JP2002086948A - 感熱性平版印刷用原板 - Google Patents

感熱性平版印刷用原板

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JP2002086948A
JP2002086948A JP2000282026A JP2000282026A JP2002086948A JP 2002086948 A JP2002086948 A JP 2002086948A JP 2000282026 A JP2000282026 A JP 2000282026A JP 2000282026 A JP2000282026 A JP 2000282026A JP 2002086948 A JP2002086948 A JP 2002086948A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル信号に基づいた走査露光後、処理を
行うことなくそのまま印刷機に装着して印刷することが
可能であり、高感度で高い耐刷力を有し、しかも素手で
取り扱っても指紋跡付着を起こさない感熱性平版印刷用
原板を提供する。 【解決手段】 支持体上に、(1)熱により画像部に転
換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性
ポリマーとを含有する感熱層、及び(2)親水性オーバ
ーコート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバー
コート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有
する感熱性平版印刷用原板であって、該親水性オーバー
コート層が水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂
を含有することを特徴とする感熱性平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要のコンピ
ュータ・ツウ・プレートシステム用の感熱性平版印刷用
原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた
赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録
したものは従来のような液体による現像工程を経ること
なしに、そのまま印刷機に装着して印刷することが可能
な平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究が
なされている。その中で、より一層の工程合理化と廃液
処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理
することなしに印刷機に架けられる現像不要な平版印刷
版用原板が研究され、種々の方法が提案されている。有
望な方法の一つは、親水性ポリマー中にマイクロカプセ
ル化された親油性成分を分散した親水性の感熱層を有す
る平版印刷用原板である。感熱層に熱を加えるとマイク
ロカプセルが破壊されて親油性成分が融合し、親水性感
熱層表面を親油性画像部に変換することを応用した方法
である。
【0003】このような熱記録を赤外線レーザ露光によ
って行う製版システムにおいては、版材の感度が高いこ
とが、作業の迅速性にとって重要である。そのために、
感熱性平版印刷用原板には光熱変換剤と呼ばれる赤外線
を吸収し発熱する染料または顔料が使用される。
【0004】特開平7−1849号公報、同7−185
0号公報、特開平10−6468号公報には、親水性ポ
リマー中にマイクロカプセル化された親油性成分を分散
した親水層(感熱層)を有する感熱性平版印刷用原板が
記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報には、レーザ
ー印字の場合、用いるレーザの発光波長領域に吸収帯を
有する光―熱変換物質(光熱変換剤)を使用することが
できると記載されているが、光熱変換剤を上記親油性成
分に含有させても、十分な感度が得られないという問題
があった。更に十分な感度を得るために、親油性成分へ
中に光熱変換剤を多量に添加すると光熱変換剤が析出し
たり、露光後に生成する親油性画像の強度が劣化して耐
刷力が低下するなどの問題を生ずることが分かった。
【0006】種々検討の結果、支持体上に、熱により画
像部に転換するマイクロカプセル化された親油性成分と
親水性ポリマーとを含有する親水層(感熱層)および光
熱変換剤を含有する水溶性オーバーコート層をこの順に
設けた感熱性平版印刷用原板とすることによって、上記
問題が解決できることが分かった(特願平11−346
320号参照)。しかしながら、この感熱性平版印刷用
原板においてもなお、湿気の多い手で版面を触ったとき
に指紋跡が付着するため、取り扱い時は手袋を着用しな
ければならない問題があることが分かった。
【0007】従って、本発明の目的は、上記新たな問題
を更に解決することであり、露光後処理を行うことなく
直接印刷機に装着して印刷することが可能であり、高感
度で高い耐刷力を有し、しかも素手で取り扱っても指紋
跡付着を起こさない感熱性平版印刷用原板を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の
結果、オーバーコート層に水溶性樹脂を部分的に架橋し
た水膨潤性樹脂を含有させることによって、上記目的が
達成されることを見出した。すなわち、本発明は、以下
の通りである。
【0009】支持体上に、(1)熱により画像部に転換
する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性ポ
リマーとを含有する感熱層、及び(2)親水性オーバー
コート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバーコ
ート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有す
る感熱性平版印刷用原板であって、該親水性オーバーコ
ート層が水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂を
含有することを特徴とする感熱性平版印刷用原板。
【0010】本発明の親水性オーバーコート層は、水溶
性樹脂を部分架橋した水膨潤性樹脂を含有する。水溶性
樹脂を部分架橋して耐水性を向上させることによって、
本発明の目的である表面粘着性を抑え、指紋跡の付着を
防止し、平版印刷用原板の取り扱い性を向上できる。そ
の上、この親水性オーバーコート層は、湿し水で膨潤
し、印刷スタート時にブランケット上に転写し、更にそ
れが紙に転写して除去されるため、従来の印刷機上現像
のように、湿し水にオーバーコート層が溶解して印刷に
悪影響を及ぼす問題もない。
【0011】しかし、架橋が進み過ぎるとオーバーコー
ト層が親油性に変化して、印刷機上におけるオーバーコ
ート層の除去が困難になり、印刷スタート時の着肉性も
劣化してくるため、本発明に好適な部分架橋の程度は、
25℃の水中に印刷用原板を浸したときに、30秒〜1
0分の間において親水性オーバーコート層が溶出せず残
存している程度の耐水性を有するものである。この範囲
において、架橋の過不足無く、本発明の効果をより有効
に発揮でき、好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の親水性オーバーコート層に
用いられる水溶性樹脂は、水溶性の天然高分子及び合成
高分子から選ばれ、架橋剤とともに用い、塗布乾燥され
た皮膜がフィルム形成能を有するものである。
【0013】本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の
具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶
性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチ
ルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセ
ルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プ
ルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分
子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水
分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合
体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタク
リル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメ
タクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミ
ン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びその
アルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミ
ド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレー
ト、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニル
メチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン
酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−
1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくは
アミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1
−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩も
しくはアミン塩、等を挙げることができる。また、目的
に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いること
もできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるも
のではない。
【0014】次に、水溶性樹脂の架橋方法について説明
する。オーバーコート層は、上記水溶性樹脂の少なくと
も1種を部分架橋し、感熱層上に形成される。架橋は、
水溶性樹脂の有する反応性官能基を用いて架橋反応する
ことにより行われる。架橋反応は、共有結合性の架橋で
あっても、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0015】架橋反応に用いられる化合物(架橋剤)と
しては、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げら
れ、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリイソ
シアネート化合物、ポリアルコキシシリル化合物、チタ
ネート化合物、アルデヒド化合物、多価金属塩化合物、
ヒドラジンなどが挙げられる。該架橋反応は公知の触媒
を添加し、反応を促進することもできる。
【0016】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0017】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、
ビスフェノール類もしくはそれらの水素添加物とエピハ
ロヒドリンとのポリ縮合物などが挙げられる。
【0018】ポリアミン化合物の具体例としては、エチ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレン
ジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0019】ポリイソシアネート化合物の具体例として
は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソ
シアネート、液状ジフェニルメタンジイソシアネート、
ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネ
ート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イ
ソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、など
の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソ
シアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、
またポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネ
ート付加反応物などが挙げられる。
【0020】ポリアルコキシシリル化合物としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0021】チタネート化合物としては、テトラエチル
オルトシリケート、ビス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)エチレンチタネート、イソプロピルトリアクタノイ
ルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロ
イルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアク
リルチタネート、イソプロピル(ジオクチルホスフェー
ト)チタネート)、イソプロピルトリクミルフェニルチ
タネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノ
エチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテー
トチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネー
ト、イソプロピルトリインステアロイルチタネート、イ
ソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネー
ト、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェート)チ
タネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフ
ァイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリジシ
ルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2ージアリ
ルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホス
ファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェ
ート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチル
パイロホスフェート)オキシアセテートチタネートなど
が挙げられる。
【0022】アルデヒド化合物としては、ホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチル
アルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テ
レフタルアルデヒドなどが挙げられる。
【0023】多価金属塩化合物としては、亜鉛、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、コバ
ルト、マンガン、ニッケル等の金属の水溶性塩が挙げら
れる。
【0024】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。これらの架橋剤のう
ち特に好ましい架橋剤は、水溶性の架橋剤であるが、非
水溶性のものは分散剤によって水に分散して使用するこ
とができる。
【0025】特に好ましい水溶性樹脂と架橋剤の組み合
わせとしては、カルボン酸含有水溶性樹脂/多価金属化
合物、カルボン酸含有水溶性樹脂/水溶性エポキシ樹
脂、水酸基含有樹脂/ジアルデヒド類が挙げられる。
【0026】印刷機上でのオーバーコート層の除去性を
損なうことなく、良好な耐水性が得られる架橋剤の添加
量は、水溶性樹脂と架橋剤の組み合わせによって異なる
ので一概に特定しがたいが、一般的には水溶性樹脂の2
〜10重量%である。
【0027】その他、オーバーコート層には塗布の均一
性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオ
ン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める
割合は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましく
は1〜3重量%である。
【0028】本発明に用いるオーバーコート層の厚みは
0.1〜0.5μmが好ましく、更に好ましい範囲は
0.1〜0.3μmである。
【0029】本発明に用いる感熱層は、熱により画像部
に転換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親
水性ポリマーとを含有する層である。
【0030】本発明の感熱層に用いられる親水性ポリマ
ーとしては、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシ
アルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合
系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ(メタ)アクリル
アミド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアミン
系、ポリビニル系、多糖類系あるいはそれらの複合系等
の、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、
アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ポリ
オキシエチレン基等の親水性官能基を一種類以上かつ複
数個含有する炭素−炭素結合から構成される網目化され
たポリマー、酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原
子の少なくとも一種以上で連結された炭素原子もしくは
炭素−炭素結合から構成される網目化されたポリマー、
またはその側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン
酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド
基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を一種類以
上かつ複数個含有する網目化されたポリマー等が挙げら
れる。
【0031】中でも、側鎖に水酸基、カルボキシル基も
しくはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基もしくはその
アミン塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、
アミノ基もしくはそのハロゲン化水素酸塩、アミド基の
いずれかをあるいはこれらを組み合わせたセグメントを
繰り返し有する親水性ポリマー、さらにこれらの親水性
官能基と主鎖セグメントの一部にポリオキシエチレン基
を有するものは親水性が高く好ましい。これらに加えて
親水性ポリマーの主鎖もしくは側鎖にウレタン結合もし
くはウレア結合を有するものは、親水性のみならず非画
像部の耐刷性も向上するのでさらに好ましい。
【0032】本発明に用いられる親水性ポリマーは、特
開平7−1849号公報、同11−70756号公報に
記載されている親水性ポリマー架橋手段と共に用いるこ
とができる。例えば、イソシアネート化合物、エポキシ
化合物、光重合開始剤、熱重合開始剤または多価金属イ
オンなどの架橋手段と共に用いることができる。
【0033】本発明の感熱層に用いる親油性成分として
は、例えば、フェニルイソシアネート、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシア
ネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジ
ンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリ
レートのオリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネー
ト化合物;
【0034】N,N’−メチレンビスアクリルアミド、
(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリル
アミド、N,N’−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アク
リレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平
均分子量400)、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量600)等の重合
性化合物、
【0035】プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、トリプロピレングリコール ジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ネオペンチルグリコール ジグリシジルエーテル、トリ
メチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノール
Aジグリシジルエーテル、エポキシ基含有反応性ワック
ス等の多官能エポキシ化合物等が使用できる。さらに
は、既存のPS版の画像成分として使用されている架橋
前の公知の、(メタ)アクリルコポリマーやウレタンア
クリレート、ジアゾ樹脂も使用できる。
【0036】親油性成分のカプセル化は、公知のカプセ
ル化法、例えばカプセル膜を作る界面重合法、in−s
itu法、コンプレックスコアセルベート法、有機溶液
系からの相分離法等により行うことができる。
【0037】カプセル外殻表面は、マイクロカプセルが
感熱層に含有された状態で印刷した際に、非画像部の地
汚れが発生しなければ特に限定されるものではないが、
親水性であることが好ましい。マイクロカプセルのサイ
ズは、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5μ
m以下が好ましい。カプセル全体に対する親油性成分の
割合が低すぎると画像形成効率が低下するので平均0.
01μm以上であることが好ましい。
【0038】マイクロカプセル化された親油性成分の使
用量は、印刷用途毎の必要とされる感度、耐刷性の観点
から決めればよい。通常は、マイクロカプセル/親水性
ポリマー重量比率が1/20〜10/1の範囲で使用さ
れる。好ましくは、1/15〜5/1の範囲で使用され
る。この範囲より親油性成分の割合が少なすぎると感度
の低下が顕著になり、親油性成分の割合が多すぎると耐
刷力の低下が顕著になる。
【0039】本発明の親油性成分と併用して、露光部の
可視化を図り検版をしやすくするため、露光部のみが発
色する公知の感熱色素を用いることができる。例えば、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ランとビスフェノールAなどのロイコ染料および粉砕し
た顕色剤の組合せ等がある。
【0040】本発明の感熱層の塗布溶媒としては、水、
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールといっ
たアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンといっ
たケトン類、ジエチレングリコールジエチルエテル、ジ
イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールといったエーテル類、酢酸エ
チル、酢酸ブチルといったエステル類、トルエン、キシ
レンといった芳香族炭化水素、n−ヘキサン、デカリン
といった脂肪族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、アセトニトリルまたはこれらの混合
溶剤を使用することができる。
【0041】本発明の感熱層の塗布、乾燥後に得られる
支持体上の固形分塗布量は、一般的に0.5〜5.0g
/m2が好ましい。塗布方法としては、種々の方法を用
いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転
塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エ
アーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げる
ことができる。
【0042】本発明の感熱性平版印刷用原板は、支持体
と感熱層の間に、有機ポリマーを含有する断熱層を有す
ることができる。断熱層は、赤外線照射により生じた熱
が支持体、特にアルミニウム等金属支持体に拡散して感
度低下させるのを防止する。かかる有機ポリマーとして
は、支持体およびインキ受容層との親和性がよいポリマ
ーが望ましく、感熱層でバインダーポリマーとして用い
られるものが好適である。また、別の好適な有機ポリマ
ーとして、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビニル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができ
る。
【0043】水溶性ポリマーを用いる場合は、該水溶性
ポリマーの架橋剤、例えば、グリオキサール、炭酸亜
鉛、加水分解されたテトラメトキシオルトシリケートあ
るいはテトラエトキシオルトシリケート、アンモニウム
ジルコニルカーボネートなどと共に用いることが好まし
い。架橋剤で水溶性をコントロールすることにより、水
溶性が高すぎて印刷中に網点が細る問題を回避できる。
断熱層には、塗布の均一性を確保する目的で、非イオン
系界面活性剤あるいはフッ素系界面活性剤を添加するこ
とができる。断熱層の乾燥塗布量は、0.1〜5.0g
/m2であることが好ましい。
【0044】本発明においては、感熱層及びオーバーコ
ート層のうち少なくとも一つの層に、赤外線に対する感
度を高めるため、赤外線を吸収して発熱する機能を有す
る光熱変換剤が添加される。また、光熱変換剤は断熱層
に添加することもできる。
【0045】光熱変換剤としては、700nm以上の光
を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用い
る事ができる。顔料としては、市販の顔料及びカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔
料が利用できる。
【0046】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔
料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン
系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0047】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、
界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シ
リカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポ
キシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結
合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、
「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されてい
る。これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線
を発光するレーザでの利用に適する点で好ましい。その
ような赤外線を吸収する顔料としてはカーボンブラック
が特に好ましい。
【0048】本発明の感熱層及びオーバーコート層に添
加する顔料としては、特に水溶性又は親水性の樹脂と分
散しやすく、かつ親水性を損わないように親水性樹脂や
シリカゾルで表面がコートされたカーボンブラックが有
用である。
【0049】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、
サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミ
ル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミ
ル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加
圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0050】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、
「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤
外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動
向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又は特
許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シア
ニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0051】さらに、赤外線吸収染料としては、例えば
特開昭58−125246号、特開昭59−84356
号、特開昭60−78787号等に記載されているシア
ニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−
181690号、特開昭58−194595号等に記載
されているメチン染料、特開昭58−112793号、
特開昭58−224793号、特開昭59−48187
号、特開昭59−73996号、特開昭60−5294
0号、特開昭60−63744号等に記載されているナ
フトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記
載されているスクワリリウム染料、英国特許434,8
75号記載のシアニン染料や米国特許第4,756,9
93号記載の染料、米国特許第4,973,572号記
載のシアニン染料、特開平10−268512号記載の
染料、特開平11−235883号記載のフタロシアニ
ン化合物を挙げることができる。
【0052】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号公報(米国特許第4,327,169号)
記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−18
1051号、同58−220143号、同59−413
63号、同59−84248号、同59−84249
号、同59−146063号、同59−146061号
公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59
−216146号公報記載のシアニン染料、米国特許第
4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリ
ウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702
号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社
製エポライトIII−178、エポライトIII−130、エ
ポライトIII−125等も好ましく用いられる。これら
の中で、オーバーコート層及び感熱層に添加するのに特
に好ましい染料は水溶性染料で、以下に具体例を構造式
で列挙する。
【0053】
【化1】
【0054】
【化2】
【0055】マイクロカプセル中の親油性成分と共に用
いる光熱変換剤、あるいは断熱層用の親油性有機ポリマ
ーと共に用いる光熱変換剤としては、前記の赤外線吸収
染料であっても良いが、好ましくはより親油性の染料が
良い。より好ましい染料として、以下に例示する染料を
挙げることができる。
【0056】
【化3】
【0057】
【化4】
【0058】光熱変換剤のオーバーコート層への添加割
合は、オーバーコート層固形分の1〜70重量%、好ま
しくは2〜50重量%、光熱変換剤が染料の場合、特に
好ましくは2〜30重量%、光熱変換剤が顔料の場合、
特に好ましくは20〜50重量%の割合である。この範
囲内で、オーバーコート層の均一性や膜強度を損なうこ
となく、良好な感度が得られる。
【0059】感熱層への光熱変換剤の添加割合は、好ま
しくは感熱層固形分の1〜70重量%、より好ましくは
2〜50重量%である。
【0060】オーバーコート層に光熱変換剤を添加する
場合は、その添加量に応じて、感熱層の光熱変換剤の添
加量を上記範囲より減少するか、あるいは、無添加にす
ることができる。この添加量削減によって、感熱層への
光熱変換剤の多量添加による光熱変換剤の析出や親油性
画像の強度劣化などを防止できる。
【0061】本発明に使用する支持体としては、寸度的
に安定な板状物が用いられる。紙、親油性のプラスチッ
ク(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アル
ミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス鋼板等)、
プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三
酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロ
ース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセター
ル等)、上記の金属がラミネートまたは蒸着された紙も
しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0062】好ましい基板は、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、ポリカーボートフィルム、アルミニウム
または鋼板、もしくは親油性のプラスチックフィルムが
ラミネートされているアルミニウムまたは鋼板である。
【0063】本発明に使用されるアルミニウム板は、純
アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の
異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウムまた
はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネート
されているものである。アルミニウム合金に含まれる異
元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、
クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあ
る。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下であ
る。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からの
アルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアル
ミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用され
るアルミニウム板は、従来より公知公用の素材のアルミ
ニウム板をも適宜に利用することができる。
【0064】本発明で用いられる上記の基板の厚みは
0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜
0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mm
である。
【0065】アルミニウム板を使用するに先立ち、表面
の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好まし
い。表面処理によりインキ受容層との接着性の確保が容
易になる。
【0066】アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々
の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する
方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学
的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的
方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト
研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることがで
きる。化学的方法としては、特開昭54−31187号
公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽
和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学
的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む電
解液中で交流または直流により行う方法がある。また、
特開昭54−63902号に開示されているように混合
酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0067】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエ
ッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望に
より耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質とし
ては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が
可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理
条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定
し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%
溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれ
ば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.
0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好
ましい。
【0068】本発明で用いられる支持体としては、上記
のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板その
ままでも良いが、上層との接着性、断熱性などの一層の
改良のため、必要に応じて、特願2000−65219
号や特願2000−143387号等に記載されている
陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポア
の封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する
表面親水化処理、親水性化合物の下塗り処理などを適宜
選択して行うことができる。
【0069】上記親水化処理のための好適な親水性化合
物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をも
つ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸
塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ
素化合物などを挙げることができる。
【0070】親水性化合物の下塗り処理としては、ポリ
アクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボキ
シル基を有するポリマー又はその塩の水溶液の下塗り、
もしくはこの水溶液に酢酸カルシウム、酢酸マグネシウ
ム等の水溶性金属塩を加えた水溶液による下塗り等を挙
げることができる。
【0071】本発明の感熱性平版印刷用原板は熱により
画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直
接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン
放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光
などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外
線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出
力赤外線レーザによる露光が好適である。画像露光され
た本発明の印刷用原板は、それ以上の処理なしに印刷機
に装着することができる。又は、印刷用原板を印刷機に
取り付けた後に印刷機上でレーザ露光し、そのまま印刷
することも可能である。
【0072】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】[アルミニウム支持体の製造例]アルミニ
ウム99.5重量%に、銅を0.01重量%、鉄を0.
3重量%、チタンを0.03重量%、ケイ素を0.1重
量%含有するJISA1050アルミニウム材の厚み
0.24mm圧延板を、400メッシュのパミストン
(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と回転ナイロン
ブラシとを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で
洗浄した。これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液
(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニ
ウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした
後、流水で水洗した。更に、1重量%硝酸水溶液で中和
し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5
重量%含有)中で、陽極時電圧10.5V、陰極時電圧
9.3Vの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、
特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電
流波形)を用いて160C/dm2の陽極時電気量で電
解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水
酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解
量が1g/m2になるようにエッチングした後、水洗し
た。次に、50℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬
し、デスマットした後、水洗した。さらに、35℃の硫
酸20重量%水溶液(アルミニウム0.8重量%含有)
中で直流電流を用いて、陽極酸化処理を行った。すなわ
ち、電流密度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調
節により、陽極酸化皮膜重量2.7g/m2の基板を作
製した。次にこの支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナト
リウムの0.2重量%水溶液に浸漬処理し、水洗乾燥し
た。付着量はケイ素として5mg/m2であった。
【0074】[親油性成分を内包したマイクロカプセル
の製造例]コロネートL(25重量%酢酸エチル含有
物)1.26gをグリシジルメタクリレート7.2g中
に均一に溶解させて油性成分を調製した。次いで、蒸留
水120gに、アルギン酸プロピレングリコールエステ
ル(ダックロイドLF、紀文フードケミファ(株)製、
数平均分子量:2×105)2g、ポリエチレングリコ
ール(PEG 400、三洋化成(株)製)0.86g
を混合した水相を調製した。続いて、上記油性成分と水
相をホモジナイザーを用いて6000rpmで室温下混
合乳化した後、60℃で3時間反応させて平均粒径1.
8μmのマイクロカプセルを得た。
【0075】実施例1 [感熱層の塗布]上記製造例で得たアルミニウム支持体
上に、予めペイントシェーカーで室温下30分間よく攪
拌した下記組成の感熱層塗布液をブレードコーターで塗
布し、次いで乾燥して、厚み3.5μmの感熱層を設け
た。
【0076】 (感熱層塗布液) 親水性樹脂(1)の10重量%水溶液 20.0g 製造例のマイクロカプセル 80.0g アルギン酸エステルの3重量%水溶液 300g
【0077】ここで、親水性樹脂(1)は、ポリアクリ
ル酸(日本純薬(株)製、ジュリマーAC10MP)数
平均分子量8万であり、アルギン酸エステルはアルギン
酸プロピレングリコールエステル(紀文フードケミファ
(株)製、ダックロイドLF)である。
【0078】次に、この感熱層を有する基板を塩化第二
錫五水和物(東京化成(株)製)の5%水溶液1.5リ
ットル中に3分間浸漬後、精製水1リットルを用いて1
分間水洗し、感熱層を架橋させた。
【0079】[感熱性平版印刷用原板の作製]上記感熱
層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液OC−1を
バー塗布し、100℃、90秒間乾燥して、乾燥塗布重
量0.22g/m2のオーバーコート層を有する感熱性
平版印刷用原板(1)を作製した。
【0080】 (オーバーコート層塗布液OC−1) アラビアガム(28重量%水溶液) 1.5g 光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール (10重量%水溶液) 0.168g 酢酸カルシウム(10重量%水溶液) 0.3g イオン交換水 22g
【0081】[露光および印刷評価]上記のように作製
した印刷用原板を、CREO社製TRENDSETTER(40Wの8
30nm半導体レーザーを搭載したプレートセッター)
に取付け、エネルギー量を振って露光した。次いで、版
全面をケミカルランプで6J/cm2照射した。印刷原
板をそれ以上の処理をしないでハリスオーレリア印刷機
に取付け、プレートエッチ液EU−3(富士写真フイル
ム(株)製)/水/イソプロピルアルコール(容量比1
/99/10)からなる湿し水と、大日本インキ化学工
業(株)製ジオスG墨インキを用いて印刷した。その結
果、400mJ/m2が適正な露光エネルギー量(感
度)であった。この適正露光量で露光した印刷版を印刷
したところ、3万枚の汚れのない良好な印刷物が得られ
た。
【0082】感熱性平版印刷用原板(1)は、素手で版
面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、上記オー
バーコート層から酢酸カルシウムを除いて作製した感熱
性平版印刷用原板は、若干指紋跡が付着した。機上現像
性は、酢酸カルシウムの有無で差異はなかった。25℃
の水に1分間浸してオーバーコート層の除去性を調べた
ところ、酢酸カルシウム有りでは、ほぼ完全にオーバー
コート層は残存していたが、酢酸カルシウム無しでは、
約半分近くが溶解流出した。25℃の水に11分間浸し
た場合は、酢酸カルシウム有りでもオーバーコート層の
流出が起こっていた。この結果から、オーバーコート層
を部分架橋することによって、版面の耐水性が向上した
ことが分かる。
【0083】実施例2 実施例1のオーバーコート層塗布液OC−1を下記組成
のオーバーコート層塗布液OC−2に代えた以外は実施
例1と同様にして感熱性平版印刷用原板(2)を作製し
た。オーバーコート層の乾燥塗布重量0.24g/m2
であった。
【0084】 (オーバーコート層塗布液OC−2) ソヤガムK−31(28%含有水溶液) 1.5g 光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール (10重量%水溶液) 0.168g 酢酸マグネシウム(10重量%水溶液) 0.4g イオン交換水 22g ここで、ソヤガムK−31は、不二製油(株)製の水溶
性大豆多糖類である。
【0085】感熱性平版印刷用原板(2)を実施例1と
同様に400mJ/m2で露光し、印刷したところ、3
万枚の汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0086】感熱性平版印刷用原板(2)は、素手で版
面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、実施例2
のオーバーコート層から酢酸マグネシウムを除いて作製
したものは、指紋跡がはっきり付着した。機上現像性
は、酢酸マグネシウムの有無で差異はなかった。25℃
の水に1分間浸した時のオーバーコート層除去性は、酢
酸マグネシウム有りでは、ほぼ完全にオーバーコート層
は残存していたが、酢酸マグネシウム無しでは、ほぼ1
00%が溶解流出した。25℃の水に11分間浸した場
合は、酢酸マグネシウム有りでもオーバーコート層の流
出が起こっていた。この結果から、版面の耐水性が向上
したことが分かる。
【0087】実施例3 実施例1のオーバーコート層塗布液OC−1を下記組成
のオーバーコート層塗布液OC−3に代えた以外は実施
例1と同様にして感熱性平版印刷用原板(3)を作製し
た。オーバーコート層の乾燥塗布重量0.26g/m2
であった。
【0088】 (オーバーコート層塗布液OC−3) ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5万、 28重量%水溶液) 1.5g 光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール (10重量%水溶液) 0.168g 酢酸マグネシウム(10重量%水溶液) 0.8g イオン交換水 22g
【0089】感熱性平版印刷用原板(3)を実施例1と
同様に露光、印刷したところ、刷り出し5枚目で完全に
インキが着肉し、その後3万枚の汚れのない良好な印刷
物が得られた。
【0090】感熱性平版印刷用原板(3)は、素手で版
面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、実施例3
のオーバーコート層から酢酸マグネシウムを除いて作製
したものは、指紋跡がはっきり付着した。機上現像性
は、酢酸マグネシウムの有無で差異はなかった。25℃
の水に1分間浸した時のオーバーコート層除去性は、酢
酸マグネシウム有りでは、ほぼ完全にオーバーコート層
は残存していたが、酢酸マグネシウム無しでは、100
%完全に溶解流出した。25℃の水に11分間浸した場
合は、酢酸マグネシウム有りでもオーバーコート層の流
出が起こっていた。この結果から、版面の耐水性が向上
したことが分かる。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、露光後処理を行うこと
なく直接印刷機に装着して印刷することが可能であり、
高感度で高い耐刷力を有し、しかも素手で取り扱っても
指紋跡付着を起こさない感熱性平版印刷用原板を提供で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AA13 AB03 AC08 AD01 BH03 CC11 DA02 DA10 DA40 FA10 2H096 AA06 BA20 EA04 EA23 2H114 AA04 AA22 AA24 AA27 BA01 DA04 DA25 DA28 DA46 DA52 DA73 DA78 EA01 EA03 FA16 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、(1)熱により画像部に転
    換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性
    ポリマーとを含有する感熱層、及び(2)親水性オーバ
    ーコート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバー
    コート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有
    する感熱性平版印刷用原板であって、該親水性オーバー
    コート層が水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂
    を含有することを特徴とする感熱性平版印刷用原板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106364209A (zh) * 2016-11-04 2017-02-01 中国科学院理化技术研究所 一种含感热保护层的热敏免处理的平版印刷版材料及应用

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