JP2002082263A - 光ファイバ、光ファイバコイル、分散補償ファイバ、分散補償器、及び、光ファイバ伝送路 - Google Patents

光ファイバ、光ファイバコイル、分散補償ファイバ、分散補償器、及び、光ファイバ伝送路

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JP2002082263A
JP2002082263A JP2000336331A JP2000336331A JP2002082263A JP 2002082263 A JP2002082263 A JP 2002082263A JP 2000336331 A JP2000336331 A JP 2000336331A JP 2000336331 A JP2000336331 A JP 2000336331A JP 2002082263 A JP2002082263 A JP 2002082263A
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fiber
dispersion
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coil
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Takashi Fujii
隆志 藤井
Toshifumi Hosoya
俊史 細谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 隣接する光ファイバが互いに及ぼし合う側圧
を減少させて伝送損失の増加を抑制することのできる光
ファイバを提供すること。 【解決手段】 本発明の光ファイバは、一層以上の被覆
層を有しており、最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20
以下であることを特徴としている。ここに言う滑り摩擦
係数とは、並行に並べられた複数本の第一群光ファイバ
12の上に、直交するように複数本の第二群光ファイバ
14を載置し、おもり15を載せて第一群光ファイバ1
2の延設方向に第二群光ファイバ14を一括して引っ張
ったときの静摩擦係数より求められるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ、光フ
ァイバコイル、伝送路の波長1.55μm帯の波長分散
に伴う伝送歪みを低減するために使用する分散補償ファ
イバ、分散補償ファイバを組込んだ分散補償器、及び、
光ファイバ伝送路に関する。
【0002】
【従来の技術】零分散波長を1.3μm帯にもつシング
ルモード型光ファイバを用いて波長1.55μm帯での
長距離大容量の光伝送を行なうため、1.55μm帯で
の波長分散を相殺する分散補償器が開発されつつある。
そのような分散補償器は、零分散波長を1.3μm帯に
もつシングルモード型光ファイバの1.55μm帯での
波長分散と逆符号の波長分散をもつ長尺の分散補償ファ
イバを胴径の小さいボビンに巻き取ってコンパクト化し
たものである。
【0003】図1は、分散補償ファイバの一例を示す横
断面図であって、1は石英系ガラスからなる光ファイ
バ、1aはコア部、1bはディプレストクラッド部、1
cは外部クラッド部、2は内層被覆、3は外層被覆、4
は被覆である。また、図2はその光ファイバ1の半径方
向の屈折率分布を示す図である。光ファイバ1は、中央
の屈折率が石英ガラスに比べてΔ+だけ高いコア部1a
と、それを取り囲む屈折率が石英ガラスに比べてΔ−だ
け低いディプレストクラッド部1bと、その周りの石英
ガラスと同じ屈折率の外部クラッド部1cとからなる。
【0004】また、光ファイバ1上の被覆4の内層被覆
2及び外層被覆3は、それぞれウレタンアクリレート樹
脂等の紫外線硬化型樹脂からなり、内層被覆2は比較的
柔らかい樹脂で、外層被覆3は比較的硬い樹脂で構成さ
れ、光ファイバ1の外径は100μm、内層被覆2の外
径は140μm、外層被覆3の外径は180μmであ
る。また、内層被覆2及び外層被覆3の厚さは、それぞ
れ20μmである。
【0005】分散補償器を構成するに当たって、少なく
とも500m以上の長尺の分散補償ファイバを胴径の小
さいボビンに巻き取るため、左右又は上下に隣接する分
散補償ファイバ同士が互いに側圧を与えることで伝送損
失が増加するという問題がある。この問題に対処するた
め、特開平10−123342号公報に記載された方法
が知られている。特開平10−123342号公報に記
載された技術は、ボビンに分散補償ファイバを巻付けた
後、中のボビンを抜き取るか、ボビンの胴径を縮小し
て、コイルをボビンの胴から離した状態にして、そのコ
イルの束状態を巻きほぐす。これによって、隣接する分
散補償ファイバ同士の接触状態を崩して互いに側圧を与
えないようにし、側圧による伝送損失の増加を抑えるも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】コイルの束状態の巻き
ほぐしによって隣接する分散補償ファイバ同士の側圧を
与えないようにする方法は、巻きほぐし方によって、側
圧の低減状態が変わるので、巻ほぐしを確実に行なう必
要がある。ところが、コイルをボビンの胴から抜き取っ
ても、コイルが固く巻かれていて締め付けられた巻状態
になっている場合は、少し揺さぶった程度では、巻きほ
ぐしが出来ず、コイルが締まった状態で維持されること
がある。この場合は、側圧が低減されずに分散補償ファ
イバの伝送損失が大きいままに留まる。
【0007】このようにコイル束状にした光ファイバコ
イルは、上述した分散補償器以外にも、光アンプなどの
他の光学機器でも用いられる。やはり、この際には、巻
回状態にある光ファイバ同士が互いに側圧を作用させ、
伝送損失が増大するという問題がある。さらに、光ファ
イバがコイル状とされていなくても、多数本束ねられる
ような状態では、やはり光ファイバ同士が互いに側圧を
作用させ、伝送損失が増大するという問題がある。
【0008】本発明は、光ファイバ同士が互いに作用さ
せる側圧の影響を軽減し、伝送損失に優れた、光ファイ
バ、光ファイバコイル、分散補償ファイバ、分散補償
器、及び、光ファイバ伝送路を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光ファイバは、
一層以上の被覆層を有するもので、最外層被覆の滑り摩
擦係数が0.20以下であることを特徴としている。こ
のようにすることによって、隣接する光ファイバ同士の
接触箇所は互いに滑り易く、光ファイバの表面に対する
法線成分以外の側圧成分は軽減され、互いに及ぼし合う
側圧が小さくなる。この結果、本発明の光ファイバによ
れば、伝送損失の増加を抑制することが出来る。なお、
ここに言う滑り摩擦係数の測定方法については、追って
詳しく説明する。
【0010】また、本発明の光ファイバコイルは、上述
した最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20以下である光
ファイバをコイル束状に巻回して形成したことを特徴と
している。光ファイバをコイル束状にして光ファイバコ
イルとする際には、互いに接触する光ファイバ同士が側
圧を与えやすいが、本発明の光ファイバコイルによれ
ば、光ファイバ同士の接触箇所が互いに滑り易く、互い
に及ぼし合う側圧を小さくでき、伝送損失の増加を抑制
することが出来る。ここで、光ファイバとして分散補償
光ファイバを用いれば、良好な伝送特性と波長分散の良
好な補償とを両立することができる。
【0011】また、この光ファイバコイルのコイル束状
の光ファイバの周囲には充填材が充填されており、この
充填材は、JIS K 2220に規定される貯蔵ちょう度が測定
温度-40℃〜100℃の全範囲で5〜200の範囲内にある樹脂
であり、コイル束状の光ファイバの周囲全体を包み込ん
でコイル束状の状態を保持していることが好ましい。貯
蔵ちょう度については、日本工業規格のJIS K 2220-199
3に規定されている〔JIS K 2220-1993の2.(14)、5.3.1
(4)、5.3.6等〕。ただし、JIS K 2220においては測定温
度を25℃としているが、ここでは、測定温度-40℃〜100
℃の全範囲において貯蔵ちょう度が上記の範囲内にある
樹脂を用いる。このようにしてあると、光ファイバに余
計な側圧を与えることなく、光ファイバのコイル束状態
を確実に保持することができる。
【0012】また、本発明の分散補償ファイバは、波長
1.55μmで負の波長分散を有する光ファイバに1層
以上の被覆を設けた分散補償ファイバであって、最外層
被覆の滑り摩擦係数が0.20以下のものである。これ
によって、長尺の分散補償ファイバをボビンに巻き付け
ても、隣接する分散補償ファイバ同士の接触箇所は互い
に滑り易く、分散補償ファイバの表面に対する法線成分
以外の側圧成分は軽減され、互いに及ぼし合う側圧が小
さくなる。従って、ボビンに巻付けた時の分散補償ファ
イバの伝送損失の増加を抑制することが出来る。
【0013】また、被覆を内層被覆と外層被覆の2層と
し、その内層被覆のPIM法にて測定したヤング率を
0.8N/mm2以下としたものは、外層被覆に加わる
側圧を内層被覆が吸収して光ファイバに至らないように
する効果によって、更にボビン巻付けに伴う伝送損失の
増加を低減することが出来る。
【0014】また、このような分散補償ファイバをボビ
ンに巻取って、該ボビン又はボビンから抜き取ってコイ
ルとしたものを収納ケースに収納したものは、伝送損失
の少ない分散補償器として使用することが出来る。ま
た、その分散補償器を波長1.55μm帯以外例えば波
長1.3μm帯に零分散波長のあるシングルモード型光
ファイバと接続して使用すれば、波長1.55μm帯に
おいても伝送損失の小さい光ファイバ伝送路を構成する
ことが出来る。
【0015】なお、最外層被覆の滑り摩擦係数の測定方
法、及び、PIM法による内層被覆のヤング率の測定方
法について以下に詳しく説明する。
【0016】まず、最外層被覆の滑り摩擦係数の測定方
法を説明する。図3は、滑り摩擦係数の測定方法を説明
する図であって、図3(A)は上面図、図3(B)は正
面図、図3(C)は側面図である。11はベース部材、
12はベース側ファイバ、13はスライド部材、14は
スライド側ファイバ、15は重り、16は糸である。ベ
ース部材11は、上面が水平な平面であって、アルミニ
ウム等の金属、硬質プラスチック等の硬い材質からな
る。スライド部材13は、長さ77mm×幅28mm×
厚さ1mm、質量4.9gの板ガラスである。また、重
り15は、質量50gの分銅である。
【0017】測定に当たっては、測定対象となる光ファ
イバから、長さ20cmのものを60本、長さ28mm
のものを30本、準備する。そのうち、長さ20cmの
分散補償ファイバを30本ずつ2群にして、ベース側フ
ァイバ12とする。また、長さ28mmのものを15本
ずつ2群にしてスライド側ファイバ14とする。ベース
側ファイバ12は、ベース部材11の上面に各群内では
密着させて平行に配列して両面テープ又は接着剤を使っ
てベース部材11上に貼り付ける。なお、2つの群の間
隔は10mmとする。スライド側ファイバ14は、その
長手方向をスライド部材13の幅方向にして、各群内で
は隙間無く平行に配列して両面テープ又は接着剤を使っ
てスライド部材13の片面に貼り付ける。なお、スライ
ド側ファイバ14の2つの群は、スライド部材13の長
手方向の両端からそれぞれ5mm離れた位置に配置す
る。
【0018】次いで、スライド部材13をスライド側フ
ァイバ14側を下側にして、ベース部材11に貼り付け
たベース側ファイバ12の上に載置する。この時、スラ
イド側ファイバ14の長手方向がベース側ファイバ12
の長手方向と垂直になるようにし、かつスライド側ファ
イバ14の長手方向の中央が、ベース側ファイバの2つ
の群の中間になるようにする。そして、スライド部材1
3の上面中央には、重り15を載置し、スライド部材1
3の長手方向の片方の端の中央には、スライド部材13
を引張るための糸16を取付ける。
【0019】以上のようにベース部材11上に、互いに
垂直方向に配置したベース側ファイバ12とスライド側
ファイバ14を介して、スライド部材13及び重り15
を載置して、そのスライド部材13に取付けた糸16を
図示しない引張り試験機にて、ベース側ファイバ12の
長手方向即ち矢印方向に引張る。この時の引張り速度は
60mm/分、周囲温度は23℃±2℃とする。そし
て、その時の最大引張り強度(N)をスライド部材13
とスライド側ファイバ14と重り15の質量の総和に相
当する重力即ち0.54Nで除した値を求める。
【0020】次いで、スライド側ファイバ及びベース側
ファイバを新しく取り替えて、上記と同じ測定を再度行
う。このような測定を10回繰り返して、10回の最大
引張り強度(N)/質量総和(0.54N)の値の平均
値をもって、測定対象とした分散補償ファイバの最外層
被覆の滑り摩擦係数とする。即ち、上述した試験装置を
用いた試験での最大静摩擦係数の平均値が滑り摩擦係数
である。
【0021】また、PIM法による内層被覆のヤング率
測定方法は、次の通りである。図4(A)は、ヤング率
測定のための試料の作成方法を説明する斜視図であっ
て、図4(B)は、試料の斜視図である。17は測定対
象となる分散補償ファイバ、18はパイプ、19は試料
である。パイプ18はアクリル樹脂製で、そのパイプ1
8の中に分散補償ファイバ17をほぼ一杯になる程度の
本数だけ挿入し、エポキシ樹脂からなる接着剤を分散補
償ファイバ17の隙間及びパイプ18の内壁と分散補償
ファイバ17の間に注入して硬化させる。そして、パイ
プ18の中間部でパイプ18の軸と垂直に2箇所で切断
し、円盤状の試料19を作る。なお、試料19の両面は
研磨する。試料19の寸法は、厚さLが2mm、パイプ
内径D1が4mm、パイプ外径D2が8mmである。
【0022】図5は、試料19中の複数本集合された分
散補償ファイバのうちの任意の1本の荷重と変位の関係
を求める方法を説明する断面図であって、図5(A)は
荷重付加前の状態を、図5(B)は荷重付加中の状態を
示す。20は分散補償ファイバ、20aは光ファイバ、
20bは内層被覆、20cは外層被覆、21は荷重付与
ピン、21aは先端面である。荷重付与ピン21は逆円
錐台形で、その先端面21aの直径は50μmである。
分散補償ファイバ20の石英系ガラスからなる光ファイ
バ20aの外径Dfは通常100μm、内層被覆20b
の外径Dpは通常140μmである。
【0023】試料19の切断研磨面を水平に保って、そ
の中の任意の分散補償ファイバ20の光ファイバ20a
の上側端面に、荷重付与ピン21の先端面21aを当て
て荷重を加える。光ファイバ20a及び外層被覆20c
は、内層被覆20bに比べてその変形が無視出来る程度
に硬い材質で構成されており、また加えられる荷重によ
る変形量が十分に小さいため、荷重付与ピン21で加え
る荷重によって、内層被覆20bの部分のみが変形す
る。その結果、図5(B)に示すように、荷重付与ピン
21及び光ファイバ20aが下方に変位する。
【0024】この荷重付与ピン21の荷重と変位の値か
ら、内層被覆のヤング率を次の式で求める。なお、荷重
Sが小さいところでは、変位Zは荷重Sに比例しないの
で、ZとSの関係がほぼ直線となるところ、例えば荷重
Sが5mNから75mN(荷重の変化量ΔS=70m
N)の範囲で変位Zの変化量ΔZを調べその値を使う。
【0025】E=(1+ν)ΔS×ln(Dp/Df)
÷(πLΔZ) 但し、E:内層被覆のヤング率(N/mm2) ΔS:荷重付与ピンの荷重の変化量(mN) (この場合は、75mN−5mN=70mN) Dp:内層被覆の外径(μm)=140μm Df:光ファイバの外径(μm)=100μm L:試料の厚さ(mm)=2mm ΔZ:荷重付与ピンの変位の変化量(μm) ν:ポアソン比(この場合、0.45)
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の光ファイバの実施形態の
横断面図は、先に従来技術として示した図1と同じもの
である。但し、少なくとも外層被覆3の材料特性は従来
技術によるものと異なる。内層被覆2としては、外層被
覆3よりは比較的柔らかい材質のウレタンアクリレート
樹脂等の紫外線硬化型樹脂からなるものを使用し、外層
被覆3としては、比較的硬くて表面が滑り易いウレタン
アクリレート樹脂等の紫外線硬化型樹脂からなるものを
使用する。外層被覆3にはシリコーンアクリレート樹脂
又はシリコーン系オイル等を添加して表面を滑り易く
し、最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20以下になるよ
うにする。シリコーンアクリレート樹脂及びシリコーン
系オイルの両方を添加する場合もある。
【0027】以上のように構成した本発明による光ファ
イバは、ボビンに巻き取った状態においても、隣接する
光ファイバ同士が互いに滑り易く被覆表面の法線方向以
外の方向の側圧を加え合うことが少なくなるため、胴径
が120mm程度の小さいボビンに巻き付けても伝送損
失の増加は少ない。因みに、光ファイバとして分散補償
ファイバを用い、製造直後の胴径300mm程度の巻枠
に巻いた時の伝送損失と、それを胴径120mmのボビ
ンに巻き取った時の伝送損失とを比較したが、波長15
50nmにていずれも伝送損失が0.38dB/kmで
変わらなかった。
【0028】また、内層被覆2の材質を更に柔らかいも
のとし、PIM法にて測定した時のヤング率が0.8N
/mm2以下とすれば、ボビンの巻き取った時の伝送損
失の増加を更に抑えることが出来る。
【0029】また、本発明の分散補償ファイバの光ファ
イバ1としては、図1の例では2重クラッド型の屈折率
分布を持つものを示したが、それに限られるものではな
い。マッチドクラッド型、2重コア型、セグメントコア
型と呼ばれる屈折率分布を持つものとすることも出来
る。
【0030】また、本発明の分散補償ファイバは、50
0m以上を直径220mm以下の径でボビンに巻き付け
て、それを収納ケースに収納してコンパクトな分散補償
器とすることも出来る。分散補償ファイバの長さは、数
十kmになることもある。またその時、ボビンから抜き
取ったコイルを収納ケースに収納する場合と、ボビンに
分散補償ファイバを巻付けた状態で収納ケースに収納す
る場合がある。また、ボビンから抜き取ったコイルを収
納ケースに収納する場合は、収納ケースとコイルとの隙
間を高粘性ジェリー混和物、シリコーン系ゲル状硬化物
等のクッション性充填材で充填して収納ケース内でコイ
ルに側圧が加えることなく、またコイルが自由に動かな
いようにすることが望ましい。
【0031】さらに、上述したクッション性充填材とし
ては、樹脂製ラップ、発泡状物質、粉末状物質、粒子状
物質、接着剤、光ファイバの被覆材料からの溶出物、高
粘度液体などを用いることができる。発泡状物質として
は、発泡スチロール、発泡ゴム、スポンジなどが具体的
に挙げられる。ここで、粉末状物質とは、粒径が0.5mm
未満のものをいい、タルク(滑石)などが具体的に挙げ
られる。粒子状物質とは、粒径が0.5mm以上のものをい
い、コルク、おがくず、ウッドチップなどが具体的に挙
げられる。高粘度液体としては、シリコーンオイル、鉱
物油などが具体的に挙げられ、タルクが混入されるなど
しても良い。これらの物質を充填材とすることで、コイ
ルをクッション性を持って周囲から保持することができ
る。
【0032】上述したクッション性充填材は、液体、固
体、気体、あるいは、これらの混合物の何れでも良い。
例えば、上述した樹脂製ラップや粉末状物質、粒子状物
質は固体であるし、高粘度液体は当然液体である。ま
た、タルク入高粘度液体は固体と液体との混合物であ
る。また、これらの組み合わせの例としては、樹脂製ラ
ップによってコイル束を覆った後に、さらにその周囲に
高粘度液体やタルクなどを充填する場合などである。
【0033】上述したクッション性充填材の充填の仕方
は、光ファイバに側圧が加わらないのであれば、必ずし
も光ファイバのコイル束の重なり合っている部分の内部
に充填材を浸透させる必要はない。例えば、上述したク
ッション性充填材のうち、樹脂製ラップを使用する場合
のように、光ファイバのコイル束の重なり合っている部
分の内部に充填材(ここでは、樹脂製ラップが充填材で
ある)が浸透されないものであっても良い。もちろん、
充填材が、光ファイバのコイル束の重なり合っている部
分の内部に浸透しても良い。
【0034】また、延線した波長1.3μm帯で零分散
波長を有するシングルモード型光ファイバと本発明の分
散補償器とを接続して使用すれば、シングルモード型光
ファイバと分散補償ファイバとで波長1.55μm帯で
の波長分散が打ち消されるので波長1.55μm帯での
伝送損失の小さい光ファイバ伝送路の構成が可能であ
る。以上の説明では、分散補償ファイバは波長1.55
μmにて負の波長分散を有するものとして説明したが、
シングルモード型光ファイバの波長1.55μm帯での
波長分散が負の場合は、分散補償ファイバの方の波長分
散をその逆符号即ち正の波長分散とすれば良い。
【0035】図6に、上述した最外層の滑り摩擦係数
0.20以下の光ファイバを用いた光ファイバコイルを
示す。この光ファイバコイル30は、外径120mmのファ
イバ巻回部を有するボビンに5km分の上述した光ファイ
バ31を環状に複数回巻回させた後にボビンを取り去っ
てコイル束状にしたものである。さらに、この光ファイ
バコイル30においては、上述したコイル束状の光ファ
イバ31が、ケース32の内部でJIS K 2220に規定され
る貯蔵ちょう度が測定温度-40℃〜100℃の全範囲で5〜2
00の範囲内にある充填材33(以下、充填材33とも言
うこととする)によって、その周囲全体が包み込まれた
状態とされている。
【0036】コイル束状の光ファイバ31は、図6(b)
に示されるように、充填材33の内部に埋没されてい
る。本実施形態の光ファイバコイル30は、ボビンから
取り外されるので、光ファイバ31が巻回張力によって
ボビンに押し付けられたり、巻回張力によって光ファイ
バ31同士が押し付けられることによって発生するマイ
クロベンドが解消されるので、伝送特性が悪化すること
がない。また、充填材33によって、コイル束状態が保
持されるので、光ファイバ31の巻崩れなどによる伝送
特性の変化が発生することもない。
【0037】なお、図6(a)には、ケース32の蓋部3
4が外された状態が示されており、ここで用いた充填材
33が透明(あるいは半透明)であるため充填材33内
に埋没されている光ファイバ31が視認できる。また、
図6(b)は、図6(a)におけるX-X線断面図であり、ケー
ス32に蓋部34が取り付けられた状態が示されてい
る。さらに、コイル束状態の光ファイバ31の両端に
は、融着接続部35を介してピッグテール光ファイバ3
6が接続されており、このピッグテール光ファイバ36
がケース32の外部に導出されている。
【0038】この光ファイバコイル30に用いられてい
る充填材33は、上述したように、JIS K 2220に規定さ
れる貯蔵ちょう度が、測定温度-40℃〜100℃の全範囲で
5〜200の範囲内にある樹脂である。-40℃〜100℃の温度
範囲は、光ファイバコイルの実用使用温度である。貯蔵
ちょう度が5未満であると、光ファイバのマイクロベン
ドによる長波長側損失が大きくなりすぎ、実用に向かな
い。また、貯蔵ちょう度が200を超えるようであると、
充填材33によって光ファイバコイルの形状を保持でき
ないので、使用しているうちにコイル束状態が巻き崩れ
るなどして伝送特性を安定化させることができない。
【0039】
【実施例】6種類の分散補償ファイバを作って、比較を
行なった。表1はその結果をまとめたものである。被覆
内部の光ファイバは全て同じとし、コア部、ディプレス
トクラッド部、外部クラッド部の2重クラッド型の光フ
ァイバとした。コア部の外径は2.65μm、ディプレ
ストクラッド部の外径は7.58μm、外部クラッド部
の外径は100μmである。また、Δ+、Δ−は、Δ+
は2.1%、Δ−は−0.4%とした。波長1.55μ
mにおいて、この光ファイバの波長分散及び波長分散傾
斜は、それぞれ−100ps・nm-1・km-1、−0.
29ps・nm-2・km-1である。
【0040】
【表1】
【0041】光ファイバ上の被覆は2層とし、内層被覆
及び外層被覆の材料は表1の通りとした。また、被覆樹
脂の種類別の材料は次の通りである。 UV樹脂a:比較的柔らかいウレタンアクリレート樹脂
(PIM法によって測定したヤング率は1.2N/mm
2) UV樹脂b:UV樹脂aよりも更に柔らかいウレタンア
クリレート樹脂(PIM法によって測定したヤング率は
0.7N/mm2) UV樹脂A:比較的硬いウレタンアクリレート樹脂にシ
リコーンアクリレート樹脂を添加 UV樹脂B:比較的硬いウレタンアクリレート樹脂にシ
リコーン系オイルを添加 UV樹脂C:比較的硬いウレタンアクリレート樹脂(シ
リコーンアクリレート樹脂、シリコーン系オイル添加せ
ず) なお、上記の比較的硬いウレタンアクリレート樹脂は、
その樹脂を厚さ250μmのシートにして紫外線を照射
して硬化させたものから2号ダンベル片の試料を採取し
て、JIS K 7113に準拠して引張り速度1mm
/分にてヤング率を測定したところ、その値は700N
/mm2であった。
【0042】被覆樹脂の種類を変えて製作した分散補償
ファイバそれぞれについて、最外層被覆の滑り摩擦係数
を先に説明した方法で測定したところ、表1に示す結果
を得た。それによると、実施例1〜4のものは、全て摩
擦係数が0.20以下であった。また、比較例1〜2の
ものは、摩擦係数が0.25と大きかった。
【0043】次いで、各長さ5kmの分散補償ファイバ
を、巻き張力0.4Nにて胴径120mmのボビンに巻
取った。また、束状態は、下記の3種類の中から表1の
通りとした。 芯付き:ボビン巻きしたままの状態 芯抜き:ボビン巻きした後、ボビンから抜き取ってコイ
ルとした状態(比較例2のものはボビンからコイルを抜
いてもその束状態はあまり崩れなかった) 芯抜き・充填:ボビン巻きした後、ボビンから抜き取っ
てコイルとし、その周囲にシリコーン系ゲル状充填材を
充填した状態(実施例2〜4のものは、ボビンから抜き
取ってコイルとした段階でその束は少し崩れた)
【0044】出来上がった実施例1〜4、比較例1〜2
の各例について、胴径120mmのボビンに巻取る前の
状態からの波長1600nmでの伝送損失の増加量を測
定したところ、表1の結果が得られた。波長1550n
mで伝送損失の増加がわずかであっても、通常の場合は
波長1600nmでは伝送損失の増加は比較的大きくな
るので、比較の容易性を考え、波長1600nmにおけ
る伝送損失の増加で比較した。
【0045】以上の実施例1〜4と比較例1〜2の比較
から、最外層被覆の滑り摩擦係数が低い方が波長160
0nmでの伝送損失の増加が少ないことが分かる。ま
た、摩擦係数が0.18なら、ボビンに巻付けたままで
あっても、波長1600nmでの伝送損失の増加は0.
08dB/km程度の小さい値とすることが出来る。ま
た、実施例1と実施例2の比較から、分散補償ファイバ
をボビンに巻付けたままよりも、ボビン巻き後、ボビン
から抜き取ってコイルとしその周囲に充填材を充填した
ものの方が、伝送損失の増加が少ないことが分かる。
【0046】また、実施例2と実施例3の比較から、内
層被覆を更に柔らかいものにすれば、更に伝送損失の増
加を抑制出来るということが分かる。また、実施例2と
実施例4の比較から、外層被覆材料へのシリコーンアク
リレート樹脂又はシリコーン系オイルの添加は同程度に
伝送損失増加抑制の効果があることが分かる。
【0047】本発明の他の実施形態について説明する。
この実施形態の光ファイバは分散補償ファイバであり、
その断面は図1に示されるものと同様であるが、各部の
寸法が上述した実施形態のものと異なる。
【0048】コア部1aの直径は2.7μm、ディプレスト
クラッド部1bの外径は6.6μm、外部クラッド部1cの
外径(即ち、石英系ガラス部分の外径)は120μmであ
る。被覆4は、外部クラッド部1cの直ぐ外側に位置す
る内層被覆2と、この内層被覆2のさらに外側に位置す
る外層被覆3とからなっている。内層被覆2の厚さは40
μmであり、外層被覆3の厚さも20μmである。即ち、外
層被覆3の外径(光ファイバの外径)は240μmとなる。
【0049】この光ファイバの屈折率分布も図2に示さ
れるものと同様であるが、外部クラッド部1cに対する
コア部1aの比屈折率差(増分)Δ+は1.9%である。
一方、外部クラッド部1cに対するディプレストクラッ
ド部1bの比屈折率差(減分)Δ−は-0.4%である。ま
た、20℃における内層被覆2のヤング率は0.98N/mm2
外層被覆3のヤング率は784N/mm2である。
【0050】この分散補償ファイバの1.55μm波長帯域
での波長分散は-120ps・nm-1・km-1であり、1.55μm波長
帯域での波長分散傾斜は-0.28ps・nm-2・km-1である。波
長分散傾斜とは、波長分散値の波長依存性を示すもの
で、横軸が波長(nm)・縦軸が波長分散値(ps・nm-1・km-1)
のグラフ上の波長分散値を示す曲線(あるいは直線)の
勾配である。またさらに、1.55μm波長帯域での伝送損
失は0.33dB/kmである。
【0051】上述した分散補償ファイバの最外層被覆の
滑り摩擦係数を変えて、実験を行った。実験は、滑り摩
擦係数を変えた分散補償ファイバ5kmを直径120mmのボビ
ンに巻き取った後にボビンのみを外し、コイル束状とさ
れた光ファイバの伝送損失を測定した。伝送損失の測定
時に用いた信号光は1600nmであり、測定時の温度は常温
(23℃)及び-20℃である。実験結果を〔表2〕に示す。
【0052】
【表2】
【0053】〔表2〕から分かるように、最外層被覆の
滑り摩擦抵抗が0.20以下であると、伝送損失を低く
抑えることができる。
【0054】さらに、周囲にクッション性充填材を充填
させた光ファイバコイルによる効果も確認した。この実
施形態の光ファイバも分散補償ファイバであり、その断
面は図1に示されるものと同様であるが、各部の寸法が
上述した実施形態のものと異なる。
【0055】コア部1aの直径は2.7μm、ディプレスト
クラッド部1bの外径は6.6μm、外部クラッド部1cの
外径(即ち、石英系ガラス部分の外径)は125μmであ
る。被覆4は、外部クラッド部1cの直ぐ外側に位置す
る内層被覆2と、この内層被覆2のさらに外側に位置す
る外層被覆3とからなっている。内層被覆2の厚さは15
μmであり、外層被覆3の厚さも15μmである。即ち、外
層被覆3の外径(光ファイバの外径)は185μmとなる。
【0056】この光ファイバの屈折率分布も図2に示さ
れるものと同様であるが、外部クラッド部1cに対する
コア部1aの比屈折率差(増分)Δ+は1.9%である。
一方、外部クラッド部1cに対するディプレストクラッ
ド部1bの比屈折率差(減分)Δ−は-0.4%である。ま
た、20℃における内層被覆2のヤング率は0.98N/mm2
外層被覆3のヤング率は98N/mm2である。
【0057】この分散補償ファイバの1.55μm波長帯域
での波長分散は-120ps・nm-1・km-1であり、1.55μm波長
帯域での波長分散傾斜は-0.28ps・nm-2・km-1である。ま
た、1.55μm波長帯域での伝送損失は0.33dB/kmである。
さらに、この分散補償ファイバの最外層被覆の滑り摩擦
係数は、0.17〜0.18である。
【0058】上述した分散補償ファイバを用い、その周
囲に充填するクッション性充填材の素材を変えて実験を
行った。用いたクッション性充填材は、〔表3〕に示さ
れるものである。実験には、分散補償ファイバ5kmを直
径120mmのボビンに巻き取った後にボビンのみを外して
コイル束状とされた光ファイバの周囲にクッション性充
填材を充填させて構成した分散補償器いて伝送損失を測
定した。実施例13は、ボビンから外した状態のまま、
周囲に充填材を充填しないものを用いた。
【0059】上述した光ファイバコイルを、昇降温速度
毎分1℃で-20℃及び70℃にて各6時間保持を5サイクル行
うの熱サイクル試験にかけ、-20℃での5回の損失測定値
と70℃での5回の損失測定値の計10の損失測定値の最大
値と最小値との差を損失変動量として算出した。この分
散補償ファイバを恒温槽に入れて熱サイクルをかけた
後、周囲に充填材が充填されたコイル部分のみを取り出
して、1550nm光源及び1600nm光源とパワーメータを用い
て、それぞれの波長における損失変動量を測定した。結
果を〔表3〕に示す。〔表3〕から分かるように、光フ
ァイバコイルの周囲にクッション性充填材を充填した方
が、双方の波長において安定した特性を有していること
が分かる。
【0060】
【表3】
【0061】なお、本発明の光ファイバは、上述した実
施形態に限定されるものではない。例えば、上述した光
ファイバは分散補償ファイバ(DCF)であるが、これ以外
の種類の光ファイバであっても良い。例えば、シングル
モード光ファイバや波長分散シフト光ファイバ、NZ型
波長分散シフト光ファイバ、エルビウム添加光ファイ
バ、偏波モード保持光ファイバである場合もある。この
ような光ファイバを用いても、優れた伝送特性を有する
光ファイバコイルを得ることができる。
【0062】シングルモード光ファイバ(Single Mode o
ptical-Fiber:SMFとも言う)は、1.3μmの波長帯域で光
信号の伝送を行うことを主目的に設計された光ファイバ
である。この光ファイバを用いて1.55μmの波長帯域で
光信号の伝送を行うと波長分散という現象を起こす。こ
の波長分散は、上述したDCFMなどで補償される。これと
は反対に、SMFは、上述したDCFなどによって負の波長分
散となった光信号をそれ自身の正の波長分散で補償する
場合などにも用いられる。この場合、使用にあたっては
モジュール化される場合がある。
【0063】波長分散シフト光ファイバ(Dispersion Sh
ifted optical-Fiber:DSFとも言う)は、1.55μmの波長
帯域で光信号の伝送を行うことを主目的に設計されて光
ファイバである。1.55μmの波長帯域に対する波長分散
値が零であるという特性を有しているが、波長多重伝送
技術(Wavelength Division Multiplexing:以下、WDMと
も言う)による伝送時に、上記波長帯域の長・短波長側
で波長分散現象が生じる。DSFは、ラマン散乱励起用光
ファイバとして用いられる場合がある。使用にあたって
はモジュール化される場合がある。
【0064】NZ型波長分散シフト光ファイバ(Non Zer
o Dispersion Shifted optical-Fiber:NZ-DSFとも言う)
は、上述したDSFの場合に起こる非線形効果を低減する
ため、波長分散が零となる中心波長を1.55μmから多少
ずらして設計した光ファイバである。WDMによる伝送時
に波長分散現象が生じるのは、上述したDSFと同様であ
る。使用にあたってはモジュール化される場合がある。
【0065】エルビウム添加光ファイバ(Erbium Doped
optical-Fiber:EDFとも言う)は、コアにエルビウムイオ
ンを添加した光ファイバである。波長0.98μm,1.48μm
の光を吸収した状態で1.55μmの波長帯域の信号光を入
射させると誘導放出を起こし、信号光のパワーを増幅さ
せることができる。通常は、モジュール化された形態
で、光アンプ(Erbium Doped optical-Fiber Amplifier:
以下、EDFAとも言う)などとして利用される。
【0066】偏波モード保持光ファイバ(Polarization
Maintaining optical-Fiber:PMFとも言う)は、直線偏波
を保持したまま伝送する光ファイバであり、光ファイバ
ジャイロや偏波モード分散補償器などに利用される。通
常は、モジュール化してPMFM(Polarization Maintainin
g optical-Fiber Module)として用いる。
【0067】
【発明の効果】本発明の光ファイバは、一層以上の被覆
層を有しており、最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20
以下である。このため、隣接する光ファイバ同士の接触
箇所は互いに滑り易く、光ファイバの表面に対する法線
成分以外の側圧成分は軽減され、互いに及ぼし合う側圧
が小さくなる。この結果、本発明の光ファイバによれ
ば、伝送損失の増加を抑制することが出来る。
【0068】光ファイバをコイル束状にして光ファイバ
コイルとする際には、互いに接触する光ファイバ同士が
側圧を与えやすいが、上述した本発明の光ファイバを用
いることによって、伝送損失の増加を抑制することがで
き、伝送特性に優れた光ファイバコイルを得ることがで
きる。ここで、光ファイバとして分散補償光ファイバを
用いれば、良好な伝送特性と波長分散の良好な補償とを
両立することができる。
【0069】本発明の分散補償ファイバは、波長1.5
5μmで負の波長分散を有する光ファイバに1層以上の
被覆を設けた分散補償ファイバであって、最外層被覆の
滑り摩擦係数が0.20以下であるので、胴径の小さい
ボビンに巻いても隣接する分散補償ファイバは互いに滑
り易く側圧を及ぼし合うことが少ない。その結果、ボビ
ン巻きによる伝送損失の増加を抑制することが出来る。
【0070】光ファイバ上の被覆を2層とし、その内層
被覆のPIM法にて測定したヤング率を0.8N/mm
2以下としたものは、外層被覆に加わる側圧を内層被覆
が吸収して光ファイバに伝わり難くなるので、更にボビ
ン巻きした時の伝送損失の増加を小さくすることが出来
る。
【0071】また、本発明の分散補償ファイバの長さ5
00m以上を、直径220mm以下の曲率でボビンに巻
取って、そのボビン又はボビンから抜き取ったコイルを
収納ケースに収納した分散補償器は、コンパクトな機器
として取り扱いが容易である。更に、収納ケース内のコ
イルの周囲をクッション性充填材にて充填すれば、収納
ケース内でコイルが動くことはないので、長期間にわた
って特性を安定したものとすることが出来る。また、波
長1.55μm帯以外に零分散波長を有するシングルモ
ード型光ファイバに被覆を設けた光ファイバケーブルを
長手方向に延線した伝送路と、本発明の分散補償器とを
接続して構成して光ファイバ伝送路とすれば、伝送損失
の少ない光ファイバ伝送路を構成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散補償ファイバの一例を示す横断面図であ
る。
【図2】図1に示す分散補償ファイバにおける光ファイ
バ1の半径方向の屈折率分布を示す図である。
【図3】最外層被覆の滑り摩擦係数の測定方法を説明す
る図であって、(A)は上面図、(B)は正面図、
(C)は側面図である。
【図4】(A)ヤング率測定のための試料の作成方法を
説明する斜視図であって、(B)は試料の斜視図であ
る。
【図5】図4で示す資料中の任意の分散補償ファイバに
荷重を加えた時の、荷重と変位の関係を求める方法を説
明する断面図であって、(A)は荷重付加前の状態を、
(B)は荷重付加中の状態を示す。
【図6】本発明の光ファイバコイルの実施形態を示して
おり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ、1a…コア部、1b…ディプレストク
ラッド部、1c…外部クラッド部、2…内層被覆、3…
外層被覆、4…被覆、11…ベース部材、12…ベース
側ファイバ、13…スライド部材、14…スライド側フ
ァイバ、15…重り、16…糸、17…測定対象の分散
補償ファイバ、18…パイプ、19…試料、20…分散
補償ファイバ、20a…光ファイバ、20b…内層被
覆、20c…外層被覆、21…荷重付与ピン、21a…
先端面、30…光ファイバコイル、31…光ファイバ、
33…充填材。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H038 CA35 CA37 2H050 AC14 AC36 AC71 BB04S BB07Q BB07R BB07S BB14Q BB14R BB17Q BB17R BB17S BB31S BB33Q BB33R BB33S BC04 BD07 4G060 AA01 AA03 AC01 AC02 AC15 CB27

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一層以上の被覆層を有する光ファイバに
    おいて、 最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20以下であることを
    特徴とする光ファイバ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光ファイバをコイル束
    状に巻回して形成したことを特徴とする光ファイバコイ
    ル。
  3. 【請求項3】 前記光ファイバが分散補償ファイバであ
    ることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバコイ
    ル。
  4. 【請求項4】 コイル束状の前記光ファイバの周囲に充
    填材が充填されており、前記充填材は、JIS K 2220に規
    定される貯蔵ちょう度が測定温度-40℃〜100℃の全範囲
    で5〜200の範囲内にある樹脂であり、コイル束状の前記
    光ファイバの周囲全体を包み込んでコイル束状の状態を
    保持していることを特徴とする請求項2又は3に記載の
    光ファイバコイル。
  5. 【請求項5】 波長1.55μmで負の波長分散を有す
    る光ファイバに1層以上の被覆を設けた分散補償ファイ
    バにおいて、最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20以下
    であることを特徴とする分散補償ファイバ。
  6. 【請求項6】 前記最外層被覆は、シリコーン系オイル
    又はシリコーンアクリレート樹脂のいずれか一方又は両
    方が添加された紫外線硬化型樹脂からなることを特徴と
    する請求項5に記載の分散補償ファイバ。
  7. 【請求項7】 前記被覆は内層被覆と外層被覆の2層か
    らなり、その内層被覆はPIM法にて測定したヤング率
    が0.8N/mm2以下であることを特徴とする請求項
    5又は請求項6に記載の分散補償ファイバ。
  8. 【請求項8】 波長1.55μmで負の波長分散を有す
    る光ファイバに1層以上の被覆を設けたものであって、
    その最外層被覆の滑り摩擦係数が0.20以下である分
    散補償ファイバの長さ500m以上を、直径220mm
    以下の径でボビンに巻取り、該ボビン又は該ボビンから
    抜き取ったコイルを収納ケースに収納したことを特徴と
    する分散補償器。
  9. 【請求項9】 前記収納ケース内の前記ボビンから抜き
    取ったコイルの周囲はクッション性充填材にて充填され
    ていることを特徴とする請求項8に記載の分散補償器。
  10. 【請求項10】 波長1.55μm帯以外に零分散波長
    を有するシングルモード型光ファイバに被覆を設けた光
    ファイバケーブルを長手方向に延線した伝送路と、波長
    1.55μmで前記シングルモード型光ファイバの波長
    分散と逆符号の波長分散を有する光ファイバに1層以上
    の被覆を設けた分散補償ファイバの長さ500m以上を
    ボビンに巻取って、該ボビン又は該ボビンから抜き取っ
    たコイルを収納ケースに収納してなる分散補償器とを接
    続して構成した光ファイバ伝送路において、前記分散補
    償ファイバは、その最外層被覆の滑り摩擦係数が0.2
    0以下であることを特徴とする光ファイバ伝送路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007256978A (ja) * 2007-06-04 2007-10-04 Furukawa Electric Co Ltd:The 光ファイバ素線の製造方法

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