JP2002081444A - 磁気軸受装置および磁気軸受装置のセンサ感度調整方法 - Google Patents

磁気軸受装置および磁気軸受装置のセンサ感度調整方法

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JP2002081444A
JP2002081444A JP2000268180A JP2000268180A JP2002081444A JP 2002081444 A JP2002081444 A JP 2002081444A JP 2000268180 A JP2000268180 A JP 2000268180A JP 2000268180 A JP2000268180 A JP 2000268180A JP 2002081444 A JP2002081444 A JP 2002081444A
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sensor
signal
magnetic bearing
control
bearing device
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JP2000268180A
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Junichiro Ozaki
純一郎 小崎
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C32/00Bearings not otherwise provided for
    • F16C32/04Bearings not otherwise provided for using magnetic or electric supporting means
    • F16C32/0406Magnetic bearings
    • F16C32/044Active magnetic bearings
    • F16C32/0444Details of devices to control the actuation of the electromagnets
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2360/00Engines or pumps
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被支持体である回転体と位置センサとのギャ
ップのばらつきによらず、制御性に優れた磁気軸受装置
の提供。 【解決手段】 ロータ4を非接触支持する電磁石5と、
電磁石5に励磁電流を供給する励磁アンプ31と、ロー
タ4の位置を検出する変位センサ7と、励磁電流に関す
る制御信号を位置センサ7のセンサ信号に基づいて出力
する制御手段30とを備え、励磁アンプ31に入力され
る制御信号に所定の交流信号、例えば正弦波信号を加算
し、そのときのセンサ信号に基づいて位置センサ7を含
む制御対象Aの伝達関数ゲイン値を算出するとともに、
伝達関数ゲイン値と所定のゲイン基準値との比によりセ
ンサ信号を補正する。そして、この補正されたセンサ信
号に基づいてロータ4の磁気浮上制御が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ターボ分子ポンプ
や工作機械等に使用される磁気軸受装置、および磁気軸
受装置のセンサ感度調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気軸受装置、例えば磁気軸受式ターボ
分子ポンプ等ではタッチダウンベアリングが備えられて
おり、磁気浮上制御しないときや浮上制御不良などによ
り浮上制御が維持できない非常時には、タッチダウンベ
アリングで回転体を安全に支持するようにしている。そ
のため、非常時には回転体の運動はタッチダウンベアリ
ングにより拘束され、磁気軸受の構成要素である位置セ
ンサや電磁石などと回転体とが接触するのを防止してい
る。タッチダウンベアリングには転がり軸受等のメカニ
カルベアリングが用いられる。通常、回転体、位置セン
サ、電磁石、タッチダウンベアリング等の寸法は数十μ
mのオーダーの公差でそれぞれ製作されており、回転体
が浮上しているときの回転体と位置センサやタッチダウ
ンベアリングとのギャップ寸法は数百μmオーダーで設
計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の寸法はターボ分子ポンプ毎に最大数十パーセントのば
らつきがある。センサ感度は回転体と位置センサとのギ
ャップ寸法に関係しているため、ギャップ寸法が最大数
十パーセントばらつくと、センサ感度にも最大数十パー
セントのばらつきが生じることになる。磁気軸受制御は
センサ信号に基づいて行われるので、センサ感度にばら
つきが生じると、外部振動に対する磁気軸受剛性などの
制御性能もポンプ毎にばらついてしまうという問題があ
った。
【0004】本発明の目的は、被支持体である回転体と
位置センサとのギャップのばらつきによらず、制御性に
優れた磁気軸受装置、および磁気軸受装置のセンサ感度
調整方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明の実施の形態を示す
図5および図6に対応付けて説明する。 (1)図5に対応付けて説明すると、請求項1の発明
は、被支持体4を非接触支持する電磁石5と、磁気浮上
を制御する制御信号に基づいて電磁石5に励磁電流を供
給する励磁アンプ31と、被支持体4の位置を検出する
位置センサ7と、位置センサ7のセンサ信号に基づいて
制御信号を励磁アンプ31に出力する制御手段30とを
備える磁気軸受装置に適用され、制御信号に所定の交流
信号を加算する交流信号加算手段303と、交流信号が
加算されたときの位置センサ7のセンサ信号に基づい
て、位置センサ7を含む制御対象Aの伝達関数ゲイン値
を算出するゲイン演算手段303とを備え、制御手段3
0が伝達関数ゲイン値と所定のゲイン基準値との比に基
づいて制御信号を出力することにより上述の目的を達成
する。 (2)図5および図6に対応付けて説明すると、請求項
2の発明は、請求項1に記載の磁気軸受装置において、
被支持体4の支持位置を第1の位置と第2の位置との間
に拘束する拘束部材28と、被支持体4が第1の位置に
あるときの位置センサ73のセンサ信号と被支持体4が
第2の位置にあるときの位置センサ73のセンサ信号と
の差分を算出する差分演算手段303を備え、制御手段
30が、差分演算手段303により算出された差分と所
定の基準差分との比に基づいて制御信号を出力するもの
である。 (3)図5に対応付けて説明すると、請求項3の発明
は、被支持体4を非接触支持する電磁石5と、磁気浮上
を制御する制御信号に基づいて電磁石5に励磁電流を供
給する励磁アンプ31と、被支持体4の位置を検出する
位置センサ7と、位置センサ7のセンサ信号に基づいて
制御信号を励磁アンプ31に出力する制御手段30とを
備える磁気軸受装置のセンサ感度調整方法に適用され、
制御信号に所定の交流信号を加算し、交流信号が加算さ
れたときの位置センサ7のセンサ信号に基づいて少なく
とも位置センサ7を含む制御対象Aの伝達関数ゲイン値
を算出するとともに、伝達関数ゲイン値と所定のゲイン
基準値との比に基づく制御信号により磁気浮上を制御す
ることにより上述の目的を達成する。制御対象Aの伝達
関数には位置センサ7の伝達関数が含まれており、制御
信号に交流信号を加算したときに得られる伝達関数ゲイ
ン値とゲイン基準値との比は位置センサ7の感度補正係
数になっており、この比に基づく制御信号で磁気浮上を
制御することにより制御性が向上する。
【0006】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図10を参照して本
発明の実施の形態を説明する。図1は本発明による磁気
軸受装置の一実施の形態を示す図であり、磁気軸受式タ
ーボ分子ポンプの概略構成を示すブロック図である。図
1に示す磁気軸受式ターボ分子ポンプは、真空排気を行
うポンプ本体1と、ポンプ本体1の駆動制御を行うコン
トロールユニット2と、両装置間を電気的に接続するケ
ーブル3とを備えている。ロータ翼(後述する)が設け
られたロータ4は電磁石5により非接触支持され、モー
タ6により回転駆動される。ロータ4の浮上位置の変位
は、変位センサ7(例えば、非接触式の磁気センサ)に
より検出される。
【0008】変位センサ7の信号は軸受制御回路9の制
御部30に送られ、制御部30は変位センサ7のセンサ
信号に基づいて励磁信号を励磁アンプ31に出力する。
10は外部電源11からの交流電力を直流電力に変換し
て軸受制御回路9やモータドライバ12などに供給する
DC電源である。モータドライバ12は、回転数センサ
13により検出されたロータ4の回転数に基づいてロー
タ4を回転制御する。ポンプ本体1とコントロールユニ
ット2とを接続するケーブル3は、モータ用電力線3
a、電磁石用電力線3b、回転数センサ用信号線3cお
よび変位センサ用信号線3dを備えている。
【0009】一般的に、磁気軸受式ターボ分子ポンプで
はポンプ本体1、コントロールユニット2およびケーブ
ル3がセットで用いられ、製品出荷時に調整が行われ
る。そのため、これらの組み合わせを変えた場合にはチ
ューニングと呼ばれる調整作業を行う必要がある。具体
的には、変位センサ7の感度はポンプ本体1毎に異なる
ので、変位センサ7の感度に応じてセンサ信号が補正さ
れ、制御部30はその補正されたセンサ信号に基づいて
励磁信号を励磁アンプ31に出力する。この補正係数は
ポンプ本体1毎に異なり、チューニングにより設定され
る。このチューニング動作は、チューニングスイッチS
W3をオン操作することにより自動的に実行される。S
W1は電源スイッチであり、電源スイッチSW1をオン
すると電磁石5に励磁電流が供給されてロータ4が磁気
浮上される。また、SW2はモータ6によるロータ4の
回転駆動を行わせるためのスタートスイッチである。
【0010】図2はポンプ本体1の詳細を示す断面図で
ある。ポンプ本体1のケーシング20の内部には、複数
段のロータ翼21およびネジ溝部22が形成されたロー
タ4と、ロータ翼21に対して交互に配設されるステー
タ翼23と、上記ネジ溝部22と対向するように配設さ
れる筒状部材24とが設けられている。ロータ4を非接
触支持する電磁石5はラジアル磁気軸受を構成する電磁
石51,52とアキシャル磁気軸受を構成する電磁石5
3とを有し、これらは5軸制御型磁気軸受を構成してい
る。
【0011】これらのラジアル電磁石51,52とアキ
シャル電磁石53に対応して、図1の変位センサ7もラ
ジアル変位センサ71,72およびアキシャル変位セン
サ73から成る。25はケーブル3(図1)に接続され
るレセプタクルである。ロータ4を電磁石51,52,
53により非接触支持しつつモータ6により回転駆動す
ると、吸気口フランジ20側のガスは矢印G1のように
背圧側(空間S1)に排気され、背圧側に排気されたガ
スは排気口フランジ26に接続された補助ポンプにより
排気される。
【0012】27,28は非常用のメカニカルベアリン
グであり、ロータ4が磁気浮上していないときには、ロ
ータ4はこれらのベアリング27,28により支持され
る。ベアリング27はロータ4のラジアル方向の2軸
(x軸およびy軸)の運動を非常時に拘束し、ベアリン
グ28はラジアル方向の2軸(x軸およびy軸)とスラ
スト方向の1軸(z軸)を拘束する。
【0013】図3は5軸制御型磁気軸受の概念図であ
り、ロータ4の回転軸Jがz軸に一致するように示し
た。図3に示すように、図2のラジアル電磁石51は、
x軸に沿ってロータ4を挟むように対向して配設される
1組の電磁石51xと、y軸に沿ってロータ4を挟むよ
うに対向して配設される1組の電磁石51yとを有して
いる。同様に、ラジアル電磁石52も、x軸に沿ってロ
ータ4を挟むように対向して配設される1組の電磁石5
2xと、y軸に沿ってロータ4を挟むように対向して配
設される1組の電磁石52yとを有している。
【0014】また、アキシャル電磁石53は、ロータ4
の下端に設けられたディスク41をz軸に沿って挟むよ
うに対向して配設される1組の電磁石53zを有してい
る。これら5組の電磁石51x,51y,52x,52
y,53により5軸制御型磁気軸受が構成されている。
なお、図2の変位センサ71,72は電磁石51x,5
1y,52x,52yに対応してそれぞれ2組のラジア
ル変位センサで構成されている。
【0015】図4(a),(b)は、ロータ4が所定位
置に磁気浮上しているときの、ロータ4およびディスク
41とベアリング27,28、変位センサ71,73、
ラジアル電磁石51およびアキシャル電磁石53とのギ
ャップを示す図である。ベアリング27,28とロータ
4とのラジアル方向のギャップDbrは、ラジアル変位セ
ンサ71とロータ4とのギャップDsrおよびラジアル電
磁石51とロータ4とのギャップDmrよりも小さく設定
されている。また、ベアリング28とロータ4とのアキ
シャル方向のギャップDbtは、ロータ4とアキシャル変
位センサ73とのギャップDstおよびディスク41とア
キシャル電磁石53とのアキシャル方向のギャップDmt
よりも小さく設定されている。前述したように、これら
のギャップは数百μmオーダーで設計されており、各部
品の寸法公差は数十μmのオーダーの公差で製作されて
いる。
【0016】図5は図1の磁気軸受装置の磁気浮上制御
系を示した図であり、制御部30は、A/Dコンバータ
301、D/Aコンバータ302、DSP(デジタルシ
グナルプロセッサ)等が用いられる演算部303、RO
M304,RAM305等の記憶部306を備えるデジ
タル信号処理回路である。図5は5軸制御型磁気軸受の
1軸に関する制御系を示したものであり、このような制
御系は5軸の各センサ毎に設けられる。ロータ4の位置
変位は変位センサ7により検出され、その変位センサ7
の出力信号はA/Dコンバータ301によりデジタル値
に変換された後に、演算部303に入力される。
【0017】制御部30の記憶部306には予め磁気浮
上制御定数がインプットされており、演算部303は変
位センサ7の出力と制御定数とに基づいて電磁石5に流
すべき励磁電流を算出する。例えば、図4に示すロータ
4の浮上位置が適正位置よりもアキシャル変位センサ7
3側にずれている場合には、変位センサ73とは反対側
の電磁石53zの励磁電流を大きくして適正位置となる
ように制御される。演算部303からは供給すべき励磁
電流に応じた励磁信号が出力され、その励磁信号はD/
Aコンバータ302によりアナログ値に変換された後に
励磁アンプ31に入力される。このように、図5に示す
制御系では、ロータ4,電磁石5,変位センサ7および
励磁アンプ31が制御部30に対する制御対象Aを構成
しており、変位センサ7の信号を制御部30にフィード
バックしてロータ4の浮上位置を制御するフィードバッ
ク制御が行われる。
【0018】前述したように、ロータ4や電磁石5の寸
法誤差に起因する変位センサ7のセンサ感度ばらつきが
あると、制御性が低下するおそれがある。そこで、本実
施の形態では、次のようなチューニング(センサ感度初
期調整)を行ってセンサ感度の補正を行う。本実施の形
態のチューニングでは、最初にオフセット補正を含むチ
ューニングを行った後に、センサ感度補正に関するチュ
ーニングを行う。
【0019】まず、図6,7を参照してオフセット補正
を含むチューニングについて説明する。なお、以下の説
明ではアキシャル変位センサ73の感度調整について説
明するが、ラジアルセンサ71,72の感度調整につい
ても同様の手順で調整作業が行われるので説明を省略す
る。まず、ロータ4が図示下側のアキシャル電磁石53
z方向に吸引されるような直流励磁信号を、図5の演算
部303から励磁アンプ31に出力し、図6(a)のよ
うにロータ4のベアリング溝42の上端面をベアリング
28の上端面に当接させる。そして、このときのアキシ
ャル変位センサ73のセンサ信号Vspを測定する。
【0020】次に、ロータ4が図示上側のアキシャル電
磁石53z方向に吸引されるような直流励磁信号を制御
部30から励磁アンプ31に出力し、図6(b)のよう
にロータ4のベアリング溝42の下端面をベアリング2
8の下端面に当接させて、アキシャル変位センサ73の
センサ信号Vsmを測定する。演算部303は、得られた
センサ信号Vsp,Vsmから、次式(1)、(2)により
差ΔVsおよびオフセットVoffsetを算出する。図7
(a)はセンサ信号Vsp,VsmおよびΔVs,Voffset
の関係を示す図であり、縦軸はセンサ信号の出力であ
る。
【数1】ΔVs=Vsp−Vsm …(1) Voffset=(Vsp+Vsm)/2 …(2)
【0021】ところで、記憶部306にはΔVsの基準
値ΔVsoが予め記憶されており、実際に測定されたΔV
sと基準値ΔVsoとの比αが演算部303で算出され
る。なお、基準値ΔVsoは図4のギャップDst,Dmtの
寸法が設計値通りと仮定したときのセンサ信号であり、
比αは感度補正係数を表している。浮上時にアキシャル
変位センサ73から出力されるセンサ信号をVsとした
とき、演算部303はセンサ信号VsをαおよびVoffse
tで式(4)のように補正し、チューニング後はこの補
正された信号Vs1に基づいて磁気浮上制御が行われる。
図7(a)に示したセンサ信号Vsp,Vsmをこのように
補正すると、図7(b)に示すようなセンサ信号αVs
p,αVsmとなる。図5の記憶部306には上述した一
連の調整処理のプログラムが記憶されており、演算部3
03はこのプログラムに従って上述の調整動作(測定、
演算、補正)を自動的に行う。
【数2】α=ΔVs/ΔVso …(3) Vs1=α・Vs−Voffset …(4)
【0022】ところで、アキシャル変位センサ73のセ
ンサ感度は、センサ信号の差ΔVsとロータ4をベアリ
ング28の上下両端に当接させたときのストロークΔd
(=2Dbt)との比(ΔVs/Δd)である。上述した
第1のチューニングではΔVsのみが測定され、Δdに
ついては実際の値ではなく所定の値(例えば、設計値)
になっていると仮定している。そのため、Δdのばらつ
きが大きい場合には、上述した感度補正係数αでは精度
の高い感度補正ができず、所定レベル以上の感度補正効
果を上げることができない。
【0023】例えば、ベアリング28に転がり軸受を用
いた場合には数十μmのがたを有しており、そのばらつ
きも同オーダーである。その結果、ストロークΔdも数
十μmのばらつきを有することになる。ギャップDstの
寸法は数百μmオーダーなので、異なるポンプを比較し
た場合には、Δdは最大数十パーセント程度のばらつき
が有ることになる。
【0024】そこで、上述したチューニングの後に、以
下に述べるような感度補正に関するチューニングを行
う。このチューニングでは、図5に示す制御対象Aの伝
達関数のゲインを測定して、その伝達関数のゲインに基
づいて制御部30の伝達関数の補正を、すなわち制御定
数の補正を行う。その結果、Δdを測定することなく精
度良い感度補正を行うことができる。
【0025】図8は、図5に示した制御系の伝達関数を
説明するブロック線図である。ここで、測定および演算
を行う伝達関数としては変位センサ7部分の伝達関数G
sが含まれれば良い。図8の場合には制御対象Aの伝達
関数Gp(Gp=Gs・Gr・Ga)について測定・演算が
行われ、伝達関数Gpには伝達関数Gsの他に励磁アンプ
31の伝達関数Ga、ロータ4と電磁石5の伝達関数Gr
が含まれる。また、制御部30の伝達関数Gcも含んだ
閉ループ伝達関数Go(Go=Gc・Gp)を測定・演算を
行う伝達関数としも良い。以下では、伝達関数Gpの場
合について説明する。
【0026】第2のチューニングでは、図8の加算点3
2において制御部30の出力信号に振幅AOUTi、周波数
ωiの正弦波信号を入力し、出力点33,34において
周波数ωi成分の出力値V1,V2を測定する。この出
力値V1,V2の比(|V2|/|V1|)は出力点3
3,34における振幅比(AOUTi/AINi)に等しく、
この振幅比は伝達関数Gpのゲイン(|Gp|)であるの
で、このゲイン|Gp|に基づいてセンサ信号Vsを補正
する。アキシャル変位センサ73のセンサ信号補正をす
る場合には、アキシャル電磁石53(図4参照)の励磁
信号に対して正弦波信号が加算される。なお、加算点3
2に入力する信号は、正弦波信号に限らず他の波形を有
する交流信号でも良く、出力点33,34で交流成分の
振幅を測定する。また、正弦波信号の発生,振幅の測定
およびゲインの演算などは、全て演算部303にて行わ
れる。
【0027】図9は、1軸(アキシャル変位センサ7
3)に関するチューニング手順を説明するフローチャー
トである。まず、チューニングを行う際には、図1の電
源スイッチSW1をオンしてロータ4を磁気浮上させ
る。この際には、記憶部306に予め記憶されている制
御定数が呼び出されて浮上制御が行われる。次いで、チ
ューニングスイッチSW3をオンすると、図9に示すフ
ローチャートがスタートする。ステップS1で初期値0
の変数iを1だけ増加させたならば、ステップS2にお
いて、所定の周波数ωiおよび振幅AINiを有する正弦波
信号AINi・sin(ωi・t)を加算点32に入力す
る。
【0028】次に、ステップS3において出力点33,
34における周波数ωi成分の出力V1,V2を測定
し、ステップS4で伝達関数Gpのゲイン|Gpi|=|
V2|/|V1|を算出する。ステップS5は変数iが
所定測定データ数nと等しいか否かを判断するステップ
であり、等しくないと判断されるとステップS1へ戻っ
て変数iに1が加算され、等しいと判断されるとステッ
プS6へ進む。
【0029】ステップS6では、測定・演算されたゲイ
ン|Gpi|の代表値を得るために、次式(5)のような
算術平均|Gp|を算出する。なお、代表値の選定方法
としては算術平均に限らず他の方法でも良い。
【数3】
【0030】図10は測定により得られたゲイン|Gpi
|を図示したものであり、横軸は周波数ω、縦軸はゲイ
ン(20・log|Gp|)を表している。図10にお
いて曲線L1は周波数ωによるゲイン|Gp|の変化を
示したものであり、与えられた磁気軸受制御系に対して
計算により求めることができる。図10に示すように、
ゲイン|Gp|は周波数ωが小さいところではほぼ一定
となっているが、所定の周波数ωc(コーナー周波数と
呼ぶ)より大きいところでは周波数ωが大きくなるにつ
れて小さくなる。また、周波数ωが非常に小さな場合の
ゲイン|Gp|は直流の場合のゲインと見なすことがで
きる。そのため、正弦波周波数ωiはωi≪ωcのように
選ぶのが望ましい。なお、図10の符号35はゲイン|
Gpi|の測定データを示しており、i=1〜6(n=
6)までの6つのデータを示した。
【0031】ステップS7では、ステップS6で算出さ
れたゲイン|Gp|と予め記憶部303に記憶されてい
るゲインの基準値|Gpo|との比βが算出され、記憶部
306に記憶される。なお、ゲインの基準値|Gpo|
は、例えば次のようにして決定される。まず、ポンプ本
体1の使用に支障のないゲイン|Gp|の上限値と下限
値を、実際のポンプ本体1を用いて実験により求める。
そして、得られた上限値および下限値のほぼ中間の値を
ゲインの基準値|Gpo|として採用する。
【0032】ステップS8では、ステップS7で算出さ
れたβを用いて、アキシャル変位センサ73のセンサ信
号Vsを次式(6)のように補正する。チューニングが
終了した後には、アキシャル変位センサ73からのセン
サ信号Vsそのものではなく、式(6)で補正された信
号Vs2に基づいて磁気浮上制御が行われる。また、上述
した2種のチューニングによりセンサ信号Vsは式
(7)のように補正される。
【数4】
【0033】なお、式(7)では、最初のチューニング
でセンサ感度(感度補正係数α)とオフセットVoffset
による補正とを行うようにしているが、オフセットVof
fsetの補正のみを実行するようにしても良い。この場合
には最初のチューニングでオフセットVoffsetの補正、
次いで行われるチューニングでセンサ感度補正βが行わ
れ、補正後のセンサ信号Vs2は式(8)のように表され
る。センサ感度補正のみをチューニングするのであれ
ば、式(6)に基づく2番目のチューニングのみを行う
ようにしても良い。ただし、最初のチューニングを行っ
てオフセット補正を行うことによりロータ4が最適位置
に支持されるように制御され、磁気軸受の制御性がより
向上する。
【数5】Vs2=β・(Vs−Voffset) …(8)
【0034】このようにしてアキシャル変位センサ73
(z軸)のチューニングが終了したならば、ラジアルセ
ンサ71,72の各x,y軸に関してそれぞれ同様のチ
ューニングを行うことにより、5軸全ての感度補正が行
われる。なお、重力方向に対して磁気軸受をどのように
設置するかにより伝達関数Grのゲインは変化するの
で、チューニングを行うときには予め設置姿勢を限定し
たり、設置姿勢をマニュアル入力したり、特開平9−4
2290号公報に開示されているように自動的に設置姿
勢を推定しても良い。そして、記憶部306に設置姿勢
に応じたゲイン基準値を予めインプットしておき、実際
の設置姿勢に応じてゲイン基準値を選択し、上述したチ
ューニング作業を行えば良い。
【0035】このように、交流信号を入力して調整を行
う第2のチューニングでは、上述した第1のチューニン
グのようにロータ4をベアリング28に当接させなくて
も感度調整ができるので、ストロークΔdが測定できな
くても精度良い感度補正が行える。さらに、Gpは制御
対象Aの伝達関数であって、変位センサ7部分の伝達関
数Gsの他に励磁アンプ31の伝達関数Ga、ロータ4と
電磁石5の伝達関数Grを含んでいる。そのため、第2
のチューニングを行うことにより、センサ感度のΔV
s,Vdのばらつきは勿論のこと、励磁アンプ31、電磁
石5、ロータ4のばらつき要因も含めて感度測定および
補正が行われ、より精度の高いに感度補正が行える。
【0036】上述した実施の形態では、コントロールユ
ニット2がチューニング機能を有していて、チューニン
グスイッチSW3をオン操作することにより自動的にチ
ューニングが行うような構成としたが、チューニング機
能を省略して別のチューニング用コントローラでチュー
ニングを行うようにしても良い。この場合、チューニン
グ用コントローラをポンプ本体1に接続してチューニン
グを行い、感度補正係数α、βおよびオフセットVoffs
etを算出する。そして、この算出された感度補正係数
α、βおよびオフセットVoffsetを、チューニングを行
ったポンプ本体1とセットになっているコントロールユ
ニット2の軸受制御回路9にインプットすればよい。
【0037】なお、上述した実施の形態では磁気軸受式
ターボ分子ポンプを例に説明したが、他の磁気軸受装
置、例えば磁気軸受式スピンドルや磁気浮上ステージな
どにも適用することができる。
【0038】以上説明した実施の形態と特許請求の範囲
の要素との対応において、ロータ4は被支持体を、変位
センサ7,71,72,73は位置センサを、制御部3
0は制御手段を、演算部303は交流信号加算手段,ゲ
イン演算手段,差分演算手段を、ベアリング27,28
は拘束手段をそれぞれ構成する。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
交流信号を制御信号に加算したときに得られる伝達関数
ゲイン値は磁気軸受装置のギャップ寸法に依存していな
いので、磁気軸受装置にギャップのばらつきや位置セン
サのセンサ感度ばらつきがあっても、この伝達関数ゲイ
ン値に基づく制御信号により磁気浮上制御を行うことに
より、それらのばらつきに起因する軸受制御性能のばら
つきを低減することができ信頼性の向上を図ることがで
きる。特に、制御対象には位置センサだけでなく励磁ア
ンプ,電磁石および被支持体が含まれるので、制御対象
の伝達関数にはこれらの各伝達関数が含まれる。その結
果、位置センサのセンサ感度に関するばらつきだけでな
く、励磁アンプ,電磁石および被支持体のばらつき要因
も含めて感度補正が行われる。また、請求項2の発明で
は、上述した効果に加えて、位置センサに関するオフセ
ット補正も行われ、被支持体は最適位置に支持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気軸受装置の一実施の形態を示
す図であり、磁気軸受式ターボ分子ポンプの概略構成を
示すブロック図である。
【図2】ポンプ本体1の詳細を示す断面図である。
【図3】5軸制御型磁気軸受の概念図である。
【図4】ギャップを説明する図である。
【図5】図1の磁気軸受装置の磁気浮上制御系を示すブ
ロック図である。
【図6】第1のチューニングを説明する図であり、
(a)はロータ4を下方に吸引した場合を、(b)はロ
ータ4を上方に吸引した場合をそれぞれ示す。
【図7】第1のチューニングを説明する図であり、
(a)はセンサ信号Vsp,VsmおよびΔVs,Voffset
の関係を示し、(b)は補正後のセンサ信号αVsp,α
Vsmを示す。
【図8】図5に示す制御系の伝達関数を説明するブロッ
ク線図である。
【図9】第2のチューニングの手順を示すフローチャー
トである。
【図10】ゲイン|Gpi|を説明する図である。
【符号の説明】
1 ポンプ本体 2 コントロールユニット 4 ロータ 5,51,52,53,51x,52y,52x,52
y,53z 電磁石 7,71,72,73 変位センサ 9 軸受制御回路 27,28 ベアリング 30 制御部 31 励磁アンプ 303 演算部 306 記憶部 A 制御対象

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被支持体を非接触支持する電磁石と、磁
    気浮上を制御する制御信号に基づいて前記電磁石に励磁
    電流を供給する励磁アンプと、前記被支持体の位置を検
    出する位置センサと、前記位置センサのセンサ信号に基
    づいて前記制御信号を前記励磁アンプに出力する制御手
    段とを備える磁気軸受装置において、 前記制御信号に所定の交流信号を加算する交流信号加算
    手段と、 前記交流信号が加算されたときの前記位置センサのセン
    サ信号に基づいて、前記位置センサを含む制御対象の伝
    達関数ゲイン値を算出するゲイン演算手段とを備え、 前記制御手段は、前記伝達関数ゲイン値と所定のゲイン
    基準値との比に基づいて制御信号を出力することを特徴
    とする磁気軸受装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気軸受装置におい
    て、 前記被支持体の支持位置を第1の位置と第2の位置との
    間に拘束する拘束部材と、 前記被支持体が前記第1の位置にあるときの前記位置セ
    ンサのセンサ信号と前記被支持体が前記第2の位置にあ
    るときの前記位置センサのセンサ信号との差分を算出す
    る差分演算手段を備え、 前記制御手段は、前記差分演算手段により算出された差
    分と所定の基準差分との比に基づいて制御信号を出力す
    ることを特徴とする磁気軸受装置。
  3. 【請求項3】 被支持体を非接触支持する電磁石と、磁
    気浮上を制御する制御信号に基づいて前記電磁石に励磁
    電流を供給する励磁アンプと、前記被支持体の位置を検
    出する位置センサと、前記位置センサのセンサ信号に基
    づいて前記制御信号を前記励磁アンプに出力する制御手
    段とを備える磁気軸受装置のセンサ感度調整方法におい
    て、 前記制御信号に所定の交流信号を加算し、前記交流信号
    が加算されたときの前記位置センサのセンサ信号に基づ
    いて少なくとも前記位置センサを含む制御対象の伝達関
    数ゲイン値を算出するとともに、前記伝達関数ゲイン値
    と所定のゲイン基準値との比に基づく制御信号により磁
    気浮上を制御することを特徴とする磁気軸受装置のセン
    サ感度調整方法。
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