の製造 <クリア塗料の製造>上記の実施例と比較例で得られた
各塗料用樹脂組成物を、トルエン(TOL)/酢酸ブチ
ル(BAC)/キシレン(XYL)/シクロヘキサノン
(CN)/イソブチルアルコール(IBAL)(=30
/20/5/20/20/5)の混合溶剤を使用し、フ
ォードカップNo.4の粘度が15秒(25℃)になる
よう希釈する。これを試験用クリア塗料として使用す
る。
【0119】<エナメル塗料の製造>上記の実施例と比
較例で得られた各塗料用樹脂組成物に、CR−90(酸
化チタン顔料、石原産業(株)の製品)をPWC(塗料
用樹脂固形分に対する顔料配合率(重量%))が50%
となるように配合し、粒度(JIS K 54004.
7 分散度に準じる)が10μm以下になるまで分散
し、さらにトルエン(TOL)/酢酸ブチル(BAC)
/キシレン(XYL)/シクロヘキサノン(CN)/イ
ソブチルアルコール(IBAL)(=30/20/5/
20/20/5)の混合溶剤を使用し、フォードカップ
No.4の粘度が15秒(25℃)になるように希釈す
る。これを試験用エナメル塗料として使用する。
【0120】2.塗装 基材として、アルミニウム合金(JIS A 110
0)製テストピース、マグネシウム合金(ASTM A
Z91D)製テストピース、ガラス板、アクリロニトリ
ル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS樹脂)板、ポリ
カーボネート樹脂(PC)板、ボンデ鋼板、石綿セメン
トスレート板、ポリプロピレン樹脂(PP)板を使用し
た。これらを、イソプロピルアルコール(IPA)で脱
脂した後、前記各塗料を使用し、温度23℃、湿度65
%の雰囲気下で、乾燥後の塗膜厚が40μmとなるよう
スプレー塗装を行なった。塗装された基材(被塗物)を
室温で10分間乾燥後、75℃で30分間焼き付け乾燥
し、これを各種試験用に供した。 3.付着性(JIS
K 5400 8.5.2(JISハンドブック塗料
−1997)に準じる。) 100/100で合格とし、それ以外は不合格とする。
【0121】4.塗膜外観 塗膜を目視判定し、チヂミのないものを合格とした。 ○:チヂミがなく、塗膜がスムースで良好である。合
格。 △:チヂミは細かいが、塗膜が艶引けしている。不合
格。 ×:塗膜全体にチヂミが見られる。不合格。
【0122】5.鏡面光沢度(JIS K 5400
7.6( JISハンドブック 塗料−1997)に準
じる。) 6.硬化性 <硬化性−1;ゲル分率>PP板に塗装されたクリア塗
膜を、室温でさらに3日間乾燥した後、室温で真空乾燥
した。PP板から塗膜を剥がし、秤量する(Pg)。ア
セトン/メタノール(50/50vol%)の溶剤を使
用し、還流下、ソックスレー抽出器を使用し3時間抽出
を行なう。未抽出で残った塗膜を、真空乾燥し秤量する
(Qg)。ゲル分率(%)を下記式3により算出する。
一般に、ゲル分率が高い方が硬化性が良好とされる。8
0%以上の場合にのみ合格とする。
【0123】 ゲル分率=(Q/P)×100 [式3] <硬化性−2;塗膜の耐溶剤性>塗装された塗膜を室温
でさらに3日間乾燥し、IPA、TOLを含浸した フ
ェルトで50回こすり(ラビング)塗膜の艶ひけ、剥が
れ度合いを目視判 定した。○:塗膜は全く変化しな
い。合格。 ×:塗膜が艶引けする、または剥がれる。不合格。
【0124】7.耐ブロッキング性 焼き付か直後の塗板をガラス板上に置き、ガーゼをの
せ、さらに500gの分銅をのせて、80℃で2時間静
置する。室温まで冷却した後、分銅、ガーゼを取り除
き、塗膜にガーゼが付着している具合を目視で評価す
る。ガーゼの付着量が少ないほど良好である。 ○:ガーゼが全く付着していない。合格。 △:ガーゼは付着していないが、うっすらと痕跡が認め
られる。合格。 ×:ガーゼの付着が認められる、または痕跡が明瞭であ
る。不合格。
【0125】8.耐候性 塗膜をさらに室温で5日間乾燥する。これをQUV促進
耐候性試験機(Qパネル社製の促進耐候性試験機)(試
験条件:ランプ No.QFS−40、波長域280〜
320nm、試験温度 40〜70℃、サイクル条件
照射15分、結露15分)で2000時間試験を行な
い、塗膜の光沢保持率、色差(ΔE)を測定した。光沢
保持率が80%以上、ΔEが2.0以内であるとき合格
とした。
【0126】9.貯蔵安定性 1)クリア塗料 上記の実施例と比較例の塗料用樹脂組成物を500ml
ガラスびんに約400g取り、密栓する。これを、23
℃、40℃に30日間静置した後、粘度(25℃)を測
定し、次式4のようにして試験前の粘度と比較する。粘
度測定は、B型粘度計を使用し、25℃で実施する。試
験後の粘度(m・Pa)/試験前の粘度(m・Pa)
[式4] 2)エナメル塗料 (1)経時光沢安定性 試験用エナメル塗料を300mlマヨネーズびんに25
0gとり、密栓して30日間、23℃で静置した。この
塗料をABS板に塗装し、貯蔵前との光沢変化を評価し
た。光沢保持率(GR%)は次式5で求められる。光沢
保持率(GR%)が80%以上のものを合格とする。 光沢保持率=(貯蔵試験後の光沢(%)/貯蔵試験前の光
沢(%))×100 [式5] (2)沈殿・分離・ゲル化(塗料状態の変化) 試験用エナメル塗料を300mlマヨネーズびんに25
0gとり、密栓して30日間、23℃で静置した。これ
を、スプーンでゆっくりとかき混ぜ、沈殿・分離・ゲル
化の状態を評価した。 ○:初期と変化しておらず良好。合格。 △:やや沈殿・分離傾向があるが、ゲル化しておらず使
用可。不合格。 ×:沈殿・分離・ゲル化が生じている。不合格。
【0127】以上の各実施例および各比較例の結果を、
次の表1〜表8に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
【表5】
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】
【0136】
【発明の効果】本発明の塗料用樹脂組成物は、貯蔵安定
性、低温(80℃以下)での硬化性に優れおよび各種素
材に対する付着性、耐候性など数々の塗料に要求される
性能に優れてバランスのとれた性能を発揮する。
【0137】したがって、本発明の塗料用樹脂組成物
は、塗料用として、また塗装物品として幅広い用途に用
いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CA021 CA022 CC021 CC022 CD091 CD092 CE051 CE052 CF021 CF022 CG141 CG142 CG171 CG172 CH031 CH032 CH041 CH042 CH121 CH122 CH171 CH172 CH191 CH192 DB221 DB222 DL051 DL052 DL121 DL122 GA03 GA07 GA15 JA19 JA25 JB30 JB35 JC38 KA06 KA12 MA12 MA13 MA14 NA01 NA03 NA04 NA11 NA12 NA26 NA27 PB02 PB05 PB07 PB09 PC02 PC03 PC04 PC08 PC10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基含有不飽和単量体(a)、エポキ
    シ基含有不飽和単量体(b)およびアルコキシシラン基
    含有不飽和単量体(c)が共重合された側鎖に水酸基、
    エポキシ基およびアルコキシシラン基を有する数平均分
    子量(Mn)5000〜80,000のアクリル樹脂
    (A)、一分子中に少なくとも一個のエポキシ基と加水
    分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシ
    シラン化合物(B)、アルミニウムキレート化合物
    (C)および親水性有機溶剤(D)を含有し、かつ該ア
    クリル樹脂(A)中の未反応エポキシ基含有不飽和単量
    体(b)の量が5,000ppm未満であることを特徴
    とする塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アクリル樹脂(A)、オルガノアルコキ
    シシラン化合物(B)、アルミニウムキレート化合物
    (C)および親水性有機溶剤(D)の配合割合が重量比
    で、 (A)/(B)=2/98〜98/2 {(A)+(B)}/(C)=100/0.2〜100
    /20 (B)/(D)=100/0.05〜100/5,00
    0 である請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ基含有不飽和単量体(b)が、
    非脂環式エポキシ基含有不飽和単量体または脂環式エポ
    キシ基含有不飽和単量体である請求項1または2記載の
    塗料用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 エポキシ基含有不飽和単量体(b)が、
    非脂環式エポキシ基含有不飽和単量体と脂環式エポキシ
    基含有不飽和単量体との混合物であり、非脂環式エポキ
    シ基/脂環式エポキシ基のモル数比が0.05〜0.9
    5である請求項1または2記載の塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル樹脂(A)の水酸基価が2〜9
    0mgKOHであり、エポキシ当量が650〜2,84
    0である請求項1〜4のいずれかに記載の塗料用樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 一分子中に少なくとも一個のエポキシ基
    と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアル
    コキシシラン化合物(B)が、3−グリシドキシプロピ
    ルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
    ヘキシル)エチルトリメトキシシランを少なくとも1種
    含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の塗料用
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 親水性有機溶剤(D)が、メチルアルコ
    ール、3−メチル−3−メトキシ−ブタノール、ダイア
    セトンアルコールおよびヘキサフルオロイソプロピルア
    ルコールから選ばれた少なくとも一種である請求項1〜
    6のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 アクリル樹脂(A)側鎖のエポキシ基
    と、オルガノアルコキシシラン化合物(B)のエポキシ
    基が同一構造式を有するものであることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 さらに、窒素原子に直接結合した水素原
    子を有さない光安定性化合物(HALS)を、アクリル
    樹脂(A)100重量部に対して、0.2〜10重量部
    配合してなる請求項1〜8のいずれかに記載の塗料用樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】 窒素原子に直接結合した水素原子を有
    さない光安定性化合物(HALS)の塩基定数(PK
    b)が8以上である請求項9記載の塗料用樹脂組成物。
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JP2007009127A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Toray Ind Inc コーティング材料およびそれを用いた光学物品
JP2010024377A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Daicel Chem Ind Ltd 共重合体及び硬化性樹脂組成物
CN110114724A (zh) * 2017-09-27 2019-08-09 株式会社Lg化学 光聚合物组合物

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