JP2002085068A - 免疫寛容の誘導方法 - Google Patents

免疫寛容の誘導方法

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JP2002085068A
JP2002085068A JP2000272863A JP2000272863A JP2002085068A JP 2002085068 A JP2002085068 A JP 2002085068A JP 2000272863 A JP2000272863 A JP 2000272863A JP 2000272863 A JP2000272863 A JP 2000272863A JP 2002085068 A JP2002085068 A JP 2002085068A
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allergen
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Toshiya Muranaka
俊哉 村中
Takeshi Shinkawa
武 新川
Hiroshi Kiyono
宏 清野
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒト等の動物に、効率的に免疫寛容を誘導する
方法等を提供可能とする。 【解決手段】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープ
のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDN
Aが発現可能なように導入された形質転換植物の有効量
を動物に経口摂取させることを特徴とする該動物におけ
る該アレルゲンタンパク質に対する免疫寛容の誘導方法
等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫寛容の誘導方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫寛容は、アレルギー反応が抑制もし
くは緩和される現象として知られている。本来生体内に
侵入した異物を排除して生体を守るためにはたらく免疫
システムが、異物(以下、アレルゲンと記す。)の侵入
に対して過剰にあるいは異常にはたらくことによって引
き起こされるアレルギー性疾患(からだとアレルギーの
しくみ、上野川修一著、日本実業出版社、1998年)を、
アレルゲンに含まれるタンパク質もしくはその断片を徐
々に量を増やしながら一定期間連続投与することによ
り、免疫寛容が誘導される(Weiner Immunology Today
18, 335-349 (1997)、Strobel and Mowat Immunology T
oday 19, 173-181 (1998))。これまでに、いくつかの
アレルゲンに含まれるタンパク質もしくはその断片を経
口投与することによって、免疫寛容が誘導される例が報
告されている(Hoyne et al., Immunology 83, 190-195
(1994)、Hirahara et al. J. Allergy Clin. Immunol.
102,961-967 (1998))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アレルゲンに
含まれるタンパク質もしくはその断片をそのまま経口投
与すると、該タンパク質もしくはその断片が腸管に達し
吸収されるまでに消化液等により分解され、その結果免
疫寛容の誘導効果の面で必ずしも十分とはいえない場合
があった。このため、ヒト等の動物に対して、従来より
も効率的に免疫寛容を誘導する新たな方法の開発が望ま
れていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは鋭意努力した結果、アレルゲンに含まれるタン
パク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドを有する植物を動物に経口摂取させることによ
って、該動物に免疫寛容を誘導することができることを
見出して、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1)アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAが発
現可能なように導入された形質転換植物の有効量を動物
に経口摂取させることを特徴とする該動物における該ア
レルゲンタンパク質に対する免疫寛容の誘導方法、
(2)DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞エピト
ープのアミノ酸配列を複数個有するポリペプチドをコー
ドするDNAである前項1に記載の誘導方法、(3)D
NAが、アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープのア
ミノ酸配列と消化管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配
列とを有するポリペプチドをコードするDNAである前
項1に記載の誘導方法、(4)DNAが、アレルゲンタ
ンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列と植物性タ
ンパク質のアミノ酸配列とを有するポリペプチドをコー
ドするDNAである前項1に記載の誘導方法、(5)D
NAが、アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープのア
ミノ酸配列、消化管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配
列および植物性タンパク質のアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードするDNAである前項1に記載の誘導
方法、(6)消化管粘膜結合性タンパク質が、エンテロ
トキシンである前項3または5に記載の誘導方法、
(7)消化管粘膜結合性タンパク質が、コレラ毒素Bサ
ブユニットまたは大腸菌熱不安定毒素Bサブユニットで
ある前項3または5に記載の誘導方法、(8)植物性タ
ンパク質が、植物貯蔵タンパク質であることを特徴とす
る前項4または6に記載の誘導方法、(9)アレルゲン
タンパク質に対する動物の免疫寛容を誘導するための、
アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配
列を有するポリペプチドをコードするDNAが発現可能
なように導入された形質転換植物の使用、(10)アレ
ルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードするDNAが発現可能なよ
うに導入された形質転換植物、(11)DNAが、アレ
ルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列を
複数個有するポリペプチドをコードするDNAである前
項10に記載の形質転換植物、(12)DNAが、アレ
ルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列と
消化管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配列とを有する
ポリペプチドをコードするDNAである前項10に記載
の形質転換植物、(13)DNAが、アレルゲンタンパ
ク質のT細胞エピトープのアミノ酸配列と植物性タンパ
ク質のアミノ酸配列とを有するポリペプチドをコードす
るDNAである前項10に記載の形質転換植物、(1
4)DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
プのアミノ酸配列、消化管粘膜結合性タンパク質のアミ
ノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするDNAである前項10に記
載の形質転換植物、(15)消化管粘膜結合性タンパク
質が、エンテロトキシンである前項12または14に記
載の形質転換植物、(16)消化管粘膜結合性タンパク
質が、コレラ毒素Bサブユニットまたは大腸菌熱不安定
毒素Bサブユニットである前項12または14に記載の
形質転換植物、(17)植物性タンパク質が、植物貯蔵
タンパク質であることを特徴とする前項13または14
に記載の形質転換植物、(18)植物性タンパク質が、
ニンジン根部貯蔵タンパク質である前項13または14
に記載の形質転換植物、(19)アレルゲンが、植物由
来のアレルゲンである前項10に記載の形質転換植物、
(20)アレルゲンが、動物由来のアレルゲンである前
項10に記載の形質転換植物、(21)前項10に記載
の形質転換植物を含む免疫寛容誘導組成物、(22)前
項10に記載の形質転換植物と経口摂取可能な物質とを
混合する工程を含むことを特徴とする免疫寛容誘導組成
物の製造方法、(23)アレルゲンタンパク質のT細胞
エピトープのアミノ酸配列および消化管粘膜結合性タン
パク質のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(24)
アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープのアミノ酸配
列および植物性タンパク質のアミノ酸配列を有するポリ
ペプチド、(25)アレルゲンタンパク質のT細胞エピ
トープのアミノ酸配列および消化管粘膜結合性タンパク
質のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするD
NA、および(26)アレルゲンタンパク質のT細胞エ
ピトープのアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA、を
提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。なお、以下に記述された遺伝子工学的方法は、例
えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd
edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess, ISBN 0-87969-309-6、「CurrentProtocols in Mol
ecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. IS
BN 0-471-50338-X等に記載される通常の方法に準じて実
施可能である。
【0006】本発明において、アレルゲンタンパク質
は、アレルゲンに含まれ、動物に対してアレルギー反応
を起こし得るタンパク質をいう。アレルゲンとして、例
えば、花粉、植物性食物等の植物由来のアレルゲン、動
物性食物、昆虫、ダニ、動物体内寄生虫、動物体毛もし
くは動物上皮組織等の動物由来のアレルゲン等のアレル
ゲンに含まれるアレルゲンタンパク質を挙げることがで
きる。より具体的には、例えば、花粉であるアレルゲン
としては、コムギ属、コヌカグサ属、スズメノヒエ属等
の属に属するイネ科植物や、ハルガヤ、ギョウギシバ、
カモガヤ、ヒロハウシノケグサ、ホソムギ、オオアワガ
エリ、アシ、ナガハグサ、セイバンモロコシ、コスズメ
ノチャヒキ、ライムギ、シラゲガヤ、オートムギ、オオ
スズメノテッポウ等のイネ科植物、タンポポ属、オカヒ
ジキ属、オナモミ属、ハマアカザ属、ヒカゲミズ属、イ
ラクサ属等の属に属するイネ科以外の雑草や、ブタク
サ、ブタクサモドキ、オオブタクサ、ニセブタクサ、ニ
ガヨモギ、ヨモギ、フランスギク、ヘラオオバコ、シロ
ザ、アキノキリンソウ、アオゲイトウ、イソホウキ、ヒ
メスイバ、カナムグラ等のイネ科以外の雑草、カエデ
属、ハンノキ属、シラカンバ属、ハシバミ属、ブナ属、
ビャクシン属、コナラ属、ニレ属、クルミ属、ヤナギ
属、ハコヤナギ属、トネリコ属、マツ属、ユーカリ属、
アカシア属、クワ属等の属に属する樹木や、カエデバス
ズカケノキ、スギ、ヒノキ、ペカン、オリーブ等の樹木
などが例示できる。植物性食物であるアレルゲンとして
は、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、トウモロコシ、
米、ソバ、キビ、アワ、ヒエなどの穀類、アーモンド、
ココナッツ、ピーナッツ、大豆、エンドウ、インゲン、
ハシバミ、ブラジルナッツなどの豆あるいはナッツ類、
イチゴ、オレンジ、キウイ、ジャガイモ、セロリ、タマ
ネギ、トマト、パセリ、ニンジン、ニンニク、マンゴ、
メロン、リンゴ、カボチャ、グレープフルーツ、サクラ
ンボ、ナシ、サツマイモ、タケノコ、ホウレンソウなど
の果物・野菜類、その他ゴマ、マスタードなどが例示で
きる。また、その他の植物由来のアレルゲンとして、ゴ
ムラテックスなどを例示できる。動物性食物であるアレ
ルゲンとしては、豚肉、鶏肉、羊肉などの肉類、タラ、
カニ、エビ、マグロ、サケ、ムラサキガイ、ロブスタ
ー、サバ、アジ、イワシ、イカ、タコなどの魚介類、そ
の他、卵白、卵黄、牛乳、チーズ等が例示できる。昆虫
であるアレルゲンとしては、ヤブカ属、ユスリカ属等の
属に属する昆虫や、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバ
チ、ゴキブリ、ガ等が例示できる。ダニであるアレルゲ
ンとしては、ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ア
シブトコナダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ、
イエニクダニなどが例示できる。動物体内寄生虫である
アレルゲンとしては、アニサキス、カイチュウ、ホウチ
ュウ、ジュウケツキュウチュウなどが例示できる。動物
体毛もしくは動物上皮組織であるアレルゲンとしては、
ネコ上皮組織、イヌ上皮組織、ウマ皮屑、ウシ皮屑、イ
ヌ皮屑、モルモット上皮組織、ヤギ上皮組織、ヒツジ上
皮組織、ウサギ上皮組織、ブタ上皮組織、ハムスター上
皮組織、ラット上皮組織、マウス上皮組織、ガチョウ羽
毛、ニワトリ羽毛、アヒル羽毛、セキセイインコ羽毛な
どが挙げられる。また、その他の動物由来のアレルゲン
として、セキセイインコ血清、セキセイインコのふん、
ハトのふん、マウス尿などを例示できる。
【0007】本発明方法では、あるアレルゲンに対する
免疫寛容を動物に誘導させる場合、そのアレルゲンに含
まれるアレルゲンタンパク質をT細胞エピトープの起源
として選択する。例えば、上記したアレルゲンのうち、
卵白に対する免疫寛容を該動物に誘導させる場合、卵白
に含まれるアレルゲンタンパク質、例えば卵白アルブミ
ン(以下、OVAと記す。)をT細胞エピトープの起源とし
て選択することができる。また、スギ花粉に対する免疫
寛容を該動物に誘導させる場合、スギ花粉に含まれてい
るアレルゲンタンパク質、例えばCry j 1 (Yasuda et a
l., J. AllergyClin. Immunol. 71, 77-86 (1983)、Son
e et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 199, 619-
625 (1994)) やCry j 2 (Sakaguchi et al., Allergy 4
5, 309-312 (1990)、Namba et al., FEBS Lett. 353, 1
24-128 (1994))をT細胞エピトープぺプチドの起源とし
て選択することができる。
【0008】ひとつの抗体と交差反応を示す複数種のア
レルゲンをパンアレルゲンと総称する。あるパンアレル
ゲンに対する免疫寛容を該動物に誘導させる場合、パン
アレルゲンのうち、いずれか一つのアレルゲンに含まれ
るアレルゲンタンパク質をT細胞エピトープの起源とし
て選択することができる。例えば、シラカンバ属花粉、
サクランボ果実、リンゴ果実、ナシ果実、またはセロリ
茎に対する免疫寛容を該動物に誘導させる場合、シラカ
ンバ属花粉に含まれるアレルゲンタンパク質、Bet v 1
(Breiteneder et al., EMBO J. 8, 19935-19938 (198
9))、サクランボ果実に含まれるPru a 1 (Scheurer et
al., Mol. Immunol. 34, 619-629 (1997))、リンゴ果実
に含まれるMal d 1 (Vanek-Krebitz et al., Biochem.
Biophys.Res. Commun. 214, 538-551 (1995))、ナシ果
実に含まれるPyr c 1 (GENBANK アクセッション番号 AF
057030)、セロリ茎に含まれるApi g 1 (Breiteneder et
al., Eur. J. Biochem. 233, 484-489 (1995))などの
アレルゲンタンパク質の中から、T細胞エピトープぺプ
チドの起源となるアレルゲンタンパク質を選択すること
ができる。
【0009】アレルゲンタンパク質は、前記アレルゲン
から通常のタンパク質の精製方法、例えば、社団法人日
本生化学会編、新生化学実験講座I:タンパク質I、東
京化学同人(1990)、竹縄忠臣、稲垣昌樹編、バイオマニ
ュアルシリーズ7:分子生物学研究のためのタンパク実
験法、羊土社(1994)などに記載の方法に準じた方法を用
いて取得することができる。アレルゲン中のタンパク質
がアレルゲンタンパク質であるかどうかは、タンパク質
の各精製過程で得られる粗精製画分もしくは精製タンパ
ク質が動物に対してアレルギーを引き起こすかどうか
を、公知の方法、たとえば動物の皮膚へのパッチテスト
等を用いて調べることができる。上記のようにして精製
して得られたアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列は、
通常の方法、例えばアミノ酸シークエンサーを用いて決
定することができる。また、いくつかのアレルゲンタン
パク質はすでにアミノ酸配列が同定されている。たとえ
ば、スギ花粉アレルゲンタンパク質としては、Cry j1、
Cry j2 (Namba et al. Fed. Eur. Biochem. Soc. 353,
124-128 (1994), Sone et al. Biochem. Biophys. Res.
Commun. 199, 615-619 (1994))が、ダニアレルゲンタ
ンパク質としては、コナヒョウダニアレルゲンタンパク
質Der fI (Dilworth et al. Clin. Exp. Allergy 21, 2
5-32 (1991))、ヤケヒョウダニアレルゲンタンパク質De
r pI (Chua et al. J. Exp. Med. 167, 175-182 (198
8))などが知られている。これらのアレルゲンタンパク
質は、GENBANKなどのデータベースにそのアミノ酸配列
および該アミノ酸配列をコードする塩基配列が開示され
ていることから、該配列情報に基づいて通常の遺伝子工
学的手法を用いて、前記アレルゲンタンパク質を取得す
ることもできる。
【0010】本発明において「T細胞エピトープ」と
は、アレルゲンタンパク質の中で、T細胞により認識さ
れT細胞レセプターに直接接する領域をいう。アレルゲ
ンタンパク質上のT細胞エピトープを同定するには、例
えば、O'Hehir et al. Annu. Rev.Immunol. 9, 67-95
(1991)、Sercarz et al. Annu. Rev. Immunol. 11, 729
-766 (1993)等に記載のアレルゲンタンパク質中のエピ
トープ予測法に準じた方法を用いればよい。例えば、抹
消血リンパ球もしくはT細胞を、それぞれ約15〜約30残
基からなりアレルゲンタンパク質の全一次構造をカバー
するオーバーラップペプチドおよび抗原提示細胞ととも
に培養し、これらのオーバーラップペプチドに対するT
細胞の応答を、例えば、[3H]チミジンの取り込み量
によって測定し、応答のあったペプチドを同定すること
によって行うことができる。なお、アレルゲンタンパク
質のアミノ末端あるいはカルボキシル末端のアミノ酸残
基が順次欠失されてなるペプチドを合成し、これらのペ
プチドに対するT細胞応答の変化を調べることによっ
て、正確なエピトープ部位を同定することができる。ま
た、共通領域を含む2つ以上のペプチドがT細胞応答を
示す場合は、該共通領域の全部または一部を含む新たな
ペプチドを合成し、同様にT細胞応答の変化を調べるこ
とによって、正確なエピトープ部位を同定することもで
きる。本発明において用いられるT細胞エピトープは、
アミノ酸残基で約6残基〜約20残基であることが好ま
しい。T細胞エピトープとしては、例えば、スギ花粉ア
レルゲンタンパク質Cry j2のT細胞エピトープ(Hashigu
chi et al. Allergy 51, 621-632 (1996))や、各種ダ
ニアレルゲンタンパク質のT細胞エピトープ(O'Hehir e
t al. Ann. Rev. Immunol. 9, 67-95 (1991))、卵白ア
ルブミンのT細胞エピトープ(Kozono et al. Nature 36
9, 151-154 (1994))などが同定されている。
【0011】T細胞エピトープのアミノ酸配列を有する
ポリペプチドとしては、T細胞エピトープのアミノ酸配
列を1個有するポリペプチドであってもよく、T細胞エ
ピトープのアミノ酸配列を複数個有するポリペプチドで
あってもよい。複数個の場合、同一のT細胞エピトープ
のアミノ酸配列を複数個有していてもよく、また、異な
るT細胞エピトープのアミノ酸配列を複数個有していて
もよい。さらに、T細胞エピトープのアミノ酸配列を有
するポリペプチドとしては、T細胞エピトープのアミノ
酸配列と消化管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配列と
を有するポリペプチドであってもよく、T細胞エピトー
プのアミノ酸配列と植物性タンパク質のアミノ酸配列と
を有するポリペプチドであってもよく、T細胞エピトー
プのアミノ酸配列、消化管粘膜結合性タンパク質のアミ
ノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドであってもよい。ここで、「消化管粘膜
結合性タンパク質」とは、胃、小腸、大腸、十二指腸な
どの消化管の粘膜に直接的に、または粘膜上に存在する
糖脂質などのレセプターを介して間接的に結合する能力
を持つタンパク質のことを言う。たとえば、コレラ毒素
Bサブユニット(Lockman and Kaper, J. Bio. Chem. 25
8, 13722-13726 (1983))、熱安定大腸菌毒素Bサブユニ
ット(Yamamoto et al., J. Bacteriol. 152, 506-50
9)などの動物の腸管上皮細胞に結合するエンテロトキ
シンやパイエル板のM細胞に特異的に結合するタンパク
質を挙げることができる。「植物性タンパク質」とは、
植物由来のタンパク質を意味し、ニンジン根部貯蔵タン
パク質(Yamamoto et al.、Plant Cell Physiol. 38: 1
080-1086 (1997))、ダイズ種子貯蔵タンパク質(Niels
en et al. Plant Cell 1, 313-328 (1989))、イネ種子
貯蔵タンパク質(Shyur et al., Plant Mol Biol. 20, 3
23-326 (1992))、リンゴ果実貯蔵タンパク質、バナナ果
実貯蔵タンパク質、トマト実貯蔵タンパク質、ジャガイ
モ塊茎貯蔵タンパク質、サツマイモ根部貯蔵タンパク質
などの植物貯蔵タンパク質等を例示することができる。
T細胞エピトープのアミノ酸配列を有するポリペプチド
としては、小胞体残留シグナル、葉緑体移行シグナル、
ミトコンドリア移行シグナル、液胞移行シグナル、細胞
間隙移行シグナルなどをさらに含むこともできる。
【0012】T細胞エピトープのアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするDNAは、次のようにして得る
ことができる。例えば、T細胞エピトープの起源となる
アレルゲンタンパク質を有する材料を液体窒素中で凍結
させた後、乳鉢などにより物理的に磨砕することにより
細かい粉末状の組織片とする。該組織片から通常の方法
によりRNAを抽出する。該抽出操作には、市販のRNA抽出
キットを利用することができる。そして、得られたRNA
抽出液からエタノール沈澱により全RNAを回収する。次
に、回収した全RNAから通常の方法によりポリAを有する
RNAを分画する。該分画操作には、市販のOligo dTカラ
ムを利用することができる。得られた画分(ポリAを有す
るRNA)から通常の方法によりcDNAを合成する。該合成操
作には、市販のcDNA合成キットを利用することができ
る。次いで、T細胞エピトープのN末端のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するセンスオリゴヌクレオチド
プライマー、および該T細胞エピトープのC末端のアミノ
酸配列をコードする塩基配列を相補するアンチセンスオ
リゴヌクレオチドプライマーを合成し、これらのプライ
マーを組みわせて用い、前記cDNAを鋳型とするPCRを行
なうことにより、T細胞エピトープをコードするDNAを取
得することができる。取得されたDNAは、「Molecular C
loning: A Laboratory Manual 2nd edition」 (1989),C
old Spring Harbor Laboratory Press、 「Current Pro
tocolsIn Molecular Biology」 (1987),John Wiley & S
ons,Inc.ISBN0-471-50338-X等に記載される通常の方法
に準じてサブクローニングすることができる。具体的に
は、例えばInvitrogen社のTAクローニングキットやStra
tagene社のpBluescriptIIなどのプラスミドベクターを
用いることでクローニングすることができる。クローニ
ングされたDNAの塩基配列の確認は、F.Sanger, S.Nickl
en, A.R.Coulson著、Proceedings of National Academy
of Science U.S.A.(1977), 74, 5463頁-5467頁等に記
載されるダイデオキシターミネーティング法により行な
うことができる。例えば、市販のパーキンエルマー社の
ABI PRISM Dye Terminator CycleSequencing Ready Rea
ction Kitなどを用いると良い。また、T細胞エピトープ
をコードするDNAは、通常の合成法により化学合成する
こともできる。
【0013】消化管粘膜結合性タンパク質もしくは植物
性タンパク質をコードするDNAは、次のようにして得る
ことができる。例えば、消化管粘膜結合性タンパク質も
しくは植物性タンパク質を有する材料を液体窒素中で凍
結させた後、乳鉢などにより物理的に磨砕することによ
り細かい粉末状の組織片とする。該組織片から通常の方
法によりRNAを抽出する。該抽出操作には、市販のRNA抽
出キットを利用することができる。そして、得られたRN
A抽出液からエタノール沈澱により全RNAを回収する。次
に、回収した全RNAから通常の方法によりポリAを有する
RNAを分画する。該分画操作には、市販のOligodTカラム
を利用することができる。得られた画分(ポリAを有する
RNA)から通常の方法によりcDNAを合成する。該合成操作
には、市販のcDNA合成キットを利用することができる。
一方、消化管粘膜結合性タンパク質もしくは植物性タン
パク質を、通常のタンパク質の精製方法、例えば、社団
法人日本生化学会編、新生化学実験講座I:タンパク質
I、東京化学同人(1990)、竹縄忠臣、稲垣昌樹編、バイ
オマニュアルシリーズ7:分子生物学研究のためのタン
パク実験法、羊土社(1994)などに記載の方法に準じた方
法を用いて取得し、そのアミノ酸配列を決定する。決定
されたアミノ酸配列を基にして、消化管粘膜結合性タン
パク質もしくは植物性タンパク質のN末端のアミノ酸配
列をコードする塩基配列を有するセンスオリゴヌクレオ
チドプライマーと、該消化管粘膜結合性タンパク質もし
くは該植物性タンパク質のC末端のアミノ酸配列をコー
ドする塩基配列を相補するアンチセンスオリゴヌクレオ
チドプライマーとを合成し、これらのプライマーを組み
わせて用い、前記cDNAを鋳型とするPCRを行なうことに
より、消化管粘膜結合性タンパク質もしくは植物性タン
パク質をコードするDNAを取得することができる。取得
されたDNAは、「Molecular Cloning:A Laboratory Manu
al 2nd edition」 (1989), Cold Spring Harbor Labora
tory Press、「Current Protocols In Molecular Biolo
gy」 (1987),John Wiley & Sons,Inc.ISBN0-471-50338-
X等に記載される通常の方法に準じてサブクローニング
することができる。具体的には、例えばInvitrogen社の
TAクローニングキットやStratagene社のpBluescriptII
などのプラスミドベクターを用いることでクローニング
することができる。クローニングされたDNAの塩基配列
の確認は、F.Sanger, S.Nicklen, A.R.Coulson著、Proc
eedings of National Academy of Science U.S.A.(197
7), 74, 5463頁-5467頁等に記載されるダイデオキシタ
ーミネーティング法により行うことができる。例えば、
市販のパーキンエルマー社の ABI PRISM Dye Terminato
r Cycle Sequencing Ready Reaction Kitなどを用いる
と良い。また、消化管粘膜結合性タンパク質もしくは植
物性タンパク質のアミノ酸配列の一部をコードする塩基
配列を有するオリゴヌクレオチドをプローブとするハイ
ブリダイゼーション法によっても、消化管粘膜結合性タ
ンパク質もしくは植物性タンパク質をコードするDNAを
取得することができる。さらにまた、消化管粘膜結合性
タンパク質もしくは植物性タンパク質をコードするDNA
は、通常の合成法により化学合成することもできる。
【0014】T細胞エピトープのアミノ酸配列と、消化
管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配列もしくは植物性
タンパク質のアミノ酸配列とを有するポリペプチドをコ
ードするDNAを調製する場合には、例えばMolecular
Cloning:A Laboratory Manual 2nd edition」 (1989),C
old Spring Harbor Laboratory Press、 「Current Pro
tocols In Molecular Biology」 (1987),John Wiley &
Sons,Inc.ISBN0-471-50338-X等に記載される通常の方法
に準じて、それぞれのアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをコードするDNAをフレームをあわせて連結させれば
よい。この時、該DNAを連結する順序は問わないが、翻
訳開始コドンであるatgが、該DNAを連結して得られるD
NAの5'末端に位置するように調製する。翻訳開始コド
ンatgは、T細胞エピトープをコードするDNA、消化管粘
膜結合性タンパク質もしくは植物性タンパク質をコード
するDNAにあらかじめ含まれているものを用いることが
できる。あるいは、PCR法などの通常の遺伝子操作の方
法によって、連結されたDNAの5'上流にatgを付加または
置換することもできる。さらにまた、DNAリンカーなど
を用いて連結されたDNAの5'末端にatgを付加することも
できる。また、T細胞エピトープをコードするDNAと、消
化管粘膜結合性タンパク質をコードするDNA、もしく
は、植物性タンパク質をコードするDNAは、直接連結し
てもよいし、通常の遺伝子操作の方法によって、連結部
分にフレームが合うようにリンカーDNAを挿入すること
もできる。また、前記のT細胞エピトープをコードする
DNA、消化管粘膜結合性タンパク質をコードするDNAおよ
び植物性タンパク質をコードするDNAは、植物での発現
に適するように、通常の方法により使用コドンを変更す
ることができる。
【0015】前記のようにして調製されたDNAを発現
可能なように宿主植物に導入するためには、植物におい
て使用可能な発現ベクターの構築すればよい。例えばま
ず、使用するT細胞エピトープのアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするDNAと、植物細胞においてプ
ロモーター活性を示すDNAとを通常の遺伝子工学的方
法を用いて連結すればよい。植物細胞においてプロモー
ター活性を示すDNAとは、形質転換される植物細胞で
プロモーターとして機能可能なDNAであって、例え
ば、ノパリン合成酵素遺伝子(NOS)プロモーター、オク
トピン合成酵素遺伝子(OCS)プロモーターなどのT-DNA由
来の構成型プロモーター、カリフラワーモザイクウイル
ス(CaMV)由来の19S及び35Sプロモーターなどの植物ウイ
ルス由来のプロモーター、フェニルアラニンアンモニア
リアーゼ(PAL)遺伝子プロモーター、カルコンシンター
ゼ(CHS)遺伝子のプロモーター、Pathogenesis-related
protein(PR)遺伝子のプロモーターなどの誘導プロモー
ターなどをあげることができる。また、特定の植物組織
の細胞で特異的に発現するようなプロモーター、例え
ば、ダイズ由来種子貯蔵タンパク質グリシニン遺伝子の
プロモーター(特開平06-189777)などもあげることが
できる。さらに、T細胞エピトープのアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードするDNAにターミネーター機
能を有するDNAを連結させてもよい。この場合、T細胞エ
ピトープのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
するDNAの下流にターミネーターが位置するように連結
させると一般的によい。用いられるターミネーターは、
形質転換される植物細胞で機能可能なDNAであれば特
に制限はないが、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子(NO
S)ターミネーターなどのT-DNA由来の構成型ターミネー
ター、ニンニクウイルスGV1、GV2のターミネーターなど
の植物由来のターミネーターなどをあげることができ
る。T細胞エピトープのアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードするDNAは、通常の遺伝子工学的方法によ
って、植物細胞に導入するためのベクターに挿入するこ
とができる。必要であれば、適当な選抜マーカー遺伝子
等を有するベクターを使用してもよい。用いられるベク
ターとしては、例えば、大腸菌、酵母、植物等由来の細
胞内で増幅可能なプラスミド、ファージ、ファージミッ
ド等があげられる。具体的には、例えば、pUC系プラス
ミド[pUC118,pUC119(宝酒造製)など]、pSC101系プラ
スミド、Ti-プラスミド[pBI101,pBI121(CLONTECH社
製)など]、ブルースクリプト系ファージミッド[pBlues
cript SK(+/-)(STRATAGENE社製)など]、M13系ファージ
[mp10,mp11(Amersham社製)など]、λ系ファージ[λgt1
0、λgt11 (Amersham社製)など]、コスミッド類[SuperC
osI(STRATAGENE社製)など]等が挙げられる。
【0016】前記のようにして調製された発現ベクター
を、通常の遺伝子工学的方法に準じて宿主である植物の
細胞に導入することにより、本発明形質転換植物を得る
ことができる。例えば、アグロバクテリウム感染方法
(特公平2-58917および特開昭60-70080)、プロトプラス
トへのエレクトロポレーション方法(特開昭60-251887お
よび特開平5-68575)、またはパーティクルガン方法(特
開平5-508316および特開昭63-258525)などの方法により
植物細胞に導入することができる。宿主とする植物とし
ては、例えば、双子葉植物であるトマト、ニンジン、ジ
ャガイモ、バナナ、タバコ、ダイズ、アルファルファ、
レタス、ヒマワリ、ナタネ、クローバー、単子葉植物で
あるイネ、コムギ、トウモロコシ、オオムギなどを例示
できるが、本発明方法において本発明形質転換植物を摂
取させる動物にアレルギー反応を引き起こさない植物を
選択することが望ましい。T細胞エピトープのアミノ酸
配列を有するポリペプチドをコードするDNAが導入され
たことは、たとえば、該DNAの塩基配列の一部であるオ
リゴヌクレオチドプライマーと、導入したベクターにお
いて該DNAの塩基配列の下流に存在する塩基配列のアン
チセンス配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとを
合成し、これらを組み合わせて用いて、形質転換した植
物細胞から通常の方法で調製したゲノムDNAまたはcDNA
を鋳型としたPCR反応を行い、DNAを増幅する。増幅され
たDNAのサイズを通常の電気泳動方法により分析して
確認することができる。また、増幅されたDNAを、例え
ば、pCRIIベクター(Invitrogen社登録商標)などを用
いてキット記載の方法によりクローニングした後、通常
の方法により、DNAシークエンスを行い該DNAが含まれて
いることを確認することができる。
【0017】このようにして形質転換された細胞から、
例えば、内宮著、「植物遺伝子操作マニュアル(トラン
スジェニック植物の作り方)」1990年、講談社サイエン
ティフィック(ISBN4-06-153513-7)、27-55頁等に記載さ
れる方法に準じて植物体を再生することにより、形質転
換された細胞を含む本発明形質転換植物を得ることがで
きる。さらに、得られた形質転換体植物から種子を得る
ことにより該形質転換植物の増殖を行うこともできる。
また、得られた形質転換体植物と非形質転換植物とを交
雑することで形質転換植物の形質をもつ子孫植物を作製
することもできる。
【0018】本発明方法において、形質転換植物投与量
あたりの免疫寛容の誘導効果をより高める場合、同一の
T細胞エピトープのアミノ酸配列を複数個有するポリペ
プチドをコードするDNAが発現可能なように導入され
た本発明形質転換植物を使用することができる。また、
一種類の本発明形質転換植物の投与によって複数の異な
るアレルゲンタンパク質に対する免疫寛容を誘導する場
合、異なるT細胞エピトープのアミノ酸配列を複数個有
するポリペプチドをコードするDNAが発現可能なよう
に導入された本発明形質転換植物を使用することができ
る。また、T細胞エピトープを腸管などの消化管からよ
り効率よく吸収させる場合、T細胞エピトープのアミノ
酸配列と消化管粘膜結合性タンパク質のアミノ酸配列と
を有するポリペプチドをコードするDNAが発現可能な
ように導入された本発明形質転換植物を使用することが
できる。また、本発明形質転換植物に導入されたDNA
をより効率よく発現させまたは発現させた該ポリペプチ
ドを該形質転換植物内でより安定に保持させ、あるいは
該T細胞エピトープペプチドが腸管から吸収されるまで
の不必要な分解を抑制する場合、T細胞エピトープのア
ミノ酸配列と植物性タンパク質のアミノ酸配列とを有す
るポリペプチドをコードするDNAが発現可能なように
導入された本発明形質転換植物を使用することができ
る。また、T細胞エピトープペプチドを腸管などの消化
管からより効率よく吸収させ、あるいは本発明形質転換
植物に導入されたDNAをより効率よく発現させまたは
発現させた該ポリペプチドを該形質転換植物内で安定に
保持させ、あるいは該T細胞エピトープペプチドが腸管
から吸収されるまでの不必要な分解を抑制する場合、T
細胞エピトープのアミノ酸配列、消化管粘膜結合性タン
パク質のアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ
酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAが発現
可能なように導入された本発明形質転換植物を使用する
ことができる。
【0019】本発明方法においては、本発明形質転換植
物をそのまま動物に摂取させてもよく、また該形質転換
植物の処理物やこれらを含む組成物を摂取させてもよ
い。該処理物としては、通常の食品加工手段のうち該形
質転換植物の含有するタンパク質が変性しない手段、例
えばホモゲナイザー、ミキサー、スプレードライヤー等
の手段によって処理された処理物、例えばジュース、ペ
ースト、乾燥粉末等を挙げることができる。該組成物と
しては該形質転換植物もしくはその処理物と経口摂取可
能な物質とがホモゲナイザー、ミキサー等の通常の方法
を用いて混合された混合物を挙げることができ、また、
通常の医薬品において使用される剤形、例えばシロップ
剤、錠剤、液剤などを挙げることができる。なお、「経
口摂取可能な物質」とは、動物に対して通常の量を経口
摂取させて、急性毒性、慢性毒性および変異原性を示さ
ず、また摂取する動物にアレルギーを起こさせない物質
を言う。
【0020】本発明方法において、形質転換植物を摂取
させ得る動物としては、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツ
ジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット等の哺乳類、ニ
ワトリ、カモ、ヒチメンチョウ、ハト、アヒル等の鳥
類、サケ、マス、ハマチ、ウナギ、カツオ等の魚類を挙
げることができる。
【0021】本発明方法において、形質転換植物の摂取
は有効量、即ち免疫寛容を誘導し得る量であればよい。
該有効量は、T細胞エピトープの種類、T細胞エピトー
プのアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現させる植
物の種類、植物の組織、組成物によって異なるが、通
常、例えば摂取させる動物がヒトの場合、該形質転換植
物に含まれるT細胞エピトープのアミノ酸配列を有する
ポリペプチドの純分で1mg/日から10g/日程度でよ
い。また、その摂取回数は特に限定されるものではない
が、1回もしくは2回以上にわけて摂取させることができ
る。
【0022】本発明方法により誘導される免疫寛容は、
例えば、アレルゲンタンパク質特異的なT細胞の増
殖、インターフェロン-γ(INF-γ)、インターロイ
キン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)などのサイト
カインの産生、イムノグロブリンE(IgE)もしくはイム
ノグロブリンG(IgG)の産生、の少なくともひとつの抑制
をもって測定することができる。
【0023】上記のようにして、本発明の形質転換植物
の有効量を動物に経口摂取させることにより、摂取させ
た動物に免疫寛容を誘導することができる。該免疫寛容
を誘導することによって、アレルギー性疾患の予防もし
くは治療を行うことができる。本発明方法は、他の製造
方法、例えば形質転換微生物や形質転換動物細胞によっ
て製造されたT細胞エピトープペプチドによる免疫寛容
の誘導方法に比べると、そのまま食することができるた
め動物に容易に摂取させることができ、また、製造過程
で動物に感染性のある微生物・ウイルスの混入の危険が
少ないなどの優れた特性を有する。さらに、単離された
T細胞エピトープペプチドによる免疫寛容の誘導方法に
比べると、植物中に含まれる植物繊維等とともに摂取さ
せるため、消化管でのT細胞エピトープペプチドの不必
要な分解が抑制される、などの優れた特性を有する。
【0024】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をより詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0025】実施例1 (アレルゲンペプチド発現ベク
ターpCTBの構築) T細胞エピトープのアミノ酸配列と消化管粘膜結合性タ
ンパク質であるコレラ毒素Bサブユニット(以下、CTBと
記す。)のアミノ酸配列とを有するポリペプチドを植物
中で発現させるためのベクターpCTBを構築した。CTBを
コードするDNA(Lockman et al., J. Bio. Chem. 25
8, 13722-13726 (1983)、GENEBANK アクセッション番
号K01170に記載)を鋳型として、オリゴヌクレオチドCT
B 5'(配列番号1)とオリゴヌクレオチドCTB-SEKDEL
3'(配列番号2)を用いて、Taq DNA polymerase(ベー
リンガーマンハイム 社)で、94℃3分間の後、94℃30秒
間次いで55℃1分間さらに72℃3分間の保温を1サイクル
として30サイクルからなるPCRを行なった。PCR後、電気
泳動を行い、約400bpのPCR増幅DNAをゲルから切
り出し、これをPCR purification kit(キアゲン社)を
用いて精製した。精製された該PCR増幅DNAを制限
酵素BglIIおよびSacIで切断し、これとベクターpIBT21
0.1(2連のカリフラワーモザイクウイルス35S 遺伝子
のプロモーター(以下2XCaMVとする)、タバコエッチウ
イルスの5'非翻訳領域(以下TEVとする)、およびダイ
ズ貯蔵タンパク質vspB遺伝子のターミネーター(以下VSP
とする)を有する。:Haq et al., Science 268: 714-71
6 (1995)に記載)のBamHI/SacI消化物とを、T4 DNA lig
aseを用いてライゲーションし、プラスミドpIBT210.1-C
TBh-SEKDELを得た(図1)。プラスミドpIBT210.1-CTBh
-SEKDELを鋳型として、ABI PRISM DyeTerminator Cycle
Sequencing Ready Reaction Kit (パーキンエルマー
・ジャパン登録商標)によってシークエンスサンプルを
調製し、これをシークエンサーModel373(パーキンエル
マー・ジャパン)に供して塩基配列を解析した結果、該
プラスミドは、配列番号3で示される塩基配列を有して
おり、期待する構築物であることを確認した。次に、プ
ラスミドpIBT210.1-CTBh-SEKDELをHindIIIおよびEcoRI
で消化し、電気泳動後、約1.8kbのHindIII-EcoRI断片
(2XCaMVとTEVとのキメラDNA、CTB、およびVSPを持つ断
片)を泳動ゲルから切り出した後、Gel Extraction kit
(キアゲン社)で精製した。さらに、プラスミドpBI121
(クローンテック社製)をHindIIIおよびEcoRIで消化
し、電気泳動後、ゲルから切り出したプラスミド断片
を、Gel Extraction kit(キアゲン社製)で精製し、上
記の約1.8kbのHindIII-EcoRI断片とをT4 DNA ligaseで
ライゲーションし、pCTBを作製した(図2)。
【0026】実施例2 (卵白アルブミンT細胞エピト
ープ発現ベクター(pOVA2、pOVA1)の構築) オリゴヌクレオチドOVA3(配列番号4)およびオリゴヌ
クレオチドOVA3R(配列番号5)を合成した。100μMのO
VA3と、100μMのOVA3Rとを0.5μlずつ混合して、94℃で
3分間熱処理後、室温に戻すことによって、配列番号6
に記載の卵白アルブミン(以下、OVAと記す。)のT細胞
エピトープを含むペプチドP323-339(Shimonkevitz et
al., J. Immunol. 133, 2067-2074 (1984)、Benjamin e
t al.,Biochemistry 38, 16663-16670 (1999))(以
下、OVA P323-33と記す。)をコードする2本鎖DNAを調
製した。次に、実施例1で構築したpCTBを制限酵素SpeI
およびBamHIで消化し、ペプチド OVA P323-339をコード
する2本鎖DNAを、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造登録
商標)を用いて、キットに記載された方法にしたがって
ライゲーションした。このライゲーションサンプルで、
大腸菌JM109株を形質転換し、50μl/mlのカナマイシン
を含むL培地で増殖した大腸菌コロニーを単離し、該大
腸菌からQiaPrep(キアゲン社登録商標)を用いてプラ
スミドを調製した。該プラスミドを鋳型として、pCTBの
CTB領域をコードする塩基配列を有するセンス方向のプ
ライマーCTB2(配列番号7)および、pCTBの小胞体残
留シグナルをコードする塩基配列を相補するアンチセン
ス方向のプライマーCTB1R(配列番号8)を用いて、ABI
PRISM DyeTerminator Cycle Sequencing Ready Reacti
on Kit (パーキンエルマー・ジャパン登録商標)によ
ってシークエンスサンプルを調製し、これをシークエン
サーModel373(パーキンエルマー・ジャパン)に供して
塩基配列を解析し、期待する構築物ができていることを
確認した。このベクターを、pOVA2とした。また、オリ
ゴヌクレオチドOVA1(配列番号10)およびオリゴヌク
レオチドOVA1R(配列番号11)を合成し、OVA P323-3
39の場合と同様にして、配列番号9に記載のOVAのT細胞
エピトープを含むペプチドP322-338(以下、OVA P322-
338とする)をコードする2本鎖DNAを調製した。次い
で、該2本鎖DNAを、制限酵素SpeIおよびBamHIで消化し
たpCTBにライゲーションした。このライゲーションサン
プルで、上記と同様の大腸菌JM109株を形質転換し、プ
ラスミドを調製し、シークエンスにより、期待する構築
物ができていることを確認した。このベクターを、pOVA
1とした。pOVA2の構築図を図3に、また、pOVA1の構築
図を図4に示す。
【0027】実施例3 (OVA T細胞エピトープ発現ベ
クター(pOVA2-CR16)の構築) ニンジン根部貯蔵タンパク質であるCR16をコードするcD
NA (特開平07-188288公報に記載)を鋳型として制限酵
素SpeIサイトを5'端に付加したセンスプライマーCR16-1
(配列番号12)、および、制限酵素SacIサイトを3'端
に付加したアンチセンスプライマーCR16-1R(配列番号
13)を用いて、Takara ExTaq (宝酒造登録商標)で、9
4℃2分間の後、94℃10秒間次いで55℃1分間さらに72℃3
分間の保温を1サイクルとして30サイクルからなるPCR
を行なった。該PCRにより増幅されたDNAをアガロースゲ
ル電気泳動で分析した結果、CR16全長cDNAに相当する約
470塩基対のDNAが得られた。このDNAをゲルから切り出
し、Gel or Solution Purification Kit (アマシャム
社登録商標)を用いてキットに記載された方法によって
DNAを精製した後、制限酵素SpeIおよびSacIで消化し
た。次に、実施例2で構築したベクターpOVA2をSpeIお
よびSacIで消化した後、上記CR16全長cDNAの制限酵素Sp
eI、SacI消化物と、実施例2と同様の方法によりライゲ
ーションし、大腸菌JM109株を形質転換した。該大腸菌
からQiaPrep Spin(キアゲン社登録商標)を用いて調製
されたプラスミドを、pOVA2のCTBのセンス方向プライマ
ーCTB1(配列番号14)およびpOVA2のターミネーター
領域のアンチセンス方向プライマーVSPB-1R(配列番号
15)をそれぞれシークエンス用プライマーに用い、AB
I PRISM DyeTerminator Cycle Sequencing Ready React
ion Kit (パーキンエルマー・ジャパン登録商標)によ
ってシークエンスサンプルを調製し、これをシークエン
サーModel373(パーキンエルマー・ジャパン)に供して
塩基配列を解析し、CR16をコードするDNAを含む
ベクターができていることを確認した。このベクター
を、pOVA2-CR16とした。pOVA2-CR16の構築図を図3に示
す。
【0028】実施例4 (OVA、スギ花粉T細胞エピトー
プキメラ発現ベクターの構築) オリゴヌクレオチドCRY2-1(配列番号16)およびオリ
ゴヌクレオチドCRY2-1R(配列番号17)を合成し、実
施例2と同様の熱処理によって、配列番号18に記載の
スギ花粉アレルゲンCry j 2のT細胞エピトープペプチド
p246-259(Hiraharaら、J. Allergy Clin. Immunol., 1
02: 961-967 (1998))(以下、Cry j 2p246-259とす
る)をコードする2本鎖DNAを調製する。該2本鎖DNAを、
制限酵素SpeIで消化したpOVA2、および、pOVA2-CR16に
それぞれライゲーションする。このライゲーションサン
プルで、それぞれ大腸菌JM109株を形質転換し、これら
大腸菌からプラスミドDNAをそれぞれ調製し、シークエ
ンスにより、期待する構築物ができていることを確認す
る。これらベクターを、それぞれpOVA2-CRY2、pOVA2-CR
Y2-CR16と記する。pOVA2-CRY2の構築図を図5に、pOVA2
-CRY2-CR16の構築図を図6に示す。
【0029】実施例5 (アグロバクテリウム・ツメフ
ァシエンスによるタバコの形質転換(pOVA2, pCTB)) アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404株を60m
lのL培地(bacto-trypton 10g, yeast extract 5g, NaC
l 5g, 12g寒天、水1L (pH7.0))で28℃、250rpmでOD660
が約0.8になるまで、約24時間振とう培養した。3000rp
m、10分間の遠心分離により集菌した後、1mlの20mM塩化
カルシウムに懸濁した。懸濁した菌液を100μLずつ分注
し、液体窒素により凍結した後、使用するまで-80℃で
凍結保存した。この状態の菌をコンピテントセルとす
る。100μLのコンピテントセルを室温で融解し、実施例
2で得られたpOVA2、および、コントロールとして実施
例1で得られたpCTBをそれぞれ1μg添加し、37℃で5分
間処理した後、1mlのL培地を添加し、28℃、220rpmで4
時間振とう培養した。3000rpm、10分間の遠心分離によ
り集菌し、100μlのL培地に懸濁した。この菌液を、カ
ナマイシン100mg/lを含むL寒天培地に添塗した。形質転
換したアグロバクテリウム・ツメファシエンスは、導入
されたプラスミドが有するカナマイシン抵抗性遺伝子
(NPTII)により付与されるカナマイシンに対する薬剤抵
抗性を利用して該培地で選択することによって得られ
た。形質転換したアグロバクテリウム・ツメファシエン
スをカナマイシン100mg/lを含むL培地で28℃、2日間培
養し、得られた培養液を以下に記載される方法により、
タバコの形質転換に用いた。Linnmaier and Skoog (LS)
培地 (Physiol. Plant. 18, 100-127 (1965))(3%sucro
se、1% agar)で無菌的に継代培養しているタバコ植物
から、葉切片をメスで切り取り、上記の培養液にこれら
の葉切片を入れ、10分間放置した。次に、滅菌ろ紙で葉
に付着した培養液をふき取り、100μg/lのナフタレン-3
-酢酸、1mg/lのベンジルアデニンを含むLS培地(3% suc
rose、0.8% agar)に移し、25℃、明所で培養した。培
養2日後に100μg/lのナフタレン-3-酢酸、1mg/lのベン
ジルアデニン、250mg/lのクラフォランを含むLS培地(3
% sucrose、0.8% agar)に移し、25℃、明所で培養し、
アグロバクテリウムを除菌した。培養7日後に、100μg/
lのナフタレン-3-酢酸、1mg/lのベンジルアデニン、250
mg/lのクラフォラン、100mg/lのカナマイシンを含むLS
培地(3% sucrose、0.8% agar)に移し、25℃、明所で
培養したところ、約2週間後に、カナマイシン耐性を示
す不定芽が誘導された。同培地で3週間から4週間後、子
葉と葉柄を250mg/lのクラフォラン、100mg/lのカナマイ
シンを含むLS培地(3% sucrose、0.8% agar)に移す。
3週間から4週間毎に、新しい同組成の培地に植え継
ぎ、幼植物体を再生させる。再生した幼植物体の中で緑
色が維持され、生育が良好な個体をカナマイシン抵抗性
の形質転換体と判断し、これを100mg/lのカナマイシン
を含むLS培地(3% sucrose、0.8% agar)に植え継ぎ、3
週間から4週間培養する。培養ビンで選抜中の形質転換
体の葉からISOPLANT(ニッポンジーン登録商標)DNA抽
出キットを用いてゲノムDNAを抽出し、配列番号7およ
び8をプライマーに用いたPCRにより、目的のDNAの
植物体ゲノムへの挿入を確認する。PCRは、Advantage K
lenTaq cDNA Kit(Clontech社登録商標)を用いてパー
キンエルマー社のGene Amp PCR Systems 2400とDNA The
rmal Cycler Model 480(パーキンエルマー社登録商
標)で行なわれる。反応は94℃5秒間、次いで55℃1分
間、72℃3分間の保温を1サイクルとして40サイクル行
う。その後、発根したタバコ形質転換体はバーミキュラ
イトに移し、21℃から22℃で12時間明所、12時間暗所で
3日間〜7日間、透明なプラスチックカップを被せて馴
化する。活着した植物体を適宜培養土を入れたポットに
移植し、2ヶ月〜3ヶ月間の栽培後、次世代の自殖種子
を得る。
【0030】実施例6 (アグロバクテリウム・リゾゲ
ネスによるニンジンの形質転換(pOVA2-CR16, pCTB)) 実施例3で得られたpOVA2-CR16、およびコントロールと
して実施例1で得られたpCTBをそれぞれ、アグロバクテ
リウム・リゾゲネスATCC15834株に、実施例5で用いた
アグロバクテリウム・ツメファシエンスの形質転換と同
様の方法によって得た。得られた形質転換体であるアグ
ロバクテリウム・リゾゲネスをカナマイシン100μg/Lを
含むL培地で、28℃、一夜培養し、菌液を得た。一方、
市販の「西洋ニンジン」を有効塩素濃度5%のアンチホル
ミン溶液に30分間浸した後、滅菌水で5回洗浄した。滅
菌処理した包丁で、ニンジン主根を約5mm厚に輪切りに
した(ニンジンディスクとする)。ニンジンディスクの
上皮約2mlをメスで取り除いた後、ニンジンディスクの片
側に上記菌液を50〜100μl添加し、25℃暗所で培養し
た。培養2日後に、上記菌液を添加した面を下にして、2
50mg/lのクラフォランを含むLS培地(3% sucrose、0.8%
agar)に置床し、25℃暗所で培養した。培養7日後に、
ニンジンディスクの面を逆にし、新しい250mg/lのクラ
フォランを含むLS培地(3% sucrose、0.8% agar)に移
し、25℃暗所で培養した結果、約2週間後に、上記菌液
を添加したニンジンディスクの面から毛状根が誘発され
た。誘発した毛状根を250mg/lのクラフォラン、100mg/l
のカナマイシンを含むLS培地(3% sucrose、0.8% aga
r)に移し3-4週間毎に継代培養することにより、カナマ
イシンに抵抗性を示す毛状根を得る。生育が良好な毛状
根をカナマイシン抵抗性の形質転換体と判断し、これを
100mg/l カナマイシンを含むLS培地(3% sucrose、0.8%
agar)に植え継ぎ、3週間から4週間培養する。プレート
で選抜中の根からISOPLANT(ニッポンジーン登録商標)
DNA抽出キットを用いてゲノムDNAを抽出し、CTB1
(配列番号14)とVSPB−1R(配列番号15)を
プライマーに用いたPCRにより、目的のDNAの植物体
ゲノムへの挿入を確認する。PCRは、Advantage KlenTaq
cDNA Kit(Clontech社登録商標)を用いてパーキンエ
ルマー社のGene Amp PCR Systems 2400とDNA Thermal C
ycler Model 480(パーキンエルマー社登録商標)で行
なわれる。反応は94℃5秒間、次いで55℃1分間、72℃3
分間の保温を1サイクルとして40サイクルの条件で行
う。ニンジン毛状根は、100mg/lカナマイシンを含むLS
寒天培地(3% sucrose、0.8% agar)、もしくは、100mg
/lカナマイシンを含むLS液体培地(3% sucrose)で継代
培養する。
【0031】実施例7 (パーティクルガンによるダイ
ズの形質転換(pOVA2-CRY2、pOVA2-CRY2-CR16, pCTB)) 実施例4で得られるpOVA2-CRY2、pOVA2-CRY2-CR16、お
よび、コントロールとして実施例1で得られたpCTBを含
有する組換え大腸菌クローンを、それぞれ、カナマイシ
ン50mg/lを含むL培地(bacto-trypton 10g, yeast extr
act 5g, NaCl 5g, 水1L (pH7.0))2ml中で37℃、1晩振と
う培養し、前培養液を調製する。500mlの三角コルベン
にカナマイシン50mg/lを含むL培地100mlを入れ、前培養
液0.5mlを添加し37℃、1晩振とう培養する。この培養液
を300mlの遠心ボトルに移し、8000rpmで10分間遠心して
菌体を回収する。これをQIAGENプラスミド精製キット
(QIAGEN社登録商標)を用いて処理し、菌体に含まれる
プラスミドを精製する。一方、ダイズ品種「Fayette」の
未熟種子より、Finer J. and Nagasawa A.(Plant Cel
l, Tissue and Organ Culture,15,125-136,1988)に記
載の方法に準じて不定胚培養細胞を誘導・増殖させる。
湿重約500mgに相当する不定胚培養細胞を直径6cmの寒天
プレートの中央部、直径20mmの円周内に一層にして並べ
る。この不定胚培養細胞に、上記方法によって精製され
るプラスミドpOVA2-CRY2、pOVA2-CRY2-CR16、あるい
は、pCTBを、森川らの遺伝子銃(C.M.Particle Gun Sys
tem,Rhebock shoko Co.)を用いた直接導入法(Yang N
−S,Christou P編、ParticleBombardment Technology
for Gene Transfer,W.H.Freeman and Co.Publisher
s,New York, pp.52-59)により、特開平03-291501 に
記載の方法に準じて導入する。すなわち、pOVA2-CRY2、
pOVA2-CRY2-CR16、あるいは、pCTBを、組織培養、20、
p.323-327 (1994)に記載された選抜用β-グルクロニダ
ーゼ(GUS)/ハイグロマイシン耐性遺伝子(HPT)同時発現
ベクターpSUM-GH:NotIと混合する。これらの混合プラス
ミドを上記のダイズ不定胚にパーティクルガン(800mg/
コーティング金粒子200μg/shot、プロジェクタイルス
トッパー/試料間距離100mmの条件)により遺伝子導入す
る。導入後、ハイグロマイシン25〜50mg/lを含むMS改変
増殖液体培地(Sigma社)を用い、25℃、16時間照明下で
旋回培養し、形質転換不定胚を選抜する。約3ヶ月後に
選抜された黄緑色で増殖能を保持したハイグロマイシン
耐性ダイズ不定胚について、ISOPLANT(ニッポンジーン
登録商標)DNA抽出キットを用いてゲノムDNAを抽出し、
実施例5と同様の方法で、目的のDNAの植物体ゲノム
への挿入を確認する。さらに得られた不定胚から植物個
体の再生を行い、当該形質転換体ダイズを取得する。
【0032】実施例8 (OVA疾患モデルマウスの作
製) 実験動物舎で滅菌した餌、水を自由摂食させた5-6週齢
のBALB/cマウス(日本クレアから購入)を実験に用い
た。100μLの完全フロイントアジュバント(DIFCO Labo
ratories, Detroit, Michigan)に溶解させた1mg OVA(S
igma Chemical Co., St. Louis, Missouri)を1回注射
により全身感作させた。1週間後、300μLのPBSに溶解し
た50mgのOVAを1週間ごとに3回、3週間、計9回強制的に
経口投与した。その結果、最終的なOVA経口投与の30分
から2時間の間に、急性的な下痢症状が見られた。一
方、事前に1mg OVAを全身感作させなかったマウスで
は、同様な経口投与を行なったが、急性的な下痢症状は
見られなかった。
【0033】実施例9 (pOVA2経口投与による免疫寛
容) マウスを2群に分け、一方を実施例5で作製したpOVA2
で形質転換したタバコを含む飼料、他方を実施例5で作
製したpCTBで形質転換したタバコを含む飼料を複数回経
口投与し、最終経口投与後に、実施例8の方法にしたが
ってOVAを全身感作させ、その後、OVAを複数回経口摂取
させる。その後、両群のマウスの大腸からFujihashi et
al., J. Exp. Med. 183, 1929-1935 (1996)に記載され
ている方法にしたがって、コラゲナーゼ処理することに
よって単核細胞を調製し、96ウエル平板プレートに分注
し、OVA、あるいは化学合成したOVAのT細胞エピトープ
ペプチドP323-339を添加し培養する。その後、各ウエル
に3H-チミジン(アマシャム・ジャパン)を添加し、その
後に細胞に取り込まれるDNAを回収しβ線放射線量を測
定することにより、T細胞増殖反応を評価する。
【0034】実施例10 実施例8の方法で作製したOVA疾患モデルマウスを2群
に分け、一方を実施例5で作製したpOVA2で形質転換し
たタバコを含む飼料、他方を実施例5で作製したpCTBで
形質転換したタバコを含む飼料を複数回経口摂取させ
る。その後、実施例10に記載の方法にしたがってT細
胞増殖反応を評価する。
【0035】実施例11 (pOVA2-CR16経口投与による
免疫寛容) マウスを2群に分け、一方を実施例6で作製したpOVA2
で形質転換したニンジン毛状根を含む飼料、他方を実施
例6で作製したpCTBで形質転換したニンジン毛状根を含
む飼料を複数回経口投与し、最終経口投与後に、実施例
8の方法にしたがってOVAを全身感作させ、その後、OVA
を複数回経口摂取させる。その後、Okahashiら(Infec
t. Immun. 64: 1516-1525 (1996))の方法にしたがっ
て、大腸単核細胞におけるINF-γ、IL-2、IL-4量を測定
する。
【0036】実施例12 さらに、実施例8の方法で作製したOVA疾患モデルマウ
スを2群に分け、一方を実施例6で作製したpOVA2で形
質転換したニンジン毛状根を含む飼料、他方を実施例6
で作製したpCTBで形質転換したニンジン毛状根を含む飼
料を複数回経口摂取させる。その後、実施例11記載の
方法にしたがって大腸単核細胞におけるINF-γ、IL-2、
IL-4量を測定する。
【0037】実施例13 (pOVA2-CRY2-CR16経口投与
による免疫寛容) マウスを2群に分け、一方を実施例7で作製したpOVA2-
CRY2-CR16で形質転換したダイズを含む飼料、他方を実
施例7で作製したpCTBで形質転換したダイズを含む飼料
を複数回経口投与し、最終経口投与後に、実施例8の方
法にしたがってOVAを全身感作させ、その後、OVAを複数
回経口摂取させる。その後、Kweonら(J. Clinical Inv
estigation 106: (2000))の方法にしたがって、血清中
のOVA特異的IgE抗体の産生量を測定する。このようにす
ると、事前にpOVA2-CRY2-CR16で形質転換したダイズを
含む飼料を経口投与したマウスでは、pCTBで形質転換し
たダイズを含む飼料を経口投与したマウスと比較してIg
Eの低下が起こる。さらにまた、マウスを2群に分け、
一方を実施例6で作製したpOVA2-CRY2-CR16で形質転換
したダイズを含む飼料、他方を実施例6で作製したpCTB
で形質転換したダイズを含む飼料を複数回経口投与し、
最終経口投与後に、スギ花粉アレルゲンタンパク質Cry
j 1およびCry j 2を経鼻感作する。その後、Cry j 1お
よびCry j 2を複数回経鼻感作する。その後、両群のマ
ウスの大腸から単核細胞を調製し、96ウエル平板プレー
トに分注し、Cry j 2、あるいは化学合成したCryj2のT
細胞エピトープペプチドp246-259を添加し培養する。そ
の後、各ウエルに3H-チミジン(アマシャム・ジャパン)
を添加し、その後に細胞に取り込まれるDNAを回収しβ
線放射線量を測定することにより、T細胞増殖反応を評
価する。
【0038】実施例14 実施例8の方法で作製したOVA疾患モデルマウスを2群
に分け、一方を実施例7で作製したpOVA2-CRY2-CR16で
形質転換したダイズを含む飼料、他方を実施例7で作製
したpCTBで形質転換したダイズを含む飼料を複数回経口
摂取させる。その後、上記と同様の方法にしたがって血
清中のOVA特異的IgE抗体の産生量を測定する。さらにま
た、事前にスギ花粉アレルゲンタンパク質Cry j 1およ
びCry j 2を経鼻感作したマウスを2群に分け、一方を
実施例7で作製したpOVA2-CRY2-CR16で形質転換したダ
イズを含む飼料、他方を実施例7で作製したpCTBで形質
転換したダイズを含む飼料を複数回経口摂取させる。そ
の後、実施例13記載の方法にしたがってT細胞増殖反
応を評価する。
【0039】
【発明の効果】本発明により、ヒト等の動物に効率的に
免疫寛容を誘導する方法等が提供可能となる。
【0040】「配列表フリーテキスト」 配列番号1 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号2 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号4 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド 配列番号5 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド 配列番号7 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号8 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号10 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド 配列番号11 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド 配列番号12 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号13 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号14 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号15 PCRのために設計されたポリヌクレオチドプライマー 配列番号16 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド 配列番号17 二本鎖DNAを作製するために設計されたポリヌクレオ
チド
【0041】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Sumitomo Chemical Company Limited <120> Method for an Induction of Immunologic Tolerance <130> P151975 <160> 18 <210> 1 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of cholera toxin B subunit gene <400> 1 ggaagatctg ccaccatgat taaattaaaa tttggtg 37 <210> 2 <211> 83 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of cholera toxin B subunit gene <400> 2 tccgagctct caaagctcat ctttctcact agtcccgggg gatcctggcc cgggtccatt 60 tgccatacta attgcggcaa tcg 83 <210> 3 <211> 440 <212> DNA <213> Vibrio cholerae <220> <221> CDS <222> (16)...(435) <400> 3 ggaagatctg ccacc atg att aaa tta aaa ttt ggt gtt ttt ttt aca gtt 51 Met Ile Lys Leu Lys Phe Gly Val Phe Phe Thr Val 1 5 10 tta cta tct tca gca tat gca cat gga aca cct caa aat att act gat 99 Leu Leu Ser Ser Ala Tyr Ala His Gly Thr Pro Gln Asn Ile Thr Asp 15 20 25 ttg tgt gca gaa tac cac aac aca caa ata tat acg cta aat gat aag 147 Leu Cys Ala Glu Tyr His Asn Thr Gln Ile Tyr Thr Leu Asn Asp Lys 30 35 40 ata ttt tcg tat aca gaa tct cta gct gga aaa aga gag atg gct atc 195 Ile Phe Ser Tyr Thr Glu Ser Leu Ala Gly Lys Arg Glu Met Ala Ile 45 50 55 60 att act ttt aag aat ggt gca att ttt caa gta gaa gta cca ggt agt 243 Ile Thr Phe Lys Asn Gly Ala Ile Phe Gln Val Glu Val Pro Gly Ser 65 70 75 caa cat ata gat tca caa aaa aaa gcg att gaa agg atg aag gat acc 291 Gln His Ile Asp Ser Gln Lys Lys Ala Ile Glu Arg Met Lys Asp Thr 80 85 90 ctg agg att gca tat ctt act gaa gct aaa gtc gaa aag tta tgt gta 339 Leu Arg Ile Ala Tyr Leu Thr Glu Ala Lys Val Glu Lys Leu Cys Val 95 100 105 tgg aat aat aaa acg cct cat gcg att gcc gca att agt atg gca aat 387 Trp Asn Asn Lys Thr Pro His Ala Ile Ala Ala Ile Ser Met Ala Asn 110 115 120 gga ccc ggg cca gga tcc ccc ggg act agt gag aaa gat gag ctt tga 435 Gly Pro Gly Pro Gly Ser Pro Gly Thr Ser Glu Lys Asp Glu Leu 125 130 135 gagct 440 <210> 4 <211> 57 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial ovalbumin gene <400> 4 gatccatttc tcaagctgtt catgcagcac atgcagaaat taatgaagca ggtagaa 57 <210> 5 <211> 57 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial ovalbumin gene <400> 5 ctagttctac ctgcttcatt aatttctgca tgtgctgcat gaacagcttg agaaatg 57 <210> 6 <211> 17 <212> PRT <213> Gallus gallus <400> 6 Ile Ser Gln Ala Val His Ala Ala His Ala Glu Ile Asn Glu Ala Gly 1 5 10 15 Arg <210> 7 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of cholera toxin B subunit gene <400> 7 ggatgaagga taccctgagg attgcatatc ttactg 36 <210> 8 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of cholera toxin B subunit gene <400> 8 gagctctcaa agctcatctt tctcact 27 <210> 9 <211> 17 <212> PRT <213> Gallus gallus <400> 9 Lys Ile Ser Gln Ala Val His Ala Ala His Ala Glu Ile Asn Glu Ala 1 5 10 15 Gly <210> 10 <211> 57 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial ovalbumin gene <400> 10 gatccaagat ttctcaagct gttcatgcag cacatgcaga aattaatgaa gcaggta 57 <210> 11 <211> 57 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial ovalbumin gene <400> 11 ctagtacctg cttcattaat ttctgcatgt gctgcatgaa cagcttgaga aatcttg 57 <210> 12 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of carrot CR16 gene <400> 12 ggactagtat gggtgcccag agccattcac tcgag 35 <210> 13 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of carrot CR16 gene <400> 13 gggagctctt aattagcaat gaggtaggcc tcaat 35 <210> 14 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of cholera toxin B subunit gene <400> 14 ctcatgcgat tgccgcaatt agtatgg 27 <210> 15 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA fragment of soybean vegetative storage protein (vspB) gene <400> 15 gtcttaggtg acttacccac ataacataaa gtgac 35 <210> 16 <211> 48 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial cry j 2 gene <400> 16 ctagcagagc agaggtttca tacgtgcacg taaatggggc taaattca 48 <210> 17 <211> 48 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide for partial cry j 2 gene <400> 17 ctagtgaatt tagccccatt tacgtgcacg tatgaaacct ctgctctg 48 <210> 18 <211> 14 <212> PRT <213> Cryptomeria japonica <400> Arg Ala Glu Val Ser Tyr Val His Val Asn Gly Ala Lys Phe 1 5 10
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、pIBT201.1-CTBh-SEKDELの構築図を示
す。CTB;コレラ毒素Bサブユニット遺伝子、2XCaMV;2
連のカリフラワーモザイクウイルス35S遺伝子プロモー
ター、TEB;ダイズ貯蔵タンパク質vspB遺伝子ターミネ
ーターを示す。
【図2】図2は、pCTBの構築図を示す。CTB;コレラ毒
素Bサブユニット遺伝子、2XCaMV;2連のカリフラワーモ
ザイクウイルス35S遺伝子プロモーター、TEB;ダイズ貯
蔵タンパク質vspB遺伝子ターミネーター、NOS-P;ノパ
リンシンターゼ遺伝子プロモーター、NTPII;ネオマイ
シンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子、NOS-T;ノ
パリンシンターゼ遺伝子ターミネーター、35S-P;カリ
フラワーモザイクウイルス35S遺伝子プロモーター、GU
S;β-グルクロニダーゼ遺伝子を示す。
【図3】図3は、pOVA2、および、pOVA2-CR16の構築図
を示す。CTB;コレラ毒素Bサブユニット遺伝子、OVA P3
23-339;卵白アルブミンのT細胞エピトープを含むペプ
チドP323-339をコードするDNA、CR16;ニンジン根部貯
蔵タンパク質CR16遺伝子を示す。
【図4】図4は、pOVA1の構築図を示す。CTB;コレラ毒
素Bサブユニット遺伝子、OVA P323-339;卵白アルブミ
ンのT細胞エピトープを含むペプチドP322-338をコード
するDNA、CR16;ニンジン根部貯蔵タンパク質CR16遺伝
子を示す。
【図5】図5は、pOVA2-CRY2の構築図を示す。CTB;コ
レラ毒素Bサブユニット遺伝子、OVA P323-339;卵白ア
ルブミンのT細胞エピトープを含むペプチドP322-338を
コードするDNA、Cry j 2 p246-259;スギ花粉アレルゲ
ンCry j 2のT細胞エピトープを含むペプチドp246-259を
コードするDNAを示す。
【図6】図6は、pOVA2-CRY2-CR16の構築図を示す。CT
B;コレラ毒素Bサブユニット遺伝子、OVA P323-339;卵
白アルブミンのT細胞エピトープを含むペプチドP322-33
8をコードするDNA、Cry j 2 p246-259;スギ花粉アレル
ゲンCry j 2のT細胞エピトープを含むペプチドp246-259
をコードするDNA、CR16;ニンジン根部貯蔵タンパク質C
R16遺伝子を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/18 C07K 14/195 4C088 14/195 14/435 4H045 14/435 C12P 21/02 C C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA // A61K 38/00 5/00 C C12P 21/02 A61K 37/02 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD04 CA06 CA17 CA19 CB02 CD02 CD07 CD10 CD21 4B024 AA01 CA02 DA01 EA04 GA11 GA17 4B064 AG01 AG24 AG30 CA11 CA19 CC24 DA01 DA11 4B065 AA89X AB01 AC14 BA02 CA24 CA43 CA44 4C084 AA02 AA06 BA44 CA70 DC50 MA01 MA52 NA14 ZB071 ZB131 4C088 AB99 AC01 MA52 NA14 ZB08 ZB13 4H045 AA11 AA30 CA11 CA20 CA30 CA40 CA50 DA86 EA22 FA71 FA72 FA74

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープ
    のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDN
    Aが発現可能なように導入された形質転換植物の有効量
    を動物に経口摂取させることを特徴とする該動物におけ
    る該アレルゲンタンパク質に対する免疫寛容の誘導方
    法。
  2. 【請求項2】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞
    エピトープのアミノ酸配列を複数個有するポリペプチド
    をコードするDNAである請求項1に記載の誘導方法。
  3. 【請求項3】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞
    エピトープのアミノ酸配列と消化管粘膜結合性タンパク
    質のアミノ酸配列とを有するポリペプチドをコードする
    DNAである請求項1に記載の誘導方法。
  4. 【請求項4】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞
    エピトープのアミノ酸配列と植物性タンパク質のアミノ
    酸配列とを有するポリペプチドをコードするDNAであ
    る請求項1に記載の誘導方法。
  5. 【請求項5】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細胞
    エピトープのアミノ酸配列、消化管粘膜結合性タンパク
    質のアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドをコードするDNAである請求
    項1に記載の誘導方法。
  6. 【請求項6】消化管粘膜結合性タンパク質が、エンテロ
    トキシンである請求項3または5に記載の誘導方法。
  7. 【請求項7】消化管粘膜結合性タンパク質が、コレラ毒
    素Bサブユニットまたは大腸菌熱不安定毒素Bサブユニッ
    トである請求項3または5に記載の誘導方法。
  8. 【請求項8】植物性タンパク質が、植物貯蔵タンパク質
    であることを特徴とする請求項4または6に記載の誘導
    方法。
  9. 【請求項9】アレルゲンタンパク質に対する動物の免疫
    寛容を誘導するための、アレルゲンタンパク質のT細胞
    エピトープのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコー
    ドするDNAが発現可能なように導入された形質転換植
    物の使用。
  10. 【請求項10】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
    プのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするD
    NAが発現可能なように導入された形質転換植物。
  11. 【請求項11】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細
    胞エピトープのアミノ酸配列を複数個有するポリペプチ
    ドをコードするDNAである請求項10に記載の形質転
    換植物。
  12. 【請求項12】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細
    胞エピトープのアミノ酸配列と消化管粘膜結合性タンパ
    ク質のアミノ酸配列とを有するポリペプチドをコードす
    るDNAである請求項10に記載の形質転換植物。
  13. 【請求項13】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細
    胞エピトープのアミノ酸配列と植物性タンパク質のアミ
    ノ酸配列とを有するポリペプチドをコードするDNAで
    ある請求項10に記載の形質転換植物。
  14. 【請求項14】DNAが、アレルゲンタンパク質のT細
    胞エピトープのアミノ酸配列、消化管粘膜結合性タンパ
    ク質のアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸
    配列を有するポリペプチドをコードするDNAである請
    求項10に記載の形質転換植物。
  15. 【請求項15】消化管粘膜結合性タンパク質が、エンテ
    ロトキシンである請求項12または14に記載の形質転
    換植物。
  16. 【請求項16】消化管粘膜結合性タンパク質が、コレラ
    毒素Bサブユニットまたは大腸菌熱不安定毒素Bサブユニ
    ットである請求項12または14に記載の形質転換植
    物。
  17. 【請求項17】植物性タンパク質が、植物貯蔵タンパク
    質であることを特徴とする請求項13または14に記載
    の形質転換植物。
  18. 【請求項18】植物性タンパク質が、ニンジン根部貯蔵
    タンパク質である請求項13または14に記載の形質転
    換植物。
  19. 【請求項19】アレルゲンが、植物由来のアレルゲンで
    ある請求項10に記載の形質転換植物。
  20. 【請求項20】アレルゲンが、動物由来のアレルゲンで
    ある請求項10に記載の形質転換植物。
  21. 【請求項21】請求項10に記載の形質転換植物を含む
    免疫寛容誘導組成物。
  22. 【請求項22】請求項10に記載の形質転換植物と経口
    摂取可能な物質とを混合する工程を含むことを特徴とす
    る免疫寛容誘導組成物の製造方法。
  23. 【請求項23】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
    プのアミノ酸配列および消化管粘膜結合性タンパク質の
    アミノ酸配列を有するポリペプチド。
  24. 【請求項24】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
    プのアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸配
    列を有するポリペプチド。
  25. 【請求項25】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
    プのアミノ酸配列および消化管粘膜結合性タンパク質の
    アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDN
    A。
  26. 【請求項26】アレルゲンタンパク質のT細胞エピトー
    プのアミノ酸配列および植物性タンパク質のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドをコードするDNA。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013040138A (ja) * 2011-08-17 2013-02-28 Univ Of Tsukuba 活性化型リコンビナント花粉アレルゲンの作製方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07188288A (ja) * 1993-12-24 1995-07-25 Sumitomo Chem Co Ltd ニンジン根部に特異的に発現しうる分子量16kDのタンパク質、その遺伝子およびその遺伝子を含有するプラスミド

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